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第32回 遅れに遅れた地域の病院再編、コロナに乗じた「先延ばし」はさらなる悲劇に

冬を目前におでんも病院再編議論も本格化こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。東京も木枯らし1号が吹いて寒くなってきました。北海道をはじめ、新型コロナウイルス感染症のクラスターが全国各地で発生しています。「Go Toトラベル」「Go Toイート」で人々の行動が緩んだ中での冬の到来…。今後の患者数の増加が気になります。さて、寒くなるとおでんです。私はコンビニおでん、とくにセブン-イレブンのおでんがお気に入りで月に数度は食べていたのですが、友人から「今年はコロナでコンビニのおでんはないらしい」と言われ、がっくりきていました。が、近所のセブン-イレブンに行ってみると、なんとあるではないですか、カウンター脇にいつものおでん鍋が。ただし、鍋はアクリルのカバー付きで、客側からはおでんに触れず、飛沫も入らないつくりです。調べてみると、セブンイレブンはコロナ対策として、容器入りの電子レンジで温めて食べるおでんも販売したようです。でも、それではいろいろなおでんのエキスが煮詰まって美味しくなった、あのおでんつゆを味わえません…。私は今シーズンも店頭注文で行こうと思います。今回は始まりそうで始まらない、病院再編の議論の話題です。厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形 裕也・九州大学名誉教授)の第28回会議が11月5日に開催され、前回に続き「新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方」に関する議論が行われました。厚労省の事務局はこの日の会議で、「新興感染症などの感染拡大時の患者の受け入れ体制の確保」「公立・公的医療機関等に対する『具体的対応方針の再検証』の取り組みへの影響」「今後どのような工程で議論・取り組みを進めるか」などの論点を提示しました。「具体的対応方針の再検証」の報告期限は延期のまま厚労省がとにかく早く進めたいのは、新型コロナウイルスの感染拡大で遅れに遅れてしまった地域の医療機関の再編成です。公⽴・公的医療機関等に対する「具体的対応⽅針の再検証」を再開し、それを踏まえつつ、2025年以降も⾒据えた具体的な⼯程についての議論を開始したいというわけです。公立・公的医療機関等に対する「具体的対応方針の再検証」については、9月9日の本連載「第23回 実は病院経営に詳しい菅氏。総理大臣になったらグイグイ推し進めるだろうこと」でも詳しく書きました。各地で地域医療構想調整会議が進められる中、「公立病院だけでなく公的病院も対象に加えろ」という議論の流れとなり、2018年6月に「経済財政運営と改革の基本方針2018」の中に「公立・公的病院については、地域の民間病院では担うことのできない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療等に重点化するよう医療機能を見直し、これを達成するために再編・統合の議論を進める」と明記されました。それを踏まえ、厚労省は急性期病床を持つ公立・公的病院のがん、心疾患などの診療実績を分析し、2019年9月には全国と比較してとくに実績が少ないなどの424病院(2020年1月に約440病院に修正)のリスト公表を敢行しました。公表とともに、急性期病床の縮小やリハビリ病床などへの転換などを含む地域の病院の再編・統合を各地で議論を行うことを要請し、今年9月末までに結論を出すよう定めました。これが上記の「具体的対応方針の再検証」です。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響もあり、8月31日、厚労省は「具体的対応方針の再検証等の期限について」と題する医政局長通知(医政発0831第3号)を各都道府県知事に発出、全国約440の公立・公的病院を対象とする再編・統合について、都道府県から国への報告期限を今年9月末から10月以降に延期、11月11日現在も期限は決まっていません。「拙速だ」との異論が出て議論は前進せず厚労省の事務局は同日に「議論の整理に向けた考え方(案)」を提示しています。それは以下のような内容です。「感染拡大時の取組における新興感染症等の医療計画への位置付けなどの枠組みを前提としつつ、今後の人口構造の変化に伴う医療ニーズの質・量の変化や労働力人口の減少に対応しつつ、質の高い効率的な医療提供体制を維持していくための地域医療構想については、地域医療構想調整会議において、新興感染症等への対応の観点も踏まえて協議を行いながら、引き続き、着実に進める必要がある」。しかし、共同通信などの報道によれば、病院団体の委員から「拙速だ」との異論が出て、具体的な工程や方向性に関する議論は前進しなかったそうです。また、「どの医療機関がどのような機能を果たすのか、しっかり協議しないと方向性が見えない」「コロナ拡大で悪化した病院の経営状況のデータも踏まえた検討を」など、議論をさらに深めるべきだとの意見も相次いだとのことです。自治体、病院団体も病院の再編・統合に後ろ向き同様の考えは、地方自治体からも出ています。各紙報道によれば、10月29日に開催された「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」(全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体と総務省、厚生労働省が地域医療の体制整備について話し合う場)において、全国知事会で社会保障を担当する平井 伸治・鳥取県知事は病院の再編・統合に関し、「地方はコロナ対策に向き合わなければならない現実がある。スケジュール通りに物事を進めようとするとコロナ対策がおざなりになりかねない」として、丁寧な議論が必要だと訴えました。平井知事は11月5日に開かれた社会保障審議会医療部会でも同趣旨の発言をしており、医療計画、地域医療構想について議論されたこの日の同部会では、日本病院会会長の相澤 孝夫氏からも「今、地域医療構想を云々するのは良くない」旨の発言があったとのことです。先延ばしにしたら”傷口”はますます拡がる2025年を見据えた地域医療構想の策定や、公立・公的病院のリストラに待ったをかけるようなこうした議論は、コロナに乗じた「先延ばし」のようにも感じられます。確かに、新型コロナウイルス対応は重要ですが、だからといって病院再編の議論を先延ばしにする理由にはならないでしょう。コロナ禍にあっても各地の人口減少は確実に進んでいます。収益が悪化したままの公立・公的病院のリストラを1年、2年と先延ばしにしていたら、”傷口”はますます拡がってしまいます。10月中旬、千葉県東金市の独立行政法人・東千葉メディカルセンター(314床)の乱脈経営が内部告発によって明らかになり、現在、東金市と九十九里町では大騒動になっています。各紙報道によれば、毎年10億円以上の赤字にもかかわらず、県からの出向職員への高額な給与や、不明朗で高額過ぎる業務委託費などの問題が次々と明らかになっています。ちなみに、同病院は先の厚労省の約440病院のリストにも入っています。経営的にボロボロの公立・公的病院は全国に数多くあります。同病院のように、自治体の人口構成や財政状況などを顧みず、首長のメンツや、地域住民のエゴで新設された病院にとくに多い印象です。そうした病院がある地域では、今後、新型コロナウイルス対応も勘案しながら、病院機能再編の議論をできるだけ早くスタートすることが望まれます。病院が潰れてなくなったり、医師が辞めていなくなってしまったりしたら、それこそ悲劇です。ところで、コロナに乗じた「先延ばし」ということでは、75歳以上の医療費窓口負担を現行の原則1割から2割に引き上げる、という政府方針への反対もコロナに乗じた「先延ばし」感が拭えません。日本医師会は、新型コロナウイルスの感染拡大で医療機関の受診を控える動きが広がっている中、さらなる受診抑制が生じるとの考えから、引き上げの対象者を一部に限定するよう求めています。地域のため、患者のためと話す医療関係者・自治体関係者・政治家の多くの言葉が、コロナに乗じた詭弁に聞こえてしまうのは私だけでしょうか。

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COVID-19パンデミック前後、遠隔皮膚科診療は3倍増に

 本邦のコロナ禍における受診動向の変化については、2020年8月6日の「第10回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で、「令和2年4月~6月の電話診療・オンライン診療の実績の検証について」が発表され耳目を集めた。電話またはオンライン診療の受診者は10歳未満が最も多く、ほかの年齢では発熱での受診が最多であったが、10歳未満の受診は湿疹が最多(22.7%)で、受診科目は内科、小児科に次いで皮膚科が3番目だったことなどが報告されている。 本論は、COVID-19感染者数が米国に次いで現在世界第2位の、インド・R.D. Gardi Medical CollegeのShashank Bhargava氏らが、ウェブベースでグローバルに皮膚科医に診療形態の変化について行ったサーベイ調査の結果である。COVID-19パンデミック前後で、teledermatology(遠隔皮膚科診療:TD)の活用が3倍増になったことなどが報告されている。International Journal of Women's Dermatology誌オンライン版2020年10月12日号掲載の報告。 研究グループは、COVID-19パンデミックによる皮膚科診療の変化の大きさについては、十分に研究がされていないとして、同パンデミックの皮膚科診療への即時的および長期的影響を評価する検討を行った。評価対象には、臨床活動、診療行為の頻度および種類、TDの使用などを含んだ。Googleフォームでサーベイツールを作成し、2020年4月1日~20日に、とくに皮膚科専門医のソーシャルメディアサイトの研究者に電子的に配布された。 主要アウトカムは、対面診療、病院サービス、TD、処置の提供に関する回答者の割合。また、パンデミック時および将来的なTDの利用について、オッズ比(OR)に与える可能性がある要因をロジスティック回帰モデルで調べた。 主な結果は以下のとおり。・サーベイに応じた皮膚科医は733例であった。アジア系が47.6%、北米18.7%、中南米17.9%、欧州13.9%、その他1.9%であった。診療歴は10年以下が45.0%を占め、都市部従事者が78.6%、開業医47.2%などであった。・対面診療の提供に関する割合は、パンデミック前100%に対し、パンデミック中は46.6%に減っていた。病院サービスは52.8% vs.27%、処置100% vs.25.6%といずれも減っていた(いずれもp<0.001)。・一方で、TDは、3倍増となっていた(26.1%vs. 75.2%)(p<0.001)。・TD利用率は、パンデミック中および将来利用予測ともに、診療地域と有意に関連しており、とくに北米の回答者で最も高かった(いずれもp<0.001)。・パンデミック中のTD利用は、従前からのTD利用、操作能力、およびとくに色素性病変が疑われる場合の生検と正の相関性がみられた(いずれもp<0.001)。・パンデミック前のTD利用は、パンデミック中のTD利用の最も強力な予測因子であった(OR:16.47、95%信頼区間[CI]:7.12~38.06)。・サーベイ参加者のうち3分の2以上(68.6%)が、将来的にTDを利用するだろうと回答した。・将来的なTD利用予測についてOR増大が最も大きかった要因は、国内のCOVID-19感染者数が1,000例を超えた場合だった(OR:3.80、95%CI:2.33~6.21)。

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Pfizer社の新型コロナワクチン、接種28日目以降の予防効果確認/第III相試験中間解析

 Pfizer社とBioNTech社が開発している、SARS-CoV-2に対するmRNAベースのワクチン候補BNT162b2の第III相試験の最初の中間解析で、感染歴のないボランティアへの2回目の投与(初回から21日後)の7日目以降に90%以上のワクチン有効率を示した。これは、ワクチン接種の開始から28日目以降の予防効果が達成されたことを意味する。Pfizer社とBioNTech社が11月9日に発表した。11月第3週に米国食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する予定という。 BNT162b2の第III相試験は7月27日に開始。現在までに4万3,538人が登録され、そのうち3万8,955人が11月8日時点で21日間隔・2回目の投与を受けている。中間解析は、評価可能なCOVID-19症例数が94例に達した時点で外部の独立データモニタリング委員会により行われ、2回目の投与の7日目以降に90%を超えるワクチン有効率を示した。今後の研究の進行に応じて、最終的な有効率は変わる可能性がある。 この研究では、SARS-CoV-2への曝露経験者でのCOVID-19を予防する可能性および重症COVID-19に対する予防効果も評価する予定。主要有効性評価項目は、2回目の投与から7日目以降におけるCOVID-19発症で、最終解析には、副次有効性評価項目として2回目の投与から14日目以降のCOVID-19発症も追加された。安全性については引き続きデータを蓄積し、2回目の投与後2年間、長期的な予防効果と安全性について観察する。 試験への登録は継続中で、164例のCOVID-19症例が発生した時点で、最終解析が実施される予定。現在の予測に基づくと、2020年に世界で最大5,000万回、2021年には最大13億回のワクチンを生産予定と発表されている。

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COVID入院患者で注意しなくてはならないのは?(解説:香坂俊氏)-1314

COVIDは11月現在、まだ世界で猛威を振るい続けている。なかでも状況が深刻なのは米国であるが、かの国から興味深い報告がなされた(掲載されたのは珍しくBMJ[英国の雑誌]なのであるが…)。COVID-19の感染が確認された成人患者情報が68の病院のICUから集められ、合計5,019人の「集中治療を要した」COVID患者のデータが解析された。このうち14%が心肺停止となったとされ、このあたりの数値は武漢からの報告ともおおむね一致している(武漢のCOVID専属治療施設での重症例の心肺停止の頻度が20~25%程度であった)。院内心停止が発生した患者は高齢かつ、併存疾患が多く、ICU病床数の少ない病院に入院している傾向にあり、心停止の際にモニターでよく見られたパターンはPEA(無脈性電気活動:50%)とasystole(心静止:24%)であったただ、自分が最も注目すべき点として挙げたいのは、こうした院内心肺停止症例で蘇生行為を受けたのが57%にとどまったというところである。自分の経験でも米国の医療施設では、事前にDNRのオーダーが出ていない限り必ず蘇生行為が行われるので、それだけadvance care planning(ACP)が重症例に対して積極的になされていたと考えられる。それを裏付ける、という訳でもないのだが、蘇生行為を受けて助かり、退院までこぎ着けることができた患者はわずか12%にすぎなかった。このときの生存率は年齢によって異なり、若年者にfavorableな結果であったというのもこれまでの報告と一致している(45歳未満の患者の21%が生存しているのに対し、80歳以上の患者の生存率は3%)。こうした非常に大規模な研究により、COVID重症例での対応が徐々に明確になってきている。たとえば、PEAやasystoleが心肺停止の際に多くみられたということは、主に心臓以外の要因で亡くなる方が多いということが示唆される。また、今回のデータからも、重症COVIDで患者さんを拝見させていただく場合に(とくに高齢者や背景疾患が存在する方)、かなり早い時期からACPの議論を始めておく必要性は強調される。

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第33回 悪夢払いアプリを米国FDAが承認

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行食い止めのためのロックダウン6週目に4,275人を調べたところ睡眠時間は多くなっていたものの目が覚めてしまうことが増え、4人に1人以上(26%)は悪夢を見ることが多くなっていました1)。コロナ禍の矢面に立って負担を強いられている医療従事者はとくにそうなりがちらしく、スペインでの別の研究によると100人中38人(38%)が悪夢を報告しており、非医療従事者のその割合約21%を有意に上回りました(p=0.02)2)。先週金曜日、そんな安眠さえままならない医療従事者の苦悩を軽減してくれるかもしれないApple Watch(アップルウォッチ)/iPhone(アイフォン)アプリが米国FDAに承認されました3)。Nightwareという商品名のそのアプリは募る負担の現れである悪夢を遮って夜間の休息が続くようにします。NightwareはApple Watchのセンサーを使って睡眠中の体の動きや心拍数を把握し、サーバーにそれらの情報を送ります。サーバーは独自のアルゴリズムを使って患者の睡眠パターンを把握し、おそらく悪夢を見ていると判断したら目を覚まさせない程度にApple Watchを震わせて気を引いて悪夢の解消を目指します。アプリは賢くて学習機能があり、もし振動で目が覚めてしまった場合、次からはそうならないようにより弱く振動させます4)。70人が参加した無作為化比較試験の結果、振動する製品は振動しない模造品に比べて睡眠の質の自己評価指標Pittsburgh Sleep Quality Indexをより改善しました。Nightwareは悪夢障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)による悪夢に苦しむ22歳以上の患者に使うことができます。ただし、PTSD患者には他の治療と一緒に使う必要があり、NightwareだけでPTSDを治療することはできません。また、悪夢の際に眠ったまま歩いたり(sleepwalking)乱暴する人は使うことはできません。参考1)Pesonen AK, et al. Front Psychol. 2020 Oct 1;11:573961. 2)Herrero San Martin A, et al. Sleep Med. 2020 Aug 17;75:388-394.3)FDA Permits Marketing of New Device Designed to Reduce Sleep Disturbance Related to Nightmares in Certain Adults/PR Newswire4)NightWare製品説明

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COVID-19、家庭・職場で感染リスクが高い行動は?

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染リスクを減らすには何に注意すればよいのだろうか。シンガポール・National Centre for Infectious DiseasesのOon Tek Ng氏らが、COVID-19患者の濃厚接触者におけるSARS-CoV-2感染に関連する因子を調べた結果、家族内では「寝室の共有」「COVID-19患者から30分以上話されること」が、家族以外では「2人以上のCOVID-19患者への曝露」「COVID-19患者から30分以上話されること」「同じ車への乗車」が関連していた。一方、「間接的な接触」「一緒に食事すること」「同じトイレの使用」については独立した関連がみられなかった。Lancet Infectious Disease誌オンライン版2020年11月2日号に掲載。 シンガポールではCOVID-19と診断された患者すべてに、保健省による接触者のトレースやPCR検査、濃厚接触者の健康サーベイランスを実施している。本研究は、このデータを使用し、2020年1月23日~4月3日に診断されたCOVID-19患者の濃厚接触者すべてを調査した後ろ向きコホート研究である。家族内接触者はCOVID-19患者との同居者、家族外の濃厚接触者はCOVID-19患者から2m以内で30分間以上の接触者とした。シンガポールではCOVID-19患者は全員入院し、接するのは医療スタッフに限られ、濃厚接触者は全員14日間隔離し1日3回、電話で症状モニタリングを実施している。誤診の発生割合と無症候性SARS-CoV-2陽性者の有病率はベイズモデリングで推定し、SARS-CoV-2感染の危険因子は単変量および多変量ロジスティック回帰モデルで決定した。 主な結果は以下のとおり。・2020年1月23日~4月3日の間に、PCRで確認されたCOVID-19患者1,114例の濃厚接触者7,770人が特定された(家族接触者1,863人、職場での接触者2,319人、社会での接触者3,588人)。・症状に基づいたPCR検査で188例検出され、7,582人は陽性ではなかった。・濃厚接触者7,770人のうち全データが揃っている7,518人(96.8%)における2次的な臨床的罹患率は、家族接触者1,779人では5.9%(95%CI:4.9~7.1)、職場での接触者2,231人では1.3%(同:0.9~1.9)、社会での接触者3,508人では1.3%(同:1.0~1.7)であった。・濃厚接触者1,150人(家族接触者524人、職場の接触者207人、社会での接触者419人)の血液および症状のデータのベイズ分析の結果、症状に基づいたPCR検査戦略によってCOVID-19の62%(95%CI:55~69)を見落とし、感染者の36%(同:27~45)は無症候性だったと推定された。・家族接触者のSARS-CoV-2感染に関連していた因子は、寝室の共有(多変量オッズ比[OR]:5.38、95%CI:1.82~15.84、p=0.0023)、COVID-19患者から30分以上話されること(OR:7.86、95%CI:3.86~16.02、p<0.0001)であった。・家族以外の接触者では、2人以上のCOVID-19患者への曝露(多変量OR:3.92 、95%CI:2.07~7.40、p<0.0001)、COVID-19患者から30分以上話されること(多変量OR:2.67、95%CI:1.21~5.88、p=0.015)、同じ車への乗車(多変量OR:3.07、95%CI:1.55~6.08、p=0.0013)がSARS-CoV-2感染に関連していた。・家族接触者と家族以外の接触者のどちらも、間接的な接触(感染患者から物を受け取る、感染患者が触った面を直後に触る)、一緒に食事すること、同じトイレの使用については、SARS-CoV-2感染との独立した関連は示されなかった。

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第30回 来年9月、レセプト審査システムにAI活用で地域差解消へ

<先週の動き>1.来年9月、レセプト審査システムにAI活用で地域差解消へ2.将来的に、電子カルテ情報は全国の医療機関で共有されることに3.オンライン診療は映像必須など、ガイドラインの見直しへ4.地域医療構想、コロナ収束後に向けた議論も見直し進まず5.アドバンス・ケア・プランニング、介護報酬にも反映を1.来年9月、レセプト審査システムにAI活用で地域差解消へ10月30日、厚生労働省は「審査支払機能の在り方に関する検討会」を開催し、社会保険診療報酬支払基金(支払基金)によるレセプト審査結果の不合理な差異の解消、支払基金と国民健康保険団体連合会(国保連)のシステムのあり方について議論が行われた。毎月1億6,000万件のレセプト処理を手作業で行っている現状だが、今後、AIを導入することで支払いの効率化を図ることとなった。また、従来からある支払基金と国保連のシステムの二重投資については、審査プログラムの共通化、AIの活用により、2021年9月からは9割のレセプト審査がコンピュータチェックで完結するように準備を進めていることが明らかとなった。今後、レセプト審査の標準化により、これまで認められていた地域差が縮小し、レセプト審査費用の軽減などが見込まれる。(参考)医療費審査、地域差縮小へ 厚労省、来年9月にシステム統一 無駄な支払いを抑制(日本経済新聞)第3回 審査支払機能の在り方に関する検討会 資料(厚労省)支払基金改革 審査事務集約化計画工程表等を公表(支払基金)2.将来的に、電子カルテ情報は全国の医療機関で共有されることに厚労省は11月6日、「第5回健康・医療・介護情報利活用検討会及び第4回医療等情報利活用ワーキンググループ」をオンライン開催した。保健医療情報を全国の医療機関などで確認できる仕組みの拡大および電子カルテ情報などの標準化について話し合われた。今後、電子カルテ情報の標準化を進め、全国の医療機関で共有できる範囲については、診療情報提供書、退院時サマリー、電子処方箋、健診結果を含めることになった。その確認方法については、今年中をめどに具体化する見込み。また、患者がレセプトの傷病名を確認できることについて、患者への告知を前提とし、提供の仕組みは改めて検討される。さらに患者が受診の都度、情報公開に対する同意の有無でコントロールするなどの提案が出された。このほか救急時の情報閲覧の仕組みに関しても、患者がマイナンバーカードを持参し、顔認証付きカードリーダーなどを用いて本人確認を行い、情報閲覧への本人の同意を得た上で、医師らによる情報の閲覧を原則とすることとなった。政府は、2021年3月のオンライン資格確認の本格的な運用開始に合わせて、マイナンバーカードを利用した電子処方箋の仕組み構築も進めており、マイナポータルでは、同年3月から特定健診などの、2021年10月から薬剤などの情報の閲覧開始に向けた準備を着実に進めている。(参考)注視すべきデータヘルス改革(薬事日報)第5回 健康・医療・介護情報利活用検討会及び第4回医療等情報利活用WG資料(厚労省)3.オンライン診療は映像必須など、ガイドラインの見直しへ厚労省は11月2日に「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」を開き、オンライン診療の普及に向けたガイドラインの見直しについて検討を行った。2018年3月に発出された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は、新型コロナウイルスの流行拡大により、初診患者についても規制緩和を行なっているが、今後、適切なオンライン診療の普及に必要な検討を進める。オンライン診療は対面診療を行なわないため、心筋梗塞などを見逃すリスクがある。このため安全性と信頼性を担保するため、オンライン診療は、電話ではなく映像を必須とすることになった。また、初診のオンライン診療は医師会側が兼ねてから要望している「かかりつけ医」が行うことについては、オンラインシステムのベンダーについて国側に管理を求める声も上がった。今後、各方面の意見を取りまとめ、年内にルールの大枠を定め、来年以降施行されることになる見込み。(参考)関心高まるオンライン診療 普及に医師・患者のリスク共有不可欠(SankeiBiz)第11回 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会(厚労省)4.地域医療構想、コロナ収束後に向けた議論も見直し進まず11月5日、「厚労省医政局は地域医療構想に関するワーキンググループ」を開催し、新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方について議論した。現状、各医療機関において新型コロナ対応を行なっているが、その間も人口減少・高齢化は着実に進み、地域の医療ニーズが徐々に変化するとともに、労働力人口の減少によるマンパワー不足も一層厳しくなるため、2025年の地域医療構想の実現は変わらず必要とされている。今後、地域医療構想の実現に向けた医療機能の分化・連携の取り組みの中で、コロナも含めた感染症病床の整備も踏まえた形での検討に時間を要することから、現時点ではスケジュールの具体化に関する議論は進んでいない。また、公立・公的医療機関などに対する再検証要請も、今年9月の期限を延長したものの明確な期限は示されていない。総務省では、10月29日に「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」を開催し、各都道府県の首長からは、現状のコロナ感染拡大でのスケジュールの見直しを求めている。今後の議論の行方次第では、地域医療構想の実現に影響が及ぶと考えられる。(参考)今後の地域医療構想に関する議論の整理に向けた考え方(案)(厚労省)新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の検討状況について(厚労省医政局)5.アドバンス・ケア・プランニング、介護報酬にも反映を厚労省は11月5日に「社会保障審議会介護給付費分科会」をオンラインで開催した。今後、最も年間死亡数が多くなると予測される2040年には、2015年と比べて約39万人の死亡数増加が見込まれる中、国民の多くは、「最期を迎えたい場所」について、「自宅」を希望している。充実した看取りへの対応が求められているとし、2018年3月に改定された「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に基づき、看取り・ターミナルケアに関して、ガイドラインの内容に沿った取り組みを行う介護サービス事業者への加算要件について検討することが提案された。今後、終末期医療や看取りの現場では、アドバンス・ケア・プランニングに基づいて患者が希望する医療・介護の実現が求められることとなる。(参考)第191回 社会保障審議会介護給付費分科会 【資料1】地域包括ケアシステムの推進(厚労省)「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について(同)

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第31回 ワクチン浸透のシナリオにインフルワクチン難民の出現は好機?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下でのインフルエンザ同時流行を懸念して今年のインフルエンザワクチンの接種は異例の事態となっている。厚生労働省が事前に「高齢者優先」を呼び掛けて10月1日からスタート。今シーズンは例年よりも多い成人量換算で約6,640万人分のワクチンが確保されたというが、高齢者以外への接種が本格的に始まった10月26日からわずか1週間ほど経た現在、すでにワクチン接種の予約受付を停止した医療機関も相次いでいるという。実は、私はまさにインフルエンザワクチンスタート日の10月1日に接種している。これはたまたま馴染みの医療機関がかかりつけの高齢者には既に9月中旬~下旬に接種を開始し、さらに高齢者での接種者増加も十分に見込んだ発注を終えていたこともあり、高齢者の接種希望者が多くない平日の午後を中心に高齢者以外の接種予約も進めていたからである。ちなみに面識のある複数の開業医に話を聞くと、一様に今年はインフルエンザワクチンの接種希望者が多く、しかも一見さんの割合が多いと口にする。ある知り合いの医師は、Facebookでの投稿で10月だけで3,000人に接種したと記述していたのだから驚く。ワクチン接種の予約を停止した医療機関の多くは、12月までの入荷を見越しても、もはやこれ以上の接種予約を受け付けるのは不可能という判断らしい。そうした中でワクチン接種を求めてさまよう「ワクチン難民」も出始めているという。私のような仕事をしていると、この手の状況や家族が重病になった時に「どこへ行けば?」的な相談が来ることが少なくない。実際、今回も「どこに行けば打てるんだろうか?」「子供が受験生なので何とかならないかな?」という相談がもはや10件以上来ている。たぶん医療従事者の皆さんは私以上にその手の相談攻勢にさらされていると思われる。これらに対しては相談者の居住地域の開業医一覧が乗っている医師会のHPがあれば、それを教えて個別の医療機関に問い合わせするよう促し、各医療機関にワクチンが再入荷するであろう11月下旬前後まで落ち着いて待つように伝えるぐらいしかできない。そして、今回そうした相談を寄せてくる人に見事に共通しているのが、これまでほとんどインフルエンザワクチンの接種歴がないこと。それゆえかかりつけ医もなく、情報も不足しているので「ワクチン難民」という状況である。これを自業自得と言ってしまうのは簡単だが、ちょっと見方を変えるとこれがワクチンへの一般人の理解を浸透させる新たなチャンスにも見えてくる。改めて言うまでもないが、ワクチンとは基本的に健康な人に接種するものである。しかも、その効果は予防あるいは重症化リスクの低下であり、接種者は実感しにくい。この点は検査値や自覚症状の改善が実感できる薬とは根本的に受け止め方が異なる。根拠の曖昧な反ワクチン派がはびこってしまう根底には、このように侵襲が伴うにもかかわらず効果を自覚しにくい、そして時として副反応が報告されてしまうワクチン特有の構造的な問題が一因と考えられる。そして、ワクチンの中でも比較的信頼度の低いものの代表格がインフルエンザワクチンである。これは一般人のワクチンに対する直感的な理解が「ワクチン=予防=打ったら完全にその感染症にかからない」であり、インフルエンザワクチンは麻疹、風疹のワクチンのようなほぼ完全に近い予防効果は期待できない。ところがこうした「誤解」が不信感の種になりやすいのである。実際、毎年インフルエンザシーズンになるとTwitterなどでは「インフルエンザワクチンは効かない」「ワクチン打ったのにかかったから、もう2度と打ちたくない」など、反ワクチン派に親和性の高い言説が飛び交う。ここでは釈迦に説法だが、インフルエンザワクチン接種による予防効果、つまり一般人の理解に基づく「ほぼ完全に予防できる効果」に近い数字は、たとえば小児では2013年のNEJMにVarsha K. Jainらが報告した6割前後というデータがある。これに加え重症化のリスクを低減でき、18歳未満でのインフルエンザ関連死は65%減らせるし、18歳以上の成人での入院リスクを5割強減らす。私は今回個人的に相談をしてきた人にはこうした話を必ずしている。彼らに知ってもらいたいのは「ワクチンの中には完全な予防効果が期待できないものの、重症化のリスクを減らす種類のものがあり、その接種でも意味がある」ということだ。とりわけ今のようなCOVID-19流行下では、医療機関は発熱患者が受診した際にその鑑別で頭を悩ませることになる。すでに日本感染症学会は「今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて」でインフルエンザとCOVID-19の鑑別について、患者の接触歴やその地域での両感染症の流行状況、さらにインフルエンザに特徴的な突然の発熱や関節痛、COVID-19に特徴的な味覚・嗅覚障害などの症状を加味して、どちらの検査を優先させるかを決定するよう提言している。しかし、それでも多くの医師は事前鑑別には苦労するだろう。その中で予めインフルエンザワクチンを接種していれば、鑑別の一助にはなるだろう。そうしたことも私は相談者に話している。前述した「チャンス」とはまさにこのような、なんだかよく分からないけど今の雰囲気の中でインフルエンザワクチン接種を切望し、今後流れ次第で親ワクチン派、反ワクチン派のいずれにでも転びかねない人に少しでも理解を深めてもらうチャンスである。正直、メディアの側にいるとワクチンの意義という非常に地味なニュースほど一般に浸透しにくいことを痛いほど自覚している。だからこそ繰り返し伝えること、そして身近な人に確実に伝えることを辛抱強くやるしか方法はないと常に考えている。そしてこれは多忙で患者とじっくり話す時間が取れないことが多い状況であることは承知のうえで、医療従事者の皆さんにも実践してほしいことである。

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COVID-19流行下の仕事再開期におけるメンタルヘルス問題の調査

 中国・大連医科大学のYuan Zhang氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下の仕事再開期における不安症、うつ病、不眠症に影響を及ぼす因子について調査を行った。Journal of Psychosomatic Research誌2020年11月号の報告。 中国・山東省で2020年3月2日~8日に、割当抽出法(quota sampling)と機縁法(snowball sampling)を組み合わせた多施設横断調査を実施した。不安症、うつ病、不眠症の評価には、それぞれ全般性不安障害尺度(GAD-7)、こころとからだの質問票(PHQ-9)、不眠症重症度指数(ISI)を用いた。影響を及ぼす因子を調査するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・3施設より4,000通のアンケートを送付し、有効な回答3,237件を収集した。・各評価尺度に基づく不安症、うつ病、不眠症の有病率は19.5~21.7%であった。そのうち、2.9~5.6%は重症であった。・複数の症状を合併していた患者は、不安症とうつ病の合併2.4%、不安症と不眠症の合併4.8%、うつ病と不眠症の合併4.5%であった。・不安症と不眠症のスコアおよびうつ病と不眠症のスコアには、正の相関が認められた。・不安症、うつ病、不眠症のリスク因子は、50~64歳、30日以上に1回のみの屋外活動であった。・COVID-19流行期に、心理的介入を受けていた人は17.4%、個別の介入を受けていた人は5.2%であった。 著者らは「COVID-19流行下の仕事再開期には、メンタルヘルス問題の発生率が通常時よりも増加していた。現行の心理的介入は不十分であり、早期に有効な心理的介入を実施すべきである」としている。

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COVID-19、エクソソームによる予防と治療の可能性/日本癌治療学会

 10月に行われた第58回日本癌治療学会学術集会において、医療のさまざまな場面で活用されることが急増するリキッドバイオプシーの現状について、「目を見張る進歩をきたしたリキッドバイオプシー」とのテーマでシンポジウムが行われた。この中で東京医科大学の落谷 孝広氏(分子細胞治療研究部門)は「エクソソームによる新型コロナウイルス感染症の予防と治療」と題し、発表を行った。エクソソームがCOVID-19重症化の予測因子として使える可能性 エクソソームとは、細胞から分泌される直径50~150nm程度の物質で、表面には細胞膜由来の脂質やタンパク質、内部には核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNAなど)やタンパク質など細胞内の物質を含み、細胞間の情報伝達の役割を担うとされる。近年の研究においては、がん細胞由来のエクソソームが、がんの転移に深く関わることも明らかになっている。 落谷氏は、がん領域を中心に、エクソソームに関する研究が数多く行われている状況を紹介。膀胱がんにおける早期発見と再発検出、前立腺がんにおける診断マーカーや骨転移の診断、乳がんにおける早期発見や薬剤の副反応や予後予測などに使った研究などを紹介した。落谷氏は「がんの早期発見、層別化、個別科医療の実現と、エクソソームはがん治療のあらゆるフェーズで使える可能性を持っている」と述べつつも、現状は研究上での成果が出た段階であり、「健康診断や臨床の現場で使われ、がんの死亡率を下げ、医療費削減に貢献することが最終目標。そのためには今後の大規模治験が欠かせない」と強調した。 続けてエクソソームを介した情報伝達のシステムはすべての細胞・生物に共通するものだとし、COVID-19のウイルス(SARS-CoV-2)とエクソソームは非常に形状が似通っており、大きさも同等であると指摘。特定のエクソソームのクラスターがCOVID-19重症化の予測因子として使える可能性がある、という研究結果を紹介した。エクソソームやRNAを補充あるいは除去することがCOVID-19治療につながる 落谷氏らの研究チームは、PCR検査でCOVID-19陽性と判定され、入院となった軽症患者31例と健常者10例を対象とし、エクソソームのタンパク質と血液中RNAの2種類に関して網羅的な解析を行い、その後重症化した9例において高値となった複数のRNAを同定した。 軽症のままだった患者は、陽性判明時点で抗ウイルス応答関連のエクソソームタンパク質が高発現していた。重症化した患者はそれがない一方で、凝固関連エクソソームタンパク質およびRNAと肝障害関連RNAが高発現していた(抗ウイルス応答関連エクソソームタンパク質COPB2の重症化予測因子としてのAUC=1.0、感度・特異度共に100%)。 落谷氏は、「新型コロナウイルス感染症の重症化の特効薬は存在しない現状では、陽性判定時に重症化リスクによって層別化し、ハイリスク群を徹底管理することが重要。軽症者は早期退院・自宅療養として医療崩壊を食い止めるとともに、経済への影響も最小限にできるはず」とする。 現在、この研究結果をもとに別の患者集団による検証解析が行われているが、今回同定された分子のいくつかはSARS-CoV-2の治療標的分子や病態との関連が報告されており、単なる血液バイオマーカーとしてだけでなくCOVID-19の重症化メカニズムに関与している可能性が示唆される。このエクソソームやRNAを補充あるいは除去することが新たなCOVID-19治療法の開発につながることも期待されている。関連サイト【プレスリリース】東京医科大学医学総合研究所の落谷孝広教授が参画する研究チームが、リキッドバイオプシーを用いたCOVID-19における重症化予測因子の同定/東京医科大学

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「抗菌薬は風邪に効果あり」の誤認識、若年・高齢層でいまだ多く

 11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」である。今年は年初から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生・流行があったが、いま一度、抗菌薬および抗生物質の適切な認識と使用について考える契機としたい。国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターが先月取りまとめたインターネット調査の結果によると、10代・60代の7割および20代の6割近くが、抗菌薬・抗生物質は風邪に「効果がある」と誤って認識していることがわかった。一方、風邪症状で医療機関を受診した4割が抗菌薬を処方されており、回答者全体の2割が、風邪で今後受診する際に抗菌薬の処方を希望していることも明らかになった。 本調査は、抗菌薬・抗生物質および薬剤耐性について、一般の人がどう認識しているのかを把握し、問題点と今後の取り組みの方向性を提示することを目的に、2020年8月、全国の10~60歳代以上の男女700人を対象に、インターネット上で行われた。風邪症状で受診した43.0%に抗菌薬処方、患者側も効果を期待か 回答者全体の21.7%(152人)が、今年1~8月の期間に風邪症状を経験した。このうち、56.6%(86人)が医療機関を受診し、43.0%に対し抗菌薬が処方されていた。また、全体の26.4%が今後、風邪で受診した時に抗菌薬の処方を希望していた。 抗菌薬の知識を問う設問(「抗菌薬・抗生物質は風邪に効果がある」についての正誤、「あてはまらない」が正解)への正答率(「不明」を除く)を年代別に見ると、30~50歳代では50%程度が正しく回答した一方、10歳代の正答率は26%、20歳代では43%、60歳代以上も30%程度にとどまっていた。過去の調査結果と比較すると、「抗菌薬は風邪に効果がないことを知っている人が少しずつ増えている可能性がある」としているが、依然、多くの年代で風邪の治療に抗菌薬が有効であると認識されており、処方薬の多さもその一因になっているのではないだろうか。AMRの温床、抗菌薬の飲み残しの「保管」「転用」も 処方した抗菌薬・抗生物質を患者が自己判断で中止したり、以前の飲み残しを別の不調時に転用したりする不適切使用は、新たなAMRを生む温床になりかねない。しかし本調査では、全体の25.7%が「治ったら途中で飲むのを止める」、8.9%が「途中で忘れてしまい飲み切っていない」と回答していた。また、飲み残しの抗菌薬の取り扱いについての設問(複数回答可)に対し、「いつか使おうと思ってとってある」(31.6%)、「体調が悪い時に飲んだことがある」(21.0%)、「人にあげたことがある」(1.0%)など、不適切な取り扱い方を回答に挙げた人が少なくないことは注視すべきである。 COVID-19への厳しい警戒状態は依然続いている上、これからインフルエンザや風邪の流行期となる。ただ、コロナ対策を通じて市民の感染症予防への意識は例年より高まっているはずであり、これを適切な抗菌薬の使い方を再確認する好機としたいところだ。

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COVID-19に対する中和抗体LY-CoV555の有効性は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の外来患者へのSARS-CoV-2の中和抗体LY-CoV555投与について、2,800mg用量ではウイルス量を減少することが認められたが、他の用量では有効性が確認されなかった。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのPeter Chen氏らが、進行中の第II相試験「Blocking Viral Attachment and Cell Entry with SARS-CoV-2 Neutralizing Antibodies trial:BLAZE-1試験」で事前に計画された中間解析(2020年9月5日現在)の結果を報告した。COVID-19は、多くの患者では軽症であるが、重症化し生命を脅かす可能性もある。ウイルス中和モノクローナル抗体は、ウイルス量を減らし、症状を改善し、入院を防ぐと予測されている。NEJM誌オンライン版2020年10月28日号掲載の報告。11日後のウイルス変化量で、3用量の有効性をプラセボと比較 研究グループは2020年6月17日~8月21日の期間に、軽症~中等症のCOVID-19外来患者467例を、中和抗体LY-CoV555群(700mg、2,800mg、7,000mg)またはプラセボ群に無作為に割り付け、それぞれ単回静脈内投与した。 主要評価項目は、ベースライン(SARS-CoV-2検査陽性判明時)から11日(±4)時点でのウイルス量の変化。ウイルス学的特性と症状に関するデータは29日目まで収集した。主要な副次評価項目は、安全性、患者報告による症状および転帰(COVID-19による入院、救急外来受診または死亡)であった。2,800mg投与群のみプラセボ群と比較してウイルス低下量が大 中間解析時点で、全例ではウイルス量(log10)のベースラインからの平均減少は-3.81で、ウイルスRNAの99.97%以上が除去された。 LY-CoV555の2,800mg投与群では、ベースラインからのウイルス変化量のプラセボとの差は-0.53(95%信頼区間[CI]:-0.98~-0.08、p=0.02)で、ウイルス量は3.4倍低下した。一方、700mg群(-0.20、95%CI:-0.66~0.25、p=0.38)、7,000mg群(0.09、95%CI:-0.37~0.55、p=0.70)では、ベースラインからのウイルス変化量についてプラセボとの差は認められなかった。 LY-CoV555群はプラセボ群と比較して、2~6日目の症状の重症度がわずかに低下した。COVID-19による入院または救急外来受診の患者の割合は、LY-CoV555群1.6%、プラセボ群6.3%であった。

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COVID-19回復者血漿療法は有益か/BMJ

 インドで行われた第II相多施設共同非盲検無作為化試験の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)回復期患者の血漿を用いた治療は、COVID-19の重症化や全死因死亡の抑制と関連しないことが、インド・Indian Council of Medical ResearchのAnup Agarwal氏らにより報告された。2020年10月現在、COVID-19回復期血漿療法に関しては、複数の小規模ケースシリーズと1つの大規模観察試験(3万5,000例超)および3つの無作為化試験が発表されている。観察試験では臨床的有益性が示唆されたが、試験は早期に中止され、また死亡への有益性を確認することはできていなかった。BMJ誌2020年10月22日号掲載の報告。回復期患者血漿200mLを24時間間隔で2回投与 研究グループは、インドの成人で中等度COVID-19患者への回復期血漿治療の有効性について検討した。2020年4月22日~7月14日に、インド国内39ヵ所の公的および民間病院で、COVID-19が確認された18歳以上の患者464例を対象に試験を行った。被験者は、室内気でPaO2(動脈血酸素分圧)/FiO2(吸入酸素濃度)が200~300mmHg、または呼吸数24/分超かつ酸素飽和度93%以下だった。 235例(介入群)に標準的治療+回復期患者血漿投与を、229例(対照群)に標準的治療のみを行った。介入群には、回復期血漿200mLを24時間間隔で2回投与。中和抗体の出現と値の測定は事前に規定されていなかったが、試験終了時に保存検体の解析が行われた。 主要アウトカムは、試験登録後28日時点における重症(PaO2/FiO2<100mmHg未満)への進行または全死因死亡の複合だった。重症化・全死因死亡発生率は両群ともに18~19%と同等 試験登録後28日時点における主要複合アウトカムの発生は、介入群44例(19%)、対照群41例(18%)と両群で有意差はなかった(リスク差:0.008、95%信頼区間[CI]:-0.062~0.078)。リスク比は1.04(95%CI:0.71~1.54)だった。 結果を踏まえて著者は、「本試験は一般化可能性が高く、回復期血漿投与は検査体制が限られている現実の状況下で行われた」と述べるとともに、「回復期血漿投与を受ける側および提供する側双方の中和抗体価の先験的測定が、今後、COVID-19治療における回復期血漿の役割を明らかにする可能性はある」と提案している。

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第31回 聖マリアンナ医大はなぜ、文科大臣を怒らせ続けるのか?

ワールドシリーズでコロナ騒動こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。米メジャーリーグのワールドシリーズは、ロサンゼルス・ドジャースの32年ぶりの優勝で終わりました。優勝を決めた10月27日の第6戦では、野球ファン以外もあっと驚く出来事がありました。ドジャースの内野手、ジャスティン・ターナー選手が新型コロナウイルス陽性であること試合途中で判明し、8回の守備から退きました。ターナー選手は第3戦と第4戦の初回に本塁打を放つなど、攻守で大活躍していました。コロナによる途中退場だけでもちょっとしたニュースですが、なんとターナー選手、別室に隔離されたにもかかわらず、試合後、優勝セレモニーが始まると米メジャーリーグ機構(MLB)の要請に従わずに参加、グラウンド上で他の選手とハグをし合ったり、記念撮影をしたりしたのです。しかも、マスクをずらして口元を出したままで…。ドジャース関係者はターナー選手を擁護したのですが、 MLBは28日に声明を出し「隔離状態を解き、フィールドに出た行為は誤りで、接触者を危険にさらした」と強く避難、調査を進める考えを明らかにしています。USA TODAY紙(電子版)は29日付でドジャースとレイズの選手、関係者らが自宅に戻り、自主隔離に入ったと報じています。同紙はロサンゼルス郡公衆衛生局が、「(ターナー選手のように)症状が出ていない場合でも、他人と接触するには10日間隔離した上で、症状と熱がない状態を24時間以上キープする必要がある。また、陽性反応を示した人と24時間以内に15分以上接触のあった者は14日間の隔離が必要である」というガイドラインのもと、ドジャースナインらに14日間の隔離を要求したことも報じています。とんだ優勝になったものです。しかし、前回書いたように、今回のワールドシリーズ、試合以外は選手全員がホテルに缶詰めとなって全試合を戦うバブル方式(まとまった泡の中で開催する、という意味)で行われたはずなのに、ターナー選手はどこから新型コロナに感染したのでしょうか?缶詰になったホテルの従業員からの感染説などがあるようですが、現時点では謎のままです。「合理的な説明をきちんと世の中にもするべきだ」と非難さて、今回は萩生田 光一文部科学大臣に“叱られた”聖マリアンナ医科大学(川崎市)の話題です。こちらも謎だらけです。各紙報道によると、萩生田文科大臣は10月30日の閣議後会見で、医学部入試で性別や浪人回数などによる差別があった問題で、不正を頑なに否定し続けている聖マリアンナ医大について、「合理的な説明をきちんと世の中にもするべきだ」と非難したとのことです。「毎年、毎年、偶然、偶然、偶然、偶然、偶然、合格者がそういう比率だったっていうのは、ちょっと理解できない」とも語っています。きっかけは東京医科大の不正入試聖マリアンナ医大の入試については、2018年から約2年間、さまざまな報道がされてきました。きっかけは、2018年7月に発覚した東京医科大の不正入試でした。文科省は同様の不正事例を調べるため、医学部医学科がある全国81大学の2013年度から2018年度までの6年間の入学者選抜を緊急調査しました。2018年12月に発表された調査結果では、聖マリアンナ医大を含む私立9校、国立1校の名を挙げ、男性に一律に加点する女性差別や浪人生差別などの問題があったと指摘しました。このとき、同大だけが差別の存在を否定しました。当時の柴山 昌彦文科大臣の強い要請もあり、同大は第三者委員会を組織。その調査結果(2020年1月公表)等を踏まえ、文科省は今年10月1日、同大幹部を同省に呼んで、「不適切な入試があったと見なさざるを得ない」と口頭で通告しました。私学助成金50%減額へこれを受け、日本私立学校振興・共済事業団は10月28日までに、2015~2018年度の医学部入試で女子や浪人生の差別的扱いが第三者委員会に認定された聖マリアンナ医科大について、2020年度の私学助成金を50%減額すると決定しています。冒頭の萩生田文科大臣の発言は、この決定後のものです。医学部入試が不適切だったとされた私立大は他に8校(東京医科大、岩手医科大学、昭和大学、順天堂大学、北里大学、金沢医科大学、福岡大学、日本大学)あり、いずれも不正を認め、助成金が不交付もしくは減額となっています。「そのような事実はなかったものと判断」聖マリアンナ医大が“すごい”のは、一貫して「差別的扱いの事実はない」との立場を貫き続けていることです。同大のホームページの「ニュース」コーナーには、「平成27年度~平成30年度の本学一般入学試験第2次試験についての本学の見解」として、文科省に今年9月28日に提出した文書が掲示されています。この文書は、9月3日に文科省が同大に送った「聖マリアンナ医科大学第2次受験者点数分布の性差の統計的有意性」と題する文書への回答です。それによると、第三者委員会の「大学の組織的関与によるものではないが一律の差別的取扱いが認められる」との結論に対しては「男女間に点数差が存するとの客観的事実については、これを否定するものではない」としています。また、文科省からの「別々の与えられた得点に男女が作為的に割り付けられたと判断せざるを得ない」といった指摘に対しても、「当該数値ないしデータを分析する際に用いた統計学的な分析手法自体の信頼性及び妥当性についても、 異論を述べるものではない」と反論していません。しかし、肝心の「見解」の部分では、「これまでも本学の見解としてお伝えしてきたとおり、 当該年度において実施された本学入学試験第2次試験において、 男女の別といった、 受験者の属性に応じた『一律の差別的取扱い』が行なわれたとの事実は確認できておらず、 本学としては、そのような事実はなかっ たものと判断しております。(中略)『別々の与えられた得点に男女が作為的に割り付けられた』といった事実についても同様になかったものと判断しております」と差別の存在を改めて完全否定しています。もっとも、「意図的ではないが、属性による評価の差異が生じ、一部受験者の入試結果に影響を及ぼした可能性がある」として、2次試験の不合格者に入学検定料を返還しています。文科大臣が2代続けて不快感聖マリアンナ医科大は、この2年間、文科大臣から叱られ続けてきました。文科省が2018年12月に不正入試の調査結果を発表した際も、柴山文科大臣は記者会見で、差別の存在を否定する同大の対応について「率直に言って何をしているのだろうと思う」と不快感を示し、第三者委員会を設けて事実関係を調査するよう強く求めています。今年1月に第三者委員会が「差別的取扱いが認められる」旨の報告書を公表した際には、萩生田文科大臣は、「大学の見解について丁寧な説明が必要」と注文を付けています。そして今回、再び萩生田文科大臣が“説明をきちんとしろ!“と怒ったわけです。認めると学内外でマズいことが起こる?ここまで、文科大臣の発言に正対せず、“説明しない”態度を貫く、というのはよほどの理由があるに違いありません。私学助成金ばかりでなく、文科省の各種補助金ですらもらえなくなる可能性があるのに、そのリスクを承知で歯向かうわけですから。ここからはまったくの想像ですが、考えられる理由は、1)本当に不正(差別)を行っていない、2)不正はあったがそれを正式に認めると学内外でマズいことが起こる、のいずれかででしょう。マズいことの有無や存在にについて、マスコミはとくに報道していません。1971年に神奈川県川崎市宮前区に開学した聖マリアンナ医大は、今では神奈川県にはなくてはならない存在となっています。現在、本院の聖マリアンナ医科大学病院のほかに、横浜市西部病院(横浜市旭区)、東横病院(川崎市中原区)、川崎市立多摩病院(川崎市多摩区、指定管理者として聖マリアンナ医大が管理)を経営しています。総病床数は計約2200床、神奈川県における急性期医療の重要拠点と言えるでしょう。これだけ急性期機能中心の附属病院が多くなると、医師確保の面でも相当な苦労があることは想像できます。それが医学部入試にも微妙に影響していたのかもしれませんが、それもあくまでも私の想像です。さて、ここまで文科省と仲が悪いと、自民党や厚労省とも仲が悪いと考えがちですが、どうやらそうでもないようです。聖マリアンナ医大の大学のホームページのトピック面、「Life at Marianna」には、今年10月1日(文科省が同大幹部を呼んだ日です)、三原 じゅん子・厚生労働副大臣が、同大産婦人科学の鈴木 直教授と小児がん・AYA世代がん患者の生殖医療の実情と課題について対談を行った、とのニュースが掲載されています。2010年代の新設医学部の議論の時も感じましたが、医学部教育と政治の関係は、相変わらず微妙かつ繊細だと感じる今日この頃です。

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今冬の流感予防接種の予定なしは6割/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行の中で、今冬のインフルエンザの流行を前に一般市民のインフルエンザの予防意識を探る目的で、株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、10月20日に「インフルエンザ予防接種に関するアンケート調査」を行った。 アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”に登録している会員で20歳以上の会員300人を対象に調査を実施したもの。調査概要 形式:WEBアンケート方式 期日:2020年10月20日 対象:セルフ型アンケートツール“freeasy”の登録者300人(20歳以上)インフルエンザの予防接種を阻む壁 「今までにインフルエンザに感染したことがあるか」の問いに「ある」が48.0%、「ない」」が52.0%という結果で、約半数の回答者にインフルエンザ感染の経験がなかった。 「(10月20日時点)予防接種を受ける予定はあるか」の問いに「受ける予定はまったくない」が38.7%と最も多い結果だった。また、「受けた/受ける予定」「今は受ける予定はない/予定はまったくない」ごとに足した割合でみると、「受けた/受ける予定」は37.3%、「受ける予定はない」は62.7%で、「受ける予定はない」が過半数を上回る結果だった。参考までに2019年の調査と比較すると「受ける予定はない」が9ポイント増加していた。 「予防接種を受けた/受ける予定」と回答した112名の「接種の理由」を聞いたところ、最も多かった理由は「今シーズンは新型コロナウイルスがあり、危機感を感じたから」が58.9%で、次に「インフルエンザに感染しても軽い症状ですむ、回復が早いから」が44.6%、「今シーズンは流行しそうなので」が20.5%と続いた。一方、「予防接種を受ける予定はない」と回答した188名に「接種しない理由」を聞いたところ、最も多かった理由は「値段が高い」が26.1%、「受けに行くのが面倒」が22.3%、「コロナ感染予防対策で予防できる」が21.8%と続いた。手洗い、マスク、うがいで健康を維持 回答者の健康状態について「日頃、風邪をひきやすい、体調を崩しやすい体質」かの問いでは、「はい」が26.7%、「いいえ」が73.3%の結果だった。回答者の約3割が風邪をひきやすい体質との回答だった。 これを踏まえ「最近1年間の感染症による症状」について聞いたところ、「風邪で37.5℃以上の発熱」が9.7%、「インフルエンザ」が5.7%、「出勤停止を伴う伝染病、ウイルス感染症」が2.3%、「COVID-19」が1.0%、「肺炎」が0.3%の回答であり、「いずれにもあてはまらない」が81.7%と8割を超える回答者がCOVID-19流行の中でも健康を維持していた。 「最近1年間で、日頃行っていること」の問いでは、「手洗い」が79.0%、「マスク着用」が77.0%、「うがい」が63.7%と続き、上位はCOVID-19予防対策の内容が占めた。 最後に回答者へ「平熱はいくつか」という問いでは、「 36.3℃~36.5℃」が42.3%で最も多く、「36.0℃~36.2℃」が31.7%、35.9℃以下が15.0%と続いた。 同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。参考2020年11月 インフルエンザ予防接種に関するアンケート調査

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がん診療病院でのCOVID-19クラスター、その教訓は/日本癌治療学会

 市中感染が広がる状況下では、感染者が院内に入り込む可能性や病院内感染発生のリスクが常にある。リスクをいかに減らし、万が一予期せぬ感染者が発覚した場合にどのような対応が必要か、がん診療をどのように維持していけばよいのか。第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で、「COVID-19蔓延期の癌治療―体験と教訓―」と題した会長企画シンポジウムが開かれ、がん診療を担う病院での今春からの経験、実施している対策が相互に共有された。本稿では、加藤 秀則氏(北海道がんセンター)、佐藤 悠城氏(神戸市立医療センター中央市民病院)による発表内容を中心に紹介する。北海道がんセンターでクラスターが発生した原因 北海道がんセンターでは、4月13日に消化器内科病棟で看護師1名と患者1名が発熱、翌日には同病棟勤務の看護師2名も発熱した。当時院内ではPCR検査が実施できなかったため、保健所を通じPCR検査を実施したところ、16日に4名で新型コロナウイルス陽性を確認。これを契機に、同病棟および隣接する泌尿器科(同フロア)の患者、勤務する看護師、医師らの間で集団感染が発生した。厚生労働省クラスター班による調査・指導等を経て、5月16日に看護師1名の感染が確認されたのを最後に、6月13日の終息宣言に至った。 北海道がんセンターの加藤氏は、クラスターが発生してしまった原因として下記を挙げている:・病院の収益を確保するため、病床稼働率を上げなければならず病棟は密な状態であった・がん患者はさまざまな病態で熱発していることも多く、最初からコロナ肺炎を疑わない症例も多い・がん患者はPSの悪いことも多く、看護師が密着せざるを得ない看護も多い・築40年程度経過した病院で全体にスペースも狭く、空調も悪く、陰圧室もない・PCR検査は市の保健所でしか実施できず、疑い症例を自由に、迅速に行える状況ではなかった 北海道がんセンターのクラスターの端緒となったと考えられる患者は感染発覚前に、消化器内科から泌尿器科の病室に移っており、その隣室患者および看護した看護師へと伝播していった。加藤氏は、「進行がんで看護必要度の高い患者さんが多く、主に看護師を通して伝播したと考えられる」と話した。感染者の中には清掃やリネン、放射線技師といった病棟横断的に業務を行う者も含まれており、院内感染防止の観点から注意が必要な部分と振り返った。 また、消化器内科病棟勤務で感染した看護師19名のうち、1回目のPCR検査で陽性となったのは13名。2回目が5名で、症状だけが続き4回目ではじめて陽性となった者も1名いたという。加藤氏は、PCR検査の感度、タイミングの問題も考えていかなければいけないと話した。北海道がんセンターでの感染対策の改善点 北海道がんセンターでは、外来・病棟それぞれにおいて、下記を中心とした感染対策の改善を行っている。[外来での改善点]・待合室の3密対策・入口を1ヵ所にしてサーモグラフィチェック・発熱者の隔離部屋を用意・採血室、外来化学療法室の増設・過密回避、外来診察室の医師と患者の間にスクリーンの設置・各受付にスクリーンの設置・CTなどの検査機器、X線照射装置、胃カメラ、ベッドなどは毎回消毒・電カル、キーボード、マウスのアルコールペーパーでの消毒など職員の衛生意識改善[病棟での改善点]・定期入院はすべて事前にPCRと肺CT検査を行い陰性者のみ入院・PCRは自院の装置、検査会社との契約により件数拡充・臨時入院は個室隔離し、PCR結果が出るまではPPE対応・病室は過密対策で稼働を50%にコントロール・看護師休憩室の増設・面会の全面禁止 また、復帰した医療者のメンタルケアの重要性を感じたと加藤氏。感染症から回復して復帰しても、精神的に回復するまでには時間を要したという。「プライバシー保護にも配慮が必要であるし、回復には時間がかかる。専門の心理療法士に依頼し、病院全体を挙げてのケアの必要性を感じた」と話した。神戸市立医療センター中央市民病院の院内感染の原因 神戸市立医療センター中央市民病院は、地域がん診療拠点病院であるとともに第一種感染症指定医療機関で、神戸市でCOVID-19が初発した3月上旬より、約200例のCOVID-19患者を受け入れている。うち、7例が院内感染によるもの。佐藤氏は、院内感染発生の原因として、1)COVID-19患者の在院日数の長さ、2)ゾーニングの問題、3)強い感染力を挙げて考察した。 1)については、酸素投与を要した患者における在院日数の中央値は31日、ICU在室日数の中央値は9日と長く、病床がひっ迫していた状況があった。2)10床の感染症病床(陰圧個室)を有し、専門看護師が感染者の看護に従事していたが、ナースステーションと休憩室は一般病床を担当する看護師と共通で、ここで医療従事者間での感染が起こったと推測される。3)同院での院内感染の伝播において重要な役割を果たしたと考えられる患者は、透析患者で当初感染が疑われておらず、せん妄があったことなどからナースステーションでの大声での発話などがあり、PCRでは高ウイルス量が検出されるなどの因子が重なって、複数の医療従事者の感染につながったことが推測される。多いCOVID-19疑似症、対策はあるのか 神戸市立医療センター中央市民病院では、ビニールシートによる職員の保護等ゾーニングの徹底や、全例PCRを実施する入院前検査のほか、COVID-19合同診療チームを立ち上げて対策にあたっている。重症例はICUで一括管理できるものの、軽症~中等症例はICUを出た後各科の持ち回りになるため、1人の医師が感染者と非感染者の診療を行うことに対するリスクを減らすため、このチームが立ち上げられた。全科から選抜、各科業務を完全に外れ、2週間勤務後1週間の自宅待機を経て復帰する。 2月はじめから院内感染により病院が機能停止した4月中旬までの約2ヵ月半で、救急外来と感染症外来を受診したCOVID-19疑似症患者は286例に及ぶ。そこで同院では、感染拡大期には感染疑い病棟を設置。PCR検査が陰性であっても、類似症状や胸部異常影がある患者についてはいったん同病棟に収容し、担当医も分ける形をとるようにした。感染対策解除基準のフローを作り、どうしても臨床的な疑いが解除できない患者においては何度でもPCR検査を行い、それまで感染症対応を解除しないという方法をとっている。「今後のがん診療では、COVID-19疑似症の対応は必須になるのではないかと考えている」と佐藤氏。胸部CTにおいて、一見器質化肺炎が疑われた患者でCOVID-19陽性であった例や、末梢側のすりガラス影がみられる患者で薬剤性肺障害であった例など、いくつか自験例を示して解説した。 自院の症例約100例でCOVID-19と薬剤性肺障害の背景因子を後ろ向きに比較した結果では、COVID-19症例では陰影のある肺葉数が多いという傾向はみられたものの、大きな臨床所見の差はみられなかった。呼吸器内科医としては、今後これらの鑑別をしっかり行っていかなければならないと話し、またCOVID-19後遺症として罹患後に間質陰影を呈した肺がん症例での治療再開の判断の難しさにも触れ、後遺症に関してもエビデンスの蓄積が待たれるとした。

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第32回 体調の変化からCOVID-19を割り出す試験が良好な滑り出し

今年初めの調査によると米国成人の今や5人に1人(21%)がFitBit(フィットビット)等の活動量計や多機能腕時計(スマートウォッチ)を身に付けています1)。そのような体調記録ウェアラブル装置(wearable fitness devices)のデータを新型コロナウイルス感染(COVID-19)同定に役立てることを目的の1つとして今春3月に始まった米国での試験(DETECT)の最初の解析で有望な結果が得られました2,3)。試験は基本的に来る者拒まずで、それらの体調記録に加えて自覚症状と検査結果を収集するスマートフォンアプリMyDataHelpsをダウンロードした米国在住成人なら誰でも参加できます。6月7日までに試験に参加した今回の解析対象成人30,529人のうち3,811人(12.5%)にCOVID-19が疑われる症状が認められ、それら有症者のうち54人は検査で感染が確認されたと報告し、279人は感染していなかったと報告しました。データ解析の結果、睡眠や運動量はどうやらCOVID-19の影響を受けると示唆され、それらに加えて心拍数情報も加味した有症者のCOVID-19判定は8割が正解(80% prediction accuracy)でした。DETECT試験は進行中で、やがては10万人以上が参加する予定です。有症者のCOVID-19判定の精度改善に加え、無症状の人の感染同定も可能にすることをScripps Researchの研究チームは目指しています。COVID-19流行を食い止めるには感染者を早期に発見して必要な対策を早めに講じる必要がありますが、世に出回っている検査は発症前や無症状の感染者をしばしば見落とします。そのような現状を打破すべく、感染をむしろより拡げる恐れがある発症前や無症状の感染者をいち早く同定する予想法の開発を最終的な目標としていると今回の報告の筆頭著者Giorgio Quer博士は言っています。Quer博士はDETECT試験を立ち上げた米国研究所Scripps Researchの人工知能(AI)分野のリーダーです。DETECT試験への参加者は米国のどの州からも集まっており、感染集中地域を早期に突き止める広域の流行食い止め対策にも貢献すると研究者は考えています。試験は広がりを見せており、患者と直に接していて感染の恐れが大きい医療従事者や交通機関従業員のデータを集める取り組みも始まっています4)。参考1)About one-in-five Americans use a smart watch or fitness tracker/Pew Research Center2)Quer G, et al. Nat Med. 2020 Oct 29. [Epub ahead of print]3)Early results from DETECT study suggest fitness trackers and smartwatches can predict COVID-19 infection/Scripps Research4)Scientists partner with San Diego transit and health workers to study wearable devices for detecting COVID-19/Scripps Research

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第29回 厚労白書、今後20年間の見通しにつきまとう新型コロナの影響

<先週の動き>1.厚労白書、今後20年間の見通しにつきまとう新型コロナの影響2.オンライン診療、初診は「かかりつけ医」限定に3.医療計画の中間見直し、病院の入院機能だけでなく外来機能も再編へ4.特定行為看護師、外国人患者のサポート体制も広告可能に5.今年5月以降、介護事業所の経営状況は依然として悪いまま1.厚労白書、今後20年間の見通しにつきまとう新型コロナの影響10月23日の閣議において、田村厚労大臣は、令和2年度の厚生労働白書を報告した。第1部のテーマは「令和時代の社会保障と働き方を考える」と題され、平成の30年間を振り返りつつ、高齢化がピークを迎える2040年頃を見据えて、「人生100年時代」「担い手不足・人口減少」「新たなつながり・支え合い」「生活を支える社会保障制度の維持・発展」という4つの方向性に沿った対応の必要性を提示した内容となっている。2019年現在の人口1億2,617万人は、今後2040年には1億1,092万人へと減少し、働き手や支え手が不足する中、85才以上の高齢者が592万人から1,024万人に急増する見通しのため、社会保障費の増大は避けられない。今後の対応について、医療介護分野ではイノベーションの推進や、国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現などが求められる。(参考)令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-〔概要〕(厚労省)令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-〔本文〕(同)2.オンライン診療、初診は「かかりつけ医」限定に政府が進めているオンライン診療の恒久化について、10月30日の閣議後記者会見で、かかりつけ医については、初診のオンライン診療を認める方針が明らかになった。これまで、菅内閣発足直後から田村厚労相、河野太郎規制改革担当相、平井卓也デジタル改革担当相で協議を重ね、オンライン診療の初診解禁について合意がなされていた一方で、日本医師会はこれまで診療履歴のない新規の患者の診察についてはオンライン診療を認めないよう求めていた。今後、かかりつけ医の具体的な要件や対象疾患などを有識者会議で議論し、年内には一定の方向性を示すとしている。(参考)オンライン初診「かかりつけ医」限定 田村厚労相、恒久化へ向け方針(毎日新聞)田村厚生労働大臣記者会見概要 令和2年10月30日(厚労省)3.医療計画の中間見直し、病院の入院機能だけでなく外来機能も再編へ厚労省は、10月30日に「第22回医療計画の見直し等に関する検討会」をオンライン開催し、外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等について討議を行った。地域医療計画は従来5年ごとに策定だったが、2014年の地域医療介護総合確保法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)により6年おきに策定となり、2018年の診療報酬・介護報酬のダブル改定に合わせて、第7次医療計画がスタートした。2020年は中間見直しの年であり、現在のコロナウイルス感染拡大により局所的な病床不足の発生や感染症対応も含めた医療機関の役割分担・連携体制の構築が必要になるなど、地域医療計画の見直しを求める声が上がっている。各地で人口減少や高齢化等により「担い手の減少」と「需要の変化」が進み、外来医療の高度化等も進んでいく中で、入院医療だけでなく、外来医療についても再編の議論が必要となっている。今後、「医療資源を重点的に活用する外来」の定義をした上で、「外来機能報告」(仮称)の対象となる医療機関の範囲についてさらに議論を進め、年内には医療部会に取りまとめた検討結果を報告する見込み。地域によってはコロナウイルス感染により医療機関への受診抑制もあり、医療機関の再編が来年度以降大きく動き出す可能性がある。(参考)第22回 医療計画の見直し等に関する検討会(オンライン会議)(厚労省)4.特定行為看護師、外国人患者のサポート体制も広告可能に厚労省は「第16回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」を10月29日に開催し、医療機関が広告可能な事項として、特定行為研修を修了した看護師に医師の業務を移管していることも広告可能とする方針が了承された。また、2021年のオリンピック開催に合わせて、外国人患者についても対応できる外国語の種類や翻訳器など、サポート体制も医療機能情報提供制度を通して告示可能となる。(参考)第16回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会資料(厚労省)5.今年5月以降、介護事業所の経営状況は依然として悪いまま10月30日に厚労省が公開した「経営実態調査」で、コロナウイルス感染拡大により、介護事業者の経営状態が依然として悪いことが明らかとなった。新型コロナウイルス感染症の流行前と比較して「悪くなった」と回答した事業所の割合は5月で47.5%、感染が落ち着いた10月で32.7%となり改善したものの、通所リハビリテーションなど通所系のサービス事業者がとくに影響を受けていた。元々、介護事業者にとって人材確保が課題であり、人件費が増加(平成30年度から+0.4%)したが、コロナの影響で保健衛生費(マスク、手袋などの購入費)が増えるなど、経費が増加しており、さらにサービス利用者の減少なども影響していると見られる。(参考)介護事業所 経営悪化5割に 通所系で顕著 厚労省調査(日本農業新聞)第190回 社会保障審議会介護給付費分科会資料(厚労省)第31回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(同)

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受診控え抑制へ、佐々木希が医療機関の「安心マーク」啓発/日本医師会

 導入に向けた検討が進む初診からのオンライン診療の恒久化について、日本医師会では10月28日の定例記者会見で、導入にあたり明確化すべき点、環境整備が必要な点について考え方を示した。同じく議論されている後期高齢者の患者負担引き上げについては、引き上げには反対の立場を示している。また、受診控え対策として医療機関で掲出する「みんなで安心マーク」の国民への周知を目的としたPR動画の発表が行われた。受診歴なく、かかりつけ医からの情報提供もない新患は「不可」の立場 中川 俊男会長は日本医師会の基本的なスタンスとして、オンライン診療は解決困難な要因によって医療機関へのアクセスが制限されている場合に、補完的な役割を果たすものという考え方を示した1)。そのうえで、下記の考え方により実施されるのが望ましいとした:1)定期的な医学管理を行っている患者に対して、かかりつけ医の判断により、オンライン診療を適切に組み合わせる。2)受診歴のある広い意味でのかかりつけの患者に対しては、対面診療と同等以上の安全性・信頼性が確認される場合に、医師の判断により、一時的にオンライン診療で補完する。3)受診歴がなく、かつかかりつけ医からの情報提供もない「新患」は不可。ただし明確な判断基準の策定・合意の下で可とするケースもあり得る(例:禁煙外来や緊急避妊等)。4)自由診療は、「オンライン診療指針」あるいは別の規定により厳格な運用が必要。5)上記にオンライン服薬指導を組み合わせるかどうかは別途個別に判断する。医師のプライバシー保護や民間の高額サービスの存在など、環境整備を求める さらに、オンライン診療を実施するにあたり医師側に生じうる不安として、1)医療訴訟の不安、2)医師のプライバシー流失の不安、3)オンライン診療システム利活用への不安を挙げ、取り除くための環境整備の必要性を訴えた。2)については、オンライン診療の動画をSNSに無断でアップされること等が起こり得、実際にすでに女性医師が被害にあっているという指摘があると説明。3)については、高額なサービスや過剰なサービスの契約に追い込まれるケースがあり、業界の協力が不可欠との考えを示した。 また、現在は民間業者を主体にサービスが提供されている「オンライン健康相談」についても、国としての定義の明確化が必要として、ガイドラインの策定を求める姿勢。医師が診察とは別に「オンライン健康相談」を実施することについても整理が必要として、混合診療にあたらないことの確認、ルールの明確化が必要との認識が示された。後期高齢者の患者負担割合はすでに十分高いとの認識 政府が引き上げを検討する後期高齢者の医療費患者負担割合については、年齢とともに1人当たり医療費が上昇し、75歳以上では患者負担額が6.4~9.0万円とすでに十分高いと指摘(30代は2.6~2.9、40代は3.3~4.0、50代は5.0~6.2、60代は7.6~8.9万円)。応能負担(収入や所得に応じた負担)は現役世代に比べてさらに大きくなる2)。 患者負担割合の引き上げにより、受診控えや必要な医療の断念につながる懸念から、応能負担は「可能な限り広範囲」ではなく「限定的に」しか認められないという認識を示した。 また、同会では感染防止対策を徹底している医療機関に対して、「新型コロナウイルス感染症等感染防止対策実施医療機関 みんなで安心マーク」を発行しているが、佐々木 希さんが出演したその国民啓発用ビデオが公開された3)。同マークの発行は日本医師会会員に限らず、日医ホームページから、感染防止対策セルフチェックリストのすべての項目を実践していることを回答した場合に発行され、各医療機関での掲示用に活用できる。

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