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咳嗽・喀痰の診療GL改訂、新規治療薬の位置付けは?/日本呼吸器学会

 咳嗽・喀痰の診療ガイドラインが2019年版以来、約6年ぶりに全面改訂された。2025年4月に発刊された『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025』1)では、9つのクリニカル・クエスチョン(CQ)が設定され、初めてMindsに準拠したシステマティックレビューが実施された。今回設定されたCQには、難治性慢性咳嗽に対する新規治療薬ゲーファピキサントを含むP2X3受容体拮抗薬に関するCQも含まれている。また、本ガイドラインは、治療可能な特性を個々の患者ごとに見出して治療介入するという考え方である「treatable traits」がふんだんに盛り込まれていることも特徴である。第65回日本呼吸器学会学術講演会において、本ガイドラインに関するセッションが開催され、咳嗽セクションのポイントについては新実 彰男氏(大阪府済生会茨木病院/名古屋市立大学)が、喀痰セクションのポイントについては金子 猛氏(横浜市立大学大学院)が解説した。喘息の3病型を「喘息性咳嗽」に統一、GERDの治療にP-CABとアルギン酸追加 咳嗽の治療薬について、「咳嗽治療薬の分類」の表(p.38、表2)が追加され、末梢性鎮咳薬としてP2X3受容体拮抗薬が一番上に記載された。また、中枢性と末梢性をまたぐ形で、ニューロモデュレーター(オピオイド、ガバペンチン、プレガバリン、アミトリプチリンが含まれるが、保険適用はモルヒネのみ)が記載された。さらに、今回からは疾患特異的治療薬に関する表も追加された(p.38、表3)。咳喘息について、前版では気管支拡張薬を用いることが記載されていたが、改訂版の疾患特異的治療薬に関する表では、β2刺激薬とロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)が記載された。なお、抗コリン薬が含まれていない理由について、新実氏は「抗コリン薬は急性ウイルス感染や感染後の咳症状などに効果があるというエビデンスもあり、咳喘息に特異的ではないためここには記載していない」と述べた。 咳症状の観点による喘息の3病型として、典型的喘息、咳優位型喘息、咳喘息という分類がなされてきた。しかし、この3病型には共通点や連続性が存在し、基本的な治療方針も変わらないことから、1つにまとめ「喘息性咳嗽」という名称を用いることとなった。ただし、狭義の慢性咳嗽には典型的喘息、咳優位型喘息を含まないという歴史的背景があり、咳だけを呈する喘息患者の存在が非専門医に認識されるためには「咳喘息」という名称が有用であるため、フローチャートでの記載や診断基準は残している。 咳喘息の診断基準について、今回の改訂では3週間未満の急性咳嗽では安易な診断により過剰治療にならないように注意することや、β2刺激薬は咳喘息でも無効の場合があるため留意すべきことが記されている。後者について新実氏は「β2刺激薬に効果がみられない場合は咳喘息を否定するという考えが見受けられるため、注意喚起として記載している」と指摘した。 喘息性咳嗽について、前版では軽症例には中用量の吸入ステロイド薬(ICS)単剤で治療することが記載されていたが、喘息治療においてはICS/長時間作用性β2刺激薬(LABA)が基本となるため、本ガイドラインでも中用量ICS/LABAを基本とすることが記載された。ただし、ICS+長時間作用性抗コリン薬(LAMA)やICS+LTRA、中用量ICS単剤も選択可能であることが記載された。また、本ガイドラインの特徴であるtreatable traitsを考慮しながら治療を行うことも明記されている。 胃食道逆流症(GERD)については、GERDを疑うポイントとしてFSSG(Fスケール)スコア7点以上、HARQ(ハル気道逆流質問票)スコア13点以上が追加された。また、治療についてはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)とアルギン酸が追加されたほか、treatable traitsへの対応を十分に行わないと改善しにくいことも記載されている。難治性慢性咳嗽に対する唯一の治療薬ゲーファピキサント 難治性慢性咳嗽は、治療抵抗性慢性咳嗽(Refractory Chronic Cough:RCC)、原因不明慢性咳嗽(Unexplained Chronic Cough:UCC)からなることが記されている。本邦では、RCC/UCCに適応のある唯一の治療薬が、選択的P2X3受容体拮抗薬のゲーファピキサントである。本ガイドラインでは、RCC/UCCに対するP2X3受容体拮抗薬に関するCQが設定され、システマティックレビューの結果、ゲーファピキサントはLCQ(レスター咳質問票)合計スコア、咳VASスコア、24時間咳嗽頻度を低下させることが示された。ガイドライン作成委員の投票の結果、使用を弱く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])こととなった。 慢性咳嗽のtreatable traitsとして、気道疾患、GERD、慢性鼻副鼻腔炎などの12項目が挙げられている。このなかの1つとして、咳過敏症も記載されている。慢性咳嗽患者の多くはtreatable traitsとしての咳過敏症も有しており、このことを見過ごして行われる原因疾患のみの治療は、しばしば不成功に終わることが強調されている。新実氏は「原因疾患に対する治療をしたうえで、P2X3受容体拮抗薬により咳過敏症を抑えることで咳嗽をコントロールできる患者も実際にいるため、理にかなっているのではないかと考えている」と述べた。国内の専門施設では血痰・喀血の原因は年齢によって大きく異なる 前版のガイドラインは、世界初の喀痰診療に関するガイドラインとして作成されたが、6年ぶりの改訂となる本ガイドラインも世界唯一のガイドラインであると金子氏は述べる。 喀痰に関するエビデンスは少なく、前版の作成時には、とくに国内のデータが不足していた。そこで、本ガイドラインの改訂に向けてエビデンス創出のために多施設共同研究を3研究実施し(1:血痰と喀血の原因疾患、2:膿性痰の色調と臨床背景、3:急性気管支炎に対する抗菌薬使用実態)、血痰と喀血の原因疾患に関する研究の成果が英語論文として2件報告されたことから、それらのデータが追加された。 血痰と喀血の原因疾患として、前版では英国のプライマリケアのデータが引用されていた。このデータは海外データかつプライマリケアのデータということで、本邦の呼吸器専門施設で遭遇する疾患とは異なる可能性が考えられていた。そこで、国内において呼吸器専門施設での原因を検討するとともに、プライマリケアでの原因も調査した。 本邦での調査の結果、プライマリケアでの血痰と喀血の原因疾患の上位4疾患は急性気管支炎(39%)、急性上気道感染(15%)、気管支拡張症(13%)、COPD(7.8%)であり2)、英国のプライマリケアのデータ(1位:急性上気道感染[35%]、2位:急性下気道感染[29%]、3位:気管支喘息[10%]、4位:COPD[8%])と上位2疾患は急性気道感染という点、4位がCOPDという点で類似していた。 一方、本邦の呼吸器専門施設での血痰と喀血の原因疾患の上位3疾患は、気管支拡張症(18%)、原発性肺がん(17%)、非結核性抗酸菌(NTM)症(16%)であり、プライマリケアでの原因疾患とは異なっていた。また「呼吸器専門施設では年齢によって、原因疾患が大きく異なることも重要である」と金子氏は指摘する。たとえば、20代では細菌性肺炎が多く、30代では上・下気道感染、気管支拡張症が約半数を占め、40~60代では肺がんが多くなっていた。70代以降では肺がんは1位にはならず、70代はNTM症、80代では気管支拡張症、90代では細菌性肺炎が最も多かった3)。また、80代以降では結核が上位にあがって来ることも注意が必要であると金子氏は指摘した。近年注目される中枢気道の粘液栓 最近のトピックとして、閉塞性肺疾患における気道粘液栓が取り上げられている。米国の重症喘息を対象としたコホート研究「Severe Asthma Research program」において、中枢気道の粘液栓が多発していることが2018年に報告され、その後COPDでも同様な病態があることも示されたことから注目を集めている。粘液栓形成の程度は粘液栓スコアとして評価され、著明な気流閉塞、増悪頻度の増加、重症化や予後不良などと関連していることも報告されており、バイオマーカーとして期待されている。ただし、課題も存在すると金子氏は指摘する。「評価にはMDCT(multidetector row CT)を用いて、一つひとつの気管支をみていく必要があり、現場に普及させるのは困難である。そのため、現在はAIを用いて粘液スコアを評価するなど、さまざまな試みがなされている」と、課題や今後の期待を述べた。CQのまとめ 本ガイドラインにおけるCQは以下のとおり。詳細はガイドラインを参照されたい。【CQ一覧】<咳嗽>CQ1:ICSを慢性咳嗽患者に使用すべきか慢性咳嗽患者に対してICSを使用しないことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:D[非常に弱い])CQ2:プロトンポンプ阻害薬(PPI)をGERDによる咳嗽患者に推奨するかGERDによる咳嗽患者にPPIを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])CQ3-1:抗コリン薬は感染後咳嗽に有効か感染後咳嗽に吸入抗コリン薬を勧めるだけの根拠が明確ではない(推奨度決定不能)(エビデンスの確実性:D[非常に弱い])CQ3-2:抗コリン薬は喘息による咳嗽に有効か喘息による咳嗽に吸入抗コリン薬を弱く推奨する(エビデンスの確実性:D[非常に弱い])CQ4:P2X3受容体拮抗薬はRefractory Chronic Cough/Unexplained Chronic Coughに有効かP2X3受容体拮抗薬はRefractory Chronic Cough/Unexplained Chronic Coughに有効であり、使用を弱く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])<喀痰>CQ5:COPDの安定期治療において喀痰調整薬は推奨されるかCOPDの安定期治療において喀痰調整薬の投与を弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])CQ6:COPDの安定期治療においてマクロライド少量長期投与は有効かCOPDの安定期治療においてマクロライド少量長期投与することを弱く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])CQ7:喘息の安定期治療においてマクロライド少量長期療法は推奨されるか喘息の安定期治療においてマクロライド少量長期療法の推奨度決定不能である(エビデンスの確実性:C[弱い])CQ8:気管支拡張症(BE)に対してマクロライド少量長期療法は推奨されるかBEに対してマクロライド少量長期療法を強く推奨する(エビデンスの確実性:A[強い])

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好酸球数高値COPD、メポリズマブで中等度/重度の増悪低減/NEJM

 インターロイキン-5(IL-5)は好酸球性炎症において中心的な役割を担うサイトカインであり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の20~40%に好酸球性炎症を認める。メポリズマブはIL-5を標的とするヒト化モノクローナル抗体である。米国・ピッツバーグ大学のFrank C. Sciurba氏らMATINEE Study Investigatorsは、「MATINEE試験」において、好酸球数が高値のCOPD患者では、3剤併用吸入療法による基礎治療にプラセボを併用した場合と比較してメポリズマブの追加は、中等度または重度の増悪の年間発生率を有意に低下させ、増悪発生までの期間が長く、有害事象の発現率は同程度であることを示した。研究の成果は、NEJM誌2025年5月1日号に掲載された。25ヵ国の無作為化プラセボ対照第III相試験 MATINEE試験は、血中好酸球数が高値で、増悪リスクのあるCOPD患者における3剤吸入療法へのメポリズマブ追加の有効性と安全性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年10月~2023年8月に25ヵ国344施設で患者を募集した(新型コロナウイルス感染症のため2020年3月23日~6月9日まで募集を中断)(GSKの助成を受けた)。 スクリーニング時に年齢40歳以上で、少なくとも1年前にCOPDの診断を受け、増悪の既往歴を有し、3剤吸入療法(吸入ステロイド薬、長時間作用型β2刺激薬、長時間作用型抗コリン薬)を3ヵ月以上受け、血中好酸球数≧300/μLの患者804例(平均[±SD]年齢66.2[±8.0]歳、女性31%)を修正ITT集団として登録した。 被験者を、4週ごとにメポリズマブ(100mg)を皮下投与する群(403例)、またはプラセボ群(401例)に無作為に割り付け、52~104週間投与した。 主要エンドポイントは、中等度または重度の増悪の年間発生率であった。治療への反応性には差がない 重度増悪の既往歴はメポリズマブ群で22%、プラセボ群で19%の患者に認めた。全体の25%の患者が過去または現在、心疾患の診断を受けており、72%が心血管疾患のリスク因子を有していた。平均曝露期間は両群とも約15ヵ月だった。 中等度または重度の増悪の年間発生率は、プラセボ群が1.01件/年であったのに対し、メポリズマブ群は0.80件/年と有意に低かった(率比:0.79[95%信頼区間[CI]:0.66~0.94]、p=0.01)。 また、副次エンドポイントである中等度または重度の増悪の初回発生までの期間中央値(Kaplan-Meier法)は、プラセボ群の321日と比較して、メポリズマブ群は419日であり有意に長かった(ハザード比:0.77[95%CI:0.64~0.93]、p=0.009)。 治療への反応性(QOLの指標としてのCOPDアセスメントテスト[CAT:0~40点、高スコアほど健康状態が不良であることを示す]のスコアが、ベースラインから52週目までに2点以上低下した場合)を認めた患者の割合は、メポリズマブ群が41%、プラセボ群は46%であり(オッズ比:0.81[95%CI:0.60~1.09])、両群間に有意な差はなかったため、階層的検定に基づきこれ以降の副次エンドポイントの評価に関して統計学的検定を行わなかった。MACEは両群とも3例に発現 投与期間中およびその後に発現した有害事象の割合は、メポリズマブ群で75%、プラセボ群で77%であった。投与期間中に発生した重篤な有害事象・死亡の割合はそれぞれの群で25%および28%であり、投与期間中およびその後の死亡の割合は両群とも11%(3例)だった。投与期間中およびその後に発生した主要有害心血管イベント(MACE:心血管死、非致死性の心筋梗塞・脳卒中、致死性または非致死性の心筋梗塞・脳卒中)は、両群とも11%(3例)に認めた。 著者は、「これらの知見は、ガイドラインに基づく維持療法のみを受けている患者に対して、メポリズマブ治療は付加的な有益性をもたらすことを示している」「先行研究と本試験の結果を統合すると、選択されたCOPD患者における2型炎症を標的とする個別化治療の妥当性が支持される」「増悪関連のエンドポイントはメポリズマブ群で良好であったが、CAT、St. George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)、Evaluating Respiratory Symptoms in COPD(E-RS-COPD)、気管支拡張薬投与前のFEV1検査で評価した治療反応性は両群間に実質的な差を認めなかったことから、これらの原因を解明するための調査を要する」としている。

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気管支拡張症、DPP-1阻害薬brensocatibが有用/NEJM

 気管支拡張症患者において、経口可逆的ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP-1)阻害薬brensocatib 10mgまたは25mgの1日1回投与は、プラセボと比較して肺疾患増悪の発生率を低下させ、25mg群ではプラセボと比較して1秒量(FEV1)の低下が少ないことが、英国・ダンディー大学のJames D. Chalmers氏らASPEN Investigatorsが35ヵ国390施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「ASPEN試験」の結果で示された。気管支拡張症において好中球性炎症は増悪および病勢進行リスクの増大と関連しており、brensocatibは好中球性炎症の主要なメディエーターである好中球セリンプロテアーゼを標的としている。気管支拡張症成人患者を対象とした第II相試験では、brensocatib 10mgまたは25mgの1日1回24週間投与により、プラセボと比較して、初回増悪までの期間延長および増悪率の低下が示されていた。NEJM誌2025年4月24日号掲載の報告。肺疾患増悪発生率をbrensocatib 10mg群と25mg群、プラセボ群で比較 研究グループは、スクリーニング前12ヵ月間に少なくとも2回の増悪を呈しスクリーニング時のBMIが18.5以上の18~85歳(成人)、ならびにスクリーニング前12ヵ月間に少なくとも1回の増悪を呈しスクリーニング時の体重が30kg以上の12~17歳(青少年)の気管支拡張症患者を、brensocatib 10mg群、25mg群またはプラセボ群に、成人では1対1対1、青少年では2対2対1の割合で無作為に割り付け、1日1回投与した。 主要エンドポイントは52週間における年率換算した肺疾患増悪発生率(1年当たりのイベント数)であり、副次エンドポイントは階層的検定順序に基づいた、52週間における初回増悪までの期間、52週間無増悪の患者の割合、52週時の気管支拡張薬投与後のFEV1のベースラインからの変化量、重度肺疾患増悪の年率換算した発生率、およびQOLの変化(成人のみ)とした。brensocatib群で肺疾患増悪発生率が有意に低下 2020年11月~2023年3月に1,767例が無作為に割り付けられ、brensocatibまたはプラセボを投与された1,721例(成人1,680例、青少年41例)がITT集団となった(brensocatib 10mg群583例、25mg群575例、プラセボ群563例)。 年率換算した肺疾患増悪発生率は、brensocatib 10mg群1.02、25mg群1.04、プラセボ群1.29であり、プラセボ群に対する発生率比はbrensocatib 10mg群で0.79(95%信頼区間[CI]:0.68~0.92、補正後p=0.004)、25mg群で0.81(0.69~0.94、p=0.005)であった。 初回増悪までの期間のハザード比(HR)は、10mg群0.81(95%CI:0.70~0.95、補正後p=0.02)、25mg群0.83(0.70~0.97、p=0.04)であった。また、52週間無増悪の患者の割合は、brensocatib各群48.5%(10mg群283/583例、25mg群279/575例)に対しプラセボ群40.3%(227/563例)であり、HRは10mg群で1.20(95%CI:1.06~1.37、補正後p=0.02)、25mg群で1.18(1.04~1.34、p=0.04)であった。 52週時のFEV1のベースラインからの低下(平均値±標準誤差)は、brensocatib 10mg群50±9mL、25mg群24±10mL、プラセボ群62±9mLで、プラセボ群との最小二乗平均差は10mg群11mL(95%CI:-14~37、補正後p=0.38)、25mg群38mL(11~65、p=0.04)であった。 有害事象の発現率は、brensocatib群で過角化の発現率が高かったことを除き、両群で同様であった。

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喘息の検査には時間帯や季節が影響する

 喘息の診断に用いられる気道可逆性検査の精度は、実施する時間帯、季節により異なる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。研究グループは、定期的な喘息検査は午前中に行う方が信頼性の高い結果を得られる可能性があるとしている。英ロイヤル・パプワース病院NHS財団トラストのBen Knox-Brown氏らによるこの研究結果は、「Thorax」に3月11日掲載された。 典型的な喘息の検査は、2段階のプロセスで行われると研究グループは説明する。まず、患者はチューブを通してできるだけ深く息を吸い、次にできるだけ強く、速く息を吐くように指示される。患者の肺の中を出入りする息は、肺機能を測定する装置であるスパイロメーターにより測定される。次に、患者は即効性の気管支拡張薬を吸入してから、同じ呼吸テストを行う。2回目の結果が1回目よりも良好である場合、つまり気管支拡張薬反応性が認められた場合は、テスト前にすでに気道が狭くなっていたことを意味し、患者が喘息であることが示唆される。 今回の研究でKnox-Brown氏らは、2016年1月1日から2023年12月31日の間に喘息の検査を受けた18歳以上の患者1,620人(平均年齢53.2歳、女性62%)のデータを後ろ向きに解析し、検査が行われた時間帯や季節と喘息の診断との関連を検討した。 その結果、午前8時30分から検査を開始した場合、開始時間が1時間遅くなるごとに、気管支拡張薬反応性を示すオッズが8%ずつ低下することが示唆された(オッズ比0.92、95%信頼区間0.88〜0.97)。検査する時間帯を午前と午後に分けて解析した場合でも同様の傾向が見られ、午後の方が気管支拡張薬反応性を示すオッズが低かった(同0.68、0.54~0.85)。季節別に見ると、秋に検査を受けた場合には冬に受けた場合と比べて気管支拡張薬反応性を示すオッズが33%低かった(同0.67、0.48〜0.92)。 研究グループは、喘息薬の効果が午後よりも午前の方が高いことは知られていたが、これらの結果には驚かされたという。Knox-Brown氏は、「喘息発作のリスクが昼と夜で違うことから、肺機能検査に対する反応にも違いがあると予想していたが、その大きさには驚かされた」と話す。同氏は、「この結果は重要な意味を持つ可能性がある。午前中に検査を行えば、午後に行うよりも患者の薬に対する反応をより確実に知ることができる。これは喘息などの診断を確定する際に重要だ」と英ケンブリッジ大学のニュースリリースの中で述べている。 論文の上席著者である、ケンブリッジ大学のAkhilesh Jha氏は、「この違いの背景には、複数の要因が関与している可能性が高い」と指摘する。同氏は、「われわれの体には体内時計と呼ばれる自然なリズムが備わっている。例えば、1日を通して、体内のさまざまなホルモンのレベルは上下するし、免疫システムの働きも異なる。これらの要因の全てが、人々が肺機能検査にどう反応するかに影響を与える可能性がある」と話す。 Jha氏は、このような体内時計による影響のエビデンスは、医学の他の分野でも認められていると指摘する。同氏は、「例えば、ワクチン接種を午前に受けるか午後に受けるかによって反応が異なることが知られている。われわれの研究結果は、この考えをさらに裏付けるものだ。一般的に行われている喘息の検査結果を解釈する際には、検査実施の時間帯や時期を考慮する必要があるのかもしれない」と述べている。

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「血痰は喀血」、繰り返す喀血は軽症でも精査を~喀血診療指針

 本邦初となる喀血診療に関する指針「喀血診療指針」が、2024年11月に日本呼吸器内視鏡学会の学会誌「気管支学」に全文掲載された。そこで、喀血ガイドライン作成ワーキンググループ座長の丹羽 崇氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 兼 喀血・肺循環・気管支鏡治療センター長)に、本指針の作成の背景やポイントなどを聞いた。喀血を体系的にまとめた指針は世界初 「喀血診療の現場では、長年にわたって公式な診療指針が存在せず、個々の医師が経験と知識を基に対応していたことに、大きなジレンマを感じていた」と丹羽氏は述べる。自身でカテーテル治療や内視鏡治療を行うなかで、より体系的な診療指針の必要性を実感していたところ、日本呼吸器内視鏡学会の大崎 能伸理事長(当時)より「ガイドラインを作ってみないか」と声をかけられたことから、喀血ガイドライン作成ワーキンググループが立ち上がり、作成が始まったとのことである。 「喀血という症候に焦点を当てて体系的にまとめているものは、本指針が世界で初めてである」と強調する。本指針は、日本IVR学会の協力のもとで作成されており、放射線科、呼吸器外科、呼吸器内科、救急集中治療の専門医が集まり、集学的に作成されたことから、非常に大作となっている。 なお「ガイドライン」ではなく「指針」となっている点について、「エビデンスが不足している領域が多く、Mindsのガイドライン作成方法に則った作成が困難であったことから、エキスパートオピニオンとして指針という形で作成した」と述べた。軽症喀血を「ティシューで処理可能」とするなど、わかりやすい表現に 本指針では、「血痰」や「小喀血」と表現されるものも「喀血」としている。これについては、「血痰」という表現は日本独自のものであり国際的には用いられていないこと、本指針を英文誌にも掲載して国際的なスタンダードを作成していきたい意向があることなどから、すべて「喀血」として統一したとのことである。 「本指針は専門医だけでなく、非専門医や看護師、救急相談センターの方々にも使っていただくことを想定して作成した」と丹羽氏は語る。そのため、喀血の重症度の表現を軽症喀血であれば「大さじ1杯」「ティシューで処理可能」など、わかりやすい表現としている。このような表現を用いることで「患者にわかりやすく説明可能となり、患者からの話を重症度に結びつけることができるほか、トリアージの場面などにも活用できるのではないか」と述べた。重症度の定義は以下のとおり。<重症喀血>200mL以上(コップ1杯)、または酸素飽和度90%以下<中等症喀血>15mL/日以上200mL/日未満、またはティシューで処理できない量<軽症喀血>15mL/日未満(大さじ1杯)、ティシューで処理可能 本指針では、重症度分類に入院適応と気管支動脈塞栓術(BAE)の適応をリンクさせていることも特徴である。中等症喀血であれば入院は相対適応、BAEも相対適応となっており、軽症喀血では入院については外来レベルとしているが、BAEは慎重適応とし、軽症喀血でもBAEを否定していない。肺非結核性抗酸菌症が増加 喀血というと、結核の印象を持たれる方もいるのではないだろうか。しかし、現在は肺非結核性抗酸菌症(NTM症)が増加している。喀血の原因疾患としては、肺NTM症、肺アスペルギルス症、気管支拡張症が多く、喫煙者にも多いという。本指針では、これらの疾患の概要や治療方法などと共に、喀血との関係についても記載しているため、ぜひ一読されたい。喀血患者は開業医のもとに眠っている 「喀血患者は開業医の先生方のところに多く眠っている」と丹羽氏は語る。「喀血をみたら、原因を精査していただきたい。胸部X線検査ではわからないような微細な変化で喀血を繰り返している人も多いため、喀血を繰り返す場合は、軽症であっても経過観察ではなく精査・加療の対象になると考えてほしい。軽症であってもQOLにも影響し、患者は外出が億劫になったり、お風呂に入るのを控えたりする場合もある」。 また、喀血が原因で抗血小板薬や抗凝固薬などの服用を中断しているケースも散見されるという。これについて「喀血が原因で本来必要な薬剤の服用をやめてしまわないように、BAEなども考慮してほしい。そのため、本指針では軽症喀血であってもBAEを適応なしとせず、慎重適応としている」と述べた。「開業医の先生方にこそ読んでいただきたい」 本指針は、日本呼吸器内視鏡学会の学会誌「気管支学」にフリーアクセスで全文掲載されているほか、2025年4月に書籍として発刊される予定である。書籍版には、重症度分類と治療方針に関する早見表も掲載予定とのことだ。丹羽氏は、本指針の活用法について「喀血患者は開業医の先生方のもとを訪れることが多いため、ぜひ、開業医の先生方にこそ読んでいただきたい。また、喀血患者の紹介を受ける呼吸器科の先生方にも読んでほしい。喀血の原因疾患についても詳しく記載しており、患者への説明にも役立てられると考えている。喀血治療にはカテーテル治療や内視鏡治療のオプションがあるといった気付きを得たり、手術適応の判断に活用したりするなど、本指針を1施設に1冊おいて喀血診療に役立てていただきたい」と話した。

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asthma(喘息)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第22回

言葉の由来「喘息」は英語で“asthma”ですが、この言葉の起源をたどると、古代ギリシャ語の“aazein”という動詞に由来するそうです。この動詞は、「激しく息をする」という意味合いを持つ言葉です。14世紀後半に英語に導入され、「息苦しい発作や胸の圧迫感を伴う呼吸障害」を表す医学用語として使用され始めました。この当時は、まだ現在のように病名として定義されておらず、呼吸困難がある患者全般に対する呼称として“asthma”あるいは、“asthmatic”という形容詞が使われてきたようです。なお、後者の“asthmatic”は、喘息患者をラベリングする(=患者を病気そのもので定義付けてしまう)使い方をされることが多いので、現在は使用を避けるのが好ましいといわれています。現代の医学では、喘息は慢性炎症性気道疾患の病名として用いられていますが、このような病気としての言葉の定義付けがされたのは、19世紀に入ってからのようです。併せて覚えよう! 周辺単語呼吸困難dyspnea喘鳴wheeze急性増悪acute exacerbation吸入ステロイドinhaled corticosteroids気管支拡張薬bronchodilatorsこの病気、英語で説明できますか?Asthma is a chronic inflammatory disease of the airways characterized by episodes of wheezing, shortness of breath, chest tightness, and coughing. These episodes can be triggered by allergens, physical activity, or respiratory infections.講師紹介

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診療科別2024年下半期注目論文5選(呼吸器内科編)

Respiratory syncytial virus (RSV) vaccine effectiveness against RSV-associated hospitalisations and emergency department encounters among adults aged 60 years and older in the USA, October, 2023, to March, 2024: a test-negative design analysisPayne AB, et al. Lancet. 2024;404:1547-1559.<リアルワールドにおけるRSウイルスワクチンの有効性>:RSウイルスワクチンはRSウイルス関連の入院および救急外来受診を予防Test Negativeデザインにより、RSウイルスワクチンの60歳以上の成人におけるリアルワールドでの有効性を評価した初めての研究です。本研究により、リアルワールドにおいても、RSウイルス関連の入院や救急外来受診に対するワクチン予防効果が示されました。Cathepsin C (dipeptidyl peptidase 1) inhibition in adults with bronchiectasis: AIRLEAF®, a Phase II randomised, double-blind, placebo-controlled, dose-finding studyChalmers JD, et al. Eur Respir J. 2024:2401551.<AIRLEAF®試験>:気管支拡張症に対するカテプシンC阻害薬投与は最初の増悪までの時間を減少気管支拡張症の成人を対象に、カテプシンC阻害薬BI 1291583の有効性、安全性、および最適用量を評価した第II相無作為化比較試験です。BI 1291583は、最初の増悪までの時間に基づいて用量依存的にプラセボよりも有意な効果を示しました。今後、この薬剤の第III相試験(AIRTIVITY®)も予定されています。Neoadjuvant pembrolizumab plus chemotherapy followed by adjuvant pembrolizumab compared with neoadjuvant chemotherapy alone in patients with early-stage non-small-cell lung cancer (KEYNOTE-671): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trialSpicer JD, et al. Lancet. 2024;404:1240-1252.<KEYNOTE-671試験>:NSCLCへの周術期ペムブロリズマブ上乗せでOS改善:KN-671長期成績切除可能な早期非小細胞肺がん患者において、周術期のペムブロリズマブ+化学療法は、プラセボ+化学療法と比較して36ヵ月全生存率(71% vs.64%)および無イベント生存期間中央値(47.2ヵ月 vs.18.3ヵ月)を有意に改善しました。Durvalumab after Chemoradiotherapy in Limited-Stage Small-Cell Lung CancerCheng Y, et al. N Engl J Med. 2024;391:1313-1327.<ADRIATIC試験>:限局型小細胞肺がん、デュルバルマブ地固め療法でOS・PFS改善Efficacy and safety of tezepelumab versus placebo in adults with moderate to very severe chronic obstructive pulmonary disease (COURSE): a randomised, placebo-controlled, phase 2a trialSingh D, et al. Lancet Respir Med. 2024 Dec 6. [Epub ahead of print]<COURSE試験>:トリプル吸入療法使用中のCOPD患者を対象としたtezepelumab投与は増悪を改善せずトリプル吸入療法使用中の中等症から最重症COPD患者を対象としたtezepelumabの第IIa相試験の結果が報告されました。主要評価項目である年間中等度/重度増悪率において、プラセボ群との有意差は認められませんでしたが、好酸球数150cells/μL以上のサブグループでは増悪抑制効果がある可能性が示唆されました。

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関節リウマチは気管支拡張症リスクを高めるが、その逆は認められない

 遺伝的に予測された関節リウマチ(RA)と気管支拡張症リスクとの間には因果関係があるというメンデルランダム化(MR)研究の結果が「Frontiers in Medicine」に6月20日掲載された。RAは気管支拡張症リスクを高めるが、その逆の関係は認められなかったという。 RAと気管支拡張症の関連を示唆する報告はいくつかなされているが、因果関係は明らかになっていない。武漢第四病院(中国)のYuanyuan Li氏らは、FinnGenコンソーシアムからRAのゲノムワイド関連研究(GWAS)データを、IEU Open GWASプロジェクトから気管支拡張症のGWASデータをそれぞれ収集し、RAと気管支拡張症の関連を検討した。単変量メンデルランダム化(UVMR)解析には、主に逆分散加重(IVW)推定を用いた。加えて、双方向MR解析、再現MR解析、多変量MR(MVMR)解析、媒介分析、感度分析も行った。 UVMR解析の結果、RAは気管支拡張症リスクを高めることが示された(オッズ比1.18、P=2.34×10-6)。東アジア人集団などを対象として行った再現MR解析でも、RAは気管支拡張症リスクを上昇させるという結果が得られた。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とグルココルチコイドの処方を調整したMVMR解析でも、オッズ比はほぼ同様であった(それぞれ1.19、1.18)。媒介分析の結果、気管支拡張症に対するRAの影響の58%は免疫抑制剤を介したものと推定された。一方で、気管支拡張症を「曝露」、RAを「結果」とした双方向MR解析では、オッズ比(1.30)は有意ではなかった(P=0.0562)。 著者らは「RAは気管支拡張症のリスクを高めることが明らかになった。その影響が免疫抑制剤によって媒介されるというのは新しい知見である。逆に、気管支拡張症がRAのリスクを増加させるという証拠は見出せなかった」と結論。その上で「医療者は、RA患者が気管支拡張症を発症する可能性があることに留意すべきだろう。今後、RA患者が気管支拡張症を発症する根本的な機序を解明するためには、より総合的な研究が必要だ」と述べている。

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第112回 エリスロシン錠の在庫が尽きる薬局続出

エリスロシン®錠争奪戦15時頃、外来の患者さんも残り10人くらいになり、ラストスパートをかけようというとき。「先生、調剤薬局から疑義照会が来ています」と外来ナースが横からいつものFAX用紙を見せてきました。湿布を貼る場所を書き忘れたかなと思いながら見てみると、「エリスロシン錠の在庫がありません」の文字が。どうやら、販売元のヴィアトリス製薬で生産に問題が発生し、供給が不安定になっているようです。エリスロシン錠をめぐる騒動は、静かに、しかし確実に広がっています。7月には限定出荷の通知がありましたが、処方が多い呼吸器内科や耳鼻咽喉科で、その影響を実感し始めています。呼吸器内科領域のエリスロシン処方びまん性汎細気管支炎(DPB)という、気管支がびまん性に拡張する疾患があります。喀痰に悩まされる方が多いです。悩まされるだけならまだしも、耐性緑膿菌を保菌したり、細菌感染症で入院を繰り返したり、わりと社会生活上インパクトが大きな慢性呼吸器疾患です。1980年代前半のDPBの5年生存率はわずか42%でした。しかし、エリスロマイシンの低用量投与が導入されると、その生存率は劇的に改善され1)、若くして亡くなるという事例は減りました。エリスロマイシンの効果は単なる抗菌作用にとどまらず、抗炎症効果も持っています。このため、細菌感染を予防するだけでなく、気道の炎症を抑える効果があるとされています。DPBの予後改善はこの抗炎症効果によるものと考えられています2)。基本的にはDPBをはじめとした気管支拡張症に対してエビデンスが蓄積されてきた薬剤ですが、肺Mycobacterium avium complex(MAC)症に対しても有効とされています3)。肺MAC症は、マクロライド、エタンブトール、リファンピシンを用いた多剤併用治療が行われますが、このマクロライドが示すのは、アジスロマイシンあるいはクラリスロマイシンです。エリスロマイシンの抗菌活性は決して高くなく、上述した抗炎症効果によって臨床的悪化を食い止める働きがあります。そのため、MACに対してクラリスロマイシンやアジスロマイシンとの間に交差耐性はないことが知られています。DPBに有効というだけでなく、MACに対するデメリットも少ないということで、エリスロマイシンを長期投与されている呼吸器内科通院中の患者さんは多いです。拡大解釈されて、気管支拡張症にも用いられています。マクロライドスイッチにご注意を冒頭の続きです。エリスロシン錠の在庫がありません問題ですが、「エリスロマイシン錠」やクラリスロマイシンに余波が広がりつつあるということが懸念材料です。まず、「エリスロシン錠」と「エリスロマイシン錠」は、厳密には一般名が異なる製品です。エリスロシン錠の一般名は、「エリスロマイシンステアリン酸塩」で、エリスロマイシン錠の一般名は、シンプルに「エリスロマイシン」です。エリスロマイシン錠は、エリスロシン錠の後発医薬品でないのです。実は、適応菌種などに微妙な差が存在します(表)。画像を拡大する表. エリスロシン錠とエリスロマイシン錠の適応菌種・適応症・効能効果(赤字が異なる部分)今回出荷が問題になっているのはエリスロシン錠ですが、現在「エリスロマイシン錠」の処方が増えていると聞いています。さらに、クラリスロマイシンの処方が一部地域で増えつつあるそうです。代替薬としてクラリスロマイシンが提示されることが、まれにあるようです。副鼻腔炎や気管支拡張症に長期間クラリスロマイシンの単剤治療を適用すると、マクロライド耐性の非結核性抗酸菌を助長する可能性があります4)。そのため、エリスロシン錠からクラリスロマイシンへスイッチ、というのは代替薬としては推奨できないと考えてよいでしょう。参考文献・参考サイト1)Kudoh S, et al. Improvement of survival in patients with diffuse panbronchiolitis treated with low-dose erythromycin. Am J Respir Crit Care Med. 1998 Jun;157(6 Pt 1):1829-1832. 2)Tanabe T, et al. Clarithromycin inhibits interleukin-13-induced goblet cell hyperplasia in human airway cells. Am J Respir Cell Mol Biol. 2011 Nov;45(5):1075-1083. 3)Komiya A, et al. Long-term, low-dose erythromycin monotherapy for Mycobacterium avium complex lung disease: a propensity score analysis. Int J Antimicrob Agents. 2014 Aug;44(2):131-135.4)Griffith DE, et al. Clinical and molecular analysis of macrolide resistance in Mycobacterium avium complex lung disease. Am J Respir Crit Care Med. 2006 Oct 15;174(8):928-934.

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SMART療法を処方される喘息患者は少ない

 吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用型β2刺激薬(LABA)の合剤を、喘息の長期管理薬としても発作発現時の治療薬としても用いる治療法をSMART(スマート)療法という。この治療法は、全米喘息教育予防プログラムと喘息グローバルイニシアチブのそれぞれのガイドラインで使用が推奨されている。しかし、新たな研究で、中等度から重度の成人喘息患者のうち、SMART療法が処方されているのはわずか15%程度に過ぎず、呼吸器およびアレルギー専門医の40%以上がこの治療法を採用していないことが明らかになった。米イエール大学医学部の呼吸器・集中治療医であるSandra Zaeh氏らによるこの研究結果は、米国胸部学会(ATS 2024、5月17〜22日、米サンディエゴ)で発表された。 米国でのSMART療法には、ICSのブデソニドと、即効性の気管支拡張作用を併せ持つLABAであるホルモテロール配合のシムビコートや、モメタゾン(ICS)とホルモテロール配合のDuleraなどがある。SMART療法が登場する以前の喘息のガイドラインでは、長期管理薬として1日2回のICSの使用に加え、発作時には短時間作用型β2刺激薬(SABA)のアルブテロールのようなレスキュー薬の使用が推奨されていた。その後、2021年までに米国のガイドラインが更新され、維持療法とレスキュー療法の両方の目的でSMART療法を用いることが推奨されるようになった。研究グループは、2種類の吸入薬を使い分ける従来の治療法と比べて、両薬剤を一つに配合したSMART療法は喘息の症状や発作を有意に軽減することが示されていると説明する。 この研究では、米国北東部のヘルスケアシステムの電子カルテを用いて、中等度から重度の喘息患者におけるSMART療法の処方動向が調査された。対象は、2021年1月から2023年8月の間に1回以上呼吸器・アレルギークリニックで診察を受け、長期管理薬としてICSとLABA、またはICSのみを処方されていた喘息患者1,502人(平均年齢48.6歳、女性75.2%)であった。 その結果、44%(656/1,502人)の患者にICSとホルモテロールが長期管理薬として処方されており、SMART療法として処方されていたのはわずか15%(219/1,502人)に過ぎないことが明らかになった。また、SMART療法が処方されていた患者の89%(195/219人)は、SABAも同時処方されていた。さらに、SMART療法は、高齢患者とメディケア受益者に処方されにくい傾向のあることも示された。 Zaeh氏は、「これらの結果は、現行の喘息管理ガイドラインが臨床医によって日常的に実施または採用されていないことを示唆している」と述べている。イエール大学医学部のZoe Zimmerman氏は、「医療提供者は、高齢患者に対して新しい吸入レジメンを試すことに消極的だ。特に、患者が何年も同じ吸入薬を使用している場合、その治療レジメンを変更することに抵抗を感じやすい」との見方を示す。 研究グループによると、過去の研究では、ガイドラインが医師に広く採用されるようになるまでには15年以上かかることが指摘されているという。Zaeh氏は、「今回の研究結果は、臨床医によるガイドラインの採用には時間がかかるという考えを補強するものだ」と話している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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デュピルマブ追加で、COPDの増悪が減少、肺機能改善/NEJM

 血中好酸球数の増加に基づく2型炎症を呈する慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の治療において、標準治療へのヒト型抗ヒトインターロイキン(IL)-4/13受容体モノクローナル抗体デュピルマブの上乗せはプラセボと比較して、COPD増悪の年間発生率を有意に減少させ、肺機能の改善をもたらすことが、米国・アラバマ大学バーミンガム校のSurya P. Bhatt氏らNOTUS Study Investigatorsが実施した「NOTUS試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年5月20日号に掲載された。29ヵ国の無作為化プラセボ対照第III相試験 NOTUS試験は、29ヵ国329施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2020年7月~2023年5月に参加者の無作為化を行った(サノフィとリジェネロン・ファーマシューティカルズの助成を受けた)。 年齢40~85歳、10pack-years以上の喫煙歴のある現または元喫煙者で、2型炎症(血中好酸球数300/μL以上)を呈する中等症または重症のCOPD患者935例を登録し、デュピルマブ300mgを2週ごとに皮下投与する群に470例、プラセボ群に465例を無作為に割り付けた。全例が基礎治療として標準的な吸入薬の投与を受けた。 全体の平均(±SD)年齢は65.0(±8.3)歳、67.6%が男性で、29.5%が現喫煙者、98.8%が3種の吸入薬(糖質コルチコイド+長時間作用型抗コリン薬[LAMA]+長時間作用型β2刺激薬[LABA])による基礎治療を受けていた。ベースラインの血中好酸球数の平均値は407±336/μLだった。12週、52週までの1秒量も良好、SGRQスコアには差がない 52週の試験期間におけるCOPDの中等度または重度増悪の年間発生率(主要エンドポイント)は、プラセボ群が1.30(95%信頼区間[CI]:1.05~1.60)であったのに対し、デュピルマブ群は0.86(0.70~1.06)であり、プラセボ群に対する率比は0.66(95%CI:0.54~0.82)とデュピルマブ群で有意に優れた(p<0.001)。 気管支拡張薬吸入前の1秒量(FEV1)のベースラインから12週までの最小二乗平均変化量は、プラセボ群が0.057L(95%CI:0.023~0.091)増加したのに対し、デュピルマブ群は0.139L(0.105~0.173)の増加であり、両群の最小二乗平均差は0.082L(95%CI:0.040~0.124)とデュピルマブ群で有意に良好であった(p<0.001)。52週までの変化量も、デュピルマブ群で有意に優れた(最小二乗平均差:0.062L、95%CI:0.011~0.113、p=0.02)。 一方、ベースラインから52週までのSt. George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)スコア(0~100点、点数が低いほどQOLが良好)の変化には、両群間に有意な差を認めなかった。安全性プロファイルは確立されたものと一致 有害事象の発現率は両群で同程度であり(デュピルマブ群66.7%、プラセボ群65.9%)、デュピルマブの安全性プロファイルは確立されたものと一致していた。最も頻度の高かった有害事象は、新型コロナウイルス感染症(9.4% vs.8.2%)、鼻咽頭炎(6.2% vs.5.2%)、頭痛(7.5% vs.6.5%)、COPD(4.9% vs.7.8%)であった。重篤な有害事象は、それぞれ13.0%および15.9%、死亡の原因となった有害事象は2.6%および1.5%で認めた。 著者は、「これらの結果は、COPD患者のサブグループの病理生物学的な疾患メカニズムにおける2型炎症の役割と、この別個のCOPDエンドタイプの治療におけるデュピルマブの役割をさらに強固なものにする」と述べ、「本試験と先行研究であるBOREAS試験の知見を統合すると、COPDの治療における、2型炎症の促進因子としてのIL-4とIL-13を標的とすることの重要性が浮き彫りとなった」としている。

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トリプル療法で効果不十分のCOPD、テゼペルマブの有用性は?/ATS2024

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において、吸入ステロイド薬(ICS)・長時間作用性β2刺激薬(LABA)・長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の3剤を1つの吸入器で吸入可能なトリプル製剤が使用可能となっているが、トリプル療法を用いてもCOPD増悪や入院に至る患者が存在する。COPD増悪はQOLを低下させるだけでなく、呼吸機能の低下や死亡リスクの上昇とも関連することが知られており、新たな治療法が求められている。 そこで、さまざまな分子に対する分子標的薬の開発が進められている。その候補分子の1つにTSLPがある。TSLPは、感染や汚染物質・アレルギー物質への曝露などにより気道上皮細胞から分泌され、炎症を惹起する。TSLPはタイプ2炎症と非タイプ2炎症の双方に関与しているとされており、TSLPの阻害はCOPDの幅広い病態に対してベネフィットをもたらす可能性がある。そのような背景から、すでに重症喘息に用いられているヒト抗TSLPモノクローナル抗体テゼペルマブのCOPDに対する有用性が検討されている。米国胸部学会国際会議(ATS2024 International Conference)において、英国・マンチェスター大学のDave Singh氏が海外第IIa相試験「COURSE試験」の結果を発表した。試験デザイン:海外第IIa相無作為化比較試験対象:トリプル療法を用いているにもかかわらず、過去12ヵ月以内に中等度または重度のCOPD増悪が2回以上発現した40~80歳のCOPD患者333例(喘息患者および喘息の既往歴のある患者は除外)試験群(テゼペルマブ群):テゼペルマブ(420mg、4週ごと皮下注射)+トリプル療法を52週間(165例)対照群(プラセボ群):プラセボ+トリプル療法を52週間(168例)評価項目:[主要評価項目]中等度または重度のCOPD増悪の年間発現回数[副次評価項目]気管支拡張薬吸入前の1秒量(FEV1)、QOL、安全性など 主な結果は以下のとおり。・対象患者のうち、過去12ヵ月以内に中等度または重度のCOPD増悪が3回以上発現した患者が41.1%(137例)を占め、血中好酸球数300cells/μL以上の患者は16.8%(56例)にとどまっていた。・主要評価項目の中等度または重度のCOPD増悪の年間発現回数は、テゼペルマブ群がプラセボ群と比較して数値的に17%低下したが、統計学的有意差は認められなかった(90%信頼区間[CI]:-6~36、片側p=0.1042)。・サブグループ解析において、血中好酸球数が多い集団でテゼペルマブ群の中等度または重度のCOPD増悪の年間発現回数が少ない傾向にあった。血中好酸球数(cells/μL)別のレート比および95%CIは以下のとおり。 150未満:1.19、0.75~1.90 150以上:0.63、0.43~0.93(post hoc解析) 150以上300未満:0.66、0.42~1.04 300以上:0.54、0.25~1.15・52週時における気管支拡張薬吸入前のFEV1のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、テゼペルマブ群26mL、プラセボ群-29mLであり、テゼペルマブ群が改善する傾向にあった(群間差:55mL、95%CI:14~96)。・52週時におけるSt. George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)スコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、テゼペルマブ群-4.80、プラセボ群-1.86であり、テゼペルマブ群が改善する傾向にあった(群間差:-2.93、95%CI:-6.23~0.36)。・52週時におけるCOPDアセスメントテスト(CAT)スコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、テゼペルマブ群-3.04、プラセボ群-1.18であり、テゼペルマブ群が改善する傾向にあった(群間差:-1.86、95%CI:-3.31~-0.40)。・有害事象はテゼペルマブ群80.6%、プラセボ群75.0%に発現したが、新たな安全性シグナルはみられなかった。 Singh氏は、全体集団では主要評価項目を達成できなかったものの、血中好酸球数が多い集団でテゼペルマブの有効性が高かったことを指摘し、血中好酸球数150cells/μL以上の集団がテゼペルマブによるベネフィットを得られる集団となる可能性があると考察した。

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肺炎診療GL改訂~NHCAPとHAPを再び分け、ウイルス性肺炎を追加/日本呼吸器学会

 2024年4月に『成人肺炎診療ガイドライン2024』1)が発刊された。2017年版では、肺炎のカテゴリー分類を「市中肺炎(CAP)」と「院内肺炎(HAP)/医療介護関連肺炎(NHCAP)」の2つに分類したが、今回の改訂では、再び「CAP」「NHCAP」「HAP」の3つに分類された。その背景としては、NHCAPとHAPは耐性菌のリスク因子が異なるため、NHCAPとHAPを1群にすると同じエンピリック治療が推奨され、NHCAPに不要な広域抗菌治療が行われやすくなることが挙げられた。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を経て、ウイルス性肺炎の項目が設定された。第64回日本呼吸器学会学術講演会において、本ガイドライン関するセッションが開催され、進藤 有一郎氏(名古屋大学医学部附属病院 呼吸器内科)がNHCAPとHAPの診断・治療のポイントや薬剤耐性(AMR)対策の取り組みについて解説した。また、ウイルス性肺炎に関して宮下 修行氏(関西医科大学 内科学第一講座 呼吸器感染症・アレルギー科)が解説した。NHCAPとHAPは耐性菌のリスク因子が異なる NHCAPとHAPは「敗血症性ショックの有無の判断」「重症度の判断(NHCAPはA-DROPスコア、HAPはI-ROADスコアで評価)」「耐性菌リスクの判断」を行い、治療薬を決定していくという点は共通している。しかし、耐性菌のリスク因子は異なる。進藤氏は、「この違いをしっかりと認識してほしい」と語った。なお、それぞれの耐性菌リスク因子は以下のとおり。NHCAP:経腸栄養、免疫抑制状態、過去90日以内の抗菌薬使用歴、過去90日以内の入院歴、過去1年以内の耐性菌検出歴、低アルブミン血症、挿管による人工呼吸管理を要する(≒診断時に重度の呼吸不全がある)HAP:活動性の低下や歩行不能、慢性腎臓病(透析を含む)、過去90日以内の抗菌薬使用歴、ICUでの発症、敗血症/敗血症性ショック HAPでは、「重症度が低く、耐性菌リスクが低い(リスク因子が1つ以下)場合」は狭域抗菌治療、「重症度が高い、または耐性菌リスクが高い(リスク因子が2つ以上)場合」には広域抗菌治療を行う。NHCAPでは、外来の場合はCAPに準じた外来治療を行う。また、入院の場合も非重症で耐性菌リスク因子が2つ以下であれば、CAPと類似した狭域抗菌治療を行い、重症で耐性菌リスク因子が1つ以上あるか非重症で耐性菌リスク因子が3つ以上であれば広域抗菌治療を行うという流れとなった(詳細は本ガイドラインp.54図3、p.64図3を参照されたい)。不要な広域抗菌薬の使用は依然として多い 進藤氏は、名古屋大学などの14施設で実施した肺炎患者を対象とした前向き観察研究(J-CAPTAIN study)の結果を紹介した。本研究では、CAP患者をNon-COVID-19肺炎とCOVID-19肺炎に分けて検討した。その結果、Non-COVID-19肺炎患者(1,802例)の10%にCAP抗菌薬耐性菌(β-ラクタム系薬、マクロライド系薬、フルオロキノロン系薬のすべてに低感受性と定義)が検出された。CAP抗菌薬耐性菌のリスク因子としては、過去1年以内の耐性菌検出歴、気管支拡張を来す慢性肺疾患、経腸栄養、ADL不良、呼吸不全(PaO2/FiO2≦200)が挙げられた。これらの項目は本ガイドラインのシステマティックレビューの結果と類似していたと進藤氏は語った。 また、本研究においてNon-COVID-19肺炎患者では、CAP抗菌薬耐性菌の検出がなかった患者の29.2%に広域抗菌薬が使用されていたことを紹介した。AMR対策としては、このような患者における広域抗菌薬の使用を減らしていくことが重要となると進藤氏は指摘する。CAP抗菌薬耐性菌のリスク因子が0個であった患者は、Non-COVID-19肺炎の61.2%を占め、そのうち21.8%で広域抗菌薬が使用されていた結果から、進藤氏は「AMR対策上、耐性菌リスクのない症例では広域抗菌薬の使用を控えることが重要である」と強調した。ウイルス性肺炎は想定以上に多い? 2018~20年に九州の14施設で実施された観察研究では、CAP患者の23.3%にウイルスが検出されており2)、肺炎へのウイルスの関与が注目されている。そこで、宮下氏は本ガイドラインに新たに追加されたウイルス性肺炎について、その位置付けを紹介した。 CAPは、(1)CAPとNHCAPの鑑別→(2)敗血症の有無・重症度の判断(治療場所の決定)→(3)微生物学的検査→(4)マイコプラズマ肺炎・レジオネラ肺炎の推定→(5)抗菌薬の選択といった流れで診療が行われる。この流れに合わせて、ウイルス性肺炎の特徴を考察した。 COVID-19肺炎患者の1年後の身体機能をみると、CAPと比較してNHCAPで予後が不良である3)。したがって、宮下氏は「CAPとNHCAPでは予後がまったく異なるため、治療方針を大きく変えるべきであると考える」と述べた。 本ガイドラインでは、重症度の評価をもとに治療場所を決定するが、CAPで用いられるA-DROPスコアによる評価がCOVID-19肺炎においても有用であった。ただし、COVID-19(デルタ株以前)ではA-DROPスコア1点(中等症、外来治療が可能)であっても、R(呼吸状態)の項目が1点の場合は疾患進行のリスクが高いという研究結果4,5)を紹介し、注意を促した。 前版で細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別に用いられていた鑑別表は、細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の鑑別表(本ガイドラインp.32表4)に改められた。実際に、この鑑別表を非定型肺炎であるCOVID-19肺炎に当てはめると診断の感度は不十分であり、マイコプラズマ肺炎と細菌性肺炎の鑑別に用いるのが適切と考えられた。また、今回のガイドラインではレジオネラ診断予測スコアが掲載された(本ガイドラインp.33表5)。この診断スコアを用いた場合、COVID-19はいずれの株でもレジオネラ肺炎との鑑別が可能であった。 最後に、宮下氏はオミクロン株の流行後にCOVID-19肺炎において誤嚥性肺炎が増加し、誤嚥性肺炎を発症した患者の退院後の顕著な身体機能低下が認められていることに触れ、「早期診断・早期治療が重要であり、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンに加えて新型コロナワクチンによる予防も重要であると考えている」とまとめた。

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実臨床における喘息コントロールに生物学的製剤は有効か?/AZ

 アストラゼネカ(AZ)は2023年10月20日付のプレスリリースにて、日本における重症喘息の前向き観察研究であるPROSPECT studyの1年時解析から、実臨床における生物学的製剤の喘息コントロール改善効果が示されたことを発表した。本研究結果を踏まえて「本邦の実臨床でコントロール不良の重症喘息患者に対して適切に生物学的製剤を開始することで、疾病負荷を軽減できることが示された」としている。 重症喘息は頻回な増悪を繰り返し、著しい呼吸機能の低下、生活の質の低下を余儀なくされる。さらに、社会経済的な負担も大きく、その医療費は非重症喘息と比べて高いことが報告されている。複数のガイドラインで、コントロール不良の重症喘息患者に対して生物学的製剤の使用が推奨されているが、日本の実臨床における生物学的製剤の使用実態とその有用性はこれまで示されていなかった。 PROSPECT studyは、高用量吸入ステロイド剤とその他の長期管理薬を使用してもコントロール不良の成人(20歳以上)重症喘息患者を対象とする、国内34施設にて実施された追跡調査期間2年間の前向き観察試験である。主要評価項目は、試験登録12週間以内に生物学的製剤を開始した群(127例)と開始しなかった群(162例)における2年後の気管支拡張薬吸入後のFEV1※1(Forced Expiratory Volume in one second)のベースラインからの変化量の差と設定された。 今回のリリースでは、1年時解析の結果が発表された。 生物学的製剤開始群と非開始群における気管支拡張薬投与後の変化は以下のとおりであった(いずれもベースラインのリスク因子で調整)。・FEV1のベースラインからの変化量の差は130mL、p=0.007・喘息増悪発生率比は0.46、p=0.012・ACQ-5スコア※2のベースラインからの変化量の差は-0.67、p<0.001 本研究のScientific Advisory Committee委員長である、日本喘息学会理事長であり近畿大学病院病院長の東田 有智氏は、コントロール不良の重症喘息患者における疾病負荷と、適切な生物学的製剤の使用が推奨されながらも限定的である導入実態を振り返り、「この結果が、コントロール不良の重症喘息患者への生物学的製剤導入の治療機会の均てん化の促進に寄与することを願う」とコメントしている。※1 FEV1:1秒量(努力肺活量の1秒量)※2 ACQ-5スコア:5種類の症状(「夜間覚醒」「起床時の症状」「日常生活の制限」「息切れ」「喘鳴」)に関する質問から構成される喘息コントロール状態を評価する指標

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味覚障害に耐えられない症例に対する処方は注意せよ(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 ゲーファピキサント(商品名:リフヌア)は、選択的P2X3受容体拮抗薬である。P2X3受容体は気道に分布する迷走神経のC線維と呼ばれる求心性神経線維末端にあるATP依存性イオンチャネルである。C線維は炎症や化学物質に反応して活性化される。ATPは炎症により気道粘膜から放出され、シグナル伝達を介して咳嗽反応を惹起させる。ゲーファピキサントはP2X3受容体を介したATPシグナル伝達を遮断することにより、感覚神経の活性化や咳嗽の抑制効果が期待されている薬剤である。現在、慢性咳嗽の原因となりうる病歴・職業歴・環境要因・検査結果などを踏まえた包括的な診断に基づく十分な治療を行っても咳嗽が続く場合、いわゆる難治性の慢性咳嗽に適応となっている。実臨床下では、慢性咳嗽の症例に一般的な鎮咳薬や気管支拡張薬、吸入ステロイド薬が適切に使用されても改善が得られない場合に処方を検討する薬剤となっている。 2005年に亀井らにより咳嗽にP2X3が関与していることが示唆(Kamei J, et al. Eur J Pharmacol. 2005;528:158-161.)されて以来、ゲーファピキサントの開発が進んできた。国際共同第III相試験である「COUGH-1試験」では、治療抵抗性あるいは原因不明の慢性咳嗽症例732例を対象に、ゲーファピキサント15mg 1日2回群、45mg 1日2回群、プラセボの3群が比較検討された(McGarvey LP, et al. Lancet. 2022;399:909-923.)。主要評価項目としては有効性として12週での24時間当たりの咳嗽頻度が評価された。732例のうち、気管支喘息は40.7%、胃食道逆流症が40.5%、アレルギー性鼻炎が19.7%含まれた。主要評価項目である咳嗽頻度はゲーファピキサント45mg群でベースラインに1時間当たり28.5回認めていたものが、12週時点で14.4回に減少。プラセボ群に対する相対減少率も-18.45%と有意差をもって咳嗽頻度を改善したとされた。また24週時点でも評価された「COUGH-2試験」でも同様の結果が示された。 今回取り上げたKum氏らのCOUGH-1, 2試験を含むメタ解析でも、ゲーファピキサント45mg群はプラセボ群と比較し、覚醒時の咳嗽頻度を17.6%減少させ、咳嗽の重症度や咳嗽に起因するQOLも、わずかではあるが改善させるとの結果であった。実臨床においても、呼吸器内科医が詳細に問診をとり、診察を行い、各医療機関でできる検査を組み合わせて適切な診断や治療を行っても残ってしまう難治性咳嗽の症例は時々見掛けることがある。そのような症例に対し、奥の手としてゲーファピキサントが選択されることがある。ただ、もちろん他の治療や環境因子に介入しても改善しなかったしつこい咳嗽に対する処方なので、他の鎮咳薬などの治療選択肢と比べて劇的な効果への期待は難しいことが多い。COUGH-1, 2試験では「治療抵抗性あるいは原因不明の慢性咳嗽症例」が含まれているが、ゲーファピキサントがより効果的な症例は喘息なのか、COPDなのか、間質性肺炎なのか、はたまた他の慢性咳嗽の原因となりうる疾患なのか、そのあたりが今後の臨床試験で明らかになると、ゲーファピキサントの立ち位置がよりはっきりしてくるのだろう。 またCOUGH-1, 2試験の併合解析でも指摘されているが、味覚に関する有害事象が高いことが知られている。ゲーファピキサントの承認時資料によると、味覚に関連する有害事象の発現時期としては、中央値で2.0日、1週間以内に52.7%の方が味覚に関する異常を訴えるとされている。さらに気になるところは、有害事象の平均持続期間が200日以上と想像以上に長いことも指摘されている。Kum氏らの報告でも味覚関連有害事象が100人当たり32人増加するとされ、効果に比べて有害事象の懸念が考えられた。 ゲーファピキサントはあくまで症状に対する対症療法に位置付けられる薬剤であり、原疾患に対する薬剤ではない。実際の現場において、内科の短い診療時間で味覚に対するきめ細やかな対応は困難であることが予想されるため、できれば歯科/口腔外科や、看護スタッフ、薬剤師、栄養士などの介入があるとよいだろう。味覚に関する有害事象で困るようであれば、1日1回に減量する、一定期間薬剤を中止するなどの対応も必要となる。承認時資料によると、通常用量の1/3量のゲーファピキサント15mgでは味覚障害の有害事象の頻度は17.5%と報告されているので、投与量の減量は有効な手段の1つと考えられる。また、有害事象を起こしやすい、あるいは起こしにくい患者背景がわかると、処方を勧める1つのきっかけになると考える。 実臨床では、慢性咳嗽で一般的な治療で難治と考えられる症例に、ゲーファピキサントが考慮される。エビデンスのない領域であるが、肥満が問題となっている喘息症例で適切な治療を行っても咳嗽が残ってしまう症例に対し、ゲーファピキサントで咳嗽が抑えられ、食欲も制限されたら、もしかしたら喘息のコントロールも改善するかもしれない。ただし、味覚に関連する有害事象の発現で致命的になりうるような悪液質状態の肺がん症例や、るい痩が進んできているCOPDや間質性肺炎に対する慢性咳嗽に対しては、安易に処方することのないようにされたい。

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喫煙者/喫煙既往歴者でスパイロメトリー測定値がCOPD基準を満たさないTEPS群の中で呼吸器症状有群(FEV1/FVC<0.7かつCAT≧10)は臨床の視点からCOPD重症化予備群として対応すべき?―(解説:島田俊夫氏)

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)と喫煙に関する研究は、これまで数多くの研究が行われている。しかしながら、スパイロメトリー測定値がCOPDの定義を満たさない対象者に関する研究はほとんどなく、治療法も確立されていない1,2)。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のWilliam McKleroy氏らによる多施設共同長期観察試験(SPIROMICS II試験)の結果が、JAMA誌2023年8月1日号に掲載された。 対象者はSPIROMICS I試験登録後5~7年に、対面受診を1回実施。呼吸器症状はCOPD Assessment Test(CAT、スコア範囲:0~40重症ほど高値)で評価した。TEPS(tobacco exposure and preserved spirometry)群は、これまでCOPD治験対象から除外されており、治療のエビデンスは確立されていない。本研究はTEPS群の自然経過に照準を絞った研究として行われた。TEPS群のスパイロメトリー測定は気管支拡張薬投与後のFEV1/FVC>0.70でCATスコア10≧を有症状群、10<を無症状群の2群に分類した。 研究対象は1,397例で内訳は226例が有症状TEPS群(平均年齢60.1歳、女性59%)、269例が無症状TEPS群(平均年齢63.1歳、女性50%)、459例が有症状COPD(平均年齢65.2歳、女性47%)、279例が無症状COPD(平均年齢67.8歳)、164例が非喫煙対照群から構成。呼吸器症状の増悪は4ヵ月ごとに電話で自己申告。 主要アウトカム:FEV1の低下。副次アウトカム:COPD発症、呼吸器症状増悪頻度、CT検査での気道壁肥厚、気腫肺。 追跡期間中央値5.76年でTEPS両群にCOPDの発生を認めたが、両群間に差はなかった。TEPS群は非喫煙対照群よりも有意にCOPDの発生率が高かった。一方でTEPS有症状群はTEPS無症状群に比べ、症状増悪率は有意に高かった(0.23 vs.0.08件/人・年、率比:2.38、95%CI:1.71~3.31[p<0.001])。論文へのコメント TEPS両群に対して禁煙は最優先で行うべき治療である。喫煙者でスパイロメトリー正常範囲の対象者は通常は治験対象から除外されていたために治療法は確立されていない。COPDの診断基準を満たさないTEPS群を症状有群と無群に分け、経時的に追跡の結果、TEPS各群共にCOPD発生の増加を認めたが、有/無症状群の比較ではCOPD発生率に差はなかった。しかし、呼吸器症状の増悪は有症状群が無症状群に比べ顕著に症状が増悪した。臨床の視点から症状増悪は軽視できず、有症状TEPS群はCOPD重症化予備群として治療を行い、適正治療確立は喫緊の課題である。 COPD予備群に対する気管支拡張剤、抗コリン剤、ステロイド剤らの使用法は確立していない。近頃、注目を集めているPRISm(preserved ratio impaired spirometry)はFEV1/FVC≧0.7かつ%FEV1(FEV1/FEV1予測値)<80%を満たす予後不良の病態である3,4)。この病態も含めてCOPD近縁疾患相互の絡み解明が必要と考える。

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スパイロメトリー正常の喫煙者、症状有無で呼吸器機能の経過に違いは?/JAMA

 症候性のタバコ曝露あり・スパイロメトリー正常(tobacco exposure and preserved spirometry:TEPS)者は、無症候性TEPS者と比べて、FEV1低下速度や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)発生率に有意差はみられないことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のWilliam McKleroy氏らによる多施設共同長期観察試験「SPIROMICS II試験」で示された。一方で、症候性TEPS者は追跡期間中央値5.8年の間に、呼吸器症状が増悪した被験者が有意に多かったという。喫煙者はスパイロメトリー正常でも呼吸器症状を有することがあるが、これらの人々は通常、COPD治験では除外され、エビデンスベースの治療が欠落している。研究グループは、無症候性TEPSと症候性TEPSの自然経過を明らかにする検討を行った。JAMA誌2023年8月1日号掲載の報告。FEV1低下速度、COPD発症率、呼吸器増悪の頻度などを比較 SPIROMICS II試験はSPIROMICS I試験の拡張版で、COPDの有無を問わず40~80歳の喫煙者(20pack-years超)と、その対照群としてタバコ曝露や気流制限のない人を対象とした。被験者はSPIROMICS I・II試験に2010年11月10日~2015年7月31日に登録され、2021年7月31日まで追跡を受けた。 SPIROMICS I試験の被験者は3~4年間、毎年の受診時に、スパイロメトリー、6分間歩行テスト、呼吸器症状の評価、胸部CTを受けた。SPIROMICS II試験の参加者は、SPIROMICS I試験登録後5~7年に、追加で1回の対面受診を受けた。呼吸器症状はCOPDアセスメントテスト(スコア範囲:0~40、高スコアほど重度)で評価した。 症候性TEPS患者は、スパイロメトリー正常(気管支拡張後のFEV1と努力肺活量の比が>0.70)で、COPDアセスメントテストのスコアは10以上だった。無症候性TEPS患者は、スパイロメトリー正常でCOPDアセスメントテストのスコアは10未満だった。呼吸器症状とその増悪に関する自己報告は、4ヵ月ごとに電話で評価した。 主要アウトカムは、症候性TEPS患者の、無症候性TEPSと比較したFEV1の加速度的低下だった。副次アウトカムは、スパイロメトリーで定義したCOPDの発症、呼吸器症状、呼吸器増悪の頻度、CTに基づく気道壁肥厚や肺気腫の進行などだった。COPD累積発生率、両群ともに32~33%と同等 被験者数は1,397例で、うち226例が症候性TEPS(平均年齢60.1[SD 9.8]歳、女性59%)、269例が無症候性TEPS(63.1[9.1]歳、50%)だった。 追跡期間中央値5.76年時点で、症候性TEPS群のFEV1低下は-31.3mL/年、無症候性TEPS群は-38.8 mL/年だった(群間差:-7.5 mL/年、95%信頼区間[CI]:-16.6~1.6mL/年)。 COPD累積発生率は、症候性TEPS群33.0%、無症候性TEPS群31.6%だった(ハザード比[HR]:1.05、95%CI:0.76~1.46)。症候性TEPS群は無症候性TEPS群に比べ、呼吸器症状増悪の頻度は有意に高率だった(それぞれ、0.23件/人・年、0.08件/人・年、率比:2.38、95%CI:1.71~3.31、p<0.001)。

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タイプ2炎症を有するCOPDにデュピルマブが有効か/NEJM

 血中好酸球数の上昇で示唆されるタイプ2炎症を有する慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、抗インターロイキン(IL)-4/13受容体抗体デュピルマブ(本邦ではCOPDは未適応)を投与された患者はプラセボ投与患者と比べて、増悪が少なく、肺機能と生活の質(QOL)が改善され、呼吸器症状の重症度も低下したことが、米国・アラバマ大学のSurya P. Bhatt氏らが行った、第III相無作為化二重盲検試験「BOREAS試験」の結果において示された。NEJM誌オンライン版2023年5月21日号掲載の報告。中等度~重度増悪の年間発生率、気管支拡張薬使用前FEV1値の変化量などを比較 BOREAS試験は、24ヵ国275試験地で、標準的トリプル療法実施後も血中好酸球数が300/μL以上で増悪リスクが高いCOPD患者を対象に行われた。研究グループは被験者を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方にはデュピルマブ(300mg)を、もう一方にはプラセボを、いずれも2週に1回皮下投与した。試験薬の投与期間は52週で、その後に患者は12週の安全性追跡評価を受けた。 主要エンドポイントは、COPDの中等度~重度増悪の年間発生率。多重性補正後の主な副次エンドポイントおよびその他のエンドポイントは、気管支拡張薬使用前FEV1値、St.George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)スコア(範囲:0~100、低スコアほどQOLが良好)、COPDにおける呼吸器症状評価(E-RS-COPD)のスコア(範囲:0~40、低スコアほど症状が軽度)の各変化量とした。エンドポイントはいずれもデュピルマブ群でより改善 2019年5月~2022年2月に、計939例が無作為化を受けた(デュピルマブ群468例、プラセボ群471例)。デュピルマブ群の95.1%、プラセボ群の93.4%が52週の試験期間を完了した。両群被験者のベースライン特性のバランスは取れており、平均年齢は65.1(SD 8.1)歳、現喫煙者は30.0%、また27.4%が高用量ステロイド吸入薬を投与されていた。 COPDの中等度~重度増悪の年間発生率は、デュピルマブ群は0.78(95%信頼区間[CI]:0.64~0.93)、プラセボ群1.10(0.93~1.30)だった(率比:0.70、95%CI:0.58~0.86、p<0.001)。 気管支拡張薬使用前FEV1値の、ベースラインから12週時までの最小二乗(LS)平均増大値は、デュピルマブ群160mL(95%CI:126~195)、プラセボ群77mL(42~112)で(LS平均群間差:83mL、95%CI:42~125、p<0.001)、両群差は52週時点まで保持された。 52週時点で、SGRQスコアのLS平均改善値は、デュピルマブ群-9.7(95%CI:-11.3~-8.1)、プラセボ群-6.4(同:-8.0~-4.8)だった(LS平均群間差:-3.4、95%CI:-5.5~-1.3、p=0.002)。同様にE-RS-COPDスコア改善値も、デュピルマブ群-2.7(95%CI:-3.2~-2.2)、プラセボ群-1.6(同:-2.1~-1.1)だった(LS平均群間差:-1.1、95%CI:-1.8~-0.4、p=0.001)。 投薬中止につながる有害事象や重篤な有害事象および死に結びつく有害事象が認められた患者数は、両群で均衡していた。

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喘息の症状悪化、次にすべきは?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第1回

喘息の症状悪化、次にすべきは?講師富山赤十字病院 小児アレルギーセンター センター長 足立 雄一 氏【今回の症例】7歳の男児。1年ほど前から喘息のため、吸入ステロイド薬(フルチカゾン換算で50μgを1日2回吸入)で治療。半年以上良い状態が続いていたが、ここ2~3ヵ月は風邪をひくと咳込みが長引き、その都度、気管支拡張薬や去痰薬を内服していた。今回は、最近体育の授業で息苦しいことがある、と来院。吸入は朝晩続けている。どのように対応すればよいか?1.吸入ステロイド薬を増量する2.吸入ステロイド薬は増量せず、長時間作用性β2刺激薬との合剤に変更する3.吸入ステロイド薬は増量せず、ロイコトリエン受容体拮抗薬を追加する

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