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房水産生も抑制する1日1回投与の緑内障・高眼圧症治療薬「ロープレッサ点眼液0.02%」【最新!DI情報】第67回

房水産生も抑制する1日1回投与の緑内障・高眼圧症治療薬「ロープレッサ点眼液0.02%」今回は、緑内障・高眼圧症治療薬「ネタルスジルメシル酸塩(商品名:ロープレッサ点眼液0.02%、製造販売元:参天製薬)」を紹介します。本剤は、既存の緑内障治療薬で効果不十分、または副作用などで使用困難な緑内障・高眼圧症患者を適応とする1日1回の点眼薬であり、新たな治療選択肢として期待されています。<効能・効果>緑内障、高眼圧症の適応で、2026年6月19日に製造販売承認を取得しました。プロスタグランジン関連薬やβ遮断薬などの他の緑内障治療薬で効果不十分または副作用などで使用できない場合に本剤の使用を検討します。<用法・用量>1回1滴、1日1回点眼します。<安全性>重大な副作用として、角膜上皮浮腫(頻度不明)があります。その他の副作用として、結膜充血(55.9%)、渦巻き角膜(21.7%)、アレルギー性結膜炎(10%以上)、眼刺激、霧視、結膜出血、眼のそう痒感、視力低下、眼瞼炎、流涙増加、点状角膜炎・角膜びらん・角膜炎などの角膜上皮障害、眼痛、結膜炎、眼脂(いずれも1~10%未満)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、緑内障・高眼圧症に用いられる点眼薬です。眼圧を調整する水分の産生を抑制するとともに、排出を促進することにより眼圧を下げます。2.他の緑内障治療薬が効果不十分または使用できない場合に使用します。3.ソフトコンタクトレンズを付けている場合はレンズを外してから点眼し、5~10分間の間隔を空けてからレンズを付けてください。4.点眼後、一時的に目がかすんだりすることがありますので、症状が回復するまでは機械の操作や自動車などの運転は行わないでください。5.この薬の使用時に渦巻き角膜や角膜上皮浮腫が起こることがあります。霧がかかったような見え方や視力の低下などが現れたら受診してください。【ここがポイント!】緑内障は、視神経と視野に特徴的な変化を来し、適切な治療が行われない場合には失明に至る可能性のある疾患です。日本における眼疾患による視覚障害(視力低下や失明)の最大の原因であることから、早期発見・早期治療が極めて重要です。緑内障による視神経障害は進行性であり、眼圧下降療法が有効な治療法となります。治療の第1選択薬としては、プロスタノイドFP受容体作動薬、プロスタノイドEP2受容体作動薬およびプロスタノイドFP受容体+EP3受容体作動薬が推奨されており、その他、アドレナリンβ受容体遮断薬や炭酸脱水酵素阻害薬なども広く使用されています。治療は原則として単剤から開始し、目標眼圧が達成できない場合には、薬剤の切り替え、または作用機序の異なる薬剤の追加併用を行います。しかし、点眼回数の増加は、患者のアドヒアランス低下につながる可能性もあり、1日1回の点眼で強力な眼圧下降作用を発揮する薬剤が望まれていました。本剤は、有効成分としてネタルスジルメシル酸塩を含む眼圧下降点眼薬です。本剤は、Rhoキナーゼ(ROCK)を阻害することで線維柱帯流出路からの房水流出を促進するとともに、ノルエピネフリントランスポーターを阻害することで房水産生を抑制します。また、活性代謝物であるAR-13503にもROCK阻害活性が認められています。本剤の眼圧下降作用には、これらの複数の薬理作用が寄与しています。本剤は、既存の緑内障治療薬で効果不十分な場合、または副作用などで使用困難な緑内障・高眼圧症患者を適応とする1日1回の点眼薬であり、新たな治療選択肢として期待されます。原発開放隅角緑内障または高眼圧症を対象とした国内第III相臨床試験(AR-13324-CS305)において、主要評価項目である投与後4週における平均日中眼圧について、本剤群で15.79mmHg、リパスジル群で17.77mmHg、投与群間差(本剤群-リパスジル群)は-1.74mmHg(95%信頼区間[CI]:-2.17~-1.31)であり、本剤群はリパスジル群と比較して有意差が認められました(p<0.0001、共分散分析)。群間差の点推定値が事前に規定した0mmHg未満であったため、本剤群のリパスジル群に対する優越性が検証されました。また、ラタノプロスト点眼液で眼圧下降作用が不十分な原発開放隅角緑内障または高眼圧症を対象に、ラタノプロスト点眼液との併用効果について検討した国内第III相臨床試験(101390001LT)において、主要評価項目である投与後4週における平均日中眼圧は、本剤併用群で15.38mmHg、プラセボ併用群で17.51mmHgでした。投与群間差(本剤併用群-プラセボ併用群)は-2.36mmHg(95%CI:-2.83~-1.88)であり、本剤併用群はプラセボ併用群と比較して有意差が認められました(p<0.0001、共分散分析)。群間差の点推定値が事前に規定した0mmHg未満であったため、本剤併用群のプラセボ併用群に対する優越性が検証されました。

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第301回 高齢者のポリファーマシー対策、医療従事者向け資材を公表/厚労省

<先週の動き> 1.高齢者のポリファーマシー対策、医療従事者向け資材を公表/厚労省 2.OTC類似薬の追加負担、対象外患者を定め2027年3月施行へ/厚労省 3.小児がん拠点病院を集約化、症例集積で医療の質確保へ/厚労省 4.高齢者の窓口負担3割化を提言、包括払い・病院再編も/財政審 5.ドクターヘリ運休相次ぐ、安定運航へ検討会設置/厚労省 6.長崎大病院など3病院、不急の救急搬送に選定療養費7,700円を徴収/長崎市 1.高齢者のポリファーマシー対策、医療従事者向け資材を公表/厚労省厚生労働省は6月24日に開いた「高齢者医薬品適正使用検討会」で、高齢者のポリファーマシー対策を進めるため、医療従事者向けの普及啓発資材を公表した。多剤服用に伴う薬物有害事象、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下などを防ぐため、「高齢者の医薬品適正使用の指針」や病院・地域での業務手順書の内容を分かりやすく整理したもの。主な対象は医師、歯科医師、薬剤師だが、看護師や介護職など多職種での活用も想定している。資材は指針の総論編、各論編のほか、病院向け、地域向けの計4種類。これまで本格的に取り組んでいなかった医療機関でも導入しやすいよう、イラストを多用し、文字量を抑えた構成としている。資材では、「ポリファーマシーとは、単に薬剤数が多い状態(多剤服用)ではなく、多剤服用に関連して有害事象や服薬困難などの問題が生じている状態を指す」としている。高齢者では、加齢に伴う腎機能低下や薬物動態の変化、複数医療機関の受診、処方カスケードなどにより形成されやすい。病院向け資材では、対策開始時の留意点として、剤数だけに着目せず、安全性や治療効果、患者の生活状況を踏まえて処方内容を適正化する必要性を強調した。対象患者を優先順位付けし、小規模から始めること、担当者を明確にして情報を一元化すること、多職種の役割分担を整理することが実践の鍵となる。薬剤服用後の体調不良が疑われる外来患者には受診や相談を促す。実務上は、「お薬手帳」を活用した処方・調剤情報の一元管理に加え、患者の日常生活動作や認知機能、栄養状態、生活環境、服薬管理能力などを総合的に評価することが重要となる。併せて、腎機能や薬物相互作用、同効薬の重複、一般用医薬品やサプリメントの使用状況も確認する。ふらつき、転倒、せん妄、食欲低下、便秘、排尿障害などが出現した場合は、薬剤起因性も疑う。薬剤を見直すときは、中止・減量・変更後の病状悪化や代替薬による有害事象にも注意が必要となる。2026年度の診療報酬改定では、病棟薬剤業務実施加算の見直しにより、ポリファーマシー対策や退院時薬剤情報連携が一層重視されている。薬剤総合評価調整加算などの実績向上にもつながる可能性があり、薬剤部門だけでなく、入退院支援、病棟看護、地域薬局、かかりつけ医を含めた組織的な取り組みが求められる。資材では、剤数だけに着目せず、安全性確保などを踏まえた処方内容の適正化が必要であると強調されている。 参考 1) 第22回 高齢者医薬品適正使用検討会 資料(厚労省) 2) 高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)(同) 3) 高齢者の医薬品適正使用の指針 総論編の概要 普及啓発資材(同) 4) ポリファーマシー対策 普及啓発資材を公表 適正使用指針などの説明で活用 厚労省(CB news) 5) ポリファーマシー対策の始め方と進め方の普及啓発ツールが公表。薬剤総合評価調整加算等の実績向上が期待される(HCナレッジ) 2.OTC類似薬の追加負担、対象外患者を定め2027年3月施行へ/厚労省厚生労働省は6月25日、市販薬と成分や効能が似る「OTC類似薬」について、患者に薬剤費の一部追加負担を求める新制度の具体化に向けた有識者検討会の初会合を開いた。新制度は2027年3月の施行を想定し、対象薬剤の薬剤費の4分の1を保険給付から外し、「特別の料金」として通常の1~3割負担に上乗せする。対象は、ロキソニン錠やアレグラ錠、保湿剤、湿布などを含む77成分、1,066品目を機械的に選定した案が示されており、今後効能・効果を踏まえて整理される。制度の目的は、OTC医薬品で対応している患者との公平性を確保し、現役世代を中心とする保険料負担の上昇を抑えることにある。ただし、必要な受診を妨げないよう、追加負担を求めない患者や療養の範囲が大きな論点となる。厚労省案では、高校生年代までの子供、低所得者、入院患者、がん患者や指定難病患者など配慮が必要な慢性疾患患者は対象外とする方向。入院中の処方は退院時処方を含めて追加負担を求めない。がんについては、治療中または治療開始に向け継続診療中の患者や、副作用対策に用いる薬は除外する一方で、治療終了後の経過観察のみの場合や、がんと直接関係しない症状への処方は追加負担を求める方向である。長期使用が医療上必要なケースも除外候補で、内服薬は年間処方日数がおおむね50週以上、外用薬は、塗布剤・貼付剤・点眼剤・点鼻剤・吸入剤などについて、医師が毎日の塗布や貼付など日常的使用を指示している場合を目安とする。厚労省は今後、77成分ごとに医療用医薬品とOTC医薬品の効能・効果の違いを整理し、代替性の有無を検討する。検討会は8月ごろに中間整理を行い、医療保険部会や中医協での議論、患者団体ヒアリングを経て、秋ごろの取りまとめを目指す。医療現場では、対象外となる医学的必要性をどのように判断・記録するかが実務上の焦点となる。 参考 1) 一部保険外療養の施行に向けて(厚労省) 2) 負担対象OTC類似薬議論 除外条件も、厚労省(東京新聞) 3) OTC類似薬の追加負担、がん・通年処方は対象外 厚労省が案提示(日経新聞) 4) 日常使用の湿布は負担対象外 OTC類似薬の新制度-厚労省会議(時事通信) 3.小児がん拠点病院を集約化、症例集積で医療の質確保へ/厚労省厚生労働省は6月23日に開かれた「小児がん拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」で、小児がん診療提供体制の見直し案を示し、大筋で了承を得た。少子化に伴い小児がん患者数の減少が見込まれる中、高難度医療、希少がん診療、再発・難治例への集学的治療、国際共同治験などを担う施設に症例を集積し、医療の質を維持・向上させる狙い。現在全国15ヵ所の「小児がん拠点病院」は、10ヵ所程度に集約化する方針で、8月上旬までに整備指針を改定する。新たな小児がん拠点病院は、高度専門医療に加え、ドラッグ・ラグ/ロスの解消や新規治療開発への貢献も求められる。診療実績要件は、再発時の紹介を含む年間新規症例数30例以上に加え、年間手術数10例程度を新設する。放射線療法については、自施設で提供できない場合も他施設と連携して提供できる体制を要件化する。医師以外のスタッフの配置も見直し、細胞診断業務に携わる人員について「1人以上必要な数」の配置を求める方向。国立成育医療研究センターと国立がん研究センターは、引き続き小児がん中央機関として、中央診断体制や国際共同治験、医療技術開発を牽引する。その一方で、集約化による患者・家族の医療アクセス低下を防ぐため、新たに「都道府県小児がん拠点病院」を各都道府県に原則1ヵ所整備する。小児がん拠点病院と連携しながら標準的治療を提供し、標準治療が確立していないがんや再発・難治例では診療情報を共有し、必要に応じて専門施設へ紹介する。専門治療後や病状安定後には、地域医療機関へ円滑に逆紹介する体制も求められる。指定要件は、年間新規症例数20例以上、または都道府県内の小児がん年間新規症例の原則半数以上を診療していることとする。現行の小児がん連携病院145ヵ所は「小児がん連携医療機関」に見直され、病院だけでなく診療所も参加可能となる。標準的治療、特定がん種への対応、長期フォローアップ、移行期医療、在宅医療などを担う体制を整える。今後、全国小児がん拠点病院等連絡協議会と都道府県小児がん診療連携協議会を設け、広域・地域双方の課題を協議する。新たな指定類型は2027年4月から適用される見通し。 参考 1) 第5回 小児がん拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(厚労省) 2) 小児がん拠点病院を集約化して医療の質を確保し、患者・家族の医療アクセス確保にも配慮する-小児がん拠点病院指定要件WG(Gem Med) 3) 小児がん拠点病院 10ヵ所程度に集約化へ 8月上旬までに整備指針改定 厚労省(CB news) 4) 「小児がん拠点病院」集約化へ 患者減見据え10ヵ所程度に(MEDIFAX) 4.高齢者の窓口負担3割化を提言、包括払い・病院再編も/財政審財務省の財政制度等審議会は6月26日、「人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営」と題する建議を片山 さつき財務相に提出した。建議は、日本経済がデフレ型から供給制約型へ移りつつあるとし、「強い経済」には未来投資と実質賃金上昇による投資と賃上げの好循環が不可欠とした。その一方で、金利上昇局面では財政資源も制約下にあり、補正予算依存から脱却し、恒常的施策は当初予算で措置する改革の実効性と財政規律の両立を求めた。高市政権が掲げる「責任ある積極財政」や、債務残高対GDP比の安定的低下を中核目標とする方針についても、成長頼みでは市場の信任を損ないかねないとして、利払い費を含む財政収支の管理を促した。医療・介護分野では、現役世代の保険料負担を抑えるため、社会保障負担率に数値目標と年限を設け、改革工程表を作成すべきだと提言した。医療では「患者アクセスの保障」と「負担抑制」のバランスを掲げ、70歳以上の患者自己負担を可及的速やかに原則3割へ引き上げることを求めた。70~74歳を一律に高齢者扱いする現行の線引きの見直し、75歳以上への経過措置、外来特例の廃止、特定疾病制度の検証・見直しも論点とした。さらに、建議では、医療機関を受診する際の窓口業務のコスト(保険証確認や会計など)について、診療行為そのものではなく、初・再診料で評価する必然性は乏しいとして、保険給付外サービスとして患者に請求できる仕組みの検討を求めた。医療の提供体制については、小規模分散型の病院・診療所では人材不足下の効率化に限界があるとして、病院の集約・再編、地域医療連携推進法人の活用、外来機能の統合・大規模化、かかりつけ医機能強化を提起した。診療報酬についても、入院・外来診療ともに、出来高払い中心からアウトカム評価と包括払い中心へ移行し、医療DXで少ない人員でも質を保つ体制を後押しすべきだとした。あわせて、医療法人の経営情報の見える化、医療機関の職員の職種別給与・人数の提出義務化、医療法人の業務範囲拡大、2027年度薬価改定の完全実施、後期高齢者医療制度の都道府県化や金融所得を含む応能負担の徹底も盛り込んだ。医療界にとっては、患者負担増だけでなく、報酬体系、病院再編、経営情報開示まで含む包括的な制度転換の予告と受け止める必要がある。 参考 1) 人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営(財務省) 2) 「強い経済」へ投資と賃上げ循環 予算編成改革、実効性確保を-財政審建議(時事通信) 3) 70歳以上の医療費窓口支払い「速やかに3割負担を」財制審が意見書(日経新聞) 4) “高齢者も病院窓口負担を原則3割に” “大学は現在の半分程度まで縮減を” 財政制度等審議会が片山さつき財務大臣に意見書(TBS) 5) 診療報酬をアウトカム評価中心の包括払いに 財政審、入院・外来共に(CB news) 5.ドクターヘリ運休相次ぐ、安定運航へ検討会設置/厚労省厚生労働省は、東京や関西などでドクターヘリの運休が相次いでいることを受け、安定的な運航体制の確保に向けた検討会を7月中に立ち上げる。上野 賢一郎厚生労働相が6月26日の閣議後記者会見で明らかにした。検討会には医療関係者、航空関係者、自治体担当者、有識者などが参加し、救急医療搬送体制の在り方や国の関与、財政支援、人材確保策について議論する。ドクターヘリは、救急医療機器を搭載し、専門医と看護師が搭乗して現場に向かうことで、重症患者への早期医療介入と迅速搬送を担う。上野厚労相は「全国各地の救急医療体制を確保する上で極めて重要な役割を果たしている」と述べ、持続可能な運航体制の構築が急務との認識を示した。運休の背景には、運航事業者における整備士不足がある。東京や兵庫などでは昨年以降、整備士を確保できないことによる運航停止が発生しており、自治体からも国の対応を求める声が上がっている。加えて、公共ヘリの操縦には高度な技量と経験が必要で、操縦士の高齢化も課題となっている。ドクターヘリの操縦士は50歳以上が7割超を占め、2030年以降には毎年10人以上が不足するとの見通しもある。国土交通省も航空大学校を活用した若手操縦士の養成や、シミュレーター活用による飛行経験要件の見直し、養成費支援を進める方針。検討会では、医療現場と航空運航の双方の実情を踏まえ、財政支援、人材育成、整備士・操縦士の確保を含めた具体策を検討する。 参考 1) ドクターヘリ検討会設置へ 運休受け、安定運航議論(共同通信) 2) 整備士不足で運休相次ぐ「ドクターヘリ」 安定運航へ厚労省が検討会を立ち上げ(テレビ朝日) 3) 関西などドクターヘリ運休 7月中にも検討会立ち上げ 厚労省(NHK) 4) ドクター・防災ヘリ念頭…国交省、航空大で操縦士養成の背景(ニュースイッチ) 6.長崎大病院など3病院、不急の救急搬送に選定療養費7,700円を徴収/長崎市長崎市内の3病院は7月1日から、緊急性が認められない症状で救急搬送された患者に対し、選定療養費7,700円を徴収する。対象は長崎みなとメディカルセンター、長崎大学病院、日赤長崎原爆病院で、いずれも200床以上の急性期病院として脳卒中、心筋梗塞、重症外傷などに対応する役割を担う。これまで救急搬送では紹介状なし受診に伴う選定療養費の徴収対象外としていたが、救急車要請時の緊急性が医師により認められない場合に負担を求める運用へ改める。背景には、救急搬送件数の増加と大病院への軽症患者集中がある。長崎市消防局管内では、2022年度以降の救急搬送が2万5,000件超で高止まりし、医療機関の応需率は2019年度の80.7%から、近年は60%台前半まで低下している。長崎みなとメディカルセンターでは2023年度の救急搬送3,987人のうち36%が軽症だった。市消防局が病院へ11~20回問い合わせた搬送事例も、2019年度の2件から2024年度には109件へと急増しており、搬送先選定の長期化が問題となっている。同センター救命救急センターは年間約4,200台の救急車と約4,500人のウォークイン患者を受け入れる。輪番日の夜間は救急医1人、研修医4人、看護師5人で対応する体制だが、午後5~7時ごろに搬送が集中し、初療室5床が短時間で埋まることもある。早川 航一センター長は、安易な救急車利用の抑制により、真に緊急性の高い患者の治療時間と病床を確保する必要性を強調している。その一方で、制度運用には課題も残る。第三者が救急車を呼んだ場合や観光客でも、緊急性がないと判断されれば徴収対象となる一方で、警察など公的機関からの要請は原則対象外とされる。徴収判断は医師がガイドラインに基づき行うが、病院間で判断に差が出れば不公平感につながりかねない。救急車の有料化ではなく、救急医療資源を守る施策として位置付けつつ、個別事例の検証や市民への周知が不可欠となる。救急車を呼ぶか迷う場合は、救急安心センター「#7119」の活用も促されている。 参考 1) 救急搬送における選定療養費について(長崎市) 2) 不急の救急搬送に長崎市内の3病院が7月から特別料金、救急車の適正利用が狙い…「緊急性」線引きに課題も(読売新聞) 3) 「これ以上は危うい…」長崎県内最多の救急搬送患者を受け入れる救命救急センター、切迫する最前線の現状(長崎新聞) 4) 「とりあえず救急車」の前に…7月1日~長崎市の3病院で「救急搬送における選定療養費徴収」スタート 迷ったときは?(長崎放送)

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第296回 ナフサ不足で医療資材逼迫、医療用手袋5,000万枚を放出/政府

<先週の動き> 1.ナフサ不足で医療資材逼迫、医療用手袋5,000万枚を放出/政府 2.血管炎薬アバコパンで死亡20例、添付文書に「警告」新設/厚労省・キッセイ薬品 3.AIを悪用したサイバー攻撃に備え、医師会や病院団体と対策を協議/厚労省 4.マイナカード「任意」から義務化検討へ、全員保有を提言/自民党 5.禁忌の抗菌薬処方でSJS発症か、患者死亡で遺族に補償へ/三重県 6.東大医学系研究科の贈収賄事件、元特任准教授に有罪判決/東京地裁 1.ナフサ不足で医療資材逼迫、医療用手袋5,000万枚を放出/政府中東情勢の悪化を背景に、石油由来原料を使う医療資材の供給不安が医療現場に広がっている。政府は5月23日、感染症などの流行に備え国が備蓄していた医療用手袋のうち、まず5,000万枚の放出を開始した。都内の歯科診療所には同日、第1弾が到着。受け取った院長は「診療所は在庫を抱えられない。購入できて安心した」と語った。放出対象は、病院、診療所、訪問看護事業所、薬局、助産所など。在庫量が「今後1週間の想定消費量から購入見込み量を差し引いた数」の4週間分を下回る場合、医療機関等情報支援システム(G-MIS)を通じて申請できる。販売は1,000枚単位で、価格は1セット5,980円、1枚当たり約6円。購入可能数は想定消費量の2週間分を基準に決まり、条件を満たせば複数回の申請も可能とされる。21日時点で2,000を超える医療機関が対象となっており、茨城県でも第1弾として63医療機関から27万1,000枚の購入申し込みがあった。ただ、逼迫しているのは手袋だけではない。ナフサ価格の上昇を受け、廃液回収容器、投薬瓶、軟こう容器、点眼瓶、松葉杖、透析回路、医薬品包装用フィルムなどでも値上げや納期遅延、受注制限が相次いでいる。調剤薬局では小児用シロップ容器が不足し、粉薬での処方を依頼する例も出ている。医療資材卸では4月以降、平均2~3割の値上げが行われ、製品によっては1.5~2倍の値上げ要請もあるという。診療報酬や薬価は公定価格であり、医療機関や製薬企業は一般産業のようにコスト上昇分を価格転嫁しにくい。物価高、人件費高、光熱費高に加え、資材不足が中小医療機関の経営をさらに圧迫している。政府は追加放出も検討するとしているが、手袋の使用量は月9,000万枚規模ともされ、備蓄放出だけで不安を払拭するのは難しい。医療提供体制を維持するには、資材供給の安定化に加え、物価変動を診療報酬や薬価に反映する仕組みの検討が求められる。 参考 1) 医療用手袋の政府備蓄品が到着 厚労省、都内歯科で公開(日経新聞) 2) 国が備蓄している医療用手袋 購入要請があった医療機関にきょうから配送開始 中東情勢の影響を受けて放出(TBS NEWS) 3) ナフサ不足で医療資材逼迫 軟こう容器・松葉杖・手袋…中小医院資材逼迫で苦境(日経新聞) 4) 中東情勢悪化に伴う医療用グローブの国家備蓄放出、「医療機関在庫が不足する」場合に購入可能-厚労省(Gem Med) 2.血管炎薬アバコパンで死亡20例、添付文書に「警告」新設/厚労省・キッセイ薬品厚生労働省は5月21日、選択的C5a受容体拮抗薬アバコパン(商品名:タブネオスカプセル10mg)について、製造販売元のキッセイ薬品に対し、添付文書に「警告」欄を新設し、医療関係者へ安全性速報(ブルーレター)を発出するよう指示した。同薬の服用後、肝臓の胆管がなくなる「胆管消失症候群」を含む重篤な肝機能障害が報告され、国内で20例の死亡があったことを受けた措置。ブルーレターの発出は5年ぶりで、迅速な安全対策が必要と判断された。アバコパンは、顕微鏡的多発血管炎と多発血管炎性肉芽腫症を対象とする飲み薬で、いずれも国の指定難病。ステロイド使用量を減らせる薬として期待され、国内では2022年6月に発売され、直近1年間で推定約8,500例に使用された。死亡した20例は60~90代で、19例は投与開始から3ヵ月以内に肝機能障害を発症。胆管消失症候群は22例報告され、このうち13例が死亡しており、とくに深刻な副作用とみられている。改訂後の添付文書では、投与開始前と投与中の定期的な肝機能検査を求める。投与開始後3ヵ月間は少なくとも2週間に1回、その後3ヵ月間は少なくとも4週間に1回、6ヵ月以降も定期的に検査する。ALTまたはASTが基準値上限の3倍を超えた場合は投与を中断し、8倍超、5倍超が2週間以上続く場合、総ビリルビンやALPの上昇、黄疸やかゆみなどがあれば中止する。胆管消失症候群が疑われる場合も速やかに中止することを求めている。キッセイ薬品は、新規患者への投与を控えるよう注意喚起していたが、その後は頻回の検査を前提に新規投与も可能とされた。すでに服用中の患者には、自己判断で中止せず、体調変化があれば医師や薬剤師に相談するよう呼びかけている。その一方で、米国食品医薬品局(FDA)は有効性や承認申請資料を巡る疑義から米国での承認撤回を提案しており、厚労省も海外当局と連携し、有効性や安全性の確認を進める。 参考 1) タブネオスの安全性確保のための注意喚起について(キッセイ薬品) 2) タブネオスにブルーレター発出、添付文書の「警告」欄を新設(日経ドラッグインフォメーション) 3) 血管炎治療剤タブネオス 安全性速報を発出-添付文書に「警告」新設 キッセイ薬品(CB news) 4) キッセイ薬品工業が「ブルーレター」発出 タブネオス服用後の死亡患者20人報告で(中日新聞) 5) 投与患者20人死亡の血管炎治療薬、添付文書に「警告」欄を新設・頻繁な肝機能検査を要請…厚労省(読売新聞) 6) キッセイ薬品の血管炎薬、添付文書に「警告」欄 有効性に疑義も(朝日新聞) 7) キッセイ薬品、血管炎治療薬で安全性速報 死亡報告で厚労省指示(日経新聞) 3.AIを悪用したサイバー攻撃に備え、医師会や病院団体と対策を協議/厚労省厚生労働省は5月22日に、AIを悪用したサイバー攻撃への懸念が高まっているとして、医療機関や病院団体とサイバーセキュリティ対策に関する意見交換会を開いた。背景にあるのは、米アンソロピックが4月に発表した高性能AI“Claude Mythos”(クロード・ミュトス)で、ソフトウエアの脆弱性を自律的に検出し、攻撃プログラムの生成にもつながり得るとされる。国家サイバー統括室は18日、AIの急速な進展により攻撃の規模が拡大する恐れがあるとして、医療や金融など重要インフラ15分野に注意を呼びかけていた。意見交換には上野 賢一郎厚労相、厚労省や国家サイバー統括室の担当者、全国自治体病院協議会、全日本病院協会、日本病院会、日本医療法人協会などの関係者が出席した。上野厚労相は、医療現場では日々の診療や運営に追われ、サイバー対策が後回しになりがちだと指摘し、「現場任せではなく経営層の主体的な関与が不可欠」と強調。「サイバー攻撃の脅威はさらに増大する。必要な対応を速やかに進める」と述べた。医療機関ではこれまでも電子カルテが使えなくなり、診療を一時中断する被害が発生している。出席した医療機関側からは、「対策に充てる財源が乏しい」や「専門人材を確保できないこと」への不安が示され、国による財政的・技術的支援を求める声が上がった。厚労省は、医療情報システムの安全管理ガイドラインに基づく基本対策の徹底、攻撃を受けた場合の事業継続計画作り、補助金や経営層向け研修の活用を呼びかけた。政府は重要インフラ15分野ごとに安全基準を整備する方針で、厚労省も医療分野の実情に応じた対策を具体化する。今後、関係機関に事務連絡を出し、医療機関の機能停止が国民生活に重大な影響を及ぼさないよう、医療現場と連携して実効性ある体制作りを進める。診療継続を支える経営課題として、各病院の備えが問われる。 参考 1) ミュトス対応 医療機関と意見交換、厚労省 セキュリティー対策具体化へ(CB news) 2) 医療機関にサイバー攻撃対策を要請 厚労省、AI「ミュトス」念頭(日経新聞) 3) 新型AI「ミュトス」 厚生労働省と医療機関が意見交換 上野大臣「必要な対応を速やかに進める」 サイバー攻撃で診療一時中断も 「財源ない」「専門人材いない」の声も(TBS NEWS) 4) 「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策に関する厚生労働省との意見交換」を開催します(厚労省) 4.マイナカード「任意」から義務化検討へ、全員保有を提言/自民党自由民主党は5月19日、マイナンバーカードの取得義務化の検討を政府に求める政策提言「デジタル・ニッポン2026」を公表した。国民全員がカードを保有することを前提に、行政サービスの拡充や民間利用を進める狙いで、早ければ来年の通常国会で関連法改正を目指す。現在、マイナンバーカードの取得は任意で、4月末時点の保有率は82.7%。提言では、取得を法的に義務付ける必要性や実効性を検討すべきとするが、罰則は設けない方針。背景には、中低所得の現役世代支援として検討される「給付付き税額控除」や迅速な現金給付への活用がある。提言では、給付に必要な公金受取口座の登録義務化の検討も盛り込み、マイナカードを「デジタル社会のパスポート」と位置付けている。党デジタル社会推進本部長の平井 卓也衆院議員は、交付開始当初に比べ肯定的に受け止める人が増えたとして、「持っていることを前提に政策を組み上げる」と説明した。その一方で、個人情報の漏えいや目的外利用、プライバシー侵害への懸念はいまだに根強い。マイナ保険証の原則化を巡っては、医療機関の受付負担や高齢者の利用困難、資格確認書の併存などから「事実上の義務化」との批判もある。会計検査院の調査では、2025年7月末までに本人希望で廃止されたカードが累計93万枚に上り、トラブルへの不安や利便性を実感できないことが背景にあるとの見方も出ている。コンビニ交付や本人確認で「期待通りの使い勝手になっていない」との指摘もあり、普及策の妥当性が問われている。松本 尚デジタル相は22日の会見で、義務化について「法的に縛り付けることは議論が必要だ」と述べ、必要性への明言を避けた。カードを持ちたくない人が納得できる根拠や、どの政策と一体で進めるのかを検討する必要があるとの認識を示した。利便性向上と行政効率化を掲げる政府・与党に対し、制度への信頼回復と不安払拭が課題となる。 参考 1) デジタル・ニッポン2026ー責任あるアジャイル・ガバナンスー(自民党) 2) マイナカード、取得義務化を提言 自民「来年国会で法改正めざす」(朝日新聞) 3) マイナカード義務化「必要性もう少し議論」 松本デジタル相(日経新聞) 4) 任意だったのに…「マイナカード義務化」自民が提言へ 給付付き税額控除の議論が「絶好のラストチャンス」(東京新聞) 5) 「93万枚」が廃止されていたマイナンバーカード このままでは“第2の住基カード”に? 「多くの人が“便利さ”を感じていない」(デイリー新潮) 5.禁忌の抗菌薬処方でSJS発症か、患者死亡で遺族に補償へ/三重県三重県桑名市の地方独立行政法人 桑名市総合医療センターは5月21日、気管支喘息で入院した60代男性に禁忌薬を誤って処方し、男性が重い薬剤アレルギーとみられる症状を発症後、3月23日に死亡したと発表した。病院側は薬剤投与ミスを認め、遺族に謝罪するとともに補償する方針を示している。男性は2月中旬、喘息発作で同センターに入院し、ステロイド治療に伴う感染症予防のため、担当医が抗菌薬トリメトプリム スルファメトキサゾール(商品名:バクトラミン)を処方した。男性は退院後に服用したが、高熱や全身の発疹、皮膚や口腔内のただれなどを起こし、愛知県内の病院に搬送された。その後、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)を発症したとみられ、より重篤な中毒性表皮壊死症(TEN)の可能性も指摘されている。最終的には腸閉塞を伴う敗血症性ショックなどで死亡した。バクトラミンは、スルファメトキサゾール・トリメトプリムを成分とするST合剤で、男性は過去に同じ成分を含む別の商品名の抗菌薬でアレルギー症状を起こしていた。電子カルテには投与禁忌の記載があったが、担当医は商品名の違いから同一成分だと認識せず、成分確認を十分に行わなかったという。一部報道では、医師がアレルギー歴を別系統の薬剤と誤認していたともされる。病院は、誤投薬とアレルギー反応との関連性は極めて高いと説明する一方で、死亡との直接の因果関係については病理解剖の結果や外部専門家を含む調査で検証する方針。県医師会には医療事故として報告しており、院内事故調査委員会や第三者委員会で原因究明と再発防止策を検討する。山田 典一病院長は記者会見で「痛切に責任を感じている」と謝罪し、「全職員がリスクを感じたら拾い上げる体制に変えなければならない」と述べた。 参考 1) 桑名市総合医療センターで男性に禁忌薬処方、難病発症 別の病院に転院後死亡(中日新聞) 2) 禁忌薬誤投与後に患者男性が死亡 三重の医療センター 因果関係調査(産経新聞) 3) 抗菌薬誤投与で難病発症、患者死亡 医師が成分確認せず-三重・桑名市総合医療センター(時事通信) 4) 桑名市総合医療センターの患者死亡 薬剤の投与ミス認める(NHK) 6.東大医学系研究科の贈収賄事件、元特任准教授に有罪判決/東京地裁東京大学大学院医学系研究科の共同研究を巡る贈収賄事件で、収賄罪に問われた元特任准教授の吉崎 歩被告(46)に対し、東京地裁は5月22日、懲役1年、執行猶予2年、追徴金約196万円の有罪判決を言い渡した。求刑は懲役1年2ヵ月、追徴金約196万円で、吉崎被告は公判で起訴内容を認めていた。判決によると、吉崎被告は2023年3月から2024年8月にかけて、東京大学大学院医学系研究科皮膚科学分野の元教授、佐藤 伸一被告(62)とともに、一般社団法人日本化粧品協会の代表理事だった引地 功一被告(52)から、都内の高級クラブや性風俗店などで30回にわたり、計約196万円相当の接待を受けた。接待は、皮膚疾患に対する大麻草由来成分カンナビジオール(CBD)の有効性などを調べる「臨床カンナビノイド学社会連携講座」の設置や共同研究の推進で便宜を図る見返りだったとされた。吉崎被告は同講座の講座長として、佐藤被告と日本化粧品協会との間に入り、研究実務や接待の段取りを調整していた。弁護側は、吉崎被告が佐藤被告を師と仰ぎ、強い影響下にあったため異を唱えることは難しかったと主張。判決も、上司である佐藤被告の意向に反することが困難だった点は認めた。その一方で、吉崎被告が接待の調整役を担い、単独で接待を受けたこともあり、自ら積極的に接待を受けたい意向があったとして、「刑事責任は軽視できない」と指摘した。遊興接待の内容についても、職務の廉潔性を害したことは明らかだとした。判決はさらに、東大の社会連携講座についても言及。大学の看板を営利目的で利用しようとする企業に悪用されかねない側面があり、公益的な研究として適切に運用されるかどうかが、講座を統括する担当教授のモラルに大きく依存していたと指摘した。産学連携を進める上で、研究費の受け入れや企業との距離感を個人の倫理観に委ねる危うさが改めて浮き彫りになった形。しかしながら、吉崎被告が事件後に東大を退職し、犯行を認めて反省していること、再び公職に就く可能性が低く再犯の可能性も低いことなどから、執行猶予付き判決が相当と判断された。事件では、佐藤被告も収賄罪で起訴されているほか、贈賄罪に問われた引地被告の判決は5月26日に予定されている。東大では別件でも医療機器選定を巡る収賄事件が起きており、大学病院における企業連携と利益相反管理のあり方が厳しく問われている。 参考 1) 東大病院汚職、元特任准教授に有罪判決 風俗店やクラブで接待受ける(朝日新聞) 2) 東大院汚職で元特任准教授に有罪判決 東京地裁(日経新聞) 3) 懲役1年執行猶予2年、性接待などを受け 東大病院の収賄事件、「教授の強い影響下にあった」元特任准教授に有罪判決(日経メディカル)

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第319回 光合成でドライアイ治療

植物の葉のように光合成する葉緑体成分をナノ粒子化してマウスの目に移植し、ドライアイ(乾性角結膜炎)を治療しうる光合成成分を生み出すことができました1-4)。ヒトは目の光感知のおかげで物を見ることができます。一方、植物、藻類、バクテリアのいくらかは光を頼りとする光合成により、生存に不可欠な代謝産物を生み出します。動物の嚢舌目ウミウシは捕食した藻類から光合成装置の葉緑体をくすね取るという類いまれな才能を有します。くすねた葉緑体は飢餓に備えて腸細胞に保管され、栄養を得ることに使われます。2年ほど前の研究報告で、東京大学の細胞生物学者の松永 幸大氏らは似たことが哺乳類細胞でも可能なことを示しました5,6)。ハムスター起源の培養細胞に移植した葉緑体が2日は電子伝達活性を維持することがその研究で確認されています3)。光合成を治療に役立てることも試みられています。たとえば2022年の報告では、関節炎マウスの膝関節への光合成機構の一部の注入により関節が破壊されないようにすることが示されています7)。ただし、膝に日光はあまり当たりません。ゆえに光合成機構の恩恵を得るためにマウスは毎日30分間赤い光を浴びる必要がありました3)。一方、眼は光と共にあります。ゆえに目は光合成の場としてうってつけであり、目に入る自然光での光合成の産物を利用した新たな治療手段を生み出せそうです。シンガポール国立大学のKuoran Xing氏らはそう思い立ち、まずは地元のスーパー(FairPrice)に足を運んで緑黄野菜一揃いを買って葉緑体を単離しました3)。光エネルギーの吸収に携わる葉緑素が最も豊富なのはホウレンソウでした。そこでホウレンソウの葉緑体から葉緑素を含む層状構造のチラコイドグラナを丸ごと取り出して界面活性剤のPluronic F127で包みました。そうしてできたナノ粒子はLEAF(light-reaction enriched thylakoid NADPH-foundry)と呼ばれ、光合成の最終産物の糖分子ではなく、炎症を鎮める働きが知られる抗酸化物質のNADPHとATPを光を頼りに生み出します。哺乳類細胞はLEAFをやすやすと取り込め、細胞内でLEAFは光に反応してATPとNADPHを何時間か作ることができました。植物では次の段階の反応でそれらの分子が炭水化物へと変わっていきます。ドライアイは目を傷つける酸化や炎症を誘発します。ゆえにLEAFが生み出すNADPHでドライアイを治療できるかもしれません。Xing氏らはドライアイを引き起こす物質をマウスに投与し、続いてLEAFを点眼しました。すると涙の生成が増え、角膜の厚みが回復しました。ラットでの検討結果も同様で、LEAFは角膜上皮の傷を癒し、涙の生成を回復させました。今や研究チームはドライアイの患者にLEAFを試す臨床試験の実施を計画しています4)。効果や安全性の長期的な検討が必要な一方で、LEAFの不明点も解明しなければなりません。たとえば、ドライアイ治療効果を担うのはNADPHではなくLEAFが生み出すもう1つの分子のATPなのかもしれません。ドライアイでは角膜の細胞のエネルギー生成を助ける神経細胞が死ぬことが知られます。LEAFが生み出すATPがその穴埋めをすることが実は効果につながっている可能性があります3)。ともあれ、ひとたび点眼したら後はいつものように光と共にすごすだけで事足りるLEAFはなかなかよくできた(really creative)治療手段と言えそうです3)。LEAFは淡い緑色をしていますが、微量で済むのでその点眼で目が緑がかってしまうという心配はいらないようです4)。参考1)Xing K, et al. Cell. 2026 May 15. [Epub ahead of print]2)Eyes that photosynthesise: NUS scientists plant a cure for dry eye disease / National University of Singapore (NUS)3)Making eyes ‘photosynthetic’ could treat common vision problem / Science4)Mouse eyes photosynthesize after plant-to-animal transplant / Nature5)Aoki R, et al. Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 2024;100:524-536.6)Solar-powered animal cells / University of Tokyo7)Chen P, et al. Nature. 2022;612:546-554.

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変わるドライアイ治療:“自覚症状”に着目した新しい治療選択肢の登場/千寿

 2026年3月、千寿製薬は世界初のTRPV1拮抗作用を持つドライアイ治療薬、モツギバトレプ(商品名:アバレプト懸濁性点眼液0.3%)に関するプレスセミナーを開催した。セミナーではモツギバトレプの開発経緯の紹介の後、堀 裕一氏(東邦大学医療センター大森病院 眼科 教授)が「ドライアイの新たな側面を捉える」というテーマで講演をした。ドライアイの病態とTRPV1 日本国内のドライアイ患者は2,200万人を超えるとされており、現代のライフスタイルや高齢化によって患者数は増加傾向にある。ドライアイは涙液層の安定性の低下と瞬目時の摩擦亢進が相互に悪循環を形成することで炎症が起こり、眼表面障害と眼の乾きや不快感などの症状を引き起こす。これらの症状は患者さんのQOL低下につながることが示唆されており、実際に患者さんの治療に対するニーズは自覚症状に対する早期の改善効果である。 近年、ドライアイの眼痛や不快感など自覚症状に眼表面の感覚神経に発現するいくつかの受容体が関連していることがわかってきており、そのうちの1つであるTRPV1は三叉神経節細胞などを通じて自覚症状の発現と炎症に関与している。モツギバトレプはTRPV1を阻害することでドライアイの不快感などの自覚症状を改善することが期待されている。国内第III相試験の成績 国内第III相比較試験はドライアイの自覚症状とQOLを総合的に評価するDEQSスコアの変化量を主要評価項目として設計された。 主要評価項目ではモツギバトレプ群のプラセボ群に対する優越性が検証された。 副作用の発現状況はモツギバトレプ群で268例中15例、5.6%に発現しており主な副作用は冷感6例(2.2%)、眼部冷感3例(1.1%)、霧視3例(1.1%)であった。 また、モツギバトレプを単剤またはドライアイ治療薬などと併用投与した際の安全性と有効性を評価した国内第III相長期投与試験では、投与1週後という早期から1年にわたって効果を発揮することが示されている。一方、副作用についてはTRPV1は温度感覚に関連する受容体であるため、作用機序に関連すると考えられる温度感覚異常に関しては、「患者さんに対して適切な情報提供を続けていく必要がある」と堀氏は説明した。今後のドライアイ診療はどう変わるか ドライアイ診療は今後、神経を対象とした領域に突入していく。ドライアイの患者さんは自覚症状に悩みながらも病院の受診まで至らないケースも多い。新しい治療選択肢が増えたことを医療従事者から患者さんに伝え、受診を促していくことも重要だと考えられる。また、新規作用機序であるモツギバトレプの登場により、ドライアイの病態生理のさらなる解明につながることが期待されるとして、堀氏は講演を締めくくった。千寿製薬の目指す創薬 千寿製薬は主に眼疾患の治療薬を開発・製造・供給しており、モツギバトレプは“やさしい創薬”というコンセプトで開発されている。モツギバトレプは可能な限り添加物を使用しない開発がなされ、角膜上皮に影響があるとされているベンザルコニウム塩化物を含まない製剤となっている。 堀氏の講演に先立って挨拶をした吉田 周平氏(千寿製薬株式会社 代表取締役社長)は眼科を中心とした医療現場に柔軟な発想と探求心をもって新しい薬の開発に挑み続け、「“見える”の向こうにあるものをカタチづくっていく」と自社の目指す姿を語った。

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枕の高さが緑内障患者の夜間眼圧に影響か

 就寝時の簡単な工夫が、緑内障の進行を遅らせるのに役立つかもしれない。新たな研究で、枕を使わずに寝ることで眼圧を下げられる可能性のあることが示された。緑内障では、眼圧の上昇によって視神経が損傷し、不可逆的な視力低下につながる恐れがある。研究では、枕を二つ重ねて使った患者の3分の2で、眼圧の上昇が確認されたという。浙江大学(中国)医学院附属第二病院眼科センターのKaijun Wang氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Ophthalmology」に1月27日掲載された。研究グループは、「緑内障患者にとって、枕を使わずに寝ることは、薬物治療やレーザー治療に移行する前に試せる手軽な対策になり得る」と述べている。 米国眼科学会によれば、緑内障は60歳以上での失明の主要な原因の一つである。Wang氏は、「夜間の眼圧管理は通常、点眼薬の種類や使用頻度を増やすか、レーザー治療を追加することに限られている。こうした状況の中、非薬物的な補助的アプローチによって、夜間の眼圧管理に実用的な解決策を提供することは可能だろうかという興味深い疑問が生じた」と話す。 枕を重ねると首の位置が変わり、頸静脈が圧迫され、その結果、眼内の液体(房水)の自然な排出が妨げられる可能性があると研究グループは指摘する。今回の研究では、144人の緑内障患者を対象に、一晩、枕を二つ使って頭を20〜35度持ち上げる高さにして寝た場合(高枕位)と、枕を使わずに寝た場合(仰臥位)で過ごしてもらい、それぞれの姿勢で眼圧を測定した。仰臥位と高枕位の両方で、4セットずつの完全な測定が行われた。 その結果、高枕位では仰臥位と比較して、眼圧が有意に高くなり(17.42±4.34mmHg対16.62±3.81mmHg、P<0.001)、24時間眼圧変動幅が有意に増加し(2.60mmHg対2.26mmHg、P<0.001)、眼灌流圧(眼球組織に血液を供給する力を示す指標で、眼圧と動脈圧の差で表される)が有意に低下する(54.57±8.19mmHg対58.71±8.02mmHg、P<0.001)ことが示された。 こうした結果を受けて研究グループは、「仰臥位と比較すると、高枕位の姿勢は眼圧の上昇と眼灌流圧の低下を引き起こし、長期的な眼圧管理に悪影響を及ぼす可能性がある。緑内障患者は、寝る際に頸静脈を圧迫して眼圧を上昇させるような姿勢にならないようにすることで、利益を得られる可能性がある。このような行動上の工夫は、長期的な眼圧管理を最適化するための、シンプルで効果的な補助戦略となり得る」と結論付けている。

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新規作用機序のドライアイ治療薬「アバレプト懸濁性点眼液0.3%」【最新!DI情報】第56回

新規作用機序のドライアイ治療薬「アバレプト懸濁性点眼液0.3%」今回は、ドライアイ治療薬「モツギバトレプ(商品名:アバレプト懸濁性点眼液0.3%、製造販売元:千寿製薬)」を紹介します。本剤は世界初のTRPV1(Transient receptor potential cation channel subfamily V member 1)拮抗作用を持つドライアイ治療薬であり、ドライアイに伴う自覚症状および他覚所見の改善が期待されています。<効能・効果>ドライアイの適応で、2025年12月22日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、1回1滴、1日4回点眼します。<安全性>副作用として、眼部冷感、霧視、冷感(いずれも1~5%未満)、アレルギー性結膜炎、角膜びらん、眼そう痒症、眼の異常感、眼の異物感、眼部不快感、流涙増加、口の錯感覚、アレルギー性鼻炎(いずれも0.1~1%未満)、眼部熱感、温度覚鈍麻、体温上昇、熱感、異常感覚、ほてり(いずれも頻度不明)があります。本剤の点眼後、一時的に目がかすむことがあるので、機械類の操作や自動車などの運転に注意が必要です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、ドライアイの症状を改善するための点眼薬です。目の乾きや不快感などの症状を和らげる効果があります。2.この薬は、角膜上皮細胞に存在するTRPV1という受容体を阻害することで症状を改善します。3.症状が良くなったと感じても、自己判断で使用を中止したり、点眼回数を減らしたりしないでください。4.一時的に視界がかすむことがあるので、機械類の操作や自動車などの運転に注意してください。5.使用後に、体温の上昇や熱痛知覚閾値の上昇(熱いものを熱いと感じにくくなる)がみられることがあります。とくに小児などを含む低体重の人は、このような変化が起こりやすい可能性があるため、注意が必要です。<ここがポイント!>ドライアイは、さまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面に障害を引き起こすことがあります。症状は、眼の乾燥感だけでなく、眼の疲労、かすみ、異物感、流涙、眼脂、充血など多岐にわたります。近年では、高齢化に加え、Visual Display Terminals(VDT)作業、エアコンの使用、コンタクトレンズ装用などの生活環境の変化により、ドライアイの患者数は増えつつあります。ドライアイの薬物治療には、主に涙液量の低下や角結膜上皮障害を改善する点眼薬が用いられています。しかし、涙液層が正常化して角膜上皮障害が消失した後でも、眼の不快感などの自覚症状が残存する場合があり、自覚症状と他覚所見が一致しないことがあります。この乖離は、角膜知覚の異常が関与すると考えられており、知覚異常の病態解析や新規治療薬の開発が求められていました。本剤は、ドライアイ治療において新規の作用機序を有する、世界初のTRPV1拮抗点眼薬です。TRPV1は主に一次知覚神経に発現し、カプサイシン、酸、熱などの侵害刺激を受容するイオンチャネル型受容体です。ドライアイにより涙液層の安定性が低下した状態では、外部刺激が角結膜上皮細胞のTRPV1を直接刺激すると考えられているため、本剤により各種症状の抑制が期待されます。ドライアイ患者を対象とした国内第III相試験(3-02試験)において、主要評価項目である投与4週後におけるドライアイQOL質問票(DEQS)合計スコアのベースラインからの変化量は、本剤群で-16.76±0.836(95%信頼区間[CI]:-18.40~-15.12)、プラセボ群で-14.36±0.838(95%CI:-16.01~-12.72)でした。投与群間差の最小二乗平均値は-2.40(95%CI:-4.72~-0.07)であり、統計学的な有意差が認められました。これにより、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました(p=0.0433、MMRM)。

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緑内障点眼薬の治療継続率、製品間で大きな差

 自覚症状に乏しく進行が緩やかな緑内障では、点眼治療を長期にわたって継続することが困難であることが大きな課題とされてきた。今回、日本の大規模医療保険レセプトデータを用いた解析により、同じ薬剤クラスであっても、緑内障点眼薬の治療継続率は製品によって大きく異なることが示された。研究は東京大学大学院薬学系研究科育薬学教室の壁矢健司氏、佐藤宏樹氏らによるもので、詳細は11月28日付で「BMC Ophthalmology」に掲載された。 緑内障は日本における不可逆的な失明の主因であり、QOL低下など医療費に反映されない社会的負担も大きい。治療の基本は点眼薬による眼圧下降で、作用機序の異なる多様な薬剤が用いられている。一方、緑内障は自覚症状に乏しく進行が緩徐なため、点眼治療の継続率は低い。近年、製剤や容器の改良などにより、治療継続性は同一薬剤クラス内でも製品によって異なる可能性が示唆されてきた。しかし、個々の製品レベルで継続率を体系的に評価した研究はなく、臨床での製品選択を支える情報は乏しい。このような背景を踏まえ、本研究は、日本の医療保険レセプトデータを用い、緑内障点眼薬の実臨床における治療継続性を製品別・製剤特性別・患者背景別に明らかにすることを目的とした。 本研究では、株式会社JMDCが提供する、日本の0~74歳を対象とした医療保険レセプトデータ(2005年1月~2024年6月)を後ろ向きに解析した。外来で緑内障点眼薬を処方された患者のうち、原則として単一製品を継続使用した症例を抽出した。直前の処方の推定されるカバー終了日から観察終了日までに90日以上空いた場合を治療中断と定義し、最長5年間の年次治療継続率を算出した。継続率は製品、薬剤クラス、投与回数、年齢、性別ごとに評価し、多変量ロジスティック回帰分析で関連因子を検討した。感度分析や薬剤変更・併用を含む追加解析も行った。 データ精査後、7万3,027人の調剤記録が抽出され、解析に用いられた。対象患者の大半は男性で、年齢層では50代が最も多かった。全患者における治療継続率は、1年時点で57.5%(2万6,170/4万5,544人)で、その後徐々に低下し、5年時点では23.8%(2,060/8,667人)となっていた。 年齢、性別、薬剤クラス、1日の点眼回数を説明変数とした多変量ロジスティック回帰分析では、女性(回帰係数〔B〕=0.210)、60代(B=0.247)、および点眼回数が少ないこと(点眼回数が1回増えるごとにB=−0.660)が、いずれも治療継続率の高さと有意に関連していた(すべてP<0.001)。 最も多く処方された薬剤クラスはプロスタノイド受容体作動薬で、次いでβ遮断薬であり、両クラスで全処方の約80%を占めていた。薬剤クラス別の解析では、プロスタノイド受容体作動薬およびβ遮断薬との配合剤において、他の薬剤クラスと比べて相対的に高い治療継続率が示された。さらに、同一の薬剤クラス内であっても、製品ごとに1年および5年時点の継続率には大きなばらつきが認められた。 一方、薬剤変更や複数点眼を許容したサブ解析では、全体的な継続率が主要解析よりも14~19%ポイント高かった。炭酸脱水酵素阻害薬を含む治療や、1日2~3回投与の治療レジメンにおいて、単剤・固定条件下の解析と比べて継続率が特に高かった。 著者らは、「今回、国内の緑内障点眼薬の製品別治療継続率を初めて網羅的に解析した。解析の結果、製品ごとの継続率は同じ薬剤クラスでも40%ポイント以上の差があることがわかった。これは点眼容器や製剤の違いが使いやすさに影響し、治療を続けるかどうかの決定に関与していることを示唆している。これらの知見は、臨床現場で製品を選択する際に、使いやすさを慎重に考慮することの重要性を強調するものである」と述べている。 本研究の限界として、解析対象には緑内障患者の多くを占める75歳以上の高齢者は含まれていない為、結果の一般化には注意が必要である点や、本研究における治療継続率はレセプト上の処方継続を指標としたものであり、実際の点眼実施状況(服薬コンプライアンス)を直接評価したものではない点などを挙げている。

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上気道感染に伴う両眼の発赤【日常診療アップグレード】第48回

上気道感染に伴う両眼の発赤問題23歳女性。3日前から喉の違和感と鼻汁を自覚している。2日前から両眼の発赤とかゆみがある。眼痛や視力障害はない。アレルギー性鼻炎の既往はない。服薬している薬もない。職業は保育士である。身体診察ではバイタルサインは正常。両眼の結膜充血と眼脂を認める。シプロフロキサシン点眼薬を処方した。

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炭酸脱水酵素阻害薬は睡眠時無呼吸症候群を改善(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

本邦における閉塞性睡眠時無呼吸症候群の疫学と治療の現状 本邦における閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA:Obstructive Sleep Apnea)の人口当たりの発症頻度は男性で3~7%(40~60代に多発)、女性で2~5%(閉経後に多発)と報告されており、男女合わせて500万例以上、総人口の約4%にOSA患者が存在すると考えられている。本邦における成人OSAに対する有効な治療法としては経鼻/経口の持続陽圧呼吸(CPAP:Continuous Positive Airway Pressure)が中心的位置を占める。CPAP不適あるいは不認容の非肥満(BMI<30kg/m2)患者に対する植込み型舌下神経(XII神経)電気刺激も有効な方法である。その他、比較的軽症のOSA患者に対するマウスピースや特殊な原因に対する耳鼻科的・口腔外科的手術/処置が有効な場合もある。いずれにしろ、OSA患者に施行されている治療はCPAPに代表される機械的治療が中心であり、現在のところ、有効性が確認され、かつ、保険適用を受けた薬物治療は存在しない。 本邦におけるOSA患者に対するCPAPの導入率はCPAP必要患者の15%前後と低く、米国の70%を大きく下回っている。その意味で、本邦におけるOSA患者に対する治療は不十分であり、OSAを“扇の要”として関連する種々の疾患(病的肥満、糖尿病、治療抵抗性高血圧、冠動脈疾患、心房細動、心不全、脳卒中、大動脈解離、認知症など)の管理に少なからず影響を与えている(OSAを頂点とするMetabolic Domino現象)。さらに、OSA患者では明確な機序不明であるがメラノーマ、腎臓がん、膵臓がんなどの悪性腫瘍の発生率が高いことも注意すべき事項の1つである。以上の諸点を鑑みると、今回論評の対象としたRanderath氏らの論文で明らかにされた内服の炭酸脱水酵素(CA:Carbonic Anhydrase)阻害薬のOSA抑制効果は近未来のOSAに対する治療を質的に変化させる可能性がある。抗糖尿病薬GIP/GLP-1受容体作動薬であるチルゼパチド(商品名:マンジャロ)もOSAを改善することが報告されている(Malhotra A, et al. N Engl J Med. 2024;391:1193-1205.)。しかしながら、チルゼパチドは、あくまでも肥満の軽減を介して2次的に無呼吸頻度を低下させるものであり、OSA自体を1次的に改善させるものではない。それ故、チルゼパチドは今回の論評には含めない。 睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)には中枢性のもの(CSA:Central Sleep Apnea)も存在するが、その頻度はOSAに比べ有意に低いこと(SAS全体の10%以下)、発症機序に不明な点が多いことなどから本論評においては詳細な評価を割愛した。炭酸脱水酵素(CA)と睡眠時無呼吸の関係 CAは生体細胞に広く分布し、細胞内代謝の結果として産生されるCO2とH2Oとの反応を触媒しH2CO3を産生する。H2CO3はH+とHCO3ーに自然解離し、HCO3ーはクロライド・シフトを介して細胞外に排出、H+は細胞内の蛋白に吸着され細胞内pHは一定に維持される(生理的pH下ではγ-グロブリン以外の蛋白は陰イオンとして存在しH+と結合)。生体には臓器特異的に15~16種類に及ぶCAのアイソザイムが存在することが報告されており、各臓器において細胞内pHの恒常性維持に寄与している。このような細胞内環境下でCAの活性を阻害すると、細胞内でのCO2処理が遅延し細胞内CO2濃度が上昇、細胞内アシドーシスが招来される。その結果として、脳幹部(延髄、橋)に局在する呼吸中枢神経群(延髄表層に存在するCO2感受性の中枢化学受容体を含む)のCO2感受性が亢進し、換気応答が活性化される。さらに、細胞内アシドーシスは咽頭/喉頭に存在する上気道筋群の筋緊張を維持する。以上の機序を介して、CAの阻害は睡眠時の閉塞性無呼吸の発生を1次的に抑制するとされているが、これ以外の未知の機序が関係する可能性も指摘されている。CA阻害薬の分類と臨床 臨床的に使用可能なCA阻害薬には点眼薬と内服薬の2種類が存在する。点眼薬(商品名:ドルゾラミド、ブリンゾラミドなど)は主として眼圧低下と緑内障治療薬として使用される。内服薬のうち1954年に緑内障治療薬としてFDAに承認された歴史的薬剤であるアセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)は静注薬としても使用可能であり、緑内障以外にてんかん、メニエール病、急性高山病、尿路結石症の発作予防など幅広い保険適用を獲得している。最近認可された内服CA阻害薬として本論評の対象としたスルチアム(商品名:オスポロット)が存在するが、スルチアムは、本邦においては精神運動発作(てんかん)のみに使用が限定されている。CA阻害薬のOSAに対する治療効果-大規模研究の結果 SAS(OSA、CSA)発症にかかわる重要な因子としてCAが関与する化学反応が長年注目されてきたが確証が得られるには至らなかった。しかしながら、2020年、Christopher氏らはアセタゾラミド内服薬のSAS抑制効果に関して28研究(OSA:13研究、CSA:15研究)を基にメタ解析を施行した(Schmickl CN, et al. Chest. 2020;158:2632-2645.)。彼らの解析結果によると、アセタゾラミド内服(36~1,000mg/日)によってSAS患者の無呼吸/低呼吸指数(AHI:Apnea-Hypopnea Index)が37.7%(絶対値として13.8/時)低下すること、さらには、AHIの低下はOSA患者とCSA患者でほぼ同等であることが示された。アセタゾラミドによる無呼吸抑制効果は投与量依存性を示し、薬剤量が高いほど顕著であった。Christopher氏らの解析結果は、アセタゾラミドの内服がOSAのみならずCSAの治療にも有効である可能性を示している。 本論評の対象としたRanderath氏らの論文は、OSAに対するCA阻害薬スルチアムの効果を解析した第II相二重盲検無作為化プラセボ対照用量設定試験(FLOW試験)の結果を報告した(欧州5ヵ国、28病院における治験)。対象は未治療、中等症以上のOSA患者298例で、プラセボ群(75例)、スルチアム100mg群(74例)、同200mg群(74例)、同300mg群(75例)の4群に振り分けられた。観察期間は、薬物投与量が一定になってから12週間(薬剤投与開始から15週間)と設定された。スルチアムの1日1回就寝前投与は、AHI、夜間低酸素血症、日中の傾眠傾向(Epworth Sleepiness Scaleによる評価)などOSAに付随する重要な症状を用量依存的に改善した。スルチアム投与によって重篤な有害事象は認められなかったが、知覚異常を中心とする中等症以下の多彩な有害事象が発生した。“治療効果と副反応”の比はスルチアム200mgの連日投与で最も高く、この用量がOSA治療に最も適していると結論された。 以上のように、OSA治療におけるCA阻害薬の有効性が実証されつつあり、本邦においてもCPAPにかわる新たな治療法としてCA阻害薬の内服治療の有効性を検証する臨床治験が早急に実施されることを期待するものである。この問題に関連して、2025年4月、本邦の塩野義製薬は米国Apnimed社と合弁会社を設立し(Shionogi-Apnimed Sleep Science)、睡眠時無呼吸症候群に対するスルチアムを含めた新たな薬物治療戦略を世界レベルで開始しており、今後の動向が注目される。

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異物除去(13):眼洗浄【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q157

異物除去(13):眼洗浄Q157町の診療所で新患外来を担当中。とくに既往のない60歳女性が「市販の漂白剤を桶に入れようとした際に、両眼に跳ねてしまった。痛みがあるため診てほしい」と診療所を受診した。とくに流水での洗浄はしておらず、明らかな視野障害、視力障害はない。眼球結膜充血はあるが瞳孔の変形はない。表面麻酔の点眼薬を使用し、眼洗浄をしようと思うが、特別な器具がない。どうしようか。

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新たな作用機序の緑内障・高眼圧症点眼薬「セタネオ点眼液0.002%」【最新!DI情報】第52回

新たな作用機序の緑内障・高眼圧症点眼薬「セタネオ点眼液0.002%」今回は、緑内障・高眼圧症治療薬「セペタプロスト(商品名:セタネオ点眼液0.002%、製造販売元:参天製薬)」を紹介します。本剤は、FPおよびEP3受容体に結合・刺激することで眼圧を下降させる新たな作用機序の点眼薬であり、新たな緑内障・高眼圧症の治療選択肢として期待されています。<効能・効果>緑内障、高眼圧症の適応で、2025年8月25日に製造販売承認を取得し、2025年10月23日に発売されました。<用法・用量>1回1滴、1日1回点眼します。<安全性>重大な副作用として、虹彩色素沈着(0.3%)があります。その他の副作用として、結膜充血(29.6%)、睫毛の異常(睫毛が長く、太く、多くなるなど)(18.2%)、眼瞼部多毛(5%以上)、眼瞼色素沈着、眼瞼炎、点状角膜炎などの角膜障害、眼乾燥感、眼刺激(いずれも1~5%未満)、眼のそう痒感、結膜浮腫、眼脂(いずれも1%未満)、黄斑浮腫、眼瞼溝深化(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、緑内障や高眼圧症の治療に使用する点眼薬です。眼圧を調節する水分の排出を促進して眼圧を下げます。2.ソフトコンタクトレンズを装着している場合は、必ずレンズを外してから点眼してください。点眼後は5~10分以上間隔を空けてからレンズを再装着してください。3.点眼液が目の周りについたままになると、目の周りが黒ずむ、毛が濃くなる、まつげが長く太くなるなどの副作用が起こることがあります。濡らしたガーゼやティッシュで目の周囲をよくふき取るか、目を閉じて洗顔してください。<ここがポイント!>緑内障は、「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患」と定義されています(緑内障診療ガイドライン)。緑内障は放置すると徐々に視野が狭まり、最終的には失明に至る可能性があり、わが国において中途失明の原因の第1位です。緑内障の視野障害の進行を抑制する唯一確実な治療法は眼圧の下降であり、眼圧下降薬による薬物治療が治療の中心となっています。第一選択薬としては、房水流出を促進するFP受容体作動薬やEP2受容体作動薬、房水産生を抑制するβ遮断薬が用いられます。治療は通常、単薬療法から開始されますが、効果が不十分な場合には多剤併用(配合点眼薬を含む)が行われます。ただし、多剤併用により点眼回数が増加すると、副作用の増加、アドヒアランスやQOLの低下などが懸念されるため、新たな作用機序を有する強力な眼圧下降薬の開発が進められてきました。本剤は、有効成分としてセペタプロストを含有する水性点眼薬です。セペタプロストは、プロドラッグであり、点眼後は主に角膜中で速やかに加水分解され、FPおよびEP3受容体に結合・刺激することで眼圧を下降させます。その眼圧降下作用は、ぶどう膜強膜流出路および線維柱帯流出路を介した房水流出促進によるものです。両眼が原発開放隅角緑内障または高眼圧症の患者を対象とした多施設共同無作為化評価者遮蔽並行群間比較試験(第III相検証試験)において、主要評価項目である点眼後4週におけるベースラインからの平均日中眼圧変化量(最小二乗平均値[LS Mean])は、本剤群で-5.77mmHg、ラタノプロスト点眼液群で-6.10mmHgでした。MMRM解析における投与群間差(本剤群-ラタノプロスト点眼液群)は0.32mmHg(95%信頼区間:-0.120~0.769mmHg)であり、信頼区間の上限値は非劣性マージンとして事前に規定した1.5mmHgを超えず、本剤群のラタノプロスト点眼液群に対する非劣性が検証されました。なお、信頼区間の上限値は0mmHg以上であったことから、本剤群のラタノプロスト点眼液群に対する優越性は検証されませんでした。

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緑内障リスクがある患者の特定でAIが人間を上回る

 人工知能(AI)は、医師が緑内障のスクリーニングをより広く実施できるようにする手助けとなるかもしれない。新たな研究で、機械学習のアルゴリズムは、訓練された人間の評価者よりも緑内障のリスクがある患者を正確に特定できることが示された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン眼科学研究所教授のAnthony Khawaja氏らによるこの研究結果は、米国眼科学会議(AAO 2025、10月18〜20日、米オーランド)で発表された。 緑内障は、視神経の乳頭が障害を受けて視野に欠損(盲点の拡大)が生じ、最終的には失明に至る疾患で、多くの場合、眼圧の上昇が原因となる。緑内障は通常、眼圧を下げる点眼薬で治療されるが、手術が必要になることもある。 Khawaja氏は、「緑内障は依然として、世界的に見て回復させることのできない視力喪失の主要な原因の一つである。現状では、緑内障の検査は高額過ぎる。AIソリューションに遺伝的リスクに基づくターゲット設定などの他のアプローチを組み合わせることが、その解決策になると期待している」とニュースリリースの中で述べている。 Khawaja氏らは、人口ベースの大規模コホート研究「EPIC-Norfolk Eye Study」で収集された6,304枚の眼底写真を用いて、機械学習アルゴリズムと人間の評価者との間で、緑内障の重要な指標である垂直Cup/Disc比の評価に対する正確さを比較した。垂直Cup/Disc比とは、視神経乳頭(Disc)に対する視神経乳頭陥凹(Cup)の大きさの割合のことで、値が0.7以上だと緑内障が疑われる。 その結果、機械学習アルゴリズムは緑内障患者を88~90%の確率で正しく識別したのに対し、人間の判定者の場合は79~81%にとどまっていた。ただし、このアルゴリズムは、緑内障確定患者と緑内障の可能性がある患者を区別することはできなかった。 Khawaja氏らは、「研究対象者の中で緑内障が疑われたのはわずか11%であり、これは通常の検査で発見される割合と一致することから、この結果は心強い」と述べている。さらに同氏らは、「眼圧など緑内障リスクの他の指標も考慮に入れることで、精度がさらに向上する可能性がある」と述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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将来的には点眼薬で老眼を改善できるかも?

 1日に2~3回使用する点眼薬が、将来的には老眼鏡に取って代わる老眼対策の手段となる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。点眼薬を使用した人のほとんどが、視力検査で使用されるジャガーチャート(以下、視力検査表)を2、3行以上余分に読めるようになっただけでなく、このような視力の改善効果が2年間持続したことが確認されたという。老眼先端研究センター(アルゼンチン)センター長であるGiovanna Benozzi氏らによるこの研究結果は、欧州白内障屈折矯正手術学会(ESCRS 2025、9月12~16日、デンマーク・コペンハーゲン)で発表された。 この点眼薬には、瞳孔を収縮させ、近見の焦点を調節する筋肉を収縮させるピロカルピンと、ピロカルピン使用に伴う炎症や不快感を軽減するNSAID(非ステロイド性抗炎症薬)のジクロフェナクという2種類の有効成分が含まれている。研究グループは、766人(平均年齢55歳、男性393人、女性373人)を対象に、異なるピロカルビン濃度(1%、2%、3%)の点眼薬を投与する3つのグループに分けて、その有効性を調べた。対象者は、最初に点眼薬を投与されてから1時間後に老眼鏡なしで視力検査表をどの程度読めるかをテストし、その後2年間にわたって追跡調査を受けた。 その結果、ピロカルピン1%群(148人)の99%が最適な近見視力に達し、視力検査表で読むことができる行数が2行以上増えたことが示された。また、ピロカルピン2%群では69%、ピロカルピン3%群では84%が3行以上多く読むことができた。点眼薬によるこのような視力の改善効果は、最長で2年間、中央値で434日、持続した。副作用は概ね軽度であり、患者の32%が一時的な視界の暗さやぼやけを経験し、3.7%が点眼時の刺激感、3.8%が頭痛を報告したが、使用を中止した患者はおらず、眼圧の上昇や網膜剥離などの深刻な目の問題は見られなかった。 Benozzi氏は、「これらの結果は、老眼の重症度に応じて異なる濃度の点眼薬を処方できる可能性があることを示唆している。老眼が軽度の患者は1%の濃度で最もよく反応したが、老眼がより進んだ患者では、視力の大幅な改善を達成するために2%または3%のより高い濃度が必要だった」と述べている。 この研究結果をレビューしたボーフム大学(ドイツ)眼科病院の眼科部長Burkhard Dick氏は、「この研究結果は、老眼手術を受けられない人にとっては特に重要な可能性がある」と話す。ただし同氏は、ピロカルピンとNSAIDを長期使用すると、望ましくない副作用が生じる可能性があると指摘し、「この治療法が広く推奨される前に、安全性と有効性を確認するためのより広範で長期にわたる研究が必要だ」と述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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白内障の両眼同日手術、安全性と有効性が示される

 白内障の両眼同日手術は安全かつ有効で、実用的である可能性が、2件の研究で示された。白内障手術は通常、数週間から数カ月の間隔を開けて片眼ずつ行われる。しかし、両眼を同時に手術しても安全性や有効性に違いはなく、手術後に患者が自宅で自立して過ごす能力を妨げることはないことが示されたという。これらの研究結果は、欧州白内障屈折矯正手術学会(ESCRS 2025、9月12~16日、デンマーク・コペンハーゲン)で発表された。 英ムーアフィールズ眼科病院の眼科医Gabriele Gallo Afflitto氏は、「患者にとって、これらの結果は心強いものだ。特に、多焦点レンズの挿入と組み合わせた場合、同日に両眼の白内障手術を受けることで優れた視力を得られ、眼鏡に頼る必要性も減り、より早い回復が期待できることを、これらの結果は示している」と話している。 白内障は両眼に発生することが多い。眼の水晶体が濁って視界がぼやけ、視力が低下した場合に手術が必要になり、濁った水晶体を人工のレンズ(眼内レンズ)に置き換える。眼内レンズには単焦点と多焦点があり、眼鏡のレンズのように選択することができる。 1件目のAfflitto氏らの研究では、ムーアフィールズ眼科病院で2023年12月から2024年12月の間に両眼の白内障手術を受けた1万192人の患者のデータが分析された。その結果、同日に両眼に多焦点レンズを挿入した患者の85%、単焦点レンズを挿入した患者の約70%で20/20以上の視力が得られたことが明らかになった。一方、片眼ずつ2回に分けて手術を受けた患者では、77%が20/20以上の視力が得られたという。さらに、手術後に、手術前の目標屈折度数と術後の実測値との差が小さかった(±0.5ディオプター)患者の割合は、同日に両眼に多焦点レンズを挿入した患者の88%、片眼ずつ2回の手術で単焦点レンズを挿入した患者の67%、同日に両眼に単焦点レンズを挿入した患者の71%であった。 ムーアフィールズ眼科病院のコンサルタント眼科外科医であるVincenzo Maurino氏は、「患者と病院にとって、このアプローチには待機時間の短縮や視力の早期回復、通院回数の削減、さらには全体的なコスト削減といった効率面でのメリットがある。しかも、患者のアウトカム低下を伴わずにこれらのメリットが得られるのだ」とニュースリリースの中で述べている。 Silkeborg Regional Hospital(デンマーク)のMia Vestergaard Bendixen氏らによる2つ目の研究では、デンマークで白内障の同日両眼手術を受けた157人の患者を対象に、退院後の生活における支援の必要性について調査が行われた。その結果、88%が「自宅内を自分で移動できた」と回答していたほか、79%が「食事の準備ができた」、51%が「携帯電話の使用に支援は必要なかった」と回答していた。全体として、62%が「手術後24時間以内に介助者の必要性は全くなかった」と回答した。一方で、51%が「点眼薬の使用にはまだ助けが必要だった」と回答していた。 Bendixen氏は、「患者の多くは手術後すぐに自立した生活ができるようになると期待して良いだろう。このことは、支援の必要性についての不安の軽減につながるかもしれない。ただし、術後1日目は介助者からのサポートが有益な場合もある」と話している。また、同氏は「臨床医にとって、この研究結果は両眼同日手術の実施を支持するとともに、患者教育や必要に応じた一時的なサポートの計画の重要性を強調するものでもある」としている。 ESCRSのJoaquin Fernandez氏は、2件の研究について、「一度に両眼の白内障手術を安全に行えること、術後も自宅で良好な回復が得られること、そして何よりも、2回に分けて手術を行った場合と同等かそれ以上の視力予後が得られることが示された。このことは、患者やその家族、そして外科医にとって、(両眼の手術を同日に行っても)安全性が損なわれないという安心感を与えるはずだ」とする見解を示している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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近視の進行を抑制する点眼薬「リジュセアミニ点眼液0.025%」【最新!DI情報】第39回

近視の進行を抑制する点眼薬「リジュセアミニ点眼液0.025%」今回は、近視進行抑制点眼薬「アトロピン硫酸塩水和物(商品名:リジュセアミニ点眼液0.025%、製造販売元:参天製薬)」を紹介します。本剤は、わが国で初めて近視の進行抑制を効能・効果として製造販売承認を取得した薬剤です。<効能・効果>近視の進行抑制を適応として、2024年12月27日に製造販売承認を取得し、2025年4月21日より発売されています。本剤は薬価基準未収載医薬品であり、健康保険などの公的医療保険の給付対象外です。<用法・用量>通常、1回1滴、1日1回就寝前に点眼します。<安全性>副作用として、羞明(5%以上)、視力障害、霧視、瞳孔障害、頭痛(1~5%未満)、調節障害、眼瞼湿疹、グレア(1%未満)があります。緑内障および狭隅角や前房が浅いなどの眼圧上昇の素因のある患者には禁忌です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、近視の進行を抑制する点眼薬です。この薬は、眼球の前後の長さが伸びるのを抑えることで、近視の進行を抑制することが期待できます。2.現在の近視を進みにくくすることを目的としており、近視を治して裸眼視力を回復させる薬剤ではありません。3.この薬は、自己判断で使用を中止すると近視が急激に進行することがあります。指示どおりに使用し続けてください。4.開封後、最初の1~2滴は点眼せずに捨ててください。5.保存剤を含んでいないため、開封後は1回きり(両眼に点眼する必要がある場合は両眼点眼)の使用としてください。点眼後、薬液が残っていても後で点眼せずに必ず捨ててください。<ここがポイント!>近視は、「平行光線が無調節状態の眼に入射したとき、網膜の前方に像を結ぶか、または眼前有限距離にある点から発散する光線が網膜上に結像する眼の屈折状態」と定義されています。すなわち、近視の目では、遠くの物(平行光線)を見ようとすると、光が網膜の前で焦点を結んでしまうため、物がぼやけて見えます。一方、近くの物(発散する光線)では網膜上で正しく焦点を結ぶので、はっきり見えます。近年、近視の発症は低年齢化が進んでおり、スマートフォンやタブレットの使用、屋外での活動時間や睡眠時間の減少などがリスク要因とされています。学童期における近視の多くは、不可逆的に眼軸長が伸びる軸性近視であり、その進行を抑えるには眼軸長の伸長を抑制することが重要です。近視進行抑制治療薬としては、海外では低濃度アトロピン点眼が使用されていますが、2024年11月時点において、国内では近視の進行抑制を効能・効果に有する治療薬は承認されていませんでした。リジュセアミニ点眼液0.025%は、有効成分としてアトロピン硫酸塩水和物を1mL中に0.25mg含有する、日本で初めての近視進行抑制点眼薬です。アトロピンは、網膜または胸膜に存在するムスカリン受容体を介して直接または間接的に胸膜のリモデリングに関与することで眼軸の伸長を抑制すると考えられています。5~15歳の近視患者を対象とした第II/III相プラセボ対照二重遮蔽比較試験において、本剤群は投与24ヵ月後の調節麻痺下他覚的等価球面度数の変化量をプラセボ群と比較して有意に抑制しました(p<0.0001、MMRM分散分析)。これにより、本剤がプラセボ群に対して優越性を持つことが検証されました。また、投与24ヵ月後の眼軸長の投与前からの変化量についても、プラセボ群に対して有意差が認められました(名目上のp<0.0001、MMRM分散分析)。本剤を用いた治療は、健康保険などの公的医療保険の給付対象外となるため、2025年4月11日に日本眼科医会から通達が出されています1)。近視の治療は、検査から投薬まですべてが自由診療となり、同じ疾患に対して保険診療と自由診療を併用することはできません。また、同日に自由診療と別の保険診療を併せて行った場合でも、1枚の処方箋に自由診療と保険診療の薬剤を記載することはできず、処方箋や領収書はそれぞれ別々に発行する必要があります。点眼によるアレルギーなどの有害事象への治療なども自由診療の扱いとなりますので注意が必要です。なお、使用に際しては、臨床試験に組み入れられた患者の背景(年齢、近視の状態など)を十分に理解した上で、適応患者を選択する必要があります。 参考 1) 日本眼科医会:低濃度アトロピン点眼液による近視進行抑制治療を行う際の注意点

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「かゆみのない」世界の実現には?初期治療とアレルギー結膜炎新薬の役割

参天製薬は、5月に持続性・経眼瞼アレルギー性結膜炎治療剤「アレジオン眼瞼クリーム0.5%」(一般名:エピナスチン塩酸塩、以下アレジオンクリーム)を発売した。これを受け、7月にアレルギー疾患の現状と新薬が果たす役割をテーマとした「『かゆみのない世界』の実現を目指す“これからの”アレルギー結膜炎治療とは」と題したプレスセミナーを行った。日本人の2人に1人がアレルギー性結膜炎、もはや国民病(海老原氏)セミナーでは、順天堂大学の海老原 伸行氏が「アレルギー性結膜炎の病態と疫学、薬物治療について」と題した講演を行った。――アレルギー性疾患の有病率を見ると、アレルギー性結膜疾患が48.7%、アレルギー性鼻炎が36.5%、日本人の2人に1人は何かしらのアレルギーを持っているわけで、もはや国民病といえる。アレルギーの原因を見ると、日本人を対象としたIgE抗体価の調査1)では、39の調査項目のうちスギが58.7%と最多、ヒノキ34.2%など草木類が多いものの、ダニやハウスダストも36~7%と高い。また複数の抗原に反応する「多重抗原陽性者」も多く、7割近くが2つ以上の抗原に反応し、最大で30項目に反応した人もいた。こうした多重抗原陽性者はアレルギー症状が重症かつ罹患期間も長くなる傾向がある。アレルギー症状の中でもっとも多いのが「目のかゆみ」で、100%近い患者が自覚症状がある。かゆみは患者のQOLに大きく影響し、かゆみを筆頭としたアレルギー症状が仕事や勉強に影響を来している、というアンケート結果も多数ある。患者へのアンケートで抗アレルギー点眼薬に求めるものを聞いたところ、計86%の人が「まったく・ほとんどかゆみを感じない状態」を期待しており、薬剤への期待は大きい。現在、アレルギー性結膜炎に使える抗アレルギー薬は、ヒスタミンH1受容体拮抗薬とメディエーター遊離抑制薬があり、ヒスタミンH1受容体拮抗薬が主流だ。現在、ヒスタミンH1受容体拮抗薬の点眼薬は5剤あり、うち4剤が1日4回投与、1剤が1日2回投与となっている。ここに新たに加わったのが今回発売されたアレジオンクリームで、これだけが1日1回投与となる。投与回数が重要な理由は、点眼薬は内服薬よりもアドヒアランスが低く、投与回数が少ないほどアドヒアランスを高めやすいためだ。アレルギー疾患は初期療法が重要だが、このことがあまり知られていない。多くの患者さんは症状を自覚してから点眼をはじめるが、自覚症状の出る前、具体的には花粉飛散の2週間程度前から点眼をはじめることで症状を抑えられる、というエビデンスがある2)。ただ、自覚症状のない状況における1日4回の点眼はハードルが高い。こうした面からも投与回数が少ない薬剤は受け入れられやすいだろう。症状がなくても、用法通りに点眼することでかゆみを抑えられる(高村氏)続いて、元東京女子医科大学眼科教授・高村 悦子氏が「アレルギー性結膜炎治療の変遷」と題した講演を行った。――抗アレルギー薬が発売されるまで、アレルギー性結膜炎の治療薬はステロイドの点眼薬しかなかった。ステロイド点眼薬は眼圧上昇や感染症の悪化といった副作用があり、毎日使い続けられる薬剤を、というニーズから開発されたのが抗アレルギー点眼薬だった。しかしながら、現在でも多くの患者が「目のかゆみ」を訴えている。症状が改善しない理由の1つに、点眼薬が用法通りに使われていないことがある。1日4回投与する抗ヒスタミン点眼薬を処方された患者に対し、実際の使い方を聞いたアンケート3)では、「症状がひどいとき」は67.3%の人が規定通りの4回もしくはそれ以上の回数を点眼していたが、「症状がラクなとき」はこの割合は10.6%まで急落していた。本来、症状の有り無しにかかわらず、用法を遵守することで薬剤の有効性が上がるが、点眼薬ではこれがなかなか難しく、対症療法的に使われている実態が明らかになった。私自身、このアンケート結果を見て「投与回数に気を取られ、症状がなくても用法遵守することの重要性を患者さんにきちんと伝えていただろうか?」と反省した。以後は、発症期間中はかゆみの有無にかかわらず、用法遵守で点眼するという「プロアクティブ点眼」を積極的に啓蒙するようにしている。とはいえ、この名称では取っ付きにくいので、独自で「あらかじめ点眼」と言い換え、スライドを使って「症状がなくても、用法通りに点眼することでかゆみを抑えられる。あるいは軽くすることができる」と説明している。「あらかじめ点眼」の患者説明用スライド(高村氏作成)画像を拡大するまた、別のアンケート4)では、4回点眼よりも2回点眼の薬剤を処方された人のほうが適正使用していた比率が高く、投与回数が少ないほうがアドヒアランスが高いことが確認された。4回投与だった点眼薬に2回投与が登場し、今回発売されたアレジオンクリームではじめて投与回数が1回になった。投与時間も規定がなく、1日1回塗ればよい。とくに幼児や学童期、身体が不自由な方、認知症の高齢者など、自分での点眼が難しい人とケアする人にとって、1日1回、塗ればよいという手軽さは大きな利点となるはずだ。アレルギー性結膜炎の治療は、洗眼薬によるセルフケア、花粉飛散前の初期療法、花粉飛散時期の用法遵守の点眼の組み合わせが肝要だ。症状が発生してからの対症療法ではなく、かゆみの有無にかかわらず用法遵守で点眼する症状を予防する『あらかじめ点眼』を普及させるため、新たな薬剤に期待したい。アレジオン3製剤の比較画像を拡大する最後に、参天製薬製品開発本部の小山 真治氏が、今回の製品開発の狙いなどについて話した。「1日1回投与を実現するにあたり、効果が長期に持続するクリームという剤形を選択した。結果として幼児や高齢者といった点眼がうまくできない方のニーズも汲み取ることができた。眼瞼クリーム1本当たりの薬価は2回投与の点眼薬に比較して少し高くなるが、1日1回の塗布で使用量も限られるため、トータルの患者負担は大きくは変わらないと考えている。まぶたに塗布するクリーム状の眼薬は独自技術であり、ニーズに応じて他剤に拡大することも検討したい」と説明した。1)岡本 茂樹ほか. 2017年度日本眼科アレルギー学会アレルギー性結膜疾患実態調査. 日本眼科学会雑誌. 2022;126:625-635. 2)深川 和己ほか. 季節性アレルギー性結膜炎に対するエピナスチン塩酸塩点眼薬による初期療法の効果. アレルギー・免疫. 2015;22:1270-1280.3)深川 和己ほか. 季節性アレルギー性結膜炎患者におけるWebアンケートを用いた抗ヒスタミン点眼薬の点眼遵守状況によるQOLへの影響.アレルギーの臨床. 2019;39:29-41.4)福島 敦樹ほか. 季節性アレルギー性結膜炎患者における1日2回の抗ヒスタミン点眼薬の使用状況,自覚症状およびQOLへの影響. アレルギーの臨床. 2021;41:37-46.

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最初の数分で患者の情報を系統立てて収集する【こんなときどうする?高齢者診療】第2回

外来で1人の患者に割ける診察時間は何分ありますか?今回は限られた時間の中で高齢者の健康問題の情報を効率的に得る方法「DEEP-IN」を紹介します。こんな場面を想定してみてください。90歳男性。独居。既往歴は安定した高血圧と糖尿病。前医の退職に伴い、新しいかかりつけ医を求めて新規患者枠で外来にやってきました。診察に使える時間は5分です。高齢者診療の原則は「老年症候群があるという前提で診療する」ことです。患者の老年症候群を把握すると、疾患の治療だけでなく、同時にQOL/ADLの維持・向上への次の一手を考えることができるようになります。包括的高齢者アセスメント(Comprehensive Geriatric Assessment ; CGA)は優れたツールですが、まとまった時間を十分にとることのできない外来で使うのはあまり現実的ではありません。そこで短時間で高齢者アセスメントができる型、簡易高齢者アセスメントを活用してみてはいかがでしょうか。簡易高齢者アセスメントの型は、高齢者にコモンに生じる項目の頭文字をとり「DEEP-IN」と覚えます。順番にDementia, Depression, Delirium, Drugs(認知機能、抑うつ、せん妄、服薬状況)、Eye(視力)、Ear(聴力)、Physical function・Fall(身体機能、転倒)、Incontinence(失禁)、Nutrition(栄養状態)です。この型は、短時間で高齢者の診療とケアに必要な情報が得られるよう、とくに「身体・認知機能」と日々の自立生活に必要な項目に注目して設計されています。DEEP-INで患者の情報を効率的に収集する各項目でどのようなことを聞くか、例をみてみましょう。D(認知機能)診察当日の曜日や家族・お孫さんの名前や年齢。これらで大まかな認知能力をアセスメントできます。E&E(視力・聴力)眼鏡や補聴器の使用有無だけでなく、テレビや電話が使いにくくなっていないか、と日々の生活からも情報を収集することができます。P(身体機能)毎日の生活で○○するのが難しい、不安、ということはないか。例えば着替えや洗濯、買い物などです。独居であれば入浴について聞くのがおすすめです!衣服の着脱、浴槽をまたぐ、水・お湯の温度を設定するなど、複雑な動作が数多く含まれている入浴という行為。これに問題や不安がなければ、ほかの日常生活動作も大丈夫というアセスメントも可能でしょう。I(失禁)多くの高齢者の方が悩まれている失禁ですが、これまで一度も聞かれたことがない、ということも珍しくありません。血圧が心配で来たのに、「尿失禁」について急に聞かれると驚く方もいます。デリケートな話題なので聞き方には配慮しましょう。「○○さんのお年になると悩む方も多いのですが」といった一言を添えると答えやすくなります。N(栄養状態)衣服やベルトのサイズ変化、1年間の体重変化や食事内容などが聞けるとGoodです!さて、DEEP-INの型を使って問診したところ、次のような情報が得られました。90歳男性。独居。安定した高血圧と糖尿病D:今日の曜日が言える。孫の名前と年齢を覚えている。しかし服薬記憶はあいまい。お薬手帳は所持。服用している薬の中に、副作用リスクが高い薬がある(NSAIDs、ベンゾジアゼピン、抗ヒスタミン薬が配合された総合感冒薬、抗アレルギー薬を常用)、複数の保険薬局を使用している。E&E:眼鏡と補聴器が欠かせない。眼鏡は2焦点レンズ1)。補聴器は耳掛け式。P:ADLはほぼ自立しているものの、入浴時に転倒の不安がある。直近12ヵ月で転倒歴はない。しかし外出時は杖を使用。I:尿便失禁なし。夜間頻尿もなし。N:1年で5kgの体重減少(これまで誰にも相談したことはない)。ベルトサイズ、時計のバンドサイズの変化、食欲低下あり。いかがでしょうか。「高血圧症、糖尿病」と疾患名だけでは焦点が定まっていなかった患者像の解像度がグッと高くなったと思いませんか?これだけの情報が得られれば、高血圧と糖尿病への処方だけでなく、自立した生活・QOLを向上させるような健康増進介入も可能です。今回は転倒リスクに注目してみましょう。赤字の項目すべてが転倒リスクにつながるため、介入策はないか考えてみましょう。介入の方法としては、(1)転倒につながる副作用がある薬剤の減薬・中止を検討する(2)視力検査と単焦点レンズの眼鏡への変更の2点は比較的簡単にできるのでは、と考えます。2焦点レンズの眼鏡の下部は近距離用に焦点があわせてあるため、足元を見たときに視界がぼやけて遠近感がつかみにくいため転倒のリスクが高まります。単焦点眼鏡への変更を提案してもいいでしょう。1回の問診で網羅できなくても、すべての健康問題を解決できないとしても、焦る必要はありません。これらの項目はさまざまな医療職の方でも情報収集が可能で、医師よりも聞きやすい、聞きなれていることも多いのではないでしょうか。例えば看護師の方に失禁に関して聞いていただくなど、ぜひチームで役割分担、情報共有してみてください。患者の日々の生活が鮮明に想像できるようになります。本人から情報を得られないときは?高齢者の診療においては、患者本人から情報が得られない状況によく遭遇します。その際は、身体診察から情報を得る、年齢・性別といった疫学的視点から頻度の高い症状・徴候を推測してみましょう。これは老年症候群を知っておくことにほかなりません! 医師で在宅医療に携わるサロンメンバーは、患者本人から情報が得られないときには「●歳をすぎたら、突然具合が悪くなって救急車に乗ることがあるかもしれません。そうなったときにすぐに対処できるように、子どもさんにお薬や治療のことを知ってもらっているんですよ」と声掛けをして、家族の同席を促すそうです。身内がいない方であれば地域包括支援センターとの連携を促すなど、どんな形であっても第3者の目を入れることがポイントです。この声掛けには老年医学で大切にしている、高齢者へのかかわり方のコツが詰まっています。1つめはノーマライゼーション。「●歳を過ぎたら皆さんそうしていますよ」と患者と同年代の人の多くがそうしていると伝えると心理的ハードルが下がります。2つめは「救急車に乗るかもしれない」という言い方で、予後予測を共有していること。患者と予後予測を共有するのは非常に重要ですが、受け入れがたい方が多い話題でもあります。このケースは今すぐに起こることではないが起こってもおかしくない話なので、患者が恐れを持ちづらいのがポイントです。そして最後に、「子どもさんに知ってもらっているんですよ」という締め方。どうしますか?と患者に選択させるのではなく、医療者としてのお勧めをデフォルトで提示すること。これで患者の意思決定ストレスを減らしています。いずれも患者に恥ずかしさや恐怖を与えない配慮が素晴らしいです。これらは高齢者にかかわるときあらゆる場面で役に立ちます。DEEP-INとともにぜひ診療で使ってみてください!参考1)多焦点レンズの使用は遠近感や周囲視野の視力を低下させ、転倒のリスク上昇と関連するといわれている。Lord SR,et al. J Am Geriatr Soc. 2002 Nov;50(11):1760-1766.

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新剤形追加・添付文書改訂:クリームタイプのアレルギー性結膜炎治療薬/エンレストに粒状錠小児用規格追加【最新!DI情報】第17回

アレジオン眼瞼クリーム0.5%<対象薬剤>エピナスチン塩酸塩(商品名:アレジオン眼瞼クリーム0.5%、製造販売元:参天製薬)<発売年月>2024年5月<改訂項目>[承認]新剤形医薬品1日1回塗布のクリーム剤<ここがポイント!>既存のエピナスチン点眼液は1日4回、エピナスチンLX点眼液は1日2回の点眼が必要でしたが、エピナスチン眼瞼クリームは1日1回眼周囲(上下眼瞼)の塗布で、有効性が終日にわたり維持します。点眼が苦手な小児や高齢者に加え、日中の点眼でメイクが落ちるのが気になる人に対しても、就寝前や夜のスキンケア時の塗布で効果が期待できるため、利便性が高いと考えられます。クリームタイプのアレルギー性結膜炎治療薬は世界初であり、眼瞼皮膚を通過して眼球・眼瞼結膜に成分が分布します。第III相CAC試験(スギ花粉抗原を用いた結膜抗原誘発試験)において、アレルギー性結膜炎の眼そう痒感および結膜充血スコアをプラセボに比べて有意に抑制しました。また、第III相長期投与試験(環境試験)において、本剤の安全性および有効性が確認されています。エンレスト粒状錠小児用12.5mg/31.25mg<対象薬剤>サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(商品名:エンレスト粒状錠小児用12.5mg/31.25mg、製造販売元:ノバルティス ファーマ)<発売年月>2024年5月<改訂項目>[追加]規格粒状錠小児用12.5mg/31.25mg<ここがポイント!>小児慢性心不全は、病状が進むと心肥大や心拡大などが進行し、不整脈や突然死を引き起こすことがあります。サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物錠50mg/100mg/200mgは2024年2月9日に1歳以上の小児慢性心不全の効能・効果で承認を取得しました。しかし、体重が50kg未満の場合、薬剤師が粉砕懸濁して用量の調整を行う必要がありました。粒状錠小児用12.5mg/31.25mgは、用量を組み合わせることでさまざまな体重に対応することができ、調剤の簡便化が可能になります。粒状錠は、小児でも飲みやすい小さな粒状の錠剤ですので、カプセル型容器から取り出した錠剤を食べ物に混ぜて服用できます。粒状錠小児用は、カプセル型容器に充填したあと、PTP包装しています。パルモディアXR錠0.2mg/0.4mg<対象薬剤>ペマフィブラート(商品名:パルモディアXR錠0.2mg/0.4mg、製造販売元:興和)<発売年月>2023年11月<改訂項目>[承認]新剤形医薬品1日1回投与の徐放性製剤<ここがポイント!>高脂血症治療薬のペマフィブラート錠0.1mgは1日2回投与の即放性製剤でしたが、新剤形として1日1回投与のマルチプルユニット型徐放性製剤が2023年11月に販売されました。服用回数の増加は服薬アドヒアランスの低下に関連することが報告されているため、徐放性製剤の発売でアドヒアランスの向上が期待できます。第III相検証試験(K-877-ER-02)において、徐放性製剤0.2mgおよび0.4mgは、既存の即放性製剤と比較し、空腹時血清TGのベースライン値からの変化率が非劣性であることが確認されています。販売名のXRは徐放性(Extended Release)製剤であることを示しています。レキサルティ錠1mg/2mg、OD錠0.5mg/1mg/2mg<対象薬剤>ブレクスピプラゾール(商品名:レキサルティ錠1mg/2mg、OD錠0.5mg/1mg/2mg、製造販売元:大塚製薬)<改訂年月>2023年12月<改訂項目>[追加]効能又は効果うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)[追加]用法及び用量通常、成人にはブレクスピプラゾールとして1日1回1mgを経口投与する。なお、忍容性に問題がなく、十分な効果が認められない場合に限り、1日量2mgに増量することができる。[追加]効能又は効果に関連する注意(一部抜粋)本剤の併用は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤等による適切な治療を複数回行っても、十分な効果が認められない場合に限り、本剤による副作用(アカシジア、遅発性ジスキネジア等の錐体外路症状)や他の治療も考慮した上で、その適否を慎重に判断すること。[追加]効能又は効果に関連する注意(一部抜粋)本剤は選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤又はミルタザピンと併用すること。(本剤単独投与での有効性は確認されていない)<ここがポイント!>本剤の適応症は統合失調症のみでしたが、2023年12月に「うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)」が追加されました。成人では1日1回1mg投与しますが、忍容性に問題なく、十分な効果が認められない場合に限り、1日量2mgに増量できます。中等症および重症の大うつ病性障害には、SSRI、SNRI、ミルタザピンが第1選択として用いられますが、これらの薬剤による治療でも十分な効果を示さない症例も多く存在します。本剤は、アリピプラゾールに次ぐ抗うつ効果増強療法に用いる非定型抗精神病薬で、SSRI、SNRIまたはミルタザピンと併用して使用します。

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アレジオン眼瞼クリームは世界初、「塗る」アレルギー性結膜炎治療薬/参天

 参天製薬などは、5月22日、持続性・経眼瞼アレルギー性結膜炎治療剤「アレジオン眼瞼クリーム0.5%」(一般名:エピナスチン塩酸塩)の発売を開始したと発表した。塗布するクリームタイプのアレルギー性結膜炎治療薬は世界初となる。アレジオン眼瞼クリームはアレジオン点眼薬と同様にコンタクトレンズ装着時に使用可 国内で無症状期のアレルギー性結膜炎患者を対象として行われた第III相試験(プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験)では、アレルギー性結膜炎の主症状である眼そう痒感スコアおよび結膜充血スコアにおいて、アレジオン眼瞼クリームのプラセボ眼瞼クリームに対する優越性が検証された。また、アレジオン眼瞼クリームの長期投与試験において認められた副作用は眼瞼そう痒症1.6%(2/124例)および眼瞼紅斑0.8%(1/124例)で、重篤な副作用は認められなかった。 現在、アレルギー性結膜炎に対しては同社の「アレジオン点眼液」をはじめとするヒスタミンH1受容体拮抗薬の点眼薬が広く処方されているが、1日2回または4回の点眼が必要となる。アレジオン眼瞼クリームは1日1回の塗布で終日にわたって有効性を維持でき、点眼が困難な患者でも容易かつ適切に投与しやすいことが特長で、アレジオン点眼薬と同様にコンタクトレンズ装着時にも使用できる。アレジオン眼瞼クリームと点眼薬の併用効果は前例なく現状では不明 従来の点眼薬との使い分けについて参天製薬は「アレジオン眼瞼クリームは患者さんの投薬負担の軽減が期待でき、服薬コンプライアンス、QOL向上にも貢献できると考えている。新規治療だけでなく、点眼薬で治療中の患者さんの置き換えも視野に入れている」とする。また、点眼薬とアレジオン眼瞼クリームの併用については、「臨床試験では他剤の併用例はなく、他剤と併用した場合の効果や安全性は現時点では不明だが、日本眼科学会の『アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン』では、抗アレルギー点眼薬だけでは効果不十分な場合には、ステロイド点眼薬、NSAIDs点眼薬の併用、また花粉など抗原に対するセルフケアとして洗眼薬の使用が勧められていることから、そうした治療薬との併用が必要な場合もあると考える。一方で、同ガイドラインに抗アレルギー点眼薬同士の併用を推奨する記載はなく、アレジオン眼瞼クリームは前例がない剤形であることからも、追加薬剤としての抗アレルギー点眼薬との併用治療の考え方などは現状では不明である」としている。アレジオン眼瞼クリーム製品概要製品名:アレジオン眼瞼クリーム 0.5%一般名:エピナスチン塩酸塩性状:白色~淡黄白色のクリーム剤効能・効果:アレルギー性結膜炎用法・用量:通常、適量を1日1回上下眼瞼に塗布する貯法:室温保存包装:2gチューブ入×10本薬価:1,686.7円/g保険給付上の注意:なし発売日:2024年5月22日

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