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セクション10 健築アドバイザーがほっておけない身体所見

セクション10 健築アドバイザーがほっておけない身体所見城所 望氏(竹島町立黒島診療所)第10弾は、内科の身体診察で盲点となっている「口」と「足」の診察についてです。靴を変えるだけで起こる身体の変化や呼吸に関してためになる所見など、明日の診療で役立つ知識満載でお届けします。ちなみに「健築」という言葉は、城所氏の造語です。そのこころは、コンテンツでご確認ください!

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タバコと肺がんは関係ない!?

タバコと肺がんは関係ない!?米国の喫煙者と肺がん死の関係(本)(人/10万人当たり)5000---1004500--- 904000--- 803500-たとえば…グラフのこの部分だけ抜き出したメディアの報道がありました。-- 703000-1人当たりのタバコ消費量-- 602500--- 50男性の肺がん死亡率2000--- 402000-1990-1980-1970-1960-1900-01950-女性の肺がん死亡率 -- 101940-500-タバコ消費量は減っているのに肺がん死亡率は増えている!?-- 201930-1000-1920--- 301910-1500-0(年)喫煙と肺がんは関係ない!?グラフの一部分だけでは正確な情報とはいえません!グラフを都合良く切り出し、誤解を広めるようなメディアの説明に惑わされてはいけません!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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統合失調症患者の認知機能、年齢による違いを検証

 統合失調症患者における認知障害の潜在的動態は、その専門分野の文献で議論されている。最近の報告では、初回精神病エピソード後に認知機能障害のレベルが、わずかに変化することが示唆されている。ポーランド・ワルシャワ医科大学のAnna Mosiolek氏らは、患者と対照群における認知機能や臨床像の年齢群間差を検討した。BMC psychiatry誌2016年2月24日号の報告。 18~55歳の統合失調症入院患者128例(女性:64例、男性64例)と対照群64例(女性:32例、男性32例)を調査した。患者の年齢層は、18~25歳、26~35歳、36~45歳、46~55歳に分けた。両群共に、ウィスコンシンカード分類課題(WCST)、レイ聴覚性言語学習検査、レイ複雑図形検査、トレイルメイキングテスト、ストループ課題、言語流暢性検査、ウェクスラー数唱課題を用い調査した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者では、対照群と比較し、測定されたすべての認知機能において有意に低いスコアが示された(Mann-Whitney U検定:p<0.05)。・ほとんどの不足は、すべての年齢層においてみられたが、実行機能(WCST)における統計学的に重大な障害については、高齢群においてのみみられた。 著者らは「統合失調症患者の認知機能は、対照群と比較し、すべての年齢層において不良であった。実行機能に関する障害は、46~55歳群で顕著にみられたが、若年齢群ではみられなかった。また、36~45歳群では、若年齢群と比較し、実行機能の有意な低下が認められた」とし「認知機能レベルは、加齢により緩やかに悪化し、入院治療を伴わない罹病期間と関連する」とまとめている。関連医療ニュース 第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは グルタミン酸作用、統合失調症の認知機能への影響は認められず 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン

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長期アスピリン使用によるがん予防効果~13万6千人の前向き研究

 米国での医療従事者の2つの大規模前向きコホート研究における検討で、長期のアスピリン使用が、がん全体とくに消化管腫瘍のリスク低下に、わずかではあるが有意に関連することが認められた。また、定期的なアスピリン使用が大腸がんのかなり高い割合で予防し、スクリーニング検査によるがん予防を補う可能性が示唆された。JAMA oncology誌オンライン版2016年3月3日号に掲載。 U.S. Preventive Services Task Force(USPSTF)は、米国の成人における大腸がんおよび心血管疾患予防のためにアスピリン使用を推奨しているが、アスピリン使用と他のがんリスクとの関連や、集団全体でのアスピリン使用の効果は明らかになっていない。米国ハーバード大学のYin Cao氏らは、アスピリンのさまざまな用量・使用期間で、がん全体およびサブタイプ別のがん予防における潜在的なベネフィットを調べ、さらに、スクリーニング検査の有無別にアスピリンの絶対ベネフィットを推定した。 対象は、米国の大規模前向きコホート研究であるNurses' Health Study(1980~2010年)とHealth Professionals Follow-up Study(1986~2012年)において、アスピリン使用を報告した医療従事者13万5,965人(女性8万8,084人、男性4万7,881人)で、1年おきにフォローアップした。女性は1976年の登録時に30~55歳、男性は1986年に40~75歳であった。主なアウトカムは、がん発症の相対リスク(RR)および人口寄与リスク(PAR)であった。 主な結果は以下のとおり。・32年間追跡した女性8万8,084人と男性4万7,881人のうち、女性2万414例、男性7,571例にがんが発症した。・定期的なアスピリン使用は不定期の使用と比較して、がん全体のリスク低下と関連していた(RR:0.97、95%CI:0.94~0.99)。これは、主に消化管がんの発症率低下(RR:0.85、95%CI:0.80~0.91)、とくに大腸がんの発症率低下(RR:0.81、95%CI:0.75~0.88)によるものであった。・消化管がん予防におけるアスピリンのベネフィットは、少なくとも、アスピリンの標準的な錠剤0.5~1.5錠/週の使用でみられた。定期的使用とリスク低下との関連がられる最短期間は6年であった。・50歳超の被験者のうち、定期的なアスピリン使用は下部内視鏡検査によるスクリーニングを受けていない人では10万人年当たり33の大腸がん(PAR:17.0%)を、受けた人では10万人年当たり18の大腸がん(PAR:8.5%)を防ぐことができた。・定期的なアスピリン使用は、乳がん・進行前立腺がん・肺がんのリスクには関連していなかった。

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敗血症患者のICUでの2次感染、死亡への影響は?/JAMA

 ICUでの2次感染は、重症度が高い敗血症入室患者でより多く発生していたが、全死亡に対する寄与はごくわずかであることが、オランダ・アムステルダム大学のLonneke A. van Vught氏らが、Molecular Diagnosis and Risk Strati- fication of Sepsis(MARS)プロジェクトの一部として行った前向き観察研究の結果、示された。なお、敗血症患者のゲノム応答を調べたところ、免疫抑制は2次感染発症時に起きたことを示すものであったという。これまで、敗血症は免疫抑制を引き起こし、2次感染と死亡との関連感度を高めるのではないかと考えられていた。JAMA誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。ICUへの敗血症入室約1,700件、非感染症入室約1,900件を解析 研究グループは、2011年1月~13年7月、オランダ2施設のICUに連続48時間以上入室した患者を対象に、前向き観察研究を行った。患者は、入室時の診断によって敗血症入室と非感染症入室に層別化され、解析対象は敗血症入室1,719件(1,504例、年齢中央値62歳、四分位範囲[IQR]:51~71歳、男性924例[61.4%])、非感染症入室1,921件(1,825例、年齢中央値62歳、IQR 49~71歳、男性1,128例[61.8%])であった。 主要評価項目は、ICU入室48時間以降に発症したICUでの2次感染(ICU内感染)で、time-to-eventモデルを用いて寄与死亡割合(リスク因子やICU内感染を排除することで予防されうる死亡の割合)を算出した。 また、一部の敗血症入室例(461件)について、血中遺伝子発現の分析(白血球の全ゲノムトランスクリプトーム)を、ベースラインとICU内感染発症時、および急性心筋梗塞などの非感染性イベント発症時に行った。ICUでの2次感染、重症敗血症患者で多いが全死亡への寄与はわずか ICU内感染を発症したのは、敗血症入室群13.5%(232件)、非感染症入室群15.1%(291件)であった。 敗血症入室群について、ICU内感染発症患者の疾患重症度スコアは、非発症患者と比べてICU入室期間を通して高かった(APACHE IV スコア中央値:90 [IQR:72~107] vs.79 [62~98]、p<0.001)。しかし、両者のベースラインでの遺伝子発現に違いはみられなかった。 60日目までの敗血症入室患者におけるICU内感染の人口寄与死亡割合は10.9%(95%CI:0.9~20.6%)であった。また、敗血症入室全患者の死亡とICU内非感染患者の死亡との差は2.0%と推定された(95%CI:0.2~3.8%)。 一方、非感染症(非敗血症)入室群について、60日目までのICU内感染の人口寄与死亡割合は21.1%であった(95%CI:0.6~41.7%)。 敗血症入室群について行った遺伝子発現の分析の結果、ベースラインと比較しICU内感染発症時において、糖新生や解糖に関連する遺伝子発現の低下が認められた。

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難民は精神病リスクが高い/BMJ

 難民は、統合失調症など非感情性精神病性障害(non-affective psychotic disorders)のリスクが高い。スウェーデン・カロリンスカ研究所のAnna-Clara Hollander氏らが、各種全国レジストリを用いたスウェーデン在住者約135万人の後ろ向きコホート研究で、明らかにした。発病リスクは類似地域からの「移民」と比べ1.7倍、スウェーデン生まれの人と比べ約3倍に上るという。先行研究で、「移民」において統合失調症などの非感情性精神病性障害のリスクが高いことが知られていたが、難民については不明であった。BMJ誌オンライン版2016年3月15日号掲載の報告。約130万人を追跡、うち移民が約10%、難民が約2% 研究グループは、スウェーデンの各種全国レジストリを用い、1984年1月1日以降生まれのスウェーデン在住者134万7,790人について解析した。対象者の内訳は、両親がスウェーデン生まれで自身もスウェーデンで生まれた人(スウェーデン群)119万1,004人(88.4%)、難民発生地域(中東・北アフリカ、サハラ以南のアフリカ、アジア、東ヨーロッパ・ロシア)からの移民13万2,663人(9.8%)、および難民2万4,123人(1.8%)であった。 14歳の誕生日またはスウェーデンへの到着日から、ICD-10のF20~29(統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害)に該当する精神病性障害の診断、他国への転居、死亡、または2011年12月31日まで追跡調査した。移民よりもリスクが高く、とくに男性で顕著 890万人年の調査において、統合失調症および他の精神病性障害3,704例が確認された。粗発病率(/10万人年)は、スウェーデン群38.5(95%信頼区間[CI]:37.2~39.9)、移民群80.4(72.7~88.9)、難民群126.4(103.1~154.8)であった。難民群では、交絡因子調整後のハザード比が、対スウェーデン群で2.9(2.3~3.6)、対移民群で1.7(1.3~2.1)であり、精神病のリスクが他群と比べて高かった。 移民群と比較した難民群における増大は、男性において顕著であり(交互作用の尤度比検定χ2 (df=2) z=13.5、p=0.001)、また、サハラ以南のアフリカを除く全地域で示された。サハラ以南のアフリカからの移民と難民はどちらも、スウェーデン群と比較して粗発病率が高かった。 著者は、大規模コホート研究にもかかわらず難民の例数が少ないことや、移住前の情報が利用できないなど研究の限界を挙げたうえで、「難民受け入れ国の臨床医や保健サービス立案者は、難民が経験する精神的身体的健康格差に加え、精神病のリスク増大を知っておくべきである」とまとめている。

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自分のLDLコレステロール値、まずは知ることから

 サノフィ株式会社は3月10日、LDLコレステロールとそのリスクに関するプレスセミナーを都内で開催し、山下 静也氏(りんくう総合医療センター 病院長)が、「LDLコレステロールの本当の怖さ リスクと知ることの重要性」と題して講演を行った。また、欧州動脈硬化学会が実施したコレステロールに関する国際意識調査を基に、日本とEU 11ヵ国の比較分析を行った結果1)を、同社の宇野 希世子氏が発表した。LDLコレステロール管理が不十分な日本の現状 高LDLコレステロール(LDL-C)血症は、狭心症や心筋梗塞などの心血管病の発症を促進させるリスク因子である。食生活の欧米化により、日本人の血清コレステロール値は年々増加しており、山下氏は、脳・心血管系イベントが今後さらに増える可能性が高いと言う。しかし、日本の現状としては、管理目標値に到達していない患者が多く、心血管系高リスク患者の約3割はLDL-C管理が不十分であるといわれている。いまだ診断率の低い家族性高コレステロール血症 山下氏は、家族性高コレステロール血症(FH)の診断率の低さについても警鐘を鳴らす。肝臓の細胞表面にあるLDL受容体というタンパクの機能に障害があり、血液中のLDL-Cの量が増加する遺伝性の疾患であるFHは、遺伝的背景のない高LDL-C血症と比べて動脈硬化の進展が著しく早いため、より早期から厳格なLDL-C値の管理が必要になる。 日本におけるFH患者数は、ヘテロ接合型で30~70万人、ホモ接合型で120~700人といわれるが、診断率はいまだ低く、日本での診断率は推定患者数の1%以下にとどまるという。これはFHが実地医家の間で十分認知されていないことが原因となっている可能性が大きい、と山下氏は指摘する。認知度の向上が今後の課題 高LDL-C血症は自覚症状がないため、心筋梗塞や脳梗塞による突然死を引き起こす可能性がある。心血管病のリスク低下のために今日からできることとして、まずは自分のLDL-C値、LDL-C目標値を知ることが重要である、と山下氏は述べた。 同セミナーで発表された、日本とEU 11ヵ国のコレステロールに関する意識調査の結果によると、日本人の心血管病に対する問題意識、当事者意識はともにEUと比べて低く、コレステロールに関する知識も不足していることが明らかになったという。とくに、心血管病が日本人の死因第2位であるにもかかわらず、「個人的に最も心配している疾患または健康上の問題」という質問(複数回答)に対して、心血管病(心疾患または脳卒中)を挙げた日本人は21%と、EU(39%)の約半数であった。FHという遺伝性疾患が隠れている場合もあることから、自分の問題としてコレステロールの怖さを捉え、理解することの重要性を宇野氏は訴えた。 心血管病予防のために、LDL-Cに対するリスクの認知度の向上が、今後の課題のようだ。

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生体吸収性ステントBVSに対する期待とエビデンスの持つ意味~メタ解析の結果~(解説:上田 恭敬 氏)-502

 新たに開発された生体吸収性ステント(BVS:bioresorbable vascular scaffold)と、現時点で最も優れた臨床成績を示している金属製薬剤溶出性ステント(DES:metallic drug-eluting stent)の1つであるXienceステントを比較した、4つの無作為化比較試験の1年時成績のメタ解析が報告された。症例数の合計は、BVSが2,164症例、Xienceが1,225症例である。 結果は、患者についての複合エンドポイントもデバイス(ステント)についての複合エンドポイントも、群間で有意差を認めなかったというものであった。 論文内でも述べられているが、大規模な長期の臨床試験の結果によって、この新しく開発されたデバイスであるBVSが、従来のDESに比べて本当に優れているか否かを示すには、まだまだ長い時間が必要である。しかし、それまでの間、この新しいデバイスを使い続けるためには、1年時のエビデンスとして、BVSの使用によって患者の予後を悪化させていないことを示す必要があるとの考えから、この解析が行われている。 しかし、1年時の成績から必ずしも長期の予後を予測できないことは、CypherステントとEndeavorステントの比較試験の結果が、1年時と5年時でまったく逆になったことからも明らかである。そのことをわかっていながらも、形だけでもエビデンスと呼べるものをつくらないといけない、現在の過度なエビデンス依存状態がみえる。1年時のBVSの成績がXienceよりも優れていようが劣っていようが、5年あるいはそれ以上の長期の成績において、どちらが優れた結果を示すことになるのかは神のみぞ知る問題である。もし、少しでも長期成績を予測しようと思うのであれば、このような統計データではなく、病理やイメージングを用いた研究の結果を、もっと詳細に議論するべきではないだろうか。 しかも、主なエンドポイントとして設定される複合エンドポイントは、通常、試験の目的(今回の場合「BVSが劣っていないこと」)を示しやすいように工夫されているものである。その主なエンドポイントに差がなかったことを第1に主張している論文の表現法にも、この目的がにじみ出ていると感じる。しかし結果としては、標的血管関連心筋梗塞の発症頻度が有意差をもってBVSで高くなっていて、有意差には至っていないが、ステント血栓症が高頻度となっていることが指摘されている。BVSで手技時間が有意に長く、手技成功率が有意に低くなっていることも重要である。また、無作為化試験のメタ解析でありながら、背景因子にかなりの偏りが存在することも問題と思われる。 本解析の結果から出るメッセージは、「成績に差がなかったからBVSを使い続けることは問題ないですよ」といったお墨付きではなく、「BVSによる心筋梗塞の発症増加が認められ、手技成功率も低いので、広く使われればXienceを使うよりも患者の予後を悪化させる可能性がある」といった、注意喚起の内容とすべきではないだろうか。もちろん、金属が体内に残らないことから生じるメリットも想定される新しい技術であり、長期成績については長期の大規模試験の結果が出るまでは誰にもわからないので、「BVSを使うべきではない」とまではいうべきではないが、その真逆の「1年時点ではまったく劣っていなかった」というのは、やはり違和感を覚える。この解析もいずれ結果の詳細は忘れ去られて、結論のみが独り歩きしてしまうことになるのであろうから、結論にどの結果を強調するかは、非常に重要であると思われる。逆に、さまざまな大規模試験の結論が独り歩きしている中で、その結論のみを鵜呑みにしない態度も重要である。蛇足かもしれないが、COURAGE試験の結論として指摘される「安定狭心症患者には、十分な薬物療法をすれば、必ずしも冠動脈形成術をしなくてもよい」という考えも、鵜呑みにすべきでないエビデンスの1つと著者は考えている。

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診療所における高リスク処方を減らすための方策が立証された(解説:折笠 秀樹 氏)-503

 このRCTでは特殊なデザイン、すなわちstepped wedge designというものを用いた。通常なら、介入を与えるか与えないかの2群間比較デザインだが、それでは与えない群のほうが不利となり、しかもオープン試験なので混乱しかねないため、どの診療所にも介入は与えられるが、その開始時期をずらすという変則的デザインを用いた。 介入内容は次の3つの組み合わせであった。薬剤師による副作用に関する専門教育、ITを活用した薬歴の「見える化」、金銭的インセンティブを同時に与えた。これらによって、高リスク処方が減らせるかどうかをみようとした。スコットランド内の33の診療所を対象にして、クラスターRCTを実施した。介入の時期をずらすものの、10グループ(ほぼ3診療所ずつ)とも48週間の間は介入が持続された。金銭的インセンティブとは、まず固定費として約7万円支給し、高リスク処方の確認のために平均約3万円を支給した。つまり、診療所当たり平均10万円の報酬が支給されたことになる。 その結果、どのグループにおいても、介入期間の間に高リスク処方の割合が低下した。介入前と比較すると、それは3.7%から2.2%にまで低下した(オッズ比=0.63)。消化管潰瘍・出血による入院を34%低下(率比=0.66)、心不全による入院を27%低下(率比=0.73)、急性腎障害による入院を16%低下(率比=0.84)などと、すばらしい結果が得られた。 本研究は、スコットランド政府が助成しているが、この結果から薬剤師指導および薬歴管理の保険収載をにらんでいるかもしれない。しかしながら、順番に介入を与えていくというこのデザインだと、最初のグループの介入効果が知られていた可能性が否めず、後半のグループはそれに引きずられた結果になっていたかもしれない。少し不公平感はあっただろうが、シンプルなデザインで実施すべきではなかったかと私は感じた。関連コメント高リスク処方回避の具体的方策が必要(解説:木村 健二郎 氏)ステップウェッジ法による危険な処方を減らす多角的介入の効果測定(解説:名郷 直樹 氏)「処方箋を書く」医師の行為は「将棋」か「チェス」か?(解説:後藤 信哉 氏)診療の現場における安全な処方に必要なものは何か…(解説:吉岡 成人 氏)

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発表! 1人ライザップの途中経過【Dr. 中島の 新・徒然草】(111)

百十一の段 発表! 1人ライザップの途中経過以前、60代にしてライザップで腹筋を割った知人に触発され、自らもダイエットを開始したことを述べました。その名も「1人ライザップ」です。ライザップを知らない人のために、世に知られているところを紹介すると、キャッチフレーズは「結果にコミットする」パーソナルトレーニングジムである1人では続かない人のためのマンツーマンコーチ会費は2ヵ月で30万円以上と高い2ヵ月で10kg近く痩せている人が多い有名人がコマーシャルで割れた腹筋を見せつけているといったところです。で、私も腹筋を割りたいとは思ったのですが、とにかく高い! それに2ヵ月で腹筋を割るなんて、ちと不自然というか、体に悪そう。というわけで、誰でもできる1人ライザップを始めたのがちょうど2ヵ月前です。その結果、体重は2ヵ月で4.3kg減!腹筋はまだ割れていない。腹囲は……測っていなかったでも、ベルトの穴が1つ狭くなったような。まあまあの結果です。方法はこんな感じ。カロリー摂取を抑える。間食をやめ腹八分目にするゆるい筋トレを行う体重計でモニタリングするたったこれだけです。とはいえ、実行する過程で方法論についていろいろ考えさせられたのは事実です。たとえば、間食をやめる、というところ。そう簡単には実行できません。最近、私を訪ねて来たお客さんが、ラスクを手土産に持って来てくれたのですが、そのカロリーたるや1枚120kcalもあります。これを運動で消費しようとしたら、3kmも歩かねばなりません。ラスクを食べて3km歩くか、歩かない代わりにラスクを我慢するか? どちらが楽かといえば圧倒的に後者が楽なのですが、意志の弱い私は……歩かないうえに、ラスクを食べてしまう情けない毎日になってしまいました。机の引き出しに何枚もラスクが入っている状況を考えれば、当然の結果です。なので、外来の冷蔵庫かどこか、自分にとってアクセスの悪いところにラスクを持っていき、皆さんで食べてもらえばいいわけです。自分も外来診察の最中、ひょいパクッと1枚くらいは食べてしまうかもしれませんが、それは許容範囲というものでしょう。そういえば40代男性の外来患者さんで、毎日夕食後にアイスクリームを食べている人がおられます。この方は独身なので、ガミガミ言われる相手もおらず、結果としてかなり栄養の行きわたった体形となっています。中島「そのアイスクリームをやめることはできませんか?」患者「でも、これだけが僕の楽しみなんです」中島「せめて減らすとか?」患者「無理ですよ」なんだか喫煙者に禁煙を迫っている気分ですね。そこで、こんなアドバイスを。中島「アイスクリームのカロリーを歩いて消費するなら7kmくらいですよ」患者「そんなに?」中島「だから夕食を食べるときは、後のアイスクリーム分を空けておいたらどうですか」患者「少な目に食べるんですか」中島「そうです。ちょっと少ないな、と思う程度に食べて10分休憩です」患者「……」中島「少し休むと満腹感が出てくるので、その時点でアイスクリームを食べるか、少し先延ばしにするか、考えたらどうでしょうか」患者「それならできるかも」中島「腹一杯食べて、その後、アイスクリームまで詰め込んでいたら、いくらなんでもマズイでしょ」患者「そうですね」私も人様に説教するだけでなく、自分でも頑張らなくてはなりません。また2ヵ月後に結果を報告しましょう。最後に1句ちょっと待て その1枚が 命とり

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生徒のうつ病に対する教師サポートの影響は

 思春期のうつ病を軽減するための要因は、明らかになっていない。浜松医科大学の水田 明子氏らは、思春期の生徒におけるうつ病に対する教師のサポート効果を評価するため検討を行った。The Journal of school health誌2016年3月号の報告。 著者らは、中学生2,862人およびクラス担任を持つ教師93人に自己評価アンケートを実施した。説明変数は教師のサポートのクラスごとの平均値、目的変数はうつ病とし、バイナリロジスティック回帰モデルで検討を行った。教師のサポートのクラス平均値と社会経済的地位、生徒の性別、満足度のグレードとの交互作用を検討した。 主な結果は以下のとおり。・教師サポートのクラス平均値の高さは、思春期におけるうつ病の有病率の低さと独立した関連が認められた(OR 0.739、95%CI:0.575~0.948)。・教師サポートのクラス平均値と満足度のグレードとの交互作用は、有意であった(p=0.025)。・教師サポートのクラス平均値と社会経済的地位や生徒の性別の交互作用は、有意ではなかった。 著者らは「教師サポートのクラス平均値の高さがうつ病の有病率の低さと関連していたことから、担任教師による介入を強化することで、生徒の健康状態を促進することができる」とまとめている。関連医療ニュース 教師のADHD児サポートプログラム、その評価は 女子学生の摂食障害への有効な対処法 青年期うつは自助予防可能か

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プライマリケアでのNSAID・抗血小板薬の高リスク処方を減らすには/NEJM

 プライマリケア診療所に対し、専門家によるリスクの高い処方に関する教育や、処方の見直しが必要な患者について医師に通知する情報システム、さらにそうした処方の見直しに対する金銭的インセンティブを与えるという複合的介入で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗血小板薬に関する高リスク処方が4割ほど減り、関連する入院の発生も減少したという。スコットランド・ダンディー大学のTobias Dreischulte氏らが、34ヵ所のプライマリケア診療所を対象に行ったクラスター無作為化試験の結果、明らかにした。NEJM誌2016年3月17日号掲載の報告より。NSAIDsと抗血小板薬に関する9つの高リスク処方発生率を比較 研究グループは、スコットランドのテイサイド州で、34ヵ所のプライマリケア診療所(医師が所有する)を対象に、ステップウェッジ・デザインの無作為化試験を行った。試験対象の診療所に対しては、48週間にわたり、(1)薬剤師など専門家による教育(開始時に1時間受講)、その後8週ごとにレターなどが送付、(2)電子カルテから処方の見直しが必要な患者データを特定するなどの情報システムによる支援、(3)高リスク処方について見直しを行った際に支払う金銭的インセンティブ(初回固定額として600ドル、見直した患者ごとに25ドル;フルタイム医師当たり平均収入の約0.6%に相当する平均約910ドルの支払いを見込んだ)をそれぞれ提供した。 主要評価項目は、NSAIDsと抗血小板薬に関する次の9つの高リスク処方の複合だった。(1)消化管潰瘍患者に胃粘膜保護薬処方なしでNSAIDまたはアスピリン処方、(2)75歳以上患者に胃粘膜保護薬処方なしでNSAID処方、(3)65歳以上患者に胃粘膜保護薬処方なしでNSAID処方、(4)65歳以上・アスピリン服用患者に胃粘膜保護薬処方なしでクロピドグレル処方、(5)経口抗凝固薬服用患者に胃粘膜保護薬処方なしでNSAID処方、(6)経口抗凝固薬服用患者に胃粘膜保護薬処方なしでアスピリンまたはクロピドグレル処方、(7)RAS阻害薬と利尿薬服用患者にNSAID処方、(8)慢性腎臓病患者にNSAID処方、(9)心不全歴あり患者にNSAID処方。 副次評価項目は、処方関連の入院などだった。解析は、intention-to-treatを原則とし、混合効果モデルを用いてクラスターデータを評価した。消化管潰瘍・出血による入院も3割強減少 試験を完了した33診療所を包含し、介入前の対象患者3万3,334例と、介入後の対象患者3万3,060人について分析を行った。 その結果、事前に規定した高リスク処方(あらゆるリスクを有した患者)の発生率は、介入直前の3.7%(2万9,537例中1,102例)から、介入終了時の2.2%(3万187例中674例)へと4割程度減少した(補正後オッズ比:0.63、95%信頼区間[CI]:0.57~0.68、p<0.001)。 また、消化管潰瘍や消化管出血による入院も、介入前の55.7件/1万患者年から介入期間中の37.0件/1万患者年へと、有意に減少した(率比:0.66、95%CI:0.51~0.86、p=0.002)。心不全による入院も、707.7件/1万患者年から513.5件/1万患者年へと、有意に減少した(率比:0.73、95%CI:0.56~0.95、p=0.02)。 一方、急性腎障害による入院は、101.9件/1万患者年から86.0件/1万患者年へと、有意な減少は認められなかった(率比:0.84、95%CI:0.68~1.09、p=0.19)。

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腹部手術後の低酸素血症呼吸不全、非侵襲的換気療法が有効/JAMA

 腹部手術後に低酸素血症呼吸不全を発症した患者に対し、顔面マスクを介して行う非侵襲的換気療法は、標準酸素療法と比較して7日以内の気管再挿管の発生率が12%低下したことが示された。フランス、サン・テロワ大学病院のSamir Jaber氏らが、患者293例を対象に行った無作為化並行群間比較試験の結果で、JAMA誌オンライン版2016年3月15日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「こうした患者において非侵襲的換気療法の使用を支持する結果が示された」とまとめている。気管再挿管や医療ケア関連感染症の発生率を比較 研究グループは2013年5月~14年9月にかけて、フランス20ヵ所の集中治療室(ICU)で、腹部手術後7日以内に低酸素血症呼吸不全を発症した患者293例を対象に試験を行った。被験者は、酸素分圧が室内気呼吸で60mmHg未満または酸素飽和度(SpO2)が90%以下、または15L/分の酸素呼吸で80mmHg未満、それに加えて呼吸速度が30/分超、または臨床的に激しい呼吸筋運動や強制呼吸の徴候が認められた。 被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方には標準酸素療法(最大15L/分でSpO2を94%以上に維持)を、もう一方には顔面マスクを用いた非侵襲的換気療法(NIV、呼気圧支持レベル:5~15cmH2O、終末呼気陽圧:5~10cmH2O、吸入酸素濃度:SpO2 94%以上に滴定)を行った。 主要評価項目は、無作為化から7日以内の気管再挿管だった。副次評価項目は、ガス交換、30日時点における侵襲的換気療法非使用生存、医療ケア関連の感染症、90日死亡などだった。医療ケア関連の感染症も17.8%低下 被験者の平均年齢は63.4歳、男性は224例だった。 無作為化から7日以内の気管再挿管率は、標準酸素療法群が45.5%(145例中66例)に対し、NIV群が33.1%(148例中49例)と有意に低率だった(絶対差:-12.4%、95%信頼区間[CI]:-23.5~-1.3、p=0.03)。 侵襲的換気療法非使用生存期間も、標準酸素療法群が23.2日に対しNIV群が25.4日と有意に延長し(絶対差:-2.2日、95%CI:-0.1~4.6、p=0.04)、医療ケア関連の感染症発症率も標準酸素療法群49.2%に対しNIV群は31.4%と有意に低率だった(同:-17.8%、-30.2~-5.4、p=0.003)。90日死亡率は、標準酸素療法群21.5%に対し、NIV群では14.9%だった(p=0.15)。ガス交換について有意差はみられなかった。

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IRIS試験:脳梗塞とピオグリタゾン-インスリン抵抗性改善薬が経た長い道のり-(解説:住谷 哲 氏)-500

 本論文のタイトルを見た時には、2型糖尿病患者における脳梗塞(以下では虚血性脳卒中および一過性脳虚血発作を脳梗塞とする)の再発予防にピオグリタゾンが有効なのかと思ったが、正しくは「インスリン抵抗性および脳梗塞の既往を有する非糖尿病患者に対して、ピオグリタゾンの投与は脳梗塞または心筋梗塞の発症リスクを有意に抑制した」との内容である。ピオグリタゾンの2型糖尿病患者における心血管イベントの2次予防効果を検討したPROactive試験1)の結果についてはいろいろと議論があるが、本試験の結果の解釈についても注意が必要と思われる。少なくとも2型糖尿病患者の脳梗塞再発を予防するために明日の外来からピオグリタゾンを積極的に投与すべきである、との結果ではない。 インスリン抵抗性が2型糖尿病患者の心血管イベント発症に深く関与していることは、以前から知られている。したがって、インスリン抵抗性改善薬が心血管イベント発症予防に有効だろうと考えるのは自然である。そこで「ピオグリタゾンによるインスリン抵抗性の改善は2型糖尿病患者における心血管イベントリスクを減少させる」との仮説を証明する目的でPROactive試験が行われたが、結果は解析手法の問題もあり、その仮説は証明されなかった。つまり、インスリン抵抗性を改善することで2型糖尿病患者の心血管イベントが抑制されるか否かは、これまで不明であった。 PROactive試験において、ピオグリタゾンの投与により脳梗塞の発症は抑制されなかったが(ハザード比:0.81、95%信頼区間:0.61~1.07)、その後に発表されたサブ解析では、脳梗塞既往患者においてピオグリタゾンの投与により、脳梗塞再発が47%(95%信頼区間:0.34~0.85、p=0.009)減少することが報告された2)。本試験Insulin Resistance Intervention after Stroke (IRIS)が、ClinicalTrial.govに登録されたのが2004年であることを考えると、本試験の対象患者が心筋梗塞ではなく、脳梗塞既往患者が選択されたのもそのあたりに理由があるのかもしれない。しかしその後、同じくチアゾリジン薬に属するロシグリタゾンが心筋梗塞を増加させる可能性が指摘され、さらに、ピオグリタゾンと膀胱がんとの関連も示唆される中で、インスリン抵抗性改善薬に対する熱狂は潮が引くように冷めていった。本試験は、そのような四面楚歌の状況下で地道に続けられていた臨床試験が、ようやく実を結んだといって良い。実臨床で使用され始めてから20年後に、ようやくインスリン抵抗性改善薬の心血管イベント抑制作用が証明されたのである。 本試験では、試験参加6ヵ月以内に脳梗塞を発症した、HOMA-IR>3.0で定義されるインスリン抵抗性を有する非糖尿病患者3,876例を、プラセボ群とピオグリタゾン群に分けて、中央値4.8年にわたり観察した。主要評価項目は、致死性・非致死性脳梗塞および致死性・非致死性心筋梗塞からなる複合エンドポイントとされた。その結果、ピオグリタゾン投与群で主要評価項目が24%減少した(ハザード比:0.76、95%信頼区間:0.62~0.93、p=0.007)。全死亡については両群に差を認めなかった。しかし、副次評価項目である脳梗塞の発症は、ピオグリタゾン群で減少傾向はあるようにみえるが有意差はついていない(ハザード比0.82、95%信頼区間:0.61~1.10、p=0.19)。脳梗塞の再発予防に対する、ピオグリタゾンの効果を検討する目的であれば、脳梗塞の発症のみを主要評価項目に設定すべきであると思われるが、なぜこのような複合エンドポイントになったのかは記載がない。 ピオグリタゾンを使用する際に、現在最も懸念されているのは心不全および骨折である。心不全の発症に関しては、NYHA III、IVの患者およびNYHA IIでEFの低下している患者は最初から除外されており、さらに、心不全の発症を予防するためのアルゴリズムに基づいて、適宜薬剤の減量が行われたため両群に有意な差はなかった。一方、骨折はピオグリタゾン投与群で明らかに増加しており、100例の患者に5年間ピオグリタゾンを投与すると、3例の患者で脳梗塞および心筋梗塞の発症が予防できるが、入院または手術を必要とする骨折が2例発生する計算となった。 インスリン抵抗性改善薬であるピオグリタゾンが、心血管イベント発症のリスクを低下させることを初めて明らかにした点において、本試験は重要である。しかし、本試験の結果を実臨床に適用するためには下記の点に留意する必要がある。(1)対象は2型糖尿病患者ではない。(2)インスリン測定系は現時点で国際的に統一されていないのでHOMA-IR>3.0は目安程度の意味しかない。(3)脳梗塞および心筋梗塞の複合エンドポイントのリスクが減少したことが示されたのであり、脳梗塞再発予防効果が示されたのではない。(4)心血管イベントの再発予防と引き換えに、入院または手術を必要とする骨折が同程度に増加する可能性がある。 今後、2型糖尿病患者において同様の試験が行われることを期待したいが、現実にはその可能性はきわめて小さいだろう。本論文に対する付属論評でも指摘されているように3)、今後はprecision-medicine approach、つまりピオグリタゾン投与によるリスク・ベネフィット比が最も高い一群(ピオグリタゾン投与により心血管イベントは減少するが心不全、骨折などは増加しない一群)をDNA解析などの結果により投与前に同定し、その一群に対してのみ投与を行うことになっていくだろう。

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筆頭著者が女性の割合は増えているが、それは女性研究者の増加に比例していた(解説:折笠 秀樹 氏)-501

 筆頭著者が女性である割合について、主要6誌(JAMA、NEJM、Lancet、BMJ、 Annals of Internal Medicine、Archives of Internal Medicine)を対象にして、最近20年間の調査が行われた。10年前の先行研究では、その割合は米国で29%、英国で37%であった。今回の調査でもほぼ同様であり、全体で34%であった。女性割合の年次推移をみるには、研究領域や実施地域などで補正をした。なぜなら、年次によって女性の活躍が少ない研究領域の論文が多い可能性があるからである。このような補正をした後、女性筆頭著者の割合は27%(1994年)から37%(2014年)と、10%も増加(相対的には1.37倍)していた。 推移に関しては、Fig.1に面白い結果がみられる。6誌が3グループに分かれている。BMJ誌は1994年から2014年まで、ずっと女性筆頭著者の割合は40%と高かった。一方、NEJM誌はこの20年間ずっと25%くらいで低迷していた。残る4誌は当初25~30%くらいだったのが、最近では35~40%くらいまで増加していた。どうしてBMJ誌は女性筆頭著者が多く、NEJM誌が少ないのかはわからない。 女性の筆頭著者が増えているのは事実だろうが、それは女性研究者の貢献度が上がったためというのは誤りであり、むしろ、女性研究者の割合が増加したためであろう。日本の全研究者のデータではあるが、文部科学省の報告によると、1994年に女性研究者の割合は8.6%だったのが、2013年には14.4%に増加(相対的には1.67倍)していたことからもうかがえる。

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焦燥性興奮に対し、どうサポートしていくべきか

 認知症者や急性期病院のせん妄患者では、焦燥性興奮のみられる言動が認められるが、その発生率や病棟スタッフの対応法に関する研究はない。英国・ノッティンガム大学病院NHSトラストのFrancesca Inkley氏らは、混乱した高齢入院患者の焦燥性興奮のみられる言動の発生率およびスタッフによるマネジメント戦略について評価した。Nursing older people誌2016年2月26日号の報告。 8つの高齢者病棟において、言語上の焦燥性興奮が認められたすべての患者に対し、看護チームが2週間、毎日評価を行った。6項目の半構造化インタビューをスタッフと行い、3時間の非参与観察を行った。 主な結果は以下のとおり。・平均6%の患者(13/223例)において、言語上の焦燥性興奮が毎日認められた。・マネジメント戦略は、試行錯誤、気をそらすことや約束、安心感を与えること、コミュニケーションや親交を深めることなどであった。・病棟でのトレーニングやサポート、スタッフ・場所・活動などのリソース不足により、職員はこれら患者へのケアプランを作成する体系的なアプローチを実施できていなかった。 結果を踏まえ、著者らは「言葉上の焦燥性興奮が認められる患者に対して、サポートするスタッフのための介入法の開発や評価が必要とされる」としている。関連医療ニュース せん妄に対する薬物治療、日本の専門家はどう考えているか せん妄管理における各抗精神病薬の違いは せん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大

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労働者のメタボ予防に効果的なのは

 余暇における身体活動の強度がメタボリックシンドロームに及ぼす影響についてのデータは少ない。また、職場や通勤時の身体活動がメタボリックシンドロームに及ぼす影響に関する前向き研究データはない。国立国際医療研究センターの桑原 恵介氏らは、日本の労働者において、余暇における運動の強度、および仕事中や通勤時の身体活動によるメタボリックシンドロームリスクを比較した。その結果、高強度のみの運動、または高強度と中強度の運動の組み合わせ、および職場における身体活動への介入が日本の労働者のメタボリックシンドロームの予防に役立つ可能性を示唆した。Endocrine誌オンライン版2016年3月7日号に掲載。 著者らは、メタボリックシンドロームではない30~64歳の2万2,383人の参加者を2014月3月まで追跡した(最大追跡期間5年)。身体活動は自己申告、メタボリックシンドロームの定義は共同声明の基準を用いた。メタボリックシンドロームのハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)はCox回帰モデルを用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間(平均4.1年間)中、5,361人の労働者がメタボリックシンドロームを発症した。・共変量調整後、運動しない人に対する、中強度の運動のみを行う人におけるHR(95%CI)は、METs・時/週が7.5未満、7.5以上16.5未満、16.5以上で分類した場合、それぞれ0.99(0.90~1.08)、0.99(0.90~1.10)、0.95(0.83~1.08)であった。また、高強度の運動のみを行う人では、0.93(0.75~1.14)、0.81(0.64~1.02)、0.84(0.66~1.06)、中強度・高強度の両方の運動を行う場合は0.90(0.70~1.17)、0.74(0.62~0.89)、0.81(0.69~0.96)であった。・職場での高い身体活動は、メタボリックシンドロームのリスク低下に関連しており、その関連は弱いが有意であった。・徒歩通勤とメタボリックシンドロームとの関連はみられなかった。

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身長・BMIが学歴や年収に影響?/BMJ

 体重と身長は、学歴や年収などの社会経済的地位に影響を及ぼすことが、英国・エクセター大学のJessica Tyrrell氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌オンライン版2016年3月8日号に掲載された。社会経済的地位は罹病や死亡に影響を及ぼすとされ、最近の調査ではロンドン市の最貧困地区と最も裕福な地区では、男性の寿命に18年もの差があることが報告されている。一方、高身長や低BMIは社会経済的地位が高いことと関連するが、どちらが原因でどちらが結果かはよくわかっておらず、この問題は保健衛生や福利政策にとって重要とされる。世帯年収などの指標に関して身長およびBMIの因果的作用を検証 研究グループは、身長および体重は、年収などの社会経済的地位に影響を及ぼす因果的役割を持つかとの問いに答えるための検討を行った。 メンデル無作為化解析法を用い、世帯年収など社会経済的地位の5つの指標に関して、身長およびBMIの因果的作用を検証した。遺伝子型は受胎時に無作為に割り付けられるが、メンデル無作為化解析はこの事実を活用するため、遺伝学的因子以外の因子による交絡の影響を受けないとされる。 解析には、英国バイオバンクに登録された37~73歳の英国人家系の男女11万9,669人のデータを用いた。5つの指標は、(1)正規の就学期間を終了した年齢、(2)教育レベル、(3)職務等級、(4)世帯年収、(5)タウンゼント剥奪指標(特定の集団内の物質的な窮乏の指標)であった。 全体の平均年齢は56.9歳(7.9標準偏差[SD])、男性が47.3%、平均BMIは27.5(4.8 SD)、平均身長は168.8cm(9.2 SD)であった。身長が高くなると世帯年収がより高額 低身長および高BMIは、低い社会経済的地位と関連が認められた。低身長と低い社会経済的地位の関連は男性でより強力で、高BMIと低い社会経済的地位の関連は女性でより強い傾向がみられた。 たとえば、BMIが1 SD高くなると、男性の世帯年収が210ポンド(276ユーロ、300ドル、95%信頼区間[CI]:84~420、p=0.006)低くなり、女性では世帯年収が1,890ポンド(95%CI:1,680~2,100、p=6×10-15)低下した。 遺伝子解析では、これらの関連には部分的に因果関係があることを示すエビデンスが得られた。 遺伝学的に確定された身長が1 SD(6.3cm)高くなると、正規の就学期間を終了した年齢が0.06年(95%CI:0.02~0.09、p=0.01)高くなり、専門性の高い職業に就くオッズ比が1.12(95%CI:1.07~1.18、p=6×10-7)に上がり、世帯年収は1,130ポンド(95%CI:680~1,580、p=4×10-8)高額となった。これらの関連は、男性でより強力だった。 女性では、遺伝学的に確定されたBMIが1 SD(4.6)上昇すると、世帯年収が2,940ポンド(95%CI:1,680~4,200、p=1×10-5)低下し、窮乏の程度が0.10(0.04~0.16、p=0.001)増大した。 著者は、「身長とBMIは社会経済的地位に部分的に重要な影響を及ぼすとのエビデンスを支持するデータが得られた」とし、「身体測定値の特徴や社会経済的地位を導く因子や、これらの特徴から導かれる因子を理解するには、さらなる検討を要する」と指摘している。

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抗PD-L1抗体atezolizumab、既治療NSCLCのOS延長/Lancet

 既治療の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、新規免疫チェックポイント阻害薬atezolizumabは、ドセタキセル(商品名:タキソテールほか)に比べ予後が良好であることが、米国・カイザーパーマネンテ医療センターのLouis Fehrenbacher氏らが行ったPOPLAR試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年3月9日号に掲載された。ニボルマブやペムブロリズマブがT細胞上のPD-1を標的とするのに対し、atezolizumabは腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞上に発現しているPD-L1(PD-1のリガンド)に対するヒト型IgG1モノクローナル抗体で、T細胞上のPD-1だけでなくB7.1(CD80)との結合を阻害する。それゆえ、T細胞活性化阻害作用の抑制効果が抗PD-1抗体よりも高い可能性があり、またPD-L2とPD-1の相互作用には影響しないことから、免疫系の恒常性への影響を回避できると考えられている。ドセタキセルと比較する無作為化第II相試験 POPLAR試験は、既治療のNSCLC患者においてatezolizumabとドセタキセルの有用性を比較し、PD-L1発現レベルを評価する非盲検無作為化第II相試験(F Hoffmann-La Roche/Genentech社の助成による)。 対象は、プラチナ製剤による化学療法後に病勢が進行したNSCLCで、全身状態(ECOG PS)が0/1、測定可能病変(RECIST ver.1.1)を有する患者であった。 被験者は、腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-L1の状態、組織型、前治療レジメン数で層別化され、atezolizumab(1,200mg、静脈内投与)またはドセタキセル(75mg/m2、静脈内投与)を3週ごとに投与する群に無作為に割り付けられた。 免疫組織化学(IHC)検査に基づき、腫瘍細胞上のPD-L1(TC3:≧50%、TC2:5~50%、TC1:1~5%、TC0:<1%)および腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-L1(IC3:≧10%、IC2:5~10%、IC1:1~5%、IC0:<1%)をスコア化した。 主要評価項目は全生存期間(OS)とし、探索的解析としてバイオマーカーの評価を行った。 2013年8月5日~14年3月31日までに、13ヵ国61施設に287例が登録された。atezolizumab群に144例、ドセタキセル群には143例が割り付けられ、それぞれ142例、135例が1回以上の投与を受けた。OS中央値:約3ヵ月延長、PD-L1発現率が高いほど良好 年齢中央値は両群とも62歳、男性はatezolizumab群が65%、ドセタキセル群は53%であり、喫煙者/元喫煙者がそれぞれ81%、80%、前治療レジメン数は1が65%、67%、2が35%、33%だった。 OS中央値はatezolizumab群が12.6ヵ月であり、ドセタキセル群の9.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.53~0.99、p=0.04)。 また、OS中央値はPD-L1の発現率が高い患者ほど良好であった(TC3またはIC3=HR:0.49[0.22~1.07]、p=0.068/TC2/3またはIC2/3=HR:0.54[0.33~0.89]、p=0.014/TC1/2/3またはIC1/2/3=HR:0.59[0.40~0.85]、p=0.005/TC0およびIC0=HR:1.04[0.62~1.75]、p=0.871)。 既存免疫(エフェクターT細胞およびインターフェロン-γの関連遺伝子発現≧中央値で定義)を有する患者の探索的解析では、atezolizumab群のOS中央値が有意に改善された(HR:0.43、95%CI:0.24~0.77)。 atezolizumab群で頻度の高い全原因有害事象として、食欲減退、呼吸困難、悪心、下痢、発熱などが認められ、免疫関連有害事象としてAST上昇(4%)、ALT上昇(4%)、肺臓炎(3%)、腸炎(1%)、肝炎(1%)がみられた。 治療関連有害事象の発現率は、atezolizumab群が67%、ドセタキセル群は88%であった。有害事象による治療中止は、atezolizumab群が8%(11例)、ドセタキセル群は22%(30例)、Grade 3/4の治療関連有害事象はそれぞれ11%(16例)、39%(52例)であり、atezolizumab群で少なかった。治療関連死はatezolizumab群が<1%(1例:心不全)、ドセタキセル群は2%(3例:敗血症、急性呼吸窮迫症候群、原因不明)だった。 著者は、「atezolizumabはドセタキセルに比べ既治療のNSCLC患者の予後を改善した」とまとめ、「PD-L1の発現は、atezolizumabのベネフィットを予測するバイオマーカーとなる可能性が示唆される」と指摘している。

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