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予定外妊娠を減らすには…/Lancet

 予定外妊娠は、米国において引き続き重大な公衆衛生上の課題となっている。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のCynthia C Harper氏らは、長期間作用型可逆的避妊法(LARC)へのアクセスを増大する介入効果について、クラスター無作為化試験を行った。その結果、家族計画カウンセリング参加者へのLARCや子宮内避妊器具(IUD)へのアクセスに関するカウンセリングの提供により、予定外妊娠は減少可能であることを報告した。米国では妊娠の51%が予定外妊娠と推計されており、その多くが18~24歳の低所得でマイノリティに属する女性だという。米国疾病予防センター(CDC)は予定外妊娠の予防策としてLARCへのアクセス増大を推奨しているが、米国のIUD使用率は9%と他の先進国(フランス23%など)と比べて低い現状だという。Lancet誌オンライン版2015年6月16日号掲載の報告より。LARCカウンセリングの訓練介入施設と非介入施設における妊娠率を比較 試験は、2011~2013年に全米40ヵ所の産婦人科クリニックの協力を得て行われた。20クリニックを、IUDまたはプロゲスチンインプラントのカウンセリングおよび装着提供に関するエビデンスベースの訓練介入を受ける群に割り付け、他の20クリニックは標準ケアを提供する(対照)群に割り付けた。避妊にかかる標準コストは全施設に保証された。 家族計画または中絶ケアを受診中で今後12ヵ月間は妊娠を望んでいない18~25歳の女性を集め評価した。 主要アウトカムは、訪問先クリニックでのIUDまたはインプラントの選択で、副次アウトカムは12ヵ月以内の妊娠とした。クラスターデータについて一般化推定方程式を用いて避妊選択に関する介入効果を測定し、また、生存分析で妊娠率を評価した。訓練介入施設でLARC選択が増え妊娠率も低下 登録された女性は1,500例であった。被験者の報告から、IUDまたはインプラントのカウンセリングは訓練介入群のほうが対照群よりも多く行われていることが判明した(71% vs.39%、オッズ比[OR]:3.8、95%信頼区間[CI]:2.8~5.2)。 通院中にLARCを選択した女性も、訓練介入群のほうが多かった(28% vs.17%、OR:1.9、95%CI:1.3~2.8)。 妊娠率は、家族計画受診後では、対照群よりも介入群が顕著に低く(7.9 vs.15.4/100人年)、クリニックに対する訓練介入の有意な効果が認められた(ハザード比:0.54、95%CI:0.34~0.85)。一方で、中絶ケア受診後では妊娠率に差はみられなかった(26.5 vs.22.3/100人年)。

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青年期うつは自助予防可能か

 思春期はうつ病発症のピーク期であるが、青少年が自身でリスクレベルを低下可能かどうかは、ほとんど明らかとなっていない。オーストラリア・メルボルン大学のKathryn E. Cairns氏らは、デルファイ法を用いた検討で、青年期うつ病の自助予防戦略について専門家のコンセンサス確立を試みた。その結果、自助予防が可能だと支持される戦略が明らかになった。Affective Disorders誌オンライン版2015年5月18日号の掲載報告。 検討は、文献検索にて青年期に対する194の勧告を特定して行われた。それらについて、32人の国際研究者と臨床専門家から成るパネル、および49人の消費者団体から成るパネルに対して、3回繰り返しての質問票提示を行い、パネル委員は、各勧告の予防の重要性と青少年による実行可能性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・両パネルの80%以上が、145の戦略について青年期うつ病発症リスクを低下すると支持した。・それらは、精神的健康、人格的アイデンティティ、生活能力、健全な関係性、健康的なライフスタイル、レクリエーションやレジャーにおけるメッセージなどであった。・127の戦略が、思春期初期と後期の両方のうつ病リスク低下に有用だと支持された。思春期初期にのみ有用と評価された戦略は1つ、後期にのみ有用と支持された戦略は17であった。・青年期において実行しやすいとパネル委員に評価された戦略は、概して中程度のものであった。・なお、本研究の専門家は、先進国で英語を母国語とする国の出身者であった。そのため特定された戦略は適切性に欠け、また同一国内のマイノリティや他国では適切ではない可能性があり、本検討は限定的なものであった。関連医療ニュース 魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大 若者の新型うつ病へのアプローチとなりうるか 子供はよく遊ばせておいたほうがよい  担当者へのご意見箱はこちら

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よくある話【1】目に見えるリスクに対する過大評価:下大静脈フィルターの使い方(解説:香坂 俊 氏)-376

われわれはどうも昔から「見えてしまう」とそれを治療せずにはいられないようである。古いところでは乳がんに対する拡大郭清術、新しいところでは安定狭心症に対するステント治療などがそれに当たるだろうか。現在では、いずれの手技もごく限られたハイリスク症例だけに行われるようになっている(ハズである)。そこに、今回下大静脈フィルター(IVC Filter)が加わった、というのは言い過ぎだろうか?抗凝固に加えてFilterを入れることは、「一応、念のためにね」といったadjunctive(補助的)な位置付けで広く行われてきた。Filterを入れて悪いこともなさそうだし、最近は回収できるようにもなっている。だから「いっちょやっとくか」という発想はいかにも自然だ。ただ、以前よりFilterのルーチン使用には警鐘が鳴らされるようになってきている。確かに初代のPREPIC試験では、Filterに急性期PE(肺塞栓症)の予防効果がみられた(12日以内、対象はDVT[深部静脈血栓症]患者)1)。しかし、2年、8年と長期的にみていくとDVTの発症が増え(おそらくはFilterの目詰りが原因)、トータルでみるとFilterを入れても入れなくても予後に大きな影響がないことが示されている2)。そして、PREPIC試験の2代目の試験がデザインされた3)。今回は、短期的に回収可能なFilterを入れるか入れないかというところでランダム化されている(対象はハイリスクPE患者)。試験の結果をみてみると、Filterの留置に伴う合併症の発生率は低く(<2%)、しかも90%以上の症例できちんと3ヵ月以内に回収されている。しかし、それでもFilterの留置によるPEの再発予防効果はみられなかった(6ヵ月)。どうもPEやDVTといった静脈系の血栓性疾患に対する物理的な治療法は分が悪いようである。現段階でのDVTやPEに対するマネジメントの中心は抗凝固療法であり、たとえハイリスク症例であったとしてもルーチンのFilter使用は推奨されない。Filter使用の適応として現在でも残っているのは抗凝固禁忌例(例:最近手術や脳出血を経験した症例)であるが、その根拠は観察研究からの「結果的にPE再発の率が低かった」というところに留まり、いまだRCTは行われていない。ここがおそらく最後の砦であり、今後議論がクローズアップされていくものと思われる。

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よくある話【2】見えなかったリスクに対する過小評価:カテ前出血リスクの定量的評価(解説:香坂 俊 氏)-377

われわれはどうも昔から「見えないところ」の評価であっても、自分たちの経験による見立てはそれほど大きく的をはずさない、と考えるようである。今回は、冠動脈インターベンション(PCI)の合併症の予測に関する話題であるが、この手技には穿刺に伴う出血や造影剤使用による腎症といった問題点がつきまとう。そうした合併症を誰が起こしやすく、誰が起こさないのかということは、医師の評価の「正しさ」に関わる事象であり、これまでその領域があまり問題視されたことはなかった。John Spertus氏は、これまでそうしたリスク評価について、循環器分野で先駆的な役割を果たしてきた。そのSpertus氏がこれまでの集大成として提示したのが今回BMJ誌に掲載された論文である。扱われている内容はPCIに伴う出血の予測である。米国にはbivalirudinという、わが国のアルガトロバン(商品名:スロンノン)に近いトロンビン阻害薬が存在し、このbivalirudinはPCIに際し標準治療よりも出血率を下げることができる、とされている。ただ高額な薬剤であり、症例を選んで使わなくてはならない。Spertus氏がまず提示したのは、そのbivalirudinの使用率である。その使用率を客観的に計算された出血リスクに応じて振り分けたのが下図となる。わかりにくいかもしれないが、1本1本の曲線が各ドクターのbivalirudin使用率を示していて、人によって使い方がさまざまであることがおわかりいただけるかと思う。ただ、注目すべきは、ドクターによってはリスクが低い患者にbivalirudinを多く使用し、リスクが高い患者に使用していないといった傾向がみられるというところである(赤矢印方向)。これは本来のbivalirudinの用途からすると合目的ではない。そこで、Spertus氏は各施設にその客観的に計算された出血リスクを提示し、PCIの同意書に強制的にその数値を印刷する、という介入を行った。すると、その結果として、bivalirudinの使用は以下のように変化した。右上がりの曲線(赤矢印方向)が多くみられるようになり、bivalirudinの使用がその目的に沿ったものとなっていることがうかがえる。リスクの提示でここまで医師の判断や行動が変化するということも驚きであるが、この研究の成果はこれだけにとどまらない。上の図は、客観的に計算された出血リスクが同意書に提示されるようになる前後での実際の出血率を表したものである。グラフ右側に注目していただきたいが、高リスク患者における出血率が劇的に改善している。幾多もの薬剤、そしてデバイスの進歩よりも明確な「予後改善効果」がここには示されており、この分野注)での画期的な成果として特筆すべきことと(自分には)思われる。おそらく、これからの医療はデータを積極的に活用する時代を迎え、こうしたリスク計算なしには成立しえない方向に向かっていくであろう。好むと好まざるとにかかわらず、それが患者さんの安全の担保につながるからである(定量的なリスク評価なしに手技や手術に踏み込むことは、海図を持たずに航海に出るに等しい)。そのランドマークとなる発見がここにあった、といつの日かいわれる時がくるのではないか。注:Spertus氏はこうした研究分野を好んでOutcome Researchと呼び、米国では今後臨床研究はTranslational Research、Clinical Trial、そして Outcome Researchの3つに分かれていくと多くの研究者が考えている。

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専門外のアドバイス(前半)【Dr. 中島の 新・徒然草】(074)

七十四の段 専門外のアドバイス(前半)最近、親戚の男性が若くしてがんになってしまいました。当然のことながら奥さんもお母さんも周章狼狽。その結果、私にアドバイスを求めてきました。とはいえ消化器がんのことなんぞはまったくわからず、私もしどろもどろです。そうこうしているうちに手術が終わり、いよいよ化学療法。こちらも何とかしてあげたいのは山々です。「その病気だったら専門の先生に聞いて下さい」ということなら誰でも言えること。いくら専門外とはいえ、「私」にアドバイスを求めてきたのだから、「私」に話を聴いてもらいたいわけです。ということで、ある日、腹をくくって彼が入院している病院にお見舞いにいくことにしました。ロビーで彼と話をするうちに、医師ならではの助言が数多くできることに気づきました。というわけで、いくつかここに紹介しましょう。助言その1:標準治療こそ最強 中島 「病気になったら周囲の人が色々とアドバイスをしてくれると思うけど」 男性 「そうなんですよ」 中島 「たとえば『イワシの頭を食べたらがんに効く』とか、そのテのことだ」 男性 「もう既にあれこれ言われています」 中島 「親戚だからホントのことを言うけどね、そんなモンはクソだな!」 男性 「クソ……ですか?」 中島 「イワシの頭の錠剤とか、1本何万円の〇〇のエキスとか、全部その場で叩き返しなさい」 男性 「でも、せっかく親切で言ってくれているんだし」 中島 「現代医学を信じようよ。標準治療こそ最強だから」 男性 「標準治療といいますと?」 中島 「科学的な理論と膨大な試行錯誤で築き上げられた『定石』だ」 男性 「将棋や囲碁の定石のようなものですか」 中島 「そう。このステージならこう、この場合はこう、とベストのやり方が確立されているわけ」 男性 「なるほど」 中島 「もちろん定石として固まっていない部分もある。その場合は『治療法Aと治療法Bがあって、それぞれのメリット・デメリットはこうです』という説明があり、患者自身が選択しなくてはならない」 男性 「そうなんですね」 中島 「せっかく治るチャンスがあるんだから、民間療法に走ったりしないように」 男性 「確かに走りそうになっていました」 この男性は普通のサラリーマンですが、ロジカルな考え方のできる人のようでした。助言その2:健康な周囲の人を妬まないこと 中島 「若くして難しい病気にかかったら、『なんで俺が?』って思うでしょ」 男性 「正直なところ、そう思っています」 中島 「健康な人を妬ましく思うのは病人の自然な気持ちだから否定はしないけど」 男性 「ええ」 中島 「あんまり取り憑かれないほうがいいよ。自分が不幸になるだけだし」 男性 「わかりました」 私自身が病気になったときのことを思い出しながらのアドバイスです。助言その3:患者向けガイドラインを読むこと 男性 「何か読んでおいたほうがいい本とかありますか?」 中島 「患者向けガイドラインかな」 男性 「そんなものがあるんですか?」 中島 「各学会が出しているガイドラインは医師向けと患者向けがあるわけ。それの患者向けのものを読んでおくと凄く役に立つよ」 男性 「早速読んでみます」 中島 「ネットで公開されているし、なんせわかりやすいのは間違いない」 実はお見舞いの前に私がこっそり読んで来たのです。最近の患者向けガイドラインはよくできているので感心しました。助言その4:病気のことは周囲に打ち明けたほうが楽になる 中島 「病気のことは高度な個人情報だから周囲に隠しておく、というのも1つの考え方だ」 男性 「そうですね」 中島 「でもね、周囲の人たちにも言ったほうが楽になると僕は思う」 男性 「そうなんですか!」 中島 「自分だけで抱えていると苦しいのは間違いない。僕の場合は人と話をしたほうが気持ちが軽くなったな」 男性 「今日、こうやって話をしているだけでもかなり楽になってきました」 これは人によって立場や考え方は色々だと思います。あくまでも自分自身の経験に基づいての話です。助言その5:経済的補助に関する公的制度を活用すること 中島 「病気になったら治療費のことが気になると思うけど」 男性 「実際のところ気になって仕方ないんですよ。まだ子供も小さいし」 中島 「幸いなことに日本は色々な医療費助成制度があるし、病院にも窓口はあるから相談すべきだ」 男性 「そうですね」 中島 「各市町村にも助成制度があるから、ホームページなんかで調べるといいよ」 男性 「なるほど」 中島 「テレビドラマなんかで『手術してもらうために大金を準備しなくては!』とかやったりしているけど、『どこの外国の話ですか?』と、僕なんかそう思うね」 男性 「わかりました」 なんだかんだいっても諸外国に比べて日本の医療制度は良くできています。長くなりそうなので、話は後半に続きます。途中で1句医師ならば 専門外でも アドバイス

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ダビガトランの中和薬としてidarucizumabが有望/Lancet

 ヒト化モノクローナル抗体フラグメントidarucizumabは、用量依存的にダビガトラン(商品名:プラザキサ)の抗凝固作用を、迅速かつ完全にリバースすることが明らかになった。薬剤関連の有害事象についても、重篤なものは認められなかった。ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社のStephan Glund氏らが健康な男性47例について行った第I相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、示された。ダビガトランは心房細動後の脳卒中予防に、また静脈血栓塞栓症の治療および予防に関して、ワルファリンに代わる効果があることが示されている。Lancet誌オンライン版2015年6月15日号で発表した。idarucizumabを1g~7.5g投与、安全性、忍容性、有効性を検討 試験は、2013年2月23日~11月29日にかけてベルギーのSGS Life Sciences Clinical Research Servicesで、18~45歳の健康なボランティア男性47例を対象に行われた。被験者のBMIは18.5~29.9だった。 同グループは被験者全員に対し、ダビガトランエテキシラート220mg、1日2回を3日間、4日目には1回量を投与した。また被験者を無作為に分け、ダビガトラン最終投与2時間後に、idarucizumabを1g、2g、4gをいずれも5分静注投与、または5gと2.5gを1時間間隔で5分静注投与、またはプラセボ投与を、それぞれの群に行った。 主要評価項目は、薬剤関連有害事象だった。副次評価項目は、希釈トロンビン時間(dTT)、エカリン凝固時間(ECT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、トロンビン時間のリバースなどで、2~12時間の効果曲線下面積(AUEC2-12)で評価した。用量依存的に、抗凝固作用は迅速かつ完全にリバース 結果、薬剤関連有害事象は7例報告されたが、注射部位紅斑や鼻出血など、全員が軽症だった。 idarucizumabは、投与量に応じて、ダビガトランによる抗凝固作用を、迅速かつ完全にリバースした。ダビガトラン投与4日目の同3日目に対するAUEC2-12の平均比率は、dTTはプラセボ群が1.01に対し、idarucizumab 1g群が0.26(74%抑制)、2g群 0.06(94%抑制)、4g群 0.02(98%抑制)、5g+2.5g群が0.01(99%抑制)だった。 重篤または重度の有害事象は報告されなかった。治療中断となった有害事象はなく、治療群間で有害事象発生の臨床的に重大な差はみられなかった。 なお本剤に関する臨床試験はさらに継続中である。

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膝痛に関節鏡視下手術は本当に有用か/BMJ

 中高年の膝の痛みや変形性膝関節症に対する膝関節鏡視下手術について、痛みの改善効果はわずかであり、機能性に対する効果は認められないとの見解を、南デンマーク大学のJ. B. Thorlund氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。膝関節鏡視下手術は、持続的な膝の痛みを有する中高年に対して実施される頻度が高く、かつ増大している。その付加的効果を示す無作為化試験はわずかに1件だが、多くの専門医がその手術介入の効果を確信しているという。BMJ誌オンライン版2015年6月16日号掲載の報告より。2000年以降発表論文をレビュー 研究グループは、Medline、Embase、CINAHL、コクランの臨床試験中央レジストリCENTRALなどを基に、2014年8月までに発表された、膝の痛みや変形性膝関節症を有する中高年患者への膝関節鏡視下手術に関する試験について、システマティックレビューとメタ解析を実施し、有効性と有害性を分析した。有害性についての論文は2000年以降発表分のみとした。 主要評価項目は、痛みと機能性だった。術後の痛み改善効果はわずかで、1~2年と限定的 結果、該当する9件の無作為化比較試験が見つかった。 各試験の術後3~24ヵ月の主要エンドポイントを集計した主要解析の結果、膝関節鏡を含む手術介入を行った群の痛みの改善効果について、対照群との比較で示された差はわずかであった(効果量:0.14、95%信頼区間[CI]:0.03~0.26)。この差は、0~100mmの視覚的アナログスケール(VAS)で2.4mmに相当するものだった。 フォローアップ期間全体を通した分析では、膝関節鏡を含む介入の痛み改善効果は、術後3、6ヵ月時点ではVASで3~5mmとわずかで、その後24ヵ月時点ではベネフィットは認められなかった。一方、機能性については有意な効果が認められなかった(効果量:0.09、95%CI:-0.05~0.24)。 有害性については、9試験ともすべてで報告されており、具体的に、症候性深部静脈血栓症(4.13/1,000件)、肺塞栓症、感染症、死亡などだった。 結果を踏まえて著者は、「変形性膝関節症への関節鏡診断・治療から得られるベネフィットはわずかで、効果は術後1~2年と限定的である。一方で、膝関節鏡視下手術と有害性の関連が認められた」とまとめ、「これらの所見は、膝の痛みを有する中高年に対して、変形性膝関節症の症状の有無を問わず、膝関節鏡を用いた診療行為は支持されないことを示すものであった」と結論している。

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フェブキソスタット、欧州で化学療法に伴う高尿酸血症への適応拡大

 帝人ファーマ株式会社は7月1日、同社が創製し欧州に導出している高尿酸血症・痛風治療剤「ADENURICR」(欧州販売名:アデニュリク、一般名:フェブキソスタット)について、欧州におけるサブライセンス先であるイタリアのメナリーニ社が、「腫瘍崩壊症候群の中間リスク及び高リスクを有する造血器腫瘍患者における化学療法に伴う高尿酸血症」に対する適応拡大の承認取得を発表したことを報告した。 今回の適応拡大は、腫瘍崩壊症候群の中間リスク及び高リスクを有する造血器腫瘍患者346名を対象に行われた第III相臨床試験の成績に基づくもの。 本試験によってフェブキソスタットが既存療法と比較して臨床的意義のある画期的な治療選択肢となり得ることが認められたことにより、販売保護期間(※)が2019年4月20日まで1年間延長されたという。 日本国内においては、帝人ファーマが2014年よりがん化学療法に伴う高尿酸血症を対象疾患とした第III相臨床試験を実施している。※欧州では、先発医薬品承認後の10年間、後発医薬品の販売が禁止されている。詳細は帝人ファーマ株式会社のプレスリリースへ

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肺がん患者が禁煙したときの延命効果は?

 米国・ロズウェルパークがん研究所のKatharine A Dobson Amato氏らは、同研究所の肺がん患者における禁煙パターンの特徴、および禁煙と生存率との関連を調査した。その結果、肺がんと診断された患者において、禁煙によって全生存期間が延長する可能性を報告した。Journal of thoracic oncology誌オンライン版2015年6月20日号に掲載。 この研究所を受診した肺がん患者について、標準化された喫煙評価でスクリーニングし、過去30日以内に喫煙した患者には、自動的に禁煙電話サービスが紹介された。2010年10月~2012年10月にこのサービスを紹介されたすべての肺がん患者について、電子カルテとロズウェルパークがん研究所の腫瘍登録を介して、人口統計的情報や臨床情報、および最終コンタクト時の自己申告による喫煙状況を取得した。禁煙およびその他の要因が2014年5月までの生存と関連するかを評価するために、記述統計とCox比例ハザードモデルを使用した。 主な結果は以下のとおり。・禁煙サービスを紹介された388例の肺がん患者のうち313例に、禁煙コールが試行された。・そのうち80%の患者(313例中250例)にコンタクトでき、これらの患者は少なくとも1回の電話による禁煙指導を受けた。・コンタクトできた患者のうち40.8%(250例中102例)は、最終コンタクトで禁煙したことを報告した。・年齢、喫煙歴(pack-year)、性別、ECOG performance status、診断から最終コンタクトまでの期間、腫瘍の組織、臨床ステージによる調整後、禁煙は、最終コンタクトで継続的に喫煙していた場合と比べ、統計的に有意な生存期間の延長と関連した(HR 1.79、95%信頼区間:1.14~2.82)。また、全生存期間中央値は9ヵ月改善した。

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治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較

 うつ病に対する非定型抗精神病薬治療に関するメタ解析の報告では、2つの治療を直接比較した試験は限られている。中国・重慶医科大学のXinyu Zhou氏らは、無作為化比較試験の直接的または間接的なエビデンスを統合し、治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬による補助的な治療の有効性と忍容性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月25日号の報告。 本レビューは、7種類の異なる用量の非定型抗精神病薬とプラセボを比較した18件の無作為化比較試験(n=4,422)を対象とした。 主な結果は以下のとおり。・すべての標準用量での非定型抗精神病薬治療は、プラセボと比較して有意な有効性が認められた(SMD:-0.27~-0.43)。また、これらの薬剤間で有意な差はなかった。・低用量の非定型抗精神病薬治療は、プラセボと比較して、有効性に有意な差はなかった。・忍容性に関しては、リスペリドン以外の標準用量の抗精神病薬治療において、プラセボと比較し、副作用による中止が有意に多かった(OR 2.72~6.40)。・受容性の面では、クエチアピン(平均250~350mg/日)だけがプラセボと比較し、全原因による中止が有意に多かった(OR 1.89)。・QOLおよび機能の面では、標準用量のリスペリドンとアリピプラゾールがプラセボと比較し、有益であった(SMD:各々-0.38、-0.26)。また、標準用量のリスペリドンはクエチアピン(250~350mg/日)よりも優れていた。 著者らは「治療抵抗性うつ病の抑うつ症状軽減に対し、すべての標準用量の非定型抗精神病薬治療は有効であった。なかでも、リスペリドンとアリピプラゾールは、患者のQOL改善にベネフィットが認められた。ただし、非定型抗精神病薬の処方に際しては、副作用のエビデンスに十分配慮する必要がある」とまとめている。■関連記事抗うつ薬が奏効しないうつ病患者への抗精神病薬追加投与は本当に有効か精神病性うつ病に、抗うつ薬+抗精神病薬は有効か双極性障害への非定型抗精神病薬、選択基準は治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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Dr.平島のフィジカル教育回診

身体診察は、検査前確率を上げ、日々変化する病態の評価にも有用です。誰でもすぐにできるテクニックですが、今の臨床現場では意外に重視されていないようです。このコーナーでは、全国に学習の輪が広がる「フィジカルクラブ」の創設者、平島 修 氏(徳洲会奄美ブロック 総合診療研修センター)を講師に迎え、身体診察からみた症候診断を学習していきます。独学で学ぶには、ハードルの高い「身体診察」。毎回、解説編に大切な示唆を盛り込んでお送りします。■今なぜフィジカルが重要か?平島 修氏、フィジカル教育回診にかける熱い想いを語る!

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【症例情報】Dr.平島のフィジカル教育回診 第1回「入院直後の肺炎球菌性肺炎。これからの病態評価」

患者60代・男性現病歴インフルエンザ疑いで治療するも、改善せず入院。入院時バイタル:BP 106/77mmHg、脈拍 整、呼吸数 22/分、体温 37.7℃、SpO2 95%左下肺野に浸潤影WBC 4,800μL、CRP 40.3mg/dL、尿中肺炎球菌抗原(+)左下肺にcrackle音聴取肺炎球菌性肺炎と診断、ペニシリンG300万単位×4/日で治療中。さて、この患者さんの病態変化をどう評価していきますか?症例情報設問1入院翌日に、参考にすべき所見は何でしょうか?(参考にすべきものを選択ください)

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大手術後再入院患者、死亡リスクは?/Lancet

 大手術後の再入院について、手術を受けた病院へ再入院した患者の生存は、手術の種類を問わず改善していることが、米国・ユタ大学のBenjamin S Brooke氏らによる観察コホート研究の結果、明らかにされた。大手術後の再入院は一般的である。しかし、それら再入院患者のアウトカムが改善したのかどうか、受けたケアや、再入院先により違いはあるのかなどは不明であった。著者は、「今回の所見は、費用対効果の観点からの地域における手術施設の再編について重要な示唆を与えるものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年6月17日号掲載の報告より。12の手術後再入院と90日死亡リスクを評価 研究グループは、一般的な手術を受けた米国メディケア受給者における、再入院と死亡リスクとの関連を調べた。 2001年1月1日~2011年11月15日の間の同受給者データを用いて、以下の手術後30日以内に、再入院が必要となった患者について評価した。腹部大動脈瘤修復術(開腹)、鼠径靱帯下動脈バイパス術、大動脈両側大腿バイパス術、冠動脈バイパス手術(CABG)、食道切除術、大腸切除術、膵切除術、胆嚢摘出術、腹壁ヘルニア修復術、開頭術、人工股関節置換術または膝置換術。 inverse probability weighting(IPW)を組み込んだロジスティック回帰モデルと操作変数分析により、再入院[手術を受けた病院へ(同一病院) vs.手術を受けた病院以外へ(異なる病院)]と、手術を受け再入院が必要となった患者の90日死亡リスクとの関連を調べた。同一病院へ再入院、90日死亡リスクは26ポイント有意に低い 944万503例の患者が、12の大手術のうちの1つを受けていた。 同一病院へ再入院または移送された患者の割合は、65.8%(CABG後に再入院となった患者)から83.2%(大腸切除後)の範囲にわたっていた。 再入院は、再入院治療が薬剤ではなく手術手技関連の合併症に対するものであった場合は、異なる病院よりも同一病院に多い傾向がみられた(同一病院23% vs.異なる病院13%、p<0.0001)。 同一病院への再入院のほうが、異なる病院への再入院と比べて、90日死亡リスクが26ポイント有意に低かった(IPWで選択バイアス調整オッズ比[OR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.66~0.83)。同一病院への再入院による死亡リスクの有意な低下は、すべての手術のIPWモデルにおいてみられ(p<0.0001)、最も患者への効果が大きかったのは、膵切除術後の再入院(OR:0.56、95%CI:0.45~0.69)、大動脈両側大腿バイパス術後の再入院(同:0.69、0.61~0.77)であった。 また、地域内病院レベルのばらつきを考慮し、再入院率を用いて、同一病院への再入院の確率が高い患者と低い患者の比較検討を行った。その結果、前者の同一病院への入院確率の高い患者のほうが、後者の同確率の低い患者と比較して、死亡リスクが8ポイント低かった(OR:0.92、95%CI:0.91~0.94)。

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椎間板起因の腰痛に低レベルレーザー療法が有効

 近年、低レベルレーザー療法(LLLT)の臨床応用が進んでいる。中国・Asia Medical Pain CentreのDavid Ip氏らは、椎間板起因の腰痛患者を対象にLLLTの臨床的有用性を検討し、有効性は90%以上で、その効果は長期にわたり持続することを示した。著者は、「LLLTは椎間板起因の腰痛に対する保存的治療において有用な治療選択肢である」とまとめている。Journal of Pain Research誌2015年5月26日号の掲載報告。 対象は、第3次疼痛センターを受診した椎間板起因の腰痛患者50例であった。全例、非ステロイド性抗炎症薬の併用療法を行うも効果が得られず、従来の理学療法を3ヵ月以上受けていた。椎間板起因であることはMRIならびに椎間板造影で確認され、単一レベルの病変を有していた。 GaAIAs半導体レーザー(810nm、5.4J/1圧痛点、電力密度20mW/cm2)で週3回、12週間LLLTを行い、前向きに長期間(平均5年)追跡した。 主な結果は以下のとおり。・50例中49例において、オスウェストリー障害指数が、治療前平均50%から、12週後の治療終了時は平均10%に有意に改善した。・その改善は、1年後および5年後の追跡調査時にも維持されていた。・50例中1例は効果が得られず、最終的に手術を行った。

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認知症患者への睡眠薬投与、骨折に注意

 睡眠薬の使用は、高齢患者における転倒や骨折の潜在的な危険因子である。しかし、睡眠薬と骨折発生との関連についてデータがないことから、東京大学医学部附属病院老年病科の田宮 寛之氏らは、認知症の入院患者における睡眠薬と骨折の関連について、全国入院患者データベースを用いた症例対照研究で検討した。その結果、短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬と超短時間型非ベンゾジアゼピン系睡眠薬により、認知症入院患者の骨折リスクが高まる可能性が示唆された。PLoS One誌2015年6月10日号に掲載。 著者らは、国内1,057病院の入院患者データベースを使用し、2012年4月~2013年3月の12ヵ月の間に入院した50歳以上の認知症患者を調査した。主要アウトカムは入院中の骨折とした。症例対照研究により、骨折患者と非骨折患者の間で睡眠薬の使用を比較した。 主な結果は以下のとおり。・14万494例のうち830例が院内で骨折した。・年齢・性別・病院で1対4にマッチングした結果、骨折患者817例に対し非骨折患者(対照)は3,158例であった。・Charlson併存疾患指数・緊急入院・日常生活動作(ADL)・水平歩行スコアの調整後、短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬(オッズ比:1.43、95%信頼区間:1.19~1.73、p<0.001)、超短時間型非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(1.66、1.37~2.01、p<0.001)、ヒドロキシジン(1.45、1.15~1.82、p=0.001)、リスペリドンおよびペロスピロン(1.37、1.08~1.73、p=0.010)の使用患者で骨折が多くみられた。・他の薬剤では、院内骨折との有意な関連は認められなかった。

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魚をよく食べるほど、うつ病予防に:日医大

 うつ病は、職場の心理社会的因子によって影響されることから、レジリエンス(逆境に直面してストレスに対処する能力)を高めることがうつ病の予防に重要と考えられる。長鎖n-3系多価不飽和脂肪酸(LC n-3 PUFA)を多く含む魚の摂取がうつ病を予防することが示唆されているが、日本医科大学多摩永山病院の吉川 栄省氏らは、横断研究を行い、魚の摂取がうつ病に対するレジリエンスと関連している可能性があることを明らかにした。「今後、うつ病へのレジリエンスに対するLC n-3 PUFAの予防的効果を無作為化二重盲検プラセボ対照比較介入試験で、さらに検討する必要がある」とまとめている。Lipids In Health And Disease誌2015年5月26日号の掲載報告。 本研究には、某大企業の3つの職場で働く日本人社員527人が参加した。うつ症状をうつ病自己評価尺度(CES-D)、レジリエンスを14-item Resilience Scale(RS-14)にて評価するとともに、魚の摂取頻度は自己記入式食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査した。Baron and Kennyの定義による統計解析の方法に従って回帰分析を行い、レジリエンスの間接的な関連性はブートストラップ法で算出した。 結果は以下のとおり。・魚の摂取頻度とCES-D合計スコアとの関連は有意であった(B=-0.94、p=0.011)。・魚の摂取頻度とRS-14合計スコアとの関連は有意であった(B=1.4、p=0.010)。・RS-14合計スコアとCES-D合計スコアとの関連も有意であった(B=-0.34、p<0.001)。・RS-14合計スコアで調整した場合、魚の摂取頻度とCES-D合計スコアとの間に有意な関連はみられなかった。・ブートストラップ法により、RS-14合計スコアを介して魚の摂取頻度とCES-D合計スコアが間接的に有意な関係にあることが示された(BCa信頼区間:-0.83~-0.13;95%信頼区間)。関連医療ニュース うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」 うつ病患者で重要な食事指導のポイント 統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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事例59 エスゾピクロン(商品名: ルネスタ)2mgの査定【斬らレセプト】

解説事例では、エスゾピクロン(ルネスタ錠®)2mgを頓服で請求したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)を理由に査定となった。担当医師に話を伺うと、「不眠時に1回1錠を処方した。しかし、ほぼ毎日眠れない、寝つきが悪いとの訴えから、次回予約日を考えて、向精神薬に分類されない類似薬の中から、投与日数制限がないとされるエスゾピクロン(ルネスタ錠®)を選び、眠れないときに臨時に服用させるため、頓服薬として処方した」とのことだった。頓服薬の留意事項には、「1日2回程度を限度として症状に応じて臨時的服用を目的として投与するものをいう」とある。91回という投与量は、毎日服用して3ヵ月分に当たり、臨時的に服用すると3ヵ月を超えてしまう。短期間の臨時的服用を目的とする頓服薬の区分では、投与量が過剰ではあるが内服とみなして21回分のみを認める査定となったものであろう。本来の頓服薬として取り扱うならば、経験上、10回分または14回分以内に査定となってもおかしくない事例であった。事例のように、ほぼ定期的な服用が予見される場合には、内服薬の区分での算定が適当なのである。

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急性虫垂炎は抗菌薬で治療が可能か?/JAMA

 単純性急性虫垂炎への抗菌薬治療は、虫垂切除術に対して非劣性ではないことが、フィンランド・トゥルク大学病院のPaulina Salminen氏らが実施したAPPAC試験で示された。本症の治療では、1世紀以上にわたり手術が標準とされてきた。一方、近年、3つの無作為化試験や5つのメタ解析など、抗菌薬治療を支持するエビデンスが増えていたが、個々の試験には限界があるため、依然として標準治療は虫垂切除術とされている。JAMA誌2015年6月16日号掲載の報告より。530例で非劣性を検証 APPAC試験は、急性虫垂炎は抗菌薬で治療が可能であるとの仮説を検証する非盲検無作為化非劣性試験。対象は、年齢18~60歳、単純性急性虫垂炎の疑いで救急診療部に入院し、CT検査で診断が確定された患者であった。 被験者は、ertapenem(1g/日)を3日間静脈内投与後、レボフロキサシン(500mg、1日1回)+メトロニダゾール(500mg、1日3回)を7日間経口投与する群(抗菌薬群)または標準的な開腹虫垂切除術を施行する群(手術群)に無作為に割り付けられ、1年間のフォローアップが行われた。 主要エンドポイントは、抗菌薬群が手術を要さない退院および1年時の非再発であり、手術群は虫垂切除術の成功であった。副次エンドポイントには、介入後の合併症、入院期間、介入後の疼痛スコア(視覚アナログスケール[VAS]:0~10、点が高いほど疼痛が強い)などが含まれた。 2009年11月~2012年6月の間に、フィンランドの6施設に530例が登録され、抗菌薬群に257例(年齢中央値:33.0歳、男性:60.3%)、手術群には273例(35.0歳、63.7%)が割り付けられた。抗菌薬群のうち1年以内に外傷で死亡した1例を除く256例がフォローアップを完了した。抗菌薬治療成功率72.7%、遅延的手術例に重度合併症を認めず 抗菌薬群のうち、70例(27.3%、95%信頼区間[CI]:22.0~33.2%)に対し初回虫垂炎発症から1年以内に手術が行われ、手術を要さなかったのは186例(72.7%、95%CI:66.8~78.0)であった。一方、手術群では、1例を除き虫垂切除術が成功し、成功率は99.6%(95%CI:98.0~100.0)であった。 intention-to-treat(ITT)解析では、両群間の治療効果の差は−27.0%(95%CI:-31.6~∞、p=0.89)であった。これは、事前に規定された非劣性マージンである24%を満たさないことから、虫垂切除術に対する抗菌薬治療の非劣性は示されなかった。 抗菌薬群で手術を受けた70例のうち、58例(82.9%)は単純性虫垂炎で、7例(10.0%)は複雑性急性虫垂炎であり、5例(7.1%)は虫垂炎は正常だが再発疑いで虫垂切除術が施行されていた。これら抗菌薬群の遅延的手術例には、腹腔内膿瘍や他の重度の合併症はみられなかった。 合併症発症率は抗菌薬群が2.8%であり、手術群の20.5%に比べ有意に低かった(p<0.001)。初回入院期間中央値は抗菌薬群が3.0日(四分位範囲:3~3)と、手術群の3.0日(2~3)よりも有意に長かった(p<0.001)。疼痛スコアは退院時がそれぞれ2.0点、3.0点(p<0.001)、1週間後が1.0点、2.0点(p<0.001)であり、いずれも抗菌薬群で疼痛が有意に軽度であった。 著者は、「抗菌薬治療の非劣性は確認できなかったが、72.7%という抗菌薬治療の成功率は、既報の3つの無作為化試験や最近の地域住民ベースの前向き研究と比較して良好であり、最終的に手術を受けた患者も重度の合併症を認めなかった」とまとめ、「患者に抗菌薬と手術に関する情報を提供し、意思決定できるようにすべきである。今後は、手術を要する複雑性急性虫垂炎患者を早期に同定する試験、および抗菌薬治療が至適と考えられる単純性急性虫垂炎患者を前向きに評価する研究を進めるべきである」と指摘している。

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乳がん患者は禁煙の重要性を知らされるべき

 乳がん患者における能動喫煙と死亡リスクとの関連について、これまでの報告は一貫していない。宮城県立がんセンターの角川 陽一郎氏らは、女性の乳がん患者において、能動喫煙および受動喫煙と全死因死亡および乳がん特異的死亡リスクとの関連を、閉経状況およびエストロゲン受容体/プロゲステロン受容体(ER / PR)の状態別に検討した。その結果、長期間の能動喫煙は、閉経前の、おそらくホルモン受容体陽性乳がん患者における、全死因死亡および乳がん特異的死亡リスクの増加と関連することが示唆された。著者らは、「乳がん患者は禁煙の重要性を知らされるべき」としている。Cancer science誌オンライン版2015年6月6日号に掲載。 本研究では、1997~2007年に国内の1つの病院に入院した848例の患者を調査した。能動・受動喫煙の状況は自己管理質問票を用いて評価し、2010年12月31日まで観察した。ハザード比(HR)はCox比例ハザードモデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は6.7年で、その間に全死因死亡170例、乳がん特異的死亡132例が観察された。・閉経前患者において、現喫煙者の全死因死亡と乳がん特異的死亡のリスクが高かったが、有意ではなかった。・閉経前患者において、21.5年超の喫煙が、全死因死亡(HR 3.09、95%CI:1.17~8.20)および乳がん特異的死亡(HR 3.35、95%CI:1.22~9.23、傾向のp=0.035)と正の相関を示した。・ER+もしくはPR+の閉経前患者では、喫煙期間の長さが全死因死亡および乳がん特異的死亡リスク増加と関連するという示唆もあった。・受動喫煙については、有意なリスクは示されなかった。

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