5.
ジンバブエ・Zvitambo Institute for Maternal and Child Health ResearchのBernard Chasekwa氏らが、同国で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Cotrimoxazole for Mothers to Improve Birthweight in Infants(COMBI)試験」において、妊娠中のトリメトプリム・スルファメトキサゾール(ST合剤)の予防投与は、児の出生時体重を有意に増加させなかったことを報告した。有害な出生アウトカムの根底には、母体感染がある。妊娠中の抗菌薬投与は出生アウトカムを改善する可能性があるが、エビデンスにはばらつきがあり、また、試験の多くは高所得国で行われ、投与は特定の妊娠期間の短期間に限定され、検討されている薬剤も限られている。ST合剤は、サハラ以南のアフリカ諸国、とくにHIV感染者に使用され、薬剤耐性が広がっているものの有効性を維持している。しかし、妊娠中の予防投与が出生アウトカムを改善するかどうかは不明であったことから、研究グループは本検討を行った。NEJM誌2025年6月5日号掲載の報告。HIV感染の有無にかかわらず妊婦をST合剤群とプラセボ群に無作為化 試験は、マラリアが流行していないジンバブエ中央部に位置するシュルグウィ地区の産婦人科クリニック3施設において実施された。尿妊娠検査が陽性で、HIV感染状況が判明しており、ST合剤を現在投与されていないまたは適応のない妊婦を募集し、適格者をST合剤(960mg/日)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、妊娠14週以降出産または流産まで1日2回投与した。 主要アウトカムは出生時体重で、ITT解析を実施した。副次アウトカムは、低出生体重児(<2,500g)の割合、妊娠期間、早産(在胎37週未満)の割合、在胎不当過小児の割合、胎児死亡(流産または死産)、母親の入院または死亡、新生児の入院または死亡、および出生後6週時の年齢別体重・身長・頭囲のzスコアであった。出生時体重、その他の副次アウトカムに差はなし 2021年12月17日~2023年4月23日に計1,860例がスクリーニングを受け、適格者1,428例(76.8%)のうち1,000例が登録・無作為化された。ITT集団は、超音波検査で非妊娠子宮であることが確認された7例を除く993例(ST合剤群495例、プラセボ群498例)であった。 参加者のベースライン特性は、年齢中央値24.5歳、登録時妊娠週数中央値は20.4週、HIV感染者は131例(13.2%)で、ST合剤群495例中458例、プラセボ群498例中458例が試験薬の投与を受け、初回投与時の妊娠週数中央値は21.7週(四分位範囲:17.3~26.4)であった。 ITT集団において、出生時体重(平均値±SD)はST合剤群3,040±460g、プラセボ群3,019±526gであった(平均群間差:20g、95%信頼区間:-43~83、p=0.53)。副次アウトカムも、ほとんどが両群で同等であった。 有害事象の発現は両群で同程度であった。重篤な有害事象は、母親においてST合剤群31件(死亡例なし)、プラセボ群33件(死亡2例)、乳児においてそれぞれ22件(死亡14例)、20件(死亡12例)が報告された。