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タコ部屋パワー【Dr. 中島の 新・徒然草】(063)

六十三の段 タコ部屋パワー私は健康のために、もっぱら自宅周辺を歩いております。問題は、いつも同じ景色を見ていると飽きてしまうということです。そこで YouTube を聴きながら歩くということをしています。そうすると飽きません。1時間とか、あっという間です。私の場合は音楽よりもお話系の方が好きです。特に面白いと思うのが「みなさん、こんにちは。あおば会計のタナカでございます」のセリフで始まる「キミアキ先生の起業酔話」というもの。これは東京の会計事務所の代表で起業コンサルタントのタナカ キミアキ氏が起業にまつわるあれこれを語っている、5分から10分くらいの動画です。200ほどある起業酔話の中でも特に感心したのが「タコ部屋&年収200万円からの出発」というタイトルのものです。紹介されていたのは10年生存率6%といわれる起業の中でも、どんどん大きくなっていった会社の1つです。立派な会社でも出発は30平米のタコ部屋。そこに何人かの若者が詰め込まれてソフトウエアの開発をしていたそうです。床に座ってプログラミングをしたり、ベッドで寝ていたり。皆、会社の周辺に住んでいるので出勤が簡単! というか、時々寝るために家に帰っていたという方が正しいわけです。ほとんど大学生の合宿みたいで、常時一緒にいるので、個々のスキルの相乗効果でどんどん成果が出ました。10年経った今は社員100人、売上10億の会社に成長し、西新宿の高層ビルに移ったのだとか。何となく既視感のある話だと思ったら、我々の研修医時代も同じような感じでしたね。病院に合宿していて時々自宅に帰っていたような感覚です。研修医の誰かがやらかしたことは、たちまち同期の研修医全員の知るところとなり、皆の戒めにもなっていました。時代によって少しずつ形は変わりますが、そのようにして過ごす人生の一時期はあってもいいんじゃないでしょうか。今思えば、最高に幸せな時だったと思います。最後に1句タコ部屋の パワー絶大 侮るな

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CADへのエベロリムスPCI vs.CABG~アジアでのRCT/NEJM

 多枝冠動脈疾患の患者へのエベロリムス溶出ステントによる経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、冠動脈バイパス術(CABG)に比べ、長期アウトカムが不良であることが明らかにされた。韓国・蔚山大学校のSeung-Jung Park氏らが、880例の患者について行った無作為化非劣性試験の結果、報告した。これまで多くのPCI対CABG比較試験が行われているが、第2世代薬剤溶出ステントを用いた検討は行われていなかった。NEJM誌2015年3月26日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。死亡、心筋梗塞、標的血管血行再建術のいずれかの発生率を比較 研究グループは、2008~2013年にかけて、東アジア27ヵ所の医療機関を通じて、多枝冠動脈疾患の患者を対象に、エベロリムス溶出ステントによるPCIとCABGについて無作為化非劣性試験を行った。 主要エンドポイントは、無作為化2年時点での死亡、心筋梗塞、標的血管血行再建術の複合だった。 試験は当初、1,776例の患者を無作為化するよう計画されたが、880例の患者(PCI群438例、CABG群442例)が登録された時点で、登録の遅延により試験は早期に終了となった。2年後のイベント発生率、PCI群で3.1%ポイント高率 結果、2年時点で、主要複合評価イベントが発生したのは、CABG群で7.9%に対し、PCI群は11.0%で、両群間の絶対リスク差は3.1ポイントで有意差はみられなかった(95%信頼区間[CI]:-0.8~6.9、非劣性に関するp=0.32)。 中央値4.6年の追跡期間中、主要複合評価エンドポイントが発生したのは、CABG群10.6%に対し、PCI群は15.3%の発生であった(ハザード比:1.47、95%CI:1.01~2.13、p=0.04)。 安全性に関する複合評価イベントの、死亡、心筋梗塞、脳卒中の発生率については、両群で同等だった。一方、再度の血行再建術の発生率は、PCI群11.0%に対しCABG群は5.4%(p=0.003)、自然発症心筋梗塞の発生率はそれぞれ4.3%と1.6%(p=0.02)と、いずれもPCI群で有意に高率だった。

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僧帽弁術中のアブレーション、術後に好影響/NEJM

 僧帽弁手術を受ける持続性心房細動患者に対し、術中に外科的心房細動アブレーションを行うことで、術後6ヵ月および12ヵ月の心房細動の無発生率が大幅に増大することが示された。ただし、永久ペースメーカー植込みリスクも上昇が示された。米国・クリーブランドクリニックのA. Marc Gillinov氏らが、260例の心房細動患者について行った無作為化比較試験の結果、報告した。僧帽弁手術を受ける患者のうち30~50%に心房細動がみられる。心房細動に対する外科的アブレーションは広く行われているが、安全性、有効性に関するエビデンスは限定的であった。NEJM誌2015年4月9日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。術後6、12ヵ月後の心房細動症状を3日間モニタリング 研究グループは、僧帽弁手術を要する持続性または長期持続性心房細動患者260例を対象に無作為化比較試験を行った。無作為に2群に割り付けて、一方の群には僧帽弁手術中に心房細動の外科的アブレーションを行い、もう一方の群には行わなかった。 アブレーション群についてはさらに無作為に2群に分け、肺静脈隔離術または両心房メイズ手術のいずれかを行った。 主要エンドポイントは、6ヵ月と12ヵ月後の心房細動の無発生で、3日間のホルター心電図モニタリングにより評価した。心房細動無発生はアブレーション群でおよそ2倍 結果、6ヵ月後と12ヵ月後に心房細動が無発生だった人の割合は、アブレーションなしの対照群が29.4%に対し、アブレーション群は63.2%と、大幅に増大した(p<0.001)。 また、ペースメーカー植込みの発生率については、対照群8.1/100患者年に対して、アブレーション群は21.5/100患者年と有意に高率だった(p=0.01)。 一方で1年生存率については、対照群が8.7%でアブレーション群が6.8%と、有意差はなかった(p=0.55)。 なお、アブレーション群のうち肺静脈隔離術を行った群と、両心房メイズ手術を行った群では、心房細動の無発生率について有意差はみられなかった(p=0.60)。

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黄砂はスギ花粉症の症状に影響するのか

 黄砂は、スギ花粉のシーズン中における鼻および眼のアレルギー症状に影響を及ぼさないことが、真生会富山病院の扇和 弘氏らによる研究で明らかになった。黄砂は、スギ花粉のシーズン前にくしゃみや鼻水、シーズン後に結膜炎の症状を誘発したが、スギ花粉シーズン中のアレルギー症状に対する悪影響は観察されなかった。Auris nasus larynx誌2014年12月号の報告。 黄砂は、モンゴルや中国の砂漠の砂塵が強風によって舞い上がって広範囲に飛散し、東アジアの人々に喘息や心臓病やアレルギー性疾患など健康への悪影響をもたらすことが明らかになっている。しかし、日本のスギ花粉によって引き起こされる花粉症患者における黄砂の影響は不明なままである。そのため本研究では、花粉症患者に対する黄砂の影響を調査した。 花粉症患者41例に鼻および眼のアレルギー症状スコアを毎日記録してもらい、スギ花粉シーズン中とシーズン前後における黄砂イベントの影響を評価した。 主な結果は以下のとおり。・黄砂イベントは、スギ花粉のシーズン中における鼻および眼のアレルギー症状に影響を及ぼさなかった。・くしゃみや鼻水のスコアは、スギ花粉シーズン前の黄砂イベントで有意に増加した。・眼症状スコアは、スギ花粉シーズン後の黄砂イベントで有意に増加した。

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NIRS、抗うつ効果の予測マーカーとなりうるか:昭和大

 最近の研究で、近赤外分光法(NIRS)が大うつ病性障害(MDD)の診断支援ツールとして臨床使用可能であることが示されている。しかし、認知タスク施行中のNIRSシグナルの変化がうつ病の状態に依存しているのか、あるいはうつ病の特性に依存しているのか、またNIRSにより治療反応の神経学的予測が可能か否かは明らかとなっていない。昭和大学の富岡 大氏らは、うつ病の診断と治療におけるNIRSの使用意義を明らかにするため、MDD患者を対象に、抗うつ薬治療後の機能的神経画像の縦断的研究を行った。その結果、NIRSシグナルの変化がうつ病の疾患特異的マーカーになりうること、および抗うつ薬の効果を予測するバイオマーカーになり得る可能性を示した。PLoS One誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。 研究グループは、52チャンネルNIRSを使用し、薬物未治療のMDD患者における抗うつ薬治療後の前頭部血行動態の変化を、縦断研究にて調べた。薬物未治療のMDD患者25例および健常対照(HC)62例を対象とした。抗うつ薬治療前後にNIRSスキャンを実施し、治療後の言語流暢性課題(VFT)実施中のオキシ-ヘモグロビン濃度[oxy-Hb]の変化を測定した。 主な結果は以下のとおり。・MDD患者では、ベースライン期の両側前頭葉および側頭葉におけるVFT実施中の[oxy-Hb]値が、HCに比べ有意に減少した。・MDD患者は抗うつ薬投与後にうつ症状が有意に改善したにもかかわらず、抗うつ薬治療前後で[oxy-Hb] 値に変化は認められなかった。・MDD患者では、ベースライン期の両側下前頭回および中側頭回におけるVFT実施中の平均[oxy-Hb]値とうつ症状改善との間に有意な関連が認められた。・これらの結果は、VFTに対応する前頭葉機能低下は、うつ病の状態像マーカーというよりも、うつ病の疾患特異的マーカーとなる可能性を示唆する。・さらに、治療開始前のNIRSシグナルが、患者の抗うつ薬治療に対する臨床反応を予測するバイオマーカーとなりうる可能性が相関分析により示された。・本研究により、NIRSがうつ病の診断と治療に応用可能であることを支持するさらなるエビデンスが提供された。 関連医療ニュース うつ病治療、概念や診断方法の相違が課題 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 アルツハイマー病とレビー小体型認知症、共通のバイオマーカー  担当者へのご意見箱はこちら

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Dr.桑島の動画でわかる「エビデンスの正しい解釈法」

J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とはJ-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。本企画では、J-CLEARの活動の一環として、CareNet.comで報道された海外医学ニュース「ジャーナル四天王」に対し、臨床研究の適正な解釈を発信するものです。詳しくはこちら1月~3月の3ヵ月間で最も読まれたJ-CLEAR発信記事 TOP51位)FINGER試験:もしあなたが、本当に認知症を予防したいなら・・・(解説:岡村 毅 氏)-3212位)LancetとNEJM、同じデータで割れる解釈; Door-to-Balloon はどこへ向かうか?(解説:香坂 俊 氏)-3003位)DAPT試験を再考、より長期間(30ヵ月)のDAPTは必要か?(解説:中川 義久 氏)-2994位)治療抵抗性高血圧の切り札は、これか?~ROX Couplerの挑戦!(解説:石上 友章 氏)-3135位)市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博 氏)-311J-CLEARのメンバーが評論した論文を紹介したコーナー「CLEAR!ジャーナル四天王」記事一覧はこちらをクリック

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疼痛管理の改善が認知症患者の問題行動を減らす?

 認知症患者の痛みは、気付かれることが少なく治療が不十分である。英国・ロンドン大学のElizabeth L Sampson氏らは、急性期総合病院に入院中の認知症患者を対象とした縦断的コホート研究において、疼痛が認知症の行動・心理症状(BPSD)と関連しており、疼痛管理の改善が問題行動を減少させ、認知症患者に対する入院ケアの質を向上させる可能性があることを示した。Pain誌2015年4月号の掲載報告。 研究グループは、認知症患者における疼痛の有病率、ならびに疼痛とBPSDとの関連を調べるため、英国の急性期総合病院2施設に入院した70歳超の認知症患者230例を対象に縦断的コホート研究を行った。 ベースライン、および4日ごとに、疼痛の有無と程度(はい/いいえの質問票、およびFACESスケールによる)、運動時ならびに安静時の疼痛(Pain Assessment in Advanced Dementia[PAINAD]による)、焦燥性興奮(agitation)(Cohen-Mansfield Agitating Inventory[CMAI]による)、BPSD(Behavioural Pathology in Alzheimer Disease Scale [BEHAVE-AD]による)について評価した。 主な結果は以下のとおり。・疼痛有病率は、入院時が27%で、入院中は39%まで増加した時期もあった。・FACESスケールを完全に実施できたのは5割で、重度の認知症患者ではこの割合が減少した。・PAINADでは、少なくとも1度は安静時疼痛あり19%、同様に運動時疼痛あり57%であった(うち16%は入院期間中を通して持続していた)。・疼痛は、CMAIスコアとは関連していなかった。・疼痛は、BEHAVE-AD合計スコアとは強く関連していた(運動時疼痛:β=0.20、95%信頼区間[CI]:0.07~0.32、p=0.002/安静時疼痛:β=0.41、95%CI:0.14~0.69、p=0.003)。関連性は、攻撃性および不安に関して最も強かった。

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アリロクマブ併用による長期のLDL-C改善効果/NEJM

 米国・アイオワ大学のJennifer G Robinson氏らODYSSEY LONG TERM試験の研究グループは、心血管リスクの高い患者の治療において、新規LDLコレステロール(LDL-C)低下薬アリロクマブ(alirocumab、国内未承認)を最大耐用量のスタチンと併用すると、長期にわたりLDL-C値が有意に減少し、心血管イベントが抑制されることを確認した。アリロクマブは、前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に対するモノクローナル抗体であり、第II相試験では短期的投与(8~12週)により、スタチン治療を受けている患者のLDL-C値を40~70%減少させることが示されている。NEJM誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。長期の上乗せ効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 ODYSSEY LONG TERM試験は、スタチン治療を受けている高リスク例に対するアリロクマブ追加の長期的な有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(Sanofi社などの助成による)。対象は、年齢18歳以上、ヘテロ型家族性高コレステロール血症(FH)または冠動脈心疾患(CHD)、あるいはCHD相当のリスクを有し、LDL-C値≧70mg/dLであり、高用量または最大耐用量のスタチン治療を受けている患者であった。 被験者は、アリロクマブ(150mg含有1mLシリンジで皮下投与)またはプラセボを2週ごとに投与する群に2対1の割合で無作為に割り付けられ、78週の治療が行われた。主要有効性評価項目は、ベースラインから24週までのLDL-C値の変化率であった。 27ヵ国320施設に2,341例が登録された。アリロクマブ群に1,553例、プラセボ群には788例が割り付けられ、それぞれ1,530例、780例が解析の対象となった。LDL-C値が62%減少、重度の心血管有害事象は48%抑制 全体の平均年齢は60歳、女性が37.8%で、CHDの既往歴は68.9%にみられ、ヘテロ型FHが17.7%含まれた。46.8%が高用量スタチンの投与を受け、28.1%はエゼチミブなどの他の脂質降下薬を併用していた。ベースラインの平均LDL-C値は122mg/dLであった。 24週時のベースラインからのLDL-C値の平均変化率の両群間の差は-62%であり、アリロクマブ群で有意に減少した(48.3 vs. 118.9mg/dL、p<0.001)。ヘテロ型FHとそれ以外の患者の間に差はみられなかった。また、この治療効果は4週時には達成され、78週時(57.9 vs. 122.6mg/dL)も維持されていた。 24週時のLDL-C<70mg/dLの達成率は、アリロクマブ群が79.3%、プラセボ群は8.0%であった(p<0.001)。また、LDL-C以外の脂質の24週時の変化率の差は、非HDL-Cが-52.3%、アポリポ蛋白Bが-54.0%、総コレステロールが-37.5%、リポ蛋白(a)が-25.6%、空腹時トリグリセライドが-17.3%とアリロクマブ群で有意に減少し、HDL-Cは4.6%、アポリポ蛋白A1は2.9%と有意に増加した(いずれもp<0.001)。 重篤な有害事象は、アリロクマブ群が18.7%、プラセボ群は19.5%に発現し、有害事象による試験薬の中止はそれぞれ7.2%、5.8%に認められた。アリロクマブ群で頻度の高い有害事象として、注射部位反応(5.9 vs. 4.2%)、筋肉痛(5.4 vs. 2.9%、p=0.006)、神経認知障害(譫妄、認知/注意障害、認知症、健忘症など、1.2 vs. 0.5%)、眼イベント(視神経/網膜/角膜の障害、2.9 vs. 1.9%)がみられた。 事後解析では、重度の心血管有害事象(CHDによる死亡、非致死的心筋梗塞、致死的/非致死的虚血性脳卒中、入院を要する不安定狭心症)の発現率はアリロクマブ群で有意に低かった(1.7 vs. 3.3%、ハザード比:0.52、95%信頼区間:0.31~0.90、p=0.02)。 著者は、「これらの知見は、既報の他のPCSK9阻害薬(エボロクマブ)の臨床試験(N Engl J Med. 2014;370:1809-1819、Circulation. 2014;129:234-243)の結果と類似する」と指摘している。

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C型肝炎治療最前線 経口薬への期待

 C型肝炎の治療に新たな変化が起きている。ダクルインザ・スンベプラ併用療法のインターフェロン未治療・再燃患者への適応拡大に伴い、2015年4月8日、都内にてプレスセミナー(主催:ブリストル・マイヤーズ株式会社)が開催された。今回は、茶山 一彰氏(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門 消化器・代謝内科学 教授)の講演内容を中心にセミナーの内容を紹介する。インターフェロンの副作用が大きな負担 従来、本邦におけるC型肝炎根治療法の主体はインターフェロン(IFN)であった。1992年にIFN単独療法が、2004年にペグIFN・リバビリン併用療法が承認された。さらに、2013年には経口プロテアーゼ阻害薬が承認され、3剤併用療法が開始された。しかし、依然として治療の主体はIFNであり、うつ・全身倦怠感をはじめとする重い副作用が患者にとって大きな負担となってきた。ダクルインザ・スンベプラ療法 昨年9月に発売されたダクルインザ(一般名:ダクラタスビル)とスンベプラ(同:アスナプレビル)は日本初のIFNフリーで治療可能な経口C型肝炎治療薬である。ダクルインザ・スンベプラ療法は、日本におけるC型肝炎の約70%を占めるセログループ1(ジェノタイプ1)型またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症を改善する効果がある。本剤の登場により、これまで高齢や合併症リスク、副作用などでIFNを含む既存の治療を受けられない患者、あるいは十分な効果が得られなかった患者さんに、新たな治療選択肢が加わった。経口2剤併用療法が適応拡大 また、これまでダクルインザ・スンベプラ療法の適応は、「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変で、(1)IFNを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者、(2)IFNを含む治療法で無効となった患者」であった。 しかし、今回(2015年3月)の適応拡大に伴い、IFNの治療歴にかかわらず、日本人で最も多いジェノタイプ1型C型肝炎のすべての患者がこの治療法を選択できるようになった。さらに、第III相試験において、本療法の貧血・皮疹などの副作用は、3剤併用療法例よりも有意に低発現であり、安全性の面でも期待されている。IFNフリー療法への期待 ダクルインザ・スンベプラ療法はその安全性と有効性の観点から、現在約2万6,000例に投与されているという。第III相試験では、ウイルスの遺伝子変異がなければ本療法は98%と高い著効率を示している。茶山氏は「投与前のウイルス遺伝子検査を徹底し適切に使用すれば、患者に優れた有効性と安全性をもたらすことができる」と強調し、講演を結んだ。

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認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加

 抗精神病薬治療は認知症高齢者における死亡率上昇と関連がある。しかし、無治療またはその他の向精神性の薬剤と比べた場合のリスクに対する絶対的影響については明確にされていない。米国・ミシガン大学のDonovan T. Maust氏らは、認知症高齢者における抗精神病薬による死亡リスクを明らかにするため、後ろ向きケースコントロール研究を実施した。その結果、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンなどの非定型抗精神病薬による治療は、無治療および抗うつ薬治療と比べ死亡リスクが大きく、用量依存的に死亡リスクが増大することを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。 研究グループは、無治療、あるいは抗うつ治療と比較した認知症患者における抗精神病薬、バルプロ酸およびバルプロ酸製剤、抗うつ薬使用における、絶対死亡リスクの上昇と有害必要数(NNH)(何人の患者を治療するごとに死亡1例が発生するかを示す指標)を明らかにする検討を行った。1998年10月1日~2009年9月30日に、米国退役軍人健康庁(VHA)にて後ろ向きケースコントロール研究を実施した。対象は、65歳以上の認知症患者9万786例で、最終分析は2014年8月に実施された。抗精神病薬(ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)、バルプロ酸およびバルプロ酸製剤、あるいは抗うつ薬の新規処方(薬剤使用者4万6,008例)について検討した。フォローアップ期間180日における死亡リスクおよびNNHの絶対変化を、複数のリスク因子をマッチングさせた非薬剤治療患者と比較した。薬剤治療開始患者では、各薬剤関連の死亡リスクを、年齢、性別、認知症罹患年数、せん妄の有無、その他の臨床的・人口学的特性を調整したうえで、抗うつ薬投与群を対照として用い、比較した。副次的分析ではオランザピン、クエチアピン、リスペリドンそれぞれに関する用量調整絶対死亡リスクを比較した。 主な結果は以下のとおり。・各要素をマッチさせた非薬剤治療群との比較において、ハロペリドール群では死亡リスクが3.8%(95%信頼区間[CI]:1.0~6.6%、p<0 .01)増加し、NNHは26(95%CI:15~99)であった。・次にリスペリドンの3.7%(同:2.2~5.3%、p<0 .01)、NNH 27(同:19~46)と続き、オランザピンは増加率2.5%(0.3~4.7%、p=0 .02)、NNH 40(21~312)、クエチアピンは2.0%(0.7~3.3%、p<0 .01)、NNH 50(30~150)であった。・抗うつ薬使用患者との比較において、死亡リスクの上昇およびNNHはハロペリドール群の増加率12.3%(8.6~16.0%、p<0 .01)およびNNH 8(6~12)から、クエチアピン群の3.2%(1.6~4.9%、p<0 .01)およびNNH 31(21~62)までの範囲にあった。・非定型抗精神病薬(オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)のグループ全体では、高用量群における死亡率が低用量群に比べて3.5%高く(0.5~6.5%、p=0 .02)、死亡リスクにおける用量反応関係が示された。・クエチアピンとの直接比較において、リスペリドン(1.7%、95%CI:0.6~2.8%、p=0 .003)およびオランザピン(1.5%、95%CI:0.02~3.0%、p=0.047)はいずれも用量調整死亡リスクの増加を認めた。・以上より、認知症高齢者における抗精神病薬の死亡率に与える絶対的影響は、これまでの報告より大きく、用量に伴い増加する可能性が示された。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか  担当者へのご意見箱はこちら

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βブロッカーは心房細動合併心不全の予後を改善しない(解説:小田倉 弘典 氏)-345

 収縮能が低下した慢性心不全患者に対するβ遮断薬の有効性は、多数の無作為化比較試験(RCT)により証明されている。代表的なものとして、カルベジロールではUS-Carvedilol試験1)、ビソプロロールではCIBIS II試験2)、メトプロロールではMERIT-HF試験3)において、生命予後の改善が示され、これらを基に国内外のガイドラインでも収縮性心不全に対するβ遮断薬投与は強く推奨されている。 しかし、これらの試験の対象は洞調律患者が主であり、心房細動患者を対象としたCIBIS II試験のサブ解析では、心房細動患者にはβ遮断薬の効果は認められないことが報告されていた4)。 そこで、心房細動を合併した収縮性心不全例と合併しない例に対するβ遮断薬の効果を、心房細動を合併しない心不全例と比較したメタ解析が本論文である。 方法は、心不全患者に対するβ遮断薬とプラセボを比較したRCTの個人レベルのデータを抽出。心房細動か洞調律かの確認は、ベースラインの心電図で確認した。主要アウトカムは全死亡。 結果は、1万8,254例の患者が対象となり、ベースラインでは1万3,946例(76%)が洞調律、3,066例(17%)が心房細動だった。平均follow up1.5年の粗死亡率は、洞調律群で16%(2,237/1万3,945例)、心房細動群で21%(633/3,064例)だった。β遮断薬内服は、洞調律群では全死亡を有意に減らした(HR 0.73、95%CI:0.67~0.80、p<0.001)が、心房細動群では、全死亡を減らさなかった(HR 0.97、95%CI:0.83~1.14)。 心房細動群のサブグループ解析では、年齢、性別、左室機能、NYHA分類、心拍数、ベースラインの治療を調整してもすべての群で有意差を認めなかった。「β遮断薬は心不全と心房細動を合併している患者の予後を改善するために、ほかの心拍コントロール薬剤より優先して用いるべきではない」と結論付けている。 まず批判的吟味だが、心房細動群は平均年齢65歳、左室駆出分画平均は25%、平均心拍数80/分であった。メタ解析としては個人レベルのデータを取り出していて、研究異質性はI2=0%ときわめて低い。心電図診断はベースライン時のもののみである点や、心不全の定義が試験間で異なることが指摘されるが、総合的にみると比較的良質なメタ解析と思われる。 では、この結果をどう解釈したらよいだろう? 心房細動は、心房患者の14~50%に合併するといわれている5)。心不全に心房細動が合併した場合、予後が悪化するか否かに関しては相反するデータもあるが、2009年のメタ解析では心房細動がある心不全例は、心房細動がない例に比べ死亡率が1.4倍であった6)。心房細動が血行動態悪化に影響する要因は、(1)頻脈または徐脈、(2)脈の不整、(3)心房収縮の欠如、(4)神経体液性因子の活性化などが挙げられる。このうち、脈の不整および心房収縮の欠如については、β遮断薬の効果は得られない。また頻脈を改善し血行動態の改善が期待できるが、本解析で取り上げられた試験のベースラインの心拍数は80/分とすでに低いものであり、β遮断薬の恩恵は少ないのかもしれない。また、β遮断薬のadverse effectとして、急性期での心機能低下や過度の徐脈なども危惧される。 洞調律のときのように、第1選択薬として無条件に考えるのではなく、あくまで個々の症例の心機能や心拍数を十分検討したうえでβ遮断薬の使用を決めようというのが、本解析から得られる教訓と思われる。【参考文献はこちら】1)Colucci WS, et al. Circulation. 1996;94:2800-2806.2)CIBIS-II Investigators and Committees. Circulation. Lancet. 1999;353:9-13.3)MERIT-HF Study Group. Lancet. 1999;353:2001-2007.4)Lechat P, et al. Circulation. 2001;103:1428-1433.5)Maisel WH, et al. Am J Cardiol. 2003;91:2D-8D.6)Mamas MA, et al. Eur J Heart Fail. 2009;11:676-683.

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症例から学ぶ 輸入感染症 A to Z

対話形式だからサクサク読める!輸入感染症診療の今を学習海外渡航者が増加の一途をたどる現代社会において、いかなる医療機関においても輸入感染症に遭遇する可能性は少なくありません。マラリアや腸チフスなどのメジャーな疾患から近年話題のデング熱やエボラ出血熱、さらには見落としてはいけないマイナーな感染症まで、「日本で」診る可能性のある輸入感染症の適切な診療について忽那、上村の師弟コンビが対話形式でゆる~く解説します。感染症と戦う最前線からのレポート、ぜひご覧ください!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   症例から学ぶ 輸入感染症 A to Z定価 4,000円 + 税判型 A5判頁数 302頁発行 2015年4月著者 忽那賢志Amazonでご購入の場合はこちら

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事例48 APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)の査定【斬らレセプト】

解説事例では、D006 2 PT(プロトロンビン時間)とD006 7 APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を実施したところ、APTT がD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの: 社保)にて査定となった。医師から、「ワーファリン®錠の添付文書には、『本剤は、血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)の検査値に基づいて、本剤の投与量を決定し、血液凝固能管理を十分に行いつつ使用する薬剤である』とあったために、PTとAPTTの組み合わせで血液凝固能管理を行っていたが、なぜAPTTが査定となったのか」と問い合わせがあった。添付文書で示されている検査は、PTとTT(トロンボテスト)であり、APTTは含まれていない。また、ワーファリン®錠投与中はコントロールされた血液凝固異常状態である。したがって、投与量をモニタリングするために認められるPT以外は、定期的検査として認めないとされたものであろう。しかし、術前検査や副作用チェックなど、医学的に必要としたコメントがある場合には査定となっていないことも申し添える。

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「明日から役立つ内科診療ベストライブ」のご案内

 創業140周年を迎えた医学書の老舗出版社、金原出版では、『こんなとき、フィジカル』『テーブル回診LIVE@神戸大学感染症内科』『Fever』を刊行するとともに、その出版を記念して、「明日から役立つ 内科診療ベストライブ」と題した講演会を4月30日に開催する。 当日は、 それぞれの書籍の著者が、書籍内容に関連したテーマで“ここでしか聴けない”“すぐに役立つ” 内科診療の秘訣をレクチャーする予定。 「明日から役立つ 内科診療ベストライブ」の概要、申込みは次の通りである。■開催概要日 時 2015年4月30日(木)    18:00開場  18:30開演(21:00終了予定)場 所 紀伊國屋サザンシアター    (新宿タカシマヤタイムズスクエア 紀伊國屋書店 新宿南店7階)内 容 プロフェッショナルが贈る! 明日から役立つ 内科診療ベストライブ    (トークショー&パネルディスカッションほか) 講演者 徳田安春氏・岩田健太郎氏・忽那賢志氏・國松淳和氏・佐田竜一氏・狩野俊和氏     (敬称略)料 金 1,000円(税込)全席指定(先着順)※特典として素敵なグッズを来場者全員にプレゼント!●チケットのお申込みは (電話予約)紀伊國屋サザンシアター 03-5361-3321(10:00~18:30)●詳しくは金原出版 特設サイトまで画像を拡大する

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第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは

 抗精神病薬は作業記憶(ワーキングメモリ)での重要な鍵の役割を担う神経伝達物質システムをターゲットとしている。それゆえに、抗精神病薬はこれらの神経伝達物質受容体での働きを介して、認知機能を調整することが期待されている。しかし、作業記憶に対する抗精神病薬の正確な作用は、明らかにされていない。英国キングス・カレッジ・ロンドンのRhianna Goozee氏らは、機能的MRI研究を行い、健常者の作業記憶中における脳活性化について、ハロペリドールとアリピプラゾールの1回投与での即時および特異な作用を立証した。結果を踏まえて著者は、「正確なメカニズムは不明だが、このハロペリドールとアリピプラゾールの作用の違いが、異なる受容体親和性プロファイルを反映する可能性が示唆される」とまとめている。Schizophrenia Research誌2015年3月13日号(オンライン版2015年2月23日号)の掲載報告。 研究グループは、健常者17人を対象に、N-back課題を使用して、作業記憶能に関する2つの抗精神病薬の効果を調べるため、完全にバランスの取れた二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照比較試験を実施した。参加者は3回にわたって、プラセボ、ハロペリドール、アリピプラゾール(順不同)の投与下において、機能的MRI検査を受け、それぞれの状態での作業記憶能を検査した。そして、主な作業記憶能と線形負荷を調べるために、神経活性化の図解はランダム効果一般線形回帰分析で考察した。各介入で脳活性化の変化領域を得るため、ボクセル・ワイズと関心領域(ROI)分析を実施した。 結果は以下のとおり。・アリピプラゾールは、プラセボと比較して神経活性化の変化にはつながらなかった。しかし、正しい反応への反応時間はプラセボ(p=0.046)とハロペリドール(p=0.02)の両方と比較して、アリピプラゾールでは有意に増加した。・アリピプラゾールとは対照的に、プラセボと比較して、ハロペリドールは頭頂部(BA7/40;left:FWE-corr. p=0.005;FWE-corr. right:p=0.007)と前額部(前頭葉を含む;BA9/44/46;left:FWE-corr. p=0.009;right:FWE-corr. p=0.014)の各大脳皮質と、左被殻(FWE-corr. p=0.004)の活性化を遅らせた。・ハロペリドールは、アリピプラゾールと比較すると、頭頂皮質(BA7/40;left:FWE-corr. p=0.034;right:FWE-corr. p=0.045)と左被殻(FWE-corr. p=0.015)の活性化を遅らせた。・ハロペリドールはプラセボと比較して作業記憶パフォーマンスへの影響はなかった。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン 抗コリン薬は高齢者の認知機能に悪影響  担当者へのご意見箱はこちら

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CADへのエベロリムスPCIの長期転帰、CABGと同等か/NEJM

 多枝冠動脈疾患に対するエベロリムス溶出ステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の長期的な死亡リスクは、冠動脈バイパス術(CABG)とほぼ同等であることが、米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らの検討で示された。多枝冠動脈疾患患者の長期的死亡率は、CABG施行後のほうがPCI施行後よりも低いことが、臨床試験や患者登録研究で報告されているが、それらの解析では第2世代薬剤溶出ステントによるPCIの評価は行われていないという。NEJM誌2015年3月26日号(オンライン版2015年3月16日号)掲載の報告より。患者登録データをマッチングして比較 研究グループは、多枝冠動脈疾患に対するエベロリムス溶出ステントによるPCIの転帰をCABGと比較するために、患者登録に基づく解析を行った(Abbott Vascular社の助成による)。多枝冠動脈疾患は、2本以上の主要心外膜冠動脈に重篤な狭窄(≧70%)がみられる場合とし、左冠動脈主幹部の≧50%の狭窄や発症後24時間内の心筋梗塞の患者などは除外した。 データの収集には、ニューヨーク州保健局の2つの患者登録データベース(Cardiac Surgery Reporting System:CSRS、Percutaneous Coronary Intervention Reporting System:PCIRS)を使用した。傾向スコアマッチング法を用い、ベースラインの背景因子が類似する患者コホートを同定した。主要評価項目は全死因死亡、副次的評価項目は心筋梗塞、脳卒中、再血行再建術とした。 2008年1月1日~2011年12月31日の間に血行再建術を受け、適格基準を満たした多枝冠動脈疾患患者3万4,819例(PCI:1万6,876例[48.5%]、CABG:1万7,943例[51.5%])を同定し、各群の9,223例ずつをマッチさせた(平均年齢65歳、男性73%)。心筋梗塞と再血行再建のリスクが高く、脳卒中は低い 平均フォローアップ期間2.9年における年間死亡率は、PCI群が3.1%、CABG群は2.9%であり、両群間に差はなかった(ハザード比[HR]:1.04、95%信頼区間[CI]:0.93~1.17、p=0.50)。 心筋梗塞の年間発症率は、PCI群が1.9%であり、CABG群の1.1%に比べ有意に高かった(HR:1.51、95%CI:1.29~1.77、p<0.001)。このPCIの高い心筋梗塞リスクは、主に自然発症心筋梗塞(HR:1.55、95%CI:1.31~1.82、p<0.001)によるもので、手技関連心筋梗塞のリスクには有意な差はなかった(HR:1.36、95%CI:0.68~2.71、p=0.39)。また、完全血行再建例では両群間に差はなく、PCIの高いリスクは主に不完全血行再建例でのものだった(交互作用検定:p=0.02)。 再血行再建術の年間施行率も、PCI群が7.2%と、CABG群の3.1%に比し有意に高率であった(HR:2.35、95%CI:2.14~2.58、p<0.001)。この差は、2枝病変は3枝病変に比べ、また完全血行再建例は不完全血行再建例に比べて顕著ではなかった(交互作用検定:p=0.02)ものの、いずれもCABG群で良好であった。 一方、脳卒中の年間発症率は、PCI群が0.7%であり、CABG群の1.0%よりも有意に良好であった(HR:0.62、95%CI:0.50~0.76、p<0.001)。この差は、主に30日以内(HR:0.18、95%CI:0.11~0.29、p<0.001)の短期的なリスクによるもので、30日以降のランドマーク解析では両群間に差はなかった(HR:1.05、95%CI:0.81~1.37、p=0.69)。 なお、30日以内の短期的転帰はPCI群が良好で、死亡(0.6 vs. 1.1%、HR:0.49、95%CI:0.35~0.69、p<0.001)と脳卒中(0.2 vs. 1.2%、HR:0.18、95%CI:0.11~0.29、p<0.001)には有意差がみられた。心筋梗塞には差がなかった(0.5 vs. 0.4%、HR:1.37、95%CI:0.89~2.12、p=0.16)。 著者は、「エベロリムス溶出ステントによるPCIは、短期的には死亡と脳卒中のリスクがCABGよりも優れるが、長期的な死亡リスクには差がなかった。PCIは心筋梗塞(不完全血行再建例)と再血行再建のリスクが高く、CABGは脳卒中のリスクが高かった」とまとめ、「PCIで完全血行再建が期待できる場合の選択は、CABGの短期的な死亡および脳卒中のリスクと、PCIの長期的な再血行再建のリスクを比較検討して決めるべき」と指摘している。

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悪性黒色腫の術後補助療法 イピリムマブが無再発生存を延長

 悪性黒色腫患者に対するイピリムマブの術後補助療法により、無再発生存が延長することが、フランスのギュスターヴ・ルシーがん研究所のAlexander M M Eggermont氏らにより、報告された。 これまでイピリムマブは、切除不能または転移性悪性黒色腫に使用されている(本邦では未承認)が、Eggermont氏らは再発リスクの高いステージIIIの患者における完全切除後の効果について調査した。Lancet Oncology誌オンライン版2015年3月31日号掲載報告。 試験は、19ヵ国91施設で実施された。対象はこれまで全身的療法を受けていないステージIIIの皮膚黒色腫患者で、十分なリンパ節郭清(1mm以下の深達度のリンパ節転移または所属リンパ節までの皮下・皮内転移を除く)を行った患者の術後補助療法として実施された。 被験者は無作為にイピリムマブ群(10mg/kg静脈内投与)とプラセボ群に1:1に割り付けられ、3週間おきに4回、その後3ヵ月ごとに最長3年投与された。無作為化はステージ、地域別に行われた。主要評価項目は無再発生存で、独立した評価委員会によってintention to treat解析で評価された。 主な結果は以下のとおり。・2008年7月10日から2011年8月1日までの間に、イピリムマブ群475例、プラセボ群476例(計951例)が登録され、全員がintention to treat解析に入れられた。・追跡期間中央値2.74年(IQR:2.28~3.22年)の間に528例(イピリムマブ群234例、プラセボ群294例)でイベントが生じた。・無再発生存期間中央値はイピリムマブ群26.1ヵ月、プラセボ群17.1ヵ月(ハザード比:0.75、95%信頼区間:0.64~0.90、p=0.0013)であった。・3年無再発生存率はイピリムマブ群46.5%、プラセボ群34.8%であった。・グレード3~4の自己免疫反応による有害事象は、胃腸[イピリムマブ群75例(16%)、プラセボ群4例(<1%)]、肝[イピリムマブ群50例(11%)、プラセボ群1例(<1%)]、内分泌[イピリムマブ群40例(8%)、プラセボ群0例]であった。・イピリムマブ投与による有害事象により、471例中245例(52%)が治療を中断し、5例(1%)が死亡した。死亡の内訳は3例が大腸炎(うち2例は胃腸穿孔)、1例が心筋炎、1例がギラン·バレー症候群と多臓器不全であった。 Eggermont氏らは「悪性黒色腫の術後補助療法としてのイピリムマブの投与量およびスケジュールのリスク・ベネフィットの比較には、無転移生存、全生存の評価項目によるさらなる調査が必要だ」とまとめた。

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DPP-4阻害薬の副作用としての心不全-アログリプチンは安全か…(解説:吉岡 成人 氏)-344

糖尿病患者の2人に1人はDPP-4阻害薬が処方されている 厚生労働省の発表によれば、日本人の糖尿病患者はおおよそ950万人ほどであり、そのうちの約70%の患者、665万人ほどが医療機関に通院していると推計されている。糖尿病の治療に使用される薬剤は、スルホニル尿素(SU)薬、ビグアナイド(BG)薬が治療の基本薬として考えられているが、SU薬では低血糖、BG薬では稀ではあるが、乳酸アシドーシスなど副作用があり、BG薬は75歳以上の高齢者、血清クレアチニンが1.20mg/dL以上の患者では新規に処方されることは推奨されず、造影剤を使用する際などにおける休薬など煩雑な注意が必要とされる。そのようななかで、単剤では低血糖を引き起こすことがなく、比較的安全で有用性が高いDPP-4阻害薬が広く使われており、日本では、350万人以上の患者に処方されていると推定されている。DPP-4阻害と心機能-基礎と臨床の乖離- DPP-4阻害薬は心機能を改善させる作用を持つGLP(glucagon like peptide)-1を増加させ、BNP(brain natriuretic peptide)の生理活性を増加させる可能性を持つ薬剤として、糖尿病患者における心血管イベントの抑止に有用ではないかと考えられてきた。また、慢性心不全の患者の3~4割は糖尿病を合併しており、糖尿病自体も慢性心不全のリスク因子として注目されている。心筋細胞において分泌されたproBNPは、NT-proBNPとBNP(1-32)にほぼ1:1の割合で切断される。DPP-4はBNP(1-32)をより生理活性が弱いBNP(3-32)に分解する作用があり、DPP-4を阻害することは、より生理活性が高いBNP(1-32)を増加させ、臓器保護や利尿作用という点でベネフィットになるのではないかと考えられていた。 しかし、DPP-4阻害薬であるサキサグリプチン、アログリプチンを使用した大規模臨床試験であるSAVOR-TIMI53、EXAMINEでは心血管イベントに対する薬剤の安全性(非劣性)を確認することができたが、心血管に有用性があると考えられたDPP-4阻害を使用し、HbA1cがプラセボ群に比較して0.2~0.3%低下したことのメリットは何も証明されず、SAVOR-TIMI53では心不全による入院のリスクが27%ほど高まったという理解に悩む結果のみが残された。いくつかの臨床試験のメタアナリシス1) でも、その懸念は払拭できなかった。アログリプチンはサキサグリプチンと違うのか 今回発表されたEXAMINEの事後解析の結果では、前回報告された主要複合評価項目(心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中)とは別に、探索的な複合評価項目(全死亡+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+不安定狭心症による緊急血行再建術+心不全による入院)では、アログリプチン群とプラゼボ群で差はなく、心不全による入院の発生率も、アログリプチン群3.1%、プラセボ群2.9%(HR:1.07、95%信頼区間:0.79~1.46、p=0.657)で、差はなかったと報告されている。 SAVOR-TIMI53の対象となった患者よりも、心不全の発症リスクが高いと考えられる患者が多いEXAMINEで、なぜ心不全のリスクが上昇しないのか、主要複合評価項目を用いたエンドポイントを簡単には比較できないが、シタグリプチンを使用した臨床試験であるTECOS (The Trial to Evaluate Cardiovascular Outcomes after Treatment with Sitagliptin )のデータが待たれる。

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新しい結論がないことが結論(解説:野間 重孝 氏)-343

 多くの循環器科医師たちが、薬物溶出ステント(DES)と抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)とその持続期間に関するコンセンサスとして考えていることは、以下のようなものではないかと思う。(1)適切なDAPTを行うことにより、DESにおける遅発性ステント血栓症をある程度確実に抑制することができる。(2)DAPTを長期にわたって行うことと一連の出血性合併症の発生は、いわばトレードオフの関係にある。(3)そこで、臨床医は各患者の年齢、病変形態、合併症、全身状態などを勘案し、(一応の指針はあるものの)DESの期間については各患者について適宜判断する必要がある。  本論文は、最近発表された10の論文を取り上げてメタアナリシスを行うことにより、上記の内容をほぼ追認した形になっている。ただし(2)については単純なトレードオフとはいえず、長期DAPT群では心臓死の減少分を非心臓死の増大分が上回るため、長期DAPT群では死亡率にわずかではあるが上昇がみられるという知見を付け加えた。 これまでもDAPTの継続期間に関する論文が数多く出版されているが、いまだに決定的な回答が得られるには至っていない。その理由としては次のようなものが挙げられると思う。1. 最大の原因はまず母集団が均等でないことである。使用されたステントの薬物、薬物放出プログラム、ステントデザインはさまざまであり、かつステント以外の要素(年齢、病変形態、使用薬剤、合併症など)も一様ではない。また、PCIに関する臨床研究はその性格上無作為二重盲検は不可能である。2. silentに発生しているものまで含めたステント血栓症の、真の発生頻度は不明であること。なぜなら、ステント血栓症は臨床的に何らかの合併症を起こして初めて認識されるものだからである。3. 治療の進歩により心筋梗塞、脳卒中の急性期の臨床成績は向上しているため、心血管事故がただちに死亡に結び付くことが少なくなった。同様のことが他の死亡原因についてもいえる。4. 対比される非心臓死についての分析がどうしても不十分になる。とくにメタアナリシスではほぼ無視されている。たとえば、この論文でもがん患者において長期DAPTの死亡率が高いことが挙げられているが、理由は不明である。 高齢者、抗凝固療法が必要な患者、他の重大な合併症を有する患者では、当然DAPTの期間は短いほうが望ましいため、いわゆる第2世代ステントが主流になって以来、さまざまな形でDAPT期間の短縮が図れないかと、研究が行われている。しかし、上記のコンセンサスをはっきり越える結論は得られていないのが実情である。実際私は、この分野で現在進行中のいくつかの研究についても、正直多くを期待していない。 私は、この問題にははっきりした結論が出ないまま、時代は次世代の治療法へと移行していくのではないかと予想している。少し乱暴な言い方に聞こえる向きもあるかと思うが、医学では疾病や治療法の枠組みが変わるときによく起こることなのである。そして、私たちはいつまでも同じ地点に立ち止まって、同じような議論を繰り返していてはいけないのである。 現在ざっと考えてみても、まず生体吸収型ポリマーの開発があり、これはすでに一部で実用化されている。さらに、ポリマーを溶着させる際に下塗りに使っているパリレンなどを使用せずに、ポリマーを溶着させる技術が考えられる。これはまだ実用化には至っていないが、技術的には可能な段階に来ている。生体吸収型ステントはすでに製品化されているが、現在のステントに取って代わるにはまだ少し時間がかかりそうである。さらに、術後にステントを使用しなくても再狭窄を来さないような新しいdebulking device開発の問題があるが、これはまだ端緒についていない。もちろん、今考えつきもしないような治療法が登場する可能性も十分にあるだろう。 本論文の内容は、ほとんどの循環器科医がコンセンサスとしている事柄を確認したに過ぎないため、一種のnegative studyのように思われるかもしれない。しかし、私はこの問題には、結局1つだけの正解はないことを示したことに意義があると考え、むしろ積極的に評価したい。最近、インターベンションの世界に一種の閉塞感のようなものが漂っているように感じるのは、私だけではないと思う。しかし、明日は必ずやってくる。そうしたとき振り返ってみて、本研究が1つの道標となっているならば、著者たちにとって、これこそが最高の喜びなのではないだろうか。

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