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院外心停止に対するアミオダロン vs.リドカイン vs.プラセボ/NEJM

 電気的除細動抵抗性の心室細動(VF)または無脈性心室頻拍(VT)の院外心停止患者に対し、アミオダロンまたはリドカインの投与はプラセボと比較して、生存率や良好な神経学的アウトカムの改善に結び付かないことが、約3,000例を対象とした無作為化二重盲検試験の結果、示された。難治性ショックVF/VTの院外心停止患者に抗不整脈薬が投与されるのは一般的になっているが、生存ベネフィットは実証されていなかった。NEJM誌オンライン版2016年4月4日号掲載の報告。3,026例を3群に無作為化、主要アウトカムは生存退院率 試験は、55の救急医療サービス(EMS)機関の救急隊員が北米10地点で患者を登録して行われた。被験者は、18歳以上成人、非外傷性の心停止、1回以上の電気的ショック後に難治性VF/VTが認められる、および静脈路や骨髄路の確保が必要な患者であった。 被験者をアミオダロン、リドカイン、プラセボ(食塩水)を静脈投与する群に無作為に割り付け、併せて標準的ケアを行いながら比較した。 主要アウトカムは、生存退院率。副次アウトカムは、退院時の神経的機能良好であった。 per-protocol(主要解析)集団には、適格基準を満たし、試験薬が用量を問わず投与され、初回難治性ショックだった患者3,026例が包含された。生存退院率は同等、退院時の神経学的アウトカムも同等 3,026例が無作為に割り付けられたアミオダロン群974例、リドカイン群993例、プラセボ1,059例のうち、生存退院した患者は、それぞれ24.4%、23.7%、21.0%であった。生存率差は、アミオダロン vs.プラセボは3.2%(95%信頼区間[CI]:-0.4~7.0、p=0.08)、リドカイン vs.プラセボは2.6%(同:-1.0~6.3、p=0.16)、アミオダロン vs.リドカインは0.7%(同:-3.2~4.7、p=0.70)であった。 退院時の神経学的アウトカムも、3群で同等であった(アミオダロン群18.8%、リドカイン群17.5%、プラセボ群16.6%)。 治療効果については不均一性がみられ(p=0.05)、心停止が目撃された(EMSまたはバイスタンダーにより)患者についてみたサブグループ解析では、実薬群のほうがプラセボ群よりも生存退院率が有意に高率だった。 また、有害事象として無作為化後24時間以内に一時的心臓ペーシングを要した患者が、アミオダロン群(4.9%)でリドカイン群(3.2%)およびプラセボ群(2.7%)よりも多くみられた。

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日本での2型糖尿病に関連するがんを2030年まで予測

 2010~30年の間、わが国の2型糖尿病によるがんの人口寄与割合は着実に増加すると予測され、その増加は肝がん、膵がん、結腸がんで著明であることが、東京大学の齋藤 英子氏らの研究で示唆された。Cancer Science誌2016年4月号に掲載。 糖尿病は世界的に主要な疾病負荷であり、その有病率は増加し続けている。著者らは、日本における2010~30年の2型糖尿病に関連するがんの負荷を推定した。本研究では、1990~2030年の2型糖尿病の有病率の推定値、国内の8つの大規模コホート研究のプール解析での糖尿病およびがんリスクの要約ハザード比、2010年のがん罹患率/死亡率、age-period-cohort(APC)モデルで予測した2030年の罹患率/死亡率を用いて、2010年と2030年における2型糖尿病に関連するがんリスクの人口寄与割合を推定した。 主な結果は以下のとおり。・20歳以上の成人において、2010年から2030年の間にがん罹患率と死亡率はそれぞれ38.9%と10.5%増加することが予測された。・2型糖尿病により過剰に発症するがん症例は、2010年から2030年の間に、男性で26.5%、女性で53.2%それぞれ増加することが予測された。・肝がん、膵がん、結腸がんで著明な増加が予測された。・2型糖尿病によるがんの人口寄与割合は、60歳以上ではこの期間にわたり増加するが、20~59歳では変化しないことが、年齢別の分析で示唆された。

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新たな心不全治療法、それは心房間シャント形成術(解説:香坂 俊 氏)-516

心不全の分野ではここ最近目立った進歩がみられていない。とくにHFPEF(heart failure with preserved ejection fraction;左室収縮能が保持されたタイプの心不全)には、実をいうと、有効な治療法すら存在しない。自分たちの急性心不全のデータベースでもいろいろと調べてはいるが、わかったことといえば「利尿薬の使い過ぎはよくない」ということくらいだ。HFPEFを普通の心不全だと思って利尿薬を使うと、腎不全を起こす危険率が3倍にも達していた1)。こうした状況下で、思いがけない治療法を提案する本論文が現れた。カテーテルを使って左心房と右心房の間にシャントの形成を行うというのである(V-waveシャント;下図参照)。図 V-waveシャントデバイス     14F Mullinsシースを用いて、まず左房側の入口部のみをシースから出して      漏斗部を広げて引っかける。その後、シースを外すと右房側に出口部が展開される。HFPEFでは、心臓や大血管の硬化が進んでおり(加齢に伴う線維化が主因とされている)、運動などで負荷がかかったときにすぐに左室・左房内の圧が上がってしまい、肺うっ血を来す。そうしたときに、圧を左房から右房へと逃がすため、このV-waveシャントを導入するというわけである。かなり思い切った発想だが、これまで動物モデルや症例報告レベルではいくつか報告が出ており、また上記のMullinsシースを使った心房中隔の穿孔は、心房細動のためのカテーテルアブレーション(肺静脈焼灼術)等で循環器内科では比較的広く行われるようになっている。今回のこの臨床試験では、V-waveシャントデバイスが68例のHFPEF患者に導入されている。半年間フォローした結果、半分以上の症例(50~70%)において安静時と運動時の肺動脈楔入圧(≒左房圧)の低下や自覚症状の改善を認めるに至った。ちなみに、手技関連の合併症は0%であり、きわめて安全に行われた。この意味するところは何か? V-waveシャントデバイスは最初のハードルをクリアしたということである。新規デバイスの承認には長い道のりを経なくてはならないが、今後適切な臨床的なアウトカムの評価が行われ、長らく治療法のヒントすらつかめなかったHFPEFの予後の改善につながるようであれば、とくに高齢者の方に対して大いなる福音となる(HFPEF患者は高齢であることが知られており、この試験登録患者の平均年齢も69歳である)。

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黄熱に気を付けろッ!その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。第20回となる今回は、蚊媒介感染症の古参、黄熱ですッ! 黄熱といえば誰もが一度はその病名を聞いたことがあるでしょう。英語で言うと“イエロー・フィーバー”という、まるでルー大柴のようなノリですが、実際そうなんだから仕方ありません。その黄熱が、今世界を騒がせているのですッ!そもそも黄熱ってどういう病気?黄熱という感染症は超有名ですが、おそらく黄熱の患者さんを実際に診られたことのある臨床医は、日本にはほとんどいないのではないでしょうか。自称・希少感染症ハンターの忽那も、黄熱の患者さんは診たことはありません。黄熱は、今世間を騒がせているデングウイルスやジカウイルスと同じ、フラビウイルス科に属する黄熱ウイルスによる感染症です。黄熱もデング熱やジカ熱と同じくシマカ(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)によって媒介されます。黄熱という名前は、感染すると黄色くなる、すなわち黄疸を呈することが由来です。しかし、黄熱に感染しても必ずしも黄疸を呈するわけではなく、黄熱患者の約85%は非特異的な発熱(頭痛、関節痛、嘔気、下痢など)を呈し、1週間以内に改善します。この辺は同じフラビウイルスであるデング熱に似ていますね。しかし、残りの約15%の患者が黄疸、腎不全、出血症状などを呈する重症型に移行するとされています。重症型に移行した患者の20~50%が死亡するとされています。黄熱、恐るべしッ!黄熱の流行地域は限られている黄熱がアウトブレイクしている地域は、アフリカと南米の一部に限られています。図1が黄熱の流行地域です。アフリカはサハラ以南と呼ばれる地域(マラリアと流行地域が重複しています)、図2の南米では内陸側のアマゾン川流域の地域です1)。南米よりもアフリカのほうが、感染者数が圧倒的に多く、アフリカでは年間13万人が感染し7万8千人が亡くなっていると推計されています2)。今回アウトブレイクが起こっているのは、アフリカのアンゴラという国です。3月30日までの時点で1,794人が黄熱と診断され、そのうち198人が亡くなっています3)。感染者が最も多く出ているのは首都のルアンダです。これまで黄熱の輸入例というのは10例程度しか報告されていなかったのですが、今回のアウトブレイクではすでに中国で6例、ケニアで2例、モーリタニアで1例の輸入例が報告されているのですッ! かつてない規模ッ! そしてさらには、コンゴ民主共和国でも疑い例を含めて151人の感染者と21人の死亡者が出ています。画像を拡大する画像を拡大する日本に黄熱患者が発生する可能性は!?さて、中国で輸入例が出ているので、日本にも輸入例が発生する可能性はあるのでしょうか? 可能性があるかないかということになると「ある」ということになりますが、決してその確率は高くはないと思われます。通常、アンゴラやコンゴ民主共和国に入国する際には、黄熱ワクチンの接種証明書の提示が求められますので、日本人が渡航する前には黄熱ワクチンを接種しているはずです(ごく一部の人は、免疫不全を理由に黄熱ワクチンを接種せずに、禁忌証明書を持って入国しているかもしれません)。ですので、日本人が現地で黄熱に感染して、黄熱ウイルスを持ち帰る可能性はきわめて低いと思われます(アンゴラで黄熱に感染した中国人は、なぜか黄熱ワクチンの接種歴がない人が大半とのことで…どうやってアンゴラに入国したんでしょうね…)。しかし、アンゴラやコンゴ民主共和国の人が日本に来て黄熱を発症する、という可能性はあるかもしれません。アンゴラ、コンゴ民主共和国渡航後に発熱を呈する患者さんに遭遇したら、とくに外国人では黄熱を想起するようにしましょう。ちなみに黄熱ウイルスはヒトスジシマカでも媒介されるので、ひとたび黄熱ウイルスが夏季に日本に持ち込まれれば、日本国内で流行する可能性はなくはありません。しかし、これまで黄熱の流行地域はこの数十年ほとんど変化がなく、その他の地域で流行したことがありません。同じフラビウイルスであるデングウイルスやジカウイルスが、これだけ流行地域を広げまくっているのに対して、なぜ黄熱は流行地域が広がらないのか不思議ではありますが、渡航者のワクチン接種などが関係しているのかもしれません。というわけで、アンゴラやコンゴ民主共和国に渡航する際は、普段にも増して黄熱ワクチン接種を推奨し(というか接種しないと入国できないんですけどね)、免疫不全のためにどうしても接種できないという方には、防蚊対策(チクングニア熱に気を付けろッ! その2参照)を徹底してもらうよう懇切丁寧に説明をしましょう。1)Yellow Book. Chapter 3 Infectious Diseases Related to Travel. Yellow Fever. Centers for Disease Control and Prevention. (accessed 2016-04-14).2)Garske T, et al. PLoS Med.2014;11:e1001638.3)Epidemiological update: outbreak of yellow fever in Angola 01 Apr 2016. European Centre for Disease Prevention and Control. (accessed 2016-04-14).4)Yellow Fever-Democratic Republic of the Congo. Disease Outbreak News 11 April 2016. World Health Organization. (accessed 2016-04-14).

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外傷と嗅覚【Dr. 中島の 新・徒然草】(115)

百十五の段 外傷と嗅覚軽い頭部外傷でも傷害されやすい脳神経といえば、その最たるものは嗅神経でしょう。デリケートな神経のわりには、診察の時に無視されがちのように思います。患者さんの「缶コーヒーを飲んでも砂糖水にしか感じられない」といった訴えを聞いて、慌てて耳鼻科に相談することも珍しくありません。そのような失敗のないよう、私は頭部外傷の診察時に、簡単に嗅覚も調べるようにしています。わざわざ特別なものを準備するのも大変なので、できるだけその辺にあるものを用います。具体的には火の点いていないタバコ、石鹸、インスタントコーヒーの粉などです。どれも普通の診察室で簡単に手に入ります。嗅覚がないと食事がおいしくないだけではありません。ガス漏れに気づかなかったり、火事の時の焦げ臭い匂いがわからなかったり、誤って腐ったものを食べてしまったりして、命に関わることもあるので十分に注意するべきです。さて、先日来院された若い女性の患者さんも、交通事故による頭部外傷以来、嗅覚を失くしてしまいました。彼女は水質検査の会社に勤めているのですが、たいていは精密検査機器が水質を判定するので、嗅覚がなくてもとくに問題は感じませんでした。それどころか、彼女が大活躍することがあるそうです。大変な悪臭のする水が検査に持ち込まれたときなどです。皆が部屋から逃げ出す中、悪臭を感じない彼女は、平気で水質検査をすることができるのだとか。そういう話を聞くと、嗅覚がなくなるのも悪いことばかりではないのかもしれませんね。最後に1句脳外傷 嗅覚チェック 忘れるな

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認知症に進行しやすい体型は

 軽度認知障害(MCI)者における認知症やアルツハイマー病(AD)への進行とBMIとの関連について、イタリア・ミラノ大学Luigi Sacco'病院のIlaria Cova氏らが調査を行った。Dementia and geriatric cognitive disorders誌オンライン版2016年3月31日号の報告。 メモリークリニックから得られたMCI者228例(平均年齢:74.04±6.94、女性57%)を2.40±1.58年追跡調査した。ベースライン時の身長と体重は、BMIの計算に用いた。主要評価項目は、認知症(DSM-IV基準)とAD(NINCDS-ADRDA基準)への進行とした。認知症、ADとBMIとの長期的関連性は、血管危険因子および疾患と神経画像プロファイルを含む共変量を包括的に調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・228例中、117例(51.3%)が認知症に進行した。・認知症のうち89例(76%)は、ADであった。・未調整および多変量調整モデルの両方において、高BMIは、認知症リスクの低下(多変量調整HR 0.9、95%CI:0.8~0.9)およびADリスクの低下(多変量調整HR 0.9、95%CI:0.8~0.9)と関連していた。・低体重は、すべての認知症タイプを増加させたが(多変量調整HR 2.5、95%CI:1.2~5.1)、ADとの関連は認められなかった(多変量調整HR 2.2、95%CI:0.9~5.3)。 著者らは「BMIにより、MCIから認知症およびADへの進行を予測できる。とくに、BMIが高いと認知症、ADのリスクが低下すること、低体重では認知症リスクが上昇することが示された。実臨床においてBMIを評価することで、MCIの予後予測の精度を向上させることができる」とまとめている。関連医療ニュース アルツハイマー病へ進行しやすい人の特徴は 早期アルツハイマー病診断に有用な方法は 日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは

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中等度リスク患者へのスタチン+降圧薬治療の効果は?/NEJM

 心血管疾患既往のない、心血管イベントリスクが中等度の患者に対し、ロスバスタチンと、カンデサルタン+ヒドロクロロチアジドを投与しコレステロール値と血圧値を下げることで、主要心血管イベントリスクは約3割減少することが示された。カナダ・Population Health Research InstituteのS. Yusuf氏らが、約1万3,000例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験HOPE-3の結果、明らかにした。NEJM誌オンライン版2016年4月2日号掲載の報告。ロスバスタチン+カンデサルタン/ヒドロクロロチアジドを投与し、イベント発生率を比較 研究グループは、21ヵ国228ヵ所の医療機関を通じて、55歳以上の男性と65歳以上の女性で、心血管疾患の既往がなく、(1)ウエスト・ヒップ比が高い、(2)低HDLコレステロール値、(3)最近または現在喫煙、(4)糖代謝異常、(5)早期冠動脈疾患の家族歴、(6)軽度腎機能障害のいずれか1つ以上が認められる、1万2,705例を対象に、無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。 同試験では、2×2要因デザインを用いて、カンデサルタン16mg/日+ヒドロクロロチアジド12.5mg/日と、脂質低下薬ロスバスタチン10mg/日の効果を検証。本論文では、ロスバスタチン+カンデサルタン+ヒドロクロロチアジド投与群(3,180例)と、同非投与群(3,168例)について、その効果を比較した。 主要複合アウトカムは2つあり、第1主要複合アウトカムは心血管疾患死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中、第2主要複合アウトカムは、第1主要複合アウトカムに心肺停止からの蘇生、心不全、血行再建術を加えたものだった。治療群でイベントリスクは0.71倍に 追跡期間中央値は、5.6年だった。試験期間中、治療群がプラセボ群に比べLDLコレステロール値低下幅は33.7mg/dL大きく、また収縮期血圧低下幅はプラセボ群に比べ治療群が6.2mmHg大きかった。 第1主要複合アウトカムの発生率は、プラセボ群が5.0%(157例)に対し、治療群が3.6%(113例)と、有意に低率だった(ハザード比:0.71、95%信頼区間:0.56~0.90、p=0.005)。 第2主要複合アウトカムの発生率も、プラセボ群5.9%(187例)に対し、治療群が4.3%(136例)と低率だった(同:0.72、同:0.57~0.89、p=0.003)。 有害事象発生率については、筋肉症状やめまいは治療群で高率だったものの、治療中断率は両群で同等だった。

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虚血性心筋症、CABG+薬物治療で生存ベネフィット改善/NEJM

 虚血性心筋症の患者に対し、冠動脈バイパス術(CABG)と薬物治療を併用することで、薬物治療のみの場合に比べ、約10年間の全死因死亡率(主要アウトカム)、心血管死亡率や全死因死亡または心血管系が原因の入院の発生率(副次アウトカム)は、いずれも2~3割有意に減少することが示された。米国・デューク大学のEric J. Velazquez氏らが、約1,200例の患者を対象に行った無作為化比較試験STICHESの結果、明らかにしNEJM誌オンライン版2016年4月3日号で発表した。薬物治療のみと比較したCABG+薬物治療の生存ベネフィットは、冠動脈疾患、心不全、および重篤な左室収縮機能障害を有する患者については不明であった。虚血性心筋症の患者を対象に、中央値9.8年で追跡 研究グループは、2002年7月~07年5月にかけて、駆出分画率が35%以下で、CABGにより改善が見込まれる冠動脈疾患を有する患者1,212例を対象に試験を行った。無作為に2群に分け、一方にはCABGと薬物治療を(610例)、もう一方には薬物治療のみを(602例)、それぞれ行いアウトカムを比較した。 主要評価項目は、全死因死亡率だった。主な副次評価項目は、心血管死、全死因死亡または心血管が原因の入院などだった。 追跡期間の中央値(延長追跡調査期間を含む)は、9.8年だった。全死因死亡または心血管が原因の入院、CABGにより3割減少 その結果、全死因死亡率は薬物治療群66.1%(398例)だったのに対し、CABG群は58.9%(359例)と有意に低率だった(ハザード比[HR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.73~0.97、log-rank検定によるp=0.02)。 心血管死も、薬物治療群49.3%(297例)に対し、CABG群は40.5%(247例)と、発生比は約8割にとどまった(HR:0.79、95%CI:0.66~0.93、log-rank検定によるp=0.006)。 全死因死亡または心血管が原因の入院の発生率も、薬物治療群87.0%(524例)に対し、CABG群は76.6%(467例)と約7割にとどまった(HR:0.72、95%CI:0.64~0.82、log-rank検定によるp<0.001)。

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ビタミンC摂取で白内障が予防できる?

 核白内障は、老人性白内障の最も一般的な病型で、年齢のほかに喫煙、酸化ストレスおよび食物性抗酸化物質の摂取がその形成に関与している。英国のキングス・カレッジ・ロンドンのEkaterina Yonova-Doing氏らは、核白内障の進行における遺伝因子と微量栄養素の影響を調べる前向きコホート研究を行った。結果、10年間での遺伝率(遺伝因子の影響度合いの指標)は35%であり、環境要因の影響のほうが大きいことを明らかにした。とくに、食物中のビタミンCは白内障の進行を抑制するという。Ophthalmology誌オンライン版2016年3月15日号の掲載報告。ビタミンCは核白内障の進行に対して予防的効果がある 研究グループは、TwinsUKコホートの白人女性双生児2,054例を対象に、白内障と食事について断面調査を行った。また、このうち324例(一卵性双生児151例、二卵性双生児173例)は、白内障の進行についても追跡調査を行った。 核白内障は、Scheimpflug画像から得られた核密度の定量測定にて診断し、食事に関しては「欧州におけるがんと栄養に関する前向き調査(EPIC)食物摂取頻度調査票」を用いた。 構造方程式双生児モデリングを用いて最尤法により遺伝率を推定するとともに、線形および多項式回帰分析を用いて、核白内障の変化と微量栄養素との関連を評価した。追跡調査期間は平均9.4年、主要評価項目は核白内障の進行であった。 核白内障の変化と微量栄養素との関連を評価した主な結果は以下のとおり。・最も適切なモデルにおいて、核白内障進行の遺伝率は35%と推定され、残りの65%は個々の環境要因が関与していることが示唆された。・食事中のビタミンCは、ベースライン時の核白内障および核白内障の進行のいずれに対しても予防的効果があることが認められた(それぞれβ=-0.0002、p=0.01およびβ=-0.001、p=0.03)。・マンガンおよび微量栄養素のサプリメント摂取は、ベースライン時の核白内障に対してのみ予防的効果がみられた(それぞれβ=-0.009、p=0.03およびβ=-0.03、p=0.01)。

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てんかん治療におけるベンゾジアゼピンの役割

 ベンゾジアゼピン(BZP)は、一般に抗不安薬、鎮静薬、抗けいれん薬として処方される薬剤である。米国・サウスアラバマ大学のJuan G Ochoa氏らは、てんかん治療におけるベンゾジアゼピンの役割をレビューした。Current treatment options in neurology誌2016年4月号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・BZPは、イオンチャネルを介してCI-コンダクタンスを増加させることによりGABAA受容体に作用し、中枢神経系の抑制を促進する。・BZPの臨床特性は、GABAA受容体の異なるサブユニットの組成に依存している。各サブユニットは、中枢神経系全体に存在する複数のサブタイプを有し、これらはすべて異なる臨床反応を示す。・BZPは、てんかん重積状態の第1選択薬である。BZPに対する治療反応は、治療までの期間が重要であり、てんかん重積状態が持続した場合は効果が損なわれる。・静脈内投与可能なてんかん重積状態に最も一般的に用いられるのはBZPのロラゼパム静脈内投与であるが、同様の有効性を有するミダゾラムの非静脈内投与を、代替治療として考慮すべきである。・外来患者の急性発作治療に用いられるBZPは、現在ジアゼパム注腸に限定されるが、別の投与経路の開発も進んでいる。・複数の抗てんかん薬でも効果不十分な難治性てんかん患者に対し、クロバザムやクロナゼパムは、発作の予防に有効な選択肢である。クロバザムは、GABAA受容体のα2サブユニットに親和性が高いため、鎮静の効果が少ない可能性がある。・慢性的なBZP使用による副作用としては、鎮静、耐性、一部の患者における中毒や乱用の可能性がある。関連医療ニュース てんかん重積状態に対するアプローチは ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する

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院内心停止、早期アドレナリン投与で転帰不良/BMJ

 ショック適応心停止の院内患者について、50%超が初回除細動後2分以内にアドレナリンを投与されている実態が、米国ベスイスラエル・ディーコネス医療センターのLars W Andersen氏らによる調査の結果、判明した。また、早期にアドレナリン投与を受けた患者は、生存退院、心拍再開、機能的アウトカム良好での生存退院のオッズ比が低いことも明らかになった。これまで、心肺蘇生におけるアドレナリン投与の有効性について、とくに早期投与の効果については明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2016年4月6日号掲載の報告。初回除細動後2分以内にアドレナリン投与の生存退院を調査 研究グループは、前向き観察コホート研究にて、米国心臓協会(AHA)ガイドラインの推奨(除細動2回以後の投与を推奨)に反し、院内心停止で初回除細動後2分以内にアドレナリン投与を受けている患者の存在、および早期アドレナリン投与とアウトカムの関連について調べた。 検討は、米国300超の病院からのデータが包含されたGet With The Guidelines-Resuscitationレジストリデータを分析して行われた。 被験者は、ショック適応心停止の院内成人患者で、心停止後2分以内に初回除細動を受けている、また除細動後もショック適応リズムが認められる患者などが含まれていた。 研究の主要解析の目的は、初回除細動後2分以内にアドレナリン投与を受けた患者とそれ以外の患者(アドレナリンを受けなかった、2分超に受けた)の生存退院を比較することであった。また、副次アウトカムとして、心拍再開率、機能アウトカム良好での生存退院率などを評価した。 評価は傾向スコア適合法を用い、初回除細動後2分以内のアドレナリン投与について、多様な患者特性、イベント、病院をベースとし傾向スコアを算出。その傾向スコアを用いて、初回除細動後のアドレナリン投与が0分、1分、2分であった患者について、同一時間内でアドレナリン投与を受ける“リスク”がある(蘇生が継続されていてアドレナリン投与を受けていなかった)患者と適合した。51%が2分以内に投与、それら早期投与患者の転帰は不良であることも明らかに 傾向スコア適合コホートには、2,978例が包含された。群間内のバランスは良好であった。 AHAガイドラインに反して初回除細動後2分以内にアドレナリン投与を受けた人は1,510例(51%)であった。 傾向スコア適合分析において、初回除細動後2分以内のアドレナリン投与は、生存オッズ比の低下と関連していた(オッズ比:0.70、95%信頼区間[CI]:0.59~0.82、p<0.001)。また、心拍再開オッズ比低下(0.71、0.60~0.83、p<0.001)、良好な機能アウトカムのオッズ比低下(0.69、0.58~0.83、p<0.001)とも関連していた。

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日本人の妊娠糖尿病リスク、血液型と関連していた

 ABO式血液型は妊娠糖尿病と関連し、AB型は妊娠糖尿病リスク因子の1つであることが、長野県・飯田市立病院の下平 雅規氏らの日本人を対象とした研究で明らかになった。Diabetes & metabolic syndrome誌オンライン版2016年3月14日号の報告。 著者らは、ABO式血液型と妊娠糖尿病との関連を調査する目的で、日本人の妊婦5,424人のデータを用いて、後ろ向き症例対照研究を行った。 妊娠糖尿病のスクリーニングは、妊娠第1期に簡易的なブドウ糖試験、妊娠第2期に50g経口ブドウ糖負荷試験を実施した。スクリーニングで陽性であった場合は、75g経口ブドウ糖負荷試験を行い、国際糖尿病・妊娠研究会(IADPSG)の基準に従って妊娠糖尿病と診断した。交絡因子を調整後、ロジスティック回帰分析を用いて、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・A型(調整後のOR:0.34、95%CI:0.19~0.63)、B型(調整後のOR:0.35、95%CI:0.18~0.68)、O型(調整OR:0.39、95%CI:0.21~0.74)の妊婦は、AB型の妊婦と比較して、妊娠糖尿病発症リスクが低かった。・AB型の妊婦は、A型・B型・O型の妊婦と比較して、妊娠糖尿病発症リスクが有意に高かった(調整後のOR:2.73、95%CI:1.64~4.57)。

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医療情報を個人が管理する時代へ?医療介護危機の打開策となるか

 4月14日都内にて、第1回編成医療情報戦略フォーラム「日本を救う!自己情報コントロールによるヘルスケア戦略」が開催された。東京大学大学院情報理工学系研究科附属ソーシャルICT研究センターと一般社団法人 日本統合医療支援センターの共催による本フォーラムは、医療介護に関わる個人情報のあり方を見直し、効率を高め、現場の負担を軽減することで、少子高齢化に伴う医療介護危機を回避するための具体的な方法を提言することを目的としており省庁や関連分野の企業などから150名を超える参加者が集まった。 まず、ソーシャルICT研究センター教授の橋田 浩一氏による基調講演が行われた。橋田氏は、現在の医療情報管理の課題として、データ管理の主体が事業者であることを挙げた。そのため、データ解析対象が自社ユーザーのみに限定されること、また、事業者は大量の個人情報を蓄積・管理しなければならないため、大きな負担を抱えているという状況を解説した。 これらの問題を解決する手段として、橋田氏が提案しているのが“分散PDS”(Personal Data Store)である。これは、本人がデータを管理し、自ら指定する他者と共有し活用するための仕組みである。分散PDSは、特定の事業者に依存せずに個人がデータを活用できるため、既存のシステムでは難しいとされる競合事業者間のデータ共有も個人経由で行うことができる。したがって、さまざまな事業者、医療圏、連携サービスなどにわたる生涯健康手帳の実現も可能になるということだ。  橋田氏は、自身が提唱する分散PDSの一種であるPLR(Personal Life Repository)介護記録アプリの運用事例として、山梨県で介護施設に入居中の患者の介護情報を、家族を介してほかの施設や医療機関と共有できている例を紹介した。このアプリは技術的に、より多くの人へ適応可能であり、普及すればセカンドオピニオンの取得も容易になることを説明した。 橋田氏によると、現在、地域医療連携システムは全国200ヵ所以上で運用されているものの、医療情報の共有は人口のおよそ2%程度にとどまっているとのことだ。普及を妨げる要因として、事業者集中型管理ではコストが大きいことや、患者が直接把握できないところでデータが管理されていることなどが考えられる。2016年度診療報酬改定により、診療情報提供の電子的送受が認められたことや医療制度改革により、今後、病院の機能分化や在宅医療の推進が見込まれる。そうした中、医療機関はデータを共有していくことが必須になる、と橋田氏はみている。 また、医療機関のみのデータでは生活習慣などのデータが得られず、適切な保健対策を講じることができないため、保険外事業との連携の必要性についても触れた。今後は、個人の意思とデータに基づいて、患者自身が自分に関係のあるデータおよび適合するサービスを主体的に受け取れるような仕組みを構築していく方針を示した。“電話とFAXの世界”からの脱却により医療者の負担を軽減 続いて、日本統合医療支援センター代表理事であり、医師・薬剤師でもある織田 聡氏より、現場経験に基づく発表が行われた。冒頭、織田氏は、「医療・介護現場の人々は疲弊している」と医療現場の人材不足の深刻さを訴えた。そして、この状況を改善するためにはICT活用による効率化が必須であり、具体的には、医療現場におけるICTの利用価値の可視化と操作性の向上が課題であるとした。 医療情報の共有基盤は整備されつつあるものの、実際の現場では、パソコンを使って書類を作成しても、それを印刷し、FAXで送信するということが日常的に行われており、医療業界はまだ“電話とFAXの世界”にあるとの見解を述べた。加えて、現在医療機関で使用している電子カルテは、病院ごとにシステムが異なっており、情報を共有するうえでの障壁になっている。こうした状況を踏まえたうえで、自己情報コントロール権の観点から、現在医療機関で保管している医療情報を“患者へ返す”ことを織田氏は提案した。 これにより、患者権限で医療情報が共有できるようになれば、必要なときにすぐさま患者の医療情報を共有できるようになり、毎回、医療機関ごとに新たにカルテ作り直したり、医療情報を関係機関へその都度FAXしたりするなどの手間がなくなる。ひいては、医療現場の負担軽減につながると織田氏は考える。 また、医療情報に含めるべき情報の範囲について、織田氏は自身の患者を例に意見を展開した。担当する患者らが、ある民間療法について、以前はよく話をしてくれていたのに、その療法が社会的に批判を受けたことを機に、一切教えてくれなくなったという。多くの患者が、サプリメントや鍼灸などの保険外サービスや商品を利用しているが、情報共有の範囲に線引きをすると、患者にとって有益でないものに関する情報がより得られづらくなる危険性を指摘した。よって、安全性の観点から、これら保険外のサービスや商品の使用の可否は別として、すべての情報を共有する必要性を訴えた。 また、医療現場のICTツールは、医療者にとって必ずしも使いやすいものでないという問題点も指摘した。これらの操作性については、介護職員のおよそ3割を占めている60代女性をユーザーとして想定し、直感的に容易に操作できる仕様にすべきであるとした。例として、同氏が中心となって開発した「みんなのカルテ」を挙げ、情報入力が手書きや音声入力にも対応している点や、個々の現場のニーズに応じてカスタマイズできるなどの特徴を紹介した。 「カルテなどの医療記録を共有することに関して、抵抗がある医師も存在するのでは」という会場からの質問に対して、織田氏は、「医療記録はそもそも自分がいなくても、継続的に医療が滞ることなく行われる目的で書いている。情報共有が患者の予後に悪影響を及ぼすような特定のケースを除けば、問題となることはないのでは」との考えを示した。 このフォーラムでは、横断的連携により医療介護の現場の負担を軽減し、2025年問題を乗り越えるような情報共有基盤の構築を目指す方針とのことだ。また、織田氏は情報連携の先にある“顔の見える連携”を強化するために、専門職連携教育(IPE)や専門職連携協働(IPW)に関する研究会を発足し、西洋医学を軸として、補完医療等のあらゆる方法を適切かつ最大限に利用する診療戦略“編成(フォーメーション)医療” の実現を目指していくことを述べた。第1回編成医療情報戦略フォーラムの詳細・資料はこちら

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日常の血圧を心臓1拍ごとに測定する時代がまもなく到来

 4月18日、オムロンヘルスケア株式会社(京都府向日市、代表取締役社長:荻野 勲)は、心臓の拍動1拍ごとの血圧を測る、連続血圧測定技術を世界で初めて開発したことを発表した。 同社は1973年に家庭血圧計「マノメータ式手動血圧計(HEM-1)」を開発した。その後、同社の製品を中心に家庭血圧計が普及し、わが国ではいまや約3,500万台に上り、各家庭に備わっていると言われるまでになった。さらに高血圧診療においても、家庭血圧測定の位置付けは『高血圧治療ガイドライン』の2009年版における「家庭血圧の測定は有用であり、日常診療の参考とする」から、2014年版の「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」へと格上げされている。 このように、家庭血圧が診察室血圧に比べ、日常の血圧をより捉える方法であると言っても、それでも一時点の血圧を検出しているにすぎない。心臓は1日10万回拍動し、血圧値は10万回変動している。家庭血圧でも24時間自由行動下血圧でも、カフ・オシロメトリック法による血圧測定は、カフで上腕などの血管全体を圧迫し血流を一時止める方法を採用しているため、負荷なく、連続して血圧を測ることはできなかった。 今回、同社はトノメトリ法を用いて、世界で初めて、手首に機器をつけるだけで簡単に1拍ごとの血圧を測定する技術を開発した。トノメトリ法は、手首の体表近くにある橈骨動脈に圧力センサを平らに押し当てて、1拍ごとの血圧を測定する方法である。トノメトリ法を用いた血圧測定装置はこれまでも実用化されていたが、手首で捉えた1拍ごとの血圧値と、上腕で測った血圧値とを照合させる必要があったため、大型の機器にならざるを得なかった。しかし、同社は46個のセンサを1列に並べた圧力センサを開発し、それを血圧測定に採用することで小型化に成功した。 発表されたプロトタイプは重量約200g、これまでに連続10時間以上の測定を実現しているようだ。オムロン社員が実際に装着し、1心拍ごとの血圧測定モニタリングをライブでお披露目した。若干緊張しているのか収縮期血圧は120mmHg台を推移していたかと思うと、当人が呼吸を止めた間は10mmHg前後低下するなど、血圧の推移がリアルタイムに見てとれた。 当日の苅尾 七臣氏(自治医科大学 循環器内科学)の発表では、脳出血の既往がある、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの睡眠中の映像と、それにシンクロした血圧値を見ることができた。映像では22秒間無呼吸状態が続き、その間、収縮期血圧値は100mmHg程度まで低下。呼吸が再開されると血圧変動パターンは一転し、血圧値は見る見るうちに上昇、最高190mmHgまで到達した。苅尾氏は、1心拍ごと変動、日内変動、日間変動、季節変動、年間変動といった時相の異なった血圧急上昇が複雑に絡み合って脳・心血管イベントが発症するのではないか、と「ダイナミックサージ」という仮説を、この患者さんにも適用した。 本年3月から、夜間血圧を連続的に測定する臨床研究が開始されている。また、医学的価値の検証とともに、プロトタイプはさらなる小型化とユーザビリティの改善を図る計画だという。これによって、従来の測定方法では検出できなかったハイリスク群を特定し、未病のうちから治療を施す先制治療によって、脳・心血管イベントゼロを目指す時代が幕開けした。逆に、これまで治療対象とされてきた集団のうち、実はハイリスクではなかった集団をこの新たな技術で特定し、医療経済的に効率的な治療を目指すことも、これからのわが国に課せられた課題ではないだろうか。この技術が高血圧研究だけでなく、高血圧診療のパラダイムシフトを起こすことを期待したい。

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ニーマン・ピック病C型〔NPC : Niemann-Pick disease type C〕

1 疾患概要■ 概念・定義1, 2)ニーマン・ピック病は、多様な臨床症状と発病時期を示すがスフィンゴミエリンの蓄積する疾患として、1961年CrockerによりA型からD型に分類された。A型とB型はライソゾーム内の酸性スフィンゴミエリナーゼ遺伝子の欠陥による常染色体性劣性遺伝性疾患で、ニーマン・ピック病C型は細胞内脂質輸送に関与する分子の欠陥で起こる常染色体性劣性遺伝性疾患である。D型は、カナダのNova Scotia地方に集積するG992W変異を特徴とする若年型のC型である。■ 疫学C型の頻度は人種差がないといわれ、出生10~12万人に1人といわれている。発病時期は新生児期から成人期までと幅が広い。2015年12月の時点で日本では34例の患者の生存が確認されている。同時点での人口8,170万人のドイツでは101人、人口6,500万人の英国では86例で、人口比からすると日本では現在確認されている数の約5倍の患者が存在する可能性がある。■ 病因遺伝的原因は、細胞内脂質輸送小胞の膜タンパク質であるNPC1タンパク質をコードするNPC1遺伝子、またはライソゾーム内の可溶性たんぱく質でライソゾーム内のコレステロールと結合し、NPC1タンパク質に引き渡す機能を持つNPC2タンパク質をコードするNPC2遺伝子の欠陥による。その結果、細胞内の脂質輸送の障害を生じ、ライソゾーム/後期エンドソームにスフィンゴミエリン、コレステロールや糖脂質などの蓄積を起こし、内臓症状や神経症状を引き起こす。95%の患者はNPC1遺伝子変異による。NPC2遺伝子変異によるものは5%以下であり、わが国ではNPC2変異による患者はみつかっていない。■ 症状1)周産期型出生後まもなくから数週で、肝脾腫を伴う遷延性新生児胆汁うっ滞型の黄疸がみられる。通常は生後2~4ヵ月で改善するが、10%くらいでは、肝不全に移行し、6ヵ月までに死亡する例がある。2)乳児早期型生後間もなくか1ヵ月までに肝脾腫が気付かれ、6~8ヵ月頃に発達の遅れと筋緊張低下がみられる。1~2歳で発達の遅れが明らかになり、運動機能の退行、痙性麻痺が出現する。歩行を獲得できる例は少ない。眼球運動の異常は認められないことが多い。5歳以降まで生存することはまれである。3)乳児後期型通常は3~5歳ごろ、失調による転びやすさ、歩行障害で気付かれ、笑うと力が抜けるカタプレキシーが認められることが多い。神経症状が出る前に肝脾腫を指摘されていることがある。また、検査に協力できる場合には、垂直性核上性注視麻痺を認めることもある。知的な退行、けいれんを合併する。けいれんはコントロールしづらいこともある。その後、嚥下障害、構音障害、知的障害が進行し、痙性麻痺が進行して寝たきりになる。早期に嚥下障害が起こりやすく、胃瘻、気管切開を行うことが多い。7~15歳で死亡することが多い。わが国ではこの乳児後期型が比較的多い。また、この型では早期にまばたきが消失し、眼球の乾燥を防ぐケアが必要となる。4)若年型軽度の脾腫を乳幼児期に指摘されていることがあるが、神経症状が出現する6~15歳には脾腫を認めないこともある。書字困難や集中力の低下などによる学習面の困難さに気付かれ、発達障害や学習障害と診断されることもある。垂直性核上性注視麻痺はほとんどの例で認められ、初発症状のこともある。カタプレキシーを認めることもある。不器用さ、学習の困難さに続き、失調による歩行の不安定さがみられる。歩行が可能な時期に嚥下障害によるむせやすさ、構語障害を認めることが多く、発語が少なくなる。ジストニア、けいれんがみられることが多く、進行すると痙性麻痺を合併する。30歳かそれ以上まで生存することが多い。わが国でも比較的多く認められる。5)成人型成人になって神経症状がなく、脾腫のみで診断される例もまれながら存在するが、通常は脾腫はみられないことが多い。妄想、幻視、幻聴などの精神症状、攻撃性やひきこもりなどの行動異常を示すことが多い。精神症状や行動異常がみられ、数年後に小脳失調(76%)、垂直性核上性注視麻痺(75%)、構語障害(63%)、認知障害(61%)、運動障害(58%)、脾腫(54%)、精神症状(45%)、嚥下障害(37%)などがみられる。運動障害はジストニア、コレア(舞踏病)、パーキンソン症候群などを認める。■ 予後乳児早期型は5歳前後、乳児後期型は7~15歳、若年型は30~40歳、成人型は中年までの寿命といわれているが、気管切開、喉頭気管分離術などによる誤嚥性肺炎の防止と良好なケアで寿命は延長している。また、2012年に承認になったミグルスタット(商品名: ブレーザベス)によって予後が大きく変化する可能性がある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)ニーマン・ピック病C型の診断の補助のためにSuspicion Indexが開発されている。これらはC型とフィリピン染色で確定した71例、フィリピン染色が陰性であった64例、少なくとも症状が1つある対照群81例について、内臓症状、神経症状、精神症状について検討し、特異性の高い症状に高いスコアを与えたスクリーニングのための指標である。この指標は便利であるが、4歳以下で神経症状の出現の少ない例では誤診する可能性のあることに注意して使用していただきたい。現在、4歳以下で使えるSuspicion Indexが開発されつつある。このSuspicion Indexは、(http://www.npc-si.jp/public/)にアクセスして使用でき、評価が可能である。一般血液生化学で特異な異常所見はない。骨髄に泡沫細胞の出現をみることが多い。皮膚の培養線維芽細胞のフィリピン染色によって、細胞内の遊離型コレステロールの蓄積を明らかにすることで診断する。LDLコレステロールが多く含まれる血清(培地)を用いることが重要である。成人型では蓄積が少なく、明らかな蓄積があるようにみえない場合もあり注意が必要である。骨髄の泡沫細胞にも遊離型コレステロールの蓄積があり、フィリピン染色で遊離型コレステロールの蓄積が確認できれば診断できる。線維芽細胞のフィリピン染色は、秋田大学医学部附属病院小児科(担当:高橋 勉、tomy@med.akita-u.ac.jp)、大阪大学大学院医学系研究科生育小児科学(担当:酒井 規夫、norio@ped.med.osaka-u.ac.jp)、鳥取大学医学部附属病院脱神経小児科(担当:成田 綾、aya.luce@nifty.com)で対応が可能である。確定診断のためにはNPC1遺伝子、NPC2遺伝子の変異を同定する。95%以上の患者はNPC1遺伝子に変異があり、NPC2遺伝子に変異のある患者のわが国での報告はまだない。NPC1/NPC2遺伝子解析は鳥取大学生命機能研究支援エンター(担当:難波 栄二、ngmc@med.tottori-u.ac.jp)で対応が可能である。近年、遊離型コレステロールが非酵素反応で形成される酸化型ステロール(7-ケトコレステロール、コレスタン-3β、5α、6βトリオール)が、C型の血清で特異的に上昇していることが知られ、迅速な診断ができるようになっている1、2)。わが国では、一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療センター(担当者:藤崎 美和、衞藤 義勝、sentanken@mt.strins.or.jp、電話044-322-0654 電子音後、内線2758)で測定可能であり、連絡して承諾が得られるようであれば、凍結血清1~2mLを送る。さらに尿に異常な胆汁酸が出現することが東北大学医学部附属病院薬剤部から報告され9)、この異常も診断的価値が高い特異的な検査の可能性があり、現在精度の検証が進められている。診断的価値が高いと考えられる場合、また精度の検証のためにも、東北大学医学部附属病院へ連絡(担当者:前川 正充、m-maekawa@hosp.tohoku.ac.jp)して、凍結尿5mLを送っていただきたい。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ ミグルスタット の治療効果C型の肝臓や脾臓には、遊離型コレステロール、スフィンゴミエリン、糖脂質(グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド)、遊離スフィンゴシン、スフィンガニンが蓄積している。一方、脳では、コレステロールやスフィンゴミエリンの蓄積はほとんどなく、スフィンゴ糖脂質、とくにガングリオシッドGM2とGM3の蓄積が顕著である。このような背景から、グルコシルセラミド合成酵素の阻害剤であるn-butyl-deoxynojirimycin(ミグルスタット)を用いてグルコシルセラミド合成を可逆的に阻害し、中枢神経系のグルコシルセラミドを基質とする糖脂質の合成を減少させることで、治療効果があることが動物で確認された。さらに若年型と成人型のC型患者で、嚥下障害と眼球運動が改善することが報告され、2009年EUで、2012年わが国でC型の神経症状の治療薬として承認された。ミグルスタットは、乳児後期型、若年型、成人型の嚥下機能の改善・安定化に効果があり、誤嚥を少なくし、乳児後期型から成人型C型の延命効果に大きく影響することが報告されている。また、若年型のカタプレキシーや乳児後期型の発達の改善がみられ、歩行機能、上肢機能、言語機能、核上性注視麻痺の安定化がみられることが報告されている。乳児早期型では、神経症状の出現前の早い時期に治療を開始すると効果がある可能性が指摘されているが、乳児後期型、若年型、成人型の神経症状の安定化に比較して効果が乏しい。また、脾腫や肝腫大などの内臓症状には、効果がないと報告されている。ミグルスタットの副作用として、下痢、鼓腸、腹痛などの消化器症状が、とくに治療開始後の数週間に多いと報告されている。この副作用はミグルスタットによる二糖分解酵素の阻害によって、炭水化物の分解・吸収が障害され、浸透圧性下痢、結腸発酵の結果起こると考えられている。ほとんどの場合ミグルスタット継続中に軽快することが多く、ロペラミド塩酸塩(商品名:ロペミンほか)によく反応する。また、食事中の二糖(ショ糖、乳糖、麦芽糖)の摂取を減らすことでミグルスタットの副作用を減らすことができる。さらには、ミグルスタットを少量から開始して、増量していくことで副作用を軽減できる。■ ニーマン・ピック病C型患者のその他の治療について2)C型のモデルマウスでは、細菌内毒素受容体Toll様受容体4の恒常的活性化によって、IL-6やIL-8が過剰に産生され、脳内の炎症反応が起こり、IL-6を遺伝的に抑制することで、マウスの寿命が延長することが示唆されている5)。また、モデルマウスに非ステロイド性抗炎症薬を投与すると神経症状の発症が遅延し、寿命が延長することが報告されており6)、C型患者で細菌感染を予防し、感染時の早期の抗菌薬投与と抗炎症薬の投与によって炎症を抑えることが勧められる。また、教科書には記載されていないが、C型患者では早期に瞬目反射が減弱・消失し、まばたきが減少し、この結果眼球が乾燥する。この瞬目反射の異常に対するミグルスタットの効果は不明である。C型患者のケアにあたっては、瞬目反射の減弱に注意し、減弱がある場合には、眼球の乾燥を防ぐために点眼薬を使用することが大切である。4 今後の展望シクロデキストリンは、細胞内コレステロール輸送を改善し、遊離型コレステロールの蓄積を軽減させると、静脈投与での効果が報告されている3)。シクロデキストリンは、髄液の移行が乏しく、人道的使用で髄注を行っている家族もあるが、今後アメリカを中心に臨床試験が行われる可能性がある。また、組み換えヒト熱ショックタンパク質70がニーマン・ピック病C型治療薬として開発されている。そのほか、FDAで承認された薬剤のなかでヒストン脱アセチル化阻害剤(トリコスタチンやLBH589)が、細胞レベルでコレステロールの蓄積を軽減させること4, 7)や筋小胞体からCaの遊離を抑制し、筋弛緩剤として用いられているダントロレンが変異したNPCタンパク質を安定化する8)ことなどが報告され、ミグルスタット以外の治療薬の臨床試験が始まる可能性が高い。5 主たる診療科小児科(小児神経科)、神経内科、精神科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働省難治性疾患克服事業 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班 ライソゾーム病に関して(各論)ニーマン・ピック病C型(医療従事者向けのまとまった情報)鳥取大学医学部N教授Website(ニーマン・ピック病C型の研究情報を多数記載。医療従事者向けのまとまった情報)NP-C Suspicion Index ツール(NPCを疑う症状のスコア化ができる。提供: アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社)The NPC-info.com Information for healthcare professionals に入り、Symptoms of niemann pick type C diseaseにて動画公開(ニーマン・ピック病C型に特徴的な症状のビデオ視聴が可能。提供: アクテリオン株式会社)患者会情報ニーマン・ピック病C型患者家族の会(患者とその患者家族の情報)1)大野耕策(編). ニーマン・ピック病C型の診断と治療.医薬ジャーナル社;2015.2)Vanier MT. Orphanet J Rare Dis.2010;5:16.3)Matsuo M, et al. Mol Genet Metab.2013;108:76-81.4)Pipalia NH, et al. Proc Natl Acad Sci USA.2011;108:5620-5625.5)Suzuki M, et al. J Neurosci.2007;27:1879-1891.6)Smith D, et al. Neurobiol Dis.2009;36:242-251.7)Maceyka M, et al. FEBS J.2013;280:6367-6372.8)Yu T, et al. Hum Mol Genet.2012;21:3205-3214.9)Maekawa M, et al. Steroids.2013;78:967-972.公開履歴初回2013年10月10日更新2016年04月19日

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「水を飲んでも太る」と言う患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第1回

■外来NGワード「水にはカロリーはない。水を飲んで太るはずはない!」「水を飲んで体重が増えるのは、むくんでいるだけだ!」「水を飲んで大きくなるのは植物だけだ!」■解説 「水を飲んでも太る」と言う患者さんに「水にはカロリーはない。水を飲んで太るはずはない」と言いたいところなのですが、少し我慢して患者さんの気持ちを考えてみましょう。患者さんも「水にはカロリーがない」ことはわかっているはず。「水を飲んでも太る(気がする)」「食べ過ぎていないのに痩せない」という気持ちがそこには潜んでいるのです。ちなみに欧米の肥満者に対する減量指導では、「食前に水を飲む」ことが推奨されています1)。それも500ccとかなり量が多いのです。食前に水を飲むことを勧める理由の1つは、食前に水を飲むことで、胃が膨らみ、食事量が減ることが考えられています2)。もう1つの理由として、水誘発性熱産生があります3)。飲んだ水を体温まで温めるために、身体からエネルギーが奪われます。加糖飲料が減る効果も期待できるため、学校での肥満対策としても用いられています4)。ただし、すべてがうまくいくわけではありません5)。筋肉量が少ない人では、冷たい水を飲むことで身体全体が冷えて、代謝が鈍ることも考えられます。やはり、必ず運動療法と併用することが大切なようです。これらのエビデンスを知ったところで、患者さんには次のように話してみてはいかがでしょうか? ■患者さんとの会話でロールプレイ医師減量を助ける水の飲み方がありますよ!患者えっ、そんな方法があるんですか?(興味津々)医師はい。あります。患者普段から水分は摂るようにしているんですけど…。医師水を飲むタイミングが重要なんです。患者水を飲むタイミング!?医師そうです。タイミング。食前に水を飲むんです。そうすると胃が膨らむので食べる量が少なくなります。患者えっ、そうなんですか。早速、やってみます!医師ただし、水やお茶で食べ物を流し込んではいけませんよ。早食いになるので…。患者はい。わかりました。(うれしそうな顔)■医師へのお勧めの言葉「減量を助ける水の飲み方がありますよ!」1)Dennis EA, et al. Obesity. 2010;18:300-307.2)Davy BM, et al. J Am Diet Assoc. 2008;108:1236-1239.3)Davy BM, et al. J Am Diet Assoc. 2008;108:1236-1239.4)Muckelbauer R, et al. Pediatrics. 2009;123:e661-667.5)Charrière N, et al. Nutr Diabetes. 2015;5:e190.

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双極性障害の簡便な症状把握のために

 双極性障害(BD)患者の安定性と生活リズムのマーカーとして臨床的に検証されたソーシャル・リズム・メトリック(SRM)を、スマートフォンから受動検知したデータを用いて自動評価する仕組みの実現可能性について、米国・コーネル大学のSaeed Abdullah氏らが評価した。Journal of the American Medical Informatics Association誌オンライン版2016年3月14日号の報告。 BD患者7例に、行動および状況パターンを推測する目的で、加速度計、マイク、位置、コミュニケーションといった情報のデータを受動的に収集するスマートフォンを4週間使用させた。参加者は、スマートフォンアプリを用いてSRMエントリーを完了した。 主な結果は以下のとおり。・自動感知は、SRMスコアを推定するために使用可能であった。・ロケーション、移動距離、会話の頻度、非定常の時間を入力項目として用いた、この一般化モデルの二乗誤差(RMSE)は1.40であった。なお、適正パフォーマンスの範囲は、SRMスコア(0-7)である。・個別化モデルは、さらに向上し、ユーザー全体での平均RMSEは0.92であった。・センサーストリームを用いた分類は、高精度に安定状態(SRMスコア3.5以上)、不安定状態(SRMスコア3.5未満)を予測することが可能である(適合率:0.85、再現率:0.86)。 著者らは「自動スマートフォン感知は、リズムを推定するための実行可能なアプローチであり、BD患者のウェルビーイングの重要なマーカーである」とまとめている。関連医療ニュース 双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場 双極性障害の診断、DSM-IV-TRでは不十分 スマホ版うつ病スクリーニングアプリの精度は

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