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太り過ぎると高血圧になりやすい

太り過ぎると高血圧になりやすい太り過ぎないよう心掛けましょう!【対象】30~79歳の日本人 2,547人(2010年の調査)高血圧になる確率3.482.821.00正常体重男性女性BMIが25以上の人正常体重者(BMI:18.5~24.9)と比較した過体重者/肥満者(BMI:25.0以上)の高血圧症のオッズ比Nagai M, et al. Hypertension research. 2015;38;790-795.より作図Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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うつ病とビタミンDとの関連、どこまで研究は進んでいるのか

 ビタミンDの欠乏や不足がうつ病と関連しているのか、また、ビタミンD補充がうつ病の有効な治療法であるのかを、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のGordon B Parker氏らが検討を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年10月11日号の報告。うつ病の病因と管理におけるビタミンDの役割 3つの検索エンジンとオンラインデータベース(PubMed、Google Scholar、コクランデータベース)を用いて、近年出版された経験的研究を抽出した。検索キーワードは、ビタミンD、うつ病、治療とし、ビタミンD欠乏/不足とうつ病との関連、うつ病治療薬としてビタミンDサプリメントやビタミンDを使用した文献を選択した。本レビューは、以前の研究も考慮したものの、2011年以降の最近の研究に比重を置いた。 主な結果は以下のとおり。・経験的研究では、ビタミンD欠乏とうつ病の関連、ビタミンD不足のうつ病患者に対するビタミンDサプリメントやビタミンD増強に関するエビデンスが増加していた。・多くの研究に関連する方法論的限界が述べられていた。・研究は、英語論文に限られており、出版バイアスは、肯定的な所見を持つ研究が多い可能性がある。・うつ病の病因と管理におけるビタミンDの役割を明らかにし、現在示唆されている関連が臨床的に適合されるのかを証明するために、横断的デザインを超え、無作為化された縦断研究を実施する必要がある。

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タウ凝集阻害薬の軽度~中等度アルツハイマー病への効果/Lancet

 ロイコメチルチオニニウムビス(LMTM)の第III相臨床試験の結果は否定的なものであり、軽度~中等度アルツハイマー病に対するLMTMのアドオン療法の有益性は示されなかった。カナダ・ダグラス精神保健大学研究所のSerge Gauthier氏らが、LMTMの安全性および有効性を評価する15ヵ月間の無作為化二重盲検比較試験の結果、報告した。先行研究で、塩化メチルチオニニウム(=メチレンブルー:酸化型メチルチオニニウムの塩化物)は、タウ凝集阻害作用を有し、アルツハイマー病に対し単独療法で有効である可能性が示唆されている。LMTMはメチルチオニニウムの安定還元体で、塩化メチルチオニニウムより溶解性や吸収性が良好で、塩化メチルチオニニウムと同様、in vitroおよび遺伝子導入マウスモデルにおいて選択的タウ凝集阻害剤として作用することが確認されていた。なお、軽度のアルツハイマー病患者を対象としたLMTMの18ヵ月間の臨床試験の結果がまもなく報告される予定である。Lancet誌オンライン版2016年11月15日号掲載の報告。LMTM併用による認知機能およびADLの変化を評価 本試験は、16ヵ国(欧州、北米、アジア、ロシア)の大学および民間研究病院115施設において実施された。対象は、90歳未満の軽度~中等度アルツハイマー病患者で、他のアルツハイマー病治療薬を併用している患者も組み込まれた。ただし、メトヘモグロビン血症に関する警告のある薬剤を服用中の患者は除外された。 対象患者は、LMTMを75mg1日2回投与群(75mg群)、同125mg1日2回投与群(125mg群)または対照群(尿または便の変色に関して盲検化を維持するためLMTMを4mg1日2回投与)に、疾患重症度・地域・アルツハイマー病治療薬併用の有無・PET撮影の可否で層別化して3対3対4の割合で無作為割り付けされた。 主要評価項目は、アルツハイマー病評価尺度の認知機能スコア(ADAS-Cog)およびアルツハイマー病共同研究日常生活動作質問票スコア(ADCS-ADL)の、65週時におけるベースラインからの変化であった。修正intention-to-treat集団を対象として解析が行われた。LMTMの有効性は確認されず 2013年1月29日~2014年6月26日に、891例が無作為割り付けされた(75mg群268例、125mg群266例、対照群357例)。 主要評価項目に関して、どの群も治療効果は認められなかった。ADAS-Cogスコアの変化量は、対照群6.32(354例、95%信頼区間[CI]:5.31~7.34)に対し、75mg群-0.02(257例、95%CI:-1.60~1.56、p=0.9834)、125mg群-0.43(250例、95%CI:-2.06~1.20、p=0.9323)であった。ADCS-ADLスコアの変化量は、それぞれ-8.22(95%CI:-9.63~-6.82)、-0.93(95%CI:-3.12~1.26、p=0.8659)、-0.34(95%CI:-2.61~1.93、p=0.9479)であった。 75mg群および125mg群の安全性については、消化器および泌尿器系の有害事象の頻度が高く、投与中止理由としても最も多かった。臨床検査値異常で最も頻度が高かったのは、臨床的に重要ではないヘモグロビン濃度の用量依存的減少であった。アミロイド関連画像異常が確認された患者は1%未満(8/885例)であった。

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冠動脈疾患の遺伝的リスクは生活習慣で抑制できる/NEJM

 3件の前向きコホート研究と1件の横断研究の計5万5,685例全体で、遺伝的要因と生活習慣要因は、それぞれ独立して冠動脈疾患(CAD)の感受性と関連していることが示された。高遺伝子リスク群でも、生活習慣が悪い群よりも良い群でCADの相対リスクが約50%低下した。米国・マサチューセッツ総合病院のAmit V. Khera氏らが、CADの遺伝子リスクを定量化し生活習慣との関連を解析し、報告した。遺伝的要因と生活習慣の要因はどちらも、個人のCADリスクに関与するが、高遺伝子リスクが健康的生活習慣によってどのくらい相殺されるかはこれまで不明であった。NEJM誌オンライン版2016年11月13日号掲載の報告。約5万6,000例の遺伝子リスクを定量化し生活習慣因子との関連を解析 研究グループは、DNA多型の多遺伝子スコアを用い、3件の前向きコホート研究(Atherosclerosis Risk in Communities[ARIC]研究7,814例、Women’s Genome Health Study [WGHS]研究2万1,222例、Malmo Diet and Cancer Study[MDCS]研究2万2,389例)、ならびに遺伝子型と共変量データが利用できる1件の横断研究(BioImage研究4,260例)の計4研究のデータを用いて、CAD遺伝子リスクを定量化する検討を行った。米国心臓協会(AHA)の戦略的目標から、4つの健康的生活習慣因子(現在喫煙なし、肥満なし、定期的な運動、健康的な食生活)で構成される評価法を作成し、健康的生活習慣の遵守を判定した。生活習慣が良い群で、悪い群より冠動脈イベントリスクが低い CADイベント発症の相対リスクは、低遺伝子リスク(多遺伝子スコアの第1五分位)群と比較して、高遺伝子リスク(多遺伝子スコアの第5五分位)群で91%高かった(ハザード比[HR]:1.91、95%信頼区間[CI]:1.75~2.09)。 また、生活習慣が良い(健康的生活習慣因子4つのうち3つ以上遵守)群は、遺伝子リスクに関係なく、悪い(健康的生活習慣因子が1つ以下)群と比較して、実質的にCADイベント発症のリスクが低かった。 高遺伝子リスク群において、生活習慣が悪い群と比較して、良い群はCADイベント発症の相対リスクが46%低かった(HR:0.54、95%CI:0.47~0.63)。10年間のCADイベントの標準化発症率は、ARIC研究では生活習慣が悪い群10.7%に対し、良い群5.1%、WGHS研究ではそれぞれ4.6%および2.0%、MDCS研究では8.2%および5.3%と、良い群で低かった。また、BioImage試験では、いずれの遺伝子リスクにおいても良い生活習慣は、冠動脈石灰化の有意な減少と関連していた。 なお著者は、各研究が無作為化試験ではないため、生活習慣要因とCADイベントリスクの関連性を因果関係として捉えることはできないこと、各コホート研究で生活習慣の評価方法がわずかに異なることなどを研究の限界として挙げている。

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EUCLID試験:クロピドグレルの先進性は驚異的(解説:後藤 信哉 氏)-615

 チクロピジン、クロピドグレルは、フランスの政財官が協調して作り上げた優れた抗血小板薬であった。作用標的は未知であったが、当時の標準治療であったアスピリンに対するランダム化比較試験を、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患を対象として行い勝利した。 米国にて、1997年に広い適応を取得した時点でも薬効標的は未知であったものの、これらの疾患におけるアスピリンに対するわずかな優位性に加えて、冠動脈ステント術後のステント血栓の予防には臨床家が実感できる効果があった。薬剤としての化学構造は、複雑、体内の代謝も未知、薬効標的分子も単離されないまま臨床家には広く使用された。世界のあまたの企業は、クロピドグレルの先進性にまったく追いつくことができなかった。 2001年に、7回膜貫通型受容体蛋白P2Y12が薬効標的として単離された。P2Y12はADPの受容体である。クロピドグレルはADPと相同性のないプロドラッグであったが、アストラゼネカ社はADP/ATP類似化合物として、P2Y12 ADP受容体阻害薬チカグレロル、カングレロルを開発した。最近の抗X薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬が各社ほぼ同時に開発する「me too!」ドラッグであることと比較すると、クロピドグレルの先進性、革新性は群を抜いていた。 カングレロルは、急性冠症候群を対象とする直接的な経静脈的P2Y12 ADP受容体阻害薬である。本邦の急性冠症候群は年間10万人なので、1回投与の価格を1万円としても、企業の収益は年間1万円×10万人=10億円にすぎない。1週間継続投与としても70億円なのでは、1,000億円クラスのブロックバスターを次々開発する大企業には、微々たる利益で開発の対象にならない。 チカグレロルは経口薬なので、1年服薬を継続すると考えれば、急性冠症候群で1日1万円の薬価とすると1万円×10万人×365日=3,650億円と商売になる。1万円の薬価は“べらぼう”なので1,000円にしても365億円、クロピドグレル並の200円にして70億程度と考える。クロピドグレルは特許を喪失して値崩れするだろうから、価格の競合を考えると市場をすべてとっても数億程度で大企業には魅力がない。 企業は、患者のための存在というよりも株主のための存在でもある。株主に大きな利益の期待を語れなければ良い経営者ではない。 チカグレロルでは、急性冠症候群のほかに脳血管疾患、末梢血管疾患、過去に血管病の既往のある糖尿病など、potentialな巨大市場を狙った「パルテノン計画」を発表した。 世界で年間数千億を売り上げた先進的、革新的なクロピドグレルが一社独占から開放されて価格競争の時代になっても、クロピドグレルに優る有効性、安全性を示すことができれば広い適応の取得が可能と考えた。 急性冠症候群を対象としたPLATO試験、心筋梗塞後1年以降の症例を対象としたPEGASUS試験は成功した。日本でも年間10万例の急性冠症候群を、発症後2~3年までチカグレロルで引っぱる科学的根拠を提示した(もっとも、日本で施行したPHILLO試験では急性期の有効性、安全性は示せなかったが…)。しかし、クロピドグレルの水準に達するためには脳血管疾患、末梢血管疾患における過去の標準治療と比較した有効性、安全性を示す必要がある。残念ながら、急性期脳卒中とTIAではアスピリンとの比較におけるSOCRATES試験にてチカグレロルの優越性を示すことができなかった。日本、アジア諸国では脳血管疾患の有病率が高く、世界人口におけるアジア人の比率も増加しているので、SOCRATES試験の失敗は開発企業には打撃であった。 症候性の末梢血管疾患は、近未来の血管イベント発生率が高い。メタ解析にてアスピリンによる心血管イベント予防効果が示されているが、標準治療が確立された領域ではない。急性冠症候群では90mg×2/日の用量にて、75mg/日のクロピドグレルに優る有効性を示した。 血栓イベントの発生に血小板が重要な役割を演じること、血小板による血栓形成にP2Y12 ADP受容体が重要な役割を演じていること、の2つの仮説が正しければ、急性冠症候群により強いP2Y12 ADP受容体阻害効果を示したチカグレロルは、クロピドグレルに優るはずであった。開発企業にとっても「チカグレロルが勝って当然」の試験であったと想像される。 しかし、結果はクロピドグレルとチカグレロルは同等であった。あらためて、クロピドグレルこそが革新的新薬であったことが確認された。 PLATO試験では、チカグレロル群の死亡率はクロピドグレル群より低く、死亡率の差は時間経過とともに拡大する傾向を認めた。死亡率低減効果は、チカグレロルの普及に大きく寄与した。しかし、今回のEUCLID試験では死亡率、心筋梗塞ともにクロピドグレル群において低い傾向であった。ランダム化のキーオープンの夜は、開発責任者は眠れなかったと想像される。 EBMの世界ではやり直しはできない。1万4千例近い大規模の末梢血管疾患における、抗血小板薬の有効性を検証する試験は過去に類をみない。私が開発責任者であれば、脳血管疾患、心血管疾患合併例を増やしたかもしれない。試験の登録基準を心筋梗塞後、脳梗塞後の末梢血管疾患とすれば、症例数を減らした試験はできたかもしれない。 しかし、あらためて、先行していたクロピドグレルは優れた薬であった。特許が切れて、広く社会に還元されたクロピドグレルの使用推奨により、医療コスト削減にも役立つ本試験のインパクトは甚だしい。

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EVAR 1試験:腹部大動脈瘤ステントグラフトの有用性はまだ証明されない?(解説:中澤 達 氏)-616

 腹部大動脈瘤における、ステントグラフト内挿術(EVAR)と外科的人工血管置換術(open repair)の有用性を比較する無作為化対照比較試験EVAR trial 1の平均フォローアップ期間12年以上の解析結果が報告された。 全死亡の割合は、EVAR群が9.3件/100人年、open repair群は8.9件/100人年であり、両群に有意な差を認めず、動脈瘤関連死にも差はなかった。割り付けから0~6ヵ月の死亡は、EVAR群が良好であったが、平均フォローアップ期間8年以降はopen repair群が有意に優れた。8年以降のEVAR群の動脈瘤関連死の上昇には、主に2次性の動脈瘤囊の破裂が寄与しており、がん死の増加(p=0.0072)も観察された。  合併症のない腹部大動脈瘤へのEVARはopen repairに比べ短期生存率は優れるものの、その効果は数年で失われることは知られていた。しかし、EVAR症例が定期フォローアップを受け2次性の動脈瘤囊の再治療を受ければopen repair症例より生存率は良好になるとも考えられたが、結果はそうではなかった。 一方でコホート研究ではあるが、EVAR後2年間の再治療率は低下(2001年10.4%から2007年9.1%)し、血管内治療の成績は経年的に改善していたという報告がある1)。このことより、本研究の患者登録期間である2004年以前は、ステントグラフトのデバイス性能が十分でなかった可能性もある。EVAR trial 1以降のデバイス進化がエンドリークなど術後の動脈瘤囊破裂を減少させ、EVAR群が有利になっている報告が出てくるのを期待したい。

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下町ロケット【コミュニケーションタイプ】

今回のキーワードピラミッド型ファミリー型フラット型家族モデル進化心理学パターナリズムシェアード・ディシジョン・メイキング(SDM)みなさんは、人間関係を築こうとする時、「この人と合わないかも」と思うことはありませんか? 例えば、みなさんが職場で部下として、同僚として、そして上司としては? または、医療従事者としては? さらには、プライベートで友達として、恋人としては? 何が原因なのでしょうか? どうしたらうまく合わせることができるのでしょうか?今回は、このコミュニケーションのタイプとその相性をテーマに、ドラマ「下町ロケット」を取り上げます。このドラマは、主人公の佃が、社長として下町の町工場・佃製作所を経営する奮闘を描いています。ドラマの中で、佃は、ロケットの部品供給を巡って、帝国重工の宇宙航空部部長の財前と粘り強い交渉をします。さらに、コミュニケーションのタイプの違いの起源、コミュニケーションのタイプのギアチェンジの仕方、これからの時代に求められる医療のコミュニケーションモデルについて探っていきます。3つのコミュニケーションのタイプ-表1ここから、佃と財前をそれぞれモデルとして、大きく3つのコミュニケーションのタイプに分けて、みなさんといっしょに考えていきたいと思います。(1)力関係でつながる―ピラミッド型まずは、分かりやすいので、帝国重工の部長の財前と彼の上司・部下とのコミュニケーションを見てみましょう。財前が三千人の部下の前でロケット開発の勇ましい演説をして、部下たちを奮起させるシーン。その部下たちの目の前で、財前は社長から「頼むぞ」と励まされます。しかし、その直後、直属の上司である本部長から「(社長の思い通りにロケットを飛ばすことが)できなかったら君も私も・・・(降格させられるぞ)」と脅されます。財前は静かに「分かっております」と返事をするのです。大企業の帝国重工は、社長をトップとして、その下に本部長、部長、主任、そして一般社員を従える完全な階級構造です。これは、ピラミッド型と言えます。その特徴は、組織のさらなる発展という目的のために、成果主義など制度がしっかりしていること、そして序列主義など上下関係がはっきりしていて、命令に背けば命がないくらいの強さや恐怖(ノルアドレナリン)があります。つまり、力関係でつながっています。このタイプになりやすいのは、比較的に大人数で、男性が多く、マニュアル行動を行う集団であると言えます。例えば、大企業のほかに、自衛隊、消防隊、官僚などの公的組織やスポーツチームなどです。プラス面としては、大人数で協力してより大きなことを成し遂げる、つまり成果を確実に上げることができます。また、大きくて強い組織に所属しているというブランド力や経済的な安定感があります。ドラマの中で、帝国重工の社員が「それが帝国重工マンとしてのプライドだ」と誇らしげに言うシーンがありました。一方、マイナス面としては、組織の歯車として管理されることで決められたことしかできずに裁量の自由がなくなってしまうことです。また、「ぴりぴり」の関係なので、順応さや従順さを求められることで、部下が上司にイエスマンとなり、組織の現状の批判や新しいアイデアで組織をより良くしていこうという創造性が抑えられます。そして、組織の不正(チームエラー)を指摘することを憚ってしまい、隠ぺい体質を生み出すリスクもあります。例えば、2016年に某自動車会社の燃費不正が長年に渡って行われていたという不祥事が挙げられます。 財前が佃に肩入れする行動を、本部長(財前の直属の上司)が見かねて、主任(財前の直属の部下)を取り込みます。するとやがて、その主任は財前を出し抜こうとするようになるのです。このように、ピラミッド型は、組織(制度)への忠誠心はありますが、力関係でつながっている仲なので、実は上司と部下の信頼関係は希薄であることが分かります。実際に、かつての部下が今の上司という状況になった時、より葛藤が起きやすくなります。 また、夫が妻の上に立つピラミッド型の夫婦関係においても、夫がリストラや定年退職になり経済的な成果を上げられなくなった時や、子どもが巣立って経済的な負担が減った時に関係が破綻しやすくなります。それが、熟年離婚です。(2)信頼関係でつながる-ファミリー型次に、佃製作所の社長の佃と彼の部下とのコミュニケーションのスタイルを見てみましょう。財前が佃製作所を訪ねてきた時に、佃が職員を紹介するシーン。ある職員が「社長、昨日はごちそうさまでした」「(娘がお土産を)おいしいおいしいとむしゃぶり食ってました」とお礼を言い、職員の皆が佃と親しく接しています。中小企業の佃製作所は、社長と一般社員との心理的距離が近く、まるで家族のような人間関係を築いていて、優しさや安心感(セロトニン)があります。これは、ファミリー型と言えます。その特徴は、ピラミッド型とは対照的に、社員の一人一人が大事にされ、信頼関係でつながっています。このタイプになりやすいのは、比較的に少人数で、女性が多く、長期間の集団であると言えます。例えば、中小企業のほかに、集団登山、護送船団、サークル活動などです。プラス面としては、とにかく居心地が良いことです。一方、マイナス面としては、プラス面の裏返しで、序列が緩やかで「なあなあ」の関係なので、ピラミッド型のように成果がそれほど求められないことです。また、現状を批判しにくく、気を遣ってミスや怠けをかばい合い、うやむやにしてしまいます。それほど必死になって仕事に貢献しなくなることで、会社としての競争力を落とすリスクが高まります。さらには、疑似家族ならではの心理的距離の近さや人間関係の固定化により、長期的には古株のメンバーが既得権を振りかざしたり、不仲な社員同士が足を引っ張り合うなど、逆に人間関係が煮詰まるリスクもあります。(3)協力関係でつながる-フラット型最後に、佃と技術開発部門の山崎、佃と経理部長の殿村、そして佃と財前のコミュニケーションのスタイルをそれぞれ見てみましょう。かつて佃が山崎を他社から引き抜こうとした時に、彼は「君には夢があるか?おれにはある」「いつか自分の作ったエンジンでさ」「ロケットを大空に飛ばしたいんだ」と語ります。その思いに山崎は突き動かされたのでした。また、経理部長の殿村は、佃に渋い進言をし続け、「おれがみんなに嫌われていることは分かってる」「おれはこの会社が好きだ」「能力や技術力があるのに日の目を見ない企業を助けたかった」「(もともと)銀行員として物作り日本の手助けをしたかった」「それがおれの夢でした」と語っています。さらに、財前は、佃製作所の技術力の高さと佃のひたむきさに打たれ、同じ技術者として佃との友情が芽生え、ロケット打ち上げの成功という同じ目標を共有して、部品供給を受け入れます。佃とこの3人との人間関係は、力関係でもなく、信頼関係だけでもない平ら(平等)な関係によって、同じ夢に向かう楽しさや好奇心(ドパミン)があります。これは、フラット型と言えます。その特徴は、お互いが同じ目標に向かうために協力関係でつながっています。このタイプになりやすいのは、10人くらいまでの少人数で、集団の目的とそれぞれのメンバーの役割がはっきりしており、目的が達成されれば解散するという比較的短期間の集団であると言えます。例えば、職場のプロジェクトチーム、航空機のコクピットクルー、手術チーム、当直メンバー、チームスポーツ、裁判員(陪審員)などです。プラス面としては、お互いに率直な意見を言い合えて、オープンであることです。「ぴりぴり」のピラミッド型や「なあなあ」のファミリー型とは違って、「はきはき」の関係なので、相手のミスへの指摘に遠慮はしません。そして、創造的でより強いチームワークを発揮します。なぜなら、お互いの目標を達成するために関係を築いているからです。一方、マイナス面としては、お互いの目標にずれが起きた場合、その折り合いを付ける粘り強さが必要です。そして、折り合いがつかない場合は、関係の解消という選択肢もありえるということです。このドラマでは、特許を早々と高く売るか、使用契約にして将来への投資とするか大もめになっていました。私たちの職場の人間関係においても、例えば、病院(組織)の利益優先か患者(顧客)の満足度優先か、効率か後輩教育か、家族優先か仕事優先かなど様々にあります。家庭の人間関係においては、貯金優先か余暇優先か、のびのびとした子育てかしつけの行き届いた子育てかなど様々です。3つのコミュニケーションのタイプの違いはなぜ「ある」の?これまで、3つのコミュニケーションのタイプを見てきました。そして、なぜこのようなタイプの違いになるのかも分かってきました。それでは、そもそもなぜこのようなタイプの違いが「ある」のでしょうか?その答えは、これらの3つのコミュニケーションのタイプは、私たちの子ども時代のコミュニケーションのパターンを繰り返しているからです。例えば、ピラミッド型は父親をはじめとする男性年長者とのコミュニケーション、ファミリー型は母親をはじめとする女性年長者とのコミュニケーション、フラット型は年齢の近い兄弟姉妹や友達とのコミュニケーションであると言えます。つまり、コミュニケーションのパターンは、家族モデルが基盤になっているということです。この家族モデルの心理は、進化心理学的に言えば、私たちがヒトとなり体と心(脳)を適応させていった原始の時代の700万年前から進化したと考えられます。当時から、男性(父親)は食糧を確保し、女性(母親)は子育てをして、性別で分業をして家族をつくりました。そして、この基本となる家族が血縁によっていくつも集まって100人から150人の大家族の生活共同体(村)をつくりました。この当、遠出して食料を確保したい父親(男性)たちは、ピラミッド型のコミュニケーションによって成果を確実に上げました。一方、村にとどまっていっしょに子育てをしたい母親(女性)たちは、ファミリー型のコミュニケーションによって居心地を良くしました。そして、早く一人前になりたい子どもたちは、遊びを初めとするフラット型のコミュニケーションによっていっしょに何かを成し遂げ成長しました。そして、よりそうした種が生き残ったのです。その子孫が、現在の私たちであるというわけです。コミュニケーションのタイプはリーダーシップ理論にも重なる-グラフ1なお、このコミュニケーションのタイプは、社会心理学のリーダーシップにおけるPM理論にも重なります。この理論は、まずグラフ1のように、縦軸を目標達成度(Performance)、横軸を集団維持度(Maintenance)とします。すると、3つのコミュニケーションのタイプはグラフのような位置取りになります。ピラミッド型は、成果主義により目標達成度は高いです。しかし、人間関係の信頼感がない分、集団維持度は低いです。一方、ファミリー型は、居心地が良い分、集団維持度は高いです。しかし、成果があまり求められなくなるため、目標達成度は低くなります。そして、フラット型は、同じ目標を目指すという原動力がある限りにおいては目標達成度も集団維持度も高くなります。つまり、コミュニケーションは、二者関係におけるリーダーシップとも言えます。コミュニケーションのタイプがずれていたら?それでは、これらのコミュニケーションのタイプがずれていたらどうなるでしょうか? タイプの違う組み合わせによる3つのずれのパターンを、それぞれの登場人物たちのコミュニケーションから考えてみましょう。(1)ピラミッド型VSファミリー型佃と先代から長年ひいきの白水銀行とのやりとりのシーン。佃は窮地の状況で「お互い信頼関係あっての取引だったはずです」と言い、融資を申し出ます。しかし、「融資ってのは」「ビジネスです」とあっさり突っぱねられてしまいます。そのわけは、佃が銀行の意向に背いて研究費への投資の大幅な削減を渋ったからでした。ファミリー型で接していた佃は、本来ピラミッド型である銀行マンの心理を読み違えていたのでした。その心理は、力関係を見せ付け、成果がなければ切り捨てるというコミュニケーションです。今度は逆に、佃が窮地を脱して多額の利益を得たシーン。その銀行マンが平謝りで、すり寄ってきます。しかし、佃は「おれはあんたたちにされた仕打ちは絶対に忘れない」「同じ人間としておれはあんたらを全く信頼できない」と一喝します。ピラミッド型の銀行マンは、下手(したて)に出れば、関係が修復できると踏んでおり、佃の心理を読み違えていたのでした。その心理は、どんなに成果が得られても、信頼できない相手とは関係を持たないというコミュニケーションです。ピラミッド型かファミリー型かというコミュニケーションのタイプの違いは、私たちの職場においても起こります。例えば、会社と直属上司の板挟みになる部下です。まさに、このドラマの主任(財前の直属部下)の心理です。この主任のように迷うことなくピラミッド型のコミュニケーションをとることもできます。しかし、直属上司のとの信頼関係が厚い場合は、直属上司に着いていくというファミリー型のコミュニケーションをとることもできます。この場合、大事なことは、自分はどうしたいのかということです。これは、ちょうど2016年の国民的人気アイドルグループの解散騒動に重なります。長年いっしょにいたマネージャー(直属上司)の独立に伴い、多くのメンバーたちがそのマネージャーの独立に着いていくとファミリー型のコミュニケーションをとりました。ところが、1人のメンバーだけがもともとの会社に残るというピラミッド型のコミュニケーションをとったのでした。この騒動に正解はありません。会社と直属上司の板挟みになる局面において、メンバーのコミュニケーションのタイプの違いが浮き彫りになってしまったということです。また、恋人関係や夫婦関係などのパートナーシップにおいて、ピラミッド型のコミュニケーションをファミリー型の相手にしていたらどうなるでしょうか? よく言えばオラオラ系、亭主関白、かかあ天下になります。しかし、それは、悪く言えばDVやモラルハラスメントでもあります。なぜなら、ファミリー型の相手は被害を受けても関係性を重視して、別れようとはしないからです。さらには、親子関係において、親がファミリー型のコミュニケーションをピラミッド型のコミュニケーションをする成人した子どもにし続けたらどうなるでしょうか? うまく行けば一見とても仲の良い家族になります。それは、面倒見の良い親が、わがままな子どもの言いなりになるからです。しかし、うまく行かなければ、子どもが実家の居心地の良さに安住して自立しなくなったり、ひきこもりになってしまいます。(2)フラット型VSピラミッド型財前は、ロケットの部品全てを自社製品で揃えるという社長のこだわりに背きます。佃製作所から部品供給を受ける方向で動き、最終的には、幹部会議の中で、帝国重工社長に進言するのです。そして、会議は緊迫します。財前がピラミッド型の社長にあえてフラット型の進言をしています。財前もその行動のリスクは重々承知しています。結果的に、社長は財前の粘り強い説得に納得し、「賭けてみるか、どん底から這い上がった男に」と言います。そのわけは、社長がもともと技術者出身で、佃のロケットを飛ばすという熱意と技術に共感すると財前は踏んでいたからでした。財前は、社長の心の中になるフラットな心理を引き出したのでした。また、佃が高校生の娘にかかわるシーンを見てみましょう。佃は、娘が部活をサボったことに腹を立て、ノックもせずに部屋に押し入ります。そして、「お前、何やってんだ!」「親に向かって何だ!その口の聞き方は!?」と一方的に叱り付けています。そして、娘の反抗心をますます煽っていました。もともと娘に対する佃のピラミッド型のコミュニケーションが抜け入れていないことが分かります。娘は反抗期であり、ピラミッド型のコミュニケーションによる子ども扱いのままでは逆効果です。その後に、佃は娘に「好きだったら納得のいくまで」「だめなら他にまだいくらでも夢中になれるものは見つかるよ」「焦らずにゆっくり探せばいい」と娘の思いを認めることで、娘は「私も自分の夢を絶対に見つけるから」と言い、分かり合えます。このように、同じ大人の仲間としてフラットに大人扱いすることが本思春期の子どもの心を動かすのです。私たちの職場においても、部下は、上司が自分から考えて動くことを望むフラット型なのか、それとも命令通りに動くことを望むピラミッド型なのかを察知することが重要であるということです。逆に、上司は、部下がとにかく良い仕事をしたいという純粋な自己実現を望むフラット型なのか、それとも職場内の評価やより高い役職を望むピラミッド型なのかを見極めることが重要です。それは、実務職(プレーヤー)を望むフラット型か、管理職(マネージャー)を望むピラミッド型なのかという違いでもあります。また、上司からの押し付けと部下からの突き上げの板挟みになる中間管理職が当てはまります。これは、上司がピラミッド型のコミュニケーションであるにもかかわらず、部下たちが言いたいことを言うフラット型のコミュニケーションをしているということになります。この場合、大事なことは、自分はどうしたいのかということです。自分も上司と同じくピラミッド型になるのか、逆に部下たちの言い分を飲むファミリー型になるのか、それともさらに自分のビジョンを打ち出すフラット型になるのかはっきりさせることが重要です。(3)ファミリー型VSフラット型佃製作所の社員たちが特許を早々と高く売るか、使用契約にして将来への投資とするかについて大もめになるシーン。ある社員が「うちにとって目の前の問題は資金繰りじゃないですか」「今この会社は生きるか死ぬかの瀬戸際なんですよ」と必死に訴えます。一方、幹部の山崎たちは「あの技術は絶対に手放したくありません」「汎用性の高い斬新なものなんです」「売ればその可能性を捨てることになる」と頑として言い返します。これは、佃(会社)に対して、一般の社員たちが会社(関係性)を残すことを優先するファミリー型のコミュニケーションを取っているのに対して、山崎などの幹部は目標(企業理念)を残すことを優先するフラット型のコミュニケーションを取っているからであると言えます。このタイプの違いから、実際に専業ママのママ友グループにワーキングママは溶け込みにくいことが分かります。そのわけは、専業ママたちは、多少の情報交換はしていますが、お互いをねぎらったり励ましたりするなどを通して関係性を重視しており、集まることに意義があるファミリー型だからです。一方、ワーキングママは、職業的な視点が働きつい目的志向になってしまい、言いたいことをずばずば言ってしまうフラット型だからです。すると、専業ママにとっては、ワーキングママはきつい存在となります。一方、ワーキングママにとっては、専業ママたちは退屈な存在になってしまうというわけです。また、私たちが相談事を受ける時も注意が必要になることが分かります。それは、相談相手が、どのコミュニケーションのタイプの答えを求めているかということです。とりあえず「つらかったね」「大変だね」と受け止めることだけを求めるファミリー型なのか、解決のための手厳しい答えを求めるフラット型なのかという見極めが必要になります。それぞれのコミュニケーションのタイプをどうやって変える?それでは、それぞれのコミュニケーションのタイプをどうやって変えることができるでしょうか? コミュニケーションのタイプが相手、状況(集団)、時代によって変化することを踏まえて、いっしょに考えていきましょう。(1)ピラミッド型まず、ピラミッド型に変えるにはどうしたら良いでしょうか? 自分が上司の場合と部下の場合に分けて整理しましょう。自分が上司の場合、より上手(うわて)に出ることがポイントです。これは、相手との力関係を意識させるかかわり、つまり見張ることです。わがままになるのとはまた別です。その1つが、「報・連・相」の強化です。報告、連絡、相談をより多くするよう指示して、そうしなかったら、ダメ出しをすることです。また、褒め叱りの徹底も同様に効果的です。逆に、自分が部下の場合、基本的に下手(したて)に出ることがポイントです。これは、相手との力関係を受け入れる態度を表向きに見せる、つまり見張られることを受け入れることです。完全に言いなりになるのとはまた別です。こちらから、「報・連・相」を徹底することです。そのほかに使えるワザとして、「褒め殺し」が有名です。「すごいでねえ」「さすがですね」とのワードを連発して相手を気持ち良くさせることです。そして、それ以上の要求を逆に言わせないやり方です。さらにその発展形が「詫び殺し」です。例えば、トラブルが起きた時、こちらが悪くなくても「すみません」「申し訳ない」とのワードをひたすら繰り返し、「何とかしてしたい気持ちでいっぱいなんです」「これが私の精一杯なんです」と添えます。特に、医療機関で待ち時間が長いなどのクレームにおいて、こちらが上から目線で突っぱねるピラミッド型は不適切です。かと言って、フラット型のコミュニケーションで正論を言っても、特にプライドの高い高齢者は理解力の限界も相まってなかなか納得をしてもらえない可能性があります。そんな時、相手にそれ以上の文句を言わせないかかわりとして効果的であると言えます。(2)ファミリー型次に、ファミリー型に変えるにはどうしたら良いでしょうか? それは、グッドリスナーになることがポイントです。これは、相手との信頼関係を高めるために、話をよく聞くことを通して、あなたの味方であるというメッセージを伝えること、つまり見守ることです。合いの手としては、「大変だね」(共感)、「その気持ち分かるよ」(受容)、「大丈夫だよ」(保証)などのワードが使えます。そして、観察力を鋭くして、褒めることを増やし、目をかけることです。また、いっしょに食事をすることです。注意したいのは、逆に助言、激励、結論などの自分の意見は不要です。これは、相手を丸ごと受け止めていないと思われてしまったり、相手をつい良いか悪いか審判してしまうリスクがあるからです。また、相手との共通点を見つけるのも良いでしょう。これは、相手との共通点が多ければ多い方が、より親近感を抱くという理論に基づいています(社会的交換理論)。(3)フラット型最後に、フラット型に変えるにはどうしたら良いでしょうか? それは、自分の目標(ビジョン)をはっきりさせること、そして相手の目標(ビジョン)とすり合わせることです。これは、相手との協力関係を高めるために、お互いの目標を見合うことでもあります。例えば、自分が目標に向かって生き生きとがんばっている背中(モデル)を見せることです。さらには、どこにどう向かっているのか分かりやすく見せるプレゼン力も重要でしょう。子育てにおいて言えば、母親が「勉強しろ」とガミガミと言い続けるピラミッド型のコミュニケーションには限界があります。その母親が専業主婦として優雅な生活をしていたらなおさらです。子どもに一生懸命さを求めるのであれば、まず親が何かに打ち込んで一生懸命になっている背中を見せるフラット型のコミュニケーションが効果的です。また、相手に役割意識を見いだすことも重要です。例えば、「あなただからこそやってもらいたい」「あなたならできる」という働きかけによって、相手の自信や責任感を引き出すことができます。これからの医療のコミュニケーションモデルとは?―パターナリズムからSDMへ昨今の医療においては、患者だけでなく、医療関係者の価値観や治療選択も多様化してきています。そして、時代はより医療に説明を求めてきています。そんな時代に求められる医療のコミュニケーションモデルとは何でしょうか?かつて医療のコミュニケーションモデルは「お任せ」でした。医師が「この薬を飲んでください」や「手術が必要です」と説明抜きで一方的に言っていました。いわゆるパターナリズム(父権主義)です。これはピラミッド型が当てはまります。確かに、知的障害や認知症、自傷他害のおそれのある精神障害、そして伝染性の強い感染症については、このような強制的な対応が必要な場合があります。しかし、それはごく一部になってしまいました。また、特に心療内科や精神科の分野のコミュニケーションモデルは、「受け止める」です。これは、医療関係者が「つらいですね」と共感的に接することが主となっています。いわゆる傾聴を基本とする支持的精神療法です。これはファミリー型が当てはまります。しかし、このやり方は、問題への根本的な介入とはならないため、患者の問題は解決しないという課題が残ります。そして、最新の医療のコミュニケーションモデルは、「いっしょに決める」です。これは、治療をしないことも含めた治療の選択肢を医師が提案し、それを患者が医師といっしょに考えることです。インフォームドコンセント(IC)からさらに進んだやり方で、シェアード・ディシジョン・メイキング(SDM)と呼ばれています。これは、フラット型が当てはまります。ただし、この取り組みには、医師に膨大な労力がかかります。今後の課題としては、医師が患者への説明に追われて疲弊しない枠組みが求められます。これからの時代に求められるコミュニケーションとは?これからの時代に求められるコミュニケーションとは何でしょうか? 昨今の世の中のコミュニケーション環境は、医療に限らず多様化してきています。コミュニケーションのタイプの違いを知った今、そしてずれによる危うさを知った今、その答えとは、相手や状況によって、コミュニケーションのタイプのバランスをとったりギアチェンジをすることではないでしょうか?1)糸井戸潤:下町ロケット、小学館文庫、20132)小野善生:リーダーシップ理論、日本実業出版社、20133)山岸俊男監修:社会心理学、新星出版社、2011

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何百、何千【Dr. 中島の 新・徒然草】(146)

百四十六の段 何百、何千先日、鮨屋で食べていたときのこと。私が医師だと知ると、早速、女将さんに尋ねられました。女将「うちのお父ちゃんのことで聞いていい?」中島「いいですよ」女将「最近、ちょっとボケてきたように思うんやけど」高齢者の最も多い訴えです。中島「もの忘れですか?」女将「そうなんよ」そう聞いた途端、70代と思しき大将の反論が始まりました。大将「そんなもん、味付けなんか何百何千とあるんやから、いちいち覚えとられまへんがな」何百、何千とはちょっと大袈裟な。女将「あんたノートにつけとるけど、どこに書いてたかを忘れとるやんか」大将「それを言われたらちょっと」女将「それに料理の道具も、何処いったかいつも探しとるし」大将「包丁だけはちゃんとわかるんやけどな」中島「置き場所を決めておいたらどうですか?」大将「そうしようとしてるんですけどね」客が私しかいなかったせいか、大将がノートとやらを持ち出してきました。これが凄い!ビッシリと味付けが書いてあります。【松風焼き】みりん ○合酒   ○合醤油  ○合味噌  ○g砂糖  ○g……といった塩梅です。料理屋なので、1升とか1匁とか、数字がいちいち大きい。これが手書きのノート数冊分、ただし順不同。それだけでなく、宴会で注文を受けた会席などの記録も、図入りですべて残されています。昭和47年○月○日○○鉄工所 30名 3,500円以下、献立……中島「昭和47年とかから書いているんですか?」大将「そうでんねん。修行時代からやけど、誰も教えてくれへんから、全部自分で帳面に書いときまんねん」中島「よく覚えていますねえ」大将「煮物係とか焼物係とか、いろいろやるんですけどね。全体の献立が張り出されるから、帰りにそっと剥がしてポケットに入れて持って帰りますねん」中島「その頃からのを全部書いているんですか?」大将「そうせんと親父に怒られますねん。『3年前の何月何日にやったんと同じ味付けや。覚えとかんかい、アホ!』とか。もう無茶苦茶や」中島「厳しい親父さんですねえ」鮨といったら、せいぜい100種類ほどの魚を切って握っているだけかと思っていましたが、実際は、会席とか仕出し弁当とか何でもやっているようです。中島「そりゃあ忘れることもあるでしょう」大将「女房が家で作る分には、ちょっとぐらい甘くても辛くても亭主に食べさすだけやから平気やけど、お客さんに出すときにはそんなわけにいきませんでっしゃろ」中島「そうですね」大将「若いモンを使っとったときは、献立を考えて仕入れからやらなアカンかったから、そらもう大変でしたわ」中島「いやあ感心しました」というわけで大将の料理談義を聴いてきたわけですが、ふと既視感を覚えました。考えてみれば、われわれも医学部を卒業してからの診療行為や手術は、すべて記録しているわけです。紙カルテの時代から電子カルテの時代に至るまで、常に何らかの形で記録が残っています。手術について言えば、簡潔な公式記録のほかに、私自身はメモとして「〇〇の糸を使った」とか「こうしたほうがもう少し省エネで済んだかも」みたいなことを、できるだけ書き残しています。とはいえ、これらの記録がすべて手元に整理されて保管されているわけではないので、見たいときにサッと見られるとは限りません。やはり、そのような記録がすべて即座に出せ、すぐに確認できるようにしておくことが大切だと思います。鮨屋の大将のノートを見せてもらったことをキッカケに、自分自身の記録についても、整理整頓を心掛けたいと思います。最後に1句記録して 整理してこそ 役に立つ

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医師が選んだ「2016年の漢字」TOP5!【CareNet.com会員アンケート結果発表】

毎年恒例となっている日本漢字能力検定協会の『今年の漢字』。今年も漢字の日である12月12日に発表されますが、CareNet.comでは一足先に医師会員に募集してみました。その結果、2016年を言い表す漢字、1位に選ばれたのは「震」でした。2位以下にランクインした漢字にも、今年らしさがよく表れています。アンケートの結果から、トップ5を発表します。発表に当たって、今年もケアネットの達筆社員が筆を執りました。書を持つ5人も弊社社員です。1位震4月に発生した熊本地震、そして10月の鳥取地震と、同じ年に強い地震が2つも発生したことを、この字を選んだ理由に挙げる先生がとても多くいらっしゃいました。また、地震以外にも「世の中を震撼させる」「心が震える」出来事が多かった1年であった、そういう思いも込められての選出でした。 「震」を選んだ理由(コメント抜粋)地震もあるし、震撼するような事件も多いため。(50代 腎臓内科医/石川県)熊本市で熊本地震を実際に被災した経験と、その後の支援のありがたさに心が震える思いをしたから。(40代 精神科医/熊本県)熊本、鳥取の地震も含めて、世の中が「震」えたから。(30代 皮膚科医/秋田県)地震(熊本、鳥取等)もあり、東京オリンピックの問題や、築地移転問題等震える事柄が多かった。(60代 内科医/福島県)地震、噴火、爆発などが相次ぎ、大地が震えるというイメージがあった1年でした。(60代 小児科医/茨城県)2位災1位と同じく熊本地震と鳥取地震、そして阿蘇山噴火、台風の影響による東北と北海道での浸水被害など、地震以外の自然災害が複数起きたことも含めてというのが主な選出理由でした。また、築地市場の豊洲移転問題、不安定な世界情勢によって繰り返される戦闘なども、「災」の字を選んだ理由に挙げられています。 「災」を選んだ理由(コメント抜粋)熊本や鳥取の地震や台風による被害など大きな自然災害が目立った。(50代 整形外科医/群馬県)天災が多い年だった。(20代 臨床研修医/兵庫県)地震、豊洲問題、かけつけ警護を必要とする戦闘状態などの問題が印象深いので。(50代 小児科医/愛媛県)熊本に住んでいて、予想だにできなかった地震でした。世界を見ればIS、シリア、ソマリアなどの紛争も解決の道筋が見えません。(50代 腎臓内科医/熊本県)熊本地震、阿蘇山噴火、鳥取地震、北海道洪水被害など自然災害が目立った。(60代 小児科医/北海道)3位乱昨年のCareNet.comのアンケートで1位だった「乱」は、今年は3位にランクイン。まさに混乱した世相を表す漢字です。国内だけでも、2020年の東京オリンピック開催場所にまつわる問題、築地市場の豊洲移転に伴ってさまざまな問題が噴出したこと、また海外に至ってはいまだ予断を許さない状況が続くなど、世の中が相変わらず混乱していることを、この字に当てはめての選出です。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)気候、世界情勢、国内でいろいろあり。(60代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/宮城県)異常気象や女性新都知事の種々の既存組織への乱入(挑戦?)(50代 内科医/京都府)混乱した世相を反映して。(30代 精神科医/大分県)オリンピック関連で開催場所の変更、築地市場でのゼネコンの問題等これからもいろいろ出てきそうなので。(40代 循環器内科医/京都府)地震や台風などの天災で日本中が乱れ、中東ではシリア問題で乱れ、ヨーロッパでは移民問題からイギリスのEU離脱問題で足並みが乱れ、アメリカでは大統領選挙がお互いの中傷合戦で乱れているから。(50代 内科医/岡山県)4位金リオ五輪が開催された今年、まず「金」の字のイメージとしてオリンピックの金メダルを挙げる方が多いと思います。今回の五輪での日本のメダル獲得数は、41個と過去最多を記録しました。閉会式では安倍首相がマリオの姿で登場するというサプライズも、閉幕から3ヵ月余りたった今も記憶に新しいと思います。ほかには、2020年の東京五輪の費用問題、舛添前都知事の政治資金問題、日銀のマイナス金利政策など、喜べない「金」の話題もあり、両方の意味を含めての選出です。 「金」を選んだ理由(コメント抜粋)オリンピック・パラリンピックイヤー。(50代 循環器内科医/福井県)オリンピックの金、舛添の金、金利マイナス。(30代 糖尿病・代謝・内分泌内科医/大阪府)オリンピックの金メダルと、総額3兆円超といわれる東京五輪費用問題を引っ掛けて。(60代 内科医/東京都)リオ五輪の金メダルと、東京五輪のお金の問題。(40代 放射線科医/兵庫県)5位倫この漢字一文字が、芸能人の不倫報道をはじめ、精神保健指定医資格の大量取り消し問題など、倫理観を問う問題が一年を通じて世間を賑わせ続けていたことを物語るかのような一文字です。余談ですが、本家の今年の漢字の予想では、同じ理由で(文春砲の)「砲」も挙がっているようです。12日の発表がどうなるか楽しみですね。 「倫」を選んだ理由(コメント抜粋)医療倫理、政治倫理、不倫など、倫理観の変化がみられる。(50代 内科医/東京都)公務員倫理や芸能界の不倫が話題になったから。(30代 精神科医/埼玉県)倫理的に問題なことが多かった。(40代 外科医/愛媛県) アンケート概要アンケート名 :『2016年を総まとめ!今年の漢字と印象に残ったニュースをお聞かせください』実施日    :2016年10月24日調査方法   :インターネット対象     :CareNet.com会員医師有効回答数  :524件

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治療抵抗性強迫症に対する増強療法、抗精神病薬の評価は

 小児、青年における治療抵抗性強迫症(OCD)に対するSSRIとアリピプラゾール増強療法について、トルコ・Denizli State HospitalのUlku Akyol Ardic氏らが評価を行った。Child psychiatry and human development誌オンライン版2016年11月3日号の報告。 2種類以上のSSRIおよび認知行動療法(CBT)による治療に反応しなかった小児治療抵抗性OCD患者48例(女児14例、男児34例)を対象に、12週間のアリピプラゾール増強療法を行った。治療アウトカムの評価には、小児OCD評価尺度(CY-BOCS)、CGI-S、CGI-Iを用いた。 主な結果は以下のとおり。・CY-BOCS総スコアは33.3±7.5から11.7±9.3に減少(p<0.001)、CGI-Sスコアは6.3±0.9から2.7±1.6に減少(p<0.001)、CGI-Iスコアは4.3±0.6から2.2±1.1に改善した(p<0.001)。・SSRI漸増を伴わない29例におけるアリピプラゾール増強療法の感度分析は、改善効果が依然として有意であることが明らかとなった。CY-BOCSスコアは、34.2±7.9から13±10.3に改善(p<0.001)、CGI-Sは6.4±1.0から3.0±1.7に改善(p<0.001)、CGI-Iは4.4±1.0から2.3±1.1に改善した(p<0.001)。・分析では、アリピプラゾール増強療法は、有意な臨床的改善を示すことが明らかとなった。 著者らは「SSRIとアリピプラゾール増強療法は、小児および青年の治療抵抗性OCDに対する有望な治療戦略である」としている。関連医療ニュース 治療抵抗性強迫症に抗精神病薬の増強療法は有効か 難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何か SSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は

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アトピー性皮膚炎の自己免疫疾患リスク、喫煙と関連か

 成人アトピー性皮膚炎患者は自己免疫疾患に罹患しやすく、とくに喫煙者で認められることが、デンマーク・コペンハーゲン大学のYuki M F Andersen氏らによる全国健康登録データの検証の結果、示された。これまでに、アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患の関連性について指摘はされているが、データはほとんどなく、一貫性が認められなかった。著者は、「今回のデータで因果関係について結論することはできないが、アトピー性皮膚炎患者において自己免疫疾患が増大しているとの認識を正当化できるものと思われる」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年10月11日号掲載の報告。喫煙歴のあるアトピー性皮膚炎患者は自己免疫疾患発症率が顕著に高かった 研究グループは、アトピー性皮膚炎を有する成人患者において、選択した自己免疫疾患について、罹患の共通性が認められるかを調べた。全国健康登録データを用い、1997~2012年に、国内の病院でアトピー性皮膚炎と診断された成人(症例群)と、その適合成人(対照群)を選び、両群で自己免疫疾患の発症について比較した。 ロジスティック回帰法を用いて、オッズ比を算出し評価した。 アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患の関連性を評価した主な結果は以下のとおり。・ケース群は8,112例、対照群は4万560例であった。・22の自己免疫疾患について調べた結果、11についてアトピー性皮膚炎との有意な関連が認められた。・さらに、アトピー性皮膚炎は多発性の自己免疫疾患と関連することも示された。・喫煙歴のあるアトピー性皮膚炎患者は、非喫煙患者と比較して、自己免疫疾患発症率が顕著に高かった。・今回の試験はアトピー性皮膚炎成人患者に限定したものであり、またアトピー性皮膚炎の重症度や喫煙量に関する情報は入手できていない。また、病院での診断歴のある患者を対象とした検討の結果で、一般化できないといった点で限定的なものである。

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世界の血圧値の動向、40年間でどう変わったか/Lancet

 1975~2015年の世界200ヵ国における血圧値の動向を調べたところ、血圧高値の傾向は高所得国から低所得国へ移行したことが認められた。しかし、南アジア、サハラ以南アフリカ諸国の最貧集団では血圧高値の増加傾向はみられず、また中央・東欧諸国では血圧高値が継続していることが示された。世界200ヵ国の非感染性疾患(NCD)について調査を行っている科学者ネットワーク「NCD Risk Factor Collaboration」(NCD-RisC)が、1,479試験を基に分析し明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2016年11月15日号で発表した。被験者総数1,910万例を階層ベイズモデルで分析 研究グループは、18歳以上について血圧を測定した1,479試験、被験者総数1,910万例のデータについて、階層ベイズモデルを用い、1975~2015年の世界の平均収縮期・拡張期血圧値と、200ヵ国における高血圧症の有病率を推定した。 高血圧症の定義としては、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上とした。2015年の世界の高血圧症有病率、男性24%、女性20% その結果、2015年の年齢調整平均収縮期血圧は、男性が127.0mmHg(95%信頼区間[CI]:125.7~128.3)で、女性は122.3mmHg(同:121.0~123.6)、年齢調整平均拡張期血圧は、男性が78.7mmHg(同:77.9~79.5)、女性が76.7mmHg(同:75.9~77.6)だった。 2015年の世界の年齢調整高血圧症有病率は、男性が24.1%(同:21.4~27.1)、女性が20.1%(同:17.8~22.5)だった。 1975~2015年に、西欧・環太平洋の高所得国では平均収縮期・拡張期血圧値が大幅に低下していた。これらの国のいくつかは、1975年には血圧値が最も高かったが、2015年には最も低くなっていた。なお、収縮期血圧値の低下が最も大きかったのは、環太平洋の高所得国で、女性3.2mmHg(95%CI:2.4~3.9)、男性は2.4mmHg(同:1.6~3.1)低下が認められた。拡張期血圧については西欧の高所得地域で最も大きかった。 女性の平均血圧値については、中央・東欧、ラテンアメリカ、カリブ海諸国でも低下し、より最近になって、中央アジア、中東、北アフリカ諸国でも同じく低下が認められたが、これら地域の傾向は高所得国における低下傾向のように確定性は高くなかった。対照的に、東・東南アジア、南アジア、オセアニア、サハラ以南のアフリカ諸国では平均血圧値の上昇が認められた。 2015年に最も血圧値が高かったのは、中央・東欧、サハラ以南アフリカ、南アジアの諸国だった。 高血圧症の有病率は、高所得国と一部の中所得国で低下傾向が見られたものの、その他の国では変化はみられなかった。 1975~2015年の間に、高血圧症の人の数は5億9,400万人から11億3,000万人に増え、低・中所得国で大きな増加が認められた。世界の高血圧症の増加は、人口増加と高齢化による増加と、年齢別罹患率の低下による減少を総合した結果と考えられた。

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末梢動脈疾患へのチカグレロル、クロピドグレルと同等/NEJM

 症候性末梢動脈性疾患の患者に対し、抗血小板薬チカグレロル(商品名:ブリリンタ)の有効性はクロピドグレルと同等で、優越性は示されなかった。また、急性肢虚血や重大な出血といった有害事象の発生率も同等だった。米国・コロラド大学のWilliam R. Hiatt氏らが、約1万4,000例の患者を対象に行った、無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、NEJM誌オンライン版2016年11月13日号で発表した。先行試験において、クロピドグレル単独療法群はアスピリン群と比べて心血管イベントリスクを有意に抑制することは示されていた。心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の発生率を比較 研究グループは、症候性末梢動脈性疾患の患者1万3,885例を無作為に2群に分け、チカグレロル(90mg、1日2回)とクロピドグレル(75mg、1日1回)を、それぞれ投与した。 被験者は、足関節上腕血圧比(ABI)が0.80以下、または下肢血行再建術の病歴があった。また、年齢中央値は66歳、72%が男性で、ABI基準で被検者となったのは43%、下肢血行再建術の病歴があったのは57%だった。 有効性に関する主要エンドポイントは、判定心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の複合エンドポイントだった。安全性に関する主要エンドポイントは、重大な出血だった。急性肢虚血、重大な出血発生率も同等 追跡期間中央値は、30ヵ月だった。ベースラインのABI平均値は0.71、76.6%に跛行が、4.6%に重症肢虚血がそれぞれ認められた。 有効性に関するエンドポイント発生は、チカグレロル群は6,930例中751例(10.8%)、クロピドグレル群は6,955例中740例(10.6%)で、両群間の有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:1.02、95%信頼区間[CI]:0.92~1.13、p=0.65)。 急性肢虚血による入院率は、両群ともに1.7%(HR:1.03、95%CI:0.79~1.33、p=0.85)、重大な出血発生率も両群ともに1.6%(1.10、0.84~1.43、p=0.49)と同等だった。

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地中海食、加齢黄斑変性の進行予防に効果あり

 地中海食のアドヒアランスと加齢黄斑変性(AMD)の有病率は関連しているかについて、英国・Queen's University BelfastのRuth E. Hogg氏らが、南北欧州の地域住民をベースにした横断疫学研究を行った。その結果、地中海食のアドヒアランスが後期AMDを予防する効果があることが示唆された。ただし、先行研究で報告されていたAMDと遺伝的感受性との関連を支持する結果は示されなかった。著者は、「地中海食の導入を促す介入を開発するとともに、こうした行動変化を達成し維持できる方法を調べなければならない」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年11月5日号掲載の報告。 研究グループは、欧州(ノルウェー、エストニア、英国、フランス、イタリア、ギリシャ、スペイン)の研究センター7施設において、無作為に抽出した65歳以上の高齢者5,060例を対象に検討した。眼科検査とデジタル網膜カラー写真撮影を行うとともに、過去12ヵ月間の食事摂取量について半定量的な食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査した。 検査画像は単一施設において、International Classification System for age-related maculopathyに従ってグレード付けし、Rotterdam staging systemを用いて5段階(AMD:0~4)に分類した。AMDステージ4は、新生血管AMD(nvAMD)および地図状萎縮(GA)を含む。ドルーゼン(drusen)については、直径125μm以上をlarge drusenとした。地中海食のアドヒアランスは、FFQに基づき地中海食スコア(MDS)で評価し、MDSスコアとAMDの関連について多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・研究対象5,060例中、食事に関して完全なデータが得られたのは4,753例であった(平均73.2±5.6歳、女性55%)。・MDSの増加は、未補正および交絡因子補正解析においてnvAMDのオッズ比低下と関連しており、MDSアドヒアランスが最高群(MDSスコア>6)は最低群(MDSスコア≦4)と比較して、nvAMDのリスクが有意に低下した(オッズ比:0.53、95%信頼区間:0.27~1.04、傾向p=0.01)。・MDSとの関連は、Y204Hリスクアレルで違いは認められなかった(p=0.89)。・早期AMD(グレード1~3)は、MDSとの関連はなかった(傾向p=0.9)。・MDSとlarge drusenとの間には弱い関連傾向(p=0.1)がみられ、MDS最高群は最低群と比較してオッズ比が20%低下した(p=0.05)。

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