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分娩後異常出血、ドレープによる早期検出と一連の初期治療が有効/NEJM

 分娩後異常出血について、目盛り付き採血ドレープによる早期検出と、子宮マッサージ、オキシトシンやトラネキサム酸投与などによる一連の初期治療により、重度分娩後異常出血や出血による開腹手術または母体死亡の複合リスクの低下に結び付くことが示された。世界保健機関(WHO)のIoannis Gallos氏らが、ケニア、ナイジェリアなど80の病院を対象に行った国際クラスター無作為化比較試験の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2023年5月9日号掲載の報告。重度分娩後異常出血、出血による開腹手術や母体死亡の統合リスクを比較 研究グループは、経膣分娩を行った女性を対象に、分娩後異常出血に関する多種の介入を評価した。介入は、分娩後異常出血の早期検出を目的とした目盛り付き採血ドレープと、一連の初期治療(子宮マッサージ、オキシトシン、トラネキサム酸、静脈内輸液、検査、エスカレーション)で、介入群の病院に対しては実施戦略によるサポートを行った。対照群の病院では、通常ケアが行われた。 主要アウトカムは、重度分娩後異常出血(失血量1,000mL超)、出血による開腹手術、出血による母体死亡の複合だった。主要な副次アウトカムは、分娩後異常出血の検出、一連の治療順守だった。主要複合アウトカムの発生率、通常ケア群4.3%に対し介入群1.6% ケニア、ナイジェリア、南アフリカ共和国、タンザニアの2次レベルの病院、合計80ヵ所で、経膣分娩を行った21万132例を対象に試験を行った。 データの得られた病院および被験者において、主要アウトカムのイベント発生は、通常ケア群4.3%に対し、介入群は1.6%だった(リスク比:0.40、95%信頼区間[CI]:0.32~0.50、p

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採血時間が入院患者の睡眠不足に影響か

 早朝の採血は入院患者の睡眠に有害な影響を与えるが、それは依然として一般的な医療行為として行われている。そこで米国・イェール・ニューヘブン病院のCesar Caraballo氏らは、早朝採血の実施割合を調査したところ、午前4:00~6:59までの時間帯に最も行われ、採血の10分の4近くを占めていたことが明らかになった。ただし、本研究の終盤には採血時間がわずかだが遅くなっていた。JAMA誌オンライン版2023年1月17日号のリサーチレターでの報告。 2016年11月1日~2019年10月31日の期間、イェール・ニューヘブン病院に入院した成人患者すべての採血イベントについて電子健康記録を照会した。なお、救急部門や集中治療室などで実施される採血、入院後24時間以内に実施される最初の採血は除外した。 Kruskal-Wallis検定を使用して患者のサブグループ間での採血タイミングの違いを評価し、χ2検定を使用して午前4:00~6:59に収集されたサンプルの患者特性を比較した。本病院では主な臨床チームが採血に適したタイミングを指定してオーダーするがデフォルトでは午前6:00に設定されていた。 主な結果は以下のとおり。・入院患者7万9,347例から採取された567万6,092件の採血サンプルが含まれた。・そのうち、220万6,410件(38.9%)が午前4:00~6:59に採血されていた(4:00~4:59は8.9%、5:00~5:59は16.5%、6:00~6:59は13.5%)。・早朝の時間帯以外での全採血の20.7%が7:00~11:59に、28.2%が12:00~23:59に、12.2%が0:00~3:59に行われていた。・早朝採血の分布には、年齢層、人種、民族、性別でわずかではあるが統計学的有意差が認められた。 研究者らは、「早朝採血は、朝のラウンド中に患者の健康状態を評価し、場合によっては退院の決定を知らせるために必要になる場合があるが、睡眠時間中での緊急ではない検査の制限を検討する必要があるかもしれない。また、早朝採血による睡眠の中断がとくに高齢患者において、せん妄やポストホスピタル症候群のリスクを高める可能性があるかもしれない」とし、今後、早朝採血を制限して患者の睡眠を改善させるとともにケアの質に悪影響を与えることなく、患者の転帰を改善できるかどうかを評価する研究が必要だとしている。

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息切れの原因、TKIとの関連は?【見落とさない!がんの心毒性】第19回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別60代・女性主訴労作時息切れ現病歴5年前に発熱を契機に慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia: CML)と診断された。BCR::ABLチロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor: TKI)としてイマチニブの投与が行われたが、血球減少のため不耐と判断され、3年前にニロチニブに変更された。その後BCR::ABLコピー数が上昇傾向にあったため、2年前よりダサチニブに変更された。1ヵ月前より労作時息切れを自覚し、精査が行われた。現症血圧 124/72mmHg、脈拍数 96bpm 整、SpO2 98%(酸素投与なし)、結膜貧血なし、頚静脈怒張あり、心音I音正常範囲、II音亢進、III/IV音なし、収縮期心雑音(胸骨左縁第3肋間で最強)、呼吸音清、下腿浮腫軽度採血白血球数 3520/μL、ヘモグロビン量 10.2g/dL、血小板数 13.8万/μL、尿素窒素 12mg/dL、クレアチニン 0.60mg/dL、総ビリルビン 0.4mg/dL、AST 31U/L、ALT 30U/L、LDH 222U/L、ALP 250IU/L、CRP 0.08mg/dL、BNP 30.5pg/mL、Major BCR::ABL IS 0.0053%胸部X線心胸郭比 52%、両側肺門部陰影拡大、肺うっ血/浸潤影なし、胸水なし、心電図:洞調律、II誘導P波先鋭増高、II・III・aVF誘導で軽度ST低下、QTc=409ms(図1)画像を拡大する息切れ出現後の心電図(上段)では、1年前(下段)と比較しII誘導でP波の先鋭増高を認め、右房負荷が疑われる。心エコー心室壁運動異常なし、左室拡張末期径/収縮末期径 45/27mm、心室中隔/後壁厚 8/8mm、左室駆出率 71%、心嚢液貯留なし、軽度僧帽弁閉鎖不全症、中等度三尖弁閉鎖不全症、三尖弁逆流最大血流速 (圧較差)3.2m/s(40mmHg)、下大静脈径 22mm、呼吸性変動低下【問題】本患者の診療に関する下記の選択肢について、間違っているものはどれでしょうか? 2つ選んでください。a.第2世代BCR::ABL TKIの投薬前後には定期的な心電図検査が必要である。b.ダサチニブの投薬前後には心エコー評価が必要である。c.診断のため右心カテーテル検査を行う。d.心エコー所見を基に肺血管拡張薬を開始する。e.CMLの病勢コントロールが良好であることからダサチニブを同量で継続する。CMLの治療成績はBCR::ABL TKIの登場により大きく向上し、多くの症例で分子遺伝学的奏効が得られるようになりました。第2世代以降のBCR::ABL TKIでは第1世代のイマチニブと比較し高い治療効果が期待できますが、長期毒性はイマチニブより重篤なものが多く、副作用管理が重要になります。第2世代のダサチニブはとくに胸水貯留や肺高血圧症の発症頻度が高く、多数のキナーゼをoff-targetとして阻害することが有害事象の頻度が高い原因と推測されています1,5,6)。ダサチニブは、Tリンパ球、単球 / マクロファージによる血管周囲の炎症や、活性酸素によるアポトーシス、内皮障害などにより肺血管抵抗上昇を来すと考えられています4)。心エコーにより肺高血圧症が疑われる頻度はイマチニブでは0.5~2.7%であるのに対しダサチニブでは5~13.2%と大きな差があり7,8)、イマチニブには肺血管抵抗低下効果も観察されています9)。両薬剤による肺高血圧症の発症頻度の違いの理由として、ダサチニブではイマチニブと異なり、非受容体チロシンキナーゼファミリーの一つであるSrcの阻害作用が強いことが可能性として挙げられますが、ダサチニブはSrc阻害とは無関係に内皮細胞機能障害を引き起こすことも報告されており4)、同じBCR::ABL TKIであるダサチニブとイマチニブが肺血管に対して異なる反応を示すことに対する明確な機序は解明されていません。(図2)肺血管におけるダサチニブとイマチニブの対照的効果 10)画像を拡大するダサチニブによる肺高血圧症のリスク因子として、年齢、心肺合併症、TKI投薬期間、3次治療以降のダサチニブの使用などが挙げられます8,11)。とくにこれらに該当する患者に対しては遅滞なく心エコーを行い、肺高血圧症の早期発見に努める必要があります。(謝辞)本文の作成に際し、九州大学病院 血液・腫瘍・心血管内科 森 康雄先生に監修いただきました。1)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022;43:4229-4361.2)Humbert M, et al. Eur Heart J. 2022;43:3618-3731.3)日本循環器学会. 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)4)Guignabert C, et al. J Clin Invest 2016;126:3207-3218.5)Jacobs JA, et al. Pulm Circ. 2022;12:e12075.6)Weatherald J, et al. Eur Respir J. 2020;56:2000279.7)Cortes JE, et al. J Clin Oncol. 2016;34:2333-2340.8)Minami M, et al. Br J Haematol. 2017;177:578-587.9)Hoeper MM, et al. Circulation. 2013;127:1128-1138.10)Ryan JJ. JACC Basic Transl Sci. 2016;1:684-686. 11)Jin W, et al. Front Cardiovasc Med. 2022;9:960531.講師紹介

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高齢者へのDOAC、本当に減量・中止すべき患者とは/日本循環器学会

 高齢者の心房細動治療において、つい抗凝固薬を減量してしまいがちだが、それは本当に正しいのだろうか。今回、小田倉 弘典氏(土橋内科医院)が『心房細動抗凝固薬(アブレーションを望まない高齢のPAFなど)』と題し、第87回日本循環器学会学術集会のセッション「クリニックで選択されるべき循環器治療薬~Beyond guideline~」にて、高齢者心房細動の薬物療法における注意点を発表した。 小田倉氏はまず、以下の高齢者の症例を提示し、実際に直接経口抗凝固薬(DOAC)を処方するかどうか、またその際に減量するか否かについて問題提起した。高齢者へのDOAC減量と出血リスクの管理<症例>●年齢・性別:82歳・男性、体重:64kg、クレアチニンクリアランス(CCr):52 mL/min(血清クレアチニン[Cr]:1.0mg/dL)●主訴:ある日、脈をとったら不整で、心電図で心房細動と診断された。●服用歴:降圧薬、認知症治療薬、前立腺肥大症治療薬など6種類●患者背景:要介護2。トイレ歩行は可能だが受診時は車いす。転倒歴あり。長男夫婦と3人暮らしだが、日中は1人のことが多い。●CHADS2スコア:3点、HAS-BLEDスコア:1点 上記の高齢者の症例について、「DOAC各薬剤の添付文書にある減量基準、たとえば、アピキサバンは(1)80歳以上、(2)60kg以下、(3)Cr 1.5mg/dL以上のうち2つ以上が、エドキサバンは(1)60kg以下、(2)CCr 15~50、(3)P糖蛋白阻害薬服用のうち1つ以上が該当する場合にそれに当たるが、いずれにも該当していないので、この患者の場合、該当項目を見る限りでは処方可能であり、減量する必要もない」とコメント。 しかし、実際には高齢というだけでDOACの減量基準を満たさずとも減量する例が散見される。クリニックの患者が主体となった日本の高齢者心房細動に対する抗凝固薬療法に関する2つの試験からもその状況が見て取れる。・ANAFIEレジストリ1):3万2,275例(平均年齢81.5歳[85歳以上が26.1%]、経口抗凝固薬の服用:92.4%、ワルファリンTTR :75.5%、発作性心房細動:42%、認知症:7.8%[通院・在宅患者])ではunder-doseが16.8%、未承認低用量が3.7%。 ・GENERAL研究2):5,717例(平均年齢73.9歳、経口抗凝固薬の服用:100%、フレイル[要介護]:12.1%、認知症治療薬の併用:5.9%)ではunder-doseが27.3%。 では、実臨床で高齢者(75歳以上)に対しDOACをunder-doseする理由とは何か。35.8%でunder-doseを認め、脳卒中/全身性塞栓症が有意に多かったXAPASS study3)の結果によると「処方医は通常用量による出血リスクを最も懸念し、続いて高齢、腎機能低下を意識していた。一方、低体重や併用薬剤を選んだ者は少なかった」とコメント。 ところが、75歳以上の日本人で非弁膜症性心房細動患者を対象としたJ-ELD AF試験4)によれば、アピキサバン5mg/日(低用量)群と同薬10mg/日(通常用量)群に割り付け、脳卒中または全身性塞栓症、入院を要する出血について評価したところ、いずれの発生率も有意差が得られなかった。ただし、サブ解析で出血イベントの発生とアピキサバンの血中濃度の関係性を調べたところ、低用量群では血中濃度が高い(トラフ中央値:86ng/dL)群で出血性イベントが有意に多かった。その原因は明らかではないが、「減量基準以外のunknown factorsの存在が示唆される」と同氏は指摘した。DOAC減量基準を満たした患者の出血リスクに注力を これらの報告を踏まえ、同氏は「DOACの減量基準に該当しなければ用量を守り、減量基準を満たす患者は減量したうえで、いかに出血の関連リスクを減らせるかを考えることが重要」と述べ、「その関連リスクはDOAC減量基準やHAS-BLEDスコアに記載がないものにも注意を払う必要があり、改善可能なソフトプロブレム(上記unknown factorsにおおむね相当)と改善困難なハードプロブレムに分類できる。前者にはポリファーマシー(抗凝固薬と併用注意の薬剤を確認)、フレイル(転倒頻度や低体重を考慮)、認知症(服薬アドヒアランスを確認)、高血圧(外来での血圧130/80mmHg目標)が該当し、後者には腎機能低下や出血の既往があるだろう。後者では低用量投与を前提とし、2020年改訂版不整脈薬物治療ガイドライン5)に従い、腎機能チェックの採血をCCr<60mL/minの患者では少なくともXヵ月(X=CCr/10)に1回実施すれば、リスク回避につながる」と対策を講じた。DOACの中止を考えるタイミング また、とくに高齢者ではDOAC中止を考える場面は多いが、具体的には以下が挙げられた。・出血したとき →出血の制御ができないような大腸憩室炎、蜂窩織炎などの既往歴がある場合 →生活面に支障を来すような重い後遺症が残る可能性のある場合・出血以外の副作用が出たとき・腎機能が低下してきたとき・アドヒアランス不良のとき・フレイル(要介護度)が進行した(寝たきりになった)とき 最後に同氏は「併存疾患の有無や身体機能レベルが個々で大きく異なるにもかかわらず、そもそも高齢者を1つのカテゴリーとして捉えることは不可能であり、多様な視点からのカテゴライズが必要となる。言うならば、“科学”と“生活”の両面からのアプローチが必要なのであり、それにはゴールはないため、考え続けることが重要である」と締めくくった。

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脂質異常症(高脂血症)とは?

脂質異常症(高脂血症)とは?血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を、脂質異常症といいます。脂質の異常には、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度の異常があります。これらはいずれも、動脈硬化の促進と関連します1)。脂質異常症の診断基準2)LDLコレステロールHDLコレステロール140mg/dL以上高LDLコレステロール血症120~139mg/dL境界域高LDLコレステロール血症40mg/dL未満低HDLコレステロール血症悪玉が多いタイプ善玉が少ないタイプ150mg/dL以上トリグリセライド (空腹時採血)(中性脂肪)175mg/dL以上高トリグリセライド血症中性脂肪が多いタイプ(随時採血)non HDLコレステロール170mg/dL以上高non HDLコレステロール血症(総コレステロール-HDLコレステロール)150~169mg/dL境界域高non HDLコレステロール血症1)厚生労働省 e-ヘルスネット善玉以外が多いタイプ脂質異常症(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-004.html)2)日本動脈硬化学会編. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. p22 表2-1より一部改変Copyright © 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第141回 神対応の大規模接種会場!モデルナBA.4-5対応ワクチン求め行ってきた

無事2023年に入ったが、世はいまだ新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の第8波の真っ最中である。そうした中で一つの重要な対策であるオミクロン株対応ワクチンの国内接種率は1月4日現在、35.8%。65歳以上の高齢者に限定すると60.2%。全人口で見ると、やや心もとない接種率に見えなくもない。もっとも接種対象者のうち第7波、第8波で感染した人たちが接種保留状態にあることを考えると、まずまずの数字なのではないかと個人的には考えている。そのような中で年の瀬の12月27日、私はようやく新型コロナ・オミクロン株対応ワクチンによる4回目接種を完了した。「ワクチンマニア」を自認する人間としては遅過ぎるとのご批判も受けそうだが、その理由は何よりもオミクロン株BA.4-5対応のモデルナ製ワクチンの承認を待ったためである。従来の研究からファイザー製ワクチン接種者より、モデルナ製ワクチン接種者のほうが抗体価は高めであるとの研究報告は多いからだ。年明けから受験を控える子供を持つ親にとっては、こうしたちょっとした差も気になってしまうのだ。ご存じのようにモデルナ製のBA.4-5対応ワクチンは、ファイザー製から約1ヵ月遅れて承認され、現場での流通は11月下旬から始まった。それ以降、私はいつ自分の居住区で使用されるかと逐次情報をチェックしていたが、12月中旬になってからもその兆しは皆無だった。各方面に問い合わせると、どうやら東京都に関しては、当面、モデルナ製BA.4-5対応ワクチンは、ほぼ都の大規模接種会場での使用一択と判明した。ならば大規模接種会場ですぐに受ければ良いと思われそうだが、自分の場合、接種した場所で、保有する世界保健機関(WHO)版と米国疾患予防管理センター(CDC)版のイエローカード(国際予防接種証明書)への記録記載もお願いしたいため、個別医療機関での接種のほうが何かと都合が良い。しかし、当面居住区の個別医療機関に回ってこないとなると、もはや大規模接種会場で接種するしかなかった。しかし、問題は大規模接種会場で“イエローカード記入”という手間を取ってもらえるか否かである。やむなく12月の第4週に東京都庁に電話し、イエローカードへの記載を行ってもらえるかを問い合わせた。最初に対応してくれた福祉保健局感染症対策部防疫・情報管理課の担当者からは「イエローカード? はあ、そういうのがあるんですね」と言われ、大規模接種会場担当者に電話を回された。こちらでもほぼ同様の反応だったが、希望する接種会場に問い合わせて折り返しするとのこと。最終的に会場から記入対応可能との回答をいただいた。大規模接種会場の担当者からは「イエローカードへの記入要望があることをあらかじめ会場側に伝えたいので、予約が完了したら予約日時と予約番号を教えて欲しい」と言われた。そこで、接種予約を入れてその日時を担当者に再度電話。また、同時接種可能なインフルエンザワクチンも打ちたかったので、同じ日に馴染みのK先生のところでの接種を予約した。当日の午前11時、都内のK先生のクリニックでインフルエンザワクチンの接種を完了。同時に新型コロナのスパイクタンパク抗体検査用の採血もしてもらった。そこから新宿に移動。昼食を終えてから都庁近くのカフェで仕事をして午後3時の接種時間を待つ。接種予定時間10分前に都庁に行き、1F受付で接種予約確認後、検温。接種の予診票には、接種予約をしたワクチンの種類が大書されたカードが張り付けられた。アナログとはいえ、ワクチン選択ミスを防ぐ手段としてはそこそこ以上に有効だろう。会場となる北展望室接種センターがある45階へエレベーターで昇った。ちなみに会場は撮影禁止である。エレベーターを降りると、目の前の空間はファイザー(BA.1、BA.4-5)、モデルナ(BA.1、BA.4-5)、ノババックスと接種ワクチンの種類ごとにラインがパーテーションポールで仕切られていた。迷わずモデルナのラインに入り、それに従って進むと、そのまま予診室BOXへ案内された。一通り予診票を確認した予診担当医師から「体調が悪いとかはありませんか?」と尋ねられたので、「とくにありません」と答えると、そのまま医師の背後を通過して予診室入口と反対側に通り抜けするよう指示され、その先にある接種室BOXへ。今度は、接種担当医師による再度の予診票確認後、「どちらの腕にします?」と聞かれたので、インフルエンザワクチンを打ったのと反対側の左腕への接種を依頼した。指示通り手をだらんとぶら下げて、「チクッとしますね」と言われるやいなや「はい、終了です」。今までで一番短時間だった気がする。医師にアレルギー体質なのでアナフィラキシーチェックは30分でお願いしたいと伝えたところ、予診票をじっと見つめて「じゃあ、ここ修正してもらえます」と指で示された。ああ、確かに「アレルギーなし」に丸をしていた。実はここで気付いたのだが、これまでの個別医療機関での接種時はアレルギーの有無で無に印をつけていた。何となく文面が直接的な薬物や食物へのアレルギーを尋ねているようにしか読めなかったからだが、こういう場合、気になるところは念のため書いておくべきだったと反省。ということで修正した。私が修正を提出すると、接種担当医師が予診BOXのほうに予診票を持って行き、予診担当医師と二言三言。こうやってきちんと細かに情報共有や確認を行うのだと、改めて感服した。接種BOXを出て、順路に沿って進むと、パイプ椅子が並ぶアナフィラキシーチェック待機場へと到着する。その中でやはりパーテーションポールで区切られた30分待機者用区画に案内された。職員の指示で「こちらの席にどうぞ」と言われて座るも西日がきつい。職員もそれに気づいて、椅子を動かし、「こちらでどうでしょう?」と日陰に誘導してくれた。着席直後、看護師から「ちょっとでも具合が悪いと思ったら遠慮なく仰ってください」と伝えられる。愛知県愛西市の接種会場での死亡事例もあって、この辺は厳格化したのかもしれないが、行き届いた対応である。とりあえずスマホで仕事の資料をチェックしていると、あっという間に30分が経過。職員の誘導に従って最終コーナーの接種済み証交付窓口に。ここで例のイエローカードの記入を申し出る。WHO版、米・CDC版の2種類のイエローカードを提出したのだが、どうやらロット番号シールが1枚で済むと思っていたらしく、職員があたふたし始めた。もともと一覧性に優れている米・CDC版を使い始めたのだが、反米国家に行く頻度が多く、イエローカード内の「U.S」が時に厄介なことになりかねないので2種類を運用している。職員2人で「うん、こっち(WHO)は見たことがあるけど、こっち(CDC)は初めて見た。どこの?」とゴニョゴニョ。私が「それは米・CDC版です」と伝えると、「ほー」と言いながら2人とも穴が開くかと思うほど凝視している。記入を待っている間、出口に山積みされた『免疫』のキャッチフレーズが付いたドリンクを勧められる。接種者は1人1本いただけるらしい。まあ、本音で言うと「免疫」を名乗る商品は胡散臭いとしか思わないが、さすがに害はないだろうと思い、ありがたく1本いただき、粗野な私はその場で一気飲みする。最終的に2枚のカードにロット番号シールが貼られ、無事終了。ついにCDC版イエローカードは3枚目となった。今回、初めて経験した大規模接種会場だが、驚くほどシステマティックかつ行き届いた運営がなされていた。これも約2年に及ぶワクチン接種事業の賜物なのだろう。さて、この翌日にはK医師のところで受けた新型コロナのスパイクタンパク抗体の検査(試薬はロシュ・ダイアグノスティックス)結果が届いた。3回目接種から10カ月を経過した時点の私の抗体価は4,521 U/mL。以前、2回目接種から4ヵ月後に測定した際にK医師から「僕の10倍はある」と言われた時と、数値はほぼ同じ。3回目接種から10ヵ月も経っているのにもかかわらずだ。思うに1~2回目はファイザーで、3回目をモデルナという抗体価が上がりやすい交差接種にして、その直後に抗体価が爆上がりしたのだろうか。ちなみに同時に新型コロナウイルスへの感染履歴がわかるヌクレオカプシド(N)タンパク質抗体の検査も行っており、その結果ではここ最近、無症候も含む感染歴はないことも判明し、ややほっとした。が、それもつかの間。その後、やや怒涛とも思える事態に遭遇することになるが、それは機会があれば次回以降で。また、本年も宜しくお願い致します。

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トリグリセライドの新基準と適切なコントロール法/日本動脈硬化学会

 今年7月に発刊された『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』。今回の改訂点の1つとして「随時(非空腹時)のトリグリセライド(TG)の基準値」が設定された。これらの基準をもとに動脈硬化性疾患のリスクとしての高TG血症を確認するが、トリグリセライド値の低下だけではイベントを減らせないため、高トリグリセライド血症の原因となる生活習慣を改善させ適切な治療介入により動脈硬化を抑制するという観点から複合的に行う必要がある。今回、日本動脈硬化学会プレスセミナーにおいて、増田 大作氏(りんくう総合医療センター循環器内科部長)が「高トリグリセライド血症とその治療」と題し、日本人疫学に基づいたトリグリセライドの適切なコントロール法について解説した。動脈硬化抑制のためには、脂質異常値だけをコントロールするのは不十分 「動脈硬化」は虚血性心疾患や脳血管障害などの血管疾患の引き金になる。だからこそ、生活習慣病の改善を行う際には動脈硬化の予防も視野に入れておかねばならならない。本ガイドライン(GL)では脂質異常症の診断基準値の異常をきっかけに「動脈硬化が増えるリスク状態」であることをほかの項目も含めて“包括的リスク評価”を行い動脈硬化がどの程度起こるかを知ることが重要とされる。それに有用なツールとして、増田氏はまず、『動脈硬化性疾患発症予測・脂質管理目標設定アプリ』を紹介。「これまではLDLコレステロール(LDL-C)など単独の検査値のみで患者への注意喚起を行うことが多く、漠然とした指導に留まっていた。だが、本アプリを用いると、予測される10年間の動脈硬化性疾患発症リスクが“同年齢、同性で最もリスクが低い人と比べて〇倍高くなる”ことが示されるため、説得力も増す」と説明した。また、「単に“〇〇値”が高い、ではなくアプリへ入力する際に患者個人が持っているリスク(冠動脈疾患、糖尿病などの既往があるか)を医師・患者とも見直すことができ、治療介入レベルや管理目標などの目指すゴールが明確になる」とも話した。トリグリセライドの基準値に随時採血の基準も採用 今回のガイドライン改訂でトリグリセライドの基準値に随時採血(175mg/dL以上)の基準も採用された。これは、「トリグリセライドは食事によって20~30mg/dL上昇する。食後においてこれを超えてトリグリセライドが高いことが心血管疾患のリスクになっていることが本邦の疫学研究1)でも明らかになっている。コレステロール値が正常であっても、随時トリグリセライド値が166mg/dL以上の参加者は84mg/dL未満の者と比較すると、その相対リスクは冠動脈疾患が2.86倍、心筋梗塞は3.14倍、狭心症は2.67倍、突然死は3.37倍に上昇することが報告された。海外のガイドラインでの基準値も踏まえてこれが改訂GLにおける非空腹時トリグリセライドの基準値が設けられた」と日本人に適した改訂であることを説明。また、今の日本人の現状として「肥満に伴い耐糖能異常・糖尿病を罹患し、トリグリセライドが上昇傾向になる。単にコレステロールの管理だけではなく複合的に対応していくことが求められている」と述べ、「糖尿病患者ではLDL-C上昇だけでなくトリグリセライドの上昇もリスクが上昇する(1mmol/L上昇で1.54倍)。糖尿病患者における脂質異常症を放置することは非常に危険」とも強調した。高トリグリセライドは安易に下げれば良い訳ではない そこで、同氏は本GLにも掲載されている動脈硬化性疾患の予防のための投薬として、LDL-Cの管理目標値を目指したコントロール後のトリグリセライド(non-HDL-C)の適切なコントロールを以下のように挙げた。●高リスク(二次予防や糖尿病患者)+高トリグリセライドの人:スタチンでLDL-Cが適切にコントロールされた場合にイコサペント酸エチルの併用●高トリグリセライド+低HDL-Cの人:スタチン投与有無に関わらずトリグリセライド低下療法(イコサペント酸エチル・フィブラート系/選択的PPARα)●高トリグリセライド+低HDL-Cの人:スタチンにさらにフィブラート系/選択的PPARαでのトリグリセライド低下療法 なお、以前は横紋筋融解症を助長させる可能性からスタチンとフィブラート系の併用は禁忌とされていたが、多くのエビデンスの蓄積の結果平成30年より解除されている。また、選択的PPARαモジュレータにおける腎障害の禁忌も同様に本年8月に解除されているので、処方選択肢が広くなっている。 最後に同氏は「高トリグリセライドの人はさまざまな因子が絡んでいるので、安易に下げれば良い訳ではない。漫然処方するのではなく、血糖や血圧などの管理状態を見て、適切な治療薬を用いてコントロールして欲しい」と改めて強調した。

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映画「二つの真実、三つの嘘」(後編)【重症のミュンヒハウゼン症候群とは?】Part 2

3つの嘘とは?2つの真実とは、主人公の2人がそれぞれミュンヒハウゼン症候群であるということがわかりました。厳密に言えば、メラニーは精神症状をねつ造しており、エスターはけが(身体症状)をねつ造しているという違いはあります。エスターのほうが体を張っている点で、より重症であると言えるでしょう。ちなみに、身体症状のねつ造で多いのが、採血や採尿の検体への異物混入、インスリンやワーファリンなどの過剰内服、瀉血による貧血、意図的な外傷など、比較的手軽にできることです。それでは、タイトル後半部分の「3つの嘘」とは何でしょうか? この映画には、たくさんの嘘があります。その中で、一大事である殺しについての嘘がちょうど3つあります。その嘘を1つずつ挙げてみましょう。(1)エスターの胎児を殺したのは通り魔であるという嘘エスターは、刑事から「こういう犯罪は身近な人が犯人である可能性が高い」「通り魔とは考えにくい」「恨まれてる人は?」と聞かれても、「麻薬中毒者やホームレスじゃないの?」「赤ちゃんを殺されるほど恨まれたことはない」と言っていました。1つ目は、エスターの胎児を殺したのは通り魔であるという嘘です。実は、エスターがアニカにお願いして仕組んだものでした。(2)メラニーは息子が殺されて悲しんでいるという嘘メラニーは、息子を失い、悲しみにくれているように見えました。しかし、1ヵ月経つと、うつ状態になっている夫に「子どもはまたつくれるわ」と笑顔で言うのです。また、息子が殺されたことを報道するニュースを録画しており、その中でリポーターが「子どもの母親はひどくショックを受けて、今は話をできる状態ではないということです」とコメントする映像をうっとりとした表情で見ています。ここで、メラニーが以前に言っていた不可解なセリフに繋がります。それは、「自助グループで知ったけど、母親にとって最悪なのは誘拐よ。誘拐は、生きてるかどうかずっとわからないから一番つらいそうよ。でも、私だったら辛過ぎて、いっそのこと殺されてしまったほうがいいと思うかも。親なら当然子どもが無事に戻ってきて欲しいと思うんだろうけど」というセリフです。メラニーは、エスターほど子どもに死んで欲しいと積極的には思っていませんが、殺されたらそれはそれで同情されるという「ご褒美」があるので構わないくらいの感覚でしょう。「同類」であるエスターは、この心理については的確に読み取っていたのでした。2つ目は、メラニーは息子が殺されて悲しんでいるという嘘です。つまり、なんと彼女が悲しむのは、悲しいからではなく、注目されたいからであったということです。自分本位であり、息子が死んだことを心から残念に思っているのではなかったのでした。(3)メラニーの夫はアニカに殺され、メラニーは正当防衛でアニカを殺したという嘘アニカは、エスターがメラニーの夫に射殺されたと知って、その敵討ちのために、メラニーの家に押しかけます。アニカはメラニーを縛りますが、直後になんと今度はメラニーの夫が射殺されているのを発見します。その訳は、メラニーの夫が、息子が死んで1ヵ月経って自助グループに初めて参加したところ、実はメラニーは数年前から来ていたことを知り、メラニーに問いただし、出て行こうとしたからでした。アニカがメラニーの夫を発見した直後、メラニーは縛られていた紐をほどき、ショットガンをアニカに向けて構えるシーンでこの映画は終わります。3つ目は、メラニーの夫はアニカに殺され、メラニーは正当防衛でアニカを殺したという嘘です。厳密には、アニカも金槌を持って反撃しようとしており、そこで映画が終わり、決着はついていませんが、メラニーにとってとても都合の良い展開で、見ている私たちをハラハラさせます。この映画のタイトル伏線とは?この映画のもともとの英語タイトルは“PROXY”です。これは「身代わり」という意味で、実はタイトル伏線になっています。何が何の身代わりかと言うと、胎児殺しについては通り魔(実際はアニカ)がエスターの身代わり、息子殺しについてはエスターがメラニーの身代わり、夫殺しについてはアニカがメラニーの身代わりであるということです。これは、先ほどの3つの嘘に重なります。この3つの嘘によって、「身代わり」の意味の伏線を回収しています。なお、この“PROXY”は、代理ミュンヒハウゼン症候群の「代理」(by proxy)を連想します。前編でも説明した通り、自分の代理として誰かの症状をねつ造している訳ではないため、代理ミュンヒハウゼン症候群の伏線ではありません。この映画の唯一惜しかった点は、メラニーの夫はエスターを射殺したのですが、彼の恨みからの空想として、その数日後に地下室でエスターを拷問していることをほのめかすシーンがあります。これは、私たちから見ると、空想なのか現実なのかがそのシーンの時点ではわかりにくく、混乱を招いていたと思われます。ただ、ミュンヒハウゼン症候群をより深く理解していると、この映画のキャラ設定、展開、そして謎解きがとても楽しめます。もっと高い評価が付けられても良い映画であると思われました。1)病気志願者―「死ぬほど」病気になりたがる人たち:マーク・D・フェルドマン、原書房、19982)うその心理学:こころの科学、日本評論社、20113)特集「うそと脳」:臨床精神医学、アークメディア、2009年11月号4)「隠す」心理を科学する:太幡直也/佐藤拓/菊池史倫、北大路書房、20215)平気でうそをつく人たち:M・スコット・ペック、1996<< 前のページへ■関連記事映画「二つの真実、三つの嘘」(前編)【なんで病気になりたがるの? 実はよくある訳は?(同情中毒)】Part 1

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英語で「それでいいですか?」は?【1分★医療英語】第57回

第57回 英語で「それでいいですか?」は?I’d like to meet you in 2 weeks’ time.Would that be OK with you?(2週間後に再診します。それでいいですか?)Sure, thanks!(もちろんです。ありがとうございます!)《例文1》Would that be OK with you if I take the blood sample again?(再度、採血を行うことになってもよいですか?)《例文2》Are you comfortable for me to start the procedure?(検査を始めても大丈夫ですか?)《解説》許可を得る際の質問方法はいろいろな表現がありますが、もっとも簡単な聞き方は“OK”を使って、“Are you OK with〜?”または“Is that OK with you?”と聞く方法です。また、「上手くいく」という意味の“work”を使って、“Does that work for you?”と聞くこともできます。もう少し丁寧に聞く場合には、“Are you comfortable with〜?”(〜で大丈夫ですか?)、“May I do〜?”(〜してもよいですか?)などの表現があります。そのほか、“Do you mind if I do〜?”という言い方もよく使われます。直訳すると、「私が〜をしたら嫌ですか?」という意味になり、“No”という返事が来た場合には「嫌ではないです(OKです)」という意味になることに注意しましょう。講師紹介

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第126回 改正感染症法が成立、公的病院に病床確保義務/厚労省

<先週の動き>1.改正感染症法が成立、公的病院に病床確保義務/厚労省2.電子処方箋に必須、HPKIカード発行を病院一括申請で支援/日医3.「かかりつけ医」を定義、役割を法律に明記へ/厚労省4.現役世代の負担軽減のために社会保障制度改革を/財政諮問会議5.電子カルテへのランサムウエア被害から1ヵ月、復旧の遅れで患者は半減/大阪6.来年度の薬価改定に向け、議論開始/中医協1.改正感染症法が成立、公的病院に病床確保義務/厚労省新たな感染症に対応し、医療体制を強化するための感染症法改正案が12月2日に開かれた参議院本会議で与党や立憲民主党などの賛成多数で可決、成立した。改正法では、国や都道府県の権限を強化し、各都道府県は感染症対応の予防計画を医療計画などで定め、入院、発熱外来や検査の実施件数などの目標数値を設定する。また、都道府県が事前に医療機関と協議し、有事の際の病床確保などを約束する協定を締結しておき、感染症拡大時に病床提供を義務付け、守らない場合には、勧告や指示を行い、病院名を公表するなど、協定を守るように求めるもの。施行は第8次医療計画の策定に合わせて、令和6年4月1日となっている。(参考)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案の概要感染症法等の一部を改正する法律案について(参考資料)改正感染症法が成立、公的病院に医療提供義務づけ…従わなければ勧告・指示が可能(読売新聞)中核病院に病床確保義務 改正感染症法成立(産経新聞)地域の医療提供体制強化 改正感染症法など成立 参院本会議(NHK)2.電子処方箋に必須、HPKIカード発行を病院一括申請で支援/日医日本医師会は11月30日の記者会見で、電子処方箋に必須となるHPKIカード(医師資格証)の普及について、これまでの日本医師会の取り組みと、今後、医療機関に向けた支援策について公表した。来年から本格的に開始する電子処方箋の発行時には電子署名が必要となる。このためHPKIカードが必要となるが、医療機関の電子カルテにカードリーダーがなくても電子処方箋を発行できるようにセカンド電子証明書も発行できるように対応するほか、病院単位で一括申請・交付を行うことで、発行の迅速化(最短2週間)をするなど、すべての医師に対して発行を進めていくことを表明した。(参考)電子処方箋運用、HPKIの不安払拭へ 日医、病院向け方針を再周知(Medifax)電子処方箋普及に向けた医師資格証(HPKIカード)の対応について(「日医君」だより)電子処方箋に向けた大学病院含む病院向け医師資格証(HPKIカード)に関する対応方針 (日本医師会)3.「かかりつけ医」を定義、役割を法律に明記へ/厚労省厚生労働省は11月28日に社会保障審議会医療部会を開催し、「かかりつけ医機能」について議論を行った。かかりつけ医機能は「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談などを行う」と定義し、外来患者の診療のほか、休日や夜間の対応、在宅医療の提供など対応ができるかを各都道府県に報告し、都道府県が公表する方針を明らかにした。また、かかりつけ医に継続的に通院する患者には医療機関と書面を交わすことなども求めていくことを提案した。今後、さらに議論を重ね、早ければ来年の通常国会に法律の改正案を提出し、かかりつけ医の役割の強化を図りたいとしている。(参考)かかりつけ医機能について(厚労省)「かかりつけ医」の定義、役割を法定化へ(産経新聞 )「かかりつけ医」に求められる役割 法律に明記の方向で検討(NHK)「かかりつけ医機能」報告制度創設へ 厚労省が骨格案、医療法改正も視野(CB news)4.現役世代の負担軽減のために社会保障制度改革を/財政諮問会議岸田内閣は経済財政諮問会議を12月1日に開催し、来年度の予算編成に向けた議論を行った。この中で今後大幅な増大が見込まれる社会保障費について意見が交わされた。民間企業などの有識者議員からは、賃金・所得の上昇に加え、さらに社会保障制度改革を行い、現役世代の社会保険料負担の上昇を抑制することが強く求められた。また、医療・介護分野の成長力強化という社会保険制度の外の改革にも取り組むよう求められた。同日、厚生労働省が開催した社会保障審議会医療保険部会でも、現役世代の負担軽減のために、後期高齢者の医療保険の拠出による支援制度を見直し、大企業の健康保険組合の負担を増加させ、代わりに中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ」の負担を減らす方針を示している。(参考)医療保険制度改革について(厚労省)経済・財政一体改革における重点課題(経済財政諮問会議)岸田首相 現役世代の保険料負担の上昇抑制へ 制度改革など指示(NHK)65~74歳の医療費支援見直し 健保組合の負担増案提示 厚労省(同)削減した財源「すべて現役世代の負担軽減に充当を」被用者保険者間の格差是正で、関係5団体(CB news)5.電子カルテへのランサムウエア被害から1ヵ月、復旧の遅れで患者は半減/大阪1ヵ月前にランサムウエアによるサイバー攻撃によって、電子カルテが使用できなくなった大阪急性期・総合医療センターは、現在も検査や診療に影響が出ている。原因は、外部の給食業者のネットワークセキュリティ機器が、セキュリティ対策が古いまま使用していたため、病院側のサーバ接続時にランサムウエアの攻撃を受け、基幹システムやバックアップデータに影響が及んでいたことが明らかになっている。11月10日から電子カルテの一部参照が可能となったことから、3次救急患者受け入れや小児救急診療の一部を再開しているが、採血や輸血管理システムは復旧していないため手書きでの対応のほか、新規の外来診療の受け付けは停止など診療に影響が出ており、システムの完全復旧は来年1月の見通し。(参考)患者数は通常の「50%」 大阪の病院、サイバー攻撃から1カ月(朝日新聞)サイバー攻撃で病院被害1カ月、影響続く 患者対応は半減 大阪(毎日新聞)大阪の病院は取引業者からランサムウエアがなぜ広がった?「攻撃の横展開」に注意(日経クロステック)6.来年度の薬価改定に向け、議論開始/中医協厚生労働省は12月2日に中央社会保険医療協議会の薬価専門部会を開催し、令和4年医薬品価格調査(薬価調査)の速報値を元に、来年度の薬価改定について議論を行った。診療側からは医薬品の安定供給が問題になっている現状を踏まえ、約7.0%の平均乖離率を超えている品目のみ改定として、大幅な引き下げに対して異論が唱えられた。予算を編成する財務省としては薬価の引き下げ対象品目を広げ、患者負担の軽減や医療費の伸びの抑制を目指している。ただ、製薬業界からは、薬価引き下げの対象品目から特許期間中の新薬などを外す意見が出ているため、さらに議論を行われる。今月末の予算編成までに、中医協で薬価改定の幅と対象品目について結論を出し、来年の春に改定が行われる見通し。(参考)令和4年医薬品価格調査(薬価調査)の速報値(中医協)医薬品の市場価格、公定価格より7%低く 厚労省調査(朝日新聞)市場価格、薬価を7%下回る 23年度引き下げ改定へ(日経新聞)今年の薬価調査、平均乖離率は約7.0%…23年度改定、議論大詰めへ(Answers News)

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William Osler先生とJ-OSLER、内科専門研修を考えてみた【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第54回

第54回 William Osler先生とJ-OSLER、内科専門研修を考えてみたオスラー先生の格言ウイリアム・オスラー(William Osler)の名前を耳にしたことはあると思います。カナダ生まれの医学者・内科医・教育者です(1849~1919)。ペンシルベニア大学、ジョンズ・ホプキンス大学、オックスフォード大学などで教授を務め、カナダ、米国、英国の医学の発展に多大な貢献をしました。遺伝性出血性末梢血管拡張症であるオスラー病や、感染性心内膜炎でみられる指趾掌蹠の有痛性結節であるオスラー結節などに名前を残しているように研究者としても一流でした。何よりも医学教育に情熱をそそぎ、彼の思想は今も医療の現場で受け継がれています。日本の名医・日野原 重明も感銘を受け、「医学の中にヒューマニズムを取り戻し、人間を全人的に診る」というオスラー先生の姿勢を世に広めるため「日本オスラー協会」を発足させています。『The Principles and Practice of Medicine』(医学の原理と実際)など名著だけでなく、100年後の今も受け継がれる数々の格言も有名です。Listen to your patient, he is telling you the diagnosis.患者の言葉に耳を傾けよ、患者はあなたに診断を告げている。これは、オスラー先生の言葉のなかでも小生が最も感銘を受けた一文です。循環器内科医として狭心症・心筋梗塞を診断するにあたり、心電図や採血でのトロポニン上昇も大切ですが、なによりも病歴聴取が一番重要と日々感じているからです。今日の医学教育の父として世界にその名を馳せたオスラー先生ですが、日本中の大学病院や研修指定病院で毎日のように彼の名前が叫ばれていることをご存じでしょうか。それは、ウイリアム・オスラーではなくジェイ・オスラー(J-OSLER)です。J-OSLERをめぐる専攻医と指導医のリアルJ-OSLERについて説明しましょう。2013年に厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」から、専門医制度改革が必要であると報告されました。日本専門医機構が中心となり、各領域の専門医制度は再整備されることとなりました。日本内科学会でも「新・内科専門医制度」を整備することとなり、具現化するために導入されたシステムがJ-OSLERです。正式には以下の文言による造語です。「Online system for Standardized Log of Evaluation and Registration of specialty training System」を直訳すれば「専門研修の標準化を図るためオンラインで研修実績の登録と評価ができるシステム」で、この頭文字がOSLERです。そこに日本を意味するJが冠されてJ-OSLERとなっています。高名なオスラー先生を意識した素晴らしいネーミングです。このJ-OSLERをめぐる現場での苦労を紹介させていただきます。J-OSLERを実際に使用するのは、初期研修を修了して内科専門研修プログラムを選択した卒後3年次から5年次の医師が中心です。彼らを専攻医と呼称します。新内科専門医制度において研修履歴や実績を登録し審査を受ける仕組みが導入されました。具体的には専攻医はJ-OSLERを用いて症例登録と病歴要約が義務付けられています。症例登録は、一言でいうと症例の概要と省察を含むサマリーで56分野から160症例以上を登録します。指導医の評価を受け、修正に応じて承認を得る必要があります。これは、1例を入力するのに数十分ほど要します。症例登録した中から29症例について病歴要約を作成します。これは症例の詳細なサマリーで、学会発表での症例報告のような丁寧さと緻密さが要求され、A4判2ページほどの分量となります。病歴要約は、まず指導医と研修プログラム統括責任者が1次評価を行います。さらに専攻医の所属外の施設の査読委員が2次評価を行います。1次・2次評価ともに29症例ごとに、Accept(受理)、Revision(要修正)、Reject(要差し替え)の3段階で評価されます。全症例がAccept(受理)となるまで修正を繰り返します。1例の入力には短くても半日ほどの作業への集中が必要となります。症例登録は全分野をカバーしての量の面で、病歴要約は緻密な記載を求められる質の面で、それぞれ大変な作業となります。えらいこっちゃ!?事務作業に注力する余りベッドサイド診療が…新専門医制度にあわせて導入されたJ-OSLERの評判は、専攻医と指導医の双方から必ずしもいいわけではありません。たしかに、質の高い内科専門医を育成することは、社会がより高い水準で医療の恩恵を受けるために重要なことです。J-OSLERによる症例登録と病歴要約は、専攻医が個々の症例の理解を深め、さらには研修制度の標準化にも寄与することに異論はありません。一方で、J-OSLERの登録と評価における専攻医の負担も軽視できないレベルと感じます。専攻医は日常臨床業務だけでも大変です。この専門研修期間中に複数の施設での勤務が求められるために、勤務先の入職・退職と住居の転入・転出を繰り返して行うこととなり、手続きだけも多くの時間を要します。女性医師においては出産や育児などのライフイベントとも重複する時期となります。昨今、働き方改革が声高に論じられる中、専攻医だけでなく指導医にとっても、システム入力が困難と感じる場面があることは事実です。オスラー先生の格言を紹介します。Fifteen minutes at the bedside is better than three hours at the desk.3時間机で勉強するよりもベッドサイドの15分が勝る。J-OSLERの症例登録・病歴要約により机でレポートを書く時間が増えたことは皮肉といえます。机上の事務作業に注力する余りベッドサイド診療が疎かになりかねない現状はJ-OSLER本来の意義からも望ましいことでは無いように思います。高邁な理念のもとに導入されたJ-OSLERを揶揄するつもりはありません。しかしウィリアム・オスラーは「えらい」先生なのですが、ジェイ・オスラーは「えらいこっちゃ」というのが本音です。新専門医制度による研修が開始され数年しか経過していません。課題もこれから明らかになってくるのでしょう。よりよい新専門医制度となるよう制度が洗練されていくことを期待しております。今回は、日本内科学会に直訴状を提出する気構えで気合をいれて書かせていただきました。

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認知症患者のインフルエンザワクチン接種の抗体反応に対する光曝露の影響

 認知症受け入れ施設の照明条件を改善すると、患者の睡眠、概日リズム、健康状態の改善がみられる。スイス・Ecole Polytechnique Federale de LausanneのMirjam Munch氏らは、日中に明るい光を浴びると、認知症患者のインフルエンザワクチン接種に対する免疫応答がサポートされる可能性について報告を行った。この結果は、毎日より多くの光を浴びることで、認知症患者の免疫応答が上昇することを示唆しており、今後の研究において、定期的な光曝露がヒトの免疫系に対し直接的または安定した概日睡眠覚醒リズムを介して良い影響を及ぼすかが明らかになることが期待される。Brain, Behavior, & Immunity - Health誌2022年9月20日号の報告。 施設に入所している認知症患者80例を対象に、光曝露と休息および活動サイクルとの関係を評価するためアクティビティトラッカー活動量計を8週間使用した。毎年のインフルエンザワクチン接種前と接種4週間後に採血した血液サンプルを用いて、患者の免疫反応を分析した。3つのインフルエンザウイルス株(H3N2、H1N1、IB)に対する抗体濃度は、赤血球凝集抑制(hemagglutination inhibition)アッセイで定量化した。 主な結果は以下のとおり。・個々の光曝露プロファイル(日光を浴びるを含む)を定量化し、照度392.6ルクスを中央値として低光曝露群と高光曝露群に分類した。・両群間で、認知機能障害の重症度、年齢、性別に違いは認められなかった。・高光曝露群は、低光曝露群と比較し、ワクチン接種前の濃度が同等であったにもかかわらず、H3N2ワクチンに対する抗体価が有意に増加し、概日活動の振幅が有意に大きかった(日中の活動量が多く、夜間の活動量が少ない)。・全対象者の75%以上で、3つのインフルエンザウイルス株に対する十分な血清保護応答が確認された。

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化学療法中に心室期外収縮頻発!対応は?【見落とさない!がんの心毒性】第15回

※本症例は、患者さんのプライバシーに配慮し一部改変を加えております。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別50代・女性主訴動悸、労作時息切れ現病歴約10年前に健診で不整脈を指摘されていた。2ヵ月前に労作時息切れが出現し、慢性心不全と診断された。カルベジロールを開始すると心不全症状の改善を認めた。1ヵ月前に汎血球減少が出現し精査が行われ、急性前骨髄性白血病(APL)と診断された。化学療法前の心エコーでは左室拡張末期径64mm、左室駆出率53%、軽度僧帽弁閉鎖不全症を認めた。イダルビシン(48mg/m2)、オールトランス型レチノイン酸(ATRA)投与による寛解導入療法が施行され、治療開始後6週目に寛解となった。続いて、ダウノルビシン(100mg/m2)、ATRA投与による地固め療法が1コース施行された後、動悸、労作時息切れが出現し、心電図で心室期外収縮(PVC:premature ventricular contraction)頻発、心エコーで左室収縮能低下を認め、精査加療のため入院となった。現症血圧 90/52mmHg、脈拍数 70bpm 不整、SpO2 98%(酸素投与なし)、結膜貧血なし、頚静脈怒張なし、心音I音減弱、III音あり、心雑音なし、呼吸音清、下腿浮腫なし採血BNP 570.7pg/mL胸部X線CTR 57%、肺うっ血なし、胸水なし心電図洞調律、II・III・aVF・V4-6誘導でST低下・平坦〜陰性T波、PVC頻発(左脚ブロック型・正常軸、右脚ブロック型・右軸偏位の2種類)(図1上)心エコーびまん性左室壁運動低下 (左室拡張末期径/収縮末期径 66/56 mm、左室駆出率 28%)、中等度僧帽弁閉鎖不全症、肺高血圧症疑い (三尖弁圧較差 39 mmHg、下大静脈径 13 mm、呼吸性変動良好)ホルター心電図総心拍数12万6,988拍/日、心室期外収縮(PVC)4万8,780拍/日 (総心拍数の38%、うち最多波形20%、2番目に多い波形18%、最長12連発)、上室期外収縮22拍/日 (総心拍数の0.1%未満)(図1下)(図1)画像を拡大する画像を拡大する上)12誘導心電図における2種類のPVC。赤枠:左脚ブロック型・正常軸、青枠:右脚ブロック型・右軸偏位下)ホルター心電図におけるPVCのパターン。赤枠と青枠はそれぞれ12誘導心電図におけるPVCに一致する。【問題】今後の治療に関する下記の選択肢について、正しいものはどれか?a. β遮断薬を減量する。b. ATRAを中止する。c. アントラサイクリンを減量し継続する。d. 血清K+4.0mEq/L以下を目標に調整する。e. PVCに対しカテーテルアブレーションを施行する。1)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022 Aug 26.[Epub ahead of print]2)日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン:2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン3)Fonarow GC, et al. J Am Coll Cardiol. 2008;52:190-199.4)Buza V, et al. Circ Arrhythm Electrophysiol. 2017;10:e005443.5)Montesinos P, et al. Blood. 2009;113:775-783.6)Dubois C, et al. Blood. 1994;83:3264-3270.7)Lacasse Y, et al. Can J Cardiol. 1992;8:53-56.8)Kishi S, et al. Int J Hematol. 2000;71:172-179.9)日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同ガイドライン:2018年改訂版 不整脈非薬物治療ガイドライン講師紹介

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手引き改訂で診断基準に変化、テストステロン補充療法/日本メンズヘルス医学会

 『加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き2022』が15年ぶりに改訂されるにあたり、9月17、18日にオンライン開催された第22回日本メンズヘルス医学会において、シンポジウム「LOHセッション」が開催された。本稿では検査値の改訂ポイントについて、伊藤 直樹氏(NTT東日本札幌病院泌尿器科 部長/外科診療部長)の発表内容からお伝えする(共催:株式会社コスミックコーポレーション)。 LOH症候群とは、“加齢あるいはストレスに伴うテストステロン値の低下による症候群”である。加齢に起因すると考えられる症状として大きく3つの項目があり、1)性腺機能症状(早期勃起の低下、性欲[リビドー]の低下、勃起障害など)、2)精神症状(うつ傾向、記憶力、集中力の低下、倦怠感・疲労感など)、3)身体症状(筋力の低下、骨塩量の減少、体脂肪の増加など)が挙げられる。見直された診断基準値、海外と違う理由 本手引きの改訂においてもっとも注目すべきは、主診断に用いる検査値が変わることである。2007年版の診断基準値では遊離テストステロン値(8.5pg/mL未満)のみが採用されていたが、2022年改訂版では総テストステロン値(250ng/dL未満)を主診断に用いることになる。その理由として、伊藤氏は「海外でのgold standardであること、総テストステロン値と臨床症状との関連性も認められること、健康男性のmean-2SD・海外ガイドラインも参考にしたこと」を挙げた。また、遊離テストステロン値は補助診断に用いることとし、LOH症候群が対象となり始める30~40歳代のmean-2SD値である7.5pg/mL未満とするに至った。これについて「RIA法の信頼性が問題視されていること、海外の値(欧州泌尿器学会では63.4pg/mLなど)と測定方法が異なり比較できないため」とコメントした。<LOH症候群の新たな診断基準>―――・総テストステロン値250ng/dL未満または・250ng/dL以上で遊離テストステロン値が7.5pg/mL未満※各測定値にかかわらず総合的に判断することが重要で、テストステロン補充の妥当性を考慮し、「妥当性あり」と判断すれば、LOH症候群と診断する●注意点(1)血中テストステロン分泌は午前9時頃にピークを迎え夜にかけて低下するため、午前7~11時の間に空腹で採血すること。(2)2回採血について、日本では保険適用の問題もあるため、海外で推奨されているも本手引きではコメントなし。――― また、測定時に注意すべきは、総テストステロンの4割強は性ホルモン結合グロブリン(SHBG:sex hormone brinding globulin)と強く結合しているため、SHBGに影響を与える疾患・状態にある患者の場合は値が左右される点である。同氏は「SHBGが増加する疾患として、甲状腺機能亢進症、肝硬変、体重減少などがある。一方で低下する疾患には、肥満、甲状腺機能低下症、インスリン抵抗性・糖尿病などがあるため、症状の原因となるようなリスクファクターの探索も重要であるとし、「メタボリックシンドローム(高血圧症、糖尿病、脂質異常症)から悪性腫瘍などの消耗性疾患、副腎皮質・甲状腺など内分泌疾患、そしてうつ病などの精神疾患などLOH症候群に疑わしい疾患は多岐にわたるため、すぐに断定することは危険」と強調。「自覚症状、他覚的所見を総合的に判断し、ほかの疾患の存在も常に疑うべき」と指摘した。 さらに、診断基準の“測定値にかかわらず総合的に判断する”という点について、「アンドロゲン受容体の活性効率に影響するN末端のCAGリピートがアジア人は長く、活性効率が低い可能性がある。そのため、テストステロン値が基準値以上でも補充療法が有効の可能性がある」と説明した。 測定値とは別に、症状からLOH症候群か否かを定量的に判定する方法の1つとしてAMS(Aging Males' Symptoms)スコア1)が広く用いられている。これについて、同氏は「感度は高いが特異度は低いため、スクリーニングには推奨されない」と話した。一方でホルモン補充療法による臨床効果の監視には有用という報告もあることから、「全体の合計点だけを見るのではなく、それぞれの症状をピックアップし、患者に合わせて対応することが大切」と説明した。 最後に、診断を確定する前にはLOH症候群が原発性か二次性かの確認も必要なことから、「最終的にはLHおよびFSHを測定し二次性性腺機能低下症の有無を確認するために、その原因疾患を把握し、確認して欲しい」と締めくくった。

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アドヒアランス改善による意識障害が生じたため薬剤を徹底見直し【うまくいく!処方提案プラクティス】第50回

 今回は、服薬アドヒアランスが改善したら治療効果が過剰に現れて意識障害を起こした事例を紹介します。薬剤師のさまざまな工夫や手法によってアドヒアランスが改善することは喜ばしいことですが、急激な変化が生じることもあるため、あらかじめ変化を予測して治療計画を立てておくことが重要です。患者情報88歳、男性(自宅で妻と2人暮らし)基礎疾患陳旧性脳梗塞(発症様式不明)、認知症、糖尿病、高血圧症 服薬管理妻身体所見身長161.5cm、体重54.7kg介入前の検査所見HbA1c 7.0、HDL 47mg/dL、LDL 83mg/dL、AST 19、ALT 23、Scr 1.03mg/dL、推算CCr 38.5mL/min処方内容1.チクロピジン錠100mg 2錠 分2 朝夕食後2.アログリプチン錠25mg 1錠 分1 朝食後3.カンデサルタン錠12mg 1錠 分1 昼食後4.ニフェジピン徐放(24時間持続)錠20mg 2錠 分2 朝夕食後5.グリメピリド錠1mg 1錠 分1 朝食後6.ボグリボースOD錠0.2mg 3錠 分3 毎食直前本症例のポイントこの患者さんの服薬管理は奥様が行っていましたが、PTPシートのままの管理で、かつ、服薬タイミングが複数回あることから飲み忘れが多かったため、訪問医の紹介で薬局が在宅訪問することになりました。訪問介入前の血圧は140〜160/80〜100と高めを推移していました。初回訪問時に飲み忘れや残薬を確認したところ、食直前や昼・夜の薬がとくに服用できておらず、少なくとも3ヵ月分の余剰があることがわかりました。そこで、奥様と医師に一包化管理の承認を取り、その日から始めることになりました。訪問介入開始後のフォローアップでは、血圧が110~120/60~70、心拍数が70台となりました。しかし、1ヵ月が経過したころに奥様より「夫の話のつじつまが合わない。そわそわしていて顔色も悪い。食事は元気がないこともあって、これまでの30~40%程度しか食べない。昼以降はうとうと寝ていることが多い。最近怒りっぽくなって常にイライラしている」と相談がありました。その日のバイタルを確認すると、血圧が170/100と高く、心拍数も95と頻脈になっていました。上腕は汗ばんでいて、衣服も汗で湿っているような感じがしました。また、最近になって便秘が出現し、お腹が張って不機嫌なのではないかという話も聴取しました。これらの追加情報から、下記のことを考察しました。(1)低血糖出現の可能性症状やその発現タイミングから、服薬アドヒアランスが改善して、これまで飲めていなかった薬の治療効果よりも副作用が強く現れたのではないかと考えました。一番懸念したことは、元々腎機能も悪く、HbA1cが高齢者の目標値の下限である7.01)であったことから、SU薬のグリメピリド錠が過度に作用して低血糖に陥っている可能性です。低血糖によるカテコラミン分泌上昇から、頻呼吸はないものの血圧上昇や頻脈、焦燥感、興奮、日中活動低下(ブドウ糖低下)に至っている恐れもあります2)。(2)食事量低下とボグリボースによる便秘発現の可能性便秘の発現については、低血糖によって食事量が低下したことで腸管蠕動が低下した可能性と、α-グルコシダーゼ阻害薬のボグリボース錠の服薬徹底により代表的な副作用でもある便秘が生じた可能性を考えました。(3)現状の服薬管理に合わせた薬剤の選定・見直しの必要性一包化管理を開始してから服薬アドヒアランスが安定しているため、服薬タイミングをシンプルに整理して、治療負担となっている薬剤の中止・減量を提案する必要があると考えました。とくに1日3回の食直前薬であるボグリボース錠は本人の服薬負担だけでなく、奥様の介護負担増加にも繋ります。血圧推移も安定してきたことから、降圧薬を減らすことも可能と考えました。処方提案と経過医師に電話で状況を報告したところ、臨時往診することになりました。診療中に医師より「低血糖症状が出現しているため治療薬を調整しようと思うが、考えがあれば教えてください」と聞かれたため、上記1~2より、グリメピリド錠は低血糖を起こしてることから中止、また便秘に影響している懸念からボグリボース錠の中止も提案しました。医師からは、今回採血もしているので次回の訪問診療まで経口血糖降下薬はすべて中止する旨の返答がありました。また、今回のことをきっかけにチクロピジン錠はクロピドグレル錠50mg 1錠 朝食後に変更となりました。昼のカンデサルタン錠は中止となり、ニフェジピン24時間持続徐放錠は40mg 1錠 朝食後に変更となりました。1週間後のフォローアップでは、食事量は50%程度であるものの活気が出てきていて、血圧は120~130/70~80台で推移していました。血色不良やイライラしていた様子、日中の傾眠もなく、デイサービスの利用ができるところまで回復しました。臨時往診時の採血結果では、HbA1cは5.5、空腹時血糖は60台まで低下していましたが、その後のHbA1cは6.0台で留まっており、経口血糖降下薬は再開せずに生活しています。1)日本糖尿病学会編著. 糖尿病治療ガイド2022-2023.文光堂;2018.2)岸田直樹著・監修. 薬学管理に活かす臨床推論.日経BP;2019.

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この患者紹介は常識?非常識?【紹介状の傾向と対策】第1回

より良い患者紹介とは―患者紹介を深く考える現代医療は1つの医療機関のみで完結することがほとんどありません。患者を高次医療機関に紹介することもあれば、逆紹介されることもあります。また、院内でも他科に診療を依頼することもあれば、されることもあります。皆さまもご経験のとおり、臨床現場では、紹介状のやり取りを筆頭に、患者紹介に関する困り事やストレスを感じる場面は少なくありません。また、大学で私たちが受けた医学教育には、患者紹介のエチケットやマナー、診療情報提供書(以下、紹介状)の書き方などの実務的な講義はありませんでした。私が知る限り、患者紹介に関するルールやガイドラインも存在しません。そのためか、紹介状の質は非常に不均一だと感じています。しかし、患者紹介の仕方をルールやガイドラインで縛ることは、業務の柔軟性を損ないかねません。出来る限り、現場医師の自主努力に任されるのが理想だと考えていますが、最低限の患者紹介のエチケット・マナーに対し共通の認識を持つべきではないでしょうか。医師の7割が不満を抱えている、その理由は…本連載では患者紹介に関する医師同士のやり取り、診療科間の患者紹介をより円滑にするための方法を模索します。筆者が考える良い患者紹介とは、「最低限、紹介先の医師を困らせない」ことだと考えています。医師同士のやり取りの不調和は、最終的に患者さんの不利益につながります。そのためこの連載では患者を紹介するにあたり「すべきこと」「すべきでないこと」「留意すべきこと」をご提案していきたいと思います。第1回はその前段階として、勤務医、開業医の双方が各診療科の立場で何に困り、何にストレスを感じているか、現状を共有します。2022年2月にケアネットが「紹介状で困っていること」についてアンケートを実施しました。このアンケートには多くのフリーコメントが寄せられたので、その一部のコメントを見てみましょう。 「勤務医が感じる開業医への不満」併存疾患が多い患者は内科に丸投げ紹介先の診療科が不適切時間外・休日前の夕方ギリギリの紹介開業医の診療時間が過ぎると問い合わせても電話に出ない患者の言いなりで紹介してくる紹介についての患者説明と同意が不十分名刺に依頼を書く前医と患者間に生じたトラブルの情報を伝えない悪い情報を伏せている培養検体を取らず抗菌薬を開始してから患者を送ってくる処方理由が不明で問い合わせても不明のまま「開業医の勤務医への不満」必要な情報が記載されていない当該臓器以外の情報がない診断結果が分からない返信が遅い画像・採血データが添付されていない何も解決なく返される紹介の意図が不明患者への説明と紹介状の内容が食い違う抗血小板薬の継続期間の指示がない添付された画像を読み出せない<アンケート概要>内容  紹介状のやり取りで開業医/勤務医それぞれが困っていること、良かったと感じたことを調査実施日 2022年2月24日(木)調査方法インターネット対象  30代以上の会員医師 1,000人(開業医:500人、勤務医:500人)次回、具体的にどのような患者紹介をすればよいか、どのように紹介状を記載していけばよいか、考えていきたいと思います。

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輸血してもヘモグロビンが低下!DHTRの可能性は?【知って得する!?医療略語】第17回

第17回 輸血してもヘモグロビンが低下!DHTRの可能性は?輸血後、数日してから副作用が起きることがあるんですか?遅発性の副作用があり、今回はその1つであるDHTRを見てみましょう≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】DHTR【日本語】遅発性溶血性輸血副作用【英字】Delayed Hemolytic Transfusion Reaction【分野】輸血関連【診療科】全診療科【関連】急性溶血性輸血副作用AHTR(Acute Hemolytic Transfusion Reaction)実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。貧血患者さんに赤血球輸血をしても、思うようにヘモグロビン濃度が上昇しないばかりか、むしろ低下する場合があります。こんな時、筆者は輸血の原因が出血疾患であれば、出血の持続、大量輸液による血液希釈、輸血量の相対的不足を考えがちです。しかし、輸血をしてもヘモグロビンが上昇しない、あるいは低下する時には、「遅発性溶血性輸血副作用(DHTR:delayed hemolytic transfusion reaction)」の可能性を想起する必要があります。DHTRは発熱や貧血、溶血所見を来すとされますが、輸血後24時間以降に発症するため、患者さんの症状や検査所見と輸血イベントの関連性に気が付き難い可能性があります。臨床現場では採血手技的に伴う「溶血」に遭遇することは多々あり、輸血を要する患者さんが感染症などを合併し、発熱することも日常茶飯事です。むしろ感染症や慢性炎症のために消耗性貧血を来し、赤血球輸血をすることも多々あります。このため、輸血して数日経ってから生じる「溶血」や「発熱」と聞いても、輸血副作用を連想することが難しいのではないかと想像します。そんな見逃されやすい要素を持つDHTRですが、2013年に前川氏が「輸血療法とその副作用―見逃されている臨床病態」として取り挙げていたので、共有したいと思います。遅発性溶血性輸血副作用DHTR : delayed hemolytic transfusion reaction【概略】輸血の遅発性副作用の1つ輸血後24時間以降に生じる輸血の溶血性副作用ほとんどは2度目以降の輸血で発症(初回輸血例は稀)【病態】過去に輸血や妊娠で赤血球に対する同種抗体を産生した既往(感作)がある場合、対応抗原陽性の赤血球が輸血されると、抗原刺激によりメモリーB細胞が数日で抗赤血球抗体を急速産生する(二次免疫反応)。この抗体と赤血球が反応し溶血反応が起きる。溶血は主に血管外溶血(まれに血管内溶血)。なお、一次免疫応答による溶血が起きるケースが稀にあり、この場合は輸血後10~20日に発症するとされる。【頻度】輸血5,000~1万回に1回【発症】輸血後24時間以降(典型例は輸血後3~14日)【症状】発熱・黄疸・悪寒・倦怠感・血尿(血色素尿)・掻痒感【検査】貧血(ヘモグロビン濃度低下)・球状赤血球・総ビリルビン上昇・LDH上昇【予後】軽度な溶血例~死亡例まであり【補足】過去の輸血や妊娠による同種抗体は、年月が経つと測定感度以下に低下することがあり、この場合は不規則抗体検査や交差適合試験では同種抗体は検出できないことがある。このためDHTRを完全防止するのは難しいとされる。1)前川 平. 日内会誌. 2013;102:2433-2439.2)前川 平ほか.臨床血液. 2008;22:1306-1314.3)澤部 孝昭ほか. 日本輸血学会雑誌. 1993;39:974-978.4)安全な輸血療法ガイド5)日本輸血・細胞治療学会 輸血療法委員会 輸血副作用対応ガイド6)日本赤十字社HP 医薬品情報-溶血性副作用7)小林航太ほか. 仙台市立病院誌2017;37.39-42.

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利尿薬の処方カスケードを発見し、高尿酸血症薬の中止を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第49回

 今回は、処方カスケードを起こしやすい薬剤の代表である利尿薬と高尿酸血症治療薬に関する提案です。処方カスケードを発見するには処方順序や経緯を知ることが重要です。薬歴に処方開始の理由やその後のフォロー内容をまとめておくことで、処方カスケードを食い止めるきっかけになります。患者情報90歳、男性(施設入居)基礎疾患左放線冠脳梗塞、認知症、高血圧服薬管理施設職員処方内容1.オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン配合錠HD 1錠 朝食後2.クロピドグレル錠50mg 1錠 朝食後3.ラベプラゾール錠10mg 1錠 朝食後4.アトルバスタチン錠10mg 1錠 朝食後5.フェブキソスタット錠10mg 1錠 朝食後本症例のポイントこの患者さんは脳梗塞の既往があるものの、施設内独歩が可能で、排泄や食事も自立していて、ADLは良好でした。血圧の推移は130〜140/70〜80であり、現行の治療薬で安定していました。高尿酸血症治療薬を服用していますが、痛風発作の既往はありません。代理で訪問診療に同行することになったため、担当薬剤師の薬歴を確認したところ、「OP:尿酸値のフォロー、過去にアゾセミド服用」とありました。記録をさかのぼって確認すると、過去に下腿浮腫のためアゾセミド錠30mgを服用していたことがわかりました。その1ヵ月後の血液検査では尿酸値:11.3mg/dLと高値であったことから、フェブキソスタット10mgが追加されていました。その2週間後には下腿浮腫は消失したため、アゾセミドは中止となっていました。<薬歴から考察したこと>(1)アゾセミドによる尿酸値上昇→フェブキソスタット追加アゾセミドなどのループ利尿薬は、尿酸と同じトランスポーターを競合的に阻害するため、尿酸排泄が低下したと考えられる。利尿作用により腎糸球体ろ過量が減少し、尿酸排泄が低下した可能性もある1)。これらの作用により尿酸値が上昇し、フェブキソスタットが追加されたのではないか。(2)アゾセミド中止後の高尿酸血症の治療評価が必要今回の尿酸値上昇は、原発の高尿酸血症の可能性は低く、アゾセミドによる二次性の高尿酸血症と考察した。そのためアゾセミド中止後の尿酸値のフォローは重要であり、純粋なフェブキソスタットの治療評価とはせずに、継続の必要性を検討する必要がある。以上のことから、高尿酸血症の治療評価を医師に直接提案することとしました。処方提案と経過医師に、上記の(1)(2)の考察を共有し、都合のよいタイミングで採血を行って高尿酸血症の治療評価ができないか相談しました。ちょうど定期採血のタイミングであったことから、すぐに尿酸値や腎機能を評価することとなりました。2週間後の診療で共有された血液検査の結果は、尿酸値:3.6mg/dL、Scr:0.89mg/dL、BUN:17.5mg/dLであり、フェブキソスタットは中止となりました。その後の定期採血結果でも、尿酸値:6.7mg/dLと基準値内を推移していて、関節痛の症状や母趾の腫脹などの痛風症状もなく、無症状で経過しています。薬歴には、「OP:高尿酸血症治療管理 ●月●日〜フェブキソスタット中止(中止時の尿酸値:3.6mg/dL→中止後の尿酸値:6.7mg/dL)。再上昇に注意して要モニタリング」と変更の経緯とその後のフォロー内容を残しました。1)ダイアート錠 インタビューフォーム

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