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足趾力が糖尿病の診断マーカーとなる可能性

 糖尿病患者の足趾力は、糖尿病に罹患していない人よりも有意に弱いことがトヨタ自動車健康支援センターウェルポの諏訪 雅貴氏らの研究によって明らかになった。著者らは、「糖尿病の診断マーカーとしては、握力よりも足趾力が適しているだろう」としている。Endocrine Journal誌オンライン版2018年3月28日号に掲載。 以前の研究で、筋力低下は糖尿病の潜在的な予測因子の1つであるということが示唆されている。 今回の研究では、35歳から59歳までの日本人男性1,390例の足趾力と握力の測定を行い、糖尿病有病率との関連を調査した。糖尿病の定義は、空腹時血糖126mg/dL以上、糖化ヘモグロビン6.5%以上、および/または血糖降下薬を使用している場合とした。筋力測定における1標準偏差増加当たりのオッズ比および95%信頼区間は、多重ロジスティック回帰モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・対象のうち、114例が糖尿病と診断された。・糖尿病と診断された群の足趾力は、糖尿病に罹患していない患者の足趾力よりも有意に弱かったが、握力では有意な差は認められなかった。・筋力測定における1標準偏差増加当たりのオッズ比は、足趾力 0.769(95%CI:0.614~0.963、p=0.022)、足趾力/体重 0.696(95%CI:0.545~0.889、p=0.004)、足趾力/BMI 0.690(95%CI:0.539~0.882、p=0.003)であった。握力ではこのような関連は認められなかった。

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不眠症とアルコール依存との関連

 アルコールを“睡眠補助”として使用した際のリスクを評価するため、米国・ウェイン州立大学のTimothy Roehrs氏らは、睡眠前のエタノールの鎮静・催眠効果での耐性の発現、その後のエタノール用量漸増、気分の変化、エタノール“愛好”について評価を行った。Sleep誌オンライン版2018年5月12日号の報告。 対象は、不眠症以外に関しては医学的および精神医学的に健康であり、アルコール依存および薬物乱用歴のない21~55歳の不眠症患者。試験1において、24例に対し睡眠前にエタノールを0.0、0.3、0.6g/kg(各々8例)投与し、夜間睡眠ポリグラフ(NPSG)を8時間収集した。試験2において、エタノール0.45g/kgまたはプラセボによる6日間の前処置を行った後、睡眠前のエタノールまたはプラセボのどちらを選ぶか、7日以上の選択の夜にわたり評価した。 主な結果は以下のとおり。・エタノール0.6g/kg投与は、総睡眠時間および第2夜の第3~4段階の睡眠を増加させたが、これらの効果は第6夜には失われた(p<0.05)。・6日間のエタノールでの前処置は、プラセボでの前処置と比較し、選択の夜におけるエタノール自己投与が多かった(p<0.03)。 著者らは「本研究は、不眠症患者の“睡眠補助”としてのアルコール使用に伴うリスクを明示する最初の研究である。エタノール投与開始の初期には、NPSGの睡眠および鎮静作用の自己報告が改善したが、第6夜には消失した。耐性については、睡眠前のエタノール自己投与の増加と関連が認められた」としている。■関連記事アルコール依存症患者における不眠症に関するメタ解析うつ病とアルコールとの関係:2014年英国調査よりアルコール依存症治療に期待される抗てんかん薬

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糖尿病患者は日常的にしびれを感じている

 2018年5月24日から3日間、都内で第61回日本糖尿病学会年次学術集会「糖尿病におけるサイエンスとアートの探究」が開催された。5月25日のシンポジウム「神経障害の病態と治療―痛みを科学する」の概要を紹介する。半数の糖尿病患者は、外来でしびれや痛みを話さない 糖尿病性神経障害は、早期から発症する重大な合併症であり、なかでも糖尿病性多発神経障害(DPN)は、QOLを著しく低下させ、進行すると生命予後の短縮につながる疾患である。DPNは、罹病期間や血糖コントロールと関連し、5~10年単位で緩徐に進行するが、国際的に統一された診断基準はいまだ確立されていない。わが国では、「糖尿病性神経障害を考える会」の簡易診断基準とDPNの臨床病期分類(I~V期)などが用いられ、日常診療でのスクリーニングが行われている。また、ハンマーの金属部分や竹串の鋭端と鈍端を足に当てて、簡易的に神経(温痛覚)障害の初期症状をチェックする検査ができるという。 厚生労働省の「平成19年国民健康・栄養調査」によると、糖尿病と診断された患者の中で、「神経障害(手足がしびれる、感覚がにぶくなるなど)がある」と答えた人は、11.8%だった。しかし、実際の外来では半分ほどの患者しか神経症状を訴えていない。糖尿病性神経障害は、糖尿病が発覚する前から発症しているケースもあるため、なるべく早期に発見し、適切な治療と良好なコントロールを行う必要がある。医療者が、しびれや痛みを感じている患者の訴えを積極的に拾い上げることが望まれる。HbA1cの下降幅が大きいほど、治療後の神経障害が大きい 出口 尚寿氏(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科糖尿病・内分泌内科学)は、「有痛性糖尿病性神経障害の臨床像」をテーマに発表を行った。 痛みを伴う糖尿病性神経障害は、感覚神経(温痛覚)と自律神経により構成される小径神経の障害(small fiber neuropathy:SFN)であり、DPNのような典型的病型のほか、主にメタボリックシンドロームに起因する耐糖能障害や、急性有痛性神経障害など、多様な病態・病型を含み、脂質異常症や高血圧症など、さまざまな因子の関与が示唆される。また、長期間HbA1cが高値だった患者の治療において、期間あたりのHbA1c下降幅が大きいほど、治療後に生じる神経障害の程度と障害の分布が大きい傾向にあるという。 神経障害による痛みの治療は、「神経障害性疼痛薬物治療ガイドライン」に準じて行うが、病型に応じた疼痛へのアプローチが求められる。第1選択薬(プレガバリン、デュロキセチンなど)を少量で開始し、効果と副作用をみながら漸増するが、急性で激しい疼痛がある病型では、速やかな増量や第2選択薬(トラマドールなど)の追加などが必要となる。出口氏は、「糖尿病患者にとって、疼痛は大きなストレスとなる。初期用量で効かないからと、薬を増量せずに中止するのではなく、副作用がクリアできれば、まず常用量をしっかり使うべき。患者さんの声を聞き、根気強く痛みと向き合いケアすることが大切だ」と強調した。痛みの緩和+運動習慣でQOLの低下を食い止める 住谷 昌彦氏(東京大学医学部附属病院 緩和ケア診療部/麻酔科・痛みセンター)は、「糖尿病関連疼痛の治療学」をテーマに発表を行った。 糖尿病性神経障害は、無髄神経線維(C線維)から有髄神経線維へと障害が進展していくが、簡易診断基準では有髄神経障害の症状しかスクリーニングできない可能性がある。しかし、C線維の障害だけでも疼痛は発症しうる。また、神経障害の初期には神経線維が保たれていても、痛みや知覚過敏などの徴候を示すことがあり、知覚鈍麻だけが糖尿病性神経障害の特徴ではない。神経障害に伴う症状は、寛解と増悪を繰り返して進行することが知られているが、病期が進むまで無症候な例もあるという。神経障害の重症度と疼痛の重症度が必ずしも相関しないため、とくに初期のしびれや違和感の把握が重要で、肥満があると、痛みやしびれが強く出る傾向にある。 神経障害性疼痛を持つ患者は、足の痛みなどが原因で、転倒に対する恐怖が付きまとうが、家にこもりがちになることに対して住谷氏は警鐘を鳴らした。運動量の減少が招く筋肉量の低下は、ロコモティブシンドロームの入り口となる危険性がある。同氏は、「痛みの治療だけではQOLは改善されない。QOLの改善には、適切な薬物治療を行って痛みをコントロールしたうえで、運動・食事療法も並行する必要がある。痛みを緩和して、運動習慣を定着させることが、QOL低下の悪循環を止めるために重要である」と語った。■参考厚生労働省「平成19年国民健康・栄養調査報告 第4部 生活習慣調査の結果」■関連記事神経障害性疼痛の実態をさぐる

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20歳までに多いがんは「白血病」

   2018年5月30日、国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)の「がん対策情報センター(センター長:若尾 文彦)」がん統計・総合解析研究部は、2009~11年に新たにがんと診断された小児およびAYA:Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)世代のがん罹患率を人口集団ベースで集計し、同センターのサイト内に統計解説ページを新規に開設した。 これは、厚生労働科学研究費補助金「都道府県がん登録の全国集計データと診療情報等の併用・突合によるがん統計整備及び活用促進の研究」研究班の「地域がん登録」データを活用し、今回初めて小児からAYA世代のがん罹患率を全国規模の人口集団ベースで小児がん国際分類に従い集計したもので、がん種の順位も合わせての公表となった。1年間にがんと診断される予想症例数は20歳までで約3,000例・小児がん(0~14歳)の罹患率は12.3(人口10万人当たり)で、AYA世代では、15~19歳14.2、20代31.1、30代91.1(人口10万人当たり)だった。・罹患率を総人口に当てはめると、1年間にがんと診断される症例数は、小児(0~14歳)で約2,100例、15~19歳で約900例、20代で約4,200例、30代で約1万6,300例と推計された。*集計データ 2009~11年に精度基準を満たした27府県を使用(人口カバー率36.8%)20歳までで罹患率が高いがん種は白血病 世代別の罹患率が高いがん種の順位は下記のとおり([ ]内は全がんに占める割合)。・0~14歳(小児): 第1位 白血病[38%]、第2位 脳腫瘍[16%]、第3位 リンパ腫[9%]・15~19歳: 第1位 白血病[24%]、第2位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[17%]、第3位 リンパ腫[13%]・20~29歳: 第1位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[16%]、第2位 甲状腺がん[12%]、第3位 白血病[11%]・30~39歳: 第1位 女性乳がん[22%]、第2位 子宮頸がん[13%]、第3位 胚細胞腫瘍・性腺腫瘍[8%]*1 国際小児がん分類 第3版のグループに基づく悪性腫瘍の順位(ただし「その他のがん」は部位で分類)*2 いずれのがん種も悪性腫瘍のみ

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心臓手術中の左心耳閉鎖、脳卒中リスクを減らせるか/JAMA

 心臓手術を受ける患者において、左心耳閉鎖(left atrial appendage occlusion:LAAO)の併施群は非併施群と比較して、その後の脳卒中および全死因死亡リスクが有意に低いことが、米国・メイヨー・クリニックのXiaoxi Yao氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。LAAOは、心臓手術中に行われる可能性があるが、長期的な脳卒中リスクとの関連に関するデータはほとんど存在せず、一方で術後の心房細動(AF)との関連を示唆するエビデンスが示されていた。今回の結果を受けて著者は、「無作為化試験を含む検討を行い、外科的LAAOの役割を明確にする必要がある」と述べている。JAMA誌2018年5月22日号掲載の報告より。後ろ向きコホート研究で、LAAO併施群と非併施群を比較、AF既往有無別評価も 研究グループは、米国大規模データを用いた後ろ向きコホート研究で、心臓手術中に行うLAAOと脳卒中、死亡および術後のAF発症リスクとの関連を評価した。 2009年1月1日~2017年3月30日の間に、冠動脈バイパス術(CABG)または弁手術を受けた、民間保険またはメディケアに加入する18歳以上について、2017年3月31日まで追跡した。 対象患者について1対1の傾向スコアマッチングを用いて76のベースライン特性で均等化し、LAAO併施群と非併施群を比較した。AF既往の有無別の層別化も行った。 主要評価項目は、脳卒中(虚血性脳卒中または、全身性塞栓症など)と全死因死亡とした。副次評価項目は、術後AF(既往のない患者の術後30日以内の発症)、長期のAF関連受診(外来および入院のイベント率)であった。非AF既往患者では有意差はみられず、術後AF増大 対象期間中に心臓手術を受けたのは7万5,782例で、平均年齢は66.0歳(SD 11.2)、女性が2万2,091例(29.2%)、AF既往患者は2万5,721例(33.9%)で、LAAO併施を受けたのは4,374例(5.8%)、平均追跡期間は2.1年(SD 1.9)であった。 傾向スコアをマッチングさせた8,590例において、LAAO併施は、脳卒中リスクの有意な低下(1.14 vs 1.59件/100人年、ハザード比[HR]:0.73[95%信頼区間[CI]:0.56~0.96、p=0.03]、死亡の有意な低下(3.01 vs.4.30、0.71[95%CI:0.60~0.84]、p<0.001)と、それぞれ関連することが示された。 一方で、LAAO併施群はAF関連の外来受診率が有意に高く(11.96 vs.10.26件/人年、絶対差:1.70件/人年[95%CI:1.60~1.80]、率比:1.17[95%CI:1.10~1.24]、p<0.001)、入院率も高かった(0.36 vs.0.32、0.04[0.02~0.06]、1.13[1.05~1.21]、p=0.002)。 AF既往患者(6,438/8,590例[74.9%])における比較(LAAO併施群 vs.非併施群)では、脳卒中リスクは1.11 vs.1.71件/100人年(HR:0.68[95%CI:0.50~0.92]、p=0.01)、全死因死亡リスクは3.22 vs.4.93件/100人年(HR:0.67[95%CI:0.56~0.80]、p<0.001)で、それぞれ有意差がみられた。 一方、AF非既往患者(2,152/8,590例[25.1%])における比較(LAAO併施群 vs.非併施群)では、脳卒中リスクは1.23 vs.1.26件/100人年(HR:0.95[95%CI:0.54~1.68]、p=0.87)、全死因死亡リスクは2.30 vs.2.49件/100人年(HR:0.92[95%CI:0.61~1.37]、p=0.67)で、それぞれ有意差はみられなかった。しかし、術後AFリスクについて、イベント発生率(100人年当たり)は27.7% vs.20.2%でLAAO併施群が有意に多かった(HR:1.46[95%CI:1.22~1.73]、p<0.001)。 AFとLAAOの相互作用の有意性は認められなかった(脳卒中のp=0.29、死亡のp=0.16)。

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肺がん1次治療、PD-L1低発現でもペムブロリズマブ単剤?(KEYNOTE-042)/ASCO2018

 非扁平上皮および扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、ペムブロリズマブ単剤の1次治療を評価する第III相試験KEYNOTE-042試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。 KEYNOTE-042は、局所進行または転移を有するPD-L1陽性のNSCLC患者において、標準治療のプラチナベース化学療法とペムブロリズマブ単剤治療を比較する国際無作為化オープンラベル第III相試験。対象患者:PD-L1発現1%以上の局所進行または転移を有するNSCLC患者(いずれの組織型も含む)試験薬:ペムブロリズマブ3週ごと35サイクル対照薬:カルボプラチン+パクリタキセルまたはペメトレキセド3週ごと6サイクル評価項目:主要評価項目は全生存期間(OS)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)。副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)と奏効率(ORR)(TPS50%以上、20%以上、1%以上で評価)、安全性(TPS1%以上) 主な結果は以下のとおり。・1,274例の患者が、ペムブロリズマブの単剤治療またはプラチナベース化学療法に1:1で無作為に割り付けられた。・2年OS率は、TPS50%以上では、ペムブロリズマブ群44.7%に対して化学療法群30.1%(HR:0.69、p=0.0003)、20%以上では40.5%対29.6%(HR:0.77、p=0.0020)、1%以上では39.3%対28.0%であった(HR:0.81、p=0.0018)。・探索的研究での、TPS1~49%の2年OS率は、ペムブロリズマブ群34.6%に対して化学療法群26.5%であった(HR:0.92)。・2年PFS率はTPS50%以上では、ペムブロリズマブ群37.4%に対して化学療法群27.3(HR:0.81、p=0.017)、20%以上では32.4%対28.8%(HR:094)、1%以上では28.0%対26.6%であった(HR:1.07)。・ORRは、TPS50%以上では、ペムブロリズマブ群39.5%に対して化学療法群32.0%、20%以上では33.4%対28.9%、1%以上では、27.3%対26.5%であった。・治療関連有害事象発現は、ペムブロリズマブ群62.7%に対して化学療法群89.9%、免疫関連有害事象発現は、27.8%対7.2%であった。 ペムブロリズマブ単剤治療群は、PD-L1発現NSCLCの1次治療において、PD-L1の発現の程度にかかわらず、化学療法群に比べOSを有意に改善した。■参考ASCO2018 AbstractKEYNOTE-042試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ペムブロリズマブ、PD-L1発現肺がんの1次治療に単剤でOS改善(KEYNOTE-042)※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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24時間自由行動下血圧は外来血圧よりも優れた予後予測指標である(解説:石川讓治氏)-863

研究の概要 24時間自由行動下血圧が、外来血圧や家庭血圧よりも優れた心血管イベントの予測因子であることが多くのコホート研究で報告されてきたが、本研究は、スペインの実地診療の中で測定された6万3,910名にも及ぶ多数の患者登録データを用いて、24時間自由行動下血圧が外来血圧よりも優れた総死亡や心血管死亡の予測因子であったことを追試した1)。結果の概要 24時間平均収縮期血圧が、1標準偏差(14/10mmHg)増加するごとに、総死亡が56%増加したにもかかわらず、外来収縮期血圧が1標準偏差(19/12mmHg)増加するごとのリスクは2%の増加しか認められなかった。夜間血圧のリスクは1.55倍、昼間の血圧のリスクは1.54倍であり、昼夜のリスクには差が認められなかった。また、24時間平均血圧と外来血圧の予後予測能の関連は、肥満、糖尿病、心血管死亡、降圧治療の有無で層別化しても同様であった。正常血圧(外来血圧<140/90mmHgかつ24時間平均血圧<130/80mmHg)と比較して、仮面高血圧(外来血圧<140/90mmHgかつ24時間平均血圧≧130/80mmHg)は2.83倍リスクが高く、持続性高血圧(1.80倍)や白衣高血圧(外来血圧≧140/90mmHgかつ24時間平均血圧<130/80mmHg)(1.79倍)よりも強い総死亡の予測因子であった。心血管死亡のリスクも総死亡と同様であった。本研究の新規性について 本研究においては、降圧薬の内服のない患者においてのみ定義される白衣高血圧や仮面高血圧と、降圧薬の内服患者において定義される白衣高血圧様の降圧不十分、仮面高血圧様の降圧不十分といった血圧フェノタイプを同時に比較検討したことに新規性があるものと思われる。白衣高血圧や仮面高血圧はPickering TGら2)によって提唱された言葉であるが、本来は持続性高血圧に移行する前段階の血圧パターンであると考えられてきた。その一方で、降圧薬内服下での仮面高血圧様現象は治療によっても完全には降圧できない血圧が残存する難治性高血圧に近い高血圧フェノタイプであると考えられている。そのため医師が外来血圧を十分コントロールしているにもかかわらず仮面高血圧様に不十分な降圧が残存してしまっている患者の方が、医師が十分に外来血圧をコントロールしようとしていない持続性高血圧よりもリスクが高いと考えられていた。しかし、未治療と降圧薬治療中の患者の血圧フェノタイプの違いを混同した報告も多く、また直接これらの血圧フェノタイプの予後予測能の違いを直接比較検討可能なデータはなかった。驚くことに、本研究では、降圧薬を内服してない患者の仮面高血圧が総死亡のリスクが最も高く、持続性高血圧や仮面高血圧様の降圧不十分であった患者よりもリスクが高かった1)。さらには白衣高血圧様の降圧不十分は、正常血圧や良好な降圧コントロールと同程度のリスクであった。注意する点 本研究が従来の研究と異なる点は、持続性高血圧の前段階と考えられていた白衣高血圧や仮面高血圧が、持続性高血圧と同様もしくはそれ以上にリスクが高かったことである。白衣効果は年齢とともに増加し高齢者に多く認められ、仮面効果は肥満者に多く認められる3)。外来血圧と24時間自由行動下血圧の差は、これらの因子に影響を受ける。本研究の対象は日常診療において24時間自由行動下血圧モニタリングが必要と判断された患者であり、医師が白衣効果や仮面効果があることを疑った患者である。そのため、白衣高血圧や仮面高血圧の患者のリスクが地域一般住民よりも高かった可能性がある。治療に応用できるか? 24時間自由行動下血圧は、外来血圧より優れた予後予測因子であり、リスクの層別化には重要である。しかし、24時間自由行動下血圧を指標とした降圧治療が、外来血圧を指標とした降圧治療より優れていることを示した報告は今のところはない。降圧治療については外来血圧を指標に行うことになるが、24時間自由行動下血圧の低下度は、外来血圧の低下度や家庭血圧の低下度よりも小さいことを4)、念頭におく必要がある。

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第4回 育児をする医師は負け組?【宮本研のメディア×ドクターの視座】

第4回 育児をする医師は負け組?ある日の当直中、急性心筋梗塞と判明した外来患者を前に、私は循環器内科のオンコール医師へ急いで電話をかけました。受話器の向こうでは、幼い子供の大きな泣き声が聞こえます。独身の私には事態の深刻さがピンときませんでした。「ああ、分かった、AMIね・・・。今さ、子供を風呂に入れているけど、すぐに行く。○○先生に連絡して、カテの準備を病棟スタッフに頼んで」数十分後、風呂上がりで紅潮した顔の先輩医師が到着すると、長めの髪も乾ききらないまま、心臓カテーテル室へと走って行きました。あれから10年以上が経ち、毎晩、幼い子供たちをお風呂に入れながら、この瞬間にオンコールで呼び出されることが、切実な問題として分かるようになりました。もし妻が不在であったり対応できない時間帯であれば、誰かの助け無しには、夜遅くに子供たちを置いて、病院へ駆けつけることは不可能です。親が慌てて出かける事情が理解できない彼らは大泣きし、相当に厳しい状況となるでしょう。勤務医生活をふり返ると、腎臓内科医が1人体制だった民間病院での7年間は、24時間オンコール体制が毎日続きました。大学や基幹病院よりも呼び出しが少ないとはいえ、朝5時に病棟急変の連絡が入る、深夜1時に緊急透析の判断を問われるといった立場は、精神的に苦しい環境でした。そこに育児が加われば、やっと夜泣きがおさまった子供をオンコールの着信で起こされてしまう。不意の電話は、幼児にとっては恐怖でもあります。「何を軟弱なことを言ってる! それが医者だろう!」という意見もあるかと思いますが、私の父方は100年以上の医師家系で、とくに父が外科医の多忙な日々を送り、オンコールや当直が続き、早々に家庭が崩壊した事実をお伝えしておきます。家族を犠牲にして働くことが、本当に医師の美徳なのか。父親が週末さえもいない中で、母親が「患者さんのために、パパは病院へ行ったんだよ」と言う意味は、高校生になっても理解できませんでした。しかし父と同じく医師になってみると、院内に長時間いる先生が素晴らしい、というデファクト・スタンダード的な見方が、まだあちこちにありました。長時間労働をいとわず、急変時は昼夜を問わずに駆けつけ、床やソファで仮眠を取れば超人的なパフォーマンスを発揮する医師。たびたび身体を壊しつつ、そのような望まれる医師像に挑んできて、「長続きしようがない」というのが私なりの結論です。肉体の老化は年々進み、我が身を満足にメンテナンスできない環境では、医師なりの思考回路も鈍っていく。猛烈なプレッシャーは心身の余裕も破壊します。そして、育児という連続的で多大な負荷は、自宅内での実労働として重くのしかかります。幼い子供は機嫌も体調もグズりも、常に変わり続ける。親の思うとおりにはならないし、真夜中に抱っこしてもずっと泣かれ続ければ、大人の我慢も限界にきてしまう。他人からは見えない修羅場を毎日抱えながら、ハードな医師業も年々レベルアップしろというのは、結構な無茶ぶりでしょう。育児をしている医師、とくに女性は、フルタイム勤務を続けにくい。これは他のビジネスでも同様ですが、最近は多様な支援や代替策を探すことが可能となりつつあります。人員の手当や勤務環境の調整など、医師業よりはかなり柔軟に対応できているのではないでしょうか。育児中の女性社員に優秀なパフォーマンスを発揮してもらうための経営施策は、ハードワーク男性を主戦力としてきた医師業界と比べて、明らかに進歩しているように感じます。けれども、働き方改革における先送りのように、公的な任務を背負う医師業界では、個人の状況は後回しにして、社会的な貢献度合いが優先されやすい。メディア業界で白衣を着用せずに働いてみると、世間一般の理解も医療界としての内部対策も、ともに“不足しっぱなし”であると痛感します。女性に対する「こんなときに妊娠なんて」という言葉は、医師業界でも蔓延するハラスメント行為ですが、きっと今日もどこかで実際に起こっているはず。新卒医師の3分の1以上が女性である時代にもかかわらず、毎日の育児に対する支援や理解、さらに先達たちの発言は不十分です。「忙しくて育児なんて全然しなかったけど、子供たちは奥さんが頑張って育ててくれた」という丸投げ談は、この発想を若い医師へ当てはめること自体、現代のハラスメントになりかねません。ましてや、育児をしている医師はキャリアの負け組だ、というひそかな認識も、医師の働き方が改善しない重大な要因ではないでしょうか。育児はもうひとつの無償労働である。だが、将来の日本を支える人材を懸命に育てる重要な責務でもある。―「オートマチックな育児などない」という声をもっと大きく取り上げ、医師業界に横たわる育児軽視を短期に好転させていくことが、今こそ重要です。

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ASCO2018 会員レポート

2018年6月1日から5日まで、米国シカゴにて2018ASCO Annual Meetingが開催される。この重要な会議における、実用的な情報をニュートラルに提供するため、ケアネットでは会員現役ドクターによる聴講レポートを企画。現在そして今後のがんの診療トレンドを順次紹介していく。現地シカゴからオンサイトレビューレポート一覧レポーター

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何kg増加から高リスク? 体重過多や肥満の妊婦

 体重過多の妊婦では出産までの体重増加を11.5kgまでにおさめ、肥満の妊婦では出産時に体重を減少させることが望ましいことが、横浜市立大学附属市民総合医療センターの廣岡 潤子氏らによる研究で明らかになった。Endocrine Journal誌2018年5月28日号に掲載。 妊婦の肥満状態によって、出産時までの望ましい体重増加量は変わると考えられている。著者らは、単胎妊娠の日本人妊婦6,781例をBMIにより体重過多(BMI 25kg/m2以上30kg/m2未満、4,941例)と肥満(BMI 30kg/m2以上、1,840例)に分類し、妊娠前から出産時までの最適な体重増加量を決定するために調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・体重過多群における妊娠中の体重増加は、新生児の出生体重と関連していた。・体重過多群の体重減少(体重増加0kg未満)および体重微増(体重増加0kg以上7kg未満)サブグループでは、在胎不当過小および低出生体重の有意な増加が認められた。リスクは体重増加量0kgで最も低く、11.5kgから急激に上昇した。・肥満群では、体重増加とともに在胎不当過大が増加したが、在胎不当過小と妊娠中の体重増加量との関連は認められなかった。・以上のことから、妊娠中の最適な体重増加量は体重過多群で0~11.5kg、肥満群では体重を減少させる必要があることが示された。

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自閉スペクトラム症におけるうつ病や自殺念慮のリスクと保護因子

 自閉スペクトラム症(ASD)患者では、自殺願望や自殺行為のリスクが有意に増加している。ASD患者の社会的困難さは、しばしば社会的隔離につながり、そのことでうつ病リスクを高める可能性があると考えられる。オーストラリア・ラ・トローブ大学のDarren Hedley氏らは、ASD患者の孤独感や社会的支援が、うつ病や自殺念慮に関連する潜在的なリスクおよび保護因子に及ぼす影響について検討を行った。Depression and anxiety誌オンライン版2018年4月16日号の報告。自閉症患者の36%は最近の自殺念慮を報告 対象は、全国調査に参加した14~80歳のASD患者185例(女性:92例)。 主な結果は以下のとおり。・対象の自閉症患者の49%にうつ病が認められ、36%は最近の自殺念慮を報告した。・対象の自閉症患者の約半数を占める女性において、男性よりもうつ病スコアが高かったが、自殺念慮に関しては、男女間で差は認められなかった。・回帰分析では、孤独感、社会的支援の満足度、ASD特性がうつ病スコアの予測因子であった。・社会的支援に対する満足度は、自殺念慮の予測因子とみられたが、うつ病の影響を考慮した後、有意ではなくなった。・パス解析では、ASD特性の重症度がうつ病と独立して関連していることが示唆された。また、うつ病に対する社会的支援数の効果は、孤独感と社会的支援の満足度によりもたらされ、自殺念慮に対する孤独感と社会的支援の満足度は、うつ病によりもたらされることが示唆された。・関連パターンは、男女ともに同様であった。 著者らは「本研究から、ASD患者における孤独感や社会的支援は、うつ病や自殺念慮の保護因子、リスク因子とするモデルを支持する結果が得られた」としている。

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FAME2試験、5年追跡調査の結果は?/NEJM

 安定冠動脈疾患患者において、冠血流予備量比(fractional flow reserve:FFR)ガイドによるPCI戦略は薬物療法単独と比較し、5年間の複合エンドポイント(死亡、心筋梗塞、緊急血行再建術)の発生を有意に低下させた。ベルギー・アールスト心血管センターのPanagiotis Xaplanteris氏らが、無作為化非盲検試験FAME 2試験の5年追跡結果を報告した。血行動態的に著しい狭窄のない患者は、薬物療法のみでも長期転帰は良好であったという。NEJM誌オンライン版2018年5月22日号掲載の報告。FFR≦0.80の安定冠動脈疾患患者約900例を対象に追跡試験 研究グループは、2010年5月15日~2012年1月15日に、欧州および北米の28施設において、冠動脈造影で50%以上の狭窄を認めた安定冠動脈疾患患者1,220例を登録した。すべての狭窄病変についてFFRを測定し、FFR≦0.80の患者888例を、PCI+薬物療法群と薬物療法単独群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、死亡、心筋梗塞および緊急血行再建術の複合エンドポイントであった。複合エンドポイントの発生:PCI+薬物療法群13.9%、薬物療法単独群27.0% 5年時点の複合エンドポイントの発生率は、PCI+薬物療法群が薬物療法単独群より有意に低かった(13.9% vs.27.0%、ハザード比[HR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.34~0.63、p<0.001)。この差は、緊急血行再建術によるものであった(6.3% vs21.1%、HR:0.27、95%CI:0.18~0.41)。死亡率はそれぞれ5.1%および5.2%(HR:0.98、95%CI:0.55~1.75)、心筋梗塞は8.1%、12.0%で(HR:0.66、95%CI:0.43~1.00)、両群間に有意差はなかった。 なお、複合エンドポイントの発生率はPCI+薬物療法群と登録コホート群とで差はなかった(それぞれ13.9%および15.7%、HR:0.88、95%CI:0.55~1.39)。また、CCS分類II~IVの狭心症の患者の割合は、3年時点ではPCI+薬物療法群が薬物療法単独群より有意に低かったが、5年時点ではPCI+薬物療法群が低かったものの有意差はみられなかった。

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外来でのポイントオブケア、慢性心不全の診断精度は?/BMJ

 英国・オックスフォード大学のKathryn S. Taylor氏らは、外来でのポイントオブケアによるナトリウム利尿ペプチド(NP)検査の慢性心不全の診断精度について、系統的レビューとメタ解析による評価を行った。その結果、プライマリケアにおいて感度0.99、特異度0.60であることが示されたが、「現状ではプライマリケア試験および検査値データが不十分で、方法論的な限界もある。大規模なプライマリケア試験を行い、ポイントオブケアNP検査の役割を評価するとともに、疑い例を含む慢性心不全患者のケアを改善するための適切な閾値を明らかにする必要がある」という。BMJ誌2018年5月21日号掲載の報告。系統的レビューとメタ解析で、BNPまたはNT-proBNP診断精度を評価 研究グループは、2017年3月31日時点でOvid MEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cochrane Database of Systematic Reviewsなどのデータソースで、ポイントオブケアNP検査を評価した試験を検索した。 適格試験の条件は、ヒトにおいて行われた試験で、NP検査(B型ナトリウム利尿ペプチド[BNP]検査またはN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド[NT-proBNP])と、あらゆる至適参照標準(心エコー検査、臨床診察、または両者を合わせたものを含む)を比較していたものとした。報告データが、2×2表の作成に不十分なものは除外した。論文の言語については制限しなかった。BNP(閾値100pg/mL):感度0.95、NT-proBNP(閾値135pg/mL):感度0.99 39試験・42報が条件を満たし、37試験・40報が解析に包含された。37試験のうち、30試験がBNPポイントオブケアを評価したもので、7試験がNT-proBNPポイントオブケアを評価したものであった。 外来設定で行われた試験は15件で、慢性心不全の有病率が低い集団で設定されたものだった。プライマリケアで行われた試験は5件だった。 Triage測定装置を用いてBNP値を測定(閾値>100pg/mL)したポイントオブケアの感度は概して高く、100pg/mLでの感度は0.95(95%信頼区間[CI]:0.90~0.98)であった。同閾値<100pg/mLでの感度は0.46~0.97、特異度は0.31~0.98であった。 プライマリケア試験におけるNT-proBNP検査の結果は、閾値135pg/mLで、感度0.99(0.57~1.00)、特異度0.60(0.44~0.74)であった。ポイントオブケアBNPとNT-proBNPの間に統計的な診断精度の差はみられなかった。

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Stage III 肺がん、化学放射線療法+免疫療法が期待される理由

 2018年5月25日、第11回アストラゼネカ・オンコロジーサイエンス・メディアセミナー「肺がんの早期治療における免疫治療への期待」が開催された。山本 信之氏(和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科 教授)、髙山 浩一氏(京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 教授)が登壇し、Stage III切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)治療における課題と免疫療法による可能性、およびこれまでほとんど明らかにされてこなかった、Stage III肺がん患者の心理的負担感をテーマに講演した。化学放射線療法と免疫療法の併用による可能性 はじめに山本氏は、NSCLC患者の約2割を占めるStage IIIの患者に対する治療では、根治を目指し、化学療法と根治的胸部放射線療法の併用が標準治療として推奨されていることを説明。第2世代レジメン(MVP)から、第3世代レジメン(カルボプラチン+パクリタキセル、シスプラチン+ドセタキセル等)へと新しい抗がん剤が登場しているものの、放射線と併用したときの生存期間延長という意味では、約20年間ほぼ治療の進歩がないことを指摘した。 一方、標準治療が化学療法のみとなるStage IVでは、分子標的治療薬と免疫チェックポイント阻害薬による治療の進歩が著しい。このうち分子標的治療薬については、「放射線との併用でベネフィットがある可能性はゼロではないが、薬剤性肺炎のリスクがあることから、大規模な臨床試験を実施してその効果を確かめることは難しい」と山本氏は語った。 そこで期待されるのが、免疫チェックポイント阻害薬だ。山本氏は、Stage IV肺がん患者対象の複数の試験で、腫瘍のPD-L1発現率が高いほど免疫チェックポイント阻害薬の奏効率が高いと確認されていること(KEYNOTE-0011)、CheckMate017/0572))、マウスによる実験段階ではあるが、放射線治療によりPD-L1発現が高まり、抗PD-L1抗体と放射線療法を併用すると、各単独療法よりも生存期間が延長すると示唆されていること3)から、「放射線療法が免疫療法の効果を高める可能性がある」と話した。 続いて山本氏は、放射線療法と免疫療法の併用により、放射線照射部位のみでなく、遠方の転移巣においても抗腫瘍免疫反応が活性化される“アブスコパル効果”について言及。悪性黒色腫に対する試験では、イピリムマブ+放射線療法によるアブスコパル効果が確認され、放射線を照射していない部位でも腫瘍縮小効果が確認されている4)という。免疫療法そのものの効果も、早期でより高い? 「腫瘍量が少ないほど免疫療法による治療効果が高いと示唆されていることも5)、Stage IIIでの免疫療法に期待ができる理由の1つ」と山本氏。より早期でより腫瘍量の少ない、手術適応の肺がん患者に対し、術前に免疫チェックポイント阻害薬を投与した結果、ほぼ全例で腫瘍縮小効果が確認されたデータ6)を紹介し、「早期の腫瘍量の少ない病変や微小転移に対し、免疫療法の効果はStage IVよりもさらに高いのではないかと期待される」と話した。心理的な不安感、進行期よりもStage IIIの患者でより強い傾向 続いて髙山氏は、インターネットによる患者調査の結果7)を基に、Stage III肺がん患者における心理的負担感について講演した。「進行期であるStage IVの患者さん対象の調査は行われてきたが、Stage IIIの患者さんの心理的負担感についてはほとんどわかっていなかった」と髙山氏。本調査では、心理的ストレスを数値化するための尺度として、HADS質問票を使用。この質問票は、不安7項目、抑うつ7項目の計14項目からなり、それぞれの状態を点数化して評価する。 調査の結果、化学放射線療法を受けた肺がん患者は、薬物療法を受けた肺がん患者と比較してHADSスコアが高くなる傾向がみられ、特に不安の度合いが高いことが確認された。なかでも、“だんだんと不安が大きくなっていくように感じた”という項目で化学放射線療法を受けた患者の負担感が高かったことに髙山氏は着目。「分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬が使われるStage IVよりも、従来の抗がん剤が使われるStage IIIの治療でより副作用による負担が大きい場合があること、また放射線療法後半における、食事摂取への影響などが背景にあるのではないか」と推察した。 さらに、「Stage IIIでは、初回治療後に無治療で経過観察をする期間が続く。いつ再発するかという不安を抱えながら、“何もしない”ことは大変なストレスだろう」と話し、「免疫療法を含め、このタイミングで何らかの治療の選択肢が生まれれば、心理面でも大きなプラスなのではないか。そしてもちろん、生存期間延長につながる治療法の登場が、病気と治療に直面する患者さんたちにとって、何よりの励みになると期待している」と結んだ。■参考1)Garon EB, et al. N Engl J Med.2015;372;2018-2028.2)Felip E, et al. ESMO 2017.3)Dovedi SJ, et al. Cancer Res.2014;74:5458-5468.4)Postow MA, et al. N Engl J Med.2012;366;925-931.5)Huang AC, et al. Nature.2017;545;60-65.6)Forde PM, et al. N Engl J Med. 2018;378;1976-1986.7)アストラゼネカ株式会社プレスリリース

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