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04)エアゾール製剤+スペーサー【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、エアゾール製剤とスペーサーを使用した吸入手順を説明します。手順としては、キャップをはずし、吸入器をよく振る→スペーサーに吸入器をはめ、スペーサーのキャップをはずす→十分に息を吐く→スペーサーの吸入口をくわえます→ボンベを1回押すと同時に3秒間かけて、普通の呼吸で深く吸入する(そのとき舌を下げて喉の奥を広げます)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒息を止める→鼻からゆっくり息を吐く→スペーサーをくわえたまま、ゆっくり呼吸をします→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。●主な製剤(2015年3月時点のデータ)フルティフォーム、アドエア、フルタイド、オルベスコ、キュバール、など。

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フルーツ摂取量が多いほど喘息や鼻炎を予防:日本の小学生

 日本の小学生を対象とした研究で、フルーツの摂取量が多いほど、呼吸器アレルギー症状を予防できる可能性があることが、滋賀県立小児保健医療センターの楠 隆氏らによる研究で明らかになった。Pediatric allergy and immunology誌オンライン版2017年10月11日号の報告。 食事パターンがアレルギー予防と関連するという報告がある。そのため、著者らは、滋賀県近江八幡市のすべての小学校において、前向きコホート研究を実施した。 対象は、7歳児(2011年時点)の759人。2011~14年までの4年連続で、アレルギー症状および食事に関するアンケートを両親に配布し、記入を依頼した。10歳時に、吸入アレルゲンに対する特異的免疫グロブリンEを測定した。調査期間中、参加者は4つの食品群(フルーツ、野菜、魚、豆)の低摂取群、中摂取群、高摂取群に分類された。オッズ比および95%信頼区間を推定するためにロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・両親が4年連続でアンケートに回答した合計520人の子供(68.5%)が分析対象となった。・10歳時の喘息、鼻炎、その他アレルギー症状の有病率は、フルーツ摂取量の増加に伴って有意に減少した。・さらに、調査期間中のアレルギー症状の発症は、フルーツ摂取量の増加に伴い、有意に減少した(低摂取群33.3%、中摂取群28.3%、高摂取群14.3%、p for trend=0.01)。・10歳時のブタクサに対する感作率は、フルーツ摂取量の増加に伴って有意に減少した(p for trend=0.046)。・魚摂取と喘息の新規発症との関連を除き、他の3つの食品群に有意な影響は観察されなかった。

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喘息のモノクローナル抗体治療に新星あらわる(解説:倉原優 氏)-764

 tezepelumabという名前を聞いてもピンとこない読者も多いだろうが、これは上皮細胞由来のサイトカインである胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)に特異的なモノクローナル抗体である。TSLPなんてほとんど耳にしたこともなかったので、何を隠そう私もピンとこなかった。 TSLPはアレルギー疾患患者の組織で高頻度に発現することがわかっている1)。もともとインターロイキン-2ファミリーに属するサイトカインで、インターロイキン-7に相同性が高いとされている。その名のとおり胸腺が産生するが、気管の上皮細胞からも産生されている。TSLPはアレルギーに限らず、外的因子、たとえば喫煙やディーゼルエンジンなどの刺激によっても誘導されることがわかっており、好酸球性炎症以外の喘息の治療ターゲットになる可能性が示されてきた2,3)。 喘息に対して保険適用があるモノクローナル抗体には、現在オマリズマブ(商品名:ゾレア)とメポリズマブ(商品名:ヌーカラ)の2つがある。それぞれ、IgE、インターロイキン-5をターゲットにしている。いずれも好酸球性炎症のカスケードを抑制するため、喘息に有効とされている。 臨床試験上の規定がそのまま製品化時に反映されたため、オマリズマブとメポリズマブは、それぞれIgE値、好酸球数に応じて使用される。たいがいの喘息患者はIgEも好酸球数もそれなりに上昇しているので、両剤とも適応になることが多いのだが、やはりバイオマーカーが上昇していないと効果が期待しにくいというイメージがあると、処方の閾値が上がるのも事実である。 tezepelumabはこれまでのモノクローナル抗体と同様に、難治性の喘息に対して使用されることを想定しているが、今回の試験において患者の登録時の血中好酸球数を問わず同様の結果が得られたという点は特筆すべきであろう。 さて、実臨床でtezepelumabを使うようになるだろうか。2つの懸念がある。1つは、妥当なhead to head試験がないため、各モノクローナル抗体の比較が難しい点である。各製剤とも有効性の証明にしのぎを削っているものの、ステップ4の難治性喘息に対してプラセボより有効だったという知見の蓄積だけでは力不足かもしれない。そしてもう1つの懸念は、ご存じのとおり、薬価である。これは抗体医薬品の宿命であろう。高額療養費制度を使ってまで喘息治療をよりよくしたいと思う人が、国内にどれほど眠っているだろうか。また、公衆衛生的に費用対効果がどれほどあるだろうか。医療のアンメットニーズがマーケットニーズとマッチするかどうかはまだわからない。

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アトピー性脊髄炎〔AM:atopic myelitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義中枢神経系が自己免疫機序により障害されることは、よく知られている。中でも最も頻度の高い多発性硬化症は、中枢神経髄鞘抗原を標的とした代表的な自己免疫疾患と考えられている。一方、外界に対して固く閉ざされている中枢神経系が、アレルギー機転により障害されるとは従来考えられていなかった。しかし、1997年にアトピー性皮膚炎と高IgE血症を持つ成人で、四肢の異常感覚(じんじん感)を主徴とする頸髄炎症例がアトピー性脊髄炎(atopic myelitis:AM)として報告され1)、アトピー性疾患と脊髄炎との関連性が初めて指摘された。2000年に第1回全国臨床疫学調査2)、2006年には第2回3)が行われ、国内に本疾患が広く存在することが明らかとなった。その後、海外からも症例が報告されている。2012年には磯部ら4)が感度・特異度の高い診断基準を公表し(表)、わが国では2015年7月1日より「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき「指定難病」に選定されている。画像を拡大する■ 疫学平均発症年齢は34~36歳で、男女比1:0.65~0.76と男性にやや多い。先行するアトピー性疾患は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息の順で多く、アトピー性疾患の増悪後に発症する傾向にあった。発症様式は急性、亜急性、慢性のものが約3割ずつみられ、症状の経過は、単相性のものも3~4割でみられるものの、多くは、動揺性、緩徐に進行し、長い経過をとる。■ 病因図1のようにAMの病理組織学的検討では、脊髄病巣は、その他のアトピー性疾患と同様に好酸球性炎症であり、アレルギー性の機序が主体であると考えられる。さまざまな程度の好酸球浸潤を伴う、小静脈、毛細血管周囲、脊髄実質の炎症性病巣を呈する(図1A)5)。髄鞘の脱落、軸索の破壊があり、一部にspheroidを認める(図1B)5)。好酸球浸潤が目立たない症例においても、eosinophil cationic protein(ECP)の沈着を認める(図1C)6)。浸潤細胞の免疫染色では、病変部では主にCD8陽性T細胞が浸潤していたが(図1D)6)、血管周囲ではCD4陽性T細胞やB細胞の浸潤もみられる。さらに、脊髄後角を中心にミクログリアならびにアストログリアの活性化が認められ(図1E、F)7)、アストログリアではエンドセリンB受容体(endothelin receptor type B:EDNRB)の発現亢進を確認している(図1G、H)7)。図1 アトピー性脊髄炎の病理組織所見画像を拡大する■ 臨床症状初発症状は、約7割が四肢遠位部の異常感覚(じんじん感)、約2割が筋力低下である。経過中に8割以上でアロディニアや神経障害性疼痛を認める。そのほか、8割で腱反射の亢進、2~3割で病的反射を生じ、排尿障害も約2割に生じる。何らかの筋力低下を来した症例は6割であったが、その約半数は軽度の筋力低下にとどまった。最重症時のKurtzkeのExpanded Disability Status Scale(EDSS)スコアは平均3.4点であった。■ 予後第2回の全国臨床疫学調査では、最重症時のEDSSスコアが高いといずれかの免疫治療が行われ、治療を行わなかった群と同等まで臨床症状は改善し、平均6.6年間の経過観察では、症例全体で平均EDSS 2.3点の障害が残存していた。全体的には大きな障害を残しにくいものの、異常感覚が長く持続し、患者のQOLを低下させることが特徴といえる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査所見末梢血所見としては、高IgE血症が8~9割にあり、ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニに対する抗原特異的IgEを85%以上の症例で有し、約6割で末梢血好酸球数が増加していた。前述のAMの病理組織において発現が亢進していたEDNRBのリガンドであるエンドセリン1(endothelin 1:ET1)は、AM患者の血清で健常者と比較し有意に上昇していた7)。髄液一般検査では、軽度(50個/μL以下)の細胞増加を約1/4の症例で認め、髄液における好酸球の出現は10%未満とされる。蛋白は軽度(100mg/dL以下)の増加を約2~3割の症例で認める程度で、大きな異常所見はみられないことが多い。髄液特殊検査では、IL-9とCCL11(eotaxin-1)は有意に増加していた。末梢神経伝導検査において、九州大学病院症例では約4割で潜在的な末梢神経病変が合併し、第2回の全国調査では、検査実施症例の25%で下肢感覚神経を主体に異常を認めていた3)。また、体性感覚誘発電位を用いた検討では、上肢で33.3%、下肢では18.5%で末梢神経障害の合併を認めている8)。図2のように脊髄のMRI所見では、60%で病変を認め、その3/4が頸髄で、とくに後索寄りに多い(図2A)。また、Gd増強効果も半数以上でみられる。この病巣は、ほぼ同じ大きさで長く続くことが特徴である(図2B)。画像を拡大する■ 診断・鑑別診断脊髄炎であること、既知の基礎疾患がないこと、アレルギー素因があることを、それぞれを証明することが必要である。先に磯部ら6)による診断基準を表で示した。この基準を脊髄初発多発性硬化症との鑑別に適用した場合、感度93.3%、特異度93.3%、陽性的中率は82.4%、陰性的中率は97.7%であった。鑑別として、寄生虫性脊髄炎、多発性硬化症、膠原病、HTLV1関連脊髄症、サルコイドーシス、視神経脊髄炎、頸椎症性脊髄症、脊髄腫瘍、脊髄血管奇形を除外することが必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)第2回の全国臨床疫学調査の結果では、全体の約60%でステロイド治療が行われ、約80%で有効性を認めている。血漿交換療法が選択されたのは全体の約25%で、約80%で有効であった。AMの治療においてほとんどの症例はパルス療法を含む、ステロイド治療により効果がみられるが、ステロイド治療が無効の場合には、血漿交換が有効な治療の選択肢となりうる。再発、再燃の予防については、アトピー性疾患が先行して発症、再燃することが多いことから、基礎となるアトピー性疾患の沈静化の持続が重要と推測される。4 今後の展望当教室ではAMの病態解明を目的とし、アトピー性疾患モデルマウスにおける神経学的徴候の評価と中枢神経の病理学的な解析を行い、その成果は2016年に北米神経科学学会の学会誌“The Journal of Neuroscience”に掲載された7)。モデル動物により明らかとなった知見として、(1)アトピー性疾患モデルマウスでは足底触刺激に対しアロディニアを認める、(2)脊髄後角ではミクログリア、アストログリア、神経細胞が活性化している、(3)ミクログリアとアストログリアではEDNRBの発現が亢進し、EDNRB拮抗薬の前投与により脊髄グリア炎症を抑制すると、神経細胞の活性化が抑えられ、アロディニアが有意に減少したというもので、AMに伴う神経障害性疼痛に脊髄グリア炎症ならびにET1/EDNRB経路が大きく関わっていることを見出している。5 主たる診療科神経内科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター アトピー性脊髄炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報アトピー性脊髄炎患者会 StepS(AM患者と家族向けの情報)1)Kira J, et al. J Neurol Sci. 1997;148:199-203.2)Osoegawa M, et al. J Neurol Sci. 2003;209:5-11.3)Isobe N, et al. Neurology. 2009;73:790-797.4)Isobe N, et al. J Neurol Sci. 2012;316:30-35.5)Kikuchi H, et al. J Neurol Sci. 2001;183:73-78.6)Osoegawa M, et al. Acta Neuropathol. 2003;105:289-295.7)Yamasaki R, et al. J Neurosci. 2016;36:11929-11945.8)Kanamori Y, et al. Clin Exp Neuroimmunol. 2013;4:29-35.公開履歴初回2017年11月14日

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03)エアゾール製剤【解説編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、エアゾール製剤の毎日の吸入手順を説明します。手順としては、キャップをはずし、吸入器をよく振る→十分に息を吐く→下を向かないようにし、背筋を伸ばす→吸入器を軽く噛んで、噛んだ隙間から空気も同時に入るようにする→ボンベを1回押すと同時に3秒間かけて、普通の呼吸で深く吸入する→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒息を止める→鼻からゆっくり息を吐く(2回目の指示があれば呼吸を整えて繰り返し)→吸入口をティッシュなどで拭き清潔にし、キャップを閉じる→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。なお、うがいができない場合はゆすぐだけでも大丈夫です。試し噴射のポイントとして、カウンターがあるものは4回、ないものではオスベコ3回、キュバール2回(フルタイドは試し噴射不要)で行ってください。噴射が弱くなったら取り換えます。●主な製剤(2015年3月時点のデータ)フルティフォーム、アドエア、フルタイド、オルベスコ、キュバール、など。

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02)エアゾール製剤【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、エアゾール製剤の吸入手順を説明します。手順としては、吸入器をよく振る→十分に息を吐く→吸入器を軽く噛んで、普通の呼吸で深く吸入する→3~5秒息を止める→鼻からゆっくり息を吐く→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)吸入でのポイントは、舌を下げて、のどの奥を広げる感じで吸う、と薬剤が気管にとどきます。●主な製剤(2015年3月時点のデータ)フルティフォーム、アドエア、フルタイド、オルベスコ、キュバール、など。

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01)吸入手技の大切さ【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容この動画の目的について説明します。治療効果を上げるための吸入薬の使い方は、正しい吸入法で吸入することが重要です。しかし、個々の吸入薬は吸入方法が異なるために、間違った使い方をすると期待した効果がでず、患者さんが自己中断する原因ともなります。そこで、医師や薬剤師の説明だけでは覚えられなかったり、忘れてしまったときに家庭で、この動画をみて確認、練習できるようにと作成されました。患者、患者家族だけでなく、医療従事者も視聴することで正しい知識を得て、正確な指導できるようにぜひご確認ください。

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新規抗体薬、コントロール不良喘息の増悪抑制/NEJM

 長時間作用性β刺激薬(LABA)と中~高用量の吸入ステロイドによる治療歴のある喘息患者の治療において、tezepelumabはベースラインの血中好酸球数とは無関係に、臨床的に重要な喘息の増悪を抑制することが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJonathan Corren氏らが行ったPATHWAY試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年9月7日号に掲載された。胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)は、炎症性の刺激因子に反応して産生される上皮細胞由来のサイトカインで、2型免疫の調節において中心的な役割を担う。喘息患者は健常者に比べ、気道のTSLP発現が高度で、TSLP値は2型ヘルパーT細胞(Th2)サイトカインやケモカインの発現、および喘息の疾患重症度と相関を示す。tezepelumab(AMG 157/MEDI9929)は、TSLPに特異的に結合するヒトIgG2モノクローナル抗体で、proof-of-concept試験では軽症アトピー型喘息患者の早期型および晩期型喘息反応を防止し、吸入アレルゲン負荷後の2型炎症反応のバイオマーカーを抑制したという。3つの用量の効果をプラセボと比較 本研究は、コントロール不良の喘息患者におけるtezepelumabの有効性と安全性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第II相試験(MedImmune社、Amgen社の助成による)。対象は、年齢18~75歳の非喫煙者(登録時に、6ヵ月以上喫煙しておらず、喫煙歴が<10pack-years)で、登録の6ヵ月以上前にLABAと中~高用量の吸入ステロイドによる治療を行ってもコントロールが不良の喘息で、登録前12ヵ月以内に糖質コルチコイドの全身投与を要する喘息の増悪を2回以上、または入院を要する重度増悪を1回以上経験した患者であった。 被験者は、3つの用量(低用量:70mg、4週ごと、中用量:210mg、4週ごと、高用量:280mg、2週ごと)のtezepelumabまたはプラセボ(2週ごと)を皮下投与する群に無作為に割り付けられ、52週の治療が行われた。盲検を維持するために、4週ごとの投与群には、中間の2週時ごとにプラセボが投与された。 主要評価項目は、52週時の喘息増悪の年間発生率(イベント件数/1患者年)とした。喘息の増悪は、糖質コルチコイドの全身投与(経口、静注)を要する喘息症状の悪化、または糖質コルチコイドの経口投与による安定期維持療法中の患者における3日以上続く用量倍増、糖質コルチコイドの全身投与を要する喘息による救急診療部への入院、喘息による入院と定義した。 12ヵ国108施設で584例が登録され、低用量群に145例、中用量群に145例、高用量群に146例、プラセボ群には148例が割り付けられた。ベースラインの平均年齢はtezepelumab群(436例)が51.1±12.4歳、プラセボ群は52.2±11.5歳で、男性はそれぞれ157例(36.0%)、48例(32.4%)であった。喘息増悪率が約60~70%低下 52週時の年間喘息増悪率は、プラセボ群の0.67件に比べ、tezepelumab低用量群が0.26件、中用量群が0.19件、高用量群は0.22件であり、それぞれプラセボ群よりも61%、71%、66%低下した(いずれも、p<0.001)。また、登録時の血中好酸球数を問わず、同様の結果が得られた。 52週時の気管支拡張薬吸入前の1秒量(FEV1)は、tezepelumabの3群ともプラセボ群よりも有意に高かった(最小二乗平均のベースラインから52週までの変化の差:低用量群0.12L[p=0.01]、中用量群0.11L[p=0.02]、高用量群0.15L[p=0.002])。 喘息管理質問票(ACQ-6:0~6点、点数が低いほど疾患コントロールが良好、1.5点以上でコントロール不良と判定)のスコアは、中用量群(最小二乗平均のベースラインから52週までの変化の差:−0.27点[p=0.046])および高用量群(同:−0.33点[p=0.01])がプラセボ群よりも良好であった。また、12歳以上の標準化された喘息QOL質問票(AQLQ[S]+12:1~7点、点数が高いほど喘息関連QOLが良好、臨床的に意義のある最小変化量は0.5点)のスコアは、高用量群(同:1.33点[p=0.008])がプラセボ群よりも優れた。 1つ以上の有害事象を発現した症例は、プラセボ群が62.2%、低用量群が66.2%、中用量群が64.8%、高用量群は61.6%であり、1つ以上の重篤な有害事象の発現率は、それぞれ12.2%、11.7%、9.0%、12.3%であった。有害事象による試験薬の中止は、プラセボ群の1例、中用量群の2例、高用量群の3例に認められた。 著者は、「これらの知見により、TSLPのような上流のサイトカインを標的とすることで、単一の下流経路を阻害するよりも広範に疾患活動性に影響を及ぼし、利点を得る可能性が明らかとなった」と指摘し、「臨床的な意義を示すには、最良の治療を行ってもコントロール不良な喘息患者の、民族的に多彩で大規模な集団を対象とする試験の実施が重要と考えられる」としている。

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46ヵ国の喘息死亡動向、2006年以降変化なし/Lancet

 WHO死亡データベースから、46ヵ国における1993~2012年の喘息死亡の動向について、ニュージーランド・Medical Research InstituteのStefan Ebmeier氏らが分析し、結果を発表した。同死亡率は1980年代後半から減少傾向がみられるが、2006年以降5~34歳の同死亡率の明らかな変化はみられないという。結果を踏まえて著者は、「推奨ガイドライン適用で喘息死亡の約半数は回避可能だが、それには確立されたマネジメント戦略のより良好な実施が必要である。一方で、喘息死亡のさらなる実質的な減少には、新たな戦略も必要かもしれない」と述べている。Lancet誌オンライン版2017年8月7日号掲載の報告。5~34歳の喘息死亡率を照合 研究グループは、WHOのオンライン死亡データベースから、46ヵ国の5~34歳の年齢標準化・国別の喘息死亡率を照合した。解析包含の条件は、各国が1993~2012年のうち10年間の完全データを有していることとした。整合性がとれた正確な喘息有病率と処方データがない場合、LOESS(locally weighted scatter plot smoother)曲線を用いた。5~34歳群の各国人口に重み付けを行い、喘息死亡率の世界的な動向を経時的に示した。 解析には46ヵ国を包含した。そのうち36ヵ国は高所得国、10ヵ国は中所得国であった。2006年と2012年の死亡率に明らかな変化なし 世界的な喘息死亡率のLOESS推定値は、1993年には人口10万当たり0.44(90%信頼区間[CI]:0.39~0.48)であったが、2006年は同0.19(0.18~0.21)であった。 2006~2012年にかけて、一部の国および地域では明らかなさらなる低下が認められたが、2012年の世界の喘息死亡率のLOESS推定値は人口10万当たり0.19(90%CI:0.16~0.21)であり、全体的には明らかな減少は認められなかった。 なお、日本の動向分析には1995~2011年のデータが用いられており、LOESS推定値は、1995年0.65、2006年0.13、2011年0.06となっている。

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コントロール不良の喘息にあの抗菌薬が有用?/Lancet

 中~高用量の吸入ステロイド+長時間作用型気管支拡張薬服用ではコントロール不良の喘息成人患者に対し、マクロライド系抗菌薬の経口アジスロマイシンの追加投与は、喘息増悪リスクを約4割減少し、喘息関連QOLも改善することが示された。オーストラリア・Hunter Medical Research InstituteのPeter G. Gibson氏らが、420例を対象に行った48週間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、著者は「アジスロマイシンは喘息コントロールの追加療法として有用と思われる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年7月4日号掲載の報告。アジスロマイシン500mg、週3回48週間投与 研究グループは2009年6月12日~2015年1月31日にかけて、吸入ステロイドや長時間作用型気管支拡張薬の服用にもかかわらず喘息症状が認められる、18歳以上の患者420例を対象に、経口アジスロマイシンの追加で喘息増悪の頻度が減少可能かを調べる試験を行った。被験者は、聴覚障害や補正QT間隔延長が認められない場合を適格とした。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはアジスロマイシン500mgを(213例)、もう一方にはプラセボを(207例)、それぞれ週3回48週間投与した。試験を行った医療センターと喫煙歴について、層別化も行った。 主要評価項目は、48週間の中等度~重度の喘息増悪の頻度、および喘息症状関連の生活の質(QOL)で、intention-to-treatにてデータを分析・評価した。喘息増悪1回以上の発症率も減少 喘息増悪の発現頻度は、プラセボ群が1.86/人年だったのに対し、アジスロマイシン群は1.07/人年と、約4割低かった(罹患率比:0.59、95%信頼区間[CI]:0.47~0.74、p<0.0001)。 また、試験期間中に1回以上の増悪が発現した患者の割合も、アジスロマイシン群で有意に低率で、プラセボ群61%(207例中127例)だったのに対し、アジスロマイシン群は44%(213例中94例)だった(p<0.0001)。さらに、アジスロマイシン群はプラセボ群に比べ、喘息関連QOLも有意に改善し、喘息QOL質問票(AQLQ)スコアの補正後平均値格差は0.36(95%CI:0.21~0.52、p=0.001)だった。 なお、下痢の発症がプラセボ群19%に対し、アジスロマイシン群で34%と有意に高率に認められた(p=0.001)。

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重症喘息へのbenralizumab、経口ステロイドを減量/NEJM

 重症喘息患者において、抗インターロイキン-5受容体αサブユニット・モノクローナル抗体benralizumabの8週ごとの皮下投与は、年間喘息増悪率も大幅に低下し喘息コントロールを維持しながら、経口ステロイドの服用量を減少可能であることが、無作為化二重盲検並行群プラセボ対照試験の結果、示された。なお、示された効果には、1秒量(FEV1)への持続的効果は伴わなかった。カナダ・マックマスター大学のParameswaran Nair氏らによる検討で、NEJM誌2017年6月22日号(オンライン版2017年5月22日号)で発表した。benralizumabを4週ごとまたは8週ごとに皮下投与 vs.プラセボ投与 研究グループは、重症喘息患者で、中~高用量吸入ステロイド+長時間作用性β2刺激薬(LABA)を12ヵ月以上、さらに高用量吸入ステロイド+LABAを6ヵ月以上服用したことがある成人を対象に、無作為化比較試験を行った。 被験者を無作為に3群に分け、benralizumab(30mgを4週ごとまたは8週ごと[最初の3回は4週ごと]に皮下投与)、またはプラセボを投与し、喘息症状をコントロールしながら、経口ステロイド服用量を減少できるかどうかを比較した。 主要評価項目は、28週までの経口ステロイド用量の変化の割合。合わせて、年間喘息増悪率や、肺機能、症状、安全性の評価も行った。benralizumab群のステロイド減量のオッズ比は4倍超 試験に参加した369例のうち、220例について無作為化を行い、benralizumabまたはプラセボを投与した。 benralizumab群は4週ごと投与群、8週ごと投与群ともに、経口ステロイドの最終服用量の中央値が、ベースラインから75%減少した。一方、プラセボ群の同減少率は25%だった(p<0.001)。経口ステロイド減量に関するオッズは、benralizumab群がプラセボ群の4倍超だった(4週群:4.09、8週群:4.12、いずれもp<0.001)。 副次的評価項目について、benralizumab 4週ごと投与群の年間喘息増悪率は、プラセボ群に比べ55%低く(限界増悪率:0.83 vs. 1.83、率比:0.45、p=0.003)、benralizumab 8週ごと投与群はプラセボ群に比べ70%低かった(同:0.54 vs. 1.83、0.30、p<0.001)。 一方で、28週時点のFEV1については、benralizumabの両群ともにプラセボ群と比較して有意な効果は認められなかった。その他の喘息症状の指標に対する効果は混在しており、benralizumab群で有意な効果を示すものもあれば、示さないものもあった。 なお、有害事象の頻度は、benralizumab群とプラセボ群で同程度だった。

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だからといって在宅NIVが進むだろうか(解説:倉原 優 氏)-684

 本研究は、急性呼吸性アシドーシスから回復したもののPaCO2が53mmHgを超えるII型呼吸不全の状態で在宅療養を余儀なくされたCOPD患者さんに、在宅酸素療法だけでなく非侵襲的換気(NIV)を併用することでその後のCOPD増悪による入院や死亡を減らせるかどうか検証したものである。日本ではNIVと表記するのはまだ一般的でなく、非侵襲的陽圧換気(NPPV)と表記されることが多いが、文献に合わせて以下NIVと表記させていただく。 本研究では、ランダム化から12ヵ月後の再入院・死亡はNIV併用で有意に少ないというポジティブな結果が得られた(17.0%のリスク減少)。NIVはHarmony2あるいはVPAP III ST-Aが用いられた。大きな機器ではなく、在宅でも十分使用可能なサイズだ。最終的に、ランダム化から12ヵ月後の時点でNIVにおけるNIV使用は夜間7時間以上に及んでおり、寝ているときはほぼNIVを使用していることになる。 これを読むと、「II型呼吸不全のCOPD患者さんはNIVを併用したほうが良いのか、よし明日にでも勧めよう」と思い立つかもしれないが、事態はそんな単純ではない。そもそも在宅酸素療法ですらホイホイと導入できるものではなく、本人がいささかの抵抗感を持ちつつ、周囲の協力を得て実現できるものである。簡単に導入できると豪語できる医療従事者は、患者の社会生活を一度顧みていただきたい。どれだけ酸素療法によって経済的負担が増えるのか即答できないのなら、安易な酸素処方をすべきではない。酸素療法は、私たちがスマホのアプリをダウンロードするのとは訳が違う。ましてや、在宅NIVとなるとさらにハードルは上がる。今でこそ軽量化した機器がたくさん登場し、在宅NIVが比較的簡便になったが、それでも「自分が装着するメカ」を家に持って帰るのに抵抗がない患者さんなどいない。 この研究結果が示すリスク減少の効果は、実臨床にインパクトを与えるほど大きい。そのため、この理想の在宅酸素療法に少しでも近付けるため、われわれ医療従事者は在宅NIVが将来のリスク減少にどれほど寄与するか、患者・患者家族に効果的に説明する必要がある。そして到来する超高齢化社会のCOPD増悪に、現在与えられた治療選択肢でどう立ち向かうのか、熟考しなければならない。

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イマチニブが重症喘息の気道過敏性を抑制?/NEJM

 KIT阻害薬イマチニブは、重症喘息患者の気道過敏性を抑制し、マスト細胞数とトリプターゼ放出を減少させることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のKatherine N. Cahill氏らの検討で明らかとなった。これらの知見は、重症喘息の病態生物学的な基盤には、KIT依存性の過程とマスト細胞の寄与があることを示唆するという。研究の成果は、NEJM誌2017年5月18日号に掲載された。マスト細胞は、ステロイド治療を行っても重症喘息患者の気道に残存し、不良なQOLや不十分な喘息コントロールなどの疾患特性に関連する。幹細胞因子とその受容体KITは、組織での正常なマスト細胞の発育や生存に不可欠であり、イマチニブはKITのチロシンキナーゼ活性を阻害することで、慢性骨髄性白血病患者の骨髄中のマスト細胞数を著明に減少させ、血清トリプターゼ値を低下させることが知られている。原理を検証するプラセボ対照無作為化試験 研究グループは、イマチニブが重症喘息の生理学的マーカーである気道過敏性や、気道のマスト細胞数とその活性化に及ぼす影響の評価を目的とする原理検証(proof-of-principle)試験を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 対象は、年齢18~65歳、最大限の薬物療法を行っても、気道過敏性が認められるコントロール不良の重症・難治性喘息患者であった。これらの患者が、二重盲検下に、イマチニブを投与する群(200mg/日を2週間投与し、その後は400mg/日に増量)またはプラセボ群にランダムに割り付けられ、24週の治療が行われた。割り付け前と24週時に気管支鏡検査を実施した。 主要評価項目は、気道過敏性のベースラインから3ヵ月および6ヵ月までの変化(1秒量の20%低下に要するメサコリン濃度[PC20]で評価)とした。 試験期間は2010年11月~2015年7月であった。米国の7施設で62例が登録され、イマチニブ群に32例(平均年齢42.0歳、女性59%)、プラセボ群には30例(37.7歳、60%)が割り付けられ、それぞれ24例、26例が治療を完遂した。マスト細胞標的治療の臨床試験の土台となるデータ イマチニブ群は、プラセボ群に比べ気道過敏性が著明に低下した。3ヵ月時のメサコリンPC20は、イマチニブ倍量群がベースラインよりも平均値(±SD)で1.20±0.52(p=0.03)増加し、6ヵ月時には1.73±0.60(p=0.008)増加しており、いずれも有意な変化が認められたのに対し、プラセボ倍量群では3ヵ月時に0.03±0.42(p=0.94)、6ヵ月時には1.07±0.60(p=0.08)の増加にとどまり、試験期間を通じて両群間に有意な差が認められた(p=0.048)。 マスト細胞活性化のマーカーである血清トリプターゼ値も、イマチニブ群はプラセボに比し顕著に低下した。ベースラインの平均血清トリプターゼ値は、イマチニブ群が4.75±2.59ng/mL、プラセボ群は4.86±2.13ng/mLであり、6ヵ月時にはイマチニブ群が2.02±2.32ng/mL(42.7±31.6%)低下し、プラセボ群は0.56±1.39ng/mL(11.5±31.0%)の低下であった(p=0.02)。 気道のマスト細胞数は両群とも減少しており、有意な差はみられなかった(気道全体:-54.2±96.5 vs.-32.3±79.8/mm2、p=0.11、気道平滑筋:-102.7±167.9 vs.-79.2±157.3/mm2、p=0.07)。 全有害事象および重度有害事象の頻度は、両群に差はなかった。筋痙攣と低リン酸血症が、プラセボ群よりもイマチニブ群で多くみられた。イマチニブ群では2例が有害事象により試験を中止した(好中球減少と足の筋攣縮が1例ずつ)。 著者は、「これらのデータは、臨床的方向性を示すものではないが、重症喘息患者におけるマスト細胞を標的とするフォローアップ試験の土台となるものである」と指摘している。

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ネズミ由来の小児喘息に総合的有害生物管理は有効か/JAMA

 米国では、ネズミのまん延が、都市近郊の低所得層居住区に特有の問題となっており、ネズミに感作した喘息児がネズミ由来アレルゲンに曝露すると、感作あるいは曝露がない患児に比べ喘息症状の発現頻度が高いとの報告がある。また、専門家が行う総合的有害生物管理(integrated pest management:IPM)による介入は、ネズミ由来アレルゲン濃度を低下させることが知られている。そこで、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のElizabeth C Matsui氏ら研究グループは、有害生物管理教育へのIPMの併用による喘息症状の抑制効果を検証する無作為化臨床試験(MAAIT試験)を行った。研究の成果は、JAMA誌2017年3月6日号に掲載された。361例で喘息症状の発現日数を評価 MAAIT試験の対象は、ボストン市およびボルチモア市の都市部に居住する年齢5~17歳のネズミ感作およびネズミ由来アレルゲン曝露がみられる持続型喘息の青少年で、前年に増悪がみられた患者であった。 被験者は、専門家によるIPMと有害生物管理教育を受ける群または有害生物管理教育のみを受ける群にランダムに割り付けられ、1年間の治療が行われた。IPMには、殺鼠剤の使用、侵入口となり得る穴の封鎖、捕獲罠の設置、アレルゲン曝露源の除去を目的とする清掃、アレルゲンが確認されたマットレスと枕への防御カバーの装着、移動式空気清浄機が含まれた。 3ヵ月ごとにネズミの発生状況を評価し、まん延が持続または再発生した場合は治療を追加した。すべての被験者が、捕獲罠や穴の封鎖、清掃法に関する資料や実際のやり方の説明書などを用いた有害生物管理教育を受けた。 主要評価項目は、6、9、12ヵ月時の直近2週間における3つの症状(喘息による活動性の減弱、就寝中の喘息症状による覚醒、咳嗽・喘鳴・胸部圧迫感の発現)のうち、最も多い症状の発現日数とした。 2010年5月~2014年8月に、361例(平均年齢:9.8[SD 3.2]歳、女児:38%)が登録された。IPM追加群に181例、有害生物管理教育単独群には180例が割り付けられ、それぞれ166例、168例が主要評価項目の解析に含まれた。最大症状発現日数に差はない 全体として、低所得層とマイノリティが多くを占め、直近2週間の3症状の最大発症日数中央値は3.0日、前年の喘息による緊急受診中央値は2回であった。 有害事象は、IPM追加群が4件、有害生物管理教育単独群は2件認められたが、いずれもデータ収集作業に関連するものであった。 6、9、12ヵ月時の最大症状発現日数中央値は、IPM追加群が2.0日(IQR:0.7~4.7)、有害生物管理教育単独群は2.7日(同:1.3~5.0)であり、両群間に統計学的に有意な差は認めなかった(p=0.16)。また、追加群の単独群に対する症状発現率比は0.86(95%信頼区間[CI]:0.69~1.06)だった。 副次評価項目(3つの個々の症状、運動時の症状、短時間作用型β受容体刺激薬の使用、緊急受診、入院、救急診療部受診、肺機能、経口ステロイド薬の短期投与など)は、いずれも両群間に有意な差はなかった。 また、寝室のある階のネズミ由来アレルゲンが75%以上減少した患者の割合(IPM追加群:63% vs.有害生物管理教育単独群:58%、p=0.45)および90%以上減少した患者の割合(46% vs.41%、p=0.44)に、有意差はみられなかった。空中および寝台塵中のネズミ由来アレルゲンの減少についても、同様の結果であった。 著者は、「有害生物管理教育にIPMを併用しても、有害生物管理教育単独に比べ6~12ヵ月時の最大症状発現日数は改善しなかった」とまとめ、「IPMによる喘息症状の抑制には、住居内のネズミ由来アレルゲンの実質的な減少は関連しない可能性が示唆される」と指摘している。

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同じGPでの診療継続は、不要な入院を減らす/BMJ

 プライマリケアの継続性を促進することで、不必要な入院を回避し、とくに受診頻度の高い患者で医療費の抑制効果を改善する可能性があることが、英国・The Health FoundationのIsaac Barker氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年2月1日号に掲載された。予定外の入院を回避するために、多くのヘルスケアシステムが、プライマリケアへのアクセスの迅速性と公正性の改善に重点的に取り組んでいる。英国では、ケアの継続性が損なわれつつあるとされ、これはケアへのアクセスの促進と継続性はトレード・オフの関係にあるためと考えられている。また、ケアの継続性は、患者および医師の満足度と関連することが知られているが、入院との関連は不明だという。ケアの継続性とACSCによる入院の関連を横断的に評価 研究グループは、高齢患者を対象に、一般医(GP)によるケアの継続性と、「プライマリケアでの適切な処置により不必要な入院が回避可能な病態(ambulatory care sensitive conditions:ACSC)」に起因する入院との関連を評価するために、横断的研究を行った(研究助成は受けていない)。 解析には、英国の臨床試験研究データベース(Clinical Practice Research Datalink)に参加する200のGP施設のプライマリケアおよびセカンダリケアの記録を用いた。 ACSCには、喘息など質の高いケアで再燃エピソードを予防すべき長期的な病態や、壊疽など適切な時期に効果的なケアで発症を阻止すべき急性の病態、インフルエンザや肺炎などワクチン接種で予防可能な病態などが含まれた。 ケアの継続性は、最も受診回数の多いGPへの受診頻度(usual provider of care index)のスコアで評価した。たとえば、1例の患者がGPを10回受診し、そのうち6回が同一のGPの場合、継続性スコアは0.6(6/10)となる。 2011年4月~2013年3月の2年間に、GP施設を2回以上受診した年齢62~82歳の患者23万472例のデータが解析の対象となった。主要評価項目は、ACSCによる入院回数とした。受診頻度が高い患者は、ケアの継続性が低く、不必要な入院が多い ベースラインの全体の平均年齢は71.43(SD 5.88)歳、女性が53.63%を占めた。2年間で、1例がGPを受診した平均回数は11.40(SD 9.40)回、専門医への平均紹介数は0.45(SD 0.89)回、ACSCによる平均入院回数は0.16(SD 1.01)回であった。ACSCによる入院は0が89.57%、1回が7.70%、2回以上は2.73%だった。 ケアの継続性スコアの平均値は0.61であった。所属GPの多い大規模施設(常勤換算GP数≧7人)は、小規模施設(同:1~3人)よりもケアの継続性が低い傾向がみられた(平均継続性スコア:0.59 vs.0.70)。 年齢が高い患者ほど、専門医への紹介が多く、疾患が長期に及び、ACSCによる入院でGPを受診する頻度が高かった。また、ACSCによる入院の頻度は、女性が男性に比べて低く、社会経済的貧困度が高度の集団ほど高かった。 さらに、ケアの継続性が高い患者ほど、ACSCによる入院が少なかった。すなわち、ケアの継続性が中等度の群(継続性スコア:0.4~0.7)は低い群(同:0~0.4)に比べACSCによる入院が8.96%減少し(p<0.001)、高い群(同:0.7~1.0)は、低い群よりも12.49%(p<0.001)、中等度の群よりも3.87%(p=0.03)低下した。 人口統計学的特性と患者の臨床的背景因子で調整したモデルによる解析では、ケアの継続性スコアが0.2上昇すると、ACSCによる入院が6.22%(95%信頼区間[CI]:4.87~7.55、p<0.001)低下した。 プライマリケアの受診頻度が最も高い患者(GP受診回数≧18回/2年)は、最も低い患者(同:2~4回/2年)に比べ、ケアの継続性が低く(継続性スコア:0.56 vs.0.69)、ACSCによる入院は多い傾向がみられた(入院回数:0.36 vs.0.04)。 著者は、「GPによるケアの継続性を改善する戦略は、とくに受診頻度が最も高い患者においてセカンダリケアの医療費を抑制するとともに、患者および医療者の負担を軽減する可能性がある」とまとめ、「介入法については注意深い評価が求められる」と指摘している。

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喘息の過剰診断・過剰治療が許されない時代へ(解説:倉原 優 氏)-636

 「喘息と診断されている患者の3人に1人が誤診だ」と言われたら、どう思うだろうか。私はまっとうに診断をしていると反論する人もいれば、なんとなく喘息だと診断しているので何も言い返せない人もいるかもしれない。すべてが誤診だとバッサリ切り捨てているわけではないが、言い方を変えたとしても「喘息と診断されている患者の3人に1人が、適切に診断された喘息を現在有していない」と結論付けたのが本研究である。 過去5年で喘息と診断された613例の成人が解析の対象になっている。彼らは喘息薬を服用していた場合、4回の通院時に薬の量を漸減されている。もし彼らが現在喘息でないのなら、症状の悪化も気道過敏性も顕在化しないということだ。つまり、喘息と診断されている患者の中から“偽性喘息”をあぶり出そうというわけだ。 喘息の存在が否定されたのは、613例の被験者のうち203例(33.1%、95%信頼区間29.4~36.8%)だった。さらに、追加12ヵ月の追跡によって、最終的に181例(29.5%、95%信頼区間25.9~33.1%)が喘息のエビデンスなしと判断された。つまり、喘息患者の約3分の1が現在喘息があるとはいえない状態だったのだ。 これは一見プライマリケアに大きな衝撃を与えるように思われるが、実は日本の喘息診療ではそう不思議なことではない。というのも、喘息診断のハードルは意外に高いためである。プライマリケアでは気道可逆性検査はおろかスパイロメトリーすら実施できず、病歴と聴診だけで診断をつけられている喘息患者が少なくない。短期的に気管支攣縮を来している例でも、喘息という診断の下、長期の吸入薬が処方されているのが現状だ。 喘息の誤診における最も重大なものは、疾患の存在を見逃し適切な治療が導入されていないことである。そういう観点からは、過剰診断・過剰治療というのは、なんとなく「仕方がないよね」という赦免の風潮が医療界にはある。しかし時代は変わりつつある。パターナリスティックな過剰診断・過剰治療はもはやevidence basedとは対極にあるトンデモ医療のように扱われることが増え、不必要な薬剤は断つべきなのだろう。 この研究は、誤診しないことが重要だということを述べたいのではない、と私は感じた。喘息と診断されてもその後再評価することで喘息の治療をやめられる患者がいるということ、それが患者の利益につながることを示唆しているのである。 プライマリケア医・呼吸器内科医にとっては、自身の喘息診療を回顧するよい機会になるかもしれない。

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成人喘息患者の3人に1人は現在喘息ではない!?/JAMA

 過去に医師から喘息と診断されたことがある成人患者のうち、33.1%は現在喘息ではないと診断された。カナダ・オタワ大学のShawn D Aaron氏らが、喘息と診断された成人患者を対象に、現在も喘息であるという診断を除外できるか、また、喘息治療薬を安全に中止できるかを検証する目的で行った多施設前向きコホート研究の結果、報告した。著者は、「医師から喘息と診断されたことがある患者は、その診断を再評価したほうがいいかもしれない」と提言している。喘息は慢性疾患であるが、成人喘息の自然寛解や診断の確実性については不明であった。JAMA誌2017年1月17日号掲載の報告。喘息の診断歴がある成人患者約700例で、現在も喘息かどうかを再評価 研究グループは2012年1月~2016年2月に、カナダ10都市でRDD(random digit dialing)法を用い、過去5年以内に医師から喘息と診断された18歳以上の成人患者を無作為に抽出し(長期ステロイド内服患者と、スパイロメトリー検査ができない患者は除外)、診断した医師から喘息の初期診断に至った過程について情報を得た。 電話によるスクリーニングにおいて1,026例が基準を満たし、そのうち701例(68.3%)が本試験に登録された。全例、在宅ピークフロー値、症状モニタリング、スパイロメトリー、および気管支誘発試験にて評価し、日常的に喘息治療薬を使用している患者では、4回の受診で薬を徐々に減らした。最終的に現在喘息であることが否定された患者については、1年間は気管支誘発試験を繰り返し、臨床的に追跡した。 主要評価項目は、現在喘息ではないと判定された患者(すべての喘息治療薬を中止後、または本試験の呼吸器専門医が他の診断を確定後に、喘息症状の急性増悪・可逆性気道閉塞・気管支過敏性の所見を認めなかった患者と定義)の割合、副次評価項目は、12ヵ月後に喘息が否定された患者の割合、および初期に適切な診断的精密検査を受けていた患者の割合であった。33%が現在喘息なし、1年の追跡調査後も約30%が喘息ではなかった 701例(平均年齢51±16歳、女性67%)中、613例が試験を完遂し最終評価を受けた。その結果、613例中203例が現在喘息ではないと判断された(33.1%、95%信頼区間[CI]:29.4~36.8%)。また、12例(2.0%)は重篤な心呼吸器疾患(虚血性心疾患、声門下狭窄、気管支拡張症、間質性肺疾患、肺高血圧症、サルコイドーシス、気管支軟化症)であり、地域で喘息と誤診されていたことが判明した。 12ヵ月の追跡調査で喘息が否定された患者は181例(29.5%、95%CI:25.9~33.1%)であった。現在喘息ではないと判断された患者は、喘息であると確認された患者と比較し、地域での初期診断で気流制限検査の実施が少ない傾向にあった(それぞれ43.8% vs.55.6%、絶対差:11.8%、95%CI:2.1~21.5%)。 著者は本研究の限界として、追跡調査期間の短さや、気管支誘発試験の特異度が80%未満であること、長期ステロイド内服患者は除外されていることなどを挙げている。

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妊娠中のn-3系脂肪酸摂取、児の喘鳴・喘息リスク低下/NEJM

 妊娠24週以降にn-3系長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)を摂取することで、出生児の持続性喘鳴または喘息、および下気道感染症のリスクが絶対値で約7%、相対的には31%低下することが明らかになった。デンマーク・コペンハーゲン大学のHans Bisgaard氏らが、妊娠中のn-3系LUPUFA摂取が出生児の持続性喘鳴または喘息リスクに及ぼす効果を検討した単施設二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。n-3系LCPUFAの摂取不足は、喘鳴性疾患の有病率増加に寄与している可能性がある。これまで、観察研究では妊娠中のn-3系LCPUFA摂取不足と出生児の喘息・喘鳴性疾患のリスク増加との関連が示唆されていたが、無作為化比較試験は検出力が低く結果は不確かであった。NEJM誌2016年12月29日号掲載の報告。妊娠24週以降毎日魚油 vs.オリーブ油摂取、出生児695例を5年間追跡 研究グループは2008年11月~2010年11月の間に、妊娠24週の妊婦736例をn-3系LCPUFA(魚油:55%エイコサペンタエン酸[EPA]、37%ドコサヘキサエン酸[DHA])2.4g/日を摂取する群(魚油群)と、プラセボ(オリーブ油)を摂取する対照群に1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ出産後1週まで毎日摂取してもらい、対象から生まれた児をコペンハーゲン小児喘息前向き研究2010(Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood2010:COPSAC2010)のコホートとして5年間前向きに追跡調査した。最初の3年間は二重盲検で、その後2年間は担当医のみ盲検とした。 主要評価項目は、持続性喘鳴または喘息(満3歳に達するまでは「持続性喘鳴」、その後は「喘息」)、副次評価項目は下気道感染症、喘息増悪、湿疹、アレルギー感作などであった。 最終的に、本研究には新生児695例が登録され、95.5%が3年の二重盲検追跡期間を完遂した。持続性喘鳴・喘息リスクはオリーブ油に比べ魚油摂取で約31%低下 持続性喘鳴または喘息のリスクは、対照群23.7%に対し魚油群は16.9%(ハザード比:0.69、95%信頼区間[CI]:0.49~0.97、p=0.035)で、相対的に30.7%低下した。事前に規定されたサブグループ解析では、無作為化時におけるEPA+DHAの血中濃度が低い母親(下位3分の1:血液中の総脂肪酸に対する割合として4.3%未満の集団)から生まれた児で、効果が最も大きいことが示された(対照群34.1%、魚油群17.5%、ハザード比:0.46、95%CI:0.25~0.83、p=0.011)。 副次評価項目では、n-3系LCPUFA摂取と下気道感染症のリスク低下との関連性が示唆されたが(対照群39.1%、魚油群31.7%、ハザード比:0.75、95%CI:0.58~0.98、p=0.033)、喘息増悪、湿疹、アレルギー感作については有意な関連は認められなかった。

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START研究が喘息診療の過去の幻想を拭い去った(解説:倉原 優 氏)-625

 過去のガイドラインにおいて、吸入ステロイド薬(ICS)治療は1週間に2日を超えて症状がある喘息患者、すなわちpersistent asthmaに推奨されてきた歴史がある。それ以下の症状の喘息をintermittent asthmaと呼び、吸入短時間型β2刺激薬などでその都度発作を解除してきた。 この2日というカットオフ値がエビデンス不足のまま現行GINAガイドライン1)へ至ることとなったため、軽症の喘息患者に対するICSの適否をはっきりさせるべきだという意見が多かった。そのため、START研究の事後解析が行われた。なお、現在のGINAガイドライン1)では、頻繁ではないが喘息症状を有し発作のリスクが高い患者に対しては低用量ICSでの治療開始(step 2)を推奨している1)。日本のガイドライン2)では治療ステップ1および2のカットオフ値は、週1回と月1~2回という問診が用いられている。 START研究について解説しておくが、これは今から13年前、発症2年以内の軽症持続型喘息患者を対象に長期追跡した有名な大規模試験である。この研究は、軽症持続型喘息患者においては発症早期から低用量ICSを使うべしという道筋を立てた、喘息診療のマイルストーンともいうべき存在である。 事後解析では、喘息症状の頻度を0~1日/週(0~1日群)、1~2日/週(1~2日群)、2日超/週(2日超群)で層別化し、複合プライマリアウトカムに初回の喘息関連イベント(SARE:入院、救急受診治療、死亡)およびベースラインからの肺機能の変化(気管支拡張後)が設定された。ICSは低用量ブデソニドが用いられ、これがプラセボと比較されている。 層別化はおおむねバランスのとれた頻度で、0~1日群が31%、1~2日群が27%、2日超群が43%だった。解析の結果、どの症状頻度サブグループにおいても初回のSAREまでの期間を有意に延長させることがわかった(0~1日群:ハザード比0.54 [95%信頼区間0.34~0.86]、1~2日群:ハザード比0.60 [95%信頼区間0.39~0.93] 、2日超群:ハザード比:0.57 [95%信頼区間0.41~0.79], p=0.94)。さらに、プラセボ群と比較すると、ブデソニド群は経口あるいは全身性ステロイドを要する重症発作のリスクを減らした(0~1日群:率比0.48 [95%信頼区間0.38~0.61]、1~2日群:率比0.56 [95%信頼区間0.44~0.71]、2日超群:率比0.66 [95%信頼区間0.55~0.80]、p=0.11)。 つまり、1週間あたりの症状が少なかろうと多かろうと、この軽症喘息というくくりでみた患者のすべてが低用量ICSの恩恵を受けることは間違いないということである。「1週間に2日」という幻想に縛られていた過去を、見事に拭い去る結果となった。 喘息であれば早期からICSを導入する、という考え方は正しい。しかし、咳喘息やアトピー咳嗽などの喘息以外の好酸球性気道疾患が増えてきたうえ、喘息とCOPDがオーバーラップしているという疾患概念まで登場している。疾患診断が昔より複雑になったことは否めない。その中で、経験的にICSをホイホイと処方するようになってしまうと、医学的効果がほとんど得られないにもかかわらず、将来の肺炎リスクのみを上昇させてしまうような事態にもなりかねない。 何よりも、喘息という疾患を正しく診断することが重要なのはいうまでもない。参考1)Global Strategy for Asthma Management and Prevention. Updated 20162)喘息予防・管理ガイドライン2015. 日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会編. 協和企画.

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