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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第17回

第17回:慢性腰痛に対してのオピオイド~短期間は有効だが、長期間投与の効果と安全性ははっきりしない監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 慢性腰痛は、外来で多い訴えの1つです。慢性腰痛を持つ患者さんが疼痛コントロールに苦しんで受診されることが多く、総合診療外来医師、整形外科医師が治療に難渋していることも多いです。 2011年4月にトラムセット(トラマドール+アセトアミノフェン合剤)が承認されてから、NSAIDsで対応困難なケースなどに対して、わが国でもオピオイドの使用が以前よりも身近なものになってきています。また、他のオピオイド内服もしくは、パッチ剤(フェンタニル剤)を貼付されているケースも散見します。 オピオイドは疼痛コントロールに有効といわれますが、便秘や嘔気といった副作用などに悩み、長期に投与してよいものかと考えることがたびたびあります。長期使用の安全性は明らかになっておらず1), 2)、個人的には慎重に使用したいと考えます。日本では、慢性腰痛に対して、日本ペインクリニック学会が作成した神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン3)もあり、参考になると思います。 以下、American Family Physician 2014年8月15日号1)、The Cochrane database of systematic reviewsオンライン版 2013年8月27日版2)よりオピオイドは、慢性腰痛の治療に有効か?randomized controlled trialsのMeta-analysis 慢性腰痛には、オピオイドが短期間の疼痛の緩和と機能改善に多少有効であると一般的に考えられている。しかしながら、長期間のオピオイド使用でのデータは、ほとんど存在していない。長期間のオピオイド使用については、議論の分かれるところである。医師は、患者に疼痛の緩和を求められるが、長期間のオピオイドを使う際には投薬調節と安全性への配慮も求められる。トラマドールとプラセボを比較した5つの研究には、方法論的なバイアスがあったが、概して患者はプラセボより多くの痛みが減り、機能的なアウトカムもより改善することを示した。痛みの改善はSMD(標準化平均差)、-0.55( 95% CI -0.66~-0.44、low quality evidence)、機能の改善は SMD、-0.18( 95% CI -0.29~-0.07、moderate quality evidence)であった。2つの研究では、経皮ブプレノルフィンとプラセボを比較した。ブプレノルフィンの2つの研究では、エビデンスレベルは低く、プラセボより痛みが減るが、機能は改善しないことが判明した。痛みの改善はSMD、-2.47( 95% CI -2.69~-2.25、very low quality evidence)、機能の改善はSMD、-0.14( 95% CI -0.53~0.25、very low quality evidence) であった。5つの強オピオイドの研究では、痛みが減り、機能改善することが判明した。痛みの改善はSMD、-0.43( 95% CI -0.52~-0.33、moderate quality evidence)機能の改善はSMD、-0.26(95% CI -0.37~-0.15、moderate quality evidence)であった。いずれのトライアルも研究の質は低~中等度で、中断率が高く、観察期間が短く、機能改善の定義が限定されている。オピオイドの長期使用に関するトライアルは、さまざまなリスクを総合的に評価するなど慎重に行うべきである。慢性腰痛に対するオピオイドの長期間の効果と安全性を示しうるRCTはない。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) HENRY C. BARRY. Am Fam Physician. 2014; 90: 259B-C. 2) Chaparro LE, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2013; 8: CD004959. 3) 日本ペインクリニック学会神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン作成ワーキンググループ 編. 神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン. 真興交易医書出版部. 2011. 

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親切な指導医登場【Dr. 中島の 新・徒然草】(056)

五十六の段 親切な指導医登場研修医の当直や救急外来を巡っては、どこの病院でもドラマ満載の毎日だと思います。大阪医療センターも例外ではありません。考えてみれば、私が医学部を卒業したばかりの頃もいろいろありました。なんせ今のようなちゃんとした臨床研修制度なんかなかったわけですから。卒後1ヵ月で何もわからないまま市中病院で当直のアルバイトをしていると・・・頭を打った、足を切った、腹が痛い、肩が抜けた、ヘビに咬まれた、という患者さんがこちらの事情と関係なしに次々にやって来るわけです。わけがわからないなりに、こっそり教科書を読み、そしらぬ顔で診察する毎日でした。さて、現在では研修制度がしっかりしており、わからないことのある研修医は何でも指導医に尋ねることができます。とはいえ、物わかりのいい指導医ばかりではありませんし、研修医の方も夜中の2時や3時に当直医を起こすのをためらってしまいます。ところがある女性医師。なんと研修医時代には院内の指導医の代わりに開業医の父親を叩き起こしていたことが判明しました。いくら夜中でも、可愛い娘が困って電話してきたら懇切丁寧に教えてしまうのは世の父親の常。 娘 「パパ。眩暈の人が来たんだけど、どうしたらいいの」 父 「〇子ちゃん。大抵の眩暈は良性発作性頭位変換眩暈っていってね、ほっといても治っちゃうからね、なんにも心配しなくてもいいよ」 娘 「でも、なんだか心配だなあ」 父 「あのね、頭を動かしたときだけ眩暈がするんだよね」 娘 「うん」 父 「それで、じっとしていたらだんだん眩暈がなくなってくるわけだ」 娘 「そうなの」 父 「じゃあ、心配ないよ。1週間くらいで自然に治るから」 娘 「本当?」 父 「本当だよ」 娘 「CTとか撮らなくていいの?」 父 「撮らなくてもいいよ、良性だからね」 娘 「よかった!」 指導医が皆、このくらい親切だったらいいんですけどね。 娘 「パパ?」 父 「何だい」 娘 「わからないことがあったら、また電話していい?」 父 「いいよ、いいよ。いつでも電話してきなさい」 娘 「ありがとう!」 それにしても父親を利用するとは、「裏ワザここに極まれり」ですね。最後に1句親切な 指導医登場 それはパパ

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ICUの肥満パラドックス、該当する患者は?

 一般集団においては肥満が死亡率の増加と関連しているが、危篤状態の患者では、BMIが高いほど死亡率が低いという逆説的相関がみられる。これは「肥満パラドックス」と呼ばれているが、どのようなサブグループが最も影響されるのかは不明である。東京大学臨床疫学・経済学分野の笹渕 裕介氏らは、ICU入室患者について人口呼吸器の装着有無で比較することにより、肥満が低死亡率と関連するかどうかを検討した。その結果、人工呼吸器あり群ではBMIが高いと死亡率が低かったが、人工呼吸器なし群では逆J字型の関連が認められた。また両群とも低体重患者の死亡率が高かった。Respiratory care誌オンライン版2015年2月17日号に掲載。 著者らは、全国のデータベースから、2010年7月~2012年3月に退院もしくは死亡したICU入室患者33万4,238例を評価した。主要転帰は院内死亡率とした。 主な結果は以下のとおり。・評価患者のうち23.3%が、ICU入室後2日以内に人工呼吸器管理を開始していた。・人工呼吸器あり群は、人工呼吸器なし群より、敗血症、肺炎、昏睡が多くみられた。・人工呼吸器あり群は、人工呼吸器なし群より、ICU入室後2日以内により多くの治療が施行された。・制限付き3次スプライン関数によると、人工呼吸器あり群ではBMIが高いと死亡率が低かったが、人工呼吸器なし群ではBMIが増加するほど死亡率が増加した。

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寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか

 てんかんは慢性的な神経障害であり、全世界に数百万の患者が存在する。主な治療法は抗てんかん薬(AED)であり、これにより発作を抑制し、てんかんをコントロールする。AEDは大半の症例で有効であるが、認知機能や行動の変化といった長期有害事象との関連が指摘されている。そのため、寛解を認めたらAEDを中止することが患者にとって最善だと考えられるが、その最適な中止時期については明らかとなっていなかった。英国・リバプール大学のIsabella Strozzi氏らは、AEDの最適な中止時期を明らかにするため、以前に行ったコクランレビュー(2001年第3号に発表)のアップデートを行った。その結果、小児てんかん患者において、発作寛解期間が2年未満の早期にAEDを中止した場合は再発率が高いことを報告し、抗てんかん薬は、最低2年の寛解期間を経た後に中止すべきことを示唆した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年2月11日号の掲載報告。 研究グループは本レビューで、(1)成人および小児てんかん患者におけるAED早期中止または後期中止後の発作再発リスク、てんかん重積状態および死亡率を定量化し比較する、(2)発作再発リスクに影響を及ぼす因子を評価する、(3)安全にAEDを早期中止できる集団を明らかにする、ことを目的とした。Cochrane Epilepsy Group Specialised Register(2014年6月)、CENTRAL (Cochrane Library第5号、2014年5月)、MEDLINE(1946年~2014年6月)、CINAHL(2014年6月23日)、Scopus(1823年~2014年6月)、ClinicalTrials.gov(2014年6月23日)、WHO International Clinical Trials Registry Platform(2014年6月23日)を検索した。また、電子検索で検出された研究の参考文献一覧についても調査した。 成人および小児てんかん患者において、発作寛解期間別にAED中止による影響を評価した無作為化対照試験、早期(発作寛解期間2年未満)のAED中止と後期(発作寛解期間2年以上)のAED中止を比較した研究を検索対象とした。評価者2人が個別にデータを抽出し、試験の質を評価した。各試験におけるリスク比(RR)を95%信頼区間(CI)とともに、また二分法データの要約RRと95%CIは固定効果モデルを用いて算出した。統合RR算出それぞれについて、統計学的不均一性を検査した。また、各対象試験は、Cochrane Handbookの推奨に基づき「バイアスリスク」を評価。GRADE systemによって情報の全体的な質を評価し、2つのSummary of Findingsという表を提示した。 主な結果は以下のとおり。・5件の試験、無作為化された小児てんかん患者924例をレビューの対象とした。・無作為化時の年齢はすべて16歳以下、追跡期間中央値は5.6年であった。・成人を対象とした試験、死亡率あるいはてんかん重積状態をアウトカムとした試験のなかで適格なものはなかった。・AED中止後の発作再発の統合RRは1.34(95%CI:1.13~1.59、p=0.0007)であった。この推定値に基づくと、有害必要数(早期AED中止により1例の発作再発リスクが増加するのに必要な人数)は8例であった(95%CI:5~20)。・統合RR 1.51(95%CI:0.97~2.35、p=0.07)という結果から、AEDの早期中止は部分発作患者における高い再発率と関連することが示された。・欠神発作タイプは、低い再発リスクと関連していた。・EEG所見異常(統合RR:1.44、95%CI:1.13~1.83、p=0.003)、その中でもてんかん様活動(同2.58、2.03~3.28、p<0.0001)、2歳未満あるいは10歳以降での発作発症、てんかん重積状態の既往、知的能力障害(IQ 70未満)、治療前および治療中の発作多発は、高い再発リスクと関連していた。・性別および家族歴と発作再発との間に有意な関連は認められなかった。・全体的にみると、対象とした試験は方法論的な情報に関する報告がなく、オリジナルの試験報告者による情報提供もなかったため、バイアスリスクは低いあるいは不明確と判断された。 ・小児、とくにEEG異常および部分発作の両方(あるいは一方)を有する小児患者は、少なくとも2年の無発作期間を経過した後にAEDを中止すべき、ということを支持するエビデンスが示されていた。・全般発作を有する小児患者については、AEDの中止時期を明確にするエビデンスは不十分であった。・発作を認めない状態にある成人患者のAED中止時期を示すエビデンスはなかった。・最適なAED中止時期と再発を予測するリスク因子を特定するために、より質の高い無作為化対照試験、とくに成人や全般発作の患者を対象とした試験が必要と思われた。関連医療ニュース 小児てんかん、複雑な経過をたどる 抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのか 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か  担当者へのご意見箱はこちら

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心不全、心筋梗塞、肺炎で入院の高齢者の再入院・死亡リスク/BMJ

 心不全や急性心筋梗塞、肺炎で入院した高齢者は、退院後数ヵ月にわたり、再入院や死亡リスクが高い状態にあることが明らかにされた。初回再入院リスクが最大値から50%に減少するのは、心不全で退院後38日だった。米国・コロンビア大学医療センターのKumar Dharmarajan氏らが、メディケアに加入する米国高齢者300万人超のデータについて分析し明らかにした。結果を踏まえて著者は、「高齢患者は退院後、しばらくの間は健康に関して用心することが必要である。一方、医療提供者は、退院後高齢患者の絶対リスクや回復への軌跡に関する知識を活用することで有害転帰を軽減する介入を行うことができるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2月5日号掲載の報告より。初回再入院と退院後1年死亡リスクの軌跡を分析 研究グループは、2008~2010年に米国内4,767ヵ所の病院に入院した65歳以上のメディケア出来高払いプラン加入者について、後ろ向きコホート試験を行った。300万人超の同プラン加入者のうち、心不全や急性心筋梗塞、肺炎で入院後、生存退院した人を対象に、退院後の入院や死亡リスクについて分析を行った。 主要評価項目は、初回再入院と退院1年後までの死亡の1日ごとの絶対リスクだった。そうしたリスクの軌跡をたどるため、再入院と死亡について、同リスクが最大値から50%まで減少するまでに要する日数などを求めた。死亡リスクが最大値から半減、心不全11日、心筋梗塞6日、肺炎10日 その結果、退院1年後までの再入院と死亡の発生率は、心不全で入院した患者はそれぞれ67.4%と35.8%、急性心筋梗塞で49.9%と25.1%、肺炎で55.6%と31.1%だった。 初回再入院リスクが最大値から50%に減少するのは、心不全で退院後38日、急性心筋梗塞で同13日、肺炎で同25日だった。死亡については、それぞれ11日、6日、10日だった。 初回再入院リスクが最大値から95%減少したのは、心不全で45日、急性心筋梗塞で38日、肺炎で45日だった。死亡リスクについて最大値から95%減少したのは、それぞれ21日、19日、21日だった。 一方、心不全、急性心筋梗塞、肺炎で入院した人は、入院をしていない人に比べて、退院後90日間の再入院リスクはそれぞれ8倍、6倍、6倍高かった。同期間の死亡リスクについても、それぞれ11倍、8倍、10倍高かった。

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甲状腺がん新薬、無増悪生存期間を大幅延長/NEJM

 ヨウ素131治療抵抗性の進行性甲状腺がんに対し、レンバチニブ(国内承認申請中)は、無増悪生存期間を大幅に延長し、増悪・死亡リスクを約8割低減することが示された。フランス・ギュスターヴ・ルシィ研究所のMartin Schlumberger氏らが第III相無作為化二重盲検多施設試験の結果、報告した。レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体1、2、3、線維芽細胞増殖因子受容体1~4、血小板由来増殖因子受容体α、RET、KITの経口阻害薬で、ヨウ素131治療抵抗性の分化型甲状腺がん患者を対象とした第II相試験で臨床活性を示したことが報告されていた。NEJM誌2015年2月12日号掲載の報告より。レンバチニブ1日24mgを投与 研究グループは、ヨウ素131治療抵抗性の進行性甲状腺がんの患者392例を対象に、レンバチニブの安全性、有効性について検討した。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはレンバチニブ(1日24mg、28日サイクル、261例)を、もう一方にはプラセボ(131例)を投与した。なお、プラセボ群の患者には、病勢の進行が認められた時点でオープンラベルによるレンバチニブ投与が可能だった。 主要評価項目は、無増悪生存期間だった。副次評価項目は、奏効率、全生存期間および安全性などだった。レンバチニブ群の無増悪生存期間の中央値は18.3ヵ月、プラセボは3.6ヵ月 結果、無増悪生存期間の中央値は、プラセボ群が3.6ヵ月だったのに対し、レンバチニブ群は18.3ヵ月と、有意に延長した(進行または死亡に関するハザード比:0.21、99%信頼区間:0.14~0.31、p<0.001)。 奏効率は、プラセボ群1.5%に対し、レンバチニブ群は64.8%(完全寛解は4例、部分寛解は165例)だった(p<0.001)。 治療に関連した有害事象は、レンバチニブ群の40%で認められ、高血圧(67.8%)、下痢(59.4%)、疲労感または無力感(59%)、食欲減退(50.2%)、体重減少(46.4%)、悪心(41.0%)だった。 薬の有害作用により服用を中止した人は、プラセボ群の3例に対し、レンバチニブ群は37例(14.2%)だった。さらに、レンバチニブ群の死亡20例のうち、レンバチニブに関連した死亡と考えられたのは6例であった。

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エナジードリンクを飲む学生ほど食生活は不健康

 エナジードリンクを飲む学生ほど不健康な食生活を送り、BMI値が高いことが、米・テキサス大学オースティン校のNatalie S Poulos氏らの調査により報告された。これまでもエナジードリンク摂取と不健康な生活習慣については知られていたが、若年者での調査はほとんど実施されていなかった。 調査対象は、南西部広域にある大学の新入生585人で、平均年齢は18.7歳、女性が56%であった。人種の内訳は、非ヒスパニック系白人が47%、ヒスパニック系が20.9%、25.5%がアジア系、2.7%が非ヒスパニック系黒人、その他は4.4%であった。直近1週間のエナジードリンクの摂取と食生活を自己報告形式で調査した。 食生活の調査には、炭酸飲料、ダイエット炭酸飲料、塩気のあるスナック類、甘いスナック類、ファストフード、レストランの食事、冷凍食品、果物、野菜、牛乳、朝食摂取が含まれていた。 エナジードリンクを飲む人と飲まない人の食生活は、線形回帰分析で解析された。 主な結果は以下のとおり。・直近1週間にエナジードリンクを飲んだ学生は17.5%であった。・エナジードリンクを飲む学生は、男性、白人、BMIが高い傾向にあった。・エナジードリンクを飲む学生は、直近1週間の果物、野菜、牛乳、朝食摂取の割合が低かった。・エナジードリンクの消費は、炭酸飲料と冷凍食品の消費増大と関連がみられた。 著者らはこれらの結果を踏まえて、「今後の学生に対する食事介入では、エナジードリンクによる影響について検討する必要がある」と述べた。

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患者だけで十分!?明日はわが身 院内感染

 2015年2月17日、都内にて、感染症対策に関するセミナー(主催:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)が行われた。院内感染リスクの高さと対策の難しさ はじめに、賀来 満夫氏(東北大学大学院 内科病態学講座 感染制御・検査診断学分野 教授)が、米国におけるエボラ出血熱の二次感染を例に、医療環境における感染症リスクの高さについて述べた。 一方で、感染症対策には「誰でも感染する可能性がある」「原因菌が目に見えない」「感染後すぐに症状が発現しない」「必ずしも診断が容易ではない」といった特有の難しさがある。それ故、知らない間に感染拡大が起こる可能性があり、注意が必要である。 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の病院感染制御の目標でも、患者の安全確保に加えて、医療従事者の安全確保が挙げられている。しかし、わが国の医療従事者において、自身に対する感染制御の意識は必ずしも高いとは言えない。医療従事者の感染は患者にもリスクとなることを念頭に置き、患者と医療従事者の双方が協力し合い、感染予防に取り組んでいくことが重要である。米国における針刺し予防対策の歴史 次に、ジェニーン・ジェーガー氏(バージニア大学 医療システム学部 内科学 教授)が、米国の針刺し予防対策について説明した。米国でも以前は針刺し事故が多かったが、2000年の針刺し安全予防法の制定以降、安全機構付きの器材が普及し、針刺し事故は減少傾向にあるという。ただし、器材購入のみではその効果は限定的であり、器材を扱うプロセスも含めたトータルマネジメントが重要であると強調した。日本における針刺し事故の現状 わが国においても年間45~60万件の針刺し事故が起こっている。1999~2009年のC型肝炎の新規感染原因の割合をみると、約3分の1が院内感染で発症しているという報告もある。また、インスリン、抗がん剤、インターフェロンといった在宅医療での自己注射の普及に伴い、家庭・オフィス・公共施設など医療機関以外の針刺し事故が増加傾向にある。 患者を含めた一般の人々の感染症に対する危機意識はまだ低く、社会全体で危機管理を行っていく必要があるだろう。

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FAST-MAG試験:脳保護作用を有する硫酸マグネシウムの病院到着前投与は無効(解説:中川原 譲二 氏)-315

 脳卒中が疑われる患者に対し、病院到着前に神経保護療法として硫酸マグネシウムの投与を行っても、予後は改善されないことが、米国南カリフォルニア大学のJeffrey L Saver氏らが行ったFAST-MAG試験で示された(NEJM誌2015年2月5日号掲載)。硫酸マグネシウムは、脳卒中の前臨床モデルで神経保護作用を有し、ヒトでは発症早期の投与において有効性の徴候および許容可能な安全性プロファイルが確認されている。病院到着前神経保護薬投与を無作為化試験で評価 FAST-MAG試験は、脳卒中が疑われる患者に対して症状発現後2時間以内の硫酸マグネシウム投与の有用性を評価する、多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験である(米国国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]の助成による)。最初の負荷用量(硫酸マグネシウム4gを生理食塩水54mLに溶解し、15分でボーラス投与)は、病院到着前に救急隊員により開始され、病院到着後は24時間の維持療法(同16gを同240mLに溶解し、10mL/時)が行われた。主要評価項目は、修正Rankinスケール(mRSスコア:0~6点、点が高いほど障害が高度)による90日後の機能障害の程度であった。74.3%の患者で症状発現後1時間以内に投与が開始 2005年1月~2012年12月までに1,700例が登録され、マグネシウム群に857例、プラセボ群には843例が割り付けられた。全体の平均年齢は69(±13)歳、女性が42.6%で、治療前の脳卒中重症度評価のためのロサンゼルス運動スケール(LAMS、0~10点、点が高いほど運動麻痺が重度)の平均スコアは3.7(±1.3)であった。評価イベントの最終診断は脳虚血が73.3%、頭蓋内出血が22.8%、脳卒中類似病態が3.9%であった。脳卒中症状がないことが最後に確認された時刻から研究薬剤投与開始までの期間中央値は45分(四分位範囲:35~62)であり、74.3%の患者で症状発現後1時間以内に投与が開始された。両群間に機能障害のアウトカムに差はなし 90日後の両群のmRSスコアの患者分布は、0がマグネシウム群18.7%、プラセボ群18.4%、1が16.3%、16.2%、2が18.4%、18.3%、3が13.3%、13.3%、4が10.5%、10.6%、5が10.1%、10.2%、6は12.7%、13.0%であり、両群間には機能障害のアウトカムに差を認めなかった(Cochran-Mantel-Haenszel検定:p=0.28)。同様に、90日後のmRSスコアの平均値は、両群ともに2.7であった(p=1.00)。一方、死亡率(マグネシウム群15.4 vs. プラセボ群15.5%、p=0.95)や、重篤な有害事象(51.2 vs. 50.1%、p=0.67)、症候性頭蓋内出血(2.1 vs. 3.3%、p=0.12)についても両群で有意差はなかった。超急性期治療の開始は救急車内から可能 硫酸マグネシウムの病院到着前投与は安全であり、脳卒中症状発現後2時間以内に治療を開始することが可能であったが、90日後の機能障害のアウトカムを改善できなかった。しかし、著者らは「薬剤の投与は、これまでのどの試験よりも迅速に行われ、患者の約4分の3で“golden hour”と呼ばれる発症後60分以内に治療が開始されており、救急車内での超急性期治療の開始というシステムに関する目的は達成された」と指摘している。 近年進歩が目覚ましい脳梗塞の血流再開療法では、治療成績の向上のためには発症から血流再開までの時間短縮が重要であることが明確となっており(International Stroke Conference 2015)、わが国でも脳梗塞患者の救急搬送と脳卒中センターでの診療が迅速に行われる体制の整備が必須となっている。神経保護治療の開始が救急車内から可能であることで、将来は、神経保護治療下での血流再開療法により脳梗塞急性期治療のさらなる成績の向上が期待される。

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再発乳がんの予後にKi-67の変動が関連

 乳がんは原発巣と再発部位でバイオマーカーの状態に変化がみられる。しかし、その臨床的意義は、とくに乳房温存術後の同側乳房内再発(IBTR)患者において、明らかになっていない。日本乳学会の共同研究グループでは、原発巣とIBTRのバイオマーカー(ER、HER2、Ki-67)を比較し、その変動が、再発後の予後に影響するかどうか検討した。その結果、Ki-67が増加もしくはIBTRで高値のままだと、IBTR後の予後が悪いことが示唆された。European journal of surgical oncology誌オンライン版2015年2月7日号に掲載。 本研究では、遠隔転移のないIBTR患者117例に対して、原発巣とIBTRにおけるER、HER2、Ki-67を調べた。 主な結果は以下のとおり。・IBTRの外科切除後、ERおよびHER2の変化と遠隔無病生存率(DDFS)との間に関連はみられなかった。一方、原発巣からIBTRへのKi-67の変動は、DDFSと有意に相関していた(調整前:p=0.0094、調整後:p=0.013)。・Ki-67が“増加もしくは高値のまま”のグループのDDFSは、“減少もしくは低値のまま”のグループに比べて有意に低かった(5年DDFS:55.5%対79.3%、log-rank検定 p=0.0084)。

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特別講演会『川崎協同病院事件に見る医療倫理と司法倫理』のご案内

 順天堂大学大学院医学研究科 研究基盤センター分室の坪内 暁子 氏ら、患者・医療者・社会の権利に附随する諸問題について考える研究会は、2月27日(金)18時より、特別講演会『川崎協同病院事件に見る医療倫理と司法倫理』を開催する。本講演は、研究会のメンバーだけでなく、財団会員、若手医療者、MLS会員、医学生・法科大学院生などの聴講も幅広く歓迎している。 開催概要は以下のとおり。■講演会概要 映画『終の信託』のモデルにもなった川崎協同病院事件の弁護人・矢澤 曻治 氏を講演者に、産婦人科学会ほかを動かし無過失保障制度に繋がっていたといわれている福島県立大野病院事件の弁護人・安福 謙二 氏を座長として迎え、リスボン宣言10章に記載されている、日本では馴染みのない安楽死・尊厳死を題材にお話を伺う。■座長:安福 謙二 氏(福島県立大野病院事件弁護人)■演者:矢澤 曻治 氏(川崎協同病院事件弁護人)■日時2015年2月27日(金) 18:00~20:00(※17:30開場)■場所ウェルリンク株式会社 会議室東京都文京区湯島1-5-28 ナーベルお茶の水 2階地図はこちら■対象本研究会メンバー、財団会員、若手医療者、 MLS会員、医学生・法科大学院生など■参加費:無料■主催患者・医療者・社会の権利に附随する諸問題について考える研究会■問い合わせ先順天堂大学研究基盤センター分室 助教 坪内 暁子(研究代表者)E-mail:akiko@juntendo.ac.jp電話:03-3813-3111内線:3294(※席数に限りがあるため、参加を希望される場合は上記まで事前にご連絡をお願いいたします)■「特別講演会 川崎協同病院事件に見る医療倫理と司法倫理」について詳細はこちら

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薬物過剰摂取のリスクを高める薬物は

 米国・テキサス大学健康科学センター・サンアントニオ校のBarbara J. Turner氏らは、非がん性疼痛に対してオピオイド等を投与された患者を対象に後ろ向きコホート研究を行った。結果、オピオイドならびにベンゾジアゼピン系薬の長期投与は薬物過剰摂取と関連しており、オピオイドのリスクはうつ病患者で最も高いこと、うつ病患者では抗うつ薬の長期使用が過剰摂取のリスクを低下させるが、非うつ病患者ではすべての抗うつ薬使用が過剰摂取のリスクを高めることを報告した。Journal of general internal medicine誌オンライン版2015年2月4日号の掲載報告。 本検討で研究グループは、オピオイド、ベンゾジアゼピン系薬、抗うつ薬およびゾルピデムの処方と、精神障害患者の薬物過剰摂取の関連について調べた。対象は、HMO(健康維持機構)加入者で登録期間が1年以上、2009年1月~2012年7月の間に、非がん性疼痛に対してSchedule IIまたはIIIオピオイドを2つ以上処方された18~64歳の患者であった。評価は、オピオイドを初めて処方された後の薬物過剰摂取による初回入院または通院をアウトカムとした。予測変数として6ヵ月ごとおよび過剰摂取発現の直前6ヵ月のオピオイド使用(1日平均モルヒネ等価量)、ベンゾジアゼピン系薬使用(1日投与量)、抗うつ薬使用(1日投与量)、ゾルピデム使用(1日投与量)を算出するとともに、精神障害(うつ病、不安症/PTSD、精神病)、疼痛関連症状、物質使用障害(アルコール、他の薬物)について調べた。 主な結果は以下のとおり。・薬物過剰摂取例は、計1,385例(0.67%)であった(発生頻度421/10万人年)。・薬物過剰摂取の補正後オッズ比(AOR)は、1日オピオイド量とともに単調に上昇した。・同AORは非うつ病またはオピオイド使用患者との比較で、うつ病かつオピオイド高用量使用(1日100mg以上)患者が最も高かった(AOR:7.06)。・うつ病患者の抗うつ薬長期使用(91~180日)は、短期使用(1~30日)あるいは未使用との比較で、薬物過剰摂取のAORが20%低かった。・非うつ病患者では、抗うつ薬使用により薬物過剰摂取のAORが増加した。未使用との比較において短期使用で最も高かった(AOR:1.98)。・全対象において薬物過剰摂取のAORはベンゾジアゼピン系薬の使用期間とともに増大し、91~180日間で未使用の2.5倍以上となった。関連医療ニュース 抗精神病薬の有害事象との関連因子は なぜSSRIの投与量は増えてしまうのか ベンゾジアゼピン処方、長時間型は大幅に減少  担当者へのご意見箱はこちら

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血管内治療の追加で脳梗塞の予後改善/NEJM

 急性期虚血性脳卒中の患者に対し、標準治療に加えステント型血栓回収デバイスによる迅速血管内治療を行うと、身体機能や死亡率が改善され、QOLも良好であることが、カナダ・カルガリー大学のMayank Goyal氏らが行ったESCAPE試験で示された。前方循環の動脈近位部閉塞に起因する脳卒中では、t-PA(アルテプラーゼ)治療を行っても患者の60~80%が発症後90日以内に死亡または機能的自立が回復されない。これまでの試験からは、閉塞の部位が動脈近位部であることを証明し、迅速かつ効果的な画像法で梗塞巣が大きい患者を除外し、効率のよい作業手順で迅速な再疎通と高い再灌流率を達成することが重要であり、血栓の回収には前世代よりもステント型デバイスのベネフィットが優れることが知られている。NEJM誌オンライン版2015年2月11日号掲載の報告。迅速血管内治療の追加をPROBEデザインの試験で評価 ESCAPE試験は、急性期虚血性脳卒中に対する標準治療への迅速血管内治療の追加の有用性を評価する多施設共同前向き無作為化非盲検アウトカムブラインド試験(PROBEデザイン)(Covidien社などの助成による)。対象は、発症前は機能的に自立し(Barthelインデックス[0~100点、点が高いほど日常生活動作が良好]≧90)、梗塞巣が小さく、前方循環の動脈近位部閉塞に起因し、側副血行が中等度~良好の虚血性脳卒中で、発症後12時間以内の患者とした。 被験者は、標準治療を施行する群(対照群)または標準治療に加え血管内治療を行う群(介入群)に無作為に割り付けられた。血管内治療はステント型血栓回収デバイスが推奨され、血栓回収時にはバルーン付きガイディングカテーテルによる吸引が勧められた。両群とも発症後4.5時間以内の場合はアルテプラーゼの静脈内投与が行われた。 主要評価項目は、90日時の修正Rankinスケール(mRS)のスコア(0~6点、点が高いほど機能障害が高度)とし、比例オッズモデルを用いて介入群のmRSスコアが対照群よりも低くなる尤度を測定し、共通オッズ比(mRSスコアの1点の改善のオッズを示す)を算出した(シフト解析)。 オランダのMR CLEAN試験により、ステント型血栓回収デバイスのベネフィットが報告された時点で計画にはない中間解析を行ったところ、事前に規定された有効性の境界値を超えており、介入群における有効性の有意な改善効果が確認されたため、データ・安全性監視委員会の勧告に基づき本試験は早期中止となった。mRS共通オッズ比2.6、死亡率は19.0%が10.4%に 2013年2月~2014年10月までに、カナダ、米国、韓国、アイルランド、英国の22施設に315例が登録され、介入群に165例、対照群には150例が割り付けられた。年齢中央値は介入群が71歳、対照群は70歳、女性がそれぞれ52.1%、52.7%で、アルテプラーゼの投与は120例(72.7%)、118例(78.7%)で行われた。介入群のCT検査開始から初回再灌流達成までの期間中央値は84分(四分位範囲:65~115分)であった。 90日mRSスコアの共通オッズ比は2.6(95%信頼区間[CI]:1.7~3.8)であり、介入群で有意に良好であった(p<0.001)。90日mRSスコアの中央値は介入群が2であり、対照群の4に比べ有意に優れていた(p<0.001)。90日mRSが0~2の患者の割合も、介入群が53.0%と対照群の29.3%に比し有意に高率であった(率比:1.8、95%CI:1.4~2.4、p<0.001)。 90日死亡率は、介入群が10.4%であり、対照群の19.0%よりも有意に改善された(率比:0.5、95%CI:0.3~1.0、p=0.04)。症候性の頭蓋内出血の発生率は、介入群が3.6%、対照群は2.7%であり、両群間に差はなかった(p=0.75)。介入群のデバイス関連/手技関連合併症は18例に認められ、そのうち重篤例は4例だった。 90日時のBarthelインデックスが95~100点の患者の割合は、介入群が57.7%、対照群は33.6%(率比:1.7、95%CI:1.3~2.2)、NIH脳卒中スケール(NIHSS、0~42点、点が高いほど脳卒中の重症度が高度)が0~2点の患者はそれぞれ51.6%、23.1%(率比:2.2、95%CI:1.6~3.2)、EQ-5D視覚アナログスケールのスコア(0~100点、点が高いほどQOLが良好)の中央値は80点、65点(β係数:9.4、95%CI:3.5~15.2)であり、いずれも介入群で良好であった。 著者は、「迅速な血管内治療は急性期虚血性脳卒中患者の身体機能を改善し、死亡率の低減をもたらした」とまとめ、「本試験の知見は、MR CLEAN試験で示された血管内治療のベネフィットを確証するものである」と指摘している。

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乳児血管腫 プロプラノロールへの期待が高まる

 乳児血管腫治療において、経口β受容体遮断薬プロプラノロール(3mg/kg/日)を6ヵ月間投与するレジメンが有効であったことが、フランス・ボルドー大学病院Christine Leaute-Labreze氏らによる無作為化比較の結果、報告された。これまで、プロプラノロールによる乳児血管腫治療は行われているものの、その使用について無作為化比較試験による報告は限定的であった。NEJM誌2015年2月19日号の掲載報告。 試験は、多施設無作為化二重盲検適応デザイン第II/III相試験で、小児用経口プロプラノロール溶液の有効性と安全性の評価を目的とした。対象は1~5ヵ月の、全身療法を必要とする増殖性乳児血管腫の患児であった。 被験者は、プラセボ群またはプロプラノロール群の4レジメンに無作為に割り付けられた(1mg/kg/日または3mg/kg/日を、各々3ヵ月間または6ヵ月間投与)。 事前に予定されていた中間解析により用量・期間の選択と評価を行い、最終有効性解析で用いるレジメンが決定された。主要評価項目は、24週目時点の治療の成功(標的病変の完全/ほぼ完全な消失)または失敗であった。評価は標準化された画像によって、独立した中央登録で盲検的に行われた。 主な結果は以下のとおり。・無作為化された460例の患児のうち、456例が実際に治療を受けた。・24週の治療期間を終えた初期の188例による中間解析により、最終有効性解析に用いられるレジメンは、「3mg/kg/日を6ヵ月間」に決定した。・24週時点のプロプラノロール群の治療成功率は、プラセボ群よりも有意に高かった(60% vs. 4%、p<0.001)。・ベースラインから5週時点までに改善を示した割合は、プロプラノロール群がプラセボ群よりも有意に高かった(88% vs. 5%、p<0.001)。・プロプラノロール群の治療を完遂した患児のうち、10%の患児が追跡期間(72週)中に全身療法を必要とした。・プロプラノロールに関連する既知の有害事象として、低血糖、低血圧、徐脈、気管支痙攣がまれに発生したが、プラセボ群との間に有意差はみられなかった。

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「2型糖尿病では降圧薬の種類にかかわらず、厳格な降圧そのものが重要」を裏付けるメタ解析(解説:桑島 巌 氏)-314

 糖尿病を合併した高血圧患者における収縮期血圧の降圧目標値に関して、海外では従来よりも緩和する傾向がある。最近発表されたINVEST研究やACCORD研究などを参考にしているが、必ずしも信頼性の高い研究ではなかった。 本研究はバイアスが少ないと考えられる45のRCTからのメタ解析の成績である。MEDLINEから検索したRCTデータを統計したものであり、BPLTTCのように登録した試験のみの生データを再解析したものではない点や、異質性(heterogeneity)を排除しきれていないこと、追跡期間の長短が混在していることなどにやや難点がある。しかし、対象症例約10万例という規模の大きさがそれを補っている形である。 収縮期血圧の10mmHgの下降が、死亡率や心血管イベントを有意に抑制し、とくにベースラインの収縮期血圧140mmHg以上でのイベント抑制が大きいことから、糖尿病合併例での降圧治療開始はこのレベルが適切であることを示唆している。 脳卒中やアルブミン尿をエンドポイントとした場合には、収縮期血圧が140mmHg以上でも以下でも降圧による有用性が大きいことも臨床的に有用な情報である。 また、到達収縮期血圧が130mmHg以上でも以下でも脳卒中、アルブミン尿は有意な抑制が認められているが、脳卒中発症が多い日本人では参考になるデータである。 一方、死亡率、心血管イベント、冠動脈疾患、心不全などをエンドポイントとした場合には、収縮期血圧が130mmHg以下での有意な抑制率はみられていない。本論文のlimitationでも述べているように、収縮期血圧を120~130mmHgとしたトライアルが少なかったことも関係しているかもしれない。 しかし、一般に心疾患と血圧の関係は、原因というよりも結果である可能性も考えられる。肝要なことは、降圧によるイベント抑制効果は降圧薬の種類によらず、降圧そのものが重要であることを示した点は臨床上、参考になる結果である。

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アリスミアのツボ Q22

Q22発作性心房細動はやがてどうなるの?原因が取り除かれない限り、やがて慢性心房細動になります。発作性心房細動の基本的課題これは発作性心房細動を診療するうえでの基本的課題ですね。将来を予測してこそ、初めて医療介入が成立するからです。私も2000年代前半にこの同じ疑問を抱いていました。その当時、それを教えてくれる論文はなかったので、心臓血管研究所でカルテ調査を行い、その結果を発表しています。さて、その回答は下図に示すとおりです。再発性の発作性心房細動、そのほとんど、いわゆる抗不整脈薬を処方されている症例が、時間経過とともに抗不整脈薬が効かなくなり慢性化していく様子を図示したものです1)。回答はいかに……画像を拡大するみてわかるとおり、長期に観察すればやがてすべての患者が慢性化していくのが実態でした。そのスピードは年間約5%で、10年経つと約半数の例で発作性心房細動は慢性化していました。もちろんこのスピードは患者の背景によって変化し、器質的心疾患を持つ例や高齢者ではより速くなります。これはあくまでも数字ですので、この数字をどのようにとらえて実際の診療に当たるかは医師・患者個別の問題になりますね。たとえば、50歳の患者と80歳の患者では、この図が持つ意味がずいぶん変わると思います。最後に但し書きですが、これは再発性発作性心房細動が対象ですので、初発の発作性心房細動や、原因が明らかな心房細動(術後の一過性心房細動、甲状腺機能亢進症に伴う心房細動など)には当てはまりません。

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事例41 ヒアルロン酸の査定【斬らレセプト】

解説事例では、高血圧症と肝機能障害で通院中の患者に肝硬変を疑いD007 「42」ヒアルロン酸を実施したところ、C事由(医学的理由による不適当と判断されるもの)にて査定となった。同検査は、算定留意事項に「(前略)慢性肝炎の患者に対して、慢性肝炎の経過観察及び肝生検の適応の確認を行う場合に算定できる」とある。さらに、支払基金の審査情報提供では「『慢性肝炎』の病名の無い『肝機能障害』又は『肝細胞がん疑い』及び『肝硬変』が確定している場合は、同検査は診断の参考とならない」と示されている。認める場合は、「原発性胆汁性肝硬変」の診断時に参考とする場合と示されている。事例に記載されている「肝機能障害」からは「慢性肝炎」であることが読み取れない。また、「慢性肝炎」の判断ができない中での「肝硬変の疑い」では、肝生検の必要性が読み取れないとして、医学的に不適当と判断されたことが考えられる。保険請求では、その行為が必要であったことが、第三者に読み取れるよう診断傷病を記載することが肝要なのである。

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