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COPD新ガイドライン、第1選択薬など5年ぶり見直し

 2018年4月、大阪で開催された第58回日本呼吸器学会において、同月20日に発刊された『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018[第5版]』の改訂ポイントについて、久留米大学 呼吸器内科 川山 智隆氏が紹介した。前回の2013年から5年ぶりとなる今回の改訂では、日本人と欧米人の相違が指摘されている点を考慮し、近年の本邦での報告を重視している。新たな診断アプローチへ FEV1/FVC(1秒率)70%未満が診断の基本となっていた。しかし、1秒率は年齢により低下することから、基準を一律に70%未満とすると、高齢者では偽陽性が、若年者では擬陽性が増える。この過小診断や過剰診断を防ぐため、年齢に合わせた肺の正常下限値(LLN)を定めた。このLLNを1秒率70%未満と共に使用することとしている。長期管理を鑑みた4つの管理目標 COPDは長期的な経過をたどる疾患であるため、生命予後だけでなく、現状の改善として2項目(症状およびQOLの改善、運動耐容能と身体活動の向上および維持)、将来のリスク低減として2項目(増悪の予防、全身合併症および肺合併症の予防・診断・治療)の、4項目の管理目標を定めた。LAMAとICSの位置付け変更、高流量鼻カニュラ酸素療法の追加 安定期の管理の薬物療法では、長時間性気管支拡張薬の位置付けを一部変更した。従来、長時間作用性β2刺激薬(LABA)と長時間作用性抗コリン薬(LAMA)に優先順位は付けていなかったが、今回の改訂では、最近のエビデンスを鑑み、LAMAを第1選択薬として優先。LABAは、「あるいはLABA」との記載となった。LAMA/LABA配合剤については、LAMA、LABA単剤からのステップアップ治療として、重症度が上がるにつれ大きくなる位置付けとなった。 また、吸入ステロイド薬(ICS)についても位置付けが変更された。同薬は従来、喘息の合併または増悪を繰り返す症例についての使用が推奨されていたが、今回の改訂では近年の研究結果を鑑み、喘息合併例のみの推奨とした。この内容については、COPDガイドラインに先立って発刊された『喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)診断と治療の手引き2018』に沿ったものとなった。 非薬物療法については、高流量の高濃度酸素を経鼻で投与できる高流量鼻カニュラ酸素療法が適応となったことから、今回の改訂では、酸素療法において、非侵襲的陽圧換気療法開始前(高CO2血症がない状態)での使用を推奨している。

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持続型気管支喘息におけるSMART療法について(解説:小林英夫 氏)-845

 本論文のSMART(single maintenance and reliever therapy)とは、吸入ステロイド薬(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)の合剤を、定期治療にも喘息発作時の一時的対応のいずれにも用いる治療戦略の意で、すでに知られた略語である。なお、SMARTをSymbicort maintenance and reliever therapyの略とする記載もある。これはシムビコートに含まれるホルモテロールが、LABAではあるが即効性と用量依存性気管支拡張作用を有することから提唱されたもので、本邦では1日最大12吸入が保険適応を得ている。さて、喘息発作時の対応として短時間作用性β2刺激薬(SABA)を追加吸入することが標準治療となって久しい。SMARTの長所は、喘息発作時に日常管理薬1剤で対応可能なため、SABAを追加する対応と比してより簡便という点が挙げられる。簡便ではあっても効果はどうなのかという点を本論文は検証しており、SMART療法群で喘息増悪リスクが低かったと報告している。 従来から取り上げられているが、SMARTの欠点には患者が自由に薬剤の増減ができると誤認し、過剰増量、自己減量、喘息悪化でないときにも吸入してしまうといった注意点があり、導入時には十分な説明が必須である。筆者が同療法を導入する際には、自覚症状のみではなくピークフロー値も測定し、安定時の80%以上に回復しなければ早々に外来受診するよう指導している。また、日本で販売されているICS+LABA合剤ではシムビコート以外はSMART療法に適さないことにも注意しておきたい。 JAMA同一号には同一著者らからもう1つ喘息関連論文が掲載されている。そちらは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)吸入の役割をメタ解析し、ICS単剤よりLAMA追加で喘息増悪リスクが低下すること、またICS+LABA吸入群と比しICS+LABA+LAMA吸入群はさらなる増悪低下を示さなかったと結論している。両論文に関してJAMA同号にeditorialが掲載されており、LABAとLAMAの位置付けと研究方法の問題点が解説されている。

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有病率8.6%。中国のCOPD有病率とリスク因子/Lancet

 中国の20歳以上の成人における慢性閉塞性肺疾患(COPD)の有病率は8.6%に達し、喫煙、環境大気汚染、痩せ、小児期の慢性咳嗽、親の呼吸器疾患歴、小学校以下の教育歴がリスク因子であることが、中国・中日友好病院呼吸器医療センターのChen Wang氏らが行ったChina Pulmonary Health(CPH)研究で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年4月9日号に掲載された。2002~04年に行われた40歳以上の中国人の調査では、COPDの有病率は8.2%(男性:12.4%、女性:5.1%)と報告され、リスク因子として環境大気汚染や喫煙の重要性が指摘されている。一方、若年成人におけるCOPD有病率の上昇を示唆する報告があるが、40歳未満の中国人のデータはこれまでなかったという。約5万人の横断研究 CPHは、中国本土の10の省、自治区、直轄市の20歳以上の成人を対象とする全国的な横断研究である(中国衛生部、科学技術部の助成による)。 すべての参加者は、気管支拡張薬吸入後に肺機能検査を受けた。COPDの診断は、GOLD判定基準(2017年版)に従い、非COPD、Grade I~IVのCOPDに分類した。多変量ロジスティック回帰分析で、全体および非喫煙者におけるリスク因子を同定した。 2012年6月~2015年5月の期間に、5万7,779人に参加を呼びかけ、そのうち信頼性の高い肺機能検査の結果が得られた5万991人(男性:2万1,446人、女性:2万9,545人)を解析に含めた。過去に肺機能検査歴のある患者は12.0%のみ 2015年の20歳以上の中国人におけるCOPD患者数は9,990万人(95%信頼区間[CI]:7,630万~1億3,570万)であり、全体のCOPD有病率は8.6%(7.5~9.9)であった。 男性の有病率は11.9%(95%CI:10.2~13.8)で、女性の5.4%(4.6~6.2)に比べ高率であった(p<0.0001)。この男女間の差は、全体および非喫煙者でも全年齢層で認められた。また、40歳以上の有病率は13.7%(12.1~15.5)と、20~39歳の2.1%(1.4~3.2)に比し高かった(p<0.0001)。さらに、農村部住民は都市部住民よりも有病率が高かった(9.6 vs.7.4%、p=0.047)。過去に肺機能検査歴があるのは12.0%(95%CI:8.1~17.4)のみだった。 COPDのリスク因子として、20箱年以上の喫煙(オッズ比[OR]:1.95、95%CI:1.53~2.47、p<0.0001)、直径2.5μm未満の粒子状物質(PM2.5)の平均年間曝露量が50~74μg/m3(1.85、1.23~2.77、p=0.005)および75μg/m3以上(2.00、1.36~2.92、p=0.001)の場合、BMI<18.5の痩せ(1.43、1.03~1.97、p=0.03)、小児期(14歳未満)のときどき(年に1~3ヵ月)発現する慢性咳嗽(1.48、1.14~1.93、p=0.006)および頻繁(年に3ヵ月以上)に発現する慢性咳嗽(2.57、2.01~3.29、p<0.0001)、親の呼吸器疾患歴(1.40、1.23~1.60、p<0.0001)が挙げられた。このうち喫煙を除く6つの因子は、非喫煙者においても有意なリスク因子であった。 COPD発症のリスクが低い因子は、初級中学~高級中学(Middle and high school)の教育歴(OR:0.76、95%CI:0.64~0.90、p=0.003)と、大学(college)以上の教育歴(0.47、0.33~0.66、p=0.0002)であった。 著者は、「COPD関連合併症や死亡を低減するために、予防およびスパイロメトリーによるCOPDの早期検出を公衆衛生上の最優先課題とすべき」と指摘している。

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早期(軽症)COPDにチオトロピウムは有用だろうか?(解説:小林 英夫 氏)-773

 吸入抗コリン薬は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の自覚症状や呼吸機能の改善をもたらしうる基本薬剤と位置づけられている。しかし、自覚症状の乏しい早期(軽症)COPDに対し吸入抗コリン薬がどのような意義を有するのかについては、臨床的見解が一致しているとは言えない。本論文はその疑問を解決するために中国で実施された無作為化比較試験である。 比較試験のprimary end pointは、チオトロピウム投与群(419例)とプラセボ投与群(422例)との間で24ヵ月後の1秒量に差が生じるかどうかであった。全研究期間を通じてチオトロピウム投与群の吸入後測定1秒量はプラセボ投与群より高値を示した。一方、24ヵ月間で1秒量は両群とも徐々に低下し、その低下量(吸入前測定)は投薬群もプラセボ群もほぼ同様であった。 さて、この結果はどのような意義を有するのであろうか。チオトロピウムの気管支拡張作用が1秒量増加をもたらすことは従来の報告でも認められており、無理なく予想された結果である。それでは、呼吸器症状の乏しい軽症COPDの治療研究に求められる成果は、吸入後に1秒量増加が示されれば十分なのであろうか。理想的・最善な治療効果を閉塞性換気障害の正常化、そして次善効果を経年的呼吸機能低下の防止、と設定したなら、本研究では最善と次善のいずれの治療効果も得られていない。症状の乏しいCOPDへの臨床研究にはどのような目標設定が適切なのであろうか、吸入後に年間1秒量低下を抑制できることだけで臨床導入の根拠になりえるのか、解説者には難問である。チオトロピウムがCOPDの経時的進行を抑止し難いから無用とも判断しかねる。仮にend pointを「生存」として、軽症COPDを2年間追跡しても差を証明することは困難であろう。本論文により軽症COPDの臨床研究の複雑さを再考させられた。現時点では、解説者がチオトロピウムを軽症COPDに積極的に投与するかどうかは決めかねている。 なお非呼吸器科読者への参考としての蛇足であるが、過去にはCOPDの閉塞性障害は可逆性がないとされていたが、現在は軽度の可逆性を許容している。呼吸機能検査での呼気制限指標として、1秒率(FEV1%)は1秒量(FEV1)を努力肺活量で除した値(%)、%1秒量(%FEV1)は1秒量を予測1秒量で除した値(%)で、COPD診断の基本要素である。また、チオトロピウムは長時間作用型吸入抗コリン薬のパイオニア製品である。

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チオトロピウムの肺機能低下抑制、軽~中等症でも/NEJM

 軽症~中等症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するチオトロピウム(商品名:スピリーバ)は肺機能の低下を抑制することが、中国・国立呼吸器疾患センターのYumin Zhou氏らが841例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、示された。軽症~中等症COPD患者は、症状がみられることが少なく薬物療法が行われることはほとんどない。研究グループは、そうした患者へのチオトロピウム投与は、肺機能を改善し、肺機能低下を抑制するのではないかと仮説を立て検証試験を行った。NEJM誌2017年9月7日号掲載の報告。チオトロピウムを24ヵ月投与してプラセボ群とFEV1の変化を比較 研究グループは、GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)の基準でステージ1(軽症)または2(中等症)の患者841例を対象に試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方にはチオトロピウム(18μg)を1日1回2年間吸入投与し(419例)、もう一方にはプラセボを投与した(422例)。 主要エンドポイントは、ベースラインから24ヵ月後の気管支拡張薬吸入前の1秒量(FEV1)変化の群間差だった。副次的エンドポイントは、ベースラインから24ヵ月後の気管支拡張薬吸入後のFEV1変化の群間差や、30日~24ヵ月の気管支拡張薬吸入前および吸入後のFEV1年間低下量の群間差などだった。チオトロピウム群のFEV1は1ヵ月後から高値を維持 最終解析の対象は、チオトロピウム群388例、プラセボ群383例だった。 チオトロピウム群のFEV1は、気管支拡張薬使用前・後ともに試験開始1ヵ月後から一貫してプラセボ群に比べ高く、その平均群間差は、気管支拡張薬吸入前が127~169mL、吸入後は71~133mLだった(いずれの比較についてもp<0.001)。 主要エンドポイントの24ヵ月後の気管支拡張薬吸入前FEV1低下量の平均値については、チオトロピウム群38mL/年、プラセボ群53mL/年であり、有意差はなかった(群間差:15mL/年、95%信頼区間[CI]:-1~31、p=0.06)。 気管支拡張薬吸入後FEV1の年間平均低下量については、チオトロピウム群が29mL/年と、プラセボ群51mL/年に比べ有意に少なかった(群間差:22mL/年、95%CI:6~37、p=0.006)。 有害事象の発現率はチオトロピウム群、プラセボ群でほぼ同程度だった。

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新規抗体薬、コントロール不良喘息の増悪抑制/NEJM

 長時間作用性β刺激薬(LABA)と中~高用量の吸入ステロイドによる治療歴のある喘息患者の治療において、tezepelumabはベースラインの血中好酸球数とは無関係に、臨床的に重要な喘息の増悪を抑制することが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJonathan Corren氏らが行ったPATHWAY試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年9月7日号に掲載された。胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)は、炎症性の刺激因子に反応して産生される上皮細胞由来のサイトカインで、2型免疫の調節において中心的な役割を担う。喘息患者は健常者に比べ、気道のTSLP発現が高度で、TSLP値は2型ヘルパーT細胞(Th2)サイトカインやケモカインの発現、および喘息の疾患重症度と相関を示す。tezepelumab(AMG 157/MEDI9929)は、TSLPに特異的に結合するヒトIgG2モノクローナル抗体で、proof-of-concept試験では軽症アトピー型喘息患者の早期型および晩期型喘息反応を防止し、吸入アレルゲン負荷後の2型炎症反応のバイオマーカーを抑制したという。3つの用量の効果をプラセボと比較 本研究は、コントロール不良の喘息患者におけるtezepelumabの有効性と安全性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験(MedImmune社、Amgen社の助成による)。対象は、年齢18~75歳の非喫煙者(登録時に、6ヵ月以上喫煙しておらず、喫煙歴が<10pack-years)で、登録の6ヵ月以上前にLABAと中~高用量の吸入ステロイドによる治療を行ってもコントロールが不良の喘息で、登録前12ヵ月以内に糖質コルチコイドの全身投与を要する喘息の増悪を2回以上、または入院を要する重度増悪を1回以上経験した患者であった。 被験者は、3つの用量(低用量:70mg、4週ごと、中用量:210mg、4週ごと、高用量:280mg、2週ごと)のtezepelumabまたはプラセボ(2週ごと)を皮下投与する群に無作為に割り付けられ、52週の治療が行われた。盲検を維持するために、4週ごとの投与群には、中間の2週時ごとにプラセボが投与された。 主要評価項目は、52週時の喘息増悪の年間発生率(イベント件数/1患者年)とした。喘息の増悪は、糖質コルチコイドの全身投与(経口、静注)を要する喘息症状の悪化、または糖質コルチコイドの経口投与による安定期維持療法中の患者における3日以上続く用量倍増、糖質コルチコイドの全身投与を要する喘息による救急診療部への入院、喘息による入院と定義した。 12ヵ国108施設で584例が登録され、低用量群に145例、中用量群に145例、高用量群に146例、プラセボ群には148例が割り付けられた。ベースラインの平均年齢はtezepelumab群(436例)が51.1±12.4歳、プラセボ群は52.2±11.5歳で、男性はそれぞれ157例(36.0%)、48例(32.4%)であった。喘息増悪率が約60~70%低下 52週時の年間喘息増悪率は、プラセボ群の0.67件に比べ、tezepelumab低用量群が0.26件、中用量群が0.19件、高用量群は0.22件であり、それぞれプラセボ群よりも61%、71%、66%低下した(いずれも、p<0.001)。また、登録時の血中好酸球数を問わず、同様の結果が得られた。 52週時の気管支拡張薬吸入前の1秒量(FEV1)は、tezepelumabの3群ともプラセボ群よりも有意に高かった(最小二乗平均のベースラインから52週までの変化の差:低用量群0.12L[p=0.01]、中用量群0.11L[p=0.02]、高用量群0.15L[p=0.002])。 喘息管理質問票(ACQ-6:0~6点、点数が低いほど疾患コントロールが良好、1.5点以上でコントロール不良と判定)のスコアは、中用量群(最小二乗平均のベースラインから52週までの変化の差:−0.27点[p=0.046])および高用量群(同:−0.33点[p=0.01])がプラセボ群よりも良好であった。また、12歳以上の標準化された喘息QOL質問票(AQLQ[S]+12:1~7点、点数が高いほど喘息関連QOLが良好、臨床的に意義のある最小変化量は0.5点)のスコアは、高用量群(同:1.33点[p=0.008])がプラセボ群よりも優れた。 1つ以上の有害事象を発現した症例は、プラセボ群が62.2%、低用量群が66.2%、中用量群が64.8%、高用量群は61.6%であり、1つ以上の重篤な有害事象の発現率は、それぞれ12.2%、11.7%、9.0%、12.3%であった。有害事象による試験薬の中止は、プラセボ群の1例、中用量群の2例、高用量群の3例に認められた。 著者は、「これらの知見により、TSLPのような上流のサイトカインを標的とすることで、単一の下流経路を阻害するよりも広範に疾患活動性に影響を及ぼし、利点を得る可能性が明らかとなった」と指摘し、「臨床的な意義を示すには、最良の治療を行ってもコントロール不良な喘息患者の、民族的に多彩で大規模な集団を対象とする試験の実施が重要と考えられる」としている。

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コントロール不良の喘息にあの抗菌薬が有用?/Lancet

 中~高用量の吸入ステロイド+長時間作用型気管支拡張薬服用ではコントロール不良の喘息成人患者に対し、マクロライド系抗菌薬の経口アジスロマイシンの追加投与は、喘息増悪リスクを約4割減少し、喘息関連QOLも改善することが示された。オーストラリア・Hunter Medical Research InstituteのPeter G. Gibson氏らが、420例を対象に行った48週間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、著者は「アジスロマイシンは喘息コントロールの追加療法として有用と思われる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年7月4日号掲載の報告。アジスロマイシン500mg、週3回48週間投与 研究グループは2009年6月12日~2015年1月31日にかけて、吸入ステロイドや長時間作用型気管支拡張薬の服用にもかかわらず喘息症状が認められる、18歳以上の患者420例を対象に、経口アジスロマイシンの追加で喘息増悪の頻度が減少可能かを調べる試験を行った。被験者は、聴覚障害や補正QT間隔延長が認められない場合を適格とした。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはアジスロマイシン500mgを(213例)、もう一方にはプラセボを(207例)、それぞれ週3回48週間投与した。試験を行った医療センターと喫煙歴について、層別化も行った。 主要評価項目は、48週間の中等度~重度の喘息増悪の頻度、および喘息症状関連の生活の質(QOL)で、intention-to-treatにてデータを分析・評価した。喘息増悪1回以上の発症率も減少 喘息増悪の発現頻度は、プラセボ群が1.86/人年だったのに対し、アジスロマイシン群は1.07/人年と、約4割低かった(罹患率比:0.59、95%信頼区間[CI]:0.47~0.74、p<0.0001)。 また、試験期間中に1回以上の増悪が発現した患者の割合も、アジスロマイシン群で有意に低率で、プラセボ群61%(207例中127例)だったのに対し、アジスロマイシン群は44%(213例中94例)だった(p<0.0001)。さらに、アジスロマイシン群はプラセボ群に比べ、喘息関連QOLも有意に改善し、喘息QOL質問票(AQLQ)スコアの補正後平均値格差は0.36(95%CI:0.21~0.52、p=0.001)だった。 なお、下痢の発症がプラセボ群19%に対し、アジスロマイシン群で34%と有意に高率に認められた(p=0.001)。

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成人喘息患者の3人に1人は現在喘息ではない!?/JAMA

 過去に医師から喘息と診断されたことがある成人患者のうち、33.1%は現在喘息ではないと診断された。カナダ・オタワ大学のShawn D Aaron氏らが、喘息と診断された成人患者を対象に、現在も喘息であるという診断を除外できるか、また、喘息治療薬を安全に中止できるかを検証する目的で行った多施設前向きコホート研究の結果、報告した。著者は、「医師から喘息と診断されたことがある患者は、その診断を再評価したほうがいいかもしれない」と提言している。喘息は慢性疾患であるが、成人喘息の自然寛解や診断の確実性については不明であった。JAMA誌2017年1月17日号掲載の報告。喘息の診断歴がある成人患者約700例で、現在も喘息かどうかを再評価 研究グループは2012年1月~2016年2月に、カナダ10都市でRDD(random digit dialing)法を用い、過去5年以内に医師から喘息と診断された18歳以上の成人患者を無作為に抽出し(長期ステロイド内服患者と、スパイロメトリー検査ができない患者は除外)、診断した医師から喘息の初期診断に至った過程について情報を得た。 電話によるスクリーニングにおいて1,026例が基準を満たし、そのうち701例(68.3%)が本試験に登録された。全例、在宅ピークフロー値、症状モニタリング、スパイロメトリー、および気管支誘発試験にて評価し、日常的に喘息治療薬を使用している患者では、4回の受診で薬を徐々に減らした。最終的に現在喘息であることが否定された患者については、1年間は気管支誘発試験を繰り返し、臨床的に追跡した。 主要評価項目は、現在喘息ではないと判定された患者(すべての喘息治療薬を中止後、または本試験の呼吸器専門医が他の診断を確定後に、喘息症状の急性増悪・可逆性気道閉塞・気管支過敏性の所見を認めなかった患者と定義)の割合、副次評価項目は、12ヵ月後に喘息が否定された患者の割合、および初期に適切な診断的精密検査を受けていた患者の割合であった。33%が現在喘息なし、1年の追跡調査後も約30%が喘息ではなかった 701例(平均年齢51±16歳、女性67%)中、613例が試験を完遂し最終評価を受けた。その結果、613例中203例が現在喘息ではないと判断された(33.1%、95%信頼区間[CI]:29.4~36.8%)。また、12例(2.0%)は重篤な心呼吸器疾患(虚血性心疾患、声門下狭窄、気管支拡張症、間質性肺疾患、肺高血圧症、サルコイドーシス、気管支軟化症)であり、地域で喘息と誤診されていたことが判明した。 12ヵ月の追跡調査で喘息が否定された患者は181例(29.5%、95%CI:25.9~33.1%)であった。現在喘息ではないと判断された患者は、喘息であると確認された患者と比較し、地域での初期診断で気流制限検査の実施が少ない傾向にあった(それぞれ43.8% vs.55.6%、絶対差:11.8%、95%CI:2.1~21.5%)。 著者は本研究の限界として、追跡調査期間の短さや、気管支誘発試験の特異度が80%未満であること、長期ステロイド内服患者は除外されていることなどを挙げている。

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START研究が喘息診療の過去の幻想を拭い去った(解説:倉原 優 氏)-625

 過去のガイドラインにおいて、吸入ステロイド薬(ICS)治療は1週間に2日を超えて症状がある喘息患者、すなわちpersistent asthmaに推奨されてきた歴史がある。それ以下の症状の喘息をintermittent asthmaと呼び、吸入短時間型β2刺激薬などでその都度発作を解除してきた。 この2日というカットオフ値がエビデンス不足のまま現行GINAガイドライン1)へ至ることとなったため、軽症の喘息患者に対するICSの適否をはっきりさせるべきだという意見が多かった。そのため、START研究の事後解析が行われた。なお、現在のGINAガイドライン1)では、頻繁ではないが喘息症状を有し発作のリスクが高い患者に対しては低用量ICSでの治療開始(step 2)を推奨している1)。日本のガイドライン2)では治療ステップ1および2のカットオフ値は、週1回と月1~2回という問診が用いられている。 START研究について解説しておくが、これは今から13年前、発症2年以内の軽症持続型喘息患者を対象に長期追跡した有名な大規模試験である。この研究は、軽症持続型喘息患者においては発症早期から低用量ICSを使うべしという道筋を立てた、喘息診療のマイルストーンともいうべき存在である。 事後解析では、喘息症状の頻度を0~1日/週(0~1日群)、1~2日/週(1~2日群)、2日超/週(2日超群)で層別化し、複合プライマリアウトカムに初回の喘息関連イベント(SARE:入院、救急受診治療、死亡)およびベースラインからの肺機能の変化(気管支拡張後)が設定された。ICSは低用量ブデソニドが用いられ、これがプラセボと比較されている。 層別化はおおむねバランスのとれた頻度で、0~1日群が31%、1~2日群が27%、2日超群が43%だった。解析の結果、どの症状頻度サブグループにおいても初回のSAREまでの期間を有意に延長させることがわかった(0~1日群:ハザード比0.54 [95%信頼区間0.34~0.86]、1~2日群:ハザード比0.60 [95%信頼区間0.39~0.93] 、2日超群:ハザード比:0.57 [95%信頼区間0.41~0.79], p=0.94)。さらに、プラセボ群と比較すると、ブデソニド群は経口あるいは全身性ステロイドを要する重症発作のリスクを減らした(0~1日群:率比0.48 [95%信頼区間0.38~0.61]、1~2日群:率比0.56 [95%信頼区間0.44~0.71]、2日超群:率比0.66 [95%信頼区間0.55~0.80]、p=0.11)。 つまり、1週間あたりの症状が少なかろうと多かろうと、この軽症喘息というくくりでみた患者のすべてが低用量ICSの恩恵を受けることは間違いないということである。「1週間に2日」という幻想に縛られていた過去を、見事に拭い去る結果となった。 喘息であれば早期からICSを導入する、という考え方は正しい。しかし、咳喘息やアトピー咳嗽などの喘息以外の好酸球性気道疾患が増えてきたうえ、喘息とCOPDがオーバーラップしているという疾患概念まで登場している。疾患診断が昔より複雑になったことは否めない。その中で、経験的にICSをホイホイと処方するようになってしまうと、医学的効果がほとんど得られないにもかかわらず、将来の肺炎リスクのみを上昇させてしまうような事態にもなりかねない。 何よりも、喘息という疾患を正しく診断することが重要なのはいうまでもない。参考1)Global Strategy for Asthma Management and Prevention. Updated 20162)喘息予防・管理ガイドライン2015. 日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会編. 協和企画.

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軽症喘息への低用量吸入ステロイドは?/Lancet

 症状発現頻度が週に0~2日の軽症喘息患者に対する低用量吸入コルチコステロイド(ICS)の投与は、症状増悪リスクを減らし、肺機能低下の予防効果もあることが示された。オーストラリア・シドニー大学のHelen K. Reddel氏らが、7,000例超の患者を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験「START」の、事後解析の結果で、Lancet誌オンライン版2016年11月29日号で発表した。ICSは、喘息増悪と死亡率の低下に非常に有効であるが、症状発現頻度の低い喘息患者は、投与の対象に含まれていない。一方で、週に2日超の患者への投与は推奨されているが、そこを基準とするエビデンスは乏しかった。初回重度喘息関連イベント発生までの期間を比較 START(Steroid Treatment As Regular Therapy)試験は、32ヵ国の医療機関を通じて、2年以内に軽症の喘息診断を受け、コルチコステロイドの定期服用歴のない、4~66歳の患者7,138例を対象に行われた。被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方には吸入ブデソニド400μg(11歳未満は200μg)/日を、もう一方の群にはプラセボが投与された。被験者は3ヵ月ごとにクリニックを受診、試験は3年間にわたって行われた。 主要評価項目は、初回重度喘息関連イベント(SARE:入院・救急外来診察・死亡)発生までの期間と、気管支拡張薬投与後の肺機能のベースラインからの変化だった。 ベースラインでの症状発現頻度により被験者をグループ化し、同評価項目との関連について分析した。重度増悪リスクもおよそ半減 ベースラインの被験者は、平均年齢24(SD15)歳、症状発現頻度は、週に0~1日が31%、1超~2日が27%、2日超が43%だった。 SARE発生までの期間は、ベースラインの症状発現頻度別の全グループで、ICS群がプラセボ群より長かった。ICS群 vs.プラセボ群のハザード比は、0~1日/週グループが0.54(95%信頼区間[CI]:0.34~0.86)、1超~2日/週グループが0.60(0.39~0.93)、2日超/週グループが0.57(0.41~0.79)だった(相互作用に関するp=0.94)。 ベースラインから3年時点の、気管支拡張剤投与後の肺機能低下もいずれもプラセボ群よりも少なかった(相互作用に関するp=0.32)。 さらに、経口・全身性コルチコステロイド投与を必要とする重度増悪の発生頻度も、すべての頻度グループで減少した(各グループの率比、0.48、0.56、0.66、相互作用に関するp=0.11)。 ICS群はプラセボ群に比べ、ベースラインの症状発現頻度にかかわらず肺機能が高く(相互作用のp=0.43)、無症状日数も有意に多かった(全3グループのp<0.0001、相互作用のp=0.53)。 これらの結果は、被験者をあらゆるガイドラインに則っていわゆる軽症持続型 vs.間欠型で層別化しても、類似していた。 著者は、「結果は、ICS投与について、週に2日超の患者という設定は支持しないものだった。軽症喘息患者に対する治療推奨は、リスク低下と症状の両方を考慮すべきであることを示唆する結果だった」とまとめている。

51.

気管支喘息への新規抗IL-5受容体抗体の治療効果は?(解説:小林 英夫 氏)-598

 気管支喘息の有病率は減少していないが、本邦での年間死亡数は20年前に7千人を超えていたものが近年は2千人以下と減じた。その最大の理由として、吸入ステロイド薬の普及が挙げられる。しかし、高用量の吸入ステロイド薬ないし吸入ステロイド+長時間作用型β2刺激薬でもコントロールに難渋する重症・難治性気管支喘息が約1割でみられる。そこで、さらなる治療効果を求め、抗IgE抗体や抗interleukin-5(IL-5)抗体が臨床に登場した。新規抗IL-5抗体benralizumabは、Il-5のアルファサブユニット(IL-5Rα)を標的とするヒト化モノクローナル抗体で、受容体結合により抗体依存性細胞障害作用を発揮し、ナチュラル・キラー細胞を介し好酸球のアポトーシスを誘導する。すでに、第II相試験で好酸球性喘息の増悪を改善する効果が得られている。本論文では、benralizumabがプラセボ群に比して年間喘息増悪を有意に抑制すると報告している。 本第III相試験(CALIMA試験)の対象は、年齢が12~75歳、中から高用量の吸入ステロイド+長時間作用性β2刺激薬治療が必要、12ヵ月以上継続、試験前12ヵ月間に2回以上の増悪、などを条件とした。Benralizumab 30mgを4週間に1回投与(Q4W群)、または8週間に1回投与(Q8W群)、プラセボ群に1対1対1の割合でランダムに割り付け、治療は56週間継続し、吸入薬はそれまで通り併用した。エントリー症例は、Q4W群425例、Q8W群441例、プラセボ群440例、脱落症例は149例(11%)であった。主要評価項目はベースライン血中好酸球数300/μL以上での、プラセボ群と比較したbenralizumab群の年間増悪率比とし、2次評価項目は気管支拡張薬投与前FEV1とtotal asthma symptom scoreとした。 結果は、プラセボ群年間増悪は0.93回(95%信頼区間0.77~1.12回)に対し、Q4W群年間増悪0.60回(0.48~0.74回)で、プラセボと比較した率比は0.64(0.49~0.85)、Q8W群年間増悪0.66回(0.54~0.82回)で率比は0.72(0.54~0.95)、といずれも有意だった。気管支拡張薬投与前FEV1のベースラインから56週までの変化量は、benralizumab群で有意に大きかった。56週時点のtotal asthma symptom scoreは、プラセボ群ではベースラインから1.16ポイント低下、Q4W群で1.28ポイント、Q8W群は1.40ポイント低下し、Q8W群で改善が有意だった。ベースラインの好酸球数はQ4W群が中央値470/μL、Q8W群は480/μLだったが、4週時にはいずれも中央値0個/μLに、56週時も0個/μLだった。著者らは、benralizumabはコントロール困難な好酸球性喘息の年間増悪率を有意に減少させたので、この治療が最も効果的な患者群を特定していきたいと結論している。 筆者の読後感として、本薬剤が8週間ごとの投与でも有効性を発揮していた点を評価したい。しかし本論文だけでは、すでに導入されている抗IL-5抗体との優劣が不明、治療レスポンダーの抽出項目が不明、薬価はどうなるのかなど、今後解明すべき問題は残されている。また、ほぼ同時かつ同一条件でbenralizumabを評価するSIROCCO試験がLancet上に掲載されているが、両試験を一括報告できていれば、より説得力のある論文になったであろうことが惜しまれる。

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重症/最重症COPD、3剤配合吸入薬の臨床効果/Lancet

 重症/最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において、吸入コルチコステロイド(ICS)+長時間作用型β2受容体刺激薬(LABA)+長時間作用型ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)の配合薬の吸入療法は、ICS+LABAよりも良好な臨床ベネフィットをもたらすことが、英国・マンチェスター大学のDave Singh氏らが実施したTRILOGY試験で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2016年9月3日号(オンライン版2016年9月1日号)に掲載された。GOLDガイドラインは、COPDの増悪歴のある患者には、LAMAまたはICS+LABAを推奨しているが、これらを行っても多くの患者が増悪を来すため、実臨床ではICS+LABA+LAMAの3剤併用療法へと治療が強化されることが多い。このレジメンを簡便化した、プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)+フマル酸フォルモテロール(FF)+グリコピロニウム臭化物(GB)の配合薬の開発が進められている。3剤配合薬の有用性を無作為化試験で評価 TRILOGYは、重症/最重症COPD患者において、BDP/FF/GBとBDP/FFの安全性と有効性を比較する二重盲検実薬対照無作為化試験(Chiesi Farmaceutici SpA社の助成による)。 対象は、年齢40歳以上、気管支拡張薬投与後の1秒量(FEV1)<50%、%FEV1<0.7で、過去1年以内に中等症~重症のCOPD増悪を1回以上発症し、COPDアセスメントテスト(CAT)スコア≧10点、ベースライン呼吸困難指数(BDI)スコア≦10点であり、スクリーニングの前に、ICS+LABA、ICS+LAMA、LABA+LAMA、LAMAによる2ヵ月以上の治療歴がある症候性COPD患者であった。 被験者は、全例が2週間の導入期間にBDP/FFの投与を受けたのち、BDP/FF/GBにステップアップする群またはBDP/FFを維持する群(加圧定量噴霧式吸入器[pMDI]を用いて1日2回吸入)に無作為に割り付けられ、52週の治療が行われた。 主要評価項目は、26週時の投与前(朝)FEV1および投与後2時間のFEV1のベースラインからの変化、呼吸困難変化指数(TDI)スコアの3つとした。副次評価項目は、52週時の中等症~重症のCOPD増悪の割合などであった。 2014年3月21日~2016年1月14日までに、14ヵ国159施設(1次医療機関:18、2次医療機関:99、3次医療機関:28、専門研究機関:14)に、1,368例が登録された。BDP/FF/GB群に687例、BDP/FF群には681例が割り付けられた。呼吸困難の改善効果には差がない 平均年齢は、BDP/FF/GB群が63.3歳、BDP/FF群は63.8歳で、男性がそれぞれ74%、77%を占めた。現在喫煙者は両群とも47%、COPD初回診断後の経過期間は両群とも7.7年であった。 26週時の投与前FEV1は、BDP/FF/GB群がBDP/FF群よりも0.081L改善し(95%信頼区間[CI]:0.052~0.109、p<0.001)、投与後2時間FEV1はBDP/FF/GB群が0.0117L改善した(95%CI:0.086~0.147、p<0.001)。これらのBDP/FF/GB群の優位性は、52週時も維持されていた(いずれも、p<0.001)。 26週時の平均TDIスコアは、BDP/FF/GB群が1.71、BDP/FF群は1.50であり、両群に有意な差は認めなかった(群間差:0.21、95%CI:-0.08~0.51、p=0.160)。 QOL評価では、26週時のSt George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)スコアの臨床的に重要な改善(ベースラインからの4単位以上の低下)の達成率は、BDP/FF/GB群が47%と、BDP/FF群の36%に比べ有意に良好であった(オッズ比[OR]:1.52、95%CI:1.21~1.91、p<0.001)。このBDP/FF/GB群の優位性は、52週時も維持されていた(43 vs.36%、OR:1.33、95%CI:1.06~1.66、p=0.014)。 中等症~重症増悪の補正年間発生頻度は、BDP/FF/GB群が0.41と、BDP/FF群の0.53に比べ有意に23%少なかった(率比:0.77、95%CI:0.65~0.92、p=0.005)。 治療関連有害事象の発現率は、BDP/FF/GB群が54%、BDP/FF群は56%であった。BDP/FF/GB群で、1例に重篤な治療関連有害事象(心房細動)が認められた。 著者は、「BDP/FF/GBは、良好な気管支拡張作用を発揮し、呼吸困難の改善効果は有意ではなかったものの、健康関連QOLおよび中等症~重症の増悪の予防効果は有意に優れた」とまとめ、「本試験は、単一の吸入器を用いた、ICS+LABAからICS+LABA+LAMAの3剤併用療法へのステップアップ治療の、臨床ベネフィットのエビデンスをもたらした初めての研究である」としている。

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コントロール不良の重症喘息にbenralizumabは有用/Lancet

 好酸球増多を伴うコントロール不良な重症喘息の治療において、benralizumabは患者アウトカムを改善する可能性があることが、米国・ウェイクフォレスト大学のEugene R Bleecker氏らが実施したSIROCCO試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年9月2日号に掲載された。重症喘息の増悪は生命を脅かし、QOLを低下させる。好酸球増多は、喘息の重症度の悪化や肺機能の低下をもたらし、喘息増悪の頻度を上昇させる。benralizumabは、インターロイキン(IL)-5受容体αに対するモノクローナル抗体であり、抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)によって好酸球を抑制するという。増悪を繰り返す重症例が対象のプラセボ対照無作為化試験 SIROCCO試験は、好酸球増多を伴うコントロール不良な重症喘息の治療におけるbenralizumabの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(AstraZeneca社、Kyowa Hakko Kirin社の助成による)。 対象は、年齢12~75歳、体重40kg以上で、登録の1年以上前に、医師によって中/高用量の吸入コルチコステロイド(ICS)+長時間作用型β2刺激薬(LABA)を要する喘息と診断され、登録前の1年以内に、コルチコステロイドの全身療法または維持量の経口コルチコステロイドの一時的な増量を要する増悪を2回以上発症した患者であった。 被験者は、標準治療に加え、benralizumab 30mgを4週ごとに投与する群、同8週ごとに投与する群(最初の3回は4週ごとに投与)、プラセボを4週ごとに投与する群に無作為に割り付けられ、48週の治療が行われた。 主要評価項目は、血中好酸球数が300個/μL以上の患者における、プラセボ群と比較した増悪の年間発症率の率比とし、主な副次評価項目は、48週時の気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)および喘息症状スコアとした。 2013年9月19日~2015年3月16日までに、17ヵ国374施設に1,204例が登録され、benralizumab 4週ごと投与群に399例、同8週ごと投与群に398例、プラセボ群には407例が割り付けられた。2つの投与法とも年間喘息増悪率が改善 ベースラインの平均年齢は、benralizumab 4週ごと投与群が50.1歳、同8週ごと投与群が47.6歳、プラセボ群は48.7歳で、女性がそれぞれ69%、63%、66%を占めた。血中好酸球数が300個/μL以上の患者は、275例、267例、267例であり、これらの患者が主要評価項目の解析の対象となった。 48週時の年間喘息増悪率は、プラセボ群に比べ4週ごと投与群(率比[RR]:0.55、95%信頼区間[CI]:0.42~0.71、p<0.0001)および8週ごと投与群(RR:0.49、0.37~0.64、p<0.0001)とも有意に低下した。 benralizumabの2つの投与レジメンは、いずれもプラセボ群に比し、48週時の気管支拡張薬投与前FEV1が有意に改善された(ベースラインからの最小二乗平均の差=4週ごと投与群:0.106L、95%CI:0.016~0.196、8週ごと投与群:0.159L、0.068~0.249)。 喘息症状は、プラセボ群に比べ8週ごと投与群(ベースラインからの最小二乗平均の差:-0.25、95%CI:-0.45~-0.06)は有意に改善したが、4週ごと投与群(同:-0.08、-0.27~0.12)では有意な差を認めなかった。 最も頻度の高い有害事象は、喘息増悪(benralizumab治療群:13%[105/797例] vs. プラセボ群:19%[78/407例])および鼻咽頭炎(12%[93/797例] vs. 12%[47/407例])であった。 著者は、「これらの知見は、benralizumabが、好酸球増多を伴うコントロール不良な重症喘息の新たな治療選択肢となることを支持するもの」と指摘している。

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新規抗好酸球抗体薬、重症喘息を約6割まで減少/Lancet

 血中好酸球数が300/μL以上で、吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬を併用(ICS+LABA)投与してもコントロール不良な重度喘息の患者に対し、開発中の抗好酸球モノクローナル抗体benralizumab(抗IL-5受容体抗体)は、喘息増悪の年間発生リスクを約6割に減少することが報告された。米国・Wake Forest School of MedicineのJ. Mark FitzGerald氏らが行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験「CALIMA」の結果で、Lancet誌オンライン版2016年9月5日号で発表された。benralizumabを4・8週間ごとに30mg投与 CALIMA試験は2013年8月~2015年3月にかけて、11ヵ国、303ヵ所の医療機関を通じて行われた。被験者は、中~高用量のICS+LABA投与でコントロール不良な重度喘息で、前年に2回以上の増悪が認められた12~75歳の患者1,306例だった。 研究グループは被験者を無作為に3群に割り付け、benralizumabを4週間ごとに30mg、8週間ごとに30mg(初回4回は4週間ごと投与)、プラセボをそれぞれ皮下注投与した。 主要評価項目は、高用量ICS+LABA投与でベースライン時血中好酸球数が300/μL以上の被験者の、喘息増悪の年間発生に関する率比だった。また、主な副次評価項目は、気管支拡張薬投与前のFEV1と、総喘息スコアだった。気管支拡張薬投与前のFEV1値も改善 被験者のうち、benralizumab投与4週ごと群は425例、8週ごと群は441例、プラセボ群は440例だった。 そのうち主要解析には728例(241例、239例、248例)が含まれた。解析の結果、同集団において、benralizumab投与4週ごと群の喘息増悪年間発生率は0.60、8週ごと群の発生率は0.66、プラセボ群の発生率は0.93だった。プラセボと比較した発生率比は、4週ごと群0.64(95%信頼区間:0.49~0.85、p=0.0018)、8週ごと群は0.72(同:0.54~0.95、p=0.0188)で、いずれも有意に低率だった。 また、気管支拡張薬投与前FEV1はbenralizumab投与4・8週ごと群ともに、総喘息スコアについては8週ごと群のみであったが、いずれも有意な改善が認められた。 忍容性も概して良好であった。最も頻度の高い有害事象は、鼻咽頭炎(4週ごと群90例[21%]、8週ごと群79例[18%]、プラセボ群92例[21%])、喘息増悪(各群61例[14%]、47例[11%]、68例[15%])だった。 著者は、「今回の試験データは、benralizumab治療の恩恵を最大限受けられる患者集団を精錬するものとなった」とまとめている。

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スピリーバ、より多くの喘息患者に

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃、以下「日本ベーリンガーインゲルハイム」)は2016年8月26日、チオトロピウム(商品名:スピリーバ レスピマット)について、気管支喘息に対する適応症拡大ならびに、新剤型の製造販売承認取得を発表した。 チオトロピウムは抗コリン作用性の長時間作用性吸入気管支拡張剤で、COPD(慢性閉塞性肺疾患)を適応としてスピリーバ吸入用カプセル18µg、スピリーバ2.5µg レスピマット60吸入が販売されている。また、気管支喘息(重症持続型の患者に限る)を適応として、スピリーバ2.5µg レスピマット60吸入が2014年11月に承認を取得している。 今回、スピリーバ2.5µg レスピマット60吸入の「重症持続型の患者に限る」の制限が削除され、気管支喘息を適応とした承認を取得した。またスピリーバ1.25µg レスピマット60吸入が新剤型として製造販売承認を取得した。 今回の適応症拡大と新剤型の製造販売承認により、スピリーバ レスピマットは症状・重症度に応じ、より多くの気管支喘息患者の治療に貢献することが可能になる。日本ベーリンガーインゲルハイムのプレスリリースはこちら

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喘息の発症時期、早いほうがより重症?

 小児発症喘息と成人発症喘息を比較した場合、小児発症喘息のほうが成人期の肺機能への影響が大きいことが、オーストラリア・メルボルン大学のTan DJ氏らにより報告された。Thorax誌オンライン版2016年6月14日号掲載の報告。 これまでに、小児発症喘息と成人発症喘息の違いは、前向き研究のデータを用いて包括的に評価されたことはなかった。本研究では、タスマニア縦断研究(TAHS)のデータを用いて小児発症喘息と成人発症喘息の特徴の違いが検討された。1968年、対象者が7歳のときに一度目の呼吸器系の病歴調査およびスパイロメトリーが行われた(n=8583)。その後、2002年から2005年までに行われた対象者の追跡・再調査において、喘息と気管支炎を進展した成人患者1,389例を研究対象者とした。 主な結果は以下のとおり。・全TAHSコホートのうち、7.7%(95%信頼区間[CI]:6.6~9.0%)が小児発症喘息、7.8%(95%CI:6.4~9.4%)が成人発症喘息であった。・アトピーや家族歴のある患者は小児発症喘息でより多くみられ、成人発症喘息では女性・喫煙者・社会経済状況の低い患者が多くみられた。・一秒率の低下は小児発症患者のほうがより大きかった(気管支拡張薬使用前の小児発症・成人発症患者の低下率の差:-2.8%[95% CI:-5.3~-0.3]、気管支拡張薬使用後の差:-2.6%、[95%CI:-5.0~-0.1])。・喘息の重症度および喘息スコアには、発症年齢による有意差がみられなかった。・喘息と喫煙の間には交互作用がみられ、成人発症喘息患者の不可逆性気流閉塞の程度が喫煙と関連していることが示された。しかし、小児発症喘息患者ではこの交互作用はみられなかった。

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気管支内コイル治療は重症肺気腫患者の運動耐容能を改善させるのか?(解説:山本 寛 氏)-549

 本研究は、肺気腫に対する気管支内コイル治療の効果と安全性を検討するため、2012年12月から2015年11月まで、北米21施設、欧州5施設が参加して315例を対象に行われた。患者は、ガイドラインに準拠した通常ケア(呼吸器リハビリテーション、気管支拡張薬の投与)のみを行う群(n=157)と、これに加えて両側気管支内にコイル治療を行う群(n=158)とに無作為に割り付けている。コイル治療群では、2回の治療を4ヵ月間隔で行い、1肺葉当たり10から14個のコイルを気管支鏡を用いて埋め込んだ。治療前と治療12ヵ月後の6分間歩行距離の変化を主要評価項目とし、6分間歩行距離の改善割合、SGRQ (St. George’s Respiratory Questionnaire)を用いたQOL(Quality of Life)の変化、そして1秒量の変化率がそれぞれ副次評価項目として設定されている。 その結果、6分間歩行距離の12ヵ月間での変化量はコイル治療群で+10.3m、通常ケア群で-7.6mであった。その群間差は14.6m(97.5%CI:0.4m~∞、片側p値:0.02)であり、有意にコイル治療群で優れていた。1秒量の変化率は中央値で7.0%(97.5%CI:3.4%~∞、片側p値0.01)であり、やはりコイル治療群で大きな改善が示された。SGRQスコアの群間差は-8.9ポイント(97.5%CI:-∞~-6.3ポイント、片側p値<0.001)で、コイル治療群において有意な改善が示された。 一方、コイル治療群において主要な合併症が34.8%も発生している。通常ケア群においては19.1%であり、コイル治療群では有意に合併症の頻度が高かった(p=0.002)。コイル治療群では、肺炎が20%(通常ケア群では4.5%)、気胸が9.7%(通常ケア群では0.6%)とそれぞれ有意に高頻度に認められた。 以上の結果から、肺気腫患者に対する気管支内コイル治療が、6分間歩行距離やQOL、肺機能の改善に有効であると結論することは早計である。主たる評価項目である6分間歩行距離の改善はわずかであり、設定されたMCID(minimal clinical important difference)=29mを超えるものではない。しかも、重大な合併症の頻度も高く、長期的な効果についても不明である。 しかし、本研究には残気量が予測値の225%以上という高度のair trappingを示す肺気腫症例が多く(235例)登録されている。探索的評価項目のうち、残気量と残気率に関しては、コイル治療を行うことによってそれぞれ0.31Lの減少、3.5%の減少が得られている。サブグループ解析の結果、air trappingが225%以上と高度で、heterogeneousな気腫症例においては、6分間歩行距離で+29.1m、1秒量で+12.3%、SGRQで-10.1ポイントと、臨床的にも意味のある効果が示されている。今後は、本治療法の長期効果についての追加報告がなされること、またheterogeneousな気腫分布を示す、air trappingが高度な肺気腫を調査対象としたランダム化比較試験が行われることが期待される。

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喘息様症状、COPD増悪に影響せず

 喘息様症状を有するCOPD患者は、適切な治療の下では良好な臨床経過をたどることが、北海道大学医学部の鈴木 雅氏により報告された。American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌オンライン版2016年5月25日号掲載の報告。 COPD患者の中には、喘息の臨床的診断こそつかないものの、喘息様症状を有する患者が存在する。しかし、こうした喘息様症状とCOPDが重複する病態の臨床的意義は明確ではない。本研究では、北海道COPDコホート研究による10年間の追跡結果を用いて、適切な治療を行った場合に喘息様症状がCOPD患者の臨床経過にどのような影響をもたらすのかを評価した。 対象者は、呼吸器専門医によって喘息ではないと診断されたCOPD患者268例であった。喘息様症状には、気管支拡張薬による可逆性(ΔFEV1≧12% かつ ≧200mL)、血中好酸球の増多(≧300/μL)、アトピー(抗原吸入に対するIgE陽性反応)を含めた。初めの5年間は毎年、気管支拡張薬吸入後のFEV1変化率およびCOPDの増悪を観察し、死亡率は10年間を通して追跡した。 主な結果は以下のとおり。・全対象者のうち、57例(21%)が気管支拡張薬による可逆性、52例(19%)が血中好酸球の増多、67例(25%)がアトピーを持っていた。・気管支拡張薬吸入後のFEV1年間低下速度は、血中好酸球の増多がみられた患者で有意に遅かった。気管支拡張薬による可逆性とアトピーは影響しなかった。・いずれの喘息様症状も、COPD増悪との関連はみられなかった。喘息様症状が複数ある場合でも、気管支拡張薬吸入後のFEV1低下とCOPD増悪率は喘息様症状が1つ以下の患者と同様であったが、10年死亡率は喘息様症状が1つ以下の患者と比べて有意に低かった。■「COPD増悪」関連記事COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet(ケアネット 細川 千鶴)【訂正のお知らせ】本文内の表記に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2016年6月15日)。

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重症肺気腫、両側気管支内コイル治療で運動耐性が向上/JAMA

 重症エアトラッピングが認められる肺気腫患者に対し、気管支拡張薬などによる標準的治療に加え両側気管支内コイル治療を行うと、標準的治療のみに比べ、6分間歩行などのアウトカムの改善に有効であることが判明した。一方で、重篤合併症の発生率は、コイル治療群で高かった。米国・ピッツバーグ大学のFrank C. Sciurba氏らが、315例を対象に行った無作為化比較試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、さらなる検討を行い、健康アウトカムへの長期的影響を調べる必要があるとまとめている。JAMA誌2016年5月24・31日号(オンライン版2016年5月15日号)掲載の報告。12ヵ月後の6分間歩行距離の変化を比較 研究グループは2012年12月~2015年11月にかけて、北米21ヵ所、欧州5ヵ所の医療機関を通じて、重症エアトラッピングが認められる肺気腫患者315例を対象に、無作為化比較試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方の157例には肺リハビリテーションや気管支拡張薬を含むガイドラインに則した標準的治療を、もう一方の158例には標準的治療に加え両側気管支内コイル治療をそれぞれ行い、アウトカムを比較した。気管支内コイル治療では、4ヵ月間隔で2回の連続的処置を行い、一肺葉に気管支鏡で10~14コイルを装着した。 主要評価項目は、ベースラインから12ヵ月後の6分間歩行距離の絶対差だった。副次評価項目は、6分間歩行改善率、呼吸器疾患に関するQOL指標「St George’s Respiratory Questionnaire」(SGRQ)の変化幅、1秒量(FEV1)のベースラインからの改善幅それぞれに関する群間差などだった。 被験者の平均年齢は64歳、女性は52%だった。6分間歩行距離の改善、コイル治療群が標準治療群より14.6m延長 12ヵ月の追跡を終えたのは、被験者のうち90%だった。 その結果、6分間歩行距離のベースラインからの改善は、標準治療群が-7.6mだったのに対し、コイル治療群は10.3mと、群間差は14.6mだった(Hodges-Lehmann推定97.5%信頼区間:0.4~∞、片側検定p=0.02)。 6分間歩行距離の改善が25m以上だったのは、通常治療群が26.9%に対し、コイル治療群では40.0%と、有意に高率だった(オッズ比:1.8、同:1.1~∞)。補正前群間差は11.8%だった(片側検定p=0.01)。 FEV1中央値変化の群間差は7.0%、SGRQ変化の群間差は-8.9ポイントと、いずれもコイル治療群で有意な改善が認められた(いずれもp<0.001)。 一方で、入院を要する肺炎などの重篤な合併症の発生率は、通常治療群19.1%に対しコイル治療群は34.8%と有意に高率だった(p=0.002)。 その他の重篤有害作用としては、肺炎が4.5%、20%、気胸が0.6%、9.7%と、いずれもコイル治療群で高率だった。

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COPDの基準を満たさない喫煙者は健康なのか?(解説:倉原 優 氏)-536

 COPDを診断する際、誰もが知っているように1秒率70%未満という呼吸機能検査上の診断基準がある1)。ただし、この診断は絶対ではない。COPDの診断基準を満たさない一般人でも、COPDと同じような臨床経過をたどる一群が存在する。たとえば、胸部CTで明らかに気腫肺があっても、10人に1人はGOLD基準あるいはATS/ERS基準(LLN)のいずれのCOPDの診断基準も満たさないという報告すらある2)。 つまり、未診断のCOPDだけでなく、診断基準という枠組みから漏れたCOPDのような患者(本当はCOPDと同じ病理学的変化が起こっているのに病的でないと判断されたCOPD予備軍)がいるのは間違いない※。 今回のWoodruff氏らの報告は、喫煙歴のある人と喫煙歴のない人に対してCATスコアおよびスパイロメトリーを実施した観察研究で、「COPDの診断基準を満たさないものの呼吸器症状がある人(CATスコア10点以上)は健康なのかどうか」を調べたものである。COPDの診断基準を満たさない、というのは具体的には1秒率が70%以上で努力性肺活量が正常下限値を上回るということである。GOLD I期の軽症例であっても呼吸器症状を呈さない患者がいる中で、非COPD例でも呼吸器症状を呈する人がいるという不可解な現状に一石を投じてくれる臨床試験だ。 その結果、喫煙歴を有する有症状の非COPDの人は、呼吸機能悪化率が無症状者や非喫煙者と比べて有意に高いことがわかった。また、有症状の喫煙者では活動制限が大きいことも明らかになった。つまり、間違いなく一般人の中にCOPD予備軍が存在するということである。 実臨床でもこうした患者をよく診る。COPDにマッチした強い呼吸器症状があるにもかかわらず、何度測定しても1秒率が70%を下回らないのだ。この研究でも多くの患者が気管支拡張薬を処方されていたが、日本のプライマリケアでも同様の結果になるかもしれない。こうした安易な吸入薬の処方が、「現場は至極柔軟に対応している」と評価されるべきなのか、「不適切な治療をしている」と非難されるものなのか、答えはまだない。 ※この研究に照らし合わせると、「smokers with preserved pulmonary function」という呼び方が妥当なのだろう。「COPD with preserved pulmonary function」のほうがわかりやすいかと思ったが、これだと用語自体が定義上矛盾してしまう。

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