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22021.

肺血栓塞栓症における診断基準導入の意義(解説:今井靖氏)-827

 肺血栓塞栓症が疑わしい場合、d-dimerなどの血液検査に加え、本邦ではCT検査で肺血管から下肢静脈までをスキャンする肺静脈血栓症・深部静脈血栓症スクリーニングが普及しているが、一方で、本来不要な検査の実施が少なからず行われている実情がある。そのような状況において本論文については一読の価値があると思われる。今回取り上げる論文においては、低リスクの救急部門受診患者における肺血栓塞栓症の除外基準を導入することで血栓塞栓症イベントが抑制されるか否かについて検討した、PROPER研究の報告である。 肺血栓塞栓症を除外するための基準(PERC:pulmonary embolism rule-out criteria)、これは8つの項目(酸素飽和度94%以下、心拍数100/分以上、年齢50歳以上、片側の下腿浮腫、血痰、最近の外傷または手術歴、過去の肺血栓塞栓症または深部静脈血栓症の既往、エストロゲン補充療法の有無)からなるが、その安全性についてランダム化比較試験での検討が今まで施行されていなかった。この研究ではPERC基準を用いて肺血栓塞栓症を除外することの有用性を前向きに検討するものであり、PERC基準で該当項目がなければそれ以上のwork-upは施行せず、1つでも該当項目があればd-dimer、CTアンギオグラフィ、血流シンチグラムといった検査を施行するというものであり、対照群は初めからwork-upするということでの比較検討がなされた。 主要エンドポイントは初期診断がなされず、3ヵ月の追跡期間の間の血栓塞栓症発症とし、副次的エンドポイントとしてCTアンギオグラフィ施行率、救急部門の滞在期間の中央値、入院率とされた。平均年齢44歳、51%が女性という背景の1,916例について、PERCガイダンス群962例、対照群954例が割り付けられた。1,749例が試験を完遂し、初期段階ではPERC群で14例1.5%、対照群で26例2.7%、p=0.052であった。経過観察後の血栓塞栓症はPERC群で1例、対照群で0例であった。CTアンギオグラフィ施行率はPERC群で13%、対照群で23%と統計的有意差をもってPERC群で少なかった(p<0.001)。PERC群において救急部門滞在時間が短く(中央値:4時間36分vs.5時間14分)、かつ入院率が低かった(13% vs.16%)。肺血栓塞栓症が疑われるが非常に低リスクの患者においては、3ヵ月を超えてフォローしたところPERCガイド治療は従来の治療法に比較して血栓塞栓症の発症において非劣性を示し、PERC基準をガイドとすることの安全性を支持する結果となった。 PERC基準は、過去に欧州でその有用性が検証された試験があり、基準陰性にもかかわらず肺血栓塞栓症発症が思いのほか多かったことがあったとされるが、少なくとも今回の検討により非常にリスクが少ない集団においてPERC基準で該当項目の有無を評価することの安全面が確認されたこともあり、日常診療における意思決定の一助になるものと思われる。その経済効果などについての検討を含め、今後のさらなる検討が期待される。

22022.

不動産は資産の王様【医師のためのお金の話】第6回

不動産は資産の王様こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回までは、忙しい医師であっても実践できる株式投資方法についてお話ししました。「投資=株式などの金融資産投資」と思っている方が多いと思います。しかし、経済的に自由な状況に到達するためには、避けて通れないものがあります。そう、それは「不動産」です。不動産は資産の王様昔から不動産は、資産の「王様」として君臨しています。世界的に有名な不動産投資家であるドルフ・デ・ルース氏の著書に、『世界の不動産投資王が明かす お金持ちになれる「超」不動産投資のすすめ』( 東洋経済新報社)があります。ドルフ・デ・ルース氏はこの書籍の中で、「日本を含めた世界中の富裕層で、不動産と関わりのない人はほとんどいない」と述べています。彼自身が独学で富裕層研究を行った結果、次のような結論に達しました。何らかの方法で富裕層に到達した後、資産の保全のために不動産を活用している不動産経営(投資)を行い、財を築いて富裕層に到達したこのことに関しては、洋の東西や時代を問わず普遍の事実のようです。まさに、不動産は資産の「王様」なのです。不動産投資のメリット不動産を所有することで得られる賃料収入は安定的です。毎月決まった賃料が入ってくるので、継続的に収入を得ることができます。このように、一度顧客が付くと継続的に収入を確保できる形態を、「ストック型ビジネス」といいます。その代表例として、電力・ガス事業、鉄道事業、通信事業、医療事業が挙げられます。そして、不動産賃貸業も典型的なストック型ビジネスです。一方、その都度の取引で収入を得ている形態を、「フロー型ビジネス」といいます。フロー型ビジネスのフロー(flow)は流れという意味です。フロー型ビジネスの代表例としては、居酒屋やレストランなどの飲食店、コンビニエンスストアなどの小売店が挙げられます。フロー型ビジネスは各顧客との取引が一度きりであるため、顧客から継続的な収益を得ることができません。収入が安定しにくいのがフロー型ビジネスの特徴です。ビジネスモデルとしての安定度は、ストック型ビジネス>フロー型ビジネスとなります。不動産投資のメリットはたくさんありますが、一度賃借人を確保してしまえば、何もしなくても毎月のように賃料収入があることが最大のメリットです。また、不動産は時価で売却することも可能です。そういう意味では、不動産はお金が実物資産に変化したものと考えることも可能です。さらに、不動産を売却しなくても、不動産を担保にして銀行から融資を受けることもできます。まるで不動産は銀行のATMのようですね。このような理由から、不動産は資産形成を行ううえで必要不可欠な存在といえます。不動産投資の注意点一般的に不動産は高額な商品です。株式や仮想通貨のように、数万円ほどのお小遣いを使って投資する、といった芸当はできません。このため、「投資」といえども物件の目利き能力や不動産の運営能力を習得する必要があります。医師の場合は高属性を利用できるため、その気になればいきなり1億円を超えるような収益1棟マンションを購入できることもあります。しかし、ほぼ満額に近い金額を銀行融資で賄う場合には、うまく運営しないと破綻してしまう危険性が高まります。このため、事前に不動産投資手法を勉強することが必須といえるでしょう。

22023.

男女における握力とうつ病との関連

 筋力は、高齢者のメンタルヘルスにおける、修正可能な保護的要因である。性差のエビデンスにおいて、メンタルヘルスとその関連は限られている。アイルランド・リムリック大学のCillian P. McDowell氏らは、握力とうつ症状やうつ状態との横断的および将来的な関連について、性差の評価を行った。Experimental gerontology誌オンライン版2018年2月14日号の報告。 対象は、50歳以上の一般成人4,505例(女性:56.5%)。筋力の尺度として、ベースライン時に、手持ち式の握力計を用いて利き手の握力(kg)を測定した。対象者は、握力別に三分位に振り分けられた。ベースライン時と2年後のうつ症状は、疫学研究用うつ病尺度(CES-D:Center for Epidemiological Studies Depression Scale)で評価し、16点以上をうつ病例とした。 主な結果は以下のとおり。・うつ症状は、ベースライン時では女性において有意に高かった(p<0.001)。・将来モデルは、年齢、性別、腹囲、社会階級、喫煙、健康状態で調整した。・男性におけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で32.9%減少し(p=0.21)、上位で9.9%減少したが(p=0.74)、それぞれ有意な関連ではなかった。・女性におけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で28.5%減少し(p=0.13)、有意な差は認められなかったが、上位では43.4%の有意な減少が認められた(p=0.01)。・全サンプルにおけるうつ病発症オッズは、三分位の中位で31.5%減少し(p=0.04)、上位で34.1%減少しており(p=0.02)、それぞれ有意な関連が認められた。・性別と握力の相互の影響は、統計学的に有意ではなかった(p=0.25)。 著者らは「高齢者において、握力とうつ病との逆相関が認められた。この関連は、男性よりも女性において強かった」としている。■関連記事少し歩くだけでもうつ病は予防できるうつ病患者への運動介入、脱落させないコツは高齢者うつ病患者への運動療法は有効

22024.

加齢黄斑変性の治療効果、AIで予測可能か

 ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのMarkus Rohm氏らは、加齢黄斑変性患者の治療後の視力について、機械学習を用いた予測が可能かどうか、データベース研究により検討した。著者は、「治療3ヵ月後の視力については実測値に匹敵する結果を予測でき、12ヵ月後の視力についても、その予測値が硝子体内治療の継続に対する患者のアドヒアランスを高めるのに役立つのではないか」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2018年2月14日号掲載の報告。 研究グループは、滲出型加齢黄斑変性で抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬(3種)による治療を受けた患者を対象に、初回投与後3ヵ月および12ヵ月時の視力について、機械学習を用いた予測を目的にデータベース研究を行った。 視力の予測には、5つの異なる機械学習アルゴリズム(AdaBoost.R2、Gradient Boosting、Random Forests、Extremely Randomized Trees、Lasso)を使用。臨床データは、電子カルテ(視力などの所見41項目)およびOCT測定所見(中心網膜厚など124項目)を含むデータウェアハウス(DW)から得た。患者の視力は、実測値を除外してから機械学習で予測され、その予測値をDWに記録された実測値と比較した。 主要評価項目は、3ヵ月時および12ヵ月時の視力予測値と実測値の差(平均絶対誤差[MAE]および二乗平均平方根誤差[RMSE])であった。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月予測は653例738眼(女性379例、平均年齢74.1歳、初回投与前の視力0.54±0.39 logMAR)を対象とした。・このうち12ヵ月予測に関する十分な追跡データが得られたのは、456例508眼(女性270例、平均年齢74.2歳、初回投与前の視力0.56±0.42 logMAR)であった。・予測値と実測値の差は、3ヵ月時に関しては、MAE 0.11 logMAR(5.5文字)/RMSE 0.14(7文字)からMAE 0.18 logMAR(9文字)/RMSE 0.2 logMAR(10文字)の範囲であった。・同様に12ヵ月時に関しては、MAE 0.16 logMAR(8文字)/RMSE 0.2 logMAR(10文字)からMAE 0.22 logMAR(11文字)/RMSE 0.26 logMAR(13文字)の範囲であった。・最も性能が良好なアルゴリズムは、Lassoプロトコールであった。

22025.

降圧治療、自己モニタリングに効果はあるか?/Lancet

 血圧コントロールが不十分な高血圧患者における降圧薬の用量調整法として、血圧の自己モニタリングは、遠隔モニタリング併用の有無にかかわらず、診察室での用量調整に比べ、1年後の収縮期血圧を有意に低下させることが、英国・オックスフォード大学のRichard J. McManus氏らが行ったTASMINH4試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年2月27日号に掲載された。自己モニタリングによる降圧薬の用量調整に関しては、相反する試験結果が報告されており、遠隔モニタリングの正確な位置付けは、明らかにされていないという。1年後の収縮期血圧を3群で比較 TASMINH4は、降圧薬の用量調整における、血圧の自己モニタリングおよび自己モニタリング+遠隔モニタリングの効果を、通常治療と比較する非盲検無作為化対照比較試験(英国国立衛生研究所[NIHR]などの助成による)。 年齢35歳以上、3剤以内の降圧薬治療を行っても診察室血圧が140/90mmHg以上の高血圧患者が、血圧の自己モニタリング、自己モニタリング+遠隔モニタリング(遠隔モニタリング群)、通常治療(診察室での医師による用量調整)の3つの群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。参加者と担当医には、割り付け情報が知らされた。 主要アウトカムは、12ヵ月後の受診時の収縮期血圧であった。 英国の142の一般医(GP)施設に1,182例が登録され、1,173例が割り付けの対象となった。ベースラインの平均年齢は66.9歳(SD 9.4)、半数強が男性で、平均収縮期血圧は153.1/85.5(SD 14.0/10.3)mmHg、高血圧診断からの平均経過期間は10.2年(SD 8.4)であった。プライマリケアへの導入が推奨される可能性 解析には、1,003例(85%、自己モニタリング群328例、遠隔モニタリング群327例、通常治療群348例)が含まれた。 12ヵ月時の平均収縮期血圧は、自己モニタリング群が137.0(SD 16.7)mmHg、遠隔モニタリング群は136.0(16.1)mmHgと、通常治療群の140.4(16.5)mmHgに比べいずれも有意に改善し、通常治療との補正平均差(AMD)は、自己モニタリング群が-3.5mmHg(95%信頼区間[CI]:-5.8~-1.2、p=0.0029)、遠隔モニタリング群は-4.7mmHg(-7.0~-2.4、p<0.0001)であった。 自己モニタリング群と遠隔モニタリング群との間には、有意な差を認めなかった(AMD:-1.2mmHg、95%CI:-3.5~1.2、p=0.3219)。多重代入を含む感度分析でも、同様の結果が得られた。 6ヵ月時の平均収縮期血圧は、自己モニタリング群が140.4(SD 15.7)mmHgと、通常治療群の142.5(15.4)mmHgとの間に差はなかった(AMD:-2.1、95%CI:-4.3~0.1、p=0.0584)が、遠隔モニタリング群は139.0(16.8)mmHgであり、通常治療群に比べ有意な改善が認められた(-3.7、-5.9~-1.5、p=0.0012)。 有害事象の発生状況は3群で類似しており、不安感にも差を認めなかった。心血管イベント(初発心房細動、狭心症、心筋梗塞、冠動脈バイパス術/血管形成術、脳卒中、末梢血管疾患、心不全)は、自己モニタリング群が12例、遠隔モニタリング群が11例、通常治療群は9例にみられた。 著者は、「自己モニタリングは、それを望むすべての高血圧患者の血圧管理法として、プライマリケアにおいて推奨可能であり、理想的には、遠隔モニタリングシステムを組み込んだ有用性の高い家庭血圧計の供給が求められる」としている。

22026.

健康状態に関係なく余暇身体活動で死亡率低下~アジア50万人調査

 余暇身体活動(LTPA)と死亡リスクの関連を評価する研究は、ほとんど欧州系の健康人で実施されている。今回、米国・Vanderbilt-Ingram Cancer CenterのYing Liu氏らが東アジアの健康人および慢性疾患患者のコホートで調査を実施し、アジアの中高齢者において、定期的なLTPAが健康状態にかかわらず死亡率低下と関連していることが示唆された。International journal of epidemiology誌オンライン版2018年2月27日号に掲載。 本研究では、アジアコホートコンソーシアムに含まれる9件の前向きコホートに参加した東アジアの46万7,729人でプール解析を行い、LTPAと全死因および原因別死亡率の関連を調べた。年齢、性別、教育、婚姻状況、喫煙状況の調整後、Cox比例ハザード回帰を用いてLTPAに関連するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間の13.6年に、6万5,858人の死亡が確認された。・LTPAが1時間/週未満の人と比較したところ、LTPA量と全死因および原因別死亡率との間に逆相関が認められた(傾向のp<0.001)。・逆相関は、心血管疾患による死亡、がん以外による死亡で強かった。・LTPAと全死因死亡率との逆相関については、重度でしばしば生命を脅かす疾患である、がん、脳卒中、冠動脈疾患の患者(低LTPAに対する高LTPAのHR:0.81、95%CI:0.73~0.89)と、糖尿病や高血圧などのその他慢性疾患患者(低LTPAに対する高LTPAのHR:0.86、95%CI:0.80~0.93)で認められた。・性別、BMI、喫煙状況による明らかな修飾効果は確認されなかった。

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ニボルマブの480mg4週ごと投与、FDAが承認

 米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2018年3月6日、米国食品医薬品局(FDA)が、480mg固定用量4週間ごと投与の追加適応を含む、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の生物学的製剤承認一部変更申請を承認したと発表。この承認により、医療者は、新バイアルによる240mgの2週間ごと投与と、480mgの4週ごと投与を、患者に合わせて選べるようになる。また、すべてのニボルマブ適応疾患で、従来より短い30分投与も承認された。 480mg固定用量4週ごと投与は、下記の適応症に対して承認されている。・転移性メラノーマ(単独投与またはイピリムマブとの併用療法後の単独投与)・既治療の転移性非小細胞肺がん・抗血管新生療法後の進行腎細胞がん・プラチナベース化学療法中または後に進行した局所進行または転移性尿路上皮がん・自家造血幹細胞移植(HSCT)とブレンツキシマブ ベドチン、または自家HSCT含む3ライン以上の全身療法の後に再発/進行した古典的ホジキンリンパ腫・プラチナベース治療後の再発/転移性の頭頸部扁平上皮がん・ソラフェニブ治療後の肝細胞がん・完全切除されたメラノーマの術後アジュバント療法■参考ブリストル・マイヤーズ スクイブ社プレスリリース

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複雑性尿路感染症に対するメロペネム/vaborbactamの効果(解説:吉田 敦 氏)-826

 多剤耐性グラム陰性桿菌、とくにカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の増加と蔓延は、抗菌薬療法の限界を示唆する耐性菌、いわゆる「悪魔の耐性菌」として今や人類の脅威となっている。現在使用できる抗菌薬が限られている中で、セリン型のクラスAおよびクラスC βラクタマーゼを阻害するボロン酸であるvaborbactamとカルバペネム(メロペネム)を配合したメロペネム/vaborbactam(以下MEPM/VBT)が登場し、体内動態に関する第I相試験が行われていたが、今回第III相試験の結果が発表された。 本試験は国際多施設参加ランダム化比較試験であり、18歳以上の複雑性尿路感染症あるいは腎盂腎炎の症例を無作為にMEPM/VBT投与群(2g/2gを3時間かけて投与、1日3回)とピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ)投与群(4g/0.5gを30分で投与、1日3回)に割り付けた。15回以上投与した後、あらかじめ定めた臨床的な改善基準を満たした場合、経口のレボフロキサシンに変更可能とし、治療期間は計10日間とした。primary end pointにはFDA基準(臨床的改善・治癒と、静注薬終了時の尿細菌数が104 CFU/mL未満)とEMA(欧州医薬品庁)基準(治療終了後に治癒確認を目的に診察した際の尿細菌数が103 CFU/mL未満)を用いた。 最終的に17ヵ国550例を対象とすることができ、272例がMEPM/VBT投与群に、273例がPIPC/TAZ投与群に割り付けられた。このうち腎盂腎炎は59%、尿中菌数が105 CFU/mL以上であったのは69%であり、原因微生物のうち65%は大腸菌、15%はK. pneumoniaeであった。なお大腸菌のうちPIPC/TAZ耐性率は5%、MEPM耐性菌はなく、K. pneumoniaeのうちPIPC/TAZ耐性率は42%、MEPM耐性率は5%であった。Primary end pointを達成した成功率は、FDA基準ではMEPM/VBT群98.4%、PIPC/TAZ群94.0%であり、MEPM/VBTはPIPC/TAZに非劣性であるばかりか、それよりも優れていた。EMA基準では、MEPM/VBT群66.7%、PIPC/TAZ群55.7%であり、これでも非劣性が判明した。有害事象はMEPM/VBT群39.0%、PIPC/TAZ群35.5%で報告されたが、抗菌薬に関連したものはそれぞれ15.1%、12.8%であり、重度のものは2.6%、4.8%であった。MEPM/VBT群で多かったのは頭痛や下痢、ALT上昇などであったが、副作用のために投与を中止したのは2.6%とPIPC/TAZ群の5.1%より少なかった。 今回の報告は、βラクタマーゼ・カルバペネム配合剤のヒト感染症例でのランダム化比較試験としては、初めてのものである。この結果を受けて、FDAは2017年8月に成人の複雑性尿路感染症を対象に本剤を認可した(Vabomere)。ただし本試験にはいくつかの限界が存在する。SIRSの基準を満足している割合が1/3以下と高くないこと、原因微生物がメロペネム耐性菌である割合が低く(PIPC/TAZ耐性率は高い)、そもそもカルバペネム耐性菌を主対象とした研究でないことである。そしてこれまでの検討で、MEPM/VBTはCPEのうちKlebsiella pneumoniae Carbapenemase(KPC)には有効であるが、クラスBのメタロβラクタマーゼ産生菌(代表的なのはNDM)にはあまり有効でないことが指摘されている1)。カルバペネム耐性腸内細菌科細菌による複数の感染症に対し、本剤の有効性を調べた続発試験(TANGO II)が行われたとも聞く。KPCが多い地域と、メタロβラクタマーゼ産生菌が多い本邦やアジアでは、本剤が適応となる状況は異なると思われる。メタロβラクタマーゼ産生菌に使用できる選択肢が増えることが、さらに望まれる状況にある。

22029.

ミトコンドリア病〔mitochondrial disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義ミトコンドリア病は、ヒトのエネルギー代謝の中核として働く細胞内小器官ミトコンドリアの機能不全により、十分なATPを生成できずに種々の症状を呈する症候群の総称である。ミトコンドリアの機能不全を来す病因として、電子伝達系酵素、それを修飾する核遺伝子群、ピルビン酸代謝、TCAサイクル関連代謝、脂肪酸代謝、核酸代謝、コエンザイムQ10代謝、ATP転送系、フリーラジカルのスカベンジャー機構、栄養不良による補酵素の欠乏、薬物・毒物による中毒などが挙げられる。■ 疫学ミトコンドリア病の有病率は、小児においては10万人当たり5~15人、成人ではミトコンドリアDNA異常症は10万人当たり9.6人、核DNA異常症は10万人当たり2.9人と推計されている1)。一方、ミトコンドリア脳筋症(MELAS)で報告されたミトコンドリアDNAのA3243G変異の保因者は、健常人口10万人当たり236人という報告があり2)、少なくとも出生10万人当たり20人がミトコンドリア病と推計されている。■ 病因ミトコンドリアは、真核細胞のエネルギー産生を担うのみではなく、脂質、ステロイド、鉄および鉄・硫黄クラスターの合成・代謝などの細胞内代謝やアポトーシス・カルシウムシグナリングなどの細胞応答など、多彩な機能を持つオルガネラであり、核と異なる独自のDNA(ミトコンドリアDNA:mtDNA)を持っている。しかし、このmtDNAにコードされているのは13種類の呼吸鎖サブユニットのみであり、これ以外はすべて核DNA(nDNA)にコードされている。ミトコンドリアに局在する呼吸鎖複合体は、電子伝達系酵素IからIV(電子伝達系酵素)とATPase(複合体V)を指し、複合体IIを除き、mtDNAとnDNAの共同支配である。これらタンパク複合体サブユニットの構造遺伝子以外に、その発現調節に関わる多くの核の因子(アッセンブリー、発現、安定化、転送、ヘム形成、コエンザイムQ10生合成関連)が明らかになってきた。また、ミトコンドリアの形態形成機構が明らかになり、関連するヒトの病気が見つかってきた。ミトコンドリア呼吸鎖と酵素欠損に関連したミトコンドリア病の原因を、ミトコンドリアDNA遺伝子異常(図1)、核DNA遺伝子異常(図2)に分けて示す。図1 ミトコンドリアDNAとミトコンドリア病で報告された遺伝子異常画像を拡大する図2 ミトコンドリア病で報告された核DNAの遺伝子異常画像を拡大する■ 症状本症では、あらゆる遺伝様式、症状、罹患臓器・組織、重症度の組み合わせも取り得る点を認識することが重要である(図3)。エネルギーをたくさん必要とする臓器の症状が出やすい。しかし、本症は多臓器症状が出ることもあれば、単独の臓器障害の場合もあり、しかも、その程度が軽症から重症まで症例ごとに症状が異なる点が、本症の診断を難しくしている。画像を拡大する■ 分類表にミトコンドリア病の分類を示す。ミトコンドリア病の分類は、I 臨床病型による分類、II 生化学的分類、III 遺伝子異常による分類の3種に分かれている。それぞれ、オーバーラップすることが知られているが、歴史的にこの分類が現在も使用されている。表 ミトコンドリア病の分類I 臨床病型による分類1.MELAS:mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis and stroke-like episodes2.CPEO/KSS:chronic progressive external ophthalmoplegia / Kearns Sayre syndrome3.Leigh脳症   MILS:maternally inherited Leigh syndrome   核遺伝子異常によるLeigh脳症4.MERRF:myoclonus epilepsy with ragged-red fibers5.NARP:Neurogenic atrophy with retinitis pigmentosa6.Leber遺伝性視神経萎縮症7.MNGIE:mitochondrial neurogastrointestinal encephalopathy syndrome8.Pearson骨髄膵症候群9.MLASA:mitochondrial myopathy and sideroblastic anemia10.ミトコンドリアミオパチー11.先天性高乳酸血症12.母系遺伝を示す糖尿病13.Wolfram症候群(DiDmoad症候群)14.autosomal dominant optic atrophy15.Charcot-Marie-Tooth type 2A16.Barth症候群 II 生化学的分類1.基質の転送障害1)carnitine palmitoyltransferase I、II欠損症2)全身型カルニチン欠乏症3)organic cation transporter2欠損症4)carnitine acylcarnitine translocase欠損症5)DDP1欠損症2.基質の利用障害1)ピルビン酸代謝   Pyruvate carboxylase欠損症   PDHC欠損症2)脂肪酸β酸化障害3)TCAサイクル関連代謝   succinate dehydrogenase欠損症   fumarase欠損症   α−ketoglutarate dehydrogenase欠損症4)酸化的リン酸化共役の異常   Luft病5)電子伝達系酵素の異常   複合体I欠損症   複合体II欠損症   複合体III欠損症   複合体IV欠損症   複合体V欠損症   複数の複合体欠損症6)核酸代謝7)ATP転送8)フリーラジカルのスカベンジャー9)栄養不良による補酵素の欠乏10)薬物・毒物による中毒III 遺伝子異常による分類1.mtDNAの異常1)量的異常(mtDNA欠乏)   薬剤性(抗ウイルス剤による2次的減少)   γDNApolymerase阻害   核酸合成障害   遺伝性(以下の項目参照)2)質的異常   単一欠失/重複   多重欠失(以下の項目参照)   ミトコンドリアリボソームRNAの点変異   ミトコンドリア転移RNAの点変異   ミトコンドリアタンパクコード領域の点変異2.核DNAの異常1)酵素タンパクの構成遺伝子の変異   電子伝達系酵素サブユニットの核の遺伝子変異2)分子集合に影響を与える遺伝子の異常   (SCO1、SCO2、COX10、COX15、B17.2L、BSL1L、Surf1、LRPPRC、ATPAF2など)3)ミトコンドリアへの転送に関わる遺伝子の異常   (DDP1、OCTN2、CPT I、 CPT II、Acyl CoA synthetase)4)mtDNAの維持・複製に関わる遺伝子の異常   (TP、dGK、POLG、ANT1、C10ORF2、ECGF1、TK2、SUCLA2など)5)mitochondrial fusion に関わる遺伝子の異常   (OPA1、MFN2)6)ミトコンドリアタンパク合成   (EFG1)7)鉄恒常性   (FRDA、ABC7)8)分子シャペロン   (SPG7)9)ミトコンドリアの保全   (OPA1、MFN2、G4.5、RMRP)10)ミトコンドリアでの代謝酵素欠損   (PDHA1、ETHE1)■ 予後臨床試験で効果が証明された薬物治療は、いまだ存在しない。2012年に発表されたわが国のコホート研究では、一番症例数の多いMELASは、発症して平均7年で死亡している。また、その内訳は、小児型MELASで発症後平均6年、成人型MELASでは発症後平均10年で死亡している。そのほか、小児期に発症するLeigh脳症では、明確な疫学研究はないものの、発症年齢が低ければ低いほど早期に死亡することが知られている。いずれにしても、慢性進行性に経過する難病で、多くは寝たきりとなり、心不全、腎不全、多臓器不全に至り死亡する重篤な疾患である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)従来、用いられてきた診断までの方法を図4に示す。臨床症状からどの病気にも当てはまらない場合は、必ずミトコンドリア病もその鑑別に挙げることが大切である。代謝性アシドーシスも本症でよくみられる所見であり、アニオンギャップが20以上開大すれば、アシドーシスの存在を疑う。乳酸とピルビン酸のモル比(L/P比)が15以上(正常では10)、ケトン体比(3-hydroxybutyrate/acetoacetate:正常では33))が正常より増加していれば、1次的な欠損がミトコンドリアマトリックスの酸化還元電位の異常と推測できる。頭部単純CT検査では、脳の萎縮や大脳基底核の両側対称性石灰化などが判明することが多く、その場合、代謝性アシドーシスの存在を疑う根拠となる。頭部MRI検査では、脳卒中様発作を起こす病型であれば、T1で低吸収域、T2、Flairで高吸収域の異常所見がみられる。MELASでは、異常画像は血管支配領域に合致せず、時間的・空間的に出現・消失を繰り返す。脳卒中様発作のオンセットの判断は、DWI・ADC・T2所見を比較することで推測できる。MRSでの乳酸の解析は、高乳酸髄液症の程度および病巣判断に有用である。また、脳血流を定量的に判定できるSPM-SPECT解析は、機能的脳画像として病巣診断、血管性認知症、脳血流の不均衡分布の判断に有用である。画像を拡大する■ 筋生検最も診断に有用な特殊検査は、筋生検である。筋病理では、Gomori trichrome変法染色で、増生した異常ミトコンドリアが赤ぼろ線維(RRF:ragged-red fiber)として確認でき、ミトコンドリアを特異的に染色するコハク酸脱水素酵素(SDH)の活性染色でも濃染する。RRFがなくても、チトクロームC酸化酵素(COX)染色で染色性を欠く線維やSDHの活性染色で動脈壁の濃染(SSV:SDH reactive vessels)を認めた場合、本症を疑う根拠となる。■ 生化学的検査生検筋、生検肝、もしくは培養皮膚線維芽細胞からミトコンドリアを分離して、酸素消費速度や呼吸鎖活性、blue-native gelによる呼吸鎖酵素タンパクの質および量の推定を行い、生化学的に呼吸鎖異常を検証する。場合によっては、組織内のカルニチン、コエンザイムQ10、脂肪酸の組成分析の必要性も出てくる。大切なことは、ミトコンドリア機能のどの部分の、質的もしくは量的異常かを同定することである。この作業の精度により、その後の遺伝子解析手法への最短の道筋が立てられる。■ 遺伝子検査ミトコンドリア病の遺伝子検索は、mtDNAの検索に加えて新たに判明したnDNAの検索も行わなければいけない。疾患頻度の多いmtDNAの異常症の検出には、体細胞の分布から考え、非侵襲的検査法としては、尿細管剥奪上皮を用いた変異解析が最も有用である。尿での変異率は、骨格筋や心筋、神経組織との相関が非常に高い。一方、ほかの得られやすい臓器としては、血液(白血球)、毛根、爪、口腔内上皮細胞なども有用であるが、尿細管剥奪上皮と比較すると変異率として最大30~40%ほどの低下がみられる。mtDNAの異常症を疑った場合、生涯を通じて再生できない臓器もしくは罹患臓器由来の検体を、遺伝子検査の基本とすることが望ましい。■ 乳酸・ピルビン酸、バイオマーカー(GDF15)の測定従来、乳酸・ピルビン酸がミトコンドリア病のバイオマーカーとして用いられてきた。しかし、これらは常に高値とは限らず、血液では正常でも、髄液で高値をとる場合も多い。さらに、乳幼児期の採血では、採血時の駆血操作で2次的に高乳酸値を呈することもあり(採血条件に由来する高乳酸血症)、その場合は、高アラニン血症の有無で高乳酸血症の存在を鑑別しなければならない。そこで、最近見いだされ、その有用性が検証されたバイオマーカーが「GDF15」である。このマーカーは、感度、特異度ともに98%と、あらゆるMELASの診断に現在最も有用と考えられている3)。最新の診断アルゴリズムを図5に示す4)。従来用いられていた乳酸、ピルビン酸、L/P比、CKと比較しても、最も臨床的に有用である。さらに、GDF15は髄液にも反映しており、この点で髄液には分泌されないFGF21に比較して、より有用性が高い。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)本症に対する薬物治療の開発は、多くの国で臨床試験として行われているが、2018年2月1日時点で、臨床試験で有効性を証明された薬剤は世界に存在しない。欧州では、Leber遺伝性視神経萎縮症に対して限定的にidebenone(商品名:Raxone)が、米国では余命3ヵ月と宣告されたLeigh脳症に対するvatiquinone(EPI-743)がcompassionate useとして使用されている。わが国では、MELASに対して、脳卒中様発作時のL-アルギニン(同:アルギU)の静注および発作緩解期の内服が、MELASの生存予後を大きく改善しており、適応症の申請を準備している。4 今後の展望創薬事業として、MELASに対するタウリン療法、Leigh脳症に対する5-ALAおよびEPI-743の臨床試験が終了しており、現在、MELAS/MELA Leigh脳症に対するピルビン酸療法が臨床試験中である。また、創薬シーズとして5-MAやTUDCAなどの候補薬も存在しており、今後有効性を検証するための臨床試験が組まれる予定である。5 主たる診療科(紹介すべき診療科)本症は臨床的に非常に多様性を有し、発症年齢も小児から成人、罹患臓器も神経、筋、循環器、腎臓、内分泌など広範にわたる。診療科としては、小児科、小児神経科、神経内科、循環器内科、腎臓内科、耳鼻咽喉科、眼科、精神科、老年科、リハビリテーション科など多岐にわたり、最終的には療養、療育施設やリハビリ施設の紹介も必要となる。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報小児慢性特定疾患情報センター ミトコンドリア病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター ミトコンドリア病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報:障害者手帳[肢体不自由、聴覚、視覚、心臓、腎臓、精神]、介護申請など)患者会情報日本ミトコンドリア学会ホームページ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報:ドクター相談室、患者家族の交流の場・談話室など)ミトコンドリア病患者・家族の会(MCM家族の会)(ミトコンドリア病患者とその家族および支援者の会)1)Gorman GS, et al. Ann Neurol. 2015;77:753-759.2)Manwaring N, et al. Mitochondrion. 2007;7:230-233.3)Yatsuga S, et al. Ann Neurol. 2015;78:814-823.4)Gorman GS, et al. Nat Rev Dis Primers. 2016;2:16080.公開履歴初回2018年3月13日

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わが青春の研修医マンガ【Dr.倉原の“俺の本棚”】第3回

【第3回】わが青春の研修医マンガ私は真面目そうに見えて、実はマンガをめちゃくちゃ読みます。王道の『キングダム』(集英社)から、知る人ぞ知る『鉄拳チンミ』(講談社)まで、ありとあらゆるマンガを読んでいます。もちろん格闘マンガだけじゃありませんよ、最近のオススメは『BLUE GIANT』(小学館)です。いかん、マンガの話になると10万字くらいになってしまう。一応このコラム、1,000字くらいにしてくれって言われているんですよ。さて、そんなマンガフリークの私、当然ながら「医療系マンガ」と呼ばれるものもほぼすべて読破しています。その中でも、今の若いモンはあんまり知らんじゃろ、というマンガを紹介したいと思います。『研修医 なな子』 (YOU漫画文庫)森本 梢子/著. 集英社. 1997-20001990年代に連載されていたマンガなので、私みたいな30代のオッサンドクターはこのマンガを読んだことがあるかもしれません。数ある医療系マンガの中で、こんなに心穏やかになれる作品はないと思っています。『ごくせん』(集英社)で有名になった、森本先生の初期作品です。医療系マンガは、『医龍』(小学館)、『ゴッドハンド輝』(講談社)、『ブラック・ジャック』(秋田書店)みたいに外科医にスポットライトを当てた作品が多いのですが、『研修医 なな子』はその名のとおり、ヒヨッコ研修医が成長する過程を描いたものです。『ブラックジャックによろしく』(講談社)もスーパーローテート研修を受ける研修医が主人公ですが、作風が180°違います。『研修医 なな子』はどちらかといえば少女漫画のタッチで、クールなイケメン指導医が出てきたり、ドタバタ恋愛劇があったり、ベタな少女漫画のような展開もあります。しかし、なんだろう、この心温まる展開は。『ブラックジャックによろしく』はサスペンス調なシーンが多くハラハラするのと対照的に、『研修医 なな子』はとにかく優しい作風に仕上がっています。そのため、医学生のころはこのマンガを読んで、「早く臨床実習が始まらないかな」とワクワクしていました。当時付き合っていた彼女と、このマンガを奪い合うようにして読んでいたなぁ。しみじみ。ああ、あのころに戻りたい…(遠い目)。今でも、医学部に行きたいという高校生には、このマンガを薦めています。また、「面白い医療系のマンガないですか?」とドクターに聞かれたときにも、『研修医 なな子』のことを知らない人が多いので、間違いなく高評価が得られるであろうこの作品を薦めています。「めちゃくちゃ面白かった」という感想が聞けたとき、私の医学生時代の青春が肯定されたような、くすぐったい気持ちになるからという理由もあります。文庫版で全4巻ですから、気合を入れて長々と読む必要もありません。デジタル版であれば、3,000円くらいで読破できるものもありますので、ちょっと時間があるときに読み進めてみてはいかがでしょうか?『研修医 なな子』全4巻(YOU漫画文庫)森本 梢子/著出版社名集英社定価本体495円+税(1・2巻)、571円+税(3・4巻)サイズ文庫判刊行年1997年(1・2巻)、2000年(3・4巻)

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統合失調症患者の自傷リスクに対する抗精神病薬の効果比較

 統合失調症患者の自傷行為による入院について、治療に用いられる抗精神病薬により違いがあるかについて、台湾・国立台湾大学のC-H. Ma氏らが、調査を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年2月11日号の報告。 台湾健康保険データベースに基づいて、レトロスペクティブコホート研究を行った。対象は、2001~12年に新規に統合失調症と診断された15~45歳の患者。アウトカムは、統合失調症診断後の自傷行為または原因不明の傷害による最初の入院とした。抗精神病薬の服薬状況は、時間依存性変数としてモデル化された。規定された1日投与量(defined daily dose:DDD)に基づく抗精神病薬の投与量により層別化し、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・50万355患者年の追跡調査の結果、7万380例から2,272件の自傷行為による入院エピソードが抽出された。・DDDまたはそれ以上の用量での第2世代抗精神病薬(amisulpride、アリピプラゾール、クロザピン、リスペリドン、スルピリド)の使用は、未使用患者と比較し、自傷行為による入院リスクの低下と関連が認められ、中でもクロザピンが最も強い効果を示した(調整率比:0.26、95%CI:0.15~0.47)。 著者らは「自傷行為に対する保護効果は、抗精神病薬の種類により異なる可能性がある。本知見を再現するためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事統合失調症患者の「自傷行為」に関連する予測因子統合失調症の再入院に対する抗精神病薬の比較統合失調症患者の再入院、ベンゾジアゼピンの影響を検証:東医大

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年齢別の30日再入院率~米国3千万件超の調査/BMJ

 米国における30日以内の再入院率は、小児から成人へ移行するに従って増加し、精神疾患を有する小児や若年/中年成人で高く、複数の慢性疾患を有する患者は全年齢で上昇していることが、米国・ボストン小児病院のJay G. Berry氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年2月27日号に掲載された。再入院の削減は、治療を改善し、医療費の抑制を可能とするため、主導的な臨床研究者や医療施策の立案者にとって重要とされる。米国では、再入院の指針や、再入院削減の臨床的介入は、65歳以上に重点が置かれ、年齢別の評価はほとんど行われていないという。指標となる入院3,100万件以上のデータを年齢別に解析 研究グループは、米国の全年齢人口における病院への再入院の傾向およびリスク因子をレトロスペクティブに検討した(米国医療研究・品質調査機構[AHRQ]などの助成による)。 米国AHRQの全国的な入院データベースから、2013年の全疾患による指標となる入院(3,172万9,762件)のデータを収集した。 主要アウトカムは、30日以内の全原因による計画外再入院とし、再入院のオッズをロジスティック回帰を用いて年齢別に比較した。 指標となる入院時の年齢中央値は53歳(IQR:27~71)であった。79%(2,494万8,660件)が1つ以上の慢性疾患を有しており、69.7%(2,210万312件)は2つ以上の慢性疾患を有していた。中年期にピークに達し、65歳で最低に 米国のすべての指標となる入院のうち、30日以内の予定外再入院は11.6%(367万8,018件)であった。 45歳の患者を参照基準とすると、再入院の補正後オッズ比は16歳の0.70(95%信頼区間[CI]:0.68~0.71)から20歳には1.04(1.02~1.06)へと上昇し、21歳の1.02(1.00~1.03)から44歳には1.12(1.10~1.14)へと増加したが、46歳から64歳には1.02(1.00~1.04)から0.91(0.90~0.93)へと減少し続け、65歳時に0.78(0.77~0.79)まで低下した後は、加齢とともに相対的にほぼ横ばいで推移した。 全年齢を通じて、複数の慢性疾患を有する患者は再入院の補正後オッズ比が高く、たとえば慢性疾患のない患者と比較した6つ以上の慢性疾患を有する患者の補正後オッズ比は、3.67(95%CI:3.64~3.69)に達した。 また、小児、若年成人、中年成人では、再入院率が高い指標となる入院のうち、最も頻度の高い理由の1つは精神疾患であった。 著者は、「とくに思春期や若年/中年成人において、再入院の評価やその原因の解明、再入院削減の機会に関する検討を進める必要がある」としている。

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意外にも中高齢層にフィット、糖尿病診療でのスマホアプリ活用

 糖尿病患者の“自己管理ノート”としてのスマホアプリの活用は、医療者・患者双方にとってどのようなメリットがあるのか。2018年3月3日、「第52回 糖尿病学の進歩」において「リアルワールドデータによる糖尿病治療の最前線~PHR(パーソナルヘルスレコード)や検査データを活用した新しい診療の実際と展望~」と題したランチョンセミナーが開催された(共催:株式会社ウェルビー/株式会社エスアールエル)。セミナーでは木村 那智氏(医療法人純正会ソレイユ千種クリニック 院長)が登壇。アプリ「Welbyマイカルテ」を主に2型糖尿病患者の診療に取り入れ約3年が経過した中での、使用感やメリットについて紹介した。スタンプ機能で、負担感なく密にコミュニケーション 「Welbyマイカルテ」は、生活習慣病患者を対象とした、血糖値や血圧などの自己管理を支援するスマートフォン向けアプリ。データは手入力のほか、カメラを使った撮影や、血圧計、血糖測定器、体組成計など主要メーカーの機器からの自動取得が可能だ。これらのデータは患者、患者家族、医療者の間で共有でき、コメント機能やスタンプによるコミュニケーションが可能となっている。 2015年の提供開始以来、約22万人が登録しており、木村氏は「患者さんは無料でダウンロード・利用開始でき、使い方も薄いパンフレットで理解できる簡単なもの」と語る。木村氏のクリニックでは、患者が記録した内容を見た医師や看護師がコメントを返すほか、「がんばったね!」という意味でスタンプを送信することも多いという。「LINEのスタンプ機能と同じで、医療者側は一つひとつコメントを入力しなくても簡単に声掛けができ、患者さんにとってはちゃんと見守ってもらえているという安心感につながる」と話した。 同アプリは医療機関との連携を行わず、患者個人として利用することもできるが、ウェルビー社が行った調査によると、医療機関と連携している場合、3ヵ月後の継続率が約5倍となったという。木村氏は「もちろん、“監視されているようでいや”という人もいるので、全員にフィットするわけではない。しかし、患者さんのモチベーションが治療に大きな影響を及ぼす糖尿病診療において、モチベーション維持や行動変容を促す有効なツールの1つであることは間違いない」と語り、食事内容を毎回撮影するなどアプリの使用に“ハマり”、生活習慣が改善されて結果的に体重減少、血糖値低下につながった40代男性の症例を紹介した。継続率が高いのは中高齢層 スマホアプリというと、どうしても若い人向けという印象を持たれがちだが、木村氏は「逆に若い人のほうが続かない傾向がある。“これを機にスマホに変えた”という中高齢層は、孫や子供たちとの会話のきっかけにもなり、嬉々として使ってもらえることが多い」と話す。実際に同社が行った調査では、年齢が上がるほど継続率が高まり、50代以上のユーザーの利用率が高かった。聴取時間は圧倒的に短縮、思いがけない問題点がみつかることも もう1つ、アプリを診療へ取り入れることへの懸念としてよく聞かれるのは、「使い方を教える手間や時間が掛かるし、病院側のメリットがないのでは」というものだが、木村氏は「あらかじめ生活習慣や食事内容がわかるため、聴取時間は短縮し、栄養指導や診察が効率化する」と話す。また、本人はよかれと思ってやっていることが、実は間違った知識だったということも多く、「診察室での聴取だけでは見えてこない改善点がみつかる場合もある」と話した。 同社は今回、株式会社エスアールエルが提供する医師向け検査結果参照システム「PLANET NEXT」と同アプリの連携をスタートさせ、医師は検査結果とPHRを参照できるようになった。また今後、患者もスマートフォンのアプリで検査結果を参照できるようになることから、木村氏は「患者さんがほかの病院や薬局で自分の検査値と自己管理データを見せられるようになると、より効率的な治療が可能になり、患者さん自身の行動変容にもつながるだろう」と述べ、期待感を示した。「通常、次は数週間、数ヵ月後の診察予約となるところを、こういったツールの活用で頻繁に状況をモニタリングできる。対面診療にオンラインツールを加えることは難しいことではなく、いまや普通の道具を、普通に活用することに過ぎない。正確な情報と適切なフォローアップで患者さんはどんどん進化していくので、積極的に活用していってほしい」とまとめた。■参考株式会社ウェルビー「Welbyマイカルテ」

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パンジェノタイプのDAA療法の登場と今後に残された課題(解説:中村郁夫氏)-825

 本論文は、遺伝子型1型および3型のHCVを有するC型慢性肝炎症例に対する、グレカプレビル・ピブレンタスビル併用療法の治療効果および安全性に関するランダム化・オープンラベル・多施設で行われた第III相試験の結果の報告である。合計1,208症例に対し、8週間および12週間投与が行われ、SVR12(治療終了後12週におけるHCV陰性化)の割合は、遺伝子型1型(ENDURANCE-1試験):8週投与群99.1%、12週投与群99.7%。遺伝子型3型:8週投与群/12週投与群とも95%と高率であった。 本論文で検討されたグレカプレビル・ピブレンタスビルの合剤は、本邦初の「IFNフリー・リバビリンフリー・パンジェノタイプ」のDirect-acting Antivirals(DAA)製剤として、昨年の11月にマヴィレット(アッヴィ合同会社)として薬価収載された。従来のDAA併用療法は、1種類の遺伝子型のHCVに対するものであったが、本治療は、いわゆる「パンジェノタイプ」:複数の遺伝子型のHCVに効果のある治療法である。さらに、治療期間が、慢性肝炎症例は8週間、肝硬変症例は12週間と従来のDAA製剤と比べて短縮された。ただし、併用禁忌薬として、アトルバスタチンが含まれている点には注意が必要である。 本邦において、第III相試験まで進んだDAA療法は残り1剤であるという状況、また、遺伝子型3型の症例が欧米と比較してごく少数であるという背景を勘案すると、本邦におけるHCVに対するDAA治療の開発は、いよいよ最終段階を迎えたと考えられる。しかし、今後に残された課題として、DAA療法不成功例に生じた高度の耐性変異に対する治療、また、非代償性肝硬変症例に対する治療の検討が必要である。

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腫瘍溶解ウイルス+ペムブロリズマブの固形がん医師主導治験開始/国がん

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)東病院(病院長:大津 敦、千葉県柏市)は2018年3月2日、進行性または転移性固形がん患者を対象とした、腫瘍溶解ウイルス製剤テロメライシン(OBP-301)と、抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法に関する医師主導治験(第I相試験)を開始したと発表。同試験では、併用した際の安全性及び有効性などの評価を行う。 テロメライシンは、風邪ウイルスの1つであるアデノウイルスに、多くのがん細胞で活性化しているテロメラーゼ酵素を遺伝子改変により組み込み、がん細胞内のみで特異的に増殖し、がん細胞を破壊するようにデザインされた腫瘍融解アデノウイルス製剤。正常細胞ではテロメラーゼ活性がないためウイルスは増殖しないが、がん細胞内ではテロメライシンが増殖して、がん細胞を破壊することで抗腫瘍効果を発揮する。この腫瘍溶解作用が、CTL活性(細胞傷害性T細胞活性)を誘導することで、腫瘍免疫増強効果が期待される。 今回、抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用することにより、抗腫瘍効果のさらなる向上が期待されている。■参考国立がん研究センタープレスリリース

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前向きRCTの新規解析法、有効性実証までを短縮/BMJ

 前向きに計画された無作為化試験(RCT)の“living”ネットワークメタ解析は、従来のペアワイズメタ解析と比べて、治療効果の差に関する帰無仮説を実証(強いエビデンスを提供)できる可能性が20%高く、それまでの期間は4年早いことが示された。スイス・ベルン大学のAdriani Nikolakopoulou氏らによる実証研究の結果で、BMJ誌2018年2月28日号で発表された。ネットワークメタ解析は、多数の治療効果のエビデンスについて直接的・間接的に比較可能な従来のメタ解析の機能を拡充したものである。また、標準的なペアワイズメタ解析よりも、治療効果の比較における帰無仮説に関して、速やかかつ強固なエビデンスの提供が可能なことが示されていた。さらに最近になって、逐次解析法に基づく、前向きに計画されたRCTのlivingネットワークメタ解析が開発され、エビデンスを連続的にアップデートできるようになっていた。帰無仮説に対する強固なエビデンス提供について比較 研究グループは、livingネットワークメタ解析が、従来のペアワイズメタ解析よりも薬物療法のエビデンス比較において、強固な帰無仮説のエビデンスを早く提供するかどうかを調べるため、臨床介入効果の比較に関する蓄積エビデンスを用いた実証研究を行った。 2015年4月14日時点のMEDLINE、Embase、Cochrane Database of Systematic Reviewsを検索して、2012年1月以降に発表され、5つ以上の治療を比較しており、20本以上のRCTを包含していたネットワークメタ解析を特定。臨床専門家に依頼し、各ネットワークで最も臨床的に重要性のある治療比較を同定した。また、直接比較および間接比較のエビデンスが一致しないもの、z検定(Separate Indirect from Direct Evidence:SIDE、node splitting testとも呼ばれる)のp値定義が0.10未満であったものは除外した。 選択された比較それぞれに関して、ペアワイズメタ解析およびネットワークメタ解析を累積的に実施。統計的有意性の監視境界(monitoring boundary)を規定し、監視境界がクロスした場合を帰無仮説エビデンスが強いとみなした。有意性の定義は、α=5%、検出力90%(β=10%)で、予想される治療効果がネットワークメタ解析からの最終推定値と同等である場合とした。そのうえで、帰無仮説に対する強固なエビデンスの出現頻度と出現までの期間について、ペアワイズメタ解析とネットワークメタ解析を比較した。ネットワークメタ解析のほうが有意に多く早い 44のネットワークから重要性があるとされた49件の比較が包含された。最も多かったのは実薬間の比較で(39件、80%)、主として心臓病、内分泌系、精神科、リウマチに関するものであった。直接的および間接的エビデンスの両方によって特徴付けられた比較は29件(59%)、間接的エビデンスによる比較は13件(27%)、直接的エビデンスによる比較は7件(14%)であった。 ネットワークおよびペアワイズメタ解析の両方が、強固な帰無仮説エビデンスを提供した比較は7件(14%)であったが、さらに10件(20%)の比較について、ネットワークメタ解析のみが強固な帰無仮説エビデンスを提供した(p=0.002)。 同エビデンス提供までに要した時間中央値は、livingネットワークメタ解析が19年、livingペアワイズメタ解析は23年であった(ハザード比:2.78、95%信頼区間[CI]:1.00~7.72、p=0.05)。 強固なエビデンスを提供した17件の比較のうち8件(47%)は、ネットワークメタ解析で強固なエビデンスが明らかになった後に、直接比較の試験を発表するために継続された。 これらの結果を踏まえて著者は、「前向きに計画されたlivingネットワークメタ解析は、livingペアワイズメタ解析よりも速やかに帰無仮説に対する強固なエビデンスを提供し、タイムリーな勧告を容易なものとし、不要な試験を減らすことが可能である」と述べている。

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歯の残存数と認知症リスクに関するメタ解析

 高齢期の歯の損失は、認知症の発症率を高める可能性があることが示唆されている。韓国・SMG-SNU Boramae Medical CenterのBumjo Oh氏らは、高齢期の歯の残存数と認知症発症との関連について、現在のエビデンスからシステマティックレビューを行った。BMC geriatrics誌2018年2月17日号の報告。 2017年3月25日までに公表された文献を、複数の科学的論文データベースより、関連パラメータを用いて検索を行った。高齢期における認知症発症と歯の残存数に関して報告された複数のコホート研究における観察期間の範囲は、2.4~32年であった。高齢期における歯の残存数の多さと認知症リスク低下が関連しているかについて、ランダム効果のプールされたオッズ比[OR]と95%信頼区間[CI]を推定した。異質性は、I2を用いて測定した。GRADEシステムを用いて、全体的なエビデンスの質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・文献検索では、最初に419報の論文が抽出され、最終的には11件の研究(試験開始時年齢:52~75歳、2万8,894例)が分析に含まれた。・歯の残存数が多い群では、少ない群と比較し、認知症リスクの約50%低下と関連が認められた(OR:0.483、95%CI:0.315~0.740、p<0.001、I2:92.421%)。・しかし、全体的なエビデンスの質は非常に低いと評価された。 著者らは「限られた科学的エビデンスではあるものの、現在のメタ解析では、高齢期において歯の残存数が多いほど、認知症発症リスクが低いこととの関連が示唆された」としている。■関連記事「歯は大切に」認知症発症にも影響:久山町研究高齢者に不向きな抗うつ薬の使用とその後の認知症リスクとの関連統合失調症患者の口腔ケア、その重要性は:東医大

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複雑性尿路感染症、メロペネム/vaborbactam配合剤の有効性/JAMA

 複雑性尿路感染症の治療において、メロペネム/vaborbactam配合剤の効果は、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤に対し非劣性であることが、米国・ミシガン大学のKeith S. Kaye氏らが実施したTANGO I試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年2月27日号に掲載された。カルバペネム系抗菌薬メロペネムとβ-ラクタマーゼ阻害薬vaborbactamの配合剤は、薬剤抵抗性グラム陰性菌による重症感染症に有効である可能性が示唆されている。2種の配合剤の非劣性を評価する無作為化試験 TANGO Iは、急性腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療における、メロペネム/vaborbactam配合剤の有効性と有害事象の評価を目的とする二重盲検ダブルダミー無作為化実薬対照非劣性試験である(The Medicines Company社などの助成による)。 年齢18歳以上の尿路感染症または急性腎盂腎炎の確定例または疑い例が、8時間ごとにメロペネム/vaborbactam配合剤(2g/2g、3時間静注)またはピペラシリン/タゾバクタム配合剤(4g/0.5g、30分静注)を投与する群にランダムに割り付けられた。患者は、盲検を維持するために、薬剤を含まない生理食塩水(30分または3時間静注)の投与を受けた。 15回以上の静注後は、全10日間の治療を完了するために、事前に規定された改善の判定基準を満たす場合は、経口レボフロキサシン(500mg、24時間ごと)に切り替えることとした。 米国食品医薬品局(FDA)の基準による主要エンドポイントとして、微生物学的に修正したintent-to-treat(ITT)集団における静注投与終了時のoverall success(臨床的な治癒または改善と、除菌の複合)、および欧州医薬品庁(EMA)の基準による主要エンドポイントとして、微生物学的に修正したITT集団および微生物学的に評価可能な集団における治癒検査受診時の除菌の評価を行った。事前に規定された非劣性マージンは-15%であった。すべての主要エンドポイントで非劣性を確認 2014年11月~2016年4月の期間に、17ヵ国60施設に550例が登録され、545例(メロペネム/vaborbactam配合剤群:272例、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤群:273例)が1回以上の投与を受けた(修正ITT集団)。 全体の平均年齢は52.8歳、361例(66.2%)が女性であった。微生物学的に修正したITT集団は374例(68.6%)、微生物学的に評価可能な集団は347例(63.7%)だった。 FDAの主要エンドポイントであるoverall successは、メロペネム/vaborbactam配合剤群の192例中189例(98.4%)で達成され、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤群の182例中171例(94.0%)に対し非劣性であった(群間差:4.5%、95%信頼区間[CI]:0.7~9.1%、非劣性のp<0.001)。 EMAの主要エンドポイントである微生物学的に修正したITT集団における除菌は、メロペネム/vaborbactam配合剤群の192例中128例(66.7%)で達成され、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤群の182例中105例(57.7%)に対し非劣性であった(群間差:9.0%、95%CI:-0.9~18.7%、非劣性のp<0.001)。また、微生物学的に評価可能な集団における除菌は、それぞれ178例中118例(66.3%)、169例中102例(60.4%)で達成され、同様に非劣性が示された(群間差:5.9%、95%CI:-4.2~16.0%、非劣性のp<0.001)。 有害事象は、メロペネム/vaborbactam配合剤群の272例中106例(39.0%)、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤群の273例中97例(35.5%)で発現し、試験薬関連有害事象はそれぞれ15.1%、12.8%に認められた。メロペネム/vaborbactam配合剤群で最も頻度の高い有害事象は頭痛(8.8%)で、すべて軽度~中等度であり、頭痛が原因で治療が中止された患者はなかった。 著者は、「メロペネム/vaborbactam配合剤が臨床的利益をもたらす患者のスペクトルを知るために、さらなる検討を要する」としている。

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きわめて高いHDL-Cは心血管死リスク? EPOCH-JAPAN

 心血管疾患(CVD)に対するvery highやextremely highレベルの HDLコレステロール(HDL-C)の影響は十分にわかっていない。最近のいくつかの研究では、extremely highレベルのHDL-CのCVDイベントへの悪影響が報告されているが、原因別CVD死亡率との間に有意な関連はみられておらず、またアジア人集団では研究されていない。今回、日本の主要な循環器疫学コホート研究の統合データベース共同研究であるEPOCH-JAPANにおける大規模なプール解析により、extremely highレベルの HDL-Cがアテローム性CVDによる死亡率に悪影響を及ぼすことを示した。Journal of clinical lipidology誌オンライン版2018年2月8日号に掲載。 本研究では、9つの日本人コホート(40~89歳、4万3,407人)において大規模なプール解析を行った。参加者をHDL-C値により5群に分け、2.33mmol/L以上(90mg/dL以上)をextremely highとした。コホート層別Cox比例ハザードモデルを用いて、全死因死亡および原因別死亡について、1.04~1.55mmol/L(40~59mg/dL)の群と比較した各群の調整ハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・12.1年の追跡期間中に、全死因死亡が4,995人、CVDによる死亡が1,280人確認された。・extremely highレベルのHDL-Cは、アテローム性CVDによる死亡リスクの増加(ハザード比:2.37、95%信頼区間:1.37~4.09)、冠動脈疾患および脳梗塞リスクの増加と有意に関連していた。・extremely highレベルのHDL-Cのリスクは、現飲酒者でより顕著であった。

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ネットワークメタアナリシスの多用は薬剤間競争をあおっていないだろうか?(解説:折笠秀樹氏)-824

 有用性比較研究(CERと略す)に火がついたのは、オバマ大統領がオバマケアで提唱したことにあった。今から5年ほど前の話である。特定の薬剤が有用かどうかではなく、同様の薬剤同士を比較する必要性を説いた。予想されたように、これにより薬剤同士の競争を招いた。現在では、抗凝固薬を筆頭に、CER論文が数多く出版されている。そこではほとんどでネットワークメタアナリシスが使われている。蛇足だが、CERで次によく使われるのは、データベースを用いたプロペンシティマッチング解析である。薬剤のマーケティングを通じた加熱競争をみていると、ちょっと技術の悪用に近い感を抱く。 オバマケアでCERが大切だと唱えたことに加え、それを可能にするネットワークメタアナリシスが登場した。これによりCER論文に拍車がかかった。従来、特定の薬剤の有用性を示すには、もっぱらペアワイズメタアナリシスに頼っていた。すなわち、特定の薬剤vs.コントロール(プラセボ含む)という、直接比較の試験データを複数統合したメタアナリシスであった。従来のメタアナリシスでは、2つの群しか扱えなかったのである。ネットワークメタアナリシスでは直接比較のみならず、間接比較の試験データも統合できるようになった。たとえば、A対BのCERに対して、A対CおよびB対Cのデータも使えるようになった。 もう1つ、累積メタアナリシスについて理解しておく必要がある。これは、対象となる臨床試験が出るたびに結論を更新していく手法のことである。1992年にChalmersとLauによって提唱された手法である。これにより、いつから勝負がついたかわかるという。もちろんそうなのだが、何も考えずに併合し続けてよいのかという問題はあった。併合可能性を考慮しつつ併合するべきはずである。 本論文では、ネットワークメタアナリシスとペアワイズメタアナリシスを比較して、どちらが累積メタアナリシスの手法により結論にたどり着くかを調査した。ネットワークメタアナリシスを使ったほうが、早く結論にたどり着くというものだった。しかし、考えてみればネットワークメタアナリシスでは直接比較のみならず間接比較データも使うため、情報量が多いため早く終止するのは当然のような気がした。また、ネットワークメタアナリシスでは直接比較の結果と間接比較の結果がほぼ一致しないとき、統合解析は行わないことになっている。そうした原則を適用していないのではないかと思われる。そうでなくても、ネットワークメタアナリシスを使ってCER論文が溢れている現在、専用ソフトの整備も相まって、もっと慎重な適用を切に望みたい。

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