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2021.

新型コロナワクチン、既感染者での効果は?/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)既感染者にワクチンを接種すべきかどうか、まだはっきりしていない。これまでに既感染者が未感染者よりワクチンによる抗体応答が有意に高かった報告は少ない。今回、イタリア・シエナ大学のGabriele Anichini氏らが実施したコホート研究では、既感染者でのワクチン単回接種後の中和抗体価が、未感染者における2回接種後より有意に高いことが示された。NEJM誌オンライン版2021年4月14日号のCORRESPONDENCEに報告。 本研究では、SARS-CoV-2既感染者38人(男性9人と女性29人、平均年齢35.1歳、95%信頼区間[CI]:31.7~38.6歳、感染からワクチン接種までの平均日数:111日)と、未感染者62人(男性25人と女性37人、平均年齢44.7歳、95%CI:41.0~47.6歳)の計100人の医療従事者が参加した。 両群ともファイザー社製mRNAワクチンBNT162b2を接種。既感染者は初回接種の10日後に、未感染者は2回目接種の10日後に血清サンプルを採取した。すべての参加者において、化学発光微粒子免疫分析を用いて、特異的抗SARS-CoV-2スパイクIgGの有無を調べた。 主な結果は以下のとおり。・血中循環抗スパイクIgG抗体力価は、既感染者と未感染者で有意差はなかった。・特異的抗SARS-CoV-2中和抗体の幾何平均力価は、既感染者(569、95%CI:467〜670)と未感染者(118、95%CI:85〜152)に差がみられた(p<0.001)。年齢や性別による実質的な差はなかった。・既感染者(血中循環抗スパイクIgG抗体が検出されなかった1人を除く)を感染からワクチン接種までの期間が1〜2ヵ月(8人)、2〜3ヵ月(17人)、3ヵ月以上(12人)の3グループに分類したところ、血中循環IgG抗体の平均力価は、感染1〜2ヵ月後に接種したグループ(1mL当たり15,837任意単位)と2〜3ヵ月後に接種したグループ(同21,450任意単位)で差がみられた。感染2~3ヵ月後に接種されたグループと3ヵ月以降に接種されたグループ(同21,090任意単位)の間には有意差はみられなかった。中和抗体の幾何平均力価では、感染1〜2ヵ月後に接種されたグループが437(95%CI:231〜643)、2~3ヵ月後に接種されたグループが559(同:389~730)、3ヵ月以降に接種されたグループが694(同:565~823)であり、感染後3ヵ月以上以降に接種するとブースター反応がより効果的であることを示しているが、決定的な結論を下すには十分ではなかった。 著者らは、「これらの結果は、SARS-CoV-2既感染者のワクチン単回接種後は未感染者の2回目接種後より強い液性応答を示すというエビデンスを提供する」と述べている。

2022.

イスラエルの新型コロナワクチンの効果、地域や年齢による差は?

 新型コロナワクチンの接種が各国にて急ピッチで進められているが、社会における実質的な効果の検証が求められている。イスラエル・ワイツマン科学研究所のHagai Rossman氏ら研究チームが、国内におけるワクチン接種の開始前後におけるCOVID-19症例数と入院数の経時的変化について分析したところ、ワクチン接種における年齢および地域の優先順に、COVID-19症例数および入院者数が大幅かつ速やかに減少傾向を示していたことがわかった。イスラエルでは、2020年12月20日から新型コロナワクチン接種が始まり、優先対象の60歳以上では、2月24日時点で85%が2回の接種済みだという。著者らは、本結果がコロナパンデミックに対する全国的なワクチン接種キャンペーンの実効性を示唆するものだと述べている。Nature Medicine誌オンライン版2021年4月19日号に掲載の報告。 本研究では、2020年8月28日~2021年2月24日に収集したイスラエル保健省のデータを後ろ向きに分析。2020年12月20日に開始されたファイザー社製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)接種キャンペーン後の新しいCOVID-19症例数と入院数の経時的変化を検証した。具体的には、(1)優先接種対象の60歳以上とそれ以下の年齢層(2)2020年9月のロックダウンと2021年1月のロックダウン(3)ワクチン接種の実施が早かった都市と遅い都市―の3項目について、ワクチン接種がどのように影響しているか調べた。 年齢層の検証では、ワクチン接種の優先順位の高かった60歳以上で、それ以下の年齢層よりもCOVID-19症例数および入院数が大幅かつ速やかな減少が見られた。この傾向は、国のワクチン接種優先スケジュールの順番と正比例していた。また、同様の減少傾向は2021年1月のロックダウン時には見られたが、ワクチン接種の実施前となる2020年9月のロックダウン時には観察されなかった。 地域の検証では、早期にワクチン接種を実施した都市において、60歳以上のCOVID-19症例数および入院数の大幅かつ速やかな減少が見られた。具体的には、早期に実施した都市では、ピーク値と比べCOVID-19症例数は88%、重症者入院率は79%減少したのに対し、後期に実施した都市ではCOVID-19症例数78%、重症者入院率66%の減少にとどまった。

2023.

第54回 専門家コメントの揚げ足を取る奴ら、新型コロナ感染対策の赤点取るなよ

もう高校を卒業してから30年以上が経過しているが、先日同世代のある方と電話で話していて「赤点」という懐かしい言葉を耳にした。いうまでもなく学習の習熟度を測る基準点で、高校時代はこの点数を下回ると最低でも追試、最悪は留年となった。赤点ラインは学校によってかなり差があり、私の高校では全教科一律で50点未満が赤点。ちなみに大学入学後、この母校の赤点ラインは周囲と比べてかなり厳し目であることを初めて知った。かくいう私は2度の赤点経験者だが、なんとか無事に卒業はしている。そんなこんなを思い出しながら、ふと今のコロナ禍に思いが至った。というのも、この電話をしていた日に以下の記事が文藝春秋の運営する情報サイト「文春オンライン」に掲載され、話題を呼んでいたからだ。「『東京五輪1年再延期の検討を』 西浦教授が提言」西浦教授とは言うまでもなく、コロナ禍の当初、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症クラスター対策班の一員として活動し、流行拡大を阻止のために人と人との接触を8割減にする必要があると繰り返し主張してきた通称「8割おじさん」こと、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻教授(クラスター対策班当時は北海道大学大学院医学研究院教授)の西浦 博氏のことである。内容は何のことはない。「今の感染急増を踏まえると、ワクチン接種の機会が医師ですら不足する可能性もある。そのことを考慮して、国民に広くワクチンが行き渡るであろう来年に東京オリンピック・パラリンピックを再延期してはどうか」という西浦氏の提言が紹介された記事だ。この記事は「Yahoo!ニュース」で配信されると瞬く間にネット上で拡散され、4月21日時点で「Yahoo!ニュース」コメント欄には6000件超のコメントが寄せられている。コメントの多くは、おおむね西浦氏の主張には理解を示している。ただ、「延期はない。中止だろう」の趣旨のものが目立つ。私は西浦氏の本音は中止なのだろうが、大会関係者の意向も忖度して「再延期」と表現しているのだと勝手に推測している。ただ、このコメント欄や記事を引用したTwitterやFacebookの投稿の一部には、もはや誹謗中傷の域としか思えないコメントも見受けられる。この記事に対する反響は配信直後から良くも悪くも相当大きかったのだろう。西浦氏はTwitter上でお詫びも含めたツイートをしている。悪いほうの反響で多く見かけるのが、西浦氏が2020年4月に発表した数理モデルを利用した試算への批判だ。これは感染拡大に無対策だった場合、流行終息までに日本国内では約42万人が死亡するというもの。当時、社会に衝撃を与えた試算だったが、前述の批判とはこれを「大外れだったではないか」と指摘するものである。その多くは医療と無関係な一般人だが、ごく一部には医療従事者もいるようだ。私はこの批判は的外れだと思っている。そもそも試算は、「無対策ならば」などの条件付きであり、試算結果のようにならないために「人と人の接触8割減」が必要という提言もセットで発表されている。冒頭のテストに例えれば、私たちは予め問題と模範解答を示され、赤点を回避するよう迫られていたわけである。もし試算が的中したら政治、アカデミアも含め国民全員の敗北、言葉は汚いが日本は「国民総アンポンタン」との烙印を押されていたのである。この西浦氏の「人と人の接触8割減」提言について、政治の側で満額回答を示したわけではなかったが、インフルエンザ等特別措置法(特措法)に基づく初の緊急事態宣言発出とそれを根拠にした飲食店の時短営業や一部商業施設の休業、イベントの中止・延期、テレワークの推奨などといった対策に落とし込まれ、さらに国民には「3密の回避」「マスク着用」「手洗いの励行」などのメッセージが繰り返し伝えられた。その結果として一時的とはいえ感染拡大はかなり抑制できた。今現在、私たちは第4波とでも言うべき感染急増に晒されている。4月5日以降、特措法に基づく「まん延防止等重点措置」が10都府県に順次発出されたが、それでも連日1,000人を超える感染者が報告されている大阪府、感染拡大傾向を見せる東京都はともに緊急事態宣言発出が確実視されている。この感染急拡大の原因の一つとして英国株を中心とする感染力が強い変異株の流行が指摘されている。それは事実だろうが、改めて言うまでもなく、野生株だろうが、変異株だろうが、▽人と人との接触減(その中でもとりわけ3密の回避)▽マスク着用▽手洗いの励行といった感染拡大阻止の対策は変わらない。むしろその徹底がより必要となってくる。強いて言うならば、これらの対策に「接種できる人は速やかにワクチン接種をする」という対策が加わる。いずれにせよ西浦氏の最初の試算発表時から今まで、私たちは同じ問題とそれに対応したほぼ同じ模範解答が示され、その徹底を求められている。医療従事者と私たち報道関係者は、自分自身の徹底に加え、他者への呼びかけも今まで以上に求められることになる。最終的に東京オリンピック・パラリンピックが予定通り1年遅れで開催されるのか、再延期となるのか、それとも中止となるのか。この点は医学的な判断のみならず高度に政治的な判断も加わるため、今の時点で予測不可能だ。現在、緊急事態宣言発出を巡って、一部への休業要請も含めたより強い対策をどこまで行うのかは水面下で調整が行われている。が、まん延防止等重点措置にしろ緊急事態宣言にしろ、一度発出されてしまえばその後は単に政治家や医療従事者だけでなく、対象となる地域の住民も行動の真価が問われることになる。そして私たちに「赤点」が付くかどうかは数ヵ月以内に判明することになる。

2024.

中和抗体カクテル療法で症候性COVID-19発症リスクが81%減/ロシュ

 ロシュ社(スイス)は4月12日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染者との家庭内での濃厚接触者を対象に、中和抗体カクテル療法によるCOVID-19発症リスクおよび負担軽減を評価した第III相臨床試験(REGN-COV 2069試験)において、良好な結果を確認したと発表した。casirivimabとimdevimabの皮下投与により、試験開始時に感染していなかった人の症候性感染の発症リスクが81%減少したことが示されたという。 REGN-COV 2069試験は、SARS-CoV-2感染者との家庭内における濃厚接触者への症候性感染予防を目的に、casirivimabおよびimdevimabの有効性と安全性を評価する複数コホートからなる二重盲検ランダム化プラセボ対照試験で、ロシュ社が米国・国立アレルギー・感染症研究所と共同で実施したもの(日本は不参加)。過去4日以内にSARS-CoV-2陽性と判定された人と同居し、ベースラインでSARS-CoV-2に感染しておらず、casirivimab+imdevimab(1,200mg)またはプラセボを単回皮下投与した1,505例が対象。主要評価項目は、29日間の評価期間におけるSARS-CoV-2の症候性感染が生じた人の割合とした。その結果、casirivimab+imdevimab群において症候性感染の発症リスクがプラセボ群に比べ81%減少(p<0.0001)したことが示された。 本試験ではさらに、新規感染の無症候性患者204例について、casirivimab+imdevimab(1,200mgの単回皮下投与)またはプラセボに無作為に割り付け、抗体カクテル療法を評価した。その結果、casirivimabとimdevimabは、症候性COVID-19に進行するリスクを全体で31%減少させた。 また、casirivimabとimdevimabによる治療を受けたものの症候性COVID-19感染を発症した人では、平均1週間以内に症状が消失したのに対し、プラセボ群では症状が消失するまでに3週間を要した。新たな、あるいは重大な安全性シグナルは認められなかった。 casirivimabとimdevimabによる抗体カクテル療法の国内開発は、中外製薬が実施している。

2025.

アビガン、発症早期COVID-19患者に対する第III相試験開始/富士フイルム富山化学

 富士フイルム富山化学は、アビガン(一般名:ファビピラビル)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者を対象とした新たな第III相試験を国内で開始したことを、4月21日に発表した。本試験は、重症化リスク因子を有する、発症早期のCOVID-19患者において有効性・安全性を検証する二重盲検プラセボ対照試験。 アビガンについては、非重篤な肺炎を有するCOVID-19患者を対象とした国内第III相試験において主要評価項目で統計学的有意差を確認したことから、製造販売承認事項一部変更承認申請を行っている。 今回の第III相試験は、昨年実施した臨床試験の中でとくに発症早期の患者で症状改善を早める効果が示唆されたことから、重症化リスク因子を有する、発症早期のCOVID-19患者(発熱などの症状発現から72時間以内かつ基礎疾患や肥満などの重症化リスク因子を有する50歳以上のCOVID-19患者)を対象に、重症化した患者の割合を主要評価項目として有効性を検証していくという。

2026.

第54回 最悪のタイミングで導入された「レセプト記載要領コード化」、どこが問題?

2020年度の診療報酬改定により、電子レセプト請求に「レセプト記載要領の電算コード」が1,700項目追加された。同年10月診療分から本格適用されたが、コロナ禍で医療人材が不足し、業務の効率化が求められる中、医療機関からはかえって事務作業量が増え、現場が混乱しているという声が上がっている。9割以上の医療機関で業務量が「増えた」大阪府では新型コロナウイルスの感染者数が過去最多を記録する中、大阪府保険医協会はこのほど、「電子レセ請求におけるレセ記載要領コード化」に関するアンケートを、府内約500病院を対象に実施し、100病院から回答を得た(3月15日現在)。それによると、9割以上の病院で業務量が「増えた」ことが明らかになった。アンケートでは、レセプト記載コード化の実施による請求事務部門の業務時間の増減について尋ねたところ、100病院中54病院が「増えた」、37病院が「多少増えた」と回答。「減った」と回答した病院は0件だった。とくに在宅医療では「重複した年月日を別コードで何度も入力しなければならない」「月の請求書であるレセプトになぜ元号から入力しないといけないのか」、検査でも「病名で部位がわかるのに、なぜ超音波の部位をコード入力するのか」など批判の声が上がっているという。また、診療報酬請求だけではなく、電子カルテと連携している場合にはカルテ記載の際にもコード入力を求められ、「診療が止まってしまう」との意見も寄せられている。合理化・簡素化を目的として実施されたレセプト記載コード化が、医療機関の負担軽減とは真逆の内容であることが浮き彫りになった。新たに入力しなければならない項目などが増加電子カルテの導入状況などについて尋ねた項目の回答を見ると、導入状況は半数程度であり、病院ということで一括りにはできず、請求事務と医療現場を繋ぐシステムの状況は病院ごとにかなり異なることが伺えた。とくに苦労している点などについて記述してもらったところ、回答した病院の8割以上(81件)から具体例が挙げられた。主に問題点は以下の3点だった。(1)救急医療管理加算における記載事項、リハビリテーションにおける起算日の内訳の入力に代表されるように、請求事務部門で完結できない確認作業が伴うため、時間がかかった。また、恒常的に対応するため、現場のメディカルスタッフに当該数値や情報の入力・報告を求めるなど、医療現場との業務調整まで行う必要があったことなどが指摘されている。(2)レセプト記載コード化だけでなく、新たに入力しなければならない事項が増えているのも問題であるとする指摘も多数見られた。(3)レセプトコンピュータや電子カルテの対応状況やメディカルスタッフの保険請求への理解など病院の実情により、負担感の違いが伺えるが、院内の体制が手薄な中小規模の病院ほど、レセプトをまとめる医事課などの請求事務部門の負担が大きいと推察される。実態は医療側ではなく「審査側の効率化」このように、医療情報のデータ化に伴う作業は多大な負担を伴っている。この負担の大きさに見合う意義があるのか、その成果が医療機関側にどのようにもたらせられるか、大阪府保険医協会は疑問を呈している。その成果が「審査側の効率化」というのでは、コロナ禍の中でこの作業に従事している医事課職員をはじめ医療機関職員が報われない。言うまでもなく、請求事務の目的は、医療機関で行われた医療行為(療養の給付)を診療報酬点数表に則って保険請求を行い、対価を得ること。その対価が医療従事者の給与や医療機器の整備等に充てられ、国民医療の継続的な提供や医療の質を担保している。審査側にとっての「効率化」を行うのであれば、厚労省や審査・支払機関、保険者が汗をかいて行うべきでは、との意見も寄せられている。大阪府保険医協会には診療所からも意見が寄せられ、3月下旬現在、レセプト記載コード化の凍結を求める院長署名が約1,700件集まっているという。同協会は3月25日、中央社会保険医療協議会(中医協)委員に要望書を送付した。厚労省の説明は現場の実態と乖離レセプト記載コード化について、厚労省は「事務作業量の軽減に資する」と説明しているが、現場の実態とはあまりに乖離している。また、混乱の要因を「新型コロナ感染拡大による周知不足」とも説明しているが、その内容自体に大きな問題があり、周知徹底を行ったところで医療機関の納得を得られるものではないと思われる。医療機関は、新型コロナ感染対策により大きな緊張を強いられた状況で診療を行っている。レセプト記載コード化は、導入のタイミングの悪さも一因ではあるが、医療機関にとっては余計な負担増にほかならない。医療のIT化は大きな流れとはいえ、2022年度の診療報酬改定を議論する中医協には、医療現場にこれ以上の負担をかけない議論が望まれる。

2027.

新型コロナ既往者の再感染リスクは84%減少/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染既往者は、非既往者に比べ感染リスクは約84%減少し、その効果持続期間の中央値は7ヵ月であることが、英国・Public Health England ColindaleのVictoria Jane Hall氏らによる、英国内の病院に勤務する医療従事者やスタッフなど約2万6,000例を対象とした大規模前向きコホート試験の結果で示された。なお期間については、セロコンバージョンを含んでおらず最短である可能性があるという。COVID-19からの回復者に再感染の保護効果があるのかについて理解を深めることは喫緊の課題とされている。著者らは、SARS-CoV-2への獲得抗体が症候性および無症候性の再感染リスク減少と関連するのかどうかを検討した。結果を踏まえて著者は、「SARS-CoV-2への感染既往は、大半の人にとって将来的な感染に有益な免疫をもたらすことを示すものであった」と述べている。Lancet誌2021年4月17日号掲載の報告。PCR検査陽性群の再感染と、陰性群の初回感染の発生率を比較 研究グループは2020年6月18日~12月31日にかけて、英国内すべての公的病院を通じて、医療従事者、支援スタッフ、事務職員を対象にコホート試験を開始した。被験者は、SARS-CoV-2のPCR検査と抗体検査を2~4週ごとに、症状や感染曝露に関する質問票への回答を2週間ごとに行った。試験参加時点で、被験者を抗体陽性群(抗体陽性またはPCR/抗体検査の陽性歴あり)と抗体陰性群(抗体陰性またはPCR/抗体検査の陽性歴なし)に分類した。なお、登録後のPCR検査を受けなかった場合や、2020年12月31日以降の登録、PCRおよび抗体データが不十分の場合は除外した。 主要アウトカムは、陽性群の再感染、または陰性群の初回感染で、PCR検査で確認した。再感染については臨床的レビューも行い、ケースの定義(確定、ほぼ確定、可能性)およびエビデンスの階層に準じて症状で分類した。陰性群の初回感染については、初回PCR検査陽性と定義し、セロコンバージョンは、PCR検査陽性に関連しない場合は除外した。 ポアソン分布を用いた比例ハザード異質性モデルにより、罹患率比(IRR)を求め、2群で比較した。10万人日当たり罹患密度、陽性群7.6、陰性群57.3 登録された被験者数は3万625例で、そのうち51例が試験を中断、4,913例が除外され、抗体検査およびPCR検査データの突き合わせができた2万5,661例を対象に解析が行われた。全ソースからのデータ抽出は2021年2月5日に行われ、同年1月11日時点のデータが解析に含まれた。 陽性群は8,278例で、延べ204万7,113人日の追跡期間中、再感染は155件検出された。陰性群は1万7,383例で、延べ297万1,436人日の追跡期間中、初回感染は1,704件検出された。 2020年6月~2021年1月の罹患密度(incidence density)は、陽性群の再感染が7.6/10万人日に対し、陰性群の初回感染は57.3/10万人日だった。初回感染と比較した全再感染の補正後IRRは、0.159(95%信頼区間:0.13~0.19)だった。また、陽性群の初回感染から再感染までの期間中央値は、200日超だった。

2028.

第54回 なぜ奈良県で?「県内全75病院に病床確保要請」をうがった見方をしてみれば…

感染症法に基づき病床確保や患者の受け入れを要請こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先週末、以前から決まっていた仕事があり、久しぶりに大阪に日帰りで行ってきました。「まん延防止等重点措置」が適用されたにもかかわらず、新型コロナの患者数増加に歯止めがかからず緊急事態宣言が発令される予定の大阪ですが、梅田や難波などの繁華街はさすがに人出が激減していました。個人的には東京の繁華街よりも”自粛”の度合いが強い印象でした。緊急事態宣言で感染者数が収まっていけばよいのですが……。さて、4月20日から埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と愛知県の4県に「まん延防止等重点措置」が新たに適用されました。全国で新型コロナウイルスの感染が再び急拡大する中、4月15日に奈良県は、2月に改正された感染症法(第16条の2)に基づき、民間病院を含む県内全ての75病院に病床確保や患者の受け入れを要請しました。改正感染症法に基づく要請は全国初です。これにより、正当な理由なく応じない病院には勧告が行われ、病院名を公表できることになります。このようなコロナ未対応病院への“圧力”ともとれる要請に、奈良県はなぜ先陣を切って踏み切ったのでしょうか。病床確保の目標数や時期など明確な数字は示さず日本経済新聞などの報道によれば、奈良県は感染者を原則、病院か宿泊療養施設で受け入れることとしており、自宅療養を認めていません。専用病床の使用率は15日時点で72%に達している、とのことです。すでに患者を受け入れている16の医療機関(計376床)は大半が公立・公的病院で、民間病院はわずか2病院(計10床)とのことです。県はこれまでも民間病院にコロナ病床の確保を求めてきたものの、新型コロナ以外の患者の受診抑制などを危惧し、対応は進んでいませんでした。今回の病床確保や患者の受け入れ要請はそうした経緯から行われました。要請対象は病院(病床20床以上)で、15日午前、県内全75病院に対し、新型コロナ感染者用の病床確保などについて改正感染症法に基づく協力要請の内容を伝えた、とのことです。病床確保の目標数や時期などについては明確な数字は示さず、病院の回答までに1週間の時間を置くなど、ややマイルドな要請となっています。県医療政策局の鶴田 真也局長は記者会見で「マンパワーや設備の不足で受け入れが難しいという理由があることもわかっている。病院と丁寧な協議を行いながら進めていきたい」と語ったとのことです。奈良県は医療政策では厚労省の“出先”コロナ未対応の病院、特に中小民間病院に、感染症法を持ち出して県が病床確保や患者の受け入れを要請するという今回の対応、うがった見方をすれば、厚生労働省が裏で手を引いて打ち上げた“アドバルーン”の可能性がある、と私は考えます。今年2月に改正された感染症法では、わざわざ国や地方自治体の権限を強化しました。同法第16条の2は「厚生労働大臣又は都道府県知事等は、緊急の必要があると認めるときは、医療関係者・民間等の検査機関等に必要な協力を求め、その上で、当該協力の求めに正当な理由がなく応じなかったときは勧告することができる(正当な理由がなく勧告に従わない場合は公表することができる)こととすること」となっています。しかし、コロナ病床の不足が続いても、どこの都道府県もこの改正感染症法を活用しようとはしません。そこで、この法律の効果や医療機関や医療団体の反応を見るために、医療政策では厚労省の“出先”とも言える奈良県で試してみることにした、というわけです。奈良県の医療政策を取り仕切る医療政策局の局長は、代々厚労省からの出向者(医系技官)が務めています。現在の鶴田局長は、2019年7月に厚労省医政局総務課保健医療技術調整官から現職に就いています。また、前任の林 修一郎氏(現、厚労省健康局予防接種室長)も厚生労働省保険局医療課課長補佐から同職に就いていました。実際のところ、奈良県はこれまでも度々、医療政策において先進的な案を世の中に提示してきました。地域医療構想実現に向けた取り組みの中では、「断らない」重症急性期と「面倒見のよい」軽症急性期といった2つのわかりやすいコンセプトを提示、「奈良方式」として注目を集めました。また昨年8月には、新型コロナウイルス感染拡大による受診抑制で経営が悪化した医療機関を支援するという名目で、医療機関に支払われる診療報酬を都道府県別に引き上げる「地域別報酬」についての意見書案を発表、奈良県知事名で厚生労働大臣に提出しています。診療報酬は全国一律で「1点10円」ですが、2008年に都道府県が違う点数を設定できる特例が設けられています。その特例が適用されたことはないのですが、コロナによる経営悪化を理由に、奈良県が時限的に「1点11点」を求めたわけです。11点は実現しませんでした。なお、このとき全国一律を堅持したい日本医師会は反対を表明しています。他の都道府県にも波及していくかこうした先鋭的な施策案は、中央で大々的にアピールすると各方面とさまざまな軋轢が起きてしまいます。しかし、中央官庁から出向している若手官僚が奈良県などの地方で実験的に打ち出せば、それは世間や医療界の反応を見るアドバルーンとして機能します。今回の県内全ての病院に病床確保や患者の受け入れを要請するという奈良県のアクションも、全国の知事たちに感染症法を活用してもらうための判断材料を提供するべく仕組まれた、と考えれば何となく腑に落ちます。ただ、現実問題として、奈良県でこれまでコロナに対応してこなかった病院がどこまで要請に応えられるかは未知数です。人員や建物の構造、感染症に対するスタッフのスキルなど、一朝一夕にはいかない事情もあるからです。4月16日付の朝日新聞は「県の協力要請は理解できる。県民のために協力したいと当然考えている。だが、民間病院が実際に受け入れられるかは別問題だ」という奈良県の病院協会会長の声を報じています。果たして、感染症法を持ち出すことでコロナ病床はどれくらい増えるのでしょうか。奈良県の“成果”次第では、他の都道府県が追従する可能性もあります。今後の動きが気になるところです。

2029.

ファイザー製ワクチン、免疫チェックポイント阻害薬投与がん患者での安全性

 全身薬物療法で治療後もしくは治療中のがん患者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが高いため、ワクチン接種の優先度が高いグループと見なされる。しかし、がん患者におけるワクチンの安全性および有効性データはない。また、一部の専門家から、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与患者において、ワクチンで免疫関連有害事象を誘発または増強する可能性が指摘されている。今回、イスラエル・Tel Aviv Sourasky Medical CenterのBarliz Waissengrin氏らは、ICIで治療されたがん患者におけるファイザー社製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)の安全性について調査した。Lancet Oncology誌オンライン版2021年4月1日号に掲載。 Tel Aviv Sourasky Medical CenterおよびBnei-Zion Medical Centerでは、積極的治療を受けているがん患者すべてに対し、病期、PS、余命に関係なくワクチン接種を推奨した(SARS-CoV-2感染歴のある患者、感染している患者、免疫関連有害事象が制御されていない患者は除外)。本調査では、この2施設において、ICIで治療された患者におけるBNT162b2mRNAワクチンの有害事象を対照群(性別および生まれ年をマッチさせた健康成人)と比較した。2021年1月11日~2月25日に、ICIで治療されていたがん患者170例のうち、副反応を恐れて接種を拒否した33例を除いた137例が初回のワクチン接種を受け、うち134例が2回目のワクチン接種を受けた。ワクチンは1日目と21日目に標準用量で接種し、アンケートは電話で行った。 主な結果は以下のとおり。・初回投与後に3例が死亡し、うちCOVID-19による死亡が1例、がんの進行による死亡が2例だった。初回投与後に最も多かった有害事象は注射部位の痛みで、134例中28例(21%)にみられた。全身性では倦怠感(4%)、頭痛(2%)、筋肉痛(2%)、悪寒(1%)などがみられた。・2回目の投与後の観察期間中に、134例中4例(3%)が入院した(がん関連の合併症3例、発熱1例)が、全例が治療後に退院した。初回より2回目のほうが、全身性および局所性の有害事象が多く観察された。主な有害事象は、局所性では注射部位の痛み(63%)、局所発疹(2%)、局所腫脹(9%)で、全身性では筋肉痛(34%)、倦怠感(34%)、頭痛(16%)、発熱(10%)、悪寒(10%)、消化器合併症(10%)、インフルエンザ様症状(2%)で、入院または特別な介入は必要な例はなかった。・がん治療はICIのみが116例(87%)、ICIと化学療法の併用が18例(13%)だったが、全身性の有害事象はどちらも同程度だった。免疫関連有害事象の新規発現、既存の免疫関連有害事象の悪化はみられなかった。・筋肉痛はがん患者で有意に多かったが、それ以外はがん患者群と対照群で類似していた。両群ともワクチン接種後に免疫関連筋炎はみられなかった。・ワクチン接種前に免疫関連有害事象を報告していた患者(54%)と報告しなかった患者で、2回目接種後に全身性の有害事象を報告した患者数に有意な差はなかった(p=0.94)。過去に免疫関連有害事象を経験した患者でもワクチン関連有害事象は軽度で、入院や治療中止に至らなかった。 著者らは、「これらのデータは、ICIで治療されたがん患者におけるBNT162b2 mRNAワクチンの短期的な安全性を示唆している」としている。

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第56回 COVID-19の自宅ステロイド治療が有望/血栓症はワクチン後よりCOVID-19後の方が多い

COVID-19のステロイド治療で回復が早まり、悪化を減らしうる非入院の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が入院せずに済むようにしうる治療幾つかをまとめて調べている英国の無作為化試験PRINCIPLE1)でステロイド・ブデソニド(商品名:パルミコート)吸入の効果が判明しました。65歳以上か持病がある50歳以上のCOVID-19患者の回復までの日数は通常療法に加えてブデソニドを14日間1日2回吸入する群751人の方が通常療法のみの群1,028人に比べて約3日間(3.011日間)短かったのです2,3)。入院率はブデソニド吸入群では8.5%、通常療法のみの群では10.3%でした。その差のベイズ95%確信区間(-0.7%~+4.8%)上限は0を超えており、今回の途中解析では残念ながらブデソニドが入院を減らす効果は示せませんでした。しかしPRINCIPLE試験の担当医一覧にも名を連ねるMona Bafadhel氏等が率いた別の無作為化試験STOICでは有望なことにブデソニド治療で救急科(ED)受診や入院を含む急な医療動員を減らすことができました。Lancet Respiratory Medicine誌4)に最近掲載されたSTOIC試験はPRINCIPLE試験よりも小規模で被験者数は146人です。PRINCIPLE試験では重症化の恐れが大きい高齢者への効果が調べられたのとは違ってSTOIC試験の被験者はより若く、18歳以上の患者を対象としました。軽度のCOVID-19発症から7日以内のそれら被験者の住まいに看護師が出向いて同意を得、通常療法かブデソニド吸入群に無作為に振り分け、吸入器を渡し、PCR検査用の鼻喉の拭い液を回収しました。患者には研究チームが毎日電話して酸素飽和度や体温が確認され、有害事象が把握されました。患者とそのようにやり取りして28日間追跡した結果、咳には蜂蜜(honey)、発熱症状にはアセトアミノフェンやアスピリン等の解熱剤使用が指示された通常療法群73人では15%(11/73人)がED受診や入院を含むCOVID-19関連の急な医療の出番を要しました。一方、残り半分73人のブデソニド吸入群でのその割合は僅か3%(2/73人)で済みました。ブデソニド吸入はCOVID-19感染初期に有効な治療として世界で広く利用しうると著者は言っています。今後の課題の一つとしてSTOIC試験で示されたCOVID-19悪化予防効果がブデソニドに限るのかそれともどの吸入コルチコステロイドにもあまねく備わっているのかを調べる必要があります5)。稀な血栓症・脳静脈血栓症はCOVID-19後の方がワクチン後より生じ易いAstraZenecaやJohnson & Johnson(J&J)のワクチンの稀な血栓症・脳静脈血栓症が心配されていますが、ではそれらワクチンで防ぎうるCOVID-19後はどうなのか?米国の8,100万人を網羅する医療情報集TriNetX Analyticsを使った解析によると脳静脈洞血栓症(CVST)とも呼ばれる脳静脈血栓症はどうやらワクチン後に比べてCOVID-19の後の方がずっと生じ易いようです6)。TriNetX Analyticsに記録されたCOVID-19患者51万3,284人のうち20人がその診断から2週間以内に脳静脈血栓症を発現しました。Pfizer/BioNTechやModerna のmRNAワクチンを接種した48万9,871人での発現数は2人のみでした。100万人当たりに換算するとCOVID-19後2週間の脳静脈血栓症発現数は39例、かたやmRNAワクチン接種後2週間は僅か4例であり、COVID-19後はmRNAワクチン接種後より10倍ほど生じ易いことが示されました。著者が言及している最近の欧州医薬品庁(EMA)推定によるとAstraZenecaのCOVID-19ワクチン接種後の脳静脈血栓症の発生率は100万人あたり5人です。AstraZeneca と同じくアデノウイルスを下地とするJ&Jワクチンがどうかは今回の解析では言及されていません。Pfizerは今回の結果に納得しておらず、同社のmRNAワクチンと血栓塞栓症は無縁との見解を科学ニュースThe Scientistに送っています7)。米国の疾病管理センター(CDC)や英国の医薬品医療製品規制庁(MHRA)の最近の検討でもPfizerワクチンと血栓症の関連はないと判断されていると同社は言っています。参考1)PRINCIPLE Trial2)Asthma drug budesonide shortens recovery time in non-hospitalised patients with COVID-19 / PRINCIPLE Trial3)Inhaled budesonide for COVID-19 in people at higher risk of adverse outcomes in the community: interim analyses from the PRINCIPLE trial. medRxiv. April 12, 20214)Ramakrishnan S, et al. Lancet Respir Med. 2021 Apr 9:S2213-2600.00160-0. 5)Agusti A, et al. Lancet Respir Med. 2021 Apr 9:S2213-2600.00171-5.6)Cerebral venous thrombosis: a retrospective cohort study of 513,284 confirmed COVID-19 cases and a comparison with 489,871 people receiving a COVID-19 mRNA vaccine. Center for Open Science. 2021-Apr-157)Blood Clot Risk from COVID-19 Higher than After Vaccines: Study / TheScientist

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AZ社新型コロナワクチンによる血栓症、血小板減少の原因は?/NEJM

 英・アストラゼネカ社製の新型コロナウイルス感染症に対するアデノウイルスベクターワクチン(ChAdOx1 nCov-19、以下AZD1222)接種後、異常な血栓イベントや血小板減少症の発生が世界各国で相次いで報告されている。今回、ドイツ・グライフスヴァルト大学のAndreas Greinacher氏らがそれらを発症した患者について調査した結果、AZD1222接種者は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を引き起こすHIT抗体(血小板第4因子[PF4]・ヘパリン複合体を抗原として作られる抗体)によって血小板減少症を発症する可能性があることを明らかにした。NEJM誌オンライン版4月9日号掲載の報告。 研究者らは ドイツとオーストリアでAZD1222接種後に血栓症または血小板減少症を発症した11例の臨床および検査値の特徴について、標準的酵素免疫法を用いて評価。さまざまな反応条件下で、血小板が活性化するHIT抗体とPE4・PVS複合抗体(PF4 Enhanced®)の検出を確認した。また、ワクチン関連の血栓イベント調査用の紹介患者の血液サンプルを含めて測定したところ、PF4-ヘパリン抗原・抗体検査で28件が陽性だった。 主な結果は以下のとおり。・11例のうち9例は女性、年齢中央値は36歳(範囲:22〜49歳)だった。・ワクチン接種5〜16日後から、致命的な頭蓋内出血を呈した1例を除き、1つ以上の血栓イベントが発生した。・1つ以上の血栓イベントを呈した患者のうち、9例は脳静脈血栓症(CVT)、3例は内臓静脈血栓症(STV)、3例は肺塞栓症(PE)、4例はその他の血栓症を発症した。・6例が死亡し、5例は播種性血管内凝固症候群(DIC)だったが、いずれも症状出現前にヘパリン投与はなかった。・HIT抗体陽性の28件の検査全例で、ヘパリンとは関係なくPF4の存在下、血小板活性化を示した。また、この活性化は高濃度ヘパリン、FcRレセプターブロッキングモノクローナル抗体および免疫グロブリン(10mg/mL)によって阻害された。・2例を対象としたPF4またはPF4-ヘパリン抗原アフィニティー精製された抗体を用いた追加研究では、PF4とは関係なく血小板の活性化が確認された。

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 呼吸器

第1回 慢性閉塞性肺疾患(COPD) オーバーラップ症候群(ACO)第2回 特発性間質性肺炎(IIPs)第3回 咳嗽・喀痰第4回 喘息第5回 肺炎第6回 肺癌 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。呼吸器については、島根大学医学部附属病院の長尾大志先生がレクチャーします。ガイドラインの改訂がとくに顕著な呼吸器領域。疾患の概念や治療方針に関する大きな変更点、新たに採用された診断基準に注目します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 慢性閉塞性肺疾患(COPD) オーバーラップ症候群(ACO)タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じる慢性閉塞性肺疾患(COPD)。2018年のガイドライン改訂により、炎症だけでなく非炎症性機転も重視され、FEV1の数値と合わせて、各症状の程度を加味した総合的な重症度の判断が求められるようになりました。喘息とCOPDを合併したACOは、COPD全体の10~20%を占め、治療には吸入ステロイドを併用します。増悪した際の治療手順も試験で問われやすいポイントです。第2回 特発性間質性肺炎(IIPs)特発性間質性肺炎(IIPs)は、明らかな原因を特定できない間質性肺炎の総称。主要6疾患と、その他の希少疾患に分類されます。各疾患名だけでなく、対応する病理組織パターンもしっかり確認しておきましょう。中でも重要なのが特発性肺線維症(IPF)。IPFの診断は、病理診断は必須ではありませんが、アルゴリズムに沿って複数の項目をチェックします。他のIIPsと唯一異なるIPF治療のポイントは、ステロイドを使用しないこと。第3回 咳嗽・喀痰「咳嗽喀痰の診療ガイドライン2019」では、咳嗽と密接に関連している喀痰の項目を新たに追加。咳嗽と喀痰の原因疾患は、急性と慢性に大別されます。狭義の感染性咳嗽、いわゆる風邪には、抗菌薬は不要です。多彩な疾患が鑑別に上がる遷延性・慢性の咳嗽。鑑別診断では、結核や肺癌など危険な疾患を見逃すことなく、後鼻漏の原因となる好酸球性副鼻腔炎や、喘息、胃食道逆流症なども念頭に置きます。※この番組は2020年3月に収録したものです。新型コロナウイルス感染症については取り上げていません。第4回 喘息変動性を持った気道狭窄や咳などの症状を起こす喘息。これまで明確な診断基準は示されていませんでしたが、「喘息とCOPDのACO診断と治療の手引き2018」に、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)値が診断に有効な指標として記載されました。近年の重要な治療方針の変更点は、以前は重症のみに使用されていた抗コリン薬が、比較的初期から吸入ステロイドと併用可能になったこと。重症例に効果的な抗体医薬も増えているので、しっかり押さえておきましょう。第5回 肺炎市中肺炎、院内肺炎、医療・介護関連肺炎の3つの肺炎が統合されたガイドラインが2017年に発表されました。終末期の症例が含まれる院内肺炎と医療・介護関連肺炎を1つの診療群とし、市中肺炎と区別した診療プロセスが示され、終末期における患者の意志やQOLを尊重した治療・ケアのあり方が重要なトピックとなっています。肺炎の種別の重症度スコアリング法や、段階別の治療戦略、適応できる薬剤を解説します。第6回 肺癌今回は非小細胞肺癌について詳しく解説します。肺癌については新規薬剤の開発が盛んで、それに伴ってガイドラインもオンラインで頻繁に更新されています。まずTMN分類で、手術、放射線治療、または薬剤治療のどれを採用するか適応判断。キナーゼ阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場によって、生存期間の延長が見込めるようになりました。副作用に耐えられるか、患者さんの体力も考慮しながら使用できる薬剤を選択します。

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第51回 コロナワクチンの最新版手引き、1瓶から6回接種が前提に

<先週の動き>1.コロナワクチンの最新版手引き、1瓶から6回接種が前提に2.医師の働き方改革が衆議院通過、日医の見解は?3.接触確認アプリの杜撰な運用実態、業者が1,200万円を返納4.初の費用対効果評価で薬価引き下げ、類似品目も適用5.健康保険証の交付廃止、マイナンバーカード一体化を提案/財務省1.コロナワクチンの最新版手引き、1瓶から6回接種が前提に厚生労働省は、16日に新型コロナウイルス感染症にかかわる予防接種について、医療機関向け手引きの改訂版(2.1版)を公開した。今後、医療従事者の優先接種用として、1バイアルから6回分接種可能な注射針およびシリンジを配布する。また高齢者の優先接種についても、調整が順調に進めば、5月中には同注射器の配布が可能になることが明記された。優先接種順位については、居宅・訪問サービス事業所等の従事者も、高齢者以外で基礎疾患を有する患者と同じ優先対象とされた。なお、医療機関がワクチンを入手するためには、V-SYS(ワクチン接種円滑化システム)を導入しなければならない。(参考)資料 新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き(2.1版)(厚労省)新型コロナワクチンの供給の見通し(同)「1瓶6回」の注射器、5月10日から供給 河野氏(日経新聞)2.医師の働き方改革が衆議院通過、日医の見解は?現在開催されている通常国会で、医師の働き方改革を含む医療法等の改正案が衆議院を通過し、参議院での法案審議が始まる。これを踏まえ、日本医師会は14日に記者会見を行った。大学病院・基幹病院における地域医療支援については、地方への医師派遣は「地域医療提供体制の観点からは必須である」とするとともに、「全国医学部長病院長会議とも連携し、継続されている大学病院からの医師派遣が妨げられることのないよう取り組んでいく」との考えを表明。医師の労働時間短縮計画については、各医療機関に対して「労働時間の把握など、36協定の締結、健康診断の実施などの基本的事項からしっかりと取り組んで欲しい」としたほか、評価機能の仕組みについては、医療機関を取り締まったり、罰則を与えたりするものではなく、体制が整備されていない医療機関に対し、取り組みの支援を行っていくものであることに理解を求めた。なお、4月14日の参議院本会議では医療法改正案について趣旨説明と質疑が行われ、その様子が川田 龍平参議院議員のブログに掲載されている。(参考)医師の働き方改革の進捗状況について(全国医学部長病院長会議との連携)(日本医師会)川田 龍平参議院議員ブログ3.接触確認アプリの杜撰な運用実態、業者が1,200万円を返納厚労省は、新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した可能性を知らせるアプリ(COCOA)について、不具合の発生要因や再発防止策について、報告書を公開した。陽性者との接触通知が届かない状態のまま放置されたのは、アプリを管理する事業者と厚労省の間で認識が共有できていなかったと説明。また、短期スケジュールの中、アプリの開発ならびに保守運用を受託していたパーソルプロセス&テクノロジーが他社に再委託、再々委託することを容認し、事業者間の役割分担が不明確になったことや、厚労省の人員体制も不十分だったことが今回の不具合につながったと考えられる。厚労大臣は事務次官らを厳重注意処分しており、再発防止が求められる。また、パーソルプロセス&テクノロジーは、昨年8月以降の業務対価の1,200万円を自主返納することを発表した。(参考)接触確認アプリ「COCOA」の不具合の発生経緯の調査と再発防止の検討について(報告書)(厚労省)厚労省、COCOA不具合の検証結果を公表 業者任せ、多重下請けなどの課題が浮き彫りに(ITmedia)コロナ接触アプリ業者が対価返納 1200万円、COCOA不具合(共同通信)4.初の費用対効果評価で薬価引き下げ、類似品目も適用14日に行われた中央社会保険医療協議会総会において、費用対効果評価専門組織からの報告をもとに、CAR-T細胞療法(患者由来T細胞の遺伝子組み換えを行い、がん細胞を攻撃しやすくして患者の体内に戻す免疫細胞療法)に使われるチサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア点滴静注)の価格調整が行われた。現行薬価3,411万3,655円から約146万円(約4.3%)引き下げられ、3,264万7,761円となる。なお、医療機関における在庫への影響などを踏まえ、調整後価格は7月1日付で適用。同日に、CAR-T細胞製品2番手のアキシカブタゲン シロルユーセル(商品名:イエスカルタ点滴静注)が薬価3,411万3,655円で承認されたが、21日の収載と同時に価格調整が適用され、保険償還価格は1番手と同じ3,264万7,761円となることが報告された。同様に、フルチカゾン/ウメクリジニウム/ビランテロール(商品名:テリルジー)の価格調整を受けて、類似品目のブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール(同:ビレーズトリ)、インダカテロール/グリコピロニウム/モメタゾン(同:エナジア)も引き下げを受けた。(参考)中医協総会 イエスカルタの保険償還価格は3264万円 収載日に費用対効果評価結果を反映(ミクスonline)中医協総会 キムリアとテリルジーの薬価引下げを了承 初の費用対効果評価で7月1日から(同)資料 キムリアの費用対効果評価結果に基づく価格調整について(厚労省)資料 テリルジーの費用対効果評価結果に基づく価格調整について(同)5.健康保険証の交付廃止、マイナンバーカード一体化を提案/財務省13日に、首相が議長を務める経済財政諮問会議が総理大臣官邸で開催された。参加した民間議員からは、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにするため、単独交付を取りやめ、マイナンバーカードへの完全な一体化を実現すべきとの提案が示された。ほかにも、企業が希望する従業員に対して「選択的週休3日制」の導入を求める提言が出された。従業員のスキルアップや多様な働き方を支援し、育児や介護との両立を後押しするのが目的で、これらを「骨太の方針」に盛り込む見込み。ただし、マイナンバーカードとの一体化により、従来の健康保険証と異なり、受領には顔写真付きの身分証明書の提示が必須になるため、認知症や身体障害者などにも対応できる自治体の体制整備が必須となる。(参考)健康保険証の交付廃止を マイナンバーカードと一体化―民間議員が提言へ・諮問会議(時事通信)経済財政諮問会議 健康保険証の単独交付取りやめ マイナンバーカードへの一体化を民間議員が提案(ミクスonline)週休3日制、環境整備議論 諮問会議(日経新聞)資料 令和3年第4回経済財政諮問会議(内閣府)

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ワクチン接種後アナフィラキシー発症例、その特徴は/厚労省

 2021年2月17日~4月4日までに、日本国内で新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーとして医療機関から報告されたのは350例。これらの事例について専門家評価が行われ、実際にブライトン分類1~3に該当しアナフィラキシーとして判断されたのは79例であった。4月9日に開催された厚生労働省第55回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会1)では、この詳細が公開された2)。現時点での報告頻度は100万回当たり72 件 350例についての専門家評価の結果、ブライトン分類1*が14件(1回目接種:14件)、2が57件(1回目接種:53件/2回目接種:4件)、3が8件(1回目接種:8件)該当したことが報告された。 ブライトン分類レベル1~3の報告頻度は79 件/109万6,698 回接種(72 件/100万回)。米国での報告(4.7件/100万回)や英国での報告(17.7回/100万回)と比較すると高いようにもみられるが、米国の医療従事者調査では247回/100万回という報告も出ており、被接種対象者の違い、報告制度の違い等の理由から、単純な比較は難しい状況にあると検討部会では位置づけている。年齢別・性別・アレルギー歴別の報告数 ブライトン分類レベル1~3に該当した79例について年齢別・性別・アレルギー歴別に報告件数をみた結果は以下のとおり。[年齢別・性別]20~29歳:15件(男性6件/女性9件)30~39歳:20件(男性2件/女性18件)40~49歳:28件(男性0件/女性28件)50~59歳:13件(男性0件/女性13件)60~69歳:3件(男性0件/女性3件)[アレルギーの既往歴別(アナフィラキシーおよび薬剤アレルギーの既往歴の有無別)]ブライトン分類レベル1:既往歴有4件/既往歴なし9件/不明1件(計14件)ブライトン分類レベル2:既往歴有23件/既往歴なし32件/不明2件(計57件)ブライトン分類レベル3:既往歴有1件/既往歴なし7件/不明0件(計8件) なお、アナフィラキシーとして報告されたほぼ全ての症例で軽快したことが判明していると報告され、各症例の転帰や転帰日のほか基礎疾患などについての情報が、資料2)にまとめられている。日本アレルギー学会の専門委員による評価結果 今回の部会では、参考人として日本アレルギー学会理事の中村 陽一氏(横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター センター長)を招聘。中村氏は、日本アレルギー学会 Anaphylaxis 対策委員会での検討結果3)について報告した。この検討は、3月11日までに医療機関からアナフィラキシーとして報告された35件について行われたもの(このうちブライトン分類1~3に該当とされたのは10件)。 11名の同委員会委員によるアレルギー学会ガイドラインに基づく重症度分類で、グレード1(軽症)としての評価が最も多かった事例は16例、グレード2(中等症)としての評価が最も多かった事例は10例、グレード3(重症)が9例となった。全体として重症度は低かったことになるが、アドレナリンを中心とする治療により重症への進展を防ぐことができた症例が含まれている可能性があると指摘している。β遮断薬使用者や高血圧患者でのアドレナリン使用の注意点 アドレナリン筋注の使用に関して、報告では使用された20例中「使用は適切であった」が15例、 使用されなかった11例は全て「使用しなかったのは適切であった」という結果であった。なお、4例ではアドレナリン使用の有無に関する記載がなかった。「アドレナリンの使用に関する記載が不十分ではあったものの、その使用については概ね適切な対応がなされていたのではなかったかと推察された」とまとめられている。世界的にもアナフィラキシーガイドラインでは一般的に、「現場の医師がアナフィラキシーと判断した場合はアドレナリン筋注を実施すべきであり、適切な実施がなされなかったために致命的となるリスクは過剰使用のリスクよりもはるかに大きい」と考えられている。 委員からは、β遮断薬使用者や高血圧患者でのアドレナリン使用、高齢者での接種開始にまつわる注意点についての質問が上がった。中村氏は、「β遮断薬使用者ではアドレナリンが効かない場合が多いので、グルカゴンの使用など、通常のルールに従って行われるべきではないか」と回答。「高血圧患者に対しては、例えば血圧が200近い場合などはアドレナリンの投与に躊躇するのではないかと思う。その場合、投与量を減らすのが一般的なアナフィラキシーに対する救急の処置になる。具体的には、通常、成人には0.3mgのところを0.2mgとするなどが考えられる」と説明した。投与量が少ないためにアナフィラキシーに対する効果が薄い場合には、例えば15分後に再投与するなどの工夫が必要になるとした。そのうえで、アナフィラキシーはその場で命に関わるものであり、高血圧はアドレナリン投与の絶対的な禁忌ではないことを補足した。 また高齢者の接種開始にまつわる注意点については、「コントロール不良の喘息患者さんでは、アナフィラキシーが重症化しやすい。そして重症喘息は高齢者に比較的多いので、注意が必要」と指摘した。*:ブライトン分類については、第53回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(2021年3月21日)配布資料「国内でのアナフィラキシーの発生状況について」9ページ目に詳細が解説されている。

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新型コロナワクチン接種、51.7%が副反応に不安/MDV

 メディカル・データ・ビジョン(MVD)は4月13日、キャンサーネットジャパン(CNJ)と共同実施した新型コロナワクチン接種に関するアンケート結果をプレスリリースした。それによると、接種を希望する患者は80.0%で、全回答者のうち51.7%は副反応に不安を抱いていることが明らかになった。 本アンケートはMDVが3月25日~4月5日(CNJは4月6日~4月12日)にウェブを通じて実施、300人から回答を得た。「ワクチン接種に関して感じている不安」について聞いた結果、副反応に関して51.7%と最も多くの人が不安を感じ、次いで、効果が11.7%、供給体制は9.7%、他疾患に対する影響は9.0%だった。 自由記述の中には、「がんの進行に影響しないか」 「抗がん剤投与と併用しても効果があるのか」「ワクチン接種前に飲んではいけない薬などあるのか」「変異種にも効果があるのか」などがあった。そのほかに「いつになったら接種できるのか」「不安材料の情報ばかり伝わってくる」など、信頼できる情報が少ないことへの不安の声も寄せられていた。 今回アンケートを行ったCNJの理事を務める後藤 悌氏(国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科)は「ワクチン接種による副反応を気にされている方が多い印象。どのような治療にも予防にもメリットデメリットがある。新型コロナウイルスに関する大量の情報が氾濫するなかで、不正確な情報や誤った情報が急速に拡散し、社会に影響を及ぼすと言われる”インフォデミック”の状況である。不安を背景に、科学的とは言えない対策がとられていることも多いようだが、ワクチン接種においても適切な情報を入手した上で判断いただきたい」とコメントしている。

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英国のEHR、COVID-19と心血管疾患の関連を解析可能なリソースに/BMJ

 イングランドではCOVID-19パンデミックを機に、研究者が全国の電子健康記録(EHR)にアクセスできるように、データリソースが改められた。パンデミック当初は認可を受けた研究者であっても、全国のEHRにアクセスはできず、医療や公衆衛生政策をサポートするための分析ができなかったからだという。データセキュリティーとプライバシーを確保し、国民の信頼を損なうことなくCOVID-19と心血管疾患に関する全国的な研究を可能とした新たなEHRのリソースについて、英国・ケンブリッジ大学のAngela Wood氏らがBMJ誌2021年4月7日号で報告している。全国民の健康関連情報にアクセス可能な、新たなデータリソースを構築 新たなデータリソースは、NHS Digitalが構築した信頼できる研究環境内で、イングランドの全健康関連施設からの個人レベルの記録にアクセスできるというものであった。具体的には、プライマリケアからのEHR、病院エピソード(入院、外来、救急救命)、死亡レジストリ、COVID-19検査施設の検査結果、地域薬局の調剤データなどであり、さらに今後は専門家による集中治療、心血管系の監査記録、病院の電子処方、COVID-19ワクチンデータを含むことが計画されており、イングランドのNHS一般開業医に登録の2020年1月1日時点で生存する5,440万人のデータが集約されるに至った。 研究グループはこの新たなデータリソースを使って、2020年1月1日~10月31日における、確認および疑われたCOVID-19診断記録、典型的な心血管症状(脳卒中または一過性脳虚血発作[TIA]および心筋梗塞)の発生、全死因死亡を評価した。心血管イベントとCOVID-19の関連はもとより幅広い研究も可能に リンクされたコホートには英国人の96%以上が含まれ、全国の健康関連施設の個人レベルのデータを集約することで、全人口の約95%の年齢、性別、民族性に関するデータを網羅できた。 脳卒中/TIAの診断歴のない5,330万人において、2020年1月1日~10月31日(評価対象期間)の初発脳卒中/TIA発症者は9万8,721人だった。そのうち30%がプライマリケアのみで記録されており、4%が死亡レジストリのみの記録だった。 心筋梗塞の診断歴のない5,320万人において、評価対象期間の心筋梗塞発症者は6万2,966人だった。そのうちプライマリケアのみで記録されていたのは8%で、死亡レジストリのみの記録は12%だった。 合計95万9,470人に、COVID-19と確認または疑いの診断記録があった(プライマリケアデータ71万4,162人、入院記録12万6,349人、COVID-19検査施設の検査データ77万6,503人、死亡レジストリの記録5万504人)。このうち58%がプライマリケアとCOVID-19検査施設の検査データ両方で記録されていたが、プライマリケアのみで記録されていたのは15%、検査施設の検査データのみで記録されていたのは18%だった。 これらの結果を踏まえて著者は、「この全国民を網羅したリソースは、主要な特性の完全性を最大化するために、また心血管イベントとCOVID-19の診断を確認するうえで、健康関連施設の個人レベルのデータを結び付けることの重要性を示すものであった」と述べるとともに、「今回構築したリソースは当初、COVID-19と心血管疾患の研究をサポートし、臨床ケアと公衆衛生に利益をもたらすことや医療政策への情報提供のために開発されたが、さらに幅広い研究を可能とするだろう」とまとめている。

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新型コロナウイルスに対する学校の感染対策

学校関係者・保護者の皆さん、コロナ禍における学校感染対策の本がついにできました!パンデミックの最中、一斉休校や学校行事の縮小・中止等で一番影響を被っているのは、子どもたちかもしれません。「休み時間ごとの手洗い」「冬場でも換気・換気・換気」「会話の奪われた給食」「運動会、修学旅行、遠足の縮小や見送り」…。学校の先生方もやれることはすべてされていると思います。でも、子どもたちへの感染対策は「何をどうしたらいいのか?」「どこまですればいいのか?」。教育現場の指針だけでは迷われることも多いでしょう。そんな疑問に感染症専門医が1つひとつ丁寧にお答えします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    新型コロナウイルスに対する学校の感染対策定価2,640円(税込)判型A5判頁数144頁発行2021年4月著者武藤 義和

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TNF阻害薬治療中のIBD患者でCOVID-19感染後の抗体保有率低下

 生物学的製剤であるTNF阻害薬を巡っては、これまでの研究で肺炎球菌やインフルエンザおよびウイルス性肝炎ワクチン接種後の免疫反応を減弱させ、呼吸器感染症の重症化リスクを高めることが報告されていた。ただし、新型コロナ感染症(COVID-19)ワクチンに対しては不明である。英国・Royal Devon and Exeter NHS Foundation TrustのNicholas A Kennedy氏らは、炎症性腸疾患(IBD)を有するインフリキシマブ治療患者のCOVID-19感染後の抗体保有率について、大規模多施設前向きコホート研究を実施した。その結果、インフリキシマブ治療群では、コホート群と比べ抗体保有率が有意に低いことがわかった。著者らは、「本結果により、COVID-19に対するインフリキシマブの免疫血清学的障害の可能性が示唆された。これは、世界的な公衆衛生政策およびTNF阻害薬治療を受ける患者にとって重要な意味を持つ」とまとめている。Gut誌オンライン版2021年3月22日号の報告。 研究グループは、2020年9月22日~12月23日に、英国の92医療施設に来院したIBD患者7,226例を連続して登録。このうち血清サンプルと患者アンケートが得らえた6,935例について調べた。被験者のうち67.6%(4685/6935例)がインフリキシマブによる治療を受け、32.4%(2250/6935例)がベドリズマブによる治療を受けた。 主な結果は以下のとおり。・インフリキシマブ治療群とベドリズマブ治療群において、SARS-CoV-2感染に関する割合は両群間で類似していた:疑い例(36.5%[1712/4685例] vs.39.0[877/2250例]、p=0.050)、PCR陽性(5.2%[89/1712例] vs.4.3%[38/877例]、p=0.39)、入院(0.2%[8/4685例] vs.0.2%[5/2250例]、p=0.77)。・血清有病率は、インフリキシマブ治療群のほうがベドリズマブ治療群よりも有意に低かった(3.4%[161/4685例] vs.6.0%[134/2250例])、p<0.0001]。・多変数ロジスティック回帰分析では、インフリキシマブ群(vs.ベドリズマブ群のOR:0.66、95%信頼区間[CI]:0.51〜0.87)、p=0.0027)および免疫抑制薬(同:0.70、95%CI:0.53〜0.92、p=0.012)において、より低い血清陽性と独立して関連していた。・SARS-CoV-2感染後、セロコンバージョンが認められた被験者は、インフリキシマブ治療群のほうがベドリズマブ治療群よりも少なかった(48%[39/81例] vs.83%[30/36例])、p=0.00044)。

2040.

新型コロナ、第4波の大阪は「これまでとは別世界」~呼吸器科医・倉原優氏の緊急寄稿(2)

 「新型コロナウイルスの感染状況は第4波に入った」。変異株を含め、全国的に感染者が再び急増している現状について、識者らは相次いで明言した。なかでも、1日の新規感染者数が1,000人超を記録している大阪府はとりわけ深刻だ。渦中の医療現場は今、どうなっているのか。CareNet.com連載執筆者の倉原 優氏(近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)が緊急寄稿でその詳細を明らかにした。大阪府コロナ第4波の現状 以前、大阪府コロナ第3波についての現状をお伝えしましたが1)、あれからいったん落ち着いたものの、現在第4波が到来しています。大阪府は1日の新規感染者数が過去最大規模になっており、医療現場は災害級に混乱しています。第3波と異なるのは、(1)年齢層(2)重症度(3)速度です。(1)年齢層 大阪府フォローアップセンターから入院要請のあるCOVID-19患者さんの年齢が、15歳ほど下押しされています。当院に入院した第1波~3波までの平均年齢(±標準偏差)は68(±17)歳、第4波の平均年齢は53(±19)歳です。直近のデータで、感染者が40代未満である割合が5割弱と引き続き高く、若い世代を中心に感染が広がっていることがわかります。(2)重症度 この第4波、来院して最初に撮影した胸部画像検査で背筋がゾっとすることが多くなりました。糖尿病コントロールが不良で高度肥満があり、SpO2が90%未満の場合、ある程度の覚悟を持って診療に当たることができますが、そこまでの基礎疾患がなく、SpO2が92~93%程度であるにもかかわらず、「エッ!」と声を上げてしまうほど両肺のすべての葉に肺炎が見られるケースが増えています。このパンデミックで、自分より年下のARDSを経験するなんて思いもしませんでした。基本的に中等症IIがメインで、中等症Iならホっとするくらいです。(3)速度 大阪府は、保健所および入院フォローアップセンターが連携して入院病床の管理を行っており、どの病院に入院してもらうかはフォローアップセンターの少数精鋭部隊が担っています(図1)。 第3波の時点で重症病床を約230床確保していましたが、第4波に入る前はかなり病床数を減らしていました。第3波の後半で、すでに重症病床が約60床埋まっている状態がスタートだったため、第4波で軽症中等症病床が埋まるより先に重症病床がパンクしてしまいました。 そのため、緊急増床に踏み切った大阪府の施策は間に合わず、あっという間に第4波の確保病床を超えてしまい、軽症中等症病床で挿管・人工呼吸管理のCOVID-19患者さんを診療する状態になってしまいました。当院でもすでにそういった患者さんが発生しており、重症病床が増えない限り、これが常態化するかもしれません。 「N501Y変異株」の症例が増えているのは確かですが、この病床逼迫の最たる原因なのかはわかりません。緊急事態宣言が緩和され、卒業・入学シーズンで人出が増えた影響もあり、相加相乗的に作用した可能性はあります。ただ、大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の公開資料によると、この病床逼迫速度は第3波の約3倍とされており2)、きわめて想定外の事態であったことは間違いありません。また、「N501Y変異株」陽性者の発症から重症化までの日数は従来株よりも約1日早いとされており(表)、これが先述の状況に拍車をかけたのかもしれません。第4波を乗り越えたとしても… 第4波のCOVID-19、第3波までと実はまったく別の疾患なのではないかというくらい、ARDSの頻度が高いです。大阪に続いて東京にも第4波が到来する可能性は十分にあります。 とはいえ、ゴールデンウイークに向けて徐々に減ってくることに期待したいものです。4月5日からの「まん延防止等重点措置」が始まって2週間後にあたる4月19日以降、新規陽性者数が減ってくれば第4波は落ち着くかもしれません(図2)。 しかしながら、第4波を乗り越えたとしても遅滞なくワクチン施策が進まなければ、また7月頃に第5波がやってくる可能性はあります。そうなれば、オリンピック開催時期と完全に被ってしまうことになるでしょう。多方面へのシビアな調整が必要になるため、オリンピックを中止あるいは延期するという選択肢はないのだと思いますが、ハンマー・アンド・ダンスで時間稼ぎをするにも現場の疲弊は限界を迎えつつあり、もはやワクチンに希望を託すしかなさそうです。【倉原 優氏プロフィール】2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て、08年より現職。CareNet.comでは、「Dr. 倉原の“おどろき”医学論文」「Dr.倉原の“俺の本棚”」連載掲載中。

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