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アカラブルチニブ、フィルムコーティング錠の登場で胃酸分泌抑制薬との併用が可能に/AZ

 アストラゼネカは、2024年12月27日、アカラブルチニブのフィルムコーティング錠(商品名:カルケンス錠)が、成人慢性リンパ性白血病(CLL)(小リンパ球性リンパ腫[SLL]を含む)患者を対象とした治療薬として、製造販売承認を取得したと発表。 同承認は、消化管のpH条件にかかわらず薬物がすべて溶出するように改善した溶解性プロファイルを有するアカラブルチニブのフィルムコーティング錠に対するもので、海外の健康被験者を対象に行ったD8223C00013試験の結果に基づくものである。 既存のアカラブルチニブカプセルは、pH4を超える条件下では溶解性が低いことに関連して、国内添付文書では、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、H2受容体拮抗薬および制酸薬とは併用注意となっていた。しかし、血液がん患者の20〜40%は、胃内pHを変化させる薬剤の投与を受けていると推定されており、同カプセル剤の使用は制限されていた。 今回の承認で錠剤が胃酸分泌抑制薬とともに服用できるようになり、アカラブルチニブの服薬レジメンの簡素化が期待できるという。・製品名:カルケンス錠100mg・一般名:アカラブルチニブマレイン酸塩水和物・効能又は効果:慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)・用法及び用量:通常、成人にはアカラブルチニブとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

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高K血症治療薬patiromerが心不全治療を最適化-DIAMOND試験サブ解析

 ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)を含むレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬は高カリウム血症(以下、高K血症)を引き起こす可能性があるため、処方がためらわれる場合がある。今回、オーストラリア・Heart Research InstituteのAndrew J. S. Coats氏らは、高K血症治療薬patiromerがHFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者におけるRAAS阻害薬の目標用量の達成を容易にすることを明らかにした。さらに、RAAS阻害薬による治療以前に高K血症を認めた患者の場合でも、patiromerが血清K値を維持し、MRAの目標用量を達成するうえでより有益である可能性も示唆した。JACC:Heart Failure誌2024年12月号掲載の報告。 本研究はpatiromerの第III相 DIAMOND試験*のサブ解析で、RAAS阻害薬の投与によって高K血症を認めた、または過去(登録前1年以内)に高K血症(血清K値>5.0mmol/L)を認めた患者において、patiromerの効果を評価した。対象者はRAAS阻害薬の用量最適化のための単盲検試験に参加し、その後にpatiromerの継続あるいはプラセボへ変更するかを二重盲検で無作為に割り付けられた。*RAAS阻害薬を投与されているHFrEF患者の高K血症管理に対するpatiromerの有効性をプラセボと比較した研究1) 主な結果は以下のとおり。・観察期を終了した1,038例のうち、RAAS阻害薬によって高K血症を認めた422例中354例(83.9%)と過去に高K血症を認めた616例中524例(85.1%)がRAAS阻害薬の用量最適化を達成し、治療に無作為に割り当てられた。・二重盲検期間中、patiromerはサブグループ(RAAS阻害薬による高K血症患者および過去に高K血症を認めた患者)の両方で、プラセボと比較して血清K値を低下させた。・ベースラインからの調整平均差は、それぞれ-0.12(95%信頼区間[CI]:-0.17~-0.07)および-0.08(95%CI:-0.12~-0.05)であった(相互作用のp=0.166)。・RAAS阻害薬による高K血症患者と過去に高K血症を認めた患者を比較しても、patiromerはMRAの目標用量を維持するうえでプラセボよりも効果的であった(HR:0.45[95%CI:0.26~0.76]vs.HR:0.85[95%CI:0.54~1.32]、相互作用のp=0.031)。・有害事象はサブグループ間で同様であった。

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Ca拮抗薬・NSAID・テオフィリンと逆流性食道炎リスク/国立国際医療研究センター

 逆流性食道炎の有病率と薬剤などの危険因子について調査した結果、カルシウム拮抗薬、テオフィリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用が逆流性食道炎の独立した予測因子であることが示唆された。国立国際医療研究センターの植田 錬氏らが、BMJ Open Gastroenterology誌2024年12月16日号で報告した。 この後ろ向き横断研究は、2015年10月~2021年12月に国立国際医療研究センターで食道・胃・十二指腸内視鏡検査を受けた患者を対象とし、質問票を用いて患者の特徴、病歴、喫煙・飲酒歴、内視鏡検査時に服用していた薬剤に関するデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者1万3,993例中、逆流性食道炎の有病率は11.8%であった。・多変量ロジスティック回帰分析により、以下の因子が逆流性食道炎の独立した予測因子であることが示された。それぞれのオッズ比(95%信頼区間)は以下のとおり。- 男性:1.52(1.35〜1.72)、p<0.001- 肥満(BMI≧25):1.57(1.40〜1.77)、p<0.001- 喫煙:1.19(1. 02~1.38)、p=0.026- 飲酒:1.20(1.07~1.35)、p=0.002- 糖尿病:1.19(1.02~1.39)、p=0.029- 食道裂孔ヘルニア:3.10(2.78~3.46)、p<0.001- 重症萎縮性胃炎なし:2.14(1.77~2.58)、p<0.001- カルシウム拮抗薬の使用:1.22(1.06~1.40)、p=0.007- テオフィリンの使用:2.13(1.27~3.56)、p=0.004- NSAIDの使用:1.29(1.03~1.61)、p=0.026

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GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドは、駆出率の保たれた心不全肥満患者に有効(解説:佐田政隆氏)

 左室駆出率が40%未満の心不全を「左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)」、左室駆出率が50%以上の心不全を「左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)」、左室駆出率が40%以上50%未満の心不全は「左室駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)」と定義されている。 HFrEFに対する薬物療法では、この30年ほどの間に著明な進歩があった。β遮断薬、ACE阻害薬/ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)もしくはARNI (アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)、MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)、そして最近はSGLT2阻害薬の上乗せが予後をさらに改善することが証明された。現在、β遮断薬、ARNI、MRA、SGLT2阻害薬はfantastic fourと呼ばれ、HFrEF患者の予後改善のために1ヵ月以内に早期に導入することが強く推奨されている。 一方、HFpEFに対しては、β遮断薬、ACE阻害薬、ARB、ARNI、MRAを用いて各種大規模臨床研究が行われてきたが、いずれも予後を改善することは証明できなかった。近年、HFrEFよりHFpEFが増加しているという報告もあり、今後予想される心不全パンデミックに備えて、HFpEFに対する有効な治療法の開発が望まれていた。 この数年、SGLT2阻害薬がHFrEFのみでなくHFpEFに対しても有効性があることが証明され、ダパグリフロジンとエンパグリフロジンは糖尿病がなくても心不全治療薬として承認されている。しかし、HFpEF患者の予後改善のためには、さらなる追加の治療法が求められていた。 2023年、肥満を有するHFpEF患者において、セマグルチド2.4mgによる治療によって、プラセボと比較して、症状と身体的制限が軽減し、運動機能が改善し、体重が減少することがSTEP-HFpEF試験で報告された。 小腸から分泌されて膵臓に作用するインクレチン製剤としては長年GLP-1受容体作動薬が用いられてきたが、昨今、GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドが糖尿病治療薬として開発され、その強力な血糖降下作用と体重減少効果から、本邦でも急速に普及している。 本論文では、BMI 30以上の肥満をもったHFpEF患者(2型糖尿病患者はおよそ48%)に対するチルゼパチドの効果を検討した。主要評価項目である104週間での「心血管死と心不全増悪」を、チルゼパチドでプラセボと比較して有意に減少させた。また、カンザスシティ心筋症質問票臨床サマリースコア(KCCQ-CSS:スコア範囲は0~100で、数値が高いほど症状と身体的制限が少ないことを示す)と6分間歩行距離を改善した。体重減少は、チルゼパチド群で-13.9%、プラセボ群で-2.2%であった。注目すべきことには、高感度CRPがチルゼパチド群でなんと-38.8%低下し、プラセボ群では-5.9%であった。この抗炎症効果は、体重減少だけでは説明がつかないと思われ、膵臓以外の臓器へのチルゼパチドの多面的な作用の関与が大きいと思われる。 米国ではチルゼパチドは肥満症治療薬として2023年11月にすでに承認されているが、日本においてもセマグルチドに続いて2024年12月27日に承認された。肥満を有するHFpEF患者に対するチルゼパチドの効果のメカニズム、GLP-1受容体作動薬とGIP/GLP-1受容体作動薬でHFpEFに対してどちらがより効果的なのか、肥満のないHFpEFにも有効なのかと疑問は尽きないが、今後の臨床研究、基礎研究で解明されていくことが期待される。

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アルツハイマー病治療の新時代、新規治療薬の承認でどう変わるか

 これまでのアルツハイマー病の治療では、症状重視の治療が何十年もの間、行われてきた。米国・アラバマ大学のDavid S. Geldmacher氏は、アルツハイマー病の対症療法の根底となるエビデンスおよび疾患進行を遅らせる可能性のあるアミロイド低下療法に関する新たなデータをレビューした。Continuum(Minneapolis, Minn)誌2024年12月1日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・2021年から、アミロイド低下モノクローナル抗体療法が臨床使用されるようになった。・2023年7月、米国食品医薬品局(FDA)より完全な承認を獲得した最初の薬剤としてレカネマブが承認された。・2024年7月には、ドナネマブも承認された。・これらの薬剤は、脳からアミロイドプラークを除去し、臨床的な疾患進行を遅らせるが、脳浮腫または滲出液貯留および脳出血を伴うアミロイド関連画像異常といわれる重大な有害事象を来す可能性がある。・そのため、定期的なMRIスキャンを含む広範な安全性モニタリングが求められる。・2023年には、ブレクスピプラゾールがアルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対して初めて承認された。・オレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサントは、以前に軽度および中等度のアルツハイマー病患者における不眠症の治療薬として承認されている。・軽度、中等度、高度のアルツハイマー病に対するアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の使用については、認知機能スクリーニング検査の変化以外のアウトカムを含め、確固たるエビデンスが報告されている。・より限定的な研究では、中等度および高度アルツハイマー病に対するメマンチンに使用が支持されている。・これらの薬剤は、主に認知機能低下を遅らせ、有害な行動の発現を抑制する。・認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する薬物療法は、予測が困難であり、ほとんどの臨床試験において、ネガティブな結果が報告されている。 著者らは「抗アミロイド療法は、アルツハイマー病の病理を一変させる初めてのFDA承認薬による治療オプションであるが、患者に対する全体的な有用性や価値を明らかにするには、もう少し時間が必要である」としている。

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ARBは脳卒中後のてんかん予防に効果的

 脳卒中を経験した人では、傷害を受けた脳組織の神経細胞に過剰な電気的活動が生じててんかんを発症することがある。この脳卒中後てんかん(post-stroke epilepsy;PSE)は、特に、高血圧の人に生じやすいと考えられている。しかし、新たな研究で、降圧薬のうち、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を使用している人では、他の降圧薬を使用している人に比べてPSEリスクがはるかに低いことが明らかになった。G・ダヌンツィオ大学(イタリア)てんかんセンターのGiacomo Evangelista氏らによるこの研究結果は、米国てんかん学会年次総会(AES 2024、12月6〜10日、米ロサンゼルス)で発表された。 この研究では、脳卒中を経験した高血圧患者528人を対象に、降圧薬の種類とPSEとの関連が検討された。対象者の中に、研究開始時にてんかんの既往歴があった者は含まれていなかった。全ての対象者が何らかの降圧薬を使用しており、うち194人は2種類以上の降圧薬を使用していた。内訳は、β遮断薬が164人、カルシウム拮抗薬が159人、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬が154人、利尿薬が136人、ARBが109人であった。 全体で38人(7.2%)がPSEを発症した。その多くは一種類の降圧薬を使用している人であった。解析の結果、ARB使用者に比べて、β遮断薬使用者では120%、カルシウム拮抗薬使用者では110%、ACE阻害薬使用者では65%、利尿薬使用者では60%、PSEリスクが高いことが示された。 ARBは、血圧を上昇させる作用のあるホルモンであるアンジオテンシンIIが結合する受容体を遮断することで、その作用を抑制する。研究グループは、アンジオテンシンIIを阻害することで、炎症が軽減し、脳内の血流が改善し、それによりてんかん発作のリスクが軽減する可能性があると推測している。一方、カルシウム拮抗薬とβ遮断薬は、脳を過度に興奮させることで、またACE阻害薬は脳内の炎症を増加させることで、てんかん発作のリスクを高める可能性があるとの考えを示している。 Evangelista氏は、「われわれの研究は、リアルワールドで、さまざまな降圧薬がPSEの予防にどの程度効果的であるかに焦点を当てた独自のものだ。どの降圧薬がPSEなどの合併症の予防に役立つかを理解することで、患者の転帰が改善される可能性がある」と話している。 一方、共同研究者であるG・ダヌンツィオ大学てんかんセンターの神経学者であるFedele Dono氏は、「これらの研究結果は、特に脳卒中患者の血圧管理における個別化医療の重要性を浮き彫りにしている。得られた結果を確認し、その根底にあるより詳細なメカニズムを明らかにするには、より多くの患者を対象にした研究の実施が必要だ」と話している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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SGLT2阻害薬やMR拮抗薬などで添文改訂指示/厚労省

 2024年12月17日、厚生労働省はSGLT2阻害薬やミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)などに対して、添付文書の改訂指示を発出した。ケトアシドーシスの持続に注意 SGLT2阻害薬はこれまでにもケトアシドーシスに関連した注意喚起がなされていたが、投与中止後の尿中グルコース排泄およびケトアシドーシスの遷延に関連する症例が集積し、現行の注意喚起からは予測できない事象と結論付けられたことから、重要な基本的注意の項に「本剤を含むSGLT2阻害薬の投与中止後、血漿中半減期から予想されるより長く尿中グルコース排泄及びケトアシドーシスが持続した症例が報告されているため、必要に応じて尿糖を測定するなど観察を十分に行うこと」が新たに追記される。 対象医薬品は以下のとおり。・エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)・ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(同:フォシーガ)・イプラグリフロジン L-プロリン(同:スーグラ)・カナグリフロジン水和物(同:カナグル)・トホグリフロジン水和物(同:デベルザ)・ルセオグリフロジン水和物(同:ルセフィ)MR拮抗薬、禁忌が一部変更に MR拮抗薬のエプレレノン(商品名:セララ)とエサキセレノン(同:ミネブロ)はカリウム貯留作用により高カリウム血症を誘発する可能性がある薬剤であるため、ヨウ化カリウムとの併用が禁忌となっている。しかし、両剤を服用中の患者において、現行では放射線による内部被爆の予防・低減のためにヨウ化カリウムを使用できないことから、「放射性ヨウ素による甲状腺の内部被曝の予防・低減に使用する場合」については、禁忌の項から除外され、併用禁忌から併用注意に変更される。同様に、ヨウ化カリウムの添付文書もエプレレノンとエサキセレノンを併用禁忌から併用注意へ変更される。

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心不全に対するミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の効果に関するメタアナリシス(解説:石川讓治氏)

 心不全の薬物治療におけるFantastic fourの1つとしてミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の使用が推奨されている。現在、心不全に対して使用可能なMRAは、スピロノラクトンやエプレレノン(ステロイド系)とフィネレノン(非ステロイド系)がある。 本研究は下記の4つの研究の患者個人データを統合して行ったメタ解析である。RALESでは、heart failure and reduced left ventricular ejection fraction(HFrEF)に対するスピロノラクトン、EMPHASIS-HFではHFrEFに対するエプレレノン、TOPCATではheart failure and preserved left ventricular ejection fraction(HFpEF)に対するスピロノラクトン、FINEARTS-HFではHFpEFに対するフィネレノンの効果が検証された。各研究結果において、RALES、EMPHASIS-HF、FINEARTS-HFでは有意差が示されたが、TOPCATでは心不全の再入院の抑制効果に有意差が認められたものの、心血管死亡の抑制効果には有意差が認められなかったことが報告されている。このメタ解析において、MRAは心血管死亡や心不全入院のリスクを22%減少させていた。ステロイド系MRAはHFrEFにおける心血管死亡や心不全の入院を減少させ、非ステロイド系MRAはheart failure and mildly reduced left ventricular ejection fraction(HFmrEF)やHFpEFのリスクを減少させたとの結果であった。 メタ解析の結果を解釈するうえで下記の2つのパターンがあり、注意が必要であると筆者は考えている。(1)各研究結果がほぼ同じで、全体としてどの程度の臨床的インパクトがあるのかを示したメタ解析である。たとえば降圧薬の心血管イベント抑制効果を評価した研究において、降圧薬の種類とは関係なく、降圧度によってどの程度の心血管イベント低下が認められたかを示したメタ解析がそれに当たると思われる。(2)その逆に結果が一貫性のない(不均一な)研究を統合して、症例数や有意差が大きい研究の結果が、大きく反映してしまうメタ解析もある。 本研究は(2)のパターンで、HFrEFに対するMRAのイベント抑制効果の大きさ(RALES、EMPHASIS-HF)が、HFpEFにおけるMRAの心血管死亡の抑制効果に有意差が得られなかったこと(TOPCAT)を帳消しにしたような結果に思える。本来メタ解析は(1)のパターンにおいてなされるべきであり、その場合はエビデンスの最上位となると思われる。しかし、(2)のパターンは各研究における対象者や薬剤間の間で結果に違いがあると判断し、メタ解析ではなく次の研究デザインで疑問を解決すべきものではなかろうか?本論文の結論も、全体としては統計学的有意差が大きい研究が小さい研究を淘汰し、各研究の結果の不均一さをサブグループ解析で再現した報告となっているように思われた。

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便秘【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第21回

便秘は古今東西いろいろな場面で遭遇します。しかし、「便秘でしょ」と軽く考えていると痛い目を見ることがあります。今回は救急外来での症例を通じて、便秘診療の注意点を確認してみましょう。<症例>80歳、女性主訴便秘病歴3日くらい前から排便がなく、1時間前から腹痛を訴えている。本人が「便秘かも」と言っており、浣腸を希望して受診した。思わず「浣腸しておいて」と言いたくなるかと思いますがそこはぐっと我慢して、ステップを追って診察していきましょう。ステップ1 本当に便秘?と疑う腹痛の鑑別は多岐にわたります。鑑別を記載すると膨大になるため割愛しますが、患者さんが「便秘のようだ」というときに、「本当に便秘?」と常に疑う必要があります。まれに尿閉を便秘と訴える患者さんもいます。「便秘で浣腸」という行為は、医療者以外でも一般的に行っている対処方法ですが、浣腸でも重篤な合併症を生じる可能性があります。浣腸は下行結腸・S状結腸あたりから直腸膨大部までの腸管内容物を排除することを目的としています。腸管壁の脆弱性を生じる疾患(憩室炎など)があった場合、圧をかけることにより消化管穿孔のリスクになるという報告があるため1)、安易に便秘と診断して浣腸することは控えるべきです。この患者さんの腹部の所見は、左下腹部に圧痛を認めるものの腹膜刺激症状はなく、直腸診では便塊を触れるのみで腫瘤の触知は認めませんでした。本人曰く、排尿は来院前に済ましているとのことで尿閉は否定的でした。他に腹痛を生じる疾患は認めなかったため、便秘と診断しました。ステップ2 治療便秘は16%の人が経験し、60歳以上となると33.5%の人が罹患するという報告があります。便秘の種類としては器質性と機能性に分けられます。器質性は腫瘍や炎症などによる腸管の狭窄、蠕動低下を来した状態であり、適切に治療しないと重篤化するため早期の発見が必要です2,3)。機能性は器質性以外の便秘で、腸管蠕動の低下や脱水により便が固くなり、排便が困難となり発症します。この患者さんは直腸診で硬便を触れるため機能性の便秘の可能性が高いと判断したところで、看護師より「摘便しましょうか?」と提案がありました。便秘の治療はさまざまです。この患者さんのように、すでに便が直腸下部にある場合、坐剤、浣腸、摘便がよい適応になります4)。私は肛門近くに便塊がある場合(糞便塞栓)、可能な限り摘便した後に浣腸をしています。固い便が肛門をふさいでいると浣腸や坐剤がうまく使用できないと考えるからです。患者さんに摘便、浣腸を行ったところ大量の排便があり、患者の腹痛はきれいに消失しました。なお、80歳という年齢を考えると、器質性の便秘の可能性も最後まで否定できないため、必ず大腸内視鏡検査を進めましょう。ステップ3 便秘を繰り返さないための指導便秘になるたびに浣腸をする人がいますが、浣腸は頻度が高くはないとはいえ消化管穿孔などの重大な合併症や習慣性を招くという報告があります5)。機能性の便秘を生じる原因は多岐にわたり、原因を1つに絞るのは難しいと言われています2)が、最も頻度が高い原因は生活習慣(食物繊維の不足、脱水、運動不足など)とされ、適度な飲水、運動が便秘の頻度を下げるという報告があり重要です6)。そして忘れてはいけないのが薬剤性です。便秘を生じる薬剤は、Ca拮抗薬、抗うつ薬、利尿薬など多岐にわたります。必要な薬は内服しなければいけませんが、昨今では高齢者のポリファーマシーが問題になっており、処方薬の調整のきっかけにしてもらいたいと考えます7)。この患者さんの内服薬は降圧薬くらいで、運動不足が便秘の原因と言われたことがあるため可能な限り体を動かしているとのことでした。生活習慣でこれ以上改善するのは難しいと判断し、薬剤投与を行うこととしました。わが国の慢性便秘症診療ガイドラインでは、「浸透圧下剤(酸化マグネシウム)」、「上皮機能変容薬(ルビプロストンなど)」が最も強く推奨されています4)。私は中でも安価で調節がしやすい酸化マグネシウムを好んで処方しています。投与後の反応は患者によって異なるため、330mgを毎食後で開始して、処方箋に「自己調節可」と記載し、患者さんに説明したうえで調節してもらっています。酸化マグネシウムを増量しても効果が乏しい場合は刺激性下剤を追加しています。酸化マグネシウムを投与する際に注意してほしい合併症が高マグネシウム血症です。投与量(≧1,650mg/日)や投与期間(36日以上)、腎機能障害(糸球体濾過量<55.4mL/min)、血中尿素窒素の上昇(≧22.4mg/dL)によってリスクが増加すると報告があり、長期投与を行う場合は漫然と処方するのではなく、定期的な血中マグネシウム濃度の測定が必要です8)。腎機能障害があるなどリスクが高い場合は、上皮機能変容薬を選択しています。この患者さんには酸化マグネシウムを処方し、近医に通院して加療を継続してもらうこととなりました。便秘という疾患は多くの人が経験する疾患であり、便秘が主訴の患者さんに対して「便秘だろう」という先入観で診察を怠ると痛い目にあうことがあります。積極的に介入していきましょう。1)大城 望史ほか. 日本大腸肛門病学会雑誌. 2008;61:127-131.2)Forootan M, et al. Medicine(Baltimore). 2018;97:e10631.3)Black CJ, et al. Med J Aust. 2018;209:86-91.4)日本消化器病学会関連研究会慢性便秘の診断治療研究会. 慢性便秘症診療ガイドライン2017.南江堂;2017.5)Niv G, et al. Int J Gen Med. 2013;6:323-328.6)Leung L, et al. J Am Board Fam Med. 2011;24:436-451.7)大井 一弥. YAKUGAKU ZASSHI. 2019;139:571-574.8)Wakai E, et al. J Pharm Health Care Sci. 2019;5:4.

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喘息予防・管理ガイドライン改訂、初のCQ策定/日本アレルギー学会

 2024年10月に『喘息予防・管理ガイドライン2024』(JGL2024)が発刊された。今回の改訂では初めて「Clinical Question(CQ)」が策定された。そこで、第73回日本アレルギー学会学術大会(10月18~20日)において、「JGL2024:Clinical Questionから喘息予防・管理ガイドラインを考える」というシンポジウムが開催された。本シンポジウムでは4つのCQが紹介された。ICSへの追加はLABAとLAMAどちらが有用? 「CQ3:成人喘息患者の長期管理において吸入ステロイド薬(ICS)のみでコントロール不良時には長時間作用性β2刺激薬(LABA)と長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の追加はどちらが有用か?」について、谷村 和哉氏(奈良県立医科大学 呼吸器内科学講座)が解説した。 喘息の治療において、ICSの使用が基本となるが、ICS単剤で良好なコントロールが得られない場合も少なくない。JGL2024の治療ステップ2では、LABA、LAMA、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放製剤のいずれか1剤をICSへ追加することが示されている1)。そのなかでも、一般的にICSへのLABAの追加が行われている。しかし、近年トリプル療法の有用性の報告、ICSとLAMAの併用による相乗効果の可能性の報告などから、LAMA追加が注目されており、LABAとLAMAの違いが話題となることがある。  そこで、ICS単剤でコントロール不十分な18歳以上の喘息患者を対象に、ICSへ追加する薬剤としてLABAとLAMAを比較した無作為化比較試験(RCT)について、既報のシステマティックレビュー(SR)2)のアップデートレビュー(UR)を実施した。 8試験の解析の結果、呼吸機能(PEF[ピークフロー]、トラフFEV1[1秒量] )についてはLAMAがLABAと比べて有意な改善を認め、QOL(Asthma Quality of Life Questionnaire[AQLQ])についてはLABAがLAMAと比べて有意な改善を認めたが、いずれも臨床的に意義のある差(MCID)には達しなかった。また、喘息コントロール、増悪、有害事象についてはLABAとLAMAに有意差はなく、同等であった。 以上から、「ICSへの追加治療としてLABAとLAMAはいずれも同等に推奨される(エビデンスの確実性:B[中])」という推奨となった1)。ただし、谷村氏は「ICS/LAMA合剤は上市されていないため、アドヒアランス・吸入手技向上の観点からはICS/LABAが優先されうると考える。個別の症状への効果などの観点から、LABAとLAMAを使い分けることについては議論の余地がある」と述べた。中用量以上のICSでコントロール良好例のステップダウンは? 「CQ4:成人喘息患者の長期管理において中用量以上のICSによりコントロール良好な状態が12週間以上経過した場合にICS減量は推奨されるか?」について、岡田 直樹氏(東海大学医学部 内科学系呼吸器内科学)が解説した。 高用量のICSの長期使用はステロイド関連有害事象のリスクとなることが知られ、国際的なガイドライン(GINA[Global initiative for asthma]2024)3)では、12週間コントロール良好であれば50~70%の減量が提案されている。しかし、適切なステップダウンの時期や方法、安全性については十分な検討がなされていないのが現状であった。 そこで、中用量以上のICSで12週間以上コントロール良好な喘息患者を対象に、ICSのステップダウンを検討したRCTについて、既報のSR4)のURを実施した。 抽出された7文献の解析の結果、ICSのステップダウンは経口ステロイド薬による治療を要する増悪を増加させず、喘息コントロールやQOLへの影響も認められなかった。単一の文献で入院を要する増悪は増加傾向にあったが、イベント数が少なく有意差はみられなかった。一方、重篤な有害事象やステロイド関連有害事象もイベント数が少なく、明らかな減少は認められなかった。 以上から、「中用量以上のICSでコントロール良好な場合はICS減量を行うことが提案される(エビデンスの確実性:C[弱])」という推奨となった1)。岡田氏は、今回の解析はすべての研究の観察期間が1年未満と短く、骨粗鬆症などの長期的なステロイド関連有害事象についての評価がなかったことに触れ、「長期的な高用量ICSの投与により、ステロイド関連有害事象のリスクが増加することも報告されているため、高用量ICSからのステップダウンにより、ステロイド関連有害事象の発現が低下することが期待される」と述べた。FeNOに基づく管理は有用か? 「CQ1:成人喘息患者の長期管理において呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)に基づく管理は有用か?」について、鶴巻 寛朗氏(群馬大学医学部附属病院 呼吸器・アレルギー内科)が解説した。 FeNOは、喘息におけるタイプ2炎症の評価に有用であることが報告されている。FeNOは、未治療の喘息患者ではICSの効果予測因子であり、治療中の喘息患者では経年的な肺機能の低下や気道可逆性の低下、増悪の予測における有用性が報告されている。しかし、治療中の喘息におけるFeNOに基づく長期管理の有用性に関するエビデンスの集積は十分ではない。 そこで、臨床症状とFeNO(あるいはFeNOのみ)に基づいた喘息治療を実施したRCTについて、既報のSR5)のURを実施した。 対象となった文献は13件であった。解析の結果、FeNOに基づいた喘息管理は1回以上の増悪を経験した患者数、52週当たりの増悪回数を有意に低下させた。しかし、経口ステロイド薬を要する増悪や入院を要する増悪については有意差がみられず、呼吸機能の改善も得られなかった。症状やQOLについても有意差はみられなかった。ICSの投与量については、減少傾向にはあったが、有意差はみられなかった。 以上から、「FeNOに基づく管理を行うことが提案される(エビデンスの確実性:B[中])」という推奨となった1)。結語として、鶴巻氏は「FeNOに基づく長期管理は、増悪を起こす喘息患者には有用となる可能性があると考えられる」と述べた。喘息の長期管理薬としてのマクロライドの位置付けは? 「CQ5:成人喘息患者の長期管理においてマクロライド系抗菌薬の投与は有用か?」について、大西 広志氏(高知大学医学部 呼吸器・アレルギー内科)が解説した。 小児を含む喘息患者に対するマクロライド系抗菌薬の持続投与は、重度の増悪を減らし、症状を軽減することが、過去のSRおよびメタ解析によって報告されている6)。しかし、成人喘息に限った解析は報告されていない。 そこで、既報のSR6)から小児を対象とした研究や英語以外の文献などを除外し、成人喘息患者の長期管理におけるマクロライド系抗菌薬の有用性について検討した適格なRCTを抽出した。 採用された17文献の解析の結果、マクロライド系抗菌薬は、入院を要する増悪や重度の増悪を減少させず、呼吸機能も改善しなかった。Asthma Control Test(ACT)については、アジスロマイシン群で有意に改善したが、MCIDには達しなかった。同様にAsthma Control Questionnaire(ACQ)、AQLQもマクロライド系抗菌薬群で有意に改善したが、MCIDには達しなかった。 以上から、本解析の結論は「マクロライド系抗菌薬の持続投与は、喘息患者に有用な可能性はあるものの、長期管理に用いることを推奨できる十分なエビデンスはない」というものであった。これを踏まえて、JGL2024の推奨は「マクロライド系抗菌薬を長期管理の目的で投与しないことが提案される(エビデンスの確実性:C[弱])」となった1)。また、この結果を受けてJGL2024の「図6-5 難治例への対応のための生物学的製剤のフローチャート」における2型炎症の所見に乏しい喘息(Type2 low喘息)から、マクロライド系抗菌薬が削除された。■参考文献1)『喘息予防・管理ガイドライン2024』作成委員会 作成. 喘息予防・管理ガイドライン2024.協和企画;2024.2)Kew KM, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2015;2015:CD011438.3)Global Initiative for Asthma. Global Strategy for Asthma Management and Prevention, 2024. Updated May 20244)Crossingham I, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2017;2:CD011802.5)Petsky HL, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2016;11:CD011439.6)Undela K, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2021;11:CD002997.

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“Fantastic Four”の一角に陰り:心筋梗塞例にミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は無効(解説:桑島巌氏)

 アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、SGLT2阻害薬の4つは心不全の治療薬におけるFantastic Fourとして広く宣伝されてきた。しかし本論文は、その一角を成すMRAの1つスピロノラクトンが心筋梗塞後の心血管死や心不全悪化に対しての効果はプラセボ群と差がなく、有用性を認めなかったという結果を示した。 心不全、収縮機能が低下した心筋梗塞例に対してスピロノラクトンやエプレレノンが死亡率を減少させることは、すでにRALES研究(Pitt B, et al. N Engl J Med. 1999;341:709-717.)やEPHESUS研究(Pitt B, et al. N Engl J Med. 2003;348:1309-1321.)などで証明されている。しかし今回発表されたCLEAR研究では、心筋梗塞後の症例に対してのスピロノラクトンの有用性は証明できなかった。 スピロノラクトンに有意な有効性を認めなかった最大の要因は、イベント数が少ないことによる検出力不足である。本研究の対象者は心筋梗塞後に冠動脈インターベンション(PCI)を受けた症例であり、ほとんどの例でステント(96%)や、抗血小板薬(97%)やスタチン(97%)などによる厳格な再発予防治療を受けており、心血管イベント発症率は低いのは当然である。この点、RALES研究やEPHESUS研究の時代とは背景が大きく異なっている。 また本研究ではKillip II以上の心不全症例が含まれていないことも、スピロノラクトンの有用性を示すことができなかった一因であろう。 約7,000例規模の試験において有効性を認めなかったことは、実臨床においても心不全を合併しない心筋梗塞例に漫然とMRAを処方することは避けるべきとのメッセージである。

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人工股関節置換術前の検査【日常診療アップグレード】第18回

人工股関節置換術前の検査問題73歳女性。変形性股関節症の治療のため入院中である。3日後に左の人工股関節置換術が予定されている。出血量は300~500mLと予想される。既往歴として高血圧と甲状腺機能低下症がある。エナラプリル(ACE阻害薬)、アムロジピン(Ca拮抗薬)、レボチロキシン(甲状腺ホルモン薬)、アセトアミノフェン(鎮痛薬)を内服している。バイタルサインは異常なし。疼痛のため、左股関節の可動域に制限がある。2ヵ月前にTSH(甲状腺刺激ホルモン)を測定していて異常はない。術前検査として、全血球計算(CBC)と腎機能に加えTSHとFT4をオーダーした。

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MI後のスピロノラクトンの日常的使用は有益か?/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた心筋梗塞(MI)患者において、スピロノラクトンはプラセボと比較し、心血管死または心不全の新規発症/増悪の複合イベント、あるいは心血管死、MI、脳卒中、心不全の新規発症/増悪の複合イベントの発生を低減しなかった。カナダ・マクマスター大学のSanjit S. Jolly氏らCLEAR investigatorsが、14ヵ国の104施設で実施した無作為化比較試験「CLEAR試験」の結果を報告した。ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は、うっ血性心不全を伴うMI患者の死亡率を低下させることが示されているが、MI後のスピロノラクトンの日常的な使用が有益であるかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2024年11月17日号掲載の報告。スピロノラクトンvs.プラセボ投与を比較 研究グループは、PCIを受けたST上昇型MIまたは1つ以上のリスク因子(左室駆出率[LVEF]≦45%、糖尿病、多枝病変、MIの既往または60歳以上)を有する非ST上昇型MI患者を、2×2要因デザインによりスピロノラクトン+コルヒチン、コルヒチン+プラセボ、スピロノラクトン+プラセボ、またはプラセボのみを投与する群に1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 コルヒチン群とプラセボ群を比較した結果は別途報告されている。本論ではスピロノラクトン群とプラセボ群の比較について報告された。 主要アウトカムは2つで、(1)心血管死および心不全の新規発症または増悪の複合と、(2)MI、脳卒中、心不全の新規発症または増悪および心血管死の複合であった。2つの主要アウトカムについて有意差なし 2018年2月1日~2022年11月8日に、7,062例が無作為化され、3,537例がスピロノラクトン、3,525例がプラセボの投与を受けた。今回の解析時点で、45例(0.6%)の生命転帰が不明であった。 追跡期間中央値3.0年において、1つ目の主要アウトカムである心血管死および心不全の新規発症または増悪の複合イベントは、スピロノラクトン群で183件(100患者年当たり1.7件)、プラセボ群で220件(100患者年当たり2.1件)が報告された。非心血管死の競合リスクを補正したハザード比は0.91(95%信頼区間[CI]:0.69~1.21、p=0.51)であった。 2つ目の主要アウトカムの複合イベントの発生率は、スピロノラクトン群で7.9%(280/3,537例)、プラセボ群で8.3%(294/3,525例)が報告され、競合リスク補正後ハザード比は0.96(95%CI:0.81~1.13、p=0.60)であった。 重篤な有害事象は、スピロノラクトン群で255例(7.2%)、プラセボ群で241例(6.8%)に報告された。

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高K血症または高リスクのHFrEF、SZC併用でMRAの長期継続が可能か/AHA2024

 ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は、左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者の予後を改善することが報告されている。しかし、MRAは高カリウム血症のリスクを上げることも報告されており、MRAの減量や中断につながっていると考えられている。そこで、高カリウム血症治療薬ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(SZC)をMRAのスピロノラクトンと併用することが、高カリウム血症または高カリウム血症高リスクのHFrEF患者において、スピロノラクトンの至適な使用に有効であるかを検討する無作為化比較試験「REALIZE-K試験」が実施された。本試験の結果、SZCは高カリウム血症の発症を減少させ、スピロノラクトンの至適な使用に有効であったが、心不全イベントは増加傾向にあった。本研究結果は、11月16~18日に米国・シカゴで開催されたAmerican Heart Association’s Scientific Sessions(AHA2024、米国心臓学会)のLate-Breaking Scienceで米国・Saint Luke’s Mid America Heart Institute/University of Missouri-Kansas CityのMikhail N. Kosiborod氏によって発表され、Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2024年11月18日号に同時掲載された。 本試験の対象は、高カリウム血症(血清カリウム値5.1~5.9mEq/LかつeGFR≧30mL/min/1.73m2)または高カリウム血症高リスクのHFrEF(左室駆出率40%以下、NYHA分類II~IV度)患者203例であった。本試験は導入期と無作為化期で構成された。導入期では、スピロノラクトンを50mg/日まで漸増し、必要に応じてSZCを用いて血清カリウム値を正常範囲(3.5~5.0mEq/L)に維持した。導入期の終了時において、スピロノラクトンを25mg/日以上の用量で継続、かつ血清カリウム値が正常範囲であった患者をSZC群とプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化期では、スピロノラクトンとSZCまたはプラセボを6ヵ月投与した。主要評価項目と主要な副次評価項目は以下のとおりで、上から順に階層的に検定した。【主要評価項目】・スピロノラクトンの至適な使用(スピロノラクトンを25mg/日以上の用量で継続し、血清カリウム値が正常範囲を維持し、高カリウム血症に対するレスキュー治療なし)【主要な副次評価項目】・無作為化時のスピロノラクトン用量での血清カリウム値正常範囲の維持・スピロノラクトンを25mg/日以上の用量で継続・高カリウム血症発症までの期間・高カリウム血症によるスピロノラクトンの減量または中止までの期間・カンザスシティ心筋症質問票臨床サマリースコア(KCCQ-CSS)の変化量 主な結果は以下のとおり。・主要評価項目のスピロノラクトンの至適な使用は、SZC群71%、プラセボ群36%に認められ、SZC群が有意に優れた(オッズ比[OR]:4.45、95%信頼区間[CI]:2.89~6.86、p<0.001)。・主要な副次評価項目の上位4項目はSZC群が有意に優れた。詳細は以下のとおり。<無作為化時のスピロノラクトン用量での血清カリウム値正常範囲の維持>SZC群58% vs.プラセボ群23%(OR:4.58、95%CI:2.78~7.55、p<0.001)<スピロノラクトンを25mg/日以上の用量で継続>SZC群81% vs.プラセボ群50%(OR:4.33、95%CI:2.50~7.52、p<0.001)<高カリウム血症発症までの期間>ハザード比[HR]:0.51、95%CI:0.37~0.71、p<0.001<高カリウム血症によるスピロノラクトンの減量または中止までの期間>HR:0.37、95%CI:0.17~0.73、p=0.006・KCCQ-CSSの変化量は、両群に有意差はみられなかった(群間差:-1.01点、95%CI:-6.64~4.63、p=0.72)。・心血管死・心不全増悪の複合は、SZC群11例(心血管死1例、心不全増悪10例)、プラセボ群3例(それぞれ1例、2例)に認められ、SZC群が多い傾向にあった(log-rank検定による名目上のp=0.034)。

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日本におけるアルツハイマー病への多剤併用と有害事象との関連〜JADER分析

 アルツハイマー病は、世界的な健康関連問題であり、有病率が増加している。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)やNMDA受容体拮抗薬などによる現在の薬物治療は、とくに多剤併用下において、有害事象リスクと関連している。香川大学の大谷 信弘氏らは、アルツハイマー病治療薬の組み合わせ、併用薬数と有害事象発生との関係を調査した。Medicina誌2024年10月6日号の報告。 日本の医薬品副作用データベース(JADER)より、2004年4月〜2020年6月のデータを分析した。対象は、AChEI(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)またはNMDA受容体拮抗薬メマンチンで治療された60歳以上のアルツハイマー病患者2,653例(女性の割合:60.2%)。有害事象とアルツハイマー病治療薬の併用および併用薬数との関連を評価するため、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・JADERに報告されたアルツハイマー病治療薬の使用状況は、ドネペジル単剤療法41.0%、リバスチグミン25.0%、ガランタミン17.3%、メマンチン7.8%、メマンチン+AChEI 8.9%であった。・併用薬数は、併用薬なし17.5%、1種類10.2%、2種類8.6%、3種類10.0%、4種類6.1%、5種類以上47.7%であった。・主な併存疾患の内訳は、高血圧35.2%、脂質異常症13.6%、糖尿病12.3%、脳血管疾患10.7%、睡眠障害7.4%、虚血性心疾患6.1%、うつ病4.7%、パーキンソン病4.3%、悪性腫瘍3.1%。・有害事象の頻度は、徐脈6.4%、肺炎4.6%、意識変容状態3.6%、発作3.5%、食欲減退3.5%、嘔吐3.5%、意識喪失3.4%、骨折3.4%、心不全3.2%、転倒3.0%。・メマンチン+AChEI併用療法は、徐脈リスク上昇と関連していた。・ドネペジル単独療法は、骨折、転倒リスク低下との関連が認められた。・多剤併用療法は、有害事象、とくに意識変容状態、食欲減退、嘔吐、転倒の発生率上昇と有意な相関が認められた。・5種類以上の薬剤を使用した場合としなかった場合の調整オッズ比は、意識変容状態で10.45、食欲減退で7.92、嘔吐で4.74、転倒で5.95であった。 著者らは「アルツハイマー病治療における有害事象発生率は、アルツハイマー病治療薬の既知の有害事象や併用パターンとは無関係に、併用薬数と関連している可能性が示唆された」と結論付けている。

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高リスクIgA腎症へのエンドセリンA受容体拮抗薬の重度蛋白尿改善効果は確定(解説:浦信行氏)

 エンドセリンA受容体拮抗薬の蛋白尿改善効果はIgA腎症をはじめとして、慢性腎臓病(CKD)や巣状糸球体硬化症等で次々に報告されるようになった。本研究(ALIGN研究)は高リスクIgA腎症を対象とし、エンドセリンA受容体拮抗薬atrasentanの36週での尿蛋白減少効果を偽薬投与群と比較した成績であるが、36.1%有意に減少させたと報告された。 同様の成績は昨年エンドセリンA受容体・アンジオテンシンII受容体デユアル拮抗薬のsparsentanの報告(PROTECT研究)があるので、結果を対比する(CLEAR!ジャーナル四天王-1666「IgA腎症の病態に根差した治療」と同1755「IgA腎症の新たな治療薬sparsentanの長期臨床効果」で解説)。まず、対象はeGFR30 mL/min以上で、尿蛋白1g/day以上であり、両者に差はない。使用薬剤はエンドセリンA受容体・アンジオテンシンII受容体デユアル拮抗薬とエンドセリンA受容体拮抗薬の違いはあるが、対照群が各々イルベサルタンと偽薬であり、本質的な差はないと考える。また、第III相、二重盲検、多国間試験であり、この点に関しても本質的な差はない。また有害事象の発生は2群間に有意差はなく、同様の成績である。ALIGN研究はエンドセリンA受容体拮抗薬と偽薬との対比であるため、より直接的にエンドセリンA受容体拮抗薬の尿蛋白減少効果を評価できたことが両者の違いである。ただし、PROTECT研究はより詳細に尿蛋白減少効果を評価しており、110週に至るまでの長期効果を0.3g/day未満の完全緩解率と1.0g/day未満の部分寛解率も良好な成績で報告されている。尿蛋白の多寡が腎機能障害の進行の程度に関連することを考慮すると、この点に関しても提示してほしかった。 本研究は132週まで継続し、eGFRの推移を2群間で対比する予定である。PROTECT研究は110週までのeGFRのスロープを対比しており、6週から110週までのそれに有意差があったが、1日目から110週までの全スロープでは、残念ながらp=0.058と傾向に留まった。ALIGN研究の今後の期待はこの点にある。

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肺動脈性肺高血圧症治療剤ユバンシ配合錠が発売/ヤンセン

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2024年11月20日、肺動脈性肺高血圧症治療薬として、エンドセリン受容体拮抗薬マシテンタン10mgとホスホジエステラーゼ5阻害薬タダラフィル40mgとの配合薬「ユバンシ配合錠」を発売した。 マシテンタン/タダラフィルは、国際共同第III相ピボタル試験(A DUE試験)の結果1)に基づき、9月24日に肺動脈性肺高血圧症を効能または効果として国内の製造販売承認を取得した、1日1回服用の配合錠である。 現在、肺動脈性肺高血圧症の治療については、欧州心臓病学会(ESC)および欧州呼吸器学会(ERS)による肺高血圧症治療ガイドライン2022において、エンドセリン受容体拮抗薬とホスホジエステラーゼ5阻害薬の併用療法が推奨されている。本薬剤は有効性・安全性プロファイルが示されているマシテンタンおよびタダラフィルの2つを配合錠にすることで、疾患管理の最適化や患者の服薬時の負担軽減などを期待できる可能性がある。<製品概要>商品名:ユバンシ配合錠一般名:マシテンタン/タダラフィル剤形:フィルムコーティング錠効能又は効果:肺動脈性肺高血圧症 用法及び用量:通常、成人には1日1回1錠(マシテンタンとして10mg及びタダラフィルとして40mg)を経口投与する。薬価:1万3,334.90円/錠製造基準収載日:2024年11月20日製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社販売提携先:日本新薬株式会社

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フィネレノンによるカリウムの影響~HFmrEF/HFpEFの場合/AHA2024

 左室駆出率(LVEF)が軽度低下した心不全(HFmrEF)または保たれた心不全(HFpEF)患者において、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)のフィネレノン(商品名:ケレンディア)は高カリウム血症の発症頻度を高めたが、その一方で低カリウム血症の発症頻度を低下させたことが明らかになった。ただし、プロトコールに沿ったサーベイランスと用量調整を行った場合、プラセボと比較し、カリウム値が5.5mmol/Lを超えた患者でもフィネレノンの臨床的な効果は維持されていた。本研究結果は、米国・ミネソタ大学のOrly Vardeny氏らが11月16~18日に米国・シカゴで開催されたAmerican Heart Association’s Scientific Sessions(AHA2024、米国心臓学会)のFeatured Scienceで発表し、JAMA Cardiology誌オンライン版2024年11月17日号に同時掲載された。 本研究は日本を含む37ヵ国654施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照イベント主導型試験多施設ランダム化試験であるFINEARTS-HF試験の2次解析である。FINEARTS-HF試験において、HFmrEFまたはHFpEFの転帰を改善することが示唆されていたが、その一方で、追跡調査では血清カリウム値上昇の関連が示されていたため、それを検証するために2020年9月14日~2023年1月10日のデータを解析した。追跡期間の中央値は32ヵ月だった(追跡最終日は2024年6月14日)。 研究者らは、 血清カリウム値が5.5mmol/L超(高カリウム)または3.5mmol/L未満(低カリウム)となる頻度とその予測因子を調査し、ランダム化後のカリウム値に基づきフィネレノンによる治療効果をプラセボと比較、臨床転帰に及ぼす影響を検討した。NYHAクラスII~IVの症候性心不全およびLVEF40%以上、ナトリウム利尿ペプチド上昇、左房拡大または左室肥大を有する、利尿薬を登録前30日以上使用しているなどの条件を満たす40歳以上の患者が登録され、フィネレノンまたはプラセボの投与が行われた。主要評価項目は心不全イベントの悪化または全心血管死の複合であった。 主な結果は以下のとおり。・対象者6,001例(平均年齢72歳、女性2,732例)はフィネレノン群3,003例、プラセボ群2,998例に割り付けられた。・血清カリウム値の増加は、1ヵ月後(中央値の差0.19mmol/L[IQR:0.17~0.21])および3ヵ月後(同0.23mmol/L[同:0.21~0.25])において、フィネレノン群のほうがプラセボ群より大きく、この増加は残りの追跡期間中も持続した。・フィネレノンは、高カリウムになるリスクを高め、そのハザード比(HR)は2.16(95%信頼区間[CI]:1.83~2.56、p<0.001)であった。また、低カリウムになるリスクを低下させた(HR:0.46[95%CI:0.38~0.56]、p<0.001)。・低カリウム(HR:2.49[95%CI:1.8~3.43])と高カリウム(HR:1.64[95%CI:1.04~2.58])の双方が両治療群における主要アウトカムのその後のリスクの上昇と関連していた。しかしながら、カリウム値が5.5mmol/L超であってもフィネレノン群はプラセボ群と比較して、主要評価項目のリスクがおおむね低かった。

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高リスクIgA腎症へのatrasentan、重度蛋白尿を改善/NEJM

 IgA腎症で重度の蛋白尿を有する患者は、腎不全の生涯リスクが高いとされる。オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J.L. Heerspink氏らALIGN Study Investigatorsは「ALIGN試験」において、IgA腎症患者の治療ではプラセボと比較してエンドセリンA受容体の選択的拮抗薬atrasentanは、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある蛋白尿の減少をもたらし、有害事象の発現は両群で大きな差はないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年10月25日号で報告された。国際的な第III相無作為化試験の中間解析 ALIGN試験は、20ヵ国133施設で実施した第III相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2021年3月~2023年4月に患者を登録した(Novartisの助成を受けた)。 年齢18歳以上、生検で証明されたIgA腎症で、尿中総蛋白排泄量が1日1g以上、推算糸球体濾過量(eGFR)が30mL/分/1.73m2以上の患者を対象とした。被験者を、atrasentan(0.75mg/日)またはプラセボを132週間投与される群に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、ベースラインから36週目までの24時間尿蛋白-クレアチニン比の変化率とし、患者登録開始から270例のデータを、事前に規定された中間解析において評価した。6週目には明らかな差 340例を登録し、このうち最初の270例を2つの群に135例ずつ割り付けた。270例の平均年齢は44.9歳、41.1%が女性であった。IgA腎症の平均罹患期間は5.6年、平均eGFRは58.9mL/分/1.73 m2、24時間尿蛋白-クレアチニン比中央値は1,433であり、98.5%の患者がACE阻害薬またはARBを使用していた。 ベースラインと比較した36週目の尿蛋白-クレアチニン比の幾何平均変化率は、プラセボ群が-3.1%であったのに対し、atrasentan群は-38.1%であり、幾何平均群間差は-36.1%ポイント(95%信頼区間[CI]:-44.6~-26.4)と有意差を認めた(p<0.001)。 6週目には、プラセボ群と比較して、atrasentan群における尿蛋白-クレアチニン比の減少が明らかとなり、この状態が36週目まで持続した。投与中止に至る体液貯留はなかった 36週の時点でのベースラインからの血圧の平均(±SD)変化量は、atrasentan群で収縮期が-3.94±11.90mmHg、拡張期は-4.25±8.96mmHgであり、プラセボ群ではそれぞれ2.67±12.25mmHgおよび2.25±10.70mmHgであった。また、36週目の体重の平均変化量はatrasentan群で-0.2±2.8kg、プラセボ群で-0.1±3.0kgだった。 2つの群で有害事象の発現率に大きな差はなかった(atrasentan群82.2% vs.プラセボ群84.7%)。頻度の高い有害事象は、COVID-19(20.7% vs.21.8%)、鼻咽頭炎(10.1% vs.5.9%)、末梢浮腫(8.9% vs.6.5%)であった。とくに注目すべき有害事象としては、体液貯留がatrasentan群11.2%、プラセボ群8.2%で報告されたが、試験薬の投与中止には至らなかった。また、明らかな心不全や重度の浮腫は発生しなかった。 著者は、「本試験で得られたatrasentanの有益性のデータは、対象が高リスクの患者集団(適切な支持療法にもかかわらずベースラインの尿中総蛋白排泄量が1日1g以上)で、安全性と副作用プロファイルが良好であったことを考慮すると、臨床的に意義のあるものと考えられる」としている。

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さじ加減で過降圧や副作用を調整している医師にとっては3剤配合剤の有用性は低い(解説:桑島巌氏)

 Ca拮抗薬、ARB/ACE阻害薬の単剤で降圧目標値に達しない場合には両者の併用、それでも降圧目標値に達しない場合には、サイアザイド類似薬またはサイアザイド系利尿薬の3剤併用とするのが『高血圧治療ガイドライン2019』である。その場合、3剤を1つの配合剤とすることで服薬コンプライアンスの改善が見込まれるが、本試験は、Ca拮抗薬アムロジピン2.5mg、ARB(テルミサルタン20mg)、サイアザイド類似薬(インダパミド1.25mg)の3剤を配合したGMRx2(本邦未発売)半量の有効性と安全性を、各成分2剤併用と比較した国際共同二重盲検試験である。12週間追跡の結果、3剤配合は2剤併用よりも家庭血圧の有意な降圧をもたらし、外来血圧の降圧率も優れ、かつ副作用による中断率においては2剤併用と差がなかったというのが結論である。 さて、この試験結果が本邦の実臨床にどの程度役立つかが問題である。 本試験の3剤配合、2剤併用に用いられているアムロジピン、テルミサルタンの用量は、日本の初期用量と同じである。インダパミドは、わが国では1mg錠が最小用量であるが、本試験の1.25mg錠とほぼ同じと見てよいであろう。注目すべきは、テルミサルタンとインダパミドの2剤併用は平均値で見ると130/80mmHgを下回る有効性を示し、十分な降圧効果をもたらしており、2剤併用でも十分な降圧効果が得られている点である。ARB/ACE阻害薬とサイアザイド系薬の併用は非常に有効ではあるが、とくに高齢者では低Na血症や低K血症による不整脈や脱力などの副作用に十分な注意が必要である。その場合、配合剤では微調整がしにくいという難点が生じる。とくに、さじ加減で血圧や副作用により用量を微調整している医師にとっては、3剤配合剤の有用性は低いと思われる。

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