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小細胞肺がんへのペムブロリズマブ単独投与、PD-L1陽性例でより高い効果(KEYNOTE-158)/ASCO2018

 ペムブロリズマブは、PD-L1陽性固形がんに対するマルチコホート第Ib相試験KEYNOTE-028で、化学療法歴のある小細胞肺がん(SCLC)に対する有効性と高い忍容性が認められている。このKEYNOTE-028に続く試験として、SCLCを含む10種類とMSI-Hの固形がんを対象としたマルチコホート第II相試験KEYNOTE-158が行われた。そのSCLCの解析結果を、韓国・延世大学医学部延世がんセンターのHyun Cheol Chung氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。 試験に登録されたSCLC患者は107例。患者は、3週ごとにペムブロリズマブ200mgを最大2年間投与された。追跡期間中央値は9.3ヵ月(0.5~22.3ヵ月)。前治療歴は1次治療が42%、2次治療が34%、3次治療以上が23%。PD-L1陽性は39%、陰性が47%、不明が14%であった。主要評価項目は客観的奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、安全性。 主要評価項目のORRは18.7%(95% CI:11.8~27.4%)。PD-L1発現状況別ORRは、陽性が35.7%(21.6~52.0%)、陰性が6.0%(1.3~16.5%)、MSI-H以外が91%を占めた。 副次評価項目は、全症例でのPFS中央値が2.0ヵ月(1.9~2.1ヵ月)。PD-L1発現状況別では陽性が2.1ヵ月(2.0~8.1ヵ月)、陰性が1.9ヵ月(1.6~2.0ヵ月)。また、全体のOS中央値8.7ヵ月(5.6~12.0ヵ月)、PD-L1陽性では14.9ヵ月(5.6ヵ月~未達成)、陰性が5.9ヵ月(3.3~10.1ヵ月)。DORは未達成。 治療関連有害事象の発現率は60%で、発現率10%以上のものは疲労感(14%)、皮膚掻痒(12%)、甲状腺機能低下症(12%)、食欲不振(10%)、悪心(10%)。Grade3~4の有害事象発現率は12%で、頻度が多かったものは急性膵炎(2%)だった。 ■参考ASCO2018Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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第1回 炎症疾患疑いの検査/頓服薬の期間算定/腫瘍マーカーの検査/皮膚科特定疾患指導管理料【レセプト査定の回避術 】

事例1 炎症疾患疑いの検査慢性疾患で通院している患者に対し、炎症疾患を疑いCRPを実施した。●査定点レセプト請求では、炎症疾患疑いを病名に追記しなかったため査定された。解説を見る●解説病名漏れに対するCRP査定(16点)ですが、同時に免疫学的検査判断料(144点)も査定されるので、CRPを実施したときは、必ず、炎症疾患疑いを病名追記するようにしてください。事例2 頓服薬の期間算定頓服薬として、30日分を請求した。●査定点20日間が査定された。解説を見る●解説10日以上の頓服薬は査定の対象になります。電子カルテの普及に伴い、内服薬の用法を間違えて、頓服薬として30日分、60日分などで請求してしまうことがあります。これは、「医療機関側のミス」となるので、医師の入力ミス防止策の検討、医事課の点検を強化する必要があります。事例3 腫瘍マーカーの検査慢性疾患で通院している患者が、4月にα-フェトプロテイン(107点)を施行した。6月に肝がんが確定し胎児性抗原(CEA)(105点)とCA19-9(130点)を施行し、悪性腫瘍特異物質治療管理(360点)+初回月加算(150点)を算定した。●査定点初回月加算(150点)が査定された。解説を見る●解説初回月加算の条件に、「悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定する当該初回月の前月において、区分番号「D009」腫瘍マーカーを算定している場合は、当該初回月加算は算定できない」と通知されています。この前月とは、「事例3 腫瘍マーカーの検査」でいうと5月にあたるので、6月の初回月加算(150点)は算定できます。事例4 皮膚科特定疾患指導管理料アトピー性皮膚炎で、先月処方した外用薬を使用するよう患者に指導し、皮膚科特定疾患指導管理料(II)を算定した。●査定点皮膚科特定疾患指導管理料(II)が査定された。解説を見る●解説アトピー性皮膚炎で、皮膚科特定疾患指導管理料(II)を算定するには、「外用療法を必要とする場合に限り算定できる」となっています。先月、処方した外用薬の使用範囲が少なくなり、今月も先月処方した外用薬を継続使用することになりましたが、レセプトに外用薬または院外処方箋が算定されていないため、外用療法をしていないと審査され、査定されました。レセプトに、簡単なコメント、たとえば「薬剤は先月分の薬剤を継続使用しています」と記載することが望まれます。

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20歳前後のBMIで、乳がんリスク4倍以上の差

 BMIと乳がんリスクの間には、閉経前女性では逆相関、閉経後女性では正相関がみられる。今回、閉経前女性のBMIと乳がんリスクの逆相関がこれまで報告されていたよりも強く、成人初期(18~24歳)で最も強く関連することが、米国・国立がん研究所コホートコンソーシアムが推進するPremenopausal Breast Cancer Collaborative Groupの研究で示唆された。JAMA oncology誌オンライン版2018年6月21日号に掲載。 本研究では、BMIと閉経前乳がんリスクの逆相関について年代ごとに調査し、現在の年齢、乳がんリスク因子、ホルモン受容体の状態についても検討した。研究グループは、19件の前向きコホートにおける閉経前女性75万8,592人の個々のデータをプールし、18~24歳、25~34歳、35~44歳、45~54歳でのBMIについて閉経前乳がんのハザード比(HR)を、Cox比例ハザード回帰分析を用いて推定した。追跡期間中央値は9.3年(四分位範囲:4.9~13.5年)、1万3,082例で浸潤性もしくは非浸潤性乳がんが発症した。参加者のリクルートは1963年1月1日~2013年12月31日、分析は2013年9月1日~2017年12月31日に実施した。 主な結果は以下のとおり。・75万8,592人の閉経前女性(年齢中央値:40.6歳、四分位範囲:35.2~45.5歳)のデータを分析したところ、BMIと乳がんリスクとの線形の逆相関は、45~54歳のBMI(5kg/m2当たりのHR:0.88、95%CI:0.86~0.91)に比べ、18~24歳のBMI(同:0.77、95%CI:0.73~0.80)で強かった。・この逆相関は、過体重ではない女性でも観察された。・18~24歳において、BMIが最低(17.0未満)の群では最高(35.0以上)の群に比べ、乳がんリスクが4.2倍であった(HR:0.24、95%CI:0.14~0.40)。・現在の年齢や他の乳がんリスク因子の群間で、HRに大きな差はなかった。・ホルモン受容体陰性乳がんよりも、エストロゲン受容体(ER)陽性および/またはプロゲステロン受容体(PR)陽性乳がんのほうが、すべての年齢層でBMIと強い相関を示した。たとえば、18~24歳のBMIについて5kg/m2当たりのHRは、ER陽性およびPR陽性乳がんでは0.76(95%CI:0.70~0.81)、ホルモン受容体陰性乳がんでは0.85(95%CI:0.76~0.95)であった。・25~54歳でのBMIは、トリプルネガティブまたはホルモン受容体陰性の乳がんと関連はみられなかった。

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喘息など難治化の仕組み解明/千葉大学

 千葉大学大学院医学研究院の森本 侑樹特任助教、平原 潔准教授、中山 俊憲教授らのグループは、同大学医学研究院の耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 岡本 美孝 教授のグループと共同で、重症アレルギー疾患における組織線維化を誘導する新たな細胞集団を同定し、組織線維化の新規メカニズムを明らかにした。 喘息などのアレルギー疾患の治療には、吸入ステロイドによる対症療法が一般的だが、一度起きてしまった組織の線維化にはステロイドは無効であり、新たな治療法が求められている。 本研究グループは、タンパク質Amphiregulinを特異的に産生する病原性記憶T細胞を同定した。Amphiregulinは、上皮成長因子(EGF)受容体を介して炎症性好酸球を誘導し、炎症性好酸球は、細胞外基質Osteopontinを多量に産生し、組織の線維化を直接誘導することを見出した。線維化を引き起こしたマウスへEGF受容体阻害薬を投与したところ、組織の線維化が改善することがわかった。 近年日本で増加しており、国の難病指定を受けている好酸球性慢性副鼻腔炎(ECRS)患者の鼻ポリープ中に、Amphiregulin産生病原性記憶T細胞およびOsteopontin産生好酸球が多数確認され、同記憶型病原性T細胞がヒト好酸球性疾患の線維化を誘導する可能性があることが示された。以上のことから、Amphiregulin-Osteopontin経路は重症アレルギー疾患の組織線維化において画期的な治療薬のターゲットになると期待される。■参考千葉大学プレスリリース

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大うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告

 大うつ病性障害(MDD)の自殺念慮を解明するため、オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らが、欧州多施設共同研究を実施した。これまでの調査において、MDD患者の自殺念慮の有病率は、50%以上であることが示唆されているが、社会人口統計学的、心理社会的、臨床的な特徴と自殺念慮との関連については、あまり知られていなかった。The international journal of neuropsychopharmacology誌2018年6月1日号の報告。 ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)の項目3(自殺傾向)の評価に基づき、うつ病患者1,410例を3群(0:自殺念慮なし、1~2:軽度~中等度の自殺念慮、3~4:重度の自殺念慮)に分類した。データ解析には、χ2検定、共分散分析、スピアマン相関分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・MDD患者の自殺念慮の有病率は、46.67%であった(HAM-D項目3のスコアが1以上)。・対象患者の重症度別の内訳は、自殺念慮なし群53.33%、軽度~中等度群38.44%、重度群8.23%であった。・自殺念慮のレベルに応じたMDD患者サンプルを層別化したところ、自殺念慮なし群と比較し、軽度~中等度群では、以下の社会人口統計学的、心理社会的、臨床的な因子が特定された。 ●抑うつ症状の重症度 ●治療抵抗性 ●精神病性特徴 ●一般的な併用薬・重度群のみで認められた因子は、以下のとおりであった。 ●入院治療 ●抗精神病薬およびベンゾジアゼピンによる増強療法 ●メランコリックな特徴 ●併存身体疾患 著者らは「軽度~中等度の自殺念慮でさえ、治療反応を達成できないことに関連しているため、実臨床においては、これらの因子を十分に考慮する必要がある」としている。■関連記事自殺念慮と自殺の関連が高い精神疾患は何か思春期の少年少女における自殺念慮の予測自殺予防の介入効果はどの程度あるのか

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重症代謝性アシドーシスに炭酸水素Naは有効か?/Lancet

 重症代謝性アシドーシスに対し、治療選択肢の1つと考えられている炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)投与の有効性について検討した結果が、フランス・Montpellier University HospitalのSamir Jaber氏らによる第III相多施設共同非盲検無作為化試験「BICAR-ICU試験」の結果、示された。主要複合アウトカム(28日以内の全死因死亡と7日以内の臓器不全)について、有意差は示されなかったが抑制効果がみられ、急性腎障害(AKI)を有した患者群では28日死亡率の有意な低下が認められたという。Lancet誌オンライン版2018年6月14日号掲載の報告。28日以内の全死因死亡と7日以内の1つ以上の臓器不全の発生を評価 試験は、フランスの26ヵ所のICUから患者を集めて行われた。各地の研究者がスクリーニングを行い、重症代謝性アシドーシス(pH:≦7.20、PaCO2:≦45mmHg、炭酸水素ナトリウム濃度:≦20mmol/L)を呈し、臓器不全評価(SOFA)総スコアが4以上または血中乳酸濃度2mmol/L以上で、ICUに入室後48時間以内の18歳以上の患者を適格とした。 被験者を層別無作為化法(限定的なウェブプラットフォームを使って最小化)により1対1の割合で、炭酸水素ナトリウム非投与(対照)群または4.2%炭酸水素ナトリウム静注でpH7.30超を維持する群に無作為に割り付けた。静注投与は、30分以内で125~250mLの範囲内とすること、包含後24時間以内で最大量1,000mLとすることを推奨値とした。 また無作為化では、事前に規定した3層(年齢、敗血症の状態、急性腎障害ネットワーク[AKIN]スコア)への層別化も行った。 主要アウトカムは、28日以内の全死因死亡と7日以内の1つ以上の臓器不全の複合であった。すべての解析はintention-to-treat(ITT)集団(無作為化を受けた全患者)のデータに基づき行われた。AKI患者では28日生存率に有意な差 2015年5月5日~2017年5月7日にITT集団として389例が登録された(対照群194例、炭酸水素ナトリウム群195例)。 主要複合アウトカムの発生は、対照群138/194例(71%)、炭酸水素ナトリウム群128/195例(66%)であった(推定絶対差:-5.5%、95%信頼区間[CI]:-15.2~4.2、p=0.24)。 Kaplan-Meier法による28日時点の推定生存率は、対照群と炭酸水素ナトリウム群で有意差はなかった(46%[95%CI:40~54] vs.55%[49~63]p=0.09)。事前規定のAKIN(スコア2または3)層別化患者においては、Kaplan-Meier法による28日時点の推定生存率は、対照群と炭酸水素ナトリウム群で有意差が認められた(63%[52~72] vs.46%[35~55]p=0.0283)。 代謝性アルカローシス、高ナトリウム血症、低カルシウム血症は、対照群より炭酸ナトリウム群でより多く観察された。命に関わる合併症の報告はなかった。

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ビタミンD値、妊娠高血圧や子癇前症に影響なし/BMJ

 妊娠高血圧や子癇前症に関して、ビタミンD値の影響を示唆する強力なエビデンスはないことが、英国・ブリストル大学のMaria C. Magnus氏らによるメンデル無作為化試験の結果、示された。これまでの観察研究において、25-ヒドロキシビタミンD値が低い女性で子癇前症のリスクが高いことが認められ、複数の試験で妊娠中のビタミンD補給は有益である可能性が示されていたが、有益性は小さく、投与のタイミングや用量は不均一でかなりのばらつきがあり、ビタミンDが子癇前症の起因となるのかは不明であった。BMJ誌2018年6月20日号掲載の報告。メンデル無作為化解析にて検証 検討は、2つの欧州妊娠コホート「Avon Longitudinal Study of Parents and Children」と「Generation R Study」、および2つの症例対照研究被験者「Norwegian Mother and Child Cohort Study内のサブグループ」と「UK Genetics of Pre-eclampsia Study」を対象に、1標本および2標本メンデル無作為化解析にて行われた。 被験者女性は、1標本メンデル無作為化解析群が7,389例(妊娠高血圧751例、子癇前症135例)、2標本メンデル無作為化解析群が子癇前症症例群3,388例と対照群6,059例であった。 ビタミンD合成に関与する一塩基遺伝子多型(rs10741657、rs12785878)と、代謝に関与する一塩基遺伝子多型(rs6013897、rs2282679)を操作変数として評価した。 主要評価項目は、国際妊娠高血圧学会の定義に基づく妊娠高血圧および子癇前症であった。影響があることを示す強いエビデンスは示されず 従来法の多変量解析において、子癇前症の相対リスクは、25-ヒドロキシビタミンD値10%低下につき1.03(95%信頼区間[CI]:1.00~1.07)であり、同値75nmol/L以上の場合と比較した25nmol/L未満の場合の相対リスクは2.04(95%CI:1.02~4.07)であった。こうしたビタミンD値との関連性は、妊娠高血圧については見いだせなかった。 1標本メンデル無作為化解析群で総遺伝的リスクスコアを用いた検討において、25-ヒドロキシビタミンDの妊娠高血圧または子癇前症への線形効果を示す強いエビデンスは示されなかった。オッズ比は、妊娠高血圧が25-ヒドロキシビタミンD値10%低下につき0.90(95%CI:0.78~1.03)、子癇前症は同1.19(0.92~1.52)であった。 子癇前症のオッズ比は2標本メンデル無作為化解析群では、25-ヒドロキシビタミンD値10%低下につき0.98(0.89~1.07)であり、25-ヒドロキシビタミンD値75nmol/L未満ではログ単位増大につき0.96(0.80~1.15)、50nmol/L未満では同0.93(0.73~1.19)であった。 結果を踏まえて著者は、「より多くの子癇前症を呈した女性や、25-ヒドロキシビタミンD値を上昇させうる遺伝的操作変数を用いて、さらなるメンデル無作為化試験を行うことが必要であろう」とまとめている。

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自己免疫疾患とストレス:過剰ストレスは百害あって一利なし(解説:岡村毅氏)-881

 スウェーデンの大規模コホート研究で、ストレスに関連した精神疾患(PTSDなど)と診断された人は、後に自己免疫疾患と診断されるリスクが高いことが報告されている。貴重な報告である。 体の病気とストレスは関係していそうである。病院で患者さん方の話を聞いていると、あるいは街でおしゃべりをしていると、「Aさんは〇〇と診断されたが、思い返してみると、しばらくストレスの多い生活をしていたらしい。やはりストレスはよくないね」というプロットは定番である。しかし冷静に考えてみれば、ストレスがなければ発症しなかったのか、ということについてはわからないのだ。そうなると、本研究のような大規模な疫学研究の出番である。 以下は精神科医の雑談として読んでいただきたい。 ところで、なぜ自己免疫疾患なのだろうか。受け止めきれないくらいの大きなストレスにさらされたとき、自己と他者の境界は揺らぐが、精神医学的には解離性障害(その記憶をなくす、現実感を失う、などの防衛機制)が生じると考えたくなる。しかし、東大免疫学教室元教授の故多田富雄が『免疫の意味論』(青土社. 1993)の中で、身体的に「自己」を規定しているのは免疫系であって脳ではないと述べたように、自己と他者の境界が揺らぐことで自己免疫疾患が生じることもあるかもしれない(なお本論文にはそういうことは一切書いてなく、普通に視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)のことが書いてあるので、あくまで筆者の妄想ですが)。 また本論文の意義を広い視野で考えると、身体科と精神科のいっそうの協働必要性であろう。あくまで個人的経験だし、「ごーまん」と思われたら謝るしかないが、総合病院においては各診療科の精神医学的センスの格差が大きいことに驚く。どういうことかというと、本当に要注意のケースを的確に精神科受診させる科もあれば、ずれた依頼が多い科、あるいはほとんど依頼してこない科もある。その昔は、患者さんや家族とトラブルがあると「変な人の対応をしてよ」と依頼してくるようなケースもあった(いうまでもなく人間関係のこじれはお断りです)。このセンスの差を決めるのは何であろうか? 個人の力量? 診療科固有の思考形式? 単に、その病院のその診療科の人間関係や雰囲気? 興味は尽きない。 いずれにしても、過度のストレスにいいことは何もない。筋トレだって週に2回くらいが筋肥大にはちょうどいい。医療現場は究極の感情労働であるが、過度のストレスで致命的な転帰に向かうくらいなら、静かに逃げ出して再起を図ってほしい。

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重症だからこそ…重要度増す非専門機関の役割【東大心不全】

急増する心不全。なかでもいまだ課題が残る重症心不全治療の現状と今後の展開について東京大学循環器内科/重症心不全治療開発講座 波多野 将氏に聞いた。重症心不全治療の現状について教えてください。国内での重症心不全は主に拡張型心筋症を基礎疾患としたケースが多いのが特徴です。これらの患者さんは、内科的治療では完全にコントロールしきれず、最終的には心臓移植が必要となります。国内の心臓移植の最新待機患者数(2018年4月末現在)は674人となっています。最近は新規待機登録患者は毎年150人以上増加していますが、ドナーの数が追い付かず、結果として待機患者数そのものが右肩上がりで増加しています。とはいえ、ドナーも年々増加しています。約20年前の臓器移植法制定当時は提供者本人の生前の書面意思表示と遺族の同意を必須としていたため、心臓移植件数は最大でも年間10件超でした。しかし、2010年の臓器移植法改正で本人の生前の意思が不明確な場合は遺族の同意のみでドナーとなれるようになり、過去2年の心臓移植は年間50件超となりました。限界があるとおっしゃった内科治療の現状について教えてください。日本での重症心不全の内科的治療に関しては、専門施設であっても世界的レベルからはやや距離があると個人的には考えています。欧米での重症心不全の内科的治療は、確固たるエビデンスに基づき、早期に患者の忍容性がある限り高用量のβ遮断薬を投与することが標準治療ですが、日本ではこの考え方が十分に浸透していません。この原因はいくつかあります。1つは欧米人に比べて日本人は小柄であるため、薬物治療全体として高用量投与に慎重な傾向があります。2つ目には重症心不全でのβ遮断薬の投与の仕方次第では、導入初期に逆に悪化させることもあり、そのような経験のある医師は高用量投与に消極的になりがちになります。3つ目として日本でのβ遮断薬の承認用量が欧米の半量以下という点も見逃せないと思います。当院の重症心不全例の基礎疾患で最も多い拡張型心筋症に関して言えば、心不全の病期で最重症のステージDの患者さんの7割は即座に移植待機登録をし、移植までの期間は補助人工心臓を使用します。残る3割は補助人工心臓を用いずに移植待機登録をする場合と移植待機登録しない場合に分けられ、その中でβ遮断薬に反応性がある患者さんでは内科的治療を行います。実際、諦めずに内科的治療を行うことでコントロール可能なケースも存在します。一方、移植待機患者の増加などもあって、近年では植込型補助人工心臓の永久使用に関する是非も検討にあげられているようです。そもそも現在の心臓移植の年齢基準や適応基準などで移植対象外の患者さんもいるため、現在臨床試験も行われています。欧米での重症心不全の内科的治療は、確固たるエビデンスに基づき、早期に患者の忍容性がある限り高用量のβ遮断薬を投与することが標準治療ですが、日本ではこの考え方が十分に浸透していません。当院の事例を説明すると、心臓移植を前提とした植込型補助人工心臓の使用例だけでも現時点で60例超で、その対応だけでも相当なマンパワーを要します。これに加え、将来的に永久使用の患者さんが加わると、新たなマンパワー確保という課題が浮上します。また、マンパワーの視点とは別に、永久使用では医療経済的な観点からも賛否両論があります。ただ、海外ですでに永久使用が認められている現実を考えれば、これを日本でどのように導入していくかという現実的な議論と対策が必要だと思います。やはりドナー不足も含めた心臓移植の現状改善が課題のようですが、その点について改善策があれば教えてください。心臓移植では循環器専門医の中でさえ、現実的治療選択肢と認識されていないことが少なくありません。そのため心臓移植が適応となる潜在患者さんは、現状の移植待機患者さんの数倍は存在すると見込んでいます。心臓移植は適応基準や除外基準がありますが、すでに立派な保険診療で重症心不全患者さんは等しくこの治療を受ける権利があります。まずは、多くの医師にそのことを知っていただきたいと思っています。この認識が広まることは一方で、移植待機患者数の増加をもたらし、ひいてはドナー不足をより深刻化させるのではないかとの懸念もあります。しかし、医師の間で心臓移植が現実的治療選択肢との認識を浸透させることは、実はドナー不足の解消にも貢献すると考えています。というのも、心臓移植の適応となるかもしれない重症心不全患者さんを初めてご紹介いただいた医療機関、ドナーを初めて紹介いただいた医療機関共に一度そのような経験をすると、以後立て続けに患者さんやドナーをご紹介いただけることが多いのです。心臓移植ではドナーからの提供の際、脳死判定が必須で提供医療機関は脳死判定委員会設置などの事前体制の整備が必要です。このため、院内体制が未整備の場合、臨床的脳死例が発生しても脳死判定という次のステップに進めません。ただ、逆に一旦判定の仕組みが整備されれば、その後も継続的に運用ができます。その意味でもやはり心臓移植が重症心不全の治療の1つであり、そのためにはドナーが必要になるという認識が広まることが心臓移植の現状改善のカギになると考えています。最も、そうした認識は、ここ4~5年でかなり浸透してきていると個人的には感じています。実際、心臓移植実施件数も昨年、一昨年とほぼ同じペースです。将来的には心臓移植が年間100件を超える日もそう遠いことではないだろうと考えています。東京大学では今年1月から「高度心不全治療センター」がオープンしましたが、その詳細について教えてください。当院では心臓移植開始後、心臓外科と循環器内科の医師とそれぞれの病棟看護師、移植コーディネーター、薬剤師、理学療法士などによる専任のハートチームができ、これまでさまざまなカンファランスを行うなど、良好な関係は築いてきました。新たに発足したセンターでは、循環器内科20床、心臓外科14床という病床区分はあるものの、このチームが1ヵ所に集約され、理想に近い形になったと考えています。従来は循環器内科で管理している植込型補助人工心臓患者さんのジェネレーター交換が循環器内科の病棟看護師では対応できないため、心臓外科病棟に患者さんを移動させて対応するということなどもありました。また、重症心不全では心臓移植後も免疫抑制薬の服用という新たな治療が始まり、事実上一生治療が続きます。そうした状況を考えれば、センターで一貫した治療を提供できることは患者さんの安心感にはつながると思います。重症心不全治療に当たって専門医以外の先生方にお伝えしたいメッセージがあれば教えてください。重症心不全では、心臓移植実施施設は全国で11施設、成人の植込型補助人工心臓実施施設は2018年5月現在で48施設と限定されています。また、各施設のキャパシティーには限界があり、患者さんの治療や日常管理は1施設で完結できません。実際、当院のような心臓移植施設では、待機患者さんの植込型補助人工心臓の管理などでは他の医療機関と協力していますし、新たな心臓移植施設の立ち上げ時の支援をすることもあります。現在、国内では植込型補助人工心臓患者さんの2年生存率、心臓移植患者さんの10年生存率共に90%を超え、移植手術時の周術期死亡率は5%未満と良好な臨床成績を実現していますが、これを維持・向上させるためには適切な時期での介入を強化することにつきます。重症心不全ではある程度を超えてしまうと、元の状態に戻すことは難しくなるというのが実状なのです。その意味では専門医、非専門医共に植込型補助人工心臓、心臓移植という治療の現状をご理解いただき、各地域内での連携を進めていただきたいと思います。講師紹介

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第1回 高齢者糖尿病は何歳から? 何に注意が必要?【高齢者糖尿病診療のコツ】

第1回 高齢者糖尿病は何歳から? 何に注意が必要?Q1 加齢と糖尿病の関係とは?糖尿病の頻度は加齢とともに増加します。平成28年度の国民栄養調査によると、70歳以上の高齢者で糖尿病が疑われる頻度は男性で23.2%、女性で16.8%となっています(図1)。また、糖尿病患者の中で70歳以上の割合は31.9%を占めています。加齢に伴う糖尿病患者の増加は、加齢に伴うインスリン抵抗性の増加、インスリンの追加分泌の低下、身体活動量の低下などが関係していると考えられています。画像を拡大するQ2 何歳以上を「高齢者糖尿病」として注意すべきでしょうか?高齢者糖尿病は一般に65歳以上の糖尿病を指しますが、「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」では、75歳以上の後期高齢者と機能低下がある一部の前期高齢者が、「高齢者糖尿病」として、とくに注意すべき治療の対象とされています。これは、後期高齢者の糖尿病が前期高齢者の糖尿病と比較して、異なる特徴を示しているからです。第一に、高齢糖尿病患者を対象としたJ-EDIT研究における、MMSE(認知機能検査)の点数をみてみると、65~69歳の患者と比較して75歳以上の患者ではじめて有意に低下します(図2a)。また、日常生活動作であるADLも80歳以上で低下します。同じJ-EDIT研究で老研式活動能力指標を用いて、買い物、金銭管理などの手段的ADL、知的活動、社会的役割を含む高次ADLの障害数を評価したところ、80歳以上で有意に高次ADLの障害数が大きくなります(図2b)。画像を拡大するさらに、高齢者は加齢とともに体組成が大きく変化します。65歳以上の入院高齢糖尿病患者を対象に内臓脂肪面積100cm2以上の蓄積の頻度をみると、75歳以上で内臓脂肪蓄積が増加しています(図3a)。さらに、DEXA法で四肢の筋肉量(除脂肪量)をみると、男女ともに80歳以上で有意に低下しています(図3b)。この内臓脂肪の増加と筋肉量の低下は、インスリン抵抗性を大きくすることで、高齢者糖尿病の病態に大きく関わっています。画像を拡大する腎機能も75~80歳以上で有意に低下します。eGFRcreは筋肉量の影響を受けやすく、eGFRcysや血清シスタチンC濃度の加齢変化をみてみると、80歳以上で有意に増加しています(図4)。この腎機能障害は腎排泄性の薬剤(たとえばSU薬)の蓄積をもたらし、低血糖などの副作用を起こしやすくします。低血糖に関しても、80歳以上の患者で救急外来を受診する低血糖や重症低血糖が起こりやすいことが知られています。この重症低血糖の増加の原因は、上記の薬剤の蓄積しやすさに加えて、急性疾患によって食事摂取が低下しやすいこと、認知機能やADLの低下によって低血糖の対処能力が低下することが考えられます。合併症の中では、80歳以上の患者で脳卒中と心不全が起こりやすいことが知られています。上記に加えて、社会サポートが低下しやすいために、自立した生活を送ることが難しくなるだけでなく、インスリン注射などの糖尿病に関するセルフケアも困難になります。画像を拡大する Q3 「高齢者糖尿病」の治療目的・診断は若壮年者と違うのでしょうか?上記の理由から、「高齢者糖尿病」の治療目的は合併症の予防だけではなく、QOLの維持向上を目指し、さらに認知機能障害、ADL低下、サルコペニアなどの老年症候群を予防することにあります(図5)。また、QOLの維持・向上を図るためには、低血糖などを防ぎ、食のQOLを保つことも大切です。さらに、患者のみならず介護者の治療の負担を軽減することも大切です。なお、高齢者糖尿病の診断は若い人と同様に行います。画像を拡大する

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