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ART未治療HIV-1感染患者へのドルテグラビル+ラミブジン/Lancet

 抗レトロウイルス療法(ART)歴のないHIV-1感染成人患者において、ドルテグラビル+ラミブジンによる48週間の治療は、ガイドラインで推奨される3剤レジメンに対して非劣性であることが検証された。アルゼンチン・ブエノスアイレス大学のPedro Cahn氏らによる多施設共同無作為化二重盲検非劣性第III相試験「GEMINI-1」および「GEMINI-2」の結果で、忍容性プロファイルは類似しており、著者は「2剤レジメンはHIV-1感染患者の初回治療として支持される」とまとめている。2剤レジメンは、現在の標準治療である3剤以上を併用するレジメンと比較して、長期にわたる薬物曝露やARTの毒性を減少させる可能性があると考えられていた。Lancet誌オンライン版2018年11月9日号掲載の報告。ドルテグラビル+テノホビル/エムトリシタビンの3剤レジメンと比較 GEMINI-1試験とGEMINI-2試験は、同一試験デザインで21ヵ国192施設において実施された。対象は、HIV-1 RNAウイルス量が50万コピー/mL以下のART歴のない18歳以上のHIV-1感染患者で、2剤レジメン(ドルテグラビル50mg+ラミブジン300mgの1日1回経口投与)群、または3剤レジメン(ドルテグラビル50mg+テノホビルジソプロキシルフマル酸塩300mg/エムトリシタビン200mgの1日1回経口投与)群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。患者と治験担当医は、治療の割付について盲検化された。 主要評価項目は、intention-to-treat-exposed集団における48週時のHIV-1 RNA量が50コピー/mL未満の患者の割合(Snapshotアルゴリズム解析)で、非劣性マージンは-10%とし、治験薬を1回以上服用したすべての患者(安全性解析対象集団)において安全性を評価した。2剤レジメンの3剤レジメンに対する非劣性を確認 2016年7月18日~2017年3月31日に、両試験で計1,441例が無作為に割り付けられた(2剤レジメン群719例、3剤レジメン群722例)。 48週時のHIV-1 RNA量が50コピー/mL未満の患者の割合は、GEMINI-1試験では2剤レジメン群90%(320/356例)、3剤レジメン群93%(332/358例)(補正群間差:-2.6%、95%信頼区間[CI]:-6.7~1.5%)、GEMINI-2試験ではそれぞれ93%(335/360例)、94%(337/359例)(補正群間差:-0.7%、95%CI:-4.3~2.9%)であり、両試験とも非劣性が示された(併合解析:2剤レジメン群91%[655/716例]vs.3剤レジメン群93%[669/717例]、補正群間差:-1.7%、95%CI:-4.4~1.1%)。 薬剤関連有害事象の発現率は、3剤レジメン群で2剤レジメン群より高かった(24% vs.18%)。有害事象により試験を中止した患者はいずれも少なかった(3剤レジメン群2%、2剤レジメン群2%)。GEMINI-2試験において2剤レジメン群で死亡が2例報告されたが、いずれも治験薬との関連はないと判定された。

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CABGでのグラフト採取、内視鏡下 vs.切開法で長期転帰に差なし/NEJM

 冠動脈バイパス術(CABG)における静脈グラフト採取法について、切開採取と内視鏡下採取で主要有害心血管イベント(MACE)に有意差は確認されなかった。米国・VAボストン・ヘルスケアシステムのMarco A. Zenati氏らが、CABGにおける切開/内視鏡下静脈グラフト採取法の長期臨床アウトカムを評価した多施設共同無作為化試験(Randomized Endovein Graft Prospective trial:REGROUP試験)の結果を報告した。伏在静脈グラフトは、CABGで最も一般的であるが、静脈グラフト採取法の長期アウトカムへの影響はこれまで十分に明らかにはされていなかった。NEJM誌オンライン版2018年11月11日号掲載の報告。1,150例対象に、MACE発生率を評価 研究グループは、米国の退役軍人心臓外科センター16施設において、CABG実施予定患者を、切開静脈グラフト採取法(切開)群、または内視鏡下静脈グラフト採取法(内視鏡下)群のいずれかに無作為に割り付けた。 主要評価項目は、MACE(全死因死亡、非致死的心筋梗塞、血行再建術再施行の複合)とし、創部合併症も同様に評価した。統計解析は、Cox比例ハザードモデルを用いてintention-to-treat集団で実施された。 2014年3月~2017年4月の期間で、計1,150例が無作為化を受けた(切開群574例、内視鏡下群576例)。追跡中央値約3年、内視鏡下採取と切開採取のMACE発生率に有意差なし 追跡期間中央値2.78年において、主要評価項目であるMACEは、切開群で89例(15.5%)、内視鏡下群で80例(13.9%)が確認された(ハザード比[HR]:1.12、95%信頼区間[CI]:0.83~1.51、p=0.47)。死亡は、切開群46例(8.0%)、内視鏡下群37例(6.4%)(HR:1.25、95%CI:0.81~1.92)、心筋梗塞は、それぞれ34例(5.9%)および27例(4.7%)(1.27、0.77~2.11)、血行再建術は、35例(6.1%)および31例(5.4%)(1.14、0.70~1.85)であった。 創部感染は、切開群で18例(3.1%)、内視鏡下群で8例(1.4%)に認められた(相対リスク:2.26、95%CI:0.99~5.15)。 なお、著者は、グラフト開存の画像評価がないことや、多くの患者が男性であったことなどを研究の限界として挙げている。

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妊娠中の有害なライフイベントと5歳時のADHD症状との関連

 妊娠中の有害なライフイベントの経験は、子供のADHDと関連があるといわれているが、家族性交絡の影響はよくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMina A. Rosenqvist氏らは、妊娠中の有害なライフイベントが、子供のADHD症状と関連しているかを明らかにするため、家族性の要因について検討を行った。Journal of Child Psychology and Psychiatry誌オンライン版2018年10月27日号の報告。 人口ベースのノルウェー母子コホート研究(Norwegian Mother and Child Cohort Study)に参加した子供3万4,751例(6,427例の兄弟姉妹を含む)のデータを収集した。母親からは、妊娠中に特定のライフイベントを経験したかどうかの報告を収集した。5歳時のADHD症状は、Conners' Parent Rating Scale-Revised(CPRS-R)簡易版を用いて評価した。ライフイベントと平均ADHDスコアとの関連は、全コホートにおける最小二乗法を用い、家族性交絡のために兄弟姉妹比較における固定効果線形回帰を用いてモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・有害なライフイベントに曝露した子供では、5歳時のADHDスコアが高かった。最も影響が大きかったのは金銭的な問題(調整モデルにおける平均差:0.10、95%CI:0.09~0.11)、最も影響が小さかったのは親しい人の喪失であった(調整モデルにおける平均差:0.02、95%CI:0.01~0.04)。・有害なライフイベント曝露の不一致を兄弟姉妹で比較すると、統計学的に有意ではない減弱した推定値が得られた。たとえば、金銭的な問題の平均差は-0.03(95%CI:-0.07~0.02)であった。・母親がつらいまたは困難な経験をした場合には、イベント数に応じてADHDスコアが上昇し、兄弟姉妹比較の分析では、正常なほうへ推定値が減少した。 著者らは「本結果では、妊娠中の有害なライフイベントと子供のADHD症状との関連性が示唆され、これは家族性の要因によって説明される」としている。■関連記事母親の体格がADHD、自閉症リスクと関連か母親のADHD症状と子供のアウトカムとの関係ADHD発症しやすい家庭の傾向

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HFpEFの治療はいまだ闇の中(解説:絹川弘一郎氏)-958

 LVEFの保たれた心不全、HFpEFにはEF低下例とは異なり、生命予後をはじめとした予後を改善する薬剤が知られていない。高齢者に多いHFpEFであるゆえ、とくに長生きしなくても再入院を予防できればいいのでは、または運動耐容能が保たれればいいのでは、などとも考えられてきており、エンドポイントも工夫してさまざまな臨床研究が行われているが、いまだ解決の糸口が見えない。 このINDIE-HFpEF試験1)は亜硝酸ナトリウムを吸入させて運動耐容能が改善するかをみたものである。硝酸薬は冠動脈病変のある患者や心不全症例でLVEDPを低下させるが、そのメカニズムは静脈系血管拡張による前負荷軽減と動脈系血管拡張による後負荷がバランスした時に過度な血圧低下なく、症状改善に結びつく。一方で、NOのように肺血管をメインに拡張するような薬剤を左心不全症例に使用すると、肺動脈圧は低下するものの肺血流はむしろ増加して肺うっ血を悪化させる。HFpEFでは血管拡張薬は後負荷軽減が心拍出量増加に寄与する部分が少なく、PAWPを低下させるだけの前負荷軽減がたちまち低心拍出につながる場合が多く、これは要するに拡張期圧容積関係が急峻であるため、極端に血行動態が振れることを意味している。このHFpEFの急峻な拡張期圧容積関係は虚血の際の拡張機能障害とは異なり、直接改善させられる薬剤は知られていない。 最近、生活習慣病による内皮機能障害をトリガーと考え、二次的に心筋細胞内のNO-cGMP-PKG経路の低下がtitinのリン酸化の変化をもたらして最終的に拡張機能障害に至るという仮説がHFpEFで有力である。この説に従えばHFpEFの拡張機能障害もNOを供与することで緩和されうる可能性があり、さらにNO供与体のほか、sGC刺激薬、PDE5阻害薬など、この経路を活性化する可能性のある薬剤が試されてきた。しかし、一硝酸イソソルビド(ISMN)2)、vericiguat3)、シルデナフィル4)は、いずれもHFpEFに否定的な結果となっている。今回試されたものは亜硝酸塩であり、硝酸塩が亜硝酸塩を経てNOを産生するのに比して、低酸素下でも1段階でNOを産生できるメリットがあると考えられ、また耐性を生じないということで硝酸薬とは若干違う可能性が期待された。小規模な単施設の研究では、いずれも血行動態や運動耐容能を改善していることから、今回多施設での前向き研究を企画された経緯である。 しかし、残念ながらこの研究で亜硝酸塩の吸入もHFpEFの運動耐容能改善には結びつかなかった。単施設との違いは議論を要するが、これまでの多くの試験結果と合わせても、むしろネガティブであることのほうが自然であるように思われる。現時点でHFpEFに残された薬剤はPARAGON試験5)で検証中のsacubitril/バルサルタンだけといっても過言でない。

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『破天荒フェニックス』を読んで【Dr. 中島の 新・徒然草】(248)

二百四十八の段 『破天荒フェニックス』を読んで最近読んだ本です。タイトルからは何が言いたいのかよく分かりません。これは社員が社長につけたあだ名だそうです。意味不明ながらも、アマゾンの106件のカスタマーレビューのうちの実に86%が5つ星というのを見て「これは面白いに違いない!」と思って衝動買いしてしまいました。その結果…予想以上に面白くて一気読みしてしまいました。内容はメガネのチェーン店オンデーズ再生物語。フィクションを謳いつつ限りなく実話に近い小説です。それまで喫茶店や小さなデザイン企画会社しか経営したことのなかった30歳の著者、田中 修治氏が、オンデーズの株を買って社長を引き継いだところから話は始まります。田中氏の勝算は、どんな業界にもあるはずの圧倒的なナンバー1、いわゆるガリバー的存在の会社がメガネ業界にはないということ、メガネはまだまだ医療機器と位置付けられており販売方式が旧態依然としているということ、メガネをファッションアイテムとして扱えばもっと売上を見込めるのではないか、などにありました。もちろんそれまで年商20億円を売り上げてきた全国58店舗の社員たちにもプライドがあり、突然やってきた茶髪の若造の言うことに素直に従ってくれるはずもありません。何とか社員の心を掌握しつつ、一緒に乗り込んだ仲間たちとともに怒涛の経営改革を行い、旧経営陣のつくった負債を返しながらの新規事業の買収、新規店舗の開店、と目まぐるしくストーリーは進みます。信頼していた仲間に裏切られ、予想外の援軍が現れ、新たな友情が築かれ、思わぬ悲劇に襲われ、涙なくして読み続けることはできません。まさにリアル「半沢直樹」、いやそれ以上です。何と言っても恐ろしいのは次々と迫ってくる借金の返済期限と資金ショートの恐怖。財務担当者とともに知恵をしぼり汗をかき、「今度こそ倒産か」と腹をくくりながらも何とか凌いでいく描写には、読んでいるこちらまで胃が痛くなってきそうです。たかがメガネと思っていたその裏にこんなドラマが隠されていたとは、これまで想像すらしませんでした。開業医の先生方や病院を経営している先生方は、「なんだこんなもの。経営者なら誰でも味わっている資金繰りの苦労話じゃねえか」と思うかもしれませんが、単なるサラリーマンの私は、「無理、無理、無理。こんな苦労、ワイには到底でけへん!」と言うだけです。とはいえ、将来開業しようとか起業しようとか思っている先生方には、学ぶところが多い小説なので是非読んでいただきたく思います。ということで、本文の中から心に残った名言を2つ紹介して終わります。社長に無理難題言われながら準備をして開店にこぎつけたシンガポール2号店のオープン初日、店内のありとあらゆるスペースが客に埋め尽くされるのを見て大粒の涙と鼻水を流している日本人担当者に対する田中 修治氏のお言葉。「仕事の苦しみは成長によって洗い流すしかないのだ」大成功したシンガポール進出に続き、台湾進出への責任者を社内公募したときに名乗りを上げた女性社員のお言葉。「(シンガポール店の)オープンの様子を見て、その中心に自分が参加できていなかったのが、ずっと悔しかったんです。だから、今度もし、機会があったら、次こそは自分があの輪の中心に必ずいたいって、あれからずっとそう想って過ごしてきたんです。だから今度は、どうしても私がやるんです!」英語も中国語もできないながらも、彼女は旦那を日本に置いて責任者として現地に赴任し、台湾1号店をオープンし、計画の3倍を売上げました!色々ありましたが最後に1句メガネくん 次に買うときゃ オンデーズ

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第12回 びまん性汎細気管支炎にマクロライド系抗菌薬が長期投与されるのはなぜ?【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 抗菌薬は必要なときに短期間処方されるのが一般的ですが、例外もあります。その代表的なものが、マクロライド系抗菌薬の長期投与です。COPDや非嚢胞性線維症性の気管支拡張に対して行われることも多い治療法ですが、今回はびまん性汎細気管支炎(Diffuse panbronchiolitis:DPB)に対するマクロライドの少量長期療法について紹介します。DPBは呼吸細気管支と呼ばれる細い気管支を中心に慢性炎症が起こり、咳や痰、呼吸困難が生じる疾患で、ほとんどの場合で慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を合併するのが特徴的です1)。日本人を含む東アジア人に多く、男女差はなく、40~50代が好発年齢です2)。もともとは未治療の場合、診断から5年以内に約50%が死亡するというきわめて予後の悪い疾患でしたが3)、マクロライドの少量長期療法が行われるようになって死亡率が急速に低下しました4)。日本発の治療法で、その効果が判明したのは1980年代になってのことです。それでは、数ある抗菌薬の中でもなぜマクロライド系抗菌薬がDPBに有効なのでしょうか。その説明として考えられているのが、その抗炎症作用です。抗菌作用も期待できるとは思われますが、DPBにおける投与量は通常よりも少なく、一般的な重感染症最小発育阻止濃度を下回っているので、主に抗炎症作用を期待しての治療なのでしょう。抗炎症作用といっても多くの説があり、バイオフィルム形成、免疫調整、肺胞マクロファージによる食作用の亢進作用などが知られています。一般にマクロライド系抗菌薬は、肺胞マクロファージによって細胞内に濃縮されやすく、血清濃度よりもクラリスロマイシンで約400倍、アジスロマイシンで約800倍高いレベルになるとされていて、これが比較的低用量で奏効する理由と考えられています5)。コクランのシステマティックレビューにおいてもDPBに対するマクロライド少量長期療法の効果が検証されています6)。システマティックレビューといっても、レビューへの組み入れ基準は「DPBに対するマクロライドの効果と安全性を検討したランダム化比較試験(RCT)ないし準ランダム化比較試験」で、RCTではない観察研究や対照群のない研究が除かれた結果、最終的に残ったRCTは1件だけでした。その内容は、20~70歳(平均年齢50歳)のDPB患者19例のうち12例をエリスロマイシン600mg/日の長期投与群、7例を無治療群に割り付けて比較したというものです。エリスロマイシン群の全例において、CT画像はベースラインからの改善がみられた一方、対照群では71.4%が悪化、28.6%が変化なしという結果でした。レビュー内でエビデンスの質は低いとされていますが、予後の悪い疾患でこれほどの差が出ていることは注目に値するのではないでしょうか。14員環、15員環なら有効性は高いが、16員環は無効エリスロマイシン以外の長期療法についても紹介しましょう。10例のDPB患者を組み入れ、クラリスロマイシン200mg/日で4年間治療したオープンラベルの研究です。肺機能検査などの項目は、ほとんどの被験者で6ヵ月以内に有意な改善がみられています。また、重大な副作用は認められず、長期間安全に服用できることが示唆されました7)。エリスロマイシンやクラリスロマイシンは14員環のマクロライドですが、15員環のアジスロマイシンにおいてもDPBに対する効果を検討した試験があります。51例のDPB患者を対象とした研究では、アジスロマイシン500mg/日を静注で1~2週間投与した後、1日1回経口服用で3ヵ月継続し、さらに週に3回経口服用を6~12ヵ月継続したところ、臨床的治癒は27.5%、改善は70.6%で、5年生存率は94.1%でした8)。また、別の研究では、アジスロマイシンを60例の患者に250mg/日を週2日3ヵ月間投与したところ、多くの被験者で喀痰量および呼吸困難が減少し、有効率は84.6%でした9)。なお、16員環を有するマクロライド(ジョサマイシンなど)はDPBに無効と考えられており、ガイドラインにおいても推奨されていません2)。長期療法と言われると気になるのはどのくらい長期かということですが、その最適な期間は明確には定まっていないようです。紹介してきた臨床試験においては、ほとんどの患者さんにおいて最低6ヵ月程度は継続され、大部分は治療開始2年後までには中止に至っています。基本的には、臨床症状、X線写真所見、および肺機能測定値が改善または安定するまでということになるようです。もちろん中止後も、呼吸困難、咳、痰の程度についてモニタリングすることが望ましく、再び気管支拡張症や副鼻腔炎のような徴候が出た場合には治療が再開される可能性があることには留意しておくとよいでしょう。また、マクロライド系抗菌薬にはモチリン様作用が知られているので、低用量であっても下痢が生じる可能性があります。モチリンは消化管の蠕動運動を活発にするホルモンですが、マクロライドも同様に消化管運動を活発にすることが報告されています10)。したがって、腸内細菌叢のバランスが崩れるという以外の理由で下痢や腹痛が生じることがあり、とくに服用当日など早期に生じる下痢はこの作用による可能性が高いとされています。便秘の方には逆によいケースもあるかもしれませんが、服薬指導時に説明しておくほうが安心かと思います。1)日本呼吸器学会 びまん性汎細気管支炎2)JAID/JSC感染症治療ガイドライン―呼吸器感染症―3)Kudoh S, et al. Clin Chest Med. 2012;33:297-305.4)Kudoh S, et al. Am J Respir Crit Care Med. 1998;157(6 Pt 1):1829-1832.5)Steel HC, et al. Mediators Inflamm. 2012;584262.6)Lin X, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2015;1:CD007716.7)Kadota J, et al. Respir Med. 2003;97:844-850.8)Li H. et al. Intern Med. 2011;50:1663-1669.9)小林 宏行ほか. 感染症学雑誌. 1995;69:711-722.10)Broad J, et al. Br J Pharmacol. 2013;168:1859-1867.

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TKI→TKIシークエンスの治療戦略は生き残れるか?【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第2回

第2回 TKI→TKIシークエンスの治療戦略は生き残れるか?1)Hochmair MJ, et al. Sequential treatment with afatinib and osimertinib in patients with EGFR mutation-positive non-small-cell lung cancer: an observational study. Future Oncol. 2018 Oct 19.[Epub ahead of print].2)Mok TS, et al. Improvement in Overall Survival in a Randomized Study That Compared Dacomitinib With Gefitinib in Patients With Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer and EGFR-Activating Mutations. J Clin Oncol. 2018 Aug 1;36(22):2244-2250.EGFR、ALK陽性例では、すなわち幅広い変異に有効性を示す第3世代のTKIが第1世代TKIに比して大きなPFSの延長を示し、OSも同等かそれ以上の結果が報告されている。一方で第2世代TKIについては、前臨床試験の結果から特定の感受性変異に対して高い有効性が期待されている。実地臨床においてこうした薬剤を1次治療で用いると、耐性変異に特化した腫瘍を誘導でき、2次治療で第3世代TKIを長期間使用できるのではないか、というTKI→TKIの治療戦略に期待が持たれてきた。アファチニブについては、過去の臨床試験に参加した患者を対象に後解析が行われ、アファチニブ後のオシメルチニブでは治療期間中央値が20.2ヵ月、という報告が行われている(Sequist LV, ESMO2017)。今回、この結果を受けて行われた、より大規模なGioTag試験について(ESMO報告ですでにご存じの方もおられるかもしれませんが)解説する。1)についてGioTag試験は、日常臨床におけるアファチニブ→オシメルチニブのシークエンスを検討したもの。アジア・欧米の204例について検討された。患者背景などは特筆すべき事項なし(アジア人は50例[24.5%])。それぞれの治療期間中央値は、アファチニブ11.9ヵ月、オシメルチニブ14.3ヵ月、両薬剤合わせて27.6ヵ月となっている。生存期間については2年生存率79%とのこと。観察期間の問題で中央値は未公表。2)についてARCHER1050のOS論文:dacomitinibとゲフィチニブの第III相試験だが、この中で少数ながら2次治療で第3世代TKIを用いた集団の成績に言及されている。dacomitinib群227例中、22例(9.7%)が第3世代TKIを投与されている。MSTは36.7ヵ月とのこと(ちなみに、全体集団のMSTは34.1ヵ月)。問題点ESMO2017で報告された統合解析から、第2世代→第3世代TKIという治療シークエンスが最強であると考えた人は少なくなかった。しかしながら、より規模を拡大したGioTag試験の結果は、統合解析の報告からは程遠い結果であった。GioTag試験の適格基準の中には「登録時点でオシメルチニブを10ヵ月以上投与しているもの」という項目があり、相当な患者選択がなされているにもかかわらず、である。非常に小規模ではあるが、ARCHER1050のサブセット解析も全体集団とそう変わらない印象がある。GioTag論文のディスカッションでは、アジア人/非アジア人、del19/L858Rなどのサブセット解析もなされているが、そう目を引くものではなかった。ただ今回のPHS 14.3ヵ月についてAURA3における2次治療オシメルチニブのPFS 10.1ヵ月よりはやや長かったので、増悪時サンプルの解析も併せて何らかの特殊な集団を同定できれば興味深かったのだが…。いずれにせよ、本研究結果はTKIシーケンスの治療戦略にとって残念な結果であった。本邦ではALK陽性例に対して初回治療アレクチニブとクリゾチニブを比較する大規模な後方視的研究が登録を完了しており(研究事務局 伊藤 健太郎先生@松阪市民病院)、この結果も待たれるところである。

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大腸がん原発巣部位に関連する遺伝子、およびセツキシマブの治療効果に関するバイオマーカー【消化器がんインタビュー】第2回

第2回 大腸がん原発巣部位に関連する遺伝子、およびセツキシマブの治療効果に関するバイオマーカー出演:聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学 砂川 優氏Sunakawa Y, et al. Tumor sidedness and enriched gene groups for efficacy of first-line cetuximab treatment in metastatic colorectal cancer. Clin Colorectal Cancer. 2018 Oct 1.[Epub ahead of print]

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食事の炎症指数とうつ病に関するメタ解析

 中国医科大学のJian Wang氏らは、食事炎症指数(dietary inflammatory index:DII)でスコア化された食事の炎症能とうつ病との関連性を評価するため、システマティックレビュー、メタ解析を行った。Public health nutrition誌オンライン版2018年10月15日号の報告。 2018年8月までに実施された、DIIスコアとうつ病または抑うつ症状との関連を調査した観察研究を、PubMed、Web of Science、EMBASEのデータベースより包括的に検索した。 主な結果は以下のとおり。・4件のプロスペクティブコホート研究と2件の横断研究より、4万9,584例が抽出された。・全体として、DIIスコアが最も高い群では、最も低い群と比較し、うつ病リスクが23%高かった(リスク比[RR]:1.23、95%信頼区間[CI]:1.12~1.35)。・試験デザインにより層別化すると、プロスペクティブコホート研究のプールされたRRは1.25(95%CI:1.12~1.40)、横断研究のプールされたRRは1.16(95%CI:0.96~1.41)であった。・性別特異的分析では、この関連性は女性では認められたが(RR:1.25、95%CI:1.09~1.42)、男性では統計学的に有意な差は認められなかった(RR:1.15、95%CI:0.83~1.59)。 著者らは「高いDIIスコアで推定される炎症促進作用を有する食事は、とくに女性において、うつ病リスクの上昇と独立して関連していることが示唆された。しかし、抗炎症作用を有する食事が、うつ病リスクを低減できるかを評価するためには、適切に設計された研究が必要である」としている。■関連記事うつ病治療と食事パターン魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当かうつ病患者で重要な食事指導のポイント

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高齢者のフレイル予防には口腔ケアと食環境整備を

 外来栄養指導は医師の指示があった患者だけ…という状況が変わり始めている。2018年11月10、11日の2日間において、第5回日本サルコペニア・フレイル学会大会が開催された。2日目に行われた「栄養の視点からみたサルコペニア・フレイル対策」のシンポジウムでは、本川 佳子氏(東京都健康長寿医療センター研究所口腔保健と栄養)が「地域在住高齢者の食品摂取多様性とフレイル重症度との関わり」について講演した。地域在住高齢者が入院してしまう前に 高齢期では加齢による恒常性の低下などにより低栄養が起こりやすくなる。国民健康・栄養調査の報告によると、地域に暮らす65歳以上の5人に1人が低栄養傾向にあり、今後も後期高齢者の増加により、さらに増加すると見込まれている。 低栄養は、合併症、創傷治癒の遅延をもたらし死亡率の増加につながるため、本川氏は、「早期からしっかり対策することが重要」とし、「高齢化が進む今、その方々のフレイル予防を基軸にした栄養管理をしっかり行い、くさびを打つことで施設移行者を1人でも減らすことが喫緊の課題」と現況を示した。 これまでの地域在住高齢者におけるフレイル予防の研究は、ビタミン、タンパク質など特定の栄養素を中心に行われる傾向であったが、同氏は、「特定の栄養素というよりも、“良いと言われている食品や栄養素を含む食事を食べる”といった、日常の食事をどのように改善できるかが重要」とし、簡便な指標の利用を提唱。また、フレイル重症度にどのような栄養指標が関連するかを検討した『板橋お達者検診2011コホート研究』では、食品摂取多様性スコア、血清アルブミン値などを用いて栄養評価を行った。その結果、フレイルの発症や重症化を予防するための指標として、食品摂取多様性が有効であることが明らかになったという。これを踏まえて同氏は、「このスコアが高い人は、タンパク質や抗酸化ビタミンの摂取ができていたと考えられる。さらに、別の先行研究でも同スコアを特定高齢者に使用したところ、食品摂取の多様性が向上した」と、同スコアの有用性について語った。日本発のオーラルフレイルとは 前述した食品摂取多様性の維持には、口腔機能との関連が重要と言われている。これは滑舌低下、食べこぼしなどの些細な衰えにより、食欲の低下と共に食品摂取の多様性が低下するからであり、オーラルフレイルと呼ばれている。 同氏が地域在住高齢者に対して口腔機能のアンケートを行ったところ、嚥下や咀嚼を含む口腔機能の低下を感じる者が20~30%も存在していたという。また、咀嚼能力とサルコペニア・低栄養の関係についてキシリトール咀嚼力判定ガムを用いて調べたところ、咀嚼力が無い参加者はタンパク質や脂質、鉄などの栄養素が低値であった。とくに食品では肉類の摂取不足が判明した。さらに咀嚼能力とサルコペニア・低栄養の有症率について検討し、同氏は、「咀嚼能力はサルコペニア・低栄養と有意に関連する」ことを結論付けた。配食、コンビニ・スーパーなどを利用した食環境の整備を 最後に同氏は講演を振り返り、「得られた知見を現場にどのように還元していくかが問題」と今後の課題を提示した。現在、厚生労働省が配食サービスの普及を推進していることを紹介し、支援する必要性を訴えた。さらに、「高齢者が最も利用する食事サービスは市販弁当などの購入や外食であるため、食環境整備がそれらの一助となる必要がある」と付け加えた。 在宅療養者などに対しては、「全国の栄養・ケアステーションに所属する訪問栄養士などに相談する」ことを推奨し、管理栄養士による在宅医療の拡充にも期待を寄せた。■参考厚生労働省:地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理日本栄養士会:全国の栄養・ケアステーション

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ALK陽性肺がんに、第3世代ALK-TKIロルラチニブ発売/ファイザー

 ファイザー株式会社は、2018年11月20日、「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺」の効能・効果で、ロルラチニブ(商品名:ローブレナ錠25mg、同100mg)を発売した。 ALK陽性肺がん治療は2012年のザーコリの発売以降、合計3剤のALK阻害剤が上市され、治療選択肢が広がっている。一方で、遺伝子の耐性変異により既存薬で効果が得られなくなるといった治療上の課題が存在していた。 ロルラチニブは、この耐性メカニズムに注目し創製された第3世代のALK阻害薬で、耐性変異がみられる変異型ALKにも効果が期待される薬剤。臨床試験において、既存のALK阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK陽性NSCLCに対する臨床的に意義のある抗腫瘍効果と忍容性が示された。 ロルラチニブは、昨年10月に導入された「医薬品の条件付き早期承認制度」の適用を受け、優先審査の対象として、約8ヵ月間の審査期間を経て、9月21日に世界に先駆けて日本での承認を取得した。製品名:ローブレナ錠25mg/100mg(LORBRENA Tablets 25mg/100mg)一般名:ロルラチニブ(Lorlatinib)効能・効果:ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺用法・用量:通常、成人にはロルラチニブとして1日1回100mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。製造販売承認取得日:2018年9月21日薬価収載日:2018年11月20日発売日2018年11月20日薬価:25mg:7,216.40円、100mg:25,961.00円製造販売元:ファイザー株式会社

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SGLT2阻害薬、CV/腎アウトカムへのベースライン特性の影響は/Lancet

 SGLT2阻害薬は、アテローム動脈硬化性心血管疾患や心不全の既往にかかわらず、心不全による入院や腎疾患進行リスクを低減するベネフィットがあることが示された。主要有害心血管イベントリスクについては、ベースライン時にアテローム動脈硬化性心血管疾患が認められた場合に限り、低減効果が認められた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のThomas A. Zelniker氏らが、システマティックレビューとメタ解析を行い明らかにし、Lancet誌オンライン版2018年11月9日号で発表した。SGLT2阻害薬の心血管および腎アウトカムへの特異的効果の程度や、不均一性がベースライン特性に基づくものかどうかは明らかになっていなかった。SGLT2阻害薬の効果をアテローム動脈硬化性心血管疾患の有無などで階層化 研究グループは、PubMedやEmbaseで2018年9月24日までに発表された、2型糖尿病患者を対象としたSGLT2阻害薬に関する無作為化比較試験を検索し、システマティックレビューとメタ解析を行った。データ検索と抽出には標準化されたデータ形式を使用し、矛盾点はコンセンサスで解決した。 有効性アウトカムは、主要有害心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中・心血管死)、心血管死・心不全による入院の複合、および腎疾患の進行(eGFR低下、ESRD、腎機能廃絶などを含む標準化複合腎アウトカム)だった。 解析対象とした試験をプールし、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出し、有効性アウトカムについては、ベースライン時のアテローム動脈硬化性心血管疾患や心不全の有無、腎機能の程度により層別化した。SGLT2阻害薬は重症腎疾患の人ほど、心不全入院リスクの低減効果が大 解析の対象としたのは3試験で、被験者総数は3万4,322例、うちアテローム動脈硬化性心血管疾患が認められたのは60.2%だった。主要有害心血管イベントは3,342件、心血管死または心不全による入院は2,028件、腎疾患の進行は766件発生した。 メタ解析の結果、SGLT2阻害薬は主要有害心血管イベントを11%抑制したことが認められた(HR:0.89、95%CI:0.83~0.96、p=0.0014)。ただし、この抑制効果はベースライン時にアテローム動脈硬化性心血管疾患の認められた人に限られ(HR:0.86、95%CI:0.80~0.93)、同疾患のなかった人では抑制効果はみられなかった(同:1.00、0.87~1.16、交互作用のp=0.0501)。 一方でSGLT2阻害薬は、心血管死または心不全による入院リスクを23%減少した。同効果はベースライン時のアテローム動脈硬化性心血管疾患や、心不全の有無にかかわらず認められた(HR:0.77、95%CI:0.71~0.84、p<0.0001)。また、SGLT2阻害薬は、腎疾患の進行リスクを45%減少し、同効果もベースライン時のアテローム動脈硬化性心血管疾患の有無にかかわらず認められた。 SGLT2阻害薬の効果の程度は、ベースライン時の腎機能によって異なり、より重症の腎疾患の人ほど、心不全による入院リスクの低減効果が大きく(交互作用のp=0.0073)、腎疾患進行リスクの低減効果は小さかった(交互作用のp=0.0258)。

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高齢者への不適正処方、入院の影響は/BMJ

 高齢者にとって入院は、潜在的な不適正処方の独立関連因子であることが明らかになった。また、不適正処方は、患者の特性にかかわらず入院前より退院後のほうが、増える傾向があることも示されたという。スペイン・マドリード・コンプルテンセ大学のTeresa Perez氏らが、アイルランドの一般診療所の診療録を基に縦断研究を行い明らかにしたもので、BMJ誌2018年11月14日号で発表した。著者は、「結果は、高齢者における不適正処方に入院が及ぼす潜在的な悪影響を、考慮し解消する必要性を示すものだった」と述べ、「入院が高齢者の不適正処方にどのような影響を及ぼしているのか、また入院の潜在的有害性を最小限とする方法を明らかにすることが重要である」とまとめている。アイルランド44ヵ所の一般診療所の高齢者について調査 研究グループは2012~15年にかけて、アイルランド44ヵ所の一般診療所の診療録を基に、同診療所の65歳以上の患者を対象に試験を行った。 高齢者の処方スクリーニングツールScreening Tool for Older Persons’ Prescription(STOPP)ver.2の45の基準を用いて、潜在的不適正処方が占める割合を算出し、患者特性で補正を行い、層別化Cox回帰分析(明らかな潜在的不適正処方基準を満たした発生率)と、ロジスティック回帰分析(1人の患者について潜在的不適正処方が1回以上発生したか否かの2項値による)の2通りで分析し、入院との関連を検証した。患者特性と診断名に基づく傾向スコアによりマッチングを行い、感度分析も行った。患者の約半数に潜在的不適正な処方 分析には3万8,229例が包含された。2012年時点での平均年齢は76.8歳(SD 8.2)、男性が43.0%(1万3,212例)だった。年に1回以上入院した患者の割合は、10.4%(2015年、3,015/2万9,077例)~15.0%(2014年、4,537/3万231例)だった。 潜在的不適正処方を受けた患者の割合は、2012年の45.3%(1万3,940/3万789例)から2015年の51.0%(1万4,823/2万9,077例)の範囲にわたっていた。 年齢や性別、処方薬数、併存疾患、医療保険の種類とは関係なく、入院は明らかに潜在的不適正処方基準を満たす割合が高かった。入院補正後ハザード比(HR)は1.24(95%信頼区間[CI]:1.20~1.28)だった。 入院患者についてみると、潜在的不適正処方の発生率の尤度は、患者特性にかかわらず、退院後のほうが入院前よりも上昇した(補正後OR:1.72、95%CI:1.63~1.84)。なお、傾向スコア適合ペア分析でも、入院に関するHRはわずかな減少にとどまった(HR:1.22、95%CI:1.18~1.25)。

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可溶性ST2、慢性心不全の予後予測でBNPと高感度トロポニンTを超えた有用性【Dr.河田pick up】

 近年、心不全のマーカーとして血中B型(脳性)ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が広く使用されているが、腎不全患者ではあまり有用でないこともある。そこで、炎症や繊維化に関するバイオマーカーである可溶性ST2(soluble suppression of tumorigenesis-2)が予後予測や心不全の管理に使われることが増えている。その有用性について、イタリアのMichele Emdin氏らがJournal of American College of Cardiology誌2018年11月号に報告しているので紹介したい。可溶性ST2は併存症の影響を受けにくい 慢性心不全の予後予測やリスクの層別化にさまざまなバイオマーカーが提唱されている。ACC/AHAのガイドラインでは予後の層別化にナトリウム利尿ペプチドとトロポニンがclass I、可溶性ST2などの心筋障害や繊維化のマーカーがClass IIbとして推奨されている。ナトリウム利尿ペプチドは主に心筋壁ストレス、血行動態機能を反映するが、トロポニンは進行中の心筋ストレスや傷害を反映する。可溶性ST2は炎症や前繊維化の経路と関連し、ナトリウム利尿ペプチドが抱えるバイオマーカーとしてのいくつかの問題点を回避できる。具体的には、可溶性ST2は年齢や性別、BMIおよび腎不全などの併存症による影響を受けにくい。本研究の目的は、可溶性ST2の慢性心不全の予後予測因子としての価値を評価することであった。4,268例の心不全患者からデータを抽出 慢性心不全でのリスク予測因子として、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)と高感度トロポニンTと共に可溶性ST2を評価した研究から、個々の患者のデータを収集した。計4,268例が評価され、患者の年齢中央値は68歳、75%が男性で、65%が虚血性心不全、87%が左室駆出率(LVEF)40%未満であった。NT-proBNP、高感度トロポニンT、可溶性ST2はそれぞれ1,360ng/L (四分位範囲:513~3,222ng/L)、18ng/L(9~33ng/L)、そして27ng/L(20~39ng/L)であった。追跡期間中央値2.4年において、全死亡は1,319例(31%)、心臓血管関連死亡は932例(22%)であった。データが入手可能であった4,118例(96%)のうち、1,029例(24%)が少なくとも2.2年の間に1回以上心不全の増悪で入院した。可溶性ST2の全死亡、心臓血管関連死亡そして心不全による入院に対するカットオフ値は28ng/mLで、カプランマイヤー生存曲線でも良好な結果を示した(log-rank:117.6/61.0/88.6、 全てでp<0.001)。可溶性ST2はほとんどのサブグループにおいて独立した予後予測因子 年齢、性別、BMI、虚血性心疾患、LVEF、NYHAクラス、糸球体濾過率、心不全に対する薬物療法、NT-proBNPそして高感度トロポニンTを含むモデルにおいて、可溶性ST2が2倍になるごとに全死亡、心臓血管関連死亡、心不全による入院がそれぞれ26%、25%、30%増えていた。可溶性ST2はほとんどのサブグループにおいて独立した予後予測因子であった。たった1回の可溶性ST2の測定は全死亡、心臓血管関連死亡、心不全による入院に対して、併存症や心不全の機序、左室機能、腎機能、NT-proBNP、高感度トロポニンTに関わらず予後の予測因子であった。 筆者らは慢性心不全患者において、可溶性ST2はNT-ProBNPと高感度トロポニンTと共にマーカーの1つとして考慮されるべきであると結論づけている。(Oregon Heart and Vascular Institute 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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かかりつけ医でうつ病の治療をする時代に気を付けたいこと(解説:岡村毅氏)-957

 今後のわが国の医療がどのように変化するかわからないが、「まずはプライマリケアあるいは総合診療医にかかり、重篤や難治なケースが専門医に紹介される」という方向におおむね進むと理解している。 精神医療はどうだろうか? 多くの国ではうつ病の治療もプライマリケアでまず行うとされる。わが国でも今後そうなるかもしれず、この論文の知見は興味深い。 うつ病が疑われる患者さんが来て、薬物治療が必要な場合まず何を使うか? これについては多くのガイドラインが明確には語れない状況にある。とはいえ、ここでもったいをつけていても仕方ないのでえいやっとまとめてみたい。つまり、ここから下は個人的見解である。 おそらく現代の大多数の専門医はファーストラインでSSRI(なかでもセルトラリンとエスシタロプラムが総合的に優れているとされる。信頼できるエビデンスがあるのだ)を使うことが多いと一致するのではないか。 十分量を十分期間使っても効果がない場合にどうするか(セカンドライン)が本論文で検証されている。他の抗うつ薬(とくに薬理的に異なるもの)への変更、一部の抗うつ薬の追加(この論文のまさに主題であるがミルタザピンが使われることが多い、多くの治療アルゴリズムでそうなっているのだ)、抗精神病薬の抗うつ作用の利用、気分安定薬の利用、などなどの選択肢がある。とはいえ人間というものは多様過ぎて、この段階ではどれが優れているとは言い難い。そしてこの論文が示したのは、セカンドラインでの「ミルタザピンの追加は効果がなかった」というものだ。 ところで、精神科医はうつ病の方が受診した場合は、どのように治療戦略を考えるのだろう? 私見だが、多くの精神科専門医が最も注意を払うのは「本当にうつ病か」という点ではないかと思う。現代社会はますます複雑化する一方で、余裕は失われている。多くの人が、多様な悩みや苦しみを抱いて精神科を受診する。うつ病ではない人を、質問票に惑わされて、間違ってうつ病治療の文脈に導いてしまうと、「うつ病が治らないのは治療が悪いからだ、今は良い治療をするべきで、他の問題解決をするべきではない」という偽りの平衡状態にしばらく陥ることになる。この平衡状態では、医師は責任を感じて焦燥するし、患者はよくならないことに焦燥する、という絶望的なゲームとなる。 個人的臨床経験では、中核的・古典的・単純なうつ病の場合は最初の抗うつ薬(それが何であれ)でほとんど軽快する。一方で、最初の抗うつ薬が効果不十分な場合(つまりこの論文の対象集団だ)は、他の抗うつ薬に変更しようが、何かを加えようがあまり効果はない。その場合、臨床医として私なら、場合によってはミルタザピンを処方はするかもしれないが―――ミルタザピンは鎮静系なので睡眠は改善するだろうし―――内心では「そもそもの見立てを再構築しよう」と焦り、「家族内の葛藤などの語られていない情報はないか」、あるいは「双極性が隠れていないか」と考え、どうやって情報を集めようかと考えはじめるだろう。 この論文を読んで、非専門家がファーストラインで治せないうつ病は抜本的に治療戦略を見直すべきであり、そこで拘泥することは患者・医師双方にとって悲劇であると感じた。そして、この論文はきわめてまっとうな結論(さっさと専門家に紹介だ)を暗に示しているように思われた。 最後に、個々の抗うつ薬についてはさまざまなエビデンスが集積されていますし、その医師にとって使い慣れた、知り尽くした抗うつ薬がある意味で最も安全といえます。筆者はミルタザピンをファーストラインで使用することもあり、決して効果がないと言っているのではありません。本コラムの内容はあくまで単純化した一般論であり、誤解なきようお願いします。また、薬物治療は、精神療法や環境調整と並ぶ治療の大きな柱ですが、すべてではありません。

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第5回 再診料CT検査での査定/セルベックス処方での査定/カデュエット配合錠処方での査定/強力ネオミノファ-ゲンシ-増量処方での査定【レセプト査定の回避術 】

事例17 再診料CT検査での査定再診料で、他院の撮影したフィルムについて診断を行い、コンピュ-タ-断層診断料を請求した。●査定点コンピュ-タ-断層診断料が査定された。解説を見る●解説「点数表の解釈」のコンピュ-タ-断層診断に、「当該保険医療機関以外の医療機関で撮影したフィルムについて診断を行った場合には、区分番号「A000」に掲げる初診料(注5のただし書に規定する2つ目の診療料に係る初診料を含む)を算定した日に限り、コンピュ-タ-断層診断料を算定できる」と記載されています。再診料での請求は認められていないのです。事例18 セルベックス処方での査定慢性胃炎の急性増悪でテプレノン(商品名:セルベックス)50mg 3カプセルを先月まで処方していたが、今月の請求から「急性増悪」を外して請求した。●査定点セルベックス50mg 3カプセルが査定された。解説を見る●解説添付文書の「効能・効果」に「下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善」として「急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期」と「胃潰瘍」が対象になっています。慢性胃炎から急性増悪期を外すと査定となります。このケ-スでは、「胃潰瘍」の病名に変更可能か検討することが必要です。事例19 カデュエット配合錠処方での査定他院から紹介され、狭心症でアムロジピン・アトルバスタチン配合剤(商品名:カデュエット配合錠)1番を処方した。●査定点カデュエット配合錠1番が査定された。解説を見る●解説添付文書の「効能・効果」に「本剤(アムロジピン・アトルバスタチン配合剤)は、アムロジピンおよびアトルバスタチンによる治療が適切である以下の患者に使用する。高血圧症または狭心症と、高コレステロ-ル血症または家族性高コレステロ-ル血症を併発している患者。なお、アムロジピンとアトルバスタチンの効能・効果は以下のとおりである」と示し、●アムロジピン・高血圧症・狭心症●アトルバスタチン・高コレステロ-ル血症・家族性高コレステロ-ル血症となっています。カデュエット配合錠を処方するときは、「高血圧症または狭心症」+「高コレステロ-ル血症または家族性高コレステロ-ル血症」の病名が求められています。事例20 強力ネオミノファ-ゲンシ-増量処方での査定C型肝炎でグリチルリチン・グリシン・システイン配合剤(商品名:強力ネオミノファ-ゲンシ-)20mL 3Aの請求をしていたが、今月から強力ネオミノファ-ゲンシ-20mL 5Aで請求した。●査定点強力ネオミノファ-ゲンシ-20mL 2Aが査定された。解説を見る●解説添付文書の「用法・用量」に「通常、成人には1日1回5~20mLを静脈内に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。慢性肝疾患に対しては1日1回40~60mLを静脈内に注射または点滴静注する。年齢、症状により適宜増減する。なお、増量する場合は1日100mLを限度とする」となっています。このケ-スのように60mL以上で請求するには、増量した理由の「症状詳記」が求められます。

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第15回 内科からのエリスロマイシンの処方【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 予想される原因菌は?Campylobacter coli属・・・11名全員Salmonella Enteritidis(サルモネラ・エンテリティディス)・・・1名Escherichia coli(大腸菌)・・・1名Arcobacter属・・・1名Clostridium perfringens(ウェルシュ菌)・・・1名腹痛、下痢、鶏肉から 奥村雪男さん(薬局)カンピロバクター属が原因菌と予想されます。下痢と腹痛から市中腸管感染症で、加熱不十分の鶏肉を食べたこと、検査はおそらくグラム染色だったのではないでしょうか。カンピロバクターのグラム染色での感度は30%程度のようですが、特異度が高いので確定診断に至ったのだと考えます。カンピロバクターは一般的には補液などの対症療法で自然軽快することがほとんどとされていますが、早期治療による菌の排出期間短縮と症状軽減があったとの報告があります1)。キノロン系薬剤への耐性化が進んでいるため、マクロライド系薬剤が第一選択であり、下記が推奨されています1)。クラリスロマイシン経口 1回200mg 1日2回 3~5日間アジスロマイシン経口 1回500mg 1日1回 3~5日間エリスロマイシン経口 1回200mg 1日4回 3~5日間Q2 患者さんに確認することは?どのような検査をしたか わらび餅さん(病院)できればどのような検査をしたか聞きます。培養ではっきり菌を特定するには、通常は数日かかるからです。下痢と腹痛が主訴ですが、可能なら血便など重症だと判断する情報があるのか聞きたいです。潰瘍性大腸炎の可能性も? 中堅薬剤師さん(薬局)併用薬と副作用歴です。また、可能であれば潰瘍性大腸炎の除外診断を医師がしているかどうかも確認したいです。今回は検査結果があるので可能性はあまりないと思いますが、開業医が第六感で「感染性腸炎」と誤診し、潰瘍性大腸炎が重症化することが非常に多い、と広域病院の消化器科医の講演を聞いたことがあります。必要に応じて、潰瘍性大腸炎の可能性も考慮して対応することが重要だと考えます。併用薬について 荒川隆之さん(病院)併用薬を必ず確認します。エリスロマイシンはCYP3A4で代謝される薬剤と併用した場合、併用薬の代謝が阻害され血中濃度が上昇する可能性があります。また、P糖タンパクを介して排出される薬剤と併用した場合、併用薬剤の排出が阻害され血中濃度が上昇する可能性があります。ピモジドなどの併用禁忌の確認 奥村雪男さん(薬局)エリスロマイシンはマクロライド系抗菌薬の中でもCYP3A4 阻害作用が強いので、ピモジドなどの併用禁忌薬剤を服用していないか確認します。マクロライド系抗菌薬のCYP3A4阻害様式はMBI(Mechanical based inhibition)で、服用開始から数日程度で阻害作用が最大になり、服用終了から数日程度で阻害作用は消失すると考えられます2)。そのため、服薬終了後も併用薬に注意が必要です。自炊かどうか 児玉暁人さん(病院)可能なら鶏肉をどこで食べたか確認します。飲食店なのか自宅で自炊をしてなのか。一人暮らしで自炊しているのであれば、しっかり加熱する、二食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行う、食肉を取り扱った後は十分に手を洗ってから他の食品を取り扱う、食肉に触れた調理器具などは使用後洗浄・殺菌を行うなどのアドバイスができるかもしれません。Q3 疑義照会する?する・・・5人エリスロマイシンの用量 キャンプ人さん(病院)エリスロマイシンの1 回用量が多いように思うので、確認します。ガイドラインでは1回200mg 1日4回 3~5日間1)とされています。重症でなければ自然軽快する場合が多い 清水直明さん(病院)カンピロバクター腸炎の場合、重症でなければ抗菌薬の投与なしで自然に軽快する場合がほとんどです。処方医と信頼関係ができていれば、説明した上で「抗菌薬は不要かもしれません」と提案するでしょう。他剤への変更 JITHURYOUさん(病院)本症例は、重症感がなくカンピロバクター自体は自然軽快することが多いため、抗菌薬は不要ではないかと感じます。それでも医師が抗菌薬は必要だとするなら、現時点で消化器症状があるのでクラリスロマイシンに変更提案します。エリスロマイシンより消化器作用が少ないこと、添付文書上の適応のためです。併用薬がある場合には、相互作用の少ないアジスロマイシンに変更提案します。可能なら抗菌薬処方なしにもっていきたいです。しない・・・6人3日間投与は適切 中堅薬剤師さん(薬局)ガイドラインには、カンピロバクターは世界的にキノロン系薬の耐性化が進んでおり、マクロライドを第一選択にすると記載されています1)が、マクロライド耐性も問題化しつつあるようなので、まず3日間投与は適切ではないでしょうか。エンピリック処方かどうか わらび餅さん(病院)患者さんの聞き取りを踏まえ、カンピロバクターと予想した上でのエンピリック処方だと判断できれば、疑義照会しません。ただし、原因菌と特定されていればエリスロマイシンの用法を確認します。もし、アドヒアランスなどを考慮して用法を1日3回としていたら、アジスロマイシン1日1回でもよいのでは、と聞ければ聞きます。海外での使用例やPAE※も考慮 ふな3さん(薬局)エリスロマイシンは半減期が1.5時間程度と短めのため、1日3回ではちょっと不安ですが、カンピロバクターへの適応はないものの米国などでは1,000mg/2×などの処方もあるようです。PAEも期待できることから、疑義照会はしないと思います。※post-antibiotic effect。血中や組織中から抗菌薬が消失しても、一定期間、病原菌の増殖が抑制される効果1日3回が難しければ処方提案 児玉暁人さん(病院)エリスロマイシンの1回量が多く、回数も3回ですが、適宜増減の範囲内と考え、疑義照会はしません。ただし、1日3回の内服が難しそうであればクラリスロマイシン1回200mg 1日2回 3日分の処方提案をします。Q4 抗菌薬について、患者さんに説明することは?しっかり飲みきること キャンプ人さん(病院)指示されている期間しっかり服用することです。また、エリスロマイシンのモチリン様作用(消化管運動亢進作用)により、消化管の蠕動運動が活発になることを説明しておきます。服用時間について ふな3さん(薬局)1回目の分はすぐに飲み始めること。2回目は6時間程度あけて服用。1日3回、3日間飲みきることを伝えます。下痢についての説明 清水直明さん(病院)「今回、下痢止めは出されていませんが、下痢止めを服用しなくても数日で回復してくると思います。治りを遅くすることがあるので、市販の下痢止めは服用しないでください。」脱水に注意 JITHURYOUさん(病院)現時点で重症感はなさそうですが、水分補給して脱水に注意し、安静にするよう伝えます。はっきりと重症化しないとはいえませんが、年齢的に考えてみても整腸剤だけで経過観察でもよかったかもしれませんね。他院受診時にお薬手帳を持参 奥村雪男さん(薬局)今回の抗菌薬は服薬終了後も数日間程度飲み合わせに注意が必要なので、他院にかかる場合はお薬手帳を持参することを伝えます。Q5 その他、気付いたことは?ボツリヌス毒素の可能性も? ふな3さん(薬局)「古いパックの食品も疑われた」という言葉から、ボツリヌス毒素の疑いもあったのかもしれません。また、カンピロバクターからのギランバレー症候群の発症のリスクもあるため、下記のような症状が出たら、すぐに医師に連絡するよう伝えたいです。口内乾燥、嚥下困難、複視、視力低下(ボツリヌス中毒)四肢の脱力(ボツリヌス中毒、ギランバレー)エリスロマイシンの処方意図 柏木紀久さん(薬局)今回の症例はあまり抗菌薬の必要性を感じませんが、排菌の促進や消化管運動の促進を期待して3日分の処方かな?と思いました。ギランバレー症候群と菌血症 奥村雪男さん(薬局)カンピロバクター感染症の合併症に、ギランバレー症候群と菌血症が知られています。0.1%以下でギランバレー症候群の報告があり、感染後2~3週後に発症するようです3、4)。発症はまれなので不安をあおらないように伝えません。菌血症は1%程度に報告があり4)、高齢者に多いようです。若年では検査陽性になるころには自然治癒するようで、あまり心配ないかもしれませんが、知識として持っておく必要があると思います。後日談(担当した薬剤師から)調剤した日の閉局間際に「薬を飲んだら、余計にお腹の調子が悪くなりました。どうしたらいいですか?」と電話がかかってきました。実は、薬を渡すときにモチリン様作用の説明をするのを忘れていたことに気付きました。「原因の菌を退治するだけでなく、胃腸の動きを活発にさせる作用もあるお薬ですので、自然とその症状は治まります。菌の排出も早まりますので、辛抱して内服を続けてください」と返事をしました。無事治療が終了したのか、後日の来局はありませんでした。1)JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会.JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015―腸管感染症―. 一般社団法人日本感染症学会、2016.2)鈴木洋史監. これからの薬物相互作用マネジメント 臨床を変えるPISCSの基本と実践. 東京、じほう、2014.3)青木眞. レジデントのための感染症診療マニュアル. 第2 版. 東京、医学書院、2008.4)酒見英太監. ジェネラリストのための内科診断リファレンス. 第1版. 東京、医学書院、2014.[PharmaTribune 2017年6月号掲載]

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スポーツの違いで平均余命に差

 余暇の身体活動やスポーツの種類による平均余命の延長について調査したCopenhagen City Heart Study(CCHS)の結果から、スポーツの種類によって平均余命の延長年数に大きな差があることがわかった。なかでも、社会的相互作用の大きいスポーツのほうが、より平均余命が延長することが示唆された。Mayo Clinic Proceedings誌オンライン版2018年9月4日号に掲載。 CCHSは、余暇の身体活動やスポーツへの参加について詳細なアンケートを実施した前向き集団研究。被験者8,577人の全死因死亡を、1991年10月10日~1994年9月16日の調査から2017年3月22日まで最長25年追跡し、交絡変数を調整したCox比例ハザードモデルを用いて相対リスクを計算した。 その結果、座りがちなライフスタイルの群と比べた平均余命の延長(多変量調整後)は、テニスが9.7年、バドミントンが6.2年、サッカーが4.7年、サイクリングが3.7年、水泳が3.4年、ジョギングが3.2年、徒手体操が3.1年、スポーツクラブのアクティビティーが1.5年であった。 なお、本研究は観察研究のため、この関連の因果関係は不明である。

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統合失調症の認知機能に対するアセチルコリンエステラーゼ阻害薬

 統合失調症で認められる認知機能障害は、予後の悪化をもたらす。そのため、統合失調症における認知機能改善を目的とした治療は、臨床的に重要であると考えられる。スペイン・バスク大学のBorja Santos氏らは、統合失調症患者の認知機能に対し、抗精神病薬とアセチルコリンエステラーゼ阻害薬併用療法の有効性を評価するため、検討を行った。Journal of Psychopharmacology誌2018年11月号の報告。 2018年3月までの研究をMedline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trialsより検索を行った。特定の認知機能領域(処理速度、注意、ワーキングメモリ)について、抗精神病薬とアセチルコリンエステラーゼ阻害薬との併用、抗精神病薬とプラセボとの併用を比較した、ランダム化比較試験(RCT)を抽出した。2人の独立したレビュー著者が、研究適格性を評価し、データを抽出し、研究のバイアスリスクを評価した。ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行い、エビデンスの質の評価には、Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)を使用した。 主な結果は以下のとおり。・9件のRCTが抽出された。・6件のRCT(219例)では、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬併用群は、処理速度を改善するエビデンスが示された(標準化平均差[SMD]:-0.52、95%信頼区間[CI]:-0.79~-0.25、p=0.0002)。・その一方で、8件のRCT(252例)では、注意領域への改善効果はプラセボ併用群の方が優れているという結果が示された(SMD:-0.43、95%CI:-0.72~-0.13、p=0.005)。・8件のRCT(273例)では、両群間でワーキングメモリの改善に差は認められなかった(SMD:-0.14、95%CI:-0.51~0.24、p=0.47)。 著者らは「現在のエビデンスでは、統合失調症患者の認知機能改善に対し、抗精神病薬への補助療法としてアセチルコリンエステラーゼ阻害薬を併用することへの推奨レベルは非常に弱かった。また、効果予測に対する信頼性も限定的であった。」としている。■関連記事統合失調症の精神病理および認知機能障害に対する抗認知症薬に関するメタ解析統合失調症の認知機能改善に抗認知症薬は有用か統合失調症の認知機能障害、コリン作動系薬の可能性

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