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COVID-19濃厚接触者の定義を変更し、網を拡大/国立感染研

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「濃厚接触者」の定義について国立感染症研究所 感染症疫学センターは、4月20日に「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」を発表し、定義を変更した。 新しい「濃厚接触者」の定義では、「患者(確定例)」の感染可能期間(症状を呈した2日前から隔離開始までの間)に接触した者のうち、次の範囲に該当する者として4項目を示した。・患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内などを含む)があった者・適切な感染防護無しに患者(確定例)を診察、看護もしくは介護していた者・患者(確定例)の気道分泌液もしくは体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い者・その他:手で触れることのできる距離(目安として1m)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者(周辺の環境や接触の状況など個々の状況周辺の環境や接触の状況など個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する)。 これにより、従来は発症日以降に接触した人から「発症の2日前から接触した人」に拡大され、また、「2m以内を目安に接触していた人」の定義を「1m以内を目安に15分以上接触した人」に変更された。 この定義は保健所などで聞き取り調査の際に使用され、より多くの感染疑い者の絞り込みに活用される。

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新型コロナ陽性および疑い患者への外科手術について、12学会が共同提言/日本外科学会など

 日本医学会連合、日本外科学会をはじめとする外科系12学会は4月1日、連名で「新型コロナウイルス陽性および疑い患者に対する外科手術に関する提言」を発出した。流行下での手術トリアージの目安のほか、気管挿管・抜管時のリスク回避策など、医療従事者の感染リスク防止のための方策がまとめられている。 本提言の内容は以下の通り:・患者および術式選択について・個人用防護具(PPE:Personal Protective Equipment)について・気管挿管・抜管時のリスク回避について・その他の手術リスクについて・手術後の対応について・帰宅時の対応について・緊急手術について なお、今後の状況に応じて提言は適宜見直されるとし、日本外科学会では4月14日に外科手術トリアージ表の改訂版を発表。4月21日には、提言の中で推奨された排煙装置の使用について、日本外科教育研究会により「新型コロナウイルス感染症とサージカルスモーク」の解説が提供されていることを紹介。この解説では、サージカルスモークによる感染を防ぐため、関連の参考文献とともに医療用マスクや排煙装置の防護法などについて記載されている。 日本外科学会ホームページでは、「新型コロナウイルス(COVID-19)特設ページ」が設けられており、これらの情報が随時更新されている。

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アイスランドの新型コロナウイルス、遺伝子型が変化/NEJM

 アイスランドでは新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染陽性率が、10歳以上および男性と比較して、10歳未満児および女性では低いことが明らかになった。アイスランド・deCODE Genetics-AmgenのDaniel F. Gudbjarsson氏らが、同国における高リスクの特定集団と市民を対象に実施した住民ベースの調査結果を報告した。アイスランドでは2月末に初めてCOVID-19と診断された患者が発生したが、COVID-19の原因ウイルスSARS-CoV-2が、どのようにアイスランドの住民に感染・拡大したかについてはデータが限られていた。今回の調査では、SARS-CoV-2のハプロタイプは多様で経時的な変化が認められること、一般市民で確認された感染陽性率はスクリーニング期間中あまり変化していないことも示され、著者は「封じ込め策が有効であったと考えられる」との見解を示している。NEJM誌オンライン版2020年4月14日号掲載の報告。感染リスクが高い特定集団と一般市民を対象にPCR検査を実施し実態を調査 研究グループは、アイスランドで行われた2つのSARS-CoV-2検査(感染リスクが高い人を対象とした検査と集団スクリーニング)について分析する検討を行った。 同国では2020年1月31日より、感染リスクが高いと考えられる住民(咳・発熱・関節痛・息切れなどの症状を有し、最近、高リスク国/地域から帰国した人、または感染者と接触した人)を対象とした検査を開始(特定集団群)。これに加えて3月13日より、無症状または軽度の風邪症状の同国在住者にも検査を拡充し、オンラインでの登録・検査が開始された(公募群)。 研究グループはこれらのデータに加えて、集団スクリーニングのサンプリング法を評価する目的で、20~70歳のアイスランド人6,782例を無作為に抽出し、3月31日~4月1日に携帯電話へメッセージを送信し、4月4日までに検査を受けてもらった(無作為抽出群)。 さらに、陽性例のうち643例についてSARS-CoV-2のシークエンシングを行った。4月4日時点で市中感染率は0.6%、10歳未満と女性は陽性率が低い 4月4日時点のSARS-CoV-2陽性者は、1月31日~3月31日に検査を受けた特定集団群は9,199例中1,221例(13.3%)、集団スクリーニングのうち3月13日~4月1日に検査を受けた公募群は10,797例中87例(0.8%)、4月1日~4日に検査を受けた無作為抽出群は2,283例中13例(0.6%)であった。全体で、検査を受けたのは人口の6%であった。 特定集団群のうち、初期(1月31日~3月15日)に検査を受けた1,924例では、SARS-CoV-2陽性者が177例(9.2%)で、このうち65%(115/177例)に最近の海外渡航歴(高リスク国を含む)があったのに対し、後期(3月16日~31日)に検査を受けた7,275例では陽性者が1,044例(14.4%)で、このうち海外渡航歴があったのは15.5%(162/1,044例)であった。 いずれの検査群でも、平均年齢は参加者全体(特定集団の初期群、特定集団の後期群、公募群、無作為抽出群でそれぞれ40.0、40.4、38.6、45.4歳)に比べ陽性者(それぞれ44.4、41.3、40.8、50.5歳)で高かった。特定集団群では、10歳未満(38/564例、6.7%)は10歳以上(1,183/8,635例、13.7%)と比較して陽性率が低い傾向にあり、この傾向は集団スクリーニング群でも同様であった(10歳未満0%、10歳以上0.8%)。また、女性のほうが男性より陽性率が低く、特定集団群では11.0% vs.16.7%(オッズ比[OR]:1.66、95%信頼区間[CI]:1.47~1.87)、集団スクリーニング群で0.6% vs.0.9%(1.55、1.04~2.30)であった。多様なSARS-CoV-2 ハプロタイプが広がっている 643検体から抽出したSARS-CoV-2 RNAのシーケンシングの結果、ハプロタイプは多様で経時的に変化していることが明らかになった。すなわち、特定集団の初期と集団スクリーニング群とでハプロタイプの構成が異なっており、初期はイタリアやオーストリアが起源のタイプがほとんどであったのに対して、3月中旬以降の集団スクリーニング群では当初高リスク国と見なされていなかった英国などから帰国した人によってアイスランドに持ち込まれたと考えられた。 集団スクリーニングにおける感染陽性率は20日間にわたり安定しており、公募群と無作為抽出群とで感染率に大きな違いはなかった。

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楽天のPCR検査キット、「大変危惧の念を抱いている」/日本医師会

 4月22日、日本医師会・釜萢 敏氏(常任理事)は、民間企業による新型コロナウイルスPCRキット販売に関して、「大変危惧の念を抱いている。(一般人が)自身で検体採取することはリスクが高いと考えざるを得ない」と強い懸念を示した。近日中に、問題点を具体的に示した専門家会議の意見が取りまとめられる見込み。東京都ほか4県の法人向けにPCR検査キットを販売 20日、楽天が「新型コロナウイルスPCR検査キット」を、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の法人向けに提供開始したことを発表した。同キットは、遺伝子検査キットを手掛けるジェネシスヘルスケアが、医療法人社団 創世会の協力を受けて開発したもの。定価は1キット1万4,900円(税込)で、100キットから購入できる。 なお、同社プレスリリースでは、「導入する法人は、検査キットを従業員等に配布し、利用者は同封されている説明書に従って、各自で自宅にて検査試料を自己採取後、防漏性容器に収めます。容器を三重密封できる封筒に入れていただき、封をして目安として2時間以上経過してから、法人が指定する場所に設置する専用回収ボックスに入れていただきます。ジェネシスヘルスケアによる回収後、結果通知までにかかる日数は最短即日から約3日以内(土日祝除く)となります」と説明している。自宅での検査実施は感染拡大リスクにつながる恐れ これについて、釜萢氏は「検体の採取は正確に行うことが必要。それが不適切であれば、結果も不正確になりかねない」として、「検査を実施した企業が、本キットの結果を見て出勤の可否などを判断すると、実際の陽性・陰性とは異なる結果が含まれることで、感染拡大を引き起こすなどの問題につながりかねない。結果を医療機関に持って来られても、対応は困難である」と懸念を表明した。また、検査に伴う危険の周知も十分でなく、結果の取り扱いにおける個人情報保護の問題も残されている。 同氏は、同日開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議においても、同検査キットに対し問題意識が示されたことを説明した。実際に企業が同キットを購入し検査を実施した場合は、大きな混乱を来たす可能性がある。 PCR検査がなかなか実施されない、希望しても受けられないことに対する策なのではないか、という意見に対し、「PCR検査は医師が必要と認めたケースにのみ実施することが大事で、国民全員に実施すべきものではない」との認識をあらためて強調し、「今後同様の事例が起きないよう、厚生労働省と協議を行い、国民の安全を確保する視点で対応していく」と述べた。 なお、米国において、コロナウイルスについての自己検体採取キットが緊急使用認可されているが、「米国の検体採取自己キットは通常承認ではないものの、米国食品医薬品局(FDA)が緊急に使用を認可したものであり、政府機関が関与している」、「使用に当たっては医師の指示が必要」という2点が、今回わが国で発売されたキットと大きく異なる点だ。

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SARS-CoV-2との戦いーACE2は、味方か敵か?(解説:石上友章氏)-1218

原著論文Renin-Angiotensin-Aldosterone System Inhibitors in Patients with Covid-19 COVID-19は、新興感染症であり、科学的な解明が不十分である。これまでの報告から、致死的な重症例から、軽症例・無症候例まで、幅広い臨床像を呈することがわかっており、重症化に関わる条件に注目が集まっている1,2)。中国からの報告により、疾病を有する高齢者、なかでも高血圧を有する高齢者が多く重篤化する可能性が指摘された3,4)。 SARS-CoV-2の類縁であるSARS-CoVは、SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)の原因ウイルスである。標的である肺胞上皮細胞に感染する際に、細胞表面にあるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)を受容体として、ウイルス表面のスパイク蛋白と結合する。ACE2と結合したスパイク蛋白は、細胞表面の膜貫通型セリン・プロテアーゼであるTMPRSS2などにより切断され、標的細胞の細胞膜と融合することで細胞内に侵入することが知られている(『感染の成立』)5,6)。SARS-CoV-2の感染症であるCOVID-19でも、同様の機序が想定されている。 降圧薬(ACE阻害薬、ARB)の使用とCOVID-19との関係が注目されており、Vaduganathanらの手による、Special ReportがNEJM誌に掲載された7)。ACE2がSARS-CoV-2の感染の成立に重要な働きを有していることから、高齢者・高血圧患者におけるACE阻害薬、ARBの使用と、感染の重篤化との間に因果関係があるのではないかという疑問があがった。有効な治療法が確立していない現在、既存の蛋白分解酵素阻害薬である、ナファモスタット、カモスタットの、TMPRSS2の阻害作用により、SARS-CoV-2の感染を抑制する可能性があると報告されたことも、既存薬であるRA系阻害薬とCOVID-19との関連が注目された一因であろう8,9)。 図のように、ACE2はAng(1-7)-Mas受容体系に関与していると考えられており、ACE2の活性化はアンジオテンシンIIの働きに拮抗・相殺する作用であり、生体にとって好ましいとされている10)。ACE2が、SARS-CoV-2の感染の成立に重大な働きをすることから、直接的にCOVID-19の発症に関わっている可能性がある。ACE2活性の亢進や抑制が、COVID-19の発症・重篤化に関係しているのであれば、RA系阻害薬の内服によるACE2活性の変化によって、予後が決定される可能性がある。(原図:石上 友章氏) 個々の研究に目をやると、SARS-CoVによる重症肺炎が、ロサルタンの投与で軽快すると報告されている5)。またオルメサルタンには、ACE2活性化作用を介して、Ang II→Ang(1-7)への変換を促進し臓器保護作用があると報告されているが11)、いずれもげっ歯類を対象にした動物実験であり、ヒトではっきりと証明された報告はない。したがって、米国・欧州の主要な学会のポジション・ステートメントは、RA系阻害薬使用とCOVID-19との間の相関には否定的で、RA系阻害薬の内服の継続を推奨している。(https://www.eshonline.org/spotlights/esh-statement-covid-19/ほか) ARB(ロサルタン)ならびに、ACE2賦活薬(APN01:recombinant human soluble ACE2)を使った、臨床研究(NCT00886353、NCT04311177、NCT04312009)が計画されている。ヒトでのPOCがとれるか否かで、今回の降ってわいたような疑問への回答を得られることが期待される。References1)Bouadma L, et al. Intensive Care Med. 2020;46:579-582.2)Wu Z, et al. JAMA. 2020 Feb 24. [Epub ahead of print]3)Zhou F, et al. Lancet. 2020;395:1054-1062.4)Pan X, et al. Lancet Infect Dis. 2020;20:410-411.5)Kuba K, et al. Nat Med. 2005;11:875-879.6)Imai Y, et al. Circ J. 2010;74:405-410.7)Vaduganathan M, et al. N Engl J Med. 2020 Mar 30. [Epub ahead of print]8)Yamamoto M, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2016;60:6532-6539.9)Hoffmann M, et al. Cell. 2020;181:271-280.e8.10)Ishigami T, et al. Hypertens Res. 2006;29:837-838.11)Agata J, et al. Hypertens Res. 2006;29:865-874.

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037)疲労困憊のコロナ電話対応【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第37回 疲労困憊のコロナ電話対応しがない皮膚科勤務医デルぽんです☆新型コロナウイルスの流行で、公私共に落ち着かない日々が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。私の皮膚科外来では、病院に来る患者さんの数がガクッと減り、少しずつ電話再診を希望する患者さんが増えてきています。緊急事態宣言の発令以降、病院が初診の受け付けを当面の間休止したこともあり、来られるのは定期処方の患者さんばかり。幼稚園や学童保育の休業により出勤できないスタッフもいるようで、スタッフも患者さんも少人数、広い外来棟が閑散としています。勤務医であるデルぽんは外来業務が減り、正直なところ手持ち無沙汰な状態です。一方、医師以外のスタッフは、電話での問い合わせ対応や、電話再診による処方箋の送付など、少ない人数でイレギュラーな業務に追われている様子。問い合わせの電話をしてくる患者さんの中には、芸能人の名前を出して30分間延々とクレームを言ってくる人や、無理難題を言ってごねる人も。身近な病院が、患者さんの不安な気持ちのはけ口になってしまっているようです。そうはいっても、医療者も限られた資源の中、精神をすり減らして対応しているので、どうかわかっていただきたいところ。感染症の最前線で戦う医療者の皆さまには、本当に頭があがりません。どうかご自愛ください。非日常で落ち着かない日々。早くこの事態が収まるとよいなと願っています。それでは、また~!

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新型コロナウイルスあれこれ(6)【Dr. 中島の 新・徒然草】(320)

三百二十の段 新型コロナウイルスあれこれ(6)もう何もかもコロナ一色です。まずは最近観た映画「コンテイジョン」(contagion:伝染)から。アマゾンのオンラインレンタルでは199円。2011年に制作されたアメリカ映画ですが、これがよくできている!気味が悪いくらい正確に現在のコロナ・パンデミックを描写しています。内容は香港から発生したウイルスが全世界に伝播するというものです。cluster、social distancing、R0(アール・ノート)など、専門用語も同じ。また、広場での埋葬、無症候感染者の存在、空になったジムなどもそのまま。ちゃんとWHOやCDCも出てきます。驚いたのは、映画の医学監修を行ったイアン・リプキン医師が新型コロナウイルスに罹患したこと。FOXのインタビューに「私がかかるくらいだから、誰でもかかります」と言っていました。やはり9年前の映画だな、と思わされる点があるとすればただ1つ。人々を煽るのがユーチューバーでなくブロガーだということ。時代を感じさせますね。さて、私は今日も自分のエクセルに数値を手入力しては未来を予測しています。セルが縦にも横にも増えてきて、なんだか巨大な表になってしまいました。累積死亡者数から計算したニューヨーク州のdoubling time(倍加時間)は1週間前の6.0日から12.4日に延びています。指数関数的に増えていた累積死亡者数が直線的になり、徐々に頭打ちになってきました。素晴らしい!やはりアメリカらしく、力でコロナをねじ伏せつつあるのでしょう。もっとも英語版ウイキペディアを見ていると、ニューヨーク州のドタバタぶりも、日本に負けず劣らず。コロナウイルスに対して楽観派と悲観派が分かれて論争に明け暮れているのは何処も同じ。楽観派の最たるものが、ニューヨーク市の保健局長で小児科医のオキシリス・バーボット氏です。「皆さん、普通の生活をしましょう」とか「病気の人との同乗はリスクになりません」などと発言していました。民主党と共和党の市議が連名で「手遅れにならないうちに彼女をクビにしてくれ」とデブラシオ市長に手紙を送ったくらいです。また、ニューヨーク州のゴルフ場が過密状態になってしまったのも笑えるところ。隣接するニュージャージー州やペンシルベニア州から人々が殺到したのです。これらの州でゴルフ場がクローズされたのに、なぜかニューヨーク州ではゴルフ場がオープンのままだったのがその原因。あわててクオモ知事がゴルフ場を essential business のリストから外しました。日本でも茨城県のパチンコ屋の駐車場が県外ナンバーの車だらけになったそうですが、そっくりですね。東京と大阪に目を向けると、残念ながら累積死亡者数のdoubling timeが縮まりつつあります。1週間前と比べて東京が11.7日から8.0日へ、大阪が12.0日から7.0日へ。Nが小さすぎるために、誤差が大きく出ているのならいいのですけど。日常診療では、皆さんそれぞれに工夫を凝らしています。たとえば、コロナ疑いの患者さんの検体採取はできるだけ自家用車の中か屋外でやるようになりました。患者さん本人が検体容器に痰を出すので、こちらが感染するリスクはほぼゼロ。貴重なPPE(personal protective equipment:個人防護具)を消費することもありません。誰が作ったのか、手製のフェイスシールドも救急室には置いてありました。ヘッドバンドにクリアファイルを貼りつけた簡単なものですが、あれば随分心強いです。あと、大切なことは、常に明るい気持ちを持ち続けることでしょうか。ある芸人さんが「お笑いほど不要不急なものはない」と言ってましたが、とんでもない!今こそ笑って難局に立ち向かうことが大切だと私は思います。ということで最後に1句 コンテイジョン 工夫とギャグで 乗り切ろう! 

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第4回 新型コロナ、アカデミアと臨床医が会議設立したワケ

メディアは日々、新型コロナウイルスの感染症数や死亡者数を報じている。コロナの終息のみならず、休業要請などによりわれわれの生活ですら見通しが立たない中、増加する一方の感染者数や死亡者数の累積数ばかりを見せつけられては不安感が増すばかりだ。そうしたことが、買い占めなどを誘発している面がある。都内から茨城県内のパチンコ店への“遠征”や、長野県・軽井沢や沖縄県・石垣島などへの“コロナ避難”も、行く先の地域のコロナ患者の受け入れ態勢の情報がないことから、自身が感染したり、当地の人に感染させてしまったりした場合の地域へのダメージや、医療機関の受け入れの可否に思いが至らない面があるのではないだろうか。都道府県内の自治体ごとに、退院者数・完治者数、確保されているベッド数や使用されているベッド数、軽症者の宿泊療養施設数なども、行政やメディアには日々公表してほしい。地域の住民は、地元の細やかな情報をこそ求めているのだ。買い物なども、そのような情報があれば違う地域へ行く選択肢ができる。商店街の混雑情報などもスマホなどで見ることができるサービスがあれば、なお良い。自治体で情報提供専属の人材を採用すれば、雇用対策にもなる。市民目線の欠如という点では、安倍晋三首相の「何様」批判を招いたSNS動画、麻生 太郎副総理兼財務相の「手を挙げたら10万円給付」発言、国会議員の歳費2割削減などがある。安倍・麻生両氏は苦労知らずの3世議員だ。とくに麻生副総理は、国民への現金給付に関して限定的な給付にこだわる一方で、国際通貨基金(IMF)の途上国支援基金にはポンと5,500億円を追加、融資枠を2倍に引き上げる気前の良さを見せた。途上国支援も重要だが、今は国内対策で少しでも国民の不安を払拭するのが優先ではないだろうか。官僚においても同様だ。政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で現状分析や提言などを行っているが、医療系の構成員の視点に対し、事務方の官僚からの経済的な視点が入ってしまい、感染症や公衆衛生の「専門家」の提言としては政治色を帯びた内容にならざるを得ない。このような状況下、日本医師会は4月18日、アカデミアと臨床医による「COVID-19 医学有識者会議(仮称)」を立ち上げ、初会合を開いた。医療現場の症例からデータベースを作り、治療や検査の知見を現場で共有したり、対策を提言したりしていくという。新型コロナ対策ではエビデンス不足が指摘されているだけに、医療現場からの期待は大きそうだ。座長は永井 良三氏(自治医科大学学長)だが、立ち上げの中心は副座長の笠貫 宏氏(早稲田大学特命教授)だ。構成員の1人は「笠貫教授がアカデミアの動きが鈍いことに憤りを覚え、3日前に日医の横倉 義武会長らに声を掛け、賛同した医療界を代表するような医療人16人で立ち上げた」と打ち明ける。新型コロナ対策では政府らの対応の遅さがたびたび批判される中、この会議の設立はスピーディーだった。ある意味、市民目線の動きといえる。

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COVID-19、早期診断や重症化の因子は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)の予測モデルに関する公表・公表前の試験結果についてシステマティック・レビューを行ったところ、31個の予測モデルが見つかったが、大半でバイアスリスクが高く、それら予測モデルを医療現場で活用することには、信頼性の点で懸念があることが示された。オランダ・マーストリヒト大学のLaure Wynants氏らによる検討で、BMJ誌2020年4月7日号で発表した。COVID-19は世界中の医療システムに負荷をもたらしており、効果的な早期検出、診断および予後に関する差し迫ったニードが生じている。ウイルス学的検査、胸部CTは診断の標準方法となっているが時間を要する。一方、先行研究報告で、高齢で、慢性疾患(COPD、心血管疾患、高血圧)がある患者や呼吸器症状のある患者は、重症となりやすく死亡率も高まることが示唆されていた。PubMed、Embase、medRxivなどをレビュー 研究グループは、COVID-19の感染が疑われる患者の診断に関する予測モデル、および罹患者の予後に関する予測モデル、さらにCOVID-19で入院となるリスクがある人を一般集団で検出するための予測モデルについて、公表・公表前の報告をレビューおよび批評した。 PubMed、Embase、Ovid、Arxiv、medRxiv、bioRxivを基に、2020年3月24日までに発表されたCOVID-19に関する試験結果についてシステマティック・レビューを行った。COVID-19関連の多変量予測モデルの開発または検証に関する試験を抽出し、評価した。2人以上の著者がCHARMSチェックリスト(予測モデル試験のシステマティック・レビューのためのクリティカルな評価とデータ抽出を行うためのツール)を用いてそれぞれがデータの抽出を行った。診断モデル18件、予後予測モデルは10件 スクリーニングを行った2,696本の論文中に、27試験・31個の予測モデルの記述があった。 そのうち、一般集団における肺炎およびその他イベント(COVID-19肺炎の代替アウトカムとして)による入院の予測モデルは3個、COVID-19感染を検出する診断モデルは18個(うちCT画像検査の結果に基づく機械学習が13個)、死亡リスクや重症化進行リスク、および入院日数を予測する予後モデルは10個だった。また、中国以外の患者データを用いていたのは1試験のみだった。 感染が疑われる患者について最も多かった予測因子は、年齢、体温、徴候および症状であり、また、重症化について最も多かった予測因子は、年齢、性別、CT画像検査の所見、CRP、乳酸脱水素酵素値、リンパ球数だった。 予測モデルのC統計量は、一般集団を対象としたモデル(3モデルすべてで報告)は0.73~0.81、診断モデル(18モデルのうち13モデルで報告)は0.81~0.99超、予後モデル(10モデルのうち6モデルで報告)は0.85~0.98だった。 一方で、全試験についてバイアスリスクが高く、予測モデルを実際に活用した際の予測能は試験結果より低い可能性が高いとの評価が示された。理由としては、被験者にCOVID-19患者以外が含まれていない(診断モデル)、試験終了までに評価アウトカムが発生しなかった被験者は除外されている(予後モデル)、およびサンプルサイズが小さいことによるモデルの過剰適合などだった。 結果報告の質にもばらつきがあり、多くが試験対象集団や予測モデルの使用意図についての説明がなく、また予測の較正はほとんどされていなかったという。

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新型コロナウイルス感染症患者に対するremdesivir人道的使用(解説:浦島充佳氏)-1220

オリジナルニュース重症COVID-19へのremdesivir、68%で臨床的改善か/NEJM 現在、COVID-19に対する有効な治療薬はない。そこでSpO2 94%以下の低酸素症を伴うCOVID-19患者61例にremdesivirを使用した。しかし、結果の不明な7例と薬物使用量の不適切だった1例を除外し53例で解析が成された。投与開始中央値18日(IQR:12~23日)において53例中36例(68%)で酸素投与法の改善をみた。一方、有害事象として60%に肝臓酵素の上昇、下痢、発疹、腎機能障害、低血圧を認めた。23%に多臓器不全、敗血症性ショック、急性腎障害、低血圧を、人工換気をしている患者に認めた。 SARS-CoV-2はRNAウイルスであり、remdesivirのRNAポリメラーゼ阻害作用に期待しての人道的使用によるデータを集めての報告である。データを解釈するうえで気になった点は以下の4つである。1. 除外された8例の詳細がない2. アウトカム評価の方法が事前に決められていない3. 有害事象が多い4. 製薬会社(Gilead Sciences)主導の研究である 結論にも記載があるように、現在ランダム化プラセボ比較試験が進行中であり、その結果が待たれるところである。 SARSにおいてHIV治療薬の1つであるロピナビル・リトナビルを41例に投与したところ21日以内に呼吸窮迫症候群ないし死亡したケースは1例のみであった(2.4%)。一方、ロピナビル・リトナビルを投与しない過去のSARS 111例では、同アウトカムが32例(28.8%)に発生した1)。この研究デザインはhistorical controlであるが、今回のCOVID-19に対して非盲検ランダム化プラセボ比較試験が実施された2)。199例のCOVID-19患者を対象としたが、臨床症状の改善までの日数、死亡率ともに両群で有意差を認めなかった。 第II相試験で比較的良好な結果であり、第III相試験に進んでも効果が実証されないことは多い。米国の大規模臨床腫瘍グループの実施した第III相試験では、わずか28%(26/94試験)のみが、主要評価項目で既存治療に対する優越性を示したと報告した3)。 remdesivirのCOVID-19に関してもランダム化プラセボ比較試験の結果が待たれるところである。1)Chu CM, et al. Thorax. 2004;59:252-256.2)Cao B, et al. N Engl J Med. 2020 Mar 18. [Epub ahead of print]3)Unger JM, et al. JAMA Oncol. 2016;2:875-881.

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第4回 新型コロナで変わるか、医学部受験事情

研修医を新型コロナ感染症治療の最前線へこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件について、あれやこれや書いていきたいと思います。緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されました。ゴールデンウィークの“民族大移動”前に早めに対象を全国に広げ、旅行や行楽地を訪れることを自粛させるのが狙いでしょう。私が好きな山登りも当然「不要不急の外出」になるわけで、今年の春山はどうしようか、と思い悩む今日この頃です。地元のスーパーに寄らないよう、車に食料をすべて詰み込んで登山口まで直行し、山小屋ではなくテントに泊まれば感染リスクは極力抑えられそうですが、まあダメでしょうね…。さて、今週気になったのは事件ではなく、西村康稔経済再生担当相が4月16日の参院議員運営委員会で発した言葉です。西村大臣は「場合によっては、研修医が現場に出ることもあり得る。引退したお医者さんで元気な方も現場に行くのはリスクがあるが、帰国者・接触者相談センターで電話の相談を受けている例もある」と述べ、研修医を新型コロナ感染症治療の最前線に投入する可能性について言及しました。前回のこのコラムでは、慶應義塾大学病院の研修医たちが開いたパーティについて書きましたが、週刊文春の続報によれば、懇親会後に陽性が判明した研修医たちは入院後も騒ぎ放題で、SNSに「コロナはテキーラで消毒!」と書き込んだ女性研修医もいたとか。そんな彼らならいきなり最前線に行かされてもビビらないでしょうが、多くの若手研修医は一瞬、肝を冷やしたのではないでしょうか。同様の動きは米国が先んじています。医師や看護師の確保が急務となったニューヨーク州では、クオモ知事が4日の記者会見で「医師や看護師が必要だ。われわれは迅速に対応する」と述べ、医療従事者を支援するため州内の医学生を病院などに派遣する行政命令を出しています。入試難度が上がる一方の医学部だったが……さて、このニュースを読んで思ったのは、「ひょっとしたら来年以降、大学医学部の偏差値は少しは下がるのではないか」ということです。ここ10年ほどの間に医学部の入試難度は相当上がりました。特に私立大学の難化が顕著です。かつて私大医学部は比較的難易度が低く、偏差値50台半ばから後半でも合格できる大学がありました。しかし、今では最低でも60台前半は必要と言われています。その背景には、優秀な学生を獲得したい私大医学部の中に学費を大幅に下げるところが出てきたことがあります。6年間で3000~4000万円かかっていた学費が2000万円前半で済む医学部も出てきました。サラリーマン家庭でも私大医学部を目指せるようになり、難易度がさらに高まったわけです。医学部人気の理由には、受験生(中高生)とその父兄の安定志向もあります。かつては優秀な受験生は官僚を目指したり、大企業を目指したりしたものですが、国際競争が激しい今、大企業すら存続が危ぶまれる状況です。「最も手堅いのは医師」と考える人が増えているのでしょう。官僚の人気低下は言わずもがな、です。こうした理由から優秀な理系の高校生は国公立、私立を問わず医学部を目指す傾向が強まっており、東大の理I、理IIよりも地方の国公立の医学部が選ばれる時代になっています。さて、そんな医学部人気の最中に起こった新型コロナウイルス感染症によるパンデミック。医療崩壊が迫る現場の過酷さや、医療機関での院内感染が連日報道されています。一連の報道を見て「医療現場は危ない」と考える人が増えています。「さっさと開業して、感染症治療の最前線に立たなければいい」という人もいそうですが、研修医の段階から現場に立たされては、そうもいきません。息子や娘に「医師は危ないからやめなさい」という親が出てきても、不思議ではありません。そうなると、来年以降、安定志向の医師志望者は減り、純粋に「医師になって人の命を救いたい!」と考える若者だけが医学部を目指すのではないでしょうか。来年の医学部入試の偏差値と受験者数に注目したいと思います。

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新型コロナウイルス検出用抗体、開発に成功/横浜市立大

 横浜市立大学大学院医学研究科の梁 明秀氏(微生物学・分子生体防御学 教授)らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原を特異的に検出できるモノクローナル抗体の開発に成功したことを2020年4月20日に発表した。今後は、本抗体を用い簡便かつ短時間にSARS-CoV-2だけを正しく検出できるイムノクロマトキットの開発を目指す。 今回作製された抗体は、近縁のSARSコロナウイルスや風邪の原因となるヒトコロナウイルスとは交差反応を示さず、SARS-CoV-2抗原にだけ正確に反応するという。現時点でSARS-CoV-2のみを的確に検出できる高性能なモノクローナル抗体は実用化されておらず、この開発が進めば国内初の検査キットの実用化となる。 研究成果のポイントは以下のとおり。・ コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法により作製した高品質な抗原を用いて、SARS-CoV-2を正確に検出できるマウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを複数株、樹立することに成功。・ 本抗体は、SARS-CoV-2だけに高い親和性を示し、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)、およびその他の一般の風邪症状を引き起こすヒトコロナウイルスとは交差反応しない。・ 今後、本抗体を用いて、簡便かつ短時間に、しかも正確にSARS-CoV-2が検出できるイムノクロマトキットが開発できれば、PCR法などの遺伝子検出法と比べて臨床現場の負担が軽くなり、検査数の大幅増が期待できる。

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第4回 AIが予想する、開発中のCOVID-19ワクチン成功率

1965年に英国の研究者が初めて報告したコロナウイルスは1)、およそ半世紀後のいま、世界で猛威を振るっています。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチン候補の先頭を切るModerna社の開発品mRNA-1273の成功確率はどれほどのものなのか? 人工知能(AI)が出した答えはわずか5%でした2)。なぜそのように低いかというと、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質を標的とするmRNA-1273の成分がこれまでのワクチンにはないメッセンジャーRNA(mRNA)であり、まだ立証されていない技術だからだと解析を実施した情報会社Clarivateの製品リーダーは言っています。AIはほかのCOVID-19ワクチンにも手厳しく、今月初めに第I相試験が始まったInovio社のDNAワクチンINO-4800の成功確率は15%、上手く行ったとしても承認には5.5年を要すると判断しています。ワクチンの主な安全性上の懸念の一つに、意図とは裏腹により感染しやすくしてしまうという、厄介な現象があります。SanofiのデングワクチンDengvaxiaで広く知られるようになったその現象・ADE(antibody dependent enhancement)が、Moderna社やInovio社のSARS-CoV-2スパイクタンパク質標的ワクチンと無縁とは言い切れないことも、それらの成功確率をAIが低く予想していることに影響しているかもしれません。ADEは非中和抗体で促されることが知られており、中和抗体をより生み出すワクチンならADEを回避できる可能性があります。2002~03年に流行したコロナウイルス・SARS-CoV-1のスパイクタンパク質では、受容体結合領域(RBD:receptor-binding domain)に対する抗体の中和活性が強力なことが知られています。そこで、米国フロリダ州のScripps Research Instituteの研究チームはSARS-CoV-2のスパイクタンパク質RBD領域ではどうかを、ラットへの接種で検証しています。結果は期待通りで、ウイルスを認識して細胞感染を防ぐ強力な中和抗体が作られ、ADEを介した感染増強は生じ得ないと示唆されました3)。AIの予想がどうあれ、Moderna社は米国政府機関からの最大4億8,300万ドル(500億円超)の助成を受けてmRNA-1273の開発を急ぎ、現四半期4~6月中に第II相試験を開始し、順調に進めば承認申請前の大詰め試験・第III相試験が今秋にも始まります4)。Moderna社の取り組みが失敗しても、Scripps Researchなどの基礎研究から新たなワクチン候補は次々に誕生するでしょう。Moderna社に続くCOVID-19ワクチンの層も厚く、ノルウェーのオスロを拠点とするCOVID-19ワクチン開発支援組織Coalition for Epidemic Preparedness Innovations (CEPI)によると、4月8日時点で世界で115のCOVID-19ワクチン候補が存在します5)。それらのうち78候補は確かに開発が進んでおり、Moderna社やInovio社に加えて中国企業のワクチン3つが臨床試験段階に至っています。いま世界が直面しているCOVID-19惨禍を終わらせ、将来の新たな流行に備えるために技術や資金を総動員してワクチン開発に取り組む必要がある、とCEPIは言っています。参考1)Tyrrell DA, et al. BMJ.1965 Jun 5;1:1467-70.2)Don't count on a COVID-19 vaccine for at least 5 years, says AI-based forecast / FiercePharma3)Quinlan BD, et al. bioRxiv. April 12, 2020.4)Moderna Announces Award from U.S. Government Agency BARDA for up to $483 Million to Accelerate Development of mRNA Vaccine (mRNA-1273) Against Novel Coronavirus / BUSINESS WIRE5)Thanh Le T, et al. Nat Rev Drug Discov. 2020 Apr 9.

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第4回 COVID-19診療医療機関の具体的な支援策が取りまとめられた

<先週の動き>1.COVID-19診療医療機関の具体的な支援策が取りまとめられた2.地域でのがん患者、透析患者、妊産婦などへの医療提供体制がまとまる3.医療・介護現場で足りないマスク、防護具、消毒薬の対策が進む4.新型コロナウイルスに対する新薬開発状況が明らかに1.COVID-19診療医療機関の具体的な支援策が取りまとめられた新型コロナウイルス感染による重症患者を診療する医療機関に対して、17日に開催された中央社会保険医療協議会 総会(第455回)において、具体的な支援策が打ち出された。中等症・重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の受入れに係る特例的な対応は以下の3点にまとめられている。1)重症COVID-19患者の治療に係る評価体外式心肺補助(ECMO)や人工呼吸器による管理が必要な重症患者などへの対応として、救命救急入院料、特定集中治療室管理料またはハイケアユニット入院医療管理料を算定する病棟において、2倍の点数を算定できる。また、急性血液浄化(腹膜透析を除く)を必要とする状態、急性呼吸窮迫症候群または心筋炎・心筋症のいずれかに該当する患者については21日間、ECMOを必要とする状態の患者については35日間まで、算定日数が延長される。2)患者の重症化等を防ぐための管理および医療従事者の感染リスクを伴う診療の評価中等症以上のCOVID-19患者については、患者の重症化や他患者および医療従事者への感染拡大を防ぐための管理の評価として、救急医療管理加算の2倍相当(1,900点)を算定可能になった。さらに、人員配置に応じて、追加的に二類感染症患者入院診療加算に相当する加算を算定できる。3)受入れに伴い必要な手続き等への柔軟な対応救命救急入院料、特定集中治療室管理料およびハイケアユニット入院医療管理料と同等の人員配置とした病床において、COVID-19患者または本来当該入院料を算定する病床において受け入れるべき患者を受け入れた場合には、運用開始日や人員配置など簡易な報告をした上で、該当する入院料を算定できる。なお、救命救急入院料について、COVID-19患者の受入れなどにより、当該医療機関内の特定集中治療室管理料などを算定する病棟に入院できない場合には、患者の同意を得た上で、入院経路を問わず算定可能。(参考)新型コロナウイルス感染症患者(中等症・重症患者)への診療報酬における対応について(中医協 第455回総会)2.地域でのがん患者、透析患者、妊産婦などへの医療提供体制がまとまる地域で医療提供体制を協議する上で配慮が必要となるがん患者、透析患者、障害児者、妊産婦、小児に係る対応について、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が、都道府県などに向けて14日付で事務連絡を発出した。がん治療を受けている患者がCOVID-19に罹患した場合には、重症化する可能性を念頭に置き、がん治療を中断し、コロナに対応した医療機関への入院を原則とするなど、細心の注意を要する。日本透析医学会の報告によると、国内の透析患者の感染者数は累計47人だ。全体の死亡率は、8.5%(4/47人)と、基礎疾患のない患者と比較して高率であることも含め、適切な病床の確保などが望まれる。都道府県には、各学会から発出される情報を参考にし、医療機関への周知を行うなどの対応が求められている。(参考)新型コロナウイルス感染症に対応したがん患者・透析患者・障害児者・妊産婦・小児に係る医療提供体制について(厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)透析患者における累積の新型コロナウイルス感染者数(2020年4月17日)(一般社団法人 日本透析医学会)3.医療・介護現場で足りないマスク、防護具、消毒薬の対策が進む厚生労働省は10日に「N95マスクは滅菌により2回までの再利用等が可能」とする事務連絡を出していたが、現場で増え続ける疑い症例への防護策として必要なマスクや防護具の不足に対して、新たな工夫をして乗り越えようとする動きが見られる。東京都医師会では、COVID-19の流行に伴うマスク不足を受け、「【縫わずに作れる!】簡易マスクの作り方」をホームページで公開している。フェイスシールドについても、100円ショップなどで入手可能なクリアファイルを利用して自作する代用案が動画サイトで共有されるなど、さまざまなアイデアが共有されている。消毒用アルコールについては、13日から若鶴酒造(富山県砺波市)が「砺波野スピリット77%」の発売開始、今月下旬からサントリースピリッツ大阪工場で医療機関等向けにアルコールの提供開始などが発表されており、不足が徐々に解消すると考えられる。また、17日に北里大学大村智記念研究所の片山 和彦教授らの研究グループが発表した「医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について」により、一般の医薬部外品や生活雑貨の中でも、消毒用に使えるものが公開されている。(参考)N95 マスクの例外的取扱いについて(厚労省 事務連絡 令和2年4月10日/4月15日一部追記)消毒アルコール、酒で代替 品不足受け、業者次々参入―行政も柔軟対応・新型コロナ(時事通信)医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について(学校法人 北里研究所)4.新型コロナウイルスに対する新薬開発状況が明らかに第94回 日本感染症学会学術講演会 特別シンポジウム(テーマ:COVID-19シンポジウム -私たちの経験と英知を結集して-)が18日に開かれた。最後の演題「臨床試験の進行状況と新知見」では、藤田医科大学の土井 洋平教授より、国内におけるファビピラビルの治療成績について観察研究の報告がされた。新型コロナウイルス感染患者300例に投与した結果、軽・中等症の患者で約9割、人工呼吸器が必要な重症・重篤患者で約6割に症状の改善が見られた一方、高尿酸血症や肝機能障害といった有害事象が17%で報告されたという。ほかにも、喘息治療に用いる吸入ステロイド薬シクレソニド(商品名:オルべスコ)、抗インフルエンザ薬のファビピラビル(同:アビガン)、エボラ出血熱の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬レムデシビル(ギリアド・サイエンシズ)などが挙げられる。また、抗マラリア薬の一つで、新型コロナウイルスの治療薬として期待されるヒドロキシクロロキンについては、ブラジルで行われた治験で81例の被験者のうち11例が死亡し、臨床試験は6日目で中止となった。フランスでも同様の臨床試験に着手したが、副作用と心臓損傷のリスクのため直ちに中止になるなど、当初の期待通りとはいかないものもある。なお、日本感染症学会のCOVID-19シンポジウムについては、NHKチーフ・ディレクター市川 衛氏によるシンポジウム関連ツイートのまとめが掲載されている。(参考)アビガン投与2週間で重症者6割が改善、軽症者では9割…「それぞれの薬に長所と短所」(読売新聞)新型コロナ治療薬、開発急ピッチ 世界で治験650件(日経新聞)日本感染症学会ウェブセミナー COVID-19シンポジウムまとめ(市川衛@医療の「翻訳家」/@mam1kawa)

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新型コロナ、病棟の床や靴底、患者から4mの空気からも検出

 病棟における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の分布について、中国・武漢のCOVID-19専門病院である火神山医院の空気と環境表面のサンプルを調査したところ、SARS-CoV-2は、床、コンピュータのマウス、ゴミ箱、ベッドの手すり、靴底など広く分布し、患者から約4m離れた空気からも検出された。Academy of Military Medical Sciences(北京)のZhen-Dong Guo氏らが、Emerging Infectious Diseases誌オンライン版2020年4月10日号で報告した。 著者らは、2020年2月19日~3月2日、火神山医院の集中治療室(ICU)とCOVID-19一般病棟(GW)における環境表面と空気のサンプルを検査した。ICUは重症患者15例、GWは軽症患者24例を収容した。床、マウス、ゴミ箱、ベッドの手すり、患者用マスク、個人用防護具(PPE)、排気口のサンプルは湿らせた無菌スワブで採取し、空気のサンプルはSASS 2300 Wetted Wall Cyclone Samplerで採取した。計425サンプルをRT-PCRを用いて検査した。 主な結果は以下のとおり。・陽性の割合はGW(7.9%)よりICU(43.5%)で大幅に高かった。・床のサンプルの陽性率は比較的高く(ICU:70%、GW:15.4%)、患者がいない薬局の床のサンプルの陽性率が100%であった。さらに、ICUの医療スタッフの靴底のサンプルの半数が陽性であった。・陽性の割合は、医療スタッフや患者が触る表面も比較的高く、最高はマウス(ICU:75%、GW:20%)、次いでゴミ箱(ICU:60%、GW:0%)、病床の手すり(ICU:42.9%、GW:0%)、ドアノブ(GW:8.3%)であった。・医療スタッフの袖口と手袋のサンプルは、散発的な陽性結果が得られた。・ICUおよびGWの隔離病棟での空気サンプルは35%が陽性だった。サンプリング場所別の陽性率は、吹き出し口付近が35.7%、病室が44.4%、医師のオフィスエリアが12.5%であった。・GW内のSARS-CoV-2エアロゾルの分布から、SARS-CoV-2の最大伝播距離は4mに達する可能性が示唆された。 本調査から、SARS-CoV-2はICUとGWともに空気中および環境表面に広く分布し、医療スタッフに潜在的に高い感染リスクがあり、また、環境汚染はGWよりもICUで多く、ICUの医療スタッフについてはより厳しい対策が必要なことが示唆された。 著者らは、「3月30日時点で、病院のスタッフはSARS-CoV-2に感染しておらず、適切な予防策で効果的に感染を防ぐことが可能で、COVID-19疑い例の自宅での隔離は適切な管理戦略ではない可能性がある」と述べている。

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新型コロナウイルスで差別され自殺した男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第161回

新型コロナウイルスで差別され自殺した男性photoACより使用とても悲しい症例報告です。Mamun MA, et al.First COVID-19 suicide case in Bangladesh due to fear of COVID-19 and xenophobia: Possible suicide prevention strategies.Asian J Psychiatr. 2020 Apr; 51: 102073. 2020年3月25日に、バングラデシュの首都ダッカから、地元パラシュバリ郡ラムチャンドラプール村に戻った36歳の男性。彼は、地元に戻った後、発熱と感冒症状を訴えるようになりました。彼は、もしかすると自分が新型コロナウイルス感染症にかかっているのではないかと懸念し、周囲の村人たちも「あいつは新型コロナウイルスに感染した」と指摘するようになりました。そして、彼はどういう行動をとったのか。なんと、家の近くの木にロープで首を吊って自殺してしまったのです。感染した状態で、村人たちに迷惑をかけることがいたたまれなくなったためです。念のため、その後の剖検で、彼が新型コロナウイルスに感染しているか調べられました。しかし、驚くべきことに、彼は新型コロナウイルスに感染していなかったのです。そう、COVID-19ではなかったのに、あらぬ疑いをかけられて自殺に追い込まれてしまったのです。実は似たような症例がインドからも報告されています1)。50歳のインド人男性が、何らかのウイルス性疾患にかかったと診断されたものの、新型コロナウイルスによるものとは診断されていませんでした。彼は中国で強制収容される動画などを見ていたため、自分も間違いなくCOVID-19なのだろうと思い、自分に近づく人には石を投げるようになって病んでしまい、木で首を吊って自殺してしまいました。何ともやるせない2例の報告ですが、うーん、何でしょう。やはり情報リテラシー不足が問題だと思います。日本でもそうですが、パチンコに行っている大人がいる反面、公園で遊んでいる子供たちに自粛するよう叱咤する人がいたり、3密を避けることを至上目的に考えている人が、親子連れでスーパーを歩いている家族を非難したり、そういう極端に偏った考え方が増えている気がします。8割減っているのは、他者への思いやりではないのか。そんなことを思わずにはいられません。1)Goyal K, et al. Fear of COVID 2019: First suicidal case in India ! Asian J Psychiatr. 2020 Mar;49:101989. 

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第3回 新型コロナ「専門家」をマトリクス化!その制作裏話

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、日本での感染者1例目が確認された1月以降、国内メディアでも積極的に取り上げられるようになり、いまやテレビでは「専門家」という肩書でさまざまな医療従事者が登場している。登場する「専門家」は各テレビ局で異なる場合もあれば、同一局内でも番組によって異なるケースもある。しかし、いずれの人も医学的知識に乏しい一般視聴者からすれば等しく「専門家」であり、その言葉を信用してしまうもの。しかし、そうした「専門家」のコメントを聞いていると、時には?マークが浮かんで首をかしげてしまうこともある。そんな折、東日本大震災関連の取材のため岩手県釜石市にいた私に、まさに3月11日の夕方、付き合いがある光文社の写真週刊誌・FLASHのベテラン記者から電話が入った。「COVID-19について、テレビでコメントしている専門家を評価する記事を作りたい。ついては評価の監修とコメントをお願いしたい」とのこと。取りあえず、依頼は断らないフリーランスの性で引き受けたものの、少々気が重かった。一応、医療を取材して半世紀とはいえ、「専門家」を「非専門家」が評価するのである。電話から1週間後、光文社の会議室で担当編集者との打ち合わせに臨んだ。曰く、「XY軸のように2つの指標で専門家を区分したい」という。「わずか2つの指標で正確な評価ができるものか?」と突っ込まれることは百も承知だったが、私は基本的に同意した。四半世紀にわたって医療報道に携わってきた経験からすれば、一般読者は正確な情報は求めているが、医療従事者が考えるような正確で精緻な情報は求めていない。たとえば、医療従事者からよくある指摘の一つに「一般向けメディアでは、海外医学誌の研究内容紹介時に出典を詳細に書いていない」というものがある。指摘は一理あるのだが、一般読者は実はそこまで求めていない。具体例を挙げる。こうした研究紹介記事の出典が「Lancet」だとしても、一般読者向けにはアルファベットで表記せず、カタカナで「ランセット」と表記する。日常生活でほとんど外国語に接する機会がない一般読者はかなり多く、彼らはアルファベットを目にしただけアレルギー反応、つまりその時点から記事から目を逸らし読まなくなる。ましてや「Journal of ××××× ×××××」との表記は最悪である。要は簡潔でないと、一般読者は読まないからこそ、評価軸を2つのみに絞ることに同意したのである。さて話を戻すと、2つの評価指標で「専門家」を評価することでは合意した。しかし、編集者から提案された指標は「国立感染症研究所(感染研)出身者か否か」、「エビデンス重視派か非エビデンス重視派か」。さすがに却下だ。まず、登場している「専門家」は臨床家も多く、感染研出身者が評価軸では適切とは言えない。そこで一般人でもネットを駆使すれば検証可能な日本感染症学会専門医か否かを評価軸に提案し、編集者から了承を得た。ただ、この指標は感染症学会専門医資格を持たない公衆衛生、感染制御の専門家が除外されるため、「専門医ではないが、感染症対策のプロ」とのくくりを用意した。「公衆衛生」「感染制御」の単語を使わなかったのは、一般人にはこの画数の多い漢字4文字の意味は、暴走族のスプレーペンキによる落書きと同じくらい捉えにくいものだからだ。一方、「エビデンス重視派か非エビデンス重視派か」との区分も語弊がある。そもそも社会の目も厳しくなった昨今、エビデンス完全無視という人は少なく、それよりも「少しのエビデンス+エビデンスが無い自説」を展開する「専門家」はそこそこにいるのが現状。そこで「エビデンス重視派」に対し、一般人が有する社会不安の方に目を向けがちな「社会不安重視派」という軸を設定した。もっとも「社会不安重視派」は、非常に奥歯にモノが挟まった表現と思っていただきたい。さて評価にかける「専門家」については、担当編集者がExcelファイルのリスト一覧を送付してきた。最終版の完全マトリクスに掲載された専門家は、担当編集者のリスト作成時点である3月半ばにテレビに頻繁に登場していた人たちで、作成時期後に登場した人や記者会見での発言が報じられただけの専門家は原則含まれていない。ただ、社会的に議論を巻き起こしたある専門家は、テレビにコメント出演はしていなかったものの、編集部の要望でリストに含められた。逆に担当編集者から送付されたリストから私の独断で除外したのが2人。1人は感染症専門医ではない某有名大学の教授で、COVID-19に対するワクチンを開発するベンチャー企業の創業者で現在も同社のメディカルアドバイザーを兼任しているため、利益相反の観点から外した。もう1人は厚生労働官僚時代に新型インフルエンザ対応を担当し、国会議員となった後に秘書に対する暴言等が原因で選挙に落選した、「このハゲ~」で有名なあの人である。この人に関しては、「公的な立場にありながら人権を無視し、そこから更正したと判断できる材料がないため、そもそも評価に値しない」という監修者の独断と偏見(?)でリストから削除した。そのうえで動画やメディアでの記事などを参考に区分したが、この際に大きな分かれ目になったのは「PCR検査の適応範囲をどう考えるか」という各専門家の見解・意見であり、また「明らかに間違いと言える発言をしていないか」どうかである。評価軸が2つなので理論上は4区分ができるが、当初作製したマトリクスでは編集者が提示したリストにある「専門家」は2区分にしか分類できなかった。私はそのまま提出したが、案の定、担当編集者から電話が入った。曰く「まあ、ためにするようなこと言ってしまいますが、残りの2区分に入る人はいないんですかね?」と。こちらは「残り2区分のうち1区分はどんなに考えても該当者はいない。もう残り1区分については検討の余地あり」と回答した。残り1区分のところは、エビデンスに基づいて話しているものの、現時点で不明なことについて「分からないと答える人」と「分からないが、これまでの類似ケースなどから類推して答え、行き過ぎた解釈とは指摘できない人」で分けた。この結果、完成したのがリンク先にあるマトリクスだ。いろいろ評価はあるだろう。かなり批判はあるものと覚悟はしていたが、SNS上で意外に多かった反応は「名誉棄損にならないよう注意しつつディスっている」という類のもの。ちなみにこの記事が公開された時点でマトリクスに掲載中の専門家のうち2人はFacebookで友達としてつながっていたが、ご当人からはとくに何も反応がない。逆に最も驚いた(心臓に悪かった?)反応は、マトリクスで評価し、記事公開時点でつながりがなかった専門家の1人からFacebookで友達申請があったことである。

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