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白衣高血圧とは

Dr.桑島の高血圧をわかりやすく説明できるスライド「白衣高血圧」は心配ご無用 !?メモ「白衣高血圧」とは、診察室などで白衣を着た医師や看護師を前にすると、緊張したり不安を感じ、ふだんの血圧よりも高くなってしまうケースです。診察室での血圧にかかわらず、ふだんの家庭血圧の値によって安全度が決まります。監修:東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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仮面高血圧とは

Dr.桑島の高血圧をわかりやすく説明できるスライド「仮面高血圧」にご用心 !!メモ診察室で血圧を測ると正常値なのに、ふだんの生活では高血圧である状態を「仮面高血圧」といいます(白衣高血圧とは反対のケース)。診察時に見逃されやすいタイプの高血圧なので、注意が必要です。監修:東京都健康長寿医療センター顧問 桑島 巌 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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乾癬を長く患っている人は骨密度に注意

 乾癬患者と骨密度の関連を調査した結果、骨減少症/骨粗鬆症の被験者では、乾癬の罹患期間が有意に長いことが、ローマ・ラ・サピエンツァ大学のSofia D'Epiro氏らによって報告された。本調査の結果を踏まえて筆者らは、「乾癬患者、とくに長期罹患者では、より早期から骨代謝の評価が必要である」とまとめた。The Journal of Dermatology誌オンライン版2014年7月3日掲載報告。 乾癬と骨粗鬆症の発症には、全身性炎症、乾癬治療薬の服用、乾癬性関節炎による関節機能不全といったいくつかの要因が関与していると考えられている。本研究の目的は、乾癬患者の骨密度を評価し、骨減少/骨粗鬆症の有病率や乾癬病変部位、重症度(PASIスコア)、平均罹患期間、乾癬性関節炎、乾癬治療歴との相関を調査することであった。 主な結果は以下のとおり。・調査には、乾癬を有している連続患者43例が登録された。うち19例は関節変形を来していた。・乾癬の重症度はPASIスコア、CASPAR診断基準、乾癬性関節炎の確定診断のための超音波検査、罹患期間の推定により判定した。・骨密度の測定には、腰椎と大腿骨頸部の二重エネルギーX線吸収法(DEXA法)が実施された。・骨減少/骨粗鬆症の被験者では、骨密度が成人若年者の平均値と同等の被験者に比べ、有意に乾癬罹患期間が長かった(17年vs. 8.8年、p=0.04)。・ロジスティック回帰分析の結果、乾癬の平均罹患期間と骨密度の変化には明らかな関連がみられた(p=0.04)。

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日本における大腸がんの新薬開発状況

 切除不能大腸がんに対する化学療法においては、既に発売されている薬剤のHead to Headの比較試験が実施されている一方で、新たな治療薬の開発治験も進んでいる。7月17~19日に開催された第12回日本臨床腫瘍学会学術集会では、「切除不能大腸がん治療戦略の展望」をテーマとしたインターナショナルセッションが企画され、そのなかで、日本における切除不能大腸がんに対する新規薬剤の開発状況について、吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院消化管内科)が講演した。その内容を紹介する。TAS-102 日本で開発されたTAS-102(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)が今年3月に承認され、現在は日本でのみ販売されている。 本剤の国際共同第III相試験(RECOURSE試験)は、標準治療に不応・不耐の治癒切除不能進行・再発大腸がん800例を対象に、プラセボを対照として実施された。その結果、生存期間中央値はプラセボ群5.3ヵ月に対しTAS-102群で7.1ヵ月と延長し、全生存のハザード比は0.68(p<0.0001)であった。副作用は、骨髄抑制が比較的強いが、吉野氏によると発熱性好中球減少に注意すれば使いやすい薬剤という。TAS-102と他の薬剤との併用 実験モデルでは、TAS-102とイリノテカンとの併用で最も強い抗腫瘍効果が認められたが、イリノテカンの薬物強度が低く、さらなる検討が必要である。現在米国で投与スケジュールを変更した臨床試験が進行中である。 ベバシズマブとの併用レジメンの有用性を検討する多施設第Ib/II相試験(C-TASK FORSE)が、医師主導治験として吉野氏を中心に今年2月から実施されており、来年のASCOで最初の報告を予定している。nintedanib nintedanibは、VEGFR1-3、FGFR1-3、PDGFRα/β、RETをターゲットとする低分子チロシンキナーゼ阻害薬であり、現在、非小細胞肺がん、腎がん、肝がん、卵巣がんなどに対しても臨床試験が行われている。大腸がんにおいては、標準治療不応症例に対するプラセボとの比較試験(LUME Colon 1 Trial)が近々開始予定とのことである。BRAF阻害薬 大腸がんにおけるBRAF遺伝子変異陽性の割合は少ないものの非常に予後が悪い。BRAF遺伝子変異陽性大腸がんに対する治療としては、FOLFOXIRI単独またはFOLFOXIRIとベバシズマブの併用が有効であるが、副作用が強く全身状態(PS)が悪い場合は投与できない。 開発中のBRAF阻害薬のうち、悪性黒色腫に有効なvemurafenib(申請中)は、単独ではBRAF遺伝子変異陽性大腸がんに対する効果は小さく、現在、セツキシマブとイリノテカンとの併用で検討されている。また、encorafenib、dabrafenibにおいても、抗EGFR抗体(セツキシマブ、パニツムマブ)との併用や、さらにPI3Kα阻害薬、MEK阻害薬も併用するレジメンでの第II相試験が進行している。 最後に吉野氏は、自らが代表を務める多施設共同研究(GI screen 2013-01)における進捗状況を紹介した。本研究は、今後の新薬開発に役立てるため、日本人の切除不能大腸がん症例におけるKRAS、BRAF、NRAS、PIK3CAの遺伝子変異割合を検討することを目的に今年2月に開始。来年3月までに1,000例の登録を目標としているが、7月14日時点で313例に達していると報告した。

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ADHDには地域サポートが重要

 注意欠如・多動症(ADHD)に地域特性はどのような影響を及ぼすのか。米国・カリフォルニア大学のNooshin Razani氏らは、個人的および家族的要素を加味したうえで、ADHDと地域の社会的・物理的特性との関連について調査した。Journal of attention disorders誌オンライン版2014年7月15日号の報告。 2007年の全米小児健康調査データを使用した(n=64,076)。検討にあたっては、3つの地域スケールを設定した[社会的支援、設備(amenities)、秩序の乱れ(disorder)]、ロジスティックおよび順序ロジスティック回帰を用い、個人や家族の特性を調整したうえで、これらのスケールとADHDの診断および重症度との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・ADHD児は8%であった。重症度別にみると、軽度47%、中等度40%、重度13%であった。・調整モデルでは、地域サポートの低さはADHDの診断増加(OR=1.66 [1.05~2.63])や、重症度(OR=3.74 [1.71~8.15])と関連していた。地域の設備や秩序の乱れとの有意な関連は認められなかった。・親のメンタルヘルスが悪いことは、ADHDの有病率および重症度と関連していた。・地域の社会的サポートは、ADHD児やその保護者にとって重要な介入方法である可能性が示唆された。関連医療ニュース 小児ADHD、食事パターンで予防可能か ADHDの世代間伝達に関連する独立リスク因子は 抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学  担当者へのご意見箱はこちら

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妊婦への百日咳ワクチン接種は安全か/BMJ

 妊娠第3三半期の妊婦に対し百日咳ワクチンを接種しても、非接種妊婦に比べて死産のリスクは増大しないことが、英国医薬品庁(MHRA)のKatherine Donegan氏らの検討で示された。グラム陰性桿菌である百日咳菌(Bordetella pertussis)に起因する百日咳は、初期症状は比較的軽いものの、とくに3ヵ月未満の幼児に重篤で致死的な合併症を引き起こす可能性がある。米国では、市販後調査で安全性に関する懸念が払拭された2011年以降、妊婦への接種が推奨されているが、接種率は現在も低迷しており、安全性に関するエビデンスは限られたものだという。BMJ誌オンライン版2014年7月11日号掲載の報告。妊婦への接種の安全性をコホート研究で評価 研究グループは、英国における妊婦に対する百日咳ワクチン接種の安全性を評価する観察的コホート研究を実施した。年齢中央値30歳のワクチン接種妊婦と背景因子をマッチさせた非接種妊婦の転帰を比較した。 妊婦、ワクチン接種、妊娠関連有害事象のデータの収集にはClinical Practice Research Datalink(CPRD)を用いた。CPRDには英国の650以上のプライマリ・ケア関連データベースが参画し、全国の1,250万例以上の患者データが登録されている。 妊婦の有害事象は妊娠中の診療記録で同定し、子供の有害事象はCPRDの母子関連データで確認した。 主要評価項目は死産(妊娠24週以降の子宮内死亡)とした。接種後の死産率:0.19 vs. 0.23%、新生児死亡率:0.03 vs. 0.03% 30歳の妊婦2万74人が百日咳ワクチンの接種を受け、1万7,560人(87%)で接種後28日以上のフォローアップが行われた。このうち1万3,371人(76%)で在胎期間の予測が可能であり、ワクチン接種時の在胎期間中央値は31週だった。 ワクチン接種群の接種後2週以内の短期的な死産リスクは、非接種群に比べ増大していなかった(死産件数:接種群5件vs. 非接種群7.2件、率比:0.69、95%信頼区間[CI]:0.23~1.62)。 フォローアップ期間が44週以上のワクチン接種妊婦は6,185人(年齢中央値30歳、接種時の在胎期間中央値33週)であった。これら接種群の分娩までの期間は、非接種群との間に有意な差はみられなかった(全体の在胎期間中央値:40週、ハザード比:1.00、95%CI:0.97~1.02)。 ワクチン接種群における全体の死産率は0.19%(12/6,185人、出産500件当たり約1件)であり、非接種群の0.23%(42/1万8,523人)との間に有意な差は認めなかった(率比:0.85、95%CI:0.45~1.61)。 出生7日以内の新生児死亡(発生率:0.03 vs. 0.03%、率比:1.00、95%CI:0.20~4.95)、妊娠高血圧腎症/妊娠高血圧(同:0.36%vs. 0.29%、1.22、0.74~2.01)、前置胎盤(同:0.03%vs. 0.08%、0.40、0.09~1.75)、子宮内発育遅延/低出生時体重/体重<2,500g(同:2.04%vs. 1.68%、1.20、0.98~1.48)のほか、帝王切開、分娩後出血などにも、両群間に有意な差はなかった。 ワクチン接種後の母体死亡、分娩前出血、子宮破裂、胎盤早期剥離、前置血管、胎児機能不全、新生児腎不全は認めなかった。 著者は、「妊娠第3三半期のワクチン接種により、短期的および接種後の全妊娠期間を通じて、死産のリスクは増大しなかった」とまとめ、「本研究は、妊婦に対する百日咳ワクチン接種の安全性に関する初めての大規模観察試験であり、ワクチン接種に関わる医療従事者にとって有益で、ワクチン接種関連の施策の立案に資すると考えられる」と指摘している。

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週1回GLP-1アナログでは初の非劣性/Lancet

 血糖コントロール不良の2型糖尿病患者において、週1回デュラグルチド(dulaglutide、国内未承認)のHbA1c値の改善効果は1日1回リラグルチド(商品名:ビクトーザ)に劣らないことが、米国・オハイオ州立大学のKathleen M Dungan氏らが行ったAWARD-6試験で示された。両薬はいずれもGLP-1受容体作動薬であり、2型糖尿病患者において血糖コントロールを改善し、体重の減少をもたらすとともに、低血糖のリスクを低減することが報告されている。これまでに、2つの週1回投与のGLP-1作動薬(エキセナチド、アルビグルチド)とリラグルチドの直接比較試験が実施されたが、いずれの長時間作用型製剤もリラグルチドに対する非劣性は確認されていないという。Lancet誌オンライン版2014年7月11日号掲載の報告。血糖値改善効果の非劣性を無作為化試験で評価 AWARD-6試験は、メトホルミン治療中の血糖コントロール不良2型糖尿病患者に対するデュラグルチド(週1回、自己注射)とリラグルチド(1日1回、自己注射)の有用性を比較する非盲検無作為化第III相非劣性試験。 対象は、年齢18歳以上、メトホルミン(≧1,500mg/日)の投与を受け、HbA1c値7.0%(53mmol/mol)~10.0%(86mmol/mol)、BMI≦45の患者であった。参加者は、デュラグルチド1.5mgを週1回皮下注射する群またはリラグルチドを0.6mg/日、1.2mg/日、1.8mg/日へと3週間かけて漸増する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、治療終了時(26週)のHbA1c値(最小二乗平均値)のベースラインからの変化の差であった。非劣性マージンは0.4%とし、95%信頼区間(CI)の上限値が0.4%を超えない場合に非劣性と判定した。安全性は、治療終了後4週間のフォローアップを行って評価した。HbA1c値の変化の差は-0.06%、安全性、忍容性も同等 2012年6月20日~2013年11月25日までに、9ヵ国62施設から599例が登録され、デュラグルチド群に299例(平均年齢56.5歳、男性46%、平均BMI 33.5、平均罹病期間7.1年)が、リラグルチド群には300例(56.8歳、50%、33.6、7.3年)が割り付けられた。ベースラインの平均HbA1c値は両群ともに8.1%であった。両群269例ずつが治療を完遂した。 HbA1c値のベースラインからの変化は、デュラグルチド群が-1.42%(p<0.0001)、リラグルチド群は-1.36%(p<0.0001)であり、両群ともに有意な改善効果が認められた。両群間の変化の差は、-0.06%(95%CI:-0.19~0.07)であり、デュラグルチド群はリラグルチド群に対し非劣性であった(非劣性p<0.0001)。 空腹時血清グルコース値のベースラインからの変化は、デュラグルチド群が-1.93%(p<0.0001)、リラグルチド群は-1.90%(p<0.0001)といずれも有意に低下した。また、食後血漿グルコース値のベースラインからの変化は、それぞれ-2.56(p<0.0001)、-2.43(p<0.0001)であり、いずれも有意な改善が認められた。体重の変化は、-2.90kg、-3.61kgであり、リラグルチド群でより減少する傾向が認められた。 頻度の高い消化器系の有害事象として、悪心(デュラグルチド群20%vs.リラグルチド群18%、p=0.46)、下痢(12%vs. 12%、p=0.99)、嘔吐(7%vs. 8%、p=0.55)などが認められた。有害事象による治療中止はそれぞれ6%、6%であった(p=0.99)。低血糖はそれぞれ9%、6%で発現したが、患者1人当たりの年間発生率は0.34回、0.52回であった。重篤な低血糖の報告はなかった。 著者は、「デュラグルチドは、より少ない注射回数でリラグルチドと同等の血糖コントロールを達成した。週1回投与はコンプライアンスも良好と予測されるが、これについてはさらなる検討を要する」とまとめ、「本試験は週1回GLP-1受容体作動薬の1日1回リラグルチドに対する非劣性を確認した初めての研究であり、治療を決定する際の有益な情報となるだろう」と指摘している。

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DESは生命予後改善効果を持つ!?従来の説に一石(解説:野間 重孝 氏)-226

 安定型冠動脈疾患に対する冠動脈再建術の最も重要な目的は生命予後の改善であり、その目的のために心筋梗塞や不安定狭心症の発生を予防することにある。同時に、狭心症状の改善による生活の質(QOL)の向上もまた重要であることはいうまでもないが、両者は必ずしも両立するとは限らない。 冠動脈バイパス術(CABG)は内科的治療に比してQOLの改善とともに生命予後の改善が得られることが早くから証明された。1980年以前のデータについてはその後の内科的治療(optimal medical therapy; OMT)の発達により見直しの必要が迫られたが、その後に発表されたより新しい研究においてもその有効性は揺らいでいない。 一方、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)はQOLの改善と心筋梗塞を含めた、いわゆる急性冠症候群(ACS)に対する予後改善効果は証明されているものの、安定型冠動脈疾患の予後改善効果には否定的な意見が多く、これは薬物溶出ステント(DES)が主流となった現在においても変わっていなかった。 本研究は現在において最大規模のメタアナリシスであり、CABGとPCIの全死因死亡をprimary endpointとし、心筋梗塞の発生、全死亡と心筋梗塞の複合、および再血行再建術の施行をsecondary endpointとして行われた。(このようなhard endpointを用いるのはこの種の研究では盲検化が不可能であるため、関係者の判断が入る余地のないendpointを用いる必要があるからで、この分野ではスタンダードとなっている。) この研究の画期的な点は1点に集中していると考えられ、それはDESによる血行再建術に予後改善効果が期待できることを示した点である。さらに心筋梗塞の発生、再血行再建術の予防についても有効であることが示された。しかしながら、それ以外の方法によるPCIではOMTとの間で差がみられなかった。 この研究結果について評者は軽々に判断を下す立場にはない。しかしながら、本研究はこの分野の議論に大きな一石を投ずる結果となることは間違いないと思われ、今後の議論の進展を評者自身興味深く見守っていきたいと考える。

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高齢でも<7%を視野に

高齢の糖尿病患者さんも可能な範囲で HbA1c<7%を目指しましょう※(%)6049.150認知症の頻度約5倍40302010.710.911.810高齢の糖尿病患者さんの調査からHbA1cが高い人(7%以上)は、高くない人(7%未満)と比べて認知症を約5倍起こしやすいことが示されています。03.7~5.2 5.3~5.7 5.8~6.97以上HbA1c(%)※患者さんによって目標とする血糖値は異なります。管理目標は主治医とよくご相談ください。Lu Gao,et al.BMC Public Health.2008,8:54より作図Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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吐下血の出血量を過小評価したため死亡に至ったケース

消化器最終判決判例時報 1446号135-141頁概要慢性肝炎のため通院治療を受けていた43歳男性。1988年5月11日夕刻、黒褐色の嘔吐をしたとして来院して診察を受けた。担当医師は上部消化管からの出血であると診断したが、その夜は対症療法にとどめて、翌日検査・診察をしようと考えて帰宅させた。ところが翌朝吐血したため、ただちに入院して治療を受けたが、上部消化管からの大量出血によりショック状態に陥り、約17時間後に死亡した。詳細な経過患者情報43歳男性経過昭和61年5月20日初診。高血圧症、高脂血症、糖尿病、慢性肝炎と診断され、それ以来昭和63年5月7日までの間に月に7~8回の割合で通院していた。血液検査結果では、中性脂肪461、LAP 216、γ-GTP 160で、そのほかの検査値は正常であったことから、慢性アルコール性肝炎と診断していた。昭和63年5月11日19:40頃夕刻に2回吐血したため受診。この際の問診で、「先程、黒褐色の嘔吐をした。今朝午前3:00頃にも嘔吐したが、その時には血が混じっていなかった」と述べた。担当医師は上部消化管からの出血であると認識し、胃潰瘍あるいは胃がんの疑いがあると考えた(腹部の触診では圧痛なし)。そのため、出血の原因となる疾患について、その可能性が高いと判断した出血性胃炎と診療録に記載し、当夜はとりあえず対症療法にとどめて、明日詳細な検査、診察をしようと考え、強力ケベラG®、グルタチオン200mg(商品名:アトモラン)、肝臓抽出製剤(同:アデラビン9号)、幼牛血液抽出物(同:ソルコセリル)、ファモチジン(同:ガスター)、メトクロプラミド(同:プリンペラン)、ドンペリドン(同:ナウゼリン)、臭化ブトロピウム(同:コリオパン)を投与したうえ、「胃潰瘍の疑いがあり、明日検査するから来院するように」と指示して帰宅させた。5月12日07:00頃3度吐血。08:30頃タクシーで受診し、「昨夜から今朝にかけて、合計4回の吐血と下血があった」と申告。担当医師は吐き気止めであるリンゴ酸チエチルぺラジン(同:トレステン)を筋肉注射し、顔面蒼白の状態で入院した。09:45血圧120/42mmHg、脈拍数114、呼吸数24、尿糖+/-、尿蛋白-、尿潜血-、白血球数16,500、血色素量10g/dL。ただちに血管を確保し、5%キシリトール500mLにビタノイリン®、CVM、ワカデニン®、アデビラン9号®、タジン®、トラネキサム酸(同:トランサミン)を加えた1本目の点滴を開始するとともに、側管で20%キシリトール20mL、ソルコセリル®、ブスコパン®、プリンペラン®、フェジン®を投与し、筋肉注射で硫酸ネチルマイシン(同:ベクタシン)、ロメダ®を投与した。引き続いて、2本目:乳酸リンゲル500mL、3本目:5%キシリトール500mLにケベラG®を2アンプル、アトモラン®200mgを加えたもの、4本目:フィジオゾール500mL、5本目:乳酸リンゲルにタジン®、トランサミン®を加えたもの、の点滴が順次施行された。11:20頃しきりに喉の渇きを訴えるので、看護師の許しを得て、清涼飲料水2缶を飲ませた。11:30頃2回目の回診。14:00頃3回目の回診。血圧90/68mmHg。14:20頃いまだ施行中であった5本目の点滴に、セジラニドを追加した。14:30頃酸素吸入を開始(1.5L/min)。15:00頃顔面が一層蒼白になり、呼吸は粗く、胸元に玉のような汗をかいているのに手足は白く冷たくなっていた。血圧108/38mmHg。16:00頃血圧低下のため5本目の点滴に塩酸エチレフリン(同:エホチール)を追加した。17:00頃一層大量の汗をかき拭いても拭いても追いつかない程で、喉の渇きを訴え、身の置き所がないような様子であった。血圧80/--mmHg18:00頃4回目の回診をして、デキストラン500mLにセジラニド、エホチール®を加えた6本目の点滴を実施し、その後、クロルプロマジン塩酸塩(同:コントミン)、塩酸プロメタジン(同:ヒベルナ)、塩酸ぺチジン(同:オピスタン)を筋肉注射により投与し、さらにデキストランL 500mLの7本目の点滴を施行した。5月13日00:00頃看護師から容態について報告を受けたが診察なし。血圧84/32mmHg01:30頃これまで身体を動かしていたのが静かになったので、家族は容態が落ち着いたものと思った。02:00頃異常に大きな鼾をかいた後、鼻と口から出血した。看護師から容態急変の報告を受けた担当医師は人工呼吸を開始し、ジモルホラミン(同:テラプチク)、ビタカンファー®、セジラニドを筋肉注射により投与したが効果なし。02:45死亡確認(入院から17時間25分後)。当事者の主張患者側(原告)の主張吐血が上部消化管出血であると認識し得たのであるから、すみやかに内視鏡などにより出血源を検索し、止血のための治療を施すべきであり、また、出血性ショックへと移行させないために問診を尽くし、バイタルサインをチェックし、理学的所見などをも考慮して出血量を推定し、輸血の必要量を指示できるようにしておくべきであった。担当医師はこれまでに上部消化管出血患者の治療に当たった経験がなく、また、それに適切に対応する知識、技術に欠けていることを自覚していたはずであるから、このような場合、ほかの高次医療機関に転院させる義務があった。病院側(被告)の主張5月11日の訴えは、大量の出血を窺わせるものではなく、翌日の来院時の訴えも格別大量の出血を想起させるものではなかった。大量の出血は結果として判明したことであって、治療の過程でこれを発見できなかったとしてもこれを発見すべき手がかりがなかったのであるから、やむを得ない。裁判所の判断上部消化管出血は早期の的確な診断と緊急治療を要するいわゆる救急疾患の一つであるから、このような患者の治療に当たる医師には、急激に重篤化していくこともある可能性を念頭において、ただちに出血量に関して十分に注意を払ったうえで問診を行い、出血量の判定の資料を提供すべき血液検査などをする注意義務がある。上部消化管出血の患者を診察する医師には、当該患者の循環動態が安定している場合、速やかに内視鏡検査を行い、出血部位および病変の早期診断、ならびに治療方法の選択などするべき注意義務がある。上部消化管出血が疑われる患者の治療に当たる医師が内視鏡検査の技術を習得していない場合には、診察後ただちに検査および治療が可能な高次の医療機関へ移送すべき注意義務がある。本件では容態が急激に重篤化していく可能性についての認識を欠き、上記の注意義務のいずれをも怠った過失がある。約6,678万円の請求に対し、請求通りの支払い命令考察吐血の患者が来院した場合には、緊急性を要することが多いので、適切な診察、検査、診断、治療が必要なことは基本中の基本です。吐血の原因としては、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍、急性胃粘膜病変、食道および胃静脈瘤破裂、ならびにMallory-Weiss症候群などが挙げられ、出血源が明らかになったもののうち、これらが90~95%を占めています。そして、意外にも肝硬変患者の出血原因としては静脈瘤59%、胃炎8.2%、胃潰瘍5.4%、十二指腸潰瘍6.8%、その他10.2%と、必ずしも静脈瘤破裂ばかりが出血源ではないことには注意が必要です。本件の場合、担当医師が当初より上部消化管からの出血であることを認識していながら、それが急激に重篤化していく可能性のある緊急疾患であるという認識を欠いており、そのため適切な措置を講ずることができなかった点が重大な問題と判断されました。さらに後方視的ではありますが、当時の症状、バイタルサインや血液検査などの情報から、推定出血量を1,000~1,600mLと細かく推定し、輸血や緊急内視鏡を施行しなかった点を強調しています。そのため判決では、原告の要求がそのまま採用され、抗弁の余地がないミスであると判断されました。たとえ診察時に止血しており、全身状態が比較的落ち着いているようにみえても、出血量(血液検査)や、バイタルサインのチェックは最低限必要です。さらに、最近では胃内視鏡検査も外来で比較的容易にできるため、今後も裁判では消化管出血の診断および治療として「必須の検査」とみなされる可能性があります。そのため、もし緊急で内視鏡検査ができないとしたら、その対応ができる病院へ転送しなければならず、それを怠ると本件のように注意義務違反を問われる可能性があるので、注意が必要です。消化器

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当直あれこれ【Dr. 中島の 新・徒然草】(027)

二十七の段 当直あれこれ当院では当直ワーキングという会議があります。当直時間帯に起こったさまざまなトラブルに対して対策を考える会議で、当初は「もぐら叩きの会」と称して3人でやっていたのですが、徐々に人数が増えて今は十数人での会議になりました。トラブルの把握は当直日誌やアンケートをもとにして行うのですが、驚くほどいろいろなことが起こっています。現在進行形のことを述べるのは差し支えがあるので、数年前の記録から少し拾ってみましょう。採血が1回でうまくいかず、2回針を刺したことに患者さんが憤慨して、身体診察を拒否されたかかりつけの患者さんから当直医に電話相談があり、気がつくと対応に1時間もかかっていた夜間に入院となった患者さんと御家族に病状説明を行うつもりが、次々に救急車がやってきたため後回しになり、結果的に4時間も待たせることになってしまった電子カルテの動作不良で、せっかくの記載が消えてしまい、同じことを2回書くはめになった夜間休日だけ受診して、まとまった日数の処方を要求する慢性疾患の患者さんがいるなどなど。最後の例については夜間休日だけに受診する患者さんが複数いるらしく、「昼間に主治医の外来を受診してください」と説明しても、なかなか行動が改まりません。そして、このような人が1人か2人だけならまだしも、数が増えてくると、当直業務にも影響が出てしまいます。事の良し悪しより、程度の問題ですね。当直といえば、私自身も救急外来で軽症患者さんの診察を行っているときに病棟での急変に呼び出され、そちらの処置をしている間に、最初の患者さんの存在をすっかり忘れてしまっていた、という経験があります。今、思い出しても冷や汗ものです。「えらいこっちゃ!」と真っ青になって救急外来に戻った時には3時間ほど経っていたのですが、救急の先生が気を利かせて診察し、すでに帰宅させてくれていました。尻を拭いたり拭かれたり。今となっては遠い昔の話です。

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肺がんに分子標的薬の同時併用? 臨床腫瘍学会2014

 非小細胞肺がんの化学療法未治療例に対し、EGFR-TKIと抗VEGF抗体の併用がPFSを延長する可能性が、第二相試験の結果から示された。2014年7月17日~19日まで福岡市で開催された第12回日本臨床腫瘍学会において、国立がん研究センター東病院 後藤功一氏が、再発非小細胞肺がんの一次治療におけるエルロチニブとベバシズマブの併用療法の試験結果を発表した。 EGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)におけるEGFR-TKIの有効性は既に証明されているものの、EGFR-TKIを単独で用いるか併用するか、併用するならどの薬剤を用いるか、などは未だ明らかになっていない。前臨床試験では、EFGRとVGEFRの同時阻害による抗腫瘍活性の相乗効果が示唆されている。臨床試験では、第三相試験であるBeTa Lung studyで、EGFR変異陽性NSCLCの二次治療において、エルロチニブとベバシズマブの併用が、エルロチニブ単独に比べ、OSを延長する可能性を示唆している。そこで今回は、一次治療における同薬剤の併用療法を評価する、オープンラベル第二相無作為比較試験を行った。 対象患者は、化学療法未実施のステージIIIB~IVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)。2011年2月から2012年3月まで、30施設で154例の患者が登録され、エルロチニブ+ベバシズマブ群77例、エルロチニブ群77例に無作為に割り付けられた。エルロチニブの用量は150mg/日、ベバシズマブの用量は15mg/kg。3週毎にPDとなるまで投与された。 主要エンドポイントはPFS。副次的エンドポイントはOS、奏効率、安全性、QOLである。統計的な優越性の検出をHR0.7に設定し、サンプルサイズは150とした。主要エンドポイントであるPFS中央値は、・エルロチニブ+ベバシズマブ群16.0ヵ月、エルロチニブ群の9.7ヵ月と、併用群で有意なPFSの延長を認めた(HR=0.54 95%CI:0.36~0.79、P=0.0015)。副次的エンドポイントについて奏効率は、・エルロチニブ+ベバシズマブ群69%、エルロチニブ群63%と同等であったが、病勢コントロール率は、エルロチニブ+ベバシズマブ群99%、エルロチニブ群88%と併用群で有意に高かった。・奏効期間の中央値は、エルロチニブ+ベバシズマブ群13.3ヵ月、エルロチニブ群9.3ヵ月と有意に併用群で長かった。安全性については、・有害事象による治療中断は両群で同程度であった。・両群に共有する主な有害事象は、皮疹、高血圧、タンパク尿、肝機能障害であり、高血圧とタンパク尿については、併用群で有意に多かった。・グレード3の間質性肺炎は、エルロチニブ群に3例認められた。・ベバシズマブの主な投与中止理由はタンパク尿と出血イベント。中断時期の中央値はそれぞれ、329日と128日で、出血イベントについては比較的早期に発現していた。 ちなみに、OSは中央値に達していない。 エルロチニブ+ベバシズマブ群はエルロチニブ群に比較して有意にPFSを延長し、新たな有害事象を認めることはなく、毒性に関しても従来の試験と同等であった。

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ピルと筋骨格系外傷や摂食障害との関連

 米国・ウィスコンシン大学のJill M. Thein-Nissenbaum氏らは、女子高校生アスリートを対象に調査を行い、経口避妊薬(OCP)の使用者および非使用者ともに月経不順、筋骨格系の外傷の有病率は同程度であるが、摂食障害はOCP使用者に多いことを明らかにした。OCP使用者は月経があるとみなされ3主徴が見逃される恐れがあることから、著者は、OCPを使用している女子高校生における3主徴のスクリーニングでは、とくに摂食障害に注意するよう呼びかけている。Sports Health誌7・8月号の掲載報告。 女性アスリートの3主徴として、利用可能エネルギー不足、月経障害および低骨密度が指摘されている。現在、3主徴の要素と高校生の筋骨格系の外傷との関連についての情報は限られており、とくにOCP使用の影響についてはこれまで検討されていなかった。 研究グループは、女子高校生アスリートにおける摂食障害、月経不順および筋骨格系の外傷の有病率を、OCP使用者と非使用者とで比較する目的で後ろ向きコホート研究を行った。 参加者に摂食障害診断質問票(EDE-Q)を記入してもらうとともに、ウィスコンシン女子高校生アスリート健康調査(Healthy Wisconsin High School Female Athletes Survey〔HWHSFAS〕)を行い、OCP使用の有無別に解析した。  主な結果は以下のとおり。・参加者のうち、14.8%がOCPを使用していた。・OCP使用者群と非使用者群とで、月経不順と筋骨格系の外傷の有病率に差はなかった。・摂食障害の有病率は、非使用者群に比べOCP使用者群で有意に高かった。・OCP使用者群は非使用者群より、摂食障害の基準を満たすリスクが約2倍高く(オッズ比[OR]:2.47、95%信頼区間[CI]:1.20~5.09)、摂食障害傾向を満たすグローバルスコアを有するリスクは5倍を超えた(OR:5.36、95%CI:1.92~14.89)。

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認知症にスタチンは有用か

 アルツハイマー病(AD)や血管性認知症(VaD)へのスタチン治療は、比較的未開拓の領域である。先行文献において、ADではβ-アミロイド(Aβ)が細胞外プラークとして沈着し、Aβ生成はコレステロールに依存することが確認されている。また、VaDの病因に高コレステロール血症が関与していることも知られている。そこで、英国・Belfast Health and Social Care TrustのBernadette McGuinness氏らは、認知症に対するスタチン治療の有益性について、システマティックレビューとメタ解析により検討を行った。Cochrane Database Systematic Review誌オンライン版2014年7月8日号の掲載報告。 研究グループは、スタチンがコレステロールを低下させることから、ADやVaDの治療において有効であることが期待できるとして、臨床的有効性および安全性を評価した。今回の検討では、ADおよびVaDの治療におけるスタチンの効果が、コレステロール値、ApoE遺伝子型、認知レベルに左右されるかどうかを評価した。2014年1月20日時点で、ALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement GroupのSpecialized Register、Cochrane Library、MEDLINEなどを検索。認知症と診断された人に6ヵ月以上スタチンを投与していた二重盲検無作為化臨床比較試験を適格とした。2名の著者がそれぞれデータの抽出と評価を行い、研究グループは必要に応じてデータをプールしメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・検索で特定したのは、4試験(被験者1,154例、年齢50~90歳)であった。著者らは、全試験のバイアスリスクは低いと評価した。・全被験者が、標準的な診断基準によりADがほぼ確実もしく疑いがあった(possible/ probable AD)。また、これらは、ほとんどの被験者でコリンエステラーゼ阻害因子に基づき確認されていた。・全試験が、ADAS-Cogのベースライン時からの変化を主要アウトカムとしていた。プールデータ解析の結果、ADAS-Cogへのスタチンによる有意な有益性は認められなかった(平均差:-0.26、95%信頼区間[CI]:-1.05~0.52、p=0.51)。・また、全試験で、MMSEのベースライン時からの変化が報告されていた。プールデータ解析の結果、MMSEへのスタチンによる有意な有益性はみられなかった(平均差:-0.32、95%CI:-0.71~0.06、p=0.10)。・治療関連の有害事象は、3試験で報告されていた。プールデータ解析の結果、スタチンとプラセボで有意差はみられなかった(オッズ比:1.09、95%CI:0.58~2.06、p=0.78)。・スタチンとプラセボとの間に、行動、全体的機能やADLに有意差はみられなかった。・VaDの治療におけるスタチンの役割について評価した試験は見つからなかった。関連医療ニュース スタチン使用で認知症入院リスク減少 アルツハイマーの予防にスタチン 認知症予防効果を降圧薬に期待してよいのか

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valve-in-valve法の1年生存率/JAMA

 生体弁機能不全でvalve-in-valve法による経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)を受けた人の、1年生存率は83.2%であることが判明した。また、狭窄のある人は1年死亡リスクが約3倍に、小型弁を使用した人は同リスクが約2倍に、それぞれ増大することも示された。カナダ、セント・ポールズ病院のDanny Dvir氏らが国際レジストリのデータを分析して明らかにした。valve-in-valve法は侵襲性が低いアプローチ法として知られるが、施術後の生存に関する総合的な評価は、これまで行われていなかった。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告より。植え込み弁は小型・大型が各3割、中型が4割 研究グループは2007~2013年5月にかけて、55施設(欧州、北米、オーストラリア、ニュージーランド、中東)において生体弁機能不全でvalve-in-valve法によるTAVIを受け登録された459例を追跡し、生存率を調べた。 植え込み弁の大きさは、小型(21mm以下、29.7%)、中型(21mm超~25mm未満、39.3%)、大型(25mm以上、31%)で、バルーン拡張型弁と自己拡張型弁の両方が含まれていた。 被験者の平均年齢は77.6(SD:9.8)歳、56%が男性だった。 主要評価項目は、生存率、脳卒中発症率、NYHA心機能分類とした。1年生存率、狭窄は約77%、逆流は91% 生体弁機能不全の原因は、狭窄が181例(39.4%)、逆流が139例(30.3%)、複合が139例(30.3%)だった。 狭窄が認められた人で植え込み弁のサイズが小さい人の割合は37%であり、逆流例20.9%、複合例26.6%に比べ、有意に高率だった(p=0.005)。 術後1ヵ月間に死亡した人は35例(7.6%)で、重篤な脳卒中の発症は8例(1.7%)であり、生存者のうちNYHA心機能分類でクラスIまたはIIの人は313例(92.6%)だった。 Kaplan-Meier法による1年生存率は、全体では83.2%(95%信頼区間:80.8~84.7%、死亡62例、生存228例)だった。 狭窄の認められた人の1年生存率は76.6%(同:68.9~83.1%、死亡34例、生存86例)で、逆流例91.2%(同:85.7~96.7%、死亡10例、生存76例)、複合例83.9%(同:76.8~91%、死亡18例、生存66例)に比べ、有意に低率だった(p=0.01)。 また植え込み弁のサイズが小型の人も、1年生存率が74.8%(同:66.2~83.4%、死亡27例、生存57例)と、中型の81.8%(同:75.3~88.3%、死亡26例、生存92例)、大型の93.3%(同:85.7~96.7%、死亡7例、生存73例)に比べ、有意に高率だった(p=0.001)。 1年死亡に関する小型弁のハザード比は2.04(同:1.14~3.67、p=0.02)、ベースライン時の狭窄の同ハザード比は3.07(同:1.33~7.08、p=0.008)だった。

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乾癬へのセクキヌマブの有効性/NEJM

 中等症~重症の局面型乾癬に対し、新規開発中のインターロイキン-17A阻害薬セクキヌマブ(secukinumab、国内承認申請中)を投与することで、12週間後に症状が75%以上改善した人は約7割に上ることが示された。カナダ・ダルハウジー大学のRichard G. Langley氏らが、2件の第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験、「ERASURE」と「FIXTURE」の結果、報告したもので、著者は、「中等症~重症の局面型乾癬に対し、セクキヌマブは有効であることが示された」とまとめている。NEJM誌オンライン版2014年7月9日号掲載の報告より。12週間後のPASI 75の割合を比較 ERASURE(Efficacy of Response and Safety of Two Fixed Secukinumab Regimens in Psoriasis)試験では、中等症~重症の局面型乾癬の患者738例を無作為に3群に分け、それぞれセクキヌマブを300mg、150mgまたはプラセボ(5週間は週1回、その後は4週ごと)をそれぞれ投与した。FIXTURE(Full Year Investigative Examination of Secukinumab vs. Etanercept Using Two Dosing Regimens to Determine Efficacy in Psoriasis)試験では、1,306例を無作為に4群に分け、セクキヌマブ300mg、150mg、プラセボと、エタネルセプト(50mg、12週間は週2回、その後は週1回)をそれぞれ投与した。 主要評価項目は、PASI(psoriasis area-and-severity index)スコアがベースライン時から75%以上改善(PASI 75)した人と、5ポイント修正IGA(investigator’s global assessment、研究者による皮膚症状の重症度の包括的な評価尺度)のスコアが0(寛解)または1(ほぼ寛解)の割合だった。PASI 75達成患者、セクキヌマブ群7~8割、エタネルセプト群4割 結果、12週間後にPASI 75だった患者の割合は、セクキヌマブ群がプラセボ群、エタネルセプト群よりも有意に高率だった。具体的には、ERASURE試験では、セクキヌマブ300mg群が81.6%、同150mg群が71.6%に対し、プラセボ群が4.5%だった。FIXTURE試験では、セクキヌマブ300mg群が77.1%、150mg群が67.0%に対し、エタネルセプト群44.0%、プラセボ群4.9%だった(両試験ともセクキヌマブ群vs. 比較群のp<0.001)。 また、修正IGAスコアが0または1の人の割合も、セクキヌマブ群でプラセボ群やエタネルセプト群より有意に高率だった。各試験の結果は、ERASURE試験では、セクキヌマブ300mg群が65.3%、同150mg群が51.2%、プラセボ群は2.4%だった。FIXTURE試験では、セクキヌマブ300mg群が62.5%、150mg群が51.1%、エタネルセプト群が27.2%、プラセボ群が2.8%だった(同p

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第27回 出生前診断の伝達ミスの悲劇 その時メディアは!?

■今回のテーマのポイント1.児の死亡慰謝料を請求するために「遺伝子異常であることを理由として人工妊娠中絶を選択する権利」が争われることとなった2.本判決は、羊水検査結果の誤報告により先天性異常を有する子どもの出生に対し、心の準備やその養育環境の準備をする機会を奪われたことに問題があったとしている3.メディアと医療、司法との相互理解も重要である■事件のサマリ原告子どもの母親X1および父親X2被告A病院争点説明義務違反結果原告勝訴、それぞれに500万円ずつ(合計1,000万円)の損害賠償事件の概要41歳女性(X1)。平成23年2月、X1は妊娠したことからA診療所を受診しました。同年3月15日、超音波検査を行ったところ、NT (nuchal translucency: 胎児の首の後ろの皮下の黒く抜けて見える部分)の肥厚が認められたことから、児の先天異常を疑い、主治医Aより羊水検査の説明がなされました。X1は自身が高齢であることも考慮して、4月14日(妊娠17週)、羊水検査を受けることにしました。X1の検査結果報告書には、分析所見として「染色体異常が認められました。また、9番染色体に逆位を検出しました。これは表現型とは無関係な正常変異と考えます」と記載され、その後ろに21番染色体が3本存在し、胎児がダウン症児であることを示す分析図が添付されていました。しかし、A医師は、上記報告書を通読しなかったため、X1に対し、「羊水検査の結果はダウン症に関して陰性である。また、9番染色体は逆位を検出したがこれは正常変異といって丸顔、角顔といった個人差の特徴の範囲であるから何も心配はいらない」と伝えました。なお、その時点でX1は妊娠20週でした。X1は、その後の検診では、A医師より胎児が小さめではあるが正常範囲であり、とくに問題はないと伝えられていました。ところが、9月1日の検診の際、A医師より羊水過少があり、胎児が弱っていることから他院に転院し、出産するよう勧められました。X1は、同日B病院に救急搬送され、同病院にて緊急帝王切開術が行われました。出生した児の呼吸機能は十分ではなく、自力排便もできない状態であったため、B病院の医師が、A診療所のカルテを確認したところ、児がダウン症であることを示す羊水検査結果が見つかったことから、同医師よりX1および夫であるX2に対し、その旨が伝えられました。児は、ダウン症児の約10%で見られる一過性骨髄異常増殖症(TAM)を合併し、その後、TAMに伴う播種性血管内凝固症候群を併発し、最終的には肝不全により、同年12月16日に死亡しました。これに対し、X1およびX2は、A医師が、検査結果報告を誤って伝えたために原告X1は中絶の機会を奪われてダウン症児を出産し、同児は出生後短期間のうちにダウン症に伴うさまざまな疾患を原因として死亡するに至ったと主張して、被告Aらに対し、不法行為ないし診療契約の債務不履行に基づき、約3,500万円の損害が発生したとして、支払いを求める訴訟を提起しました。事件の判決●争点1(被告らの注意義務違反行為と児に関する損害との間の相当因果関係の有無)について羊水検査は、胎児の染色体異常の有無等を確定的に判断することを目的として行われるものであり、その検査結果が判明する時点で人工妊娠中絶が可能となる時期に実施され、また、羊水検査の結果、胎児に染色体異常があると判断された場合には、母体保護法所定の人工妊娠中絶許容要件を弾力的に解釈することなどにより、少なからず人工妊娠中絶が行われている社会的な実態があることが認められる。しかし、羊水検査の結果から胎児がダウン症である可能性が高いことが判明した場合に人工妊娠中絶を行うか、あるいは人工妊娠中絶をせずに同児を出産するかの判断が、親となるべき者の社会的・経済的環境、家族の状況、家族計画等の諸般の事情を前提としつつも、倫理的道徳的煩悶を伴う極めて困難な決断であることは、事柄の性質上明らかというべきである。すなわち、この問題は、極めて高度に個人的な事情や価値観を踏まえた決断に関わるものであって、傾向等による検討にはなじまないといえる。そうすると、少なからず人工妊娠中絶が行われている社会的な実態があるとしても、このことから当然に、羊水検査結果の誤報告と児の出生との間の相当因果関係の存在を肯定することはできない。原告らは、本人尋問時には、それぞれ羊水検査の結果に異常があった場合には妊娠継続をあきらめようと考えていた旨供述している。しかし、他方で、証拠によれば、原告らは、羊水検査は人工妊娠中絶のためだけに行われるものではなく、両親がその結果を知った上で最も良いと思われる選択をするための検査であると捉えていること、そして、原告らは、羊水検査を受ける前、胎児に染色体異常があった場合を想定し、育てていけるのかどうかについて経済面を含めた家庭事情を考慮して話し合ったが、簡単に結論には至らなかったことが認められ、原告らにおいても羊水検査の結果に異常があった場合に直ちに人工妊娠中絶を選択するとまでは考えていなかったと理解される。羊水検査により胎児がダウン症である可能性が高いことが判明した場合において人工妊娠中絶を行うか出産するかの判断は 極めて高度に個人的な事情や価値観を踏まえた決断に関わるものであること、原告らにとってもその決断は容易なものではなかったと理解されることを踏まえると、法的判断としては、被告らの注意義務違反行為がなければ原告らが人工妊娠中絶を選択し児が出生しなかったと評価することはできないというほかない。結局、被告らの注意義務違反行為と児の出生との間に、相当因果関係があるということはできない。●争点2(原告らの損害額)について原告らの選択や準備の機会を奪われたことなどによる慰謝料 それぞれ500万円原告らは、生まれてくる子どもに先天性異常があるかどうかを調べることを主目的として羊水検査を受けたのであり、子どもの両親である原告らにとって、生まれてくる子どもが健常児であるかどうかは、今後の家族設計をする上で最大の関心事である。また、被告らが、羊水検査の結果を正確に告知していれば、原告らは、中絶を選択するか、又は中絶しないことを選択した場合には、先天性異常を有する子どもの出生に対する心の準備やその養育環境の準備などもできたはずである。原告らは、被告Aの羊水検査結果の誤報告により、このような機会を奪われたといえる。そして、前提事実に加え、証拠によれば、原告らは、児が出生した当初、児の状態が被告の検査結果と大きく異なるものであったため、現状を受入れることができず、児の養育についても考えることができない状態であったこと、このような状態にあったにもかかわらず、我が子として生を受けた児が重篤な症状に苦しみ、遂には死亡するという事実経過に向き合うことを余儀なくされたことが認められる。原告らは、被告の診断により一度は胎児に先天性異常がないものと信じていたところ、児の出生直後に初めて児がダウン症児であることを知ったばかりか、重篤な症状に苦しみ短期間のうちに死亡する姿を目の当たりにしたのであり、原告らが受けた精神的衝撃は非常に大きなものであったと考えられる。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(函館地判平成26年6月5日)ポイント解説●なぜ「遺伝子異常であることを理由として人工妊娠中絶を選択する権利」が争われたのか今回は、最近世間を騒がせた羊水検査の事案を紹介します。筆者もマスコミ報道で本事件を知りました(表1)。■表1 医院側は争う姿勢 出生前診断説明ミス訴訟(共同通信社 13/07/05)北海道函館市の産婦人科医院で2011年、出生前診断の結果を誤って説明され、出産するか人工妊娠中絶をするかの選択権を奪われたなどとして、赤ちゃんの両親が医院を経営する医療法人と院長に1千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が4日、函館地裁であり、医院側は争う姿勢を示した。医院は「Aクリニック」で、訴状によると、胎児の染色体異常を調べる羊水検査でダウン症の陽性反応が出ていたが、院長が母親に「陰性だった」と伝えた。生まれた赤ちゃんはダウン症と診断され、生後3カ月半で死亡した。医院側は説明ミスを認める一方、両親側が侵害されたと主張する「出産するか人工妊娠中絶をするかの選択権」については「権利の存在を認めるべきかどうかが、まず大問題。存在を認める前提での議論には到底同意できない」などと訴えた。報道で目を引いたのは、「遺伝子異常であることを理由として人工妊娠中絶を選択する権利」が法律上保護されるかを争っているとした点です。わが国の法律上、(業務上堕胎及び同致死傷)「刑法第214条 医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させたときは、三月以上五年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させたときは、六月以上七年以下の懲役に処する」とあるように、人工妊娠中絶は、たとえ医師が行ったとしても、原則として違法とされています。例外的に人工妊娠中絶が許容されるのは、母体保護法に定められた要件を満たした場合のみであり、その要件に遺伝子異常であることは記されていません。 (医師の認定による人工妊娠中絶)「母体保護法第14条 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。一 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの二 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」したがって、遺伝子異常であることを理由として人工妊娠中絶をすることは法律上認められていませんので、「遺伝子異常であることを理由として人工妊娠中絶を選択する権利」も当然に認められないと考えられます。ではなぜ、このような訴訟が起きたのでしょうか。そもそも本事案は、医療機関側のミスが明白であり、通常、示談で終了する事案です。実際、本事案においてY診療所は、ミスを認めて児のB病院での入院費用を支払っており、それに加え見舞金として50万円、香典として10万円を支払っています。本事案において両者に争いが生まれたのは、損害との間の因果関係です。すなわち、医師が誤って報告した結果、どのような損害が発生したか(表2)ということが争われたのです。■表2 原告らが主張する損害およびその価額ア X1の入通院慰謝料 31万1,800円イ 原告らの中絶の機会を奪われたことなどによる慰謝料それぞれ500万円ウ 原告らが相続した児の傷害慰謝料 165万4,500円エ 原告らが相続した児の死亡慰謝料 2,000万円オ 弁護士費用 316万1,630円カ 損害合計額(上記アからオまでの合計額から、被告らの債務不履行ないし不法行為がなければ実施していたはずの人工妊娠中絶費用である35万円を控除したもの)3,477万7,930円児は、ダウン症の合併症により死亡したのであり、医師の誤報告によって死亡したわけではありません。したがって、普通に考えると医師の誤報告と児の死亡との間に因果関係はないということになります。そこで原告は、「遺伝子異常であることを理由として人工妊娠中絶を選択する権利」を間に挟むことで、「誤報告により人工妊娠中絶ができなくなり、その結果、児が出生し、合併症により死亡した」としたのです。●裁判所の判断と判決文の記載の難しさ本判決を受けての報道記事は下記のような記載でした(表3)。一読すると、裁判所は「遺伝子異常であることを理由として人工妊娠中絶を選択する権利」を認めたかのように読めます。■表3 出生前診断誤って告知、賠償命令 医院側に1千万円 函館地裁(2014/06/05 共同通信)北海道函館市の産婦人科医院「Aクリニック」で2011年、院長が胎児の出生前診断結果を誤って説明し、両親が人工中絶の選択権を奪われたなどとして、医院を経営する医療法人と院長に計3千477万円の損害賠償を求めた訴訟で、函館地裁(鈴木尚久裁判長)は5日、医院側に計1千万円の賠償を命じた。判決理由で鈴木裁判長は「正確に結果を告知していれば中絶を選択するか、中絶を選択しない場合、心の準備や養育環境の準備ができた。誤った告知で両親はこうした機会を奪われた」と指摘した。しかし、本判決を読めばわかるとおり、積極的に「遺伝子異常であることを理由として人工妊娠中絶を選択する権利」を認めたわけではなく、現在のわが国の母体保護法の運用として、「経済的理由」を弾力的に解釈しているという現実を尊重し、正面から「遺伝子異常であることを理由として人工妊娠中絶を選択する権利」を否定することをしなかっただけなのです。2000年代前半に生じた司法の厳格な判断により、萎縮医療が生じたことは記憶に新しいところです。本事案においても、裁判所は、判決において「遺伝子異常であることを理由として人工妊娠中絶を選択する権利」を否定してしまうことの影響を考慮し、このような判決文になったものと考えられます。本判決は、このような配慮のもと書かれたものと考えられますが、残念ながら報道では誤解を生じかねないような切り取られ方になってしまいました。医療と司法の相互理解も重要ですが、それに加え、メディアと医療、司法との相互理解も重要であるといえます。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)函館地判平成26年6月5日

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Vol. 2 No. 3 肺高血圧症とは 肺高血圧症の発症機序に関する最新知見と臨床分類

中村 一文 氏岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学はじめに肺高血圧症の発症機序に関する肺循環生理の3つの特徴を述べたあと、肺動脈内腔の狭窄を引き起こす3つの発症機序について概説する。また、receptor for advanced glycation endo-products(RAGE)の関与など最新の知見についても説明する。さらに、ニース会議における肺高血圧症の臨床分類の従来との変更点を簡単に説明し、最後に3系統の薬剤を使用したあとにわかった最近の話題を述べる。肺循環の生理と肺高血圧1. 低圧系・低抵抗系かつコンプライアンスが大きい肺循環系は体循環系と比べ低血圧系であり、安静時肺動脈圧の正常値は収縮期圧20〜30mmHg、平均圧10〜15mmHg程度である。肺血管抵抗は、全身血管抵抗の約1/5~1/6と低い。肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension: PAH)の診断を行う場合には、安静時に平均肺動脈圧25mmHg以上で肺動脈楔入圧が15mmHg以下と定義されている。さらに、肺循環系の特徴はコンプライアンスが大きいことである。運動など肺血流量の増大時は、肺血管は容易に伸展し、受動的な拡張(distension)が生じる。また、それまで血流のなかった血管に再疎通(recruitment)が生じる。このように肺血管床は予備血管床が多いので、肺動脈に器質的狭窄が起こってきたとき、有効肺血管床が1/3以下に減少するまで安静時の肺動脈圧の上昇はみられないと考えられている1)。したがって、肺高血圧はカテーテルにて診断された時点で病像はかなり進んでいるということを認識して、治療にあたる必要がある。2. 低酸素性肺血管攣縮肺胞換気量の低下などにより肺胞気酸素分圧が低下すると、その肺胞領域を灌流する細小動脈に血管収縮が生じ、血流が減少する。これは低酸素性肺血管攣縮(hypoxic pulmonary vasoconstriction: HPV)といわれ、換気のよい肺胞により多くの血液が流れるようにする自己調節機能である。この肺血管収縮は、低酸素を伴う肺疾患などの病気においては肺高血圧の原因の1つになる。したがって、低酸素を予防するため、肺高血圧治療の一般的ケアとして酸素が用いられる。3. 生理活性物質による肺循環の調節血管内皮細胞から産生される血管拡張因子であるnitric oxide(NO)とprostaglandin I2(PGI2)、さらに血管収縮因子であるエンドセリンは、血管平滑筋に作用してそれぞれ血管を弛緩・収縮させる。NOならびにそのシグナル伝達物質であるcGMPの分解を抑制するホスホジエステラーゼ5(PDE-5)阻害薬、そしてPGI2は、肺高血圧の治療に応用されている。また、血管収縮因子であるエンドセリン受容体の拮抗薬も肺高血圧の治療に使用されている。肺動脈性肺高血圧症の発症機序PAHの病態の主体は肺動脈内腔の狭窄で、主に3つの要因により生じる。1つは血管内皮細胞および平滑筋細胞などの過剰増殖とアポトーシス抵抗性による血管リモデリング、2つ目は血管拡張因子と血管収縮因子のアンバランスによる血管収縮、3つ目は凝固系の異常による病変部での血栓形成である。以上の結果、肺血管抵抗が上昇し、肺動脈圧の上昇や右心不全を引き起こす。前述の肺循環生理の破綻がそこにはある。1. 血管リモデリング診断時に行われる急性血管拡張試験で陽性例が少ないこと、薬剤治療(PGI2、エンドセリン受容体拮抗薬、PDE-5阻害薬)により速やかには改善しないこと、叢状病変(plexiform lesion)には異常増殖性・アポトーシス抵抗性・増殖因子に対する異常反応などの性質を持つ内皮細胞が認められることから、細胞の腫瘍性増殖による血管リモデリングがPAHの主要な原因と考えられている(cancer paradigm)2)。【血管内皮細胞の異常増殖とパラクリン作用】叢状病変の形成には、内皮細胞の異常な増殖が関与する。PAHの血管内皮細胞は単一性増殖(monoclonal proliferation)、すなわち腫瘍性増殖を示す。PAHの血管内皮細胞はFGF2などを過剰に発現しており、そのパラクリン作用が肺動脈平滑筋細胞の増殖を促す。【平滑筋細胞の過剰増殖】肺動脈は本来非筋性の径20~30μmの細動脈(arteriole)レベルまで筋層が発達し(muscularization of arteriole)、内膜や中膜の肥厚により狭窄・閉塞を示す。走査型電子顕微鏡で見ると毛細血管に至るまでに一部動脈が閉塞し、枯れ枝状になっている(本誌p.10図を参照)3, 4)。PAH肺動脈平滑筋細胞におけるbone morphogenetic protein(BMP)シグナル異常が、細胞の異常増殖に関与している。肺高血圧のない対照者由来の肺動脈平滑筋細胞では、BMPリガンド刺激は平滑筋細胞の増殖を抑制するのに対し、PAH肺動脈平滑筋細胞ではこの抑制効果が欠如している。このBMPによる増殖抑制効果の低下は、BMP2型受容体(BMPR2)遺伝子異常の有無にかかわらず認められる。血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor:PDGF)刺激への過剰反応も認められる。PAH肺動脈平滑筋細胞において、PDGF刺激による増殖が、肺高血圧のない対照者のものより亢進している5, 6)。PDGF受容体アンタゴニストのイマチ二ブは、PAH肺動脈平滑筋細胞の増殖抑制作用を有する6)。イマチニブとプラセボを比較した第Ⅲ相臨床試験(IMPRES study)では、6分間歩行距離が有意に増加し(primary endpoint)、PVRが有意に減少したが、残念ながら副作用発現や治療継続困難な例が多く、臨床応用は困難となっている7)。【平滑筋細胞のアポトーシス抵抗性】PAH患者の肺組織ではproapoptotic/antiapoptotic遺伝子の比が減少しており、PAH患者の肺動脈平滑筋細胞はアポトーシス抵抗性が亢進している8)。また、正常または二次性肺高血圧の肺動脈平滑筋細胞では、BMP-2,-7によりアポトーシスが誘導されるが、PAH肺動脈平滑筋細胞では誘導されない。このアポトーシス抵抗性の機序の1つとして、電位依存性カリウムチャネル(Kvチャネル)電流の低下が考えられている。細胞内カリウム(K)イオン濃度の増加によりカスパーゼ活性が抑制され、アポトーシス抵抗性となる9)。他の機序としてアポトーシス抑制蛋白であるsurvivinの発現亢進も認める。高用量のPGI2療法は臨床上有効であり10)、肺動脈平滑筋細胞にFasリガンドのupregulateを介しアポトーシスを引き起こす(本誌p.11 図を参照)11)。【PAH平滑筋細胞におけるRAGEの関与】終末糖化産物受容体(RAGE)はイムノグロブリンスーパーファミリーに属する膜貫通型の蛋白で、終末糖化産物(advanced glycation endo-products: AGE)のほか、免疫系細胞から分泌されるS100蛋白などが結合する。PAH患者の肺動脈平滑筋細胞ではRAGEの発現が亢進している12)。それはSTAT3の活性化、BMPR2とPPARγの減少につながり、過剰増殖とアポトーシス抵抗性を引き起こしている。モノクロタリンとSugen誘発性PAHモデルラットにおいて、siRNAにてRAGEの発現を抑制したところ、肺動脈圧の減少効果が認められ、RAGEは今後の治療標的として注目されている。糖尿病治療では、初期からの厳格な血糖管理が、長期にわたり血管合併症に関して抑制的に作用する遺産効果(legacy effects)があるといわれている。この効果にAGE/RAGEの初期からの長期にわたる抑制が関与すると考えられている。肺高血圧治療に「legacy effectsは存在するのか?」さらに「それにRAGEは関与するのか?」、興味がつきないところである。【CTEPH細胞】慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の器質化血栓から単離した細胞(CTEPH細胞)は増殖能が高く、PDGF受容体の発現が増加しており、正常平滑筋細胞とは異なる性質を持つ。OgawaらはPDGFにより増殖が亢進し、ストア作動性カルシウム流入が亢進することなどを報告している13)。この細胞の特性を明らかにすることはCTEPHの病変進行の機序の解明につながると期待されている。2. 血管収縮PAHでは血管拡張因子と血管収縮因子のアンバランスもある。血管拡張につながる内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現低下と、血管収縮につながるエンドセリン-1の発現亢進がみられる。さらにPGI2 合成酵素の発現低下によるPGI2の低下も認められる14)。原子間力顕微鏡を用いて、肺動脈平滑筋細胞の弾性率を検討したところ、コントロール状態(=無刺激時)の弾性率はPAH肺動脈平滑筋細胞と肺高血圧のない対照者の肺動脈平滑筋細胞間で差はなかったが、NOに対する反応をみると、対照者の細胞では弾性率が低下するのに対し、PAH細胞では弾性率に変化が認められなかった(本誌p.12図を参照)15)。すなわち、PAH肺動脈平滑筋細胞は生体内の血管弛緩物質であるNOに対して反応しにくい細胞であると考えられる。3. 血栓形成PAH患者の内皮においては、血小板の凝集につながるトロンボキサンA2が増加し、抗凝集につながるプロスタサイクリン(PGI2)の減少を認める。肺高血圧症の臨床分類2013年2月、ニースにおいて第5回肺高血圧症ワールドシンポジウムが開催された。そこで提唱された分類は、2008年のDana Point分類と大きな違いはなかったが、新生児遷延性肺高血圧症は第1群の亜型に、溶血性貧血は第5群に移動となっている(表)。表 肺高血圧症の臨床分類(ニース会議2013)画像を拡大する最近の話題現在使用されているPGI2(とその誘導体)、PDE-5阻害薬、エンドセリン受容体拮抗薬は、血管拡張作用のみならず肺動脈平滑筋細胞の増殖抑制作用も有する。また、高用量のPGI2は肺動脈平滑筋細胞にアポトーシスも引き起こす11)。このような薬剤を使用されている状況下で肺移植を受けた62名の患者の肺動脈病理が最近報告された16)。PAHの肺動脈では内膜と中膜の肥厚を認めたが、内膜の肥厚が優性であった。血管周囲の炎症細胞浸潤も著しかった。叢状病変もよく認められたが、PGI2治療を受けていない人の方が少なかった。この結果から、現状の3系統の薬剤治療にて、中膜平滑筋の増殖は抑制できうるが、内膜の肥厚と叢状病変は抑えきれないことがわかる。また炎症細胞浸潤が病態の進行に関与していることも示唆される。残るこれらの病変の機序の解明とそれらを標的とした治療法の開発が期待される。文献1)国枝武義. 「肺高血圧症の概念, 病態, 治療体制の確立に向けて」基調講演. Ther Res 2005; 26 :2012-2021.2)Rai PR et al. The cancer paradigm of severe pulmonary arterial hypertension. Am J Respir Crit Care Med 2008; 178: 558-564.3)Miura A et al. Three-dimensional structure of pulmonary capillary vessels in patients with pulmonary hypertension. Circulation 2010;121: 2151-2153.4)Miura A et al. Different sizes of centrilobular ground-glass opacities in chest high-resolution computed tomography of patients with pulmonary veno-occlusive disease and patients with pulmonary capillary hemangiomatosis. Cardiovasc Pathol 2013; 22: 287-293.5)Ogawa A et al. Prednisolone inhibits proliferation of cultured pulmonary artery smooth muscle cells of patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Circulation 2005; 112: 1806-1812.6)Nakamura K et al. Pro-apoptotic effects of imatinib on PDGFstimulated pulmonary artery smooth muscle cells from patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Int J Cardiol 2012; 159: 100-106.7)Hoeper MM et al. Imatinib mesylate as add-on therapy for pulmonary arterial hypertension: results of the randomized IMPRES study. Circulation 2013; 127: 1128-1138.8)Geraci MW et al. Gene expression patterns in the lungs of patients with primary pulmonary hypertension: a gene microarray analysis. Circ Res 2001; 88: 555-562.9)Remillard CV et al. Activation of K+ channels: an essential pathway in programmed cell death. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2004; 286: L49-67.10)Akagi S et al. Marked hemodynamic improvements by high-dose epoprostenol therapy in patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Circ J 2010; 74: 2200-2205.11)Akagi S et al. Prostaglandin I2 induces apoptosis via upregulation of Fas ligand in pulmonary artery smooth muscle cells from patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Int J Cardiol 2013; 165: 499-505.12)Meloche J et al. Critical role for the advanced glycation end-products receptor in pulmonary arterial hypertension etiology. 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