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EGFR変異肺がん1次治療、ゲフィチニブと化療併用でPFS、OSともに延長(NEJ009)/ASCO2018

 EGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療においては、EGFR-TKIと化学療法を十分に使用することで、さらなる全生存期間(OS)の改善が期待できると考えられる。NEJ005試験では、ゲフィチニブとカルボプラチン+ペメトレキセドの併用が有効性を示した。とくに、両者の逐次使用に比べ、同時使用は、30.7ヵ月に対し、41.9ヵ月とOSを改善した。 未治療のEGFR変異陽性Stage IIIBおよびIV非扁平上皮NSCLCにおいて、ゲフィチニブと化学療法の併用とゲフィチニブ単剤治療を比較した第III相無作為化比較試験NEJ009の結果が、仙台厚生病院 中村 敦氏により、米国・シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。・対象患者:未治療のEGFR変異陽性Stage IIIBおよびIVの非扁平上皮NSCLC・試験薬群:ゲフィチニブ+化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)→ゲフィチニブ+ペメトレキセド・対照群:ゲフィチニブ→プラチナベース化学療法・評価項目:複合主要評価項目はPFS1(初回治療によるPDまで)、PFS2(後治療による2度目のPDまで)、OS。副次評価項目は奏効率(ORR)、安全性、QOL。PFS2解析は、ゲフィチニブ単剤群のPFS2とゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群のPFS1で比較。 主な結果は以下のとおり。・登録患者は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群170例とゲフィチニブ単剤群172例に無作為に割り付けられた。・PFS1中央値は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群20.9ヵ月、ゲフィチニブ単剤群11.2ヵ月であった(HR:0.494、p<0.001)。・PFS2は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群20.9ヵ月、ゲフィチニブ単剤(→プラチナベース化学療法後治療)群20.7ヵ月であった(HR:0.966、p<0.774)。・OS中央値は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群52.2ヵ月、ゲフィチニブ単剤群38.8ヵ月であった(HR:0.685、p=0.013)。・PD1後の生存期間はゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群19.3ヵ月、ゲフィチニブ単剤群23.0ヵ月と、ゲフィチニブ単剤群ではプラチナベース化学療法を受けているにもかかわらず同等であった(HR:1.037、p=0.812)。・全有害事象発現率は、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド群95.9%、ゲフィチニブ単剤群98.3%。好中球減少、貧血、血小板減少といった血液毒性は併用群で多くみられた。■参考ASCO2018 Abstract※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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RSV感染症はインフルエンザよりも怖い?

 2018年6月7日、アッヴィ合同会社は、RSウイルス(RSV)感染症メディアセミナーを都内で開催した。RSV感染症は、2歳までにほぼ100%が初感染を経験するといわれており、乳幼児における呼吸器疾患の主な原因(肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%)として報告されている。セミナーでは、「乳幼児の保護者は何を知らなければいけないか? 変動するRSウイルスの流行期とその課題と対策」をテーマに講演が行われた。 セミナーの後半には、愛児がRSV感染症に罹患した経験を持つ福田 萌氏(タレント)が、トークセッションに参加した。 2018年6月7日、アッヴィ合同会社は、RSウイルス(RSV)感染症メディアセミナーを都内で開催した。RSV感染症は、2歳までにほぼ100%が初感染を経験するといわれており、乳幼児における呼吸器疾患の主な原因(肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%)として報告されている。セミナーでは、「乳幼児の保護者は何を知らなければいけないか? 変動するRSウイルスの流行期とその課題と対策」をテーマに講演が行われた。 セミナーの後半には、愛児がRSV感染症に罹患した経験を持つ福田 萌氏(タレント)が、トークセッションに参加した。RSV感染症の死亡リスクは麻疹の次に高い はじめに、木村 博一氏(群馬パース大学大学院 保健科学研究科 教授)が、「RSウイルス感染症の流行に関する最新の知見」について紹介を行った。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのRobin A. Weiss氏らの研究結果1)によると、RSV感染症の死亡リスクは麻疹の次に高く、インフルエンザよりも上に位置するという。RSV感染症は、乳幼児・高齢者には気管支炎や肺炎を起こすが、青年期や成人期には鼻風邪程度の症状が多いため、知らぬ間に高齢者施設などにウイルスを運び込み、集団感染につながる恐れがある。「高齢者の命の灯を消す病気」ともいわれ、乳幼児だけでなく、高齢者のリスクも考える必要がある。 また、RSV感染症の動向について、数年前から流行時期が早まっており、夏~秋にかけて患者数が増加する傾向が見られるが、地域によってかなり異なるという。以前の調査で、平均気温が26~28℃、湿度が79%以上でRSV感染患者が増加するという結果2)が得られたこともあり、今後の研究によって、流行の早期探知や予測が可能になるかもしれない。ハイリスク群には抗RSV抗体が保険適用になる 次に、山岸 敬幸氏(慶應義塾大学医学部 小児科 教授)が、「RSウイルス流行期変動による実臨床での影響」について、同社が行ったアンケート結果を交えて説明した。2歳未満の子供を持つ親1,800名に対するアンケートで、RSV感染症を「知っている」と答えた割合は50%にも満たなかった。また、RSV感染症を「知っている」「名前は聞いたことがある」と回答した親(1,518名)のうち、近年流行期が早まっていること、流行のタイミングには地域差があることに関して「知っている」と答えた親は、約30%にとどまった。 早産、先天性心疾患、ダウン症候群など、RSV感染症ハイリスク群に指定されている場合、抗RSV抗体であるパリビズマブ(商品名:シナジス)が保険適用となり、RSV流行期を通して月1回の筋肉内注射を打つことで、感染を予防することができる。流行期が早まっているRSV感染症の対応について、山岸氏は「RSV感染症に対する意識・認知度の向上と、感染予防策の徹底、そしてパリビズマブによる予防が重要である」と語った。RSV感染症への対応はインフルエンザと同じ 後半では、両演者と福田 萌氏によるトークセッションが行われた。 福田氏の第1子は、35週の早産だった。「医師からリスクの説明を受け、初めてRSV感染症の存在を知った」と語り、毎月パリビズマブの定期接種に通い、気を付けていたおかげで、RSV感染症にかからずに成長したと当時の苦労を振り返った。その後、第2子は正産期に生まれたため、とくに注意を受けなかったが、生後9ヵ月(昨年の10月)のときに高熱で病院にいったところ、RSV感染症と診断された。そのときの気持ちを聞かれた同氏は「意外だった。第1子のときは気を付けていたのに、(記憶から)抜けてしまっていた」と答えた。 RSV感染症は、リスクの高い低いに限らず、初期症状を見逃すと重症化する恐れがある。「感染症の流行を把握することは、医師が診断を行ううえで非常に重要である。医療者と保護者の双方で、情報を伝え合うことが早期診断につながる」と山岸氏は語った。最後に、木村氏は「2018年は、昨年と同様に夏季~秋季に流行すると予測されている。RSV感染症の予防や流行への対応は、家庭では手洗い、医療機関では標準予防策の徹底が第一だ」と強調した。RSV感染症の死亡リスクは麻疹の次に高い はじめに、木村 博一氏(群馬パース大学大学院 保健科学研究科 教授)が、「RSウイルス感染症の流行に関する最新の知見」について紹介を行った。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのRobin A. Weiss氏らの研究結果1)によると、RSV感染症の死亡リスクは麻疹の次に高く、インフルエンザよりも上に位置するという。RSV感染症は、乳幼児・高齢者には気管支炎や肺炎を起こすが、青年期や成人期には鼻風邪程度の症状が多いため、知らぬ間に高齢者施設などにウイルスを運び込み、集団感染につながる恐れがある。「高齢者の命の灯を消す病気」ともいわれ、乳幼児だけでなく、高齢者のリスクも考える必要がある。 また、RSV感染症の動向について、数年前から流行時期が早まっており、夏~秋にかけて患者数が増加する傾向が見られるが、地域によってかなり異なるという。以前の調査で、平均気温が26~28℃、湿度が79%以上でRSV感染患者が増加するという結果2)が得られたこともあり、今後の研究によって、流行の早期探知や予測が可能になるかもしれない。ハイリスク群には抗RSV抗体が保険適用になる 次に、山岸 敬幸氏(慶應義塾大学医学部 小児科 教授)が、「RSウイルス流行期変動による実臨床での影響」について、同社が行ったアンケート結果を交えて説明した。2歳未満の子供を持つ親1,800名に対するアンケートで、RSV感染症を「知っている」と答えた割合は50%にも満たなかった。また、RSV感染症を「知っている」「名前は聞いたことがある」と回答した親(1,518名)のうち、近年流行期が早まっていること、流行のタイミングには地域差があることに関して「知っている」と答えた親は、約30%にとどまった。 早産、先天性心疾患、ダウン症候群など、RSV感染症ハイリスク群に指定されている場合、抗RSV抗体であるパリビズマブ(商品名:シナジス)が保険適用となり、RSV流行期を通して月1回の筋肉内注射を打つことで、感染を予防することができる。流行期が早まっているRSV感染症の対応について、山岸氏は「RSV感染症に対する意識・認知度の向上と、感染予防策の徹底、そしてパリビズマブによる予防が重要である」と語った。RSV感染症への対応はインフルエンザと同じ 後半では、両演者と福田 萌氏によるトークセッションが行われた。 福田氏の第1子は、35週の早産だった。「医師からリスクの説明を受け、初めてRSV感染症の存在を知った」と語り、毎月パリビズマブの定期接種に通い、気を付けていたおかげで、RSV感染症にかからずに成長したと当時の苦労を振り返った。その後、第2子は正産期に生まれたため、とくに注意を受けなかったが、生後9ヵ月(昨年の10月)のときに高熱で病院にいったところ、RSV感染症と診断された。そのときの気持ちを聞かれた同氏は「意外だった。第1子のときは気を付けていたのに、(記憶から)抜けてしまっていた」と答えた。 RSV感染症は、リスクの高い低いに限らず、初期症状を見逃すと重症化する恐れがある。「感染症の流行を把握することは、医師が診断を行ううえで非常に重要である。医療者と保護者の双方で、情報を伝え合うことが早期診断につながる」と山岸氏は語った。最後に、木村氏は「2018年は、昨年と同様に夏季~秋季に流行すると予測されている。RSV感染症の予防や流行への対応は、家庭では手洗い、医療機関では標準予防策の徹底が第一だ」と強調した。■参考アッヴィ合同会社 RSウイルスから赤ちゃんを守ろう■関連記事入院をためらう親を納得させるセリフ~RSウイルス感染症

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閉経前乳がん術後、卵巣機能抑制の上乗せ効果/NEJM

 閉経前の乳がん患者に対する内分泌療法では、タモキシフェン単独に比べ、タモキシフェン+卵巣機能抑制により、無病生存率と全生存率が改善することが示された。無病生存率はタモキシフェン単独に比べ、エキセメスタン+卵巣機能抑制でも改善が認められた。オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのPrudence A.Francis氏らが、閉経前乳がん患者への内分泌療法について行った2つの無作為化試験、SOFT試験とTEXT試験の最新の結果をまとめたもので、NEJM誌オンライン版2018年6月4日号で発表した。タモキシフェンとエキセメスタンの内分泌療法を5年間実施 SOFT試験では、閉経前乳がん患者を無作為に3群に分け、内分泌療法としてタモキシフェン、タモキシフェン+卵巣機能抑制、エキセメスタン+卵巣機能抑制をそれぞれ5年間実施した。また、TEXT試験では、閉経前乳がん患者を無作為に2群に分け、タモキシフェン+卵巣機能抑制とエキセメスタン+卵巣機能抑制をそれぞれ5年間実施した。無作為化については、化学療法の有無によって層別化した。 これまでに行われた両試験の分析では、タモキシフェン+卵巣機能抑制よりもエキセメスタン+卵巣機能抑制で、5年時の乳がん再発率が有意に低減したことが報告されている。今回Francis氏らは、2試験の最新の結果を報告した。8年無病生存率、タモキシフェン単独群78.9%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群83.2% SOFT試験において8年無病生存率は、タモキシフェン単独群78.9%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群83.2%、エキセメスタン+卵巣機能抑制群85.9%だった(タモキシフェン単独群対タモキシフェン+卵巣機能抑制群のp=0.009)。 8年全生存率は、タモキシフェン単独群91.5%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群93.3%、エキセメスタン+卵巣機能抑制群92.1%だった(タモキシフェン単独群対タモキシフェン+卵巣機能抑制群のp=0.01)。また、化学療法後の閉経前乳がん患者の全生存率はそれぞれ85.1%、89.4%、87.2%だった。 化学療法を受けたHER2陰性患者の8年遠隔転移率は、エキセメスタン+卵巣機能抑制群がタモキシフェン+卵巣機能抑制群に比べ有意に低率だった(SOFT試験では7.0ポイント、TEXT試験では5.0ポイント)。 Grade3以上の有害事象は、タモキシフェン単独群で24.6%、タモキシフェン+卵巣機能抑制群で31.0%、エキセメスタン+卵巣機能抑制群で32.3%報告された。

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80歳以上の収縮期血圧、死亡リスク最低は129mmHg/BMJ

 中国で行われたコミュニティベースの長期前向き試験で、80歳以上の超高齢者では、収縮期血圧値と全死因死亡リスクとの関連はUカーブを示し、収縮期血圧値が129mmHgで同リスクが最低であることが示された。中国疾病管理予防センターのYue-Bin Lv氏らが、同国22省に居住する80歳以上4,658例を対象に行った試験で明らかにし、BMJ誌2018年6月5日号で発表した。Uカーブの関連結果については、収縮期血圧値107~154mmHgを基準に、同値よりも高値では心血管死リスクの上昇が、低値では非心血管死リスクの上昇が関与している可能性があるという。著者は「今回の結果は、超高齢者では高血圧治療が再び重要になり、同年齢群のガイドラインを整備する重要性を強調するものである」とまとめている。3年間追跡し、血圧値などと死亡リスクの関連を検証 研究グループは2011~14年にかけて、80歳以上の4,658例を対象に、縦断的寿命調査を行った。被験者の平均年齢は92.1歳だった。 主要評価項目は、3年追跡時の全死因死亡率および死因別死亡率だった。血圧値や動脈圧などと、全死因死亡リスク、死因別リスクとの関連を検証した。収縮期血圧154mmHg超では心血管死リスクは1.5倍に 追跡期間中の死亡は1,997例だった。収縮期血圧値、平均動脈圧、脈圧と死亡率はUカーブの関連を示し、それぞれ143.5mmHg、101mmHg、66mmHgで最も死亡リスクが低かった。共変量補正後、収縮期血圧値のみで死亡率とのUカーブの関連が示され、129mmHgで最も死亡リスクが低かった。 129mmHgを基点に、収縮期血圧値が107mmHgより低値では全死因死亡リスクは減少した(ハザード比[HR]:75mmHgの1.47[95%信頼区間[CI]:1.01~2.17]から106mmHgの1.08[1.01~1.17]に低下)。一方、154mmHg超では、同値が上がるにつれて全死因死亡リスクの増大が認められた(HR:155mmHgの1.08[1.01~1.17]から190mmHgの1.27[1.02~1.58]に上昇)。 死因別分析では、収縮期血圧が中程度(107~154mmHg)に比べ、154mmHg超では心血管死リスクが増大した(補正後HR:1.51、95%CI:1.12~2.02)。一方で107mmHg未満では、非心血管死リスクの増大がみられた(同:1.58、1.26~1.98)。

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ASCO2018肺がん会員聴講レポート

2018年6月1日から5日まで、米国シカゴにて開催された2018 ASCO Annual Meetingの情報をまとめました。会員現役ドクターによる聴講レポートおよびCareNet.comオリジナルのASCO2018 ニュースを紹介しています。現地シカゴからオンサイトレビューASCO2018肺がん関連ニュース現地シカゴからオンサイトレビュー会員聴講レポートレポーター紹介ASCO2018肺がん関連ニュースケアネットオリジナル肺がん関連のニュースです。今回は、2018年6月1日~5日開催のASCO2018から重要トピックを紹介します。

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発症時間不明の脳梗塞、MRIミスマッチを根拠とするrt-PA静注療法で転帰改善か(中川原譲二氏)-871

 現行ガイドラインの下では、アルテプラーゼ静脈療法は、発症から4.5時間未満であることが確認された急性脳梗塞だけに施行されている。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのGotz Thomalla氏らは、発症時間が不明だが、MRIによって発症が直近の脳梗塞と示唆された患者について、アルテプラーゼ静脈療法にベネフィットがあるかを検討した(多施設共同無作為化二重盲険プラセボ対照試験「WAKE-UP試験」)。その結果、発症時間不明の急性脳卒中患者において、脳虚血領域のMRIによる拡散強調画像(DWI)とFLAIR画像のミスマッチを根拠に行ったアルテプラーゼ静脈療法は、プラセボ投与と比べて、90日時点の機能的転帰は有意に良好であることが示された。ただし、頭蓋内出血は数的には多く認められた(NEJM誌オンライン版2018年5月16日号)。MRIミスマッチを根拠に介入、90日時点の機能的転帰を評価 研究グループは、ヨーロッパの8ヵ国で発症時間が不明の脳卒中患者を集め、アルテプラーゼ静脈内投与群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。すべての患者についてMRIが施行され、DWIで虚血病変が認められるが、FLAIR画像では明らかな高信号域(hyperintensity)が認められず、脳卒中発症がおそらく4.5時間未満と示唆された。なお、被験者のうち、血栓除去術が予定されていた患者は除外した。主要評価項目は、修正Rankinスケール(mRS)による90日時点の神経学的障害スコア(0[障害なし]~6[死亡])が、0または1で定義される良好な転帰とした。副次評価項目は、シフト解析による、アルテプラーゼ群がプラセボ群よりも、mRSのスコアを低下させる尤度とした。治療群で機能的アウトカムは有意に改善、一方で死亡・頭蓋内出血例が上昇 試験は、当初800例を見込んでいたが、無作為化を受けた503例(アルテプラーゼ群254例、プラセボ群249例)の登録時点で、試験継続の資金調達が困難と予想され早期に中止となった。90日時点で転帰良好であった患者は、アルテプラーゼ群131/246例(53.3%)、プラセボ群102/244例(41.8%)であった(補正後オッズ比:1.61、95%信頼区[CI]:1.09~2.36、p=0.02)。90日時点のmRSスコアの中央値は、アルテプラーゼ群1、プラセボ群2であった(補正後共通オッズ比:1.62、95%CI:1.17~2.23、p=0.003)。一方で、死亡は、アルテプラーゼ群10例(4.1%)、プラセボ群3例(1.2%)が報告された(オッズ比:3.38、95%CI:0.92~12.52、p=0.07)。また症候性頭蓋内出血は、アルテプラーゼ群2.0%、プラセボ群0.4%で認められた(オッズ比:4.95、95%CI:0.57~42.87、p=0.15)。アルテプラーゼ静脈療法の治療根拠にtissue-baseの適応が加わる 現行のアルテプラーゼ静脈療法は、当初は発症から3時間未満であることが確認された急性脳梗塞だけが適応とされ(NINDS trial、1995年)、その後、time windowが発症から4.5時間未満まで延長された(ECASS III trial、2008年)。すなわち、アルテプラーゼ静脈療法については、time-baseの適応基準のみが確立されてきた。これに対して、今回の研究は、発症時間が不明であっても、MRIでDWIとFLAIR画像のミスマッチが見られる症例では、アルテプラーゼ静脈療法が有効であることが示され、tissue-baseの適応基準が加わったことになる。脳梗塞の成立には、発症からの時間と虚血組織の残存脳血流が関与することは言うまでもない。DWIとFLAIR画像のミスマッチは、発症からの時間が間もないことを反映する。しかし、残存脳血流がきわめて乏しい症例のDWIでは高信号病変(不可逆病変)がただちに出現するが、FLAIR画像では高信号病変の出現に時間がかかる。急性期のFLAIR画像に高信号病変が見られないことは、必ずしも組織の不可逆的変化の程度を反映しない。本研究におけるアルテプラーゼ群の死亡や症候性頭蓋内出血の増加が、FLAIR画像に高信号病変が見られない重症脳虚血症例に対するtime window外の治療開始を反映している可能性があることを考慮する必要がある。

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私流、最適な不動産投資【医師のためのお金の話】第9回

私流、最適な不動産投資こんにちは、自由気ままな整形外科医です。前回は、不動産投資の目的によって、最適な不動産投資手法を選択する必要があることについてお話ししました。「いきなり不動産投資の目的を明確にしろと言われても、そんなことは考えたこともないし、なかなか具体的に連想することができないなぁ…」と、実際には、このように感じる方が大半ではないでしょうか。それでは参考までに、私がどのような不動産投資の目的で手法を選択しているのかをご紹介しましょう。当初は売却益(キャピタルゲイン)が目的私は2004年から不動産投資を開始したのですが、その主な理由として、2006年ごろにメガバンクの一角である某銀行が、融資方針を従来の積算法から収益還元法に大転換したことが挙げられます。収益還元法とは不動産の収益性に着目した評価方法であり、その不動産から将来的に生み出される価値を現在価値に割り引いて不動産価格を決定します。たとえば、1年間の収益が1,000万円、経費が200万円、還元利回りが10%と査定される不動産があったと仮定します。この場合、不動産価格は下記のように評価されます。不動産価格=(1,000万円-200万円)÷0.10=8,000万円不動産価格が8,000万円と評価されているため、某メガバンクは借主の属性に関係なく、物件の評価価格のみでフルローンを連発していました。わずか2年間でしたが、私のような資金を持たざる者にもチャンスの窓が開いたのです。この波に乗って、郊外立地の「表面上は」評価価格の高い1棟マンションを購入しました。実際には空室に悩まされて苦しい賃貸経営でしたが、2013年以降のアベノミクスで不動産市場が高騰したおかげで売却。大きな売却益(キャピタルゲイン)を得ることができました。現在のメインは賃料収入(インカムゲイン)が目的2013~16年は、売却益を明確に意識して5物件を売却しました。郊外立地の物件を売却する一方で、手元には都市中心部立地の物件を温存しました。私はドミナント戦略(チェーンストアなどが地域を絞って集中的に出店する経営戦略のこと)を採っているため、半径数kmのエリア内に、1棟マンション、コインパーキング、宿泊施設、月極駐車場など、雑多な物件を所有しています。そして、これらの物件群は、賃料収入(インカムゲイン)目的で所有しています。不動産は立地が良いと、空室に悩まされる可能性が低くなります。賃貸不動産投資の最大のリスクは空室率の上昇なので、この点をクリアできると、不動産投資の自動運転化が近付いてきます。自分の時間や労働力を投入しなくても自動的に入ってくる賃料収入は、人生における大きな選択や決断をする際の大きなセーフティーネットになります。賃料収入を目的にすることは、人生の選択肢の幅を広げ、チャンスを得るための大きな武器になるのです。サブで個人所得税の節税対策前述した賃料収入目的の不動産は、すべて法人名義で所有しています。その一方で、私は勤務医という給与所得者でもあるため、個人所得税や住民税の節税も考えなければなりません。これにうってつけなのが「築古木造戸建を利用した節税法」です。減価償却費や経費を給与所得と損益通算することで、圧倒的な節税効果を生むことができます。とくに、年間個人所得が高ければ高いほど、節税効果が大きくなることが魅力です。世間ではふるさと納税がはやっています。しかし、築古木造戸建で得ることのできる経済的メリットは、ふるさと納税よりもゼロが一桁多いのです!目的を達成する最適の不動産投資を考えよう繰り返しますが、将来の夢や現在の状況に即して、不動産投資の目的を考えるとよいでしょう。不動産投資そのものは目的ではなく、あくまで目的を達成するための手段にすぎません。個々の置かれている状況は千差万別ですから、私の例も参考にしながら、先生方の人生の目的を達成するために、最適の不動産投資を考えてみてはいかがでしょう。

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第5回 地域連携室とつながっています【はらこしなみの在宅訪問日誌】

在宅訪問専任薬剤師のはらこし なみです。担当ケアマネがいない方への訪問指示をもらう先日から、A病院受診の方と契約し訪問しています。要支援ですが、介護サービスを利用していないため、担当ケアマネさんがいません。高齢者専用住宅に入居されており、そこのスタッフさんから相談がありました。息子さんは医薬業界の方だとか・・じいちゃん、お薬は持ってきてもらえるんだよ!と言われたそうです。A病院には地域連携室があり、そちらに連絡するとスムーズに話が進みました。月1回診療情報提供書をもらうこと、報告書の送付は直接医師に、などとともに医師の訪問指示を確認。薬局の書式を見たい、と言われたので「診療情報提供書・訪問依頼書」をFAXしました。人工呼吸器と腸ろうのALS患者さんを担当します話は変わって...。ALSの患者さんが自宅に戻る方向で調整が進んでいます。お薬をお届けする予定です。人工呼吸器を装着し、腸ろう...なかなか目にすることがありません。誤解を恐れずに言えば、とっても不安です...!!病院主催の緩和ケア勉強会で、この患者さんの話になりました。専門用語が飛び交う中、訪問看護師さんが「人工呼吸器を扱ったことがないので...」と発言し、(わたしもです!)と心の中で叫びました。「じゃ、勉強会したら?」と先生。勉強会への参加をお願いしました。気管切開の方を訪問しています訪問しているBさんは気管切開し、カニューレを装着しています。スピーチバルブを装着して喉のふるえで、音にします。私は全然聞き取れません(涙)Cさんも気管切開されており、訪問看護師さんがカニューレ交換をされますが、うぐぐ~ごぼ、ヒュー、ズボッ...。ゴメンナサイ、怖くて見ていられませんでした(涙)

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世界のがん患者、10年で28%増加/JAMA Oncology

 世界におけるがん患者が2016年までの10年間で28%増加したことを、世界のがんの疾病負担を調査するGlobal Burden of Disease(GBD)studyの研究グループが報告した。一方、平均年齢調整死亡率は世界195の国や地域のうち143で減少したという。JAMA Oncology誌オンライン版2018年6月2日号に掲載。 本研究は、29のがん種について、195の国や地域における年齢・性別ごとのがん罹患率、死亡率、障害生存年数、損失生存年数、障害調整生命年(DALY)を評価。レベルと傾向は社会人口統計学的指標(SDI)別および経時的に分析された。罹患患者における変化は、疫学転換vs人口転換による変化で分類された。世界のがんの平均年齢調整罹患率は増加、平均年齢調整死亡率は減少 主な結果は以下のとおり。・2016年における世界のがん患者は1,720万例、死亡例は890万例であった。・がん患者は2006年から2016年の間に28%増加した。・高SDI諸国では最も増加が小さかった。・世界において、この変化に対する寄与割合は、人口の高齢化が17%、人口の増加が12%、年齢別比率の変化が-1%であった。・世界的に、男性における最も多いがんは前立腺がん(140万例)であった。・がん死亡およびDALYの主因は、気管・気管支・肺がん(死亡120万例、2,540万DALY)であった。・女性では、乳がんが最も多く(170万例)、がん死亡およびDALYの主因であった(死亡53万5,000例、1,490万DALY)。・2016年のがんによるDALYは、男女合わせて世界で2億1,320万DALYであった。・2006~16年において、世界のがん全体の平均年齢調整罹患率は195の国や地域のうち130の国や地域で増加し、平均年齢調整死亡率は195の国や地域のうち143の国や地域で減少した。 GBD studyの結果はすべて、下記サイトで見ることができる。https://vizhub.healthdata.org/gbd-compare/

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ベンゾジアゼピン耐性アルコール離脱症状に対するケタミン補助療法

 ベンゾジアゼピン(BZD)治療抵抗性アルコール離脱は、利用可能な薬剤に関するエビデンスが限定的であるため、多くの施設において課題となっている。現在、アルコール離脱に対して、NMDA受容体アンタゴニストであるケタミンを用いた研究が報告されている。米国・Advocate Christ Medical CenterのPoorvi Shah氏らは、ICU(集中治療室)におけるBZD治療抵抗性アルコール離脱患者への、症状コントロールに対する補助的なケタミン持続点滴療法の効果およびロラゼパム静注の必要性について評価を行った。Journal of medical toxicology誌オンライン版2018年5月10日号の報告。 2012年8月~2014年8月に、ロラゼパム静注に補助的なケタミン療法を追加した重度のアルコール離脱患者を対象とし、レトロスペクティブレビューを行った。アウトカムは、症状コントロールまでの時間、ロラゼパム静注の必要性、ケタミンの初日および最大日の注入速度、ケタミンの副作用とした。 主な結果は以下のとおり。・分析に含まれた対象患者は、30例であった。・ロラゼパム静注開始後のケタミンの平均開始時間は、41.4時間であった。・すべての患者において、ケタミン開始後1時間以内に初期の症状コントロールが認められた。・ケタミンの注入速度中央値は、初日で0.75mg/kg/時、最大日で1.6mg/kg/時であった。・ケタミン開始後24時間で、ロラゼパムの注入速度の有意な低下が認められた(-4mg/時、p=0.01)。・中枢神経系の副作用が報告された患者はいなかった。・高血圧が2例で報告され、ケタミン関連の頻脈の報告はなかった。 著者らは「BZD治療抵抗性アルコール離脱患者に対するケタミン併用は、症状コントロールを可能とし、ロラゼパム静注の必要性を潜在的に減少させる可能性がある。BZD治療抵抗性アルコール離脱患者のための最適な投与量、開始時期、治療場所を決定するためには、さらなる研究が必要である。NMDA受容体を介するケタミンの作用機序は、BZD治療抵抗性アルコール離脱に対し有益である可能性がある」としている。■関連記事アルコール依存症治療に期待される抗てんかん薬不眠症とアルコール依存との関連アルコール摂取量削減のためのサービングサイズ変更効果

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認知症リスクが高い睡眠時間は?~久山町研究

 日本人高齢者において、「睡眠時間5時間未満もしくは10時間以上」「睡眠薬の使用」が、認知症や死亡の危険因子であることが示唆された。九州大学の小原 知之氏らが久山町研究での調査結果をJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2018年6月6日号に報告。1日睡眠期間と認知症および死亡リスクとの関連を判定 本研究は前向きコホート研究で、対象は認知症でない60歳以上の地域在住日本人。自己申告による1日睡眠期間を、5群(5.0時間未満、5.0~6.9時間、7.0~7.9時間、8.0~9.9時間、10.0時間以上)に分類し、Cox比例ハザードモデルを用いて、1日睡眠期間と認知症および死亡リスクとの関連を判定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中、294人が認知症を発症し、282人が死亡した。・認知症発症率および全死因死亡率は、1日睡眠時間が5.0~6.9時間の参加者に比べ、5.0時間未満および10.0時間以上の参加者で有意に高かった。これらの関連は、潜在的な交絡因子調整後も維持された。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。 睡眠時間5.0時間未満  認知症 HR:2.64、95%CI:1.38~5.05  死亡  HR:2.29、95%CI:1.15~4.56 睡眠時間10時間以上  認知症 HR:2.23、95%CI:1.42~3.49  死亡  HR:1.67、95%CI:1.07~2.60・アルツハイマー病および血管性認知症でも、同様のU字型の関連が認められた。・睡眠薬の使用が認知症や死亡リスクに及ぼす影響を調べたところ、睡眠薬を使用している参加者は、睡眠薬を使用しない1日睡眠時間5.0~6.9時間の参加者に比べ、認知症リスクが1.66倍、死亡リスクは1.83倍であった。

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大腸がん死亡率、術後フォローアップ頻度の影響は?/JAMA

 StageII/IIIの大腸がん患者において、術後のフォローアップ検査(CT画像検査と腫瘍マーカーCEA検査)の頻度を多くしても、少ない場合と比べて、結果として5年全死因死亡率や大腸がん特異的死亡率は有意に低下しないことが、デンマーク・Abdominal Disease CenterのPeer Wille-Jorgensen氏らによる無作為化試験「COLOFOL試験」の結果、示された。大腸がんの根治手術を受けた患者に対するインテンシブなフォローアップは、臨床において日常となっているが、生存ベネフィットのエビデンスは限定的であった。JAMA誌2018年5月22日号掲載の報告。術後6、12、24、36ヵ月時検査群vs.12、36ヵ月時検査群 COLOFOL試験は非盲検無作為化試験で、2006年1月~2010年12月にスウェーデン、デンマーク、ウルグアイの24施設で治療を受けた2,509例の患者を登録して行われた。被験者は、StageII/IIIの大腸がん患者で、根治手術後、2つのスケジュール(術後6、12、24、36ヵ月時:高頻度、術後12、36ヵ月時:低頻度)によるフォローアップ検査(胸部・腹部CTとCEA検査)のいずれかを受けるよう無作為に割り付けられ、5年間フォローアップを受けた(フォローアップ終了は2015年12月31日)。 主要評価項目は、5年全死因死亡率と大腸がん特異的死亡率。副次評価項目は、大腸がん特異的再発率であった。intention-to-treat解析、per-protocol解析の両者を行い評価した。5年全死因死亡率、大腸がん特異的死亡率、再発率とも有意差なし 2,555例が無作為化を受け、intention-to-treat解析には2,509例が包含された(高頻度群1,253例、低頻度群1,256例)。被験者の平均年齢は63.5歳、女性が1,128例(45%)を占めた。試験を完了したのは2,365例(94.3%)であった。 5年全死因死亡率は、高頻度群13.0%(161/1,253例)、低頻度群14.1%(174/1,256例)であった(リスク差:1.1%[95%信頼区間[CI]:-1.6~3.8]、p=0.43)。5年大腸がん特異的死亡率は、高頻度群10.6%(128/1,248例)、低頻度群11.4%(137/1,250例)であった(リスク差:0.8%[95%CI:-1.7~3.3]、p=0.52)。 大腸がん特異的再発率は、高頻度群21.6%(265/1,248例)、低頻度群19.4%(238/1,250例)であった(リスク差:2.2%[95%CI:-1.0~5.4]、p=0.15)。

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扁平上皮肺がん1次治療、アテゾリズマブ+化学療法でPFS延長。高PD-L1群で顕著(IMpower131)/ASCO2018

 Stage IV扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療に対するアテゾリズマブと化学療法の併用に関する第III相試験IMpower131の結果が、米国・シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。 IMpower131試験は、化学療法未治療のStage IVの扁平上皮NSCLCを対象とし、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセルまたはパクリタキセル)の併用と、化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)単独の有効性および安全性を比較検討する、オープンラベル多施設共同無作為化第III相試験である。本試験には、下記の3群に1:1:1に無作為に割り付けた1,021例が登録された。・対象患者:化学療法未治療のStage IVの扁平上皮NSCLC・試験薬群 ・A群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル(Atezo+CP) ・B群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル(Atezo+CnP)・対照群 ・C群(対照群):カルボプラチン+nab-パクリタキセル(CnP)・主要評価項目:B群対C群の治験担当医評価によるITT集団における無増悪生存(PFS)およびITT集団における全生存期間(OS)。今回はB群対C群のPFSの発表。 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値は、Atezo+CnP群6.3ヵ月に対し、CnP群5.6ヵ月(HR:0.71、p=0.0001)、12ヵ月PFS率はそれぞれ24.7%と12.0%であった。・PD-L1サブグループによるPFS  PD-L1高発現(TC3またはIC3)では、Atezo+CnP群10.1ヵ月に対し、CnP群5.5ヵ月であった(HR:0.44)。  PD-L1低発現(TC1/2またはIC1/2)では、それぞれ6.0ヵ月と5.6ヵ月であった(HR:0.70)。  PD-L1発現陰性(TC0かつIC0)では、それぞれ5.7ヵ月と5.6ヵ月であった(HR:0.81)。・奏効率は、Atezo+CnP群49%に対し、CnP群41%であった。・奏効期間は、Atezo+CnP群7.2ヵ月に対し、CnP群5.2ヵ月であった。・全有害事象発現率は、Atezo+CnP群99%に対し、CnP群97%。各治療法における既知の事項と同様であった。 OSベネフィットは次回の中間解析で発表される。■参考ASCO2018 AbstractIMpower131試験(Clinical Trials.gov)■関連記事アテゾリズマブと化学療法の併用、扁平上皮肺がん1次治療でPFS延長(IMpower131)アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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HER2陽性固形がんに対するDS-8201aの効果/ASCO2018

 HER2標的治療は、HER2陽性の進行乳がんおよび胃がんの生存を改善したが、さらなる改善が必要とされる。DS-8201a(トラスツズマブ・deruxtecan)は、HER2受容体をターゲットとした免疫複合体(ADC)であり、幅広い腫瘍に対して活性を示す。現在、進行固形がんの拡大コホートを用いた大規模な第I相試験が行われている。 米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)では、T-DM1治療後のHER2陽性(IHC3+またはISH+)乳がん、トラスツズマブ治療後のHER2陽性(IHC3+またはIHC2+/ISH+)胃がん、HER2低発現(IHC2+/ISH-、IHC1+/ISH-)乳がん、その他のHER2陽性(IHC≧1+またはHER2増幅またはHER2変異)固形がん患者を対象に実施された、この第I相試験の中間解析結果(2018年4月18日データカットオフ)が、愛知県がんセンター 岩田 宏治氏により発表された。 HER2陽性乳がん患者111例、HER2低発現乳がん患者34例、HER2陽性胃がん患者44例、その他のHER2陽性固形がん患者51例が、DS-8201aの推奨用量である5.4または6.4 mg/kgで治療を受けた。 主な結果は以下のとおり。・患者の前治療数の中央値は、HER2陽性乳がん患者7.0、HER2陽性胃がん患者7.5、HER2低発現乳がん患者3.0、その他のHER2陽性固形がん患者3.0であった。・全体として、86.3%の患者で腫瘍縮小効果が確認され、このうち91.5%の患者が6週後の画像評価時に縮小が確認された。全奏効率(ORR)は49.3%であった。・がん種別ORRは、HER陽性乳がん54.5%、HER2低発現乳がん50.0%、HER2陽性胃がん43.2%、その他のHER2陽性固形がん38.7%であった。・病勢コントロール率は、HER陽性乳がん93.9%、HER2低発現乳がん85.3%、HER2陽性胃がん79.5%、その他のHER2陽性固形がんでは83.9%であった。・奏効期間中央値は、HER2陽性乳がんでは未到達、HER2低発現乳がんでは11.0ヵ月、HER2陽性胃がんでは7.0ヵ月、その他のHER2陽性固形がんでは12.9ヵ月であった。・有害事象(Treatment-emergent adverse events)の発現は98.8%、うちGrade3以上は50.2%であった。 DS-8201aは、高度な前治療歴のあるHER2陽性の乳がんおよび胃がん患者に対し、高い抗腫瘍活性を示し、管理可能な安全性プロファイルを示した。■参考DS-8201a第1相試験(Clinical Trials.gov)※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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皮膚がんの遠隔ダーモスコピー診断による費用対効果は?

 遠隔ダーモスコピー診断(teledermoscopy)は、皮膚がん診断の有望な方法となる可能性が報告されているが、経済的な調査はされていなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のCentaine L. Snoswell氏らはオーストラリアでの費用対効果を検討し、遠隔ダーモスコピー診断の利用は、1例当たり54.64オーストラリアドルの追加費用を要するものの、通常の診療情報提供書などによる依頼に比べ、臨床的な解決が26日早まることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「遠隔ダーモスコピー診断の実施を勧告するかどうかは、オーストラリア医療制度の政策決定者が、より低コストか、あるいは臨床的解決までの日数短縮か、どちらを選択するかによる」としたうえで、「臨床的解決の優先が臨床的な意義を果たし、そして患者にとって重要かどうかについての研究を行うことで、遠隔ダーモスコピー診断が推奨されるようになるかもしれない」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年5月9日号掲載の報告。 研究グループは、オーストラリアにおける皮膚がんの診断と治療の紹介過程としての遠隔ダーモスコピー診断の費用対効果を評価する目的で、一般公開されているプライマリケアのデータを活用し、決定分析モデルを作成して費用効果分析を行った。 皮膚がんが疑われる場合の皮膚科専門医への紹介について、遠隔ダーモスコピー診断(デジタルダーモスコピー画像を含む電子紹介システム)と通常診療(診療情報提供書による依頼)の費用を比較した。 主要評価項目は、臨床的な解決までの費用と日数で、臨床的な解決は皮膚科医による診断または一般開業医による切除と定義した。 主な結果は以下のとおり。・決定分析モデルによる解析の結果、臨床的な解決までに要した日数は、遠隔ダーモスコピー診断が平均9日(範囲:1~50)に対し、通常診療のみでは平均35日(同:0~138)で、日数差は26日(95%確信区間[CrI]:13~38)であった。・患者1人当たりの推定平均費用は、遠隔ダーモスコピー診断が318.39オーストラリアドル、通常診療が263.75オーストラリアドルで、差は54.64オーストラリアドル(同:22.69~97.35)であった。・増分費用効果比は、2.10オーストラリアドル/日(同:0.87~5.29)であった。

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大腸がんの術後再発リスクの予測を高精度とする免疫スコア(解説:上村直実氏)-869

 大腸がんの術後再発リスクに関しては、TNM分類や腫瘍組織の分化度により再発リスクが異なることが知られている。一方、最近では、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)などの免疫に関与する治療薬が、肺がんをはじめとする固形がんの治療に大きな役割を果たす時代となってきている。このような現状から、がんの再発予測因子に免疫能に関するパラメータが重要になることが予想されていた。 今回、日本を含む13ヵ国14センターの合同チームにより、大腸がんの腫瘍部と腫瘍浸潤先進部の組織を用いて免疫担当細胞(CD3+T細胞および細胞傷害性CD8+T細胞)の密度によるImmunoscore(免疫スコア)を算出した結果、TNM分類の同じステージであっても、この免疫スコアの高低により大腸がん術後5年間の再発リスクが異なることがLancet誌に報告された。すなわち、腫瘍部および先進部におけるCD3+T細胞とCD8+T細胞の免疫染色動態から定義される免疫スコアが高ければ高いほど、同じTMNステージであっても、再発リスクが低い可能性が示された。さらに、この免疫スコアと再発までの期間に関する関連は、TNM分類のみでなく従来から再発予測因子とされていた年齢、性別、マイクロサテライト不安定などから独立したものであった。 さらなる検証が必要ではあるものの、今回の報告から、TNM分類などの既知の予後因子に免疫スコアを加えた術後再発に関する新たなリスクスコアを作成することにより、大腸がん手術後の治療方針とくにアジュバンドに用いる薬剤を選択して用いることが可能となることが期待される。

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アメリカン・スナイパー【なぜトラウマは「ある」の?どうすれば良いの?】

今回のキーワード心的外傷後ストレス障害(PTSD)過覚醒陰性症状侵入症状進化精神医学心的外傷後成長(PTG)みなさんは、トラウマがありますか? トラウマとはどんなものでしょうか? そもそもなぜトラウマは「ある」のでしょうか? そして、トラウマにどうすれば良いのでしょうか?これらの疑問を解き明かすために、今回は、2015年の映画「アメリカン・スナイパー」を取り上げます。この映画を通して、トラウマを進化精神医学的に掘り下げ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の理解を深め、私たちの身近な「トラウマ」への対策をいっしょに考えていきましょう。アメリカン・スナイパーとは?2000年代のイラク戦争で、スナイパーとして活躍した実在の人物、クリス・カイルの一生が描かれています。彼は、米軍史上最多160人を射殺した伝説のスナイパーとして英雄視されていました。一方で、PTSDの症状で苦しみながらも、良き夫、良き父でありたいと願う一人の男なのでした。クリスは、軽い冗談を言って、よくふざけます。また、後に妻となるタヤと初めて出会った時は、「おれは国のために命を捧げる」と真面目に言い切ります。彼は、もともと、カウボーイにはまる素朴で陽気なテキサス人でした。トラウマとは?そんなクリスは、特殊部隊のスナイパーとして、4回に渡り戦地に派遣され、合計1000日ほど戦地で過ごします。彼は、帰ってくるたびに、少しずつ人が変わっていきます。このトラウマの症状(PTSD)を主に3つに分けて整理してみましょう。(1)過覚醒―「心のアレルギー反応」現地のアメリカの協力者が、反政府武装勢力に捕らえられ、見せしめにその子どもがドリルで傷付けられ殺されるというおぞましいシーンがあります。それを目の当たりにしたクリスは、その後帰国してから、些細な機械音に落ち着かなくなります。車の修理場で、ドリルの音を聞いただけで、何度もびくっとします。特定の刺激に敏感になっています(易刺激性)。赤ちゃんが生まれた時、自分の赤ちゃんが泣いているのに放っておかれていると思い込み、看護師を怒鳴りつけます(易怒性)。和気あいあいとしたバーベキューパーティで、子どもにじゃれてきた犬を噛み付いてきたと勘違いして、殴り殺そうとします(警戒心)。1つ目は、このように平穏なはずの自国でも常に戦闘態勢になってしまう過覚醒です。まさに、戦地での音や窮地の状況などの記憶が「アレルギー物質」となり、似たような音や状況で「心のアレルギー反応」を引き起こしていると言えます。(2)侵入症状―「心の囚われ」クリスは、帰国して家のリビングルームにいても、頭の中では銃声や爆撃の音、子どもの泣き声や叫び声が聞こえ、戦地での場面場面が見えています(フラッシュバック)。もちろん目の前のテレビはついていません。血圧を測定すると170/110で、治療が必要な高血圧になっています。妻から「心も戻ってきて」「もう行かないで」と何度も懇願されても、取り憑かれたように「国を守る」と言い、また戦地に向かいます。原作では、自国で銃撃戦のシミュレーションゲームを行っている時は心拍数と血圧が安定していて、ゲームが終了するとどちらも不安定になったと述べています(自律神経症状)。4度目の派遣を終えて帰国した時は、落ち着かず、すぐに家に帰れない精神状態になっていました(不安焦燥)。2つ目は、このような極限状況の体験が侵入してくる侵入症状です。まさに、戦地の状況に取り憑かれ、染まってしまう「心の囚われ」が起こっています。(3)陰性症状―「心の麻痺」クリスは、帰国しても落ち着かず、外出を避けるようになります(回避)。妻との何気ない話も上の空です(集中困難)。そして、子どもたちの成長を聞いても、喜ぶどころか無表情で無感情になっています(感情麻痺)。診察した医師から「160人も殺した経験を後悔していないか?」と問われると、「全く後悔していない。おれは野蛮人から味方を守っただけだから。そのことは神にも説明できる」「後悔しているのは、味方を救えなかったこと」「また戦地へ行って、もっと救いたい」と答えます。また、原作で彼は、戦地から帰国する時に「仲間を見捨てて逃げているように感じていた」と述べています。彼は自分が生き残っているのに十分に役に立てなかったという罪悪感を抱いているのでした(サバイバーズ・ギルト)。ある時、街中でたまたま出会った元兵士から「自分を救ってくれた」と感謝されますが、クリスは覚えていません。原作で彼は、「覚えているのは、救った人ではなく、救えなかった人だ」「その顔や場面だ」と言っています。彼にヒーロー願望はないのでした。3つ目は、このような抜け殻になってしまう陰性症状です。まさに、戦地での体験によって「心の麻痺」が起こっています。なぜトラウマは「ある」の?なぜトラウマになるのでしょうか? それは、クリスのように戦地で死にそうになったり、目の前で人が死ぬなど重度ストレスがあるからです。それでは、そもそもなぜトラウマは「ある」のでしょうか? そのメカニズムを大きく3つに分けて、進化精神医学的に考えてみましょう。(1)危険に備える約5億年前に誕生した魚類は、天敵などの危険に警戒する扁桃体を進化させました。重度ストレスとなる大きな危険を体験した後は、同じように危険な目に遭っても逃げられるように、易刺激性や警戒心など常に交感神経が亢進した過覚醒が出現するようになったと考えられます。つまり、トラウマの症状である過覚醒は、その危険に備えるために必要なメカニズムだから、「ある」と言えるでしょう。(2)危険を避ける約2億年前に誕生した哺乳類は、生まれてからより多くの記憶の学習をする脳を進化させました。重度ストレスとなる大きな危険を体験した後は、同じように危険な目に遭わないように、フラッシュバックや悪夢など繰り返し、その時の状況を疑似体験できる侵入症状が出現するようになったと考えられます。つまり、トラウマの症状である侵入症状は、その危険を避けるために必要なメカニズムだから、「ある」と言えるでしょう。(3)危険に染まる約700万年前に誕生した人類は、その後森から草原に出て、協力するために集団に合わせる脳を進化させました(社会脳)。重度ストレスとなる大きな危険を体験した後は、同じような危険な目に遭っても、感情麻痺やサバイバーズ・ギルトなどのように、取り乱さずに集団のために役に立とうと順応する陰性症状が出現するようになったと考えられます。ただし、PTSDから二次的に併発したうつ病の症状は、陰性症状とは別に分けて考えます。つまり、トラウマの症状である陰性症状は、その危険に染まるために必要なメカニズムだから、「ある」と言えるでしょう。トラウマに対してどうすれば良いの?それでは、トラウマに対してどうすれば良いでしょうか? クリスほどのトラウマではないにしても、私たちも同じように忘れたくても忘れられない「トラウマ」があるでしょう。例えば、いじめ、裏切り、仕事の失敗、そして失恋などです。クリスが除隊後にしてきたことを通して、私たちの「トラウマ」にもできる対策を大きく3つに分けてみましょう。(1)トラウマを色あせさせるクリスは除隊後、息子を猟に連れ出し、娘を牧場に連れ出すなど家族との時間を大切にしています。戦地で脳に刻まれたトラウマの記憶よりも、平和な日常生活の記憶が上書きされていきます。このように、1つ目はトラウマを色あせさせることです。これは、時間をかけて普通に日常生活を送ることを積み重ねることです。最近では、そもそもトラウマにさせない、PTSDの発症の予防策の研究が進められてます。それは、トラウマ体験から6時間以内にコンピューターゲームのテトリスをやり続けることです。これは、記憶の学習をするレム睡眠中にゲーム体験の学習を多く占めるように仕向けることで、逆にトラウマ体験の学習をある程度阻害することができると説明されています。私たちも同じように、つらいことがあった時は、そればかりに思い悩まずに、代わりに別のことをやる、つまり気晴らしが治療的であると言えるでしょう。(2)トラウマを共有するクリスは除隊後、体や心に傷を負った帰還兵の戦地での体験談を聞きます。また、射撃訓練を通して、帰還兵のサポートという役回りを買って出ます。帰還兵たちとのつながりを大切にしています。このように、2つ目はトラウマを共有することです。これは、お互いに分かり合えて助け合える自助グループなどの集団療法にもつながります。支えることは支えられることでもあります。私たちも同じように、つらいことがあった時は、それを心の奥底に押し込めるのではなく、分かってもらえる人に話す、つまり心の風通しが治療的であると言えるでしょう。(3)トラウマを塗り替えるクリスは除隊後、イラク派遣での経験を生かし民間軍事会社を設立し、講演活動や執筆活動を行っています。160人も殺したことに後悔を持たないよう、その経験を次のキャリアに役立てています。このように、3つ目はトラウマを塗り替えることです。これは、トラウマに新たなプラスの意味付けをする認知行動療法や眼球運動脱感作再処理法(EMDR)にもつながります。私たちも同じように、つらいことがあった時は、それを単なる黒歴史のままにしておくのではなく、笑い話のネタにする、つまりユーモアのセンスが治療的であると言えるでしょう。PTSDからPTGへクリスは、やがてトラウマを乗り越えます。再び、冗談ばかりを言う家族思いのかつてのクリスに戻ります。そして、帰還兵を支援し、会社を興すなどの社会貢献をして、人生をより前向きに生きるようになります。もはやただのカウボーイ好きではなくなりました。このように、トラウマは、心の傷というマイナス面だけでなく、傷が癒えた後に成長するというプラス面もあることが分かります。これは、心的外傷後成長(PTG)と呼ばれています。私たちは、PTSDからPTGへというトラウマの両面性をより良く理解することで、この映画から、より多くのことをよりリアルに学ぶことができるのではないでしょうか?1)アメリカン・スナイパー:クリス・カイルほか、ハヤカワ文庫、20152)こころの科学「トラウマ」:加藤寛編、2012年9月号3)PTGの可能性と課題:宅香菜子編、金子書房、2016

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「最近、楽しいことがない」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第18回

■外来NGワード「何か、趣味を見つけなさい!」(患者に投げやりな言動)「何か、楽しいことをしなさい!」(具体的な解決方法がない言動)「人生、楽しいことばかりじゃありません」(説教とも捉えられる言動)■解説 国際連合が2012年から毎年発表している「世界幸福度報告書」の2018年版1)によると、156ヵ国中、幸福度ランキングの上位を占めたのはフィンランド、ノルウェー、デンマークなどの北欧で、日本は54位でした。この幸福度は、人口当たりのGDP、社会的支援、健康寿命、生き方の自由度、他者への寛容さ、社会への信頼感を主な指標として、過去3年間の平均値を算出しています。個人の幸福度は、「家族・友人・仲間がいる、仕事や役割がある、楽しみを持っている、健康である、運動習慣がある、経済的に余裕があること」などで左右されると言われています。最初のポジティブ心理学における強み研究では、「寝る前に3つの良いことを書き出す作業を1週間続けると、その後6ヵ月間にわたって幸福度が向上し、抑うつ度が低下した」と報告されました2)。その後の研究では、自分の強みを見つけ、それを活用することが幸福度を向上させることが明らかになりました3-5)。たとえば、向学心(知恵・知識)、熱意、他人から愛される人間性、チームワーク、謙虚さ、感謝、未来への希望など、自分の強みを見つけたら活用法を考えることができますが、そんな立派なもの持っていない…という患者さんには、日常の小さな幸せを見つけてもらいましょう。今日の朝ごはんがおいしかったとか、街中で見かけた花がきれいだったとか、今日はすっきり晴れて気持ちのいい天気だったとか、何でもよいのです。幸福度の向上作戦を、試してみてはいかがでしょうか。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師最近の調子はいかがですか?患者身体の方は大丈夫なんですが、昔ほど毎日が楽しくないんです。医師なるほど。(うつ病を除外したあとに)とくに、うつなどの症状はなさそうですし…。楽しくなる方法を、一緒に考えてみますか?患者よろしくお願いします。医師1週間だけ、寝る前に10分間やってほしいことがあるんです。患者それは何ですか?(興味津々)医師その日にあった良いこと、楽しいことなどを3つ思い出してみてください。患者えっ、それだけでいいんですか?医師はい。それをこの紙に書き出して、どのように感じたか、メモをしてみてください。患者なるほど。医師1週間続けると、その後半年もの期間、幸福度が増したという研究結果があるんです。患者すごいですね。それなら、ちょっとやってみようかな。医師やり方にも工夫がありますので、やってみた感想を次回、教えてもらえますか?患者はい。わかりました。(うれしそうな顔)■医師へのお勧めの言葉「1週間、寝る前に、その日あった良い出来事を3つ書き出してみませんか?」■参考スライド1)World Happiness Report20182)Seligman ME, et al. Am Psychol. 2005;60:410-421.3)Seligman ME, et al. Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci. 2004;359:1379-1381.4)Tse S, et al. Int J Soc Psychiatry. 2016;62:281-291.5)Gander F, et al. Front Psychol. 2016;7:686.

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バージャー病〔Buerger's disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義動脈閉塞症の1つである。バージャー病(Buerger's disease)の呼称は、本疾患を閉塞性血栓血管炎(thromboangiitis obliterans:TAO)として初めて記述したLeo Buerger(ドイツ語読みではビュルガー)氏に由来する。四肢末梢の主として下腿以遠や前腕以遠の動脈に、分節的に炎症性の血栓閉塞を生じ、しばしば肢端に潰瘍や壊死を来す。動脈のみならず、皮下静脈にも移動性かつ再発性の血栓性静脈炎(逍遥性静脈炎/遊走性静脈炎)を生じる。発病や経過には喫煙が深く関与する。■ 疫学20~40代の喫煙者に好発し、男性患者が大半である。動脈病変が生じる頻度は、下肢のほうが上肢よりも高い。元より希少疾患であるが、先進国ではさらに減少し、わが国でも1970年代から減少の一途をたどっている。一方で、中国、インド、トルコなどでは依然として比較的多くの発症がみられる。■ 病因病因は未解明だが、喫煙は発病の強力な誘因であり、病気の進行を助長する。感受性遺伝子や免疫機序の関連を指摘した報告もある。近年では、歯周病菌感染の関与が注目されている。■ 症状初診時の症状は、足趾や手指の冷感、感覚異常、疼痛、虚血性紅潮やチアノーゼ、レイノー現象が多く、すでに潰瘍や壊死を生じている患者も少なくない。間歇性跛行や労作時痛は、初期には足底筋や手部に生じるが、患者にはあまりはっきりと自覚されないことが多く、虚血による症状とも気付かれにくい。あるいは整形外科的な疾患と判断されがちである。虚血のせいで、爪周囲のささくれや靴擦れなどささいな傷が、治りにくく易感染性で、しばしば急速に潰瘍形成や壊死へと進行する。潰瘍や壊死部には、強い疼痛を伴うことが多い。逍遥性静脈炎は、動脈病変に先行することも、後から生じることもある。皮下に索状の有痛性硬結を生じる。■ 予後喫煙が影響する。病勢は禁煙によって寛解することが多く、逆に喫煙を続ければ進行性で、肢の大切断への危険が高まる1)。肢の大切断は、患者の運動機能を低下させ、生活を著しく阻害する。通常は四肢以外の臓器が侵されることはなく、生命予後は良好とされるが、患者を生涯観察したデータは少ない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)特異的な診断マーカーがないため、臨床診断、すなわち症状および臨床所見と動脈の画像所見に基づき、他疾患を除外して診断を行う。若齢発症、喫煙歴、逍遥性静脈炎の既往は、本疾患の診断を後押しする2)。■ 臨床所見前述のような慢性虚血の症状や、逍遥性静脈炎がみられる。身体診察では、患肢の末梢部での皮膚温低下や、動脈拍動の減弱・消失をみる。下肢の虚血を確認する検査には、足関節血圧や足関節上腕血圧比(ankle brachial index:ABI)の測定がある。ただし、本疾患では足関節以遠に病変を有することが多く、ABIだけでは評価が不十分なこともありうる。したがって、手足の指尖容積脈波、足趾血圧や足趾上腕血圧比(toe brachial index:TBI)、手指血圧も測定する。皮膚灌流圧(skin perfusion pressure:SPP)や経皮酸素分圧(transcutaneous oxygen tension:tcPO2)などの微小循環検査も虚血の重症度評価に役立つ。レイノー現象の再現には、冷水負荷でのサーモグラフィー検査が有用である。■ 動脈の画像所見通常、下腿以遠や前腕以遠の動脈に病変がある。病変部には、動脈硬化性の壁不整(虫食い像、石灰化沈着など)がない。閉塞は途絶状や先細り状が多く、多発的分節的閉塞を呈する。また、しばしば二次血栓による閉塞の延長を伴う。慢性閉塞であるため側副血行路が発達し、コルクの栓抜き状(コイル状)や樹根状、ブリッジ状を呈する3)。ただし、これらは動脈硬化のない慢性動脈閉塞に共通の非特異的な所見であり、膠原病などでも類似の所見がみられる。膠原病では側副血行路の発達が乏しいとされるが、画像だけから両疾患を鑑別するのは難しい。■ 鑑別すべき疾患とくに閉塞性動脈硬化症との鑑別が重要である。病理組織学的には明らかに異なる疾患であるが、動脈の組織診を行うのは容易ではないため、画像検査で罹患部位に動脈硬化の所見がないことが、1つの重要な鑑別点である。患者が動脈硬化の危険因子を喫煙歴以外に有さないことも、鑑別診断の材料になる。しかし、近年は若年者でも脂質代謝、耐糖能、血圧の異常を有することが多い。加えて、動脈硬化は10代から始まるともいわれる。さらに、画像診断が進歩し、微細な初期変化を捉える可能性もあるため、診断にはより慎重な判断が求められる。全身性エリテマトーデスや強皮症などの膠原病との鑑別のためには、発熱や体重減少などの全身症状、他臓器の血管炎症状、免疫学的血液検査の所見などを評価する。外傷性動脈血栓症との鑑別には外傷歴が重要で、慢性外傷の可能性も念頭に、職業歴やスポーツ歴など患者の訴えに上がらないことも含め、多方面から病歴聴取を行う。とくに上肢で近位部に病変がある場合は、胸郭出口症候群による血栓症や塞栓症も疑う。下腿の虚血性疾患として、膝窩動脈捕捉症候群や膝窩動脈外膜嚢腫との鑑別には、膝窩部の触診と、動脈周囲の軟部組織を含めた画像検査を行う。動脈と静脈の両者を侵す疾患である血管ベーチェット病とは、口腔内アフタや陰部潰瘍など、他の皮膚症状や眼病変、動脈瘤の検索などを行い鑑別する。心房細動や心筋梗塞後の左室瘤に起因する血栓塞栓症との鑑別には、心エコー図検査が有用である。動脈瘤からの飛散血栓による塞栓症や、動脈壁の不整形粥腫に起因するコレステリン塞栓症などとも鑑別を要する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)バージャー病の治療目標は、救肢ならびに疼痛からの解放である。耐え難い疼痛は患者の精神をむしばむことがあり、若年での肢切断は生活と将来に多大なダメージを与える。治療における最重要かつ最難関の課題は、「禁煙」である。タバコは本疾患の誘発および増悪因子であるため、すべての患者で最初に行うのは禁煙を含めた保存的治療である。禁煙を厳守し続ければ、それだけで病状の寛解は期待できる。逆に、喫煙を続ければ、指趾や肢の切断に至る危険が高まる。保存的治療で重症虚血が軽快しない患者では、外科的治療を考慮する。いかなる治療も、有効性は禁煙を継続できるか否かによって左右されうる。■ 保存療法本疾患の炎症を抑える特効薬はない。禁煙を徹底し、受動喫煙も回避する。手足に傷や靴擦れをつくらないよう保護し、清潔を保つ。履物にも注意し、手足の皮膚に異常がないかを患者自身でも観察してもらう。本疾患の発症には歯周病菌の関与も示唆されており、口腔内の衛生も保つ。潰瘍や壊死、安静時痛がなく、ある程度の距離を歩行できる患者では、運動療法も間歇性跛行の歩行距離の延長に効果がある。血流改善を目的とした薬物治療では、プロスタグランジン製剤(アルプロスタジル注、リポPGE1、リマプラスト、ベラプロスト)が有効といわれる。ただし高いエビデンスは示されておらず、無効例も少なくない。経口投与で効果が不十分な場合は、経静脈投与やカテーテル留置による経動脈投与も考慮する。■ 外科的治療保存療法で安静時疼痛や潰瘍・壊死が改善しない場合は、血行再建術を考慮する。ただし、下肢では病変が下腿以下の細径動脈に多発し、良好なrun-offを期待できる開通先がないことが多い。下腿以下へのバイパス手術では、代用血管に自家静脈の使用が勧められるが、自家静脈が静脈炎で荒廃し、利用できない場合もある。近年では血管内治療について、再狭窄率が高く反復治療を要するものの、肢切断の回避率はバイパス術と劣らず、バイパス手術が不可能な患者に対しては選択可能との見解もある4)。血行再建術が不可能な患者では、上肢では胸部の、下肢では腰部の交感神経遮断術を考慮する。虚血が改善しない肢には、激しい疼痛を伴うことが多い。一般の鎮痛薬では疼痛制御が困難なことが多く、オピオイド系鎮痛薬がしばしば必要になる。フェンタニル貼付薬は、保険診療にて使用可能である。これらの治療で改善しない潰瘍や疼痛、広範囲な壊死や荷重部の壊死、制御できない感染を伴う場合などは、肢切断もやむを得ない。上肢では交感神経遮断で症状が落ち着くことが多く、血行再建術や大切断を要することは少ない。4 今後の展望血管内治療のデバイスや技術の進歩は、近年目覚ましい。バイオテクノロジーを駆使した、各種の血管新生療法(遺伝子治療、細胞移植療法など)5)や、抗血栓性に優れた人工血管の開発も著しい進展をみせており、本疾患の肢虚血でも治療の向上が期待される。また、病因の解明が進めば、本疾患の予防や根治的な治療にもつながりうる。5 主たる診療科血管外科、心臓血管外科、循環器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター バージャー病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)厚生労働科学研究費補助金・難治性疾患等政策研究事業 難治性血管炎に関する調査研究(医療従事者向けの情報)患者会情報北海道バージャー病友の会(患者とその家族向けの情報)1)Shigematsu H, et al. Int Angiol. 1999;18:58-64.2)Shionoya S. Cardiovasc Surg. 1993;1:207-214.3)塩川優一 編集. 厚生省特定疾患系統的血管病変に関する調査研究班臨床分科会報告書.厚生省公衆衛生局難病対策課;1977.p.1-38.4)Ye K, et al. J Vasc Surg. 2017;66:1133-1142.5)Kondo K, et al. Circ J. 2018;82:1168-1178.公開履歴初回2018年06月12日

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医療監修がしっかりしているマンガ【Dr.倉原の“俺の本棚”】第6回

【第6回】医療監修がしっかりしているマンガ医療マンガってたくさんあるんですけど、比較的医療監修がしっかりしているなと感じるものに、『医龍』(小学館)、『コウノドリ』(講談社)などがあります。いずれもすでにテレビドラマ化されている、有名作品です。私はその中でも、『コウノドリ』は群を抜いて監修がしっかりしているなと感じています。医療監修って大事ですよね。最近、テレビドラマの『ブラックペアン』で治験コーディネーターの役割が実際と違うだの、医学論文のインパクトファクターの扱いがおかしいだの、いろいろ意見が出ました。医療監修は入っているんでしょうけど、「実際の現場と全然違う」という違和感があると、医療従事者はどうも楽しめなくなってしまいます。とか言いつつ、わが家では夫婦そろって『ブラックペアン』を毎週見ているんですけど。いかん、話が脱線してしまった。そうそう、医療監修の話。医療マンガを紹介するからといって、ここで周知の『コウノドリ』を紹介するようでは、何も面白くない。とゆーわけで! 皆さん、『麻酔科医ハナ』をご存じでしょうか?『麻酔科医ハナ』松本 克平/著(監修)・なかお 白亜/画.双葉社.2008-(連載中)これも医療監修がしっかりしているなぁと感じる、私のお気に入り医療マンガの1つです。医師の中でも、10人に2人くらいしか知らないと思います。初期研修が終わったばかりの後期研修医である、華岡ハナ子が主人公です。大学病院の麻酔科に入局したピヨピヨ麻酔科医です。『医龍』や『コウノドリ』のようなシリアスな話は少なく、基本的にはコミカルで、のほほんとした話が多いです。また、男女ともにウケがよさそうな、ほんわかしたきれいな絵です。ちょっと主人公の巨乳が強調され過ぎたり、セクハラが日常茶飯事で登場したり、今の時代にはケシカランことも描かれていますが、出てくる麻酔の場面やトラブルなどが非常にリアルで、使用する物品も実際使われているものが多いです。かなり医療監修を厳格にしている印象です。とくに、若手医師の皆さんなら絶対に楽しめると思うので、ぜひ読んでみてください。麻酔科ローテートの前に読むと、ちょうどいいかもしれませんね。まだ6冊しか出ていないので、全巻一気に買っても損はしませんよ。しかし、1年に1冊発刊されるかされないか、というペースでの出版なので、ファンとしてはなかなかじれったいマンガです。『麻酔科医ハナ』 既刊6巻(アクションコミックス)松本 克平/著(監修)・なかお 白亜/画出版社名双葉社定価各巻本体600円+税サイズB6判刊行年2008年~2017年(1~6巻)

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