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新型コロナウイルス感染症、自施設での対応策や困っていることは?-アンケート結果-

2019年12月下旬に中国・武漢市で初めて報告され、日本でも大問題に発展している新型コロナウイルス感染症。この感染症が収束するには多くの時間を要するとされ、多くの先生方は自施設での対応に苦慮されているのではないでしょうか。そこで、今回は病床を有していない診療所で働く会員医師に対して、「検査希望患者数」「自施設で行っている対策」「施設対応で困っていること」についてアンケート調査を行いました。患者から検査を求められた医師は約3割理由は定かではありませんが、検査を求められた医師は3割でした。「2020年3月6日からPCR検査が保険適用された」というニュース報道により、今後、検査希望者からの問い合わせが殺到するかもしれません。画像を拡大する主な対策は、待合室の整備や電話による事前相談受付画像を拡大する<回答コメントを抜粋>長期処方で来院回数が少なく済むようにしています高齢の慢性疾患の患者さんの処方日数を増やしている従業員のマスクと手洗いは必須で、午前午後の診療ごとに周囲をアルコールまたは塩素系漂白剤を薄めて拭いている玄関前と診察室に告知、来院時に体温を全員測る、手指消毒を促す事前電話の奨励、電話相談と診察無しでのfax処方など厚生労働省の指針を電話応対者に伝えて、適切な医療機関を受診するように指示しているインフルエンザや普通感冒も含め、気道感染性疾患は車の中で待機して頂き分けて診察している(待合室で)距離を離してすわってもらう待合室は別、ガウン・マスク・手袋で診察来院患者さん全員にもマスク配布対象の可能性がある患者は保健所へ問い合わせるよう指導している出来るだけ換気の良い部屋で、インフルエンザの簡易キットでチェックし、肺炎を疑う際にはX線でチェックをすることにしている。医療従事者はマスク・メガネを着用し、一人診た後は手洗い、うがいを実行するようにしているPCR検査希望の方は受け入れないようにしています自施設で症例が出た場合、その後の対応などに不安画像を拡大する<回答コメントを抜粋>衛生材料が入らない1人でも(自施設で)感染者が出れば、当面休診しなければいけないこと職員に陽性者が出た時の休院期間いつ頃効果の良い薬が出、いつ頃終息するのか?COVID-19を疑っても、検査も診断も治療も何もできない長期処方への変更希望患者の増加(受診回避のため)本当に検査してほしい人も条件に当てはまらなければ検査してもらえない検査ができない上気道感染患者さんの見分け方と対処方法かかりつけ以外の患者を断る方法不安のみでの軽症者の受診若い子供さんのいる職員の休暇の対応画像を拡大するアンケート概要タイトル緊急アンケート!「新型コロナウイルス感染症を考慮し自院で実施している対応」について教えてください。実施日2020年3月5日調査方法インターネット対象病床を有していない診療所で働くケアネット会員医師103名アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。

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COVID-19重症患者に特徴的なCT所見と症状

 中国・重慶医科大学附属第二医院のKunhua Li氏らの調査により、重症または重体のCOVID-19肺炎では、臨床症状、臨床検査値、CT重症度スコアに有意な差があることがわかった。多くの因子が疾患の重症度に関連しており、重症度の判断と予後の評価に役立つとしている。Investigative Radiology誌オンライン版2020年2月29日号に掲載。 著者らは、COVID-19肺炎患者83例(重症または重体が25例、それ以外が58例)について、胸部CT画像所見と臨床データを比較し、重症度に関連する危険因子を検討した。 主な結果は以下のとおり。・重症または重体例はそれ以外の患者に比べて、高齢で併存疾患がある人が多く、咳嗽・喀痰・胸痛・呼吸困難の発現率が高かった。・重症または重体例はそれ以外の患者に比べて、浸潤影、線状影、crazy-paving pattern(メロン皮状の網目陰影)、気管支壁肥厚の発現率が有意に高かった。また、リンパ節腫大、心膜液貯留、胸水貯留の発現率が高かった。・重症または重体例のCT重症度スコアは、それ以外の患者よりも有意に高かった(p<0.001)。・ROC曲線から、2タイプの識別におけるCT重症度スコアの感度は80.0%、特異度は82.8%であった。・重症または重体のCOVID-19肺炎の危険因子は、50歳以上、併存疾患、呼吸困難、胸痛、咳嗽、喀痰、リンパ球減少、炎症マーカー上昇であった。・重症または重体のCOVID-19肺炎におけるCT所見の特徴は、線状影、crazy-paving pattern、気管支壁肥厚、高いCT重症度スコア、肺外病変であった。

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忽那氏によるCOVID-19最新総説が公開/中外医学社

 中外医学社は2020年3月9日より、忽那 賢志氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター)が執筆した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最新総説を「J-IDEO」の号外としてnoteに無料でweb公開している。 これには疫学、伝播様式、臨床症状をはじめ、検査・診断や治療などがエビデンスを基にわかりやすくまとめられている。たとえば、病原体の項には過去のコロナウイルス感染症との致死率や感染力などをまとめた表が、治療の項では治療薬候補の現状を示した表が盛り込まれている。簡潔にまとめられているため、COVID-19の理解について整理したい方にお薦めである。詳細はこちら。

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小児のCOVID-19、糞便からもウイルス検出

 小児のCOVID-19は通常軽度であるが、臨床プロファイルは不明である。中国・復旦大学附属小児病院のJiehao Cai氏らは、小児症例の疫学的曝露を明らかにするための調査を行ったところ、回復期の呼吸器および糞便検体から長期間にわたってウイルス排出が観察された。また、小児では発症までの期間が6.5日と、成人症例の5.4日よりも長かったことから、小児のCOVID-19ではウイルスの潜伏期間が長い可能性が示唆された。これを踏まえて、研究者らは「これらの疫学的特徴は小児症例を早期に認識して感染予防管理介入を適時に行うための重要な手がかりとなる。ただし、小児のCOVID-19の臨床的特徴と自然史を理解するには、さらなる研究とサーベイランスが必要」としている。Clinical infectious diseases誌オンライン版2020年2月28日号掲載の報告。 研究者らは2020年1月19日~2月3日の期間、COVID-19と診断された小児10例(上海、海南など武漢以外の小児病院に入院)を対象に、duplex one-step real-time RT-PCR法を行った。すべての患者は発症後2日以内に隔離病棟に入院し、鼻咽頭および咽頭スワブで検体を採取した。 入院中はインフルエンザウイルスA型およびB型の定期的な検査も行った。 主な結果は以下のとおり。・10例の年齢は3〜131ヵ月(平均年齢:74ヵ月) だった。・8例は、武漢へ旅行歴のある2019-nCoVに感染した成人と直接接触、もしくは武漢出身者と接触していた。・7例は家庭内暴露、2例はエンデミック、1例は武漢からの成人旅行者2名(バス旅行中に軽度の呼吸器症状を発症、武漢帰宅後にCOVID-19と診断された)から感染した。家庭内曝露7例のうち、子供を含む二次感染の症例数範囲は1~4人(平均:2.43人)だった。また、生後3か月の乳児症例の家庭では、両親が防護対策なしで乳児の世話をし、その7日後にCOVID-19に罹患した。・ 症状は、発熱(8例)、咳(6例)、咽頭痛(4例)、鼻づまり(3例)、くしゃみと鼻漏(2例)がみられ、下痢や呼吸困難はなかった。・発熱はピーク時37.7~39.2℃、発熱24時間後に消失した。・胸部レントゲン写真では4例に片側性の斑状影が認められた。・インフルエンザウイルスA型およびB型はすべて陰性だった。・全症例は酸素療法を必要とせず、対症療法として肺炎患者の一部は抗生物質による治療を受けた。・2019-nCoV RNAは、発症後6~22日(平均:12日)に鼻咽頭/咽頭スワブで採取した検体中から検出されなくなった。 ・6例に対し発症後3~13日の糞便検体を検査したところ、5例で陽性だった。2月19日の時点で、これら5例は発症後18~30日以内の糞便中に2019-nCoV RNAが検出されており、綿密な追跡調査を行っている。・5例について、発症2〜3日後の尿と血清を検査したが、すべて陰性だった。

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がん患者のCOVID-19~非がん患者と比べて/Lancet Oncol

 中国およびその他の地域では、SARS-CoV-2による重症急性呼吸器症候群が発生している。がん患者は化学療法や手術などの抗がん治療によって引き起こされる全身性の免疫抑制により、易感染状態であることが多い。そのため、SARS-CoV-2についても感染リスクが高く、さらに感染後も予後不良の可能性がある。 中国の国立呼吸器疾患臨床研究センターと国家衛生健康委員会が協力し、中国全土でCOVID-19症例を観察する前向きコホートを構築した。2020年1月31日のデータカットオフの時点で、31の地方行政区域から2,007例の症例を収集。記録不十分な417例を除外し、1,590例のCOVID-19症例を分析している。Lancet Oncology誌2020年3月1日号では、その中から、がん患者について分析している。・COVID-19患者1,590例のうち18例(1%、95%CI:0.61~1.65)にがんの既往があり、これは285.83/100,000人(0.29%、2015年がん疫学統計)という中国人全体のがんの発生率よりも高かった。・COVID-19を合併した18例のがん患者内訳をみると、最も頻度が高いのは肺がん(5例、28%)であった。・重症イベント(ICU入院、要侵襲的換気または死亡)は、がん患者では39%(18例中7例)に観察されたが、非がん患者では8%(1,572例中124例)で、がん患者で有意に重症イベントのリスクが高かった(p=0.0003)。・重症イベントはさらに、1ヵ月以内に化学療法または外科手術を受けた患者では75%(4例中3例)、受けていない患者では43%(14例中6例)と、化学療法または外科手術を受けた患者でリスクが高かった。・重症イベントまでの時間を評価すると、がん患者では中央値13日、非がん患者では43日で、がん患者のほうが急速に悪化することが明らかになった(年齢調整後HR:3.56、95%CI:1.65~7.69、p<0.0001)。

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ロピナビル・リトナビルで治療したCOVID-19/日本感染症学会

 3月3日、日本感染症学会(理事長:舘田 一博)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特設ページの中で、宮下 馨氏(国際医療福祉大学熱海病院 糖尿病代謝内科)らによる「ロピナビル・リトナビルで治療した新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の症例報告」を公開した。 症例報告は、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号に乗船の70代・女性の症例。搬送時には無症状であったものの、のちに高熱と肺炎を生じ、抗HIV薬であるロピナビル・リトナビル配合剤(商品名:カレトラ)で治療を行ったもの。投与後は自覚症状の改善があり、入院後20日間でPCRの陰性化を確認し、退院に至った。症例の経過 2/4 PCR検査を実施し、陽性 2/7 当院に転送(入院時身体症状なし、X線・CT検査所見ともに肺炎像なし) 2/8 検温で37.4℃の発熱(19時) 2/9 検温で39.1℃(16時)。身体症状は倦怠感のみ、CT検査所見で左上葉や右中葉背側部にすりガラス影主体の陰影が出現 2/10 検温では38℃台で経過し、咳嗽や咽頭痛が顕在化 2/11 再度のCT検査でそれぞれの肺野異常陰影が拡大、悪化。カレトラの投与を開始する方針となった 2/12 カレトラ配合錠1回2錠(400/100mg)を1日2回、10日間の計画で投与開始 2/13 夜間に副作用と思われる水様下痢が出現。強い倦怠感は消失 2/14 解熱とともに、下痢に対し整腸剤を処方 2/16 CT検査所見では引き続き病変が増悪。新出病変も認められていた 2/21 CT検査所見で病変の改善が得られた 2/22と/25に喀痰検体によるPCRを実施し、ともに陰性。臨床症状改善とPCR陰性化を確認 2/26 退院重症化予防には肺炎診断を得た時点で治療介入 宮下氏らは考察として「高齢であり、重症化のリスクがあると判断し臨時の倫理委員会の審査のもと早期の介入を決定した」「画像所見の増悪に反し臨床経過は改善に転じており、本例の経過に限って言えばカレトラの投与は好意的に評価して良い」「酸素化低下などの重症化の徴候を待たず、肺炎の診断を得た時点で早期に治療介入を行うことで重症化の阻止、致命率の低下をもたらすことができるかもしれない」とレポートしている。 なお、今回の報告は通常のレポート公開ではなく、緊急性、重要性を鑑み、学会からの緊急報告としてのホームページでの情報公開のお願いにより公開されたものである。

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新型コロナウイルスあれこれ(3)【Dr. 中島の 新・徒然草】(313)

三百十三の段 新型コロナウイルスあれこれ(3)いつまで続くかわからない新型コロナウイルスですが、今回もニュースや身の回りで感じたことをいくつか述べたいと思います。その1:やはり高齢者の致死率が高い前回のこの欄、で若者も新型コロナウイルスに感染して死ぬことがあると述べましたが、致死率については年代別に明確なグレードがついているようです。本ケアネットでも「COVID-19、年代別の致命率は~4万例超を分析」として紹介されていた中国CDCからのデータを見ると、10~39歳の致死率が0.2%であるのに対し、40代は0.4%、50代は1.3%、60代は3.6%、70代は8.0%、80歳以上は14.8%と、高齢になるほど高くなっています。30代の若さで死んだという報道は単にニュースバリューがある、というだけのことで、実際はレアケースなのかもしれません。その2:スーパーからトイレットペーパーが消えたよく「オイルショックの時には皆がトイレットペーパーを買い占めたんだよな。ハッハッハ」と笑い話にされていた昭和の珍現象が、40年以上経った令和になって再び起こってしまいました。コロナウイルスが流行ったからといってトイレットペーパーの消費には何の関係もないはずですが、なぜか人々を「このまま新型コロナの流行が続いたらトイレで尻を拭けなくなるかもしれん!」という恐怖に陥れているようです。なくなっているものとして、マスクの他にキッチンペーパー、ティッシュペーパー、アルコールタイプの除菌ウエットティッシュ、米、パスタ麺などがあります。ちなみに1970年代のオイルショックの時はノートが枯渇してしまい、中学生だった私は大いに困った記憶があります。その3:外食をしなくなった食べたり飲んだりするときは必然的にマスクを外すわけですから、飛沫感染が心配です。歓送迎会などの人の集まる催しが自粛になるというのも当然かもしれません。そればかりか外食も減ってしまい、もっぱら家で食べることになりました。料理の本を見ながら、アボカドいくら丼とか鶏胸肉丼とかを作っては、女房にも無理やり食べさせています。材料を焦がしてしまった場合には、次にどうすればいいのかを反省ノートに書き、再チャレンジの足掛かりにしなくてはなりません。まるで個人的手術記録みたいですね。その4:強制働き方改革職種にもよりますが、リモートワークとか時差出勤が一気に進んだようです。自宅で仕事をしたらサボり放題のように思えますが、実際はPCの画面を常時見張られているところもあるようで、トイレに行くのも監視員に一々断ってからなのだとか。ホンマかいな。その5:町から人が消え、病院から患者が消えた私の職場は大阪城の前にあるせいか、これまでは沢山の観光バスから大量の人が降りてくるのが見えていたのですが、すっかりいなくなってしまいました。外国人観光客でにぎわっていた近所のホテルも常時ガラガラです。コロナウイルスに対する恐怖のせいか、病院の方も外来予約や入院予約のキャンセルが相次いでいます。不眠やふらつきの患者さんが再診予約をキャンセルされるのはいいのですが、アンギオ入院の予約が延期されたのには驚きました。その6:イベントや学会の相次ぐ中止スポーツは無観客試合になり、学会も次々に延期されています。ただ、ライフラインが止まるのとは違い、スポーツも学会も中止になったからといって直ちに生活に支障をきたすというものではありません。日々の生活は淡々と過ぎていきます。スポーツといえば夏の東京オリンピックがどうなるのかということが盛んに論じられていますが、それよりも春の選抜高校野球の方が気になります。もし無観客試合になってしまったら、それでも盛り上がるのか、休日の草野球みたいに気が抜けてしまうのでしょうか。新型コロナウイルスのせいで色々な社会現象が起こっていますが、この機会を利用してこれまでできなかった改革を進めるのも1つの方法ではないかと思います。ということで最後に1句危機くれば トイレの紙が まず消える

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COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニドで改善、国内3症例の詳細

 国内における新型コロナウイルス感染症の患者を多く出したダイヤモンドプリンセス号。患者の一部について治療に当たった神奈川県立足柄上病院は3月2日、喘息治療の第1選択薬である吸入ステロイド薬のシクレソニドの投与により症状が改善した3例について、日本感染症学会のホームページにその詳細を報告した。いずれもCOVID-19による酸素化不良やCT所見などが見られたが、薬剤投与により良好な経過を得ているという。 症例の臨床的特徴や経過については、以下のとおり。症例1:73歳女性 2020年1月20日にダイヤモンドプリンセス号乗船、25日に香港に上陸。2月4日より咽頭痛、 倦怠感、食欲不振を認め、7日には38℃の発熱が出現。翌8日に検体が提出され、10日にPCR検査にてSARS-CoV-2陽性の判定となり、11日下船後、当該病院に搬送された。 入院時の採血では抗核抗体1,280倍で、手指の色調不良もあり、強皮症が疑われた。胸部レントゲンでは右下肺野に浸潤影を認め、CTでは両側中下肺野にかけてすりガラス陰影(GGO)が胸膜に沿って認められた。 当初は倦怠感が強く、ほとんど臥床状態であり、食事もできない状態であった。疎通不良や見当識障害も見られた。維持輸液およびセフトリアキソン、アジスロマイシンを開始したが改善せず、ロピナビル・リトナビル(LPV/r)を開始。解熱し、酸素化も改善したが、食欲は改善せず倦怠感が著明。GGOの陰影が増強し、領域の拡大も認められた。LPV/rの有害事象と見られる症状も出現したため、LPV/r中止後、シクレソニド吸入(200μg、1日2回)を開始(入院10日目)。開始後2日程度で発熱および酸素化が改善。食欲の回復も著明で、全身倦怠感も改善し、室内独歩可能に。鼻腔拭いPCRでSARS-CoV-2陰性を確認し、退院となった(入院19日目)。症例2:78歳男性 2020年1月20日にダイヤモンドプリンセス号乗船。2月6日より乾性咳嗽、倦怠感、食欲不振、下痢が出現し、固形物はほとんど食べられなくなった。37.4℃の発熱も見られた。16日のPCR検査でSARS-CoV-2陽性となり、16日に当該病院に入院した。 初診時の身体所見では、咽頭発赤やリンパ節腫脹はなく、肺野呼吸音に異常雑音はなかった。入院当初の胸部レントゲンでは右下肺野に浸潤影が認められた。入院5日目よりシクレソニド吸入(200μg、1日2回)を開始。来院時より水様便が持続し、食事もほとんど摂れない状態だったが、入院6日目から食欲が徐々に改善。下痢も回復し普通便となった。入院6日目には酸素中止が可能となり、倦怠感も改善。食事もほぼ全量摂取できるまでに回復した。咽頭拭いPCRでは、入院12日目の施行時にも陽性となり、シクレソニドを1,200μg/日(400μg、1 日3回)に増量して継続中。症例3:67歳女性 2020年1月20日にダイヤモンドプリンセス号乗船。2月6日より乾性咳嗽、8日より倦怠感、関節痛が出現。9日には38.9℃の発熱あり、その後食欲不振および下痢が出現し、食事がほとんどとれなくなった。16日のPCR検査でSARS-CoV-2陽性となり、そのまま当該病院に入院となった。 初診時の身体所見では、咽頭発赤やリンパ節腫脹はなく、肺野呼吸音に異常雑音はなかった。入院当初の胸部レントゲンでは右中肺野肺門部に浸潤影が認められた。来院時より倦怠感を認め、ベッドで横になっていることが多かった。食事は半量程度。増悪予防を目的として入院5日目からシクレソニド開始。入院6日目には胸部聴診で背側部からfine crackleが聴取され、CTでは両側下肺野背側にGGOを認めた。引き続き、シクレソニド投与のみで経過観察したところ、入院7日目ごろにはほとんどの症状が改善した。咽頭拭いPCRでは、入院12日目の施行時にも陽性となり、シクレソニドを1,200μg/日(400μg、1日3回)に増量して継続中。現在までの知見および考察・COVID-19に対し、シクレソニドの抗ウイルス作用と抗炎症作用が、重症化しつつある肺炎治療に有効であることが期待される。ただし、シクレソニド以外の吸入ステロイドには、COVID-19の抗ウイルス作用は現時点では認められない。・これまでの研究で、COVID-19に対するステロイド治療は、ウイルス血症を遷延させる可能性や糖尿病等の合併症があり推奨されないと報告されているが、シクレソニドはプロドラッグの吸入薬であり、肺の表面に留まるため、血中濃度増加はごく微量である。・投与時期は重症化する前の、感染早期〜中期あるいは肺炎初期が望ましく、ウイルスの早期陰性化や重症肺炎への進展防止効果が期待される。・新型コロナウイルスの増幅時間は6~8時間と考えられ、シクレソニドを頻回投与かつ肺胞に充分量を到達させるため、高用量投与を推奨する。・残存ウイルスの再活性化および耐性ウイルスの出現を避けるため、開始後は14日程度以上継続するのが望ましい。・ウイルスは肺胞上皮細胞で増殖しているため、吸入はできるだけ深く行うことが効果を高めると考えられる。・これらの知見から、以下の投与方法を提案する。 適応:COVID-19陽性確定者の肺炎 用法容量: (1)シクレソニド200μgを1日2回、 1回2吸入、14日分 (2)シクレソニド200μgを1日3回、 1回2吸入、約9日分・(1)を基本とし、重症例、効果不十分例に対しては(2)を検討する。

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退院後に陽性のCOVID-19症例、CTに悪化みられず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した患者の一部にウイルスキャリアの可能性が示唆されたー。中国・武漢大学中南医院のLan Lan氏らは、中国で退院または隔離解除の基準を満たしたCOVID-19の4症例(臨床症状とCT異常所見の消失、および逆転写ポリメラーゼ連鎖反応[RT-PCR]法による検査で2回とも陰性)が、退院・隔離解除5〜13日後にRT-PCR検査で陽性になったことを明らかにした。JAMA誌オンライン版2020年2月27日号のリサーチレターに報告した。 研究者らは2020年1月1日~2月15日までの期間、同病院に入院していた1例と隔離されていた3例(すべて医療者)について、RT-PCR検査で判定した。退院または隔離解除については、次のすべての基準を満たすものとした。(1)平熱が3日以上持続(2)呼吸器症状の改善(3)CT検査で胸部の急性滲出性病変の大幅な改善(4)1日以上あけて実施したRT-PCR検査の結果が2回連続で陰性 検査は咽頭スワブによって採取した検体を用いRT-PCR検査を実施。人口統計、検査所見、および放射線学的な特徴を電子カルテから収集した。退院・隔離解除後、患者には再度RT-PCR検査実施のための来院を要請した。 結果は以下のとおり。・4症例全員が医療従事中に感染した。うち2例は男性で、年齢範囲は30〜36歳だった。3例は発熱、咳嗽、またはその両症状を呈した。また、1例は、最初は無症候性だったが、感染患者への接触が認められたのでthin-section CTを受けた。・全症例のRT-PCR検査の結果は陽性であり、CT画像では肺のすりガラス状影(GGO:Ground-glass Opacification)またはmixed GGOと硬化が確認された。疾患重症度は軽度~中等度だった。・全症例に抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビル75mgを12時間ごとに経口投与)を投与。症状発現から回復までに12〜32日間を要した。これにより3例の臨床症状やCT異常所見が改善。残り1例のCT所見では、わずかなGGOが示された。・退院・隔離解除後も、患者は自宅で5日間の隔離状態を継続した。5〜13日後にRT-PCR検査が繰り返された結果、全員陽性だった。その後4〜5日間に3回のRT-PCR検査を繰り返したが、全員陽性だった。別メーカーのキットを使用し、追加RT-PCR検査を実施しても、全症例で陽性だった。・退院・隔離解除後、患者は問診では無症状、胸部CT所見も以前の画像から変化がみられなかった。・全症例とも呼吸器症状を有する人との接触はなく、家族の感染はなかった。

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「屋内の閉鎖的空間でクラスター発生か」新型コロナ専門家会議が見解

 新型コロナウイルス感染症を巡り、国の専門家会議(座長:脇田 隆字 国立感染症研究所所長)は3月2日、厚生労働省の対策本部が分析した内容に基づき現時点の見解をまとめた。国内では、これまで感染者が出ていなかった自治体においても日々新たな感染者が確認され、拡大傾向が続いていると見られる。見解では、北海道のデータ分析などにより、重症化する割合が低い若年層から多くの中高年層に感染が及んでいること、屋内の閉鎖的な空間における濃厚接触が、患者クラスターの発生および感染の急速な拡大を招く一因になっていることなどを挙げた。 「新型コロナウイルス感染症対策の見解」の主な内容は以下のとおり。【この一両日で明らかになったこと】・症状の軽い人も、気付かないうちに感染拡大に重要な役割を果たしている。・若年層は重症化する割合が非常に低く、感染拡大の状況が見えないため、結果として多くの中高年層に感染が及んでいる。・これまでの国内における感染者のうち、重症・軽症にかかわらず約80%は、ほかの人に感染させていない。・一方で、一定条件を満たす場所において、1人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されている。具体的には、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなど。・屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることで患者クラスターが発生する可能性が示唆される。・これまでのデータによると、有症者の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっているが、重症者の約半数は回復している。・重症者においても、最初は普通の風邪症状(微熱、咽頭痛、咳など)から始まっており、その段階では重症化するかどうかの判断がつきにくい。・重症者は、普通の風邪症状が出て約5~7日程度で症状が急速に悪化し、肺炎に至っている。【北海道の感染状況となすべき対策】・推定発症者数は、日ごとに急速に増加しており、この1~2週間は人と人との接触を可能なかぎり控えるなどの積極的対応が必要。・北海道には中国からの旅行者が多く、そこから感染が広がったと考えられる。・北海道の都市部においては、社会・経済活動が活発な人々が感染リスクの高い場所に多く集まりやすく、気付かないうちに感染していたと考えられる。なかでも、症状の軽い若年層が他圏域に移動することで複数地域に感染が拡大し、高齢層の有症者が報告されたことで感染の拡大状況が初めて把握された。・人と人との接触を最大限に避けるなどの適切な行動により、新規の感染者数は急速に減少すると見込まれる。ただし、潜伏期間があるため、患者数の減少を確認するまでにはタイムラグが生じる。おおむね2週間経過しなければ、行動変容の効果は評価できない。・感染症の中には、集団免疫の獲得により感染の連鎖が断ち切られるケースもあるが、現在の感染状況では集団免疫を期待できるレベルではない。・感染者の再感染についてもいまだ不明である。・感染拡大抑制のために、(1)軽い風邪症状でも外出を控える、(2)規模の大小にかかわらず、風通しの悪い空間で、人と人が至近距離で会話する場所やイベントは控える。・事業所活動については、テレワーク、リモートワーク、オンライン会議など、人と人が接触しない形態を活用し、出張は最低限に抑制する。【全国の10~30代へのお願い】・新型コロナウイルス感染による重症化リスクが低い世代だが、ウイルスの特徴により、軽症者が重症化リスクの高い人に感染を広める可能性がある。とくにこの世代は、人が集まる風通しが悪い場所を避けてほしい。

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COVID-19、無症状でもCTに異常、急速な進行も

 武漢の病院に入院したCOVID-19肺炎患者の胸部CT画像の所見と変化について、華中科技大学放射線科のHeshui Shi氏らがまとめた研究結果が発表された。疾患経過における複数時点でのCT所見を分析した結果、無症状の患者であってもCT画像には異常が認められ、1〜3週間以内に急速に進行するケースが示された。著者らは「CT画像と臨床および検査所見を組み合わせることで、COVID-19の早期診断が容易になるだろう」と述べている。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2月24日号掲載の報告。 研究者らは、2019年12月20日~2020年1月23日に武漢の2病院に入院し、胸部CTによる経過観察が行われた81例(RT-PCR法あるいは次世代シーケンシングによる確定例)を遡及的に登録。患者は、発症と初回CT撮影までの時間に基づき4群(グループ1[15例:無症状で発症前に撮影]、グループ2[21例:発症から1週間以内]、グループ3[30例:1週間超~2週間以内]、グループ4[15例:2週間超~3週間以内])に分類された。画像所見とその変化を分析し、4群で比較した。 主な結果は以下のとおり。・81例の内訳は、男性42例(52%)、女性39例(48%)、平均年齢は49.5(SD:11.0)歳。・異常が見られた平均肺区域数は、全体:10.5(SD:6.4)、グループ1:2.8(3.3)、グループ2:11.1(5.4)、グループ3:13.0(5.7)、グループ4:12.1(5.9)であった。・異常の内訳は、両側性(64例 [79%])、末梢性(44例 [54%])、辺縁不整(66 例[ 81%])、すりガラス影(53例 [65%])が多く、主に右下葉(849区域中225 区画[27%])で発生していた。・グループ1の主な所見は、片側性(9例 [60%])、多発性(8例 [53%])、すりガラス影(14 例[93%])であり、急速に両側性に進展したケースが多かった(19例 [90%])・グループ2では、びまん性(11例 [52%])、すりガラス影優位(17例 [81%])が多かった。・一方で、グループ3、グループ4ではすりガラス影が減少し(17例[57%]、5例[33%])、湿潤影とすりガラス影の混合パターンが増加した(12例[40%]、8例[53%])。

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COVID-19への治療薬の考え方/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博)は、今般の新型コロナウイルス感染症の治療に関し、「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」を2月26日に公開した。 本指針は、現時点で収集されている知見より抗ウイルス薬に関するわが国における暫定的な指針を示すのが目的。そして、抗ウイルス薬の使用にあたっては、現在わが国ではCOVID-19に適応を有する薬剤は存在しないことを前提に、行うことのできる治療は、国内ですでに薬事承認されている薬剤を適応外使用することであり、使用では各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行うことになるとしている。抗ウイルス薬の対象と開始のタイミング 現時点では、患者の臨床経過の中における抗ウイルス薬を開始すべき時期は患者が低酸素血症を発症し、酸素投与が必要であることが必要条件。そのうえで次の4点を考慮する。1)おおむね50歳未満の患者では肺炎を発症しても自然経過の中で治癒する例が多いため、必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい。2)おおむね50歳以上の患者では重篤な呼吸不全を起こす可能性が高く、死亡率も高いため、低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった段階で抗ウイルス薬の投与を検討する。3)糖尿病・心血管疾患・慢性肺疾患、喫煙による慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態などのある患者においても上記2)に準じる。4)年齢にかかわらず、酸素投与と対症療法だけでは呼吸不全が悪化傾向にある例では抗ウイルス薬の投与を検討する。抗ウイルス薬の選択 現時点でのわが国における入手可能性や有害事象などの観点より次の2剤を治療薬として提示。今後、臨床的有効性や有害事象などの知見の集積に伴い、COVID-19の治療のための抗ウイルス薬の選択肢や用法用量に関し新たな情報が得られる可能性が高い。●ロピナビル・リトナビル ロピナビルはHIV-1に対するプロテアーゼ阻害剤として有効性が認められ、シトクロームP450の阻害によりロピナビルの血中濃度を保つためリトナビルとの合剤として使用。・投与方法(用法・用量)1)ロピナビル・リトナビル(商品名:カレトラ配合錠):400mg/100mg経口12時間おき、10日間程度2)ロピナビル・リトナビル(同:カレトラ配合内用液):400mg/100mg(1回5mL)経口12時間おき、10日程度*上記は抗HIV薬としての承認用量であるが、高濃度のEC50を示す可能性があり、用量については有害事象のモニターと合わせ今後の検討が必要・投与時の注意点:(1)本剤の有効性に関し、適切な重症度や投与開始のタイミングは不明(2)使用開始前にはHIV感染の有無を確認し、陽性の場合には対応について専門家に相談(3)リトナビルによる薬剤相互作用があるため、併用薬に注意する(4)錠剤の内服困難者に内用液を使用する場合、アルコール過敏がないか確認する また、本指針には、国立国際医療研究センターでの本剤使用7症例の臨床経過(2020年2月21日まで)のほか、海外での臨床報告なども記載されている。●ファビピラビル 本剤は「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(但し,他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る)」に限定して承認。本剤のCOVID-19への使用実績は無い。・投与方法(用法・用量) ファビピラビル(同:アビガン)を3,600mg(1,800mgBID)(Day1)+1,600mg(800mgBID)(Day2以降)、最長14日間投与。・投与時の注意点:(1)本剤の有効性に関し、適切な重症度や投与開始のタイミングに関しては不明(2)以下の薬剤については、薬物相互作用の可能性があることから、本剤との併用には注意して使用する:1)ピラジナミド、2)レパグリニド、3)テオフィリン、4)ファムシクロビル、5)スリンダク(3)患者の状態によっては経口投与が極めて困難な場合も想定される。その場合は55°Cに加温した水を加えて試験薬懸濁液を調製する(簡易懸濁法)。被験者に経鼻胃管を挿入し、経鼻胃管が胃の中に入っていることを胸部X線検査で確認した後、ピストンを用いて懸濁液をゆっくりと注入する。その後、5mLの水で経鼻胃管を洗浄する(4)動物実験において、本剤は初期胚の致死および催奇形性が確認されていることから、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しない(5)妊娠する可能性のある婦人に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で、投与を開始する。また、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中および投与終了後7日間はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底するよう指導する。なお、本剤の投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに投与を中止し、医師などに連絡するよう患者を指導する(6)本剤は精液中へ移行することから、男性患者に投与する際は、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中および投与終了後7日間まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)するよう指導する。また、この期間中は妊婦との性交渉を行わせない(7)治療開始に先立ち、患者またはその家族などに有効性および危険性(胎児への曝露の危険性を含む)を十分に文書にて説明し、文書で同意を得てから投与を開始する(8)本剤の投与にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討する 指針では以上の他にも、「COVID-19に対する治療に使用できる可能性のある抗ウイルス薬にはレムデシビル、インターフェロン、クロロキンなどがあるが、それらの効果や併用効果に関しては今後の知見が待たれる」と期待を寄せている。

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新型コロナウイルス感染の家族内感染クラスター事例(解説:浦島充佳氏)-1194

オリジナルニュースCOVID-19、家族クラスターにおける感染の経過/Lancet 一番注目するべきは、どこで感染したか明確にトレースできない患者が含まれる点と、発症直後より感染力を有する点である。SARSのときは、誰からどこで感染したということがほぼすべてのケースで同定できた。また、SARS患者は発症して5日目より感染力を増す傾向にあった。そのためSARS患者を4日以内に入院隔離すれば感染拡大を阻止し、封じ込めることができる。実際、発熱から入院までが平均3日となった時点より患者発生数が減り始めている。しかし、中国の対策チームは「新型コロナウイルスは潜伏期間にも感染させる可能性がある」と発表した。また上記論文からも、少なくとも発症日にすでに感染性を有する可能性も示された。もしもこれが事実なら、患者を入院させた時点で、すでに数人に感染させている可能性があり、封じ込めが難しい。数理モデルからすると、1人の患者が平均1人より多くに感染させると感染が拡大するが、1人未満であれば感染は終息のほうに向かう。だから隔離したときにすでに平均2人にうつしたとすると、患者数は指数関数的に増加することになる。 また家族7人中孫娘を除く6人、親戚5人中入院していた1歳息子を除く4人が感染したことを考えると、感染力は強いと考えるべきである。10歳孫息子が無症候性感染例(症状がないのに感染している症例)であった。この児はほかの人に明らかに感染させた証拠はない。もしも無症候性感染例が感染力を持つとすると封じ込めは厄介であろう。SARSでは誰から誰に感染したかしっかりトレースできた。インフルエンザでは誰からうつされたか不明のことも多い。これはSARSでは無症候性感染例に感染力がなく、インフルエンザでは感染力があるからである(あるいは発症前から感染力を呈するからである)。親戚の1人が武漢の生鮮市場で感染したとすると、無症候性感染者あるいは不顕性感染者(症状が軽い)から感染した可能性があり、今後も無症候性感染者あるいは不顕性感染者からの感染があるかないかを慎重に見極める必要があるであろう。  孫息子はマスクをしておらず肺炎を発症し、孫娘はマスクをしていて肺炎にはかからなかった。という話を聞くとマスクに感染予防効果があるように感じてしまうかもしれないが、偶然の可能性のほうが高いであろう。年齢が高いほど重症化しやすいことを考えると、小児年齢は感染し難いとも考えられる:10歳と7歳との違い。30代の両親の肺炎より祖父母の肺炎のほうが重症である。 両親は下痢症状を伴っていた。SARSの10%、MERSの30%は下痢を伴う。熱と咳が典型であるが、下痢で発症する場合も念頭に置くべきである。 CT像はウイルス性肺炎で、抗生剤が有効な細菌性肺炎とは異なる。現時点では一旦肺炎を発症すると対症療法しかなく、感染経路を遮断し、封じ込めに全力を注ぐのが最も重要である。

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COVID-19、家族クラスターにおける感染の経過/Lancet

 中国・深セン市の家族7人における、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染および臨床経過が報告された。香港大学のJasper Fuk-Woo Chan氏らによる、Lancet誌2月15日号(オンライン版1月24日号)掲載の報告。 2019年12月29日から2020年1月4日まで武漢市に滞在した家族6人を、1月10日から登録。うち5人で感染が確認された。さらに、旅行していないもう1人において、家族のうち4人と数日間接触した後、SARS-CoV-2陽性が確認された。本研究では、同家族の疫学的、臨床的、実験的、放射線学的、および微生物学的所見を報告している。 各人のベースライン特性と検査結果は以下の通り(疾患歴/検査結果)。患者1(母親、65歳):高血圧および治療済の良性腫瘍/RT-PCR陽性、CTスキャン陽性患者2(父親、66歳):高血圧/RT-PCR陽性、CTスキャン陽性患者3(娘、37歳):なし/RT-PCR陰性、CTスキャン陽性患者4(義理の息子、36歳):慢性副鼻腔炎/RT-PCR陽性、CTスキャン陽性患者5(孫・男児、10歳):なし/RT-PCR陽性、CTスキャン陽性患者6(孫・女児、7歳):不明/RT-PCR陰性、CTスキャン陰性患者7(患者4の母・旅行歴なし、63歳):糖尿病/RT-PCR陽性、CTスキャン陽性 主な疫学的・臨床的・放射線学的・微生物学的特徴は以下の通り。・家族の誰も武漢の市場や動物への接触はなかったが、患者1~6は武漢に住む親類と滞在中毎日接触し、患者1と患者3は武漢の病院を訪れていた。・患者1~4は発熱、上気道または下気道症状、下痢、これらの組み合わせを曝露(武漢到着)後3~6日に示した。患者5は無症候性であった。・60歳以上の患者は、より全身性の症状、広範なすりガラス状病変、リンパ球減少、血小板減少のほか、CRPおよびLDHの増加を示した。・30代の患者では、下痢のほか、咽頭痛、鼻詰まり、鼻漏などの上気道症状がみられた。・point-of-care multiplex RT-PCRでは、6例とも既知の呼吸器病原性菌に対し陰性。SARS-CoV-2のRNA依存性RNAポリメラーゼ (RdRp)をエンコードするRT-PCRでは5例が陽性で、同ウイルス表面のスパイク状タンパク質を認め、サンガーシークエンス法により確定された。陰性の1例(患者3)は、武漢の病院への曝露という疫学的に強い関連があり、多発性のすりガラス状病変が確認されたため、感染症例とみなされた。・患者2の血清サンプルのみが陽性であり、他のすべての患者の血清、尿、および糞便サンプルは、SARS-CoV-2について陰性であった。・6例全員が隔離され、支持療法下で入院。2020年1月20日時点で病状は安定していた。

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COVID-19、今検討すべき各医療機関の対応/日本医師会

 政府は、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を連日開催し、25日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表。26日には、全国的なスポーツ・文化イベントについて、今後2週間は中止もしくは延期、規模縮小するよう要請し、日本医師会もこれに準じた対応を呼び掛けている。今後、感染疑い患者の受け入れを想定した検討を 各地域の医療機関では、周辺の流行状況に応じた対策が求められるが、まずは標準予防策を徹底することが非常に重要だ。釜萢 敏氏(常任理事)は、「今後、一般の医療機関でも新型コロナウイルス感染疑い患者の受け入れが必要になる事態に備え、各医療機関では、診療時間や動線を区分するなどの感染対策がどこまで可能なのか、事前に確認してほしい」と呼び掛けた。 なお、感染疑い例を一般の医療機関で受け入れるかどうかは地域で協議し、診察を行わない医療機関(例:腎臓内科、産婦人科など)を事前に検討しなければならない。あわせて、重症患者を多数受け入れる感染症指定医療機関から順に、帰国者・接触者外来を段階的に縮小する見込みだ。標準予防策、共用設備の保護など、堅実な対策が有効 国内では、感染経路が明らかでない患者が散発的に発生しており、一部地域では、小規模患者クラスター(集団)が把握されている。この状況を受け、横倉 義武氏(会長)は、「今後1~2週間の行動がきわめて重要。国民が一体となって、感染拡大防止に努めなければならない」と強調した。 また、手指の消毒、手洗い・うがいなど、標準的な予防策に加え、ドアノブやエレベーターのボタンなど、不特定多数の人の手が触れる部分のこまめな消毒や、フィルムなどを貼って適宜交換することも有効だという。 同氏は「報道のインパクトから、新型コロナウイルスは“非常に危険”という印象を国民に与えてしまっている。しかし、多くの患者は通常の風邪症状で、重症患者の多くは基礎疾患などのリスクを持っていた可能性が高い。国民の皆さんには、ウイルスに抵抗する免疫力を高めるために、規則正しい生活・食事などをぜひ心掛けてほしい」と語った。 PCR検査の事例調査を開始、是正を求めていく姿勢 今は何としても、重症者の把握や集団感染の発生を徹底的に防ぐことが重要であり、そのためにも、PCR検査は有効な手段だ。しかし、検体の採取には感染の危険が伴うことから厳重な検査件数の増加には検査体制の確立も踏まえ、十分な感染管理が必要である。 PCR検査の必要性の判断は医師に委ねられている中で、現場からは「医師が検査が必要と判断したにもかかわらず、検査に結びつかなかった、あるいは不適切と考えられる事例」が寄せられている。同会は、都道府県医師会を通じて同様の事例に関する調査を行うとともに、その是正を求めていく考えを示した。

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新型コロナウイルスあれこれ(2)【Dr. 中島の 新・徒然草】(312)

三百十二の段 新型コロナウイルスあれこれ(2)相変わらず猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、一連のニュースを見ていると、こちらも色々と考えさせられます。そのあたりの事をいくつか述べましょう。その1:清潔とはなんぞや、不潔とはなんぞや厚生労働省副大臣がツイッターに投稿して話題となったダイヤモンド・プリンセス内部の写真。そのドアには「清潔」「不潔」の表示がありました。医療従事者にはなじみの深い「清潔」「不潔」ですが、よく考えてみると場面によって複数の意味が使い分けられているようです。つまり手術室の中では無菌状態のことを「清潔」と呼び、無菌状態でないことを「不潔」と呼んでいます。一方、感染症と戦う時には、汚染された状態を「不潔」と呼び、汚染されていない状態を「清潔」と呼んでいます。これらのことをわかりやすく整理すると、無菌、通常、汚染という3つの状態のうち、手術室での「清潔」は無菌状態、「不潔」は通常状態および汚染状態ということになります。一方、ダイヤモンド・プリンセス号の中での「清潔」は無菌状態および通常状態であり、「不潔」は汚染状態だけに使われる用語になります。我々医療従事者は、いつも「清潔」「不潔」という用語を用いていますが、無意識のうちに2種類の「清潔」と2種類の「不潔」を正確に使い分けていたんですね。今回のことではじめて気付きました。その2:自主的に行う手洗い、マスクこれまでは、院内でICT(Infection Control Team:感染制御チーム)の人たちに「手洗いをしましょう」「マスクをしましょう」と何度言われても無視していた医師たちが、自分からこまめに手洗いやマスクをするようになりました。もちろん私もその1人で、接触感染の恐怖から丹念に速乾性アルコールを用いて手を消毒し、少しでも飛沫感染を避けるためにサージカル・マスクの着用をしています。現段階ではさすがにN95マスクまではしていません。一方、あのカモノハシみたいなマスクを他の人がしているのをみると、つい手で摘まんで引っ張りたくなってしまいます。そんな事を考えているのは私だけでしょうか?その3:ランダムの恐怖コロナウイルス感染では、高齢者や持病のある人が重症化しやすい、ということになっていますが、北海道では20代の女性が重症化し、中国では武漢の新型肺炎を「告発」した李文亮医師が33歳の若さで亡くなっています。「重症化するのは高齢者であり、若者は大丈夫だ」というのならわかりやすいのですが、そんな単純な話でもなさそうです。「大部分の感染者は治療しなくても自然に回復するが、中には重症化する人もおり、重症化するかしないかは運だ」と言う方が正しいのかもしれません。とはいえ、ランダムに人が死ぬなどというのは、恐怖そのものです。その4:中国を見直した有無を言わせずあの1,000万都市の武漢を封鎖し、コロナウイルスと戦いながらもLancetやNew England Journal of Medicineにどんどん論文を発表しているのを見ると、中国の底力を認めざるを得ません。日本からもダイヤモンド・プリンセス号のデータを用いた英語論文が出てほしいものです。というわけで、新型コロナウイルスのニュースを見ながら思ったこと感じたことを自由に述べました。読者の皆様はどのようにお考えでしょうか。最後に1句コロナ見て あれこれ思う 冬の空

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COVID-19、重症肺炎の臨床経過や投与薬剤は?/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連肺炎の重症例について、臨床経過・転帰などを調査する目的で中国・華中科技大学のXiaobo Yang氏らがレトロスペクティブスタディを実施。その結果、SARS-CoV-2感染症による重症肺炎患者の死亡率の高さが明らかとなった。また、死亡者の生存期間は集中治療室(ICU)入室後1〜2週間以内の可能性があり、併存疾患や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する高齢者(65歳以上)では死亡リスクの上昇もみられた。Lancet誌オンライン版2020年2月24日号掲載の報告。 研究者らは、2019年12月下旬~2020年1月26日の期間、武漢市・Jin Yin-tan hospitalのICUに入院したSARS-CoV-2関連肺炎の重症患者52例を登録。人口統計、症状、検査値、併存疾患、治療、および臨床結果などのデータを収集し、生存者と死亡者のデータを比較した。2020年2月9日時点での主要評価項目は28日間の死亡率だった。副次評価項目は、SARS-CoV-2関連のARDSの発生率と人工呼吸器を使用した患者割合だった。 主な結果は以下のとおり。・SARS-CoV-2関連肺炎710例のうち、重症患者は52例だった。・52例の内訳は、平均年齢:59.7歳(±SD:13.3)、男性:35例(67%)、慢性疾患を有する:21例(40%)で、51例(98%)が発熱した。・32例(61.5%)が28日で死亡し、死亡者のICU入室から死亡までの中央値は7日(四分位範囲:3~11日)だった。・死亡者は生存者と比較して高齢(64.6歳±11.2 vs.51.9歳±12.9)で、ARDSを発症する可能性が高い(26例[81%]vs.9例[45%])、侵襲的または非侵襲的な機械的換気を受ける可能性が高い(30例[94%]vs.7 例[35%])患者だった。・ほとんどの患者は臓器機能の障害を有し、ARDS:35例(67%)、急性腎障害:15例(29%)、心機能障害:12例(23%)、肝機能障害:15例(29%)、気胸:1例(2%)が含まれた。・37例(71%)が人工呼吸器を必要とした。・院内感染は7例(13.5%)で認められた。・治療として抗ウイルス薬が投与されたのは23例(44%)で、18例にオセルタミビル、14例にガンシクロビル、7例にロピナビルが投与された。

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COVID-19、そのまま渡せる「感染予防ハンドブック」を無料公開

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大を続ける中、東北医科薬科大学は市民向けにCOVID-19の基礎知識と対応策をまとめた感染予防ハンドブックを作成し、PDFをサイトで公開している。医療者にとって、患者からの問い合わせに応える一助となる内容だ感染予防ハンドブックで触れられていない情報 2月25日に公開されたこの「新型コロナウイルス感染症~市民向け感染予防ハンドブック」は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)そのものに関する情報からはじまり、感染した場合の症状、潜伏期間、感染経路の可能性などについて解説。とくに「かからない・うつさないための対策」として手洗いや咳エチケットについてイラストを交え、ページを割いて丁寧に解説している。同大の感染症学教室特任教授の賀来 満夫氏の監修のもと、2月25日時点の情報に沿ってまとめられたもので全19ページ、出典を記載したうえで自由に印刷・配布ができる。 感染予防ハンドブックに掲載されているのは感染症予防における普遍的な内容であり、逐次変更される可能性の高い「医療機関受診の目安」や「問い合わせ窓口」などの情報は触れられていない。そうした問い合わせに対しては厚労省サイト(新型コロナウイルスに関するQ&A/新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安/新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター一覧)などをあわせて案内する必要がある。

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