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058)ついにフェイスシールドが義務化!着けた人あるある【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第58回 ついにフェイスシールドが義務化!着けた人あるあるゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆日々オミクロン株が猛威を振るっておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。私の勤める病院でも発熱相談や検査件数が増え、待合ブースにも新しく隔離用のパーテーションが増設されました。それと同時に、職員にはフェイスシールドが義務化され、いよいよ私もフェイスシールドデビューを果たしました。これまでは着ける機会がなかったので、まだこの新しいアイテムに慣れません…。まずは音声の問題。シールドを着けている人の声は聞き取りづらいなあ、と以前から感じていたのですが、自分が着けてみてよくわかりました。発した声が、フェイスシールドで跳ね返って反響してしまうのです。もはや、ちょっとした個室です。とくに高齢で耳の遠い患者さんに話し掛けるときには、意識してはっきりと大きな声を出すようになりました。また、手などを動かしたときに不用意に当たってしまうと、プラ板がビヨビヨとすごい音で鳴ります。これにも最初は驚かされました。当院で採用されているのは、眼鏡型のフェイスシールドなのですが、もともと眼鏡を着用している私は、自前の眼鏡の上にフェイスシールドの眼鏡をかけるような形になります。形状についてとくに不便さは感じませんが、こと皮膚科において「顕微鏡を覗くとき」だけは、このシールドが障害になります。いったんフェイスシールドを横に外して覗くべきなのでしょうが、無精者ゆえ、着けたまま直接鏡検に挑んでおります(接眼レンズにメキョメキョとめり込ませながら…)。慣れてしまえば何てことはないはずのフェイスシールド。今回デビューしてみて感じたことをまとめてみました。早くこのようなものが必要ない世の中になりますように。それでは、また〜!

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2021年に注目された記事は?「ベストPicker アワード」発表

 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」(医師会員限定)は、2021年にサイト上で最も活躍した医師を表彰する「2021年 ベストPicker アワード」を発表した。投稿(Pick)数と他ユーザーからの評価を足した指標を基に毎年行っているもので、2021年に表彰された5名の医師と受賞コメントは以下のとおりとなっている。◆田中 希宇人氏(日本鋼管病院) このたびは「ケアネットDoctors'Picks 2021年ベストPicker」を頂きまして誠に嬉しく思います。昨年もコロナで日常診療も私生活も相当制限された1年でした。このような世界的パンデミック下だからこそ正確で効率的な情報収集と分かりやすい情報発信の重要性を改めて認識することになりました。2022年は新しいことにもチャレンジしつつ、ケアネットさんとも一緒にこれからの令和の医療の発展に引き続き尽力していきたいと思っています。田中氏のPickした記事◆寺田 満雄氏(名古屋市立大学病院 乳腺外科) 2021年からPickerになりましたが、多くの先生がそれぞれの視点から注目すべき論文やニュースを取り上げており、自分では気づかない情報を得られるので、とても有益なサイトだと思います。もっと早く知っていたら、と思いますね。2022年も皆さんに役立ち、専門家同士の議論が生まれるような話題を提供していきたいと思います。寺田氏のPickした記事◆下村 昭彦氏(国立国際医療研究センター) いつもTwitterのような短文のPickですみません。自分の専門領域とする乳がん薬物療法のPickを中心としながら、COVID-19とがんやSARS-CoV-2ワクチンとがんなど、そのときどきで多くの人の関心のある話題をご紹介できればと思っています。下村氏のPickした記事◆吉村 吾郎氏(市立岸和田市民病院) 「2021年ベストPicker」にお選び頂きありがとうございます。コロナ禍以降、新型コロナウイルス関連のピックアップが多くなっています。今後は、自身の専門である乳癌領域を増やしていく所存です。よろしくお願いします。吉村氏のPickした記事◆池田 慧氏 (神奈川県立循環器呼吸器病センター) このたびは、2021年ベストPickerにご選出いただき、誠にありがとうございます!自分自身の勉強を兼ねて、臨床寄りの論文ばかりPickして(ときどき宣伝したりして)ますが、少しでも誰かの役に立っているのなら、こんなに嬉しいことはないです。池田氏のPickした記事 特設サイトには、受賞者の1人である寺田氏に、医療情報収集と発信のコツを聞いたインタビューも掲載されている。

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軽症でのレムデシビル投与を追記、コロナ診療の手引き6.2版/厚労省

 1月27日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第6.2版」を公開し、全国の自治体に通知を行った。レムデシビルの軽症者への投与方法を追加 6.2版の主な改訂点は以下の通り。●改訂点【1 病原体・疫学】・オミクロン株について更新・国内・海外発生状況を更新【4 重症度分類とマネジメント】・重症度別マネジメントのまとめを更新・軽症、中等症Iについて更新 重症化リスクのある患者へのレムデシビル・モルヌピラビル・中和抗体薬投与方法について追加【5 薬物療法】・レムデシビル 重症化リスクのある軽症・中等症Iの患者を対象とした試験の結果を追加 (プラセボ群と比較し、入院または死亡を87%減少させた) 軽症者への投与方法を追加・軽症・中等症患者を対象とした治療薬の臨床試験についてまとめた表を追加・トシリズマブ メタアナリシスの結果を追加 投与方法、投与時の注意点を更新・未承認薬を整理し、一覧で標記(ファビピラビル含む)

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オミクロン株感染3万例、入院・重症化リスクを解析/Lancet

 南アフリカ共和国・国立感染症研究所(NICD)National Health Laboratory ServiceのNicole Wolter氏らは、国内の4つのデータベースを用いた解析から、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株感染者は、同時期に診断された非オミクロン変異株感染者と比較して入院リスクが低いこと、早期のデルタ変異株感染者と比較して重症化リスクが低いこと、この重症化の減少の一部はおそらく過去の感染やワクチン接種による免疫の結果であると考えられることを明らかにした。オミクロン変異株は、2021年11月に同国で確認され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の増加と関連していた。Lancet誌オンライン版2022年1月19日号掲載の報告。症例・検査・ウイルスゲノム解析・入院サーベイランスデータを連携し評価 研究グループは、南アフリカ共和国の次の4つのデータベースから個人レベルのデータを連携し解析した。(1)NICDのNotifiable Medical Conditions Surveillance Systemにリアルタイムに報告されたCOVID-19症例データ、(2)公的検査機関(National Health Laboratory Service)および民間の大規模検査機関1社におけるSARS-CoV-2検査データ、(3)民間および公的診断研究所からNICDに送られた臨床検体、および5つの州の肺炎サーベイランスプログラムを介して収集されたSARS-CoV-2ゲノム解析データ、(4)COVID-19による入院に関する積極的サーベイランスシステム「DATCOV」(南アフリカ共和国の全病院をカバー)のデータ。 多変量ロジスティック回帰モデルを用い、2021年10月1日~11月30日に診断されたCOVID-19患者の入院と重症化(集中治療室入室、酸素治療、人工呼吸器使用、体外式膜型人工肺使用、急性呼吸促迫症候群または死亡)を、オミクロン変異株感染者と非オミクロン変異株感染者で比較するとともに、2021年10月1日~11月30日に診断されたオミクロン変異株感染者と2021年4月1日~11月9日に診断されたデルタ変異株感染者の重症化を比較した。 オミクロン変異株感染は、TaqPath COVID-19 PCR検査(Thermo Fisher Scientific製)でS遺伝子が検出されなかった(S gene target failure:SGTF)感染を代替として用い、S遺伝子が検出された非SGTF感染を非オミクロン変異株感染とした。デルタ変異株はゲノムシークエンスにより同定した。オミクロン株感染者は、入院が少なく、重症化が少ない 南アフリカ共和国では、2021年10月1日(第39週)~12月6日(第49週)に、計16万1,328例のCOVID-19患者が報告され、うち今回の解析対象検査機関からの報告は10万4,529例であった。このうちTaqPath PCR検査で診断されていたのは3万8,282人で、オミクロン変異株感染は2万9,721例、非オミクロン変異株感染は1,412例報告された。オミクロン変異株感染の割合は、39週目の3.2%(2/63例)から、48週目には97.9%(2万1,978/2万2,455例)に増加した。 2021年10月1日~11月30日において、入院した患者の割合はオミクロン変異株感染者2.4%(256/1万547例)、非オミクロン変異株感染者12.8%(121/948例)で、入院に関連する因子を調整した入院のオッズはオミクロン変異株感染者で有意に低下した(補正後オッズ比[aOR]:0.2、95%信頼区間[CI]:0.1~0.3)。 2021年12月21日までの院内転帰が判明している患者(382例)において、重症化した患者の割合は、オミクロン変異株感染者21%(42/204例)、非オミクロン変異株感染者40%(45/113例)で、重症化に関連する因子で補正後の重症化オッズ比は0.7(95%CI:0.3~1.4)であった。 また、2021年10月1日~11月30日に診断されたオミクロン変異株感染者は、同年4月1日~11月9日に診断されたデルタ変異株感染者と比較して、重症化に関連する因子で補正後のオッズは有意に低かった(62.5%[496/793例]vs.23.4%[57/244例]、aOR:0.3、95%CI:0.2~0.5)。

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ファイザーとモデルナが相次ぎ発表、オミクロン特化ワクチンの臨床試験開始

 依然、世界で拡大傾向が続く新型コロナウイルスのオミクロン株を巡り、コロナワクチンを手掛けるファイザー社とモデルナ社が、相次いでオミクロン株に特化した新たなワクチンの臨床試験の開始を発表した。 米国・ファイザー社が発表した1月25日付のプレスリリースによると、臨床試験は、18~55歳の最大1,420例を3つのコホートに分けて実施。コホート1(n=615)は、90~180日前に、既存のファイザー製ワクチンを2回接種した被験者。コホート2(n=600)は、90~180日前に、既存ワクチンを3回接種した被験者。これらのグループに対し、既存ワクチンまたはオミクロン株に特化した新規ワクチンを1回投与する。ワクチン未接種の被験者で構成するコホート3(n=205)は、新規ワクチンを3回投与。それぞれのコホートについて、新規ワクチンの安全性、忍容性、免疫原性の評価を行う。 一方、米国・モデルナ社も1月26日付のプレスリリースで、同社のオミクロン株に特化した追加接種ワクチン候補(mRNA-1273.529)の第II相試験の最初の被験者に接種を行ったことを発表した。 臨床試験では、18歳以上の成人において、既存のモデルナ製ワクチンを2回接種し、2回目の投与から6ヵ月以上前の被験者(コホート1)と、同ワクチンを2回接種と50μgの追加接種を受け、追加接種から3ヵ月以上前の被験者(コホート2)に対し、オミクロン株に特化したワクチンを1回追加投与し、免疫原性、安全性、及び接種後反応を評価する。同社は、本試験の各グループに約300例の登録を見込んでおり、米国内の最大24施設で実施する方針。 併せて同社は、既存ワクチンにおける追加接種6ヵ月後のオミクロン株に対する中和抗体価データをNEJM誌に公表したことも発表1)。それによると、追加接種後29日目のピーク時の中和抗体価から6.3倍低下しているものの、すべての被験者で検出可能だった。しかしながら、同じ期間で2.3倍低下した従来株のウイルス(D614G)に対する中和抗体価の低下よりも、オミクロン株では急速だったという。

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ブースター接種こそ感染対策の要 -コロナワクチンブースター接種がコロナ死亡を90%減らす-(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 現在、日本でも世界でもオミクロン株の猛威により急激な新型コロナウイルス感染症の感染者が増加しているような状況である。米国や欧州の一部では感染拡大のピークを越え、収束傾向になっている地域もあるようだが、2022年1月中旬現在においてWHO(世界保健機関)でも各国の警戒を呼び掛けているような緊迫した状況が続いている。 本邦のコロナワクチン接種は2022年1月20日の時点で2回目接種終了者が全国民の約79%にあたる9,963万人を超えている状況である。ただし2021年末から始まったコロナワクチンの3回目接種、いわゆるブースター接種は194万人(日本全国民の約1.5%)にとどまっており、2回目接種終了後から時間が経過した高齢者や基礎疾患を持つ者、新型コロナウイルスやCOVID-19症例と接触する機会の多い医療従事者はブースター接種を待ち望んでいるところである。 コロナワクチンの3回目の接種、いわゆるブースター接種が日本でも粛々と進められているところである。一般的にワクチンの有効性、コロナの発症予防効果はデルタ株に比べてオミクロン株は低いとされている。さらにワクチン2回接種後の期間が長くなるとさらに効果が低下することがいわれており、接種直後はオミクロン株に対して約60%程度の発症予防効果を認めていたところ、5~6ヵ月が経過すると約10%に低下してしまうことが示されている(United Kingdom Health Security Agency, UKHSA 2021.12.31)。イスラエルの医療従事者に対するBNT162b2によるブースター接種の効果を検討した報告では、約1ヵ月の短い追跡期間ではあるものの、ブースター接種群はブースター非接種群に比べ90%以上もコロナ感染リスクを低下させる結果が示された(Spitzer A, et ai. JAMA. 2022 Jan 10. [Epub ahead of print])。この報告では症例の観察期間が2021年8~9月で行われており、オミクロン株が感染拡大する前の状況であることは注意が必要である。また先に示した英国からの報告では、ファイザー製コロナワクチンBNT162b2やモデルナ製コロナワクチンmRNA-1273のブースター接種後のオミクロン株に対する効果についても検討されており、BNT162b2では約70%、mRNA-1273では約80%まで発症予防効果が回復するとされた(United Kingdom Health Security Agency, UKHSA 2021.12.31)。 米国からの中和抗体価を測定した研究ではコロナワクチン2回接種後3ヵ月以内では高い中和抗体価を示したが、6~12ヵ月経過すると大幅に低下してしまうことが示されている。またオミクロン株に対しては2回接種後3ヵ月以内でも50%以上の方で中和抗体が消失するような結果であり、野生株に対する中和抗体価と比較するとBNT162b2接種群で122倍低く、mRNA-1273接種群では43倍低い結果となった。この報告ではブースター接種での中和抗体価の上昇も検討されており、野生株やデルタ株のブースター接種による中和抗体価の上昇は1~9倍にとどまっていたのに対し、オミクロン株はBNT162b2接種群で27倍、mRNA-1273接種群で19倍中和抗体価が上昇することが示され(Garcia-Beltran WF, et al. Cell. 2022 Jan 6. [Epub ahead of print])、オミクロン株に対抗するためにブースター接種が極めて重要であることが示唆された。 本論評で取り上げたイスラエルのRonen Arbelらの論文(Arbel R, et al. N Engl J Med. 2021;385:2413-2420.)は、BNT162b2を2回接種した約84万人を対象にブースター接種の効果を検証した報告である。この研究の調査対象者は2021年8月調査開始時に年齢が50歳以上で、5ヵ月以上前に2回目接種を完了した方で、約2ヵ月間に3回目接種を受けたブースター接種群75万8,118例と非ブースター接種群8万5,090例で比較検討された。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡が主要評価項目とされ、ブースター接種群で65例(10万人あたり0.16人/日)、非ブースター接種群で137例(10万人あたり2.98人/日)という結果が示された。背景因子や併存症による調整を行った後の両群のCOVID-19による死亡ハザード比は0.10であり、ブースター接種群では死亡率が90%低かった。65歳で区切った年齢や男女別でもブースター接種群がCOVID-19による死亡率が低かった。また副次評価項目として規定された新型コロナ感染者もブースター接種群で2,888例、非ブースター接種群で1万1,108例であり、ブースター接種群で83%低かった。 過去にはブースター接種の有効性として発症予防効果や感染予防効果、そして中和抗体価を評価した報告が主であったが、本研究からはブースター接種が死亡率の低下を示すという心強い結果と捉えることができる。 ただし本研究は50歳以上に限定した報告であり、50歳未満の若年者に当てはめることはできないことは注意が必要である。また解析期間は2021年8~9月の約2ヵ月間という短い時間での検討であることや、その時期には現在世界でも日本でも猛威を振るっているオミクロン株ではなく、B.1.617.2系統、いわゆるデルタ株がメインであったことは差し引いて解釈する必要がある。そして多くの方が懸念しているコロナワクチンの有害事象についての検討はなされておらず、今後のデータの集積に期待したいというのは筆者のRonen Arbelらも懸念されているところである。 この研究に含まれる対象者は約84万例が全例ワクチン2回接種者ということになる。ワクチン接種完了者における新規感染を、ワクチン接種を突破して発生した感染であることから「ブレークスルー感染」と一般的に呼称しているが、本研究でのコロナ感染者は全例ブレークスルー感染の範疇であるものと考える。ブレークスルー感染を惹起したウイルスの種類は、その国や地域のその時点で流行している背景ウイルスに規定される(山口,田中. ケアネット論評1422)が、もはや3回目のブースター接種を行っているか否かで死亡率が大きく異なっている現状では、ブレークスルーかどうかは少し意味合いが薄れていると考えざるを得ない。本邦でも全国民の約8割が2回目を接種完了している状況においては、今後の新型コロナウイルスとの戦いに打ち勝つためには変異ウイルスの違いはあれど、ブースター接種をいかに早く推し進めるかどうかにかかっているのではないか。オミクロン株の感染拡大で多くの医療機関で厳しい状況を目の当たりにしていると思われるが、そのような大変な状況下でもできる限りワクチン接種体制を整備していくことが望まれる。

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COVID-19治療薬の特徴一覧を追加、薬物治療の考え方12版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、1月24日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第12版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 今回の改訂では、適用・効果の追加承認がなされたトシリズマブ(商品名:アクテムラ)に関する記載が追加されたほか、他の治療薬の知見を更新し、現在使用できる治療薬4剤の特徴を記した一覧表が附表として追加された。 主な改訂点について、以下に抜粋する。総論【3. 抗ウイルス薬等の対象と開始のタイミング】 「重症化リスクが高い患者を対象とした治療薬の特徴で、巻末の附表参考」や「軽症例での薬物治療の適応の場合、感染病態および薬理作用の観点などからも、感染または発症から早期の治療開始が望ましい。また、中等症以上で全般的な薬物治療を検討」の文言変更。「予防接種歴のみで治療薬の適応を判断するしない」、「患者の病態など総合的に勘案して適応を決定する」ように追加。【4. 抗ウイルス薬等の選択】 オミクロン株には、カシリビマブ/イムデビマブは使用が推奨されないこと、妊娠および妊娠の可能性がある場合は、モヌルピラビルは使用できないことなどを追加。抗ウイルス薬について【レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注用100mg)】・臨床報告について国内と海外記載を変更・投与時の注意点について投与期限(10日目まで)、小児への投与の注意点と推奨されない小児を追加記載【モルヌピラビル】・臨床報告について国内と海外記載を変更【ファビピラビル】・臨床報告について国内と海外記載を変更・薬剤提供は2021年12月27日で取り扱い終了の記載追加中和抗体薬について【カシリビマブ/イムデビマブ】・「発症抑制での投与時の注意点」を追加・In vitroでの変異株への効果を追加【ソトロビマブ】・備考でオミクロン株への評価を追加・「発症後での投与時の注意点」で重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者を対象に投与などの項目を追加免疫調整薬・免疫抑制薬【トシリズマブ】・海外での臨床報告を変更・国内での使用実績を変更・2022年1月の適応追加を追記・投与方法、投与時の注意点を変更(投与方法)通常、成人には、副腎皮質ステロイド薬との併用において、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを点滴静注する。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、トシリズマブして8mg/kgをさらに1回追加投与できる。(投与時の注意点)・酸素投与、人工呼吸器管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うこと。・海外医師主導治験は室内気SpO2が92%未満または酸素投与中でCRP値7.5mg/dL以上のSARS-CoV-2による肺炎患者を対象として実施され、副腎皮質ステロイド薬併用下で本剤の有効性が確認されている。当該試験の内容を熟知し、本剤の有効性および安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。・海外医師主導治験では副腎皮質ステロイド薬を併用していない患者において本剤投与により全死亡割合が高くなる傾向が認められた。・バリシチニブとの併用について、有効性および安全性は確立していない。その他 附表として「重症リスクを有する軽症COVID-19患者への治療薬の特徴(2022年1月時点)」を追加 本手引きの詳細は、同学会のサイトで確認していただきたい。■関連記事ゾコーバ緊急承認を反映、コロナ薬物治療の考え方第15版/日本感染症学会

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非重症コロナ入院患者の心肺支持療法離脱に有用な治療法は?/JAMA

 非重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の治療において、治療量のヘパリンにP2Y12阻害薬を上乗せしても、ヘパリン単独療法と比較して21日以内の心肺支持療法離脱日数(organ support-free days)は増加しなかった。米国・NYU Grossman School of MedicineのJeffrey S. Berger氏らが、ブラジル、イタリア、スペイン、米国の病院60施設で実施した非盲検並行群間比較ベイズ流適応型無作為化試験「Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines 4 Acute:ACTIV-4a」の結果を報告した。非重症のCOVID-19入院患者に対するヘパリン療法は、マルチプラットフォーム無作為化比較試験で生存日数や心肺支持療法離脱日数を増加することが示されたものの、患者の24%が死亡または集中治療を必要としたことから、この集団における追加治療が検討されていた。JAMA誌2022年1月18日号掲載の報告。ヘパリン+P2Y12阻害薬またはヘパリン単独に無作為化 研究グループは、2021年2月26日~6月19日の期間に、COVID-19で入院後72時間以内の患者で集中治療室(ICU)への入室は不要の非重症患者562例を、治療量のヘパリン+P2Y12阻害薬併用群(P2Y12阻害薬群、293例)、または治療量のヘパリン単独群(標準治療群、269例)に1対1の割合で無作為に割り付け、14日間または退院のいずれか早い日まで投与した。P2Y12阻害薬としてはチカグレロルが推奨されたが、クロピドグレルやプラスグレルの使用も認められた。90日間の最終追跡日は、2021年9月15日であった。 主要評価項目は、21日間における心肺支持療法離脱日数で、院内死亡(-1)と退院まで生存した患者については21日目までに呼吸/心臓系の心肺支持療法を受けなかった日数(範囲:-1~21日、スコアが高いほど心肺支持療法が少なくアウトカム良好を示す)を組み合わせた順序尺度で評価した。安全性の主要評価項目は、国際血栓止血学会により定義された28日までの大出血とした。ヘパリン+P2Y12阻害薬で、心肺支持療法離脱日数は改善せず、大出血リスクは3倍 無作為化された全562例(平均年齢52.7歳[SD 13.5]、女性41.5%)が試験を完遂し、87%が1日目に治療量のヘパリン投与を受けた。P2Y12阻害薬群では、63%がチカグレロル、37%がクロピドグレルを投与された。 心肺支持療法離脱日数の中央値は、P2Y12阻害薬群で21日(IQR:20~21)、標準治療群で21日(IQR:21~21)であった(補正後オッズ比[OR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.55~1.25、無益性の事後確率[オッズ比<1.2と定義]=96%)。死亡または心肺支持療法を必要とした患者の割合は、P2Y12阻害薬群(75例、26%)が標準治療群(58例、22%)より高かった(補正後ハザード比[HR]:1.19、95%CI:0.84~1.68、p=0.34)。 大出血は、P2Y12阻害薬群6例(2.0%)、標準治療群2例(0.7%)に認められた(補正後OR:3.31、95%CI:0.64~17.2、p=0.15)。

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ロナプリーブ、コロナ無症候者への投与で症状悪化を抑制/JAMA

 初期無症候性の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が確認された家庭内濃厚接触者に対し、皮下投与によるカシリビマブ+イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法はプラセボと比較し、28日間の症候性新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症リスクを有意に低下する。米国・Regeneron PharmaceuticalsのMeagan P. O'Brien氏らが、314例を対象に行った第III相無作為化試験の結果を報告した。JAMA誌オンライン版2022年1月14日号掲載の報告。ベースラインで血清反応陰性者の発症率を比較 研究グループは2020年7月13日~2021年1月28日にかけて、米国、ルーマニア、モルドバ共和国の112ヵ所の医療機関を通じて、SARS-CoV-2感染者の家庭内濃厚接触者314例を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。被験者は無症状の12歳以上で、定量的逆転写PCR(RT-qPCR)検査結果の陽性者(SARS-CoV-2感染者の検査実施から96時間以内に特定)。追跡は2021年3月11日まで行われた。 被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはカシリビマブ+イムデビマブ(1,200mg、各抗体薬600mgずつ)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ1回皮下投与した。 主要エンドポイントは、ベースライン血清反応陰性者における、28日間の症候性COVID-19を呈した被験者の割合だった。主な有効性の副次エンドポイントは、症候性SARS-CoV-2感染の期間(週)およびウイルス量高値(4 log10コピー/mL超)を示した期間(週)だった。有症状期間を発症者1人当たり約5.6日短縮 被験者314例(平均年齢41.0歳、女性は51.6%)のうち、310例(99.7%)が有効性に関する評価を完了した。ベースラインで血清反応陰性かつ無症状だったのは204例だった。 カシリビマブ+イムデビマブ1,200mgの皮下投与は、症候性疾患への進行を有意に予防した。症候性COVID-19を呈したのはカシリビマブ+イムデビマブ群は29/100例(29.0%)、プラセボ群44/104例(42.3%)で、オッズ比は0.54(95%信頼区間[CI]:0.30~0.97、p=0.04)、絶対リスク群間差は-13.3%(95%CI:-26.3~-0.3)だった。 カシリビマブ+イムデビマブは、症候性期間(週)を有意に短縮(895.7週/1,000人vs.プラセボ群1,637.4週/1,000人、p=0.03)。これは、症状を呈した被験者1人当たり約5.6日の短縮に相当した。 また、カシリビマブ+イムデビマブは、ウイルス量高値の期間(週)も有意に短縮した(489.8週/1,000人vs.プラセボ群811.9週/1,000人、p=0.001)。 なお、1つ以上の治療関連有害事象の発生率は、カシリビマブ+イムデビマブ群33.5% vs.プラセボ群48.1%であり、そのうちCOVID-19に関連したものは、それぞれ25.8% vs.39.7%、関連していないものは11.0% vs.16.0%だった。

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第93回 医学部進学実績トップ校の生徒が起こした事件で考えた教育現場の時代錯誤

潮目が変わり始めた政府のコロナ対策こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。新型コロナウイルスの国内感染者は1月23日、5万30人が確認され、2日連続で5万人を超えました。ということで、さすがにこの週末は山にも行かず、劇場にも行かず、飲み屋にも行かず、溜まった新聞や週刊誌を読んで時間を潰しました。当然ながら感染者激増に関する報道が多いのですが、先週あたりから、コロナ対策の潮目が変わり始めたな、と感じるニュースが目立ってきました。一つは、「基本的対処方針分科会」の尾身 茂会長が、1月19日、会合のあと報道陣の取材に対して語った以下の言葉です。「今までやってきた対策を踏襲するのではなく、オミクロン株の特徴にあったメリハリのついた効果的な対策が重要だ。これまでの『人流抑制』ではなく『人数制限』というのがキーワードになると考えている」。また、尾身会長も含む、コロナ対策を政府に助言する専門家の有志は21日、感染が急拡大した場合、若年層で重症化リスクが低い人は「必ずしも医療機関を受診せず、自宅療養を可能とすることもあり得る」とする提言を公表しました。オミクロン株で医療が破綻する前に議論しておくべきこと、という視点からの提言とのことですが、随分踏み込んだ内容の提言です。その一方で、政府側は効果が今ひとつ不明と言われるまん延防止等重点措置の適用や、ワクチンの3回目接種の施策を進めています。全体としては、国が“ちゃんとやってる感”を出す一方で、専門家等に敢えて方向転換の発言をしてもらうことで、新型コロナウイルスに対するイメージを徐々に「ほとんどの人が自宅療養だけで治る病気」へと変えていこう、という意図が見え隠れします。こうした動きを、「コロナ対策、専門家迷走 蔓延防止で知事間温度差」(1月23日付・産経新聞)と皮肉る記事もありますが、私自身は政府も含め確信犯的に“迷走”を演じているような気がします。実際、1月24日、後藤 茂之厚生労働大臣は医療の逼迫する地域では、重症化リスクの低い若者らは自らの検査だけで医師の診断なく新型コロナウイルス感染者と判断し、自宅療養に移るのを認める、と表明。同日には厚生労働省から事務連絡が発出されています。これは21日に専門家有志が提言したこと、そのままです。過度に恐れるのではなく、国民の多くの認識が季節性インフルエンザに対するのと同程度に変わっていけば、いわゆる「ウィズ・コロナ」の世界も現実味を帯びて来るでしょう。果たして国の目論見、世論形成はうまくいくのか…。今後の動きに注目したいと思います。さて今回は、大学入学共通テスト会場の東京大学前で受験生ら3人が刺された事件について書いてみたいと思います。医学部志望の高校2年生による犯行事件は1月15日の午前8時半ころ、大学入学共通テスト1日目の試験開始直前に起きました。各紙の報道によると、東京大学農学部正門の前で、受験のために会場を訪れていた千葉県内の高校生2人を含む3人が刃物で刺され、名古屋市内の高校に通う少年(17)が殺人未遂容疑で現行犯逮捕されました。刺された3人のうち東京都豊島区の男性(72)は重傷で、1月22日現在も病院のICUに入院中、とのことです。逮捕された少年は、事件前夜に名古屋市から高速バスで東京に向かい、当日朝、東京駅近くの丸ノ内線大手町駅から後楽園駅に向かい、南北線に乗り換えて東大前駅に向かいました。この途中、車内に可燃性の液体を染み込ませたリュックを置き去りにし、東大前駅の構内では着火剤に火をつけてボヤも起こしていました。少年は逮捕直後、「医師になるために東大を目指して勉強していたが、1年前から成績が落ち自信をなくしていた」「事件を起こして自分も死のうと思った」などと供述、その後、黙秘に転じたそうです。ちなみに、東京駅から東大へは、丸ノ内線に乗り本郷三丁目駅で降りればすぐです。少年が目指していた医学部もこの駅が最寄りです。わざわざ南北線に乗り換え、農学部近くの東大前駅に向かったのは、東大についての「勉強」が少々足りなかったのかもしれません。医学部受験の超名門、名古屋・東海高校2年生この事件、教育関係者などに大きな波紋を投げかけています。コロナ禍による教育現場の環境変化が生徒の孤立を深めた、との指摘もあります。また、医学部受験を目指す受験生や、その親の間では、別の衝撃を持って受け止められました。少年が通っていた高校が医学部受験で全国に名を轟かせる名古屋市の名門私立、東海高校だったからです。地元紙、中日新聞の1月20日付の報道では、「少年は高校の中でも成績上位の理系のクラスに所属。部活に所属していた時期もあったが数ヵ月で辞め、周囲に東大の医学部に進級できる『理科三類』への進学を目指すと公言」、「昨年9月、クラス担任との面談で『成績が思うように上がらない。文系に転向した方がいいかもしれない』などと悩みを打ち明けていた」とのことです。担任は具体的な目標を示して励ましたものの、「2ヵ月後の昨年11月のテストでは、少年の成績は振るわず、苦手科目の点数も上がっていなかった」そうです。ただ、3年に進級する今春以降も文系には変更せず、理系クラスの予定だったとのことです。「孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされた」東海高校は1月16日、報道各社に向けて「本校在籍生徒が事件に関わり、受験生の皆さん、保護者・学校関係者の皆さんにご心配をおかけしたことについて、学校としてお詫びします」との内容と、今後の再発防止策について以下のようなコメントを出しています。本校は、もとより勉学だけが高校生活のすべてではないというメッセージを、授業の場のみならず、さまざまな自主活動を通じて、発信してきました。また本校の長い歴史のなかで、そのような校風を培ってきました。ところが、昨今のコロナ禍のなかで、学校行事の大部分が中止となったこともあり、学校からメッセージが届かず、正反対の受け止めをしている生徒がいることがわかりました。これは私たち教職員にとっても反省すべき点です。「密」をつくるなという社会風潮のなかで、個々の生徒が分断され、そのなかで孤立感を深めている生徒が存在しているのかもしれません。今回の事件も、事件に関わった本校生徒の身勝手な行動は、孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされたものと思われます。今後の私たちの課題は、そのような生徒にどのように手を差し伸べていくかということであり、それが根本的な再発防止策であると考えます。医師になりたいのではなくただ理三に行きたかった?少年は「真面目でおとなしい」「勉強熱心で努力家」と周囲から見られていた一方で、東大理科三類に合格することに執着し過ぎていた、との報道もあります。週刊文春1月27日号は、この事件をトップ記事で取り上げています。それによると、「中学時代は常にトップクラスの成績だったA(少年)は20年4月、東海高に進学。同校は1学年約440人のうち、約400人が東海中の内部進学生で“内来生”と呼ばれる」とのことです。そして、少年が中学校からではなく、高校から東海高校に入学、内来生との激しい競争に勝って、2年時には成績優秀者が属する「A群理系」クラスに入ったと報じています。しかし、その後成績が低迷、9月には「東大理三は無理」との判断が下されたとのことです。同誌は記事の最後に「彼は医師になりたかったわけではなく、東大理三という“勲章”が欲しかったのでしょう」という同級生の母親の言葉を紹介、「A(少年)が目指していたのは。果たして命を救う医師という職業だったのか」と疑問を呈しています。昨年度は93人が国公立大学医学部に合格少年が通う東海高校は、東海地方では最難関の私立高校です。同校は1888年(明治21年)創立という長い歴史のある中高一貫の男子校で、テレビタレントで予備校講師の林 修氏、先ごろ亡くなった海部 俊樹元首相の出身校でもあります。同校が東海地区だけではなく、全国的にも脚光を浴びるようになったのは、ここ10数年のことです。なんと、2008年から昨年まで、国公立大学医学部への進学実績が全国トップなのです。ちなみに昨年度は93人が合格しています。なお、東大理三の合格者は昨年度1人、過去5年間で6人でした。かつての進学校は、医学部だけにこだわらず、東大や京大、旧帝大、早慶の進学者数を競うのがトレンドでした。そんな中、東海高校は、日本経済の低迷や受験生(中高生)とその父兄の安定志向を背景とした医学部人気を先取り、医学部進学、中でも「偏差値は高いが学費は安い」国公立大医学部への進学に注力し、実績を積み重ねて来ました。ただ、こうした進学校における医学部偏重とも見える進路指導には、一部には批判があるのも事実です。優秀な人材を、偏差値が高いからといって医学部ばかりに行かせていては、他の学問分野や、他産業の進歩や発展を阻害してしまうのではないか、というわけです。四半世紀後、医師の仕事内容は大きく変わっている私も個人的には、「日本全国で人口減少が続くのに、これ以上医師を増やしてどうするのか」、という思いがあります。1月12日、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」と、下部組織の「医師需給分科会」の合同会合が開催され、「第5次中間とりまとめ」が概ね了承されました。そこでは、「人口減少に伴い将来的には医師需要が減少局面になるため、今後の医師の増加のペースについては見直しが必要である」と指摘されています。今の高校生が医学部に行って、一人前の医師になる四半世紀後は、医師の仕事内容は大きく変わっている可能性があります。脳神経外科や心臓外科といった専門医の数は極力絞られ、総合診療医や家庭医といったジェネラリストが医師の主な職務となっているかもしれません。今回の事件で気になったのは、進学高校の教育現場における時代錯誤です。何十年も前の私の高校時代にあった医学部偏重、東大至上主義の構図が、今の高校教育にも厳然として残っていることはある意味驚きです。私立の進学校としては、「親のニーズ」に応えることは経営上重要だとは思いますが、少子高齢化が今以上に進んだ時の日本の状況を勘案した進路指導や、コロナ禍で「孤立感にさいなまれる」生徒の心のケアについても、ぜひ本腰を入れてもらいたいと思います。

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コロナ流行開始以降、小児の感染症による入院・死亡が減少/BMJ

 イングランドの小児では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の発生以降、重度の侵襲性感染症や呼吸器感染症、ワクチンで予防可能な感染症による入院が大幅かつ持続的に減少し、このうち敗血症や髄膜炎、細気管支炎、肺炎、ウイルス性喘鳴、上気道感染症による入院から60日以内の死亡数も減少したことが、英国・オックスフォード大学のSeilesh Kadambari氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2022年1月12日号で報告された。イングランドの0~14歳の観察研究 本研究は、イングランドにおける小児の呼吸器感染症、重度の侵襲性感染症、ワクチンで予防可能な感染症による、入院および死亡に及ぼしたCOVID-19の世界的大流行の影響の評価を目的とする住民ベースの観察研究である(Office for Health Improvement and Disparitiesなどの助成を受けた)。 研究グループは、イングランドのすべての国民保健サービス(NHS)病院から、2017年3月1日~2021年6月30日の期間における0~14歳の小児の入院データを入手し、全国的な死亡データと関連付けた。19種の感染症(重度の侵襲性感染症6種、呼吸器感染症8種、ワクチンで予防可能な感染症5種)について、COVID-19の世界的大流行の発生前後で、入院率および死亡転帰を比較した。 個々の感染症について、毎月の入院数、2020年3月1日の前後での入院数の変化率、同日前後での60日死亡率の補正後オッズ比(OR)を算出した。インフルエンザ入院が94%、麻疹入院が90%減少 2020年3月1日以降の12ヵ月間に、それ以前の36ヵ月間と比較して、腎盂腎炎を除く18種の感染症で、入院数の顕著な減少が認められた。 呼吸器感染症では、インフルエンザによる入院の減少率が最も高く、平均年間入院数は2017年3月1日~2020年2月29日に5,379件であったのに対し、2020年3月1日~2021年2月28日には304件となり、減少率は94%(95%信頼区間[CI]:89~97)に達した。次いで同期間の入院は、細気管支炎が5万1,655件から9,423件へと82%(79~84)減少し、続いてクループ(減少率78%、95%CI:65~87)、中耳炎(74%、71~77)の順であった。 重度の侵襲性感染症による入院の減少率は、髄膜炎(減少率50%、95%CI:47~52)が最も高く、次いで蜂巣炎(43%、39~48)、感染性関節炎(35%、28~41)、敗血症(33%、30~36)の順であった。また、ワクチンで予防可能な感染症による入院の減少率は、流行性耳下腺炎(ムンプス)の53%(95%CI:32~68)から麻疹の90%(80~95)までの幅がみられた。 このようなCOVID-19以外の感染症による入院の減少は、すべての人口統計学的サブグループと基礎疾患を有する小児で確認された。 6つの感染性疾患(敗血症、髄膜炎、細気管支炎、肺炎、ウイルス性喘鳴、上気道感染症)では、入院数の減少に伴い60日死亡数も減少した。ただし、肺炎については、60日の絶対死亡数は減少したが(2017~20年の3年の年間平均193件、2020年3月1日以降156件)、入院から60日以内の死亡率は2020年3月1日以降に増加していた(年齢・性別で補正したOR:1.73、95%CI:1.42~2.11、p<0.001)。 著者は、「COVID-19の世界的大流行期に、SARS-CoV-2感染を抑制するために多様な行動変容(非薬物的介入)や社会的施策(学校閉鎖、都市封鎖、旅行制限)が採択され、これが小児の一般的な感染症や重篤な感染症をも低下させたと考えられる。社会的制約の進展とともに、これらの感染症の持続的なモニタリングが求められる」としている。

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コロナ疑似症患者の扱いは?感染状況に応じた外来診療の考え方/厚労省

 オミクロン株への急速な置き換わりが進み、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が急拡大する中、一部地域ではすでに発熱外来の電話がつながらない、予約が取れないといった状況が生じている。そのような状況を鑑み、厚生労働省では1月24日に事務連絡1)を発出。「診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」および「外来医療のひっ迫が想定される場合」に分けて、自治体(都道府県又は保健所設置市)の判断で行うことができる対応について示した。診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合 上記に該当する場合には、自治体の判断で、以下(1)~(3)の対応を行うことが可能。(1)発熱等の症状がある場合でも、重症化リスクが低いと考えられる方(※1)については、医療機関の受診前に、抗原定性検査キット(※2)等で自ら検査していただいた上で受診することを呼びかけること。この場合に、医師の判断で、受診時に再度の検査を行うことなく、本人が提示する検査結果を用いて確定診断を行って差し支えない。 ただし、本人が希望する場合には検査前でも医療機関への受診は可能であることや、症状が重い場合や急変時等には速やかに医療機関を受診するよう、併せて呼びかけること。また、重症化リスクが高い方については、これまでどおり医療機関を受診していただき、適切な医療が受けられるようにすること。※1:たとえば、40歳未満で危険因子(基礎疾患・肥満等(注))を持たない、ワクチン2回接種済みの方を対象とすることが考えられる。臨床データ等を踏まえ、自治体において対象を変更することは差し支えない。(注)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第6.1版」において、新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち重症化しやすいのは、基礎疾患等のある方として慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満のある方、喫煙、一部の妊娠後期の方があげられている。※2:抗原定性検査キットを用いる場合、検査結果が陰性であっても、症状が継続する場合等は医療機関を受診することや、検査結果が陽性の場合は、受診時に医師に提示できるよう、スマートフォン等を用いて画像として保存しておく等検査結果が分かるものを手元に残しておくことを併せて呼びかけるとともに、(2)の電話診療・オンライン診療をできるだけ活用すること。 抗原定性検査キットについては、有症状者が対象となりうることを踏まえ、下記を参考に自治体において対応をお願いする。なお、事業者等への委託を行う場合は、行政検査として、配布に当たって生じる委託料を感染症予防事業費負担金の対象とすることが可能である。・自治体等から有症状者に抗原定性検査キットを事前に配付する・医療機関で対象者に検査キットのみを配布する・事業者等に委託して「抗原定性検査キットセンター」等を設置して、当該センターで検査キットを配布する・自治体の庁舎等に検査キット配布窓口を設置して、検査キットを配布する この他、従前より、本人が薬局から購入し自宅に備え付けているものや自治体等から配布されたものがあれば、それを活用することが考えられるところ、地域の状況を踏まえた対応をしていただきたい。(2)地域の診療・検査医療機関以外の医療機関の協力も得て、電話診療・オンライン診療の遠隔診療を積極的に活用すること。 (3)同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の判断により検査を行わなくとも、臨床症状で診断すること(※3)。 こうした場合でも、経口薬など治療薬の投与が必要となる場合等は、医師の判断で検査を行うことが可能であること。※3:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」)第12条第1項に基づく医師の届出に当たっては、疑似症患者として届け出ること。また、疑似症患者の場合には、入院を要すると認められる場合に限り当該届出を行うこととされているが、本対応を行う場合には、入院以外の場合であっても、届出をお願いすること。この場合、「B.1.1.529系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて」(令和3年11月30日付け(令和4年1月24日一部改正)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡2))Vの取扱いに従って届け出ること。外来医療のひっ迫が想定される場合 地域において外来医療のひっ迫が想定される場合には、自治体の判断で、以下の対応を行うことが可能。・症状が軽く重症化リスクが低いと考えられる方について、自らが検査した結果を、行政が設置し医師を配置する健康フォローアップセンターに連絡し、医療機関の受診を待つことなく健康観察(※)を受けること。※ITを活用した双方向による健康観察を行うことを想定(症状が悪化した場合、患者が入力した情報からその状況をシステム上で把握)。さらに、体調悪化時には必ず繋がる連絡先を伝えること。また、この場合、同センター等の医師が感染症法第12条第1項に基づく届出を行うこととなる。

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第96回 COVID-19ワクチン有害事象のノセボ効果の説明が必要

偽薬(プラセボ)は体調を良くすることもあれば損ねて有害事象を招くこともあり、プラセボで体を壊して有害事象が生じることはノセボ(nocebo)効果として知られています。これまでの12のプラセボ対照無作為化試験報告をメタ解析したところ1)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン1回目接種後の頭痛や疲労などの注射部位以外に及ぶ全身性有害事象の実に8割方はそのノセボ効果に起因していてワクチンが原因ではないと示唆されました2)。全身性有害事象はワクチン1回目投与後の人の46%、プラセボ投与後の人の35%に生じていました。その結果に基づくとワクチン1回目接種後の全身性有害事象の76%はワクチンとは無関係のノセボ効果に起因します。理由は定かではありませんがワクチン2回目接種後の全身性有害事象のノセボ効果は1回目接種後より低めでした。2回目投与後の全身性有害事象の発生率はプラセボ群では少し下がって32%、ワクチン投与群では逆に増えて61%であり、それらの数値に基づくとワクチン2回目接種後の全身性有害事象のうちおよそ半分(52%)がワクチンとは無関係のノセボ効果に端を発すると推定されました。一方、注射部位の有害事象は全身性有害事象とは対照的にワクチンを原因とするものが大半を占めるようです。1回目投与後の注射部位有害事象の発生率はワクチン群では67%、プラセボ群では16%であり、ワクチン1回目投与後の注射部位有害事象の24%がノセボ効果に起因すると示唆されました。ワクチン2回目投与後の注射部位有害事象のうちノセボ効果の割合は全身性有害事象と同様に1回目投与後より低く、16%ほどでした。頭痛や疲労などの漠然とした症状一揃いがCOVID-19ワクチン接種後の一般的な有害事象として説明書の多くに掲載されており、ノセボ効果でも生じうるそういった症状があたかもワクチン接種後に特有の有害事象であるという思い込みを増やしているかもしれません。現在出回るそのような説明書や報道はノセボ効果をおそらく誘発または助長していますが、その効果の存在を隠すのではなく正直に説明することでCOVID-19ワクチン接種に関する不安を減らして接種をより受け入れやすくすることができると今回紹介した試験の著者は考えています1,3)。実際、ノセボ効果の理解を促して詳らかにすることの利点はわかってきています。たとえばいつもの同意手順の有害事象の説明に“この手段を調べた無作為化試験のプラセボ群の被験者にも似た有害事象が認められており、それらはどうやら不安や心配に端を発する”といったノセボ効果の簡潔にして正確な情報を含めることが服薬に伴う有害事象を減らしうると示唆されています4)。患者との意思疎通手段はさらなる研究が必要ですが、そういったノセボ効果を正直に伝えることは開示をより完全にしこそすれ害を及ぼすことはまず無さそうです1)。参考1)Haas JW, et al. JAMA Netw Open . 2022 Jan 4;5:e2143955.[Epub ahead of print] 2)‘Nocebo effect’: two-thirds of Covid jab reactions not caused by vaccine, study suggests / Guardian3)Placebo effect accounts for more than two-thirds of COVID-19 vaccine adverse events, researchers find / Eurekalert4)Ballou S, et al. J Clin Gastroenterol. 2021 Jun 7.

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重症コロナ肺炎治療薬にトシリズマブを承認/厚労省

 厚生労働省は1月21日、関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する効能・効果の追加を承認した。SARS-CoV-2による肺炎で、酸素投与、人工呼吸器管理またはECMOが必要な患者に限り、入院下で治療投与できる。トシリズマブはCOVID-19治療薬として2021年6月に米国で緊急使用許可を取得 トシリズマブは、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、中外製薬創製の国産初の抗体医薬品。トシリズマブは国内では2005年6月に販売を開始し、点滴静注用製剤では関節リウマチなど6つの適応症、皮下注製剤では3つの適応症で承認を取得している。 なお、トシリズマブはCOVID-19治療薬としては、2021年6月に米国で緊急使用許可を取得し、欧州でも承認(同年12月)されている。<トシリズマブ製品概要> ※今回の追加承認に関連する箇所の抜粋販売名:アクテムラ点滴静注用80mg、同点滴静注用200mg、同点滴静注用400mg一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え)申請者:中外製薬株式会社追加する効能・効果:SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素投与を要する患者に限る)追加する用法・用量: 通常、成人には、副腎皮質ステロイド薬との併用において、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを点滴静注する。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、トシリズマブ(遺伝子組換え)として8mg/kg を1回追加投与できる。

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12~18歳、ワクチン2回接種でCOVID-19入院をほぼ回避/NEJM

 年齢12~18歳の入院患者のうち、BNT162b2ワクチン(mRNAワクチン、Pfizer-BioNTech製)の2回接種を受けた患者は非接種例と比較して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院の回避に関する有効率が高く、集中治療室(ICU)入室や生命維持介入の回避割合も優れることが、米国疾病予防管理センター(CDC)のSamantha M. Olson氏らが実施したOvercoming COVID-19試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年1月12日号に掲載された。米国31施設のtest-negative designによる症例対照研究 研究グループは、青少年入院患者におけるBNT162b2ワクチンの有効性の評価を目的に、診断陰性デザイン(test-negative design)を用いた症例対照研究を行った(米国CDCの助成による)。 症例群は、年齢12~18歳、2021年7月1日~10月25日の期間に、米国23州の31の病院にCOVID-19で入院した患者であった。症状発現から10日以内または入院後72時間以内に、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法または抗原検査法で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性と判定された場合に、COVID-19と診断された。 対照群は、同年齢層で、COVID-19様症状がみられるがSARS-CoV-2陰性の入院患者(陰性群)と、COVID-19様症状のない入院患者(無症状群)であった。 BNT162b2ワクチン接種が1回、または2回目の接種から症状発現までの期間が14日未満の場合は「部分接種」、症状発現の14日以上前に2回の接種を受けた場合は「完全接種」とされた。接種が1回のみで、症状発現までの期間が14日未満の患者は除外された。 主要アウトカムは、COVID-19による入院、ICU入室、生命維持のための介入、死亡とされた。生命維持介入は、非侵襲的または侵襲的な機械換気、昇圧薬投与、体外式膜型人工肺の装着と定義された。COVID-19入院の有効率94%、死亡7例はすべて非接種例 主解析には1,222例が含まれ、症例群が445例(年齢中央値16歳、肥満を含む1つ以上の基礎疾患あり74%、対面授業出席者70%)、対照群は777例(15歳、70%、70%)であった。対照群のうち、SARS-CoV-2陰性例が383例(49%)、無症状例は394例(51%)だった。 症例群のうち、完全接種は17例(4%)、部分接種は1例(<1%)、非接種は427例(96%)であり、対照群はそれぞれ282例(36%)、54例(7%)、441例(57%)であった。 症例群では、180例(40%)がICUに入室し、127例(29%)が入院中に生命維持介入を要するまでに重症化し、このうち13例(3%)が体外式膜型人工肺を装着、7例(2%)が死亡した。ICU入室例のうち完全接種は2例のみで、残りの178例(生命維持介入を受けた127例中126例と、死亡した7例を含む)は非接種例だった。症例群の入院日数中央値は、非接種例が5日(IQR:2~7)、完全接種/部分接種例は4日(1~5)だった。 COVID-19による入院に対するBNT162b2ワクチンの全体の有効率は94%(95%信頼区間[CI]:90~96)で、陰性例では95%(91~97)、無症状例では94%(89~96)であった。また、ICU入室に対する有効率は98%(93~99)、生命維持介入に対する有効率も98%(92~100)と高率だった。 部分接種例の有効率は97%(95%CI:86~100)と高かったが、最終接種からCOVID-19様症状の発現までの期間中央値が、部分接種例は30日であったのに対し、完全接種例では90日(IQR:53~126)と長かった。SARS-CoV-2陽性で、入院の主な原因がCOVID-19ではなかった患者における入院に対する有効率は78%(48~91)だった。 著者は、「デルタ変異株が主流の時期に、重症化のリスク因子を有する患者を含む青少年において、BNT162b2ワクチンはCOVID-19による入院に対し高い有効率を示し、生命を脅かすCOVID-19の多くが回避された」とまとめている。

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第86回 第6波で救急搬送困難が過去最多、コロナ病床活用の新Q&A

<先週の動き>1.第6波で救急搬送困難が過去最多、コロナ病床活用の新Q&A2.医療従事者の濃厚接触者、無症状等を条件に毎日検査で就業可能に3.公立病院改革、コロナの影響で持続可能な経営強化プランに変化4.新Web研修システム、都道府県医師会で1年間無料/日医5.製薬企業、学会での広告費についても開示へ/製薬協6.広島県の医師が特殊詐欺で1.3億円の被害/広島県警1.第6波で救急搬送困難が過去最多、コロナ病床活用の新Q&A総務省消防庁は18日、救急車の受け入れを3回以上断られ、救急車が現場に30分以上とどまった「搬送困難事案」が、1週間で4,151件と、昨年8月の第5波ピーク時の3,361件を超え過去最高となったことを発表した。オミクロン株の急拡大が続く東京において、複数の病院に搬送を断られた心筋梗塞患者の死亡が病院で確認されたケースも報道された。これらを受け、厚労省は20日、事務連絡「即応病床等への救急患者の受入れに係る病床確保料の取扱いについて」を発出し、Q&A形式で補助金が支給されるコロナ病床(即応病床または休止病床)において、COVID-19患者以外の一般救急も一時的に受け入れが可能とした。なお、病床確保料の算定に当たっては、G-MISなどを活用し、1日単位での患者の有無から算定を行うことになる。(参考)各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査の結果 R4.1/10~16分(消防庁)即応病床等への救急患者の受入れに係る病床確保料の取扱いについて(厚労省)コロナ病床で一般救急受け入れ可、厚労省が通知 搬送困難が過去最多(朝日新聞)2.医療従事者の濃厚接触者、無症状等を条件に毎日検査で就業可能に厚労省は18日、オミクロン株の濃厚接触者の待機期間について改正し、濃厚接触者とされた以下の要件を満たす医療従事者については、毎日業務前にPCR検査または抗原定量検査(やむを得ない場合は抗原定性検査キットでも可)により陰性を確認すれば、管理者の了承の下、就業可能とした。《要件》ほかの医療従事者による代替が困難な医療従事者であること新型コロナウイルスワクチンを2回接種済みで、2回目の接種後14日間経過した後に濃厚接触があり、濃厚接触者と認定された者であることさらに、19日に更新された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」によると、エッセンシャルワーカーについては自治体の判断により、10日を待たずとも検査が陰性であった場合には待機を解除できる。PCR検査の場合は最終曝露日から6日目、抗原定量検査(あるいは抗原定性検査キット)は6日目と7日目に陰性であれば就労可能であるとしている。(参考)医療従事者である濃厚接触者に対する外出自粛要請への対応について(事務連絡)オミクロン株感染者の「濃厚接触者」である医療従事者、無症状・毎日陰性などで医療業務への従事可―厚労省(Gem Med)濃厚接触者となったエッセンシャルワーカーの待機期間、必要に応じ見直し検討…後藤厚労相(読売新聞)3.公立病院改革、コロナの影響で持続可能な経営強化プランに変化総務省は、これまで公立病院の経営悪化に対して、「公立病院改革ガイドライン」を策定し、病院の再編やネットワーク化、経営形態の見直しなどに取り組んできたが、今回、パンデミック下における公立病院の役割の重要性をあらためて認識し、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、検討会を立ち上げた。新たに「公立病院経営強化ガイドライン」を定め、2023年度までに公立病院を運営する自治体などにプラン策定を求める。地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの構築に向けて果たすべき役割を踏まえ、(1)機能分化・連携強化の推進、(2)医師・看護師等の確保など働き方改革の推進、(3)経営形態の見直し、(4)新興感染症に備えた平時からの対応などを主なポイントとしている。(参考)「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」の方向性について(総務省)公立病院改革プラン「第3弾」策定へ コロナ禍を経て役割再認識 機能分化と連携強化を図る 総務省が「経営強化」へガイドライン(読売新聞)4.新Web研修システム、都道府県医師会で1年間無料/日医日本医師会は19日、コロナの影響で研修会の開催が困難になっていることから、新たに開発したWeb研修システムを都道府県医師会や郡市区医師会に提供することを発表した。このシステムでは座学と同等レベルの受講が可能であり、講義中のキーワード表示やテスト・アンケートの実施、チャットによる質問などが可能となっている。これにより産業医の認定講習などもオンラインで受講が可能となる見込み。システム利用料に関しては、まずは同システムを実際に体験してもらいたいという考えから、2023年3月31日まで開催分のWeb配信使用料は無料。今後、全国での使用実績等を勘案の上使用料を検討し、来年度以降は有料とする意向を示した。(参考)「日本医師会Web研修システム」の都道府県医師会への提供について(医師会)研修システム、地方医師会に提供 日医(時事通信)5.製薬企業、学会での広告費についても開示へ/製薬協日本製薬工業協会(製薬協)は、20日に「透明性ガイドライン」を一部改定することを了承した。これまで開示されてこなかった製薬企業が協賛して行う学会での広告、展示ブース出展などの費用も含めて開示される。なお、日本医学会はCOI管理ガイドラインをすでに改定しており、一部学会では製薬企業の医療機関や研究者への資金提供について開示を行っているが、2023年度支払い分から今回のガイドラインを適用し、24年度から学会側に公開を義務付ける。(参考)製薬協「透明性ガイドライン」を改定 B項目の学会等共催費で「広告、展示ブース出展費用等」開示へ(ミクスオンライン)日本医学会 COI管理ガイドライン(日本医学会)6.広島県の医師が特殊詐欺で1.3億円の被害/広島県警広島県警は18日、広島県福山市の50代医師が、特殊詐欺のため1.3億円の被害にあったことを明らかにした。「未納料金が発生している」というSMSをきっかけに架空の料金を請求する手口で、未納料金の支払いやトラブルの解決金の名目で100回以上指定された口座に入金していたが、その後、相手と連絡が取れなくなったため警察署に相談したところ、被害が発覚した。警察は「電話で金を要求されたら詐欺を疑い、周囲に相談してほしい」と呼び掛けている。(参考)1.3億円、医師が特殊詐欺被害 示談金や資産移動かたり 広島最大(毎日新聞)福山市の医師、1億3800万円の特殊詐欺被害 広島県内で過去最多額(中国新聞)男性医師が1億3,800万円の被害 “NTT関連会社”騙る特殊詐欺 福山(テレビ新広島)

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妊婦はCOVID-19で中等症以上になりやすい/成育医研・国際医研

 国立成育医療研究センターと国立国際医療研究センター 国際感染症センター・AMR臨床リファレンスセンターの共同研究チームの庄司 健介氏のチームは、妊婦の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における入院例の疫学的・臨床的な特徴を分析した研究を発表した。この研究は、国立国際医療研究センターが運営している国内最大の新型コロナウイルス感染症のレジストリ「COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)」を利用したもので、妊婦におけるCOVID-19患者の特徴に関する大規模な報告は日本初となる。妊婦はCOVID-19で中等症になりやすく、家族内感染も多い 研究は、2020年1月~2021年4月までの間に登録された15歳以上~45歳未満女性のCOVID-19入院例4,006人(うち妊婦は254人、非妊婦は3,752人)を対象に実施。研究の結果、妊娠以外の背景を揃えた患者群(妊婦187人、非妊婦935人)を比較したところ、中等症から重症の患者の割合は妊婦群18人(9.6%)、非妊婦群46人(4.9%)と、妊婦群の方の割合が高いことがわかった。また、妊婦におけるCOVID-19患者254人の患者背景を、軽症群224人、中等症から重症群30人に分けて比較したところ、中等症から重症群に至った患者では何らかの基礎疾患がある、または妊娠中期(14週〜)以降の患者が多いことが判明した。そのほか、妊婦の感染経路は家族からの感染が多いことがわかった。研究の概要【背景・目的】妊婦におけるCOVID-19の疫学的・臨床的な特徴の解明が求められる中で、COVIREGI-JPを利用し、(1)妊婦と非妊婦の新型コロナウイルス感染症の疫学的・臨床的な特徴の比較を行うこと、(2)妊婦における新型コロナウイルス感染症の中等症から重症に関連する要因を探索すること、の2つの目的についての検討を実施。【研究概要・結果】・研究対象2020年1月~2021年4月の間にCOVIREGI-JPに登録された15歳以上~45歳未満の女性のCOVID-19患者。・研究方法COVIREGI-JPに登録されている、対象患者の患者背景、重症度、治療内容などのデータを集計・分析。特に妊婦と非妊婦の患者背景を「傾向スコアマッチング解析」手法を用い揃えた上で、重症度を比較。また、妊婦患者を軽症群と中等症から重症群に分け、多変量解析で中等症から重症に関連する要因を探索した。【研究結果】・期間中に3万7,138人の患者情報が登録され、そのうち研究対象となった15歳以上~45歳未満の女性患者は4,006人。そのうち、妊婦は254人、非妊婦は3,752人。・妊婦は非妊婦に比べ、家庭内での感染が多いことがわかった(妊婦の39.4%、非妊婦の19.8%が家庭内でのCOVID-19の接触あり)。・集中治療室に入院した患者のうち、妊婦は6人(2.4%)、非妊婦は45人(1.2%)、死亡例は妊婦1人(0.4%)、非妊婦は3人(0.1%)だった。目的(1):妊婦と非妊婦の新型コロナウイルス感染症の比較・傾向スコアマッチング解析で、患者背景を揃えた妊婦(187人)と非妊婦(935人)の比較では、中等症-重症の割合が妊婦9.6%、非妊婦4.9%(P=0.0155)と、妊婦の方がより重症化している可能性が示唆された。目的(2):妊婦の新型コロナウイルス感染症中等症-重症に関連する要因の探索・妊婦患者254人を、中等症-重症(30人)と、軽症(224人)に分け、その背景を比較したところ、中等症-重症群の方が軽症群に比べて(1)妊娠中期(14週〜)以降の患者の割合が高い(93.1%vs.71.2%)、何らかの基礎疾患のある患者の割合が高い(16.7%vs.4.9%)ということがわかった。・多変量解析でも、中等症-重症群と、軽症群の比較では、妊娠中期以降と、何らかの基礎疾患の存在のオッズ比(95%信頼区間)はそれぞれ5.295(1.215~23.069、P=0.026)、3.871(1.201~12.477、P=0.023)とそれぞれ有意に中等症-重症と関連していることがわかった。 研究グループでは、「わが国の妊婦COVID-19の入院症例の実態が明らかになった。今後、妊婦に対するワクチンを含む予防や治療について考えていく上で、本研究の結果が重要な役割を果たすことが期待される。また、今回の研究はデルタ株やオミクロン株の流行が始まる前のデータであるため、今後デルタ株やオミクロン株などの変異株が妊婦に与えている影響を検討する際の比較対象としても貴重なデータであると考えられる」と今後の診療での活用を示唆している。 なお、この研究は「デルタ株やオミクロン株がまだわが国に存在しない時期に実施されているため、妊婦に対するこれらの変異株の影響については評価できない」としている。

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小児へのCOVID-19ワクチン接種の考え方/日本小児科学会

 12歳以下の小児への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が、わが国でも検討されている中、日本小児科学会(会長:岡明[埼玉県立小児医療センター])の予防接種・感染症対策委員会は、同学会のホームページで「5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表した。 この考え方では、COVID-19の小児流行の現況を説明するとともに、小児へのワクチン接種について重症化予防への期待について記している。感染状況とワクチンに関する知見について 国内の5~11歳のCOVID-19症例の大多数は軽症としながらも、「感染率が同年代人口の1~2%にとどまるなかでも、酸素投与などを必要とする中等症例は散発的に報告されている」と指摘し、「今後、全年齢において感染者数が増加した場合には、ワクチン未接種の小児が占める割合が増加し、小児の中等症や重症例が増える」と注意を喚起している。 また、2歳未満(0~1歳)と基礎疾患のある小児患者では、重症化リスクが増大することを紹介し、「長期化する流行で行動制限が小児に与える直接的および間接的な影響は大きくなる」と懸念を示している。 小児へのCOVID-19ワクチンの現状について、国内で5~11歳を対象とする接種への承認申請は、現時点でファイザー社製のみであり、同ワクチンは従来のワクチンと比べ含有されるmRNAが1/3の製剤で、使用に際し注意が必要であること、海外のデータから、5~11歳の小児に対する同ワクチンの発症予防効果が90%以上と報告されているが、新しい変異ウイルス(オミクロン株など)への有効性を示すデータは十分に得られていないことに注意を喚起している。 そして、米国(2021年11月3日~12月19日)で接種された5~11歳の小児への約870万回のファイザー社製ワクチン接種のデータについて、4万2,504人が自発的な健康状況調査に登録され、その結果2回接種後、局所反応が57.5%、全身反応が40.9%に認められ、発熱は1回目接種後7.9%、2回目接種後13.4%に認められたことを紹介。また、同期間に、米国の予防接種安全性監視システムには、4,249件の副反応疑い報告があり、このうち97.6%(4,149件)が非重篤だったこと、重篤として報告された100件(2.4%) の中で最も多かったのが発熱(29件)、11件が心筋炎と判断されたが、全員が回復したことも合わせて記している。以上から、5~11歳の小児では16~25歳の人と比べて一般的に接種後の副反応症状の出現頻度は低かったと米国でのデータを説明した。小児へのワクチン接種はメリットがあるが、きめ細かい対応も必要 小児のCOVID-19ワクチン接種について、以下の4項目で考えを伝えている。【ワクチン接種の考え方について】1)子どもをCOVID-19から守るためには、周囲の成人(子どもに関わる業務従事者など)へのCOVID-19接種が重要。2)基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、COVID-19の重症化を防ぐことが期待される。基礎疾患を有する子どもへのワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理などを事前に相談することが望ましいと考える。3)5~11歳の健康な子どもへのワクチン接種は12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種と同様に意義があると考えている。健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(発症予防など)とデメリット(副反応など)を本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要。4)接種にあたっては、接種対象年齢による製剤(12歳以上用と5~11歳用のワクチンでは、製剤・希釈方法・接種量が異なる)の取り扱いに注意が必要と考える。また、集団接種を実施する場合においても、個別接種に準じて、接種前の問診と診察を丁寧に行い、定期接種ワクチンと同様の方法で実施することが望ましい。

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