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健康寿命の延伸は自立した排尿から!

 10月19日、株式会社リリアム大塚(大塚グループ)は、膀胱内の尿量を連続的に測定するセンサー「リリアムα-200」の製品発表会と排尿ケアに関するプレスセミナーを都内にて開催した。使いやすい機能で排尿支援 「リリアムα-200」は、4つのAモード超音波で得た情報から膀胱内の尿量を推定する測定器である。尿意を失った患者さんに対し、適切に導尿のタイミングを通知する機能を有し、尿道留置カテーテルの抜去やオムツからの離脱など、患者さんの排尿自立につながることが予想されている。 基本機能として、次の機能が搭載されている。 1)残尿測定:位置決めモードにより簡便に膀胱内の尿量測定を行う 2)排尿タイミングモード:任意に設定した膀胱内尿量で患者に通知 3)定時測定モード:連続的尿量測定により蓄尿・排尿状態を把握 4)排尿日誌機能:排尿時にボタンを押すことで排尿日誌の作成が可能 同社では、本製品の普及により、排尿で問題を抱えている多くの方々のQOLの向上や患者ADLの向上、看護・介護に携わる方々の労力の軽減と効率化、さらには患者さんの尊厳に関わる医療ケアに大きく貢献できるものと、期待を膨らませている。 希望小売価格は税抜35万円(初回に同包する各種アクセサリを含むセット価格)。11月2日より発売。非専門医ももっと泌尿器診療へ プレスセミナーでは、高橋 悟氏(日本大学医学部泌尿器科学系 主任教授)が、「超高齢社会に於ける排尿ケアの課題と対策」と題しレクチャーを行った。 尿意切迫感、切迫性尿失禁などの排尿トラブルは、健康な人でも40歳を超えると年齢とともにその数は増加する。まして、脳血管障害、運動器障害、認知症などの基礎疾患がある要介護状態では、半数以上で何らかの排尿障害があると報告されている。わが国では、要介護認定者は600万人を超えており、排泄介護は今後も大きな問題になる。そして、排泄介護は、負担が非常に大きく、自宅復帰を阻害する要因となっている。 これら排尿障害の臨床では、「過活動膀胱診療ガイドライン」をはじめ、多数のガイドラインが使用されている。それらで取り上げられている残尿測定と排尿日誌は、基礎的評価として重要な項目であり、一般の外来でも行われることが期待されている(現在、残尿測定検査は超音波検査で55点、導尿で45点の保険適用)。 しかし、残尿測定検査は、特別に機器が必要とされ、外来でも煩雑であり、排尿日誌は、自立排尿できない患者さんや介護者の負担などの理由でなかなか記録されないという課題がある。 診断後は、頻尿、尿失禁、排出障害などに対して、排尿障害治療薬も発売されている。しかし、十分な治療効果がない場合は、成人用オムツが多用されており、また、在宅介護では、留置カテーテルも少なくないという。排尿予測が患者、介護者の負担を軽減する このように課題の多いわが国の排尿管理において、高齢者80名に反復的尿量測定と排尿誘導を行った結果、オムツ使用の軽症化、身体機能の改善、認知機能の改善、介護ストレスの軽減に有用であったとする研究がある(Iwatsubo E, et al. Int J Urol. 2014;21:1253-1257.)。 今後の排尿ケアにおいては、膀胱機能アセスメントとして、残尿(尿量)測定と排尿日誌、行動療法統合プログラムの実施が望まれる。また、回復期リハビリテーションや地域包括ケアでの積極的な介入が重要となる。 その際に、「リリアムα-200」のような携帯型の残尿測定器があれば、排尿ケア・プランの立案ができ、適切な排尿誘導が可能となる。これにより、必要のないオムツの取り外しや留置カテーテルの抜去ができ、患者さんの尊厳回復やQOLの向上、介護者の負担軽減につながり、ひいては高齢者の健康寿命の延伸に期待が持たれる、とレクチャーを終えた。「リリアムα-200」の製品紹介はこちら関連リンクケアネット・ドットコム 特集「排尿障害」

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東海大学医学部、米国式医学教育の実践へ ハワイ大学と教育連携

 東海大学医学部(神奈川県伊勢原市下糟屋143、学長 山田 清志、学部長 今井 裕)は2015年10月19日、ハワイ大学医学部(米国ハワイ州、学部長 Jerris R. Hedges)と「ハワイ医学教育プログラム」(HMEF:Hawaii Medical Educational Program)導入の覚書を締結したと発表。 同プログラムの導入により東海大学は日本で初めて本格的な米国式医学教育を実践する医学教育機関となる。これに伴い、東海大学は米国ECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)の認定要件を満たすロールモデルとなり、世界の医学教育や医療のリーダーとして国際的に活躍し得る医師の育成を行うことで、日本の医学教育や国際標準化に貢献することが可能になるという。HMEPプログラム1.ハワイ大学医学部が、米国で臨床研修経験がある医師を東海大学医学部に講師として派遣、1~3年生を対象にしたカンファレンスと講義を実施(日英両語)2.1を受講した学生の中で10~20人を選抜し、ハワイ大学医学部の臨床実習準備教育プログラムを1~2カ月間受講する(東海大学内で実施する基礎臨床実習として認定)3.2の修了者は、ハワイ大学医学部が準備・提携する日本国内の臨床実習病院において米国式臨床実習を履修する(東海大学医学部5年生の臨床実習として認定)

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工業型トランス脂肪酸使用禁止は、冠動脈疾患死を減らす有効手段!(解説:島田 俊夫 氏)-437

 循環器疾患は、英国において最大の死亡原因であり、なかでも最も多いのが冠動脈疾患である。この背景を踏まえて英国・ランカスター大学のKirk Allen氏らは、疫学モデル(IMPACT-SEC model)を用いて、食品のトランス脂肪酸(TFA)使用禁止または削減が、健康や社会経済に与える影響と費用対効果について報告した(BMJ誌オンライン版2015年9月15日号掲載)。 工業型TFAは、賞味期限の延長、旨味強化などを安価に実現できるため加工食品に多用されてきた。ところが、TFAが冠動脈疾患による死亡、全死亡を増やすことが取りざたされると使用禁止が叫ばれるようになった。これを受け、食品へのTFAの使用禁止の影響について検証済みモデルを用いて解析が行われた。データベースとして、英国民食事栄養調査(National Diet and Nutrition Survey)、低所得者食事栄養調査(Low Income Diet and Nutrition Survey)、そのほかの公表済み医療経済データなどがモデル試算に使われた。25歳以上の成人を対象に、社会経済的状況に基づき5群に層別化後、TFA使用禁止、ラベル表示改善、レストランおよびファストフードでの使用禁止の各効果について、試算された。TFAを減らすことによる健康面での利益 TFAの減少を2015~20年の期間中の冠動脈疾患死(冠動脈死)に置き換えると、全面禁止は冠動脈死を約2.6%(7,200例)減らし、最貧群(IMDQ5)では高い冠動脈死とTFAの著減により、大きな利益を受けることが判明した。このことにより、冠動脈死と関連する不平等が約15%是正された。社会格差のないラベル表示は、全面禁止の約2分の1の効果をもたらすが、社会格差があれば効果は約3分の1程度に減弱する。家庭外のTFA消費が最貧群で高いと仮定すると、ファストフードでの使用禁止効果は全面禁止の約3分の1程度になり、レストランでの使用禁止効果は最富裕群(IMDQ1)では全面禁止の約4分の1程度になる。2020年の死亡減少を質調整生存年(QALY)に変換すると、群全体での心血管死亡の差は若年層でより大きく、死亡回避の生存年延長は全面禁止により最貧群でとりわけ大きかった。対策オプションの費用対効果 全面禁止による楽観的試算(完全禁止中の生産活動が通常のビジネスサイクルとして行われる)では、正味のコスト削減は2億6,400万ポンドになる。通常のビジネスサイクル外での本質的改良を負う場合の悲観論的試算では、全面禁止による正味のコスト削減は約6,400万ポンドである。加工食品中トランス脂肪酸の完全禁止は実現可能であり、ほかのいかなる対策に比べても圧倒的効果が期待できるため、TFAを食事から完全に排除することは健康を守るうえからももっともな考えである。 わが国のTFAへの取り組みの遅れはほかの先進国に比べても際立っており、TFA問題に限らず食の安全に対する真摯な対応は、国民の健康を守るため必要不可欠である。

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EMPA-REG OUTCOME試験:糖尿病治療薬久々の朗報~治療学的位置付けは今後の課題~(解説:景山 茂 氏)-438

 慢性疾患の治療において、短期間の薬効を示す指標(surrogate endpoint)と長期間の治療による予後を示す指標(true endpoint)が乖離することが最初に示されたのは、1970年のUGDP研究である。この研究では、スルホニル尿素類のトルブタミド(商品名:ラスチノン)はプラセボおよびインスリンに比較して死亡率、とくに心血管死が有意に高いことが示された。その後、同研究により、現在は用いられていないビグアナイド類のフェンホルミンについてもトルブタミドと類似の結果が示された。その後も、チアゾリジンジオン類のロシグリタゾンについて、心筋梗塞を増やす可能性が示唆されている。 糖尿病特有の合併症である細小血管障害は、血糖コントロールと密接な関係があることが示されている。一方、大血管障害については、DCCT/EDICおよびUKPDSでは、良好な血糖コントロールが大血管障害を改善することを示したが、VADT、ACCORD、ADVANCEの数年間の臨床試験では大血管障害の予後改善を示せなかった。 このような状況の中で、米国FDAは2008年に企業向けのガイダンスで、糖尿病治療薬については治験段階から心血管イベントの収集をしてメタ解析ができるよう求めている。 さて、今回のEMPA-REG OUTCOME試験は予想外の良い結果が示された。本試験では、心血管疾患のハイリスク患者に対して、標準治療にエンパグリフロジンの上乗せは、プラセボよりprimary outcome(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中から成る複合エンドポイント)を有意に減少させることを示した。この臨床試験は、薬効のメカニズムを検討するものではないが、なぜこのような結果が得られたかは考察する必要があろう。primary outcomeについては、グラフからは試験開始3ヵ月後から群間の乖離が認められる。primary outcomeの構成要素にはなっていないが、心不全による入院は試験開始後間もなく群間に差が認められる。 これらの成績からは、エンパグリフロジンの利尿作用が心不全の予防と改善に効果を及ぼしたことが推測される。そして、これが心血管死の減少に寄与した可能性が考えられる。HbA1c、体重、腹囲、収縮期・拡張期血圧、HDLC、尿酸にエンパグリフロジンの効果が認められているが、少なくとも短期間の心血管イベントの発症には、これらの因子の改善よりも水およびNaの利尿効果が予後改善には有効であったと考えるのが妥当ではないだろうか。 さて、本試験のprimary outcomeは複合エンドポイントであり、その構成要素の組み合わせは妥当なものである。複合エンドポイントは、当該治療の全般的な治療効果がみられるという利点がある一方、その構成要素となっている事象への作用の方向性が異なる場合は、解釈が難しくなるという欠点がある。単一エンドポイントではサンプルサイズが大きくなり、追跡期間が長くなるので、試験の実施可能性の観点から複合エンドポイントが採用されることも多い。 EMPA-REG OUTCOME試験では、これらの構成要素に同様な効果がもたらされたわけではなく、エンパグリフロジンは心血管死と非致死性心筋梗塞を減少させる方向に働いているが、脳卒中についてはむしろ増やす方向に作用しているようにみえる。これについては、今後の研究を待たねばならない。 今回の試験成績は、予想を超えた素晴らしい結果であるが、ぜひSGLT2阻害薬について、同様の成績を示す臨床試験がもう1つ欲しいところである。その折には、EMPA-REG OUTCOME試験により示されたSGLT2阻害薬の心血管疾患抑制効果はより確かなものとなり、効果がclass effectか否かも明らかになるであろう。 また、SGLT2阻害薬の治療学的位置付けを検討する研究が望まれる。今回はあくまで心血管疾患のハイリスク患者に標準治療に上乗せした場合、エンパグリフロジンはプラセボより心血管疾患の予防効果が優れていたという成績である。今後は、SGLT2阻害薬をより早い段階から用いた場合の、より一般的な糖尿病患者における効果の検討が望まれる。また、大血管障害のみならず細小血管障害に関する検証も必要であろう。 ともすればsurrogate endpointとtrue endpointが乖離するというparadoxicalな結果が懸念される糖尿病治療薬において、EMPA-REG OUTCOME試験は久々の朗報である。今後の検討に期待したい。関連コメントEMPA-REG OUTCOME試験の概要とその結果が投げかけるもの(解説:吉岡 成人 氏)リンゴのもたらした福音~EMPA-REG OUTCOME試験~(解説:住谷 哲 氏)EMPA-REG OUTCOME試験:SGLT2阻害薬はこれまでの糖尿病治療薬と何が違うのか?(解説:小川 大輔 氏)EMPA-REG OUTCOME試験:それでも安易な処方は禁物(解説:桑島 巌 氏)

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動物脳神経外科【Dr. 中島の 新・徒然草】(090)

九十の段 動物脳神経外科聴衆A「実験で使っているイヌの硬膜が薄くて縫いにくいんですけど、先生はどのようにしておられますか?」講師「いや四隅を適当に合わせているだけです。それでも髄液のリークは起こりません」聴衆B「家内がペット・ロスみたいになってしまって。どうすればいいんでしょうか?」講師「そっちの方はあまり得意じゃないんだな、僕は。ウチではスタッフがいろいろケアをしているみたいなんですけどね」先週、札幌で行われた脳外科学会の1コマ。地元企画として、動物脳神経外科を専門としている獣医さんが講師として招かれたのです。最近の動物病院の中には、イヌの脳腫瘍をMRIで診断してマイクロ手術を行うというくらい進んでいるところもあるそうです。実際、講演で供覧された手術ビデオの映像は、人間の手術とも何ら変わらないものでした。とはいえ、聴衆の方はイヌ好きネコ好きの脳外科医たちで、講演後の質疑応答が異様に盛り上がったのは、冒頭に紹介したとおりです。講師によれば、イヌは家で居場所のなくなったお父さんにも嬉しそうに尻尾を振り、反抗期の子供達にも変わらぬ忠実さで接してくれるので、家族の一員としてなくてはならない存在になっていることが多いのだそうです。確かに、人間のように感情に左右されることもなく、イヌはいつも笑っているイメージがあります。女房「そんなことあるかいな!」家に帰ってその話をしたところ、女房に一蹴されてしまいました。ちなみに女房は高校生時代、ロッキーという名前のビーグルを飼っていました。中島「えっ?イヌはいつも飼い主に尻尾を振っとるような気がするけど」女房「皆の癒しになるってか。それはラブラドールとかゴールデン・レトリバーとか、お利口さんのイヌだけや」中島「そうはいかんのか、阿呆イヌは?」女房「好き嫌いが激しいし、気に入らん奴には吠えたり噛みついたりして全然言うこと聞きよらへん」中島「ロッキーもそうやったんか」女房「そや。散歩のときだけ尻尾を振っとったけどな。散歩に連れて行くのが遅れたりしたら拗ねてしまって動きよらへんし、よそのイヌに構ったらヤキモチを妬いて暴れるし、もう家族全員が振り回されてボロボロや」中島「イヌも拗ねたり妬いたりするんか」女房「するする。人間にある感情は全部イヌも持っとるで」ある意味、本当に家族の一員だったようです。中島「デキの悪いイヌを持つと大変やなあ」女房「その阿呆なところが可愛いんやけどな、飼い主にとっては」中島「あらら」イヌ好きの人の考え方というのは、一般人には到底理解できませんね。講演での質疑応答は手術手技やペット・ロスだけでなく、ターミナル・ケアや治療費用に至るまで多岐に渡りました。ともあれ、人間相手でも動物相手でも医療というのは共通点がたくさんあるようです。いろいろと学ぶところの多い講演でした。ということで、イヌに代わって最後に一言遅れたら 散歩になんか 行かないぞ

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難治性そう痒にアザチオプリンが有効である可能性

 慢性かつ重症で治療抵抗性のそう痒は生活を変えるほどであり、臨床医と患者の両方にとって難題である。このようなそう痒は、免疫が関与している場合があり免疫抑制薬に反応することがあるが、これまで詳細な調査は行われていなかった。米国・エモリー大学のAlexander Maley氏らは、アザチオプリンで治療した全身性ステロイド反応性のそう痒患者について後ろ向きに再調査した。その結果、アザチオプリンが難治性そう痒の症状を、著明に改善する可能性があると報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌2015年9月号(オンライン版2015年6月12日号)の掲載報告。 研究グループは、難治性そう痒治療におけるアザチオプリンの有効性と忍容性を評価する目的で、全身性ステロイド反応性の慢性そう痒に対しアザチオプリンによる治療を行った96例を後ろ向きに再調査した。 主な結果は以下のとおり。・治療前の症状持続期間は、平均52.9ヵ月(範囲2~360ヵ月、標準偏[SD]:64.8)、そう痒スコア(視覚アナログスケールによる;最大スコア10)は、9.25(範囲3~10、SD:1.37)であった。・治療後のそう痒スコアは、1.625(範囲0~8、SD:1.67)(p<0.0001)であった。・副作用は62例(65%)にみられた。32例(33%)は治療中止を要した。

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認知症患者の精神症状に対し、抗不安薬の使用は有用か

 認知症患者の神経精神症状や機能レベルに対する入院および向精神薬の影響について、フィンランド・タンペレ大学のHanna-Mari Alanen氏らが調査を行った。その結果、認知症患者の神経精神症状に対する抗不安薬の使用を支持しない結果が得られたことを報告した。Dementia and geriatric cognitive disorders誌オンライン版2015年9月4日号の報告。 89例の認知症患者を対象とし、行動障害、認知機能、機能状態を、Neuropsychiatric Inventory(NPI)、Mini-Mental State Examination(MMSE)、Barthel Index、Alzheimer's Disease Cooperative Study-Activities of Daily Living(ADCSADL)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・入院中(平均44日)に、NPI総スコアは34.6から19.5(p<0.001)、ADLは32.2から21.7(p<0.001)へそれぞれ低下した。・ADLの変化は、抗不安薬の影響のみが有意であった(p=0.045)。・NPIの変化と抗精神病薬、抗不安薬の投与量は、MMSEスコアを共変量とした場合、有意な関連は認められなかった。・抗精神病薬や抗不安薬の使用により、入院中の精神症状は改善したが、抗不安薬による患者の機能低下は重大であった。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬は認知症に有効なのか 認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか 長期ベンゾジアゼピン使用は認知症発症に影響するか  担当者へのご意見箱はこちら

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心臓手術におけるRIPC、臨床転帰は改善するか/NEJM

 心肺バイパスを要する待機的心臓手術において、遠隔虚血プレコンディショニング(RIPC)を行っても、臨床転帰は改善しないことが示された。ドイツ・フランクフルト大学病院のPatrick Meybohm氏らが、約1,400例を対象に行った多施設共同前向き無作為化二重盲検試験の結果、報告した。心臓手術患者へのRIPCにより、虚血・再灌流傷害バイオマーカーの低下が報告されていたが、臨床転帰については不明なままだった。NEJM誌2015年10月8日号(オンライン版2015年10月5日号)掲載の報告。プロポフォール静注による全身麻酔下でRIPC 研究グループは、プロポフォール静注による全身麻酔下で、心肺バイパスを要する待機的心臓手術を受ける成人患者1,403例を対象に試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群には上肢にRIPCを、もう一方には偽処置を行い、それぞれのアウトカムを比較した。 主要評価項目は、退院時までの死亡、心筋梗塞、脳卒中、急性腎不全の複合エンドポイントだった。副次評価項目は、主要評価項目それぞれ、および90日後までの主要評価項目の発生などだった。主要・副次評価項目のいずれも両群で有意差なし 被験者のうち、分析の対象となったのはRIPC群692例、偽処置群693例の合わせて1,385例だった。 主要評価項目の発生率は、RIPC群14.3%(99例)、偽処置群14.6%(101例)と同程度だった(p=0.89)。 また、主要評価項目の各項目の発生率も、死亡がそれぞれ1.3%と0.6%(p=0.21)、心筋梗塞が6.8%と9.1%(p=0.12)、脳卒中が2.0%と2.2%(p=0.79)、急性腎不全が6.1%と5.1%(p=0.45)と、いずれも有意差はなかった。 さらに、トロポニン放出量、人工呼吸器の使用期間、ICU入室または入院期間、心房細動の新規発生率、術後せん妄の発生率についても、両群で有意な差は認められなかった。 なお、RIPC関連の有害事象の発生は報告されていない。

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高齢者の服薬、併存疾患の組み合わせの確認を/BMJ

 米国・イェール大学医学部のMary E Tinetti氏らは複数の慢性疾患を有する高齢者の、ガイドラインに基づく服薬と死亡の関連を調べた。その結果、とくに心血管薬の生存への影響は、無作為化試験の報告と類似していたが、β遮断薬とワルファリンについて併存疾患によりばらつきがみられたことを報告した。また、クロピドグレル、メトホルミン、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、生存ベネフィットとの関連がみられなかったという。結果を踏まえて著者は、「併存疾患の組み合わせによる治療効果を明らかにすることが、複数慢性疾患を有する患者の処方せんガイドになるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年10月2日号掲載の報告より。頻度の高い4疾患併存の高齢者の服薬と死亡の関連を調査 研究グループは、65歳以上の代表的サンプルを全米から集約した住民ベースコホート研究Medicare Current Beneficiary Surveyで、複数慢性疾患を有する高齢者のガイドライン推奨による服薬と死亡を調べる検討を行った。 被験者は、2つ以上の慢性疾患(心房細動、冠動脈疾患、慢性腎臓病、うつ病、糖尿病、心不全、脂質異常症、高血圧症、血栓塞栓症)を有する高齢者8,578例で、2005~2009年に登録、2011年まで追跡した。 被験者は、β遮断薬、Ca拮抗薬、クロピドグレル、メトホルミン、RAS系阻害薬、SSRI、SNRI、スタチン薬、サイアザイド系利尿薬、ワルファリンを服用していた。 主要評価項目は、疾患を有しガイドライン推奨薬を服用していた患者の、非服用患者と比較した死亡に関する補正後ハザード比で、頻度の高い4疾患を有していた患者における死亡補正後ハザード比とした。単疾患では抑制効果が高くても4併存疾患では減弱があることを確認 全体で、各疾患を有する患者の50%以上が、併存疾患にかかわらずガイドライン推奨薬を服用していた。 3年間の追跡期間中の死亡例は、1,287/8,578例(15%)であった。 心血管薬では、β遮断薬、Ca拮抗薬、RAS系阻害薬、スタチンは、対象疾患に関する死亡を抑制することが認められた。たとえば、β遮断薬の補正後ハザード比は、心房細動を有する患者では0.59(95%信頼区間[CI]:0.48~0.72)、心不全患者では0.68(同0.57~0.81)であった。 これら心血管薬の補正後ハザード比は、4つの併存疾患を有する被験者でも類似した値がみられたが、β遮断薬は4併存疾患の組み合わせによりばらつきがみられた。0.48(心房細動/冠動脈疾患/脂質異常症/高血圧)から、0.88(うつ病/冠動脈疾患/脂質異常症/高血圧)にわたっていた。 一方、クロピドグレル、メトホルミン、SSRI、SNRIでは、死亡の抑制効果はみられなかった。 また、ワルファリンは、心房細動(補正ハザード比:0.69、95%CI:0.56~0.85)、血栓塞栓症(0.44、0.30~0.62)を有する患者で、死亡リスクの抑制が認められたが、頻度の高い4併存疾患患者では、その抑制効果が減弱することが確認された。0.85(心房細動/冠動脈疾患/脂質異常症/高血圧)から、0.98(心房細動/うつ病/脂質異常症/高血圧)の範囲にみられた。

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FDA、ダビガトランの中和剤idarucizumabを承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、抗凝固薬ダビガトラン(商品名:プラザキサ)の特異的中和剤idarucizumab(商品名:Praxbind)を迅速承認した。対象はダビガトラン服用中で緊急に抗凝固作用の中和を要する患者。 idarucizumabは初めて承認されたダビガトランの特異的中和薬。ダビガトランに結合し、その作用を無効化する。 idarucizumabの効果と安全性は、ダビガトランを服用した283例の健康成人(抗凝固治療を必要としない成人)による3つの試験で検討された。その結果、idarucizumabが投与された健康成人において、ダビガトランの血中量(非結合型ダビガトランの血漿中濃度を測定)は迅速に減少し、その作用は24時間持続した。また、ダビガトラン服用中で、止血困難な出血が発生した、あるいは緊急手術が必要となった123例の患者による試験が行われた。この進行中の試験では、89%の患者でダビガトランの抗凝固作用が完全に中和され、その作用はidarucizumab投与後 4時間以上持続した。同試験において、idarucizumabの頻度の高い副作用は高カリウム血症、意識錯乱、便秘、発熱、肺炎であった。 ダビガトランの作用中和により、患者は血栓や心房細動による脳卒中のリスクにさらされることになる。そのため、idarucizumabの添付文書では、医療者が医学的に適切だと判断し次第、すみやかに抗凝固療法を再開することを推奨している。FDAのプレスリリースはこちら。

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非精神科医のための、高齢者のうつの特徴と治療法(解説:岡村 毅 氏)-436

 本論文は、高齢者のうつ病治療において治療抵抗性の場合に、抗うつ薬に加えてアリピプラゾールを加える増強療法が、効果に優れ、忍容性も良好であることを示したものである。 明日からの臨床に役立つ、きわめて臨床的な論文だ。では、どう役に立つのかを精神科以外の方々にわかりやすく説明してみたい。 現在、わが国の高齢者は人口の25%を超え、今後40%にまで上昇する。高齢期は、喪失体験、体の病気、社会的役割の変化(多くは減少する)が一般に多くみられ、心理的苦悩は大きい。さらに、単身独居高齢者が増えている。苦悩を緩衝するのは家族や仲間やコミュニティであるが、そういった機会がない高齢者も多い。加えて、高齢期の経済格差は苛烈であり、経済苦を抱える方は多い。うつ病になりやすいのである(細かいことであるが本研究では60歳以上を高齢者としているが、ご承知のとおり、わが国では65歳以上を高齢者とする)。 調査によれば、わが国でうつ病の方がまず受診するのは、精神科・心療内科ではなく、多くの場合内科である。プライマリケアを担う皆さまの外来には、多くの高齢のうつ病の方が受診していることであろうし、今後も増え続けるであろう。 ここから先は、精神科特有のおしゃべりに聞こえるかもしれないが、「こころ」という見えないものを対象とし、また「ことば」で多くが表出される内的世界を、やはり「ことば」で捉えなければならないという精神科特有の事情をご理解いただきたい。さて、高齢期のうつ病はいくつか特徴があるとされてきた。 なかでも、高齢期の焦燥うつ病(agitated depression)はしばしば言及される概念である。うつ病とは元気がなくなり思考が制止した状態と思っている方もいるかもしれないが、焦燥感に苛まれながら多くのことばを語る患者さんもいる。彼らの思考は制止していない、ただ1ヵ所をぐるぐると巡っているだけである。これをうつ状態と躁状態の混合状態と考えた、いにしえの人々もいた。この考え方は、実はうつ病と思っている病態の多くに躁が隠れている(Bipolar spectrum)という、近年の考え方に合致するものであり、精神疾患の分類とは何かという根源的問題を提起する。 おしゃべりが過ぎたので臨床に戻ると、焦燥が非常に強い高齢者のうつは、治療に抵抗性であることが多く、まずは落ち着かねば基本中の基本である休養すら取れないため、抗うつ薬の次に(抗うつ薬内部のクラス変更や抗うつ薬併用ではなく)抗精神病薬による増強療法を選択することが多い。個人的には、SSRIなどで焦燥が賦活されて大変つらい思いをされていた高齢者の方を紹介され、抗精神病薬を少量導入したところ、劇的に改善したという経験は多い。ただし、抗精神病薬の有害事象(パーキンソン症状など)は高齢者には出現しやすいので、専門医でなければ使用を躊躇してしまうかもしれない。パーキンソン症状の少ないクエチアピンという手もあるが、代謝系の副作用が問題になる。 よって今回の報告は、このような方にアリピプラゾールを使うときのリスクベネフィットの評価において、非常に大きな臨床的意思決定の基盤をもたらしてくれた。明日からの臨床に役立つであろう。 さて、おしゃべりに戻ろう。本報告では焦燥うつ病という概念は出てこない。最近のうつ病一般の分類においては「軽症」、「中等・重症だが(妄想などの)精神病症状はない」、「中等・重症で精神病症状を伴う」とすることが支配的で、焦燥うつ病や躁うつ混合状態などは一般的でなく、エビデンスとする(社会に還元する)にはこの思考に乗らねばならない。しかし、実地臨床においては焦燥うつ病は使える概念であり、専門医以上の精神科医は皆知っている概念である。 説明は以上であるが、伝わったであろうか。精神科医はついおしゃべりが過ぎる傾向があるが、私のつたないコラムで、精神科の臨床が一方で最新のエビデンスに目を配りつつ、一方では現在支配的ではない思想も知識として知っていなければならず、また最終的には目の前の個人の固有のQOLを目指すものである、という感じでやっていますということが伝われば本望である。

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統合失調症患者にはもっと有酸素運動をさせるべき

 初回エピソードの統合失調症患者のメタボリックシンドロームおよび代謝異常の有病率は、健常対照と比較して有意に高く、また1年間の治療フォローアップ中にいずれも有意な増大が認められたことが、デンマーク・オーフス大学病院のL. Nyboe氏らによる検討の結果、示された。さらに、メタボの有意なリスク因子として、有酸素運動の不足を示唆する所見もみられたという。結果を踏まえて著者らは、「健康的なライフスタイルを、精神科治療およびリハビリテーションの一部として推進していかなくてはならない」と提言している。Schizophrenia Research誌2015年10月号の掲載報告。 研究グループは、メタボリックシンドローム(MetS)と代謝異常の有病率について、初回エピソード統合失調症患者と年齢・性別で適合した健康対照と比較すること、また、治療1年間のMetSの変化、さらにMetSの予測因子について調べた。MetSは、国際糖尿病連合(IDF)の基準に基づく腹囲、血圧(BP)、トリグリセライド(TG)、高密度リポタンパク質(HDL)、空腹時血糖値で特定した。また、被験者の、身体的活動度、有酸素運動、喫煙、食習慣、睡眠障害、抗精神病薬および向精神薬の情報についても入手。ベースライン、フォローアップ1年時点で評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、初回エピソード統合失調症(FES)患者99例、健常対照50例であった。・FES患者は健常対照と比較して、MetSのベースライン有病率が高かった(p=0.07)。・また、各代謝異常のベースライン有病率も高く、腹囲(p<0.01)、TG(p<0.01)、HDL(p=0.017)、空腹時血糖値(p=0.04)は有意に高値であった。・FES患者は試験期間中、MetS(p=0.03)の有病率、および腹囲(p=0.04)、TG(p=0.01)が有意に増大した。・抗精神病薬および身体活動度の低さが、MetS増大と有意に相関していた。・多変量解析では、有酸素運動の少なさが、代謝異常やMetSの最も強固で有意な予測因子であった。関連医療ニュース 統合失調症患者の運動増進、どうしたら上手くいくか うつ病へのボルダリング介入、8週間プログラムの成果は 子供はよく遊ばせておいたほうがよい  担当者へのご意見箱はこちら

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生体弁で弁尖運動が低下、脳卒中・TIAリスク増大の可能性も/NEJM

 大動脈生体弁の植込みをした患者について調べた結果、弁尖運動の低下が認められ、その発生率はワルファリンによる抗凝固療法を行った患者のほうが、抗血小板薬2剤併用療法を受けた患者に比べ低率であることが判明した。弁尖運動の低下は、抗凝固療法により改善することも確認されたという。米国・Cedars–Sinai Heart InstituteのRaj R Makkar氏らが、約190例の患者について調べ報告した。弁尖運動の低下は、脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)の発生リスクを増加する可能性も示唆され、著者は「今回発見した所見の臨床的アウトカムへの影響について、さらなる調査を行う必要がある」と指摘している。NEJM誌オンライン版2015年10月5日号掲載の報告。四次元立体レンダリングCT画像で弁尖運動の低下を判定 今回の検討の背景には、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)後に脳梗塞を発症した患者について、CTにおいて大動脈弁の弁尖運動の低下が確認され、不顕性の弁尖血栓症の懸念が持ち上がったことがある。 研究グループは、TAVR臨床試験の被験者55例と、TAVRまたは外科的大動脈生体弁植込み術を実施した患者に関する2ヵ所の医療機関の単独レジストリ登録者132例を対象に、四次元立体レンダリングCT画像データと、抗凝固療法、脳卒中やTIAを含む臨床的アウトカムに関する情報を得て分析を行った。弁尖運動低下は抗凝固療法で改善 結果、CT画像で弁尖運動の低下が認められたのは、臨床試験被験者55例中22例(40%)、患者レジストリ132例中17例(13%)だった。弁尖運動の低下は、TAVR・外科的植込み術ともに複数種の生体弁で認められた。 弁尖運動低下の発生率は、抗血小板薬2剤併用療法を行った群では臨床試験群55%、レジストリ群29%に対し、ワルファリンによる抗凝固療法を行った群ではともに0%と発生率は有意に低かった(それぞれ、p=0.01、p=0.04)。 被験者のうち追跡CT画像を撮影した患者において、抗凝固療法を受けた11例全例で弁尖運動の低下は改善したが、抗凝固療法を受けていなかった10例では同改善が認められたのは1例のみだった。 弁尖運動の低下による脳卒中またはTIAの発生率については、臨床試験群では有意差はなかったものの、レジストリ群では、弁尖運動が正常な人では115例中1例に対し、弁尖運動低下が認められた人では17例中3例と有意に高率だった(p=0.007)。

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日本糖尿病学会:ワークショップ「輝け!女性糖尿病医」を開催

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医をpromoteする委員会」は10月30日、日本糖尿病学会 中国四国地方会 第53回総会内で、ワークショップ「輝け!女性糖尿病医」を開催する。ワークショップ 「輝け!女性糖尿病医」開催概要【日時】10月30日(金) 18:20 ~ 19:10【会場】米子コンベンションセンター 6F 第7会議室(日本糖尿病学会 中国四国地方会 第53回総会:D会場)交通アクセス情報はこちら【座長】藤川 るみ氏(グランドタワー メディカルコート)【講師】片岡 仁美氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)【主催】日本糖尿病学会「女性糖尿病医をpromoteする委員会」【共催】日本医師会 なお、学会ホームページ内「女性糖尿病医サポートの取り組み」では、同ワークショップ開催にあたって「企画者からのメッセージ」を掲載している。以下の「関連リンク」より閲覧可能。関連リンク「おすすめのイベント情報 :第53回中国四国地方会」(日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」内)

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ニボルマブ、非扁平上皮NSCLCにも適応拡大:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2015年10月9日、プラチナベース化学療法にもかかわらず進行した進行(転移性)NSCLCの治療薬として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の適応拡大を承認した。ニボルマブはすでに、進行扁平上皮NSCLCに対して承認されていたが、今回、非扁平上皮NSCLSにも適応されたもの。 今回の承認は、582例の治療歴を有する進行・再発性非扁平上皮NSCLCに対してニボルマブとドセタキセルを比較したオープンラベルの無作為化試験(CheckMate-057)の成績によるもの。主要評価項目である全生存期間はニボルマブ群で12.2ヵ月と、ドセタキセル群の9.4ヵ月に比べ有意に延長した。また、CRおよびPRとなった患者をみると、ニボルマブ群では効果が平均17ヵ月持続したのに対し、ドセタキセル群では平均は6ヵ月であった。FDAのプレスリリースはこちら。

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免疫不全患者の呼吸不全に対してわざわざ非侵襲性換気を用いなくてもよいのか?(解説:倉原 優 氏)-435

 本研究は、免疫抑制状態にある患者、とくに悪性疾患の患者の呼吸不全に対する臨床試験である。ICUに入室を余儀なくされた患者に対して、非侵襲性換気(NIV)か酸素療法のどちらがベターかというシンプルな内容である。 これまでの通説というか、暗黙の了解として、こういった場面ではNIVに軍配が上がっていた。しかしながら、レファレンスにも挙げられているように、その根拠となった免疫抑制状態にある患者の臨床試験は、10年以上前の小規模なランダム化比較試験である1)。今回の臨床試験はその“エビデンス”を少し修正させる結果なのだろうか? 本研究のプライマリエンドポイントである28日死亡率は、NIV群24.1%、酸素療法群27.3%と有意差はみられなかった。また、挿管率についても有意差はなかった。なお、本試験の呼吸不全の原因は3分の2が感染症とされており、がんそのものの悪化による例は全体としてはマイノリティである点を付け加えておきたい。 しかし、この試験の結果を受けて「なんだ、免疫不全患者の呼吸不全に対してわざわざNIVを使わなくてもよいのか」と考えるのは早計かもしれない。その私見を以下に述べたい。 この試験では、ハイフロー療法をいずれかの時点で実施された患者が、全体の3割以上を占める。この酸素療法は、私たちがイメージしている「酸素療法」とは性質を異にしており、集中治療の現場における酸素化の改善能はきわめて高いものである2)。NIVに引けを取らないハイフロー療法が含まれた状態で解析されている。論文の最後にも「ハイフロー療法、通常の酸素療法、NIVの3群を比較した臨床試験が望ましい」と書かれてあり、著者もこのlimitationは自覚しているのだろう。 また、悪性疾患の患者が明らかに感染症で悪化している場合はともかく、初期の時点ではがんそのものの悪化なのかどうか判断ができないことが多い。そのため、実臨床ではどういった酸素療法を行うかはケースバイケースである。そして、「酸素のみで管理ができないからNIVを導入する」というのがおそらく一般的な思考回路であって、通常の酸素療法とNIVを比べるのはどことなく違和感を感じる。 臨床試験は、現場のナラティブな側面にはなかなか踏み込めない。しかし、今回の研究を拝見する限り、少なくとも呼吸不全に対する「NIV神話」というのは少し言い過ぎであることは間違いなさそうだ。

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事例75 ピタバスタチンカルシウム(商品名:リバロ)錠1mgの査定【斬らレセプト】

解説事例では、高脂血症の患者に対してピタバスタチンカルシウム(リバロ®)錠1mgを処方したところ、A事由(医学的に適応と認められないもの)にて査定となった。同錠の添付文書をみてみると、効能・効果には「高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症」とある。使用上の注意には、「適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で、本剤の適用を考慮すること」と記載されていた。傷病名欄の高脂血症と効能・効果に記載された傷病名との不一致と判断されたことが査定事由であった。コンピューター審査では、効能・効果に記載された傷病名そのものが記載されていないと、原則として査定対象となる。明らかに医学的に対象であると判断しての投与であっても、レセプト上で妥当性の判断ができないと機械的に査定となる。効能・効果と不一致の場合の対策としては、あらかじめ医学的必要性を記載して、人の目の点検に委ねることが必要である。

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ダニ媒介性脳炎に気を付けろッ!【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。第12回目となる今回は「ダニ媒介性脳炎」についてです。対岸の火事ではない! ダニ媒介性脳炎「ダニ媒介性脳炎」っていわれても、そんな病名聞いたことがないという方々も多いのではないでしょうか。ダニ媒介性脳炎はその名のとおり、マダニ属(Ixodes)のマダニに刺されることで脳炎症状を呈する感染症であり、原因となる微生物はデングウイルス、日本脳炎ウイルスなどと同じフラビウイルスに属する、ダニ媒介性脳炎ウイルスです。図はダニ媒介性脳炎の流行地図ですが、ロシアからヨーロッパにかけて広く流行しています。ダニ媒介性脳炎は、中部ヨーロッパ型とロシア春夏型に分かれ、それぞれ分布が異なります。この流行地図を見て「あっ、日本は流行してないのね…じゃあ読むのやめよう」と思ったあなたッ! そう思われるのはちょっと早いのではないでしょうか。何を隠そう、日本でもダニ媒介性脳炎の感染者が、1例だけ報告されているのですッ!2) この症例が診断されたのは1993年、そう今から20年以上も前のことです。北海道上磯町で酪農を営む女性が、突然の発熱、複視、けいれんを発症し、当初日本脳炎が疑われたのですが、精査の結果、ダニ媒介性脳炎であったことがわかりました。この患者さんの家の近くにいた犬10匹のうち5匹でダニ媒介性脳炎ウイルス抗体が上昇しており、この地域にウイルスが存在していることもわかっています。北海道ではヤマトマダニ(Ixodes ovatus)が媒介すると考えられています。もう一度言いましょう。日本でもダニ媒介性脳炎に感染する可能性があるのですッ!! しかし、その後20年間患者は1人も報告されていないことから、少なくとも感染するリスクは高くはないのだと思われます。また、日本脳炎のように不顕性感染も一定数いると考えられており、感染していても発症せずに診断に至らない事例もあるのではないかと推測されます。ダニ媒介性脳炎の特徴は2相性ダニ媒介性脳炎は、2相性の経過をたどるとされています。ダニ刺咬後7~14日の潜伏期を経て、発熱、頭痛、倦怠感、関節痛といった非特異的な症状で発症します(第1相)。これがだいたい1~8日くらい続いて、いったん症状が消失します。その後、第2相として発熱と神経学的症状が出現します。この神経学的症状は髄膜炎から脳炎までさまざまです。ヨーロッパでみられる中部ヨーロッパ型よりも、ロシア東部でみられるロシア春夏脳炎のほうが、より重篤で致死率も高い(20~30%)とされています。救命できても麻痺などの後遺症を残すこともあります。「春夏」などと牧歌的な名前のクセに実に凶悪なヤツです。こういう恐ろしいウイルスが、北海道にいるのかと思うと怖いですね…。日本での初症例で当初疑われていたように、日本脳炎との鑑別が問題になると思われますが、わが国での日本脳炎の流行が西高東低であることを考えると、北海道で起こった脳炎では、ダニ媒介性脳炎も鑑別として考慮すべきと考えられます。なお、ダニ脳炎には有効な治療薬はなく、支持療法が主体となります。ダニの予防にはDEET配合防虫剤最後に予防についてですが、ダニ脳炎にはワクチンがあります。流行地域を訪れる旅行者すべてがワクチン接種をする必要はありませんが、流行地域でキャンプをする、あるいは森林地域を行脚するといった予定がある場合には、ワクチン接種が推奨されます。残念ながらダニ脳炎ワクチンは国内で未承認ですので、未承認ワクチンを取り扱っているトラベルクリニックなどで接種をする必要があります。また、「第7回 チクングニア熱に気を付けろッ」で防蚊対策について述べましたが、DEETはマダニにも有効です。DEETを含む防虫剤を適切に使用することで、ダニ刺咬を防ぐことができます。今回は、ダニ媒介性脳炎というほぼ誰も診たことがない感染症を取り上げましたが、次回は今、日本で非常に問題になっている再興感染症の「梅毒」について取り上げたいと思いますッ!1)Richard L. Guerrant, et al. Tropical Infectious Diseases: Principles, Pathogens and Practice. 3rd ed. Amsterdam: Elsevier B.V.;2011.2)Takashima I, et al. J Clin Microbiol.1997;35:1943-1947.

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