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マントル細胞リンパ腫〔MCL: Mantle cell lymphoma〕

1 疾患概要■ 概念・定義マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma:MCL)は、1992年にBanks氏らにより独立した疾患単位として提唱された悪性リンパ腫である。WHO分類第4版では、核不整を伴う小型、中型のリンパ球が単調に増殖するB細胞腫瘍であり、Cyclin D1遺伝子の転座を伴うと定義される1)。■ 疫学MCLは、非ホジキンリンパ腫の3~10%を占め、中年から高年層に多く、好発年齢は60歳前後で、男性に多く発症する1)。わが国においては、悪性リンパ腫の2~4%程度と報告されており、比較的まれな病理組織型である。■ 病因14q32に存在する免疫グロブリン重鎖遺伝子(IgH)と11q13に存在するCCND1遺伝子の相互転座 t(11;14)(q13;q32)により、Cyclin D1の過剰発現が生じて腫瘍細胞増殖を促進すると考えられている。さらに近年の分子生物学的研究の成果により、染色体転座に加えMCL発症に重要な役割を果たしていると考えられる遺伝子変異が同定されている。DNA修復に関わるATM遺伝子、クロマチン修飾に関わるWHSK1、MLL2およびMEF2B遺伝子、NFκBに関わるBIRC3遺伝子、Notchシグナルに関わるNOTCH1/2遺伝子などである。また、MCLの一部においてB細胞受容体(B-cell receptor:BCR)を介したシグナル伝達が恒常的に活性化しており、染色体転座および遺伝子変異と同様にMCLの発症に関与していると考えられている。とくにNFκBやBCRシグナルに関わる分子は、MCLにおける重要な治療標的と考えられるようになり、それらを標的とした分子標的薬の臨床導入も検討されている。Cyclin D1陰性例がMCLの5%以下に認められるが、そのような症例はCyclin D2、D3の過剰発現が確認されており、少数例の解析ではあるが、Cyclin D1陽性の典型例と陰性例で臨床的特徴や予後は変わらないと報告されている。■ 症状MCLの初発症状は、その他の非ホジキンリンパ腫と同様にリンパ節腫大で発症することが多く、特有の症状はない。しかし、MCLは90%近い患者において初発時に臨床病期III期・IV期の進行期であり、表在リンパ節腫大・脾腫以外に、節外病変に伴う症状を高頻度に認める。骨髄浸潤は50~70%に認める。消化管浸潤が20~30%に認められるため、腹部膨満・腹痛・下痢などの消化器症状を主訴として、消化器内科を受診して発見される患者も比較的多い。また、眼窩の腫脹で眼科を受診し、リンパ腫が疑われる場合もあり、多彩な症状で発見されることが特徴である。■ 分類MCLは、病理組織学的に腫瘍細胞は小型~中型の比較的均一な細胞の増殖からなり、腫瘍細胞にはアポトーシス像や分裂像をほとんど認めず、このような形態を示す例が9割近くを占める。その他に芽球様型(blastoid variant)、多形性型(pleomorphic variant)および小細胞型(small cell variant)と呼ばれる細胞形態学的亜型に分類される。さらに、腫瘍の組織構築によりびまん性、結節性およびマントルゾーンパターンに分類される。芽球様型および多形性型は、高悪性度型として予後不良と考えられている1)。■ 予後MCLの予後予測は、中高悪性度リンパ腫に対する予後予測因子である国際予後指標(international prognostic index:IPI)によりおおむね予測が可能であるが、より正確に予後を予測するモデルとしてMCL国際予後指標(mantle cell lymphoma IPI:MIPI)が提唱された2)。MIPIは、年齢、performance status(PS)、LDHおよび白血球数の4つの因子によりlow/intermediate/highの3群のリスクに分類するものである。全生存期間(overall survival:OS)中央値は、low risk群で中央値に到達せず、intermediate risk群 51ヵ月、high risk群 29ヵ月であり、予後層別化が可能であった。一方でMIPIは、計算式によりスコアを求める必要があるため煩雑であることから(図1)、より簡便にしたsimplified MIPI(s-MIPI)が提唱された(図2)。s-MIPIによる各群のOS中央値は、low risk群で中央値に到達せず、intermediate risk群 51ヵ月、high risk群 29ヵ月であった。さらにKi-67陽性強度が独立した予後因子であるとされている。画像を拡大する画像を拡大する2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 病理組織学的診断MCLの診断は、リンパ節生検などによる腫瘍組織の病理組織学的診断がもっとも重要である。生検検体は、可能な限り新鮮検体、ホルマリン固定検体および凍結保存検体の3種類に分別して処理すべきである。ホルマリン固定検体を用いたHE染色にて形態学的に悪性リンパ腫が疑われれば、免疫組織学的検査を追加する。MCLはCD20などのB細胞マーカーに加えて、CD5が陽性で、Cyclin D1が腫瘍細胞の核に陽性となる。また、新鮮検体を用いてflow cytometry法により細胞表面抗原検索を併せて行う。通常MCLは、CD5、CD19、 CD20、 CD22、 CD79aが陽性で、CD10およびCD23が陰性である。染色体分析では、t(11;14)(q13;q32)が陽性となることが多く、病理組織学的診断を補強する意味で有用である。病理組織学的に、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫などが鑑別となる。そのため、免疫組織学的検査や細胞表面抗原検査の所見が、鑑別上重要である。■ 臨床病期診断悪性リンパ腫の治療方針を決定するうえで、臨床病期診断は重要である。リンパ節病変の評価として頸部から骨盤部のCT、骨髄検査が必須である。また、近年悪性リンパ腫の臨床病期診断におけるFDG-PETの有用性が指摘されており可能な限り実施する。その他、MCLは前述のように、消化管病変を有することが多いため、上部消化管内視鏡に加え、下部消化管内視鏡検査を行うことが望ましい。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブと高用量シタラビンを併用した強力な寛解導入療法に引き続いて、自家造血幹細胞移植大量化学療法(自家移植)を実施する治療戦略が、現時点でもっとも良好な病勢制御が期待でき、自家移植の適応を有する65歳以下の未治療進行期MCL患者における標準的治療法である。Geisler氏らの北欧グループによるR-maxi-CHOP/大量シタラビン療法3)やMD Anderson Cancer CenterによるHyperCVAD/MA療法4)の報告が、いずれも第II相試験の結果ではあるが、その根拠となっている。わが国においては、日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group:JCOG)よりR-high-CHOP/CHASER療法に引き続く、LEED療法を前処置とした自家移植の有効性が報告されている5)。自家移植の適応のない65歳を超える高齢のMCL患者では、わが国においてはR-CHOP療法が標準的治療法の1つとして位置付けられている。CHOP療法とR-CHOP療法を比較した臨床試験において、奏効割合でR-CHOP療法が有意に優れていたが、OSには有意差は認められなかった6)。一方、メタ解析では、リツキシマブ併用化学療法が化学療法群と比較してOSを延長することが示され、R-CHOP療法を含むリツキシマブ併用化学療法が標準的治療法と位置付けられた7)。また、R-CHOP療法とそれに引き続くリツキシマブ維持療法はOSを延長することが報告されている8)。ドイツからの報告では、R-CHOP療法と比較してベンダムスチン(商品名: トレアキシン)とリツキシマブ併用(BR)療法で有意にOSが延長したと報告された9)。さらにプロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブ(同: ベルケイド)を併用したVR-CAP療法が、R-CHOP療法と比較して無増悪生存期間を延長することが第III相試験で示された10)。いずれも試験治療群が標準的治療法となり得るデータであった。わが国においてもMCLを含むB細胞リンパ腫に対するリツキシマブ維持療法および未治療MCLに対するボルテゾミブが保険承認され、さらにMCLを含む未治療低悪性度B細胞リンパ腫に対し、2016年12月に適応が拡大された。MCLにおいてB細胞受容体シグナルの恒常的活性化が認められており、同シグナルに関わるBruton’s tyrosine kinase(BTK)が有望な治療標的と考えられる。イブルチニブ(同:イムブルビカ)は、経口BTK阻害薬であり、再発・治療抵抗性MCLに対して高い有効性が示された11)。わが国においても再発・治療抵抗性MCLに対して2016年12月に適応が拡大され、再発・治療抵抗性MCLに対する重要な治療選択肢の1つに位置付けられている。4 今後の展望65歳以上の未治療MCL患者を対象とするイブルチニブ併用BR療法の有効性を検討する国際共同ランダム化第III相試験が、わが国も含めた国際共同試験として実施されている。同試験の結果により、自家移植非適応未治療MCL患者に対する新たな標準的治療法が、確立される可能性がある。また、免疫調整薬(Immunomodulatory drug: IMiD)であるレナリドミドは、リツキシマブとの併用で未治療MCLに対して第II相試験により高い有効性が示されており12)、MCLに対する今後の臨床開発が期待されている。5 主たる診療科血液内科、血液腫瘍科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報National Comprehensive Cancer Network(NCCN)NCCN guidelines for treatment of cancer by site: Non-Hodgkin lymphomas(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)European Society for Medical Oncology (ESMO)ESMO guidelines: Haematological malignancies(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Swerdlow SH, et al. WHO classification of tumours of haematopoietic and lymphoid tissues. 4th ed. World Health Organization;2008.2)Hoster E, et al. Blood. 2008;111:558-565.3)Geisler CH, et al. Br J Haematol. 2012;158:355-362.4)Bernstein SH, et al. Ann Oncol. 2013;24:1587-1593.5)Ogura M, et al. ASCO annual meeting 2015. Abstract #8565.6)Lenz G, et al. J Clin Oncol. 2005;23:1984-1992.7)Schulz H, et al. J Natl Cancer Inst. 2007;99:706-714.8)Kluin-Nelemans HC, et al. N Engl J Med. 2012;367:520-531.9)Rummel MJ, et al. Lancet. 2013;381:1203-1210.10)Robak T, et al. N Engl J Med. 2015;372:944-953.11)Wang ML, et al. N Engl J Med. 2013;369:507-516.12)Ruan J, et al. N Engl J Med. 2015;373:1835-1844.公開履歴初回2015年07月14日更新2017年05月23日

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002)他科からの依頼~水虫編【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第2回 他科からの依頼~水虫編糖尿病や高齢の入院患者さんで多い依頼が、足の水虫、分厚い爪、白い爪、指の間の皮むけや、足底の水疱などの診療です。「足白癬でしょうか? ご高診ください」とご依頼いただく訳ですが、たまに「すでに抗真菌薬を外用した状態」で診察の依頼を受けることがあります。もちろん爪の白濁など、「見た目あきらかにいる!(真菌が)」という場合もありますが…。しかし、「ちょっと微妙だな、検査したいな」となった場合、すでに抗真菌薬が外用されていると大問題! 顕微鏡検査で菌が見つからなくて「本当にいないのか? 外用の影響で陰性なのか?」判断がつかなくなってしまいます。そうした場合、外用を止めて後日また再検査をするか、別の外用薬で様子をみたりするのですが、あらかじめ1~2週間ほど外用を中止してからご依頼いただくと、さらにスムーズかな、と思われます。水虫かな? と思ったら、とくに処方せずそのまま皮膚科で大丈夫です。

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肥満が双極性障害の病態生理に影響

 双極性障害(BD)患者の60%以上で肥満が報告されている。肥満は、疾患の重症度を悪化させ、認知や機能アウトカムに影響を及ぼす。白質(white matter:WM)の異常は、BDの神経イメージング研究において、最も一貫して報告された知見の1つである。イタリア・Scientific Institute Ospedale San RaffaeleのElena Mazza氏らは、BD患者においてBMIとWM統合性が相関すると仮定し、検討を行った。Bipolar disorders誌2017年3月号の報告。 BDうつ病患者164例のサンプルにおけるBMIを評価した。WM統合性の拡散テンソル画像(DTI)測定(FA、MD、AD、RDを含む)のために、閾値のないクラスター強化法を用いて全脳線維束に基づく空間統計を行った。 結果、BMIは、いくつかの線維束、前放射冠、前頭視床、下前頭後頭部束、脳梁において、WM統合性と関連していることがDTI測定で観察された。 著者らは「気分調整や神経認知機能に不可欠なWM経路におけるBMIの関連は、重要な皮質辺縁系ネットワークでの構造的な連結性への有害作用を介し、BMIがBDの病態生理に影響する可能性のあることが示唆された」としている。関連医療ニュース双極性障害とうつ病の鑑別診断への試み:奈良県立医大白質の重症度で各抗認知症薬の効果に違い:岡山大ドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善

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ブルガダ症候群におけるSCN5A遺伝子変異は心イベントの予測因子となるか

 ブルガダ症候群における遺伝子型形式と表現型の関連に関しては、依然として議論が続いている。国立循環器病研究センターの山形 研一郎氏ら研究グループは、SCN5A変異の有無により心イベントの発生率に差異がみられるかを検証するため、ブルガダ症候群発端者に限定したレジストリを構築し、長期追跡調査した。Circulation誌オンライン版3月24日号の掲載。SCN5A変異の遺伝子検査を受けた415例が対象 この多施設レジストリでは、ブルガダ症候群と診断された発端者で、SCN5Aの遺伝子検査を受けた415例が含まれた(うち97%[403例]が男性、平均年齢46±14歳)。 平均72ヵ月のフォロー期間中、心イベントは2.5%/年の割合で生じた。SCN5A変異群(60例)において、SCN5A変異なし群(355例)と比べ、最初の心イベントがより若い年齢で起きていた(34 vs. 42歳、p=0.013)。さらに、加算平均心電図での遅延電位を有する率が高いほか、心電図のP、PQ、QRSがより長く、心イベントの発生率も高かった(ログランク検定のp=0.017)。SCN5A遺伝子変異は心イベントの予測因子となるか 多変量解析では、SCN5A変異と蘇生された心停止の既往の有無が心イベントの有意な予測因子であった(SCN5A変異群 vs.SCN5A変異なし群、ハザード比[HR]:2.0、p=0.045、蘇生された心停止の既往有 vs.無、HR:6.5、p<0.001)。 SCN5A変異群では心電図で伝導異常がより多く認められ、心イベントのリスクが高かった。また、Pore領域にSCN5A変異が認められる場合、予後が悪い傾向にあった。 この結果は以前に報告されたヨーロッパからのFINGERレジストリと異なった結果を示しており、非常に興味深い結果であったと思われる。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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MEK1/2阻害薬、KRAS変異陽性NSCLCの予後改善示せず/JAMA

 既治療の進行KRAS変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、ドセタキセル(DOC)にselumetinibを追加しても、DOC単剤に比べ無増悪生存(PFS)は改善されないことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPasi A.Janne氏らが実施したSELECT-1試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年5月9日号に掲載された。KRAS変異は、肺腺がん患者の約25%に発現し、NSCLCで最も高頻度にみられる遺伝子変異であるが、これを標的とする分子標的薬で承認を得たものはない。KRAS変異は、MAPKキナーゼ(MEK)に関与するMAPK経路を含むシグナル伝達経路の下流の活性化によって腫瘍の増殖を促進する。selumetinibは、MEK1とMEK2を選択的に阻害する経口薬で、アロステリックにKRAS変異を抑制する。2次治療の上乗せ効果を評価するプラセボ対照無作為化試験 本研究は、KRAS変異陽性NSCLCの2次治療におけるselumetinib+DOC療法の有用性を評価するプラセボ対照無作為化第III相試験で、25ヵ国202施設の参加のもと、2013年10月~2016年1月に行われた(AstraZeneca社の助成による)。 前治療歴が1レジメンで、中央判定でKRAS変異陽性であったStage IIIB/IV NSCLC患者510例のうち、selumetinib+DOC群に254例、プラセボ+DOC群に256例がランダムに割り付けられた。selumetinib群は、selumetinib75mgを1日2回経口投与され、DOC 75mg/m2を21日ごとに静脈内投与された。プラセボ群も同様のスケジュールで治療が行われた。 主要評価項目は担当医評価によるPFSとし、副次評価項目には全生存(OS)、客観的奏効率(ORR)、奏効期間などが含まれた。第II相試験とは異なる結果 全体の平均年齢は61.4(SD 8.3)歳、41%が女性であった。505例(99%、selumetinib群:251例、プラセボ群:254例)が治療を受け、試験を完遂した。データカットオフ日(2016年6月7日)の時点で、447例(88%)に病勢進行のイベントがみられ、346例(68%)は死亡した。 PFS期間中央値は、selumetinib群が3.9ヵ月(IQR:1.5~5.9)、プラセボ群は2.8ヵ月(同:1.4~5.5)であり、両群に有意な差を認めなかった(群間差:1.1ヵ月、ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.77~1.12、p=0.44)。 OS期間中央値は、selumetinib群が8.7ヵ月(IQR:3.6~16.8)、プラセボ群は7.9ヵ月(IQR:3.8~20.1)と、やはり有意差はみられなかった(群間差:0.9ヵ月、HR:1.05、95%CI:0.85~1.30、p=0.64)。 ORRは、selumetinib群が20.1%(完全奏効:2例、部分奏効:49例)、プラセボ群は13.7%(0例、35例)であった(群間差:6.4%、オッズ比[OR]:1.61、95%CI:1.00~2.62、p=0.05)。また、奏効期間中央値は、それぞれ2.9ヵ月(IQR:1.7~4.8、95%CI:2.7~4.1)、4.5ヵ月(2.3~7.3、2.8~5.6)だった。 頻度の高い有害事象は、selumetinib群が下痢(61%)、悪心(38%)、皮疹(34%)、末梢浮腫(30%)であり、プラセボ群は下痢(35%)、疲労(31%)、脱毛(25%)、悪心(24%)であった。Grade 3以上の有害事象は、selumetinib群が67%(脱力:9%、呼吸困難:8%、下痢:7%、好中球減少:7%など)と、プラセボ群の45%に比べ高頻度であった。 これらの知見は、以前に同じデザインで行われた第II相試験の結果とは異なっており、有効性は、プラセボ群は第II相よりも今回の第III相試験が優れ、selumetinib群は第II相よりも第III相試験のほうが不良であった。著者は、「この差は試験デザインによるとは考えられず、両試験とも多くの国で行われた国際研究であるため地域差の影響もないと思われる」としている。

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うつ病患者、身体症状から見つけて

 2017年5月17日、東京において塩野義製薬株式会社主催のプレスセミナーが開催され、「うつ傾向のある人の意識と行動に関するアンケート調査※1」の結果が、藤田保健衛生大学 精神神経医学 教授の内藤 宏氏より発表された。その後、患者の身近な相談医として日常診療にあたっている宮崎医院 院長の宮崎 仁氏を交え、うつ傾向のある患者とかかりつけ医のコミュニケーションについて語られた。潜在的なうつ病患者の発掘は「かかりつけ医」にかかっている うつ病の患者数は、厚生労働省の統計で約73万人と推計されている1)。しかし、うつ病・うつ状態でありながらも医療機関で診断・治療を受けていない潜在的な患者が230万人存在すると推定されており2)、うつ症状を医師に相談できていない患者はまだ多く存在すると考えられる。うつ病・うつ状態の放置は、症状の悪化や治療の長期化につながることから、潜在患者の発掘は急務といえる。そのためには、かかりつけ医によるうつ状態の早期発見が望まれるが、潜在的なうつ病患者にどのような特徴があるのかを知るプライマリケア医は多いとはいえない。うつ傾向のある人はさまざまな不調を感じているが、内科医に相談する人は少ない そのような背景から、うつ病のスクリーニングに用いられる二質問法※2をベースに判定した「うつ傾向のある人」の特徴と行動の把握を目的として、インターネット調査が実施された。まず、うつ傾向のある回答者の基本属性や特性を把握するための予備調査が行われ、その後、潜在患者調査が行われた。予備調査の結果、うつ傾向がある人のうち、現在「うつ病/うつ状態」の診断をされている人は1割弱で、9割以上の人が未診断であることが明らかになった。また、うつ傾向のある人は、「疲労倦怠感」、「肩・腰・首の痛み」、「頭痛」といった身体症状を訴える割合が多かった。また、抑うつ気分以外にも「体のあちこちが重く感じる」、「不安でいてもたってもいられない」、「話や本の内容が入ってこない」などの訴えが多かった。潜在患者調査の結果、「うつ傾向ありで未診断」の人のうち、約半数は最近内科を受診しており、内科医との接点は少なくないことが示唆された。しかし、その内科医に「専門外のことでも相談できる」と回答した人は約2割で、精神的・身体的不調について相談意向があって、実際に相談したという人は約1割にとどまった。MUS(Medical Unexplained Symptoms)の陰に潜むうつ病 今回の調査で明らかになった「うつ傾向患者」における身体症状の特徴を示し、宮崎氏は、「“MUS”のラベルを付けただけで満足し、うつ病が見落とされている可能性がある」と非専門医によるうつ病診療の課題について語った。MUSとは、何らかの身体疾患が存在するかと思わせる症状が認められるものの、診察や検査で原因疾患が見いだせない病像である。不定愁訴や自律神経失調症などがMUSに該当し、プライマリケア外来患者の実に3~4割を占めるという3)。原因疾患不明の身体症状を訴える患者を、単なる不定愁訴として扱うのではなく、うつ病の可能性を意識して診療を行うことが大切である。「不定愁訴+不眠」に遭遇したら“心療モード”を起動 宮崎氏は、プライマリケア医が精神科診療のテクニックを導入して、精神科的な対応ができるようになるための教育訓練を行うPIPC(Psychiatry In Primary Care)研究会の活動を行っている。PIPC研究会では、初心者でもフォーマットに従って10分程度で精神科的評価ができる背景問診・MAPSO※3問診チェックリストを作成しており、日常診療で役立てるのも良いかもしれない。宮崎氏は、「MUSの患者に遭遇したら、睡眠について問診し、不眠であれば“心療モード”を起動して二質問法のうつ病スクリーニングを行う。さらにその他のうつ症状や希死念慮、躁・軽躁エピソードについても問診で探っていく」と、自身が行っている気分障害の問診手順について語った。専門医の治療が必要と判断した場合は、速やかに精神科医に紹介する。うつ病の早期発見・早期治療のために かかりつけ医は、患者の不調を発見するゲートキーパー的な役割を担っている。患者が相談しやすい良好な関係性を構築するためには、医師のほうから「最近どうですか?」、「気になるところはありませんか?」、「よく眠れていますか?」などと問いかけてみることも大切である。「患者が原因疾患不明の身体症状や不眠、食欲不振を訴える場合はうつ病の可能性を意識して、適切な問診を行い、潜在的なうつ病患者の早期発見・早期治療につなげてほしい」と宮崎氏は強調し、講演を締めくくった。※1 【調査概要】調査時期:2016年2月調査手法:インターネット調査(全国)調査対象:[事前調査]一般生活者の男女20~69歳 19,975人     [本調査]以下の対象者条件に合致する2,028人          対象者条件…事前調査に回答した人のうち、          二質問法で「うつ傾向あり」かつ          「うつ病の診断なし(および最近専門医に受診していない)」          に該当調査主体:塩野義製薬株式会社     ※調査結果の詳細は、セラピューティック・リサーチ誌2017年4月号      に掲載。     (内藤 宏ほか. Therapeutic Research. 2017;4:413.)※2 二質問法:「最近1ヵ月間、気分が沈んだり、憂鬱な気持ちになることがよくあった」または「最近1ヵ月間、物事に対して興味がわかない、心から楽しめないことがよくあった」のいずれか1項目該当で「うつ傾向あり」と判定(鈴木竜世ほか. 精神医学. 2003;45:669-708.)※3 MAPSO:Mood(気分障害)、Anxiety(不安障害)、Psychoses(精神病群)、Substance induced(薬物誘発性障害)、Organic/Other(器質性・その他)の略参考1) 厚生労働省. 平成26年患者調査(傷病分類編).2) 川上憲人. 神経・精神疾患診療マニュアル. 2013;142巻 特別号2:30.3) 宮崎 仁. 日本内科学会雑誌. 2009;98:188.

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CDC「手術部位感染予防のためのガイドライン」18年ぶりの改訂

 米国疾病管理予防センター(CDC)は、「手術部位感染予防のためのガイドライン」を1999年以来18年ぶりに改訂し、エビデンスに基づく勧告を発表した。手術部位感染治療のための人的および財政的負担の増加を背景に、専門家の意見を基に作成された1999年版から、エビデンスベースの新たなガイドラインに改訂された。著者らは「これらの勧告に基づく手術戦略を用いることで、手術部位感染のおよそ半分が予防可能と推定される」と記している。手術部位感染予防のためのガイドラインはコアセクションと人工関節置換術セクションで構成 CDCの医療感染管理諮問委員会(HICPAC)は、1998年から2014年4月の間に発表された論文を対象にシステマティックレビューを実施し、5,000超の関連論文を特定。さらにスクリーニングを行った結果、170の論文を抽出し、エビデンスを評価・分類した。 新しい手術部位感染予防のためのガイドラインは、外科手術全般の手術部位感染予防のための勧告(30件)を含む「コアセクション」と人工関節置換術に適用される勧告(12件)を含む「人工関節置換術セクション」によって構成されている。 改訂された手術部位感染予防のためのガイドラインで更新された勧告の中で主なものは以下のとおり。・手術前、少なくとも手術前夜には、患者は石けん(抗菌性もしくは非抗菌性)または消毒薬を用いたシャワーや入浴(全身)をすべきである。・予防抗菌薬は、公開されている臨床実践ガイドラインに基づいた適用のときのみに投与する。そして、切開が行われるときに、血清および組織における抗菌薬の殺菌濃度が確保されるタイミングで投与する。・帝王切開においては、皮膚切開の前に適切な予防抗菌薬を投与する。・術前の皮膚処置は、禁忌の場合を除き、アルコール系消毒薬を使用して行う。・清潔および準清潔手術では、手術室内で閉創した後はドレーンが留置されていても、予防抗菌薬を追加投与しない。・手術部位感染予防のために、外科切開部に抗菌薬の局所的な適用は行わない。・周術期の血糖コントロールを実施し、すべての患者で血糖の目標レベルを200mg/dL未満として、正常体温を維持する。・全身麻酔を受けており気管内挿管がある正常な肺機能を有する患者では、手術中および手術直後の抜管後に、吸入酸素濃度を増加させる。・手術部位感染予防のために、手術患者への必要な血液製剤の輸血を控える必要はない。 新しい手術部位感染予防のためのガイドラインはJAMA surgeryオンライン版2017年5月3日号に掲載された。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問10(その2)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その2)質問10(その1)■相関分析2項目のデータの一方が変われば、他方もそれにつれて変わるのか。変わるのであればその関連性はどのくらい強いのかを統計学的に分析する手法が「相関分析」です。質問9(その2)で学びましたが、比べたい2項目のデータのそれぞれのデータタイプが「数量データ」なのか「カテゴリーデータ」なのかをきちんと確認すれば、その組み合わせで相関分析の解析手法と2項目間の関連性の強さを判断する相関係数も決まります。前回は、「数量データ」と「数量データ」の相関関係について解説しました。今回は、「数量データ」と「カテゴリー(分類)データ」の相関関係について説明していきます。■カテゴリー別平均と相関比ある地域のドラッグストア10店舗について、1日当たりの平均売上額と、ある日の10~18時までの店舗前通行人との関係を単相関係数で調べると0.73でした。通行人は、1日当たりの平均売上額への影響要素として重要な変数であることがわかりました。ところが、1日当たりの平均売上額の多少は、通行人のみならずいろいろな要素が絡み合って決まっているはずであり、通行人以外の項目についても1日当たりの平均売上額への影響度を調べなければなりません。影響要素として考えられる変数をピックアップして調査した結果、表1の結果を得ました。表1 1日当たりの平均売上額への影響要素影響要素の1日当たりの平均売上額への影響度を相関分析によって調べることにします。単相関係数は、数量データと数量データの相関関係を調べる解析手法です。1日当たりの平均売上額と競合店の有無、1日当たりの平均売上額と立地条件は、数量データとカテゴリーデータの関係ゆえ、単相関係数は適用できません。数量データとカテゴリーデータの基本解析は「カテゴリー別平均」、相関関係は「相関比」を適用します。カテゴリー別平均競合店の有無別の1日当たり売上の平均、立地条件別の1日当たり売上額の平均を「カテゴリー別平均」といいます。カテゴリー別平均を表2に示します。表2 例題のカテゴリー別平均相関比表3より相関比を求めると、1日当たり売上と競合店の有無は0.441、1日当たり売上と立地条件は0.432でした。単相関係数と同様に、相関比の値がいくつ以上あれば、相関が強いという基準はありません。そこで、筆者は次のように定めています。単相関係数の基準と異なるので留意してください。また、単相関係数と同様に、あくまでもこの基準は分析者が経験的な判断から決めることになります。表3 筆者流の相関比の強弱の考え方表4を用いながら1日当たり売上と立地条件の相関比の求め方を説明します。表4 例題の全体変動、群間変動、誤差変動群間変動と誤差変動を足すと全体変動に一致します。群間変動(SA)+誤差変動(SE)=全体変動(ST)216+284=500相関比は次の式で求められます。1日当たり売上への影響度は、通行人、競合店の有無、立地条件のうち、どの要素が高いのかを調べることにします。1日当たり売上と通行人の相関係数は単相関係数、ほかは相関比なので比較することができません。このような場合、数量データである通行人を表5のようにカテゴリー(分類)化することにより、カテゴリーデータとします。表5 例題のデータのカテゴリー(分類)化図のようにカテゴリー化した通行人と1日当たり売上の相関比を求めると0.641でした。図 例題の相関比相関比を比較すると、通行人が最も高く0.641、次に競合店の有無と立地条件がほぼ同じ値で続きます。今回は「数量データ」と「カテゴリーデータ」の相関関係についてご説明してきました。次回は「カテゴリーデータ」同士の相関関係について解説いたします。今回のポイント1)「数量データ」と「カテゴリーデータ」の比較をする際の基本解析は、カテゴリー別平均を算出し、関連性をみる!2)相関比は「数量データ」と「カテゴリーデータ」の相関関係の程度を示す数値である!3)相関比は、単相関係数と同様に、いくつ以上あれば相関が強いといった統計学的基準はなく、あくまでも分析者が経験的な判断から基準を決める!インデックスページへ戻る

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精神的健康を保つには、友人関係が重要

 友人たち(自身およびパートナーの)との社会的関係と、晩年カップルにおける抑うつ症状との個々の関連性を調査し、婚姻の質がその関連性を緩和するかについて、米国・マサチューセッツ・ボストン大学のSae Hwang Han氏らが調査を行った。The journals of gerontology誌オンライン版2017年4月26日号の報告。 Health and Retirement Study(2004~12年)の縦断的データを用いて、既婚サンプルを調査した。研究の仮説テストには、二項成長曲線モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・友人たちとの頻繁な社会的交流は、個々の抑うつ症状の減少と関連しており、この関連には配偶者交流効果(cross-spousal effects)が示された。・婚姻の質は、友人たちとの社会的関係と抑うつ症状との個々の関連性を緩和し、婚姻関係が不良な人は良好な人と比較し、この関連性がより強かった。 著者らは「友人関係は、晩年の自身の精神的な健康に対して重要な要素であり、そのメリットは、自身の他の重要事項にも大きな影響を及ぼす。他の健康領域においても、友人関係との関連性を婚姻状況に応じて調査する必要がある」としている。関連医療ニュース検証!結婚できない男性の精神的健康状態うつ病になりやすいのは、太っている人、痩せている人?たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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インスリン療法、1年後のHbA1cと投与量の増加は?~日本人コホート

 日本の前向きコホート研究(Diabetes Distress and Care Registry at Tenri:DDCRT)において、2型糖尿病患者への4つのインスリン療法のレジメンによる血糖コントロールについて調査したところ、多くの患者が1年後にHbA1cレベルおよびインスリン投与量の増加を示したことがわかった。インスリン投与量の増加については、基礎-ボーラス療法群で最も少なかったという。Journal of diabetes investigation誌オンライン版2017年5月11日号に掲載。 本研究は、天理よろづ相談所病院(奈良県)の内分泌内科に通院する糖尿病患者を対象とした大規模レジストリで、1年以上インスリン療法を受けている2型糖尿病患者757例について調査した。インスリン療法は、「持効型インスリン・1日1回」をレジメン1、「混合型インスリン・1日2回」をレジメン2、「混合型インスリン・1日3回」をレジメン3、「基礎-追加インスリン療法(Basal-Bolus療法)」をレジメン4とした。主要アウトカムは、0.5%を超えるHbA1cレベルの増加および1年後の1日インスリン投与量の増加で、血糖コントロールとインスリン投与量の差を調べるために多変量解析を行い、潜在的な交絡因子を調整した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時における平均HbA1cは7.8%、インスリン治療の平均継続期間は11.3年であった。・0.5%超のHbA1c増加は、レジメン1~4で順に22.8%、24.9%、20.7%、29.3%の患者に認められ、また4レジメン間に有意差はなかった。・1日のインスリン投与量の増加は、レジメン1~4で順に62.3%、68.8%、65.3%、38.6%の患者に認められた(p<0.001)。・多変量回帰分析では、レジメン4を受けた患者は、レジメン2を受けた患者よりもインスリン投与量の増加が必要となるオッズが有意に低かった(調整オッズ比0.24、95%信頼区間:0.14~0.41、p<0.001)。

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遺伝性の卵巣がん治療とPARP阻害薬の可能性

 2017年5月11日、都内で第7回アストラゼネカ・オンコロジーサイエンス・メディアセミナー「日本における遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)とそのアンメットニーズ」が開催された。演者である青木 大輔氏(慶應義塾大学医学部 産婦人科学教室 教授)は、卵巣がんを中心にHBOC診療の実際について講演。「治癒の難しい卵巣がんにおいて、再発を遅らせることの意義は非常に大きい」と述べ、オラパリブをはじめとしたPARP阻害薬への期待を示した。HBOCは若年発症や重複発症が特徴 遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC:Hereditary Breast Ovarian Cancer)は、BRCA1 /2 をはじめとする遺伝子の変異が原因で発症する遺伝性腫瘍の1つで、若年性(45歳以下で乳がん発症)、両側性(両方の乳房で発症)、重複性(乳がんと卵巣がんの発症)などの特徴を持つ。卵巣がん全体の約10%とまれではあるものの、一般的な卵巣がん患者とは異なるマネジメントが求められるが、認知・理解度が低いのが現状だ。2016年にアストラゼネカ株式会社が行った調査では、乳がん・卵巣がん患者であっても、HBOCの認知度は約半数に留まっていた。 「家族歴のほか、本人が特定の乳がん(若年性、両側性、トリプルネガティブ乳がん等)あるいは卵巣がんと診断された時点で、HBOCのリスクがあると考えて遺伝カウンセリングや遺伝学的検査等を適切に実施していくことが重要。ただし、費用を含め、検査を受けることで得られる利益とリスク、限界を説明し、合意を得ながら進める必要がある」と青木氏は指摘した。発症前予防には摘出術が推奨されるが… BRCA1 /2 遺伝子変異陽性の場合、卵巣がんは有効な早期発見法がなく、進行卵巣がんの予後が不良であるため、発症前予防としてリスク低減卵巣卵管摘出術(RRSO:Risk Reducing Salpingo-Oophorectomy)を実施することが最も有効とされている。しかし、35~40歳という妊孕性温存の希望も多い年齢での施行が推奨されることや、BRCA1 /2遺伝子変異陽性であっても必ずしもがんを発症するわけではないことなどから、青木氏は「患者さんにとっては非常に難しい判断を迫られるものになり、慎重なカウンセリングが求められる」と述べた。PARP阻害薬への期待 2017年3月16日、アストラゼネカ株式会社は、BRCA1 /2遺伝子陽性の再発卵巣がん患者を対象に、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬オラパリブの維持療法について評価した国際共同第III相臨床試験(SOLO-2試験)において、無増悪生存期間(PFS)の延長が示されたことを発表した。続く3月24日には、オラパリブは厚生労働省から希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けている。 青木氏は、「SOLO-2試験の結果は非常に期待が持てるデータ」と話し、「現在、オラパリブをはじめとした複数のPARP阻害薬の開発が進んでいる。どの治療法が適しているのか、今後は遺伝子変異やがんのステージ等に応じた個別の治療法選択・マネジメントが必要となる。遺伝カウンセラーや生殖カウンセラーとの協働を含めた体制整備が必要だろう」と結んだ。 最後に登壇した橋上 聖氏(アストラゼネカ株式会社 メディカル本部 オンコロジー領域部 部門長)は、早期の治療機会提供のため、SOLO-2試験と同じBRCA遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がん患者を対象としたオラパリブの拡大治験を、2017年4月より開始したことを報告。現在も登録受付中とのことだ。(ケアネット 遊佐 なつみ)参考アストラゼネカ株式会社ニュースリリース(乳がん・卵巣がん患者のHBOC認知・理解度調査結果発表)オラパリブ、BRCA変異陽性卵巣がんの病勢進行リスクを70%低減:アストラゼネカオラパリブがBRCA変異陽性卵巣がんの希少疾病用医薬品に指定

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次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定

 ファイザー社は2017年4月27日、次世代ALK/ROS1チロシンキナーゼ阻害剤lorlatinibが、ALK阻害剤の治療歴を有するALK陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)よりブレークスルー・セラピー指定を受けたと発表した。 今回のブレークスルー・セラピー指定は、進行中のlorlatinibの第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験で示された有効性と安全性のデータに基づくもの。 また、lorlatinibの第Ⅲ相CROWN試験への被験者登録を開始した。本試験は、全身治療歴がないALK陽性転移性NSCLC患者を対象に、lorlatinibをクリゾチニブと比較する、非盲検無作為化群間比較試験。 lorlatinibは、開発中の次世代ALK/ROS1チロシンキナーゼ阻害剤で、ALK遺伝子とROS1遺伝子の染色体再構成を有する非臨床肺がんモデルにおいて高い活性を示した。とくに、他のALK阻害剤に抵抗性を示す変異腫瘍に対しても効果を発揮できるように、また、血液脳関門を通過できるように設計されているという。ファイザー株式会社のプレスリリース

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NSAIDで心筋梗塞リスクが増大?44万例の調査/BMJ

 NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)は急性心筋梗塞のリスクを増大させ、COX-2選択的阻害薬セレコキシブのリスクは従来型NSAIDと同等で、rofecoxib(米国で心血管系の副作用のため2004年に販売中止、日本では未発売)に比べて低いことが、カナダ・モントリオール大学のMichele Bally氏らの調査で明らかとなった。最初の1ヵ月が最もリスクが高く、用量が多いほど高リスクであることもわかった。研究の成果は、BMJ誌2017年5月9日号に掲載された。従来型およびCOX-2選択型NSAIDは、いずれも急性心筋梗塞のリスクを増大させることを示唆するエビデンスがあるが、用量や治療期間の影響、各薬剤のリスクの違いはよく知られていないという。COX-2選択的阻害薬および従来型NSAIDの発症リスクを解明 研究グループは、NSAID関連心筋梗塞の発症の経時的な変動およびそのリスクを解明するために、文献の系統的レビューを行い、個々の患者データを用いたベイジアンメタ解析を実施した(筆頭著者の学位論文、マギル大学健康研究所の助成を受けた)。 文献の収集にはカナダと欧州の医療データベースを用いた。一般人口または高齢者を対象に、急性心筋梗塞をアウトカムとし、COX-2選択的阻害薬(セレコキシブ、rofecoxib)および従来型NSAID(ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン)の使用者と非使用者で発症リスクを検討した試験を選出した。 44万6,763例のデータが得られた。このうち6万1,460例が急性心筋梗塞を発症した(対照群:38万5,303例)。NSAID 1~7日投与で24~58%リスク増加、高用量8~30日投与が最も高リスク すべての用量のNSAIDで、1週、1ヵ月、1ヵ月以上の投与のいずれにおいても、心筋梗塞のリスクが上昇した。また、1~7日の投与による心筋梗塞リスクの増加の確率(心筋梗塞の補正オッズ比[OR]が>1.0となる可能性)は、セレコキシブが92%、イブプロフェンが97%、ジクロフェナク、ナプロキセン、rofecoxibは99%であり、補正ORはそれぞれ1.24(95%信用区間:0.91~1.82)、1.48(1.00~2.26)、1.50(1.06~2.04)、1.53(1.07~2.33)、1.58(1.07~2.17)であった。 心筋梗塞のリスクは、NSAIDの用量が増加するに従って上昇した。リスクはNSAID投与開始1週目には発現した。また、8~30日間の高用量NSAID毎日投与(セレコキシブ>200mg、イブプロフェン>1,200mg、ジクロフェナク>100g、ナプロキセン>750mg)のリスクが最も高く、30日以降のさらなるリスク上昇は明確ではなかった。 著者は、「1週目にはリスクが発現し、高用量を使用した場合、最初の1ヵ月のリスクが最も高いことを考慮すると、処方者は、とくに高用量では治療開始前にリスクとベネフィットを重点的に熟考すべきである」と指摘している。

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限定的エビデンスを基に承認された薬の市販後調査の傾向/BMJ

 米国食品医薬品(FDA)が限定的エビデンスに基づき承認した新薬の、市販後のエビデンスの質と量を調べた結果、当初のものとはエビデンスが大きく変化しており、FDAが最初に承認した適応について、臨床的アウトカムを用いて有効性を確認した市販後の対照試験報告はわずかであることが、米国・ニューヨーク州立大学のAlison M. Pease氏らによるシステマティックレビューの結果、明らかにされた。FDAはしばしば、主要エンドポイントが臨床的アウトカムではなく、疾患の代用マーカー(surrogate markers)を用いたpivotal試験(単一または複数)をエビデンスベースとした新薬についても承認を行っている。これらの新薬は、たとえ市販後臨床試験で有益性が期待できないと立証されても、その後も広く用いられている現実があるという。BMJ誌2017年5月3日号掲載の報告。2005~12年にFDAが承認した117種・123適応について調査 研究グループは、Drugs@FDA databaseとPubMedをソースに、2005~12年にFDAが疾患代用マーカーを用いたpivotal試験(単一または複数)をベースに承認した新薬の、市販後に発表された前向き対照臨床試験の全報告をレビューし、その特徴を明らかにした。 検索の結果、同期間中にpivotal試験に基づき117種の新薬が123の適応について承認されていた。 適応が、(1)単一pivotal試験に基づき承認されたもの、(2)代用マーカーに基づき承認されたもの、(3)代用マーカー評価による単一pivotal試験に基づき承認されたものに分類して市販後試験の特徴を調べた。試験未実施が35.0% 市販後中央値5.5年(四分位範囲:3.4~8.2)の間に、758件の対照試験が発表されていた。その大半(554/758件、73.1%)が、代用マーカーを基に承認された適応についての試験であった。 市販後に最も多く行われていたのは実薬対照試験で、(1)単一pivotal試験に基づき承認された適応に関しては67/77件(87.0%)、(2)代用マーカーに基づき承認された適応に関しては365/554件(65.9%)、(3)代用マーカー評価による単一pivotal試験に基づき承認された適応に関しては100/127件(78.7%)であった。 また、市販後試験の有効性の主要エンドポイントとして代用マーカーを評価していたのは、それぞれ(1)51/77件(66.2%)、(2)512/554件(92.4%)、(3)110/127件(86.6%)であった。 全体で承認された123のうち43の適応(35.0%)については、市販後試験が行われた形跡がみつからなかった。 総市販後試験数の中央値は、(1)単一pivotal試験に基づき承認された適応に関しては1件(四分位範囲:0~2)、(2)代用マーカー評価に基づき承認された適応に関しては3(1~8)で、(3)代用マーカー評価による単一pivotal試験に基づき承認された適応については1(0~2)であった。また、市販後試験の登録被験者数の中央値は、それぞれ(1)90例(0~509)、533例(122~3,633)、38例(0~666)であった。

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中等度リスクの患者に対する外科的大動脈弁置換術と経カテーテル大動脈弁留置術の比較(SURTAVI研究)(解説:今井 靖 氏)-681

 大動脈弁狭窄症治療のゴールドスタンダードは外科的大動脈弁置換術であるが、高齢や心臓以外の合併疾患等の理由により開心術に耐えられないと判断された患者に対しては、対症療法しか手段がなかった。そのようななかで経カテーテル大動脈弁留置術(TAVR/TAVI)が登場し、外科手術がハイリスクと考えられる重症大動脈弁狭窄症に対して実施されるようになった。 本邦においても2013年承認され、経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会事務局の資料(2017年5月現在)によれば、118施設において実施されている。厚生労働省において使用が認可されたデバイスは以下の4種であり、・エドワーズライフサイエンス株式会社 サピエンXT 承認取得日:平成25年6月21日・日本メドトロニック株式会社 コアバルブ 承認取得日:平成27年3月25日・エドワーズライフサイエンス株式会社 サピエン3 承認取得日:平成28年3月11日・日本メドトロニック株式会社 コアバルブ Evolut R 承認取得日:平成28年11月8日トレーニングされた内科・外科共同のハートチームに限定して手技の実施が許可されている。 この経カテーテル大動脈弁留置術(TAVR/TAVI)は、前述の通り、外科手術のリスクの高い大動脈弁狭窄症患者において外科的弁置換の代替療法として容認されている一方、中等度リスクの患者におけるアウトカムについては、いまだ明らかではなかった。 今回ご紹介させていただく論文は中等度リスク患者に焦点を当てた研究であり、TAVRシステムの1つを販売しているメドトロニック社が資金提供し実施された研究である。87施設において合計1,746症例に2群へのランダム割り付けを実施、そのうち約1,600例にいずれかの治療がなされた。平均年齢は79.8±6.2歳で中等度の手術リスク(STSスコアにて4.5±1.6%)。24ヵ月の時点でプライマリエンドポイントの発生率はTAVR群で12.6%であり、外科的弁置換術群では14.0%であった(非劣性)。外科的弁置換において急性腎機能障害AKI、心房細動、輸血を要する例が多かった。しかしながらTAVR群では大動脈弁閉鎖不全残存、ペースメーカー植込みを要する例が多かった。外科手術と比較してTAVRのほうが圧較差は小さくなり、弁口面積もより広く確保できた。24ヵ月における弁機能不全は両群とも認められなかった。 中等度リスクの重症大動脈弁閉鎖不全患者において、術後合併症は治療ごとに傾向は異なるものの、TAVRは外科治療に劣らない代替治療であることが示された。今後、このようなエビデンスに基づいて中等度リスク症例へも適応が拡大される可能性は十分に考えられるが、一方で外科的大動脈弁置換術が非常に安定した成績が得られること、とくに本邦においてTAVR/TAVIのシステムが非常に高価であり高コストであることを十分に念頭に置くべきと考える。

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キレイな吸い殻にだまされるな!

キレイな吸い殻にだまされるな!使用前・後でほとんど変わらない新型タバコのカートリッジ使用前使用後 火を点ける従来のタバコと違って、もみ消す必要がないため、使用後のタバコ(吸い殻)はそのままゴミ箱などに捨てられます。 見た目に汚らしさが少なく、子供が抵抗なく口に入れてしまう例が報告されています。 添加物など未知な成分が多く、誤飲時の治療法が確立していません。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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宇宙旅行は脂肪肝のリスク【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第91回

宇宙旅行は脂肪肝のリスク いらすとやより使用 宇宙旅行。誰しも一度は憧れたことがある夢。私も昔から「ニュートン」誌を読んでは宇宙に思いをはせていました。しかし、宇宙旅行は良いことばかりではありません。健康を害するリスクだってあるのです。 Jonscher KR, et al.Spaceflight Activates Lipotoxic Pathways in Mouse Liver.PLoS One. 2016;11:e0152877.私の好きなマンガの1つである「プラネテス」(幸村誠、講談社モーニングKC)では宇宙白血病という疾患が登場します。宇宙線の被曝によって起こる白血病のようですが、本当に宇宙線が血液悪性腫瘍のリスクになるのかは、まだまだ議論の余地があります。さて、宇宙への長期滞在は長期臥床しているようなもので、筋力が劇的に衰えます。宇宙飛行士が地球に帰還してきたときにヘロヘロになっているのは、長期滞在によって筋骨格系の廃用萎縮が進行するからです。そのため、宇宙滞在中は筋力トレーニングが欠かせません。宇宙旅行は、いろいろな代謝異常を引き起こすことが知られています。その1つに肝障害があります。この論文は、純系マウスを宇宙に連れていき、2週間ほど滞在させて、地球に帰還した後に肝臓に障害がないかどうか調べた研究です。今や数多くの宇宙飛行士が宇宙に行っているのに、マウスの研究に固執しているのが気になりましたが…。結果、著明な脂肪肝が観察されました。NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)ってヤツです。NAFLDの発現とともに肝臓内レチノイン酸の濃度が低下し、糖脂肪代謝に関わるPPARαの発現が大きく上昇することもわかりました。長期滞在でいろいろな疾患のリスクが上がるとわかれば、あまり地球の外に出たくないという人も増えそうですね。インデックスページへ戻る

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慢性疼痛患者に対する医療用大麻、オピオイドとの比較

 慢性疼痛患者では、抑うつや不安を高率に合併している。オピオイド(OP)の処方は、疼痛の薬理学的治療において一般的な方法の1つであるが、米国および世界のいくつかの国において、疼痛管理のための医療用大麻(medical marijuana:MM)が増加している。イスラエル・アリエル大学のDaniel Feingold氏らは、OPおよびMMを処方された疼痛患者の、抑うつおよび不安レベルの比較を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2017年4月21日号の報告。 対象は、OP処方慢性疼痛患者(OP群)474例、MM処方慢性疼痛患者(MM群)329例、OPとMMの両方を処方された慢性疼痛患者(OPMM群)77例。抑うつおよび不安は、こころとからだの質問票(PHQ-9)および全般性不安障害尺度(GAD-7)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・抑うつの有症率は、OP群57.1%、MM群22.3%、OPMM群51.4%であった。・不安の有症率は、OP群48.4%、MM群21.5%、OPMM群38.7%であった。・交絡因子で調整した後、OP群はMM群と比較し、抑うつ(調整オッズ比:6.18、95%CI:4.12~9.338)および不安(調整オッズ比:4.12、95%CI:3.84~5.71)が陽性になる可能性が有意に高かった。・また、OPMM群はMM群と比較し、抑うつの傾向がよりみられた(調整オッズ比:3.34、95%CI:1.52~7.34)。 著者らは「本検討は、横断的研究であり、因果関係を推論することはできない」としたうえで、「MM群と比較しOP群では、抑うつおよび不安レベルが高いことから、とくに抑うつや不安リスクのある慢性疼痛患者に対する最適な治療法を決定する際には、本所見を考慮する必要がある」としている。関連医療ニュース とくにうつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用 検証!「痛み」と「うつ」関係は?:山口大学 たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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小児期に身体活動時間が長いと乳がんリスク低い

 成人期における身体活動は乳がんリスクの低下と関連するが、成人前の身体活動との関連を検討した研究は少ない。米国ノースカロライナ大学のNicole M. Niehoff氏らが5万人超の大規模女性コホートで5~19歳時の身体活動を調査したところ、乳がん発症リスクとの間に逆相関が示された。Breast cancer research and treatment誌オンライン版2017年5月12日号に掲載。 本研究は、35~74歳の5万884人の女性のコホートにおいて、小児期(5~12歳)と10代(13~19歳)におけるスポーツ/エクササイズの身体活動および10歳時・16歳時における非構造化身体活動(自由時間の身体活動)を調査した。乳がんとの関連を、乳がん全体で、またエストロゲン受容体(ER)および閉経状況別に、活動時間およびMET-時で検討した。また、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)をCox比例ハザードモデルで計算した。 主な結果は以下のとおり。・経過観察中に2,416例が乳がんと診断された(平均6.4年)。・5~19歳の間にスポーツ/エクササイズに週7時間以上参加していた群では、週1時間未満の群に比べて乳がんリスクが低かった(HR:0.75、95%CI:0.57~0.99)。・16歳時に非構造化身体活動を週7時間以上行っていた群では、週1時間未満の群に比べて乳がんリスクが低かった(HR:0.81、95%CI:0.70~0.95)。・この関連はER陽性乳がん、とくに小児期(5~12歳)の身体活動で、より顕著であった。・本研究では、小児/10代と成人での身体活動の相関が低いため(r=0.1)、最近の身体活動でこの結果を説明できる可能性は低い。

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スタチンのノセボ効果が明らかに/Lancet

 スタチン治療の有害事象について、いわゆる「ノセボ効果」が認められることが明らかにされた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAjay Gupta氏らが、ASCOT-脂質低下療法(LLA)試験の二重盲検試験期と非盲検延長試験期の有害事象について解析した結果、盲検下ではみられなかったが非盲検下において、すなわち患者も医師もスタチン療法が実施されていると認識している場合にのみ、筋肉関連有害事象が過剰に報告されたという。これまで、無作為化二重盲検比較試験ではスタチン療法と有害事象との関連は示唆されていなかったが、観察研究では盲検試験に比べてさまざまな有害事象の増加が報告されていた。Lancet誌オンライン版2017年5月2日号掲載の報告。二重盲検試験期と非盲検延長試験期で、有害事象の発現を比較 研究グループは、ASCOT-降圧療法(BPLA)試験の対象者(40~79歳で、3つ以上の心血管危険因子を有し、心筋梗塞の既往歴がなく、狭心症未治療の高血圧患者)で、空腹時総コレステロール値6.5mmol/L以下、スタチンまたはフィブラート未使用者をASCOT-LLA試験に登録し、アトルバスタチン(10mg/日)群またはプラセボ群に無作為に割り付けた(二重盲検試験期)。アトルバスタチンの有効性が確認されたためASCOT-LLA試験は早期中止となり、その後はASCOT-BPLA試験が終了するまでアトルバスタチン(10mg/日)を非無作為化非盲検下で投与する延長試験を行った(非盲検延長試験期)。 有害事象はMedDRAを用いて分類し、事前に特定された注目すべき有害事象とされる筋肉関連、勃起障害、睡眠障害および認知障害の4つの有害事象について、全報告を評価者盲検下で判定するとともに、それ以外の有害事象を器官別大分類(SOC)にて解析した。有害事象発現率は、1年当たりの割合(%)として表示した。非盲検延長試験期で筋肉関連有害事象の発現が増加 二重盲検試験期は1998年2月~2002年12月で、解析対象は1万180例(アトルバスタチン群5,101例、プラセボ群5,079例)、追跡期間中央値は3.3年(IQR:2.7~3.7)、非盲検延長試験期は2002年12月~2005年6月で、解析対象は9,899例(アトルバスタチン使用者6,409例:65%、未使用者3,490例:35%)、追跡期間中央値は2.3年(IQR:2.2~2.4)であった。 二重盲検試験期では、アトルバスタチン群とプラセボ群とで筋肉関連有害事象(2.03% vs.2.00%、ハザード比[HR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.88~1.21、p=0.72)と、勃起障害(1.86% vs.2.14%、HR:0.88、95%CI:0.75~1.04、p=0.13)の発現率は同程度であったが、睡眠障害はアトルバスタチン群が有意に低かった(1.00% vs.1.46%、HR:0.69、95%CI:0.56~0.85、p=0.0005)。認知障害は発現例が少なく検出力不足であった(0.20% vs.0.22%、HR:0.94、95%CI:0.57~1.54、p=0.81)。同試験期で、有意差が認められたのは、腎および尿路障害(1.87% vs.1.51%、HR:1.23、95%CI:1.08~1.41、p=0.002)で、アトルバスタチン群で有意に高頻度であった。 一方、非盲検延長試験期では、スタチン使用者においてスタチン未使用者より筋肉関連有害事象の発現率が有意に増大した(1.26% vs.1.00%、HR:1.41、95%CI:1.10~1.79、p=0.006)。同様に、筋骨格系および結合組織障害(8.69% vs.7.45%、HR:1.17、95%CI:1.06~1.29、p=0.001)、また血液およびリンパ系障害(0.88% vs.0.64%、HR:1.40、95%CI:1.04~1.88、p=0.03)もスタチン使用者で多く、それ以外は両者で有意差は確認されなかった。 著者は、「今回の結果は、患者と医師の両方に対して、スタチンに関連するほとんどの有害事象は薬剤を服用したことによるものではないことを保証するものであり、スタチンの副作用を誇張する主張が公衆衛生に及ぼす有害な影響に対処する一助にすべきである」と述べている。

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