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非小細胞肺がんの早期診断には無細胞DNA解析が有用

 非小細胞肺がん患者の血漿における無細胞DNA値の上昇は、炎症反応が原因ではなく、腫瘍の発生が主な原因であることをポーランド・結核・肺疾患研究所のAdam Szpechcinski氏らが報告した。British Journal of Cancer誌オンライン版2015年6月30日号の掲載報告。 血漿中の無細胞DNA値の解析は、非小細胞肺がんの早期診断に役立つバイオマーカーと期待されている。しかしながら、非小細胞肺がん患者の血流に多くの無細胞DNAが放出される理由が悪性腫瘍によるものなのか、慢性炎症反応によるものなのかはいまだ明らかになっていない。 このため、慢性の呼吸器炎症を有する患者において血漿の無細胞DNAの定量化が診断を付けるうえで有用かは、明確になっていないのが現状である。そこで、慢性の呼吸器炎症を有する患者における血漿の無細胞DNA値の解析が有効なのかを検討し、早期の肺がんの診断ツールとしての潜在的な臨床的意義を評価した。 対象は切除可能な非小細胞肺がん患者50人と慢性の呼吸器炎症(COPD、サルコイドーシス、喘息)を有する患者101人、リアルタイムPCRを利用している健常人40人で、それぞれの血漿の無細胞DNA値を測定した。 主な結果は以下のとおり。・非小細胞肺がんの患者では、慢性の呼吸器炎症を有する患者と健常人に比べて、有意に血漿の無細胞DNA値が高いことがわかった(p<0.0001)・慢性の呼吸器炎症を有する患者と健常人との間で血漿の無細胞DNA値に有意な差は認められなかった。・2.8 ng ml-1以上をカットオフとしたとき、非小細胞肺がん患者と健常人とを鑑別する感度は90%、特異度は80.5%であった(Area Under the Curve[AUC]0.90)。・ROC曲線による非小細胞肺がん患者と慢性の呼吸器炎症を有する患者を鑑別するカットオフは5.25 ng ml-1以上で感度は56%、特異度は91%であった(AUC=0.76)。 本研究は、肺がんの早期スクリーニングや早期診断において、血漿無細胞DNA値の潜在的な臨床的意義を向上させたといえる。非小細胞肺がん患者で血漿の無細胞DNA値が上昇する要因や過程の特徴付けや同定をするためには、今後さらなる研究が必要である。

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侮れない侵襲性髄膜炎菌感染症にワクチン普及願う

 サノフィ株式会社は2015年7月3日、侵襲性髄膜炎菌感染症(Invasive Meningococcal Disease、以下IMD)を予防する4価髄膜炎菌ワクチン(ジフテリアトキソイド結合体)(商品名:メナクトラ筋注)のプレスセミナーを開催。川崎医科大学小児科学主任教授 尾内 一信氏と、同大学小児科学教授 中野 貴司氏がIMDの疾患概要や予防ワクチンの必要性について講演した。  細菌性髄膜炎の起因菌にはHib(インフルエンザ菌b型)、肺炎球菌などがあるが、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)もその1つである。髄膜炎菌は髄膜炎以外にも菌血症、敗血症などを引き起こし、それらをIMDと呼ぶ。IMDの初期症状は風邪症状に類似しており、早期診断が難しい。だが、急速に進行し発症から24~48時間以内に患者の5~10%が死に至り、生存しても11~19%に難聴、神経障害、四肢切断など重篤な後遺症が残ると報告されている。また、髄膜炎菌は感染力が強く、飛沫感染で伝播するため集団感染を起こしやすい。そのため、各国の大学・高校、さらにスポーツイベントなどでの集団感染が多数報告されている。このような状況から、IMDは本邦でも2013年4月より第5類感染症に指定されている。 IMDは全世界で年間50万件発生し、うち約5万人が死亡に至っている。IMDの発生は髄膜炎ベルトといわれるアフリカ中部で多くみられるが、米国、オーストラリア、英国などの先進国でも流行を繰り返しており注意が必要だ。米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、米国では2005年~2011年に年間800~1,200人のIMDが報告されている。発症年齢は5歳未満と10歳代が多くを占める。本邦でも、2005年1月~2013年10月に報告されたIMD 115例の好発年齢は0~4歳と15~19歳であった。 IMDの治療にはペニシリンGまたは第3世代セフェム系抗菌薬などが用いられるが、急速に進行するため予防対策が重要となる。IMDの予防にはワクチン接種が有効であることが明らかになっている。本邦の第III相試験の結果をみても、4価髄膜炎菌ワクチン接種後、80%以上の接種者の抗体価が上昇しており、その有効性が示されている。このような高い有効性から、発症数は多くないものの、米国、オーストラリア、英国においてはすでに定期接種ワクチンとなっている。 本邦でも4価髄膜炎菌ワクチン「メナクトラ筋注」が本年(2015年)5月に発売され、IMDの予防が可能となった。しかしながら、本邦におけるIMDの認知度は医師および保護者の双方で低い。また、IMDワクチンの医師の認知率は49%と約半分である。IMDの罹患率は低いが、そのリスクは無視できない。今後の啓発活動が重要となるだろう。サノフィプレスリリース「侵襲性髄膜炎菌感染症」に関する意識調査(PDFがダウンロードされます)「メナクトラ筋注」新発売のお知らせ(PDFがダウンロードされます)

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認知症予測にMRI検査は役立つか/BMJ

 認知症発症の予測について、従来リスクデータにMRI検査の情報を加えても、予測能は改善しないことが示された。英国・ニューカッスル大学のBlossom C M Stephan氏らが住民10年間にわたる住民ベースコホート研究の結果、報告した。ただし、再分類能、予後予測能について統計的に有意な改善が示され、また臨床的有用性のエビデンスがあることも示されたという。従来リスク変数は、人口統計、神経心理、健康、生活習慣、身体機能、遺伝をベースとしたものである。これまでMRI情報を加えたモデルと従来モデルとを、住民ベースレベルで比較した検討は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告。従来リスク変数の予測能とMRIデータを加えた場合の予測能を比較 研究グループは、従来リスク変数の統合モデルにMRIデータを加えることで、10年フォローアップの予測を改善するかどうかを検討した。統合リスクモデルに組み込まれたのは、年齢、性別、教育、認識力、身体機能、生活習慣(喫煙、飲酒)、健康(心血管疾患、糖尿病、収縮期血圧)、アポリポ蛋白E遺伝子型であった。 フランスの3都市(ボルドー、ディジョン、モンペリエ)の複数医療機関で被験者を集めて行われた。被験者は65歳以上で認知症を有しておらず、ベースラインでMRI検査を受けており、10年フォローアップの認知症の状態が判明していた1,721例であった。 主要評価項目は、認知症の発症(あらゆる原因によるものとアルツハイマー型)とした。アルツハイマー型に限定した場合でも、両群の識別能に有意差みられず 10年フォローアップにおいて、認知症が確認されたのは119例であった。そのうち84例がアルツハイマー型であった。 統合リスクモデルの認知症識別能に関するC統計量は0.77(95%信頼区間[CI]:0.71~0.82)であった。 同モデルと、MRIの各データを加えたモデルのC統計量の比較において、有意差はみられなかった。MRIデータの白質病変容積を組み込んだモデルのC統計量は0.77(95%CI:0.72~0.82、C統計量の差に関するp=0.48)、全脳容積を組み込んだC統計量は0.77(同:0.72~0.82、p=0.60)、海馬容積の場合は0.79(同:0.74~0.84、p=0.07)であった。また、上記3変数を組み込んだ場合は0.79(同:0.75~0.84、p=0.05)であった。 しかしながら、従来モデルに海馬容積または3変数を加えた場合のモデルでは、再分類指数が有意に改善した(海馬容積モデルp=0.03、3変数統合モデルp=0.04)。また、識別曲線分析におけるネットベネフィットの増大が示された。 同様の結果は、アルツハイマー型に限ってみた場合にも観察された。

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ダビガトランに対するidarucizumab、患者での中和効果は?/NEJM

 ダビガトラン(商品名:プラザキサ)投与中の患者に対して、idarucizumabは数分以内で抗凝固作用を完全に中和することが、米国・ペンシルベニア病院のCharles V. Pollack, Jr氏らによる検討の結果、報告された。idarucizumabは、経口非ビタミンK拮抗薬に対する特異的な中和薬がない中、ダビガトラン特異的に抗凝固作用を中和するために開発されたヒト化モノクローナル抗体フラグメントである。これまでボランティア被験者(腎機能正常の健常若年者、65~80歳高齢者など)を対象とした試験で、迅速かつ完全な中和作用をもたらすことが示されていた。NEJM誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告より。重大出血患者群と要緊急手術患者群で安全性と有効性を検討 今回の報告は、現在も進行中の多施設共同前向きコホート試験RE-VERSE AD(38ヵ国400施設で300例登録を計画)の、早期登録患者90例(2014年6月~2015年2月に35ヵ国184施設で登録)において得られた中間解析の所見である。 RE-VERSE AD試験は、重大出血を呈した患者(A群)または緊急手術を要した患者(B群)におけるidarucizumab 5g静注の安全性を確認すること、およびダビガトラン抗凝固作用の中和能を確認することを目的とした。 主要エンドポイントは、idarucizumab投与後4時間以内のダビガトラン抗凝固作用の最大中和率(%)で、中央ラボにて確認(希釈トロンビン時間とエカリン凝固時間)が行われた。また、止血までの時間を副次エンドポイントのキーとした。88~98%の患者で、数分以内の抗凝固作用の中和を確認 登録患者90例の内訳は、A群51例、B群39例であった。患者の90%超が心房細動後の脳卒中予防のためダビガトラン治療を受けていた。年齢中央値は76.5歳、クレアチニンクリアランス中央値は58mL/分であった。 結果、ベースラインで希釈トロンビン時間の上昇がみられた68例、およびエカリン凝固時間の上昇が認められた81例において、最大中和率が100%であった(95%信頼区間[CI]:100~100)。 idarucizumab投与により、希釈トロンビン時間は、上昇がみられたA群98%の患者、およびB群93%の患者において正常化が認められた。またエカリン凝固時間についてはA群89%、B群88%の患者において正常化が認められた。それぞれの効果は、血液サンプルの結果から、初回投与後、数分以内に発現したことが明らかとなった。 また、24時間時点で、79%の患者において非結合ダビガトラン濃度は20ng/mL以下にとどまっていた。 止血に関する評価については、A群35例(中央ラボではない研究者による)の、止血までの時間中央値は11.4時間であった。手術を受けたB群36例のうち33例で、正常な周術期止血が報告され、軽度止血異常は2例、中等度止血異常は1例の報告であった。 また、抗凝固薬が再投与されていなかった患者1例において、idarucizumab投与後72時間以内の血栓性イベントが報告された。(武藤まき:医療ライター)関連記事 dabigatranの中和薬、リアルワールドな試験で良好な成績

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専門外のアドバイス(後半)【Dr. 中島の 新・徒然草】(075)

七十五の段 専門外のアドバイス(後半)前回は若くして消化器がんにかかった親戚の男性に、無謀にも脳外科医の私がアドバイスを試みたというお話です。今回はその続きで、助言の6から10までを紹介します。助言その6:過去を振り返って後悔しないこと 中島 「『あの時、検診をさぼらなかったら』とか、『もっと早く病院に行ってたら』とか思うでしょう」 男性 「すごく思います。早くみつけていれば早く治療できたのにって」 中島 「早期発見・早期治療って言うけど、僕は疑問だな」 男性 「違うんですか?」 中島 「『早くみつけて早く治療したので全快した』ということもあるけどね」 男性 「……」 中島 「実際のところ、最初から進行がんだったとか、いつまで経っても早期がんのままとか、そういうことも随分多いように思う」 男性 「知りませんでした」 中島 「早期発見・早期治療というのは人々に対する啓蒙活動としては正しいと思うけど、実際は必ずしもそうじゃない。だから過去を振り返って後悔しないこと」 男性 「わかりました」 この辺りは異論のある先生方も多いと思います。でも、既にがんが発覚して治療を開始している患者さんに対しては、このようにアドバイスすべきだと私は思います。助言その7:医療機関が近いことは大きなアドバンテージ 中島 「〇〇大学とか△△センターで治療するほうがいいのだろうか、と言ってたけど」 男性 「今からでも転院したほうがいいのかと思わないでもありません」 中島 「幸い家から近いところで治療できるのだから、僕ならここで治療を続けるね」 男性 「そうなんですか」 中島 「家の近くで手術も標準治療もしてもらえるのは無茶苦茶ラッキーだ」 男性 「そんなにラッキーですか?」 中島 「僕の患者さんで、がんの治療のために別の県まで通院しているという人もいるよ」 男性 「本当ですか、それ!」 中島 「関西にいると選択肢がありすぎて迷うかもしれんけど、地方では選択肢そのものがなかったりするわけ」 男性 「なるほど」 中島 「それでも家から近いところで治療するというのは体力も温存できるし、夜間休日に何かあったときも対応しやすいからね」 男性 「そんなふうには考えたこともありませんでした」 この男性は、自宅近くの中規模病院で治療しているのですが、やはり週刊誌の「いい病院特集」なんかを読んで気持ちが揺らいでいたようです。もちろん私も無責任にアドバイスしたわけではなく、同僚の内科医や外科医に「あそこの病院だったら大丈夫だよ」ということは確認したうえでのことです。助言その8:がん治療は長期戦になるので担当医への信頼が何より重要 中島 「担当の先生はどんな人?」 男性 「内科の〇〇先生も外科の△△先生も、どんな質問に対しても明解に答えてくれました」 中島 「説明に迷いがないということだね」 男性 「そうなんですよ!」 中島 「結局は人と人との関係だから、担当医を信頼できるかどうかということが最も大切だと僕は思う」 男性 「それはものすごく信頼しています」 迷いのない説明ができるというのは素晴らしいことですね。私も目指したいところ。助言その9:疼痛コントロールは重要 中島 「日本人は痛みを我慢する人が多いけど」 男性 「ええ」 中島 「疼痛コントロールにも定石があるから、痛いときは痛いと言うことが大切だ」 男性 「はい」 中島 「医療用麻薬も必要な時には躊躇わずに使うこと」 男性 「でも、麻薬には抵抗があるんですけど」 中島 「世界的にみると、日本は医療用麻薬の使用量がまったく足りていないらしい」 男性 「そうなんですか?」 中島 「痛みさえなければ食べることも歩くこともできるから、結局はそのほうが体にもいいんだ」 男性 「中毒になったりしませんか」 中島 「正しく使えば大丈夫、心配ない」 男性 「わかりました」 私も自分の術後疼痛に対してフェンタニルを投与された経験があるのですが、「あれ?もう退院できるかも」と思ったくらい、絶大な効果がありました。助言その10:今日を一生懸命に生きていれば、いつのまにか5年経っている 中島 「あんまり先のことも考えないほうがいいよ」 男性 「そうなんですか」 中島 「今日を一生懸命に生きることだけを考えるべきだ」 男性 「でも将来のこととか、すごく不安なんです」 中島 「毎日、その日に集中していたら、いつの間にか5年経っているよ」 男性 「わかりました!」 自分の知らないことを断言しちまった!でもホントですよね。ということで、専門外の医師でも病気になった友人・知人にアドバイスできることは沢山ありました。前回も言いましたが、「私」が聞かれたのですから、「私」が可能なかぎりの助言をすべきだと思います。読者の皆さんの参考になれば幸いです。最後に1句日々生きよ あっという間に 5年経つ

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単純ヘルペスへのイノシンプラノベクスの有効性

 中国・西南病院のYi You氏らは、単純ヘルペスに対するイノシンプラノベクスの有効性および安全性を、アシクロビルと比較する3ヵ月間の多施設共同無作為化二重盲検ダブルダミー並行群間比較試験を行った。その結果、イノシンプラノベクスの有効性はアシクロビルと同等で、性器ヘルペスの短期再発率は低いことを示した。ただし著者は、「6ヵ月間の再発率はまだ明らかになっておらず、イノシンプラノベクスは高尿酸血症の副作用についてモニタリングが必要」とまとめている。Journal of Dermatology誌2015年6月号(オンライン版2015年3月26日号)の掲載報告。 対象は、再発性口唇ヘルペス患者144例および性器ヘルペス患者144例で、次の2群に無作為割り付けされた:(1)イノシンプラノベクス群:イノシンプラノベクス実薬1回1g、1日4回経口投与+アシクロビル-プラセボ。(2)アシクロビル群:アシクロビル実薬1回200mg、1日5回経口投与+イノシンプラノベクス-プラセボ。 主な結果は以下のとおり。・再発性口唇ヘルペス患者の総症状スコアは、治療第3日および第7日においてイノシンプラノベクス群とアシクロビル群とで有意差は認められなかった。・有効率も2群間で差はなかった。・性器ヘルペス患者においても同様に、治療第3日および第7日の総症状スコアはイノシンプラノベクス群とアシクロビル群とで差はなかった。・性器ヘルペルの臨床的再発率は、3ヵ月間の追跡調査においてイノシンプラノベクス群がアシクロビル群より非常に低かった。・高尿酸血症の発現率は、イノシンプラノベクス群がアシクロビル群より高かった。

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特発性肺線維症治療薬ニンテダニブが承認

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は2015年7月3日、チロシンキナーゼ阻害剤/抗線維化剤ニンテダニブエタンスルホン酸塩(商品名:オフェブ カプセル100mg、同カプセル150mg)が特発性肺線維症の効能・効果で製造販売承認を取得したと発表した。  ニンテダニブは特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPF)の治療を目的としてベーリンガーインゲルハイムが開発したIPFに対する初の分子標的薬。肺線維症の発症機序への関与が示唆されている増殖因子受容体、特に血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)および血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする。 ニンテダニブは第III相国際共同臨床試験(INPULSIS-1試験、INPULSIS-2試験)において、一貫して主要評価項目である努力肺活量(FVC)の年間 減少率をプラセボに比べて統計学的に有意に抑制することを示した。 特発性肺線維症(IPF)は慢性かつ進行性の経過をたどり、最終的には死に至る肺線維化疾患だが、現時点で利用できる治療選択肢は限られている。IPFは肺組織の進行性の瘢痕化と経時的な呼吸機能の低下を特徴とし、時間経過と共に肺の機能が失われ、主要臓器に十分な酸素が供給できなくなる。有病率は、世界で100,000人あたり14~43人と推定される。オフェブの概要商品名:オフェブカプセル100mg、オフェブカプセル150mg効能・効果:特発性肺線維症用法・用量:通常、成人にはニンテダニブとして1回150mgを1日2回、朝・夕食後に経口投与する。なお、患者の状態によりニンテダニブとして1回100mgの1日2回投与へ減量する。日本ベーリンガーインゲルハイム プレスリリースhttp://www.boehringer-ingelheim.jp/news/news_releases/press_releases/2015/150703.html

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低ホスファターゼ症治療薬として日本で世界初の承認を取得

 2015年7月6日、米国・アレクシオン ファーマスーティカルズ(Nasdaq:ALXN)は、日本の厚生労働省が、生命を脅かすきわめてまれな代謝性疾患である低ホスファターゼ症(HPP)に対する治療薬として、ストレンジック(一般名:アスホターゼ アルファ)の使用に関する新薬承認申請(NDA)を承認したことを発表した。骨を標的とした酵素補充療法であるストレンジックは、HPPの治療薬として世界に先駆けて日本で初めての承認となる。 HPPは、複数の身体器官に深刻な影響をもたらす遺伝性、進行性、および代謝性の超希少疾患であり、消耗性または致死的な合併症が引き起こされる骨石灰化不全を特徴とし、骨の変形などの骨格異常のほか、重篤な筋力低下、けいれん発作、疼痛、および呼吸不全などの全身性合併症を生じ、乳児では早期死亡に至ることがある。 ストレンジックは、HPPの根本的な原因であるアルカリホスファターゼ(ALP)の欠損を解消すべくデザインされた、骨を標的とした画期的新薬(ファースト・イン・クラス)の酵素補充療法である。 ストレンジックによる治療は、欠乏したALPの補充を通じて酵素基質濃度上昇と骨の石灰化障害を改善し、それにより重篤な骨格および全身性の重篤な病態と早期死亡を予防することを目標としている。 日本でのストレンジックの承認は、日本の患者も参加した1本を含む3本のピボタル試験であるプロスペクティブ試験とそれらの延長試験、乳児を対象とした1本のレトロスペクティブな自然経過観察試験、および1本の医師主導試験から得た臨床データに基づいており、カプラン・マイヤー分析の推定では、ストレンジックを投与した乳児の HPP 患者の全生存率は 168 週目で 84%を示した。有害事象で頻度の高かったものは、注射部位反応および投与時反応であった。詳細はプレスリリース(PDF)へ参考 希少疾病ライブラリ 低フォスファターゼ症

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精神疾患発症と喫煙の関連性

 喫煙は、健康な人よりも統合失調症やうつ病を有する患者においてより多くみられる。そこで、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarie Kim Wium-Andersen氏らは、喫煙は一般集団における抗精神病薬の使用、統合失調症、抗うつ薬使用やうつ病の発症原因となっていると仮定し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)との関連と比較を行った。その結果、喫煙は、統合失調症の発症に影響しているようだが、うつ病には影響しないようだという見解を報告した。International Journal of Epidemiology誌2015年4月号(オンライン版2015年6月7日号)の掲載報告。 検討は、20~100歳のデンマーク一般集団6万3,296例(非喫煙者2万3,282例、喫煙者4万14例)について、自己申告による喫煙強度(1日当たりの本数)と、喫煙強度に関連するCHRNA3遺伝子の多型(rs1051730)の情報を用いて行った。検討結果について、Psychiatric Genomics Consortiumにおける統合失調症患者のそれとの比較も行った。 主な結果は以下のとおり。・喫煙者では、rs1051730遺伝子多型のヘテロ接合体およびホモ接合体キャリアである場合、非キャリアと比較して喫煙強度が高かった。・さらに、現喫煙者のホモ接合体キャリアでは、非キャリアと比較して抗精神病薬使用リスクが高かった(オッズ比[OR]:1.16、95%信頼区間[CI]:1.02~1.31)。一方、非喫煙者における同様の比較ORは、1.07(95%CI:0.87~1.31)であった(相互作用のp:0.60)。・また、統合失調症のORはそれぞれ1.60(0.74~3.47)、1.02(0.11~9.10)(相互作用のp:0.85)、抗うつ薬使用のORは1.02(0.93~1.13)、0.99(0.85~1.15)(相互作用のp:0.87)で、うつ病ORは0.85(0.66~1.10)、1.26(0.87~1.83)(p相互作用のp:0.30)であり、COPD発症のORは1.31(1.16~1.47)、0.89(0.58~1.36)(相互作用のp:0.16)であった。・一般集団の現喫煙者における統合失調症および抗精神病薬使用のrs1051730アレルでみたORは、各々1.22(95%CI:0.84~1.79)、1.06(1.00~1.12)であった。・Psychiatric Genomics Consortiumにおける検討では、現および非喫煙者を含めた統合失調症のORは、1.06(1.00~1.12)であった。関連医療ニュース 統合失調症発症予測に喫煙が関連 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 統合失調症のカフェイン依存、喫煙との関連に注意

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静脈血栓症でのがんスクリーニング、CT追加でも検出率向上せず/NEJM

 初回特発性深部静脈血栓症(DVT)を発症した人のうち、原発不明がんの罹患率は4%未満と低率で、血栓症発症時に腹部・骨盤部CT検査を含めたスクリーニングを行っても、がん検出率は向上しないことが明らかになった。カナダ・オタワ大学のMarc Carrier氏らが多施設共同非盲検無作為化比較試験の結果、報告した。静脈血栓症は、最も初期のがん徴候である可能性が示唆されている。一方、原発不明がんのスクリーニングについてはばらつきが大きいのが現状だった。NEJM誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告より。腹部・骨盤部CT検査を加えたスクリーニングを実施し結果を比較 Carrier氏らは、カナダの医療機関を通じて、初回特発性深部静脈血栓症を発症した患者854例を対象に試験を行った。 被験者を2群に分け、一方には血液検査、胸部X線検査、乳房・子宮頸部・前立腺がんのスクリーニングから成る限定的原発不明がんスクリーニングを、もう一群にはそれに腹部・骨盤部CT検査を加えたスクリーニングを行った。 主要評価項目は、スクリーニングにより見逃したがんで、追跡期間1年以内に見つかり診断を受けたものとした。スクリーニング見逃し率、がん診断までの期間など、両群で同等 その結果、被験者のうち1年以内に原発不明がんが見つかったのは、3.9%(33例)だった。そのうち限定的スクリーニング群は3.2%(431例中14例)で、CTスクリーニング群は4.5%(423例中19例)だった(p=0.28)。 限定的スクリーニングによってがんが検出できなかった人は4例(29%)、限定的スクリーニング+CT検査でがんが検出できなかった人は5例(26%)で、両群に有意差はなかった(p=1.0)。 また、がん診断までの期間平均値についても、限定的スクリーニング群が4.2ヵ月、CTスクリーニング群が4.0ヵ月と、両群で同等だった(p=0.88)。がん死亡率についても、それぞれ1.4%、0.9%と同等だった(p=0.75)。

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大腿膝窩動脈疾患での薬剤コーティングバルーンの成績/NEJM

 症候性大腿膝窩動脈疾患の患者に対し、パクリタキセル・コーティングバルーンによる血管形成術は、通常のバルーン血管形成術に比べ、長期アウトカムが良好であることが報告された。米国・マサチューセッツ総合病院のKenneth Rosenfield氏らが行った単盲検無作為化試験LEVANT2の結果、術後12ヵ月時点での標的病変1次開存性は、12.6ポイント高く、安全性についてもパクリタキセル・コーティングバルーンの非劣性が示された。経皮的血管形成術(PTA)による末梢動脈疾患(PAD)治療は、血管リコイルや再狭窄の発生により限定的である。薬剤コーティングバルーンによる血管形成術は、再狭窄による開存性を改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2015年6月24日号掲載の報告より。476例を対象に、12ヵ月後の標的病変1次開存性を比較 Rosenfield氏らは、症候性間欠性跛行または安静時に虚血性疼痛があり、血管造影で明らかな動脈硬化性病変が認められる患者476例を対象に比較試験を行った。 被験者を無作為に2対1に割り付け、一方にはパクリタキセル・コーティングバルーン血管形成術を、もう一方には通常のバルーン血管形成術を行った。 主要評価項目は、12ヵ月後の標的病変1次開存性で、二分化再狭窄や標的病変血行再建術の必要性がいずれも認められないことと定義した。 安全性に関する主要評価項目は、周術期死亡、12ヵ月時点での四肢関連の合併症など四肢に関係する死亡、切断、再手術の複合エンドポイントだった。標的病変1次開存率、パクリタキセル群で65.2% 両群の特性のベースライン適合度は良好だった。被験者の42.9%が糖尿病を有しており、喫煙者は34.7%だった。 結果、術後12ヵ月時点の標的病変1次開存率は、対照群52.6%に対し、パクリタキセル群は65.2%と、有意に高率だった(p=0.02)。 また、安全性に関する主要評価項目が認められなかった人の割合も、対照群79.0%に対し、パクリタキセル群では83.9%と、非劣性が証明された(非劣性に関するp=0.005)。 機能的アウトカムや、死亡、切断、再手術の発生率については、両群で有意差はなかった。

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憎きCOPDの喉元に食らいつく治療法:気管支鏡で肺を“つぶす”?(解説:倉原 優 氏)-382

 COPDの外科治療といえば、肺容量減量手術(Lung volume reduction surgery:LVRS)である。まるで早口言葉のような言い回しだが、これはその名のとおり、肺の容量を減量する手術のことである。病的肺を切除して、健常肺の機能を活かそうというのがその治療原理である。LVRSはリスクの高い手術ではあるが、上葉優位な重度の気腫肺がある患者では、生存期間を延長する効果があるとされている1)。メタアナリシスでLVRSを積極的に推奨しているわけではないが、症例を選べば妥当な選択肢であるとしている2)。 LVRSと同じような効果を気管支鏡的に実施できないかと考案されたのが、気管支鏡的肺容量減量術である。これには、固形の気管支バルブを留置する古典的方法と、液体の充填剤を流し込む新しい方法(Emphysematous lung sealant:ELS)がある3)。今回検討するのは、固形の気管支バルブである。気管支バルブといえば、日本ではEWS(Endobronchial Watanabe Spigot)が有名だが、この研究ではワンウェイバルブのZephyrバルブを使用している。 単施設研究ではあるものの、この研究はブロックランダム化による二重盲検試験である。被験者も研究者も、どちらのバルブを使用しているかわからないようになっている(真のバルブ群とシャム[偽]のバルブ群)。 対象となったのは、すでに内科的治療を受けている50例のCOPD患者で、%1秒量が50%未満で過膨張や運動耐容能低下などがある症例である。基本的にブラは局所にかたよった症例を選んでいる(heterogeneous emphysema)。また、分葉不全といったアノマリーがあるような患者は除外されている。患者は1:1に気管支バルブ留置群とシャムバルブ留置群(コントロール群)に割り付けられた。50例の患者は、平均%1秒量が31.7±10.2%、平均MRCスコアが4±1点と、私たちが外来で診るCOPD患者の中では比較的重症例が対象となっている。 25例ずつ各処置にランダム化された。解析の結果、気管支バルブ群のほうが有意に1秒量の増加がみられた(中央値8.77%増加 vs.2.88%増加、Mann-Whitney p=0.0326)。全肺気量もいくばくか改善したものの、残気量には影響は与えなかった。また、もともとシビアなCOPD患者を選択していることもあってか、MRCスコアを改善することはできなかった。ただし、6分間歩行距離に関しては有意な改善がみられている(+25m vs.+3m、p=0.0119)。 私たち呼吸器内科医の間では、この気管支鏡的肺容量減量術は喀血や肺炎などの合併症が多いのではないかという懸念がある。今回の研究では、肺炎は気管支バルブ群で2例、コントロール群で0例(統計学的に有意差はなし)みられた。喀血については記載されていない。気管支バルブ群で2例の死亡が報告されているが、1例はバルブ挿入から1ヵ月以上経過してバルブを抜去した症例、もう1例はバルブ挿入から3日後に肺性心で死亡した症例である。後者については、気管支バルブ挿入との因果関係は否定できないだろう。 重症COPDの患者に対する内科的治療には限界がある。吸入薬も酸素療法も、根本的に気腫肺を改善させるものではない。この肺容量減量術は、憎きCOPDの喉元に食らいつく治療法であり、安全に実施できるようなプロトコルの確立が今後望まれる。

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【JSMO2015見どころ】消化器がん

 2015年7月16日(木)から3日間にわたり、札幌にて、第13回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち、6月25日、日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催され、今年のJSMOで取り上げられる各領域のトピックスや、期待が高まるがん免疫療法などについて、それぞれ紹介された。 消化器がんについては、小松 嘉人氏(北海道大学病院 腫瘍センター)が、大腸がんを中心にJSMOでの見どころや注目演題を紹介した。 小松氏は、本学会での大腸がんにおける注目点として4つを挙げ、それぞれの主な演題を紹介した。1)バイオマーカー・遺伝子検査など 大腸がん治療における分子標的薬には血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的とするベバシズマブと上皮成長因子(EGFR)を標的とするセツキシマブとパニツムマブがある。KRAS変異型大腸がんには後者(抗EGFR抗体薬)は効果を得られない可能性が高いため、ベバシズマブが投与される。一方、KRAS野生型大腸がんの1次治療においてはどちらを使用すべきか、現在、いくつかの比較試験が実施されているが、まだ答えが出ていない。 また、KRAS変異だけではなく、NRAS変異といった新規のRAS変異のある患者も抗EGFR抗体薬の効果が期待できないことがわかってきている。大腸がんのRAS野生型は約50%であり、抗EGFR抗体薬の投与前に、KRAS/NRAS遺伝子変異の有無を測定することが推奨されている。・シンポジウムゲノム解析などを用いた大腸がん分子標的治療薬の最適化日時:2015年7月18日(土)14:30~16:30会場:Room3(ロイトン札幌3F)2)新薬:TAS-102、レゴラフェニブなど わが国で大腸がんに使用できる薬剤は、ドラッグラグの問題も徐々に改善され、レゴラフェニブでは米国での承認の翌年に承認された。また、TAS-102は昨年、世界に先駆けて日本で承認された。JSMOでは、これらの新薬のほか、FOLFOXIRI+ベバシズマブ療法の臨床成績について発表される。・インターナショナルセッションISS1-1 大腸がん日時:2015年7月16日(木)12:30~13:20会場:Room5(ロイトン札幌2F)・オーラルセッション大腸3 TAS-102/レゴラフェニブ日時:2015年7月18日(土)9:30~10:30会場:Room5(ロイトン札幌2F)・オーラルセッション大腸2 FOLFOXIRI+ベバシズマブ日時:2015年7月16日(木)15:00~15:40会場:Room5(ロイトン札幌2F)3)国際共同臨床試験への参画 日本も参画した、切除不能進行・再発大腸がんに対する1次治療(フッ化ピリミジン系製剤+オキサリプラチン+ベバシズマブ)後の2次治療としてのFOLFIRI±ラムシルマブの国際共同第III相試験(RAISE試験)の結果について、プレナリーセッションで発表される。・プレナリーセッションPS-1 RAISE: A Randomized, Double-Blind, Multicenter Phase III Study of Irinotecan, Folinic Acid, and 5-Fluorouracil (FOLFIRI) plus Ramucirumab (RAM) or Placebo (PBO) in Patients (pts) with Metastatic Colorectal Carcinoma (mCRC) Progressive During or Following First-Line Combination Therapy日時:2015年7月17日(金)14:05~15:20会場:Room1(ニトリ文化ホール)・インターナショナルセッションISS1-1-1 PF-05212384 + irinotecan Phase II study in metastatic colorectal cancer (mCRC): B2151005 Japanese lead-in-cohort (J-LIC)ISS1-1-4 標準治療に不応・不耐な転移性大腸に対するTAS-102 の国際共同第III相試験(RECOURSE 試験)における地域別サブセット解析結果日時:2015年7月16日(木)12:30~13:20会場:Room5(ロイトン札幌2F)4)New Paradigm(免疫チェックポイント阻害薬) 現在、がん治療で期待されている免疫チェックポイント阻害薬は、消化器がんにおいても検討されている。JSMOでは、胃がんに対するニボルマブの第III相試験(現在進行中)などが紹介される予定である。・インターナショナルセッションISS2-1-3 ONO-4538(ニボルマブ)第III相試験(切除不能な進行又は再発胃がんに対する多施設共同二重盲検無作為化試験)日時:2015年7月17日(金)8:30~9:30会場:Room3(ロイトン札幌3F)・インターナショナル・シンポジウムISY4-6 切除不能進行・再発胃における抗PD-1抗体MK-3475(Pembrolizumab)のphase Ib試験日時:2015年7月17日(金)9:30~11:30会場:Room3(ロイトン札幌3F)・インターナショナル・シンポジウムISY5-1 Biologics and immunotherapy in metastatic colorectal cancerISY5-2 New molecular targeting agents for colorectal cancer 日時:2015年7月17日(金)16:00~17:30会場:Room3(ロイトン札幌3F)【第13回日本臨床腫瘍学会学術集会】■会期:2015年7月16日(木)~18日(土)■会場:ロイトン札幌・ホテルさっぽろ芸文館・札幌市教育文化会館■会長:秋田 弘俊氏(北海道大学大学院医学研究科 腫瘍内科学分野 教授)■テーマ:難治がんへの挑戦 医学・医療・社会のコラボレーション第13回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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抗CTLA-4抗体イピリムマブが悪性黒色腫に承認

 ブリストル・マイヤーズ株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:ダビデ・ピラス)は2015年7月3日、ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体イピリムマブ(商品名:ヤーボイ点滴静注液50mg)について、根治切除不能な悪性黒色腫を適応として、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。 イピリムマブは、根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象とした海外第III相試験において、BRAF変異にかかわらず、対照群と比較して統計学的に有意な全生存期間(OS)の延長を示した。 イピリムマブは、T細胞の活性化を抑制する調節因子である細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)の働きを阻害することで、活性化T細胞における抑制的調節を遮断し、腫瘍抗原特異的なT細胞の活性化と増殖を促進させ、腫瘍増殖を抑制する。また、制御性T細胞(Treg)の機能低下及び腫瘍組織におけるTreg数の減少により腫瘍免疫反応を亢進させ、抗腫瘍効果を示すと考えられている。 2011年3月、米国において切除不能又は転移性悪性黒色腫の適応で承認されて以降、欧州、オーストラリア、カナダを含めこれまでに世界50ヵ国以上において承認されている。ヤーボイの概要商品名:ヤーボイ点滴静注液50mg効能・効果:根治切除不能な悪性黒色腫用法・用量:通常、成人にはイピリムマブ(遺伝子組換え)として1日1回3mg/kg(体重)を3週間間隔で4回点滴静注する。 ブリストル・マイヤーズ プレスリリースはこちら。

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抗精神病薬の変更は何週目が適切か

 統合失調症において抗精神病薬が無効な場合、どの程度の期間を待ったうえで治療変更すべきかという臨床上の課題は未解決である。この点に関して、各ガイドラインの見解はさまざまであった。オランダ・アムステルダム大学のMyrto T. Samara氏らは、統合失調症において抗精神病薬の変更を考える場合の効果判定時期の目安を明らかにすべく、メタ解析を行った。その結果、治療開始2週時点で効果が認められない場合は、その後も効果が得られる可能性が低いことを報告した。American Journal of Psychiatry誌2015年7月1日号の掲載報告。 研究グループは、主に個人の患者データを用いて2週時点での非改善がその後の無反応を予測するかどうかを評価する診断検査のメタ解析を行った。EMBASE、MEDLINE、BIOSIS、PsycINFO、Cochrane Library、CINAHL、関連文献の引用文献リスト、全関連文献の補足資料を検索対象とした。主要アウトカムは、ベースラインからエンドポイント(4~12週)までの無反応に対する予測とした。無反応は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)または簡易精神症状評価尺度(BPRS)における総スコアの50%以下の減少(最小の改善幅を示す)と定義した。また、2週時点の非改善はPANSSあるいはBPRSの20%以下の改善(最小限の改善より小さいことを示す)とした。副次的アウトカムは、横断的な症状の非寛解、そしてエンドポイント時点でのPANSSあるいはBPRSの20%以下の減少とした。可能性のある調整変数をメタ回帰分析により検証した。主な結果は以下のとおり。・34件の試験(9,460例)において、2週時点でのPANSSあるいはBPRSスコアの20%以下の減少は、特異度86%、陽性適中率(PPV)90%をもってエンドポイント時点での無反応を予測した。・実際の観察症例(特異度86%、PPV 85%)または非寛解症例(特異度77%、PPV 88%)のデータを用いても、同様の結果が得られた。・一方、エンドポイント時点での20%以下の減少という定義を用いた場合、予測適中率の結果は不良であった(特異度70%、PPV 55%)。・検査の特異度は、試験期間6週間以下、ベースライン時の高い重症度、短い罹患期間により、有意に低下した。関連医療ニュース 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 抗うつ薬切替のベストタイミングは? 抗精神病薬の切り替えエビデンス、どう評価すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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COPDの肺容量減少術、気管支鏡下弁留置が有用か/Lancet

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において、気管支内弁を用いた気管支鏡下肺容量減少手術(BLVR)は、肺機能および6分間歩行距離を有意に改善することが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのClaire Davey氏らによるBeLieVeR-HIFi試験で示された。肺の最も増悪した病変部位を切除する肺容量減少手術(LVRS)は、肺気腫患者の肺機能や運動能、生存期間を改善するが、重大な合併症や約5%という早期死亡率が報告されている。BLVRは、最も肺気腫が進行した部位へ向かう気道に、気管支鏡で一方向弁を留置することで、病変のある肺葉を虚脱させる方法である。Lancet誌オンライン版2015年6月23日号掲載の報告。弁留置を偽対照を用いた無作為化試験で評価 BeLieVeR-HIFi試験は、COPD患者に対する気管支内弁(商品名:Zephyr valve)を用いたBLVRの有用性を評価する二重盲検偽対照無作為化試験(英国医学研究審議会[MRC]の助成による)。 対象は、胸部CTで肺葉間裂に損傷のない異質性肺気腫がみられ、病態が安定したCOPDの外来患者であった。適格要件は、予測1秒量(FEV 1)<50%、肺過膨張(総肺気量>100%、残気量>150%)、運動耐容能低下(6分間歩行距離<450m)、重度の息切れ(MRC息切れスコア≧3)であった。 被験者は、BLVRを施行する群または偽の弁を用いた気管支鏡を施行する群(対照群)に無作為に割り付けられた。 患者およびアウトカムの評価を行う研究者には、治療割り付け情報がマスクされた。主要エンドポイントは3ヵ月時のFEV1の変化率とし、intention-to-treat(ITT)解析を行った。FEV1中央値の上昇:8.77 vs.2.88% 2012年3月1日~2013年9月30日の間に、50例のCOPD患者が登録され、BLVR群と対照群に25例ずつが割り付けられた。平均年齢はBLVR群が62.3歳、対照群は63.3歳、男性がそれぞれ68%、56%であった。 ベースラインの予測FEV1はBLVR群が31.6%、対照群は31.8%、MRC息切れスコアは両群とも4点で、6分間歩行距離は342m、334mであった。一方、総肺気量はそれぞれ132%、143%、残気量は219%、245%であり、対照群で高値を示した。全体の留置弁の数の中央値は3個だった。 FEV1中央値は、ベースラインから3ヵ月時までに、BLVR群が8.77%(四分位範囲:2.27~35.85)上昇し、対照群の2.88%(0~8.51)の上昇に比べ、有意に改善した(Mann-Whitney検定:p=0.0326)。 また、BLVR群では、6分間歩行距離の延長分中央値が対照群よりも有意に改善した(25 vs.3m、p=0.0119)。 BLVR群の2例(弁の除去に伴う呼吸不全、肺性心を伴うCOPD)が90日以内に死亡し、対照群の1例は気胸の遷延化のためフォローアップを受けることができなかった。 著者は、「BLVRにより肺機能と運動能が有意に改善した。重大な合併症のリスクがあるため、BLVRとLVRSを比較する試験を行う必要がある」としている。

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チオトロピウム+オロダテロール配合剤が欧州でCOPDに承認

 べーリンガーインゲルハイムは2015年7月2日、1日1回吸入のCOPD治療薬チオトロピウム+オロダテロール配合剤(製品名:Spiolto Respimat)が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)成人患者の症状緩和を適応として、欧州で承認を取得したことを発表した。 主要な検証試験においてチオトロピウム+オロダテロール配合剤群は、チオトロピウム群に比べ、呼吸機能、息切れ、QOL、レスキュー薬の使用に有意に改善することが示されている。 チオトロピウム+オロダテロール配合剤は、レスピマットソフトミスト吸入器を用いて1日1回吸入する開発中の新規薬剤。日本では未承認である。ベーリンガーインゲルハイム プレスリリースはこちら

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いわゆる「新規経口抗凝固薬」:中和剤は臨床的に意味があるか?【1】(解説:後藤 信哉 氏)-380

 長らく使用されてきたワルファリンには、経験的に中和法が確立されている。ワルファリンの抗凝固薬としての作用機序は、経験に基づいて理解されてきた。ワルファリンは、基本的には第II、VII、IX、X因子の機能的完成を阻害する薬剤であるため、濃縮血漿を加えることにより抗凝固活性を速やかに阻害することができる。最近開発された新規経口抗凝固薬(抗Xa、抗トロンビン薬)存在下では濃縮血漿を加えても、ダビガトラン存在下では第II因子機能、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン存在下では第Xa活性の速やかな回復は期待できない。第Xa因子は血漿中でプロトロンビンをトロンビンに転換するのみならず、活性化血小板膜上のprothrombinase complexにより、固相でもトロンビンを産生するため、生体におけるXa活性の中和は論理的にも困難である。 ダビガトランは、主に液相で起こるトロンビンによるフィブリンの産生を阻害する薬剤であるため、血漿からダビガトランを取り除けば効果の中和を期待できる。そこで、スポンサーはダビガトランに対する選択的モノクロナール抗体を作成した。抗体を作成し、抗体をヒト化して免疫原性を減らす方法は、すでに血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIaに対する選択的阻害薬治療として技術は確立している。ダビガトラン中和剤の投与を一生1回と割り切れば、アナフィラキシーの心配も大きくない。出血がコントロールできない場合、緊急手術時には欠点の多い抗体でも少数例でも出血死亡例は減らせると期待されて、idarucizumabというヒト化抗ダビガトラン抗体Fab(IgGのFcを切り離し、Fabを1ドメインのみ製剤化したという意味)が開発された。 本論文は、idarucizumab開発の第I相試験である。NEJM誌、 Lancet誌などの臨床的一流雑誌に第I相試験が掲載されることは少ない。上記の解説のごとく、ヒト化monovalent Fabとはいえ、アナフィラキシーショックの可能性が否定できないので一生に2度は使えない(すなわち、本試験に参加したヒトが将来ダビガトランを必要とし、なお、その中和が必要になってもこの薬を使うと、アナフィラキシーのリスクが高くなるという問題)。本論文は第I相試験であるので、健常人に対して「重篤な出血イベントリスクを増加させる」ダビガトランを「臨床的にメリットがない」と想定される状態で使用されている。さらに、まったく新しいヒト化monovalent Fabを、「臨床的に必要がないのに」ダビガトランを服用している症例に重ねてランダムに介入している。完全に実験的研究であり、今後繰り返される可能性はない。 本実験的研究によりidarucizumabは、ダビガトランにより惹起されたdiluted thrombin time(dTT)、ecarin clotting time(ECT)、activated partial thromboplastin time(aPTT)の延長を正常化することが示された。確かに、本試験は既存の薬剤開発システムの中ではproof of concept (POC)として必須と考えられる。しかし、被験者は出血のリスク、抗体投与のリスクなどを負うがメリットがあるとは考えにくい。ハードエンドポイントを含まないサロゲートエンドポイントを指標としたtrickyな試験なので、ヒトを用いず実証実験により精緻化されたsimulationなどにより、このような試験をスキップできる方法を考えるべきである。 日本ではとても、このような第I相試験はできないだろうな(というよりも、このような試験をする国にはなりたくないな)と思いました。

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ヘパリンブリッジに意味はあるのか?(解説:後藤 信哉 氏)-381

 抗血栓療法は、リスクを飲み込んでメリットを期待する「両刃の剣」の治療である。 脳卒中リスクを有する心房細動症例ではとくに喧伝されているが、血栓イベントの多くが不可逆的なので、血栓リスク・出血リスクのどちらを重視するかは、個別の臨床医と患者さんの選択である。 多くの抗血栓薬は、2~3年間の観察期間内の血栓イベント、出血イベントにより、有効性、安全性を検証されて一般臨床における使用推奨がなされる。 日本人の死因の第1位は出血疾患としての悪性腫瘍なので、過去のランダム化比較試験に基づいて抗凝固療法が開始された症例であっても、将来発がんし、出血を伴う検査、手術などが発生するリスクが高い。日本でも多くの症例が抗凝固治療を受けており、消化器内視鏡治療を受けるために一時的にヘパリンブリッジを受けている症例も多い。各種診療ガイドラインではヘパリンブリッジについて触れているが、一様に「明確なエビデンスはないが…」と記載されている。 本試験は、日本の標準治療である未分画ヘパリンではなく低分子ヘパリンではあるが、明確なエビデンスである。Medical legal issueとしても、手術時に「ヘパリンブリッジ」をしなかったと苦情を受けることが多い。今後は「ヘパリンブリッジについてのevidenceはある」、「evidenceはヘパリンブリッジをしても、非ヘパリンブリッジと比較して血栓イベント・出血イベントについて劣らないことを示した」と明確に答える根拠ができてとてもよかった。

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