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専門家ワーキンググループが電子タバコを禁煙支援選択肢として推奨

 国際的な非営利団体であるニコチン・タバコ研究学会(SRNT)の専門家ワーキンググループ「Harm Reduction Workgroup」が、成人の禁煙支援に電子タバコを用いることに関する臨床上の推奨事項を発表した。電子タバコを米食品医薬品局(FDA)承認のニコチン代替療法やバレニクリン、ブプロピオンなどの薬物療法とともに、選択肢として提示すべきだとしている。米カンザス大学人口健康学分野のEleanor Leavens氏らがまとめたこの推奨事項は、7月30日付で「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に掲載された。 この推奨事項の中で著者らは、電子タバコに害がないわけではないものの、紙巻きタバコを吸うことよりは害が少なく、従来のニコチン代替療法より禁煙に有効であると指摘している。筆頭著者であるLeavens氏はニュースリリースの中で、「今回の取り組みは、喫煙者に対するエビデンスに基づく医療の妨げとなっている誤解を正し、医師が患者の禁煙を支援するために使える手段を増やすことを目的としている」と述べている。 Leavens氏はまた、「全ての喫煙者に効く単一の禁煙方法は存在しない。患者に複数の選択肢を提示し、それぞれのリスクとベネフィットについて話し合うことで、紙巻きタバコの喫煙をきっぱりやめ、全体的な健康状態を改善できる可能性が高まる」と話している。 今回のエビデンスレビューによると、紙巻きタバコから電子タバコへ切り替えることで、発がん物質などの有害物質への曝露が、場合によっては最大で90%低いとしている。また、電子タバコはFDAから禁煙治療薬として承認されていないものの、電子タバコの使用は、ニコチン代替療法(ニコチンパッチ、ガム、トローチ、点鼻スプレー)より高い禁煙率と関連することを示す確実性の高いエビデンスがあるという。 著者らは、「ニコチン代替療法とは異なり、電子タバコを吸うと、通常は紙巻きタバコと同様にニコチンが速やかに体内に取り込まれる。このようなニコチン送達は、ニコチン代替療法に比べて依存が強くなったり長期使用につながったりするリスクがある一方、電子タバコの方が満足感を得られやすく、紙巻きタバコの代替としてニコチン代替療法より有効で、再喫煙リスクの低下にもつながる可能性がある」と記している。 紙巻きタバコの喫煙者に助言する医師は、その患者に最も適した禁煙方法について一緒に話し合って決めるべきだとしている。さらに、患者が禁煙のために電子タバコの使用を希望した場合、以下のことが推奨されている。・医師は、FDAが販売を認可した電子タバコ製品を使用するよう患者を導くこと。・普段、紙巻きタバコを吸うタイミングや、吸いたくなったときに電子タバコを使用するよう伝えること。・できるだけ早く紙巻きタバコから電子タバコへ完全に切り替えること。・禁煙に成功する可能性を高めるため、行動カウンセリングも受けるよう勧めること。 紙巻きタバコの禁煙に成功した後も電子タバコを使用している場合には、電子タバコの継続使用とニコチンの完全な中止のどちらを長期的な目標とするかを検討することも推奨されている。著者らは、「最も重要な目標は、紙巻きタバコの完全な禁煙を維持することだ」としている。 Leavens氏は、「米国では、がんによる死亡の約30%が紙巻きタバコの喫煙によるものだ。ほとんどの喫煙者は禁煙したいと思っているが、なかなかやめられないのが現実だ。電子タバコに関するこれらの明確なガイダンスは、医師にとって、患者が燃焼式タバコから離れ、より良い健康状態へと向かうのを支援する実用的な手段となるだろう」と述べている。 なお、本推奨を作成したHarm Reduction Workgroupは、タバコ業界から資金提供を受けていない。

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第309回 ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省

<先週の動き> 1.ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省 2.OTC類似薬で患者負担増を懸念 患者調査で見直し要求/保団連 3.熊本地震で医療機関の断水続く 介護保険手続きなど緩和/厚労省 4.自治体病院の赤字2,180億円 物価・人件費高騰で「経営努力に限界」/全自病 5.イヌ飼育で要介護認知症リスク48%減 公的支出5,920億円削減試算/国環研ほか 6.豪雨で医療・介護施設91ヵ所被災 透析転院や手術制限続く/千葉県 1.ベースアップ評価料の請求に疑義 施設基準の再確認を/厚労省厚生労働省は、医療従事者の処遇改善を支援するベースアップ評価料などについて、医療機関が届け出た施設基準と実際の診療報酬請求の内容に齟齬が生じているケースが散見されるとして、8月診療分以降の請求前に改めて施設基準を確認するよう求めた。対象は外来・在宅ベースアップ評価料I・II、入院ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料I・II、調剤ベースアップ評価料、看護職員処遇改善評価料など。2026年度診療報酬改定では、医療スタッフのさらなる賃上げを目的に、ベースアップ評価料の対象職種拡大や点数引き上げが行われた。外来・在宅ベースアップ評価料Iでは継続的に賃上げに取り組む医療機関をより高く評価し、入院ベースアップ評価料でも従来から賃上げを実施してきた医療機関を手厚く評価する仕組みが導入された。これに伴い、改定前から評価料を算定していた医療機関でも、6月以降に継続算定する場合は6月1日までに改めて施設基準を届け出る必要があった。しかし、6・7月診療分の請求では、届け出で受理された評価項目と実際に請求した評価料の種類や点数が一致しない例が確認された。厚労省は、改定対応が多岐にわたったことを踏まえ、この2ヵ月分については審査支払機関で特段の調整を行っていた。その一方で、8月診療分以降については、4月24日付の事務連絡や施設基準の届け出早見表を参照し、適切に請求するよう強く要請している。病院では、過去の賃上げ実績や入院ベースアップ評価料の選択状況によって、算定点数、入院料減算の有無、提出すべき様式が異なる。厚労省は、特設サイトでも必要書類や手続きを示しており、医療機関に対し自院で受理された施設基準とレセプト請求内容が一致しているか、請求前に改めて確認するよう呼びかけている。 参考 1) ベースアップ評価料等に係る診療報酬請求について(厚労省) 2) 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について(同) 3) ベア評価料、診療報酬請求の内容に疑義が散見 受理された施設基準「改めて確認を」厚労省(CB news) 4) ベースアップ評価料の施設基準届出と請求との齟齬が頻発、8月分以降の請求に備え改めて自院の施設基準確認し、適切な請求を(Gem Med) 2.OTC類似薬で患者負担増を懸念 患者調査で見直し要求/保団連全国保険医団体連合会(保団連)は、厚生労働省が進めるOTC類似薬の保険給付見直しについて、患者への配慮措置が限定的で、慢性疾患の治療継続を妨げる恐れがあるとして制度の撤回・見直しを求めた。8月6~13日に実施した緊急調査では9,641人が回答し、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、慢性便秘症、高尿酸血症など慢性疾患で対象薬の処方を受ける患者が約85%を占めた。厚労省は、市販薬と成分などが類似する医療用医薬品77成分、約1,100品目について、通常の窓口負担とは別に追加料金を求める制度を検討している。がんや指定難病患者、長期使用が医学的に必要な場合などは配慮対象とする方針だが、原疾患と関連しない症状や季節性の花粉症などは対象外となるケースが多い。保団連調査では花粉症・アレルギー性鼻炎患者の42.1%がいずれの配慮類型にも該当しなかった。保団連は、アトピー性皮膚炎で症状に応じてステロイド外用薬を変更するケースや、喘息で抗アレルギー薬を断続的に併用する場合など、治療自体は継続していても個々の薬剤が「通年使用」とならず配慮対象から外れる点を問題視。慢性腰痛や関節リウマチなどで使用する湿布薬も長期使用であっても原則対象外となるため、患者負担が大きくなると訴えた。保団連の試算では、制度による医療費削減は年間約900億円、保険料軽減効果は加入者1人当たり年約400円にとどまる一方で、花粉症で内服薬、点眼薬、点鼻薬を併用すれば月約1,500円の負担増になる可能性がある。また、医師が過去の治療歴や処方期間を確認して配慮対象を判定する必要があり、診療・薬局業務の複雑化や患者とのトラブルも懸念される。保団連は「配慮する必要のない患者という線引きに医学的根拠はない」とし、必要な医療へのアクセスを損なわない制度設計を求めている。 参考 1) OTC類似薬の配慮措置に関する疾患、処方薬ごとの影響(保団連) 2) OTC類似薬の保険給付見直し、配慮措置の適用は限定的-保団連が9,641人の患者調査結果公表(日本医事新報) 3) 「働いて身を削り、次は健康を…」花粉症薬など“保険除外”で年数万円の負担増も?現役世代の家計圧迫に医師・患者ら撤回要望(弁護士JPニュース) 3.熊本地震で医療機関の断水続く 介護保険手続きなど緩和/厚労省最大震度7を記録した2026(令和8)年熊本地震の発生から3週間が経過したが、医療・介護施設への影響が続いている。厚生労働省によると、8月18日午前10時時点で熊本県内の18医療機関が断水しており、このうち14施設が八代市に集中している。被災医療機関はピーク時に92施設、断水は88施設に上った。県内ではDMAT15隊、DPAT12隊、災害支援ナース、JMAT、JRATなどが支援を継続している。高齢者施設でも960施設が建物被害や停電、断水、ガス停止などの影響を受けている。厚労省は、被災者への介護保険上の特例も相次いで示している。災害救助法が適用された10市10町1村の被保険者について、要介護・要支援認定の有効期間を市町村判断で最大12ヵ月延長でき、また、介護サービス事業者や介護施設などの指定更新についても、一定の権利の有効期限を2027年1月27日まで延長する特例を設けた。介護サービス利用料については、住宅の全半壊や床上浸水、主たる生計維持者の死亡・失職など一定の被害を受けた場合、市町村判断で自己負担1~3割を猶予・免除できる。すでに支払った利用料についても申請により還付が可能で、11月までの利用分などが対象となる。被保険者証を紛失した場合も氏名や生年月日などの確認でサービス利用を認める。さらに、公費負担医療の新規申請では、災害で申請が遅れた被災者について、医師の診断書に記載された日を受給開始日として取り扱える特例を設けた。厚労省は、被災者が医療・介護サービスや行政上の権利を失わないよう、柔軟な運用を自治体や関係機関に求めている。 参考 1) 熊本地震から3週間、18医療機関で断水(MEDIFAX) 2) 公費負担医療の新規申請、被災者は「診断日」を適用熊本地震で厚労省(同) 3) 令和8年熊本地震で被災した介護保険サービス利用者の利用料(1-3割負担)の猶予・免除、詳細な考え方提示-厚労省(Gem Med) 4) 令和8年熊本地震、要介護認定等の有効期間延長、介護サービス事業者等の指定更新の特例を認める-厚労省(同) 4.自治体病院の赤字2,180億円 物価・人件費高騰で「経営努力に限界」/全自病全国自治体病院協議会(全自病)がまとめた2025年度病院事業決算状況調査で、有効回答494病院の84%に当たる413病院が経常赤字となり、赤字額は計2,180億円に上った。前年度から赤字病院の割合は5ポイント改善したものの、依然として8割超が赤字で、自治体病院の厳しい経営環境が続いている。医業収益は前年度比3.3%増えた一方で、医業費用も3.0%増加。職員給与費は3.6%、材料費は5.3%増え、物価高と賃上げが収支を圧迫した。病床規模別では200床以上300床未満の病院がすべて経常赤字となった。大規模病院では改善がみられたが、500床以上でも8割超が赤字だった。経常収支の改善には、2025年度補正予算による1床当たり19万5,000円の賃上げ・物価高支援や救急受け入れ実績に応じた加算、国・都道府県の補助金、自治体からの繰入金増加が寄与した。その一方で、医業収支はなお大幅な赤字で、補助金がなければ経営はさらに厳しかったと全自病は推測している。全自病と全国自治体病院開設者協議会は8月19日、厚生労働省と総務省に緊急要望書を提出した。自治体病院は救急や不採算医療など地域医療の「最後の砦」を担う一方で、中東情勢悪化や円安を背景に医療用手袋、カテーテル、燃料などの価格上昇が続くとして、医療物資の安定確保や物価高対策、診療報酬の中間年改定を含む財政措置を要請。2026年度人事院勧告の月給3.51%引き上げが、ベースアップ評価料で想定した賃上げ水準を上回ることも経営悪化要因になると訴えた。地方交付税や特別交付税の拡充、公立病院の再編・統合、建て替え支援の強化も求めた。病院事業債の交付税措置対象となる建築単価上限は1平方メートル85万円に引き上げられたが、資材高騰でなお不足しているという。一方、四病院団体協議会は21日、2027年度税制改正に向け、社会保険診療報酬の消費税非課税制度を見直し、軽減税率やゼロ税率を含む課税取引へ転換するよう厚労省に要望した。仕入れや設備投資時に生じる控除対象外消費税が、病院建て替えや医療DX投資を妨げているとして、還付制度の創設を含む抜本的な制度見直しを要求。高額医療機器の特別償却制度の延長・対象拡大も求めており、病院団体は診療報酬、財政支援、税制の三面から経営基盤の立て直しを政府に迫っている。 参考 1) 自治体病院の8割が経常赤字 25年度、計2,000億円のマイナス続く(日経新聞) 2) 地域医療の砦となる自治体病院を守るため、物価高騰対応、期中の診療報酬改定含めた財政措置等の拡充等を要望-全自病(Gem Med) 3) 診療報酬の中間年改定含む対応を要望、2団体 物価高騰踏まえ 全自病など(CB news) 4) 控除対象外消費税の問題、抜本解決に向け重点要望病院を課税取引に 四病協(同) 5.イヌ飼育で要介護認知症リスク48%減 公的支出5,920億円削減試算/国環研ほかイヌを飼っている高齢者は、イヌを飼った経験がない高齢者に比べ、要介護認知症を発症するリスクが48%低い可能性があることが、国立環境研究所、東京都健康長寿医療センター、東京大学などの研究チームによる大規模疫学研究でわかった。研究成果は国際学術誌“International Journal of Environmental Research and Public Health”に掲載された。研究では、自宅で暮らす高齢者1万1,224人を「現在イヌを飼育」「過去に飼育」「飼育経験なし」の3群に分け、7.5年間追跡。要介護認知症の発症や死亡との関連を調べた。逆因果や把握できない交絡因子の影響を抑えるため操作変数解析を用いた結果、現在イヌを飼育している人の要介護認知症発症リスクは、飼育経験がない人と比べて48%低く、オッズ比は0.52だった。イヌとの暮らしには、散歩による身体活動の増加や外出機会の確保、地域住民との交流、精神的健康の維持などが伴うことから、研究チームはこうした健康行動が認知症発症の抑制に寄与している可能性があるとみている。さらに、高齢者のイヌ飼育率が13.4%まで増加すると仮定して予算への影響を試算したところ、イヌの飼育に伴う家計支出を含む社会全体の追加費用は4年間で約4兆6,300億円となる一方で、公的な医療・介護費は約5,920億円削減される可能性が示された。研究チームは今後、イヌそのものの効果に加え、散歩や地域交流などイヌとの生活を通じて生まれる行動に着目し、認知症予防や健康寿命延伸策への活用を検討する。ただし今回の結果は疫学研究に基づくもので、イヌを飼えば認知症を防げると直接証明したものではない。 参考 1) 「イヌを飼育している高齢者」は「飼育したことがない高齢者」に比べ認知症発症リスクが48%低い-長寿医療研究センター(Gem Med) 2) イヌと暮らす高齢者が増えると4年間で約5,920億円の公的支出削減-約1万1,200名の地域在住高齢者を対象とした7.5年間の大規模疫学研究-(東京都健康長寿医療センター) 6.豪雨で医療・介護施設91ヵ所被災 透析転院や手術制限続く/千葉県8月13日夜から14日にかけての記録的な千葉豪雨で、県内の病院や高齢者施設に浸水被害が相次ぎ、医療・介護提供体制への影響が長期化している。厚生労働省によると、25の医療施設と66の高齢者施設が被災し、発生から1週間以上経っても全面再開できない施設が残っている。八千代市のセントマーガレット病院では、地下機械室が浸水し、揚水ポンプやボイラーが故障。断水のため46人の透析患者が転院した。給水車を活用して18日から新規の長期入院患者の受け入れを再開したものの、透析センターの復旧は途上にあり、医療機器の滅菌にも通常より手間のかかる対応を強いられている。四街道市の介護老人保健施設でも給水ポンプや送迎車両が被災し、通所リハビリや入浴サービスを休止している。千葉大学医学部附属病院では地下の排水設備が冠水し、医療器具の洗浄装置が使用不能となった。19日には全手術を中止し、その後も手術件数を通常の半分程度に制限している。これを受け、東京科学大学病院は21日から院内の器材洗浄設備を提供。夜間の空き時間を利用してロボット支援手術器具などを洗浄し、1日約40件分の手術器材を処理できる体制を整えた。この支援は千葉大病院の設備復旧まで数週間続く見通し。今回の豪雨では、ハザードマップの浸水想定区域外にある医療機関でも被害が発生した。厚労省は「かつてなかった災害」とし、止水板の設置や地下設備の防水対策など、医療機関の水害対策強化が必要としている。 参考 1) 病院・高齢者施設 再開遠く 千葉豪雨 ボイラー故障透析患者転院(読売新聞) 2) 豪雨被災で手術制限中の千葉大病院へ、東京科学大病院が器材洗浄施設を提供…異例の国立大病院間支援(同) 3) 被害の千葉大病院支援 医療器具の洗浄設備貸し出し東京科学大(NHK)

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第71回 脳の“ゴミ出し”は鼻の奥から? 加齢でつまる「排水路」は再生できるのか

私たちの脳には、老廃物を処理して捨てる仕組みが備わっています。脳の周囲を満たす脳脊髄液と呼ばれる流動的な液体が、アミロイドβやリン酸化タウ、αシヌクレインといった、アルツハイマー病やパーキンソン病に関わるとされるタンパク質など、老廃物を洗い流しているのです。これまでの研究で、この脳脊髄液のおよそ半分が、最終的に首のリンパ節(頸部リンパ節)へと運ばれて処理されることがわかっていました。しかし、脳を包む空間から、どのようにして脳の外のリンパ管へ老廃物が「出ていく」のか、その出口ははっきりしていませんでした。排水路の出口は嗅球のそばそこで、研究チームは、蛍光を発する微粒子をマウスの脳脊髄液に注入し、その流れを立体的に追跡しました。すると脳脊髄液は、嗅球(鼻の奥の上側、脳の前下部にあり、においの情報を最初に受け取る神経の一部)のそばにある小さな穴を通り抜けて、リンパ管へ入り込むことがわかりました1)。このリンパ管は、やがて鼻の中のリンパ管とつながり、最終的に首のリンパ節へと流れていました。同様の「小さな穴」はサルでも確認され、ヒトにも通じる仕組みである可能性が示されています。実際に、大きめの微粒子でこの穴をふさぐと、首のリンパ節への流れが減ることも確認されました。この経路が排水に本当に使われていることが裏付けられたのです。加齢でつまり、点鼻で若返る?さらに研究チームは、加齢の影響を調べました。すると、高齢のマウスでは、くも膜の穴が少なく小さくなり、リンパ管そのものも大きく萎縮していました。その結果、首のリンパ節への脳脊髄液の流れも低下していました。つまり、加齢とともに脳の「排水路」が全体的に目詰まりしていくのです。注目すべきは、この目詰まりが元に戻せた点です。リンパ管を増やす働きを持つ「VEGF-C」という因子を、遺伝子のかたちで鼻から投与したところ、萎縮していたリンパ管が若い個体並みに回復し、脳脊髄液の排出量も若いマウスと同じレベルまで戻りました。興味深いことに、くも膜の穴の数や大きさは元に戻らなかったにもかかわらず、排出量は回復しました。これは、リンパ管を増やすだけでも、排水機能を取り戻せる可能性を示しています。私たちが知っておきたいことこの研究は、脳の老廃物処理が「鼻の奥のリンパ管」という具体的な出口を通っていること、そしてそれが加齢で衰えるものの回復させうることを示した点で重要です。ただし、これはあくまでマウス(と一部のサル)を用いた基礎研究であり、ヒトの治療として薬がすぐに使えるという段階ではありません。とはいえ、認知症などの背景にあると考えられる「脳のゴミ出しの衰え」に対して、新しい対策の糸口を示した成果として注目すべき研究結果と言えるでしょう。今後の進展に期待です。1)Hong SP, Jin C, Yang MJ, et al. CSF clearance through arachnoid fenestrations to olfactory meningeal lymphatics. Cell. 2026 Jul 21. [Epub ahead of print]

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第301回 高齢者のポリファーマシー対策、医療従事者向け資材を公表/厚労省

<先週の動き> 1.高齢者のポリファーマシー対策、医療従事者向け資材を公表/厚労省 2.OTC類似薬の追加負担、対象外患者を定め2027年3月施行へ/厚労省 3.小児がん拠点病院を集約化、症例集積で医療の質確保へ/厚労省 4.高齢者の窓口負担3割化を提言、包括払い・病院再編も/財政審 5.ドクターヘリ運休相次ぐ、安定運航へ検討会設置/厚労省 6.長崎大病院など3病院、不急の救急搬送に選定療養費7,700円を徴収/長崎市 1.高齢者のポリファーマシー対策、医療従事者向け資材を公表/厚労省厚生労働省は6月24日に開いた「高齢者医薬品適正使用検討会」で、高齢者のポリファーマシー対策を進めるため、医療従事者向けの普及啓発資材を公表した。多剤服用に伴う薬物有害事象、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下などを防ぐため、「高齢者の医薬品適正使用の指針」や病院・地域での業務手順書の内容を分かりやすく整理したもの。主な対象は医師、歯科医師、薬剤師だが、看護師や介護職など多職種での活用も想定している。資材は指針の総論編、各論編のほか、病院向け、地域向けの計4種類。これまで本格的に取り組んでいなかった医療機関でも導入しやすいよう、イラストを多用し、文字量を抑えた構成としている。資材では、「ポリファーマシーとは、単に薬剤数が多い状態(多剤服用)ではなく、多剤服用に関連して有害事象や服薬困難などの問題が生じている状態を指す」としている。高齢者では、加齢に伴う腎機能低下や薬物動態の変化、複数医療機関の受診、処方カスケードなどにより形成されやすい。病院向け資材では、対策開始時の留意点として、剤数だけに着目せず、安全性や治療効果、患者の生活状況を踏まえて処方内容を適正化する必要性を強調した。対象患者を優先順位付けし、小規模から始めること、担当者を明確にして情報を一元化すること、多職種の役割分担を整理することが実践の鍵となる。薬剤服用後の体調不良が疑われる外来患者には受診や相談を促す。実務上は、「お薬手帳」を活用した処方・調剤情報の一元管理に加え、患者の日常生活動作や認知機能、栄養状態、生活環境、服薬管理能力などを総合的に評価することが重要となる。併せて、腎機能や薬物相互作用、同効薬の重複、一般用医薬品やサプリメントの使用状況も確認する。ふらつき、転倒、せん妄、食欲低下、便秘、排尿障害などが出現した場合は、薬剤起因性も疑う。薬剤を見直すときは、中止・減量・変更後の病状悪化や代替薬による有害事象にも注意が必要となる。2026年度の診療報酬改定では、病棟薬剤業務実施加算の見直しにより、ポリファーマシー対策や退院時薬剤情報連携が一層重視されている。薬剤総合評価調整加算などの実績向上にもつながる可能性があり、薬剤部門だけでなく、入退院支援、病棟看護、地域薬局、かかりつけ医を含めた組織的な取り組みが求められる。資材では、剤数だけに着目せず、安全性確保などを踏まえた処方内容の適正化が必要であると強調されている。 参考 1) 第22回 高齢者医薬品適正使用検討会 資料(厚労省) 2) 高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)(同) 3) 高齢者の医薬品適正使用の指針 総論編の概要 普及啓発資材(同) 4) ポリファーマシー対策 普及啓発資材を公表 適正使用指針などの説明で活用 厚労省(CB news) 5) ポリファーマシー対策の始め方と進め方の普及啓発ツールが公表。薬剤総合評価調整加算等の実績向上が期待される(HCナレッジ) 2.OTC類似薬の追加負担、対象外患者を定め2027年3月施行へ/厚労省厚生労働省は6月25日、市販薬と成分や効能が似る「OTC類似薬」について、患者に薬剤費の一部追加負担を求める新制度の具体化に向けた有識者検討会の初会合を開いた。新制度は2027年3月の施行を想定し、対象薬剤の薬剤費の4分の1を保険給付から外し、「特別の料金」として通常の1~3割負担に上乗せする。対象は、ロキソニン錠やアレグラ錠、保湿剤、湿布などを含む77成分、1,066品目を機械的に選定した案が示されており、今後効能・効果を踏まえて整理される。制度の目的は、OTC医薬品で対応している患者との公平性を確保し、現役世代を中心とする保険料負担の上昇を抑えることにある。ただし、必要な受診を妨げないよう、追加負担を求めない患者や療養の範囲が大きな論点となる。厚労省案では、高校生年代までの子供、低所得者、入院患者、がん患者や指定難病患者など配慮が必要な慢性疾患患者は対象外とする方向。入院中の処方は退院時処方を含めて追加負担を求めない。がんについては、治療中または治療開始に向け継続診療中の患者や、副作用対策に用いる薬は除外する一方で、治療終了後の経過観察のみの場合や、がんと直接関係しない症状への処方は追加負担を求める方向である。長期使用が医療上必要なケースも除外候補で、内服薬は年間処方日数がおおむね50週以上、外用薬は、塗布剤・貼付剤・点眼剤・点鼻剤・吸入剤などについて、医師が毎日の塗布や貼付など日常的使用を指示している場合を目安とする。厚労省は今後、77成分ごとに医療用医薬品とOTC医薬品の効能・効果の違いを整理し、代替性の有無を検討する。検討会は8月ごろに中間整理を行い、医療保険部会や中医協での議論、患者団体ヒアリングを経て、秋ごろの取りまとめを目指す。医療現場では、対象外となる医学的必要性をどのように判断・記録するかが実務上の焦点となる。 参考 1) 一部保険外療養の施行に向けて(厚労省) 2) 負担対象OTC類似薬議論 除外条件も、厚労省(東京新聞) 3) OTC類似薬の追加負担、がん・通年処方は対象外 厚労省が案提示(日経新聞) 4) 日常使用の湿布は負担対象外 OTC類似薬の新制度-厚労省会議(時事通信) 3.小児がん拠点病院を集約化、症例集積で医療の質確保へ/厚労省厚生労働省は6月23日に開かれた「小児がん拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」で、小児がん診療提供体制の見直し案を示し、大筋で了承を得た。少子化に伴い小児がん患者数の減少が見込まれる中、高難度医療、希少がん診療、再発・難治例への集学的治療、国際共同治験などを担う施設に症例を集積し、医療の質を維持・向上させる狙い。現在全国15ヵ所の「小児がん拠点病院」は、10ヵ所程度に集約化する方針で、8月上旬までに整備指針を改定する。新たな小児がん拠点病院は、高度専門医療に加え、ドラッグ・ラグ/ロスの解消や新規治療開発への貢献も求められる。診療実績要件は、再発時の紹介を含む年間新規症例数30例以上に加え、年間手術数10例程度を新設する。放射線療法については、自施設で提供できない場合も他施設と連携して提供できる体制を要件化する。医師以外のスタッフの配置も見直し、細胞診断業務に携わる人員について「1人以上必要な数」の配置を求める方向。国立成育医療研究センターと国立がん研究センターは、引き続き小児がん中央機関として、中央診断体制や国際共同治験、医療技術開発を牽引する。その一方で、集約化による患者・家族の医療アクセス低下を防ぐため、新たに「都道府県小児がん拠点病院」を各都道府県に原則1ヵ所整備する。小児がん拠点病院と連携しながら標準的治療を提供し、標準治療が確立していないがんや再発・難治例では診療情報を共有し、必要に応じて専門施設へ紹介する。専門治療後や病状安定後には、地域医療機関へ円滑に逆紹介する体制も求められる。指定要件は、年間新規症例数20例以上、または都道府県内の小児がん年間新規症例の原則半数以上を診療していることとする。現行の小児がん連携病院145ヵ所は「小児がん連携医療機関」に見直され、病院だけでなく診療所も参加可能となる。標準的治療、特定がん種への対応、長期フォローアップ、移行期医療、在宅医療などを担う体制を整える。今後、全国小児がん拠点病院等連絡協議会と都道府県小児がん診療連携協議会を設け、広域・地域双方の課題を協議する。新たな指定類型は2027年4月から適用される見通し。 参考 1) 第5回 小児がん拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(厚労省) 2) 小児がん拠点病院を集約化して医療の質を確保し、患者・家族の医療アクセス確保にも配慮する-小児がん拠点病院指定要件WG(Gem Med) 3) 小児がん拠点病院 10ヵ所程度に集約化へ 8月上旬までに整備指針改定 厚労省(CB news) 4) 「小児がん拠点病院」集約化へ 患者減見据え10ヵ所程度に(MEDIFAX) 4.高齢者の窓口負担3割化を提言、包括払い・病院再編も/財政審財務省の財政制度等審議会は6月26日、「人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営」と題する建議を片山 さつき財務相に提出した。建議は、日本経済がデフレ型から供給制約型へ移りつつあるとし、「強い経済」には未来投資と実質賃金上昇による投資と賃上げの好循環が不可欠とした。その一方で、金利上昇局面では財政資源も制約下にあり、補正予算依存から脱却し、恒常的施策は当初予算で措置する改革の実効性と財政規律の両立を求めた。高市政権が掲げる「責任ある積極財政」や、債務残高対GDP比の安定的低下を中核目標とする方針についても、成長頼みでは市場の信任を損ないかねないとして、利払い費を含む財政収支の管理を促した。医療・介護分野では、現役世代の保険料負担を抑えるため、社会保障負担率に数値目標と年限を設け、改革工程表を作成すべきだと提言した。医療では「患者アクセスの保障」と「負担抑制」のバランスを掲げ、70歳以上の患者自己負担を可及的速やかに原則3割へ引き上げることを求めた。70~74歳を一律に高齢者扱いする現行の線引きの見直し、75歳以上への経過措置、外来特例の廃止、特定疾病制度の検証・見直しも論点とした。さらに、建議では、医療機関を受診する際の窓口業務のコスト(保険証確認や会計など)について、診療行為そのものではなく、初・再診料で評価する必然性は乏しいとして、保険給付外サービスとして患者に請求できる仕組みの検討を求めた。医療の提供体制については、小規模分散型の病院・診療所では人材不足下の効率化に限界があるとして、病院の集約・再編、地域医療連携推進法人の活用、外来機能の統合・大規模化、かかりつけ医機能強化を提起した。診療報酬についても、入院・外来診療ともに、出来高払い中心からアウトカム評価と包括払い中心へ移行し、医療DXで少ない人員でも質を保つ体制を後押しすべきだとした。あわせて、医療法人の経営情報の見える化、医療機関の職員の職種別給与・人数の提出義務化、医療法人の業務範囲拡大、2027年度薬価改定の完全実施、後期高齢者医療制度の都道府県化や金融所得を含む応能負担の徹底も盛り込んだ。医療界にとっては、患者負担増だけでなく、報酬体系、病院再編、経営情報開示まで含む包括的な制度転換の予告と受け止める必要がある。 参考 1) 人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営(財務省) 2) 「強い経済」へ投資と賃上げ循環 予算編成改革、実効性確保を-財政審建議(時事通信) 3) 70歳以上の医療費窓口支払い「速やかに3割負担を」財制審が意見書(日経新聞) 4) “高齢者も病院窓口負担を原則3割に” “大学は現在の半分程度まで縮減を” 財政制度等審議会が片山さつき財務大臣に意見書(TBS) 5) 診療報酬をアウトカム評価中心の包括払いに 財政審、入院・外来共に(CB news) 5.ドクターヘリ運休相次ぐ、安定運航へ検討会設置/厚労省厚生労働省は、東京や関西などでドクターヘリの運休が相次いでいることを受け、安定的な運航体制の確保に向けた検討会を7月中に立ち上げる。上野 賢一郎厚生労働相が6月26日の閣議後記者会見で明らかにした。検討会には医療関係者、航空関係者、自治体担当者、有識者などが参加し、救急医療搬送体制の在り方や国の関与、財政支援、人材確保策について議論する。ドクターヘリは、救急医療機器を搭載し、専門医と看護師が搭乗して現場に向かうことで、重症患者への早期医療介入と迅速搬送を担う。上野厚労相は「全国各地の救急医療体制を確保する上で極めて重要な役割を果たしている」と述べ、持続可能な運航体制の構築が急務との認識を示した。運休の背景には、運航事業者における整備士不足がある。東京や兵庫などでは昨年以降、整備士を確保できないことによる運航停止が発生しており、自治体からも国の対応を求める声が上がっている。加えて、公共ヘリの操縦には高度な技量と経験が必要で、操縦士の高齢化も課題となっている。ドクターヘリの操縦士は50歳以上が7割超を占め、2030年以降には毎年10人以上が不足するとの見通しもある。国土交通省も航空大学校を活用した若手操縦士の養成や、シミュレーター活用による飛行経験要件の見直し、養成費支援を進める方針。検討会では、医療現場と航空運航の双方の実情を踏まえ、財政支援、人材育成、整備士・操縦士の確保を含めた具体策を検討する。 参考 1) ドクターヘリ検討会設置へ 運休受け、安定運航議論(共同通信) 2) 整備士不足で運休相次ぐ「ドクターヘリ」 安定運航へ厚労省が検討会を立ち上げ(テレビ朝日) 3) 関西などドクターヘリ運休 7月中にも検討会立ち上げ 厚労省(NHK) 4) ドクター・防災ヘリ念頭…国交省、航空大で操縦士養成の背景(ニュースイッチ) 6.長崎大病院など3病院、不急の救急搬送に選定療養費7,700円を徴収/長崎市長崎市内の3病院は7月1日から、緊急性が認められない症状で救急搬送された患者に対し、選定療養費7,700円を徴収する。対象は長崎みなとメディカルセンター、長崎大学病院、日赤長崎原爆病院で、いずれも200床以上の急性期病院として脳卒中、心筋梗塞、重症外傷などに対応する役割を担う。これまで救急搬送では紹介状なし受診に伴う選定療養費の徴収対象外としていたが、救急車要請時の緊急性が医師により認められない場合に負担を求める運用へ改める。背景には、救急搬送件数の増加と大病院への軽症患者集中がある。長崎市消防局管内では、2022年度以降の救急搬送が2万5,000件超で高止まりし、医療機関の応需率は2019年度の80.7%から、近年は60%台前半まで低下している。長崎みなとメディカルセンターでは2023年度の救急搬送3,987人のうち36%が軽症だった。市消防局が病院へ11~20回問い合わせた搬送事例も、2019年度の2件から2024年度には109件へと急増しており、搬送先選定の長期化が問題となっている。同センター救命救急センターは年間約4,200台の救急車と約4,500人のウォークイン患者を受け入れる。輪番日の夜間は救急医1人、研修医4人、看護師5人で対応する体制だが、午後5~7時ごろに搬送が集中し、初療室5床が短時間で埋まることもある。早川 航一センター長は、安易な救急車利用の抑制により、真に緊急性の高い患者の治療時間と病床を確保する必要性を強調している。その一方で、制度運用には課題も残る。第三者が救急車を呼んだ場合や観光客でも、緊急性がないと判断されれば徴収対象となる一方で、警察など公的機関からの要請は原則対象外とされる。徴収判断は医師がガイドラインに基づき行うが、病院間で判断に差が出れば不公平感につながりかねない。救急車の有料化ではなく、救急医療資源を守る施策として位置付けつつ、個別事例の検証や市民への周知が不可欠となる。救急車を呼ぶか迷う場合は、救急安心センター「#7119」の活用も促されている。 参考 1) 救急搬送における選定療養費について(長崎市) 2) 不急の救急搬送に長崎市内の3病院が7月から特別料金、救急車の適正利用が狙い…「緊急性」線引きに課題も(読売新聞) 3) 「これ以上は危うい…」長崎県内最多の救急搬送患者を受け入れる救命救急センター、切迫する最前線の現状(長崎新聞) 4) 「とりあえず救急車」の前に…7月1日~長崎市の3病院で「救急搬送における選定療養費徴収」スタート 迷ったときは?(長崎放送)

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止まらない鼻出血の処置【日常診療アップグレード】第57回

止まらない鼻出血の処置問題60歳女性。2時間前から鼻出血が出現したため、救急室を受診した。自宅で鼻腔にティッシュを入れ止血を試みたが、出血は止まらなかった。いままで出血傾向を認めたことはない。既往歴は高血圧とアレルギー性鼻炎である。リシノプリルとフルチカゾン点鼻薬の処方を受けている。バイタルサインは正常である。両側の鼻孔は血液が付着し、左鼻孔から血液が落下している。咽頭の奥に少量の血液を確認できる。前鼻腔パッキングで止血を試みた。

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呼吸器感染症やアレルギーに対する点鼻ワクチン、動物実験で有望な結果

 注射を何本も打たれるのが嫌でワクチン接種を避けてきた人にとって、希望の持てるニュースがある。米国の主要5大学の科学者たちが、将来的にはインフルエンザや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、細菌性肺炎、さらには一般的なアレルギーにまで効果を発揮し得る点鼻スプレー型ワクチンの開発に大きな一歩を踏み出したのだ。このワクチンのマウスでの実験に携わった米スタンフォード大学医学部の微生物学・免疫学教授であるBali Pulendran氏は、「これは医療のあり方を一変させる可能性がある」と語っている。この研究の詳細は、「Science」に2月19日掲載された。 現行のワクチンは、病原体の一部をあらかじめ免疫に提示することで、実際の感染に備えさせるものだ。しかし、多くのウイルスは瞬く間に変異してしまうため、追加接種やインフルエンザワクチンのような毎年の接種が必要とされている。Pulendran氏は、「ヒョウが模様を変えるように、ウイルスは表面の抗原を容易に変えてしまう」と説明する。 一方、「GLA-3M-052-LS+OVA」と名付けられた今回のワクチンは、感染時に免疫細胞同士が交わすシグナルを模倣することで体の主要な防御機構を総動員し、より長く続く協調的な免疫反応を引き起こすように設計されている。具体的には、この点鼻ワクチンは、脂質から成る粒子であるリポソームを用いて、免疫を強く刺激するTLR4(Toll様受容体4)およびTLR7/8のリガンドと、モデル抗原である卵白由来のタンパク質、オボアルブミンを組み合わせたもので、鼻腔に投与することで気道や肺の免疫系を直接活性化する。 実験では、マウスの鼻腔にワクチンを滴下投与し、一部のマウスには1週間おきに複数回投与した。その後、呼吸器系ウイルスに曝露させた。その結果、これらのマウスは、新型コロナウイルスやSARS(重症急性呼吸器症候群)コロナウイルス、コウモリ由来のSARS関連コロナウイルスであるSHC014-CoVなどの複数のウイルスだけでなく、黄色ブドウ球菌やアシネトバクター属菌などの細菌、さらにはダニなどのアレルゲンに対しても3カ月以上続く防御効果を示した。一方、未接種のマウスでは著しい体重減少と重症化が認められ、死亡例も多く確認された。 Pulendran氏は、「最初は突拍子もないアイデアに思えた。こんなことが可能だと本気で考えていた人はほとんどいなかったと思う」と話す。しかし、実際に成果は得られた。同氏は、「ワクチンを投与された肺の免疫システムは、ウイルスに対処する準備が万全であり、通常は2週間程度かかるウイルス特異的T細胞や抗体による適応免疫反応をわずか3日で起こすことができるのだ」と述べている。 とはいえ、すぐに現行のワクチン接種をやめられるわけではない。動物実験の結果がそのまま人間に当てはまるとは限らず、GLA-3M-052-LS+OVAについても、これからヒトを対象にした試験が必要である。しかし、ヒトでも同様の結果が得られれば、将来は毎年必要な複数の注射をこの1本の点鼻ワクチンに置き換えられる可能性がある。また、新たに出現したパンデミックを引き起こし得るウイルスに対して迅速に防御を提供できる可能性もあるという。研究グループは、ヒトでの試験が成功すれば、5〜7年以内に「呼吸器系ウイルスに対するユニバーサルワクチン」が利用可能になる可能性があるとしている。 なお、今回の研究には、スタンフォード大学のほか、エモリー大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校、ユタ州立大学、アリゾナ大学の研究者も参加した。

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アナフィラキシー補助治療薬、2つの選択肢

アナフィラキシー発現時の補助治療薬、2つの選択肢投与経路用量設定有効性アドレナリン点鼻液(商品名:ネフィー)アドレナリン自己注射製剤(商品名:エピペン)経鼻投与筋肉内注射(太もも前外側)・1mg:体重15〜30kg未満・0.15mg:体重15〜30kg未満・2mg:体重30kg以上(成人含む)・0.3mg :体重30kg以上(成人含む)・試験において、全患者が1回投与で初期症状を改善・改善までの時間(中央値)は16分・アナフィラキシー時の循環動態を改善し、入院リスクを減少・改善までの時間は約10分主な利点針がない、携帯しやすいアナフィラキシー治療の第1選択薬として、使用実績が豊富特徴的な副作用咳嗽、鼻粘膜紅斑、鼻部不快感、口の感覚鈍麻など動悸、頭痛、めまい、不安、注射部位疼痛など使用上の注意・鼻茸、鼻骨折や鼻損傷の既往歴、鼻の手術歴等を有する患者では、本剤の吸収が十分ではない可能性・点鼻後には必ず医療機関を受診することその他臨床データが不足している(⾷物経口負荷試験[OFC]データのみ)・手指への誤注射に注意が必要・注射後には必ず医療機関を受診すること長年の歴史と臨床上の使用経験データが豊富監修:海老澤 元宏氏(国立病院機構相模原病院臨床研究センター センター長)参考:ネフィー、エピペン各添付文書、Ebisawa M, et al. J Allergy Clin Immunol Pract. 2025;13:2787-2794.Copyright © 2026 CareNet,Inc. All rights reserved.

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てんかん重積状態に対するジアゼパム点鼻液の利点

 てんかん重積状態(status epilepticus:SE)においては迅速な対応が予後を左右する。新たに登場したジアゼパム点鼻液(商品名:スピジア)が病院前治療にいかなる変革をもたらすのか、3人の専門家が紹介。迅速な発作終息がもたらす神経学的予後の改善と、患者・家族のQOL向上に向けた新たな可能性が示された。薬剤抵抗性てんかんの危険性 日本のてんかん患者は42万例と推定されるが、文献などによれば100万例にのぼる可能性がある。その中で、抗てんかん薬でも発作をコントロールできない薬剤抵抗性患者は20~30%いるとされる。てんかん発作の中でもSEは、「発作がある程度の長さ以上に続くか、または、短い発作でも反復し、その間の意識の回復がないもの」と定義される。SEの中でも5分以上持続するケースは治療対象となり、30分以上持続するSEでは高次脳機能障害、運動障害など深刻な後遺障害のリスクがきわめて高くなる。小児における重積化阻止と早期終息の重要性 国立精神神経医療センターの中川 栄二氏は、SEへの移行を未然に防ぎ、発作を早期に終息させることが、神経学的予後を改善するための最重要戦略であると述べた。 消防庁の報告では入電から医師への引継ぎまでに30分以上要した例は8割。 SEによる後遺症を回避するうえでも、医療機関に着く前の介入(病院前治療)は必要だ。小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023においても病院前治療の必要性が明記されている。 病院前治療としてのレスキュー薬の現状は満足できるものではない。現在のレスキュー薬はジアゼパム坐剤、ミダゾラム口腔用剤、抱水クロラールの坐剤/注腸である。しかし、発作時すぐに使えないなどの問題があり、使用後に救急搬送が必要になる場合も少なくない。簡便に投与でき、効果発現が早く、副作用が少なく、長時間作用を有するレスキュー薬が求められていた。 そのような背景の中、ジアゼパム点鼻液が承認された。点鼻液という特性から発作時にも投与しやすい。同剤は点鼻投与でありながら97%という生体利用効率を示し、非侵襲的で確実な血中濃度の立ち上がりを実現している。 小児患者における臨床試験では良好な成績も示されている。抗てんかん薬使用中も発作を発症した、あるいはジアゼパムによる発作抑制が必要な患者において、初回投与時の奏効率(発作抑制割合)は62.5%、1週以降24週後までの奏効率は80.2%にのぼった。けいれん発作消失までの時間中央値は1.5分で、5〜10分という坐剤の効果発現を考えると臨床的意義は大きい。ジアゼパム点鼻液の治療患者におけるSEの再発抑制は9割を超えていた。有害事象についても口腔用液で懸念される呼吸抑制のような重篤なものは認められておらず、医療機関外での使用における安全性も示されている。 近年、SE移行リスクのある発作に対する迅速介入の治療概念として「FAST(First Aid Seizure Termination)」が提唱されている。「迅速な効果発現と長時間持続を併せ持つジアゼパム点鼻液は新たなFAST治療薬」と中川氏は期待を寄せる。成人のSEにおけるジアゼパム点鼻液の可能性 獨協医科大学の藤本 礼尚氏は、成人てんかん患者のSE治療においてジアゼパム点鼻液の早期介入の可能性を訴えた。 てんかんは小児だけでなく成人にも多い。SEによる死亡率は成人でも高く、日本では8.5%、米国では20%を超えるという報告もある。前述のように現状の救急搬送は30分を超えており、てんかん治療ガイドラインによる5分以内のSE治療開始は困難だ。この「空白の時間に脳損傷が進行してしまうリスクがある」と藤本氏は警鐘を鳴らす。 成人のSEについても日本のレスキュー薬は十分とは言えない。海外ではSEに対する病院前治療の選択肢は豊富だが、日本の成人に対する保険適用は坐剤のみであった。成人の衣服を脱がせて坐剤を投与することはきわめて困難であり、成人SEに対するレスキュー治療の新たな選択肢が求められていた。 ジアゼパム点鼻液は成人にも使用可能であり、臨床試験でも有望な成績を示す。海外の成人を含む臨床試験の結果、作用発現までの時間は2分、発作停止までの時間は4分(いずれも中央値)であった。患者調査では約8割が2時間以内に普段の状態に戻ったと回答している。 「成人てんかんも救急搬送に頼らないで発作対応を目指すべき。将来は海外と同様に救急救命士がレスキュー薬を使用できることが望まれる」と藤本氏は述べる。患者・家族の視点から見たジアゼパム点鼻液の可能性 ドラベ症候群患者家族会の黒岩 ルビー氏は、ジアゼパム点鼻液による早期の発作終息は、不必要な救急搬送を回避し、患者とその家族のQOLを改善すると期待を示した。 ドラベ症候群は乳幼児期からてんかん重積発作を繰り返す希少・難治性のてんかんである。同家族会のアンケートでは、SEによる救急要請の回数は、11~20回が3割弱、31回以上は2割という結果であった。SE後の急性脳症発症を経験した割合は17%、その72%は後遺症を有している。 「元気だった子が、突然一生残る重度の障害を負うリスクがある」と黒岩氏は懸念する。また、頻繁な救急搬送や夜間発作が家族の慢性的な不安やうつ状態を招いてしまう。 ジアゼパム点鼻液により、てんかん発作の遷延を防ぐことができる。 さらに救急搬送が回避できることで、病院から離れられない生活から解放される可能性がある。とはいえ、発作はいつどこで起きるか予測ができない。家族と離れている保育園、学校、施設などにおいても点鼻薬のような簡便な手段があれば、職員の手で迅速な救護が可能となる。「そういった環境を整備していくことが重要だ」と黒岩氏は訴えた。

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点鼻のアナフィラキシー補助治療薬「ネフィー」発売/アルフレッサファーマ

 アナフィラキシー補助治療薬「ネフィー点鼻液(1mg、2mg)」がアルフレッサファーマから2026年2月12日に発売された。アナフィラキシー補助治療薬としては自己注射製剤のエピペンに続く2剤目となるが、点鼻液での発売は国内初となる。 本製剤はアドレナリンを有効成分とする点鼻液で、蜂毒、食物、および薬物などに起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療薬で、点鼻により簡便な投与が可能である。 ただし、適正使用の観点から安全性および有効性を十分に理解し、使用に関して適切かつ十分な指導ができる医師のみによって本剤が処方・使用されるよう、あらかじめ動画講習を受講し、処方医師登録を済ませておく必要がある。 アルフレッサファーマは2020年4月、米国のバイオ医薬品企業ARS Pharmaと日本国内でのアドレナリン点鼻液の開発および販売におけるライセンス契約を締結。その後、日本人健康成人を対象とした薬物動態試験および第III相臨床試験を実施し、その有効性と安全性が認められたことから、2025年9月19日に製造販売承認を取得していた。<製品概要>販売名:ネフィー点鼻液1mg、2mg一般名:アドレナリン効能又は効果:蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)用法及び用量: 通常、体重30kg未満の患者には、アドレナリンとして1回1mgを、体重30kg以上の患者には、アドレナリンとして1回2mgを鼻腔内に投与する。薬価:1mg:2万2,975.30円/瓶、2mg:2万4,672.10円/瓶製造販売承認日:2025年9月19日薬価基準収載日:2025年11月12日発売日:2026年2月12日製造販売元:アルフレッサファーマ株式会社

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医師以外も投与可能な抗けいれん薬、スピジア点鼻液発売/アキュリスファーマ

 国内初となるジアゼパムの鼻腔内投与製剤の抗けいれん薬であるジアゼパム点鼻薬が2025年12月24日に発売された(製造販売元:アキュリスファーマ、販売情報提供活動:ヴィアトリス製薬)。本剤の効能効果は「てんかん重積状態」の改善であり、2歳以上のてんかん重積状態およびてんかん重積状態に移行する恐れのある発作(遷延性の発作や群発発作)が生じたときに投与する。医療機関外において医療者や介護者による投与が可能なレスキュー薬だが、「2歳以上6歳未満の小児へ投与する場合は、患者の状態を観察することができ、必要時に救急蘇生のための医療機器、薬剤等の使用が可能な医師の監視下においてのみ行うこと」「救急救命士による処置としての投与は認められていない」などの点には注意が必要である。 製造販売元のアキュリスファーマはケアネットの取材*において、「本剤の承認に際し、てんかん関連学会および患者会が求める形を実現することに最も苦慮した。学会などから厚生労働大臣宛に早期承認を求める要望書が2度にわたり提出され、とくに以下の3つが強い要望として挙げられた」とコメントした。*製造販売承認取得時点(1)海外と同様に、成人を含む幅広い年齢層で使用可能とすること(2)既存のレスキュー薬では投与後に救急搬送の手配が必須とされてきた。しかし、発作が速やかに収まり、患者が元の状態に戻った場合には、救急搬送が不要なケースもあるが、本剤はそのようなケースで柔軟な運用が可能であること(3)本剤はてんかん重積状態になってからの使用ではなく、「てんかん重積状態に移行する恐れのある発作」に対しても使用できるようにすること 同社は厚生労働省やPMDAと慎重に議論を重ね、国内臨床試験は6~17歳を対象としたもののみだったが、海外データの有用性を説明することで、最終的に成人を含む“2歳以上のてんかん重積状態に移行する恐れのある発作”に対して本剤が使用可能になったことを説明し、「このような要望に応える形で承認を実現できたことは、大きな成果であると同時に困難かつ慎重な対応が求められた」とコメントした。このほか、利便性を高めるため「薬剤を室温(1~30℃)で保管できるよう配慮した」とも話した。 本剤の医療関係者向けサイトのQ&Aには「他の点鼻薬を使用している患者への投与」「投与時の適切な体位」などが掲載されているので、処方を行う医師や処置にあたる医療者はぜひ一読されたい。以下には一部抜粋したものを示す。―――Q:他の点鼻薬を使用している患者にスピジアを使用してよいですか? そのような場合、効果に差はありますか?A:季節性アレルギーまたは鼻炎のため点鼻薬で治療を行っているてんかん患者において、Valtoco(スピジアの米国商品名)の鼻腔内投与により、その有効性および安全性に影響を与えないことが報告されました(海外データ)。Q:投与の際の適切な体位は?A:発作の際の体位について、食事中の発作や嘔吐やよだれを伴う場合、発作後の嘔吐も考慮し、顔を横に向けて寝かせるなどの対応がよいとされています。投与できる体勢をしっかり確保してから、スピジアを鼻の穴にまっすぐ差し込んで(またはあてて)ください。なお、スピジア投与時の顔の向きに規定はありません。スピジアの投与方法、投与後の対応に関しては、「スピジア使用ガイド(持ち帰り用患者冊子)」や使い方動画をご確認ください。―――てんかん重積状態のこれまでの課題 国内におけるてんかん重積状態の患者数はレセプトデータなどから約2万例と推定される。日本神経学会の『てんかん診療ガイドライン2018』によると、「てんかん重積とは、発作がある程度の長さ以上に続くか、または、短い発作でも反復し、その間の意識の回復がないもの。また、けいれん発作が5分以上持続すれば治療を開始すべきで、30分以上持続すると後遺障害の危険性がある」とされる。しかしながら、これまでは病院到着までにかかる時間が治療の遅れにつながる、成人における病院外で使用可能なレスキュー薬が存在していなかった点などが課題とされていた。<製品概要>販売名:スピジア点鼻液 5mg、7.5mg、10mg一般名:ジアゼパム効能又は効果:てんかん重積状態用法及び用量:通常、成人及び2歳以上の小児にはジアゼパムとして、患者の年齢及び体重を考慮し、5~20mgを1回鼻腔内に投与する。効果不十分な場合には4時間以上あけて2回目の投与ができる。ただし、6歳未満の小児の1回量は15mgを超えないこと。薬価:5mg:0.1mL 8,336.50円/容器、7.5mg:0.1mL 9,337.60円/容器、10mg:0.1mL 1万120.00円/容器製造販売承認日:2025年6月24日薬価基準収載日:2025年10月22日発売日:2025年12月24日製造販売元:アキュリスファーマ株式会社販売情報提供活動:ヴィアトリス製薬合同会社

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糖尿病治療薬がアルツハイマー病初期の進行を抑制する可能性

 糖尿病治療薬がアルツハイマー病の初期段階の進行を抑制する可能性のあることが報告された。米ウェイクフォレスト大学アルツハイマー病研究センターのSuzanne Craft氏らの研究によるもので、詳細は「Alzheimer’s & Dementia」に10月7日掲載された。この研究では、既に広く使われているSGLT2阻害薬(SGLT2-i)のエンパグリフロジンと、開発が続けられているインスリン点鼻スプレー(経鼻インスリン)という2種類の薬剤が、記憶力や脳への血流、および脳機能の検査値などの点で、有望な結果を示したという。 論文の上席著者であるCraft氏は、「糖尿病や心臓病の治療薬としての役割が確立されているエンパグリフロジンが、脳の重要な領域の血流を回復させ、かつ、脳のダメージを意味する検査指標の値を低下させることを初めて見いだした。われわれのこの研究の成果は、代謝に対する治療によって、アルツハイマー病の進行速度を変えることができることを示唆している」と解説。また経鼻インスリンについては、「新開発の機器を用いてインスリンを鼻から投与することで、インスリンが脳に直接的に送り届けられ、認知機能、神経血管の健康状態、そして免疫機能が向上することも確認された」と述べ、「これらの知見を合わせて考えると、代謝への働きかけという視点が、アルツハイマー病治療における、有力な新しい展開につながり得るのではないか」と期待を表している。 この研究で示された結果が、今後の研究でも確認されたとしたら、アルツハイマー病の進行抑制に効果的な治療法がないという現状の打開につながる可能性がある。最近、アルツハイマー病の原因と目されている、脳内に蓄積するタンパク質(アミロイドβ)を除去する薬が登場したものの、研究者らによると、その効果は限定的だという。また、副作用のためにその薬を服用できない人も少なくなく、さらに、アミロイドβの蓄積以外のアルツハイマー病進行のメカニズムとされている、代謝異常や血流低下の問題は残されたままだとしている。 報告された研究では、軽度認知障害または初期のアルツハイマー病の高齢者47人(平均年齢70歳)を無作為に、インスリン点鼻スプレー、エンパグリフロジン、それらの併用、およびプラセボのいずれかの群に割り付けた。なお、エンパグリフロジンはSGLT2-iの一種で、腎臓での血糖の吸収を阻害して尿の中に排泄することで血糖値を下げる薬。 研究参加者の97%が、4週間の試験期間を通じて、割り付けられた通りに薬を使用した。解析の結果、インスリン点鼻スプレーを使用した群では、記憶や思考の検査指標の改善が見られ、画像検査からは、脳の白質という部分の構造を保ったり、認知機能にとって重要な領域への血流低下を防いだりする効果が示唆された。またエンパグリフロジンを服用した群でも、アルツハイマー病に関連するアミロイドβとは別のタンパク質(タウ)が減少し、病気の進行を反映する神経・血管関連の指標も低下して、さらに脳の主要な領域の血流が変化し、善玉コレステロールが上昇した。 全体として、両薬剤によって生じる変化は炎症の軽減と免疫反応の活性化につながることを示唆しており、どちらも脳の健康をサポートする可能性が考えられた。Craft氏は、「これらの有望な結果に基づき、より大規模で長期にわたる臨床試験を実施していきたい」と述べている。

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わが国初の点鼻噴霧のアナフィラキシー薬「ネフィー点鼻液1mg/2mg」【最新!DI情報】第50回

わが国初の点鼻噴霧のアナフィラキシー薬「ネフィー点鼻液1mg/2mg」今回は、アナフィラキシー補助治療薬「アドレナリン(商品名:ネフィー点鼻液1mg/2mg、製造販売元:アルフレッサ ファーマ)」を紹介します。本剤は、蜂毒、食物および薬物などに起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療薬であり、点鼻液であるため簡便かつ迅速な投与が可能になると期待されています。<効能・効果>本剤は、蜂毒、食物および薬物などに起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)の適応で、2025年9月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、体重30kg未満の患者にはアドレナリンとして1回1mgを、体重30kg以上の患者にはアドレナリンとして1回2mgを鼻腔内に投与します。<安全性>重大な副作用として、肺水腫、呼吸困難、心停止(いずれも頻度不明)があります。その他の副作用として、鼻部不快感、鼻粘膜障害、鼻腔内感覚鈍麻、鼻痂皮、鼻痛、鼻漏、鼻閉、咽喉刺激感、咳嗽、口腔咽頭不快感、口腔咽頭痛、咽頭感覚鈍麻、動悸、頻脈、血圧上昇、心拍数増加、胸内苦悶、不整脈、顔面潮紅・蒼白、頭痛、振戦、浮動性めまい、不安、口の感覚鈍麻、悪心、嘔吐、そう痒症、過敏症状など、悪寒、熱感、発汗、疼痛、びくびく(いずれも頻度不明)があります。過量投与により過度の昇圧反応を起こす可能性があり、急性肺水腫、不整脈、心停止などの重篤な有害事象を生じる恐れがあるので、過量投与に対して注意が必要です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、アナフィラキシーが発現したときの緊急の補助治療のための点鼻薬です。交感神経を刺激する作用により、ショック症状を改善します。鼻以外には絶対に投与しないでください。2.医療機関での治療に代わるものではありませんので、この薬を使用した後には必ず医療機関を受診し、医師の治療を受けてください。3.患者向けの説明文書などをよく読み、練習用見本を用いて、この薬の使用方法に慣れておいてください。4.噴霧器には1回(1噴霧)分の薬が入っています。試し噴霧や再使用はしないでください。<ここがポイント!>アナフィラキシーは急速に症状が発現し、致死的な気道・呼吸・循環器症状を引き起こし得る重篤な全身性アレルギー反応です。アナフィラキシー発現時には、迅速な対応が不可欠であり、現在では補助治療の第一選択薬として、アドレナリン注射液自己注射キット(エピペン注射液)が広く使用されています。しかし、自己注射キットの用法は大腿部中央の前外側への筋肉注射であり、自己注射という特性上、患者本人や家族などの介護者が事前に投与訓練を受ける必要があります。そのため、自己注射以外のより簡便で迅速に投与できる製剤の開発が望まれていました。本剤は、アドレナリンを有効成分とする鼻腔内投与製剤で、わが国で初めて「蜂毒、食物および薬物などに起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療」の適応を取得した点鼻薬です。本剤には、鼻腔内投与時のバイオアベイラビリティー向上を目的として、界面活性剤であるドデシルマルトシド(DDM)が配合されています。また、非加圧式ディスペンサー(ポンプ式噴霧器)を採用しており、ポンプ作動時には微細な霧状で薬液が噴霧されます。1回の作動で全量を使い切る単回使用製剤であり、試し噴霧や再使用はできません。なお、本剤の処方には医師の会員サイトでの登録が必要であり、適正使用のための流通管理が行われています。鼻アレルゲン負荷試験(OFC)によって誘発した症状を有する患者を対象とした国内第III相試験(EPI JP03試験)において、主要評価項目である投与15分後または投与15分後までの代替治療前の最終評価時点における主症状※の投与前からの改善率は、本剤1.0mg投与群の83.3%で1グレード以上の改善が認められ、本剤2.0mg投与群では66.7%でした。全体での1グレード以上の改善率は73.3%でした。総合グレードの推移は、いずれの用量群でも、本剤投与から5分以内(最初の評価時点)に各器官症状の総合グレードの平均値が低下し始めました。※主症状:OFCにより誘発されたアナフィラキシーガイドラインに基づくグレード2以上の症状(消化器症状、呼吸器症状または循環器症状)。複数の器官に同じグレードの症状が認められた場合は、その器官症状の重篤性より循環器症状>呼吸器症状>消化器症状の順に主症状を定めた。

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アナフィラキシーへのアドレナリン点鼻投与の効果、エピペンと同等以上

 新たなエビデンスレビューによると、命に関わる重度のアレルギー反応を起こした人は、アドレナリンを主成分とするエピペンを太ももに刺すよりも点鼻スプレーを使った方が良いかもしれない。この研究では、液体または粉末のアドレナリンのスプレーによる鼻腔内投与は、注射による投与と同等か、場合によってはそれ以上の効果のあることが示されたという。英ロイヤル・ダービー病院のDanielle Furness氏らによるこの研究結果は、欧州救急医学会議(EUSEM 2025、9月28日〜10月1日、オーストリア・ウィーン)で発表された。 Furness氏は、「このレビューから、液体または乾燥粉末のアドレナリンの鼻腔内投与の効果はエピペンと同等であり、場合によってはエピペンよりも早く血流に到達する可能性のあることが分かった。現在のアナフィラキシーの治療薬はエピペンだが、この点鼻スプレーはエピペンと同等の効果を持つ、針を使わない適切な代替治療法となる可能性がある」とEUSEMのニュースリリースの中で述べている。 ナッツや虫刺されなどに強いアレルギーを持つ人は、アナフィラキシーショックを起こす可能性がある。アナフィラキシーショックが生じると、呼吸困難や血圧低下、意識障害が生じ、ただちにアドレナリンを投与しない限り命を失う可能性がある。米食品医薬品局(FDA)は2024年8月、アレルギー反応の緊急治療薬として初の点鼻スプレー薬「ネフィー点鼻液」を承認した。ネフィーはARSファーマ社によって製造されており、体重66ポンド(約30kg)以上の成人および小児に使用できる。 Furness氏らは、イスラエル、カナダ、タイ、米国、日本で実施された5件の研究のデータを分析してアドレナリンの注射による投与と点鼻投与を比較した。その結果、アドレナリンが血流に入るまでにかかる時間は点鼻投与で最大2.5〜20分であったのに対し、注射による投与では9〜45分であることが示された。また、点鼻投与による血中のアドレナリン濃度は、注射による投与と同等かそれ以上であることも判明した。どちらの投与法を用いた場合も、投与後の心拍数と血圧は同等であった。Furness氏はさらに、点鼻薬の保存期間は2年と注射薬(12〜18カ月)よりも長く、持ち運びも容易であると指摘している。 Furness氏は、「点鼻スプレーも、使い方や投与のタイミングについての明確な指示が必要なことに変わりはないが、特に注射針に恐怖を感じる人にとっては、病院外の公共の場でのアドレナリン投与がタイムリーに行われるようになることから、入院率を低下させられる可能性がある」と述べている。 Furness氏はさらに、「実臨床で、点鼻スプレーの安全性と有効性を裏付ける強力なエビデンスが得られれば、国のアナフィラキシーガイドラインに組み込まれる可能性があると考えている」と話し、「導入当初は、綿密かつ厳格なモニタリングを行い、期待通りの効果が得られなかった症例があれば医師に報告するよう促し、患者の安全を確保し、治療への信頼を維持する必要がある」と付け加えている。 本研究には関与していない、SRH Zentralklinikum Suhl(ドイツ)の救急科長であるFelix Lorang氏は、アドレナリンの点鼻スプレーが注射薬の非常に有用な代替品になることに同意している。同氏は、「針恐怖症や、常に持ち歩ける手軽さといった理由から、針を使うことに抵抗を感じる患者もいる。私の経験では、親戚や友人に針を使うことさえ、相手を傷つけたり怪我をさせたりするのではないかと恐れて躊躇する人も多い」と話し、「点鼻スプレーなら、このような障壁を克服できるだろう。さらなる研究で安全性と有効性が確認されれば、患者にとって有用な代替手段となるだけでなく、医療従事者が使用できる追加ツールにもなるだろう」との展望を示している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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喘息合併の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎、デュピルマブvs.オマリズマブ(EVEREST)/ERS2025

 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と喘息は、病態の中心に2型炎症が存在することが多く、両者の合併も多い。また、合併例は重症例が多く全身性ステロイド薬による治療が必要となる場合もある。そこで、喘息を合併する鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象に、デュピルマブとオマリズマブ(本邦で鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎への適応を有するのはデュピルマブのみ)を比較する海外第IV相無作為化二重盲検比較試験「EVEREST試験」が実施された。その結果、デュピルマブがオマリズマブと比較して鼻茸スコア(NPS)や嗅覚障害などを改善した。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、Enrico Marco Heffler氏(イタリア・IRCCS Humanitas Research Hospital)が本試験の結果を報告した。なお、本結果はLancet Respiratory Medicine誌オンライン版2025年9月27日号に同時掲載された1)。試験デザイン:海外第IV相無作為化二重盲検比較試験対象:低~高用量のICSを用いてもコントロール不良(喘息コントロール質問票[ACQ]スコア1.5以上)の喘息を有し、NPS 5以上の両側性鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者360例試験群:デュピルマブ300mgを2週に1回皮下投与(181例)対照群:オマリズマブを試験実施国の承認用量で投与(179例)投与方法:4週間のrun-in期間にモメタゾンフランカルボン酸エステル点鼻液を毎日噴霧し、2群に無作為に割り付けた。無作為化後は割り付けられた治療を24週間実施した。24週間の治療期間中もモメタゾンフランカルボン酸エステル点鼻液を毎日噴霧し、全身性ステロイド薬の使用や手術による救済治療も可能とした。評価項目:[主要評価項目]投与24週時のNPS、ペンシルベニア大学嗅覚識別検査(UPSIT)スコアのベースラインからの変化量[副次評価項目]投与24週時の嗅覚障害重症度スコア、鼻閉重症度スコアなど 主な結果は以下のとおり。・患者背景は両群間でバランスがとれており、全体集団の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の罹病期間(平均値)は13.3年、手術歴を有する割合は79.4%であった。ベースライン時のICSの用量は低用量が35%、中/高用量が65%であった。非ステロイド性抗炎症薬過敏喘息の病歴を有する割合は40%であった。・主要評価項目である投与24週時のNPSのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群-2.65、オマリズマブ群-1.05であり、デュピルマブ群が有意に改善した(群間差:-1.60、95%信頼区間[CI]:-1.96~-1.25、p<0.0001)。・もう1つの主要評価項目である投与24週時のUPSITスコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群12.7、オマリズマブ群4.7であり、デュピルマブ群が有意に改善した(群間差:8.0、95%CI:6.3~9.7、p<0.0001)。なお、デュピルマブ群のUPSITスコア(平均値)は無嗅覚の閾値である18を超えて改善した。・投与24週時の嗅覚障害重症度スコアのベースラインからの変化量、鼻閉重症度スコアのベースラインからの変化量もデュピルマブ群が有意に改善した(いずれもp<0.0001)。・投与24週時の気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群0.29L、オマリズマブ群0.14Lであった(群間差:0.15L、95%CI:0.05~0.26、名目上のp=0.003)。・投与24週時のACQ-7スコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群-1.92、オマリズマブ群-1.44であった(群間差:-0.48、95%CI:-0.65~-0.31、名目上のp<0.0001)。・安全性に関して、両群に差はみられなかった。 本試験結果について、Heffler氏は「本試験は呼吸器領域で初の生物学的製剤の直接比較試験である。本試験において、事前に規定した階層的検定のすべての評価項目で、デュピルマブがオマリズマブと比較して改善を示した。この結果は、2型炎症を伴う呼吸器疾患を併存する患者におけるデュピルマブの有効性を支持するものである」とまとめた。

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第284回 抗ヒスタミン薬アゼラスチン点鼻液が新型コロナウイルス感染を予防

抗ヒスタミン薬アゼラスチン点鼻液が新型コロナウイルス感染を予防抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)のアゼラスチン点鼻液が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染を減らしました1,2)。ドイツの病院で募った健康な18~65歳の成人が参加したプラセボ対照第II相試験の結果です。アゼラスチンの効果はもっと幅広いかもしれず、なんなら風邪として知られるライノウイルス感染を減らしうることも示唆されました。アゼラスチンはアレルギー性鼻炎を治療する点鼻薬として海外では広く店頭販売されていますが、2022年に報告された前臨床研究で抗SARS-CoV-2活性が示唆されています3)。その研究では販売されている承認薬一揃いからSARS-CoV-2に効く薬を探すことが試みられ、アゼラスチンに白羽の矢が立ちました。細胞で検討したところ、市販の点鼻液の400分の1ほどの濃度のアゼラスチンの抗SARS-CoV-2活性が示されました。また、市販の点鼻液を5倍に薄めた0.02%のアゼラスチンが鼻組織のSARS-CoV-2の複製を72時間以内にほぼ完全に阻止しました。その前臨床検討結果を頼りにドイツで実施された無作為化試験CARVINで、まずはアゼラスチンのSARS-CoV-2感染治療効果が示されます。同国のUrsapharm Arzneimittel社が主催の同試験では、2021年3~4月にかけて募ったSARS-CoV-2感染患者90例が、鼻組織検討で有効だった0.02%のアゼラスチン、市販品と同一の0.1%のアゼラスチン、プラセボのいずれかを1日3回点鼻しました。その結果、11日間の投与期間のアゼラスチン0.1%群のウイルスがプラセボ群に比べて有意により減少しました4)。また、アゼラスチン0.1%群の症状は最も改善しました。その結果を受けてインドでより多くの被験者を募って実施された無作為化試験CARVIN-IIでも同様に有望な結果が得られています。CARVIN-II試験もUrsapharm Arzneimittel社からの資金で実施され、抗原検査でSARS-CoV-2感染が判明した294例が参加しました。CARVIN試験と同様にアゼラスチン0.1%が1日3回点鼻された患者のウイルスがプラセボ群に比べてより減少しました5)。また発熱、虚弱、低酸素症がプラセボに比べてより改善しました。それら2つの試験結果や作用機序を踏まえるに、アゼラスチンの感染予防効果を調べることは理にかなっているようです。そこでドイツのザールラント大学(Saarland University)のRobert Bals氏らは、アゼラスチン点鼻のSARS-CoV-2やその他の呼吸器病原体の感染予防効果を無作為化試験で調べてみることにしました。同試験もUrsapharm Arzneimittel社からの資金で実施されました。健康な成人がザールラント大学で募集され、最終的に450例が1日3回のアゼラスチンかプラセボの点鼻に割り振られました。約2ヵ月(56日)間の感染率はアゼラスチン群のほうがプラセボ群より有意に低く、それぞれ2.2%と6.7%でした(オッズ比:0.31)。意外にも、SARS-CoV-2以外で最も多かった感染のライノウイルス感染率もアゼラスチン群がプラセボ群より同様に低く、それぞれ1.8%と6.3%でした。ただし、その差が有意かどうかは検討されていません。より大規模な多施設での無作為化試験でのさらなる検討が必要ですが、アゼラスチン点鼻は思い立ったらすぐに実行可能な手軽な手段として既存の予防対策を補完する役割を担えるかもしれません。脆弱な人、感染率が高い時期、旅行する人にはとくに有益かもしれません。 参考 1) Lehr T, et al. JAMA Intern Med. 2025 Sep 2. [Epub ahead of print] 2) Clinical study shows that nasal spray containing azelastine reduces risk of coronavirus infection by two-thirds / Eurekalert 3) Konrat R, et al. Front Pharmacol. 2022;13:861295. 4) Klussmann JP, et al. Sci Rep. 2023;13:6839. 5) Meiser P, et al. Viruses. 2024;16:1914.

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抗アレルギー点鼻薬がコロナ感染リスクを低減

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の曝露前予防には、ワクチン接種以外の医薬品の選択肢は限られている。今回、抗アレルギー薬であるヒスタミン受容体拮抗薬アゼラスチン※の点鼻スプレーは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の発生率の有意な減少と関連し、SARS-CoV-2以外の呼吸器病原体の総感染リスク低減とも関連していたことを、ドイツ・ザールランド大学のThorsten Lehr氏らが明らかにした。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2025年9月2日号掲載の報告。※抗アレルギー点鼻薬としてのアゼラスチンは海外では一般用医薬品として発売されているが、わが国では未発売。 ワクチン接種と集団免疫の確立により、COVID-19の重症度は大幅に軽減された。しかし、引き続き公衆衛生上の大きな負担であり、とくに高リスク集団に対する効果的な曝露前予防の方法が求められている。そこで研究グループは、SARS-CoV-2およびその他の呼吸器病原体に対する曝露前予防としてのアゼラスチン0.1%点鼻スプレーの有効性を評価するため、第II相二重盲検プラセボ対照試験を実施した。 対象は、急性感染症の兆候がなく、SARS-CoV-2迅速抗原検査が陰性の18~65歳の健康なボランティア450人で、2023年3月~2024年7月に登録された。アゼラスチン点鼻スプレー群またはプラセボスプレー群に1:1の割合で無作為に割り付けられ、1日3回、56日間、鼻孔ごとに投与した。感染の高リスク状況においては1日5回への増量投与を任意に選択できた。 参加者は週2回、研究スタッフによるSARS-CoV-2迅速抗原検査を受け、陽性の場合はPCR検査で確認された。症状があるにもかかわらず迅速抗原検査が陰性の場合には、SARS-CoV-2を含む呼吸器病原体に対してマルチプレックスPCR検査を実施した。主要評価項目は、試験開始から56日までにPCR検査で確認されたSARS-CoV-2感染の発生率であり、両群の比較には2群間の比率の差を検定するz検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・450人のうち227人がアゼラスチン群、223人がプラセボ群に無作為に割り付けられた。平均年齢は33.5歳、女性66.4%、白人92.7%、アフリカ系0.9%、アジア系4.9%、その他の民族が1.6%であった。・主要評価項目であるSARS-CoV-2感染の発生率は、アゼラスチン群はプラセボ群と比較して有意に低かった。 -アゼラスチン群2.2%(5/227例)vs.プラセボ群6.7%(15/223例) -リスク差:-4.5%ポイント、95%信頼区間(CI):-8.3~-0.7、p=0.02 -オッズ比:0.31、95%CI:0.11~0.87・アゼラスチン群では、症候性SARS-CoV-2感染の発生が少なく(1.8%vs.6.3%)、感染者におけるSARS-CoV-2感染までの期間が長く(31.2日vs.19.5日)、迅速抗原検査の陽性期間が短く(3.4日vs.5.1日)、SARS-CoV-2以外の呼吸器病原体を含む総感染者数が少なかった(21人vs.49人)。・PCR検査で確認されたライノウイルス感染症の発生率は、アゼラスチン群のほうがプラセボ群よりも低かった(1.8%vs.6.3%)。・有害事象の発現率は両群で同程度であったが、薬剤との関連が疑われる有害事象(主に苦味、鼻出血、倦怠感)はアゼラスチン群で多く報告された。 研究グループは、「本試験はサンプルサイズが小さく、主に健康なワクチン接種済みの集団を対象としていたため、これらの知見を他の状況に一般化できるかどうかは限定的」としたうえで、「これらの結果は、アゼラスチン点鼻スプレーがSARS-CoV-2による呼吸器感染症の発生率を低下させる可能性を示唆している。アゼラスチン点鼻スプレーは、確立された安全性プロファイル、入手しやすさ、使いやすさから、とくに大規模な集会や旅行といった感染リスクの高い状況における曝露前予防としての可能性がある」とまとめた。

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抗IL-4Rαモノクローナル抗体薬stapokibart、鼻茸を伴う重症慢性副鼻腔炎に有効/JAMA

 鼻茸を伴う重症の慢性副鼻腔炎成人患者において、日常的な点鼻ステロイド療法にstapokibartを併用投与することで24週時の鼻茸サイズと鼻症状の重症度を有意に改善させることが示された。中国・首都医科大学のShen Shen氏らが、中国の51施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「CROWNS-2試験」の結果を報告した。stapokibartは、新規の抗インターロイキン4受容体αサブユニット(IL-4Rα)モノクローナル抗体であり、中国において中等症~重症のアトピー性皮膚炎ならびに季節性アレルギー性鼻炎の治療薬として用いられている。第II相無作為化二重盲検比較試験「CROWNS-1試験」において、鼻茸を伴う重症の好酸球性慢性副鼻腔炎に対する有効性が示されていた。JAMA誌オンライン版2025年8月18日号掲載の報告。ステロイド点鼻療法へのstapokibart併用をプラセボ併用と比較 CROWNS-2試験の対象は鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の成人患者で、スクリーニングの6ヵ月以上前に副鼻腔手術歴があるか、または過去2年以内に全身性ステロイド投与歴があり、両側の鼻茸スコアが5以上(範囲:0~8)かつ週平均鼻閉スコアが2以上(範囲:0~3)の患者であった。なお、登録患者の60%以上は鼻茸を伴う好酸球性慢性副鼻腔炎であることとした。好酸球性慢性副鼻腔炎は、血中好酸球が6.9%以上(喘息なし)または3.7%以上(喘息あり)、鼻茸組織中好酸球数が55個/HPF以上または27%以上と定義した。 研究グループは、適格患者をstapokibart(300mg皮下投与)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、2週ごとに24週間投与した(試験投与期)。両群とも4週間の導入期および試験投与期中、モメタゾンフランカルボン酸エステル点鼻液を1日1回(各鼻腔に100μg)噴霧した。 主要エンドポイントは2つで、全体集団および好酸球性慢性副鼻腔炎患者集団における24週時の鼻茸スコアおよび鼻閉スコアのベースラインからの変化であった(意味のある変化の閾値[MCT]はそれぞれ≧1点および≧0.5点)。stapokibartの有効性と安全性を確認 2022年8月9日~2023年4月28日に、274例がスクリーニングされ、適格患者180例が無作為化された。このうち、179例(平均[±SD]年齢45.0±12.9歳、女性61例[34.1%])が少なくとも1回試験薬の投与を受けた(stapokibart群90例、プラセボ群89例)。追跡調査終了日は2024年6月25日であった。 24週時における鼻茸スコアのベースラインからの最小二乗(LS)平均変化量は、全体集団でstapokibart群-2.6点、プラセボ群-0.3点(LS平均群間差:-2.3、95%信頼区間[CI]:-2.6~-1.9、p<0.001)、好酸球性慢性副鼻腔炎患者集団ではそれぞれ-3.0点、-0.4点(-2.5、-2.9~-2.1、p<0.001)であった。 24週時における鼻閉症状のベースラインからのLS平均変化量は、全体集団でstapokibart群-1.2点、プラセボ群-0.5点(LS平均群間差:-0.7、95%CI:-0.9~-0.5、p<0.001)、好酸球性慢性副鼻腔炎患者集団でそれぞれ-1.3点、-0.5点(-0.8、-1.0~-0.6、p<0.001)であった。 有害事象の発現割合は、stapokibart群77.8%、プラセボ群69.7%、重篤な有害事象はそれぞれ2.2%、1.1%であった。stapokibart群では、プラセボ群に比べて関節痛(7.8%vs.0%)ならびに高尿酸血症(5.6%vs.1.1%)の発現割合が高かった。

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インスリン点鼻スプレー、アルツハイマー治療に新アプローチ

 点鼻スプレーによるインスリンの投与が、アルツハイマー病の治療法の一つになる可能性のあることが、新たな研究で示された。小規模な高齢者の集団において、点鼻スプレーで投与されたインスリンが、脳内の記憶に関わる重要な領域に到達したことが確認されたという。米ウェイクフォレスト大学医学部老年医学教授のSuzanne Craft氏らによるこの研究の詳細は、「Alzheimer’s & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions」に7月23日掲載された。 ホルモンの一種であるインスリンは脳の働きを増強する可能性があることから、アルツハイマー病の新たな治療法として使える可能性が注目されている。Craft氏らによると、インスリン抵抗性はアルツハイマー病の既知のリスク因子でもあるという。しかしこれまでの研究では、鼻から投与されたインスリンが本当に脳の標的領域に到達しているのか確認できていなかった。 そこでCraft氏らは、平均年齢72歳の高齢者16人を対象に、点鼻インスリン投与後に脳のPET検査を行った。参加者のうち7人は認知機能が正常で、9人に軽度認知障害があった。脳PETを撮像後に全身PET/CT撮像も行った。これらの画像と、さらに研究参加から1年以内に実施された脳MRI画像を統合することで、インスリンの脳内取り込み量(SUV)およびその時間変化(動的SUV)を解析した。 その結果、インスリン投与後40分間は、海馬、扁桃体、側頭葉、嗅皮質など、記憶や思考に関係する重要な11の脳領域でインスリンのSUVが増加していることが明らかになった。また、認知機能が正常な人では軽度認知障害がある人と比べて、インスリンのSUVが高い傾向が認められた。さらに、アルツハイマー病リスクの指標であるアミロイドβのマーカーが高値の人では、複数の脳領域でSUVが低下していた。点鼻スプレーを使用し、脳の検査を受けた後に軽度の頭痛を報告した参加者が2人いたが、全体的に治療の忍容性は良好であることも示された。 Craft氏は、「この研究によって、点鼻投与されたインスリンがどのように脳に到達するのかについて解明されていなかった重要な点が明らかになった」とウェイクフォレスト大学のニュースリリースの中で述べている。同氏は、「われわれは、薬が実際に脳の標的領域に届いていることを示す直接的な証拠を必要としていた。予想外だったのは、軽度認知障害のある人ではインスリンの吸収のされ方が異なっていたことだ。われわれは今までのように手探りで進んでいるわけではない。脳への明確な“道筋”が手に入ったのだ」と付言している。 Craft氏はまた、「脳疾患の治療薬を開発する上での最大の課題の一つは、薬を脳に届ける方法だ。今回の研究では、経鼻デリバリーシステム(薬剤送達システム)を効率的に検証できることを示すことができた。これは治験を開始する前の重要なステップになる」と強調している。なお、この点鼻スプレーを使った感想について、参加者は「驚くほど簡単だった」と話したという。 Craft氏らは、今後1〜2年以内に脳へのインスリン送達に影響を与える可能性のある血管の健康状態やアミロイドβの蓄積、性差といった他の要因を調べることを目的とした、より大規模な研究を計画している。同氏は、「まだ解明すべきことは多く残されているが、今回の研究によって経鼻投与による脳への薬剤送達を検証するためのツールを手に入れることができた。これは、アルツハイマー病に対する、より効果的でアクセスしやすい治療法の開発において、有望なニュースだ」と述べている。

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経鼻投与のてんかん発作レスキュー薬「スピジア点鼻液5mg/7.5mg/10mg」【最新!DI情報】第43回

経鼻投与のてんかん発作レスキュー薬「スピジア点鼻液5mg/7.5mg/10mg」今回は、抗けいれん薬「ジアゼパム(商品名:スピジア点鼻液5mg/7.5mg/10mg、製造販売元:アキュリスファーマ)」を紹介します。本剤は、介護者による投与も可能な国内初のジアゼパム鼻腔内投与製剤であり、院外での速やかな治療が可能になると期待されています。<効能・効果>てんかん重積状態の適応で、2025年6月24日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人および2歳以上の小児にはジアゼパムとして、患者の年齢および体重を考慮し、5~20mgを1回鼻腔内に投与します。効果不十分な場合には4時間以上空けて2回目の投与ができます。ただし、6歳未満の小児の1回量は15mgを超えないようにします。●2歳以上6歳未満6kg以上12kg未満:5mg(5mg製剤を片方の鼻腔1回)12kg以上23kg未満:10mg(10mg製剤を片方の鼻腔1回)23kg以上:15mg(7.5mg製剤を両方の鼻腔1回ずつ)●6歳以上12歳未満10kg以上19kg未満:5mg(5mg製剤を片方の鼻腔1回)19kg以上38kg未満:10mg(10mg製剤を片方の鼻腔1回)38kg以上56kg未満:15mg(7.5mg製剤を両方の鼻腔1回ずつ)56kg以上:20mg(10mg製剤を両方の鼻腔1回ずつ)●12歳以上14kg以上28kg未満:5mg(5mg製剤を片方の鼻腔1回)28kg以上51kg未満:10mg(10mg製剤を片方の鼻腔1回)51kg以上76kg未満:15mg(7.5mg製剤を両方の鼻腔1回ずつ)76kg以上:20mg(10mg製剤を両方の鼻腔1回ずつ)<安全性>重大な副作用として、依存性、離脱症状、刺激興奮、錯乱など、呼吸抑制(いずれも頻度不明)があります。その他の副作用として、傾眠(10%以上)、意識レベルの低下、貧血、口腔咽頭不快感(いずれも5~10%未満)、眠気、ふらつき、眩暈、頭痛、言語障害、振戦、複視、霧視、眼振、失神、失禁、歩行失調、多幸症、黄疸、顆粒球減少、白血球減少、血圧低下、頻脈、徐脈、悪心、嘔吐、便秘、口渇、食欲不振、発疹、倦怠感、脱力感、浮腫(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、抗けいれん作用がある点鼻薬です。鼻腔内に使用します。2.脳内の神経の過剰な興奮を鎮めて、てんかん発作を抑える働きがあります。3.この薬は適切な指導を受けた保護者(家族)またはそれに代わる適切な人が使用できますが、2歳以上6歳未満のお子さんの場合は、医師のもとで使用する必要があります。4.噴霧器には1回(1噴霧)分の薬が入っています。噴霧テスト(空打ち)や再使用はしないでください。5.症状が現れたときに、1回1噴霧(どちらか片方の鼻のみ)もしくは2噴霧(両方の鼻に1回ずつ)してください。6.原則として、この薬の使用後は救急搬送を手配してください。<ここがポイント!>てんかん重積状態は、「臨床的あるいは電気的てんかん活動が少なくとも5分以上続く場合、またはてんかん活動が回復なく反復し5分以上続く場合」と定義されています。この定義は、脳へのダメージや長期的な後遺症が懸念される時間の閾値に基づいています。とくにけいれん発作が30分以上持続すると、脳損傷のリスクが高まり、生命予後にも重大な影響を及ぼす可能性があるため、速やかな治療介入が極めて重要になります。治療の第一選択薬の1つとしてジアゼパム静注が挙げられますが、院外では静脈注射や筋肉注射が困難な場合が多く、急性対応の選択肢は限られています。てんかん重積状態の治療には病院到着前の治療(プレホスピタルケア)が重要であるため、簡便に使用できる製剤が必要と考えられていました。本剤は、医療者または介護者による投与が可能な国内初のジアゼパム鼻腔内投与製剤です。ジアゼパムは1960年代から広く用いられている抗けいれん薬であり、本剤は院外での「てんかん重積状態に対するレスキュー薬」の新たな選択肢となります。本剤は、簡単かつ迅速に投与できる点鼻スプレーであり、2歳から成人まで使用可能です。また、室温保存が可能で携帯性に優れた製剤で、自宅での使用にも適しています。てんかん重積状態またはてんかん重積状態に移行する恐れのある発作を有する6歳以上18歳未満の日本人小児患者を対象とした国内第III相試験(NRL-1J02試験)において、主要評価項目である臨床的にけいれん発作と判断される状態が本剤を単回鼻腔内に投与後10分以内に消失し、かつ投与後30分間認められなかった患者の割合は62.5%(95%信頼区間:35.4~84.8)でした。

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デスモプレシン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省

 厚生労働省は2025年6月24日、男性の夜間頻尿や中枢性尿崩症治療薬として使用される脳下垂体ホルモン薬のデスモプレシン酢酸塩水和物(以下、デスモプレシン)と甲状腺・副甲状腺ホルモン薬のチアマゾールに対して、添付文書の改訂指示を発出した。副作用の項に重大な副作用を新設し、デスモプレシンの経口剤と点鼻剤の両剤形においてアナフィラキシーの追記が、チアマゾールには急性膵炎の追記がなされた。なお、デスモプレシンの点鼻剤には、合併症・既往歴等のある患者の項にもアナフィラキシーの発現について追記がなされた。 対象製品は以下のとおり。デスモプレシン酢酸塩水和物(経口剤) ミニリンメルトOD錠25μg、同50μg ミニリンメルトOD錠60μg ミニリンメルトOD錠120μg、同240μg<重大な副作用> アナフィラキシーデスモプレシン酢酸塩水和物(点鼻剤) デスモプレシン点鼻スプレー2.5μg「フェリング」 デスモプレシン・スプレー10協和 ほか<合併症・既往歴等のある患者> 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。アナフィラキシーが発現するおそれがある。<重大な副作用> アナフィラキシー 本剤のアナフィラキシー関連症例を評価した結果、デスモプレシン(注射剤)とアナフィラキシーとの因果関係が否定できない症例が集積したこと(令和7月4月8日改訂指示通知)から、経口剤および点鼻剤の使用上の注意を改訂することが適切と判断された。ただし、中枢性尿崩症の効能を有する点鼻剤(デスモプレシン点鼻スプレー2.5μg「フェリング」)については代替薬がなく、禁忌を設定した場合に医療現場で不利益を被る可能性が考えられたため、点鼻剤については「禁忌」の項への追記は行わず、「合併症・既往歴等のある患者」の項にのみの追記とし、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない旨の注意喚起を追記することが適切と判断された。チアマゾール メルカゾール錠2.5mg、同5mg メルカゾール注10mg<重大な副作用> 急性膵炎 上腹部痛、背部痛、発熱、嘔吐などの症状、膵酵素異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 急性膵炎関連症例および疫学文献などを評価した結果、本剤と急性膵炎との因果関係が否定できない症例が集積したこと、本剤と急性膵炎との関連を示唆する疫学文献が複数報告されていることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。

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