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マグネシウム摂取と脳内NMDA受容体の関与が明らかに

 これまで、うつ病の一因としてマグネシウム(Mg2+)の1日摂取量の減少が示唆されており、前臨床試験において食事性マグネシウム摂取の制限(MgR)により、うつ病様行動を増強させることが実証されていた。オーストリア・ウィーン大学医学部のMaryam Ghafari氏らは、マウス実験の結果、MgRは脳内のGluN1を含むNMDA受容体複合体を変化させることを報告した。Brain Structure and Function誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。 Mg2+はNMDA受容体の活性を抑制することが示されていたが、食事で摂取するMg2+が、脳内のNMDA受容体複合体に影響を及ぼすのかについては明らかになっていなかった。研究グループはマウスを用いて、食事性MgRが、脳内のNMDA受容体サブユニット構造体の変化を誘発し、NMDA受容体調節機能を変化するかを調べた。 主な結果は以下のとおり。・MgRは、GluN1を含むNMDA複合体の扁桃体-視床下部タンパク質量の減少と関連していることが示され、うつ病様行動強化を誘発したことが明らかになった。・食事で摂取するMg2+の減少によるGluN1 mRNA値の変化はみられず、転写後の変化は認められなかった。・タンパク質同士の相互作用の可能性を明らかにするために、GluN1の免疫沈降法およびPLA(proximity ligation assays)を行った。予想されたGluN1サブユニットとGluN2A、GluN2Bの関連が明らかになり、また既知の下流シグナルタンパク質に加えて新たにGluA1、GluA2との相互作用も明らかになった。・MgRマウスへのパロキセチン長期投与は、強化されたうつ病様行動を正常化したが、GluN1を含むNMDA受容体量は変化せず、NMDA受容体の下流にターゲットがあることが示された。・現時点のデータから、食事性MgRは脳のGluN1ほかGluN2A、GluN2B、AMPA受容体GluA1、GluA2といくつかのプロテインキナーゼなどを含むNMDA受容体複合体量を変化させたことが示された。・これらのデータは、食事性Mg2+摂取の調節が、MgRにより誘発・強化されたうつ病様行動との関与を示す受容体複合体の機能とシグナルを変化しうることを示すものであった。関連医療ニュース 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき 小児ADHD、食事パターンで予防可能か NMDA拮抗薬メマンチンによる再発低血糖症の拮抗ホルモン減弱のメカニズム  担当者へのご意見箱はこちら

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成人喘息増悪予防、ICS/LABA戦略が有効かつ安全/BMJ

 喘息増悪の予防において、低用量吸入ステロイド薬+長時間作動型β2刺激薬(ICS/LABA)治療戦略が最も有効で安全であることが、オランダ・アムステルダム大学のRik J B Loymans氏によるネットワークメタ解析の結果、報告された。解析では若干の不均一性はみられたが、ICS/LABA維持療法+リリーバー、もしくは固定用量/日のICS/LABA療法の2つが同程度に有効かつ安全であることが示された。結果を踏まえて著者は、「低用量吸入ステロイド薬では不十分な場合、これら2つの戦略の選択が好ましく、ステップアップ治療の根拠となりうる」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年5月13日号掲載の報告。15の治療戦略とプラセボ介入データをネットワークメタ解析 喘息治療への長時間作動型β2刺激薬の追加は、吸入ステロイド薬を増量するよりも増悪予防において好ましいとされる。これまで、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)や同吸入ステロイド薬との合剤(ICS+LTRA)といった他の戦略と評価したいくつかのメタ解析は行われていたが、研究グループは、ネットワークメタ解析の手法を用いて、現在行われている維持療法戦略の有効性と安全性を比較した。 文献データの検索は、コクランシステマティックレビューにて行い、24週以上の維持療法について無作為化された喘息成人患者が参加しており、全文の中で喘息増悪が報告されていた試験を適格とした。 低用量吸入ステロイド療法を比較群として、主要有効性アウトカムは、重症の増悪発作の発生率とした。副次アウトカムは、中等度~重症の増悪発作率とした。また治療中断率を安全性のアウトカムとして評価した。 文献検索により解析には、15の治療戦略とプラセボを比較・追跡した64試験5万9,622人年のデータを組み込んだ。ICS/LABA以外の組み合わせ戦略は、吸入ステロイド薬に対する優越性示されず 分析の結果、重症増悪発作の予防の有効性は、ICS/LABA維持療法+リリーバーと固定用量/日のICS/LABA療法が同程度に最高位に位置づけられた。 低用量吸入ステロイド薬療法と比較して発生率比は、ICS/LABA維持療法+リリーバーが0.44(95%信頼区間[CI]:0.29~0.66)、固定用量/日のICS/LABA療法は0.51(同:(0.35~0.77)であった。 その他の組み合わせ治療戦略は、吸入ステロイド薬療法に対する優越性は示されず、すべての単剤治療は、低用量吸入ステロイド薬の単独療法に対して劣性であった。 安全性は、従来最善(ガイドラインベース)の診療で、維持療法+リリーバーの組み合わせが最も良好であった。

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疼痛解消に、NSAIDsと胃粘膜保護薬の配合剤登場が待たれる?

 胃粘膜保護薬は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)およびアスピリンの長期投与による合併症および死亡率を減少させることが知られているが、英国・オックスフォード大学のRobert Andrew Moore氏らによるレビューの結果、筋骨格系疾患では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の効果が不十分な患者がいることや、胃粘膜保護薬が必ずしも併用されていないことが示唆された。著者は、NSAIDsと胃粘膜保護薬の配合剤が1つの解決策となる、とまとめている。Pain Practice誌2014年4月号(オンライン版2013年8月13日号)の掲載報告。 研究グループの目的は、NSAIDsおよびNSAIDs起因性消化管傷害に対する保護薬のベネフィットとリスクを評価することであった。 PubMed(2012年12月までの発表論文)およびGoogle Scholarを用い、NSAIDsの有効性、疼痛軽減のベネフィット、胃粘膜保護の治療戦略、胃粘膜保護薬のアドヒアランス、NSAIDsならびに胃粘膜保護薬の重篤な有害事象に関する論文を検索し、関連論文や引用論文も含めて解析した。 主な結果は以下のとおり。・患者が必要としていることは、疼痛強度を半分に軽減することと、疲労・苦痛・QOLの改善であった。・筋骨格系疾患に対するNSAIDsの鎮痛効果は、二峰性の分布を示した。・プロトンポンプ阻害薬(PPI)と高用量ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)の胃粘膜保護効果は類似しており、高用量H2RAよりPPIのほうが有効であるという決定的なエビデンスはなかった。・2005年以降に発表された研究において、NSAIDsと胃粘膜保護薬の併用に関する指針に対するアドヒアランスは、処方者が49%、患者はほぼ100%であった。・長期間にわたる高用量PPIの使用は、骨折などの重篤な有害事象のリスクの増加と関連していた。

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チオトロピウム、軽症から重症までの喘息に対する有効性示す~2014年度米国アレルギー・喘息・免疫学会議(AAAAI2014)~

※チオトロピウム レスピマットは、現在喘息の治療薬として承認されていないのでご留意ください。 2014年3月1日、米国サンディエゴで開催された2014年度米国アレルギー・喘息・免疫学会議(AAAAI)で、チオトロピウムの新たな第3相試験結果第3相試験GraziaTinA-asthmaの結果が発表され、低用量の吸入ステロイド薬による維持療法を受けてもなお、コントロールが不十分な喘息患者において、チオトロピウムレスピマットが肺機能を改善し、忍容性も良好であったことが示された。 GraziaTinA-asthma試験の筆頭著者であるピサ大学呼吸器内科准教授Prof. Pierluigi Paggiaro氏は、現在の治療選択肢をもってしてもなお、喘息患者の少なくとも40%がコントロール不十分で、喘息増悪リスクが高まることがあるため、あらゆる重症度の喘息患者において、新しい治療選択肢の安全性と有効性を検討することが重要であると述べた。 同学会では、GraziaTinA-asthma以外のチオトロピウムの気管支喘息についての大規模試験結果も報告されている。中等症を対象とした第3相試験MezzoTinA-asthmaの新たなサブ解析結果からは、中用量の吸入ステロイド薬による維持療法を受けてもコントロールが不十分な喘息患者において、チオトロピウムの1日1回の追加投与は、アレルギーの有無に関わらず、気道の閉塞を抑制することが示された。 重症例を対象とした第3相試験PrimoTinA-asthmaのサブ解析結果からは、吸入ステロイド薬/長時間作用性β刺激薬の併用治療を受けてもなお、コントロールが不十分な喘息患者において、チオトロピウムの1日1回の追加投与が、ロイコトリエン受容体拮抗薬の併用の有無に関わらず、肺機能を改善することが示された。 これらの試験結果から、ベーリンガーインゲルハイムは、チオトロピウムレスピマットがあらゆる重症度の喘息において、有効かつ忍容性が良好であることが示されたと発表した。ベーリンガーインゲルハイムのプレスリリースはこちら

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日本発!イストラデフィリンに抗うつ効果~学習性無力感ラットでの実験

 イストラデフィリンが、脳内モノアミン伝達とは無関係なアデノシンA2A受容体活性の調節を介して、抗うつ様効果を発揮することがラットによる実験で明らかとなった。協和発酵キリン研究本部の山田 浩司氏らの検討によるもので、パーキンソン病の運動症状に加え、うつに対する新たな治療選択肢となる可能性が示唆された。Psychopharmacology誌オンライン版2月2日号掲載の報告。 アデノシンA2A受容体拮抗薬であるイストラデフィリンは、パーキンソン病動物モデルおよびパーキンソン病患者における運動機能障害を改善する。さらに、いくつかのA2A受容体拮抗薬は、強制水泳試験及び尾懸垂試験などでうつ病を誘発したげっ歯動物において、抗うつ様効果を発揮することがわかっている。 著者らは、学習性無力感モデルのラットを使って、うつ様行動に対するイストラデフィリンの効果を調査した。 主な結果は以下のとおり:・急性期・慢性期におけるイストラデフィリンの経口投与は、三環系抗うつ薬のデシプラミンと選択的セロトニン(5 -HT)再取り込み阻害薬であるフルオキセチンによる慢性治療に匹敵する有効性を示しながら、逃避不可能な電撃(IES)が引き起こす逃避のあきらめを有意に改善した。・A1受容体選択的拮抗薬のDPCPXではみられなかったが、A1/A2A受容体の非特異的拮抗薬であるテオフィリンと中等度の選択的拮抗薬であるCGS15943の両剤で、IESが引き起こす逃避のあきらめを改善した。・イストラデフィリンによる逃避反応の増強は、A2A特異的アゴニストであるCGS21680の局所注射(側坐核、尾状核被殻、視床下部の室傍核への局所注射)により効果が失われたが、A1特異的アゴニストであるR-PIAの側坐核への局所注射では、効果が失われなかった。・また、 5-HT2A/2C 受容体拮抗薬のメチセルジドやα2拮抗薬ヨヒンビン、またβ遮断薬のプロプラノロールのいずれも、イストラデフィリンによってもたらされた逃避反応の改善に影響を与えなかった。

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精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所

 理化学研究所 脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームの窪田 美恵氏らは、気分障害および統合失調症におけるグルタミン酸受容体のADAR2とRNA編集(RNA editing)の役割を明らかにした。両者の剖検脳から、気分障害および統合失調症ではADAR2発現の低下が認められ、同低下がAMPAグルタミン酸受容体でのRNA編集の減少と関連していることが示唆されたという。これらの所見を踏まえて著者は、「ADAR2発現低下によるAMPA受容体のRNA編集の効率が、精神疾患の病態生理に関与している可能性がある」と述べている。Molecular Brain誌2014年1月号の掲載報告。 AMPA(2-amino-3-(3-hydroxy-5-methyl-isoxazol-4-yl)-propanoic acid)/カイニン酸グルタミン酸受容体の前mRNAは転写後に修正される。RNA編集として知られるこの修正はADAR2(adenosine deaminase acting on RNA type 2)を介して行われ、受容体のアミノ酸配列と機能が変化する。気分障害や統合失調症で、グルタミン酸シグナルが関与していることは示唆されていたが、AMPA/カイニン酸受容体のRNA編集が病態生理学的に意味を持つのかについては明らかにされていなかった。 研究グループは、剖検脳(双極性障害例32例、統合失調症例35例、対照群34例)、凍結脳組織片(同11例、13例、14例とうつ病例11例)、またAdar2ノックアウトマウス脳を用いて、ADAR2の発現とRNA編集について調べた。 得られた主な知見は以下のとおり。・剖検脳において気分障害や統合失調症患者は、ADAR2発現が低下する傾向があることが判明した。ADAR2発現の低下は、AMPA受容体のR/G部位の編集減少と関連していた。・へテロ接合型Adar2ノックアウトマウス( Adar2+/-マウス)においても、AMPA受容体R/G部位の編集は減少していた。・ Adar2+/-マウスは、オープンフィールド試験で活動性が増加する傾向を示した。また、強制水泳試験では静止に対して抵抗する傾向を示した。また、アンフェタミン誘導の活動亢進もみられた。・野生型マウスと Adar2+/-マウスにおいて、AMPA/カイニン酸受容体拮抗薬(2,3-dihydroxy-6-nitro-7-sulfamoyl-benzo[f]quinoxaline)投与後、アンフェタミン誘導の活動亢進に有意差はみられなかった。・著者は、「これらの所見は、全体的に、ADAR2発現低下によるAMPA受容体のRNA編集の効率が、精神疾患の病態生理に関与している可能性を示唆するものである」とまとめている。関連医療ニュース 精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか グルタミン酸作動性システムは大うつ病の効果的な治療ターゲット グルタミン酸トランスポーター遺伝子と統合失調症・双極性障害の関係

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新規開発のEMA401、帯状疱疹後神経痛に有望/Lancet

 新規の神経障害性疼痛治療薬として開発中のアンジオテンシンIIタイプ2型受容体(AT2R)拮抗薬EMA401は、帯状疱疹後神経痛(PHN)の疼痛改善に有望であることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAndrew S C Rice氏らによる第2相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。1日2回100mgの経口投与による28日間の試験終了時点で、プラセボと比較してPHNの有意な緩和が認められ、忍容性も良好であった。PHNおよび一般的な神経障害性疼痛に対する既存治療は、効果がわずかで好ましくない副作用がある。AT2Rは、神経障害性疼痛の新しいターゲットで、EMA401はこのAT2Rに高い選択性を有するという。Lancet誌オンライン版2014年2月5日号掲載の報告より。6ヵ国29施設でPHN患者183例を対象に第2相無作為化試験 試験は、PHNを有する患者において、EMA401の治療薬としての可能性を評価することを目的とし、6ヵ国29施設の多施設共同にて、22~89歳で6ヵ月以上のPHNを有する患者を登録して行われた。 183例の患者を無作為に、EMA401(1日2回100mg)かプラセボを投与する群に割り付け、28日間治療を行った(EMA401群92例、プラセボ群91例)。患者と各試験サイトのスタッフは割り付け情報は知らされなかった。 EMA401の有効性、安全性、薬物動態を評価。主要有効性エンドポイントは、ベースライン時と投薬最終週(22~28日)との間の、平均疼痛強度[11ポイントの数値的評価スケール(NRS)で測定]の変化であった。プラセボ群と比べて疼痛スコア変化が有意に低下 結果、EMA401群はプラセボ群と比べて、同変化値が有意に低かった。平均疼痛スコアの低下は-2.29[SD 1.75] vs. -1.60 [1.66]、最小二乗平均値補正後の両群差は-0.69[SE 0.25](95%信頼区間[CI]:-1.19~-0.20、p=0.0066)だった。 EMA401に関連した重篤な有害事象は、発生がみられなかった。治療関連の有害事象はEMA401群で32例の患者が56件報告、プラセボ群でも29例の患者が45件報告した。

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第55回米国血液学会(ASH 2013)トレンドビュー 血液腫瘍治療の最新知見

第55回米国血液学会(American Society of Hematology 2013)が2013年12月7~10日、米国ルイジアナ州ニューオリンズにて開催された。同学会の内容から血液腫瘍治療の最新のトレンドを、がん研究会有明病院 血液腫瘍科部長/がん化学療法センター臨床部部長の畠 清彦氏に聞いた。iPS細胞研究と次世代シーケンス導入今回のASHでは、まずiPS細胞の基礎研究の広がりが印象的であった。iPS細胞の臨床応用にはまだ時間を要するが、血液系の分化・増殖という方向への展開が明確にみられた。また、次世代シーケンスの導入の活発化も最近の特徴であろう。治療の前後や治療抵抗性時における遺伝子の発現状況の比較や、急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)などにおける遺伝子異常の解析が盛んに進められている。この流れはしばらく続くと予測される。急性骨髄性白血病(AML)AMLについては、有望な新規薬剤のエビデンスの報告はほとんどなかった。印象的だったのは、米国で2010年に販売中止となったゲムツズマブオゾガマイシンの自主研究が着実に進められており、投与スケジュールの変更や減量、他剤との併用により、予想以上に良好な成績が得られていることであった。販売が継続している日本でも、使用機会は減少しているが、工夫の余地は残されていると考えられる。急性リンパ性白血病(ALL)ALLに関しては、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性例(ABL-positive)に対するニロチニブと多剤併用化学療法(hyper-CVAD:シクロホスファミド+ビンクリスチン+ドキソルビシン+デキサメタゾン)の第II相試験で良好な成績が報告された。一方、Ph陰性例では有望な新薬は見当たらないが、B細胞性ALLに対するCD19抗体などの検討が進められている。慢性骨髄性白血病(CML)BCR-ABL遺伝子T315I変異陽性CMLの治療において、第3世代ABLキナーゼ阻害薬であるポナチニブの有効性が確認されている。米国では2012年に承認され、日本では現在申請中であるが、2次または3次治療薬として承認される見通しである。ただし、現在、T315I変異の検査が可能な施設は限られており、全国的な検査体制の構築が課題となる。慢性リンパ球性白血病(CLL)CLL領域では、プレナリー・セッションでオビヌツズマブ(GA101)+クロラムブシル(GClb)とリツキシマブ+クロラムブシル(RCbl)のhead-to-headの第III相試験(CLL11試験)の結果が報告された。GA101は糖鎖改変型タイプⅡ抗CD20モノクローナル抗体であり、B細胞上のCD20に選択的に結合し、リツキシマブに比べ抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性が強く、直接的な細胞死の誘導能も高いとされる。結果は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値が、GClb群で26.7ヵ月と、RCbl群の15.2ヵ月よりも1年近く延長し(p<0.0001)、全生存期間(OS)中央値も良好な傾向がみられた(p=0.0849)。また、経口投与が可能なBurtonチロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるイブルチニブとリツキシマブ+ベンダムスチン(RB)との併用に関する第Ib相試験では、良好な安全性プロフィールが確認されるとともに、奏効率が90%を超え、推定1年PFSも90%に達しており、注目を集めた。現在、イブルチニブ+RBとプラセボ+RBを比較する無作為化第III相試験が進行中である。ONO-4059は、CLLの第I相試験で有望な結果が示されており、これから第II相試験が開始される。そのほか、イデラリシブ、BAY806946、IPI-145などのPI3キナーゼ阻害薬の開発が、今後、どのように展開するかに関心が集まっている。リンパ腫前述のCLLへの有効性が確認された薬剤の多くがリンパ腫にも効果がある可能性が示唆されている。活性化B細胞(ABC)型のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)に対するR-CHOPへのイブルチニブの上乗せ効果を評価する第III相試験が開始されている。また、イブルチニブは単剤で再発マントル細胞リンパ腫にも有効なことが示されている。前述の経口BTK阻害薬であるONO-4059は、CLLだけでなく、リンパ腫に対する有用性も示唆されている。また、リンパ腫に対するGA101の検討も進められている。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬では、RAD001やパノビノスタットの検討が進められている。DLBCLについては、胚細胞B細胞(GCB)型に有効な薬剤の開発が課題である。T細胞性リンパ腫では、CD30抗体薬であるブレンツキシマブベドチンの有効性が第II相試験で示され、日本でもまもなく承認が得られる予定である。また、ブレンツキシマブベドチンは未分化大細胞型リンパ腫やホジキンリンパ腫の治療として、多剤併用化学療法への上乗せ効果の検討が進められている。一方、BCL-2拮抗薬であるABT-199(GDC-0199)は、CLLのほか小リンパ球性リンパ腫(SLL)に有効な可能性が第I相試験で示された。骨髄異形成症候群(MDS)MDSの治療では、オーロラキナーゼ阻害薬の進歩がみられたが、その有用性を見極めるにはもう少し時間を要する状況である。多発性骨髄腫多発性骨髄腫の領域では、第2世代プロテアソーム阻害薬であるカーフィルゾミブを中心とする臨床試験が数多く行われている。カーフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(CRd)療法や、カーフィルゾミブ+ポマリドマイド+デキサメサゾン(CPd)療法の第II相試験で良好な成績が報告されていた。また、ダラツムマブなどいくつかの抗CD38抗体薬の開発が進められており、第I相試験で有望な成績が報告されている。さらに、経口プロテアソーム阻害薬であるMLN9708(クエン酸イクサゾミブ)とレナリドミド+デキサメタゾン(Rd)の併用療法は第I/II相試験で良好な成績が示され、現在、MLN9708+RdとRdを比較する第III相試験が進行中である。本試験は開始されたばかりであり、結果を得るには時間を要するが、有望視されている試験の1つである。最後に全体としては、BTK阻害薬のように、対象患者は限られるが有害事象が少ない薬剤を長期的に投与すると、QOLを良好に維持しつつ、徐々にCR例が増加するという状況がみられる。CML治療におけるイマチニブやダサチニブ、ニロチニブに相当する薬剤が、CLLやリンパ腫、マントル細胞リンパ腫の治療においても確立されつつあるという印象である。ただし、単剤で十分か、他剤との併用が必要となるかは、今後の検討課題である。

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カルシウム拮抗薬の酒さリスク増大は都市伝説

 スイス・バーゼル大学のJ. Spoendlin氏らは、カルシウム(Ca)拮抗薬、β遮断薬およびそのほかの降圧薬服用と酒さ発症との関連について調査を行った。その結果、Ca拮抗薬は酒さのリスクを増大するという一般的な概念を否定するデータが得られたこと、またβ遮断薬についてはわずかに酒さのリスクを低下し、その効果は紅斑毛細血管拡張性酒さの患者においてやや強い可能性があることを報告した。降圧薬と酒さのリスクについては、エビデンスが不足しているにもかかわらず、Ca拮抗薬の使用は酒さ患者を失望させるものとされる一方、β遮断薬は紅斑毛細血管拡張性酒さの適応外治療として推奨されている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年1月16日号の掲載報告。 研究グループは、英国のGeneral Practice Research Databaseを活用して、1995~2009年に初発の酒さが記録されていた症例を対象に降圧薬と酒さ発症との適合症例対照研究を行った。 各症例と対照は、年齢、性別、かかりつけ医(GP)、インデックス日付前のデータベースにおける既往歴の年数で適合された。被験者を、多変量条件付きロジスティック回帰モデルにて、降圧薬服用の開始時期(あるいはインデックス日付より180日超前)および期間(処方回数)で層別化して評価した。 主な結果は以下のとおり。・症例5万3,927例と対照5万3,927例について評価した。・全層別群でのCa拮抗薬服用者について統一オッズ比(OR)を用いて評価した結果、処方回数40回以上のジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の現在服用者について、わずかであるがORの減少が認められた(OR:0.77、95%信頼区間[CI]:0.69~0.86)。・服用開始時期や期間にかかわらず、β遮断薬のアテノロール(商品名:テノーミンほか)、ビソプロロール(同:メインテートほか)も、わずかだが全層別群にわたってORを低下した。プロプラノロール(同:インデラルほか)のORは1.0であった。・ACE阻害薬やARBの酒さリスクとの関連はいずれも変わらなかった。・著者は、「われわれのデータは、Ca拮抗薬は酒さのリスクを増すという一般的な概念を否定するものであった。β遮断薬は酒さのリスクをわずかに減少した。その効果は、紅斑毛細血管拡張性酒さの患者においてやや強い可能性がある」とまとめている。

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認知症予防効果を降圧薬に期待してよいのか

 最近の研究において、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)には降圧効果だけでなく、認知症に対する薬効もあることが示唆されている。はたして、ARBに認知症予防効果を期待できるのか。台湾国立大学のWei-Che Chiu氏らはこの答えを明らかにすべく同国住民ベースのコホート研究を行った。その結果、ARBは、血管系リスクが高い人の認知症リスクを低減することが示唆された。また、累積投与量が高い患者ほど、認知症およびそのサブタイプ(アルツハイマー病等)に対して、より高い予防効果がみられたという。Journal of Hypertension誌オンライン版2014年1月8日号の掲載報告。 研究グループは、認知症およびそのサブタイプへのARBの効果を調べることを目的に、台湾国民健康保険の研究データベースを利用した住民ベースのコホート研究を行った。ペア適合したARB服用患者と非服用患者、合計2万4,531例について、1997~2009年に個別に追跡して認知症発症例を特定し、ARBと認知症、アルツハイマー病、血管性認知症の関連を分析した。評価は、Cox比例ハザート回帰分析にて、ハザード比と95%信頼区間(CI)を算出して行った。 主な結果は以下のとおり。・11年の追跡期間中に認知症の発症が特定されたのは、ARB服用群1,322例(5.4%)、非服用群2,181例(8.9%)であった。・認知症およびサブタイプ別にみたARB服用群の多変量補正ハザード比は、認知症0.54(95%CI:0.51~0.59)、アルツハイマー病0.53(同:0.43~0.64)、血管性認知症0.63(同:0.54~0.73)であった。・累積投与量については、1日量1,460以上の患者で、同値未満の患者と比べて、有意なリスク減少がみられた(ハザード比:0.37vs. 0.61、p<0.05)。関連医療ニュース 新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光 スタチン使用で認知症入院リスク減少 認知症に対するアロマテラピー、効果はあるか

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胃酸分泌抑制薬の長期服用、ビタミンB12欠乏症リスク増大/JAMA

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)やヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)の長期服用は、ビタミンB12欠乏症の発症リスクを、1.25~1.65倍に増大することが明らかになった。米国の大手保険会社・カイザーパーマネンテのJameson R. Lam氏らが、同社保険プランの加入者データを用い、ビタミンB12欠乏症の診断を受けた約2万6,000例とその対照群について行った症例対照試験の結果、報告した。結果を受けて著者は、「胃酸分泌抑制薬を処方する際は、リスクとベネフィットのバランスを考慮すべきであることが示唆された」とまとめている。JAMA誌2013年12月11日号掲載の報告より。ビタミンB12欠乏症の約2万6,000例と対照群約18万4,000例を比較 研究グループは、米国の保険プラン「北カリフォルニア・カイザーパーマネンテ」の加入者のうち、1997~2011年にビタミンB12欠乏症の診断を受けた2万5,956例について、同診断を受けなかった18万4,199例を比較する症例対照研究を行った。ビタミンB12欠乏症と、それ以前のPPI、H2RAの処方との関連について分析を行った。 分析には、薬剤処方、臨床検査、診断のそれぞれデータベースを使用した。ビタミンB12欠乏症リスク、2年以上PPI処方で1.65倍、同H2RA処方で1.25倍 その結果、ビタミンB12欠乏症と診断された人のうち、2年以上PPIの処方を受けていた人は3,120例(12.0%)、同H2RAの処方を受けていた人(PPI処方はなし)は1,087例(4.2%)だった。いずれも受けていなかった人は、2万1,749例(83.8%)だった。 一方、ビタミンB12欠乏症の診断を受けていなかった人で、2年以上PPIの処方を受けていた人は1万3,210例(7.2%)、同H2RAの処方を受けていた人は5,897例(3.2%)だった。いずれも受けていなかった人は16万5,092例(89.6%)。 2年以上PPIまたはH2RAの処方を受けていた人は、いずれもビタミンB12欠乏症リスクの増大が認められた。オッズ比は、PPI群が1.65(95%信頼区間:1.58~1.73)、H2RA群は1.25(同:1.17~1.34)だった。 また、PPIの処方が1.5錠/日超の人は、0.75錠/日未満の人に比べ同リスクが高く、オッズ比は1.95(同:1.77~2.15、p=0.007)だった。 著者は、「胃酸分泌抑制薬服用の既往および現在使用は、ビタミンB12欠乏症と有意な関連があった」と結論し、そのうえで「この結果は、胃酸分泌抑制薬の処方についてリスクとベネフィットのバランスを考慮すべきであることを示唆するものである」と述べている。

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エキスパートに聞く!「喘息治療の最新事情(成人編)」Q&A Part1

日常診療で抱く疑問に、専門医がわかりやすく、コンパクトに回答するコーナーです。成人気管支喘息について、会員医師からの疑問にご回答いただきました。高齢者にも吸入が十分可能な薬剤について教えてください。まず、ドライパウダー製剤とエアロゾル製剤の違いについてよくご理解いただき、各製剤を使い分けていただく必要があります。ただし、いずれの製剤でも十分な吸入指導は必須です。とくに高齢者の場合、一度説明をしても理解していないケースや忘れてしまうケースもあるので、繰り返しの吸入指導がきわめて重要です。ドライパウダー製剤ではある程度の吸気流量が必要ですので、吸気筋力が低下した高齢者にはエアロゾル製剤が有用です。ただ、エアロゾル製剤は速い速度で噴射される薬剤をゆっくり吸入する必要があり、手技に若干難しさがあります。うまく吸入できない高齢者では、スペーサーを併用していただければと思います。また、高齢者では認知症で吸入剤がうまく使えない、あるいは関節リウマチなどでエアロゾルが押せない方もいます。そのような場合には、介助者や家族にも吸入指導を行い、患者さんの吸気に合わせてエアロゾル製剤を口に吹き込むことで治療効果が得られます。最初から吸入ステロイド薬(ICS)/長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合剤で治療すべき患者さんと、吸入ステロイド薬のみでよい患者さんの判別方法について教えてください。呼吸機能検査が可能な場合、気流閉塞(閉塞性障害)が強くみられる患者さんには吸入ステロイド薬単剤よりも配合剤が適しているかもしれません。また、自覚症状が強い(とくに夜間眠れないような症状が続いている)患者さんにも、配合剤のほうがよいかと思います。しかしながら、吸入ステロイド薬単剤でもよくなる患者さんも多くおられますので、高価な配合剤の乱用は避けていただきたいと思います。難治性喘息に対する“奥の手”について教えてください。吸入ステロイド薬や配合剤を投与しても効果が乏しい、または悪化するような場合、製剤を変えることで改善することがしばしばあります。そのため、難治性喘息と思われるケースでは複数の薬剤を試していただき、それでも効果が不十分な場合には、ロイコトリエン受容体拮抗薬や徐放性テオフィリン製剤を併用してください。また、粒子径の大きいドライパウダー製剤で効果が不十分な場合には、粒子径の小さいエアロゾル製剤を上乗せすると、奏効することも少なくありません(ただし保険の査定にはご注意ください)。また、咳が強い難治性喘息の患者さんに対しては、トロンボキサン合成酵素阻害薬やトロンボキサンA2受容体拮抗薬が奏効することがあるので検討するとよいでしょう。さらに、近年は胃食道逆流症(GERD)の合併例が増加しており、そのような症例ではGERD治療薬を上乗せすることで、咳が改善することもしばしばあります。とはいえ、吸入手技を徹底するだけで症状がよくなることもありますので、基本に立ち返り、あらためて吸入指導を行っていただくことも重要だといえます。

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ACE阻害薬とARBの併用は危険!(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(151)より-

 NEPHRON-Dは、ARB(ニューロタン)を1ヵ月以上服用している糖尿病腎症の症例を、ACE阻害薬(リシノプリル)併用群とプラセボ併用群にランダマイズして追跡したトライアルであるが、併用療法群に高度な高カリウム血症と急性腎障害という生命を脅かす重篤な有害事象が多くみられたため、試験開始から2.2年で安全性の観点から中止された。この結果は、これまでのレニン・アンジオテンシン系抑制薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、直接的レニン阻害薬(DRI)の2剤併用は有害事象を増加させるという、これまでの臨床試験ONTARGET、ALTITUDEの結果を確認する結果となった。 理論的には、Volume depletionの状態ではレニン・アンジオテンシン(RA)系が賦活して糸球体輸出細動脈を収縮させ、近位尿細管からのナトリウム再吸収の亢進と、アルドステロン分泌促進によってこの血管内容量を維持しようとする代償機序が作動するが、RA系薬剤の併用によってその代償機構を阻害してしまうために、腎障害や高カリウム血症という臨床上重篤な有害事象をもたらすと考えられる。 2.2年の中止時点で、腎機能悪化と末期腎不全への進展が試験開始後24ヵ月時点では併用療法で良好であったが、48ヵ月後では両群で差がなくなっており、長期的にみて併用療法のメリットはなく、有害事象を増加させるというデメリットの方が大きい結果を示した。 この試験結果はACE阻害薬とARBの安易な併用による有害事象を避けるためにも、「糖尿病腎症に対するARBとACE阻害薬の併用は禁忌」として保険診療にも反映されるべきである。

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精神症状を有するパーキンソン病にピマバンセリンは有用/Lancet

 精神症状を有するパーキンソン病患者に対し、セロトニン5-HT2A受容体選択的拮抗薬ピマバンセリンは陽性症状を改善することが、第3相臨床試験の結果、報告された。米国・Cleveland Clinic Lou Ruvo Center for Brain HealthのJeffrey Cummings氏らが発表した。パーキンソン病患者では精神症状(幻覚や妄想を含む)を有する頻度が半数以上と高く、同患者の衰弱の要因になっているが難治性である。今回の結果を受けて著者は「治療法がほとんどない精神症状を有するパーキンソン病患者に、ピマバンセリンは有用である可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2013年11月1日号掲載の報告より。試験開始後43日目のSAPS-PDスコアの変化を比較 研究グループは、2010年8月~2012年8月にかけて、米国とカナダの医療機関を通じ、パーキンソン病で精神症状のある40歳以上の患者199例を対象に、二重盲検無作為化比較試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方にはピマバンセリンを40mg/日、もう一方にはプラセボを、それぞれ投与した。 試験開始後15日、29日、43日にそれぞれ評価を行った。主要評価項目は、試験開始43日後のパーキンソン病患者向けに改変した陽性症状評価尺度(SAPS-PD)スコアの変化だった。 被験者の平均年齢は72.4歳、女性の割合はプラセボ群が42%、ピマバンセリンが33%だった。ピマバンセリン群でプラセボ群に比べSAPS-PDスコアが約3ポイント減少 被験者のうち、プラセボ群90例、ピマバンセリン群95例について分析を行った。その結果、ピマバンセリン群では試験開始43日後のSAPS-PDスコアの変化は-5.79だったのに対し、プラセボ群では-2.73と、その格差は-3.06だった(95%信頼区間:-4.91~-1.20、p=0.001、Cohen's d=0.50)。 有害作用により服用を中止したのは、ピマバンセリン群では10例で、そのうち4例は服用後10日以内の精神障害または幻覚によるものだった。一方プラセボ群では、服用を中止したのは2例だった。 全体としては、ピマバンセリンの忍容性は良好で、安全性や運動機能悪化に対する有意な懸念はみられなかった。

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糖尿病患者へのベスト降圧薬は?/BMJ

 糖尿病患者における腎保護効果はACE阻害薬のみで認められ、ARBがACE阻害薬と比べて良好な効果を示すというエビデンスはみつからなかったことが、台湾・亜東記念医院のHon-Yen Wu氏らによるシステマティックレビューとベイズネットワークメタ解析の結果、報告された。結果を踏まえて著者は「薬剤コストを考慮した場合、今回の知見において、糖尿病患者の降圧薬の第一選択はACE阻害薬とすることを支持するものであった。そして十分な降圧が得られない場合は、ACE阻害薬+Ca拮抗薬の併用療法とするのが好ましいだろう」と結論している。BMJ誌オンライン版2013年10月24日号掲載の報告より。単独・併用を含む降圧治療についてベイズネットワークメタ解析 コストを考慮しない場合、主要なガイドラインでは、糖尿病を有する高血圧患者の降圧薬の第一選択は、ACE阻害薬またはARBを提唱している。しかしこれまでACE阻害薬とARBを比較した臨床試験は稀有であり、糖尿病患者に関する両薬剤間の腎保護効果の差は不確定で、RA系阻害薬との併用療法の選択についてコンセンサスは得られていなかった。 研究グループは本検討で、糖尿病患者における異なるクラスの降圧薬治療(単独・併用含む)の、生存への影響および主要腎転帰への効果について評価することを目的とした。 PubMed、Medline、Scopus、Cochrane Libraryの電子データベースで2011年12月までに公表された文献を検索した。適格とした試験は、糖尿病高血圧患者を対象とし、追跡期間が12ヵ月以上の降圧治療(ACE阻害薬、ARB、α遮断薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、利尿薬、およびこれらの併用)の無作為化試験で、全死因死亡、透析導入または血清クレアチニン濃度倍増を報告していたものとした。 ベイズネットワークメタ解析では、直接的および間接的エビデンスを組み合わせ、治療間の効果の相対的評価、および保護効果に基づく治療ランキングの見込みを算出した。死亡抑制の最善治療はACE阻害薬+Ca拮抗薬 解析には、63試験・3万6,917例が組み込まれた。死亡例は2,400例、透析導入は766例、血清クレアチニン濃度倍増報告例は1,099例だった。 血清クレアチニン濃度倍増について、プラセボとの比較で有意に減少したのは、ACE阻害薬のみであった(オッズ比[OR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.32~0.90)。治療戦略間の比較(ACE阻害薬vs. ARB)では有意差は示されなかったが、最善の治療である確率はACE阻害薬が最も高かった。 末期腎不全(ESRD)への降圧治療の効果については、その転帰に関して治療間の有意差はみられなかったが、ESRD発生を最も抑制したのはACE阻害薬であった(OR:0.71)。次いでわずかな差でARBが続いていた(OR:0.73)。 死亡率で有意差が示されたのは、β遮断薬のみであった(同:7.13、1.37~41.39)。 ACE阻害薬の薬効は必ずしも有意ではなかったが、3つのアウトカムについて一貫してARBよりも効果が優れることを示す高位の位置を占めていた。 プラセボと比較した死亡を抑制する最善の治療は、ACE阻害薬+Ca拮抗薬が、統計的有意差は示されなかったが最も高率(73.9%)であることが示された。次いで、ACE阻害薬+利尿薬(12.5%)、ACE阻害薬(2.0%)、Ca拮抗薬(1.2%)、そしてARB(0.4%)であった。

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抗うつ薬の効果発現を加速するポイントは

 一般的に、抗うつ薬が効果を発現するまでには2週間程度を要するといわれている。そのようななか、選択的セロトニン2C(5-HT2C)拮抗薬は、中脳皮質のドーパミン作用シグナリングを強化する作用により、速やかな抗うつ効果の発現を呈することが明らかにされた。米国・シカゴ大学のM D Opal氏らがマウス試験の結果、報告した。現在の抗うつ薬は、治療効果がみられるまでに数週間の投与を必要とする。Molecular Psychiatry誌オンライン版2013年10月29日号の掲載報告。 研究グループは、マウス試験により、5-HT2C拮抗薬の抗うつ効果の発現について、発現までの期間や作用機序について検討した。 主な知見は以下のとおり。・5-HT2C拮抗薬の抗うつ効果の発現までの期間は5日と、現在の抗うつ薬の14日よりも速やかであった。・5-HT2C拮抗薬による亜慢性治療(5日間)により、抗うつ行動をもたらす効果があることが、慢性強制水泳検査(cFST)、慢性軽度ストレス(CMS)パラダイム、嗅球摘出パラダイムにおいて認められた。・また同治療により、抗うつ活性の従来マーカーである、cAMP応答配列結合タンパク(CREB)の活性、内側前頭前皮質(mPFC)における脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現にも変化がみられた。・これらの効果発現は、プロトタイプの選択的セロトニン再取り込み薬(SSRI)シタロプラム(国内未承認)の亜慢性治療ではみられなかった。・mPFCにおけるBDNFの誘発には、中脳腹側被蓋野への5-HT2C拮抗薬の局注で十分であった。一方でドーパミンD1受容体拮抗薬治療は、5-HT2C拮抗薬の抗うつ活性効果を阻害することが認められた。・また、5-HT2C拮抗薬は、哺乳類において標的となるmPFCにおけるラパマイシン(mTOR)と真核生物伸長因子2(eEF2)を惹起することにより、迅速な抗うつ活性に結びついていた。・さらに、5-HT2C拮抗薬は、CMSによって誘発されたmPFC錘体神経細胞の萎縮を改善した。・亜慢性SSRI治療(抗うつ行動の効果をもたらさない)も、mTORとeEF2を活性化し、CMSによって誘発された神経萎縮を改善したが、これらの効果は抗うつ効果の発現として認めるには不十分なものであった。・以上のように、5-HT2C拮抗薬は、中脳皮質のドーパミン作用シグナリング強化という作用により、一般に考えられているように効果が速やかな抗うつ薬であることが明らかにされた。関連医療ニュース 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学

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「選択的迅速解離性ドパミンD2受容体拮抗薬」薬物動態の研究

 新規の抗精神薬として開発された選択的迅速解離性ドパミンD2受容体拮抗薬であるJNJ-37822681。ベルギー・ヤンセン・ファーマスーティカ社のEef Hoeben氏らは、健常者および統合失調症患者におけるJNJ-37822681の薬物動態を明らかにするために、母集団薬物動態モデルを開発し、最適用量を特定することを目的とした。その結果、5または7.5mgの1日2回投与は影響なし、あるいは最小限の影響にとどまる用量であること、10mgの1日2回投与は有効性と忍容性の最適なバランスを提供しうる用量であると思われたことを報告した。Clinical Pharmacokinetics誌2013年11月号の掲載報告。  3件の第I相試験と2件の第II相試験に登録された被験者378例よりデータを収集した。非線形混合効果モデルNONMEMを用い、母集団薬物動態パラメータおよびこれらパラメータに及ぼす共変量の影響を推定した。第IIb相試験における各被験者の定常状態での分布をシミュレーションした。第IIb相以降の試験における用量設定の助けとして、過去に実施された[(11)C]raclopride positron emission tomography(PET)試験で確立されたシグモイドmaximumエフェクトモデルから得られた薬力学パラメータと模擬曝露を合わせてD2受容体占拠状況をシミュレーションした。 主な結果は以下のとおり。・2-コンパートメントモデルにより、ベストフィットなデータが得られた。 ・有意な共変量は、性別、見かけのクリアランスに対するバイオアベイラビリティ、吸収速度定数に対する食事の影響であった。・女性は男性と比べ、クリアランスが11%高かった。・第IIb相試験で推定された薬物動態パラメータは、第IIa相試験で観察されたものと同様であった。・10mg、1日2回投与時のD2受容体占拠率は65~80%の範囲と推定された。また、20および30mg、1日2回投与時の占拠率は部分的または完全に80%に達した。・母集団薬物動態モデルによりJNJ-37822681の薬物動態が明らかとなり、第IIb相試験において信頼のおける用量を特定できた。・JNJ-37822681の5または7.5mgの1日2回投与は影響なし、あるいは最小限の影響にとどまる用量と思われた。10mg、1日2回投与は、有効性と忍容性の最適なバランスを提供しうるようであった。関連医療ニュース ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学 統合失調症のドパミンD2/3レセプター占有率治療域、高齢患者は若年患者よりも低値 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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CKD患者、血圧5mmHg下げれば、心血管イベント17%減る/BMJ

 降圧治療の心血管系への効果について、慢性腎臓病(CKD)の有無別で検証したメタ解析の結果が報告された。オーストラリア・シドニー大学のV Perkovic氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaborationによる解析報告で、腎機能レベルを問わず、収縮期血圧(SBP)5mmHg低下につき主要心血管イベントが6分の1抑制されることが示された。これまでガイドラインでは、CKD患者への降圧も推奨はされていたが、エビデンスは限定的であった。今回の解析の結果を踏まえて著者は「わずかでも推定糸球体濾過量(eGFR)が低下した人への降圧治療は心血管イベントを予防する有効な戦略である」と結論している。また、降圧薬のクラスエフェクトの解析も行われたが、エビデンスが示されず、「CKD患者の心血管イベント予防について、特定クラスの薬を優先的に選択することを支持するエビデンスは少しもない」とも結論している。BMJ誌オンライン版2013年10月3日号掲載の報告より。CKD 3万295例のデータを含む26試験のデータをメタ解析 研究グループは、CKD有無別でみた降圧と主要心血管イベントとの関連について無作為化試験を対象としたメタ解析を行った。解析は、プラセボまたはその他の降圧薬とで降圧について比較した試験、あるいは異なる降圧目標を比較した試験で、割り付け群それぞれが1,000人年以上であった試験を適格とした。 主要評価項目は、複合および個別の主要心血管イベント(脳卒中・心筋梗塞・心不全または心血管死)と全死因死亡とした。 解析には26本の試験が組み込まれた。被験者総数は15万2,290例であり、そのうち3万295例が腎機能低下例(eGFR値<60mL/分/1.73m2で定義)であった。 メタ解析は、ベースライン時の腎機能に即して行われ、ランダム効果モデルを用いて、5mmHg降圧当たりのハザード比を算出して検討した。腎機能を問わず5mmHg降圧につき約6分の1イベントを抑制 その結果、プラセボと比較して、降圧治療は、CKDの有無に関係なく主要心血管イベントを抑制した。すなわち、非CKD群(eGFR値≧60mL/分/1.73m2)のハザード比(HR)は0.83(95%信頼区間[CI]:0.76~0.90)であり、SBPの5mmHg降圧につきイベントを約6分の1抑制する効果が認められ、CKD群でも同程度であった(HR:0.83、95%CI:0.79~0.88)。効果の差についてのエビデンスは得られなかった(均一性のp=1.00)。 またこの結果は、降圧が、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、もしくは利尿薬、βブロッカーのいずれのレジメンによって図られたかを問わず同程度であった。eGFR値が異なる患者の主要心血管イベントは、クラスエフェクトが異なる降圧薬によって変化するというエビデンスは得られなかった(均一性についてすべてのp>0.60)。

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新規抗VEGFR-2抗体薬、進行・再発胃がんの全生存期間を延長/Lancet

 初回化学療法後に増悪が認められた進行・再発の胃・胃食道接合部腺がん患者に対して、抗VEGFR-2抗体薬ラムシルマブ(Ramucirumab)単剤投与に生存ベネフィットがあることが報告された。米国・ハーバードメディカルスクールのCharles S Fuchs氏らが行ったプラセボ対照の無作為化二重盲検第3相国際共同試験「REGARD」の結果で、全生存期間(OS)の改善および無増悪生存期間(PFS)の延長がいずれも有意に認められたという。Lancet誌オンライン版2013年10月1日号掲載の報告より。初回化学療法後の進行例に単剤投与 胃がんの発症および進行には、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と、VEGF受容体-2(VEGFR-2)を介したシグナル伝達および血管新生が関与している可能性がある。研究グループは、モノクローナル抗体VGEFR-2拮抗薬であるラムシルマブが、進行性胃がん患者の生存を延長するかを評価することを目的とした。 REGARD試験は、2009年10月6日~2012年1月26日に、29ヵ国119医療施設で行われ、24~87歳の胃がんまたは胃食道接合部腺がんで、初回化学療法(プラチナ製剤もしくはフッ化ピリミジン系薬剤)後に疾患進行が認められた患者を対象とした。 患者は、至適支持ケア+ラムシルマブ8mg/kgまたはプラセボを2週に1回静注で受けるよう、2対1の割合で無作為に割り付けられた。なお治療割り付けについて、試験スポンサー、参加者および研究者はマスキングされた。 主要エンドポイントは、全生存期間(OS)であった。また副次エンドポイントには無増悪生存期間(PFS)などが含まれた。ラムシルマブ群の全生存期間5.2ヵ月で、プラセボ群に対し有意に延長 355例の患者が無作為化を受けた(ラムシルマブ群238例、プラセボ群117例)。 OS中央値は、ラムシルマブ群5.2ヵ月(IQR:2.3~9.9)、プラセボ群3.8ヵ月(同:1.7~7.1)で、ラムシルマブ群の有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.776、95%信頼区間[CI]:0.603~0.998、p=0.047)。ラムシルマブによる生存ベネフィットは、その他の予後因子(原発部位の違い、腹膜転移有無など)による多変量補正後も変化しなかった(多変量HR:0.774、95%CI:0.605~0.991、p=0.042)。 PFSも、ラムシルマブ群2.1ヵ月、プラセボ群1.3ヵ月と、ラムシルマブ群で有意な延長が認められた(HR:0.483、95%CI:0.376~0.620、p<0.0001)。 有害事象については、ラムシルマブ群で高血圧症の割合が高かったが(16%対8%)、その他の有害事象については、ほとんど同程度であった(94%対88%)。 死亡例のうち試験薬に関連があるとみなされたのはラムシルマブ群5例(2%)、プラセボ群2例(2%)であった。 以上の結果を踏まえて著者は、「ラムシルマブは、初回化学療法後に進行した胃がん・胃食道接合部腺がん患者において単剤投与でも生存ベネフィットがある、初の分子標的薬である。今回の結果は、進行した胃がんにおいて、VEGFR-2は重要な治療ターゲットであることが確認された」と結論している。

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エキスパートDrへのQ&A

高齢者の水分制限(とくに夜間)をどの程度すべきでしょうか?高齢者であっても、水分、アルコール、カフェインの摂取は控えたほうがよいでしょう。高齢者の中には、飲水による「血液さらさら」効果を期待して過度の飲水をされる方がいますが、実際には、過度の飲水をしても血液粘調度は生理的な範囲内に留まり、いわゆる「血液さらさら」効果は認められないと報告されています1)。このことからも、虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが無い限り、睡眠前に水分をたくさん摂取する必要はないと考えます。就寝前の摂取はもちろんですが、夕食後にも摂取を制限することも有用です。高齢者では、お茶を飲まれる方も多いものです。「お茶を飲むなら夕方までにしてください」などと伝えることも有効です。水分摂取量の目安ですが体重の2~2.5%程度とされています。体重60kgの方であれば1日1200~1500mLとなります。ある程度、目安を示しながら水分制限を試みてください。1)Sugaya K,et al.Int J Urol 2007;14:470-472.夜間多尿が原因の夜間頻尿が最も困ります。実際に保険適応の薬もなく、ガイドラインの内容では対応できない症例が多いです。診療のコツを教えてください。『夜間頻尿診療ガイドライン』には、はじめに排尿日誌を記載いただき、尿量を把握したうえで診断を行うアルゴリズムが示されています。しかし、一般医家では、まず投薬してみて、効果があるかないかで判断するケースもあるのではないでしょうか。難治例には排尿日誌をつけていただくという方針でも結構かと思います。そのうえで、「夜間多尿」と診断された場合の対応ですが、水分、カフェイン、アルコールの過剰摂取が原因となっていることもあるため、まずは問診などで病因把握を行ってみてください。とくに就寝前の水分摂取が原因となる場合が多いので、その場合は水分制限が重要です。また利尿作用を有する薬剤を就寝前に服用しているケースもあります。とりわけ、利尿薬やCa拮抗薬は、服用者も多いので注意が必要です。その場合、薬剤を就寝直前に服用しないことはもちろん、逆に夕方までに服用していただき、就寝までに排尿してしまうなどの工夫で、就寝後の利尿を少なくすることができると期待できます。夜間頻尿については、本サイトの症例検討会でも取り上げていますので、そちらも参考にしていただきたいと思います。夜間頻尿で睡眠障害がある方に対して、睡眠薬を使用する場合に、どのような睡眠薬を推奨されますか?まず、患者さんの睡眠障害のタイプを把握することが大切です。寝入りばなにトイレに行きたくなる人やトイレが気になって寝付けないといった方は入眠障害に効く超短時間型が適切ですし、中途覚醒がある場合には短時間~中時間型でゆっくり眠らせることが重要になります。患者さんの不眠症のタイプに応じて適切な睡眠薬を選択することが望ましいといえます。ただし、最近、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因で頻尿になっている方もみられます。気道の狭い方に睡眠薬を投与することで、SASの症状を悪化させてしまう可能性もありますので、いびきがひどく、無呼吸になることがあるなどSASの可能性が疑われる場合には、SASの専門医に一度受診を勧めてみてはいかがでしょうか。過活動膀胱の薬物投与における、効果判定と薬剤の追加や変更のタイミングについて教えてください。効果判定は、I‐PSSやOABSSなどの質問票を用いるもよいかと思いますが、過活動膀胱は患者さんのQOLを向上させることが重要なため、患者さんに直接質問し、QOLの向上を効果判定基準にすることが重要だと思います。次に、判定の時期ですが、排尿障害治療薬の効果は一般的に3~4ヵ月程度で安定してくるため、その時点で一度効果を判定するのがよいでしょう。薬剤の追加や変更ですが、同じカテゴリーの薬剤であってもそれぞれ特徴があります。たとえば主要なα1遮断薬としてタムスロシン、ナフトピジル、シロドシンの3剤がありますが、各薬剤に特徴があります。具体的には、ナフトピジルは蓄尿障害に効果がある、シロドシンは排尿障害に効果がある、タムスロシンはその中間、などです。そこで、シロドシンで夜間頻尿が改善しない場合、ナフトピジルに変更する、タムスロシンで排尿障害が改善しない場合にはシロドシンに変更する、など患者さんの症状に応じて薬剤を変更することも有用と考えています。ミラベクロンの男性への投与は解禁と考えていいのでしょうか?また、ミラベクロンと抗コリン剤の併用について、適応や注意点などを教えてください。これまでもミラベクロンの男性への投与は禁止されていませんでしたが、警告欄に「生殖可能な年齢の患者には投与を出来る限り避ける」と注意喚起されていることから、投与を躊躇していた方も多いと思います。これは、生殖機能があるときの投与が推奨されない、ということですので、患者さんが子供を作る予定がないのであれば第一選択薬としてもよいでしょう。ただし、ミラベクロンも排出障害をまったく起こさないわけではありません。尿閉も報告されていますので、個人的には、単独投与よりはα1遮断薬と併用しながら慎重に使っていただきたいと思います。ミラベクロンと抗コリン薬の併用については、エビデンスが確立するまでは、まだ待っていただきたいと思います。現在、日本で臨床試験を実施中ですので、2剤の併用については試験結果の発表を待って判断すべきと考えています。

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