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「笑い」でうつ病診断が可能に

 「笑い(laughter)」は、うつ病および潜在的な精神疾患の発症および進展の診断ツールとして有用である可能性が、スペイン・Aragon Institute of Health ScienceのJ. Navarro氏らにより報告された。笑いは医学分野において、健康へのよい影響をもたらすことや重大疾患の予防や治療の手法としては研究されてきたが、疾患の予測指標となる可能性や診断ツールとしての可能性については検討されていなかった。Journal of Affective Disorders誌2014年5月号の掲載報告。 研究グループは、うつ病患者と健常対照の笑いを登録し評価を行った。全患者に対して、ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)で評価を行い、また各笑いについて、Matlab解析ソフトを用いて8つの評価変数で数値化した。患者、対照、性別ごとに分類し、笑いとHDRSの結果との関連を一般解析および判別解析にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象者は、うつ病患者30例、健常対照20例であった。・総計934回の笑い(うつ病患者517回、健常対照417回)が登録された。・分析の結果、うつ病患者と健常対照では、笑いのタイプに有意な差がみられた(有効な評価対象88%)。・ハミルトンうつ病評価尺度により、笑いとうつ病状態との間には強い関連性があることが示唆された(有効な評価対象、男性85.47%、女性66.17%)。・一方で、本分析結果は以下の点で限定的であった。(1)笑いを喚起するようユーモラスなビデオを制作したため、評価された笑いは可変的なものであった。(2)記録された笑いの中には、楽しく笑っていないものがあったと思われた。(3)笑いのエピソードの評価は、個人的な記録に依存していた。(4)評価した笑いの数は相対的に少なく、うつ病に悩む代表的集団ではない可能性があった。 以上を踏まえたうえで、著者は「笑いは、うつ病および潜在的な精神疾患の発症と進展の診断ツールとなりうる可能性がある」とまとめ、「笑い声は対人関係において、深層心理に潜む感情や気分を表すものといえる」と述べている。関連医療ニュース 子供はよく遊ばせておいたほうがよい スタイルを気にしすぎる女性はうつに注意を ロマンチックな恋愛は幸せか

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心筋梗塞後、食物繊維の摂取が多いほど全死因死亡低下/BMJ

 健康な人における食物繊維の豊富な摂取は、冠動脈疾患の低リスクと関連しているが、心筋梗塞後の患者でも同様のベネフィットがあることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のShanshan Li氏らが行った大規模前向きコホート研究の結果、摂取量が多いほど、全死因死亡と逆相関の関連が認められたという。とくに穀物由来の食物繊維の摂取量を心筋梗塞前よりも増やすことが、全死因死亡および心血管死亡の有意な低下と関連していたことも明らかにされた。これまで、心筋梗塞後に食物繊維の摂取量を増やすことが、死亡率の低下と関連しているかは不明であった。BMJ誌オンライン版2014年4月29日号掲載の報告より。心筋梗塞後の食物繊維摂取量と全死因死亡、心血管死亡との関連を分析 本研究は、米国の男女が参加し食事量についてもデータがあった「看護師健康調査」(女性、1976年開始、参加者年齢30~55歳)と「医療従事者追跡調査」(男性、1986年、40~75歳)の、2つの大規模前向きコホート研究の参加者を対象に行われた。 参加者のうち、登録時に心血管疾患、脳卒中、がんを有していなかった人で追跡期間中に心筋梗塞を発症し生存していた人(脳卒中なし)、かつ心筋梗塞前後の食物繊維摂取の頻度についての質問記録がある人を対象とした。 主要評価項目は、心筋梗塞前後の摂取量の変化と全死因死亡および心血管死亡との関連で、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。モデルは、投与薬、治療歴、ライフスタイル因子で補正した。 追跡期間は女性32年間、男性22年間だった。その間に心筋梗塞(MI)を発症しその前後の食物繊維摂取量の記録があったのは、男性1,840例、女性2,258例。MI後の追跡期間中央値は、男性9.0年、女性8.7年だった。MI後追跡期間中の死亡は、女性は総計682例(心血管死亡336例)、男性は451例(222例)だった。 食物繊維摂取量との関連は、MI後の摂取量についてそれぞれ五分位範囲に分類して分析が行われた。摂取量五分位範囲最高位群の全死因死亡ハザード比は0.75、穀物繊維が最も有益 結果、MI後の食物繊維摂取量が高いほど、全死因死亡が有意に低い関連が認められた。五分位最低位群と比べて最高位群の、男女を合わせたプール多変量補正後ハザード比は0.75(95%信頼区間[CI]:0.58~0.97、p=0.03)だった。心血管死亡も低下がみられたが有意ではなかった(同ハザード比:0.87、95%CI:0.60~1.24、p=0.46)。 食物繊維のタイプ別(穀物、果物、野菜)でみると、穀物タイプが、摂取量と全死因死亡、心血管死亡との逆相関の関連が最も強かった。 これらの有意差は、BMI、身体活動度、血糖値や、アスピリンまたは脂質低下薬の服用などで補正後も影響はみられなかった。 また、MI後の摂取量増大が、全死因死亡の低下(同ハザード比:0.69、95%CI:0.55~0.87、p=0.002)、および心血管死亡の低下(同:0.65、0.47~0.90、p=0.01)と有意に関連していることも認められた。

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フリードライヒ運動失調症に次世代ニコチンアミドが有望/Lancet

 脊髄小脳変性症に類するフリードライヒ運動失調症に対して、ヒストン脱アセチル阻害薬ニコチンアミド(ビタミンB3)の高用量投与が有望であることが報告された。フリードライヒ運動失調症は遺伝性の進行性変性障害で、フラタキシン(FXN)タンパク質の変異に起因する。FXN遺伝子のイントロン1内に存在するGAAのリピートが伸長することで、ヘテロクロマチン形成と遺伝子転写のサイレンシングに結びつくが、前臨床においてニコチンアミドが、ヘテロクロマチン形成を再構築し、FXN発現を上方制御することが示されていた。それらを踏まえて英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのVincenzo Libri氏らは、フリードライヒ運動失調症へのニコチンアミドの有効性と安全性を評価する探索的非盲検用量増加試験を行った。Lancet誌オンライン版2014年5月1日号掲載の報告より。エピジェネティクスおよび神経学的な有効性と安全性を評価 試験は、男女18歳以上のフリードライヒ運動失調症患者に対する、高用量ニコチンアミドのエピジェネティクスおよび神経学的な有効性と安全性を評価することを目的に、3相にわたって行われた。フェーズ1では、0、2、4、6、7、8g/日の経口ニコチンアミドを単回投与し、投与後24時間にわたって観察。フェーズ2では、2~8g/日を5日間連続投与し、フェーズ3ではフェーズ2までに判明した各患者の1日最大投与量を8週間にわたって投与した。 主要アウトカムは、FXN発現の上方制御とした。また、安全性と忍容性について評価し、FXN遺伝子座のクロマチン構造の変化を調べ、さらにニコチンアミド治療の効果について運動失調症の臨床尺度を用いた評価も行った。用量依存的にエピジェネティクスな変化をもたらすことを確認 結果、ニコチンアミドの忍容性は概して良好であった。主要有害事象は悪心で、大半が軽度であり、用量依存的にみられ、自然にあるいは用量減量後、嘔吐薬を服用後に消失した。 フェーズ1の結果では、ベースライン時から投与後8時間までに、用量依存的にFXNタンパク質量が増大する変化がみられた(p=0.0004)。ベイズ解析により、3.8gで1.5倍、7.5gで倍量に増大するとの予測が示された。 フェーズ2、3の結果からは、1日投与量3.5~6gが持続的かつ有意にFXN発現の上方制御に結びつくことが示された(p<0.0001)。また、FXN遺伝子座のヘテロクロマチンも減少していた。 なお、臨床尺度による有意な変化はみられなかった。

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37)HbA1c値と1日の平均血糖値の関係を説明する【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者HbA1cが7%といわれてもピンとこないんです。 医師確かにそうですね。 患者血糖でいうと、どのくらいになるんですか? 医師平均すると、だいたい150mg/dLになると思いますよ。 患者150mg/dLくらいですか。 医師空腹時だと110~130mg/dL、食後は200mg/dL近くになっているかもしれませんね。 患者なるほど。 医師血糖値が170mg/dLを超えると、尿に糖が降りるといわれていますので、食べすぎた日の翌日には、尿に糖が降りているかもしれません。一度、尿の試験紙でチェックしてみてもいいですね。 患者わかりました。チェックしてみます。●ポイントHbA1cと平均血糖の関係を理解してもらい、療養指導につなげます●資料 1) Nathan DM, et al. Diabetes Care. 2008; 31: 1473-1478.

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事例03 小児科療養指導料査定のポイント【斬らレセプト】

解説小児科を標榜する200床未満病院での事例である。数ヵ月ごとのフォローアップで受診した1歳の女児の母親に療養上の指導を行い、再診料と小児科療養指導料を算定したところ、同指導料が対象疾患不足を理由に査定となった。同指導料の算定要件に対象疾患が定められており、その中の「先天性心疾患」に発作性上室頻拍が含まれると考えられての算定であった。しかし、発作性上室頻拍という病名のみからは、先天性の心疾患であることの判断はつかない。病名の前に「先天性」を表示するか、コメントにて「先天性」であることを示すと査定防止に役立つであろう。また、6歳未満の患児への算定では、病名限定が無いものの出生時体重が1,500g未満とされている。この場合もレセプトに「出生時体重1,500g未満」とあらかじめ補記しておくことが、査定対策に必要である。

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事例04 カルベジロール査定のポイント【斬らレセプト】

解説院外処方せんで処方したアーチスト®錠が、医療機関と調剤薬局の請求内容を突き合わせる突合点検において、A事由(医学的に適応と認められないもの)を理由に査定となった。同錠2.5㎎には「不安定狭心症」の適応がないことが主な査定理由と思われた。一方で、同錠の添付文書の重要な基本的注意事項には、「投与が長期にわたる場合には、心機能検査(脈拍、血圧、心電図など)を定期的に行う」、「虚血性心疾患を有する患者において、本剤の投与を急に中止した場合、症状の悪化をきたす可能性があるので、観察を充分に行う」、「患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう説明する」などとある。事例をみてみると、12月は診療実日数1日で、検査などの実施が無く、投与日数も84日分、長期投薬加算も算定している。服用有無の観察が必要とされる薬剤を投与中に、約3ヵ月後の来院を指示されているのではないかとの疑問が生じても不思議ではない。医学的必要性があって、このような処方を行う場合は、次回検査予定や医学的な必要性をあらかじめレセプトに記載をして、審査に委ねることが、査定対策に必要である。

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出生前後のプロバイオティクス投与がアトピーの一次予防の可能性

 一般集団およびアレルギーリスクがある集団のいずれにおいても、生誕前後にプロバイオティクスを与えることが、アトピー性皮膚炎(AD)の発症予防に役立つ可能性が、ルーマニアのキャロル・デイビラ・ユニバーシティ・オブ・メディスン・アンド・ファーマシーのM. Panduru氏らにより報告された。AD発症率は上昇しているが、ADという疾患の真の原因は明らかになっていない。プロバイオティクスは、AD予防に関与している可能性が示唆されているが、その役割については議論の的となっていた。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2014年4月4日号の掲載報告。 研究グループは、AD発症におけるプロバイオティクスの役割評価を目的としたレビューを行った。国際的なデータベース(PubMed、Scopus、Web of Knowledge、EBSCO、ARTO、Google Scholar、ClinicalTrials.gov)を用いて、同トピックについて広範囲に検索し、分析が行われていた試験だけを選択。それらの試験について、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・データベースの検索により1,513本の論文をみつけた。そのうち26本が適格条件を満たしていたが、同一集団の試験を除外し、最終的に16本の試験を分析に含んだ。・メタ解析の結果、プロバイオティクスを与えることは、AD発症を予防することが明らかになった(OR:0.56、p=0.0001)。・サブグループメタ解析の結果、一般集団およびアレルギー高リスク集団において、乳酸菌のみを与えること(OR:0.76、p=0.04)、および乳酸菌+ビフィズス菌を与えること(OR:0.54、p=0.001)が、ADの発症を予防することが示された。・さらなるサブグループ解析で、プロバイオティクスの出生前投与と出生後投与が有効であることが示された(OR:0.54、p=0.001)。出生後投与だけの場合は有効性は有意ではなかった(OR:0.89、p=0.59)。・最後に、投与タイプ別に行ったサブグループ解析で、乳酸菌のみを与えること(OR:0.75、p=0.03)、および乳酸菌+ビフィズス菌を与えること(OR:0.54、p=0.0001)のいずれもが、ADを予防することが示された。

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「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも

 バランスと歩行の障害は、アルツハイマー型認知症(AD)のごく初期のサインである可能性が、米国・イサカ・カレッジのLaura Z. Gras氏らによる検討の結果、示された。結果を踏まえて著者は、「これらの問題の認識が以降の理学療法介入を早め、バランスと歩行の障害のさらなる進行を遅らせることが可能になるだろう」と述べている。先行研究で、AD患者では歩行とバランスに障害が出ることが示されている。しかし、その障害を認知症の程度(軽度~重度)の区別なく一律に捉えていた。Journal of Geriatric Physical Therapy誌オンライン版2014年4月21日号の掲載報告。 研究グループは本検討において、ごく初期のAD患者でバランスと歩行の障害がみられるかを確認することを目的とした。13例のごく初期のAD患者と、年齢および性別でマッチさせた非AD対照13例を対照に、バランスと歩行のテストを行った。被験者は全員、地域で生活しており、自立歩行が可能であった。 主な結果は以下のとおり。・患者群13例は72.9±4.7歳、対照群は72.6±4.6歳、両群とも男性10例、女性3例であった。・片脚立ち時間テストは、ごく初期のAD患者のほうが対照群よりも、開眼状態、片目をつぶった状態ともに有意に時間が短かった(それぞれp<0.001、p=0.007)。・また、AD患者群は、Timed "Up & Go"テストで、ゴールまでの時間が長くかかった(p<0.001)。・AD患者の歩行障害は、10mの快適速度での歩行(p=0.029)、および歩行分析装置の歩行(p<0.001)で速度が遅かったことで判明した。AD群のほうが立脚時間(足が地面に接地している間)が長く(p<0.001)、歩幅は小さかった(p=0.001)。なお、10mの最大速度での歩行では両群間に差はみられなかった。・対照群の歩行速度は、10mの快適速度での歩行よりも、歩行分析装置での歩行のほうが速かった(p=0.031)。対照的にAD群は、10mの快適速度での歩行よりも、歩行分析装置での歩行のほうが有意に遅かった(p=0.024)。関連医療ニュース アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能 統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター  担当者へのご意見箱はこちら

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見直す価値のある古い薬:コルヒチン(コメンテーター:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(201)より-

コルヒチンはチューブリンを阻害する薬剤である。炎症初期の好中球の作用を阻害することが期待できる。 チューブリンは多くの細胞に存在するため、消化管出血などの副作用は避け難い。動脈硬化も炎症であるとの視点では、コルヒチンは動脈硬化/血栓性イベントの予防効果も期待できるし、実際、心筋梗塞予防効果を示したランダム化比較試験も発表されている。 再発性の心膜炎はやっかいな病気である。症例数としては多くはない。本研究では240例もの症例を集めた。心膜炎に対するコルヒチンの有効性は以前から確認されている。今回の研究では、再発性心膜炎としては大規模なランダム化比較試験にてコルヒチンの有効性を示した点に価値がある。コルヒチンは胃腸障害の多い薬剤と認識されている。しかし、今回の研究ではプラセボ群との差異を認めなかった。炎症の急性期に大きな役割を演じるとされる好中球の機能阻害により6ヵ月と比較的長期間の心膜炎の再発予防効果を示した点にも価値がある。 特許の切れた薬剤の販売により一社独占の利益は期待できない。実際本試験のスポンサーは製薬企業ではない。イタリア語なので正確な理解は難しかったが保険機関のようである。 日本の国民皆保険のなかでの保険者も、古い安価な薬剤により患者がメリットを得ることを示せば得である。古い薬の価値を見出す仕組みを保険者が考えるというのはよい発想だと思う。 経済が重視される資本主義社会ではあるが、患者のメリットを第一に考えるべき医療の世界では、一社独占の利益と直結しない薬剤の新たな有効性を見出しうるwin/win関係の構築法を考える必要がある。

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ミスト(中編)【マインドコントロール】

今回のキーワードマインドコントロール心的外傷体験被暗示性カリスマ性ダブルバインドスケープゴート「何でそこまで言い切れるの?」皆さんは、テレビで紹介される「今日の運勢」が気になったりしませんか?科学的な根拠はないのに、結果によって気分が一喜一憂してしまいませんか?また、職場などで「何でそこまで言い切れるの?」と思いつつ、「そうかなあ」とついその人に引き込まれそうになったことはありませんか?この心理は何なんでしょうか?それは、私たちには、進化の過程で手に入れた本能の1つとして、信じ込む心理があるからです。それでは、なぜ信じ込む心が沸き起こるのでしょうか?前回は、2007年の映画「ミスト」を通して、宗教の起源の心理を交えながら、信じ込む心理の魅力やメリットを考えてきました。それは、社会(集団)の安定であり、個人の安らぎでした。今回も引き続き「ミスト」を取り上げ、信じ込む心理の危うさやデメリットを考えます。テーマは、マインドコントロールです。信じ込む心理は、裏を返せば、囚われる心理でもあります。私たちはこの心理とどううまく付き合っていけば良いのかをいっしょに探っていきましょう。表1 信じ込む心理の二面性プラス面マイナス面社会(集団)の安定個人の安らぎ→前月号囚われる心理(マインドコントロール)→今月号マインドコントロールとは?あるのどかな田舎町に突然、立ち込めた濃い霧(ミスト)が、町全体を覆い尽くします。主人公デヴィッドと幼い息子は、たまたま買い物をしていたスーパーマーケットで、その他の大勢の買い物客と共に閉じ込められてしまいます。ガラス越しの外の一寸先は、濃い真っ白な霧の世界です。一歩踏み出すと、得体の知れない何かが彼らを襲ってきます。その時、スーパーマーケットの中で存在感を発揮し始めるのが、町の信心深い信者であり変わり者でもあるカーモディさんです。彼女は、自らの説く教えによって、人々を次々と信者へと変えていきます。そして、教祖のようになったカーモディさんは、生け贄を捧げようと言い出し、その言葉に人々は熱狂し、従うようになります。一体、何が起こっているのでしょうか?その答えが、マインドコントロールです。マインドコントロールとは、人の心(マインド)を思い通り(コントロール)にすることです。私たちは、そう簡単に自分の心は他人の思い通りにならないと思うでしょう。しかし、実は、ある状況や原因が重なると、誰にでも起こりうる危うさが潜んでいます。これから、このマインドコントロールのメカニズムについて、マインドコントロールされる側とする側の両方の視点で見通します。そして、マインドコントロールにかかる心理と、マインドコントロールをかける心理(テクニック)を解き明かしていきたいと思います。まずは、マインドコントロールにかかる心理の危険因子を、環境因子と個体因子に分けて順番に考えてみましょう。マインドコントロールにかかる心理(1)環境因子―1. 閉鎖性デヴィッドたちは、スーパーマーケットという霧で覆われた密室に閉じ込められています。その中で、たまたま居合わせた人々が生活を共にすることになるのです。そこは、光が遮られ、昼と夜が分かりにくい状況です。また、そこで人々の体の間合い(パーソナルスペース)や心の間合い(心理的距離)はいやおうなく近付いています。お互いのことが目につき過ぎてしまい(対人感受性)、プライバシーが失われていきます。また、食糧には困りませんが、電話、テレビ、ラジオなどのあらゆる通信、受信が機能せず、助けも来ず、全くの孤立状態です。まさに霧の中で先行きが見えません。このような空間的にも時間的にも閉じている状況(閉鎖性)はマインドコントロールの危険因子です。この状況は、まさに原始の時代の閉ざされた1つの共同体に見立てられます。約20万年前には、私たちの祖先は、最大100~150人(ダンバー数)くらいの閉鎖的な運命共同体(集団)をそれぞれつくっていました。スーパーマーケットの人々が、共同体の擬似家族となることで、前月号で触れたように、集団の安定のために、相手と同じ行動や考えを好み(同調)、何かを拠りどころとして信じ込もうとして(崇拝)、従いやすくなる心理(集団規範)が高まります。これは、原始宗教の心理の特徴です。昔からの宗教における山ごもり修行や、現在のカルト宗教での社会からの断絶による集団生活は、この心理が大いに働いていると言えます。マインドコントロールにかかる心理(1)環境因子―2. 不安定性―[1]心的外傷体験スーパーマーケットの人々の中の地元民のジムは、初め、カーモディさんをバカにして、暴言を吐いていました。ところが、目の前で次々と人が怪物に殺されていく状況の中、そしていつ次は自分の番になるのか分からない状況の中、様変わりしてしまいます。救いを求めて、完全にカーモディさんの忠実な信者となってしまうのです。デヴィッドたちは、「(霧が出てから)2日も経っていないのに」「精神バランスが崩れたか」と残念がっています。このような心的外傷体験(トラウマ)による予測不可能な状況(不安定性)はマインドコントロールの危険因子です。ありえない現実を目の当たりにしていつ死ぬか分からない恐怖を味わうと、今まで信じていた価値観(認知パターン)や行動パターンなどの心の拠りどころを失い、新たな心の拠りどころを求めるようになります(パブロフの超逆説的段階)。つまり、極限状況において、脳の既成のプログラムがリセットされて、新しい刺激(条件)による書き換えが起きやすくなるということです。そして、無垢でナイーブな子どものように、新しい刺激を受け入れやすくなるのです。例えば、失恋をして異性の友人に相談をすると、その相談相手に惚れてしまうという話はよく聞くでしょう。これは、失恋を心的外傷と捉えれば、相談相手が新しい拠りどころ(=恋人)となるような脳の書き換えが起きやすくなるということです。ルール(法律)や論理(科学)と言った理性的な心の拠りどころを失った人々は、恐れや焦り、苛立ちにより、理性よりも感情に支配されやすくなります。より感情的な心の拠りどころを見つけようとします。そして、共同体が結束した原始の時代の宗教的な心が目を覚まします。現代のカルト宗教の中には、不眠、不休、不食の極限状況を強いたり、社会で悪とされること(犯罪行為など)をあえてさせるところもあります。これは、極度のストレスにより精神的に弱らせることで、またモラルを破らせてもともとの価値観(認知パターン)を壊させることで、心的外傷体験を作り出し、救いや癒やしなどの新しい拠りどころ(=入信)を与えるテクニックと言えます。最近はあまりないようですが、部活動でのしごきにより極限状態を強いることで、チームの一体感を強めるというやり方も、同じ心理を利用しています。マインドコントロールにかかる心理(1)環境因子―2. 不安定性―[2]感覚遮断と感覚過剰予測不可能な状況(不安定性)とは、心的外傷体験だけではありません。それは、閉鎖性によりいつも慣れ親しんでいる五感など刺激(情報)がシャットアウトされている状態(感覚遮断)でもあります。例えば、人間は、閉じ込められたり縛られたりして身動きが取れない状態が一定時間以上続くと、的外れなことを言ったり(的外れ応答)、子どもっぽく振る舞ったりするなど(小児症)、精神状態が一時的に幼くなります(拘禁反応)。子どもっぽくなるという点は、先ほど触れた心的外傷体験による結果と共通しています。また逆に、新しい刺激(情報)が溢れ返っている状態(感覚過剰)も予測不可能な状況(不安定性)です。これは、入力される過剰な刺激(情報)によって、情報処理が追い着かなくなり、脳がパンクし麻痺してしまい(ストレス負荷)、自ら考えようとしなくなる状態です。このように、感覚遮断や感覚過剰による予測不可能な状況(不安定性)はマインドコントロールの危険因子です。極端な隔離生活による情報の「干ばつ」が心を日照らせてしまう状況も、メディアなどによる情報の「洪水」が心に押し寄せて溺れさせてしまう状況も、心を不安定にさせます。つまり刺激(情報)は、足りなくても溢れていても良くなくて、適度にあるのが望ましいと言えます。この危険因子は、ICU症候群(術後せん妄)でも同じです。これは、交通事故や手術後の後、ICU(集中治療室)に入室して、精神的に混乱する状態です。隔離されていることで、いつもいっしょにいる家族と会えず(感覚遮断)、昼夜が分からない明るい部屋で、心電図などのモニター音がピコピコ鳴り続けている状況(感覚過剰)が原因です。昔から、宗教が盛り上がるのは、その時代の社会の不安定さを反映しているようです。社会が混乱して不安定(感覚過剰)だからこそ、社会がまとまり安定するための求心力を人々は求めて、宗教的になっていくのです。最近では、選択肢(知識)が多い状況(感覚過剰)ほど逆に決められなくなるという心理実験の研究結果が出ています。そんな世の中だからこそ、決定を代行するアドバイザーもまた増えているわけです。そもそも原始の時代から私たち人間は、選択肢などほとんどないシンプルな暮らしを送っていました。暮らしの中で選択肢が急激に増えたのは、産業革命が起きてからごく200年、情報革命が起きてからごく30年です。700万年の人間の心の進化の歴史を考えると、私たちの脳が、過剰な情報化社会に合うように進化するのには時間が短すぎるのです。つまり、テレビ、ネット、携帯電話に過剰にさらされている子どもたちは、主体的で創造的に考えようとする心理を弱め、引きこもりのリスクを高めているとも言えます。マインドコントロールにかかる心理(1)環境因子―3. 視野狭窄デヴィッドの仲間の1人が「セサミストリートへようこそ」「今日習う言葉は『償い』だよ」と言い、一貫して「償い」という言葉を言い続けるカーモディさんを揶揄します。人々は、もはや「償い」より他の選択肢が見えなくなっています。これは、外界の情報がシャットアウトされた上に(感覚遮断)、視野(思考)を一点に集中させられている状況です(視野狭窄)。例えるなら、暗いトンネルの中にいて、遠くに見える明るい出口に突き進む状況です(トンネル体験)。このように、トンネル体験(視野狭窄)はマインドコントロールの危険因子です。情報が途絶えて刺激に飢えている心理状態(感覚遮断)では、与えられた特定の刺激からの影響力が強まります。例えば、過激テロ組織で集団生活を送るメンバーは、そこにいる指導者や仲間が唯一のモデル(基準)となり、拠りどころとなります。組織のために自爆テロを行うメンバーは英雄であるという価値観が育まれやすくなり、自ら進んで自爆テロに志願するのです。かつて太平洋戦争で、多くの若者がいとも簡単に特攻隊に志願したのも、この心理メカニズムから理解することができます。また、犯罪の容疑者が、取り調べ室に閉じ込められ、「おまえがやったんだよな?」と刑事に延々と言われ続ければ、この心理メカニズムが働き、冤罪が招かれやすくなるのも理解できます。これらの心理は、まさに共同体が結束した原始の時代の宗教的な心と重なります。逆に、この心理が健全とされる形で利用されてもいます。例えば、男子校や女子校は、性別を限定することにより、恋愛の刺激を抑えています。進学クラス、寄宿舎生活、スポーツチームの合宿などは、受験勉強やスポーツなどの特定の刺激を特化して与え、拠りどころ(価値観)を統制しやすくしています。また、極端な例として、少年院の矯正教育では、更生に望ましくない外界からの刺激をシャットアウトして、更生に望ましい日課のみが全て細かく決まっています。マインドコントロールにかかる心理(1)環境因子―4. 乏しいソーシャルサポートソーシャルサポートが乏しい状況(孤立)はマインドコントロールの危険因子です。これは、映画では描かれていませんが、とても重要です。家族や地域(職場)などでの集団への帰属意識(集団同一性)が希薄であれば、必然的に心の拠りどころ(同一化)に飢える心理状態になります。マインドコントロールによる強い力に引き込まれやすくなります。実際、家族や地域(職場)などのさまざまな絆が失われつつある昨今の状況は、この危険因子が強まっていると言えます。マインドコントロールにかかる心理(2)個体因子―1. 依存性これまでマインドコントロールにかかる心理の環境因子について整理しました。しかし、同じ環境でも、マインドコントロールにかかりやすい人とかかりにくい人がいます。この違いは何でしょうか?それは、個人差(個体差)です。ここからは、個体因子について考えていきましょう。まず、カーモディさんの最初の信者となった緑色の上着を着た女性に注目してみましょう。怪物の襲撃に備えて、人々がそれぞれにてきぱきと動いている中、彼女は、カーモディさんが説教をするそばに付いて、何も考えられないかのように不安そうにしています。そして、怪物たちが襲撃した後には「彼女が言った通りになったわ」とカーモディさんの言うことを鵜呑みにしていきます。自分でどうすれば良いか判断することが難しく、主体性がありません。誰かの指示を待ち、強く言う人に染まりやすいのです。このように、依存的な性格(依存性)はマインドコントロールの危険因子です。この性格は、従順で協調性が高いというプラス面があると同時に、受け身で流されやすいというマイナス面もあります。例えば、かつて冷戦時代に、軍人たちが敵国に洗脳(マインドコントロール)されたと世の中に衝撃を与えました。軍人は、屈強で精神的にも強そうに思われていたからでしょう。しかし、実は意外にも、軍人や体育会系の人はマインドコントロールにかかりやすいと言えます。その理由は、上官、上司、先輩の命令には絶対服従するために、自分の意見を抑える癖が身に付いているからです。これが逆に仇となっているのです。つまり、問題意識を持たない従順な人ほどかかりやすいのです。さらに言えば、周りの働きかけに素直に従ってきた良家の子や温室育ちの子も同様です。かつて巨大なカルト宗教に、多くの高学歴エリートたちが入信し、犯罪まで行いました。この理由も、幼少期から言われるままに勉強ばかりして、主体的で柔軟な考え方をする癖が付きにくかった可能性が考えられます。視野が広がらず、心の拠りどころ(行動原理)が乏しかったかもしれません。そして、一度信仰という拠りどころにはまったら、それ以外の多様な価値観を受け入れることが難しくなってしまったのではないでしょうか?これは、幼少期から受験勉強という「トンネル体験」を強いた代償とも言えるかもしれません。さらに、国際的に見れば、集団主義的(依存的)な文化を持つ私たち日本人は、そもそもマインドコントロールにかかりやすい国民性なのではないかと思われます。マインドコントロールにかかる心理(2)個体因子―2. 被暗示性デヴィッドたち数人のグループは、最後までカーモディさんの言うことを信じません。この理由は、信じ込みやすさにも個人差があるからです。先ほど心的外傷体験で触れたのは、環境因子による脳の書き換えの起こりやすさです。一方、個人差(個体因子)による脳の書き換えの起こりやすさもあります。言い換えれば、これは、暗示へのかかりやすさです。暗示とは、暗に示されたことへの信じ込みの強さです。例えば、占い、迷信、超常現象などをすぐに信じてしまう人です。このような人は、マインドコントロールにかかりやすい危うさがあります。このように、暗示へのかかりやすさ(被暗示性)はマインドコントロールの危険因子です。精神科医療の現場で、全く効果のない薬を効果がとてもあると伝えて内服させると、患者によっては効果があります(プラセボ効果、偽薬効果)。これは、効く薬だという安心感や医師への信頼感が被暗示性に大きな影響を与えているからでしょう。前号で触れた「信じる者は救われる」という心理でオキシトシンが活性化されている可能性とも重なります。この安心感や信頼感を生み出しているのが、共感性です。共感性とは、相手の気持ちを汲み取るのに長けていることです。この心理が高じて、相手から影響を受けやすくなってしまう、つまり被暗示性を強めていると思われます。さらに、相手の考えに感化して対応(共有)してしまう精神状態になることもあります(感応)。同調性や協調性との関係も深いです。これは、「みんな同じ、みんな仲良し」を重んじるゆとり教育を受けた世代の危うさでもあります。暗示や感応は、誤った考えの思い込みが一時的な段階です。しかし、それが持続的な段階になれば、妄想と呼ばれます。表2 暗示、感応、妄想の違い 暗示、感応妄想特徴反応的浮動的一時的(~数日)、可逆的自己誘発的(一次妄想)も固定的持続的(数週~)、不可逆的マインドコントロールにかかる心理(2)個体因子―3. 脆弱性さきほど触れたジムは、信者になる前、デヴィッドとのやり取りで、「大卒のあんたがおれより偉いわけじゃない」「おれをナメるな」と強がります。そして、自分の判断ミスで、ある青年を見殺しにしても「なんでもっと危険だって言ってくれなかったんだ」とデヴィッドのせいにします。彼の立ち振る舞いは、決して知的に高そうには見えません。スーパーマーケットにいたかつての彼の担任教師からも、「あんた兄妹揃って成績が悪かったわね」となじられています。また、強がりは弱さの裏返しです。彼には、心の余裕がなく、不安でいっぱいであることが分かります。このような人は、理性的に考えることができなくなり、カーモディさんのような強い人の言いなりになっていくのです。このように、知的な制限や低いストレス耐性による脆弱性はマインドコントロールの危険因子です。これは、知能の発達段階にある子どもについても同様です。表3 マインドコントロールの危険因子環境因子メンバーの個体因子カリスマの個体因子1. 閉鎖性光が乏しく、昼と夜が分かりにくいプライバシーがない先行きが見えない2. 不安定性心的外傷体験、極度のストレス情報のシャットアウト情報の溢れ返り3. トンネル体験(視野狭窄)4. 乏しいソーシャルサポート(孤立)1. 依存性2. 被暗示性、共感性3. 脆弱性知的な制限(低知能)低いストレス耐性子ども1. 神秘性2. 権威3. 煽動4. 断定5. 反復6. ダブルバインド7. 序列化8. スケープゴートマインドコントロールをかける心理とは?―カリスマ性これまで、マインドコントロールにかかる心理を環境因子と個体因子に分けてまとめました。ここからは、マインドコントロールをかける心理(テクニック)を考えてみましょう。これは、カリスマ性の条件(個体因子)とも言えます。カーモディさんをモデルにして、これらの条件を考えてみましょう。カリスマ性の条件―(1)神秘性カーモディさんは、「今夜、闇と共に怪物が襲ってきて、誰かの命を奪う」と予言します。そして、結果的に、的中してしまいます。すると、人々は、カーモディさんに特別な能力があると信じ込んでいくのです。カーモディさんは、思いのほか、人々が自分の言うことを信じるようになったと察知し、すかさず「分かったでしょ?」「これで私の言うことを信じるわね?」と勢い付いていきます。このように、奇跡の演出(神秘性)はカリスマ性の条件です。カーモディさんは、厳密には奇跡を起こしたのではなく、いつもの口癖がたまたまその状況に当てはまってしまっただけです。しかし、彼女はここぞとばかりにそのまぐれの状況を巧みに演出しています。もちろん、カーモディさん自身も自分の「奇跡」に酔いしれて信じ込んでいます。奇跡体験とは、今まで不可能であると思っていたことが可能であると見せつけられることです。つまり、今まで心の拠りどころだった信念(認知パターン)がひっくり返ってしまう出来事です。この点で、奇跡体験も一種の心的外傷体験(心的外傷後ストレス障害、PTSD)です。先ほどのマインドコントロールの危険因子として述べたように、奇跡体験は、脳の書き換えが起きやすくなる状態を作り出し、その後の刺激(情報)を受け入れやすくします。例えば、生存確率の低いがん患者が、手術や移植などによって奇跡的に完治した後、社会貢献をしたり信心深くなったりするなど人が変わったように自己成長していくことをよく耳にします(外傷後成長、PTG)。これは、「もう近いうちに死ぬ」という心的外傷体験の後に、完治するという奇跡体験をして、「生かされた」「助けられた」という事実(刺激)が、強く脳に刻み込まれ、新しい価値観として重みを帯びるからであると考えられます。また、宇宙から生還した宇宙飛行士が、後に少なからず宗教にはまるというエピソードも、宇宙空間という神秘的な極限状況が心的外傷体験や奇跡体験として脳に作用している可能性が考えられます。カリスマ性の条件―(2)権威カーモディさんは、聖書を片手に威厳を持って、「煙の中からイナゴの群れが地上へ」「それらのイナゴには地上のサソリと同じ力が与えられた」「神殿から響く声が7人の天使に言った」「さあ、行くがいい」「神の怒りを地上に注ぐのだ」と言います。これは、スーパーマーケットに飛んできた巨大な昆虫を、聖書の「神の怒り」によって遣わされた「サソリと同じ力」の「イナゴ」に重ね合わせています。つまり、自分たちの生死は、聖書によってすでに運命付けられているとほのめかしています。そして、「黙示録第15章」「神殿は神の栄光と力による煙で満たされ」「7人の天使の7つの災いが終わるまで誰も神殿の中に入れなかった」「神を迎え入れる準備をすべきよ」「世の終わりは、炎ではなく、霧と共に訪れるのよ」と訴えかけます。その後、「出てはだめよ」「私が許さない」「神の意思に反する行為よ」「まだ分からないの?」「私が正しいことは何度も何度も証明した」「私が預言者だと示したはず」と言い放ちます。自分が、預言者、つまり神の言葉を預かる者であり、自分の言葉が神の言葉を代弁していると言っています。このように、聖書や神託などによる神格化(権威付け)はカリスマ性の条件です。私たちは、権威的な「答え」にすがってしまう弱さがあります(依存性)。権威は被暗示性を高めることが分かっています。例えば、高名な専門家に診てもらったというだけで、病気が良くなった気になる患者はよくいます。その理由は、原始の時代から、権威を動機付ける崇拝の心理が私たちには残っており、その心理はくすぐられやすいからです。これは前号で解説しました。崇拝の心理は感情的であるため、理性的によくよく考えればおかしなことも納得してしまうのです。そもそも聖書の内容を象徴的な意味として解釈すれば、どんな状況にも強引に当てはめることができます。そして、あたかも聖書がその現実を予言しているかのように人々に思い込ませることができます(バーナム効果)。これは、誰にでも当てはまりそうな質問をして心を読まれていると錯覚させる占い師のテクニックにもつながります(コールドリーディング)。カリスマ性の条件―(3)煽動カーモディさんは、怖い顔をして「怪物が哀れな若者をさらった」「霧の中にいる怪物を疑うの?」と声高に言います。デヴィッドの仲間のある女性から「(あなたのせいで)子どもたちが怯えているわ」と言われても、「怯えるべきよ」とむしろ恐怖を煽っています。その後、「哀れな娘は死んだ」「青年は焼け死んだ」と声高に叫ぶカーモディさんをその女性は見て、「みんなを煽動している」と不安がっています。デヴィッドの仲間の1人は、「怯える連中はカーモディさんに従う」と言います。そして、その通りになります。人々は教祖のようなカーモディさんを信奉し、従順になっていきます。このように、集団のメンバーへの恐怖の煽動はカリスマ性の条件です。集団のメンバーは、恐怖によって感情的になりやすくなり、理性は弱まり(脆弱性)、原始の時代の宗教的な心、つまり信じ込む心が強まります。そして、指導者に対する崇拝の心理が高まります。実際に、社会情勢が混沌として不安定であったり、社会の価値観が揺らいでいたりして、人々が不安を抱えている時こそ、救世主やヒーローなどのカリスマが現れています。カリスマは、その状況を強めるために、さらに人々の不安感を煽るのです。弱みに付け込むのです。すると、カリスマの地位が盤石なものになります。ヒトラーはカリスマ性があったと言われています。それは当時のドイツの政情が不安定であったからだという分析がなされています。いつでもどこでも世の中が不安定になれば、第2のヒトラーが現れるリスクが高まるということです。日本でも景気が悪かったり、政局が不安定であればあるほど、強いリーダーシップを持ったカリスマ性のある政治家が目立っていきます。裏を返せば、世の中が平和で安定している時は、カリスマは現れにくいと言えます。なぜなら、何とかしてくれる、奇跡を起こしてくれるカリスマをそもそもその時の人々が求めていないからです。つまり、カリスマが私たちの目の前に現れるかどうかは、社会の安定感を計る1つのバロメーターになります。カリスマが現れない時代や集団こそ、安定した健全な社会であり組織であると言えます。つまり、社員全員が崇拝するカリスマ社長は、マスコミでもてはやされますが、果たしてその会社は本当に大丈夫なのかと疑問を持ってしまうということです。カリスマ性の条件―(4)断定カーモディさんは、人々に「あなたたちは罪深い人生を送ってきた」「怪物が襲ってきた時にあなたたちは神に叫び、この私の導きを求めるのよ」と断定します。その確信に満ちた態度を見て、デヴィッドの仲間の男性の1人は、「(カーモディさんは)自分は神と話せると信じ込ませている」「みんな解決策を示す人に見境もなく従ってしまう」と冷静に言います。このように、確信的に言い切ること(断定)はカリスマ性の条件です。聖書や神託などの権威付けを基に、断定的で分かりやすく、繰り返されるカーモディさんの同じ「答え」に(視野狭窄)、弱っていて何かにすがりたい人々は飛び付いてしまうのです(依存性)。そして、何の疑いもなく信じ込んでしまうという盲信的で狂信的な原始の時代の心が発動します。私たちの日常生活でも、自信満々で断定的に話す人を見かけます。かつて芸能界でも、「地獄に落ちるわよ」という決めゼリフを言い、相手を追い込んでいく人がいました。そして、このような場合、「助かりたければこうしなさい(言うことを聞きなさい)」と分かりやすい解決策が示されます。相手からは、このような人は救世主のように見えるのでしょう。そもそも救世主の役割を突き詰めて考えれば、おかしなことに気付きます。本当に救世主なら、黙って救済すれば良いだけの話です。しかし、救世主は、救いを約束して条件を提示するという形式を常にとっています。実は、断定のテクニックは、世の中に溢れています。例えば、ビールのCMです。「売り上げナンバーワン」という事実をアナウンスするCMは理性的です。一方、「このビールは本物だから」とタレントに言わせるCMはどうでしょうか?「このビールだけが本物、他は偽物」というふうにも聞こえないでしょうか?そもそも「本物」とは何でしょうか?「本物」の根拠は何でしょうか?明らかにされていないことが多すぎです。つまり、言い過ぎなのです(過度の一般化)。また、従来の心理学の本においてよく見かける記載の1つに「日本の男は未熟だ」という表現があります。しかし、どれくらい割合の「日本の男」なのか?それでは何を持って「成熟」とするのか?定義や論理性が弱く抽象的になってしまい、読者には言い当てているように思い込ませてしまいます(バーナム効果)。これが、従来の心理学が人々に宗教のような胡散臭さを匂わせてしまっている理由でもあります。カリスマ性の条件―(5)反復デヴィッドが、気を失ったように寝入っている中、カーモディさんは、「大地はムチやサソリで私たちを懲らしめる」「そして大地は忌まわしい汚物を吐き残忍で汚れた恐ろしい魔物が解き放たれた」「魔物を食い止める方法は!?(ない)」「どこに隠れても奴らから身を守れない」と煽動的にそして断定的に延々と語り続けます。そして、「償い」という言葉を繰り返します。目を覚ましたデヴィッドは、「あの声は夢だと思った」と言います。仲間の男性は「カストロみたいに休まずしゃべり続けているよ」とあきれたように言います。このように、同じ言葉を繰り返し吹き込むこと(反復)はカリスマ性の条件です。煽動して断定した上に、反復することで、刺激(情報)が刷り込まれやすくなります。これは、さきほどマインドコントロールにかかる心理でも触れたように、情報が途絶えて刺激に飢えている心理状態(感覚遮断)では、与えられた特定の刺激(情報)が繰り返し吹き込まれることにより(感覚過剰)、自ら考えようとしなくなり、その刺激からの影響力が強まっています(視野狭窄)。かつてのカストロやヒトラーも、同じ言葉を延々と繰り返しています。逆に、この反復の手法は、CMなどでキャッチフレーズとして歌やリズムに乗せて当たり前のように使われています。また、良いスピーチやプレゼンも、このようなキーワードを繰り返すことが勧められています。カリスマ性の条件―(6)ダブルバインドカーモディさんは、「今こそ立場を選ぶべき時」「(生け贄をして)救われる者か、(生け贄をしないで)呪われる者か」と人々に訴えかけます。生け贄をするかしないかという究極の選択を人々に迫ります。しかし、考えてみると、おかしなことに気付きます。それは、神の存在は前提であり既成事実となっています。そして、生け贄以外で助かる可能性に目を向けさせないようにしています。このように、他のことへの注意を削ぐために二択に持ち込むこと(ダブルバインド、二分思考、白黒思考)はカリスマ性の条件です。人々を二者択一することばかりに一生懸命にさせてしまうのです。これは、特に迷っている時や弱っている時に効果が高まります。迷いがない時には効果は乏しく、逆に強引に思われて反感を買われやすくなります。もともと私たちは、この心理にとても陥りやすいです。例えば、恋わずらいで、「好き」「嫌い」と花びらを1枚ずつとっていき、最後にどっちが残るかドキドキするというのは古典的です。情緒不安定な人(情緒不安定性パーソナリティ)は、初対面で「大親友か絶交か」という極端な対人関係を築きがちです(理想化とこき下ろし)。恋わずらいにせよ情緒不安定にせよ、本来は大好きでも大嫌いでもなく、ほどほどの好意を持つことがスタートラインです。また、シェークスピアのハムレットの「やるかやらないか?それが問題だ」という名ゼリフも有名です。「生きるか死ぬか」「勝つか負けるか」「良いか悪いか」などもよく耳にします。これらは、その究極の選択肢だけに囚われてしまい、その他の選択肢への注意が削がれています。世の中では、相手に何かを決めさせたり心を動かすためのテクニックとして、この心理が利用されています。例えば、CMのキャッチコピーです。「ほんのり甘い味とほろ苦い味のコーヒーが新発売!ぜひお試し下さい」と「ほんのり甘いコーヒーとほろ苦いコーヒー、自分はどちらを選ぶ?」を比べてみれば、その違いが分かります。後者は、「甘いのと苦いのとどっちかな」という思考が働き、コーヒーを飲むことをすでに前提としています。逆に言えば、コーヒーを飲まないという選択肢には注意が向きにくくなります。また、次の2つのデートの誘い文句の違いはどうでしょうか?「映画か遊園地か行かない?」と「映画と遊園地だったら、どっちに行きたい?」です。後者は、デートに行くことをすでに前提にしています。デートに行かないという選択肢に注意が向きにくくなります。車のセールスにおいても、車を買うかどうかは置いといて、「色は、赤と白のどっちがいいですか?」「ナビは付けますか?」などと次々とオプションを勧めています。これは買うことが前提で話を進めることで、買った気にさせ、買いやすくさせています。それでは、子どもに宿題をさせたいお母さんは、どちらの言い方の方が子どもを宿題する気にさせそうでしょうか?「宿題しなさい」でしょうか?それとも「宿題はおやつの前にする?後にする?」でしょうか?もうみなさんはお分かりだと思います。最近の選挙では、公約を1点に絞るという手法が用いられています(ワン・イッシュー選挙)。これもまさに、「○○について賛成か反対か」という分かりやすい一大テーマに注意を向けさせて、その他の困難な政治課題には注意を向けさせないという意図がありそうです。カリスマ性の条件―(7)序列化カーモディさんは、説教をする中、ある男性を自分に引き寄せ、「今夜、あなたは神の顔を見た、そうでしょ?」「そうです、彼は神の顔を見たのです」と讃(たた)えます。そして、周りからは拍手が沸き起こります。すると、信者になったばかりのジムは自分もカーモディさんに認められたいと思い、必死になります。そして、デヴィッドたちと軍人のヒソヒソ話を聞き付け、「こいつら(軍人たち)が災いをもたらした!」「神の怒りを呼び覚ましたんだ!」と叫び、1人の軍人をカーモディさんの前に差し出すのです。このように、メンバーの格付け(序列化)はカリスマ性の条件です。賞賛されたメンバーは、仲間であるという承認欲求が満たされ、集団への忠誠心や連帯感が強まります(崇拝)。また、賞賛されていないメンバーは、賞賛するメンバーを英雄視する一方、欲求不満となります。ジムのように何とか認められるため、裏切り者を見つけ出すなど手柄を挙げようとします。この賞賛や逆の無視(放置)が気まぐれでなされることも、カリスマ性を高める要素です。そうすることで、メンバーたちはカリスマの顔色をますます伺い、この不安定な状況を解消したいと思い、言いなり(依存的)になっていきます。これは、ちょうど夫からDV(家庭内暴力)を受ける妻の心理に重なります。マインドコントロールにかかる環境因子の1つである乏しいソーシャルサポートの段落でも触れましたが、現代は、絆や連帯感が希薄になっています。それだけに、この序列化の手法に私たちが乗りやすくなっていると言えます。実際のカルト宗教集団では、すでに入信している信者たちが、入信のための見学者に「愛しています」と言い続けます。これは「愛情爆弾」と呼ばれており、口先だけと思っていても、悪い気がせず、やがて同調の心理が刺激されて、見学者は、周りの信者にとって特別な存在であると錯覚してしまうのです。そして、入信する意思をますます固めてしまうのです。これを商業的に利用していると思われる例もあります。日本ではあまり見かけないようですが、韓流スターなどの海外のアイドルは、ファンに向かって真顔で「愛しています」と言い切り(断定)、ファン心理を高めています(崇拝)。ファンクラブの特待や優待の仕組みも、この序列化の心理を巧みに利用しています。学校教育や組織の運営においても、表彰するという形で、序列化の心理は利用されています。カリスマ性の条件―(8)スケープゴートカーモディさんは、「魔物を食い止めるには?」「どこに隠れても奴らから身を守れない」「何が必要?」と人々に訴えかけます。すると、人々は一斉に「償い(贖罪)だ!」と口を揃えます。そんな中、ジムがこの異常事態の犯人として1人の軍人を差し出します。すると、カーモディさんは言葉巧みにこの軍人を「裏切り者のユダめ」と罵ります。このように、集団にとって共通の目的(敵)を見い出すこと(スケープゴート)はカリスマ性の条件です。共通の目的(敵)とは、最初は、襲ってくる怪物だけでした。やがて、カーモディさんによってすり替えられた神への償いや裏切り者を見つけ出すことへと広がっていきます。共通の目的(敵)が増えることによって、集団はますます一体化して(同調)、カーモディさんのカリスマ性もますます高まっていきます(崇拝)。また、集団のメンバーが裏切り者を咎めることは、同時に、自分が裏切り者になることを強く恐れることにもなります。原始の時代から、共同体で裏切り者になると追い出されます。それは、死をも意味していました。つまり、裏切りを恐れるのは、私たちの根源的な心理です。こうしてお互いが目を光らせて相互監視する集団心理が生まれ、ますますカーモディさんの言うことを聞くようになります。現代の学校社会もまた、この集団心理の縮図です。「いじめられたら教師や親に言いなさい」とのお決まりの呼びかけがあります。しかし、クラスにいじめがあるという事実を漏らせば、それはもはや裏切り者になります。だからこそ、傍観者はもとより、いじめ被害者は、裏切り者扱いされたくないため、教師や親にいじめの事実を言うわけがないのです。そして、その心理は、いじめ自殺へと追い込むほどなのです。教室で誰からも相手にされなくなる、自分の存在を認められなくなるという恐怖は、自分の命よりも重いととらえられてしまうのです。かつてのヒトラーが、自らのカリスマ性を高めるために、何をスケープゴートにしたのかも歴史から伺い知ることができます。表4 カーモディさんのキャラクターの二面性プラス面マイナス面信心深いカリスマ性がある独りよがり攻撃的共感性が乏しい支配的なぜカーモディさんは真の救世主になれなかったのか?―表4異常事態の当初、カーモディさんは、トイレの中で涙を流しながら神に語ります。「どうか私にこの人たちを助けさせてください」「あなたの言葉を説かせてください」「光で導かせてください」「悪人ばかりではないはずです」「あなたの赦しによって何人かは救うことができるはずです」「天国の門をくぐれるはずです」「1人でも救えたら、私の人生に意義が見いだせます」「私の役割を果たせるのです」「そしてあなたのおそばに行ける」「あなたのご意志を全うできるのです」と使命感に目覚めていきます。しかし、同時に「でも彼らのうちの多くは永遠に地獄の炎の中にいる」と言い、気に入らない女性には「私の友達は神。毎日お話してるわ」「あなたと友達になるくらいならトイレの汚物の方がマシ」と吐き捨てています。カーモディさんのキャラクター(パーソナリティ)の特徴として、信心深くカリスマ性があるのに、独りよがりで攻撃的で、相手への思いやり(共感性)が足りず、支配的であることが挙げられます。一方、世界宗教の預言者や教祖は、共感性に高く、慈愛に満ちており、人々を公平に導いています。だからこそ、その教えは何世紀にもわたり語り継がれていくのです。つまり、カリスマ性の持ち主は、そのパーソナリティによって、集団を望ましい方向にも望ましくない方向にも導いてしまうのです。私たちが「マインドコントロール」に陥らないためには?これまで、信じ込む心理のマイナス面として、マインドコントロールを詳しく掘り下げてきました。信じ込む心理は、囚われる心理(固執)でもあります。言い換えれば、それは、物事のとらえ方(認知パターン)です。それは、文化であり、価値観であり、伝統であり、信念であり、思想であり、信仰(宗教)であり、そしてマインドコントロールでもあるということです。私たちは、何らかの物事のとらえ方(認知パターン)の傾向があり、ある意味では、その環境によって長い年月をかけて多かれ少なかれ何らかの「マインドコントロール」が刷り込まれているとも言えそうです。問題は、その認知が宗教掛(が)かった独特なものになり、自分や周りが困っていないかどうかです(認知の偏り)。それでは、そうならないようにするには、どうすれば良いでしょうか?その答えのヒントは、まさにマインドコントロールの危険因子から導き出されます。まず、環境因子を考えてみましょう。閉鎖性の解決のためには、まずその環境から離れること、引き離すことです。つまり、私たちの職場に照らし合わせれば、閉鎖的な職場、特殊な職場であればあるほど、人材の入れ替わりも少なく、独特の職場の信念や文化(集団規範)が起きやすいということです。また、個々人においても、同じ職場に長くいればいるほど、その職場の文化(集団規範)に染まり、その後に他の職場に適応しづらくなります。時間的な閉鎖性のリスクが高まると言えます。対策としては、例えば、5年以上は同じ職場(部署)にい続けないようにするなどの意識を持つことです。視野狭窄への対策としては、内情をオープンにして、外部の情報を適度に入れることです。一般的には、これはジャーナリズムの役割でもあります。私たちとしては、他の部署とのかかわりや勉強会への参加を積極的に行ったり、職場に様々な人材を受け入れ、それぞれのメンバーが複数の集団をまたいでいることです。そうすることで、考え方が相対化されて、絶対的な価値観に陥りにくくなります。次に、個体因子である依存性、被暗示性、脆弱性などについて対策は、私たちが、それぞれの特性や問題点をまず自覚することです。最後に、カリスマ的な人へ対応です。例えば口達者で断定的な人には、文書化させて根拠や証拠が残るようにする取り組みが重要です。信じ込むことは私たちの本質前月号の宗教の起源の心理や、今月号のマインドコントロールの心理を通して見えてきたことは、信じ込む心理は、私たち人間の本質であるということです。私たちは、1つの信念(認知)に囚われると、簡単に操られてしまうということです。ただ、信じ込むことが良くないと言っているのではありません。大事なのは、何を信じるか、どう信じるか、そしてそれらのバランスをどうとるかということです。そのためには、主体的で多視的で俯瞰(ふかん)的な心のあり方が必要です。そして、疑ってみる心(懐疑心)や批判的思考(クリティカルシンキング)もバランスよく必要であるということです。つまりは、気付かないうちにマインドコントロールされるのではなく、気付きを高めて「セルフコントロール」することが大切であるということです。今回は、マインドコントロールをテーマに、「なぜ信じ込む心理が沸き起こるのか?」という謎の答えを探ってきました。次回も引き続き、デヴィッドたちの運命の結末を通して、そもそも「なぜ信じ込む心理があるのか?」という最も根源的な謎の答えに迫っていきます。最後まで、カーモディさんに逆らうデヴィッドたちは、果たして生き残れるのでしょうか?1)岡田尊司:マインドコントロール、文藝春秋、20122)石井裕之:カリスマ人を動かす12の方法、三笠書房、2012

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てんかん患者 発作後の運転再開時期は

 てんかん患者が、原因が明らかな誘発性発作もしくは、非誘発性発作を初めて起こしてから運転を再開できる時期に関する定量的なデータが、オーストラリア・Royal Perth HospitalのBrown JW氏らによって示された。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌オンライン版4月25日掲載の報告。 初発発作後にてんかんを再発するリスクは40~50%であり、このリスクが最も高い初発発作後早期の段階で運転を制限することは正当な指導である。しかしながら、この制限は、患者が運転する資格がないために生じる、職業的、教育的、社会的な制約とのバランスを考慮する必要がある。初発発作後の運転制限推奨期間は、事故の許容可能な相対リスク(事故リスク比:ARR)に関する社会の認識を含むさまざまな要因の影響を受け、管轄区域によっても大きく異なっている。運転制限の設定にあたり、個別化されたリスク評価や全面的なガイドラインに基づくなどのアプローチも考えられるが、どちらも発作再発リスクの正確なデータが必要となる。 本研究では、初発発作を起こした1,386例のてんかん患者を前向きに調査・解析を行った。発作の再発は、生存分析を用いて評価された。発作の再発リスクの範囲およびARRから求められる運転すべきでない期間を算出した。加えて、実際に運転中に起きた発作についても、追跡期間中、前向きに観察された。 主な結果は以下のとおり。・非誘発性発作を初めて起こした患者の運転制限期間8ヵ月の間、および原因が明らかな誘発性発作を初めて起こした患者の運転制限期間5ヵ月の間、運転中の発作リスクは、1,000人あたり1.04人、ARRは2.6であり、発作の再発リスクは、1ヵ月ごとに2.5%ずつ減少した。・発作が再発した患者のうち、月次リスクが1/1,000以下に減少した6ヵ月後に、14例(2%)が運転中に発作を再発した。

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座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか

 座りきりの生活(TV視聴、インターネット利用、読書)すべてが必ずしも、精神衛生に悪影響をもたらすわけではないことが、英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMark Hamer氏らによる調査の結果、報告された。また、TV視聴時間が長いと認知機能低下との関連がみられたが、ネット利用者では認知機能が高いこととの関連がみられたという。Medicine & Science in Sports & Exercise誌2014年4月号の掲載報告。 現代人のライフスタイルは、かなりの長時間を椅子に座って活動することで特徴づけられる。そのこと自体、健康に対してリスクをもたらす可能性はあるが、精神衛生に対する影響についてはほとんどわかっていない。  研究グループは、一般的な座りきり行動(TV視聴、インターネット利用、読書)といくつかの異なる精神衛生面との関連について調べた。具体的には、地域に住む高齢者コホートを対象とした研究「English Longitudinal Study of Ageing」から、男女6,359例について2年間追跡調査を行った。TV視聴時間、読書、インターネットの利用については、試験開始時の自己申告に基づき評価した。精神衛生については、Centre of Epidemiological Studies Depression尺度の8項目を用いて抑うつ症状を評価した。また、認知機能を評価するために記憶とことばの流暢さを神経心理学検査で測定した。 主な結果は以下のとおり。・被験者6,359例は、64.9±9.1歳であった。・TV視聴時間(6時間以上vs. 2時間未満・/日)は、抑うつ症状がより高いことと関連していた(係数:0.49、95%信頼区間[CI]:0.35~0.63)。また、全体的な認知機能が低いこととも関連していた(同:-1.16、-1.31~-1.00)。・対照的に、インターネット利用者は、抑うつ症状が低く(同:-0.58、-0.66~-0.50)、認知機能は高かった(同:1.27、1.18~1.37)。・試験開始時のすべてのタイプの座りきり行動が、追跡期間中の精神衛生面の測定値の変化と関連しているわけではなかった。・また、スコア差は持続したが、時間とともに増大することはなかった。・以上のように、座りきり行動すべてではなく、そのいくつかが精神衛生に悪影響をもたらすことが示された。・これらの関連は、対照的な環境や社会的コンテクストによって引き起こされていると考えられた。関連医療ニュース 少し歩くだけでもうつ病は予防できる うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与  担当者へのご意見箱はこちら

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英国で明らかになった外国人医師登録制度の改善点/BMJ

 英国・ダラム大学のPaul A Tiffin氏らは、PLAB(Professional and Linguistic Assessment Board)試験に合格した外国人医師(英国以外の医学校卒業生)と、ARCP(Annual Review of Competence Progression)による評価を受けた英国の医学卒業生を比較する検討を行った。PLABは、外国人医師が英国で医師登録(General Medical Council:GMCに登録)をして働くための第一関門となる試験で、言語力と臨床能力がチェックされる。ARCPは、2007年8月1日に導入された臨床研修制度の評価プログラム(英国では全医師が定期的に評価を受けることになっている)で、PLAB合格者は、臨床1年目のARCP評価をクリアしているとみなされる仕組みとなっていた。BMJ誌オンライン版2014年4月17日号掲載の報告より。英国人医師と外国人医師に対する臨床研修評価を比較 英国では2012年現在、GMCに占めるPLAB合格者医師の割合は37%(うち27%が欧州経済領域外の卒業者)とグローバル化が進んでいるという。そうしたなかで、PLAB合格者医師について、専門性を身につけるために進学する王立大学院への合格率が低いといった傾向がみられることや、GMCに対して実地医療への適合性に関する懸念が寄せられていることから、研究グループは、PLAB制度の改善点を明らかにするため、ARCPの評価成績データと関連づけて分析する観察研究を行った。 対象者は、ARCP評価を少なくとも1回受け2010~2012年にGMC登録医となった5万3,436人で、うち4万2,017人は英国の医学校卒業者、1万1,419人はPLAB制度を介して登録していた外国人医師だった。 主要アウトカムは、英国で医師として登録後の、ARCP評価がより低いか高いかの確率とした。言語力と臨床能力をいかに適正に評価できるかが課題 対象者について、外国人医師のほうが英国医学校卒業医師(以下、英国人医師)よりも、年齢が高く、男性が多い、英国での臨床経験が短く、非白人が多く、ARCPを受けた頻度が高いという傾向があった。 分析の結果、外国人医師は、英国人医師よりもARCP評価が低い傾向がみられた。その傾向は、性別、年齢、英国での臨床期間、人種、評価の免除で補正後も、維持されたままだった(オッズ比:1.63、95%信頼区間[CI]:1.30~2.06)。 しかし、外国人医師のうち、PLABパート1試験(医学的知識を評価)で12分位範囲のうち最高位(合格点よりも32点以上高い)群に属する人は、ARCP評価において、英国人医師と有意な差はみられなかった。 これらの結果から著者は、「外国人医師を登録するためのPLAB試験は、英国人医師に対する要件を満たしているとは言えないことが示された」と結論したうえで、「ARCPで明らかになった両者の臨床研修時における差をなくすためには、英語力の標準点とPLABパート2試験(14の臨床能力試験でパート1合格後3年以内に合格しなければならない)の合格点を引き上げる必要があるのかもしれない。あるいは異なるシステムを導入するという選択肢もあるだろう」とまとめている。

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膵炎リスク、インクレチン関連薬vs. SU薬/BMJ

 2型糖尿病患者における急性膵炎リスクについて、インクレチン関連薬使用者はSU薬使用者と比較して、同リスク増大と関連していなかったことが、カナダ・ジューイッシュ総合病院のJean-Luc Faillie氏らによるコホート研究の結果、報告された。2型糖尿病患者における急性膵炎の発症とインクレチン関連薬の使用については、相反する報告が、前臨床の動物試験、臨床試験、有害イベントデータベース、そして観察試験において報告されている。研究グループは、同関連を明らかにするため観察試験を行った。BMJ誌オンライン版2014年4月24日号掲載の報告より。英国GP関与データベースを用いて分析 試験は、英国内680人の一般医が関与しているClinical Practice Research Datalinkを用いて行われた。 2007年1月1日~2012年3月31日の間の、インクレチン関連薬の新規使用患者2万748例と、SU薬新規使用者5万1,712例を特定し、2013年3月31日まで追跡した。 主要評価項目は、各使用者における急性膵炎発生で、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出して評価した。モデルは、10分位範囲の高次元傾向スコア(hdPS)を用いて補正された。両薬の急性膵炎発生との関連は同程度 急性膵炎の粗罹患率は、1,000患者年当たり、インクレチン関連薬新規使用群が1.45(95%CI:0.99~2.11)、SU薬新規使用群が1.47(同:1.23~1.76)だった。 急性膵炎発生とインクレチン関連薬使用との関連は、SU薬使用者と比較して増大はみられなかった(hdPS補正後HR:1.00、95%CI:0.59~1.70)。 しかし今回の結果に関して著者は、「今回の結果は安心できるものであったが、リスクが完全に排除されたわけではない。さらなる大規模ベースの試験により、この所見について確認する必要がある」と述べている。

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血栓症と妊娠、出産の複雑な関係(コメンテーター:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(200)より-

習慣流産を繰り返す不育症では、抗リン脂質抗体の陽性者が多い。抗リン脂質抗体陽性者には血栓イベントリスクが多い。抗リン脂質抗体を介在させると、血栓イベントと不育症には関連が想定される。 不育症の病態が完全に理解されているわけではないので、不育症予防への介入は困難である。実臨床では医師の経験により低用量アスピリンが用いられる場合が多い。 本試験は複雑なプロトコールにて施行された。検証された仮説が変化したわけではないが、症例の登録基準が途中で変更されている。当初から対象とした「前年に20週未満で流産した女性」であれば低用量アスピリンの服用は出産につながる可能性が残っている。 本試験の著者が科学的に妥当な結論を下しているが、低用量アスピリンの不育症克服効果が完全に否定されたわけではない。

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ライオンに襲われた少年【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第18回

ライオンに襲われた少年ある地元の新聞紙はこう報じました。「鍵のかかっていないサーカスのオリからライオンが逃げ出し、8歳の少年を襲った。ライオンは40歳、体重は200kgあった――」 紹介する論文はその概要を報告したものです。Dabdoub CF, et al.Survival of child after lion attack. Surg Neurol Int. 2013; 4: 77.これは、サーカスショーを観に来ていた8歳の少年が、オリから飛び出したライオンに襲われたという報告です。少年は救急病院に運ばれたときGCS(Glasgow Coma Scale)5点、気道はかろうじて開通している程度で、血圧は触知できない状態でした。ヘモグロビンは5.5g/dLであり、出血性ショックの状態でした。外傷は頭部、頚部、胸部、腹部と広範囲にみられ、そのいずれもが重症でした。とくに脳への外傷は深刻で、ライオンの牙が脳実質にまで達していました。胸部に関しては、肺や大血管は無事でしたが肋骨が3本折れていました。当然ながら、少年は緊急手術を受けました。論文には術後の写真が掲載されていますが、子供を持つ親の身としては涙が出そうなくらい痛ましい姿です。しかし、少年は生還しました。驚くべきことに7ヵ月経った後、弱視以外の神経学的後遺症は残さなかったと記載されています。肉食獣の外傷についての報告は多くなく、大規模な報告としてはピューマ(クーガー)に襲われた50人の小児の論文があります(J Pediatr Surg. 1998; 33: 863-865.)。その死亡率は25%だったと報告されています。ライオンについてはまとまった文献はありませんでしたが、ピューマでさえ25%ですから、死亡率は相当なものでしょうか。小児は肉食獣に襲われやすいといわれています。この理由は、単純に子供は体が小さく、捕まえやすく食べやすいからでしょう。たとえこちらに敵意がなくとも、向こうは肉食獣です。そこに肉があれば喜んで食べるでしょう。ライオンに触ることができる機会があったとしても、できるだけ近づかないほうが無難です。動物園のライオンのオリに入れば、あっという間にズタズタにされることは間違いありません。自殺のためにライオンのオリに入った若年男性の報告があります(Int J Legal Med. 2000; 114: 101-102.)。

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診察室のかたりべ【Dr. 中島の 新・徒然草】(016)

十六の段 診察室のかたりべいつも混み合っている外来診察室ですが、つい、余談に力が入ってしまうこともあります。中島「そうすると終戦のときは15歳だったのですか?」患者「そうですねん。私は女学生やったけど天満の工場に働きにいってましてね。6月に空襲を受けたんですよ」中島「そりゃ大変ですね」患者「皆で淀川の土手を走って逃げたら機銃掃射を受けましてね」中島「女学生に機銃掃射ですか!」患者「B29やなくて、戦闘機ですよ。川は周りに建物がないから降りてきやすいんやな。そんで友達が5人死にました」中島「なんとまあ」患者「私ともう1人は泥の中に倒れこんで助かったんですけど、心配した父親が自転車で見に来たときは全滅やということで、あたり一帯立ち入り禁止になってたんです」中島「あらまあ」患者「それで私は天満から難波の自宅まで歩いて帰ったんですよ」中島「歩ける距離ちゃいますがな!」患者「夜中にドロドロの恰好で自宅に辿りついたら親が大喜びでね。てっきり一人娘が死んだと思ってたみたいです」中島「そら、喜ばれたでしょう!」患者「今でも環状線に乗ってたら電車の中から工場の煉瓦塀跡が見えるんですけど、あの時のことを思い出しては涙が出てきます」中島「70年前でもやっぱり思い出しますか」患者「そりゃそうですよ。あんな怖いことはあれへんかった。6月19日です。もし私がボケたとしても機関銃で撃たれた事だけは忘れられしまへん」この患者さん、今では曾孫も3人できて幸せに暮らしています。それにしても実体験として戦争を語ることのできる人も、少なくなってしまいましたね。※ 後でウィキペディアで調べてみると、いわゆる大阪大空襲と呼ばれるものは昭和20年6月には1、7、15、26日にあったみたいです。そうすると、この患者さんのいう6月19日は「大」のつく方の空襲ではなかったのかもしれません。

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脳卒中対応救急車の導入による効果/JAMA

 CT機器や遠隔医療接続装置などを備えた脳卒中対応救急車、通信指令係の段階でのスクリーニングなどの専門的システムの構築により、急性虚血性脳卒中に対する通報から血栓溶解療法開始までの所要時間は、有害イベントの増大なく15~25分短縮したことが報告された。ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のMartin Ebinger氏らが、6,000例超について行った試験で明らかにした。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。CTやポイント・オブ・ケア検査、遠隔医療接続を装備 研究グループはベルリンにおいて2011年5月~2013年1月にかけて、CTやポイント・オブ・ケア検査、遠隔医療接続装置などを備えた脳卒中救急対応のための救急車「Stroke Emergency Mobile」(STEMO)の導入効果について検討するオープンラベルの無作為化試験「PHANTOM-S(Prehospital Acute Neurological Treatment and Optimization of Medical care in Stroke Study)」を行った。試験期間中に設定したSTEMO導入期間と非導入期間(コントロール)について比較し、専門的救急車導入ケアシステムが、血栓溶解療法の開始遅延を減少するかを評価した。 STEMO導入時には、通信指令係の段階でアルゴリズムにより脳卒中をスクリーニングし、病院外脳卒中治療チームがケアを実行。虚血性脳卒中が確認され、禁忌症が除外された人については、ただちに血栓溶解療法が開始された。 被験者は、脳卒中による救急搬送を要すると判断されベルリンにある14の脳卒中専門施設に搬送された6,182例だった。STEMO導入期間中の被験者は、平均年齢73.9歳、男性は44.3%、コントロール期間中の被験者はそれぞれ74.3歳、45.2%だった。 主要アウトカムは、通報から血栓溶解療法を開始するまでの所要時間だった。虚血性脳卒中への血栓溶解実施率、STEMO導入期間29%、コントロール期間21% 結果、同所要時間は、STEMO導入期間中(3,213例)、およびSTEMO導入期間で実際に同システムが活用された人(1,804例)ともに、コントロール期間に比べ有意に短縮した。具体的には、コントロール期間群の平均同所要時間は76.3分に対し、STEMO導入期間群は61.4分、STEMO導入期間・活用群では51.8分と、コントロール期間群に比べそれぞれ15分、25分短縮した。 また、虚血性脳卒中に対する血栓溶解療法の実施率についても、STEMO導入期間群は29%、STEMO導入期間・活用群では33%だったのに対し、コントロール期間群は21%と有意差がみられた(いずれも、p<0.001)。 一方で、STEMO導入による脳内出血リスクの増大は認められなかった。STEMO導入期間・活用群のコントロール期間群に対する補正後オッズ比(OR)は0.42(95%信頼区間[CI]:0.18~1.03、p=0.06)だった。また、7日死亡率も減少したが、有意差はみられなかった(補正後OR:0.76、95%CI:0.31~1.82、p=0.53)。著者は、「さらなる検討を行い、臨床転帰への効果について評価することが必要だ」と述べている。

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