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ABI値0.95以下・心血管疾患症状のない人への予防的アスピリン投与の効果は?

スコットランドEdinburgh大学市民健康科学センターのF. Gerald R. Fowkes氏らは、心血管疾患症状はないものの、ABI(足関節/上腕血圧比)値が0.95以下の人に対し、アスピリンを投与しても、血管イベントリスクの低下は認められなかったことを報告した。無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2010年3月3日号で発表した。冠動脈イベントや脳卒中、血管再建術の総合イベントリスクに有意差なし同研究グループは、1998年4月~2008年10月にかけて、スコットランドに住む50~75歳の人で、心血管疾患症状が認められない2万8,980人について、ABI値を調べた。そのうち、ABI値が0.95以下だった3,350人を無作為に2群に分け、一方にはアスピリン100mg/日を、もう一方にはプラセボを投与した。主要エンドポイントは、冠動脈イベント、脳卒中、または血管再建術の実施のいずれかとした。副次エンドポイントは、(1)主要エンドポイントまたは、狭心症、間欠跛行、一過性脳虚血発作のいずれか、(2)総死亡率とした。追跡期間の平均値は、8.2年(標準偏差:1.6年)で、その間の主要エンドポイント発生は357人(13.5/1,000人・年、95%信頼区間:12.2~15.0)だった。同発生率については、プラセボ群が13.3/1,000人・年に対しアスピリン群が13.7/1,000人・年で、有意差はみられなかった(ハザード比:1.03、95%信頼区間:0.84~1.27)。総死亡率も両群で有意差なし、出血イベントも両群で同等副次エンドポイントの血管イベント発生率についても、プラセボ群22.9/1,000人・年に対し、アスピリン群は22.8/1,000人・年と、両群で有意差はなかった(ハザード比:1.00、95%信頼区間:0.85~1.17)。総死亡率も、アスピリン群の死亡数が176人、プラセボ群が186人と、両群で有意差はなかった(ハザード比:0.95、同:0.77~1.16)。なお、入院を要する多量出血の初回イベントは、アスピリン群34人(2.5/1,000人・年)、プラセボ群20人(1.5/1,000人・年)で、両群で有意差はなかった(ハザード比:1.71、同:0.99~2.97)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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急性冠症候群の30日死亡率、女性と男性で格差

急性冠症候群の30日死亡率は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)では女性が男性より高率だが、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)や不安定狭心症の場合には男性の方が高率であることが報告された。急性冠症候群(ACS)後の予後に関する性別格差についてのこれまでの試験では、概ね女性のほうが悪いとする結果が出ていたという。米国New York大学のJeffrey S. Berger氏らが、ACSの13万人超のデータベースをもとに調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2009年8月26日号で発表した。補正前30日死亡率は女性が1.9倍、補正後は有意差なしBerger氏らは、1993~2006年に行われたACSに関する11の無作為化試験の被験者データベースに納められた、13万6247人のデータについて調査を行った。そのうち28%が女性だった。女性被験者の26%がSTEMI、29%がNSTEMI、40%が不安定狭心症だった。補正前の30日死亡率は、男性が5.3%に対し女性が9.6%と、有意に高率だった(オッズ比:1.91、95%信頼区間:1.83~2.00))。ところが、臨床症状などで補正を行った後、同死亡率に男女間格差はなくなった(補正後オッズ比:1.06、同:0.99~1.15)。NSTEMI患者30日死亡率は女性が0.77倍、不安定狭心症では0.55倍臨床症状別に見てみると、STEMI患者の30日死亡率は女性の方が有意に高かった(補正後オッズ比:1.15、95%信頼区間:1.06~1.24)。一方、NSTEMI患者の同死亡率は女性の方が低く(補正後オッズ比:0.77、同:0.63~0.95)、また不安定狭心症の患者の同死亡率も女性が低率だった(補正後オッズ比:0.55、同:0.43~0.70)。さらに、血管造影データが得られた3万5128人について調べたところ、女性の方が、冠動脈閉塞がない割合が高かった(女性15%に対し男性8%)。また、冠動脈閉塞が2ヵ所(女性25%に対し男性28%)、や3ヵ所(女性23%に対し男性26%)認められる人の割合は、共に女性に少なかった。血管造影による疾患の程度を補正に加えたところ、ACSの種類にかかわらず、30日死亡率には男女間格差は見られなくなった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ファイザーとアステラス製薬「カデュエット配合錠」のコ・プロモーション契約締結

ファイザー株式会社とアステラス製薬株式会社は26日、持続性Ca拮抗薬/HMG-CoA還元酵素阻害剤「カデュエット配合錠」(一般名:アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物配合剤)に関し、日本国内におけるコ・プロモーション(共同販促)契約を締結したと発表した。カデュエット配合錠は、ファイザーが販売する高血圧症・狭心症治療薬「ノルバスク錠」(一般名:アムロジピンベシル酸塩)とファイザーとアステラス製薬で共同販促する高コレステロール血症治療剤「リピトール錠」(一般名:アトルバスタチンカルシウム水和物)の有効成分を配合した経口治療剤。現在、70以上の国と地域で承認され、日本ではファイザーが2009年7月7日に製造販売承認を取得した。本契約に基づき、ファイザーはカデュエット配合錠の製造と販売を行い、アステラス製薬と共にプロモーション活動を実施する。なお、カデュエット配合錠は、薬価収載後に発売する予定とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2009/2009_08_26.html(ファイザー)http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-63.html(アステラス製薬)

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PTCAバルーンカテーテル Tazuna(タヅナ)新発売

テルモ株式会社は27日、狭心症などの治療に用いるPTCAバルーンカテーテル「Tazuna」を全国の医療機関向けに発売した。カテーテルの先端をわずか0.41mmと細くするなど、血管内の通過性能を追求したことで、手首の細い血管からカテーテルを入れる治療法にも使いやすくなったという。この方法は、太ももの血管を使った時と比べて、出血が少ない、治療後の止血時間が短いなど、患者の負担が軽減されるため、国内でも普及が進んでいる。また、完全に詰まった血管にも通りやすいという。詳細はプレスリリースへhttp://www.terumo.co.jp/press/2009/018.html

365.

ファモチジンが、低用量アスピリン潰瘍の新たな予防治療に

低用量アスピリン使用中の患者にみられる消化管潰瘍の予防に、ファモチジン(商品名:ガスター、など)が高い効果を示すことが、イギリスGlasgow大学Crosshouse病院のAli S Taha氏らが行った第III相試験(FAMOUS試験)で明らかとなった。低用量アスピリンは世界的に最も広範に使用されている薬剤のひとつであり、心血管疾患、脳血管疾患、糖尿病に対する抗血栓療法のOTC薬および処方箋薬として使用量が増大しているという。一方、消化性潰瘍による出血、穿孔などの上部消化管合併症やときに死亡例もみられるなどの問題をかかえており、有効な予防治療の確立が切望されている。Lancet誌2009年7月11日号(オンライン版2009年7月6日号)掲載の報告。3か月後の新規の胃・十二指腸潰瘍、びらん性食道炎の発症状況を評価ファモチジンは耐用性に優れるとされるヒスタミンH2受容体拮抗薬。FAMOUS(Famotidine for the Prevention of Peptic Ulcers in Users of Low-dose Aspirin)試験の研究グループは、血管保護の目的で低用量アスピリンを使用中の患者において、消化性潰瘍およびびらん性食道炎の予防治療としてのファモチジンの効果を評価するために二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施した。Crosshouse病院(Kilmarnock)の心血管・脳血管・糖尿病クリニックから、他の心保護薬の使用の有無にかかわらず低用量アスピリン(75~325mg/日)投薬中の成人患者(18歳以上)が登録された。ベースライン時の内視鏡検査にて潰瘍あるいはびらん性食道炎の存在が否定された患者が、ファモチジン20mg×2回/日を投与する群(204例)あるいはプラセボ群(200例)に無作為に割り付けられた。無作為割り付け後12週目に最終的な内視鏡検査が行われた。1次エンドポイントは、12週目における新規の胃・十二指腸潰瘍あるいはびらん性食道炎の発症とした。両群とも、少なくとも1回の投与を受けた全症例が解析の対象となった。消化管障害が80~95%も低下、上部消化管出血は認めずすべての割り付け例が1回以上の投与を受けITT解析の対象となった。82例(ファモチジン群:33例、プラセボ群:49例)が最終の内視鏡検査を受けなかったが、正常所見として解析された。投与中止のおもな理由は患者による継続拒否であった。12週目における胃潰瘍の発症率は、ファモチジン群が3.4%(7/204例)と、プラセボ群の15.0%(30/200例)に比べ有意に低下した(オッズ比:0.20、95%信頼区間:0.09~0.47、p=0.0002)。十二指腸潰瘍は、ファモチジン群0.5%(1/204例)、プラセボ群8.5%(17/200例)(オッズ比:0.05、95%信頼区間:0.01~0.40、p=0.0045)、びらん性食道炎はそれぞれ4.4%(9/204例)、19.0%(38/200例)(オッズ比:0.20、95%信頼区間:0.09~0.42、p<0.0001)と、いずれもファモチジン群で有意な低減効果を認めた。有害事象の発現例数も、ファモチジン群(9例)がプラセボ群(15例)よりも少なかった。入院を要する上部消化管出血は、プラセボ群で4例に認めたが、ファモチジン群では見られなかった。狭心症がファモチジン群で2例に、プラセボ群では4例に認められた。著者は、「ファモチジンは、低用量アスピリン使用中の患者における胃・十二指腸潰瘍およびびらん性食道炎の予防治療として有効である」と結論したうえで、「ファモチジンは、血管保護を要する患者における消化管障害の予防治療の新たな選択肢である。過剰処方や使用期間の長さが指摘されるプロトンポンプ阻害薬に代わる可能性もある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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米国で血栓性心血管系イベントリスク抑制を適応とする「Effient錠」の承認取得

第一三共株式会社は11日、同社とイーライリリー・アンド・カンパニー(本社:米国インディアナ州)が共同開発をしていた、経皮的冠動脈形成術(PCI)による治療を受けている急性冠症候群(ACS)患者におけるステント血栓症を含む血栓性の心血管系イベントリスクの抑制を適応とするEffient錠(エフィエント錠、一般名:プラスグレル)の承認を米国食品医薬品庁(FDA)より10日(現地時間)取得したと発表した。米国では毎年150万人近い人々が心臓発作と不安定狭心症(胸部痛)を含むACSを発症し、その多くはPCIによる治療を受けている。推計では、2009年に米国で新たに心臓発作を起こす人の数は78万5,000人、再発作は47万人に達するとしている。同社は米国イーライリリーと協調して、今後数週間以内に米国で発売するとのこと。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.daiichisankyo.co.jp/4less/cgi-bin/cs4view_obj.php/b_newsrelease_n1/950/20090711_%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%AB%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E6%89%BF%E8%AA%8D_final.pdf

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Dr.東田の病態生理学 自由自在! [循環器編] 2

第4回 動脈硬化第5回 虚血性心疾患第6回 不整脈 [循環器編] 2 病気の仕組みを理解し原因を解き明かす病態生理学。 「複雑で難しい・・・」と苦手意識がある人は多いでしょう。このDVDでは、患者ケアをする際に必要不可欠な病態生理について、わかりやすく、かつ楽しく、解説します。従来の病態生理学の教材にはない、病気の意外なエピソードから始まり、身近な物事や面白い例え話も交えた、まさに痒いところに手が届く、”究極”の講義!いつの間にか病気の本質や仕組みを面白いほど理解していて、丸暗記という苦痛から開放されているはずです。医師・ナースをはじめ,臨床現場に携わるすべての医療従事者にオススメします!第4回 動脈硬化・日本人の死亡原因 (動脈硬化による死亡の割合は・・・)・動脈硬化とは何か? (ヒトは血管とともに老いる)・動脈硬化の分類 (3タイプの動脈硬化)・動脈硬化の原因 (様々な原因の中でも代表的なものは・・・・アテローム硬化の機序 (LDL・sdLDLが高いと高リスク)・動脈硬化の進行 (進行パターンには男女差あり)・動脈硬化の診断 ① (代表的な診断方法)・動脈硬化の診断 ② (その他の診断方法)・動脈硬化の治療 (いかにして血流を確保するか)・動脈硬化の予防と進行の阻止 (コレステロールをコントロール)第5回 虚血性心疾患・虚血性心疾患とは何か? (狭心症と心筋梗塞)・虚血性心疾患の分類 (狭心症と心筋梗塞)・狭心症の分類 (狭心痛発作の原因による分類)・心筋虚血の増悪過程 (動脈硬化から心筋梗塞まで)・狭心症の診断 (発作時でなければ心電図像は正常)・労作性狭心症の治療 (発作時と非発作時を分けて考える)・異型狭心症の治療 (発作時と非発作時を分けて考える)・心筋梗塞の発症機序 (狭心症と何が違ってくるか)・心筋梗塞の診断 (問診・心電図・血液検査が中心)・心筋梗塞の治療 (不整脈・ポンプ失調への対処と再開通療法)・虚血性心疾患のまとめ (狭心症と心筋梗塞の違い)第6回 不整脈・脈拍はどのように生じるか (刺激伝導系の大まかな流れ)・心電図の基礎 (心筋収縮の際の電気活動を見る)・不整脈の分類 (不整脈は心拍数から大別される)・徐拍型不整脈の分類 (脈拍が正常より遅い不整脈)・頻拍型不整脈の分類 (脈拍が正常より速い不整脈)・不整脈の危険度 (タイプによる危険度の高さに注意!)・不整脈の診断と治療 (不整脈は治療が重要)・不整脈の基礎となる疾患 (不整脈を誘発する疾患)・不整脈のまとめ (タイプによる危険度の高さに注意!)

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ハイリスクな非ST上昇型急性冠症候群への冠動脈造影、24時間以内で転帰改善

非ST上昇型急性冠動脈症候群の患者への冠動脈造影を、ルーチンに24時間以内に行うことが転機の改善に寄与することが明らかにされた。ただし、ハイリスク患者に限られる。これまで、侵襲的治療が転機の改善に寄与することは報告されていたが、介入の至適時期については明らかにされていなかった。カナダ・マクマスター大学病院Hamilton Health SciencesのShamir R. Mehta氏らによって行われた、TIMACS(Timing of Intervention in Acute Coronary Syndrome)試験からの報告で、NEJM誌2009年5月21日号で掲載された。36時間以降介入と比べ、6ヵ月後の死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合が28%低いTIMACSには、2003年4月~2008年6月に患者3,031例が参加。1,633例は急性冠症候群の最大規模の臨床試験OASIS-5からの参加者で、OASIS-5試験終了後1,398例が加わって構成され、結果的に盲検化された多施設共同パラレル無作為化試験。症状発症後24時間以内で非ST上昇型の不安定狭心症もしくは心筋梗塞で入院した患者のうち、60歳以上、ST上昇に関するバイオマーカーもしくは心電図記録のある人が適格とされた。被験者は、ルーチンの早期介入群(24時間以内に冠動脈造影を実施、1,593例)と、待機的介入群(36時間以降に冠動脈造影を実施、1,438例)とに割り付けられ、6ヵ月時点の死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合を主要転帰に、また、同時点での死亡、心筋梗塞、治療不応性虚血の複合を副次転機とし追跡された。冠動脈造影は、早期介入群は中央値14時間後に97.6%に、待機的介入群は中央値50時間後に95.7%に実施された。主要転帰の発生は、早期介入群9.6%、待機的介入群11.3%で、ハザード比は0.85(95%信頼区間:0.68~1.06、P=0.15)だった。さらに副次転帰の発生に関しては、早期介入群9.5%、待機的介入群12.9%で、ハザード比は0.72(0.58~0.89、P=0.003)、早期介入群が相対的に28%低いという結果だった。転帰改善に優れていたのはハイリスク群また、患者をリスクの度合いで階層化し比較した結果から、リスクが最も高い患者群(GRACEスコア140以上)では3分の1が、早期介入により主要転帰が改善していた(13.9% vs. 21.0%、ハザード比:0.65、0.48~0.89)。しかし、低~中等度リスクの患者(同140未満)では、3分の2は改善しなかった(7.6% vs. 6.7%、1.12、0.81~1.56、不均一性P=0.01)。以上を踏まえMehta氏は、「ルーチンの24時間以内介入は、主要転帰(死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合)の予防に関しては36時間以降介入と違いはなかった。しかし、副次転帰(死亡、心筋梗塞、治療不応性虚血の複合)の発生率は低下した。特にハイリスクの患者で、より優れていた」と結論した。(武藤まき:医療ライター)

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薬剤抵抗性心筋虚血への自己骨髄由来単核球細胞の心筋内注入で、心筋灌流が改善

薬剤抵抗性慢性心筋虚血に対し、自己骨髄由来単核球細胞を心筋内に注入すると、わずかではあるが心筋灌流が短期間で有意に改善することがわかった。オランダLeiden大学心臓病学部門のJan van Ramshorst氏らが、患者50人を対象に無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2009年5月20日号で発表した。負荷時合計スコアは平均3.4ポイント改善Ramshorst氏らは、被験者を2群に分け、一方の群には100×10(6)の自己骨髄由来単核球細胞を、心筋内に注入した。もう一方には、プラセボ液を注入した。被験者の平均年齢は64歳(標準偏差:8)、43人が男性だった。追跡期間は6ヵ月。主要アウトカムは、Tc-99mテトロフォスミンを用いた断層撮影法SPECTによる負荷時合計スコアとした。第2アウトカムは、左室駆出率、カナダ心臓血管協会(CCS)の狭心症重症度分類、シアトル狭心症質問表によるQOL(生活の質)スコアなど。結果、SPECTによる負荷時合計スコアについて、試験開始時と3ヵ月後を比較したところ、プラセボ群で平均24.8(標準偏差:5.5)から23.7(同:5.4)にわずかだが低下していた(p=0.004)。一方治療群では、同スコアは平均23.5(4.7)から20.1(4.6)へとより大幅に改善した(p

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ノルバスクとアムロジンの用法・用量が一部変更に

ファイザー株式会社と大日本住友製薬株式会社は23日、持続性カルシウム拮抗薬「ノルバスク錠/OD錠2.5mg/5mg」ならびに「アムロジン錠/OD錠2.5mg/5mg」(一般名:アムロジピンベシル酸塩)において、高血圧症に対し10mgまで増量可能とする用法・用量の一部変更承認を同日付で取得したと発表した。アムロジピンは、既に欧米など海外では10mg投与が承認されており、増量することによりさらに優れた降圧効果を発揮し、その有効性、安全性は、多数の大規模臨床試験でも確認されている。そのため、両社では、国内でもアムロジピン5mgを超えた投与における適切な有効性・安全性情報を提供するために、高血圧症に対して1日10mgまで増量可能とする開発を行っていた。アムロジピンは、持続的な臨床効果を特徴とし、数多くの臨床エビデンスを有する高血圧症ならびに狭心症の治療薬。日本では1993年の発売以降、降圧治療の第一選択薬の一つとして広く処方されている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20090223.pdf

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ACE阻害薬、利尿薬とよりもCa拮抗薬との併用のほうが優れる:ACCOMPLISH試験

 米国の現行の高血圧治療ガイドライン(JNC 7)では、ハイリスクの高血圧患者に対してサイアザイド系利尿剤を含んだ併用療法を用いることを推奨しているが、最適な併用治療は十分に検討されていなかった。国際的な多施設共同試験ACCOMPLISHは、ACE阻害薬「ベナゼプリル」+ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬「アムロジピン」と、「ベナゼプリル」+サイアザイド系利尿薬「ヒドロクロロチアジド」とを比較したもので、ACE阻害薬+Ca拮抗薬併用療法のほうが、心血管イベントの減少効果が優れていることを報告した。NEJM誌2008年12月4日号より。アメリカ、北欧の計5ヵ国548施設から1万強が参加 ACCOMPLISH(Avoiding Cardiovascular Events through Combination Therapy in Patients Living with Systolic Hypertension)試験は多施設共同無作為化二重盲検試験で、アメリカ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドの5ヵ国548施設から参加した、心血管イベントリスクが高い高血圧患者1万1,506例(2003年10月登録開始)を、ベナゼプリル+アムロジピン併用療法群(Ca拮抗薬併用群)とベナゼプリル+ヒドロクロロチアジド併用療法群(利尿薬併用群)に割り付け行われた。 両群の患者基線値は同等。試験は、追跡平均36ヵ月時点で、事前規定の試験有効性の中止基準を上回ったため早期に終了された。Ca拮抗薬併用群のイベント発生は利尿薬併用群の2割減 平均血圧は、Ca拮抗薬併用群で131.6/73.3 mmHg、利尿薬併用群で132.5/74.4 mmHgで、目標血圧(140/90 mmHg以下)は前者75.4%、後者72.4%の達成率だった。 主要なアウトカムイベント(心血管系を原因とする死亡、心筋梗塞、脳卒中、狭心症による入院、突然の心停止後に蘇生、冠動脈血行再建)は、Ca拮抗薬併用群では552件(9.6%)だったが、利尿薬併用群では679件(11.8%)発生し、Ca拮抗薬併用群のイベント発生は利尿薬併用群の0.80倍(95%信頼区間:0.72~0.90、P

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イルベサルタン、左室駆出率45%以上心不全患者のアウトカム改善せず

心不全患者の約半数では左室駆出率が少なくとも45%あるが、これら患者の予後を改善する治療法は示されていない。サンフランシスコ退役軍人メディカルセンターのBarry M. Massie氏らのI-PRESERVE研究グループは、これら心不全患者へのイルベサルタン(商品名:イルベタン、アバプロ)の治療効果について検証した。NEJM誌2008年12月4日号(オンライン版2008年11月11日号)より。心不全患者4,128例をイルベサルタン投与群とプラセボ群に無作為割り付けI-PRESERVE(Irbesartan in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction Study)には、ニューヨーク心臓協会(NYHA)が定めた心不全の重症度分類によるクラスII、III、IVの60歳以上の心不全患者で、左室駆出率45%以上が確保されている患者4,128例が参加し、イルベサルタン300mg/日投与群、またはプラセボ投与群に無作為に割り付け追跡された。主要評価項目は、全死因死亡および心血管疾患(心血管系を原因とする心不全、心筋梗塞、不安定狭心症、不整脈または脳卒中)による入院とし、副次評価項目は心不全による死亡、または心不全による入院、全死因死亡または心血管を原因とする死亡、そして生活の質とした。主要転帰、副次転帰いずれも有意差は認められず平均追跡期間は49.5ヵ月間で、742例のイルベサルタン群患者と763例のプラセボ群患者で主要複合転帰のイベントが起きた。イベント発生率は、イルベサルタン群が100.4/千人年、プラセボ群が105.4/千人年で、ハザード比0.95(95%信頼区間:0.86~1.05、P=0.35)で有意差は認められなかった。全死因死亡率はそれぞれ52.6/千人年、52.3/千人年でハザード比は1.00(0.88~1.14、P=0.98)で、これも同様だった。主要転帰をもたらした心血管系の原因による入院率についても、それぞれ70.6/千人年、74.3/千人年で、ハザード比は0.95(0.85~1.08、P=0.44)だった。他の事前に特定したアウトカムについても有意差は認められなかった。このため研究グループは、イルベサルタンは左室駆出率が一定以上に保たれた心不全患者のアウトカムを改善しないと結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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心電図検査の予後評価は病歴聴取の域を出ない

狭心症疑いの外来患者への心電図検査(ECG)の予後評価は、病歴聴取で得られる情報に基づく予後評価の域を出ず、将来的に虚血性心疾患を発症するか否かにECGは、ほとんど役に立たない、Newham University Hospital(イギリス)のNeha Sekhri氏らがコホート調査の結果として報告した。ECGはイギリスの胸痛クリニックでは59%の実施率、最近のEuro heart surveyでは76%と臨床現場では慣例化している。BMJ誌2008年11月29日号(オンライン版2008年11月13日号)掲載より。8,176例を登録し追跡調査はイギリスの6つの胸痛クリニックに狭心症疑いで紹介されてきた、心疾患の既往のない外来患者8,176例を登録し追跡した。全例に安静時ECGと、年齢、性別、症状の継続期間、喫煙有無、高血圧歴、服用薬など通常の臨床評価を行い記録。また運動負荷ECGも行った患者(4,873例)については、そのうち4,848例で結果(虚血性:陽性、陰性、不明)の「サマリー」を記録、1,422例では結果の「詳細」を記録し、追跡期間中央値2.46年の間の、虚血性心疾患による死亡、非致死性の急性冠動脈症候群発症との複合を評価した。もっと効果的な適用患者の層別化を検討すべきROC曲線解析によるC統計量での評価で、臨床評価のみのモデルと安静時ECGの結果を有するモデルとはほとんど違いが見られなかった。運動負荷ECGのC統計量については、「サマリー」記録群は0.74(同群で臨床評価のみの場合0.70)、「詳細」記録群は0.78(同0.74)であった。しかし、「臨床評価のみ」「臨床評価+安静時ECG」「臨床評価+安静時/運動負荷ECG」のいずれにおいても、1年時点、6年時点の主要エンドポイントのリスク層別化の累積確率はほとんど相違が示されなかった。Sekhri氏は「安静時ECGと運動負荷ECGの予後評価は、基本的な臨床評価の域を出ない」と結論。「ECG検査は広く一般的に行われているが、もっと有意義となるよう適用患者の層別化を検討するべきだ」と提言している。

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ロスバスタチン、健康そうな人にも有益:JUPITER

高脂血症治療薬ロスバスタチン(商品名:クレストール)について、高脂血症ではない(LDL-C値が正常か低値)が高感度CRP(C反応性蛋白)が上昇している健康そうな人も、投与によって利益が得られることが報告された。高感度CRPは炎症バイオマーカーで、心血管イベントを予測できる。スタチンがコレステロールだけでなくCRPも低下することから検証されたJUPITER試験の結果で、NEJM誌2008年11月20日号(オンライン版2008年11月9日号)にて掲載された。LDL正常か低値で、高感度CRP高値の男女17,802例を1.9年追跡JUPITER(Justification for the Use of statins in Primary prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin)試験は、2003年2月~2006年12月の間に26ヵ国1,315地点から参加者が集められた大規模な無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験。心血管イベントの既往がなく、LDL-Cが130mg/dL(3.4mmol/L)未満、高感度CRPが2.0mg/L以上の一見健康な男女17,802例が参加した。参加者は、ロスバスタチン20mg/日投与群とプラセボ群に無作為に割り付けられ、心筋梗塞、脳卒中、動脈血行再建または不安定狭心症による入院、心血管系起因の死亡を1次複合エンドポイントとし、中央値1.9年(最長5.0年)追跡調査された。主要心血管イベントの発生率が有意に低下無作為化後12ヵ月時点の比較で、ロスバスタチン群はプラセボ群に比べ、LDL-C値の中央値は50%、高感度CRPの中央値は37%低かった。1次エンドポイントの発生率は、ロスバスタチン群(0.77/追跡100人年)がプラセボ群(1.36/追跡100人年)に比べ0.56倍(95%信頼区間:0.46~0.69、P

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クレストールが心血管イベント発症リスクを大幅に減少する ~JUPITER試験結果より~

塩野義製薬とアストラゼネカは11月10日、アメリカ・ニューオーリンズで開催されている2008年米国心臓協会(American Heart Association)学術集会でJUPITER(ジュピター)試験が9日、Late Breaking Clinical Trials Sessionにて発表されたことを伝えた。JUPITER試験は、LDL-Cは正常か低値であるものの炎症マーカーとして知られている高感度CRPが高値の、心血管疾患リスクを有する男女を対象にクレストール(ロスバスタチン)の1次予防効果を検討したもの。クレストール20mg/日投与群ではプラセボ投与群に比べて、わずか1.9年(中央値)という短い試験期間で、一次エンドポイントの心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、血行再建術施行、入院を要する不安定狭心症および心血管死の複合リスク)の発症が44%(p

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ivabradineによる心拍低下療法の心予後改善は?:BEAUTIFUL試験

 If電流阻害薬ivabradineは、安定型冠動脈疾患および左室収縮機能障害患者の心臓の予後を改善しないが、心拍数が≧70拍/分の患者では冠動脈疾患の発症を低下させることが、大規模な無作為化試験(BEAUTIFUL試験)で明らかとなった。安定型冠動脈疾患、左室収縮機能障害はいずれもイベント発生率が高く、安静時の高心拍数は冠動脈リスク因子に影響を及ぼす可能性がある。ivabradineは洞房結節のIf電流を阻害することで心拍を低下させるが、他の心機能には影響を及ぼさないという。イギリス・王立Brompton病院のKim Fox氏が、Lancet誌2008年9月6日号(オンライン版2008年8月29日号)で報告した。33ヵ国781施設が参加した国際的な無作為化試験 BEAUTIFUL(morBidity-mortality EvAlUaTion of the If inhibitor ivabradine in patients with coronary disease and left-ventricULar dysfunction)試験の研究グループは、ivabradineによる心拍低下療法が安定型冠動脈疾患および左室収縮機能障害患者の心血管疾患による死亡率および罹患率を改善するか検討を行った。本試験は、33ヵ国781施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2004年12月~2006年12月に1万2,473例をスクリーニングし、冠動脈疾患を有し左室駆出率<40%の1万917例を登録した。 ivabradine群(5mg×2回/日、2週間後に心拍数≧60拍/分の場合は7.5mg×2回/日に増量、<50拍/分となった時点で5mg×2回/日に減量)に5,479例が、プラセボ群には5,438例が無作為に割り付けられた。主要評価項目は、心血管死、急性心筋梗塞による入院、心不全の新たな発症あるいは増悪による入院の複合エンドポイントとした。複合エンドポイントに変化なし ベースラインにおける平均心拍数は71.6(SD 9.9)拍/分、フォローアップ期間中央値は19ヵ月であった。プラセボ群で補正した12ヵ月後のivabradine群の心拍数は6(SD 0.2)拍/分低下した。患者の87%がβ遮断薬を併用していたが、安全性にかかわる事象は認めなかった。 ivabradineは複合エンドポイントに影響を及ぼさなかった(ハザード比:1.00、95%信頼区間:0.91~1.1、p=0.94)。重篤な有害事象はivabradine群の22.5%(1,233例)、プラセボ群の22.8%(1,239例)に認められた(p=0.70)。事前に規定された心拍数≧70拍/分の患者においても、ivabradine治療は複合エンドポイントに影響しなかった(ハザード比:0.91、95%信頼区間:0.81~1.04、p=0.17)が、副次評価項目である致死的あるいは非致死的な心筋梗塞による入院(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.49~0.84、p=0.001)および冠動脈血行再建術の施行(ハザード比:0.70、95%信頼区間:0.52~0.93、p=0.016)を有意に低下させた。 著者は、「ivabradineによる心拍低下療法は安定型冠動脈疾患および左室収縮機能障害患者の心予後を改善しなかったが、心拍数≧70拍/分の患者では冠動脈疾患の発症を低下させる可能性がある」と結論し、複合エンドポイントに変化がみられなかった原因について「基礎疾患ごとに必要とされる心拍数の低下の程度が異なる可能性がある。心拍数は、心筋梗塞や狭心症などそれが直接的に影響する疾患よりも、心不全など生理的反応に影響を及ぼす疾患でより低下する可能性がある」と考察している。

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冠動脈疾患患者の2次予防にビタミンBは無効

総ホモシステイン濃度と心血管疾患とのリスクの関連性は観察研究によって報告されている。血漿総ホモシステイン濃度は、葉酸+ビタミンB12の内服によって低下させることができるが、Haukeland大学病院心臓疾患部門(ノルウェー)のMarta Ebbing氏らは、冠状動脈疾患もしくは大動脈弁狭窄症患者の2次予防として、葉酸+ビタミンB12の服用効果と、葉酸+ビタミンB6の服薬効果を、無作為化試験で比較評価した。JAMA誌2008年8月20日号より。冠動脈造影を受けた3,096例を群無作為化二重盲検対照試験1999~2006年に、ノルウェー西部の2つの大学病院で行われた無作為化二重盲検対照試験で、参加者は冠動脈造影を受けた計3,096例の成人(女性20.5%、平均年齢61.7歳)。基線で、59.3%が2種または3種の血管疾患があった。83.7%は安定性狭心症があり、14.9%が急性冠動脈症候群を有していた。22通りの要因を有する参加者は、「葉酸(0.8mg)+ビタミンB12(0.4mg)+ビタミンB6(40mg)」(n=772)、「葉酸+ビタミンB12」(n=772)、「ビタミンB6単独投与」(n=772)、「プラセボ投与」(n=780)の4つの経口投与群のうちの1つにランダムに割り当てられた。主要エンドポイントは、全死因、非致死性の急性心筋梗塞、不安定狭心症による緊急入院、非致死性の脳梗塞の複合とした。葉酸効果は認められるがビタミンB効果は確認できなかった「葉酸+ビタミンB12」を受けていた群では、服用1年後の血漿総ホモシステイン濃度の平均値は30%減少していた。本試験は、同時期に行われたNorwegian trialで介入による有害事象の報告がされたため早期に終了され、追跡調査は38ヵ月間だった。その間に主要エンドポイントが確認された参加者は計442例(13.7%)。このうち219例(14.2%)が「葉酸+ビタミンB12」の投与を受けており、203例(13.1%)がそれらの投与を受けていなかった。ハザード比は1.09(95%信頼区間:0.90~1.32、P=0.36)。また「ビタミンB6」の投与を受けていたのは200例(13.0%)、受けていなかったのは222例(14.3%)。ハザード比は0.90(0.74~1.09、P=0.28)だった。これら結果からEbbing氏は、「本試験では、葉酸+ビタミンB12あるいは+ビタミンB6の総死亡率、心血管イベントへの治療効果の違いを見いだすことはできなかった。我々の調査結果では、冠動脈疾患患者の2次予防にビタミンBを用いることを支持しない」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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女性の心血管イベント予防には片頭痛情報とFraminghamリスクスコアを

ジグザクラインや光の点滅を見たりする前兆を伴う片頭痛は、心筋梗塞を含む虚血性の脳卒中や狭心症など血管性イベントのリスク増加と関連しているとされるが、生物学的メカニズムは明らかではない。その関連について、Framinghamリスクスコアに基づく血管リスクの状態による変化(女性対象)を調べていたブリガム&ウィメンズ病院(米国・ボストン)予防医学部門のTobias Kurth氏らは、「血管リスクの状態によって関連は異なる。片頭痛と血管リスクの情報は、心血管イベントの将来予測に寄与するようだ」と報告した。BMJ誌2008年8月7日号掲載より。2万7,519例の女性を対象に前向きコホート研究米国Women's health studyと題する前向きコホート研究は、基線で心血管疾患ではなく、Framinghamリスクスコアと片頭痛状態に関する情報が入手可能だった2万7,519例の女性が参加して行われた。参加者は、Framinghamリスクスコアに基づき冠動脈性心疾患の10年リスクについて、「≦1%」「2~4%」「5~9%」「≧10%」の各グループに階層化された。主要アウトカムは、「主な心血管疾患イベント(非致死的心筋梗塞、非致死性の虚血性脳卒中、虚血性心血管疾患による死亡)」、「心筋梗塞」、「虚血性脳卒中」の各発症までの時間。基線で片頭痛を報告した女性は、3,577例(13.0%)で、そのうち1,418例(39.6%)が前兆を伴う片頭痛であったことを報告した。Framinghamリスクスコアの血管リスク指標は有効!?11.9年の追跡調査の間、心血管疾患イベントは697例だった。片頭痛のない女性と比較して、前兆を伴う片頭痛がある女性のハザード比(年齢補正済)は、「主な心血管疾患イベント」1.93(95%信頼区間:1.45~2.56)、「虚血性脳卒中」1.80(1.16~2.79)、「心筋梗塞」1.94(1.27~2.95)であった。Framinghamリスクスコアによって階層化した場合は、前兆を伴う片頭痛と「主要な心血管疾患イベント」との間の関連は、「≦1%」グループで最も強かった。片頭痛のない女性と比較して、「≦1%」グループで前兆を伴う片頭痛を報告した女性のハザード比(年齢補正済)は、「虚血性脳卒中」3.88(1.87~8.08)、「心筋梗塞」1.29(0.40~4.21)だった。「≧10%」グループで前兆を伴う片頭痛をもつ女性のハザード比は、「虚血性脳卒中」1.00(0.24~4.14)、「心筋梗塞」3.34(1.50~7.46)だった。前兆のない片頭痛をもつ女性については、Framinghamリスクスコアの各グループごとに見ても、虚血性脳卒中、心筋梗塞ともリスクは高くなかった。Kurth氏は、「前兆を伴う片頭痛と心血管疾患との間の関連は、血管リスクの状態によって異なる。片頭痛と血管リスク状態の病歴情報は、女性において特異的に、将来の心血管疾患イベントの高いリスクを知る手がかりとなるといえそうだ」と結論している。

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安定冠動脈疾患患者へのPCI追加によるQOL改善効力は3年

慢性冠動脈疾患の治療法に関する臨床試験「COURAGE」では、最適薬物療法に経皮的冠動脈介入(PCI)を加えても、死亡率や心筋梗塞発生率の改善につながらなかった。しかし、最適薬物療法+PCIがQOLを改善できるかどうかを検証していた、同試験メンバーのWilliam S. Weintraub氏(米国・Christiana Care Health System)らは、「PCI追加によって、治療初期にはよりQOLが改善されるが、3年後には差がなくなる」と報告した。NEJM誌2008年8月14日号より。2,287例を薬物単独群とPCI追加群に割り付け慢性冠動脈疾患患者2,287例を無作為に、PCI+最適薬物療法群(PCI群)と最適薬物療法単独群(薬物療法群)に割り付けた。狭心症に特有の健康状態の評価は「Seattle Angina Questionnaire」(SAQ;0~100のスコアが高いほど良好な健康状態を示す)を用いて、また全般的な身体・精神機能は「RAND-36=36項目健康調査」によって評価した。24ヵ月までなら重症者ほどPCIの利点が大きいベースラインで狭心症の認められなかった患者は22%だが、3ヵ月後にはPCI群で53%、薬物療法群で42%となった(P

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ネガティブ感情は心疾患イベントに関連:Whitehall IIスタディ

心疾患イベントのリスク増加に心理的因子(不安、敵意/怒り、うつ)が関わっていることを示す研究がいくつかあるが、ポジティブな感情、ネガティブな感情それぞれを独立因子とし、二次的な冠動脈性心疾患イベントとの関連(影響およびリスク)を検討する研究が報告された。イギリスでのWhitehall IIスタディからの報告。同スタディは1985年にセットされ追跡調査されている、健康と疾患の社会経済的傾向を探るための経時的研究である。BMJ誌2008年6月30日号掲載より。1万308人を12年以上追跡調査追跡期間12年以上の前向きコホート研究としてデザインされた試験には、ロンドンに本部事務所を置く20の行政機関に属する1万308人(1985年登録時35~55歳)が参加した。主要転帰項目は、致死性冠動脈性心疾患、非致死性心筋梗塞、狭心症(n=619、追跡期間12.5年)。年齢、性、民族性、社会経済的位置づけで調整したコックス回帰分析の結果、ポジティブ感情と、バランスがとれた感情(バランス・スコアに着目した指標で評価した感情)は、冠動脈性心疾患との関連は見出せなかった。ハザード比はそれぞれ1.01(95%信頼区間:0.82~1.24)、0.89(0.73~1.09)。ポジティブ感情、バランスのとれた感情との関連は見られなかったがさらに行動のリスク因子(喫煙、飲酒、1日の果物と野菜摂取量、運動、BMI)、生物学的リスク因子(高血圧、血中コレステロール、糖尿病)、仕事による精神的ストレスの因子で補正をしても、結果は変わらなかった。しかし、ネガティブ感情を有する区分に分類された参加者には、冠動脈性心疾患イベント増が見られた(ハザード比:1.32、95%信頼区間:1.09~1.60)。この相関は、複数の交絡因子の調整後も変わらなかった。この結果を踏まえ、「ポジティブ感情と、バランスのとれた感情は、男女ともスタディ加入時に冠動脈性心疾患と診断されなかった場合、将来的な発症を予測する因子とはならないようだ。ネガティブ感情には弱い相関が見られる。さらなるスタディで確認する必要があるだろう」と結論している。

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