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更年期症状の緩和に植物ベース療法は有用?/JAMA

 植物エストロゲン含有サプリメントの利用は、更年期におけるホットフラッシュや膣乾燥の頻度をわずかだが低下する効果がある一方、寝汗は低下しない。オランダ・エラスムス大学医療センターのOscar H. Franco氏らによる、システマティックレビューとメタ解析の結果で、JAMA誌2016年6月21日号で報告している。西欧諸国の女性のうち40~50%が、更年期症状を緩和するため補完療法を用いているといわれる。研究グループは、植物ベース療法と更年期症状の関連を明らかにするため本検討を行った。システマティックレビューとメタ解析で、ホットフラッシュ等の症状との関連を分析 検討は、電子データベースのOvid MEDLINE、EMBASE、Cochrane Centralを用いて系統的に検索し、2016年3月27日以前に発表された試験を適格とした。包含した試験の参照リストなども検索した。 植物ベース療法およびホットフラッシュ、寝汗、膣乾燥について評価していた無作為化試験を特定し、2人の独立したレビュワーが、あらかじめデザインしていた収集法でデータを抽出し評価した。植物ベース療法は、(1)植物エストロゲンを含む生物学的ベース療法(食事性大豆イソフラボン、大豆イソフラボンおよびアカツメクサ・イソフラボンなどのサプリメントおよびエキスほか)、(2)メディカルハーブ(中医学ハーブやその他を含む)であった。大豆イソフラボンはホットフラッシュと膣乾燥を減少 検索により総計62試験を特定し、女性6,653例について包含した。 結果、植物エストロゲン使用と、日々のホットフラッシュの発現回数の減少(変化のプール平均差:-1.31、95%信頼区間[CI]:-2.02~-0.61)、膣乾燥スコアの減少(同:-0.31、-0.52~-0.10)との関連が認められた。一方、寝汗の発現回数についての関連は認められなかった(同:-2.14、-5.57~1.29)。 個別にみると大豆イソフラボン(食事性およびサプリメント)は、日々のホットフラッシュの改善(同:-0.79、-1.35~-0.23)、膣乾燥スコアの改善(同:-0.26、-0.48~-0.04)との関連が認められた。 メディカルハーブは、全体的に血管運動神経症状(vasomotor symptoms)の減少との関連がみられた。ただし中医学ハーブは除く。 なお今回の結果について著者は、入手できた試験の質について全体的にばらつきが大きく、46試験(74%)で、試験の質の3領域以上で高値のバイアスリスクが示されたことを指摘し、植物ベース療法と更年期の健康とに関するさらなる厳密な試験が必要だと述べている。

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混合性結合組織病〔MCTD : mixed connective tissue disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義混合性結合組織病(mixed connective tissue disease: MCTD)は、1972年にGC Sharpが提唱した疾患概念である。膠原病の中で2つ以上の疾患の特徴を併せ持ち(混合性)、しかも抗U1-RNP抗体と呼ばれる自己抗体が陽性となるものである。これは治療反応性がよく、予後も良好であったことから独立疾患として提唱された。その後、この疾患の独立性に疑問がもたれ、とくに欧米では全身性エリテマトーデスの亜型、あるいは強皮症の亜型と考えられ、英語文献でもあまりみられなくなった。しかし後述するように、高率に肺高血圧症を合併することや膠原病の単なる重複あるいは混合のみからは把握できないような特異症状の存在が明らかとなってきたことから、その疾患独立性が欧米でも再認識されている。■ 疫学本症は厚生労働省の指定難病に認定されており、その個人調査票を基にした調査では平成22年だけでおよそ9,000名の登録が確認されている。性別では女/男比で15/1と圧倒的に女性に多く、年齢分布では40代にもっとも多く、平均年齢は45歳である。また、推定発症年齢は30代が多く、平均年齢は36歳である。■ 病因本症の病因は他の膠原病と同様、不明である。全身性自己免疫疾患の1つであり、疾患に特徴的な免疫異常は抗U1-RNP抗体である。本抗体を産生するモデル動物も作成されており、関与する免疫細胞や環境因子について研究が進められている。■ 症状1)共通症状レイノー現象が必発である。また手指や手背部の浮腫傾向がみられ、「ソーセージ様手指」「指または手背の腫脹」が持続的にみられる。これらの症状は、多くの例で初発症状となっている。なお手指や手背部の浮腫傾向は強皮症でも初期にみられるが、強皮症ではすぐに硬化期に入り持続しない。2)混合所見全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎の3疾患にみられる臨床症状あるいは検査所見が混在してみられる。しかもそれぞれの膠原病の完全な重複ではなく、むしろ不完全な重複所見がみられることが多い。混合所見の中で頻度の高いものは、多発関節痛、白血球減少、手指に限局した皮膚硬化、筋力低下、筋電図における筋原性異常所見、肺機能障害などである。3)肺高血圧症肺高血圧症は一般人口では100万人中5~10人程度と非常にまれな疾患であり、しかも予後不良の疾患である。このまれな疾患がMCTDでは5~10%と一般人口の1万倍も高率にみられ、さらに本症の主要な死因となっていることから重要な特異症状として位置付けられている。大部分の症例では肺動脈そのものに病変がある肺動脈性の肺高血圧症である。心エコー検査などのスクリーニング検査やその他の画像・生理検査などが重要であるが、確定診断には右心カテーテル検査が必要である。4)その他の特徴的症状肺高血圧症以外にもMCTDに比較的特徴的な症状がある。三叉神経II枝、III枝の障害による顔面のしびれ感を主体とした症状は、MCTDの約10%にみられる。レイノー現象と同じく、神経の血流障害と推測されている。また、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬による無菌性髄膜炎が、本症の約10%にみられる。MCTDあるいは抗U1-RNP抗体陽性患者では、この薬剤性髄膜炎に留意が必要である。5)免疫学的所見抗U1-RNP抗体が陽性である。間接蛍光抗体法による抗核抗体では斑紋型を示す。抗Sm抗体や抗Jo-1抗体、抗トポイソメラーゼ1抗体など他の膠原病の疾患特異的自己抗体が出現しているときには、本症の診断は慎重にすべきである。6)合併症上記以外にシェーグレン症候群(25%)、橋本甲状腺炎(10%)などがある。■ 予後当初は、治療反応性や予後のよい疾患群として提唱されてきた。確かに発病からの5年生存率は96.9%、初診時からの5年生存率は94.2%と高い。しかし、死亡者の死因を検討すると、肺高血圧症、呼吸不全、心不全など心肺系の死因が全体の60%を占めている。とくに肺高血圧症は、一般人口にみられる特発性肺高血圧症よりもさらに予後不良であり、その治療の進歩が望まれる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)わが国では1982年に厚生省の特定疾患に指定され調査研究班が結成されて以来、研究が続けられ、1993年には特定疾患治療研究対象疾患に指定された。1988年に「疫学調査のための診断の手引き」が作成され、何度か改訂されてきた。わが国の診断基準は国際的にも評価されていて、最も普遍的なものである。2004年の改訂では、共通所見に肺高血圧症が加えられ、中核所見と名称が変更された。この3所見のうち1所見以上の陽性と抗U1-RNP抗体陽性が必須であり、さらに混合所見の中で3疾患のうち2疾患以上の項目を併せ持てばMCTDと診断する(表1)。たとえば混合所見で多発関節炎とCK高値があれば、前者が全身性エリテマトーデス様所見、後者が多発性筋炎様所見として満たすこととなる。表1 MCTD診断の手引き(2004年度改訂版)■MCTDの概念全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎などにみられる症状や所見が混在し、血清中に抗U1-RNP抗体がみられる疾患である。I.中核所見1.レイノー現象2.指ないし手背の腫脹3.肺高血圧症II.免疫学的所見抗U1-RNP抗体陽性III.混合所見A.全身性エリテマトーデス様所見1.多発関節炎2.リンパ節腫脹3.顔面紅斑4.心膜炎または胸膜炎5.白血球減少(4,000/μL以下)または血小板減少(10万/μL以下)B.強皮症様所見1.手指に限局した皮膚硬化2.肺線維症、肺拘束性換気障害(%VC:80%以下)または肺拡散能低下(%DLCO:70%以下)3.食道蠕動低下または拡張C.多発性筋炎様所見1.筋力低下2.筋原性酵素(CK)上昇3.筋電図における筋原性異常所見■診断1.Iの1所見以上が陽性2.IIの所見が陽性3.IIIのA、B、C項のうち、2項目以上につき、それぞれ1所見以上が陽性以上の3項目を満たす場合をMCTDと診断する。■付記抗U1-RNP抗体の検出は二重免疫拡散法あるいは酵素免疫測定法(ELISA)のいずれでもよい。ただし二重免疫拡散法が陽性でELISAの結果と一致しない場合には、二重免疫拡散法を優先する。(近藤 啓文. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成16年度研究報告書:2005.1-6.)また、肺高血圧症については、予後不良であり早期発見、早期治療が必要なこともあり、その診断にはとくに継続的な注意が必要である。確定診断には、右心カテーテル検査が必要であるが、侵襲的検査であり、専門医の存在が必要なため、スクリーニング検査として心臓超音波検査が重要である。これを基にした「MCTD肺高血圧症診断の手引き」(図1)が作成されており、肺高血圧症を疑う臨床所見や検査所見がある場合には、早急に心臓超音波検査をすべきである。画像を拡大する<脚注>1)MCTD患者では肺高血圧症を示唆する臨床所見、検査所見がなくても、心臓超音波検査を行うことが望ましい。2)右房圧は5mmHgと仮定。3)推定肺動脈収縮期圧以外の肺高血圧症を示唆するパラメーターである肺動脈弁逆流速度の上昇、肺動脈への右室駆出時間の短縮、右心系の径の増大、心室中隔の形状および機能の異常、右室肥厚の増加、主肺動脈の拡張を認める場合には、推定肺動脈収縮期圧が36mmHg以下であっても少なくとも1年以内に再評価することが望ましい。4)右心カテーテル検査が施行できない場合には慎重に経過観察し、治療を行わない場合でも3ヵ月後に心臓超音波検査を行い再評価する。3)肺高血圧症の臨床分類、重症度評価のため、治療開始前に右心カテーテル検査を施行することが望ましい。(吉田 俊治ほか. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成22年度研究報告書:2011.7-13.)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 総論本症は自己免疫疾患であり、抗炎症薬と免疫抑制療法が治療の中心となる。非ステロイド性抗炎症薬もしばしば用いられるが、前述のごとく、時に無菌性髄膜炎が誘発されるので、その使用には慎重な配慮が必要である。急性期には、多くの場合で副腎皮質ステロイド薬が治療の中心となる。他の膠原病と同様、臓器障害の種類と程度により必要なステロイド量が決定される(表2)。表2 臓器障害別の重症度分類a)軽症レイノー現象、指ないし手の腫脹、紅斑、手指に限局する皮膚硬化、非破壊性関節炎b)中等症発熱、リンパ節腫脹、筋炎、食道運動機能障害、漿膜炎、腎障害、皮膚血管炎、皮膚潰瘍、手指末端部壊死、肺線維症、末梢神経障害、骨破壊性関節炎c)重症中枢神経症状、無菌性髄膜炎、肺高血圧症、急速進行性間質性肺炎、進行した肺線維症、重度の血小板減少、溶血性貧血、腸管機能不全(三森 経世 編. 混合性結合組織病の診療ガイドライン(改訂第3版). 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究班:2011.)前表のように、中枢神経障害、急速に進行する肺症状・腎症状、血小板減少症を除いて大量のステロイドを必要とすることは比較的少ない。ただ、ステロイドを長期に使用することが多いため、骨粗鬆症や糖尿病、感染症の誘発などの副作用には留意が必要である。■ 肺高血圧症MCTDの生命予後を規定する肺高血圧症(PH)については、病態からみて肺動脈性のもの以外に間質性肺炎によるもの、慢性肺血栓塞栓症によるもの、心筋炎など心筋疾患によるものなどがあり、これらは治療方法も異なるため、右心カテーテル検査などで厳密に識別する必要がある。もっとも頻度の高い肺動脈性肺高血圧症については、しばしば大量ステロイド薬や免疫抑制薬が奏効するため、これらの薬剤の適応を検討すべきである。また、通常の特発性肺動脈性肺高血圧症に用いられる血管拡張薬も有用性が確認されているため、プロスタサイクリン系薬、エンドセリン受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ5阻害薬を併用して用いる(図2)。画像を拡大する<脚注>*ETR拮抗薬エンドセリン受容体拮抗薬(アンブリセンタン、ボセンタン)**PDE5阻害薬ホスホジエステラーゼ5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィル)(三森 経世 編. 混合性結合組織病の診療ガイドライン(改訂第3版). 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究班:2011.)その後、マシテンタン(ETR拮抗薬)、リオシグアート(可溶性グアニルシクラーゼ刺激薬)なども使用できるようになっており、治療の幅が広がっている。これらは肺血管拡張作用に加えて肺動脈内皮細胞の増殖抑制作用も期待されている。ただ、肺血管のリモデリングが進行した場合や強皮症的要素の強い場合、これらの薬剤はしばしば無効であり、心不全のコントロールなども重要になるため、循環器内科などと共同して治療に当たることが必要になる。4 今後の展望遺伝子多型の検討やゲノムワイド関連解析によって、MCTDやMCTD合併肺高血圧症になりやすい危険因子が解明されつつある。これにより、さらに精度が高くこれらの診断を早期に行えることが期待される。また、予後に大きな影響を与える肺高血圧症に関する薬剤が少なからず開発されつつある。これらの出現により一段とMCTD合併肺高血圧症の治療成績が上昇する可能性がある。5 主たる診療科リウマチ膠原病内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 混合性結合組織病(一般利用者と医療従事者向けの情報)患者会情報全国膠原病友の会(膠原病全般について、その患者と家族向け)1)近藤 啓文. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成16年度研究報告書:2005.1-6.2)近藤 啓文. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病に関する研究班 平成16年度研究報告書:2011.7-13.3)三森 経世編. 混合性結合組織病の診療ガイドライン(改訂第3版). 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究班:2011.7-13.公開履歴初回2014年10月07日更新2016年07月05日

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双極性障害患者の脳灰白質はどうなっている

 統合失調症、双極性障害、その他の精神神経疾患でみられる精神症状の神経生物学的基盤はいまだによくわかっていない。過去10年で、核磁気共鳴画像(MRI)の多くの研究において、異なる精神医学的症候群患者と健康成人対照者との間に、局所灰白質容積の差が認められている。しかし、これら症候群でみられる症状に焦点を当てた研究はほとんどない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のCarl Johan Ekman氏らは、精神病の既往歴のある/ない双極性障害患者および健康成人を対象として、精神疾患と灰白質容量との関連を検討した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2016年6月11日号の報告。 対象は、精神病の既往のある/ない双極性障害患者167例と健康成人対照者102例。核磁気共鳴イメージングは、ボクセルワイズの単変量解析(ボクセルベースの形態計測)を使用して、グループレベルで分析した。 主な結果は以下のとおり。・精神病の既往歴のある双極性障害患者は、同既往歴のない患者、健康成人対照者と比較し、左紡錘状回、右吻側背外側前頭前皮質、左下前頭回の白質容積が小さいことが示された。・精神病の既往歴のない患者と健康成人対照者との間に、これら領域の容量の差は認められなかった。・以前より、これら領域は構造上および機能的に妄想や幻覚と結び付いているとされている。関連医療ニュース 統合失調症、大脳皮質下領域の新発見:東京大学 ドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善 統合失調症、脳容積とIQの関連

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9のタンパク質からなるCHD患者の心血管リスク予測スコア/JAMA

 安定冠動脈性心疾患(CHD)患者の心血管アウトカムを予測する、タンパク質ベースの新たなリスクスコアが開発された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のPeter Ganz氏らが手がけたもので、スコアは9つのタンパク質からなり、改訂フラミンガムリスクスコアと比べて4年以内の心筋梗塞・脳卒中・心不全・全死因死亡の予測に優れる。ただし、識別精度がまだ低く、さらなる検証が必要な段階ではあるという。JAMA誌2016年6月21日号掲載の報告。9つのタンパク質からなるリスクスコアを開発 研究グループは、CHD患者の治療決定のためにはより厳密な心血管リスクの層別化が求められるとして、循環器系タンパク質の大規模解析を利用し、心血管アウトカムのリスクを予測する新たなスコアの開発と検証試験を行った。 スコアの開発は、安定CHD患者が参加した前向きコホート試験を活用して行われた。具体的に開発コホートは、Heart and Soul試験(サンフランシスコベイエリアにある12のクリニックで2000~02年に外来患者を登録し2011年まで追跡[≦11.1年])の被験者を、検証コホートは、ノルウェーの住民ベース試験HUNT3(2006~08年に登録し2012年まで追跡[5.6年])の被験者を対象とした。 修飾アプタマーを用いて、被験者の血漿サンプル中のタンパク質1,130個を評価。心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中・心不全による入院・全死因死亡)リスクとの関連を分析した。 その結果、9つのタンパク質からなるリスクスコアを開発。同スコアを用いた4年以内の心血管イベント予測能を、C統計量などを用いて開発コホートおよび検証コホートで評価した。また、本試験のために改訂したフラミンガム2次イベントモデルとの比較なども行った。4年以内の心血管イベント予測能は改訂フラミンガムスコアより優れる 開発コホートでは938サンプルについて分析が行われた。登録被験者の年齢中央値は67.0歳、82%が男性であった。検証コホートの分析は971サンプル、70.2歳、72%であった。 開発コホートにおける4年以内の心血管イベント予測能に関するC統計量は、改訂フラミンガムモデルでは0.66、9タンパク質モデルでは0.74、両者を組み合わせたモデルでは0.75であった。検証コホートでは、それぞれ0.64、070、0.71であった。改訂フラミンガムモデルに9タンパク質リスクスコアを加えることで、C統計量は、開発コホートで0.09(95%信頼区間[CI]:0.06~0.12)増大し、検証コホートでは0.05(同:0.02~0.09)増大した。 改訂フラミンガムモデルと比較して、9タンパク質モデルの統合識別指数は開発コホートが0.12(95%CI:0.08~0.16)、検証コホートは0.08(同:0.05~0.10)であった。 研究グループはHeart and Soul参加者について、同一被験者で9タンパク質リスクスコアの変化を評価する検討も行った。4.8年の間隔をおいて139例から2回目のサンプルを集め、心血管イベントについて評価した結果、9タンパク質モデルにおける絶対年率リスク増大は中央値1.86%(95%CI:1.15~2.54)を示し、改訂フラミンガムモデルの1.00%(同:0.87~1.19)よりも有意であった(p=0.002)。一方、ベースラインで心血管イベントを有さなかった375例については、両スコアとも変化はわずかで、有意差はみられなかった(p=0.30)。 著者は、「さらなる検討を行い、低リスク集団でも予測能に優れるかを調べる必要がある」と指摘している。

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刺身や焼き魚は高尿酸血症になりやすい?

 わが国の成人において、生の魚や焼き魚の摂取量が高尿酸血症リスクの増加に関連するが、煮魚やフライでは関連がみられないことが、東北大学の永富 良一氏らのグループによる3年間の追跡調査において示された。Nutrition, metabolism, and cardiovascular diseases誌オンライン版2016年5月28日号に掲載。 魚の摂取は、血清尿酸値上昇、高尿酸血症、痛風の危険因子として認識されているが、異なる調理法による魚の摂取と高尿酸血症リスクとの関係は不明である。著者らは、さまざまな方法で調理された魚の摂取と日本人成人における高尿酸血症リスクとの関係を調査した。 本研究では、29~74歳の日本人424人について3年間追跡調査した。魚の摂取量は簡易型自記式食事歴法質問票を用いて評価し、高尿酸血症は、血清尿酸値が男性7mg/dL以上、女性6mg/dL以上、もしくは痛風治療をしている場合と定義した。 主な結果は以下のとおり。・3年間の追跡期間中、30例が新たに高尿酸血症と診断された。・潜在的交絡因子を調整後、多変量ロジスティック回帰分析により、高尿酸血症リスクと生の魚(刺身、すし)および焼き魚の摂取量との間に有意な正相関が認められたが、煮魚やフライの摂取量との間には認められなかった。・生の魚の摂取量の増加に伴い、高尿酸血症のオッズ比(95%CI)は、1.00(基準)、2.51(0.85~7.39)、3.46(1.07~11.14)と増加した(傾向のp=0.036)。・同様に、焼き魚の消費量の増加は、高尿酸血症のオッズ比(95%CI)1.00(基準)、3.00(0.75~11.89)、5.17(1.30~20.62)と関連していた(傾向のp=0.018)。

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膵がん切除後のS-1とゲムシタビンによる補助化学療法の有用性(解説:上村 直実 氏)-560

 膵がんは、最も予後の悪い悪性腫瘍の1つであり、手術可能な早期がんで発見され治癒切除術が施行された場合でも、その5年生存率は20%程度であるとされている。手術単独での再発率が高いため、治癒率を上げるために補助化学療法が必要となる。膵がん切除後の補助化学療法は、ゲムシタビンを使用したものが標準レジメンとされているが、今回、日本で胃がんや大腸がんに対する主要な経口抗がん剤であるS-1の有用性を検討するため、S-1とゲムシタビンとのRCT「JASPAC-01研究」の結果が報告された。 「JASPAC-01」は、日本人を対象に行われた無作為化非盲検多施設共同の第III相試験で、組織学的に確認された切除可能な浸潤性膵管がんで、かつ病理学的にStageI~III、肉眼的に完全切除され残存腫瘍が認められないと判定された385例を対象として、S-1群192例とゲムシタビン群193例に割り付けられた。主要評価項目である全生存期間では、5年生存率はゲムシタビン群24.4%(95%CI:18.6~30.8)に対し、S-1群は44.1%(95%CI:36.9~51.1)であり、ゲムシタビン群に対するS-1群の死亡ハザード比は0.57(同:0.44~0.72)であった。すなわち、S-1を用いた補助化学療法の死亡リスクがゲムシタビンに比べて40%以上も低下することが示されたのである。有害事象に関しては、Grade3または4の白血球減少症および好中球減少症、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加は、ゲムシタビン群でより高率に認められたが、S-1群で高率にみられたのは口内炎や下痢であった。 S-1は、日本で開発された経口抗がん剤であり、胃がんや大腸がんに対する化学療法の主要薬剤として頻用されているが、欧米とくに米国における臨床試験の際に有害事象発生率が高率であったことから、欧米では敬遠される傾向がある。今後、非アジア人の患者でも臨床的評価を行うべきであるという著者らの主張が通ることが期待される。

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133)上手な筋トレの指導法【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 医師血圧のために、運動はどんなことをされていますか? 患者週に3回は歩くように心がけています。けど、天気の悪い日は歩けなくて…筋トレは血圧が上がりそうだし…。 医師そんなことはありせんよ。上手にやれば、筋トレもいい運動になりますよ。 患者そうなんですか!(興味津々) 医師ポイントは呼吸を止めずに、筋トレをすることです。 患者なるほど。 医師1、2、3…と声を出しながら、息を止めずにゆっくり丁寧にすると、上手に筋トレができます。 患者早速、やってみます(嬉しそうな顔)。●ポイント筋トレも上手にやれば、降圧効果が上がることを具体的に説明します文献1)Cornelissen VA,et al.Hypertension.2011;58:950-958.2)Battagin AM,et al.Arq Bras Cardiol.2010;95:405-411.3)Moraes MR,et al.J Hum Hypertens.2012;26:533-539.

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東日本大震災、深刻な精神状態の現状:福島医大

 東日本大震災、とくに福島第一原子力発電所の事故は、住民だけでなく救援労働者にも深刻な心理的影響を与えている。公務員はストレスの高い状況で長期的な救済に非常に有用な役割を担っているが、彼らの精神医学的な特徴については明らかになっていない。福島県立医科大学の前田 正治氏らは、診断インタビューを用い、被災地で働く公務員のうつ病やPTSDの有病率を調査し、彼らの精神状態に影響を及ぼす心理社会的要因を推測した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2016年6月9日号の報告。 福島県の海沿いにある2つの町に勤務する公務員168人を対象に、診断インタビューと自己記入式のアンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・公務員における現在の有病率は、うつ病で17.9%と高く、対照的にPTSDは4.8%と比較的低かった。・自己記入式アンケートと診断インタビューの結果から、住民からの強い苦情や怒りへの頻繁な曝露や職務への葛藤が、うつ病の高い有病率の原因と考えられる。 結果を踏まえ、著者らは「本検討により、福島で働く公務員の深刻な精神状態が明らかとなった。適切な精神医学的介入を行うために、効率的なケアネットワークの確立が急務である」としている。関連医療ニュース 震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善 東日本大震災から1年;新たな地域連携をめざして“第27回日本老年精神医学会” アジアの救急隊員はPTSD発症リスクが高い

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安定冠動脈疾患への長期DAPTの有益性・有害性/BMJ

 安定冠動脈疾患への2剤併用抗血小板療法(DAPT)の長期治療について、有益性と有害性を明らかにするCALIBER抽出患者(任意抽出集団;リアルワールド) vs.PEGASUS-TIMI-54試験の被験者(急性心筋梗塞後1~3年の患者が登録;試験集団)の検討が、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのA Timmis氏らにより行われた。結果、リアルワールドで試験集団の包含・除外基準を満たした患者は4分の1で、同集団の発症後1~3年の再発リスクは約19%であったこと、リスクは試験集団よりも倍増してみられたこと、脳卒中既往歴なしや直近の抗凝固療法歴のないハイリスク患者で、1年超のDAPTの有益性は大きくなる可能性が示唆されたという。急性心筋梗塞後の2次予防として、生涯にわたる複数併用の薬物療法が推奨されるが、最近の検討を踏まえDAPTは1年までとする勧告が直近のガイドラインで示されていた。BMJ誌オンライン版2016年6月22日号掲載の報告。CALIBER抽出患者 vs. PEGASUS-TIMI-54試験の被験者 研究グループは、試験集団のハイリスク集団でみられる急性心筋梗塞(AMI)後のDAPTの長期有益性と有害性について、リアルワールドでの大きさを推算する住民ベースの観察コホート試験を行った。CALIBER(ClinicAl research using LInked Bespoke studies and Electronic health Records)は英国プライマリケアの電子医療記録を結ぶデータベース。PEGASUS-TIMI-54試験にはAMI後1~3年の患者が登録され、ticagrelor60mg+アスピリンはアスピリン単独と比べて、心血管死、心筋梗塞、脳卒中のリスクを16%抑制する一方、大出血リスクを2.4倍増大することが示されていた。 CALIBER(2005年4月~10年3月)からAMI後生存患者を抽出(リアルワールド集団、7,238例)、そのうちPEGASUS-TIMI-54試験を満たす患者を特定し(ハイリスク集団、5,279例)、さらに試験除外基準を適用して患者を抽出し(ターゲット集団、1,676例)、PEGASUS-TIMI-54試験プラセボ群(アスピリン単独群、7,067例)と比較検討した。主要評価項目は、AMIの再発・脳卒中・致死的心血管疾患の発生(有益性エンドポイント)、致死的・重度または頭蓋内の出血(有害性エンドポイント)とした。 発症後1年を起点とした追跡期間は、中央値1.5年(範囲:0.7~2.5)であった。リアルワールドでは有益性、有害性ともに試験集団よりも大きいことが判明 リアルワールドにおける試験の包含・除外基準を満たしたターゲット集団の割合は、23.1%(1,676/7,238例)であった。同集団は試験プラセボ集団と比較して、集団年齢中央値が12歳高く、女性の比率が高かった(48.6 vs.24.3%)。 解析の結果、3年累積発生率は有益性エンドポイント(18.8%[95%信頼区間[CI]:16.3~21.8] vs.9.04%)、有害性エンドポイント(3.0%[同:2.0~4.4%] vs.1.26%[プラセボ群についてはTIMI重大出血の発生率])ともに、ターゲット集団が試験プラセボ集団と比べて大幅に高かった。致死的または頭蓋内出血についてみた場合も、プラセボ集団の約2倍であった。試算の結果、これらターゲット集団の治療にticagrelorを加えることで、年間患者1万治療当たり、虚血性イベントを101例(95%CI:87~117)予防できること、また致死的・重度または頭蓋内出血の発生過剰は75例(同:50~110)であることが示された。 リアルワールドで試算した場合も、類似の結果が得られた。有益性エンドポイント(虚血性イベント)の3年リスクは17.2%(95%CI:16.0~18.5)で、予防可能なイベント数は92例(同:86~99)であり、出血イベントは2.3%(同:1.8~2.9)、発生過剰は58例(同:45~73)であった。 著者は、「CALIBERを用いることで、“ヘルシー試験参加者”の影響を明らかにでき、AMI後1年超の代表的な患者でのDAPTの絶対的な有益性と有害性を確認することが可能であった」と述べている。

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乳房生検の診断精度、セカンド・オピニオンで改善/BMJ

 セカンド・オピニオンにより、乳房の病理組織の診断精度が統計学的に有意に改善することが、米国・ワシントン大学のJoann G Elmore氏らの検討で示され、BMJ誌オンライン版2016年6月22日号に掲載された。病理医による乳房生検組織の解釈には大きなばらつきがみられ、患者に害が及ぶ懸念があるとされる。乳房生検の2回目の評価では、統計学的に有意な初回診断からの変更が、患者の10%以上にみられることが報告されているが、誤判別を防止するアプローチとしてのセカンド・オピニオン戦略を系統的に比較した研究はこれまでないという。115人の病理医で12の戦略を評価するシミュレーション研究 研究グループは、セカンド・オピニオン戦略が乳房の病理組織の診断精度の改善に及ぼす影響を検討するシミュレーション研究を行った(米国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象となった12のセカンド・オピニオン戦略は以下のとおりであった。(1)すべての生検標本でセカンド・オピニオンを実施、(2)初回診断に基づいて実施(異型/非浸潤性乳管がん[DCIS]/浸潤性、境界型/解釈が困難、病理医の希望/方針が求める要件)(8戦略)、(3)病理医の乳房生検の臨床経験(経験豊富:平均10標本/週以上、経験が乏しい:平均10標本/週未満)に基づき2~3回の判定を実施(3戦略)。 115人の病理医が240個の乳房生検標本(各標本につき1つのスライド)の判定を行い、専門医の合意による標準的な診断(レファレンス)と比較した。個々の病理医および12のシミュレートされたセカンド・オピニオン戦略において、過大解釈(over-interpretation)、過小解釈(under-interpretation)、誤判別(misclassification)の評価を行った。 240個の生検標本には、異型を伴う良性病変が30%(非増殖性10%、増殖性20%)、異型が30%、DCISが30%、浸潤性が10%含まれた。浸潤性の場合のみ行う戦略を除く11の戦略で正診率が改善 115人のうち、乳房組織生検の経験が豊富な病理医は75人、乏しい病理医は40人であった。女性医師が46人(40%)含まれた。 乳房組織の病理検査の経験年数は、0~4年が19%、5~9年が20%、10~19年が30%、20年以上が31%であり、全診療業務に占める乳房組織の解釈の割合は、0~9%が51%、10~24%が39%、25~49%が7%、50%以上は3%だった。 セカンド・オピニオンを行わない単回判定の誤判別率は24.7%であった。これに比べ、全例および初回診断に基づく9つのセカンド・オピニオン戦略による2回目の判定の誤判別率は、浸潤性乳がんに限定した戦略を除く8つの戦略で有意に改善した(18.1~21.9%、いずれもp<0.001)。このうち、全例にセカンド・オピニオンを行う戦略の誤判別率は18.1%であり、最も良好であった。 一方、病理医の経験に基づく3つの戦略では、初回およびセカンド・オピニオン(2~3回目)の双方の判定を経験豊富な病理医が行った場合の誤判別率が14.3%と最も低かった。これは、経験豊富な病理医による単回判定の誤判別率(21.5%)を有意に改善するものであった(p<0.001)。 また、単回判定で良性病変を過大に解釈した割合は12.9%であった。これに対し、初回判定が異型、DCIS、浸潤性の場合にのみセカンド・オピニオンを行う戦略では、異型を伴わない良性病変を過大解釈した割合は6.0%と半減した。 単回判定で最も誤判別率が高かったのは異型病変(52.2%)であり、12のセカンド・オピニオン戦略の異型病変の誤判別率も34.1~51.9%と高率であった。 著者は、「セカンド・オピニオンにより、病理医の経験や診断の信頼性とは無関係に正診率が改善した。診断のばらつきも改善したが、完全に消失することはなく、とくに乳房組織が異型の場合に診断が困難であった」とし、「実臨床での実行可能性や費用については、さらなる検討を要する」と指摘している。

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世界における一過性脳虚血発作(TIA)の実態(解説:有馬 久富 氏)-558

 一過性脳虚血発作(TIA)の大規模国際共同登録研究であるTIAregistry.orgより、1年追跡調査の結果がNew Engl J Med誌に掲載された。世界21ヵ国61施設から登録された4,789例のTIA患者を1年間追跡したところ、脳卒中の累積発症率は5.1%であり、その半数以上がTIA発症30日以内に発症していた。また、ABCD2スコア高値、頭部画像における複数の急性虚血病変、アテローム血栓性の機序によるTIAなどが脳卒中発症の有意な危険因子であった。 本研究は、非常に大規模な国際共同研究であり、世界における近年のTIAの実態を明らかにしたことにより、今後のTIA治療戦略を構築するうえで重要な情報をもたらしてくれた。 本研究のLimitationとしては、参加施設が大規模な脳卒中センターに限定されていることが挙げられる。そのような施設では、高度なTIA管理が提供されていると推測されるので、リアルワールドにおけるTIA後の脳卒中発症率はもっと高いかもしれない。また、本研究の対象者は中~高所得の21ヵ国から登録されているので、国ごとにTIAの管理や脳卒中発症率にばらつきがあったのではないかと推測される。TIA管理や脳卒中発症率にどの程度ばらつきがあったかについては、今後の報告を期待したい。

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OCTAVIA試験:深部静脈血栓症後のストッキング圧迫療法は1年か、2年か?(解説:中澤 達 氏)-559

 オランダの多施設単盲検非劣性無作為化試験OCTAVIAで、近位深部静脈血栓症(DVT)患者に対する弾性ストッキングによる圧迫療法(ECS)の継続期間を、1年と2年で比較検討した。 主要アウトカムは、DVT診断後24ヵ月間の血栓後症候群(PTS)の発生率で、標準化されたVillaltaスケールで評価(intention-to-treat解析)した。 両群の発生率の絶対差は6.9%(95%CI上限値12.3%)であり、1年治療群の2年治療群に対する非劣性は認められなかった。副次アウトカムのQOLについては、両群間で有意差は認められなかった。 現行ガイドラインでは、ECS を24ヵ月間施行することになっているが、最近はより短期間とする提案がなされていた。この試験結果は、ガイドラインが追認されたことになる。しかし、この試験では、ECS治療に応じ1年後にPTSを呈していなかった適格患者518例を、DVT診断後継続群(262例)と中止群(256例)に無作為に割り付けている。 つまり、ストッキング着用ができる症例で、かつ1年間PTSを生じなかった軽症例のみエントリーされた可能性が高い。DVT診断3,603例中518例である14%の予後しか反映されていないのである。実臨床に適応する場合には、その点に注意が必要だ。 ちなみに、本邦のガイドラインでも欧米の論文を根拠に2年のECSを推奨している。

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日常生活でできる運動はあるの?

【運動療法】日常生活でできる運動を教えてください【骨粗鬆症】料理、洗濯、掃除などの日常家事も立派な運動になります!また、普段の生活で、なるべく階段を使うことも、運動になります。意識的に体を動かして、骨を鍛えましょう。監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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Wii Sportsは脳卒中のリハビリになりうるか?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第70回

Wii Sportsは脳卒中のリハビリになりうるか? >Wii(Wikipediaより使用) 長らく任天堂のゲーム機として君臨してきたWii Uですが、2018年3月期に生産を終える可能性があるとされています。次はNXという新しいハードウェアを発売するようです。 Adie K, et al. Does the use of Nintendo Wii SportsTM improve arm function? Trial of WiiTM in Stroke: A randomized controlled trial and economics analysis. Clin Rehabil. 2016 Mar 14. [Epub ahead of print] この研究の目的は、任天堂Wiiのソフト「Wii Sports」が、脳卒中後の上肢の機能のリハビリテーションになりうるかどうかを検討した、多施設共同ランダム化比較試験です。脳卒中後リハビリテーションは在宅ベースで実施され、Wiiも自宅でやってもらいました。参加したのは、24~90歳の脳卒中後に上肢の脱力がみられた240人の患者さんです。彼らを、自宅で毎日Wiiをやってもらう群、あるいは上肢エクササイズをやってもらう群にランダムに割り付けました。プライマリアウトカムは、ランダム化から6週間目の上肢機能としました(ARAT:アクションリサーチアームテスト)。また、QOLや6ヵ月後の上肢機能なども調べました。209人(87.1%)がこの試験を完遂しました。さて、結果はどうだったでしょうか。残念ながら、Wiiは上肢エクササイズには勝てませんでした。プライマリアウトカムに有意差はみられなかったのです(ARAT平均差-1.7、95%信頼区間-3.9~0.5、 p=0.12)。QOLや長期上肢機能にも有意差はありませんでした。Wii Sportsは上肢エクササイズと同等の効果があるものの、コストがかかるという結論になってしまいました。うーむ、ザンネン…。インデックスページへ戻る

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統合失調症の自殺企図、小児期のトラウマが影響

 統合失調症スペクトラム障害患者における生涯自殺企図に対する小児期のトラウマの影響について、カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのAhmed N Hassan氏らが検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2016年5月25日号の報告。 統合失調症患者361例を対象に調査を行った。小児期のトラウマは、Childhood Trauma Questionnaire(CTQ)を用い収集した。自殺企図は、主観的評価スケールおよび客観的評価スケールを用いて確認した。観察研究デザインを適用し、傾向スコアを用いて小児期のトラウマ歴の有無により患者をマッチした。人口統計的および既知の自殺リスク因子について調整した、自殺企図に対する小児期虐待の各タイプの影響を推定するために、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・本検討の被験者の39.1%に、生涯自殺企図があった。・2群でマッチし、人口統計的および臨床的交絡因子で調整した後、合計トラウマスコアと小児期虐待サブタイプの大部分は、自殺企図を予測した(OR:1.74~2.49、p値:0.001~0.02)。・本集団において、身体的ネグレクトは、自殺企図との有意な関連が認められなかった(p=0.94)。 著者らは「小児期虐待は、統合失調症患者における自殺企図の強力な独立リスク因子である。リスクは、成人期の抑うつ症状や絶望感により悪化すると考えられる。トラウマ歴のある精神疾患患者に対しては、早期スクリーニングと心理社会的治療の変更が推奨される」としている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学

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心房細動へのNOAC3剤とワルファリンの有用性を比較/BMJ

 すべての非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(新規経口抗凝固薬;NOACs)は、日常診療において安全かつ有効なワルファリンの代替薬になりうる。デンマーク・オールボー大学病院のTorben Bjerregaard Larsen氏らが、デンマーク国内の大規模観察コホート研究の結果、報告した。NOACsとワルファリンとで虚血性脳卒中の発症に有意差はなく、死亡・出血・大出血はワルファリンに比しアピキサバン(商品名:エリキュース)およびダビガトラン(同:プラザキサ)で有意に低いことが示されたという。NOACsの使用は導入以来増加し続けているが、リアルワールドでNOACsの有効性と安全性をワルファリンと比較した研究は限られていた。BMJ誌オンライン版2016年6月16日号掲載の報告。心房細動患者約6万例を平均約2年追跡、ワルファリンとNOACs 3剤を比較 研究グループは、デンマークの3つのデータベースを用い、弁膜症性心房細動または静脈血栓塞栓症の既往がない非弁膜症性心房細動患者で、2011年8月1日以降に初めて経口抗凝固薬(NOACsは標準用量のみ)が投与された6万1,678例について解析した。 投与薬剤は、ワルファリン3万5,436例(57%)、ダビガトラン150mg 1日2回1万2,701例(21%)、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)20mg 1日1回7,192例(12%)、アピキサバン5mg1日2回6,349例(10%)であった。 主要評価項目は、有効性が虚血性脳卒中、虚血性脳卒中/全身性塞栓症、死亡、または虚血性脳卒中/全身性塞栓症/死亡。安全性が全出血、頭蓋内出血および大出血で、2015年11月30日まで追跡し、Cox回帰解析を用いワルファリンを対照として治療群間のイベント発生率を比較した。 追跡調査期間は、平均1.9年(アピキサバンは他剤より発売が遅いため平均0.9年)であった。虚血性脳卒中は同程度、死亡および出血はアピキサバンとダビガトランで低下 虚血性脳卒中に限れば、NOACsとワルファリンとで有意差は認められなかった。 投与開始後最初の1年間において、虚血性脳卒中/全身性塞栓症の発症率は、ワルファリン(3.3%)との比較において、リバーロキサバン(3.0%)は低かったが(ハザード比[HR]:0.83、95%CI:0.69~0.99)、ダビガトラン(2.8%)とアピキサバン(4.9%)については有意な差はみられなかった。一方、死亡リスクは、ワルファリン(8.5%)と比較してアピキサバン(5.2%)(HR:0.65、95%CI:0.56~0.75)、ならびにダビガトラン(2.7%)(HR:0.63、95%CI:0.48~0.82)で有意に低かったが、リバーロキサバン(7.7%)では差は認められなかった。 投与開始後1年間におけるあらゆる出血の累積発生率は、ワルファリン(5.0%)よりアピキサバン(3.3%)とダビガトラン(2.4%)で有意に低かったが(HR:0.62、95%CI:0.51~0.74)、リバーロキサバン(5.3%)は同程度であった。 これらの結果について著者は、「今後、NOACs間の有効性や安全性の比較や、NOACsを減量した場合のワルファリンとの比較についてさらに検証する必要がある」と述べている。

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米国成人の食習慣、13年間で改善/JAMA

 1999~2012年の米国国民健康栄養調査(NHANES)を分析した米国・モンテフィオーレメディカルセンターのColin D. Rehm氏らは、自己申告による食習慣が改善していることを報告した。ただし、人種・教育・収入による差が持続または悪化していることも示唆されたという。これまで食事に関する研究の多くが、主な多量栄養素またはわずかな食事因子のみを評価したもので、個々の食品・栄養素に関する食事の質や、さまざまな集団での違いなどについては評価していなかった。著者は、「今回の結果は、米国に住んでいる人々の食習慣を改善するための機会、新たな達成、配慮が必要な地域などについて考察を与えるものである」とまとめている。JAMA誌2016年6月21日号掲載の報告。食事パターンの変化を13年間にわたり調査 研究グループは、NHANESに登録された入院歴のない20歳以上の米国成人3万3,932例を対象に、24時間思い出し法を用い1999~2012年の間に7回調査を実施した。各調査における回答数は4,237例から5,762例の範囲であった。 評価項目は、調査で重み付けした補正平均エネルギー消費量、AHA 2020 Strategic Impact Goalsの食事ガイドラインに基づく食事スコアの目標達成割合、食事スコアの構成要素(主要構成要素:果物と野菜類、全粒穀物類、魚貝類、糖添加飲料、食塩/副次構成要素:ナッツ類、種子類、豆類、加工肉類、飽和脂肪酸)、およびその他の個々の食品と栄養素とした。全粒穀物やナッツ類の摂取増加など食事が改善、ただし、人種・教育・収入で差 AHA主要食事スコア(最高50点)は19.0から21.2点へ、副次食事スコア(最高80点)も35.1から38.5点へ、いずれも増加し、食習慣が改善していることが明らかとなった(それぞれ改善率11.6%および9.7%、どちらも傾向p<0.01)。これらの変化は、1999~2000年と2011~2012年の間で全粒穀物が0.43食/日(95%信頼区間[CI]:0.34~0.53食/日)、ナッツ・種子・豆類が0.25食/日(95%CI:0.18~0.34食/日)増加していたことと、糖添加飲料が0.49食/日(95%CI:0.28~0.70食/日)低下していたことに起因していた。魚貝類の摂取量もわずかに増加したが、果物と野菜類・加工肉類・飽和脂肪酸・食塩を含む他の構成要素では有意な傾向は確認されなかった。 栄養の乏しい食事(AHA食事スコアのアドヒアランスが40%未満)をしている米国成人の割合は55.9%から45.6%へ減少し、栄養が中程度の食事(アドヒアランス40~79.9%)の割合は43.5%から52.9%へ増加した。その他の食事の傾向として、果物の摂取増加(0.15食/日、95%CI:0.05~0.26食/日)や、100%フルーツジュースの摂取減少(0.11食/日、95%CI:0.04~0.18食/日)がみられた。 食事の質は、人種・教育・収入レベルによって差異があることが観察された。たとえば、栄養の乏しい食事をしている非ヒスパニック系白人の割合は有意に減少したが(53.9%から42.8%)、非ヒスパニック系黒人またはメキシコ系アメリカ人では改善が確認されなかった。また、調査期間中、これらの差が縮減するとのエビデンスは見当たらず、収入レベルによる悪化が確認された。

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予後が改善されつつある難病LAL-D

 アレクシオンファーマ合同会社は、6月23日都内において、5月25日に発売されたライソゾーム酸性リパーゼ欠損症治療薬「カヌマ点滴静注液20mg」[一般名:セベリパーゼ アルファ(遺伝子組み換え)]に関するプレスセミナーを開催した。「ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症」(以下「LAL-D」と略す)は、遺伝子変異が原因でライソゾーム酸性リパーゼという酵素活性が低下または欠損することで発症するまれな代謝性疾患であり、患者の多くが肝硬変から肝不全、死亡へと至る予後不良の希少疾患である。セミナーでは、本症の最新知見について2人の研究者が講演を行った。「ちょっと気になる脂肪肝」への意識が大事 はじめに、「LAL-Dの疾患概要と自験例紹介」というテーマで、村上 潤氏(鳥取大学医学部附属病院 小児科 講師)が、診断の視点から自験例を交え、レクチャーを行った。 通常「脂肪肝」は、栄養性、薬剤性、先天代謝異常症などが原因で起こり、腹部エコーやCT、MRI、肝生検などで詳しく診断が行われる。しかし、小児の脂肪肝では、一定頻度で先天性代謝異常が存在し、注意が必要であるという。たとえば、小児で肥満がなく、肝腫大の程度が強く、体重増加不良、低血糖、発達遅滞などの症状や、乳酸、アンモニア高値などを伴う脂肪肝を見かけたら、先天代謝異常症を疑う必要がある。 この先天代謝異常症の一つにLAL-Dがあり、LAL-DにはLAL活性が完全欠損している乳児型のWolman病(WD)と、部分欠損している遅発型のコレステロールエステル蓄積症(CESD)の2つの表現型がある。 WDでは、顕著な肝・脾腫大や肝不全を観察し、持続性の嘔吐・下痢、腹部膨満、腸管の吸収不良、胆汁うっ滞などの症状があり、急速進行性で致死的である。一方、CESDでは、同じく肝・脾腫大が観察され、一般に肥満はないとされる。臨床所見では、ALT>正常上限の1.5倍以上、LDL-C≧182mg/dL、HDL-C<50mg/dLなどが見られ、肝生検では、小滴性脂肪沈着も観察される。患者の89%が12歳未満で発症、50%が21歳未満で死亡している。 LAL-Dの正確な罹患率は、疫学調査が行われていないため不明であるが、2013年までに全国でWDが12例、CESDが13例報告されている。 自験例として、11歳・男児について、小学校の健診で高脂血症を指摘されたことで精査へとつながり、LAL-Dと診断された例を紹介した。一見、一般的な脂肪肝と見なしがちで、臨床検査や画像診断ではなかなか見分けがつきにくいところが、本症の診断の難しい点であるという。 本症のスクリーニングについては、肝臓関連所見では持続性肝腫大、原因不明のトランスアミナーゼ値上昇、顕著な小滴性脂肪沈着、潜在性肝硬変、インスリン耐性がないメタボリックシンドロームと思われる患者が挙げられ、脂質関連所見では、高LDL-C値および/または低HDL-C値、家族歴不明の家族性高コレステロール血症(FH)疑い、LDLR、APO BおよびPCSK9をコードする遺伝子の検査結果陰性のFH疑いが挙げられる。 確定診断は、非侵襲的で簡便な方法である血中酵素活性測定によって診断される。 補充療法が予後を改善 続いて、「ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症の臨床像と治療」と題して、天野 克之氏(東京慈恵会医科大学附属病院 消化器肝臓内科 診療医長)が、治療の視点から本症と新治療薬について解説を行った。 従来、LAL-Dは、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などと同じ治療法で、支持療法が行われてきた。また、臓器移植を行ってもその治療効果は弱いものであったという。 今回、本症の治療薬として発売されたセベリパーゼ アルファ(商品名:カヌマ)は、遺伝子組換えヒトライソゾーム酸性リパーゼ製剤であり、細胞内に取り込まれた後、ライソゾームに運ばれ、コレステロールエステル(CE)およびトリグリセリド(TG)を加水分解する作用を持つ。これにより脂肪量の減少、LDL-CやTGの低下、HDL-Cの上昇、脂質減少による成長障害の改善が期待されている。 臨床試験は、2歳未満の小児(n=9)と4歳以上の小児/成人(n=66)に分かれて実施され、報告された。 2歳未満の小児では、カヌマを週1回、最大5mg/kgまでを最長208週間投与した結果、生後12ヵ月で9例中6例が生存していたほか、ALT/ASTの顕著な減少、体重増加、リンパ節腫脹、血清アルブミン値の改善が認められた(II/III相試験)。 4歳以上の小児/成人では、30例をプラセボに、36例をカヌマ(1mg/kg、2週に1回投与)に割り付けて、20週の効果を比較した。その結果、ALTの正常化が認められた患者がプラセボ7%に対し、カヌマでは31%、同様にASTでプラセボ3%に対し、カヌマでは42%だった。また、肝脂肪量の減少(ベースラインからの平均変化率)では、プラセボ-4%に対し、カヌマでは-32%だったほか、LDL-C低下、脂質プロファイルの改善なども見られた(III相試験/20週後はオープンラベルで実施)。ALTのベースラインからの平均変化率推移では、投与後4週までに急激に下がり、肝機能が改善されることで以後はフラットに維持される。報告された有害事象は、尿路感染症、アナフィラキシー反応、不安症などで、いずれも重篤なものではないが、投与1年後までみられる場合があるという。 自験例として21歳・女性の例を紹介し、13歳でLAL-Dと診断されて以降、高脂血症などの対症療法が行われてきたが、カヌマによる治療で速やかに肝機能、脂質異常が改善し、対症療法の常用薬の中止も検討されていることを報告し、レクチャーを終えた。関連コンテンツ待望の治療薬登場、希少疾患に福音新薬情報:カヌマ点滴静注液20mg

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一神教的ランダム化比較試験と多神教的観察研究の基本的相違を理解してね(解説:後藤 信哉 氏)-557

 日本は多神教の国である。先日、興福寺、東大寺周囲を歩き、寺の境内ないし直近に複数の神社を見出して、一神教の信者が多い世界における日本の特殊性を再認識した。一神教を支えているのは、Yes/Noの明確な欧米の言語と考える。われわれは、発想Aと発想Bの成否を生命を懸けて争う宗教戦争の歴史を持たない。耶蘇教が弾圧されたのは、国の富を奪われる現実的リスクを重視した為政者の判断であった。われわれは、世界でもまれな弾力的な、現実重視の民族である。 ランダム化比較試験は、clinical trialである。trialは、英国における公開の裁判と同意である。ランダム化比較試験は、薬剤Aと薬剤Bの有効性、安全性について公開の場にて判決を下すイメージにて施行される。判決のルールは、法律と同じように事前に制定されている。ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンは、従来治療ワルファリンとの比較試験が施行され、試験の結果は従来治療ワルファリンに劣らないとされて世に出た。ランダム化比較試験に基づいて標準治療を転換するEvidence Based Medicineのルールでは、勝者と判断されたNOACがワルファリンを完全に駆逐しても不思議はない。しかし、判決は薬剤の有する複数の重要な特性の一部においてのみ下されたことを公衆は理解した。標準治療とされたワルファリンは、INR 2~3と人工的に狭められ、勝ったとはいえunfairな判決という危惧を残した。評価の対象とならなかった価格もNOACは著しく高価である。裁判のようなランダム化比較試験を行っても、標準治療を完全に転換することができない時代になったことを、NOACの試験は明確に示した。 ランダム化比較試験を無限に繰り返せば「正しい1つの医療介入」を見出せるとの欧米人の発想は、一神教的である。この一神教的発想が、現在までのEBMの世界の基本原理であった。しかし、中世の暗黒時代の徹底した宗教論争をもってしても、一神教の世界での唯一神の存在を人類の普遍原理にはできなかった。世の中には「正しい1つの医療介入」は存在せず、人類は互いに相互作用し合って決して1つに抽出することのできない「複雑な調節原理」に依存しているのかもしれない。 とりあえず、神を信じるヒトも仏を信じるヒトも、誰も信じないヒトもいるとして、実態を観察しようというのが観察研究の発想である。多神教的日本人であれば、バイアスを受けずに「実態を観察」することに抵抗がない。この論文を読むと、「実態を観察」しつつも、「正しい1つの医療介入」探索を目指したランダム化比較試験の影響を断ち切れていない。「実態を観察」結果がランダム化比較試験と大きく乖離していないようにとの配慮が見られる。やはり、一神教的欧州人には祖先崇拝と御仏を同時に受け入れる基本発想はないようだ。 一神教的原理によれば、ワルファリンとの対比ののち、NOAC間での優劣が話題となる。特許と独占的販売権が消失した後には、NOAC間のランダム化比較試験も行われるであろう。われわれ柔軟な頭の日本人からみると、EBMにこだわり過ぎる欧米人は少し原理主義的にみえる。論文を出版するサイドの、過去の結果との整合性のとれた論文を出版しがちな傾向は理解できるが、寺を作る時には、神社を祭る心のゆとりを持ち続けたいものである。

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1000-10X【Dr. 中島の 新・徒然草】(125)

百二十五の段 1000-10X卒後1年目は大学の麻酔科で研修をしました。いろいろな失敗をしでかしましたが、幸い大事に至らずに済みました。というのも、当時は研修医の何倍もの数の上級医がいたからです。私の尻を拭いてくれた先生方には今でも感謝しております。当時、よくやった失敗の1つに、輸血開始の遅れがあります。というのも、輸血には感染症をはじめとしたいろいろな副作用があるといわれており、できるだけしないほうが良いということを信じていたからです。手術中に何やかやで出血が多くなり、術者が止血に追われているのに、麻酔担当の私が輸血開始を躊躇していると、当然のことながら「いきなり血圧低下、上級医コール、あわててポンピング!」ということが時々ありました。そのようなことを何回も繰り返していると、さすがに「これはマズイ、何とかしなくては!」と思うようになりました。それで考え出したのがタイトルの「1000-10X」という式です。ここで「X」には患者さんの年齢を入れます。そして出血量がカウントで「1000-10X」を超えたら何らかのアクションを起こそう、と心に決めました。患者さんの年齢が、20歳なら出血量800mL50歳なら出血量500mLに達した時点で機械的に何か行動を起こします。多くの場合、私は術者に相談しました。中島「あの…出血量がカウントで535mLになりまして」術者「500超えよったか」中島「それで輸血をどうしようかと迷っているんですけど。ちなみにヘモグロビンの値のほうはですね」術者「入れてくれ、入れてくれ。輸血頼むわ」中島「わかりました。輸血開始します」ヘモグロビンの値を述べるまでもなく、「輸血してくれ」と言われることが大半でした。卒後1年目の研修医が、手術中の教授や助教授に声を掛けるのは憚られたのですが、出血量の報告や輸血開始の相談をすると、皆さん例外なく喜んでくれました。また、いきなり血圧が低下して慌てる、ということもなくなりました。時は経ち、自分が手術する側に回ってみると、当時の術者の気持ちがよくわかるようになりました。そもそも輸血したことによる合併症の発生は予測不能である一方、もし起こったとしても術後管理で何とかしよう、と思えます。しかし、手術中に輸血開始が遅れてしまったら、取り返しのつかないことになりかねません。また、外科の立場になると、スムーズな手術進行には麻酔科医とのコミュニケーションも大切だということもわかるようになりました。私は、外傷など大量出血の予想される手術のタイムアウトの時などには、患者さんの名前と術式と予想出血量を確認するだけではなく、輸血開始は麻酔科の判断で結構ですが、開始したという事は教えて下さい。収縮期血圧が1回でも90を切ったら教えて下さい。ポンピングを始めたら教えて下さい。ということを麻酔科医に頼んでおくことがあります。案外、術者は血圧低下に気付かないからです。ヘモグロビン値が8mg/dLだとか、循環血液量の20%の出血量だとか、手術中の輸血開始にはいろいろな目安が提唱されています。でも、自分自身の経験から、カウントの出血量が「1000-10X」という数字に達したら自働的に何らかのアクションを起こす、というやり方は、今の時代でも悪くないんじゃないかと思います。最後に1句数値超え 破綻の前に 何かしろ!

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