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早期抗レトロウイルス療法によるカップルのHIV-1伝播予防、5年超の効果/NEJM

 性的パートナーの一方でHIV-1感染陽性が認められた場合、すみやかに抗レトロウイルス療法(ART)が行われるようになったのは、HIV-1血清陽性・陰性者カップル間での伝播予防について検討したHPTN(HIV Prevention Trials Network)052試験の中間報告で、96%超の伝播予防効果が報告されたことによる(追跡期間中央値1.7年、2011年5月発表)。同研究について、追跡5年超の解析結果が、米国・ノースカロライナ大学のM.S. Cohen氏らによって発表された。早期治療群のカップル間伝播の低減効果が持続していることが確認されたという。NEJM誌オンライン版2016年7月18日号掲載の報告。1,763組をART早期治療群と待機的治療群に割り付け追跡 HPTN052試験は9ヵ国(米国、ブラジル、インド、タイほかアフリカ5ヵ国)13都市で、一方のパートナーがHIV感染陽性のカップル1,763組を集めて行われた。被験者をARTの早期治療群(886組)または待機的治療群(877組)に無作為に割り付けて検討。早期治療群は登録後すぐに治療を開始し(登録時の患者のCD4+細胞は350~550個/mm3)、待機的治療群はCD4+細胞が連続250個/mm3以下もしくはAIDS疾患定義に基づく発症が認められた場合に治療を開始した。 試験の主要エンドポイントは、陰性パートナーにおける、カップル間の伝播を示すHIV-1感染の診断で、intention-to-treat解析で評価した。5年超時点も早期ART群の伝播抑制効果は97% 追跡期間中央値は早期ART群、待機的ART群ともに5.5年。解析には1万31人年、8,509組が組み込まれた。 試験期間中、78組のHIV-1感染が観察された(年間発症率:0.9%、95%信頼区間[CI]:0.7~1.1)。72組(92%)についてウイルス学的関連を調べた結果、カップル間伝播が確認されたのは46組(早期ART群3組、待機的ART群43組、発生率0.5%、95%CI:0.4~0.7)、26組は伝播が確認されなかった(同:14組、12組、0.3%、0.2~0.4)。 早期ARTは待機的ARTよりも、カップル間伝播のリスクが93%低かった(ハザード比:0.07、95%CI:0.02~0.22)。なお、カップル間伝播は、陽性パートナーがARTによってウイルス抑制効果が認められている間は観察されなかった。

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スキャフォールド血栓症の傾向と対策

 本年(2016年)7月に開催された第25回日本心血管インターベンション治療学会学術集会(CVIT2016)にて、オランダ・エラスムス大学 胸部疾患センター/アムステルダム大学の外海 洋平氏が「Can We Prevent Scaffold Thrombosis ?」と題し、これまでの研究データから、生体吸収性スキャフォールド(BVS)血栓症の原因、病態、予防方法について解説した。 BVS血栓症の発症率は、ABSORB-II、-III、-Japan、-Chinaなどをまとめたランダム化比較試験の2,330症例では、Early phaseで0.86%、Late phaseでは0.31%であった。また、All comers trialの7,043症例でみると、Early Phaseで1.08%、Late Phaseでは1.00%であった。 次に、血栓症の内訳について、Publishされた100例のケースレポート(2016年4月現在)のうち、イメージングデータを有する43例の分析結果として紹介した。Early PhaseのBVS血栓症では、malapposition、incomplete lesion coverage、under-deploymentが多く認められた。一方、Late(1ヵ月~1年)およびVery late Phase(1年以降の発症)のスキャフォールド血栓症では、malapposition、late discontinuity、peri-strut low intensity areaが多く認められた。 malappositionおよびincomplete lesion coverageでは、それ自体が引き金となって血栓を生じるケースが報告されている。under-deploymentについては、拡張不十分でストラットの密度が濃くなり、血流が障害され、血栓リスクが高くなる。late discontinuityは生体吸収の過程でプログラムされた現象であり、イベントへの関連は報告されていないが吸収過程のストラットが新生内膜でカバーされていない場合に血栓症リスクが高まる。一方、peri-strut low intensity areaについては血栓症との関連は明らかになっていない。 これらのイメージング所見から、BVS血栓の原因は病理学的に、(1)厚いストラットによりlaminar flow(層流)が障害され、endothelial shear stressが変化することで血小板が活性化し、血栓形成が促される。(2)PLLAの分解の過程で生じるプロテオグリカンが強い血栓原性を持ち、これが血流に接触することで血栓が生じる。(3)生分解の過程でストラット周囲に微小な炎症が起こり、血栓形成につながる可能性がある、の3つに分けられる。 BVS血栓症の予防対策としては、BVSに特化した留置戦略(BVS-specific implantation strategy)の使用が挙げられる。この戦略の内容は、(1)前拡張では、non compliantバルーンを用いreference vessel径まで広げる(2)バルーン拡張を造影で確認し、十分に拡張しているケースのみにBVSを用いる(3)reference vessel径と同じサイズのBVSを10~12気圧で留置する(4)後拡張では、non compliantバルーンを用い最大+0.5mmまで14~16気圧で広げる、といったものだ。実際、このストラテジーを用いることで血栓症が減ることが研究で明らかになっている。また、現在開発中の次世代のBVSでは、ストラット厚が薄くなっており、血栓症発症リスクの改善が期待される。

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HbA1c、糖尿病の有無にかかわらず眼底循環と相関

 レーザースペックルフローグラフィ(LSFG)を用いて視神経乳頭と脈絡膜の血行動態を測定し、糖尿病の有無で血行動態パラメータと空腹時血糖値およびHbA1cとの関連を調べたところ、非糖尿病患者でもHbA1cが視神経乳頭と脈絡膜の血流に影響を及ぼすことを、東邦大学大森病院眼科の柴 智恵子氏らが明らかにした。著者は、「LSFGは無症候性の眼循環異常の検出に有用」とまとめている。Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology誌オンライン版2016年7月20日掲載の報告。 研究グループは、連続196症例(男性151例、女性45例)を対象に、眼底のLSFGパルス波形を解析して視神経乳頭および脈絡膜の血流速度(mean blur rate:MBR)、血流量(blowout score:BOS)および血流駆出時間(blowout time:BOT)を評価し、これらLSFGパラメータの独立した寄与因子を検討した。 また、非糖尿病患者147例におけるLSFGパラメータ、空腹時血糖値およびHbA1c値との関連も評価した。主な結果は以下のとおり。・重回帰分析の結果、ヘマトクリット値とHbA1cが、脈絡膜におけるMBRの独立した寄与因子であることが示された。・年齢、性別、脈圧、心拍数、球面屈折度およびHbA1cは、視神経乳頭におけるBOSの独立した寄与因子であった。・年齢、身長、脈圧、心拍数およびHbA1cが、脈絡膜におけるBOSの独立した寄与因子であった。・ピアソンの相関分析の結果、非糖尿病患者において視神経乳頭と脈絡膜のBOTがHbA1cと有意に相関していることが認められた。

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未分化大細胞型リンパ腫〔ALCL : anaplastic large cell lymphoma〕

1 疾患概要■ 概念・定義未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma:ALCL)は、1985年Steinらによって初めて特徴づけられたaggressive lymphomaである。キール大学で開発されたCD30に対するKi-1抗体によって認識される活性化T細胞由来のリンパ腫で、Ki-1リンパ腫との異名ももっていた。以前「悪性組織球症」といわれていた症例の多くがこのリンパ腫であることが判明し、リンパ球の活性化マーカーであるCD30、CD25のほか、上皮性細胞マーカーであるEMAが陽性となる特徴を有する。腫瘍細胞は胞体が豊かなホジキン細胞様で馬蹄様核をもつhallmark cellが特徴的である(図)。画像を拡大するこの多形芽球様細胞の形態を示すリンパ腫には、全身性ALCLのほか、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のanaplastic variantや病変が皮膚に限局する皮膚ALCLがある。また、豊胸手術後に乳房に発症するALCLも、最近注目されるようになった。ALCLは、あくまで末梢性T細胞リンパ腫の一病型であり、B細胞由来のものは含まれない。ALCLは、インスリン受容体スーパーファミリーの受容体型チロシンキナーゼであるanaplastic lymphoma kinase(ALK)をコードするALK1遺伝子の発現増強を認めるALK陽性ALCLと、発現増強を認めないALK陰性ALCLに分類される。皮膚ALCLや豊胸術後のALCLは共にALK陰性である。■ 疫学ALCLは、わが国で発症する非ホジキンリンパ腫の中で、3%程度を占めるまれな疾患である。ALK陽性ALCLは、ほとんどが50歳以下で発症し、発症のピークは10代の若年者である。一方、ALK陰性ALCLは、加齢とともに発症頻度が増し、50代に多い。両者ともやや男性に多く発症する。皮膚ALCLと豊胸術後のALCLについては、わが国での頻度は不明である。■ 病因ALK陽性ALCLは、t(2;5)(p23;q35)の染色体異常を80%程度に認める。2番染色体2p23に位置するALK1遺伝子が5q35のNPM遺伝子と結合して融合遺伝子を形成し、その発現増強が腫瘍の発症・維持に重要と考えられている。この転座によって生じるNPM-ALKはホモダイマーを形成し、midkineなどのリガンドの結合なしにキナーゼ活性を亢進させ、PI3KからAkt、STAT3やSTAT5などの細胞内シグナル伝達を活性化させる。ALK1遺伝子はNPM遺伝子以外にも1q21/TPM3などの遺伝子と融合するが、このような場合でもALKのホモダイマー形成が生じ、ALKの構造的活性亢進が起きるとされている。NPMは核移行シグナルをもち、NPM-ALKとNPMのヘテロダイマーは核まで移行するため、t(2;5)異常をもつALCLでは、ALKが細胞質のみならず、核も染色される。一方、ALK陰性ALCLの病因はすべて明らかにされているわけではない。アレイCGHやgene expression profilingによる解析では、ALK陰性ALCLは、ゲノム異常や遺伝子発現パターンがALK陽性ALCLとはまったく異なることがわかっている。ALK陰性ALCLの中には、t(6;7)(p25.3;q32.3)の染色体転座をもち、6p25.3に位置するDUSP22遺伝子の切断による脱リン酸化酵素機能異常が確認されている群がある。6p25には転写因子をコードするIRF4遺伝子も存在するが、末梢性T細胞性リンパ腫・非特定型や皮膚ALCLにおいても6p25転座が認められることがあり、それらとの異同も含めてまだ不確定な部分がある。皮膚ALCLはリンパ腫様丘疹症(lymphomatoid papulosis)との異同が問題となる症例があり、これらは皮膚CD30陽性リンパ増殖性疾患という範疇であって、連続性の疾患と捉える向きもある。豊胸術後のALCLについてはまだ不明な点が多い。■ 症状全身性ALCLは、診断時すでに進行期(Ann ArborシステムでIII期以上)のことが多く、B症状(発熱・体重減少・盗汗)を認めることが多い。リンパ節病変は約半数に認められ、節外病変も同時に伴うことが多い。ALK陽性ALCLでは、筋肉などの軟部組織や骨が多く、ALK陰性ALCLでは皮膚・肝臓・肺などが侵されやすい。皮膚ALCLは孤立性または近い部位に複数の皮膚腫瘤を作ることが多いが、所属リンパ節部位以外の深部リンパ節には病変をもたず、その点が全身性ALCLとは異なる。また、豊胸術後のALCLも80%以上の症例が乳房に限局しており、その中で腫瘤を作らずeffusion lymphomaの病態をとるものもある。両者とも発熱などの全身症状は認められないことが多い(表)。画像を拡大する■ 予後ALK陽性ALCLは、末梢性T細胞リンパ腫の中でも予後のよい病型である。5年の全生存割合は80%程度で、ALK陰性ALCLの40%程度と比べて、CHOP療法などのアントラサイクリン系抗生剤を含む初回化学療法によって、効果が期待できる疾患である。ヨーロッパの小児領域における3つの大規模臨床研究の結果から、(1)縦隔リンパ節病変(2)体腔内臓器浸潤(肺、脾、肝)(3)皮膚浸潤が予後不良因子として重要で、これら1項目でも満たすものを高リスク群とみなす。高リスク群は5年の全生存割合が73%と、標準リスク群の94%に比べて有意に下回る結果を示している。小児領域のALCLは、90%がALK陽性例で占められるが、成人領域と比べるとリスクに応じてかなり強度を上げた治療が施行され、高リスク群の治療成績は比較的良好な結果を示していると思われる。一方、成人例に多いALK陰性ALCLは、aggressive lymphomaで共通する国際予後指標(international prognostic index〔IPI〕: 年齢、performance status、LDH値、節外病変数、臨床病期からスコア化する)が参考となるが、(1)骨髄浸潤(2)β2ミクログロブリン高値(3)CD56陽性なども予後不良因子として認識されている。International T-cell lymphoma projectによる検討では、ALK陰性ALCLの60%程度を占めるIPI 3項目以上の患者群における5年の全生存割合は、CHOP療法主体の治療を受けても30%を下回る結果となっている。ただし、ALK陰性であっても皮膚ALCLや豊胸術後のALCLは限局例が多く、生命予後はそれほど悪くない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)ほかの悪性リンパ腫と同様、ALCLの診断には、(1)組織診断による病型の確定(2)PET-CTなどの画像検査と骨髄検査による正確な臨床病期診断が必須である。また、皮膚に病変がある場合には、全身症状と病変の分布について、しっかりと把握しなければならない。■ 組織診断HE染色による腫瘍の形態観察とhallmark cellの有無を確認する。hallmark cellがあればALK染色によってALK陽性かALK陰性かを明らかにする。まれにsmall-cell variantや反応性の組織球増生が特徴的なlymphohistiocytic variantがあるので注意を要する。これらはALK陽性ALCLのうち、治療反応の乏しい形態学的亜型として注目されている。さらに腫瘍細胞の特定には、CD30、EMA、lineage marker、TIA-1、granzyme Bなどの細胞傷害性分子の発現を免疫染色で評価する。ALK陽性例についてはFISH検査で2p23の転座があるか確認する。■ 臨床病期診断ALCLはFDG-avidな腫瘍であり、FDG-PETを組み込んだPET-CT検査によって臨床病期診断のみならず治療効果の判定が可能である。皮膚に限局しているようにみえても、PETで深部リンパ節病変が指摘された場合には、全身性ALCLとして対応しなければならない。骨髄検査は、リンパ腫細胞の浸潤の有無と造血能の評価を行うことを目的とする。単なる形態診断だけでなく、免疫染色や染色体・FISH検査によって腫瘍の浸潤評価を行う必要がある。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)前述した通り、全身性ALCLは進行期例が多いことから、アントラサイクリン系抗生剤を含む多剤併用化学療法が施行される。ALK陽性ALCLでは、CHOP様レジメンで90%近くに奏効が得られ、再発・再燃の割合もALK陰性ALCLよりも低く、5年の生存割合は70%以上を維持できる。つまり、低リスク群の初回治療はCHOP様レジメンで十分といえる。高リスク群に対し、小児領域では髄腔内抗がん剤投与を含む強度を上げた治療が行われている。成人領域ではなかなか治療強度を上げることが難しいため、自己造血幹細胞移植(autologous hematopoietic stem cell transplantation: ASCT)が考慮される。また、小児領域の治療研究では、ビンブラスチン(商品名:エクザール)が単剤で再燃を延長させる効果をもつことが示されている。高リスク群では、この薬剤をいかに利用して再燃を防ぐことができるのか、今後のレジメン内容を考えるうえでも、さらなる検討が必要である。一方、成人に多いALK陰性ALCLに対しては、現時点で標準化学療法が確立した状況とはいえない。CHOP療法による奏効割合は80%程度期待できるものの、再発・再燃の割合も高く、無増悪生存割合は最終的に20%台まで落ち込んでしまう。成人領域のALCLに対する治療研究は、ほかの末梢性T細胞リンパ腫の病型と同時に含まれて対象とされるため、ALCLに限った治療法が開発されているわけではない。そのため今後も残念ながら、個々の病型に対する標準治療が確立しにくい状況なのである。ALCL患者を対象として多く含む、ドイツの複数の前向き治療研究の解析結果をまとめると、CHOP療法にエトポシド(同:ラステットほか)を加えたほうが完全奏効割合や無イベント生存割合が改善することがわかっている。また、末梢性T細胞リンパ腫全体では、治療強度を上げることが必ずしも全生存割合の向上に寄与しているとは証明されていないが、それは十分な治療効果を生む標準化学療法が確立していないことが背景にあるためと考えられる。全身放射線を前処置として用いないASCTを初回奏効例に施行する、ノルウェーから報告されたNLG-T01試験では、ALK陰性ALCLに対する5年の全生存割合は60%以上を示し、他の病型よりも期待のもてる結果を示している。小児領域のリスクに応じて強度を調節する治療研究の結果も踏まえて考えると、ALK陰性ALCLに対し、治療強度を上げることで生存に有利となる患者群がいることがわかる。こういった問題は、今後も前向き治療研究の場で確定していかなければならない。実地診療において現時点では、CHOPあるいはCHOEP、EPOCHなどのエトポシドを含むCHOP様レジメンが初回治療として選択されることになる。非常にまれな皮膚ALCLや豊胸術後のALCLについての標準治療法は確立されていない。皮膚ALCLは限局性であれば、外科的切除、電子線照射が試みられる。多発性腫瘤の場合には化学療法が行われるが、どのような治療が適切か確固たるエビデンスはない。経験的に少量メトトレキサート、少量エトポシドなどの内服治療が行われている。豊胸術後のALCLも外科的切除で、対応可能な限局期症例の予後は比較的良好であるが、両者とも進行期例に対する治療は全身性ALCLに準ずることになる。4 今後の展望小児領域のヨーロッパ・日本の共同研究で検討された中枢神経浸潤についてみると、全体の2.6%に中枢神経系のイベントが認められ、その半数に脳実質内腫瘤を認めている。ヨーロッパのintergroup(EICNHL)のBFM90試験において、メトトレキサートの投与法が24時間から大量の3時間投与として髄腔内投与を施行しなくとも、中枢神経系のイベントは変わらずに同等の治療効果を生むことが確認されている。Lymphohistiocytic variantでは、比較的中枢神経系イベントが多いとされているが、生命予後の悪い高リスク群患者に対して、いかに毒性を下げて治療効果を生むかという点について、今後も治療法の進歩が期待される。小児領域と成人領域では、治療強度とそれに対する忍容性が異なる。成人領域では治療強度を上げるためには、ASCTを考慮しなければならず、とくに10代後半~20代の患者群に対する治療をどうしていくか、まだまだ解決しなければならない課題は多い。ALK陽性ALCLはALKが分子標的となるため、ALK陽性非小細胞肺がんで効果を示しているALK阻害薬が、今後の治療薬として注目される。クリゾチニブ(同: ザーコリ)は第I相試験が海外で終了しており、今後ALCLに対する有効性の評価がなされていくことになる。わが国ではそれに先立ち、再発・難治性のALK陽性ALCLに対してアレクチニブ (同: アレセンサ) の第II相試験が現在進行中である。また、CD30を標的したマウス・ヒトキメラ抗体のSGN-30は、皮膚ALCLに対する一定の効果は認められたものの、全身性ALCLに対する効果は不十分であったため、SGN-30に微小管阻害薬であるmonomethylauristatin Eを結合させたSGN-35(ブレンツキシマブ ベドチン、同: アドセトリス)が開発された。ブレンツキシマブ ベドチンは再発・難治性のALCL58例に対し、50例(86%)に単剤で奏効を認めており(33例に完全奏効)、再発・難治例に期待できる薬剤である。有害事象として血球減少以外に、ビンカアルカロイドと同様の神経障害が問題となるが、ホジキンリンパ腫でABVD療法と併用した際に肺毒性が問題となっていて、ブレオマイシン(同:ブレオ)との併用は難しいものの、アントラサイクリン系抗生剤やビンブラスチンとの併用が可能であることを考えると、ALCLに対して化学療法との併用の可能性も広がると考えられる。5 主たる診療科血液内科、小児科、皮膚科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報European Intergroup for Childhood NHL(欧州で開催された医療従事者向けのフォーラムの内容)患者会情報グループ・ネクサス・ジャパン(悪性リンパ腫患者とその家族の会)1)Savage KJ, et al. Blood.2008;111:5496-5504.2)Kempf W, et al. Blood.2011;118:4024-4035.3)Ferreri AJ, et al. Crit Rev Oncol Hematol.2012;83:293-302.4)Ferreri AJ, et al. Crit Rev Oncol Hematol.2013;85:206-215.5)Miranda RN, et al. J Clin Oncol.2014;32:114-120.公開履歴初回2014年03月13日更新2016年08月02日

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うつ病患者に対する継続ECTの新たな戦略

 米国・マウントサイナイ医科大学のCharles H Kellner氏らは、うつ病高齢者に対する寛解延長を評価したthe Prolonging Remission in Depressed Elderly(PRIDE)研究のフェーズ2において、フェーズ1でECT成功後のうつ病高齢患者を対象として継続ECTと薬物療法併用の有効性と忍容性を、薬物療法単独と比較し、評価した。The American journal of psychiatry誌オンライン版2016年7月15日号の報告。 PRIDEは、2相マルチサイト研究である。フェーズ1は、右片側性刺激でのultrabrief Pulse ECTとベンラファキシン増強の急速コースであった。フェーズ2では、薬物治療単独群(ベンラファキシンとリチウムを24週間)とECTに薬物治療併用群(4連続ECTを1ヵ月以上、必要に応じて追加、アルゴリズムベースの長期的ECT [STABLE] アルゴリズム、ベンラファキシンとリチウムを継続)の2つの無作為化治療群を比較した。intention-to-treat集団は、フェーズ1における寛解例120例を含んでいた。有効性の主要評価項目は、24項目ハミルトンうつ病評価尺度スコア(HAM-D)とし、副次的有効性評価は、臨床全般印象・重症度スコア(CGI-S)とした。ほかで報告された神経認知パフォーマンスにより測定された忍容性は、MMSEのような包括的認知機能尺度である大規模試験バッテリーを用いて評価した。有効性や包括的認知機能アウトカムをECTと薬物療法併用群と薬物治療単独群を比較するため、長期混合効果反復測定モデルを使用した。 主な結果は以下のとおり。・24週時点で、ECTと薬物療法併用群は、薬物療法単独群よりも統計学的に有意に低いHAM-Dスコアを示した。・試験終了時点での調整平均HAM-Dスコアの差は4.2(95%CI:1.6~6.9)であった。・ECTと薬物療法併用群では、薬物療法単独と比較し、CGI-Sで「まったく病気ではない」と評価された患者が有意に多かった。・MMSEスコアは、両群間に統計学的に有意な差は認められなかった。・追加ECT後の寛解は、多くの患者の気分改善を維持するうえで有益であった。関連医療ニュース うつ病へのECT、ケタミン併用の検討が進行 精神疾患患者に対するECT後の転帰を予測することは可能か 日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project

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中年者の半月板変性断裂には運動療法が推奨/BMJ

 中年者の半月板変性断裂に対する、運動療法 vs.関節鏡下半月板部分切除術の優越性を検討した無作為化試験の結果、2年時点で両群間に有意差は認められなかったことが、ノルウェー・Martina Hansens HospitalのNina Jullum Kise氏らにより発表された。一方で3ヵ月後の短期評価では、運動療法群のほうが筋力の有意な改善が認められた。著者は、「疼痛を有しMRIで半月板変性断裂を確認したが、X線画像所見として変形関節症の徴候が認められない場合は、運動療法を治療オプションと考慮すべきである」と述べている。BMJ誌オンライン版2016年7月20日号掲載の報告。平均年齢49.5歳を対象、関節鏡下半月板部分切除術と比較 試験は、ノルウェーの2つの公的病院整形外科と2つの理学療法クリニックで行われた。被験者は平均年齢49.5(範囲:35.7~59.9)歳の140例で、MRIで内側半月板変性断裂を確認。96%において膝変形性関節症の明らかなX線所見は認められなかった。 研究グループは被験者を無作為に2群に割り付け、一方には運動療法のみを、もう一方には関節鏡下半月板部分切除術のみの介入を行った。 主要評価項目は、intention-to-treat解析による、ベースラインから2年時点の膝損傷・変形性関節症アウトカムスコア(KOOS4)の両群間の差。アプリオリに定義した5つのKOOSサブスケール(疼痛、他の症状、スポーツまたはレクリエーション機能、膝関連QOL)のうち4つの平均スコアで評価した。また、ベースラインから3ヵ月時点の大腿筋力の変化も評価した。2年時点でKOOS4の両群差は認められず 結果、2年時点のKOOS4の両群変化に、臨床的に意義のある差は認められなかった(0.9ポイント、95%信頼区間[CI]:-4.3~6.1、p=0.72)。3ヵ月時点の評価では、運動療法群の筋力の有意な改善が認められた(p≦0.004)。 重篤な有害事象は、追跡期間中、両群とも報告されなかった。なお、運動療法群に割り付けられた被験者のうち19%が、追跡3~16ヵ月(平均7.7ヵ月)に手術も受けたが、付加的なベネフィットは得られなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「観察された2年時点の治療間の差はわずかであり、臨床的に意義のある差を除外するには、試験の不確実性の推論があまりにも小さかった。短期的には少なくとも、運動療法群は手術群よりも大腿筋力の改善に有効であることが示された」と述べ、運動療法を治療選択肢として考えることを、臨床医と患者に推奨しなければならないとまとめている。

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夜尿症推計78万人のうち受診は4万人

 12年ぶりの改訂となる「夜尿症診療ガイドライン2016」(日本夜尿症学会編)の発刊に伴い、7月20日に都内でメディアセミナーが開催された(フェリング・ファーマ株式会社、協和発酵キリン株式会社などの共催)。セミナーでは、ガイドライン改訂の意義、内容、治療の実際について、3名の医師がレクチャーを行った。多くの医療者に使ってほしいガイドライン はじめに金子 一成氏(関西医科大学小児科学教室 主任教授)が、「夜尿症ガイドライン改訂の意義」と題して、夜尿症診療の現状、新しいガイドラインの概要と改訂の意義、今後の展望について説明した。 「夜尿症とは、5歳以上の小児の就寝中の間欠的尿失禁であり(昼間の尿失禁は問わない)、1ヵ月に1回以上の夜尿が3ヵ月以上続くもの」とされる。両親共に夜尿症の既往があると70%の確率で子供にも発生するとされ、小学生では男子に多く、中学生では女子に多いとされる。自然に治る確率は10人に1人と言われるが、治療介入を行った場合は半数が1年以内に治るとされる。 病因はいまだ解明されておらず、主に睡眠中の覚醒障害のほか、尿量の日内変動調節機構の未発達、機能的膀胱容量過少など、さまざまな説明が試みられている。 生命に関わる疾患ではなく、自然に治るものでもあることから、現在でも積極的な治療介入は行われていない。 治療法としては、国際小児禁制学会(ICCS)が提唱する推奨治療である、患児への生活指導、デスモプレシン療法などの薬物治療、夜尿アラーム療法などが行われている。 患児の数は、幼稚園年長児の約15%、小学校3年生で約8%、小学校5~6年生で約5%とされ、わが国の患者数は約78万人と推計されている。夜尿症に関する情報サイト「夜尿症ナビ」が行った保護者(n=563)へのインターネット調査によれば、97%の保護者が夜尿症を治したいと思っているにもかかわらず、過去も含め受診させている保護者はわずか21.5%だった。 夜尿症を放置する弊害として、患児の自尊心低下から生じる内向的性格の形成、種々の学校行事への不参加からくるいじめや不登校、母子関係の悪化、虐待、発達障害の増悪などが指摘されている。そのため、患児の良好な精神発達のためにも、早期の治療介入が期待されるという。 夜尿症の診療を行う医師が不足する中、小児科医のみならず、家庭医として患児を診療している医師にも診療できるようにと、今回ガイドラインが改訂された。新しいガイドラインでは、最新のエビデンスを理解しやすく解説するとともに、具体的な対応法も記載されているため、家庭医の夜尿症診療に役立つと思われる。 「夜尿症は、適切な治療で治る病気であり、健全な患児の成長を促すためにも、積極的に治療に介入してほしい」と期待を述べ、説明を終えた。有効かつ安全な初期治療を提示するガイドライン 続いて、大友 義之氏(順天堂大学医学部附属練馬病院小児科 先任准教授)が、「改訂された『夜尿症診療ガイドライン』」について、今回のガイドライン改訂のポイントを解説した。 前回のガイドラインでは、病型の複雑さにより非専門医の診療があまり進まなかった。また、小児科医と泌尿器科医との間で治療指針の乖離や、諸外国のガイドラインと比較して治療での細かい違い(とくに三環系抗うつ薬の使用)といった問題もあり、ガイドライン自体の普及が進まない事態となっていた。そこで、今回は「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」に準拠する形で改訂が行われた。 新しいガイドラインでは、非専門医向けに診療のアルゴリズムを整理し、どこまで非専門医が診療をするのかを明示した。また、クルニカルクエスチョン(CQ)を掲示することで、臨床で遭遇する課題に速やかに対応できるようにした。たとえば、抗利尿ホルモンのデスモプレシン療法は、単独またはアラーム療法(下着にセンサーを留置し、夜尿発生をアラームで警告し、排尿を促す条件付け療法)との併用で記載されているが、推奨グレードは「1A」である。三環系抗うつ薬は、推奨グレード「2A」となり、デスモプレシン療法とアラーム療法でも効果が見られない場合に提案するとしている。 「今回の改訂では、『有効で、かつ、安全な初期治療』を非専門医が行えるように提示した。今後、多くの家庭医に、夜尿症治療に取り組んでいただきたい」と説明を終えた。患児と保護者のケアも治療では大事 次に、中井 秀郎氏(自治医科大学小児泌尿器科 教授)が、「夜尿症治療の実際と患者のメリット」について解説を行った。 夜尿症患児のうち、医療機関への治療を受けているのは全体の20分の1にとどまり、そのうえせっかく医療機関を受診しても「経過観察」で終わっている場合が多いという。 夜尿症は、子供の疾患の中でもアレルギー疾患に次いで多い疾患であり、保護者もこのことを認識するとともに、子供の病気に対する「焦らない」「叱らない」などの接し方、および患児から治すための気力を引き出すことが重要であると説明する。 新しいガイドラインの診療アルゴリズムでは、3つの夜尿症の治療法が示されている。 1)生活習慣の見直し(規則正しい生活、水分・塩分摂取法、就寝前のトイレなど) 2)アラーム療法(夜尿警告機器を使用した条件付け) 3)薬物療法(デスモプレシン、抗コリン薬、三環系抗うつ薬) いずれも夜尿症の非専門医でも治療介入できるものであり、早期の治療介入により早く治せることが期待されている。 最後に夜尿症治療のポイントとして、「前述の治療法だけでなく、治療の際には、患児と保護者の心理的負担もケアする必要があり、患児のやる気を引き出し、“治したい”という気持ちを維持していくこと、患児・家族と話し合い、患児本人にできるだけカスタマイズした方法で治療を続けていくこと、専門医以外の多くの医師(主に小児科医)が診療に携わることで、早期治療につながるように希望する」と語り、レクチャーを終えた。(ケアネット 稲川 進)参考文献はこちらNeveus T, et al. J urol.2010;183:441-447.関連リンク日本夜尿症学会おねしょ卒業!プロジェクト

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向精神薬継続のカギは「薬への不安と期待のバランス整調」にあり

 精神疾患における薬物療法で課題となるのが、抗うつ薬のアドヒアランス低下にどう対処するかであり、医療者が少なからず頭を悩ませるところである。先月、日本精神神経学会が都内で開いたプレスセミナーにおいて、向精神薬の現状と課題をテーマに専門医3氏が講演を行った。本稿では、菊地 俊暁氏(杏林大学神経科学教室)による講演「薬物療法にまつわる患者の気持ち~患者が抱く期待と不安~」を取り上げる。期待と不安に揺れる患者の心理 精神疾患に対する薬物療法は、目に見える形で効果を実感しづらい。だからこそ患者は薬に対する期待と不安がない交ぜになるのだ、と菊地氏は語る。症状が良くなったことで服薬を中止するのならばやむを得ないが、実際にはそうではない理由で中止するケースが多いのだという。2009年の国内研究によると、初診のうつ病患者367人のアドヒアランスを追跡したところ、抗うつ薬を服用して6ヵ月の時点で、約5~6割の患者は、治療途中にもかかわらず服薬を中止していることがわかった。 なぜ服薬をやめてしまうのか。菊地氏はフィンランドの研究データ(2005年)を引いて説明する。それによると、抗うつ薬のアドヒアランス低下の理由として最も多かったのが「薬物依存への恐怖心」(43%)であり、次いで「副作用への恐怖心」(41%)が多くを占めた。アドヒアランス低下の3因子 さらに別の研究データによると、アドヒアランス低下の理由には、大きく3つの因子が考えられるという。すなわち、(1)病気の否定(病識の欠如、疾病の否認、自責・自己否定)、(2)治療継続の負担(服薬習慣やモチベーション維持、服薬スケジュールの順守、副作用や治療コスト、周囲の援助の欠如など)、(3)治療への不安(依存や副作用・治療効果への不安、家族の否定的な捉え方、不調な患者-医師関係)、である。なかでも、治療への不安の背景には、服薬をめぐる医師と患者のコミュニケーションのずれがある。医師と患者のコミュニケーションは、アドヒアランスを大きく左右するカギとなっているが、「医師が思うほど患者には説明が十分に伝わっていない」という認識のずれは、アドヒアランス低下の見過ごせない要因であるという。 JAMA 誌2002年9月号に掲載された論文によると、うつ病患者538人とその担当医師に対する調査で、72%の担当医師が「服薬が少なくとも6ヵ月以上は必要であることをその都度説明している」と報告しているのに対し、「医師からそのように説明を受けた」と認識している患者は34%(137人)にとどまり、56%(228人)については「何も説明を受けていない」と答えている。この認識のずれが、適切なコミュニケーションにより是正されれば、患者の不安軽減につながり、ひいては治療継続につながるため非常に重要なポイントである。プラセボにも“一定の効果”あり 一方で、薬に対する患者の期待が大きいことも事実である。菊地氏は、過去の臨床試験からみる薬の治療効果について、興味深いデータを紹介した。それによると、抗うつ薬服用群とプラセボ服用群で比較すると、治療開始から40日経過後、抗うつ薬服用群では約8割で治療効果がみられ、プラセボ服用群においても約6割で好転反応がみられたという。この結果からわかることは、うつ病治療の臨床では、治療において薬の効果とそれ以外の効果が少なからずあるということである。また、このプラセボ効果は、薬物療法のみならず精神療法でも期待できるのだという。 菊地氏は、「医療者は、患者が抱える不安と期待のバランスをいかに整えていくかが非常に重要。適切なコミュニケーションにより不安を和らげ、期待を適切な状態に保つことが、アドヒアランスの向上および治療継続のカギになる」と述べた。

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PDE4阻害薬軟膏、小児・成人のアトピー性皮膚炎に有用

 アトピー性皮膚炎に対し、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬のcrisaborole軟膏は、有効性のすべての評価項目を改善し良好な安全性プロファイルを示したことが報告された。米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らが行った、アトピー性皮膚炎の小児と成人を対象に行った第III相の2試験において示された。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版7月7日号の掲載報告。 研究グループは、crisaborole軟膏の有効性および安全性を評価する2件の第III相試験(AD-301試験[NCT02118766]、AD-302試験[NCT02118792])を実施した。 2試験とも試験デザインは同じで、軟膏基剤を対照とした二重盲検試験。医師による全般重症度評価(Investigator's Static Global Assessment:ISGA)で軽症~中等症のアトピー性皮膚炎と診断された2歳以上の小児および成人患者を、crisaborole群と軟膏基剤塗布群に2対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日2回、28日間塗布した。 主要評価項目は、29日目のISGAスコア改善(症状消失[0]/ほぼ消失[1]、かつベースラインからのスコアが2グレード以上改善)であった。また、ISGAスコア改善までの期間、症状消失/ほぼ消失の患者の割合、アトピー性皮膚炎症状の重症度の低下、およびそう痒の改善までの期間についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・2試験ともに、ISGAスコア改善を達成した患者の割合は、crisaborole群が軟膏基剤群より高かった。AD-301試験(32.8% vs.25.4%、p=0.038)、AD-302試験(31.4% vs.18.0%、p<0.001)。・同様に症状消失/ほぼ消失の患者の割合も、crisaborole群が高かった。AD-301試験(51.7% vs.40.6%、p=0.005)、AD-302試験(48.5% vs.29.7%、p<0.001)。・crisaborole群では、軟膏基剤群よりISGAスコアの改善ならびにそう痒の改善が、より早期に達成された。・治療関連有害事象はまれで、有害事象の重症度は軽度~中等度であった。・なお結果は、試験期間が短く、限定的である。

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136)自覚症状がないから怖い高血圧【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、血圧が上がると、何か自覚症状がありますか? 医師自覚症状ですか…どんな症状を予想されますか? 患者頭痛とか、鼻血とか…。 医師なるほど。中には、頭痛とか、鼻血を起こす人もいますが、ほとんどの人には、自覚症状はとくにありません。 患者そうなんですか。 医師「沈黙の殺し屋、サイレントキラー」と言われている所以です。 患者ということは、自覚症状がなくても血圧はきちんと測っておかないといけないわけですね。 医師そうですね。何か自覚症状がある時に血圧を測定することも大切ですが、普段から血圧を測定する習慣があるといいですね。 患者はい。わかりました(納得した顔)。●ポイント大半の高血圧患者さんには、自覚症状がなく、血圧測定が大切であることを説明します

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第3回 ビグアナイド薬による治療のキホン【糖尿病治療のキホンとギモン】

【第3回】ビグアナイド薬による治療のキホン-ビグアナイド薬による治療のポイントを教えてください。 ビグアナイド(BG)薬は、主に肝での糖新生を抑制し血糖を低下させる、インスリン抵抗性改善系の薬剤です。そのほかに、消化管からの糖の吸収を抑制したり、末梢組織でのインスリン感受性を改善させるといった作用があります。非常に古くから使われている薬剤で、以前は、日本では1日最大用量750mgのメトホルミンしか使用できませんでしたが、海外での使用実績を踏まえ、それまでのメトホルミンの用法・用量を大きく見直し、高用量処方を可能としたメトホルミン(商品名:メトグルコ)が2010年から使用できるようになりました。 上記の作用でインスリン抵抗性を改善し、体重増加を来さないというメリットがあるので、とくに肥満の糖尿病患者さんや食事療法が守れない患者さんに適しています。 腎機能低下例、高齢者、乳酸アシドーシス、造影剤投与に関しては注意が必要ですが、単独で低血糖を起こしにくい薬剤ですので、注意が必要な点を守りながら投与すれば使いやすい薬剤です。-初期投与量と投与回数を教えてください。 通常、1日500mg(1日2~3回に分割)から開始します(各製品添付文書より)。食後投与のものと食前・食後いずれも投与可能な薬剤がありますが、最も異なる点は1日最大用量で、750mg/日(商品名:グリコラン、メデット)と2,250mg/日(同:メトグルコ)があります。メトグルコは通常、750~1,500mg/日が維持用量です。 メトホルミンの主な副作用として消化器症状がありますが、程度には個人差があるように感じています。消化器症状は用量依存性に増加するので、投与初期と増量時に注意し、消化器症状の発現をできるだけ少なくするために、増量する際は1ヵ月以上空けるとよいでしょう。-どの程度の腎障害および肝障害の時、投与を控えたほうがよいでしょうか。 メトグルコを除くBG薬は、腎機能障害患者さん(透析患者含む)には禁忌です(各製品添付文書より)。メトグルコは、腎機能障害がある患者さんに投与する場合、定期的に腎機能を確認して慎重に投与することとされており、中等度以上の腎機能障害および透析中の患者さんが禁忌となっています1)。国内臨床試験で、血清クレアチニン値が「男性:1.3mg/dL、女性:1.2mg/dL以上」が除外基準になっているので1)、それを目安にするとよいでしょう。 ただし、高齢患者さんの場合、血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、実際の腎機能は低下していることがあるので(潜在的な腎機能低下)、eGFR(推定糸球体濾過量)も考慮して腎機能を評価したほうがよいでしょう。 日本糖尿病学会による「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation(2016年5月12日改訂)」(旧:ビグアナイド薬の適正使用に関するRecommendation)では、乳酸アシドーシスとの関連から、腎機能の評価としてeGFRを用い、「eGFRが30mL/分/1.73m2未満の場合にはメトホルミンは禁忌、eGFRが30~45mL/分/1.73m2の場合にはリスクとベネフィットを勘案して慎重投与とする」としています2)。 メトグルコを除くBG薬は、肝機能障害患者さんには禁忌です(各製品添付文書より)。メトグルコは、肝機能障害がある患者さんに投与する場合、定期的に肝機能を確認して慎重に投与することとされており、重度の肝機能障害患者さんが禁忌となっています1)。国内臨床試験で、「ASTまたはALTが基準値上限の2.5倍以上の患者さんおよび肝硬変患者さん」が除外基準になっているので1)、それを目安にするとよいでしょう。-造影剤と併用する時のリスクはどのくらい高いですか? 尿路造影検査やCT検査、血管造影検査で用いられるヨード造影剤との併用によるリスクの程度に関する報告はありませんが、ヨード造影剤は、腎機能を低下させる可能性があるため、乳酸アシドーシスを避けるために、使用する場合は「検査の2日前から検査の2日後の計5日間(緊急の場合を除く)」は服用を中止します3)。また、検査の2日後以降に投与を再開する際には、患者さんの状態に十分注意をする必要があります。-乳酸アシドーシスの頻度と、予防・管理の方法を教えてください。 BG薬による乳酸アシドーシス発現例が多く報告された1970年代を中心とする調査では、フェンホルミン(販売中止)で10万人・年当たり20~60例、メトホルミンでの頻度は10万人・年当たり1~7例程度と報告されています4)。 日本糖尿病学会による「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation(2016年5月12日改訂)」(旧:ビグアナイド薬の適正使用に関するRecommendation)では、乳酸アシドーシスの症例に多く認められた特徴として、1.腎機能障害患者(透析患者を含む)2.脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取など、患者への注意・指導が必要な状態3.心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者4.高齢者 を挙げています2)。 腎機能や心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者、高齢者といった点は、医療従事者側が留意すべきことですが、脱水やシックデイ、過度のアルコール摂取といった点については、これらが乳酸アシドーシスのリスクになるということを患者さんにお伝えしたうえで指導する必要があります。 とくに、脱水には注意が必要です。夏場、室内でも脱水を起こす可能性があること、発熱、嘔吐、下痢、食欲不振などを来すシックデイのときには脱水を起こす可能性があるため、服薬を中止し、かかりつけ医に相談するなど、患者さんに指導する必要があります。炎天下で農作業を行う方も注意が必要です。とりわけ高齢者は脱水に気付きにくいという特徴があります。また、利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害薬など)を服用している場合にも注意が必要です。-高齢者に投与する際の用量について知りたいです。そのまま使い続けてよいのでしょうか。 メトホルミンは、高齢者では、腎・肝機能が低下していることが多く、脱水も起こしやすいため、乳酸アシドーシスとの関連から慎重投与するとされています。高齢者については、青壮年に発症し、すでにメトホルミンを服用している患者さんが高齢になった場合と、高齢になってから発症した場合に分けて考えます。すでにメトホルミンを服用している患者さんが高齢になった場合は、とくに問題がなければ、メトホルミンによって得られる効果を考慮して継続しますが、定期的に腎・肝機能については観察すること、また、用量についても、高用量は使用せず、私は500~750mg/日で維持するようにしています。 高齢になって発症した場合、とくに75歳以上では、慎重な判断が必要とされていますが2)、基本的には推奨されません。1)メトグルコ製品添付文書(2016年3月改訂)2)日本糖尿病学会. メトホルミンの適正使用に関する Recommendation(2016年5月12日改訂)3)日本糖尿病学会編・著. 糖尿病治療ガイド20156-2017. 文光堂;2016.4)Berger W. Horm Metab Res Suppl. 1985;15:111-115.

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アルツハイマー病の味覚障害は老化によるものか:滋賀医大

 アルツハイマー型認知症(AD)は、病理学的に脳内の大規模なニューロン損失により特徴づけられ、味覚野が影響を受けると考えられる。しかし、AD患者における味覚機能に関する報告は少なく、この研究結果は矛盾していることから、滋賀医科大学の小河 孝夫氏らが、プロスペクティブ研究により検討を行った。Auris, nasus, larynx誌オンライン版2016年7月11日号の報告。 本プロスペクティブ研究では、連続した軽度~中等度のAD患者22例(平均年齢:84.0歳)、対照群として認知症のない高齢ボランティア49例(平均年齢:71.0歳)が登録された。対照群は年齢に応じて、若年者群28例(平均年齢:68.5歳)と高齢者群21例(平均年齢:83.0歳)の2群に分類された。味覚機能は、ろ紙ディスク法(FPD)および電気味覚検査(EGM)を用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。・AD患者では、年齢をマッチさせた対照群と比較して、FPDによって測定された味覚機能の有意な低下が認められた。このような差異は、若年者群と高齢者群との間では認められなかった。・一方、EGMの閾値に関しては、AD患者と年齢をマッチさせた対照群との間に差はなかった。 著者らは「AD患者においては老化とは別に、FPD法により味覚機能の低下が認められたが、EGMの閾値に関しては差がなかった。これらの結果から、AD患者では周辺味覚系における味覚伝達障害ではなく、脳における味覚処理の減退が示唆される」としている。関連医療ニュース 認知症では味覚に関する機能も低下:東北大学 家庭の味が認知症ケアには必要 日本食は認知症予防によい:東北大

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甲状腺がん1次治療後の画像診断を再考すべき/BMJ

 分化型甲状腺がんの1次治療後の画像診断検査の実施は、再発治療の増加と関連しているが、放射性ヨウ素スキャンによるもの以外は、疾患特異的生存率の改善には結び付いていないことが、米国・ミシガン大学のMousumi Banerjee氏らの検討で明らかにされた。米国では過去20年で甲状腺がん発症率が上昇しているが、その上昇の大半は死亡に至らない低リスク甲状腺がんの増加による。一方で同一時期に甲状腺がんの1次治療後の画像診断施行も増加したことから、研究グループは、この画像診断の実施が再発治療や疾患死亡の低下と関連していないかを調べた。著者は、「検討の結果は、1次治療後の不必要な画像診断を抑制することの重要性を強調し、甲状腺がんのサーベイランスのあり方を見直す必要があることを提示するものであった」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年7月20日号掲載の報告。1998~2011年の画像診断と再発治療、死亡との関連を評価 研究グループは、住民ベースの後ろ向きコホート研究法にて、米国NCIのSurveillance Epidemiology and End Results(SEER)とメディケアデータベースを結び付けて、検討を行った。 1998~2011年に分化型甲状腺がんと診断された2万8,220例の患者を2013年まで追跡(追跡期間中央値69ヵ月)。分化型甲状腺がんの再発治療の記録(追加的頸部手術、追加的放射線ヨウ素療法、または放射線療法)、分化型甲状腺がんによる死亡について調べた。傾向スコア分析法にて、画像診断(頸部超音波検査、放射性ヨウ素スキャン、PETスキャン)と再発治療(ロジスティックモデルにて)、および死亡(Cox比例ハザードモデルにて)との関連を評価した。頸部超音波、PETは疾患特異的生存率に影響せず 1998~2011年の間に、がん発症率(率比:1.05、95%信頼区間[CI]:1.05~1.06)、画像診断検査(1.13、1.12~1.13)、再発治療(1.01、1.01~1.02)はいずれも増大していた。死亡率は、統計的に意味のある変化はみられなかった(0.98、0.96~1.00)。 多変量解析において、頸部超音波検査は、追加的手術(オッズ比:2.30、95%CI:2.05~2.58)、追加的放射性ヨウ素療法(1.45、1.26~1.69)の尤度を増大することが示唆された。 放射性ヨウ素スキャンは、追加的手術(3.39、3.06~3.76)、追加的放射性ヨウ素治療(17.83、14.49~22.16)、および放射線療法(1.89、1.71~2.10)との関連がみられた。 疾患特異的生存率への有意な影響は、頸部超音波検査(HR:1.14、95%CI:0.98~1.27)、PETスキャン(0.91、0.77~1.07)では認められなかったが、放射性ヨウ素スキャンでは改善が認められた(0.70、0.60~0.82)。

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皮下埋め込み型ブプレノルフィン、舌下製剤に非劣性/JAMA

 オピオイド依存症維持治療薬としてのブプレノルフィン(商品名:レペタン)について、同薬の皮下埋め込み型製剤(buprenorphine implants)は従来の舌下製剤との比較において、レスポンダー維持の尤度は劣らなかったことが、米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のRichard N. Rosenthal氏らによる無作為化試験の結果、示された。米国ではオピオイド依存症が社会的問題となっている。それに対して心理社会的介入やプラセボ投与よりも、薬物療法によって依存症を安定的に維持するほうが、不適切なオピオイド使用や死亡などの低下に結び付くことが示され、現在3種の薬物の使用が承認されている。ブプレノルフィンはその1つだが、アドヒアランス改善などのため治療薬としての革新が求められていた。JAMA誌2016年7月19日号掲載の報告。舌下製剤投与に対する非劣性を検討 研究グループは、オピオイド依存症維持治療薬としてのブプレノルフィンについて、オピオイドの節制使用を保つ患者において、6ヵ月間の皮下埋め込み型製剤使用が毎日服用の舌下製剤に比べて非劣性であるかを調べた。 2014年6月26日~2015年5月18日に米国内21地点で、外来患者を対象に実薬対照二重盲検ダブルダミー法による無作為化試験を行った。6ヵ月以上にわたり毎日服用の舌下ブプレノルフィン処方を受けており、同薬8mg/日以下の服用で90日間以上オピオイドの安定的使用が維持され、担当医によって臨床的に安定していることが確認されている患者を対象とした。 被験者を、舌下ブプレノルフィン+プラセボ皮下埋め込み型製剤4個を埋設する群(舌下投与群)、または舌下ブプレノルフィン+塩酸ブプレノルフィン皮下埋め込み型製剤80mgを4個埋設する群(24週間の有効性を期待して、皮下埋め込み群)に無作為に割り付け検討した。 主要エンドポイントは、両群のレスポンダーの割合の違いで、オピオイド尿検査(月1回および無作為に4回)結果陰性が6ヵ月のうち4ヵ月以上であること、および自己報告で評価した。非劣性の確認は、95%信頼区間(CI)の下限値が-0.20より大きい場合(p<0.025)とした。 副次エンドポイントは、オピオイド尿検査の陰性、節制使用の累積割合、およびオピオイドの不適切使用の初回発生までの期間などであった。安全性は、有害事象報告で評価した。レスポンダーの両群差8.8%、皮下埋め込み群の非劣性を確認 被験者177例(平均年齢39歳、女性40.9%)のうち、87例が皮下埋め込み群に、90例が舌下投与群に無作為化された。試験を完了したのは165例(93.2%、皮下埋め込み群81例、舌下投与群84例)だった。 主要解析には、皮下埋め込み群84例、舌下投与群89例が組み込まれた。レスポンダーは、皮下埋め込み群は81/84例(96.4%)、舌下投与群は78/89例(87.6%)で、両群差は8.8%(片側検定97.5%CI:0.009~∞、非劣性のp<0.001)であった。 6ヵ月にわたってオピオイドの節制使用が維持されたのは、皮下埋め込み群72/84例(85.7%)、舌下投与群64/89例(71.9%)であった(ハザード比:13.8、95%CI:0.018~0.258、p=0.03)。 埋め込み手技に非関連および関連した有害事象の報告は、皮下埋め込み群でそれぞれ48.3%、23%、舌下投与群で52.8%、13.5%であった。 なお結果について著者は、「対照群でも予想以上にレスポンダーが高率であった」と指摘し、より幅広い集団による他の設定で有効性を評価するさらなる試験が必要だと述べている。

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気道感染症に対する抗菌薬処方の減少と感染症合併リスクの関係(解説:小金丸 博 氏)-573

 プライマリケアでみられる気道感染症(上気道炎、咽頭炎、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎)の多くは自然寛解が期待できる疾患であるが、実際は多くの気道感染症例に対して抗菌薬の投与が行われている。臨床医は、気道感染症に対して抗菌薬を投与しないと細菌合併症が増加する懸念を抱いているが、抗菌薬処方の減少と細菌感染症合併リスクの関係を示すデータは不足していた。 本研究は、英国プライマリケアのデータベースを用いて、気道感染症に対して抗菌薬が処方された割合と、細菌感染症の合併リスクとの関連を調べたものである。英国では2005~14年にかけて、気道感染症の患者に対する抗菌薬の処方割合は低下傾向であった。診療所別に解析した場合、抗菌薬処方の少ない診療所群において肺炎と扁桃周囲膿瘍のわずかな増加を認めたものの、そもそもまれな疾患である乳様突起炎、膿胸、細菌性髄膜炎、脳膿瘍、レミエール症候群の増加は認めなかった。 本研究では、気道感染症に対して抗菌薬の処方を減らしても、細菌感染症を合併するリスクは低いことが示された。肺炎と扁桃周囲膿瘍のリスク増加を認めたが、登録患者7,000人の診療所において、気道感染症で抗菌薬を投与する割合が10%減少した場合に、肺炎発症が年間1人、扁桃周囲膿瘍発症が10年間で1人増加するとの結果であり、リスクはきわめて低いといえる。 本研究では、個々の症例ごとに検討されたわけではないので、気道感染症の患者にどのような背景や理学所見があると細菌感染を合併するリスクが高いのか、といったことは議論されていない。高齢者や免疫不全者の気道感染症では、比較的頻度の高い肺炎の合併には注意が必要と考える。 不必要な抗菌薬の投与は、薬剤耐性菌の増加や抗菌薬の副作用の増加をもたらすため、抗菌薬の投与を見直す動きが広がっている。本来self-limitedな気道感染症に対して抗菌薬を投与するかどうかは、患者ごとに適応を十分吟味する必要がある。

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若年者も積極的な禁煙治療を!

若年者は禁煙治療を受けやすくなりました**35歳未満、未成年者を含む診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(平成28年3月4日:保医発0304第3号)ア 、「禁煙治療のための標準手順書」に記載されているニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断されたものであること。今回追加されましたイ 、35歳以上の者については、1日の喫煙本数に喫煙年数を乗じて得た数が200以上であるものであること。ウ、 直ちに禁煙することを希望している患者であって、「禁煙治療のための標準手順書」 に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意しているものであること。2016年4月から、35歳未満の喫煙者については「1日の喫煙本数×喫煙年数が200を超えること」とする保険適用の要件が廃止されました。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2016 CareNet, Inc. All rights reserved.

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第32回 精神科領域の巡回看視義務の範囲は?

■今回のテーマのポイント1.精神科疾患で1番訴訟が多いのは統合失調症、次いでうつ病であり、ともに約1/3を占めている2.統合失調症に関する訴訟では、巡回・看視義務が主として争われている3.統合失調に関する訴訟は、器質的疾患に関する訴訟と比し、原告勝訴率が低いことが特徴である■事件のサマリ原告患者Xの遺族被告Y病院争点不当拘束、診療の不措置、注意義務違反などによる死亡の損害賠償責任結果原告敗訴事件の概要36歳女性(X)。平成7年5月頃より、幻聴、独語、空笑などが出現したため、Y病院に入院し、以後も、情動不安定で興奮状態になることがあり、平成13年までの間に計6回入院して治療を受けていました。平成15年10月14日、被告病院を受診した際、急に暴れだして錯乱状態に陥ったことから、医療保護入院となり、保護室において身体拘束を実施されて治療を受けることとなりました。Xは点滴加療を受けていたものの、状態は不安定で、興奮も見られたことから、Xに対する身体拘束は継続されていました。身体拘束中、Xに対しては、看護師による約30分おきの巡回が行われていました。同月26日午前1時30分ころに行われた巡回時には、特に異常は認められなかったのですが、午前1時52分ころに看護師が巡回した際、Xは心肺停止の状態で発見されました。直ちに蘇生措置がとられ、救急病院への転送がなされましたが、結局、1度も心拍が再開することなく、午前2時55分に死亡が確認されました。これに対しXの遺族は、不必要な身体拘束をしたこと、肺動脈血栓塞栓症に対する予防措置をとるべきであったこと、および、巡回観察義務違反などを理由にY病院に対し、8,425万円の損害賠償請求をしました。事件の判決「約30分おきに臨床的観察等を実施すべき義務の違反」について原告らは、被告病院の担当医師又は担当看護師において、Xに対し、約30分おきに臨床的観察等をすべき義務があったのに、これを怠り、25日午後8時ころのA医師による回診以降、臨床的観察を実施しなかった旨主張する。しかし、上記認定事実によれば、本件において、上記回診以降も約30分おきに臨床的観察は実施され、26日の午前0時30分ころ、午前1時ころ及び午前1時30分ころの観察では異常は発見されず、午前1時52分ころの観察で異常が発見されたと認められるから、約30分おきの臨床的観察が法的に義務づけられるとしても、被告病院の担当の医師又は看護師においてその義務に違反したとはいえない。なお、Xは呼吸停止状態で発見されたこと、別紙知見によれば、呼吸停止後に人工呼吸を開始した時間が2分後だと約90パーセントの救命率があるが、3分後だと75パーセント、5分後だと25パーセント、8分後にはほとんどゼロとなるとされていることを踏まえると、本件において30分おきの観察によってXの異常を救命可能な段階で発見できたと認めるに足りる証拠はないというべきであり、そうすると、30分おきの観察とXの救命との間に相当因果関係を認めることはできない。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(東京地判平成18年8月31日)ポイント解説■精神科疾患の訴訟の現状今回は精神科疾患です。精神科疾患で最も訴訟が多いのは、統合失調症、次いでうつ病となっており、2疾患ともに約1/3を占めています。また、その後は境界性人格障害、アルコール依存症などと続いています(表1)。画像を拡大する精神科疾患に関する訴訟の特徴として、患者が疾患により希死念慮や自殺企図を抱き、その結果、入院・外来治療中に自殺したといったケースが多く見られること、そして、平均年齢が若いことから請求額および認容額が高額となることが挙げられます。その一方で、被害妄想や好訴妄想といった疾患自身の症状から訴訟に到ることがあるため、代理人を介さない本人訴訟の割合が高く、その結果、原告勝訴率が低くなっています(表2)。画像を拡大する■統合失調症に関する訴訟統合失調症に関する訴訟において最も多く争点となるのは、巡回・看視義務であり、次いで、薬剤の説明義務、救命措置、救急搬送と続いています(表3)。統合失調症に関する訴訟では、その多くで入院患者が自殺ないし突然死したことを受けて生じているため、これらの争点が多くなっているのです。画像を拡大するしかし、巡回監視義務違反が争われた11事例中、義務違反が認められた事例は3件ありますが、平成14年以降は、1度も巡回看視義務違反は認められていません。それは、そもそも本判決において示されているように、いくら定期的に巡回看視を行ったとしても、それによって自殺や突然死を回避することができないためです。巡回看視義務が争われる類型の1つに「転倒、転落」がありますが、転倒、転落に関する判決においても、「過失があると認められるためには、過失として主張される行為を怠らねば結果を回避することができた可能性(結果回避可能性)が認められることが必要であるところ、転倒はその性質上突発的に発生するものであり、転倒のおそれのある者に常時付き添う以外にこれを防ぐことはできないことからすると、被控訴人の動静を把握できないという上記職員らの行為がなければ本件事故を回避できたものと認めることはできない。(中略)…よって、職員らに、被控訴人の動静の把握を怠ったことを内容とする過失があったということはできない」(福岡高判平成24年12月18日)と本判決と同様の論理構成によって棄却する判断がなされています。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京地判平成18年8月31日福岡高判平成24年12月18日:この判例については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。

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成人てんかんに対するガイドライン準拠状況は

 臨床実践ガイドライン「first epileptic seizure and epilepsy in adulthood」が、2008年に発表された。ドイツ・Gesundheitsforen LeipzigのJulia Ertl氏らは、2008~14年に新規に診断されたてんかん患者における、本ガイドラインの実施状況を検討した。Seizure誌オンライン版2016年7月11日号の報告。 本レトロスペクティブ研究は、ドイツの公的健康保険より得た被保険者410万人のデータを用い、集団ベース分析を行った。成人における有病症例や発症例は、階層的診断選択アルゴリズムを使用し、ICD-10コードに基づき同定された。新規に診断されたてんかん患者における最初の抗てんかん薬は、臨床実践ガイドラインに照らして検証を行った。 主な結果は以下のとおり。・成人の年間粗有病率は、0.946~1.090%、発症率は10万人当たり156人以上であった。・焦点てんかん症候群患者において、ガイドラインに準拠した単剤療法の有意な増加がみられた。一方、特発性全般てんかん患者では、ガイドラインに準拠しない単剤療法のシェアが増加していた。・新規に治療を受けたすべての患者におけるレベチラセタム処方は、2008年の19.6%から2014年の58.9%へと増加しており、これが両方の変化に影響を及ぼしている可能性がある。・全体として、酵素誘導性抗痙攣薬の処方は、2008年20.7%、2014年4.3%と有意に減少した(p<0.001)。・非酵素誘導性抗てんかん薬の処方傾向は、2008年に比べ2014年で5.82上昇した(95%CI:4.62~7.33)。 著者らは「焦点てんかんに対する初期単独療法は、現在の臨床実践ガイドラインに沿っており、主にレベチラセタムの処方が適用されている。今後、ガイドラインに沿った治療を受けた患者が、そうでない患者に比べて良好なアウトカムが得られるかどうかについて評価がなされるべきである」としている。関連医療ニュース てんかん患者の性的問題の現状 難治性てんかん重積状態への有用な対処法 てんかん患者の携帯電話使用、発作への影響は

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喫煙と心房細動リスク~前向き研究のメタ解析

 前向き研究のメタ解析により、喫煙が心房細動(AF)発症リスクの増加に関連していたことを中国・南昌大学のWengen Zhu氏らが報告した。著者らはまた、禁煙により、喫煙によるAFリスクの過剰分が低減するが、完全には解消しないようであると述べている。International journal of cardiology誌2016年9月1日号に掲載。 AF発症における喫煙の役割を検討している研究は幾つかあるが、矛盾する結果が報告されている。喫煙とAFリスクの定量的な関連の同定はAFの管理と予防に重要である。 著者らはコクランライブラリー、PubMed、Embaseデータベースを用いて、喫煙とAFの関連を報告した研究を系統的に検索した。該当論文からデータを抽出し、影響の予測をプールするためにランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・16の前向き研究が選択基準を満たした。参加者の合計は28万6,217人、AF症例は1万1,878例であった。・喫煙者で高いAF有病率が確認された(リスク比[RR]:1.23、95%信頼区間[CI]:1.08~1.39、p=0.001)。これらの結果は感度分析で安定していた。・pooled RRは、ほとんどのサブグループで一貫した正の関連を示した。・具体的には、8論文では現喫煙者(RR:1.39、95%CI:1.11~1.75)と過去喫煙者(RR:1.16、95%CI:1.00~1.36)の両方を生涯非喫煙者と比較、4論文では現/過去喫煙者(pooled RR:1.21、95%CI:0.93~1.57)を生涯非喫煙者と比較、7論文では現喫煙者(pooled RR:1.21、95%CI:1.03~1.42)を非/過去喫煙者と比較していた。・世界的に、男性におけるAFリスクの6.7%および女性におけるAFリスクの1.4%が喫煙に起因すると推測された。

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大学内の髄膜炎集団感染における新規ワクチンの免疫原性/NEJM

 血清群B(B群)髄膜炎菌ワクチン4CMenBを接種された大学生において、B群髄膜炎菌による髄膜炎菌疾患の症例は報告されなかったが、接種者の33.9%は、2回目のワクチン接種後8週時において流行株に対する免疫原性(血清殺菌性抗体価の上昇)は認められなかったという。2013年12月、米国のある大学でB群髄膜炎菌の集団感染が発生したため、米国FDAの特別な配慮により承認前の4CMenBワクチンが使用された。本報告は、これを受けて米国・ミネソタ大学のNicole E. Basta氏らが集団感染発生中に、4CMenBにより誘導された免疫反応を定量化する目的で血清陽性率を調査し、その結果を報告したもの。集団感染の分離株が、ワクチン抗原(H因子結合タンパク質[fHbp]およびナイセリアヘパリン結合抗原[NHBA])と近縁の抗原を発現していたことから、ワクチン接種により流行を抑えることができるのではないかと期待されていた。NEJM誌2016年7月21日号掲載の報告。大学内での集団感染のため未承認時に使用された4CMenBワクチンの効果を検討 研究グループは、学生のワクチン接種状況を評価するとともに、血清検体を採取して流行株の血清陽性率ならびにヒト補体を含む血清殺菌性抗体(hSBA)の力価を測定し、ワクチン接種者と非接種者で比較した。さらに、流行株と近縁の参考株(fHbpを含む44/76-SL株)、流行株とは一致しない参考株(ナイセリアアドへシンA[NadA]を含む5/99株)の血清陽性率および力価についても同様に調査した。2つの参考株は、ワクチン開発に使用されたものである。 血清陽性は、hSBA抗体価が4以上と定義し評価した。ワクチン2回接種者の血清陽性率は66.1%、免疫原性は予想より低かった 4CMenBワクチンを推奨どおり10週間の間隔をあけて2回接種した被験者は499例であった。そのうち、流行株の血清陽性例は330例・66.1%(95%信頼区間[CI]:61.8~70.3%)で、幾何平均抗体価(GMT)は7.6(95%CI:6.7~8.5)と低かった。 ワクチンを2回接種したが血清陰性であった例(流行株に対して検出可能な予防効果なし:hSBA抗体価4未満)から無作為抽出した61例の検討で、44/76-SL株陽性は53例・86.9%(95%CI:75.8~94.2%)、GMTは17.4(95%CI:13.0~23.2)であったのに対し、5/99株陽性は100%(95%CI:94.1~100%)、GMTは256.3(95%CI:187.3~350.7)と高値であった。 流行株に対する反応性は、44/76-SL株に対する反応性と中程度の相関(ピアソン相関係数:0.64、p<0.001)が認められたが、5/99株との相関は認められなかった(ピアソン相関係数:-0.06、p=0.43)。 著者は、研究の限界として「ほとんどすべての学生がワクチンを接種することを選択した後での観察研究であったため、非接種者が少なかった」ことを挙げ、「今後さらに、さまざまなB群髄膜炎菌株に対する4CMenBの免疫原性を評価する必要がある」と指摘している。

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