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双極性障害の自殺予防、どうすべきか

 双極性障害は自殺企図および自殺死リスクの増加と関連している。国際双極性障害学会(ISBD)では、双極性障害における自殺企図・自殺死に関する疫学、神経生物学および薬物治療に関して現存の文献を検討し、タスクフォース報告書としてまとめた。その中で筆頭著者のカナダ・トロント大学のAyal Schaffer氏らは、推定自殺率が過去の報告よりも低かったことを報告した。そのほか、最も多い自殺の方法や全体的なリスクなどを明らかにしたうえで、「こうした理解が、双極性障害における自殺予防に対する認識の高まりや、より有効な治療法の開発につながる」と述べ、「リスク低減や治療進展のために、遺伝学的知見の再現研究や治療オプションの、より信頼できる前向きデータが必要である」と指摘している。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年7月16日号の掲載報告。 著者らは、1980年1月1日~2014年5月30日までの双極性障害患者における自殺企図または自殺死に関する論文を対象に、システマティックレビューを行った。対象とした研究は、双極性障害における自殺企図または自殺死の発生率、特徴、遺伝学的/非遺伝学的生物研究、双極性障害に特化した薬物療法の論文などで、自殺率について加重統合解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害における統合自殺率は、164/10万人年(95%信頼区間 :5~324)であった。・性別に特化した自殺率データにより、男女比は1.7対1と算出された。・双極性障害患者は全自殺の3.4~14%を占めていた。方法としては服薬自殺、首つり自殺が最も多かった。・疫学研究の報告によると、双極性障害患者の23~26%に自殺企図が認められ、臨床サンプルにおいてより高率であった。・双極性障害では自殺企図および自殺死における遺伝学的関連が多く認められるが、それを再現する研究はほとんど行われていなかった。・リチウムあるいは抗けいれん薬を用いた治療データにより、自殺企図および自殺死の予防効果が強く示唆された。ただし、自殺に対する相対的な効果の確定にはさらなるデータが必要である。・抗精神病薬あるいは抗うつ薬を用いた治療の、自殺予防効果の可能性に関するデータは限定的なものであった。関連医療ニュース 双極性障害の自殺、どの程度わかっているのか 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か  担当者へのご意見箱はこちら

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Stage IIIA/N2のNSCLC、術前化学放射線療法は有用か/Lancet

 Stage IIIA/N2の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療では、術前の化学療法に放射線療法を併用しても、さらなるベネフィットは得られないことが、スイス・Kantonsspital WinterthurのMiklos Pless氏らSAKK Lung Cancer Project Groupの検討で示された。局所進行Stage III病変は治癒の達成が可能な最も進行したNSCLCであるが、最終的に患者の60%以上ががんで死亡する。Stage IIIA/N2の標準治療は同時併用化学放射線療法と手術+化学療法で、後者については術後または術前化学療法+手術が、手術単独よりも生存期間において優れることが示されているが、術前化学放射線療法+手術の第III相試験はこれまで行われていなかった。Lancet誌オンライン版2015年8月11日号掲載の報告より。術前放射線療法の逐次的追加の有用性を評価 研究グループは、術前放射線療法の追加により局所病変の奏効率や完全切除率が改善することで、無イベント生存期間(EFS)が延長し、全生存期間(OS)の延長の可能性もあるとの仮説を立て、これを検証するために無作為化第III相試験を行った(Swiss State Secretariat for Education, Research and Innovation[SERI]などの助成による)。 対象は、年齢18~75歳、T1~3N2M0、Stage IIIA/N2の局所進行NSCLCであり、全身状態が良好(ECOG PS:0、1)で、主要臓器機能が正常な患者であった。 被験者は、術前化学療法(シスプラチン100mg/m2+ドセタキセル85mg/m2、3週ごと)を3サイクル施行後に、術前放射線療法(総線量44Gy、22分割、3週間)を行う群(化学放射線療法群)、または同一レジメンの術前化学療法のみを行う群(化学療法単独群)に無作為に割り付けられた。術前化学放射線療法群は終了後21~28日に、術前化学療法単独群は21日に手術が予定された。 主要評価項目はEFS(割り付け時から再発、進行、2次がん、死亡のうち最初のイベント発生までの期間)とし、intention-to-treat解析を行った。 2001~2012年までに、スイス、ドイツ、セルビアの23施設に232例が登録され、化学放射線療法群に117例(年齢中央値60.0歳、女性33%、PS0 71%、喫煙者91%)が、化学療法単独群には115例(59.0歳、33%、69%、96%)が割り付けられた。フォローアップ期間中央値は52.4ヵ月だった。 本試験は、3回目の中間解析(イベント発生数134件)の結果を踏まえ、独立データ監視委員会の勧告により無効中止となった。奏効率は優れたが、EFSとOSに差なし 化学療法の完遂率は、化学放射線療法群が92%(108/117例)、化学療法単独群は90%(103/115例)であり、比較的高かった。化学放射線療法群の16%(19/117例)が放射線療法を開始できなかったが、予定線量の完遂率は96%(94/98例)だった。 化学療法を受けた患者では毒性作用が高頻度にみられ、Grade 3/4の発現率は化学放射線療法群が45%(49/110例)、化学療法単独群は60%(73/121例)であった。しかし、治療関連有害事象で化学療法が永続的に中止となった患者はそれぞれ4%(5/117例)、6%(7/115例)のみであった。放射線誘発性のGrade 3の嚥下障害が7%(7/98例)に認められた。 抗腫瘍効果は、化学放射線療法群で完全奏効(CR)が4例(3%)、部分奏効(PR)が67例(57%)にみられ、客観的奏効率は61%であったのに対し、化学療法単独群ではCRが2例(2%)、PRが48例(42%)で客観的奏効率は44%であり、両群間に有意な差が認められた(p=0.012)。 手術は、化学放射線療法群が85%(99/117例)、化学療法単独群は82%(94/115例)で行われた。完全切除率は両群間に有意な差はなく(p=0.06)、病理学的完全奏効(16 vs. 12%)やリンパ節転移のdownstaging(N2からN1/N0へ)(64 vs. 53%)も同等であった。術後30日以内に、化学療法単独群の3例が死亡した。 EFS中央値は、化学放射線療法群が12.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.7~22.9)、化学療法単独群は11.6ヵ月(95%CI:8.4~15.2)であり、両群間に差を認めなかった(ハザード比[HR]:1.1、95%CI:0.8~1.4、p=0.67)。また、OS中央値も、化学放射線療法群が37.1ヵ月(95%CI:22.6~50.0)、化学療法単独群は26.2ヵ月(95%CI:19.9~52.1)と、両群間に差はなかった(HR:1.0、95%CI:0.7~1.4)。 著者は、「Stage IIIA/N2 NSCLCに対する術前化学療法+手術はきわめて良好な予後をもたらし、術前放射線療法を追加してもそれ以上のベネフィットは得られなかった」とまとめ、「これまでの知見も考慮すると、放射線療法と手術のいずれか1つの局所治療と化学療法の組み合わせは、Stage IIIA/N2 NSCLCの患者に施行可能であり、標準治療とみなすべきと考えられる」と指摘している。

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周術期の音楽が術後の疼痛・不安を軽減/Lancet

 成人患者の手術後の疼痛や不安感の軽減を支援する手段として、音楽が有効であることが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のJenny Hole氏らの検討で明らかとなった。医療における音楽の使用の歴史は長く、19世紀半ばにはフローレンス・ナイチンゲールが入院患者の回復を目的に導入しており、周術期の患者支援としては1914年にEvan Kane氏が初めて報告した。音楽は、施行が簡便で失敗がほとんどなく、非侵襲的で安全かつ安価な介入法であるが、その有用性についてはこれまでに包括的なレビューがいくつかあるものの、メタ解析は行われていないという。Lancet誌2015年8月12日号掲載の報告。種々の対照と比較した73件の無作為化試験を解析 研究グループは、術後の回復における音楽の有効性を検討した無作為化対照比較試験の論文を系統的にレビューし、メタ解析を行った(研究助成なし)。 対象は、手術を受けた成人患者の術後の回復に関して、周術期の音楽による介入と、標準的なケアまたは薬物以外の介入(マッサージ、安静、リラクゼーションなど)を比較した試験とした。中枢神経系や頭頸部の手術は除外し(聴覚障害の可能性があるため)、英語以外の論文も可とした。 関連文献の検索には4つの医学関連データベースを用いた。2人の研究者が試験の適格性を評価し、別個にデータの抽出を行った。メタ解析にはReview Manager(version 5.2)を用いた。ランダム効果モデルで参加者や介入法の異質性を調整し、アウトカムの測定法の違いを調整するために標準化平均差(SMD)を算出した。 質的な統合解析は日本の試験を含む73試験で行われ、メタ解析はこのうち72試験で実施された。各試験の参加者は20~458例までの幅があり、手術手技は内視鏡による小手術から移植手術までさまざまで、ほとんどが待機的手術の試験であった。全身麻酔下でも有効、患者満足度が向上、施設で工夫も可 選曲は患者または研究者が行っていた。患者だけが聴く場合はヘッドホンや音楽枕(音楽の再生機能がある枕)を使用し、医療者も聴けるようにスピーカーを用いた試験もあった。介入時期は術前、術中、術後のほか、これらを組み合わせた試験もあった。 介入は覚醒下または麻酔下に行われ、音楽の再生時間は数分のものから一定時間を数日間にわたり繰り返す場合もあった。比較対照はさまざまで、通常のケアのほか、無音のヘッドホン装着、ホワイトノイズ、平静な床上安静などが含まれた。 メタ解析の結果、音楽は対照に比べ、術後の疼痛(SMD:-0.77、95%信頼区間[CI]:-0.99~-0.56)、不安感(-0.68、-0.95~-0.41)、鎮痛薬の使用頻度(-0.37、-0.54~-0.20)を有意に改善した。 疼痛と鎮痛薬の使用は、患者自身が選んだ音楽のほうが、患者の選択ではない場合よりも良好で、不安はむしろ患者が選んでいない音楽ほうが良好な傾向がみられたが、これらの差はいずれも小さかった。 また、音楽による介入の時期は、疼痛、不安、鎮痛薬の使用のいずれにおいても、術前が最も効果が高く、次いで術中、術後の順であったが、これらも差は大きくなかった。 一方、術中の音楽が患者の回復に及ぼす効果は、全身麻酔を用いない場合(疼痛:-1.05、-1.45~-0.64、不安感:-0.91、-1.33~-0.48、鎮痛薬の使用:-0.58、-1.05~-0.11)のほうが、全身麻酔を行った場合(-0.49、-0.74~-0.25、-0.48、-0.91~-0.05、-0.26、-0.44~-0.07)よりも優れたが、全身麻酔下の改善効果も対照に比べ有意に良好だった。 さらに、音楽は、対照に比べ患者満足度を有意に向上させた(1.09、0.51~1.68)。入院期間には差を認めなかった(-0.11、-0.35~0.12)が、入院期間の評価を行った試験は少なかった。また、音楽による介入が感染症や創傷治癒、医療費に及ぼす影響を評価した試験はなかった。 著者は、「音楽は術後の疼痛や不安感からの回復に有効であり、介入の時期や方法は個々の施設や医療チームの状況に合わせて変えてよいと考えられる」とまとめ、「実際に臨床の現場に導入するには、著作権や知的財産の問題などの障壁があり調査を要するが、個別の手術では患者向けの情報冊子や施設のガイドラインで患者に音楽を聴くよう薦めてよいと考えられる」と指摘している。

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骨粗鬆症の検査は何歳がベスト

検査は、いつ受ければいいですか?【骨粗鬆症】女性は50歳を過ぎたら、男性は70歳を過ぎたら、総合病院や整形外科クリニックで、骨密度検査を受けましょう!また、女性は、自治体の節目検診を上手に利用しましょう!!監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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Vol. 4 No. 1 HFpEF駆出率の保たれた心不全に対する診断と治療を考える

山本 一博 氏鳥取大学医学部病態情報内科HFpEFとは左室駆出率が保持された心不全(HFpEF:heart failure with preserved ejection fraction)という概念が定着してきたのはこの10年程度と日が浅く、いまだ全容は明らかとなっていない。疫学調査の結果から明らかにされている特徴は、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF:heart failure with reduced ejection fraction)と比較して高齢者と女性の占める割合が高いことである。地域住民を対象とした調査のなかで心不全患者のEFの分布をみると二峰性を示し、2つの峰の間にある“谷”に当たる位置のEFの値は、HFrEFとHFpEFを臨床的に分けているEFのカットオフポイントにあたる1)。このような結果をみるとHFrEFとHFpEFは異なる病態として扱うべきと考えられる。HFpEFの診断HFpEF診断の基本は心不全であることの臨床診断左室駆出率が保持されているが、左室拡張機能障害が認められるである。1. 心不全の臨床診断心不全に伴う自覚症状や他覚所見には、心不全に特異的なものがない。現在のところ血中Bタイプナトリウム利尿ペプチド(BNPないしNT-proBNP)の濃度が上昇している場合は、心不全に基づく症状や所見の可能性が高いと判断することになる。この基準値であるが、BNPでは100pg/mL、NT-proBNPであれば400pg/mLが目安になると思われる。2. 左室流入血流速波形を用いた拡張機能評価に関する誤解以前より左室流入血流速波形が拡張機能の指標として用いられてきたが、ここに大きな認識の誤りがある。左室駆出率が低下している症例においてE/Aは左室充満圧と正比例しE波の減衰時間(DT)は左室充満圧と負の相関を示すことから2)、拡張機能障害のために二次的に生じている左室充満圧上昇の検出を通じて間接的に左室拡張機能障害の評価に左室流入血流速波形は用いうる。一方、HFpEFのように左室駆出率が保持されている症例では、E/AやDTは左室充満圧と相関しない2)。つまり、左室流入血流速波形をワンポイントで計測しても、拡張機能障害のために二次的に起きてくる左室充満圧上昇の有無を判断することは不可能である。では、左室流入血流速波形のみを用いて直接的に拡張機能を評価できるか? 答えは「NO」である。E/Aの低下は拡張機能障害を表すかのようにいわれているが、これを裏づけるデータはほとんどない。1980年代にKitabatakeらが心疾患患者においてE/Aの低下やDTの延長が認められることを報告し3)、その後、左室拡張機能障害、特に弛緩障害が起きるとE/Aが低下しDTが短縮するという研究結果が報告されたこともあり、E/Aの低下とDTの延長を認めれば左室弛緩障害を有していると判断できると信じ込まれてきた。確かに左室弛緩障害が起きるとE/Aは低下しDTは延長するとはいえるが、E/Aが低下しDTが延長していれば弛緩障害が存在するとはいえない。これまでに行われてきた多くの臨床研究の結果をみると、E/Aと左室弛緩評価のゴールドスタンダードである時定数Tauとの間には相関を認めないとする報告がほとんどである。最近わが国で集められた臨床データをみても、E/Aが低下している症例であってもTauは異常値ではない症例が少なくないことが示されている4)。3. 左室駆出率が保持された患者における拡張機能評価これについては、確立した指標がない。現段階で受け入れられている、左室充満圧上昇の検出に用いうる指標としてパルスドプラ法で記録する左室流入血流速波形のE波と、組織ドプラ法で記録する急速流入期の僧帽弁輪部運動のピーク速度e’の比(E/e’)の上昇肺静脈血流速波形および左室流入血流速波形の心房収縮期波の幅の差の増加左房径/容積の増加E波とe’波の開始時間の差であるTE-e’、連続波ドプラにおいて左室流入血流速波形と左室流出路波形を同時記録して求める等容性弛緩時間IVRTの比(IVRT/TE-e’)の低下Valsalva法により急速前負荷軽減を行った際のE/Aの過大な低下などが挙げられるが、いずれの指標も単独で用いうるほどの信頼性はない。また、心エコー図検査は安静時にデータ収集を行っているので、これらを用いて診断できるのは病期がある程度進行し安静時から左房圧が上昇している患者のみである。安静時に左房圧は上昇しておらず、労作時に拡張機能障害により急激な左房圧上昇を来すために運動耐容能が低下している患者も少なくなく(図1)、このような患者を診断するには左室拡張機能(主に左室弛緩とスティフネス)を直接的に評価する必要がある。図1 労作時の左室拡張末期容積および拡張末期圧の変化のシェーマ画像を拡大する左室弛緩を直接的に評価しうる指標としてe’が挙げられる。e’は左室弛緩障害により減高し、簡便に記録できるので臨床的にも有用性が高い。また、弛緩障害はe’波の開始を遅らせるため、E波の開始とe’波の開始の時間差であるTE-e’もTauと相関すると報告されている。左房容積は左房圧と相関をするので、純粋に拡張機能だけを反映しているとはいえないが、左室拡張機能障害による慢性的な左房負荷を反映して左房が拡大することから、拡張機能評価における左房容積は糖尿病評価におけるHbA1cのような位置づけにあるとも考えられている5)。American Society of Echocardiographyから出されているガイドラインにおいて、拡張機能障害の有無を検出するfirst lineの指標として用いられているのはe’と左房容積である6)。一方、HFpEF発症には左室弛緩障害以上に左室スティフネス亢進が寄与しており、その評価が重要であると考えているが、確立した非侵襲的評価法がない。われわれは拡張期の左室壁心外膜面の動きに着目した7)。線形弾性理論に基づくと、“やわらかい”物質と“硬い”物質に圧を加えた場合、圧を加えた面の反対面の動きが前者に比べ後者では大となる。この法則を左室自由壁の拡張期の動きに当てはめ(図2)、かつ簡便化した定量的指標がであり、心筋スティフネス係数と有意な負の相関関係にある。DWS低値は糖尿病患者においてHFpEF発症の独立した危険因子であること8)、HFpEF患者においてDWSは、年齢、性、E/e’、左室駆出率、左室重量係数、肺動脈圧、血中BNP濃度とは独立した予後規定因子であることも明らかにした9)。ただし、まだ広く受け入れられている指標ではないので、今後の検討が必要である。間接的に左室拡張機能障害の存在を示唆する形態的な異常所見が左室肥大である。ただし、HFpEF症例の60%では左室肥大は存在しないので、左室肥大が存在しないからといって拡張機能障害を否定することはできない。図2 「やわらかい」左室自由壁と「硬い」左室自由壁のM-モード画像を拡大するHFpEFの治療基礎疾患として高血圧を有する患者では血圧コントロールが必須である。虚血性心疾患患者では、虚血が自覚症状の原因と判断されれば血行再建を行う。心房細動で心室レートが過剰に亢進している場合には、これを抑える薬剤を用いる。このような基礎疾患に対する治療ないし対症療法を除き、HFpEFに特異的な治療として有効性が確立しているものは現段階ではない。1. 利尿薬HFpEFの自覚症状に体液貯留が関与している場合は、自覚症状軽減を目的として、つまり代表的な対症療法として利尿薬を用いる。利尿薬の選択については、わが国で実施したJ-MELODIC試験の結果を考慮すると、短時間作用型のフロセミドよりも長時間作用型のアゾセミドを選択するほうが好ましい10)。利尿薬は、現在認識されているように単に自覚症状を軽減することだけを目的として使用する薬剤なのか否かを検討する余地がある。心不全入院歴がなく、かつ心不全症状を認めない患者において利尿薬を中断すると、1年以内に再開せざるをえなくなる患者が少なくない11)。われわれの検討において、HFpEF患者を多く含むクリニカルシナリオ1の病態を呈する急性心不全は冬季発症が多く(本誌p.17図を参照)、冬季に発症が増える危険因子はループ利尿薬を服用していないことであるという結果が導かれた12)。心不全増悪のほとんどは心拍出量の低下ではなくうっ血によるものであり、その原因となる左室充満圧上昇はある程度進行しなければ臨床所見として捉えることができない13)。したがって、現在のように症状を基準として利尿薬の投与を中止した場合、まだ左室充満圧が上昇している状況、つまり心不全発症リスクが十分に低下していない状況での利尿薬中止に至る。心不全の増悪を繰り返すことが、結果的に病態の悪化を招くことは広く知られているところであり、このような病態の“揺れ”を招かない心不全コントロールを行うには、安易な利尿薬の中止は避けるべきかもしれない。2. レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の阻害これまでの介入試験の結果に基づき、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の阻害はHFpEFには有効性が期待できないと結論づけられているが、果たしてその結論を安易に受け入れてよいものであろうか?アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)はHFpEFに対して無効であるという結果を提示したI-PRESERVE試験のサブ解析は、投与開始前のNT-proBNP値が低い患者ではARBは有用であることを示唆している14)。I-PRESERVE試験より軽症の患者を多く含むCHARM-Preserved試験では、ARBは心不全悪化による入院リスクを有意に低下させている15)。PEP-CHF試験では追跡1年経過後に多くの症例が割付治療から逸脱していたため90%の症例が割付治療を行っていた割付後1年目の時点での解析を行うと、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)投与群で1次エンドポイント発生率は低下傾向を認め、心不全入院は有意に減少し、NYHA心不全機能分類および6分間歩行も有意に改善した16)。さらに最近発表された大規模観察研究では、ACEIないしARBの服用はHFpEFの予後改善に結びつくとの結果が示されている17)。アルドステロンの作用を抑制するミネラロコルチコイド受容体拮抗薬のHFpEFにおける有用性を検討したTOPCAT試験は2014年に結果が発表された18)。スピロノラクトンは設定された1次エンドポイント(心血管死、突然死、心不全入院)の低下をもたらさなかったが、心不全入院は有意に減少させている。TOPCAT試験の対象患者もNYHAⅡ度の比較的軽症の患者が多い。以上の介入試験の主論文の結論からは、ARB、ACEI、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬はHFpEFに無効という意見が導かれるが、日常診療においてHFpEF患者の抱える大きな問題の1つが高い再入院率であることなども念頭においたうえでこのようなサブ解析の結果を眺めると、これらの薬剤に効果を期待できる患者群が存在すると推察すべきではないかと考える。3. β遮断薬HFrEF治療で有用性が確立しているβ遮断薬のHFpEFにおける効果を検討した介入試験はほとんど行われていなかったが、わが国で実施したJ-DHF試験の結果を2013年に発表した。カルベジロール投与群と非投与群の比較ではイベント発生率に差異を認めなかったが、カルベジロール群をカルベジロール投与量中間値の7.5mg/日で分けて検討したところ、7.5mg/日より大の投与群では心血管死ないし心血管系の原因による入院という複合エンドポイント発生率を有意に低下させていた(本誌p.18図を参照)19)。この結論はDobreらの観察研究から導かれた結論とも一致しており20)、現在進行中のβ-PRESERVE試験の結果が待たれる。4. 非心臓因子に着目した薬物治療HFpEFの重症化には非心臓因子も関与しており、その点に焦点をあてる治療法の有用性にも期待がかかる。しかしこれまでのところ、肺血管抵抗低下作用のあるphosphodiesterase-5阻害薬のシルデナフィル、貧血改善目的で使用されるエリスロポエチンには有用性が確認されなかった。おわりに以上、HFpEFの診断と治療について概説した。治療法については、ARBとneprilysin阻害薬の作用を有するLCZ696、イバブラジンなどの効果を検討する臨床試験が進行中であり、それらの結果に期待したい。文献1)Dunlay SM et al. Longitudinal changes in ejection fraction in heart failure patients with preserved and reduced ejection fraction. Circ Heart Fail 2012; 5: 720-726.2)Yamamoto K et al. Determination of left ventricular filling pressure by Doppler echocardiography in patients with coronary artery disease: critical role of left ventricular systolic function. J Am Coll Cardiol 1997; 30: 1819-1826.3)Kitabatake A et al. Transmitral blood flow reflecting diastolic behavior of the left ventricle in health and disease--a study by pulsed Doppler technique. Jpn Circ J 1982; 46: 92-102.4)Yamada S et al. Limitation of echocardiographic indexes for the accurate estimation of left ventricular relaxation and filling pressure: interim results of SMAP, a multicenter study in Japan (in Japanese). Jpn J Med Ultrasonics 2012; 39: 449-456.5)Douglas PS. The left atrium: a biomarker of chronic diastolic dysfunction and cardiovascular disease risk. J Am Coll Cardiol 2003; 42: 1206-1207.6)Nagueh SF et al. Recommendations for the evaluation of left ventricular diastolic function by echocardiography. J Am Soc Echocardiogr 2009; 22: 107-133.7)Takeda Y et al. Noninvasive assessment of wall distensibility with the evaluation of diastolic epicardial movement. J Card Fail 2009; 15: 68-77.8)Takeda Y et al. Competing risks of heart failure with preserved ejection fraction in diabetic patients. Eur J Heart Fail 2011; 13: 664-669.9)Ohtani T et al. Diastolic stiffness as assessed by diastolic wall strain is associated with adverse remodelling and poor outcomes in heart failure with preserved ejection fraction. Eur Heart J 2012; 33: 1742-1749.10)Masuyama T et al. Superiority of long-acting to short-acting loop diuretics in the treatment of congestive heart failure. Circ J 2012; 76: 833-842.11)Walma EP et al. Withdrawal of long-term diuretic medication in elderly patients: a double blind randomised trial. BMJ 1997; 315: 464-468.12)Hirai M et al. Clinical scenario 1 is associated with winter onset of acute heart failure. Circ J 2015; 79: 129-135.13)Gheorghiade M et al. Assessing and grading congestion in acute heart failure: a scientific statement from the acute heart failure committee of the heart failure association of the European Society of Cardiology and endorsed by the European Society of Intensive Care Medicine. Eur J Heart Fail 2010; 12: 423-433.14)Anand IS et al. Prognostic value of baseline plasma amino-terminal pro-brain natriuretic peptide and its interactions with irbesartan treatment effects in patients with heart failure and preserved ejection fraction: findings from the I-PRESERVE trial. Circ Heart Fail 2011; 4:569-577.15)Yusuf S et al. Effects of candesartan in patients with chronic heart failure and preserved left-ventricular ejection fraction: the CHARMPreserved Trial. Lancet 2003; 362: 777-781.16)Cleland JGF et al. The perindopril in elderly people with chronic heart failure (PEP-CHF) study. Eur Heart J 2006; 27: 2338-2345.17)Lund LH et al. Association between use of renin-angiotensin system antagonists and mortality in patients with heart failure and preserved ejection fraction. JAMA 2012; 308: 2108-2117.18)Pitt B et al. Spironolactone for heart failure with preserved ejection fraction. N Engl J Med 2014; 370: 1383-1392.19)Yamamoto K et al. Effects of carvedilol on heart failure with preserved ejection fraction: the Japanese Diastolic Heart Failure Study (J-DHF). Eur J Heart Fail 2013; 15: 110-118.20)Dobre D et al. Prescription of beta-blockers in patients with advanced heart failure and preserved left-ventricular ejection fraction. Clinical implications and survival. Eur J Heart Fail 2007; 9: 280-286.

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日本人医師からのエアメール

医学のボーダレス化は今後ますます加速していく。それに伴い、そのような状況を踏まえ、海外で活躍している臨床医の生の声を紹介し、現地の診療事情、キャリア形成術などを紹介する。侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~臨床留学通信 from Boston臨床留学通信 from NY空手家心臓外科医のドイツ見聞録空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅循環器内科 米国臨床留学記侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~白井 敬祐 ( しらい けいすけ ) 氏臨床留学通信 from Boston工野 俊樹 ( くの としき ) 氏臨床留学通信 from NY工野 俊樹 ( くの としき ) 氏空手家心臓外科医のドイツ見聞録安 健太 ( あん けんた ) 氏※終了しました。空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅安 健太 ( あん けんた ) 氏循環器内科 米国臨床留学記河田 宏 ( かわた ひろ ) 氏※終了しました。

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オオアリクイに殺された男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第49回

オオアリクイに殺された男性 Wikipediaより使用 「オオアリクイ」(写真)と聞くと、私のような30代のオッサンは『ドラゴンクエスト3』を思い出すのですが、いかがでしょう。え? そんなゲーム知らない? たしか、オオアリクイは序盤のほうで出てくるモンスターだったような気がします。アリアハン大陸西側によく出没します。ハイハイ、そんなことはどうでもいいですね。 Haddad V Jr, et al. Human death caused by a giant anteater (Myrmecophaga tridactyla) in Brazil. Wilderness Environ Med. 2014;25:446-449. この論文はオオアリクイに襲われた2人の不幸な親子について報告したケースシリーズです。そのうち親のほうは死亡しています。オオアリクイは本来人間に対して攻撃的な態度は取らないそうですが、視力が極端に弱いため、危険を感じたときは前脚の鋭い鉤爪で防衛行動に出るらしいです。まるで目隠しされた切り裂きジャック。どうやらこの論文の犠牲者は、親子で狩りをしていたようです。一緒に連れて行った狩猟犬がワンワンとオオアリクイを追い詰めたときに、この惨劇は起こりました。もともとオオアリクイを仕留めるために猟銃を撃つ予定だったのでしょうか、しかし誤射でかわいい愛犬に当たってしまうのがコワかったのでしょう、なかなか放銃できませんでした。そのためいっそのことオオアリクイをナイフで仕留めてやろうと考えましたが、そうこうしているうちにオオアリクイにつかまってしまいました。鋭い鉤爪が彼の鼠径部に食い込みました。息子がオオアリクイからどうにか父親をひっぺはがしたとき、彼の鼠径部からは大量に出血がみられたそうです。これが致命傷となりました。父親は出血性ショックで亡くなりました。皆さんも、オオアリクイを見かけたときには鉤爪に注意してください。『ドラゴンクエスト3』のように「たたかう」ではなく、できれば「にげる」を選択してください。インデックスページへ戻る

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第3回 つかみバッチリ!プレゼン開始とイントロダクション

「つかみ」がなぜ重要か画像を拡大するプレゼン成功の鍵の9割を握るのが「つかみ」―プレゼンの開始からイントロダクションまでだ。なぜか? それは、聴衆のテンションは基本的に低いものであり、それでもまだ少し集中力が高いのがプレゼン開始時だからである(右図)。ここで聴衆の気持ちを狙い撃ちにしなければ、あとは低いテンションによって聞き流されてしまう。今回はプレゼンの文字通り「つかみどころ」を公開しよう。聴衆の気持ちをつかむ方法(1)―自分の問題だと思ってもらうつかみで大事なのは、「今からお話しする内容が自分自身に関わる問題だ」と聴衆に思ってもらうことだ。誰でも自分のことなら真面目に話を聴くものだ。そのためにはまず、誰(どういった知識レベル、バックグラウンドの人)が聴衆なのかを知らなければならない。同じ学会発表でも、若手中心か、専門家中心か、などで話すテーマは微妙に変わってくるべきだ。そして、そのテーマが聴衆のどういった問題・関心事と関係するかを考え、そこから話を始めるとよい。たとえば、英語プレゼンの講義を私がするとすれば、「皆さんの中で英語プレゼンを経験した方はおられますか?」と聴衆に直接尋ねて話題に引っ張り込むこともあれば、「英語プレゼンって、われわれ日本人にはやっぱり難しいですよね」と語りかけて間接的に共感を得ることもある。話の最初に「何があなたの問題か」を提示するのだ。聴衆の気持ちをつかむ方法(2)―すり鉢状に話題に引き込む画像を拡大するイントロダクションでは、(1)で示した「あなたの問題」からすり鉢状に本題に絞り込んでいく。「これがあなたの問題だ」「なぜそれが問題か」「どうすれば解決できるか」「だから私はこういう研究をしてみた」といった具合にテーマを絞る。実は、ここで前回解説した「魔法の7行ルール」でイイタイコトをはっきりさせる技術が効いてくる。話がどこに向かうか話し手自身が自覚しなければ、結局このような効果的なイントロダクションができないからだ。上手なつかみと、一貫した話の方向性があれば、聴衆はあなたの話にグイグイ引きつけられていくだろう。次回は、聴衆を中だるみさせないメソッド・リザルトの提示の仕方を解説する予定です。講師紹介

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拡大基準ドナーからの腎移植、長期生着要因は?/BMJ

 フランス・パリ第5大学のOlivier Aubert氏らは、拡大基準ドナー(extended criteria donor:ECD)腎移植の長期アウトカムを評価し、予後を規定する主要因を明らかにする前向き住民ベースコホート試験を行った。その結果、移植7年後の移植片の生着率はECD移植レシピエントのほうが有意に低かったが、移植レシピエントにおけるドナー特異的抗HLA抗体(DSA)の非存在と冷虚血時間の短縮で、アウトカムは改善可能であることが明らかになったことを報告した。ECDは、ドナーを60歳以上もしくは50~59歳で血管系併存疾患がある人まで適応を拡大した基準である。著者は今回の結果を踏まえて、「DSAと冷虚血時間の2つの因子を修正後にECD移植は満足な長期予後を得ることができ、標準基準ドナー(SCD)腎移植と類似した移植片の生着率を達成可能である」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年7月31日号掲載の報告より。拡大(ECD) vs.標準基準ドナー(SCD)からの腎移植の長期生着について評価 試験は、フランスの4施設で2004年1月~2011年1月に腎移植を受けた連続患者を(主要コホート)、2014年5月まで追跡して行われた。また、検証コホートに2002年1月~2011年12月に別の4施設から腎移植患者を包含し評価した。 主要評価項目は、長期の腎移植片生着で、ドナー、レシピエント、移植関連の臨床的特徴(移植前生検、ベースラインのDSA値)で系統的に評価した。 試験には6,891例が包含された(主要コホート2,763例、検証コホート4,128例)。 主要コホートは、年齢中央値52歳、85.8%は死体腎で移植が行われた。ECD腎移植は、916例(33.2%)であった。移植時のDSAの非存在、冷虚血時間の短縮で長期生着率改善は可能 全体として、ECD腎移植のほうがSCD腎移植と比べて、7年後の移植片生着率が有意に低かった(80% vs. 88%、p<0.001)。 またECD腎移植患者における7年後の移植片生着率は、移植時にDSAの存在が認められた患者(12.1%)が、認められなかった患者と比べて有意に低かった(44% vs.85%、p<0.001)。 ドナー、レシピエント、移植の特徴、および移植前生検の所見、ベースラインでの免疫学的パラメータで調整後、長期の移植片生着失敗の主要因は、ECD腎移植へ割り付けたこと(ハザード比[HR]:1.84、95%信頼区間[CI]:1.5~2.3、p<0.001)、移植日のDSAの存在確認(同:3.00、2.3~3.9、p<0.001)、そして冷虚血時間が長いこと(12時間超で1.53、1.1~2.1、p=0.011)であった。 DSAの存在が認められたECD腎レシピエントは、その他の移植群と比べて、移植片生着失敗リスクが5~6倍高かった(p<0.001)。

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家庭内暴力・多量飲酒女性、救急での短期動機付け介入の効果は?/JAMA

 パートナーによる家庭内暴力(Intimate partner violence:IPV)や過度の飲酒経験のある女性に対して、緊急外来部門(ED)での短期動機付け介入は、評価対照群との比較でそれらの発生日数を有意に減らさなかったことが、米国・ペンシルベニア大学のKarin V. Rhodes氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。著者は、「結果は、こうした設定での短期動機付け介入を、支持しないものであった」と結論している。これまで、ED訪問時に提供したIPVや過度の飲酒に対する短期動機付け介入の効果について統合した検証は行われていなかった。JAMA誌2015年8月4日号掲載の報告より。600例を対象に無作為化試験 試験は、2011年1月~2014年12月に、2ヵ所の米国の都市部にある大学病院のEDで行われた。被験者はIPVを受けており、飲酒量が女性の安全限界値(National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism規定量)を上回っている18~64歳の女性600例であった。 全員に社会福祉サービスを紹介して、2対2対1の割合で、短期介入群(242例)、評価対照群(237例)、非接触対照群(121例)に無作為に割り付けた。 短期介入群には、EDで修士レベルのセラピストによる20~30分のマニュアルに基づく動機付け介入(患者の変化の様子を記録・モニタリング)すると、電話によるフォローアップ(10日後)が行われた。評価対照群には短期介入群と同数の評価を行い、非接触対照群には3ヵ月時点で1回だけ評価を行った。 主要評価項目は、事前に規定した過度の飲酒とIPVの発生で、12週間にわたって双方向の音声応答システムを使って評価した。介入群の12週時点のオッズ比、IPVは1.02、過度の飲酒は0.99 600例のうち、80%が黒人女性で平均年齢は32歳であった。 2回以上音声システムコールをした人は89%であった。3ヵ月時点でインタビュー評価を完遂した人は78%、6ヵ月時点は79%、12ヵ月時点は71%であった。 12週間の追跡期間中、介入群と対照群の週ごとの評価において、IPV(オッズ比[OR]:1.02、95%信頼区間[CI]:0.98~1.06)、過度の飲酒(同:0.99、0.96~1.03)の発生はいずれも有意な差はみられなかった。 ベースラインから12週時点までに、あらゆるIPVを経験した女性の数は、介入群は57%(134/237例)から43%(83/194例)に減少し、評価対照群は63%(145/231例)から41%(77/187例)の減少であった(絶対差:8%)。同様に過度の飲酒については、介入群は51%(120/236例)から43%(83/194例)に減少し、評価対照群は46%(107/231例)から41%(77/187例)の減少であった(絶対差:3%)。 12ヵ月時点での評価では、介入群の43%(71/165例)と評価対照群の47%(78/165例)が、過去3ヵ月間にIPVを受けなかったと報告した。また、飲酒量を減らしたと回答した人はそれぞれ19%(29/152例)、24%(37/153例)であった。

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ベンザルコニウム低濃度タフルプロスト、緑内障治療中の点状表層角膜炎を軽減

 緑内障点眼治療では点状表層角膜炎(SPK)などの眼表面障害がみられることがある。山口大学医学部眼科 准教授の鈴木 克佳氏らは、ベンザルコニウム塩化物(BAC)濃度を0.01%から0.001%へ低濃度に最適化したタフルプロスト(商品名:タプロス)の安全性および有効性を評価する多施設非盲検試験を行った。その結果、BAC最適化タフルプロストは眼圧下降効果を維持しつつSPKを軽減することが示され、著者は「BAC最適化タフルプロストは、プロスタグランジン関連点眼薬で治療中にSPKが認められた緑内障患者に対する治療選択肢となりうる」と報告している。Journal of Glaucoma誌2015年8月号の掲載報告。 試験は、他のプロスタグランジン関連薬による点眼加療中の緑内障患者のうちSPKが認められ、1眼のAD(area-density)スコアが6ポイント未満の患者30例を対象とした。BAC濃度最適化タフルプロストに変更して12週間投与し、前治療と比較した。  主要評価項目は、点眼変更後12週における変更前からのADスコアの変化、副次的評価項目は涙液層破壊時間(TBUT)、充血スコア、眼圧とした。 主な結果は以下のとおり。・治療中断のため、4例が解析から除外された。・ADスコア(平均±標準偏差[SD])は、変更後3.4±0.9から1.8±1.8に有意に低下した(p<0.0001)・涙液層破壊時間は、6.3±3.3秒から8.0±4.2秒に有意に増加した(p<0.01)。・充血スコアに変化はなかったが、眼圧は15.6±2.6mmHgから14.4±2.0mmHgに有意に下降した(p<0.01)。・前治療がBAC含有ラタノプロスト(17例)またはビマトプロスト(2例)の患者では、ADスコアは3.4±0.9から1.8±1.8へ有意に低下した(p<0.01)。TBUTは、6.4±3.6秒から8.2±4.3秒へ有意に増加した(p<0.01)。前治療がsofZia含有トラボプロスト(7例)の患者ではそのような変化はみられなかった。

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FDA、心不全治療薬Entrestoを承認

 米国食品医薬品局(FDA)は2015年7月7日、ARBバルサルタンとネプリライシン阻害薬sacubitrilの合剤(商品名:Entresto、Novartis)を心不全治療薬として承認した。 Entrestoは医薬品優先審査プログラムによって審査され、ファストトラック指定を受けた。  Entrestoは8,000例を超える成人被験者の臨床試験で、死亡および心不全による入院を、対照薬であるACE阻害薬エナラプリルに比べ有意に減少させた。被験者のほとんどは、心不全に適応のあるβ遮断薬、利尿薬、鉱質コルチコイド受容体遮断薬による治療を受けていた。  主な副作用は低血圧、高カルシウム血症、腎機能低下。アレルギー反応である血管浮腫も報告されている。血管浮腫については黒人および血管浮腫の既往があった患者に多い。ACE阻害薬との併用は血管浮腫のリスクが上昇するため行わないこと、また、ACE阻害薬との切り替えの際は、36時間間隔を空けるよう勧めるべきだとしている。 心不全は米国において、約5百万人以上が罹患しており、成人の死因および身体障害の第1位の原因である。FDAのプレスリリースはこちら

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ASPECT-cUTI試験:複雑性尿路感染症におけるセフトロザン/タゾバクタムの治療効果~レボフロキサシンとの第III相比較試験(解説:吉田 敦 氏)-401

 腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療は、薬剤耐性菌の増加と蔓延によって選択できる薬剤が限られ、困難な状況に直面している。セファロスポリン系の注射薬であるセフトロザンとタゾバクタムの合剤である、セフトロザン/タゾバクタムは、βラクタマーゼを産生するグラム陰性桿菌に効果を有するとされ、これまで腹腔内感染症や院内肺炎で評価が行われてきた。今回、複雑性尿路感染症例を対象とした第III相試験が行われ、その効果と副作用が検証され、Lancet誌に発表された。用いられたランダム化比較試験 成人に1.5 gを8時間ごとに投与を行った、ランダム化プラセボ対照二重盲検試験であり、欧州・北米・南米など25ヵ国で実施された。膿尿があり、複雑性下部尿路感染症ないし腎盂腎炎と診断された入院例を、ランダムにセフトロザン/タゾバクタム投与群と高用量レボフロキサシン投与群(750mg /日)に割り付けた。投与期間は7日間とし、微生物学的に菌が証明されなくなり、かつ、治療開始5~9日後に臨床的に治癒と判断できた状態をエンドポイントとした(Microbiological modified Intention-to-treat:MITT)。同時に、合併症・副作用の内容と出現頻度を比較した。レボフロキサシンに対して優れた成績 参加した1,083例のうち、800例(73.9%)で治療開始前の尿培養などの条件が満たされ、MITT解析を行った。うち656例(82.0%)が腎盂腎炎であり、2群間で年齢やBMI、腎機能、尿道カテーテル留置率、糖尿病・菌血症合併率に差はなかった。また776例は単一菌の感染であり、E. coliがほとんどを占め(629例)、K. pneumoniae(58例)、P. mirabilis(24例)、P. aeruginosa(23例)がこれに次いだ。なお、開始前(ベースライン)の感受性検査では、731例中、レボフロキサシン耐性は195例、セフトロザン/タゾバクタム耐性は20例に認めた。 結果として、セフトロザン/タゾバクタム群の治癒率は76.9%(398例中306例)、レボフロキサシン群のそれは68.4%(402例中275例)であり、さらに尿中の菌消失効果もセフトロザン/タゾバクタム群が優れていることが判明した。菌種別にみても、ESBL産生大腸菌の菌消失率はセフトロザン/タゾバクタムで75%、レボフロキサシンで50%であった。合併症と副作用に及ぼす影響 セフトロザン/タゾバクタム群では34.7%、レボフロキサシン群では34.4%で何らかの副作用が報告された。ほとんどは頭痛や消化器症状など軽症であり、重い合併症(腎盂腎炎や菌血症への進行、C. difficile感染症など)はそれぞれ2.8%、3.4%であった。副作用の内容を比べると、下痢や不眠はレボフロキサシン群で、嘔気や肝機能異常はセフトロザン/タゾバクタム群で多かった。今後のセフトロザン/タゾバクタムの位置付け セフトロザン/タゾバクタムは抗緑膿菌作用を含む幅広いスペクトラムを有し、耐性菌の関与が大きくなっている主要な感染症(複雑性尿路感染症、腹腔内感染症、人工呼吸器関連肺炎)で結果が得られつつある。今回の検討は、尿路感染症に最も多く用いられているフルオロキノロンを対照に置き、その臨床的・微生物効果を比較し、セフトロザン/タゾバクタム群の優位性と忍容性を示したものである。 しかしながら、ベースラインでの耐性菌の頻度からみれば、レボフロキサシン群の効果が劣るのは説明可能であるし、尿路の基礎疾患(尿路の狭窄・閉塞)による治療効果への影響についても本報告はあまり言及していない。そもそも緑膿菌も、さらにESBL産生菌も視野に入れた抗菌薬を当初から開始することの是非は、今回の検討では顧みられていない。また、腸管内の嫌気性菌抑制効果も想定され、これが常在菌叢の著しいかく乱と、カルバぺネム耐性腸内細菌科細菌のような耐性度の高いグラム陰性桿菌の選択に結び付くことは十分ありうる。実際に、治療開始後のC. difficile感染症はセフトロザン/タゾバクタム群でみられている。 セフトロザン/タゾバクタムをいずれの病態で使用する場合でも、その臨床応用前に、適応について十分な議論がなされることを期待する。販売し、いったん市場に委ねてしまうと、適応は不明確になってしまう。本剤のような抗菌薬は、適応の明確化のみならず、使用期間の制限が必要かもしれない。

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話の切り出しあれこれ【Dr. 中島の 新・徒然草】(081)

八十一の段 話の切り出しあれこれ日本人の英語が通じにくい1つの理由として、結論が最後に来るというのがあるように思います。何を言いたいのか不明確なまましゃべり始め、いろいろ材料を並べながら結論を固めようとするわけですが、あまりうまくない英語だと聞いているほうがイライラしてしまいます。一方、英語圏の人たちは先に結論を言ってから、「なぜなら」と根拠を述べることが多いので、シャープに聞こえます。このような言語的特徴をそれぞれ「日本語は therefore 言語で、英語は because 言語だ」と耳にしたことがあります。つまり、日本語は「根拠 → therefore(それゆえ)→ 結論」となる一方、英語では「結論 → because(なぜなら)→ 根拠」となるという意味です。それぞれの言語の特徴をうまく対比していますね。ですから、うまそうな英語をしゃべるためには、結論を先に言うといいのではないかと思います。さて、外来診療において患者さんに「本日はどうしましたか?」などと尋ねると、「ああして、こうして、こうなって……」と材料を並べ始める方が多く、いつまでたっても結論に到達しません。これも therefore 言語の所以なのでしょう。できれば「頭を打って心配になったので受診しました」などと先に用件を言ってもらいたいところです。ではどうすれば診療を効率よく進められるのでしょうか。「今、1番お困りのことはなんでしょうか?」「1番解決してほしい問題は何でしょうか?」ずばり用件を聞くのも1つの方法です。しかし「夜眠れない」とか、「娘がいつまでたっても独身で」とか、あるいは「お通じが1週間ない」などと真顔で言われたりするのが現実です。脳外科外来で便の話をされても困りますよね。トホホ……。「脳外科で解決して欲しい1番の問題は何でしょうか?」このような切り出しも考えられます。ただし、こなれていない日本語なので、患者さんに通じるかどうか心配ではあります。あるいは、予想される用件をこちらで先にまとめてしまい、違っている部分があったら患者さんに訂正していただく、という方法もあるかと思います。たとえばこのような形です。「キラキラした光が見えたので眼科に行ったら、『これは脳の病気だ』と言われて脳外科に紹介されたわけですね」これは有力な方法ですが、かなり高度かもしれません。ということで、どうすればスムーズな問診ができるのか。日々、試行錯誤しているところです。うまくいったら読者の皆さんに報告いたしましょう。最後に1句まず結論 余裕があれば 無駄話

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【GET!ザ・トレンド】乳がん終末期の深刻な問題 がん性皮膚潰瘍臭に光

「がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減」を適応として昨年末に承認されたメトロニダゾールゲル(商品名:ロゼックスゲル0.75%、ガルデルマ株式会社)が、5月より販売されている。今回の承認に尽力した、昭和薬科大学医療薬学教育研究センター 准教授 渡部 一宏氏に聞いた。がん性皮膚潰瘍の大きな問題がん性皮膚潰瘍(別名 がん性創傷)は乳がん、頭頸部がん、舌がん、歯肉がん、皮膚扁平上皮がん等でみられる。とくに、乳がんの終末期では頻度が高く、乳がん患者の5~10%に上るとの報告がある。がん性皮膚潰瘍の症状は、ボディーイメージによる精神的な苦痛のみならず、痛み、出血、滲出液、そして潰瘍部から強い不快な臭気(がん性皮膚潰瘍臭)を放ち、患者及びその家族にとっては耐え難い症状である。がん性皮膚潰瘍は、腫瘍の転移・浸潤によってがん組織が皮膚表面に浸潤することで起こる。痛みや出血といった症状とともに強い悪臭を発生する。この臭いは、病室の外まで漏れるほど強烈だという。そのため、がん性皮膚潰瘍患者のQOLは著しく障害される。さらに、患者さん本人は、周りの人に迷惑をかけたくないという思いから、見舞い客のみならず家族までも病室に入れない、医療者から孤立してしまうことも多々ある。がん性皮膚潰瘍は、患者、家族や医療者にも大きな苦痛をもたらす合併症といえる。メトロニダゾール外用剤の開発 渡部 一宏ほか.ロゼックスゲル0.75%患者さま用ガイドより ロゼックスゲルの副作用の一つに出血がある。これは潰瘍部位の浸出液でゲルが崩壊し、ガーゼと患部が貼りついてしまうために起こる2次的なもので、薬剤交換時にガーゼをはがす際に起こりやすい。これは、ガーゼを十分にぬるま湯または水で湿らし、ふやかしてからはがすことで防止できるという。出血は痛みを伴うため、実施にあたる医療者は十分に理解し、適切な使い方をしてほしいと渡部氏は言う。 また、使用量については現在まだ明確な指標がない。臨床試験では8×8cmのガーゼに対し15gを使っている。これはやや多めの用量設定であると渡部氏は言う。1回のケアで大量の薬剤を消費し、経済的負担も大きい。一方、臨床現場では8×8cmのガーゼに対し5~10gの使用でも十分な効果を示しているという報告も出てきている。現在、適切な用量に関する検討が行われているとのことである。

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多枝病変STEMI、PCI後のFFRガイド下完全血行再建術は有用か/Lancet

 多枝病変のあるST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者においてプライマリPCI後、血流予備量比(FFR)を測定評価して行う完全血行再建術が、さらなる侵襲的介入を行わない群と比較して、将来的なイベントリスクを有意に抑制することが示された。3つのエンドポイント(全死因死亡、非致死的再梗塞、再度の血行再建術)を複合評価して示された結果で、このうち完全血行再建術群の優越性は再度の血行再建術が有意に減少したことによるものであった。全死因死亡、非致死的再梗塞については同等であった。デンマーク・コペンハーゲン大学のThomas Engstrom氏らが、非盲検無作為化対照試験DANAMI-3―PRIMULTIの結果、報告した。Lancet誌オンライン版2015年8月4日号掲載の報告。複合エンドポイントで評価 STEMIを呈した多枝冠動脈疾患患者は、一枝疾患患者と比較して予後が不良である。研究グループは、多枝病変患者のSTEMI治療について、FFRガイド下完全血行再建術 vs.梗塞関連動脈のみ治療の、臨床的アウトカムを比較するDANAMI-3―PRIMULTI試験を行った。 試験はデンマークの大学病院2施設で行われ、梗塞関連動脈病変に加えて1つ以上の臨床的に明らかな冠狭窄があるSTEMIを呈した患者を対象とした。 梗塞関連動脈のPCIに成功した患者を、さらなる侵襲的介入を行わない群または退院前にFFRガイド下完全血行再建術を行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化はWebシステムを介して電子的に行われ、プライマリPCIの担当医は以降の治療や評価に関与することはなかった。 被験者への入院および追跡期間中の治療はガイドラインに即して行われ、全員が最適な薬物療法を受けた。 主要エンドポイントは、全死因死亡、非致死的再梗塞、非梗塞関連動脈での虚血による血行再建術の複合であった。評価は、最後の患者が登録後1年間追跡を受けた時点で行われた。全死因死亡と非致死的再梗塞は同程度だが、再度の血行再建術が69%抑制 2011年3月~2014年2月に627例の患者が試験に登録され、313例がプライマリPCI後非侵襲的介入群に、314例がFFRガイド下完全血行再建術群に割り付けられた。完全血行再建術群の314例のうち、非梗塞関連動脈のFFRが0.80超で、さらなる侵襲的介入を受けなかったのは97例(31%)であった。 追跡期間中央値は、27ヵ月(範囲:12~44ヵ月)。主要複合エンドポイントの発生は、梗塞関連動脈PCIのみ群が68例(22%)に対して、完全血行再建術群は40例(13%)であった(ハザード比[HR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.38~0.83、p=0.004)。 エンドポイントを個別にみると、全死因死亡HRは1.40(95%CI:0.63~3.00、p=0.43)、非致死的再梗塞HRは0.94(同:0.47~1.90、p=0.87)、非梗塞関連部位の再血行再建術HRは0.31(同:0.18~0.53、p<0.0001)で、完全血行再建術群の優越性は、再度の血行再建術の必要性が69%抑制されたことが寄与した結果であった。 著者は、「患者は完全血行再建術により、入院期間中の再度の血行再建術が回避でき、安全に全病変の治療を受けることができた」と述べ、「さらなる試験を行い、完全血行再建術は早期にまたは後期に行うべきか、またハードエンドポイントへの効果はあるのかについて明らかにする必要がある」とまとめている。

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全盲者の概日リズム調整に新規メラトニン受容体作動薬が有効/Lancet

 非24時間睡眠覚醒障害の全盲者における概日リズムの乱れの同調に、tasimelteonが有効であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSteven W Lockley氏らの検討で示された。ヒトの概日周期は24時間よりも長く、明暗の周期に反応することでペースメーカー(体内時計)を24時間に同調させているが、非24時間睡眠覚醒障害ではこの同調機能が損なわれて入眠や起床時間が徐々に遅くなり、注意力や気分の周期的変動が発現し、就学や就業など社会的な計画的行動の維持が困難となる。全盲者の55~70%に概日リズムの脱同調がみられるという。tasimelteonは、松果体ホルモンであるメラトニンの2つの受容体(MT1、MT2)の作動薬で、先行研究で、晴眼者への経口投与により概日リズムを変移させ、また非24時間概日活動リズムのラットに注射したところこれを同調させたことが示されていた。Lancet誌オンライン版2015年8月4日掲載の報告。概日リズムの同調を2つのプラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、非24時間睡眠覚醒障害の全盲者における概日リズムの同調とその維持に関するtasimelteonの有効性および安全性を評価する2つのプラセボ対照無作為化試験(SET試験、RESET試験)を行った(Vanda Pharmaceuticals社の助成による)。 SET試験の対象は、年齢18~75歳、メラトニンの主要代謝産物である6-sulfatoxymelatoninの尿中排泄リズムで評価した概日周期(τ)が24.25時間以上(95%信頼区間[CI]:24.0~24.9)の全盲者とした。被験者は、tasimelteon(20mg、24時間ごと)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。 SET試験でオープンラベル群に登録された患者と、SET試験の選択基準は満たさないがRESET試験の基準は満たす患者などが、RESET試験のスクリーニングの対象となった。RESET試験は、tasimelteon導入期に反応(同調の達成)がみられた患者を対象とし、tasimelteonの投与を継続する群またはtasimelteonを中止してプラセボに切り換える群に無作為に割り付けた。 SET試験の主要評価項目はintention-to-treat集団における概日リズムの同調の達成率とし、臨床効果(1ヵ月時、7ヵ月時の同調達成、Non-24 Clinical Response Scaleによる臨床的改善)の達成率の評価も行った。RESET試験の主要評価項目は同調非達成率であった。安全性は、全例の有害事象および検査値異常などで評価した。同調達成後にプラセボに切り換えると達成率が低下 SET試験では、2010年8月25日~2012年7月5日の間に、391例の全盲者がスクリーニングを受けた。米国の27施設とドイツの6施設に84例(22%、平均年齢50.7歳、男性58%)が登録され、tasimelteon群に42例、プラセボ群にも42例が割り付けられた。τ値の評価前に、tasimelteon群の2例、プラセボ群の4例が有害事象やプロトコル逸脱などで試験を中止した。 概日リズム同調達成率は、tasimelteon群が20%(8/40例)であり、プラセボ群の3%(1/38例)に比べ有意に優れていた(群間差:17%、95%CI:3.2~31.6、p=0.0171)。また、臨床効果の達成率は、tasimelteon群が24%(9/38例)と、プラセボ群の0%(0/34例)に比し有意に良好であった(群間差:24%、95%CI:8.4~39.0、p=0.0028)。 RESET試験のスクリーニングは、2011年9月15日~2012年10月4日に58例で行われ、48例(83%)がτ値の評価を受け、オープンラベルのtasimelteon導入期に登録された。このうち24例(50%)で概日リズムの同調が達成され、20例(34%、平均年齢51.7歳、男性60%)が無作為化試験に登録された。tasimelteonを継続する群に10例が、プラセボに切り換える群にも10例が割り付けられた。 概日リズム同調達成率は、tasimelteon継続群が90%(9/10例)、プラセボ群は20%(2/10例)であり、有意な差が認められた(群間差:70%、95%CI:26.4~100.0、p=0.0026)。 いずれの試験にも死亡例はなく、全治療期間を通じた有害事象による治療中止率はtasimelteon群が6%(3/52例)、プラセボ群は4%(2/52例)であった。SET試験中に最も高頻度に発現した治療関連副作用は、頭痛(tasimelteon群17%[7/42例] vs.プラセボ群7%[3/42例])、肝酵素上昇(10 vs.5%)、悪夢/異常な夢(10 vs.0%)、上気道感染症(7 vs.0%)、尿路感染症(7 vs.2%)であった。 著者は、「tasimelteonの1日1回投与は、全盲者の非24時間睡眠覚醒障害における概日リズムの同調に有効であったが、この改善効果を維持するにはtasimelteonの継続投与が必要であった」とまとめ、「本試験は、米国FDAおよび欧州医薬品庁(EMA)が非24時間睡眠覚醒障害に対するtasimelteonの適応を承認する際の基本的なデータとなった。これは、多くの全盲者が罹患する消耗性疾患の治療における進歩であり、概日リズム障害治療の新たなアプローチである」としている。

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肺がん左上葉切除術は脳梗塞の危険因子か

 脳梗塞は肺切除術後のまれな合併症であるが、重度の後遺症をもたらしうる。千葉大学の山本 高義氏らが、肺がん術後に脳梗塞を発症した患者の特徴を検討したところ、脳梗塞が左上葉切除を受ける肺がん患者で高頻度に発症しており、左上肺静脈断端における血栓症がその原因となっている可能性が示唆された。Surgery Today誌オンライン版2015年8月14日号に掲載。 著者らは、自施設で2008年1月~2013年10月に葉切除以上を受けたすべての肺がん患者562例を後方視的に検討し、術後30日以内に脳梗塞を発症した患者としなかった患者を比較した。 主な結果は以下のとおり。・全562例のうち、男性5例と女性1例が脳梗塞を発症していた[平均66歳(55~72歳)、術後平均3.3日(1~9日)に発症]。・5例は左上葉切除が、1例は左下葉切除が施行された。・術後脳梗塞発症例6例と非発症例556例の間で、年齢、性別、BMI、喫煙指数、手術時間に有意差は認めなかったが、術式のみ左上葉切除術の割合が発症例で有意に高かった(p<0.001)。・術後脳梗塞例において、左上肺静脈断端に造影CTにて血栓が認められた。

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性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大

 不眠症状、日中の眠気、短い睡眠時間、あるいは睡眠覚醒スケジュール後退などの睡眠関連障害は、うつ病のリスクファクターとなることが知られている。一般的に、うつ病は男性より女性に多いが、睡眠関連障害については必ずしも同様の性差が示されるわけではない。うつ病の発症過程における睡眠関連障害の影響には性差があると考えられるが、この問題に注目した研究はこれまでほとんどなかった。東京医科大学の守田 優子氏らは、睡眠関連障害を有する日本人若年成人のうつ病発症に及ぼす性差について検討を行った。その結果、睡眠関連障害がうつ病発症に及ぼす影響には性差が認められ、女性では睡眠覚醒スケジュール後退の影響が大きいことを報告した。結果を踏まえて著者らは「睡眠関連障害に起因するうつ症状の軽減・予防には性別に基づくアプローチが必要である」と指摘している。Chronobiology International誌2015年8月号の掲載報告。 研究グループは、上記の睡眠関連障害を有する日本人若年成人のうつ病発症率の性差を明らかにし、うつ病関連因子における性差について検討した。被験者2,502例(男女比は1,144対1,358、年齢範囲:19~25歳)を対象に、人口統計学的変数、睡眠関連変数(就寝時間、起床時間、睡眠潜時、入眠困難・睡眠維持困難頻度など不眠の諸症状、日中の眠気)、うつ病自己評価尺度(CES-D: Center for Epidemiologic Studies Depression)の12項目バージョンからなるwebアンケート調査を実施した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病発症率における女性の優位性は、睡眠覚醒スケジュール後退という項目でのみ示された(χ2(1) : 15.44、p<0.001)。・男性においては、日中の眠気(オッズ比[OR] :2.39、95%信頼区間[CI]: 1.69~3.39、p<0.001)および入眠困難(同3.50、2.29~5.35、p<0.001)がうつ病と有意に関連していた。・女性においては、睡眠覚醒スケジュール後退(OR: 1.75、95%CI:1.28~2.39、p<0.001)、日中の眠気(同:2.13、1.60~2.85、p<0.001)、入眠困難(同:4.37、3.17~6.03、p<0.001)がうつ病と有意に関連していた。・以上の結果は、若い世代では睡眠覚醒スケジュール後退がうつ病発症に与える影響は女性で大きく、とくに夜型の生活スタイルである場合にうつ病になりやすいこと、そして、このことは女性特有の速く短い内因性のサーカディアンリズムに起因する可能性があることを示唆するものであった。・以上より、若年成人におけるうつ症状の軽減あるいは予防には、性別に基づいた睡眠関連障害治療アプローチが必要であることが示唆された。関連医療ニュース 2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは 注意が必要な高齢者の昼寝 睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか

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