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喘息に抗IL-5モノクローナル抗体mepolizumabを承認:FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は2015年11月4日、mepolizumab(商品名:Nucala)を12歳以上の重症喘息患者の維持療法に他剤との併用で適応を承認した。 mepolizumabはヒト化抗IL-5モノクローナル抗体で、血中の好酸球レベルを下げることで喘息重責発作を抑える。4週ごとに皮下注射で投与する。 今回の承認は、既治療の重症喘息患者に対し、従来の治療にmepolizumabまたはプラセボ追加して比較した3つの二重盲検無作為プラセボ対照試験の成績によるもの。mepolizumab治療群の患者は、プラセボ群に比較して急性発作(増悪)による入院または救急部受診を減少させた。くわえて、経口ステロイドの使用量が大幅に減少した。一方、有意な呼吸機能(1秒量)の改善にはつながらなかった。 mepolizumabで頻度の高い副作用は頭痛、注射部疼痛(痛み、発赤、腫脹、かゆみ、灼熱感)、背部痛、疲労感であった。過敏性反応は数時間から数日の間に発生し、顔面・口・舌の腫脹;失神、めまい、もうろう感;じんましん;呼吸困難、皮疹であった。 mepolizumabはGlaxoSmithKlineが製造する。FDAのプレスリリースはこちら。

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新規抗てんかん薬P3、てんかん部分発作の補助治療に有用

 米国・Mid-Atlantic Epilepsy and Sleep Center のPavel Klein氏らは、選択的高親和性シナプス小胞タンパク質2Aリガンドであるbrivaracetam(BRV、国内未承認)の、てんかん部分(焦点)発作(POS)の補助治療としての有効性と安全性を明らかにする、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。その結果、発作頻度の減少および反応率のいずれにおいても、BRV100mg/日およびBRV200mg/日投与はプラセボに比べ有意に優れ、忍容性も良好であることを報告した。Epilepsia誌オンライン版2015年10月16日号の掲載報告。 試験は、16歳以上80歳未満のPOS成人男性におけるBRVの有効性と安全性/忍容性を明らかにすることを目的とした。1~2種類の抗てんかん薬によってもコントロール不良なPOS患者を対象とし、初回診察前90日以内にレベチラセタムの投与を受けた患者は除外した。8週間のベースライン期を経た後、被験者をプラセボ群、BRV100mg/日群、BRV200mg/日群に1対1対1に無作為に割り付け、漸増することなく12週間治療を行った。主要有効性アウトカムは2つで、28日目の調整POS頻度のプラセボに対する減少率と、ベースラインから治療期までのPOS頻度減少率に基づいて算出した反応率(50%以上)とした。 主な結果は以下のとおり。・768例が無作為化され、有効性の解析対象症例は760例であった(プラセボ群259例、BRV100mg/日群252例、BRV200mg/日群249例)。・28日目の補正後発作頻度のプラセボ群に対する減少率(95%信頼区間[CI])は、BRV100mg/日群22.8%(13.3~31.2%、p<0.001)、BRV200mg/日群23.2%(13.8~31.6%、p<0.001)であった。・50%以上の反応率は、プラセボ群21.6%、BPV100mg/日群38.9%(プラセボに対するオッズ比:2.39、95%CI:1.6~3.6、p<0.001)、BRV200mg/群37.8%(同:2.19、1.5~3.3、p<0.001)であった。・治療下で発現した有害事象は、プラセボ群では261例中155例(59.4%)、BRV投与群(安全性解析対象症例)では503例中340例(67.6%)であった。・治療下で発現した有害事象による治療中止率は、プラセボ群3.8%、BPV100mg/日群8.3%、BRV200mg/日群6.8%であった。・最も高頻度に認められたTEAE(プラセボ vs.BRV)は、眠気(7.7% vs.18.1%)、めまい(5.0% vs.12.3%)、疲労(3.8% vs.9.5%)であった。関連医療ニュース 高齢てんかん患者への外科的切除術は行うべきか てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか 日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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糖尿病治療中こそ禁煙が大事!

糖尿病とタバコの関係 喫煙により、インスリンの効きが悪くなること(インスリン抵抗性)が知られています。 現在は糖尿病でない方も、糖尿病になる可能性も上がります。 血管に負担がかかるため、腎機能障害が進みやすく透析になってしまう確率も上がります。2 糖尿病患者が喫煙をすると、喫煙をしない場合に対して死亡率が1.55倍に上昇するという結果が報告されました。1-糖尿病患者の死亡リスク1.55非喫煙者喫煙者Pan A, et al. Circulation. 2015 Aug 26. [Epub ahead of print]糖尿病治療中の方こそ、禁煙が大事です!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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ジェットコースターに乗って耳が聞こえるようになった少女【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第55回

ジェットコースターに乗って耳が聞こえるようになった少女 FREEIMAGESより使用 ジェットコースターは苦手です。私は絶叫マシンが大嫌いで、ディズニーランドのメリーゴーラウンドでもビビるくらいです。 ジェットコースターは強い重力、いわゆる“G”がかかります。そのため、身体的には非常に負荷がかかります。それによって健康を損なわれることもあるかもしれません。そういう報告もたくさんあります。2ヵ月前の連載でも「ジェットコースターに乗ったら喀血した女性」を紹介しました。 しかし今回紹介するのは、ジェットコースターに乗ったら耳が聞こえるようになった奇跡の物語。 Kumar A, et al. Resolution of sudden sensorineural hearing loss following a roller coaster ride. Indian J Otolaryngol Head Neck Surg. 2011;63:104-106. この論文はインドの耳鼻咽喉科の医学雑誌に発表されました。うーん、見たことも聞いたこともない医学雑誌だ…。主人公である16歳の少女は、飛行機に乗った後右側の聴覚が失われていることに気付き、耳鼻咽喉科を受診しました。純音聴力検査では両側感音性難聴があり、とくに右側で強かったそうです。左側にも感音性難聴がありましたが、とくに自覚はなかった(聞こえていた)とのこと。インピーダンス聴力検査では両側A型という結果でした。突発性難聴も鑑別に入れ、経験的にステロイドやアシクロビルなどの治療が行われましたが、その後2ヵ月もの間、残念ながら聴覚はまったく戻らなかったそうです。イギリスにある超絶叫マシン「Rita-Queen of Speed」。少女はこれに乗ったそうです。スタッフォードシャーの人気テーマパーク「アルトン・タワーズ」にある世界的に有名なジェットコースターです。YouTubeを見るとわかりますが、ガタゴトガタゴトと上に昇っていくあの恐怖がなく、いきなり高速発車というとんでもない絶叫マシンです。重力負荷は4.7Gだそうです。いやあコワイ。私はこんなの乗れません。乗った後に驚いたでしょうね、2ヵ月以上も聞こえなかった右耳が突然元に戻っていたのですから。耳鼻咽喉科を受診したところ、純音聴力検査は正常に戻っていたそうです。臨床的な経過としては突発性難聴でよさそうな感じですが、回復過程が典型的ではないと論文に書かれています。確かに、2ヵ月後にジェットコースターに乗ったらいきなり治りました、というのはあまり見かけませんよね。さすがに、「絶叫マシンが突発性難聴の治療法となりうる」という極論までは書かれていませんでした。インデックスページへ戻る

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新生児期の百日咳感染、てんかんリスク増大/JAMA

 百日咳の病院診断歴のある新生児は、一般集団と比較して10歳時のてんかんリスクが1.7倍高いことが、デンマーク全国患者レジストリ(DNPR)の長期追跡データの分析から示された。ただし絶対リスクは1.7%と低かった。同国オーフス大学病院のMorten Olsen氏らが報告した。新生児における百日咳罹患は脳症およびけいれん発作と関連するが、その後の小児てんかんリスクについては不明であった。JAMA誌2015年11月3日号掲載の報告。1978~2011年の住民ベース医療レジストリデータを分析 研究グループは、百日咳が長期てんかんリスクと関連しているかどうかを調べるため、デンマーク全病院をカバーする住民ベースの医療レジストリの中から、1978~2011年に生まれ百日咳を有した(入院または病院外来部門で百日咳と診断)全患者コホートを特定し、2011年末まで追跡した。また、Civil Registration Systemを用いて、百日咳患者1例につき10例の、性別と出生年を適合させた一般集団からの対照を特定した。 主要評価項目は、てんかん累積発生率およびハザード比(百日咳コホート vs.一般集団コホート)で、出生年、性別、母親のてんかん歴、先天奇形の有無、在胎月齢で補正を行い評価。個人認証データシステムと突合して死亡、転居、病院受診についてフォローアップを完遂した。罹患児の10歳時点のてんかん累積発生率1.7%、一般集団は0.9% 対象期間中の百日咳患者は、4,700例(48%が男児)であった。53%が6ヵ月未満での罹患で、出生年別にみると1993~97年が23%と最も多く、直近の2008~11年が4%と最も少なかった。 患者群のうち90例が、フォローアップ中にてんかんを発症した(罹患率1.56/1,000人年、対照群[511例]罹患率は0.88/1,000人年)。 10歳時点のてんかん累積発生率は、百日咳患者群が1.7%(95%信頼区間[CI]:1.4~2.1%)、対照群は0.9%(同:0.8~1.0%)であった。補正後ハザード比は1.7(同:1.3~2.1)であった。

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入院医療費が高額な医師ほど訴訟リスクは低い/BMJ

 同じ専門科の中で医療資源の使用(入院医療費)が高額の医師のほうが、低額の医師に比べ、翌年の医療過誤訴訟の発生リスクが低い傾向にあることが明らかにされた。産科婦人科については、帝王切開実施率が高い医師ほど、同訴訟リスクが低かった。米国・ハーバード大学医学校のAnupam B. Jena氏らが、約2万5,000人の医師について行った観察試験の結果、報告した。先行研究で、多くの医師が自衛的医療を行っていることが明らかになっていたが、医療資源の使用と医療過誤訴訟リスクとの関連については検討されていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告より。7つの専門科における入院医療費データを調査 研究グループは2000~09年にかけて、フロリダ州の急性期病院入院データを用い、7つの専門科担当医(内科、内科各専門、家庭医、小児科、一般外科、外科各専門、産科婦人科)について、使用した医療資源(入院医療費)が高額なほど、翌年の医療過誤申し立て件数が少ない傾向がみられるかを調べた。入院医療費は五分位に層別化して評価。患者の特性、併存疾患、診断名について補正を行った。 調査では、医師2万4,637人、延べ15万4,725人年、入院1,835万2,391件、医師に対する医療過誤訴訟数4,342件(2.8%/医師年)のデータが得られ分析した。専門科を問わず、入院医療費が高額なほど訴訟リスクは低い 結果、専門科を問わず平均入院医療費が高額な医師ほど、医療過誤で訴えられるリスクが少ない傾向が認められた。 具体的には、内科医の医療過誤訴訟発生率は、平均入院医療費が最も低い第1五分位(入院1件当たり1万9,725ドル)群では1.5%(95%信頼区間:1.2~1.7)だったのに対し、最も高い第5五分位(同3万9,379ドル)群は0.3%(同:0.2~0.5)だった。同様に、内科各専門医は1.7%(入院1件当たり2万3,626ドル)と0.2%(4万6,654ドル)、家庭医は0.5%(1万3,809ドル)と0.2%(3万5,305ドル)、小児科医は0.7%(9,121ドル)と0.1%(1万9,916ドル)、一般外科医は2.3%(2万5,141ドル)と0.4%(5万1,987ドル)、外科各専門医は1.7%(2万6,979ドル)と0.1%(6万1,907ドル)、産科婦人科医は1.9%(8,653ドル)と0.4%(1万8,162ドル)だった。 産科婦人科では、帝王切開が医師の自衛的医療の影響を受けると考えられており、帝王切開件数と翌年の医療過誤件数との関連を調べた。 その結果、リスク補正後の帝王切開年間実施率が高い医師のほうが、翌年の医療過誤訴訟の発生率が低かった。具体的には、年間実施が最も少ない第1五分位(実施率5.1%)群では5.7%であり、最も多い第5五分位(31.6%)群では2.7%だった。

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FDA、第3世代TKI(AZD9291)を承認

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者[CEO]:パスカル・ソリオ、以下、アストラゼネカ)は、2015年11月13日、AZD9291(商品名:TAGRISSO)80mg錠が、EGFR-TKIによる治療後に病勢進行した転移 EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表。AZD9291はFDAにより、迅速審査、画期的治療薬、優先審査および迅速承認のステータスを付与されていた。 AZD9291のFDA承認は、EGF-TKIの使用中または使用後に病勢進行した411例のEGFR T790M変異陽性NSCLCにおいて、有効性を示した2つのAURA第II相試験(AURA第II相延長試験、AURA2試験)のデータに基づいている。  AZD9291の頻度の高い有害事象は、下痢(全グレード:42%、グレード3/4:1%)、発疹(全グレード:41%、グレード3/4:0.5%)、皮膚乾燥(全グレード:31%、グレード3/4:0%)、爪毒性(全グレード:25%、グレード3/4:0%)であった。警告・使用上の注意には間質性肺疾患、QT間隔延長、心筋症、および胎児毒性が含まれる。 AZD9291のコンパニオン診断薬として、cobas EGFR Mutation Test v2も承認された。アストラゼネカ株式会社プレスリリースはこちら。FDAのプレスアナウンスメントはこちら。

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「糖尿病トライアルデータベース」がリニューアル

 ライフサイエンス出版株式会社は、約1,000報の糖尿病関連トライアルを収載した日本最大級の糖尿病研究データベース「糖尿病トライアルデータベース」を11月にリニューアルした。  目まぐるしく新薬ラッシュが続く糖尿病領域において、試験概要をもう一度詳しく調べたい場合や研究内容のチェックに活躍する。検索しやすく、編集委員のコメント付き 特長として、糖尿病のトライアルに関し、さまざまな方法で検索できることが挙げられる。たとえば、トップページの検索窓に任意の検索語を直接入力する方法や、トライアル名や著者名の頭文字がわかっている場合は、検索窓の下に並ぶアルファベットをクリックするだけで、表示された一覧から目的のトライアルを探すことができる。 トライアルの詳細は、抄録が項目(目的/試験デザイン/対象患者/方法/結果/結論)ごとにコンパクトかつ必要十分にまとめられているので、短時間で必要とする情報にたどり着くことができる。さらに、片山 茂裕氏(埼玉医科大学かわごえクリニック・埼玉医科大学)をはじめとする、糖尿病領域のオピニオンリーダー6人の編集委員による各トライアルについてのコメントも付いている。それぞれのトライアルの重要度を4段階で評価し、「研究結果の捉え方」や「今後の糖尿病治療への影響」など、さまざまな側面からの解説がなされている。 また、糖尿病治療に大きなインパクトを与えた研究(例:ACCORD、ADVANCE、UKPDS 80、久山町研究、熊本スタディなど)は「おさえておきたい重要トライアル」のコーナーにまとめられており、利便性も図られている。データベースは無料かつ会員登録不要 同データベースの閲覧はすべて無料であり、会員登録も不要としている。定期的にサイトにアクセスするだけで、新しいエビデンスに触れることができる。なお、データベース更新のお知らせはtwitter「@EBM_Library」でもツイートされている。「糖尿病トライアルデータベース」は、こちら詳しくは、ライフサイエンス出版株式会社まで。

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アルツハイマー病、進行前の早期発見が可能となるか

 アルツハイマー病(AD)に対する新しい治療法の開発を促進するため、早期診断バイオマーカーに大きな関心が寄せられている。MRIによる神経変性の測定はバイオマーカーの良い候補と考えられているが、これまでのところ病理学的な初期段階で有効性は示されていない。フランス国立科学研究センター(CNRS)のPierrick Coupe氏らは、MRIを用いた新たな海馬評価スコアを開発し、認知機能が障害されていない患者における認知症発症の早期発見に役立つかどうかを検証した。その結果、ADへ進行する7年前の海馬評価スコアが、海馬容積やMMSEスコアよりも予測精度が高いことを明らかにした。著者らは、「今回の研究は先行研究と比較して追跡期間が長期であり、この新しい画像バイオマーカーは臨床的に重要な意義がある。精度が高いことから、ADへ進行するリスクが高い認知機能正常患者の特定に役立つだろう」とまとめている。Human Brain Mapping誌オンライン版2015年10月10日の掲載報告。 研究グループは、健常者とAD患者を含むフランス3都市コホート研究の対象者において、MRIを用い、解剖学的パターンと類似性の高い新しい海馬評価スコアをパターン認識手法に基づいて作成し、12年間追跡調査した。 主な結果は以下のとおり。・ADへ進行する7年前の海馬評価の予測精度は最大72.5%(p<0.0001)で、海馬容積(58.1%、p=0.04)とMMSEスコア(56.9%、p=0.08)のどちらよりも精度が高かった。・ROC曲線下面積は、海馬容積(64.6%)より海馬評価(73.0%)が8.4ポイント高く、画像バイオマーカーの有効性が示された。・この新しい方法は、臨床スコアの推定に適応できることも示された。関連医療ニュース 早期アルツハイマー病診断に有用な方法は 統合失調症の正確な早期診断のためには 軽度認知障害からの進行を予測する新リスク指標  担当者へのご意見箱はこちら

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イーロン・マスク【Dr. 中島の 新・徒然草】(094)

九十四の段 イーロン・マスク最近、もっぱらキンドルやアマゾンで本を買っているのですが、町の本屋さんで買った本のほうが当たりが多い気がします。2015年に読んだ中で一番面白かったのも、近所の本屋で見つけた「イーロン・マスク 未来を創る男」(アシュリー・バンス著、講談社)です。イーロン・マスクというと、テスラ・モーターズで電気自動車を売っている怪しいオッサン、というイメージがあります。実際、名前も怪しいです!実は自動車だけでなく、スペースXという民間会社から、ロケットを飛ばして国際宇宙ステーションに物資補給をしていたり、ソーラーシティという大規模太陽光発電を行ったりもしているのがイーロン・マスクなのです。彼の事業の三本柱というと、宇宙、自動車、発電と、いずれも国家や巨大企業が対象とするような大掛かりなものばかりで、およそベンチャー企業が手を出せそうなものではありません。彼が凄いのは3つの分野とも結果を出していることです。たとえば、ロケットについてはエンジンから機体までの開発をほぼ自分たちで行い、打ち上げ価格も安く抑えています。ロケットを制御するアビオニクスシステムの開発には1,000万ドル以上かかるのがこれまでの常識でしたが、スペースXのチームはわずか1万ドルほどでつくってしまいました。同様に電気自動車についても、その多くの部品を自分達で開発し、モデルSは5人乗りセダンでありながら0-96km/Hの加速が4.5秒と高級スポーツーカー並みの加速を誇っています。さらにアメリカ西海岸中心に数百ヶ所の太陽光発電による充電スタンドを設置して、無料で充電させるという計画まであるのです。つまり、テスラのオーナーは燃料代を気にする必要がなくなるわけです。大規模太陽光発電のソーラーシティは、最初はマスクの従兄弟が始めた単なるソーラーパネル設置業者にすぎませんでした。ところが、マスクが筆頭株主となって太陽電池メーカーを買収し、さらに製造方法を工夫して効率化を進め、今や米国最大級の電力供給会社になりそうな勢いです。イーロン・マスクは、1971年南アフリカ生まれの44歳。現在はアメリカのロサンゼルスに住んでいます。本書では「次のジョブズはこの男」と呼ばれ、別の人には「ゲイツとジョブズを掛け合わせてバージョンアップしたのがマスクだ」とまで言われています。確かに、本気で人類の未来を考えて宇宙航空産業、自動車産業、電力供給会社に手を出し、ことごとく成功させているところなどは、すでにスティーブ・ジョブズを超えているかもしれません。イーロン・マスクの究極の目標は、人類を火星に移住させることです。スペースX本社に入ると、左右の壁に巨大なポスターが掲げられています。1つは現在の荒涼とした火星。もう1つは、海に囲まれた広大な緑の大地となった未来の火星です。つまり、火星を人類の住める環境に変えてしまおうというわけです。もし人類が火星と地球の間を自由に往来することが可能になれば、地球に巨大隕石が落ちてきても、何とか滅亡を避けることができるのではないでしょうか。ほかの人ならともかく、イーロン・マスクならその夢を可能にしてくれそうな気がしてきます。ということで、超人イーロン・マスクの伝記本。不景気なニュースが溢れている世の中ですが、このような明るい話に触れると前向きになれます。是非みなさんも読んでみてください。最後に1句マスクなら かなえてくれる 火星行き

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英国プライマリケアでの処方の安全性、施設間で差/BMJ

 英国一般診療所の代表サンプル526施設を対象に処方の安全性について調べた結果、患者の約5%に不適切処方がみられ、また約12%でモニタリングの記録が欠如していることが、英国・マンチェスター大学のS Jill Stocks氏らによる断面調査の結果、明らかになった。不適切処方のリスクは、高齢者、多剤反復処方されている患者で高く、著者は、「プライマリケアにおいて、とくに高齢者と多剤反復投与患者について処方のリスクがあり適切性について考慮すべきであることが浮かび上がった」と述べている。英国では、プライマリケア向けに処方安全指標(prescribing safety indicator)が開発されているが、これまで試験セットでの検討にとどまり、大規模なプライマリケアデータベースでの評価は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月3日号掲載の報告。英国一般診療所526施設のデータを分析 研究グループは、英国一般診療所における複数タイプの潜在的有害処方の有病率を調べ、また診療所間にばらつきがあるかどうかについて調べた。2013年4月1日時点でClinical Practice Research Datalink(CPRD)に登録された526施設において、診断と処方の組み合わせで特定した潜在的処方リスクやモニタリングエラーの可能性がある全成人患者を包含した。 主要アウトカムは、抗凝固薬、抗血小板薬、NSAIDs、β遮断薬、glitazone(チアゾリジン系糖尿病薬:TZD)、メトホルミン、ジゴキシン、抗精神病薬、経口避妊薬(CHC)、エストロゲンの潜在的に有害な処方率。また、ACE阻害薬およびループ利尿薬、アミオダロン、メトトレキサート、リチウム、ワルファリンの反復処方患者の、血液検査モニタリングの頻度が推奨値よりも低いこととした。不適切処方、モニタリング欠如は指標によりばらつき、診療所間のばらつきも高い 全体で94万9,552例のうち4万9,927例(5.26%、95%信頼区間[CI]:5.21~5.30%)の患者が、少なくとも1つの処方安全指標に抵触した。また、18万2,721例のうち2万1,501例(11.8%、11.6~11.9%)が、少なくとも1つのモニタリング指標に抵触した。 同処方率は、潜在的処方リスクタイプの違いでばらつきがみられ、ほぼゼロ(静脈または動脈血栓症歴ありでCHC処方:0.28%、心不全歴ありでTZD処方:0.37%)のものから、10.21%(消化器系潰瘍または消化管出血歴ありで消化管保護薬処方なし、アスピリンやクロピドグレル処方あり)にわたっていた。 不十分なモニタリングは、10.4%(75歳以上、ACE阻害薬やループ利尿薬処方、尿素および電解質モニタリングなし)から41.9%(アミオダロン反復処方、甲状腺機能検査なし)にわたっていた。 また、高齢者、多剤反復処方患者で、処方安全指標の抵触リスクが有意に高かった一方、若年で反復処方が少ない患者で、モニタリング指標の抵触リスクが有意に高かった。 さらに、いくつかの指標について診療所間での高いばらつきもみられた。 なお研究グループは、処方安全性指標について、「患者への有害リスクを増大する回避すべき処方パターンを明らかにするもので、臨床的に正当なものだが例外も常に存在するものである」と述べている。さらに、検討結果について「いくつかの診療について、CPRDで捕捉できていない情報がある可能性もあった(ワルファリンを投与されている患者のINRなど)」と補足している。

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マントル細胞リンパ腫の初期治療、レナリドミド+リツキシマブが有効/NEJM

 マントル細胞リンパ腫の初期治療について、レナリドミドとリツキシマブの生物学的製剤併用療法が有効であることが示された。2年無増悪生存率は85%、推定全生存率は97%だった。米国・コーネル大学医学部のJia Ruan氏らが、患者38例を対象に行った、第II相多施設共同単群導入・維持試験の結果明らかにした。マントル細胞リンパ腫の多くは治癒が困難で、初期治療は標準化されておらず、通常、殺細胞性化学療法などが行われている。一方、免疫調節薬レナリドミドと、抗CD20抗体リツキシマブは、再発マントル細胞リンパ腫患者における活性が認められており、研究グループはその併用療法の第1選択薬としての可能性について評価を行った。NEJM誌2015年11月5日号掲載の報告より。レナリドミドを導入期間・維持期間に分けて投与 研究グループは、2011年7月~14年4月にかけて、4ヵ所の医療機関を通じ、マントル細胞リンパ腫の患者38例について試験を開始した。被験者は年齢中央値65歳だった。 治療の導入期間には、1サイクル28日で12サイクル実施するレジメンを設定。初回サイクルは1~21日にレナリドミド20mg/日を投与し、同用量で有害事象がみられない場合は、2サイクル以降は25mg/日に増量した。その後の維持期間には、レナリドミド投与は15mg/日に減量した。 リツキシマブについては、当初4週間は週1回、翌週からは病勢進行が認められない限りは2サイクルに1回投与した。 主要評価項目は、全奏効率とした。副次評価項目は、安全性、生存率、QOL関連アウトカムなどだった。全奏効率は92%、完全奏効率は64% 被験者のベースラインでのマントル細胞リンパ腫国際予後指標スコアは、低リスクが34%、中程度リスクが34%、高リスクが32%だった。 2015年2月までの追跡期間中央値30ヵ月時点で評価可能だった被験者において、全奏効率は92%(95%信頼区間:78~98)、完全奏効率は64%(同:46~79)だった。 2年無増悪生存率推定値は85%(同:67~94)、2年生存率推定値は97%(同:79~99)だった。 頻度が高かったGrade3/4の有害事象は、好中球減少(50%)、発疹(29%)、血小板減少(13%)、炎症症候群(腫瘍フレア)(11%)、貧血(11%)、血清異常(8%)、疲労(8%)だった。 治療反応性は、QOLの向上と関連していた。

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想像以上に難しいRAの「バイオフリー」

 現在、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARDs)は多くの関節リウマチ(RA)患者で使用されているが、寛解時にbDMARDsの使用を中止しても疾患コントロールができる患者はどれくらいの割合で存在するのだろうか。ハーバード大学の吉田 和樹氏らは、日常診療における寛解時にbDMARDsを中止した場合の影響について調査を行ったところ、bDMARDsフリーによるclinical disease activity index(CDAI)寛解は高確率で失敗に終わることがわかった。この結果は、一度寛解に至った後も疾患コントロールを行うことが難しいことを示している。ただし、寛解を維持した患者の中には非生物学的製剤治療の変更を行った者もいた。bDMARDsの費用が高額であることを考慮すれば、bDMARDsの中止後に疾患コントロールを行う治療戦略は重要な選択肢である可能性がある。Rheumatology誌オンライン版2015年9月8日号の掲載報告。 調査では、わが国におけるRA患者の多施設登録データベース「Ninja」のデータを用いた。bDMARDsを使用しており、かつbDMARDs中止前のCDAI 2.8以下の寛解が1回以上ある患者を対象とした。bDMARDsフリーによる疾患コントロールの失敗は「bDMARDsの再使用」「non-bDMARDs・経口ステロイドの増量」「CDAI寛解の喪失」により定義された。 主な結果は以下のとおり。・bDMARDsで寛解を達成した1,037例のうち、46例でbDMARDsを中止した。・46例のうち41例(89.1%)が女性であり、罹病期間の中央値は6年で、31例(70.5%)でレントゲン上にびらんが観察された。・46例のうち27例(58.7%)がメトトレキサートを用いており、19例(41.3%)が経口ステロイドを用いていた。・bDMARDsフリーの寛解喪失率は1年で67.4%、2年で78.3%と推定された。・多くみられたbDMARDsフリーによる疾患コントロール失敗の理由は、CDAI寛解喪失とbDMARDs再使用であった。・寛解中のCDAIの値が低いほど、疾患コントロール失敗も少なかった。

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産後女性の精神症状軽減へ、ハーブティーの可能性

 出産後の女性において、睡眠の質を確保することは重要な問題である。カモミールは、催眠鎮静作用を有するといわれていることから、広く民間療法として使用されている。台湾・輔英科技大学のShao-Min Chang氏らは、カモミールが出産後女性の睡眠の質や疲労、うつ病に及ぼす影響を評価した。Journal of advanced nursing誌オンライン版2015年10月20日号の報告。 プレテスト・ポストテストデザインの無作為化対照試験を実施した。対象は、睡眠の質が悪い出産後の台湾女性80人(2012年11月~2013年8月、PSQS[Postpartum Sleep Quality Scale]スコア16以上)。対象者を、介入群40人、対照群40人にランダムスタートで系統的に割り付けた。介入群は、2週間カモミールティーを飲むように指示された。対照群は、定期的な産後ケアのみを受けた。PSQS(産後睡眠の質スケール)、エジンバラ産後うつ病スケール、Postpartum Fatigue Scale(産後疲労スケール)を用い評価した。2標本t検定は、2群間のアウトカム変数の平均差を使用した。 主な結果は以下のとおり。・対照群と比較し、介入群は身体症状関連の睡眠の非効率(t=-2.482、p=0.015)とうつ症状(t=-2.372、p=0.020)において有意に低い得点を示した。・しかし、3つの評価尺度すべてにおいて、試験後4週時点で両群とも同様であり、カモミールティーの効果は短期的なものに限定されていることが示唆された。 結果を踏まえ、著者らは「カモミールティーは、産後女性のうつ病や睡眠の質の問題を軽減する補助的なアプローチとして勧めることができる」とまとめている。関連医療ニュース 妊娠に伴ううつ病、効果的なメンタルヘルス活用法 産後うつ病への抗うつ薬治療、その課題は 栄養補助食品は産後のうつ病予防に有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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インフルエンザ関連肺炎による入院に対する予防接種の効果は?(解説:小林 英夫 氏)-451

 かつて本邦では予防接種不要論を唱える向きもあったが、CDC(アメリカ疾病管理予防センター)もWHO(世界保健機関)もインフルエンザ予防接種を推奨し、2015年には本邦でも4価インフルエンザワクチンが導入されている。すでに接種が有効か無効かを議論する時期ではなく、どのような接種対象者にどのような有用性が高いのかを検討していく段階になっている。たとえば本邦では、2009年まで妊婦への接種が推奨されていなかったことも記憶に新しい。未解決点が存在する理由として、インフルエンザ疫学研究における多くのバイアスの介在が挙げられる。対象集団設定、流行規模、抗原変異など、さまざまな因子を一定化することは困難であり、多数の研究を蓄積していくことでしか解決はなしえない。 米国予防接種諮問委員会は、予防接種が高齢者・施設入所者のインフルエンザ関連入院や死亡のリスクを減じると報告してきたが、今回のCarlos G. Grijalva氏らの論文は、免疫機能低下者を除外した市中発症のインフルエンザ関連感染入院症例において、予防接種がインフルエンザ関連肺炎を低下させるかどうかを目標とした前向き観察研究である。彼らは、インフルエンザ関連肺炎患者162例と非関連肺炎患者2,605例とを比較し、インフルエンザワクチン接種率は前群で17%と低く、すなわち未接種者が多かったことを示し、ワクチン接種はインフルエンザ関連肺炎による入院を抑制すること報告している。3回の流行シーズンにまたがる調査で、対象症例も多く、インフルエンザの診断がスワブ検体のRT-PCR法を用いている点など、現実的に実施できる研究として評価できる内容である。有効率やオッズ比、症例内訳、解析方法などは上記オリジナルニュースを参照していただきたい。ワクチン接種が重症インフルエンザ肺炎を減少するという推論も受け入れやすいものであろう。 ここで筆者は、インフルエンザ関連肺炎群と非インフルエンザ肺炎群を比較している研究であることを指摘しておきたい。インフルエンザ関連肺炎がワクチン接種により抑制できるかどうかを一義的に解明するには、非現実的だが、接種者集団からの肺炎発症数と非接種者集団からの肺炎発症数との比較がより信頼できる情報が必要である。 ワクチンの有効性表現はvaccine efficacyとvaccine effectivenessの2者が定義され、計算式は同様だが概念がやや異なる。その計算法は(非接種者の発症率 - 接種者の発症率)÷(非接種者の発症率)×100(%)となっている。もちろん、接種者および非接種者の追跡は困難であり、インフルエンザ肺炎発病者が全例受診するとは限らないなど、たくさんの隘路が存在する。出発点である接種そのものにも選択バイアスが存在している。対象症例を比較的均等化できる試験と異なって、インフルエンザの疫学研究を評価する際には、事前に理解しておくべきさまざまな要素があることを意識し、研究デザインを把握したうえでの文献解読が重要であるということを認識していただければ幸甚である。その意味で本論文は最終結論とはなりえていないが、さらなる知見集積の基礎として位置付けられよう。 筆者のような臨床医にとって、インフルエンザワクチンの有効性を評価する際に、どのような視点が重要であるのかを学ぶうえで、大阪市立大学公衆衛生学 廣田 良夫名誉教授、福島 若葉教授らの多くの論説がきわめて勉強になった。肺がんなどの無作為化比較による臨床試験とは大きく異なるので、一読をおすすめします。

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SPRINT試験:75歳以上の後期高齢者でも収縮期血圧120mmHg未満が目標?(解説:浦 信行 氏)-450

 最近の各国の高血圧ガイドラインにおいては欧米のそれを中心に、従来の降圧目標値を上方修正する傾向にある。今回の解析対象には含まれていないが、より心血管疾患のリスクの高い糖尿病合併例においては、ACCORD-BP試験の結果から、わが国以外ではおしなべて降圧目標値を上方修正した経緯がある。米国では2016年秋に改訂ガイドラインが公表される予定だが、このSPRINT試験はその傾向に再考を促す結果となり、大なり小なりこの試験の結果を包含した内容になると考えられる。 ところで、厳格降圧群の平均収縮期血圧(SBP) は121.5mmHg未満と、半数は120mmHg未満を達成していない。IDNT試験の層別解析では、腎イベントはSBPが120mmHg未満を達成しても一層の効果はなく、全死亡はSBP 120mmHg以下でむしろ増え、Jカーブとなっている。SBPの達成血圧値による、より詳細な分析が必要と考える。桑島氏も指摘のとおり、SPRINT試験では心不全に対する効果が、結果に大きく影響していると思われる。使用薬剤は、RA系抑制薬使用が厳格治療群76.7%に対して標準治療群で55.2%、サイアザイド系利尿薬が54.9%対33.3%、β遮断薬が41.1%対30.8%、アルドステロン拮抗薬が8.7%対4.0%と、降圧作用だけではなく心不全治療としてもかなり濃厚なものとなっている。そして、高齢者の血圧管理についても厳格降圧群で優れる結果となっている。 しかし、75歳以上の後期高齢者での両群の達成血圧値が提示されておらず、この群においても実際にSBP 120mmHg未満を達成した例がどれだけいたかは不明である。また、施設入所の高齢者は含まれておらず、ADLの保たれている高齢者のみが対象である。重篤な合併症は低血圧、失神、電解質異常、急性腎障害が厳格降圧群で有意に多く、限られた例数の75歳以上の後期高齢者群でも、低Na血症と急性腎障害が有意に多かった。著者らはこの結果から“メリットとデメリットをはかりにかけて目標値を考慮”との表現をしているが、はたして75歳以上の後期高齢者の高血圧に対し、降圧薬を増量してSBP 120mmHg未満を目指すことを、実地臨床で踏み切れるだろうか。 わが国では、高齢者高血圧の治療介入試験でJATOS試験やVALISH試験の成績があり、今回のSPRINT試験とは違う結果である。欧米との病態の違い、背景因子の違いなどがあり、必ずしもSPRINT試験の結果をそのまま演繹する必要はないと考える。日本人を対象とした同様の研究を考慮する必要があると考える。関連コメントSPRINT試験:厳格な降圧が心血管発症を予防、しかし血圧測定環境が違うことに注意!(解説:桑島 巖 氏)SPRINT試験:絶対リスクにより降圧目標を変えるべきか?(解説:有馬 久富 氏)

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循環器内科 米国臨床留学記 第3回

第3回:米国の循環器フェローの生活 今回は米国における循環器フェローシップのトレーニングや生活を具体的にみてみたいと思います。2015年、CORECATS(Core Cardiovascular Training Statement)と呼ばれる循環器トレーニングの指針が改訂され、JACC(Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer)で発表されました1)。186ページにもわたる大ボリュームです。この内容も踏まえながら、今回は米国のトレーニングをもう少し詳しくみてみたいと思います。待遇:苦しいフェロー生活! フェローシップにおいてお金の話は避けて通れません。まずはここから始めましょう。 一般に、米国の循環器フェローの給料は6万ドル、税金を引くと月給にして4,000ドル前後です。NYや西海岸などでは、家賃だけで給料の6割から7割近くを占めますし、幼稚園などはすごく高く、私の住むアーバイン(カリフォルニア州)では1人当たり1,000ドルを超えます。ですから、この給料でやっていくのは家族連れには不可能です。ですから、日本人の臨床留学の仲間が集まると、たいていどれだけ貧乏かという話に落ち着きますし、家族の理解なしでは米国での臨床留学は成り立ちません。 米国人のレジデントは、医学部卒業時で10万ドル(1,200万円)を超える借金、なんと36%が20万ドルを超えた借金を抱えています。(Leslie Kane and Carol Peckham. Residents Salary and Debt Report 2014. Medscape, FAMILY MEDICINE.) 結果、多くのフェローがmoonlighting(当直バイト)をして、収入を補っています。時間当たり100ドルぐらいが相場ですが、moonlightingの時間も労働時間にカウントされ、週80時間を超えて労働すると、プログラムの規則違反となり、解雇されることもあります。 日本では3年目から市中病院で勤めると年収も1,000万円近くになることが多いと思いますので、収入に困るということはないと思いますが、大学や国立病院に勤務すると、バイトをしないと家族を支えるのは難しいかもしれません。私も6年目で国立循環器病センターに移った際に、給料が半分に下がり、それを補うべく大阪のさまざまな病院で当直バイトに明け暮れていました。1年目は忙しいCCUローテーションなどが中心、比較的楽な3年目 1年目はCCUなどのローテーションが多く、学年が上がるにつれて楽なローテーションが増え、また、その後に進むサブスペシャルティーを重点的にローテートしたりもできます。CCUでは10人前後の患者を2、3人のレジデントと一緒に担当します。朝7時半ぐらいから、レジデントと新しい患者の申し送り事項を確認し、前日からいる患者と合わせて治療方針を確認します。9時から指導医との回診が始まります。私の所属するカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)では、指導医は週単位で変わり、インターベンショニスト(冠動脈疾患専門医)やEP(Electrophysiologist:不整脈専門医)の指導医も回診を担当しなければなりません。UCIではCCUをICUの当直がカバーするので、フェローは病院に残る必要はありませんが、18時以降でもST上昇心筋梗塞、心タンポナーデなどの患者が来れば、オンコールのフェローは病院に戻らなければなりません(プログラムによってはCCU当直を担当する循環器フェローが病院に泊まるようです)。CCUローテーションは週末を除いて月曜日から木曜日までは当直が続きます。週末は、4~5週間に1回、当直を担当します。結果的に、当直を挟むと最長で11日間連続当直となりますので、体力的に結構きついです。週末の当直は通常業務に加えて、金曜日の夜以降にやってきた患者のストレステストも担当しなければなりませんので、かなり忙しくなります。ローテーションの内容:雑用は少ない?? 米国では基本的に月単位のローテーションです。米国では小さなプログラムでも最低3人つまり3学年で9人以上、多くの場合15人ほどのフェローがいますので、月ごとのローテーションが可能です。基本的には心カテ、EP、心不全、心エコー、CCU、コンサルト、リサーチの繰り返しとなります。前回のコラムで雑用は少ないと書きましたが、最近はそうでもないなと感じています。雑用の一つとして、ストレステストがあげられます。 心筋シンチや負荷エコーなどができる米国の病院に胸痛を主訴に来ると、ストレステストなしで帰宅できる可能性はきわめて低いです。ER(救急外来)の医師は、冠動脈疾患の可能性が低いと診断した胸痛患者も責任の回避のためにストレステストへ患者を回します。ストレステストに現れた患者と話をして、どうみても筋肉か骨の痛みだろうと思っても、やらざるを得ないということが良くあります。お金と時間の無駄だなと分かっていても、ストレステストをオーダーされる側は黙ってやるのみです。まあ、実際、肥満や糖尿病患者が多いので筋肉の痛みで来たとしても、冠動脈疾患を持っている患者は多そうですが。こういう考えで医療を行うことをdefensive medicineと呼びますが、米国はこれがひどいです。99.9%冠動脈疾患じゃないとわかっていても、見逃した0.1%つまり1,000回に1回でも見逃すと訴えられる可能性が高いわけです。毎日、何十人も見知らぬ患者をみている救急医からすると、1,000回に1回訴えられるリスクを取るよりも、ワンクリックでストレステストをオーダーしたほうが間違いがないし、簡単なわけです。病院も儲かります。 UCIでは、負荷心エコーもしくは心筋シンチを受けることとなります。日中はナースプラクティショナーが行ってくれることが多いのですが、彼らは何件残っていても、容赦なく夕方4時などで帰宅します。残ったストレス負荷は、フェローが残って行うため、夜8時までストレス負荷をやるはめになることもあります。目標症例数に応じたトレーニングレベル 米国では冠動脈造影、エコーなどに必要症例数や必要なトレーニング期間が設けられており、それに応じてレベル1~3の到達度が決まります。(表1 論文1より翻訳、改訂)1)レベル1が循環器のコンサルタントとして必要とされる基礎の循環器トレーニングです。 表2、3に冠動脈造影、心エコーにおける到達度の例を示します。フェローシップの間、ログブックに症例数を書き込み、フェロー修了時に冠動脈造影や心エコーの到達度を各自が把握します。たとえば、心エコーのレベル3は12ヵ月のトレーニング、300症例のエコーの施行、750症例のエコーの画像診断が必要になります。就職の際に、エコーについてはレベル2が必要、エコーの専門医資格が必要となることもあり、レベルを上げるモチベーションにもなります。 運動負荷心エコーや経食道心エコー(TEE)についても細かく症例数が決められています。たとえば、TEEは年間500症例以上を行う施設でトレーニングを行うのが最良とされており、3年間で50症例、できれば100症例を施行することと記載があります。日本でこれだけの数を行える施設では大学や一部の循環器センターを除くと少ないと思います。実際、1ヵ月のエコーローテーションで日本の3年間の循環器トレーニングのTEEの症例数を上回りました。静脈薬物使用患者が多く、感染性心内膜炎疑いが多いことも一因と考えられます。 また、症例数に応じてフェローの数が決められているため、自分が3年間で経験できる症例数が保障されます。何らかの理由で経験症例数が減ると、フェローからの苦情がACGME(トレーニングを統括する団体)に入り、最悪の場合、プログラムの停止や廃止につながります。進路:Subspecialty or General Cardiologist (一般循環専門医) 米国ではサブスペシャルティーのトレーニングが明確化しているため、general cardiologist、インターベンショニスト、EPなどの境界が明確です。2008年のデータ2)ですが循環器医の60%がgeneral cardiologistでした。最近の若い循環器医はどうでしょうか。毎年850人近い循環器専門医が誕生します。そのうち、インターベンションに300人(35%)、EPに130人(15%)、心不全に100人(12%)*前後が進んでいますので、4割ぐらいがgeneral cardiologistになっているということになります。日本では、大学などで一般循環器のトレーニングを受けた後、冠動脈、不整脈、心不全(心エコー)、基礎研究などのサブスペシャルティーを選択することがほとんどで、general cardiologistという概念は浸透していないような気がします。また、日本の市中病院で心臓カテーテルをしないという若い循環器医は少ないように思います。米国のgeneral cardiologistは心エコーや核医学診断などが中心で、一般的には冠動脈造影は行いません。給料はインターベンショニストなどに比べると若干落ちますが、危険な手技がない分、訴訟のリスクも低く、好んでgeneral cardiologistになる人も多いです。どのサブスペシャルティーが多いかは、給料の変化や需要と供給のバランスで毎年変わっていきます。このあたりもアメリカらしいところです。 次回は、米国のフェローシップ中に勤務する、大学病院、軍人病院(VA)、プライベートホスピタルの違いを述べたいと思います。 参考文献 1) Sinha SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;65:1907-1914. 2) Rodgers GP, et al. J Am Coll Cardiol. 2009;54:1195-1208.

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乳頭状腎細胞がん、遺伝子解析で特徴付けが判明/NEJM

 腎細胞がんの15~20%を占め、1型と2型の存在が示されている乳頭状腎細胞がんは、これまでその遺伝子レベルの特性はほとんど解明されておらず、また病勢進行における有効な治療法はない。米国国立がん研究所のW. Marston Linehan氏ら、がんゲノムアトラス研究ネットワークは、161例の患者について分析を行い、1型と2型では臨床的および生物学的に異なること、さらに2型については3つのサブタイプがあることなどを明らかにした。NEJM誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。1型、2型を含む161例について解析 乳頭状腎細胞がんは、不均一性の疾患で、無痛性、多発性、孤在性、高致死表現型などさまざまなタイプが存在する腎細胞がんである。 研究グループは、原発性乳頭状腎細胞がん患者161例について、全エクソーム・シーケンシング、コピー数解析、メッセンジャーRNAおよびマイクロRNAシーケンシング、DNAメチル化解析、プロテオーム解析にて、分子レベルの統合的特徴付けを行った。 被験者のうち1型が75例、2型は60例、分類不可が26例であった。1型はStageIの、2型はStageIII/VIの頻度が高かったが、これらの所見は先行研究と一致したものであった。1型と2型で異なる遺伝子変異が判明、さらに2型は3つにサブ分類 統合分析の結果、1型と2型は、特異的遺伝子変異により違いが特徴付けられることが示された。さらに2型は患者の生存と関連する遺伝子の違いで、3つのサブグループに分類できた。 具体的には、1型はMET遺伝子変異と関連していた。一方、2型はCDKN2A遺伝子サイレンシング、SETD2遺伝子突然変異、TFE3遺伝子融合によって特徴付けられ、NRF2-抗酸化反応(ARE)経路発現の増加がみられた。また、CDKN2A遺伝子変異が認められた患者では、認められなかった患者よりも全生存が有意に低かった。 さらに、2型のCpGアイランドメチル化形質(CIMP)が観察されたサブグループで、生存不良、フマル酸ヒドラターゼ(FH)遺伝子コード変異が特徴付けられた。 これらの結果から著者は、「乳頭状腎細胞がんの1型と2型は、臨床的および生物学的に異なることが示された。1型はMET経路の変異と関連しており、2型はNRF2-ARE経路活性と関連していた。また2型ではCDKN2A欠損とCIMPにより予後不良の判断が可能であった。さらに、2型は遺伝子および表現型の違いに基づき、少なくとも3つのサブタイプが存在した」とまとめている。

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