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晩年期治療抵抗性うつ病の治療戦略に必要なものとは

 治療抵抗性うつ病(TRD)に対する経験的および主観的な治療戦略に関する情報は、相対的に不足しており、とくに晩年期については顕著である。オーストラリア・ディーキン大学のKatarina Arandjelovic氏らは、2016年に米国精神医学会の精神科タイムズの調査、米国老年精神医学会議(AAGP)によるメンバー調査からの知見レビューを行った。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年10月号の報告。 著者らは、2つの調査から老年期TRDのさまざまなアプローチの記載率、パーセント、強みと弱みの議論を検討した。 主な結果は以下のとおり。・精神科タイムズより468件、AAGPより117件、全体として585件の回答が得られた。・両群の回答者の過半数(76.3%)は、60歳以上のTRD患者に対する増強や切り替え戦略のリスクとベネフィットを比較した大規模ランダム化試験が参考になるとし、臨床医の80%は、このような研究結果からベネフィットを得られると考えていた。・有効性のエビデンスが必要である治療戦略として、増強/併用戦略が最もポピュラーであり、とくにアリピプラゾール(58.7%)、bupropion(55.0%)、リチウム(50.9%)が多かった。 著者らは「晩年期TRDは、大部分がとくに老年精神医学の臨床実践で行われており、多くの治療戦略の有効性に関するエビデンスが不足している。本調査より、増強/切り替え戦略のリスクとベネフィットを比較する大規模ランダム化試験の必要性が明確化された」としている。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのか 治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較 難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か

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ニボルマブ、頭頸部扁平上皮がんにおける患者報告アウトカムを安定化:CheckMate-141

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は2016年10月9日、プラチナ製剤による治療歴を有する再発または転移性頭頸部扁平上皮がん患者を対象に、ニボルマブと治験担当医師が選択した治療法(メトトレキサート、ドセタキセルまたはセツキシマブの1つ)を比較評価したピボタル第III相 CheckMate-141 試験の評価項目から、患者報告による生活の質に関する新たなデータを発表した。アウトカムの評価では、ニボルマブによる患者の症状と、異なる3種類の評価方法による身体機能、役割機能および社会的機能を含む機能評価に安定化が認められた。PD-L1 発現および非発現の両患者群において、治験担当医師が選択した治療法群では、ニボルマブ群と比較して、ベースライン時から15週目までの患者報告アウトカムに、統計学的に有意な悪化が認められた。さらに、ニボルマブは、治験担当医師が選択した治療法と比較して、大半の機能評価において悪化までの期間を2倍以上延長し、また、疲労、呼吸困難および不眠症の症状悪化までの期間を有意に遅延させた。これらは、欧州臨床腫瘍学会総会(ESMO2016)にて発表された。また、New England Journal of Medicine誌にも掲載された。 患者報告アウトカム(PRO:Patient Reported Outcome)に関するデータは、欧州がん研究治療機関のクオリティ・オブ・ライフ質問票(EORTC QLQ-C30)、EORTC 頭頸部がん用モジュール(EORTC QLQ-H&N35)および3段階のEQ-5D質問票(EQ-5D)を用いて集計された。質問票による調査は、患者の投与期間中、ベースライン時(1サイクル目の初日)と9週目、それ以降は6週間ごとに実施された。 EORTC QLQ-C30およびEORTC QLQ-H&N35の両方の質問票で、ニボルマブの投与を受けた患者と治験担当医師が選択した治療法群間で、15週時点でPROに有意な差が認められた。 EORTC QLQ-C30では、ニボルマブの投与を受けた患者ではベースライン時と比較してPROが安定していたのに対し、治験担当医師が選択した治療法群では身体機能、役割機能および社会的機能(p<0.001 vs.ニボルマブ群)、疲労(p<0.001 vs.ニボルマブ群)、呼吸困難(p<0.001 vs.ニボルマブ群)および食欲不振(p=0.004 vs.ニボルマブ群)で有意かつ臨床的に意義のある悪化が認められた。ニボルマブは、治験担当医師が選択した治療法と比較して、全般的な健康状態(ニボルマブ群7.7ヵ月 vs.治験担当医師が選択した治療法群3.0ヵ月)、身体機能(同7.8 vs. 3.6ヵ月)、役割機能(同8.6 vs. 3.8ヵ月)、認知機能(同7.8 vs. 3.3ヵ月)、社会的機能(同7.7 vs. 3.0ヵ月)において、悪化までの期間の中央値を2 倍以上延長した。心理的機能において、ニボルマブ群では悪化までの期間の中央値は6.7ヵ月で、治験担当医師が選択した治療法群では4.7ヵ月であった。また、ニボルマブは疲労、不眠症および呼吸困難において臨床的に意義のある悪化を50%低減した(p=0.008)。 QLQ-H&N35質問票への回答では、ニボルマブの投与を受けた患者でベースライン時と比較して安定したPRO が認められたのに対し、治験担当医師が選択した治療法群では、疼痛(p=0.022 vs.ニボルマブ群)、感覚障害(p<0.001 vs.同群)および社会的接触障害(p=0.001 vs.同群)で有意かつ臨床的に意義のある悪化が認められた。ニボルマブは、治験担当医師が選択した治療法と比較して、臨床的に意義のある悪化の割合を、疼痛で74%(p<0.001 vs.治験担当医師が選択した治療法群)、感覚障害では62%(p=0.002 vs.同群)、開口障害では51%(p=0.029 vs.同群)低減した。 EQ-5D VASで測定されたように、ニボルマブ群では健康状態が安定したのに対し、治験担当医師が選択した治療法群では、健康状態が低下し、15週時点で統計的に有意差が認められた(p=0.037)。健康状態の悪化までの期間の中央値は、治験担当医師が選択した治療法群で3.3ヵ月であったのに対し、ニボルマブ群では9.1ヵ月と3倍近くとなった。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のプレスリリースはこちら

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関節症性乾癬の診療で大切なのはコラボ

 10月29日の「世界乾癬デー」を前に、日本乾癬学会、日本乾癬患者連合会ならびに製薬企業7社は合同で、「皮膚症状と関節症状を併せ持つ疾患『関節症性乾癬』」と題するメディアセミナーを都内で開催した。セミナーでは、皮膚科専門医、リウマチ科専門医、患者の3つの視点から本症の診療概要や現在の課題などが講演された。診断に有効な武器がない関節症性乾癬 はじめに皮膚科専門医の視点から奥山隆平氏(信州大学医学部皮膚科学教室 教授)が「関節症性乾癬とはどのような疾患か」と題し、早期診療の重要性と生物学的製剤の可能性について講演を行った。 乾癬は、全身に皮疹が散在する慢性的かつ難治性の皮膚疾患であり、わが国の乾癬患者は約56万人と推定されている。治療では、ファーストラインに外用療法が、セカンドラインでは紫外線療法が行われ、治療薬としてエトレチナート、シクロスポリン、メトトレキサート(保険適用外)、生物学的製剤などが処方される。 なかでも今回のテーマである関節症性乾癬は、乾癬に関節炎が足された病型として知られ、乾癬患者の中でも年々患者数が増えている疾患である。その発症パターンの多くは発疹が先行し、10年近く経過した後に関節炎症状が表れる1)など、罹病期間も長いという。 問題となるのは、現在、本症には診断に有用なバイオマーカーがないため、早期診断が難しいことである。また、患者さんも関節痛の診療の際、皮膚科ではなく、整形外科やリウマチ科を受診するために、疾患の本態がわからないまま診療が続けられ、治療の開始が遅れることであるという。 本症では、指が好発部位であり、また、脊柱が侵害されることもあり、早期診療が重要だが、病態初期はX線では発見できない。骨シンチグラフィーなどが有用とされているが、検査できる医療機関が限られているためになかなか普及しないのが現状である。 治療では生物学的製剤が、2010年から使えるようになり効果を上げているが、副作用とのバランスを見極めながらの治療が必要であり、再発もしやすいという。 おわりに奥山氏は、「今後、さらにリウマチ科や整形外科の先生に本症を知ってもらうことで、速やかな診療ができる体制の構築と乾癬患者さんへは、あらかじめ本症の特徴や病態を伝えておくことで、すぐに専門医へ診療がつながるような仕組みづくりが大事」と課題を提起し、レクチャーを終えた。関節症性乾癬の診断は他診療科とのコラボが大事 続いて、岸本暢将氏(聖路加国際病院リウマチ膠原病センター 医長)が、「リウマチ医から見たPsA(関節症性乾癬)」をテーマに、他診療科間での連携の重要性と本症の治療を解説した。 関節症性乾癬は、特徴的な所見をリウマチ専門医だけでみつけ、鑑別することは容易ではない。だからこそ、皮膚科専門医とのコラボレーションが重要であり、乾癬患者さんが痛みを訴える場合、リウマチ専門医の診療を受診することは大事だと強調する。 大都市における本症の患者数調査では、乾癬患者全体(n=3,021)の約15%(n=431)に患者が報告され2)、男性に多く、本症の患者さんの多くは皮膚科に通院し、関節痛があっても医師に伝えていないケースも多いという。 本症と関節リウマチとの鑑別診断では、足のかかとや足の裏にケブネル現象がないか、爪に炎症所見がないかの観察とともにCASPAR分類基準3)による診断が行われる。また、関節リウマチでは骨破壊だけが観察されるが、本症では骨新生もある点が鑑別で役に立つという。その他、鑑別疾患として、変形性関節症、肥満者であれば関節破壊や痛風も考えられるほか、感染症ではクラジミア、梅毒などにも注意が必要になる。 治療では、GRAPPA治療推奨4)が使われているが、MDA(中疾患活動性)基準5)も併用されている。最近では、2015年にGRAPPA治療推奨の最新版が提唱された6)。 たとえば末梢関節炎であれば、NSAIDsおよびステロイド関節内注射と併行して第1フェーズでは免疫調整薬(メトトレキサート、スルファサラジンなど)、生物学的製剤TNF阻害薬、PDE-4阻害薬(未承認薬)が推奨され、第2フェーズで生物学的製剤TNF阻害薬、IL-17阻害薬、IL-12/23阻害薬またはPDE-4阻害薬が推奨され、第3フェーズでは別の生物学的製剤への変更が推奨されているなど、体軸関節炎、腱付着部炎など病変に応じて、異なった治療推奨がなされている。 また、本症の治療戦略としては治療薬の他に、減量・運動・禁煙などの生活指導、整形外科と連携した身体器具の装着、関節へのピンポイント注射治療のほか、高脂血症、脂肪肝、うつ、線維筋痛症など併発症の治療も重要となる。 最後に岸本氏は「他科連携による的確な診断とタイミングのよい治療が患者さんの機能障害を防ぐ」と述べ、レクチャーを終えた。もっと知って欲しい関節症性乾癬 続いて30年以上乾癬に悩む患者さんが、患者視点から本症の悩みや課題を述べた。当初、乾癬の確定診断がつかず、身体的、精神的につらい時期を送ったこと。その後、本症が発症し、ベストな治療が受けられなかったときに、生物学的製剤の治療のおかげで関節の痛みが軽減、皮膚症状も落ち着いたことなどを述べた。 最後に目前の課題として、「本症では介護保険が使えないことや指定難病への未登録があり、今後も患者会などを通じ、厚生労働省へ働きかけていきたい」と展望を語った。(ケアネット 稲川 進)参考文献 1) Gottlieb AB, et al. J Dermatolog Treat. 2006;17:343-352. 2) Ohara Y, et al. J Rheumatol. 2015;42:1439-1442. 3) Taylor W, et al. Arthritis Rheum. 2006;54:2665-2673. 4) Ritchlin CT, et al. Ann Rheum Dis. 2009;68:1387-1394. 5) Coates LC, et al. Ann Rheum Dis. 2010;69:48-53. 6) Coates LC, et al. Arthritis Rheumatol. 2016;68:1060-1071.参考サイト 日本乾癬学会 日本乾癬学患者連合会

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乳がん検診へのマンモグラフィ導入の効果/NEJM

 マンモグラフィによる乳がん検診導入後、大きな腫瘍の検出率が低下する一方で小さな腫瘍の検出率は増加し、腫瘍径分布としては好ましいものとなった。しかしこれは、小さな腫瘍が追加で多く発見されたことによるものであることが、米国・Dartmouth Institute for Health Policy and Clinical PracticeのH. Gilbert Welch氏らの検討で明らかにされた。著者は、「大きくなる可能性のある腫瘍が早期発見されることよりも、乳がんと過剰診断される可能性のほうがより増えたようだ」とまとめている。なお、マンモグラフィ検診導入後の乳がん死亡率の低下は、主に全身治療の進歩によることも示唆されたという。NEJM誌2016年10月13日号掲載の報告。腫瘍径別の乳がん発症率や致死率を検診導入前後で比較 研究グループは、米国の地域がん登録システムSEERプログラム(Surveillance, Epidemiology, and End Results program)のデータベースを利用し、1975~2012年における40歳以上の女性の乳がんについて、腫瘍径分布と腫瘍径別発症率を算出した。そのうえで、乳がん患者の腫瘍径別致死率を、マンモグラフィ検診が広く実施される以前(1975~79年)のベースライン期間と、実施後10年間の追跡データが入手可能な直近の期間(2000~02年)に分けて算出した。乳がん死亡率減少の3分の2以上は治療の進歩によるもの マンモグラフィ検診導入以降、発見された乳房腫瘍のうち小さな腫瘍(2cm未満の浸潤がん、または非浸潤がん[上皮内がん])の割合は36%から68%に増加し、大きな腫瘍(2cm以上の浸潤がん)の割合は64%から32%に減少した。 この傾向は、大きな腫瘍の発生頻度が大幅に低下(検診導入前に比べ導入後で、観察された乳がん症例は10万人当たり30減少)した結果というより、小さな腫瘍の検出が大幅に増加(検診導入後に10万人当たり162増加)したことによる。基礎疾患の負担は安定していたと仮定すると、新たに小さな腫瘍が発見された162例/10万人のうち、大きな腫瘍に進行すると予測されたのは30例/10万人で、残りの132例/10万人は過剰診断(すなわち、検診で発見されたのは決して臨床症状を引き起こさないであろうがん)であることが示唆された。 また、検診による乳がん死亡率低下の可能性は、大きな腫瘍の発生率低下に反映されるが、2cm以上の大きな腫瘍に関していえば、乳がん死亡率低下の3分の2以上は治療の改善によるものであった(死亡率の低下が治療の改善による効果と推定されるのは17例/10万人、検診の効果と推定されるのは8例/10万人)。

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高齢者の足関節骨折にはギプスか? 手術か?/JAMA

 不安定型足関節骨折の高齢患者において、close contact casting(ごく少量のパッドを用いた成形型膝下ギプス)は、外科手術と比べて6ヵ月後の機能予後が同等であり、高齢者に適した治療法である可能性が示唆された。英国、ジョン・ラドクリフ病院のKeith Willett氏らがAnkle Injury Management(AIM)試験の結果、報告した。足関節骨折は高齢者に多くの病的状態を引き起こすが、外科的固定術は感染症や他の回復中の合併症が課題となっていた。JAMA誌2016年10月11日号掲載の報告。60歳以上の不安定型足関節骨折患者620例を、手術群とギプス固定群に無作為化 AIM試験は、英国の主要な外傷センターおよび総合病院24施設で実施された、無作為化評価者盲検同等性比較試験であった。予備的試験が2004年5月に開始され、その後2010年7月~2013年11月に本試験が行われた(追跡調査は2014年5月に終了)。対象は、60歳以上の急性不安定型足関節骨折患者620例で、重篤な四肢虚血や末期患者、重度認知障害患者は除外した。手術群とギプス固定群に1対1の割合で無作為に割り付け、ギプス固定は訓練された外科医が全身または脊髄麻酔下で手術室にて実施した。 主要評価項目は、6ヵ月時のOlerud-Molander Ankle Score(OAMS:0~100で点数が高いほど良好な転帰で症状が少ない)で、同等性のマージンは±6点とした。また、副次評価項目はQOL、疼痛、足関節可動域、移動能力、合併症、医療資源の利用(手術時間、在院日数、調査期間中のケア)、患者満足度とした。ギプス固定群の6ヵ月時の機能予後は手術群と同等 無作為化された620例(平均年齢71歳、女性74%)中、593例(96%)が試験を完遂し、579例(93%)が割り付けられた治療を受けた。ギプス固定群の275例中52例(19%)は、その後、骨折整復早期管理のためにギプス固定治療経過中に許可されていた外科手術に変更された。 6ヵ月時において、足関節機能はギプス固定群と手術群で同等であった(OMASスコア:手術群66.0[95%CI:63.6~68.5] vs.ギプス固定群64.5[95%CI:61.8~67.2]、平均差:-0.6[95%CI:-3.9~2.6]、同等性p=0.001)。感染症および創離開は手術群のほうが多く(29/298[10%] vs.4/275[1%];オッズ比[OR]:7.3[95%CI:2.6~20.2])、治療関連合併症に対する手術室での追加施術も同様であった(18/298[6%] vs.3/275[1%];OR:5.8[95%CI:1.8~18.7])。 ギプス固定群では、レントゲン上の骨折変形治癒が多く(38/249[15%] vs.8/274[3%];OR:6.0[95%CI:2.8~12.9])、手術室で要した時間が手術群より少なかった(平均差[分/患者数]:-54[95%CI:-58~-50])。他の副次評価項目(QOL、疼痛、可動域、移動能力、患者満足度)に、有意差は確認されなかった。 著者は研究の限界として、外傷後関節炎などの長期的転帰が不明であること、試験期間中での外科医ごとのclose contact casting症例数に限りがあることなどを挙げている。

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高齢者の近所づきあい【Dr. 中島の 新・徒然草】(141)

百四十一の段 高齢者の近所づきあい患者さんの高齢化はいずこの医療機関も同じでしょう。皆さん、外来で口をそろえておっしゃるのは近所づきあいの難しさです。先日来院された、脳出血後遺症の70代の男性患者さんも同じことをおっしゃっていました。幸い、この方は麻痺もなく、普通に歩くこともできています。男性「こないだ自治会の役員をやらされそうになりましてね」中島「ちょうど60代から70代くらいの人があてにされますよね」男性「自分は大病をやったから無理だって言いましたよ」中島「やらないほうが無難かもしれませんね」男性「誰もやりたくないから大喧嘩になりました」中島「皆さん頑張っておられますな」近隣自治会役員の押しつけ合いには、激しいものがあるようです。ちなみに私のところでは、数年ごとに機械的に順番が回ってくるので、1年間淡々とお役目を果たしております。男性「お蔭で何とか役員を逃れることができました」中島「よかったですね」男性「一時は先生に診断書を書いてもらおうか、と思ったくらいです」中島「えっ?」そんな無茶な! 自治会の役員くらいやったらよろしいがな。私の外来には、ドネペジルを服用しながら自治会長をしている80代女性もおられるぐらいですから。男性「私の趣味は神社仏閣巡りでしてね」中島「それはいいですね」男性「この前、リュックを背負って出かけるところを近所の人に見つかりまして」中島「あらまあ」男性「『そんなに元気だったら、なんで役員をやらないんだ!』って非難されてしまいました」確かに、リュックを背負っているところを見つかったらマズイですね。いくら大病を患ったと主張しても説得力ゼロです。男性「そうだ、先生! 身体障害者手帳をいただくわけにいきませんか?」中島「身体障害者手帳……ですか」男性「人に文句を言われたら、それを見せてやります」まるで水戸黄門の印籠みたいですね。中島「残念ながら、いくら頑張っても非該当でしょう」男性「そうですか(嘆)」中島「だったら、近所を歩くときだけ足を引き摺ったらいいんじゃないですか?」男性「はあ?」中島「とにかく、先に相手を発見することが重要です」男性「……」中島「相手に見つかってから急に足を引き摺り出したら、バレバレですからね」男性「そ、そうですね」というわけで、高齢患者さんの自治会談義は尽きません。よく話を聴く親切な医師を装いつつ、今日も楽しんでおります。最後に1句役員の 押し付け合いも 命懸け

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毎日5杯の緑茶で認知症予防:東北大

 生物学的研究では、緑茶の特定の構成要素が、認知神経の保護効果を有することが示唆されている。しかし、ヒトを対象とした疫学研究が十分でないため、認知症発症率に対する緑茶消費量の影響は確認されていない。東北大学の遠又 靖丈氏らは、緑茶消費量と認知症発症との関連を明らかにするため、コホート研究を行った。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年10月号の報告。 65歳以上の日本人高齢者を対象とした5.7年間の前向きコホート研究。日々の緑茶消費量やほかの生活習慣要因に関連する情報は、質問票を用いて収集した。認知症発症に関するデータは、公的介護保険データベースより取得した。 主な結果は以下のとおり。・対象者1万3,645人のうち、5.7年間の認知症発症率は8.7%であった。・頻繁な緑茶消費は、認知症発症リスクの低さと関連していた(5杯以上/日 vs.1杯未満/日のハザード比:0.73、95%CI:0.61~0.87)。・ベースライン時に主観的な認知機能の問題を持っていなかった対象者においても、認知症発症リスクの低さは一貫していた。・緑茶消費量は、認知症発症リスクの低さと有意に関連していた。関連医療ニュース 日本食は認知症予防によい:東北大 家庭の味が認知症ケアには必要 地中海ダイエットは認知症予防に効果があるのか

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緑内障発症に関連するリスクアレルを特定

 原発開放隅角緑内障(POAG)は失明や視覚障害の主な原因で、POAGと視神経機能に関連するいくつかの遺伝的リスク因子が確認されている。米国・アイオワ大学のTodd E. Scheetz氏らは、Ocular Hypertension Treatment Study(OHTS)の参加者を対象に、それら遺伝的リスク因子が緑内障発症に及ぼす影響について検討した。その結果、非ヒスパニック系白人集団においてはTMCO1遺伝子型が、既知の臨床的な予測因子と同程度に緑内障と関連していることを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2016年10月1日号の掲載の報告。 研究グループは、OHTS試験の参加者1,636例のうち1,057例(65%)を登録し、DNAの検体を入手した。1994~2009年の間に、POAGを発症した209例を患者群、緑内障を呈しなかった848例を対照群として、他のコホートにおいてPOAGまたは視神経乳頭機能との関連が示された13のリスクアレルの頻度を調べ、比較した。主要評価項目は、既知の遺伝要因とPOAGとの関連とした。 なお、1,057例のうち非ヒスパニック系白人752例(70.7%)と黒人249例(23.7%)について、サブグループ解析も行った。 主な結果は以下のとおり。・OHTSコホート全体(1,057例)としては、既知のPOAGリスクアレルとの関連は検出されなかった。・しかし非ヒスパニック系白人集団において、TMCO1遺伝子座でアレル頻度が患者群と対照群で有意な差が認められた(p=0.00028)。・13年間でTMCO1リスクアレルを有する非ヒスパニック系白人は、リスクを有していない人より緑内障の累積発症頻度が12%増加した。・Cox比例ハザード分析の結果、TMCO1アレルはすでに知られている臨床的因子(眼圧)と同程度の相対リスク増大が認められた。

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HR+/HER2-乳がん、ribociclib+レトロゾールでPFS延長/NEJM

 ホルモン受容体(HR)陽性でHER2陰性の閉経後女性の進行乳がんに対して、初回全身治療として、選択的サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害薬ribociclibとレトロゾールの併用が、レトロゾール単剤に比べて無増悪生存期間を延長することが報告された。米国・テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンターのGabriel N Hortobagyi氏らが、668例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、発表したもので、NEJM誌オンライン版2016年10月7日号に掲載された。ribociclibは3週間投与、1週間休薬 研究グループは2014年1月24日~2015年3月24日に、HR陽性HER2陰性の再発または転移性乳がんの閉経後女性で、進行がんに対する全身治療を受けたことのない668例の患者を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはribociclib(600mg/日を3週間投与し1週間休薬)とレトロゾール(2.5mg/日)を、もう一方にはプラセボとレトロゾールを投与した。 主要エンドポイントは無増悪生存期間。事前に規定した優越性は、ハザード比0.56以下でp<1.29×10−5だった。副次エンドポイントは、全生存期間、奏効率、安全性などだった。 あらかじめ計画された中間解析は、2016年1月29日に行われた。それまでに243例が病勢進行または死亡となった。無増悪生存率、ribociclib併用群53%、プラセボ群37% 追跡期間の中央値は、15.3ヵ月だった。 その結果、無増悪生存期間はribociclib群がプラセボ群に比べ、有意に延長し、ハザード比は0.56(95%信頼区間[CI]:0.43~0.72、優越性に関するp=3.29×10−6)だった。18ヵ月追跡後の無増悪生存率は、プラセボ群が42.2%(同:34.8~49.5)に対し、ribociclib群は63.0%(同:54.6~70.3)だった。 ベースラインで測定可能な病変を持つ患者についてみると、奏効率はプラセボ群が37.1%、ribociclib群は52.7%だった(p<0.001)。 Grade3または4の有害事象について、いずれかの群で10%以上認められたのは、好中球減少症(プラセボ群0.9%、ribociclib群59.3%)、白血球減少症(0.6%、21.0%)だった。有害事象による服用中断は、プラセボ群2.1%、ribociclib群7.5%だった。

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ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効/NEJM

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)で50%以上の腫瘍細胞がPD-L1陽性の患者に対し、PD-1受容体阻害薬ペムブロリズマブは、プラチナベース化学療法に比べ、無増悪生存期間を有意に延長することが示された。ドイツ肺疾患研究センターのMartin Reck氏らが、305例の患者を対象に行った第III相無作為化非盲検比較試験の結果、明らかにした。全生存期間も有意に延長し、有害事象は有意に少なかった。NEJM誌オンライン版2016年10月8日号で発表した。 3週間ごとに200mg投与、プラチナベース化学療法と比較 研究グループは、50%以上の腫瘍細胞がPD-L1陽性で、上皮成長因子受容体の感受性変異や未分化リンパ腫リン酸化酵素(ALK)遺伝子の転座が認められない、未治療進行NSCLCの患者305例を対象に、試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはペムブロリズマブ(3週間ごとに200mg)を、もう一方の群にはプラチナベース化学療法を行った。 疾患の進行が認められた際には、化学療法群からペムブロリズマブ群へのクロスオーバーを可能とした。 主要評価項目は、無増悪生存期間だった。副次的評価項目は、全生存期間、客観的奏効率および安全性だった。無増悪生存期間中央値、化学療法群6.0ヵ月、ペムブロリズマブ群10.3ヵ月 結果、無増悪生存期間の中央値は、化学療法群6.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.2~6.2)に対し、ペムブロリズマブ群は10.3ヵ月(同:6.7~未到達)と、有意に延長した(病勢進行または死亡に関するハザード比:0.50、同:0.37~0.68、p<0.001)。 また、6ヵ月全生存率の予測値も、化学療法群が72.4%、ペムブロリズマブ群が80.2%だった(死亡に関するハザード比:0.60、同:0.41~0.89、p=0.005)。 奏効率についても、化学療法群27.8%に対し、ペムブロリズマブ群は44.8%と高く、さらに奏効期間の中央値も、6.3ヵ月(範囲:2.1+~12.6+)、未到達(1.9+~14.5+)と、ペムブロリズマブ群のほうが延長した。 治療関連の有害事象発生率も、全グレードについてはペムブロリズマブ群が73.4%、化学療法群が90.0%、grade3~5については26.6%、53.3%と、いずれもペムブロリズマブ群で低率だった。

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慢性腰痛患者が医師に診せない理由

 2016年10月17日(月)、塩野義製薬株式会社/日本イーライリリー株式会社主催のプレスセミナー「慢性腰痛治療の現状と課題―患者と医師の対話の中で見えてくること―」が開催された。まず、日本イーライリリー株式会社 臨床開発医師 榎本 宏之氏より、慢性腰痛に伴う痛みが患者の日常生活に及ぼす影響に関するインターネット全国調査の結果1)が発表された。その結果を受け、慢性腰痛治療に造詣の深い浜松医科大学 整形外科 教授の松山 幸宏氏より、慢性腰痛治療の現状や患者コミュニケーションの重要性、治療ゴール設定のポイントなどが語られた。慢性腰痛患者の9割以上が日常生活に何らかの支障がある 慢性疼痛で最も多い部位は「腰」である2)。今回の調査結果によると、慢性的な腰痛により日常生活に欠かせない動作や活動に何らかの支障を来していたと回答した患者は実に94.4%にのぼった。「物を持ち上げる」、「立ち上がる・しゃがむ」といった動作はもちろん、痛みが最もひどい時期には「起床」や「睡眠」にも半数以上の患者が支障を来していた。さらに、3人に1人が仕事を辞めたいと思ったことがあると回答し、患者のQOLに大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。慢性疼痛患者の半数以上はまったく治療を受けていない そのような苦しみを抱えているにもかかわらず、病院・クリニックで治療を受けている慢性疼痛患者はたった19%、民間療法が20%、まったく治療を受けていない患者が半数以上を占めるといった状況であるという。受けた治療の種類もマッサージが31%と最も多く、薬物療法22%、物理療法16%と続く3)。なぜこのような状況が生まれたのか? その理由が今回の調査で浮き彫りになった。6割の患者は医師の現在の治療法に満足せず 「慢性的な腰痛の治療において、医師の現在の治療法に満足しているか」という質問に「当てはまる」、「ある程度当てはまる」と回答した患者は42.2%にとどまった。また、治療に満足していない患者の68.8%は、医師に不満を伝えていなかった。一方、医師が考える患者の満足度は、実際の患者満足度よりも若干高く、医師と患者で意識差がある可能性が示唆された。患者が治療に満足していない理由として一番多かったのは、「期待していた鎮痛効果が得られなかったから」。また、医師に不満を伝えない理由は、「治療法を変えても、これ以上痛みは軽減しないと思うから」、「相談しても治療法を変えてくれなそうだから」と患者側が諦めていることがわかった。「患者が来院しなくなると、医師は痛みがなくなって満足したからだと考えるが、実は違う」と松山氏。患者・医師間で治療に対する理解・期待値に隔たり 慢性疼痛の原因は、器質的疾患が特定される場合もあれば、感覚・情動など複雑な要因が絡み合い、臨床上完全に特定されない場合もある。そのため、慢性腰痛症の治療も単独ではなく、さまざまな選択肢を組み合わせて行うことが重要である。しかし、そのような治療を行って痛みをゼロにできる患者もいれば、これ以上悪化しないよう現状維持、という患者もいる。このことを医師は知っているが、患者は知らないことが多い。そこで意識差が生まれ、「期待していた鎮痛効果が得られない」と患者は治療に満足できなくなる。そして、失望して医師に診せるのをやめ、長い時間マッサージをしてくれる民間療法に頼ったり、治療自体をやめてしまったりするのである。まとめ 慢性腰痛症患者の治療満足度を向上させるには、まず医師が患者一人ひとりとコミュニケーションをとり、患者の痛みの程度と生活の支障の程度を判断する必要がある。「治療により仕事や趣味、スポーツができる程度までの改善が見込めるのか、それとも日常生活がこなせるくらいの改善をめざすのか。患者の希望と現実を照らし合わせて治療ゴールを設定することで、患者も納得して治療に取り組むことができる」と松山氏は強調する。エビデンスに基づいた治療を行うことができるのは医師のみである。慢性腰痛症に苦しむ患者に、現在の治療に満足しているか、医師側から問いかけてみてはいかがだろうか。1)調査概要監修:国立大学法人 浜松医科大学 整形外科 教授 松山 幸宏調査日:2016年9月12日~20日対象:慢性腰痛症患者 2,350名   20歳以上男女、医療機関で慢性腰痛症と診断され、   現在治療中または治療を行っていた方   47都道府県/50名(男女 各25名)   慢性腰痛症の治療経験のある整形外科医111名地域:全国調査方法:インターネット調査(実査:株式会社マクロミル)調査主体:塩野義製薬株式会社、日本イーライリリー株式会社2)矢吹省司ほか. 臨床整形外科. 2012;47:127-134.3)Nakamura M, et al. J Orthop Sci. 2011;16:424-432.

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GLP-1受容体作動薬は心血管イベントを抑止しうるか(解説:吉岡 成人 氏)-603

はじめに  いくつもの大規模臨床試験により、糖尿病治患者の心血管イベントを抑制するためには、発症早期からの集約的な代謝管理が有用であることが確認されている。一方、罹病期間が長く、心血管イベントを発症するリスクが高い患者やすでに心血管疾患の既往がある患者では、インスリンを中心とした薬剤で厳格な血糖管理を目指すことは、低血糖のリスクが高まり、心血管イベントを抑止しえないことも広く知られている。このような背景を基に、インクレチン製剤はGLP-1やGLP-1の代謝産物を介して心保護作用が期待され、心血管イベントに対する有用性を臨床的にも示すデータが待ち望まれていた。しかし、DPP-4阻害薬であるサキサグリプチン、アログリプチン、シタグリプチンを用いたSAVOR-TIMI53、EXAMINE、TECOSの各試験においては、プラセボと比較して心血管イベントに対する非劣性を示すにとどまった。一方、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンがEMPA-REG試験で心不全の減少を介すると思われる心血管イベント抑制の効果を証明し、その後の解析によって腎保護作用を持つことも示唆されている。GLP-1受容体作動薬と心血管イベント 2016年の米国糖尿病会議において、リラグルチドによって2型糖尿病患者の心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死的脳卒中)が一定の割合で抑制される(ハザード比0.87、95%信頼区間、0.87~0.97)ことを示したLEADER試験(Liraglutide Effect and Action in Diabetes: Evaluation of Cardiovascular Outcome Results)は大きな話題となったが、有意差はないもののリラグリチド投与群で13例、プラセボ群で5例の膵臓の発生(p値0.06)というデータが気にかかった。さらに、急性心不全で入院した患者を対象としてリラグルチドを投与したFIGHT 試験(Functional Impact of GLP-1 for Heart Failure Treatment1))では、リラグルチドによって心不全の予後は改善せず、糖尿病患者に限定すると、予後を悪化しかねないことも示された。リキシセナチドを用いたELIXA試験(Evaluation of Lixisenatide in Acute Coronary Syndrome)でも心血管疾患に対する保護効果はなく、GLP-1受容体作動薬の心血管イベントに対する臨床効果に懸念が持たれた。GLP-1受容体作動薬、週1回製剤の場合 現在、日本において週1回投与が可能なGLP-1受容体作動薬はビデュリオン(エキセナチドをマイクロスフェアに包埋し持続的に放出する製剤)とトルリシティ(デュラグルチド、アミノ酸を置換したヒトGLP-1アナログ2分子にIgG4のFc領域を融合し、吸収速度と腎排泄を低下させ作用時間を延長させる製剤)が発売され、毎日の自己注射が難しい高齢者などを中心に使用が広まっている。 このような背景のもと2016年9月15日号のNEJM誌にノボノルディスクファーマで開発中のGLP-1受容体作動薬、週1回投与製剤であるセマグルチドの心血管イベントに対する影響を検討した研究(SUSUTAIN-6:Trial to Evaluate Cardiovascular and other Long-Term Outcomes with Semaglutide in Subjects with Type2 Diabetes)の報告が掲載された。 20か国230施設にて、50歳以上で心血管疾患の既往がある慢性心不全または慢性腎臓病(CKD)ステージ3以上、または60歳以上で心血管リスク因子(心血管疾患の既往、50%以上の冠動脈病変、運動負荷試験で陽性など)を有するHbA1c7.0%以上の糖尿病患者3,297例を対象としている。対象患者の糖尿病の平均罹病期間は13.9年、平均HbA1cは8.7%、平均体重は87.2kgで、観察期間(中央値2.1年)中に、セマグルチド投与群で6.6%、プラセボ群で8.9%に心血管複合イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)が認められ、ハザード比は0.74(95%信頼区間:0.58~0.95、非劣性p<0.001)であった。セマグルチド0.5mg、1.0mg投与群でHbA1cはそれぞれ1.1%、1.4%低下し、体重も3.6kg、4.9kg低下した。膵の発生はセマグルチド群1例、プラセボ群4例と報告されている。 個々のイベントでは、心血管死についてはセマグルチド群2.7%、プラセボ群2.8%と差はなかったが、非致死性心筋梗塞と非致死性脳梗塞の発症はそれぞれ2.9% vs.3.9%(ハザード比0.74、95%信頼区間:0.51~1.08、p=0.12)、1.6% vs.2.7%(ハザード比0.61、95%信頼区間:0.38~0.99、p=0.04)と、セマグルチド群での低下傾向が認められた。細小血管障害についてはセマグルチド群の3.0%に網膜症の悪化(硝子体出血、光凝固、硝子体内注射など)が認められプラセボ群では1.8%であった(ハザード比1.76、95%信頼区間:1.11~2.78、p=0.02)。おわりに セマグルチド群では嘔気、嘔吐などの消化管の副作用が多いものの、より良好な代謝管理が得られ、心血管リスクが高い患者では心血管イベントに対する有用性も示唆される成績と考えられる。しかし、GLP-1受容体作動薬で今まで指摘されていなかった網膜症の増悪が示唆される点は不気味な印象を覚える。 いずれにしても、諸手を挙げて「GLP-1受容体作動薬は心血管イベントの抑制に有用」と結論付けるには難しい状況が続いている。【お知らせ】本文内の表記を一部変更いたしました(2016年11月7日)。

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統合失調症患者の性機能障害、ミルタザピンで改善

 統合失調症における性的機能不全は、抗精神病薬(とくに第1世代抗精神病薬)やSSRIなどの抗うつ薬により悪化する。ミルタザピンは、他の多くの抗うつ薬と比較し、異なる作用機序を有する抗うつ薬であり、うつ病患者のSSRI誘発性性機能障害を改善することが期待される。しかし、ミルタザピンが統合失調症患者の性機能を改善させるかは不明である。フィンランド・ヘルシンキ大学のViacheslav Terevnikov氏らは、この疑問に対し、検討を行った。Nordic journal of psychiatry誌オンライン版2016年10月5日号の報告。 第1世代抗精神病薬治療を受けた統合失調症患者を、ミルタザピン追加群(20例)、プラセボ追加群(19例)のいずれかにランダムに割り付け、6週間投与した。性機能は、Udvalg for Kliniske Undersogelser side-effect rating scale(UKU-SERS)から関連5項目を用いて測定した。 主な結果は以下のとおり。・オルガスム機能は、ミルタザピン追加群において有意に改善した(p=0.03)。両群とも、他の性機能に変化はなかった。・ミルタザピン追加投与は、第1世代抗精神病薬治療を受けた統合失調症患者におけるオルガスム機能障害を軽減させることが示唆された。関連医療ニュース リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法 プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか 統合失調症の治療に伴う性機能障害、カベルゴリンにより改善

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子宮頸がん検診の間隔、5年以上でも安全か/BMJ

 ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性女性では、子宮頸がんおよびGrade 3以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3+)の長期的なリスクはきわめて低いが、陽性女性ではCIN3+の長期的リスクがかなり高いことが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのMaaike G Dijkstra氏らが進めるPOBASCAM試験で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2016年10月4日号に掲載された。HPV検査およびHPV検査+細胞診の組み合わせによる子宮頸がん検診は、細胞診のみの検診よりも早期に、Grade 3のCINを検出することが示されているが、5年以上の間隔を置いた検診の安全性のエビデンスは不十分とされる。オランダでは、2017年に、HPVベースの検診プログラムにおける40歳以上のHPV陰性女性のHPVの検診間隔が、5年から10年に延長される予定だという。5年以上の検査間隔の早期リスクを無作為化コホート試験で評価 POBASCAMは、オランダのHPVベースの子宮頸がん検診プログラムの検診間隔を5年以上に延長した場合の早期リスクを評価する地域住民ベースの無作為化コホート試験(オランダ保健研究開発機構の助成による)。研究グループは、今回、14年の長期フォローアップの結果を報告した。 本試験には、1999年1月~2002年9月に、HPV検査陰性または細胞診陰性、あるいは双方とも陰性の29~61歳の女性4万3,339例が登録された。これらの女性が、子宮頸がん検診としてHPV検査と細胞診の双方を行う群(介入群)または細胞診のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。5年ごとに3回の検診が実施された。 主要評価項目は、CIN3+の累積発生率であった。HPV陽性女性については、細胞診陰性、16/18型HPV陰性、リピート細胞診陰性の場合に、CIN3+の発生率が低下するかについて検討した。陰性女性のCIN3+リスクは、40歳以上のほうが低い 介入群のHPV陰性女性では、3回の検診後の子宮頸がんの累積発生率は0.09%、CIN3+の累積発生率は0.56%であった。対照群の細胞診陰性女性における2回の検診後の子宮頸がんの累積発生率は0.09%、CIN3+の累積発生率は0.69%であり、いずれも両群で同様の結果であった。 また、子宮頸がんのリスク比は0.97(95%信頼区間[CI]:0.41~2.31、p=0.95)、CIN3+のリスク比は0.82(95%CI:0.62~1.09、p=0.17)であった。 これらは、HPV検査陰性の場合、細胞診陰性に比べ、子宮頸がんのリスクが低い期間が長いことを示唆する。 HPV陰性女性では、40歳以上が40歳未満に比べCIN3+の発生率が72.2%(95%CI:61.6~79.9%、p<0.001)低く、有意差が認められた。子宮頸がんの発生率と年齢には、有意な関連はみられなかった。 一方、HPV陽性女性のCIN3+の発生率はかなり高く、HPV検査陽性で細胞診陰性、16/18型HPV陰性、リピート細胞診陰性の女性におけるCIN3+の発生率は、HPV検査陰性女性の10.4倍(95%CI:5.9~18.4)に達した。 著者は、「これらの知見は、HPV検査陰性の40歳以上の女性における検診間隔の10年への延長を正当化すると考えられる。HPV陽性で、細胞診トリアージ陰性の女性では、CIN3+の長期的なリスクが高く、検診期間の延長は支持されない」とまとめている。

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ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMO

 未治療進行非小細胞肺がんの標準的な1次化学療法への抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の追加が、奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが、コペンハーゲンで開催されたESMO 2016会議で報告された。 第II相試験 KEYNOTE-021は、ステージIIIB / IVの未治療の非扁平上皮非小細胞肺がん患者123例をカルボプラチン(AUC5)・ペメトレキセド(500mg/m2)3週ごと4サイクル併用群とカルボプラチン・ペメトレキセド併用+ペムブロリズマブ(200mg)3週ごと24ヵ月追加群に無作為に割り付け行われた。 10.6ヵ月(中央値)後のORRは、ペムブロリズマブ追加群で有意に高かった(ペムブロリズマブ追加群:55%、化学療法群:29%、p=0.0016)。腫瘍PD-L1発現量による結果は示されなかったものの、研究者らはペムブロリズマブ追加群ではPD-L1発現量50%以上の腫瘍で奏効率が高かった(80%程度)ことを明らかにした。 PFSはペムブロリズマブ追加群で優れていたが(ペムブロリズマブ追加群:13.0ヵ月、化学療法群:8.9ヵ月)、生存率(OS)は両群で同等(6ヵ月生存率 92%)であった。Grade3以上の有害事象の発生率はペムブロリズマブ追加群で高かった(ペムブロリズマブ追加群:39%、化学療法群:26%)。しかし、それらの有害事象は治療中止率(ペムブロリズマブ追加群10%、化学療法群13%)および治療関連死には影響を及ぼさなかった。ペムブロリズマブ追加群でよく見られた有害事象は、疲労感や吐気、化学療法群では貧血であった。ESMO2016のプレスリリースはこちら

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高齢者症候性大動脈弁生体弁人工弁置換の遠隔期治療成績(解説:許 俊鋭 氏)-602

目的 症候性の高度大動脈弁狭窄症(AS)のある患者に対する外科的生体弁大動脈弁置換(SAVR)の生存、脳卒中、生体弁の構造劣化、心房細動の発生頻度、および手術後の入院期間を検討した。検討方法 論文の系統的レビューと観察研究のメタ分析とした。データソースは2002年から2016年6月までのMedline、EMBASE、PubMed(非Medlineのレコードのみ)、コクランデータベースの系統的レビュー、およびコクランCENTRALである。選択対象 SAVR術後少なくとも2年間の観察研究が可能な症例である。方法 レビュワーは独立かつ重複して、評価研究適格性、抽出したデータ、重要な患者の治療成績に関わるバイアスのリスクを評価した。絶対的な効果とエビデンスの質を定量化するためにGRADEシステムを使用した。公開生存曲線は生存率と生体弁の構造劣化回避率に関するデータを提供し、ランダム効果モデルは、プールされた脳卒中、心房細動の発生率および入院期間の推定のためのフレームワークを提供した。結果 SAVRの生存年数の中央値は65歳以下で16年(この年齢層の加重平均年齢である米国の59歳の一般人口の余命は平均22.2年)、65~75歳で12年(68歳の余命は平均15.6年)、75~85歳で7年(79歳の余命は平均8.7年)、85歳以上で6年(92歳の余命は平均3.5年)であった。脳卒中の発生率は0.25/100患者年、新たな心房細動発生率は2.90/100患者年であった。人工弁劣化回避率は10年で94%、15年で81.7%、20年で52%であった。症候性ASに対するSAVR症例の長期生存率は非AS症例(一般人口の寿命)に比較してわずかに低いだけであったが、年齢層によって明らかに異なり、高齢者層ほど生存率は低下した。脳卒中発生率や人工弁劣化率も10年まではきわめて低かった。しかし、人工弁劣化速度は10年目以降急速に上昇し15年目以降はとくにその傾向は顕著であった。【コメント】 症候性の高度大動脈弁狭窄症(AS)に対する外科的人工弁置換(SAVR)は若い年齢層では罹患率および死亡率を低減し、STS-PROM(the Society of Thoracic Surgeons predicted risk of mortality)で8%以下の軽度~中等度リスクの症例にSAVRが推奨されている。現時点で高度ASに対する治療選択には機械弁を用いたSAVR、生体弁を用いたSAVR、あるいはTAVIがあり、治療選択の決定に重要な事項はSAVRの死亡率、人工弁劣化による心不全の再発、再手術の可能性などである。 最近の生体弁を用いたSAVRの観察研究の系統的な検証とメタ分析で生体弁SAVRは低い早期死亡率(5.03%/患者年)と遠隔期死亡率(1.68%/患者年)、そしてきわめて低い再手術率(0.75%/患者年)が報告されているが、年齢について階層化した死亡率の分析がなされていないこと、また、その他、再手術率や脳卒中・心房細動の発生率などの分析に問題がある。 著者らは下記のBMJの推奨1)2)に従った方法を用いて系統的レビューと観察研究のメタ分析を行い、生体弁を用いたSAVRの治療成績は高齢者層ほど遠隔期生存率が低下するが、一般人口の生命予後と大差がないことや、脳卒中発生率や人工弁劣化率も10年まではきわめて低いことを明らかにした。一方、人工弁劣化速度は10年目以降急速に上昇し15年目以降はとくにその傾向は著しいことも明らかにした。 高齢者症候性の高度大動脈弁狭窄症(AS)に対する治療選択では、各年齢層において1)遠隔期生存率が低下するが、一般人口の生命予後と大差がないこと、2)人工弁劣化率も10年まではきわめて低いが10年目以降急速に上昇し15年目以降はとくにその傾向は著しいことを十分考慮する必要がある。参考文献はこちら 1) Vandvik PO, et al. BMJ. 2016:354:i5085. 2) Siemieniuk RA, et al. BMJ. 2016;354:i5191.

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Dr.長尾の胸部X線ルネッサンス 演習用スケッチシート

CareNet DVD「Dr.長尾の胸部X線ルネッサンス」をお買い上げいただき誠にありがとうございます。第10回「実臨床で使うための読影演習」では、所見を描きこむためのスケッチシートをご用意しております。3種類のスケッチシートを症例に応じてご利用ください。※予告なくスケッチシートの配布を終了する場合があります。あらかじめご了承ください。ダウンロード【スケッチシート1】症例1、症例2、症例6、症例7こちらからダウンロード【スケッチシート2】症例3、症例8こちらからダウンロード【スケッチシート3】症例4、症例5こちらからダウンロード【スケッチシート(一括ダウンロード)】症例1~8こちらからダウンロード関連番組のご紹介(CareNeTV)プライマリ・ケアの疑問 Dr.前野のスペシャリストにQ!(呼吸器編)(全15回)シリーズ解説:プライマリ・ケア医が日頃の診察で感じる疑問に、その分野の専門医が一問一答で答えるQ&A番組。今回のテーマは呼吸器疾患です。前野哲博先生がプライマリ・ケア医視点で厳選した呼吸器疾患に関する疑問に、スペシャリスト長尾大志先生がズバリとお答えします。「疾患の鑑別方法は?」「薬剤をどう使い分ける?」などの“疑問”“悩み”を解決します。CareNeTVはこちら長尾大志氏の番組ページはこちら

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先端巨大症〔acromegaly〕

1 疾患概要■ 概念・定義手足の末端や顔貌の変化など特有な容姿から名付けられた疾患名であるが、成長ホルモン(GH)の過剰分泌により生じる。骨端線閉鎖以前では巨人症(gigantism)を、骨端線閉鎖以降では骨の末端の肥大を示す先端巨大症(acromegaly)を呈する。また、GH過剰状態が長期に持続すると、QOLは低下し、心・脳血管障害、悪性腫瘍、呼吸器疾患などを合併し、生命予後は不良となる。■ 疫学欧米の最近の報告によると、発生頻度(罹患率)は、年間3.5~6.5人/100万人、有病率は125~137人と報告されている。わが国の報告では、片上氏らの宮崎県での調査の結果、罹患率は5.3人/100万人、有病率85人と報告されている。本症に性差はみられず、40~60歳を好発年齢とし各年齢層に広く分布している。■ 病因先端巨大症の99%以上は、下垂体のGH産生腫瘍が原因であるが、ごくまれに気管支や膵、十二指腸などに発生する内分泌腫瘍から、異所性にGH放出ホルモンが過剰に産生される異所性GHRH産生腫瘍や、膵臓がんや悪性リンパ腫での異所性GH産生などが原因となる先端巨大症の報告例がある。■ 病態生理GH産生腫瘍もほかの下垂体腫瘍同様、モノクローナルな腫瘍で、体細胞レベルでの突然変異(somatic mutation)が腫瘍化の原因と考えられてきた。約半数の症例ではGHRH受容体と共役しているGタンパク質のαsubunitであるGsαの活性化変異(gsp変異)が認められる。その結果アデニル酸シクラーゼの活性化が持続し、細胞内のcAMPの増加が維持され、細胞増殖が促進する。一方、家族性にGH産生腺腫を合併する疾患にCarney complex、家族性GH腺腫(isolated familial somatotropinoma:IFS)、多発性内分泌腺腫症(MEN1および4)があるが、弧発性GH腺腫でもこれらの遺伝性疾患の原因遺伝子が検討されたが、不活化を伴う体細胞変異は認められていない。■ 臨床症状症状はGH過剰分泌に基づく症候が主体で、時に下垂体腫瘍が大きな場合には下垂体機能低下、視機能障害、頭痛など占拠性症候が同時に認められる。GHの過剰分泌により、肝臓でインスリン様成長因子-1(insulin-like growth factor 1: IGF-1)が過剰に産生され、これらGH、IGF-1の過剰分泌が長期に続くと、骨、軟部組織、内臓の肥大や変形が生じる。臨床症状としては顔貌の変化、手足の肥大はほぼ全例で認められ、耐糖能の低下、巨大舌、発汗過多も70%以上でみられる。また、先端巨大症では約25%(自験例で13%)の症例でプロラクチン(PRL)の同時産生を認めるため、月経異常(無月経、乳汁漏出)が主訴となることがある(図1、図2、表)。画像を拡大するA:先端巨大症の主な症状B:先端巨大症男性例の顔貌。骨の変形に伴う眉弓部・頬骨部の隆起、下顎の突出がみられ、鼻、口唇の肥大も認める特徴的な先端巨大症顔貌C:左は手指の腫大、皮膚の肥厚、多毛など典型的な先端巨大症の手(右は成人男性健常者)画像を拡大する画像を拡大する1)顔貌の変化眉弓部や頬骨部の隆起、下顎の突出、咬合不全、歯間の開大などが認められ、軟骨、軟部組織、皮膚も影響され、鼻、口唇も肥大し、いわゆる先端巨大症様顔貌を呈する(図1B)。2)骨、関節、結合組織手足の骨は伸び、手足の末端は肥大し、指は厚ぼったく太く丸みをおび、時に手指で小さな物をつまみ上げることが困難となる(図1C)。多角的にはX線検査における手指末節骨先端の花キャベツ様変化また結合組織も肥大によるheel pad(踵骨と足底の間の軟部組織)の肥厚が認められる。時に骨、結合組織の肥厚に伴い、手根管症候群や座骨神経痛、股関節、顎関節、膝関節の変形に伴う痛みも認められる。体型も椎骨の肥大変形により、胸部は後彎、腰部は前彎という独特な体型を呈する。これら骨に生じた変形は通常進行性で不可逆的である。3)皮膚肥厚し、色素沈着や発汗過多により、手掌、足底は常にべたつき、しばしば異臭を伴う。4)臓器肥大肝臓、腎臓、甲状腺などが肥大する。舌の肥大は巨大舌と呼ばれ、声帯の肥大などとともに特徴的な低い声となる(deepening of the voice)。5)循環器高率に高血圧を合併する。これは進行する動脈硬化と細胞外液量の増加が関与すると考えられている。心肥大も多く、最終的には拡張性の心不全を生じ、生命予後を左右する大きな一因となっている。6)呼吸器胸郭、肺の弾性が低下し、換気低下が進行すると慢性気管支炎、肺気腫など器質性変化が生じ、時に呼吸不全となる。また、近年本症は閉塞性の睡眠時無呼吸症候群の一因としても注目されている。7)代謝GHのインスリン拮抗作用が原因で耐糖能の低下、糖尿病が高頻度にみられる。8)占拠性症候下垂体腫瘍の70%以上は、腫瘍径1cm以上のmacroadenomaであるが、視野異常など視機能低下を合併する頻度はそれほど多くはない(自験例で5%)。同様に腫瘍の圧迫による続発性下垂体機能低下症もまれである。■ 予後放置した場合の生命予後は、一般人口と比較すると不良で、標準化死亡率は1.72倍高いと報告される一方、治療によりGH、IGF-1値が正常化すると、その後の生命予後は一般人と変わらなくなると報告されている。また、合併する高血圧、糖尿病、心疾患などの合併症のコントロールも生命予後の改善に寄与する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 臨床所見とGH、IGF-1基礎値診断の基本はまず臨床的所見から先端巨大症を疑うことが重要である。しかし、通常患者が直接専門医を受診することは少なく、早期発見のためにも、合併疾患の治療科である整形外科、呼吸器科、一般内科医などへの本疾患の啓発が重要である。近年、新聞・雑誌や下垂体患者会などからの啓発活動の結果、患者自らがこの疾患を疑い、専門機関を受診するケースも増加している。本疾患が疑われる患者では、まずGH、IGF-1値を含めた下垂体ホルモン基礎値を測定し、GH過剰分泌の有無、他のホルモンの過剰あるいは低下の有無を検討する。重要なことは、GH基礎値は変動が大きく、単回の血中GH基礎値のみでのGH過剰状態の判定は不可能で、同時に必ずGHの総分泌量を反映するIGF-1値を測定することが重要である。臨床所見を認め、IGF-1値が年齢、性別の基準値より明らかに高値を示す場合には、通常先端巨大症と考えてよい(図2)。■ 経口ブドウ糖負荷試験など先端巨大症患者では、GHの抑制がないか、逆説的な増加を示し、0.4ng/mL未満には抑制されない。感度の高い検査で、本疾患が疑われる場合には必須の検査である。この検査は、先端巨大症の診断のみならず耐糖能の評価、治療後の耐糖能低下改善の予測などにも重要な検査である。以上で診断が確実となれば、他の前葉ホルモンの機能評価を兼ねたTRH、CRH、GnRH 3者負荷試験、薬物の効果を予測するドパミン作動薬(ブロモクリプチン)やオクトレオチド負荷試験を施行する。■ 画像検査次に重要なことは腫瘍の状況の把握で、このためには下垂体の精検MRIが最も重要である。通常1cm以下の微小腺腫が2~3割程度を占める。また、下垂体腫瘍が認められない場合には、異所性GHRH産生腫瘍なども考慮する必要がある(図2)。■ その他の検査合併症の評価のため、心機能、呼吸機能、動脈硬化の程度の評価、大腸がんの有無の評価なども重要な検査である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)先端巨大症を呈する下垂体腫瘍の治療の目的は、過剰に産生されているGHの早期の正常化と、腫瘍が大きく圧迫症候を伴っているときには、それらの改善にある。本疾患の治療の原則は、外科的切除が第1選択であるが、手術不能例や患者の同意が得られない特殊な場合、手術で治癒が不可能と考えられる一部の症例、外科的治療でも治癒が得られない場合には薬物療法、放射線療法などの補助療法を追加する。同時に合併症のコントロールも予後の改善からも重要である。先端巨大症の治療の流れを示すフローチャートを図3に示した。画像を拡大する■ 手術療法手術は通常経鼻的アプローチで行われ、これを「経蝶形骨洞手術」と呼び、手術用顕微鏡や内視鏡下に施行されるが、大きな腫瘍や浸潤性腫瘍では、患者の全身状態の改善による周術期のリスクの減少と腫瘍の縮小を目的として、術前短期(1~3回程度)のオクトレオチドLAR(商品名: サンドスタチンLAR)、ランレオチド(同:ソマチュリン)を使用する場合がある。現在のところ下垂体外科を専門とする施設での治癒率は、60~70%と報告されている(図4)。手術での治療成績不良な因子としては、腫瘍の大きさ、海綿静脈洞浸潤の有無などが挙げられる。画像を拡大する■ 薬物療法腫瘍からのGH分泌を抑制し、抗腫瘍効果のあるドパミン作動薬(ブロモクリプチン[商品名: パーロデル]やカベルゴリン[同:カバサール])、ソマトスタチンアナログ製剤が主に使用されている。それでも効果が不十分な場合には、GHの作用をブロックするペグビソマント(同:ソマバート)が使用される。ただし、ソマトスタチンアナログ製剤やペグビソマントは、有効率は高いものの、きわめて高価であること、ペグビソマントは毎日自己注射が必要なこと、カベルゴリンは保険適用ではないことが欠点である。また、これらの薬剤の効果をより高めるために、多剤薬物療法(combined therapy)も適時試みられている。■ 放射線照射海綿静脈洞内など外科切除困難な部位に腫瘍が残存し、薬物効果が不十分な場合などが適応となる。現在ではγナイフやサイバーナイフなどの定位放射線療法が主体で、従来の放射線療法に比較し、いずれも短時間でより選択的な照射が腫瘍へ可能であり、かつ治療効果発現までの時間も短く(通常1~2年)、正常下垂体、神経組織への障害も少ない。■ フォローアップ通常治療後、治癒基準を満たす症例が再発を呈することはきわめてまれであるが、半年~1年に1度GH、IGF-1検査のフォローが必要である。また、術前の症状の有無により、適時に大腸内視鏡、心エコーなどの定期的フォローも必要となるし、薬物療法施行例では、それぞれの副作用のチェック、さらに放射線療法が行われた症例ではGH、IGF-1はもちろん、下垂体機能低下症の長期にわたるフォローも重要となる。4 今後の展望本疾患の早期発見、早期治療のためには、関連診療科医師へのさらなる啓発活動が重要である。薬物治療法については、オクトレオチドLAR、ランレオチドなどの標準的なソマトスタチンアナログ製剤と比較して、より優れたGHおよびIGF-1の治療目標値への達成が期待されるSOM230(一般名: パシレオチド)が、2016年末にわが国で発売される予定である。また、ソマトスタチンアナログ製剤は、現在1ヵ月に1度の割合で病院での注射が必要となるが、アドヒアランスのより高い経口薬(oral octreotide)がすでに開発されており、近い将来広く臨床応用されることが期待される。5 主たる診療科下垂体疾患・腫瘍を取り扱う内分泌内科、脳神経外科、小児科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 先端巨大症、下垂体性巨人症(下垂体性成長ホルモン分泌亢進症)平成27年施行の指定難病。先端巨大症は、下垂体性成長ホルモン分泌亢進症(告示番号77)に分類されている。本サイトは「厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究 先端巨大症および下垂体性巨人症の診断と治療の手引き」にリンクされている。アクロメガリー広報センター(ノバルティスファーマ株式会社)先端巨大症ねっと(帝人ファーマ株式会社)いずれも製薬メーカーが運営するサイトであるが、患者向け、医療者向けの両サイトがあり、先端巨大症についての知識や治療法がわかりやすく解説されている。患者会情報下垂体患者の会(下垂会)2005年に下垂体疾患の患者有志が集まり、自分達の病気の難病指定を目標に結成され、現在全国規模で医療講演会や患者会を定期的に開催・活動している。1)Katznelson L, et al. J Clin Endocrinol Metab.2014;99:3933-3951.2)特集 先端巨大症の診療最前線. ホルモンと臨床.2009.3)平田結喜緒 編. 下垂体疾患診療マニュアル 改訂第2版.診断と治療社;2016.4)千原和夫 監修. 改訂版 Acromegaly Handbook.メディカルレビュー社;2013.公開履歴初回2016年10月18日

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