サイト内検索|page:8

検索結果 合計:348件 表示位置:141 - 160

141.

第85回 オミクロン株の濃厚接触者、待機期間10日に短縮/厚労省

<先週の動き>1.オミクロン株の濃厚接触者、待機期間10日に短縮/厚労省2.COVID-19入院・死亡リスク89%減、経口薬パクスロビドを承認申請3.令和2年度の救急車出動件数が減少、大きく減少したのは?4.令和4年度の診療報酬改定について諮問/厚労省5.2020年度の保険医療機関の指定取り消し19件、前年から微減6.東京大学で刺傷事件、逮捕されたのは医学部志望の高校生1.オミクロン株の濃厚接触者、待機期間10日に短縮/厚労省政府は14日に、新型コロナウイルス「オミクロン型」の濃厚接触者における待機期間を、現在の14日間から10日間に短縮すると決め、通知を出した。医療従事者などについては、待機6日目のPCR検査が陰性であれば待機を解除することも可能としている。これにより、エッセンシャルワーカーの感染増によって社会機能が低下するのを防ぐ。海外でも同様に、オミクロン株の潜伏期間が短い点から、アメリカでは感染者の隔離期間を10日間から最短5日間に変更しており、濃厚接触者でもワクチン接種を3回受けていて無症状ならば隔離を不要としている。(参考)濃厚接触者の待機期間短縮など 全国の自治体に通知 厚生労働省(NHK)新型コロナ 6日目陰性、待機解除 警察・消防・介護などの濃厚接触者(毎日新聞)濃厚接触者の待機、10日に短縮 米英より制限厳しく(日経新聞)新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について(厚労省 事務連絡 令和4年1月14日一部改正)2.COVID-19入院・死亡リスク89%減、経口薬パクスロビドを承認申請ファイザーは14日、COVID-19に対する経口抗ウイルス薬候補「PF-07321332/リトナビル錠(商品名:パクスロビド)」の製造販売承認を厚労省に申請した。今回の申請は特例承認を目指し、日本人も参加している国際共同第II/III相EPIC-HR試験の結果に基づいている。同試験では、外来治療の対象となる重症化リスクの高いCOVID-19患者において、本剤が入院または死亡のリスクをプラセボと比較して89%(症状発現から3日以内の服用)および88%(同5日以内)減少させることが示された。また、有害事象の発現割合は本剤とプラセボで同程度(23%vs.24%)だった。承認が得られた場合、200万人分の治療薬を供給することを日本政府と合意している。(参考)新型コロナ ファイザー、飲み薬申請 「パクスロビド」 承認なら2例目(毎日新聞)ファイザー、コロナ飲み薬を承認申請 来月にも国内承認(日経新聞)3.令和2年度の救急車出動件数が減少、大きく減少したのは?消防庁は「令和3年版 救急・救助の現況」を発表した。昨年度の救急出動件数(消防防災ヘリコプターを含む)は593万5,694件(対前年比10.6%減)で、搬送人員は529万5,727人(同11.4%減)だったことを明らかにした。うちほとんどを救急自動車による救急出動が占める。救急自動車による救急出動件数の内訳を事故種別ごとにみると、急病が64.9%(前年65.3%)、一般負傷が16.0%(同15.3%)、交通事故が6.2%(同6.5%)などとなった。前年と比較すると、軽症(外来診療)が大きく減少したとされる。救急出動件数・搬送人員ともに12年ぶりに減少していた一方で、現場到着所要時間は全国平均で約8.9分(前年比+0.2分)、病院収容所要時間(入電から医師引継ぎまでに要した時間)は約40.6分(前年比+1.1分)と延伸していた。(参考)救急車搬送人員、前年比で68万4,178人減 総務省消防庁総務省消防庁が「救急・救助の現況」公表(CBnewsマネジメント)4.令和4年度の診療報酬改定について諮問/厚労省厚労省は2022年度診療報酬改定に向けて、「議論の整理案」を12日の中医協総会で提出し、14日に出した修正版が了承された。これに対しては21日まで意見募集を行い、公聴会をオンラインで開く予定。中には、急性期病床の「医療・重症度・看護必要度」の心電図モニターの項目など、詳細が決まっていないものもあり、今後変更される可能性がある。(参考)22年度診療報酬改定を諮問、厚労相「議論の整理」了承、21日まで意見募集(CBnewsマネジメント)2022年度改定の項目固まる!急性期一般1の新加算、看護必要度、かかりつけ医機能評価などの行方は?―中医協総会(1)(Gem Med)令和4年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(厚労省)5.2020年度の保険医療機関の指定取り消し19件、前年から微減厚労省は13日、「令和2年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について」を公表した。コロナウイルスの感染拡大のため、指導・監査の件数は大幅減少したものの、保険医療機関の指定取り消しなどは19件と前年度の21件から微減にとどまり、指定取り消しの原因の内訳(架空請求、付増請求、振替請求、二重請求など)に大きな変化はなかった。厚労省は、個別指導、新規個別指導、適時調査の実施を見合わせており、実施件数は大幅に減少しているが、21年度の個別指導などは状況を見ながら実施しているという。(参考)保険医療機関の指定取り消し、20年度も例年並み 厚労省、コロナ対応で集団的個別指導はゼロ(CBnewsマネジメント)コロナ禍で指導・監査の件数は大幅減少したが、保険指定取り消し等に大きな変化なし―2020年度指導・監査実施状況(Gem Med)6.東京大学で刺傷事件、逮捕されたのは医学部志望の高校生15日、大学入学共通テストの受験生が集まる東京大学において、医学部進学を希望する高校2年生が、会場にいた高校生の男女2人と成人男性の背中を相次いで切り付けたとして殺人未遂容疑で逮捕された。医学部進学実績で有名な名古屋の私立高校に通う17歳の少年で、前日から自宅に戻らないと両親が警察に捜索願を出していた。犯行前、東京メトロ・南北線の東大前駅の複数箇所でぼや騒ぎが発生しており、少年は刃渡り12センチの包丁、ナイフ、折り畳み式ののこぎり、着火剤、可燃性の液体を所持していたという。本人は容疑を認めており、「医者になるために東大を目指して勉強を続けてきたが、1年ぐらい前から成績が上がらず自信をなくしてしまった」と学業不振を悩んでの犯行をほのめかしている。(参考)《東大刺傷》「俺は東大を受験するんだ!」凶行に及んだ男子生徒(17)は医学部進学実績全国No.1の超エリート男子校生だった(文春オンライン)「人殺して切腹しようと考えた」名古屋の17歳少年を現行犯逮捕 東大前で受験生ら刺傷事件 包丁、ナイフ、のこぎりも所持(東京新聞)東大前刺傷で逮捕の少年、直前にメトロ車内で放火図る…「うまくいかなかった」(読売新聞)

142.

経口コロナ治療薬の国内製造販売承認を申請/ファイザー

 ファイザーは1月14日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) に対する経口抗ウイルス薬候補「PF-07321332/リトナビル錠」(米国での商品名:Paxlovid)の製造販売承認を厚生労働省に申請したことを発表した。日本も参加した国際共同第II/III相試験(EPIC-HR)の結果に基づくもので、特例承認による迅速な使用開始を目指す。 EPIC-HR試験は、重症化リスクが高く、入院していないCOVID-19成人患者を対象としたランダム化二重盲検試験。EPIC-HR試験の最終データでは、外来治療の対象となる重症化リスクの高い COVID-19患者において、本剤がプラセボと比較して入院または死亡のリスクを89%(症状発現から3日以内)および88%(症状発現から5日以内)減少させることが示された。有害事象の発現割合は、本剤(23%)とプラセボ(24%)では同程度であり、おおむね軽度だったという。 ファイザーでは、本剤の承認が得られた場合、200万人分を供給することを日本政府と合意している。本剤を巡っては、米国や韓国、イスラエルなどで昨年12月、相次いで緊急使用が認められ、EUにおいても加盟国の使用を容認する見解が発表されており、各国で薬剤確保の動きが進んでいる。

143.

モルヌピラビル使用の注意点は?コロナ薬物治療の考え方第11版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、12月24日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第11版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 今回の改訂では、先般特例承認されたモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)に関する記載が追加された。 以下に主な改訂点について内容を抜粋して示す。【4. 抗ウイルス薬等の選択】(1)抗ウイルス薬としてレムデシビル、モルヌピラビルなど、中和抗体薬としてカシリビマブ/イムデビマブ、ソトロビマブなど、(2)免疫調整薬・免疫抑制薬としてデキサメタゾン、バリシチニブ、トシリズマブについて記載を追加。【モルヌピラビル】の項目を追加・機序 モルヌピラビルは、リボヌクレオシドアナログ。SARS-CoV-2におけるRNA依存性RNAポリメラーゼに作用し、ウイルスRNAの配列に変異を導入、ウイルスの増殖を阻害する。・海外での臨床報告 日本国内の3施設を含む20ヵ国、107施設で実施した多施設共同、プラセボ対照、ランダム化二重盲検試験。重症化リスクのある非重症COVID-19患者(目標症例数1,550例)の外来治療を対象。発症5日以内の治療開始で偽薬群(699名)の重症化が68名(9.7%)に対し、治療群(709名)では48名(6.8%)と、相対的リスクが30%減少。また、死亡例は治療群で1名(0.1%)に対して、プラセボ群では9名(1.3%)と治療群で少なかった。・投与方法(用法・用量) 通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。[投与時の注意点]1)臨床試験における主な投与知見を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有するなど、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること。2)本剤の有効性・安全性に係る情報は限られていることなどを踏まえ、重症化リスク因子を有する者(例:61歳以上、活動性のがん、慢性腎臓病、糖尿病など)が、本剤を投与する意義が大きいと考えられる。3)重症度の高いSARS-CoV-2による感染症患者(中等症II以上)に対する有効性は確立していない。4)SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始すること。5)新型コロナウイルスワクチンの被接種者は臨床試験で除外されているため、ブレイクスルー感染での重症化予防等の有効性を裏付けるデータは得られていない。6)妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、授乳婦については、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること。・入手方法 本剤は、現状、安定的な入手が可能になるまでは、一般流通は行われず、厚生労働省が所有した上で、対象となる患者が発生した医療機関および薬局からの依頼により、無償譲渡。 本手引きの詳細は、同学会のサイトで確認していただきたい。■関連記事ゾコーバ緊急承認を反映、コロナ薬物治療の考え方第15版/日本感染症学会

144.

モルヌピラビル、新型コロナの入院・死亡リスクを低減/NEJM

 重症化リスクがあるワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者について、モルヌピラビルによる早期治療(発症後5日以内に開始)は、入院または死亡リスクを低減することが、コロンビア・IMAT OncomedicaのAngelica Jayk Bernal氏らによる第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験で示された。試験は約1,400例を対象に行われ、29日間の入院または死亡の発生リスクは中間解析で-6.8ポイント差、全解析で-3.0ポイント差であったという。モルヌピラビルはSARS-CoV-2に対し活性を示す、経口小分子抗ウイルスプロドラッグである。NEJM誌オンライン版2021年12月16日号掲載の報告。発症後5日以内に治療開始、800mgを1日2回、5日間投与 研究グループは、検査によりCOVID-19が確認され、重症化リスクが少なくとも1つあるワクチン未接種の軽症~中等症の成人患者を対象に、症状発症後5日以内に開始したモルヌピラビルによる治療の有効性と完全性を検証した。 被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはモルヌピラビル800mgを1日2回5日間投与し、もう一方にはプラセボを投与した。 主要有効性エンドポイントは、29日時点での入院または死亡の発生。主要安全性エンドポイントは、有害事象の発現頻度とした。 目標登録患者数1,550例の50%が29日間の追跡を受けた時点で、事前に規定した中間解析を行った。対プラセボの入院/死亡リスク、中間解析で-6.8ポイント差 被験者1,433例が無作為化を受け、716例がモルヌピラビル群に、717例がプラセボ群に割り付けられた。両群のベースライン特性は、性別の偏り(女性がモルヌピラビル群のほうが多く、中間解析では7.6ポイント差、全解析では4.7ポイント差)を除けば類似していた。 中間解析(15ヵ国78地点で775例が登録)では、モルヌピラビル群の優越性が示された。29日間のあらゆる入院または死亡のリスクは、モルヌピラビル群(385例中28例、7.3%)がプラセボ群(377例中53例、14.1%)よりも有意に低下した(群間差:-6.8ポイント、95%信頼区間[CI]:-11.3~-2.4、p=0.001)。 無作為化を受けた全被験者を対象とした解析でも、29日間の入院または死亡の発生率は、プラセボ群(699例中68例、9.7%)よりも、モルヌピラビル群(709例中48例、6.8%)が低率だった(群間差:-3.0ポイント、95%CI:-5.9~-0.1)。 サブグループ解析は全体解析とほぼ一貫した結果だったが、SARS-CoV-2感染既往者や、ベースラインウイルス量が低値の感染者、糖尿病患者などでは、推定群間差がプラセボ群で良好だった。 29日間の死亡は、プラセボ群9例、モルヌピラビル群1例だった。有害事象の発生率は、それぞれ33.0%(701例中231例)、30.4%(710例中216例)だった。

145.

経口コロナ治療薬モルヌピラビルを特例承認/厚労省

 厚生労働省は12月24日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経口抗ウイルス薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオカプセル200mg)について、国内における販売を特例承認した。日本における申請者はMSD。重症化リスク因子を有し、軽症~中等症の入院していない18歳以上の患者が投与対象となる。ただし、動物実験において胎児毒性が報告されているため、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しない旨が、モルヌピラビルの添付文書に「禁忌」として明記されている。モルヌピラビルは11月10日、メルクと日本政府との間で約160万回分を提供することですでに合意しており、今回の承認を受け、速やかに提供が開始される見通しだ。新型コロナに特化した経口治療薬の承認はモルヌピラビルが初めてとなる。モルヌピラビルを巡って各国の対応は分かれる モルヌピラビルは、経口投与が可能な強力なリボヌクレオシドアナログで、SARS-CoV-2を含むさまざまなRNAウイルスの複製を阻害する。SARS-CoV-2の予防投与、治療、感染防止などのいくつかの前臨床モデル、またSARS-CoV-1、MERSに対する活性が認められている。 モルヌピラビルを巡っては、12月23日付で米FDAが緊急使用を許可した一方、フランスでは臨床試験の結果に鑑み、政府が購入見送りを決めるなど、判断が分かれている。<製品概要>販売名:ラゲブリオカプセル200mg一般名:モルヌピラビル効能又は効果: SARS-CoV-2 による感染症用法及び用量: 通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。

146.

ファイザーの経口コロナ治療薬、最終結果でも重症化89%減、オミクロン株にも有効か

 米国・ファイザーは12月14日付のプレスリリースで、開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)新規経口治療薬であるnirmatrelvir(PF-07321332)/リトナビル配合剤(商品名:Paxlovid)について、第II/III相臨床試験(EPIC-HR)の最終データを公表した。それによると、Paxlovidを投与した高リスクの成人患者において、入院または死亡のリスクが、プラセボに比べ89%減少したという。これは、先月同社が公表した中間解析のデータとも一致している。 Paxlovidは、ファイザー社が新たに開発した抗ウイルス薬nirmatrelvirと、既存の抗HIV薬リトナビルとの合剤。今回、最終結果が公表されたEPIC-HR試験では、全登録患者(2,246例)のうち、発症3日以内に治療を開始(投与群)した場合、登録後28日目までに入院した患者は0.7%(5/697例が入院、死亡例なし)だったのに対し、プラセボ群では、入院または死亡した患者は6.5%(44/682例が入院、その後9例死亡)で、Paxlovidは入院または死亡のリスクを89%減少させた(p<0.0001)。 また、nirmatrelvirについては、以前に同定された懸念すべき変異株(VOC)に対し、in vitroにおいて一貫した抗ウイルス活性を示しており、現在拡大が懸念されているオミクロン株に関連した3CLプロテアーゼについても強力に阻害したという。これは、nirmatrelvirがオミクロン株への強固な抗ウイルス活性を有する可能性を示唆しており、ファイザー社では、追加研究でデータ収集を進めていく方針。

147.

第80回 オミクロン株を懸念、3回目接種の間隔見直し検討へ/厚労省

<先週の動き>1.オミクロン株を懸念、3回目接種の間隔見直し検討へ/厚労省2.医師の残業、年間上限導入で2024年から原則年960時間に3.地域医療構想の実現に向け、重点支援区域で準備が進む/厚労省4.がん診療連携拠点病院の指定要件を改定へ/厚労省5.新型コロナ後遺症についても診療の手引きを作成/厚労省6.コロナ経口薬molnupiravir、日本でも承認申請へ/MSD1.オミクロン株を懸念、3回目接種の間隔見直し検討へ/厚労省政府は新型コロナウイルスの新しい変異型オミクロン株の世界的な急拡大に対応するため、来年1月以降から本格的に取り組む予定であった3回目のワクチン接種について、諸外国と同様に2回目接種との間隔の短縮を検討している。12月2日に開かれた全国知事会と日本医師会のオンライン会合では、3回目接種の時期を「前倒しする必要がある」との意見で一致している。3回目の接種をめぐっては、ファイザー製ワクチン以外に、モデルナ製ワクチンの在庫も活用する方向で検討に入っており、早期の開始に向け、準備が進められる。(参考)オミクロン株2例目 政府 ワクチン3回目接種の間隔見直しも検討(NHK)首相、3回目接種前倒し表明へ モデルナ在庫を活用(日経新聞)3回目接種「前倒しする必要がある」…全国知事会と日本医師会が意見交換(読売新聞)2.医師の残業、年間上限導入で2024年から原則年960時間に厚生労働省は、11月30日に労働政策審議会分科会を開催し、医師の働き方改革に関する検討会報告書と医師の働き方改革の推進に関する検討会中間とりまとめを踏まえた医療法の改正に伴い、2024年4月から上限規制を適用することとなった。地域医療を担う医療機関などで特例水準(連携B、B、C-1、C-2)の医療機関で、長時間労働を避けられない場合は、医師労働時間短縮計画作成ガイドラインに基づいて医師労働時間短縮計画の立案と実施をもとに、都道府県の許可を受けた医療機関のみ年1,860時間とする省令案について了承した。なお、都道府県から指定を受けるためには、2021年10月~2022年9月末までに各医療機関が「医師労働時間短縮計画」を策定し、2022年度中に第三者機関による評価を受けたうえで、2023年度に都道府県に申請することが必要となる。(参考)医師残業、年1860時間 上限定める省令案了承(中日新聞)資料 医師の時間外労働の上限水準を超える時間外労働時間を設定する医療機関について(山形県)資料 労働基準法施行規則の一部を改正する省令案等の概要(厚労省)資料 医師の時間外労働規制について(同)3.地域医療構想の実現に向け、重点支援区域で準備が進む/厚労省厚労省は3日に「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を開催し、地域医療構想の取り組み・検討状況について調査し、その結果について討論した。再検証対象の436医療機関において、2025年7月までに病床機能あるいは病床数を変更する予定と回答したのは340医療機関(全体の78%)だった。また、再検証の実施について合意済みまたは合意結果に基づいて措置済みの175医療機関において、2022年7月までに病床機能あるいは病床数を変更する予定と回答したのは150医療機関でほとんどを占めた。具体的には、医療機能(病床機能、診療科など)の集約化のために、医療機関の統合、地域医療連携推進法人の設立、在宅療養支援病院の指定など役割の明確化・変更など実施状況が共有され、今後も重点支援区域の設定を通じて国による助言や集中的な支援を行うこととした。なお、重点支援区域には、宮城県仙南区域、石巻・登米・気仙沼区域のほか、滋賀県(湖北区域)、山口県(柳井区域、萩区域)、北海道(南空知区域、南檜山区域)、岡山県(県南東部区域)、新潟県(県央区域)、佐賀県(中部区域)、兵庫県(阪神区域)、熊本県(天草区域)、山形県(置賜区域)、岐阜県(東濃区域)、新潟県(上越区域、佐渡区域)、広島県(尾三区域)の12道県17区域が含まれている。(参考)資料 地域医療構想に関する地域の検討・取組状況等について(厚労省)再検証対象の公立・公的175医療機関が合意済み 重点支援区域に新潟「上越」「佐渡」、広島「尾三」(CBnewsマネジメント)4.がん診療連携拠点病院の指定要件を改定へ/厚労省厚労省は11月30日にがん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループを開き、要件の見直しについて検討を行った。がん対策基本法に基づき閣議決定されている「がん対策推進基本計画」により、全国どこでも質の高い医療を提供することができるよう、がん診療の均てん化を目指して整備を進めてきたが、この整備指針の要件や、要件を満たせなくなった施設への対応などについて議論を行った。今後、2022年6~7月までに議論を重ね、整備指針を改定する見込み。(参考)資料 がん診療連携拠点病院等における指定要件の見直しについて(厚労省)2022年夏にがん連携拠点病院の指定要件見直し、高度型の意義、診療実績・体制要件等を議論―がん拠点病院指定要件WG(Gem Med)がん診療拠点病院、指定要件見直しの議論開始 厚労省WG、「望ましい」要件など論点(CBnewsマネジメント)5.新型コロナ後遺症についても診療の手引きを作成/厚労省厚労省は1日に新型コロナウイルス感染症について、「罹患後症状のマネジメント」を公表した。感染者数が減少する一方で、新型コロナウイルス感染からは回復したにもかかわらず“後遺症”と呼ばれるような症状に悩む患者が存在する。今回、診療の手引きの別冊として、回復後の経過を診るかかりつけ医がどのタイミングで専門医の受診を勧めるべきかなどについて書かれている。なお、新型コロナウイルス感染症の後遺症の頻度については、海外における45の報告から出された系統的レビューで、COVID-19の診断・発症・入院後2ヵ月あるいは退院・回復後1ヵ月を経過した患者のうち、72.5%が何らかの症状を訴えたと報告されている。倦怠感、関節痛、筋肉痛といった全身症状のほか、咳、喀痰、息切れなどの呼吸器症状、あるいは集中力低下、記憶障害、不眠、抑うつなどの精神・神経症状のほか、嗅覚障害・味覚障害などが含まれており、もっとも多いのは倦怠感(40%)だった。(参考)新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(厚労省)新型コロナ後遺症 初の医療関係者向け手引きを公表 厚生労働省(NHK)「コロナ後遺症」に初めての手引き 「患者の支援を」厚労省が公表(朝日新聞)6.コロナ経口薬molnupiravir、日本でも承認申請へ/MSD米メルク日本法人のMSDは、厚労省に新型コロナウイルス感染症に対する経口治療薬として抗ウイルス薬molnupiravir(モルヌピラビル)の製造販売承認を申請した。今回は特例承認の適用を求めており、今月中に厚労省の専門家部会で審議される見込み。軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の入院していない成人患者を対象としてモルヌピラビルを投与した第III相MOVe-OUT試験の中間解析の結果、無作為割り付けから29日目までに入院または死亡した患者はモルヌピラビル群では7.3%(28/385例)、プラセボ群では14.1%(53/377例)と有意差を認めた(p=0.0012)。29日目までにモルヌピラビル群では死亡は認めず、プラセボ群では8例の患者が死亡した。(参考)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬として経口の抗ウイルス薬モルヌピラビルの製造販売承認申請 特例承認の適用を希望した申請(MSD)米製薬大手メルク 新型コロナの飲み薬 日本での使用 承認申請(NHK)コロナ飲み薬「モルヌピラビル」、オミクロン株にも有効な可能性…今月中に特例承認へ(読売新聞)コロナ飲み薬の承認を申請 米メルクのモルヌピラビル(産経新聞)

148.

中和抗体薬の発症抑制での投与時の注意など、コロナ薬物治療の考え方10版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、11月4日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第10版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 今回の改訂では、前回9版以降の新しい知見などの追加のほか、中和抗体薬カシリビマブ/イムデビマブに関しての追記が行われた。確認しておきたいカシリビマブ/イムデビマブの適用要件 主な改訂点は下記の通りである。抗ウイルス薬 レムデシビル 入手方法につき2021年10月18日より一般流通が開始されたこと。中和抗体薬 カシリビマブ/イムデビマブ【海外での臨床報告の追加】96時間以内に感染者と家庭内接触のあった被験者1,505例を対象としたランダム化比較試験で、カシリビマブ/イムデビマブの単回皮下投与により、発症に至った被験者の割合は、本剤群11/753例、プラセボ群59/752例であり、プラセボと比較し、発症のリスクが81.4%有意に減少。【発症抑制での投与時の注意点を追加】1)SARS-CoV-2による感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤はワクチンに置き換わるものではない。2)本剤の発症抑制における投与対象は、添付文書においては下記のすべてに該当する者とされている。(1)SARS-CoV-2による感染症患者の同居家族または共同生活者などの濃厚接触者、または無症状のSARS-CoV-2病原体保有者(2)原則として、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する者(3)SARS-CoV-2による感染症に対するワクチン接種歴を有しない者、またはワクチン接種歴を有する場合でその効果が不十分と考えられる者 このうち、(1)の「濃厚接触者」(例:同居家族、共同生活者に加え、高齢者施設や医療機関勤務者など)および(3)の「SARS-CoV-2による感染症に対するワクチン接種歴を有しない者、またはワクチン接種歴を有する場合でその効果が不十分と考えられる者」(例:ハイリスク患者のうち、免疫抑制状態[悪性腫瘍治療中、骨髄または臓器移植後、原発性免疫不全症候群など]にある患者など)は、中和抗体薬を投与する意義が大きいと考えられる。 なお、SARS-CoV-2の既感染やワクチン接種等により自己の抗体を有すると考えられる患者では中和抗体薬の必要性、有効性が低くなる可能性があると考えられるが、現時点ではその臨床的意義は必ずしも明らかではなく、国内で使用可能な抗体検査薬は承認されていないため、今後の知見が待たれる。 本稿の詳細は、同学会のサイトで確認していただきたい。■関連記事ゾコーバ緊急承認を反映、コロナ薬物治療の考え方第15版/日本感染症学会

149.

第85回 経口レムデシビルがフェレットのCOVID-19に有効~感染伝播も阻止

近い将来には、手軽に投与しうる経口薬が発症後間もない外来の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療のおそらく主流となっていくことを予感させるニュースが先週末に相次ぎました。木曜日には米国・メルク社の経口COVID-19薬molnupiravir(モルヌピラビル)の世界初の承認を英国医薬品庁(MHRA)や同社が発表し1,2)、その翌日金曜日にはそれに負けじとファイザー社が同じく経口のCOVID-19薬Paxlovid(PF-07321332+ritonavir)が第II/III相試験でCOVID-19患者の入院または死亡リスクを89%低下させたことを報告しました3)。ギリアド社が世に送り出したCOVID-19治療薬の先駆けレムデシビル(日本での販売名:ベクルリー)はより重症の患者向けで、点滴静注を要し、メルク社やファイザー社の経口薬とは違って外来患者には不向きです4)。そこでギリアド社は米国・ジョージア州立大学と協力し、メルク社やファイザー社の経口薬と同様に外来の初期段階のCOVID-19患者に使えるようにレムデシビルに一工夫施した化合物GS-621763を開発しています。GS-621763は経口投与でより吸収されやすく、レムデシビル静注後と同一の活性代謝物(GS-443902)を体内で生み出します。その効果のほどをイタチ科の哺乳類・フェレットで検討した研究成果が先週金曜日にネイチャー姉妹誌Nature Communicationsに掲載されました5)。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はフェレットに感染可能で、SARS-CoV-2感染フェレットはヒトのSARS-CoV-2感染特徴の多くを呈します。フェレットにGS-621763を1日2回経口投与したところSARS-CoV-2量が検出不可能な水準近くまで減りました。GS-621763はSARS-CoV-2の複製を効率よく阻止し、より広まりやすい(high transmissibility)ことで知られるSARS-CoV-2変異株VOC γ感染フェレットにGS-621763を投与したところ感染フェレットと同居するフェレットへの伝播を完全に防ぐことができました。GS-621763のような経口の抗ウイルス薬は世間で幅を利かす感染しやすいSARS-CoV-2変異株への強力な対抗手段となりうると著者は言っています4)。一番乗りの見返りは大きいどこの世界でも同じだと思いますが、一番乗りというのはやはり大事なことのようで、COVID-19薬市場を切り開いたレムデシビルは依然として世界でよく使われています。ギリアド社の直近の業績発表によると、今年9月末までの3ヵ月間(第3四半期)の同剤の売り上げは74億ドルであり、需要の増加を受けて昨年同期より13%多い額となりました6)。一番乗りが得をするのはワクチンでも同様なようです。米国FDA認可に最初に漕ぎ着けたファイザー社のCOVID-19ワクチンの第3四半期売り上げは100億ドルの大台を軽々と超える130億ドルであり7)、僅か1週間ほど遅れて二番目にFDA認可に達したモデルナ社のワクチンの同期売り上げ48億ドル8)を3倍近く引き離しています。今後もその差は開いていくようです。ファイザー社が今年1年間のCOVID-19ワクチンの売り上げを360億ドルへと上方修正したのとは対照的にモデルナ社は今年1年間のCOVID-19ワクチン出荷量予想を8~10億回投与分から7~8億回投与分に下方修正しています。モデルナ社のワクチンは心筋炎リスクの懸念にも大いに巻き込まれており、12~17歳小児への同社COVID-19ワクチンのFDA認可審査がその安全性懸念を背景にして長引いていることが先月10月末に発表されました9)。ファイザー社のCOVID-19ワクチンの同年齢層の小児への使用はすでに取り急ぎ認可または承認されています10)。COVID-19ワクチンの開発は失敗したもののCOVID-19経口薬の一番手となったメルク社とそれに肉薄するファイザー社の域にギリアド社の経口レムデシビルが辿り着くのにあとどれだけの時間を要するのかはわかりませんが、実現したとすれば、よく知った薬と根本は同じという馴染みの力を頼りに活躍の場を得ることができそうです。参考1)First oral antiviral for COVID-19, Lagevrio (molnupiravir), approved by MHRA / MHRA 2)Merck and Ridgeback’s Molnupiravir, an Oral COVID-19 Antiviral Medicine, Receives First Authorization in the World / BUSINESS WIRE 3)Pfizer’s Novel COVID-19 Oral Antiviral Treatment Candidate Reduced Risk of Hospitalization or Death by 89% in Interim Analysis of Phase 2/3 EPIC-HR Study / BUSINESS WIRE4)Gilead Sciences Inc. partners with Center for Translational Antiviral Research to test oral Remdesivir variant / Eurekalert5)Cox RM,et al Nat Commun. 2021 Nov 5;12:6415.6)Gilead Sciences Announces Third Quarter 2021 Financial Results / BUSINESS WIRE7)PFIZER REPORTS THIRD-QUARTER 2021 RESULTS / BUSINESS WIRE8)Moderna Reports Third Quarter Fiscal Year 2021 Financial Results and Provides Business Updates / BUSINESS WIRE9)Moderna Provides Update on Timing of U.S. Emergency Use Authorization of its COVID-19 Vaccine for Adolescents / BUSINESS WIRE10)Comirnaty and Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine / FDA

150.

ワクチンの3回目Booster接種は感染/重症化予防効果を著明に改善する(解説:山口佳寿博氏、田中希宇人氏)

 前論評(山口, 田中. ワクチン接種後の液性免疫の経時的低下―3回目Booster接種必要性の基礎的エビデンス)で論じたように、ワクチン接種後の液性免疫は、野生株、従来株、Delta株を中心とする変異株の別なく、月単位で有意に低下する。この液性免疫の経時的低下によって、Delta株を中心とする新型コロナウイルスの感染拡大(第6波)が今年の12月以降の冬場に発生する可能性を論評者らは危惧している。 第6波の発生を避けるためには、ワクチン接種後の時間経過と共に低下した液性免疫を再上昇させるためのワクチン3回目接種(Booster接種)、あるいは、Delta株を中心とするコロナ変異株抑制能力が高く効果持続期間がワクチンと同等、あるいは、それ以上に長いIgG monoclonal抗体をワクチン代替薬として考慮する必要がある(山口, 田中. 日本医事新報. 2021;5088:38.、山口, 田中. CareNet論評-1440)。ただし、現時点では、免疫不全を有さない一般成人に対してIgG monoclonal抗体を“pre-exposure and post-exposure prophylaxis”、すなわち、ワクチン代替薬として用いる方法は英国以外では承認されていない(Rubin R. JAMA Medical News & Perspectives. 2021 Oct 27.)。さらに、IgG monoclonal抗体の1回分の費用は20万円以上でワクチン2回接種の約100倍の高額治療であり、不特定多数の人に適用することは難しい。それ故、本論評では国民全体を対象としても医療経済面から施行可能な3回目のワクチンBooster接種に焦点を合わせ考えていくものとする。第6波の発生とその臨床的特徴 ワクチン3回目接種を考える前に、今冬季に発生が予想されるDelta株による第6波の臨床的特徴について考察する。 Chemaitellyらは、背景ウイルスがBeta株からDelta株に置換されつつあったカタ-ルにおける検討で、BNT162b2の2回接種後5~7ヵ月が経過するとワクチンの感染予防効果がピーク時の77.5%から20%前後まで低下するが、入院/死亡に対する重症化予防効果はワクチン接種後の時間経過とは無関係に90%前後に維持されることを示した(Chemaitelly H, et al. N Engl J Med. 2021 Oct 6. [Epub ahead of print])。Tartofらは米国における検討で、BNT162b2の2回接種後のDelta株に対する感染予防効果が、ピーク時の75%から4ヵ月後には53%まで低下すると報告した(Tartof SY, et al. Lancet. 2021;398:1407-1416.)。Goldbergらはイスラエルにおける検討で、Delta株の感染率は年齢とは無関係にBNT162b2ワクチン2回接種後の時間経過に依存して上昇、重症感染者比率も60歳以上の高齢者にあってはワクチン2回接種後の時間経過が長いほど高いことを報告した(Goldberg Y, et al. N Engl J Med. 2021 Oct 27. [Epub ahead of print])。しかしながら、高齢層で認められた重症感染に関する傾向は、59歳以下の若年/中年層では確認できなかった(若年/中年層における重症感染者数が少ないため統計処理が困難)。Grangeらはスコットランドにおける解析で、ワクチンの2回接種(BNT162b2、ChAdOx1)によって全体の死亡者数を軽減できるが、死亡者数は75歳以上の高齢者、男性、複数の併存症を有する人で有意に高いことを示した(Grange Z, et al. Lancet. 2021 Oct 28.)。この傾向は、非ワクチン接種者、不完全ワクチン接種者におけるDelta株感染に起因する死亡者の場合と質的に同じである。 今年の12月以降には、本邦においてもワクチン2回接種後6ヵ月以上経過した人たち(医療従事者を含む)の数が増加し、何らかの有効な施策を導入しない限り、液性免疫低下に起因するDelta株由来の第6波が必然的に発生するものと考えておかなければならない。この場合、Deltaは総称であり、原型(起源)のB.1.617.2に加え、それから派生したAY.1~AY.3、AY.4~AY.11(英国)ならびにAY.12(イスラエル)を含む(WHO. COVID-19 Weekly epidemiological update. 2021 Oct 19.)。これらのDelta株による第6波を阻止するための有効な医学的/社会的施策を講じる時間は2ヵ月ほどしか残されていない現実を、医療関係者ならびに為政者はもっと真摯に受け止める必要がある。 ただ、Delta株に起因する第6波は、国民の約70%以上がPfizer社あるいはModerna社のワクチンの2回接種を終了した状況下で発生するので、ワクチン未接種状態で発生するDelta株感染とは質的に異なる様相を呈するはずである。多くの国民がワクチンの2回接種を終了している時点で発生する第6波においては、感染者数はある程度の数に達するが、夏場の第5波よりも規模が小さいものと予想できる。第6波における感染者の重症度はワクチン未接種状況下で発生するDelta株感染に比べ、軽症者が多いという特徴を有するはずである。ワクチン接種者に発生する“液性免疫低下関連感染(DHIRI:Decreased humoral immune response-related infection)”では、ワクチンの抗ウイルス作用は完全に無効というわけではなく不完全ながらウイルスの病原性を抑制する。それ故、ワクチン接種後のDelta株感染にあっては、感染症状が弱く、症状持続期間が短く、重症化の頻度が低い比較的軽症患者が多くなるものと予想される。しかしながら、高齢層における死亡を含む重症患者数は、若年/中年層に比べ有意に多くなることも念頭に置く必要がある。ワクチン3回目Booster接種の効果 一般成人にPfizer社のBNT162b2を3回接種(2回接種後7.9~8.8ヵ月)した時のDelta株に対する中和抗体価は、2回接種後に比べ55歳以下の若年/中年者で5.5倍、65歳以上の高齢者で12.0倍高値になることが示された(Falsey AR, et al. N Engl J Med. 2021;385:1627-1629. )。Moderna社のmRNA-1273の3回接種(半量の50μg筋注、2回接種後5.9~7.5ヵ月)後の変異株(Beta株、Gamma株)に対する中和抗体価に関する検討でも、質的に同様の結果が報告されている(Wu K, et al. medRxiv. 2021 May 6.)。 本論評で取り上げたイスラエルの検討では、60歳以上の高齢者に対する3回目接種は2回目接種後と比較して新規感染リスクを11.3倍、重症化リスクを19.5倍低下させることが示された(Bar-On YM, et al. N Engl J Med. 2021;385:1393-1400.)。この結果を受け、イスラエルでは2021年7月30日以降、2回目接種後少なくとも5ヵ月以上経過した60歳以上の高齢者ならびに50歳以上の医療従事者を対象としてBNT162b2の3回目接種が開始されている(現在は、12歳以上を対象とすることに変更)。同様に、アラブ首長国連邦、ドイツ、フランスなどでも3回目接種が始まっている。 2021年9月17日、米国FDAは一般成人に対する3回目Booster接種に対してPfizer社のBNT162b2を使用することを緊急承認した。対象は、65歳以上の高齢者と16歳以上でコロナ感染による重症化因子を有する人とされた。後者には医療従事者、学校の教員など、コロナ患者との濃厚接触の確率が高い職業に従事する人たちも含まれる。Moderna社のmRNA-1273においても通常量の半量(50μg)を3回目接種に用いる緊急使用が10月14日に、Johnson & Johnson社のAdeno-vectored vaccineであるAd26.COV2.SのBooster接種(このワクチンの場合、2回目がBooster接種となる)が10月15日に承認された。さらに、米国FDAは、液性免疫原性が低いAd26.COV2.Sの代わりに、液性免疫原性が高いBNT162b2あるいはmRNA-1273をBooster接種時に使用してもよいと決定した(ハイブリッド・ワクチン)。 本邦においても、2021年9月17日、厚生労働省は3回目接種を認めることを決定し、実施の詳細について議論が開始されている。10月28日に開催された厚労省の分科会では12歳以上の国民全員を3回目接種(公費負担)の対象とすることが了承され、2回目接種後8ヵ月経過した人から順に3回目接種を施行する方向でまとまりつつある。3回目接種においてハイブリッド・ワクチンを認めるかどうかを含め、正式決定は11月中旬になされるとのことである(朝日新聞デジタル 2021年10月29日付)。 本論評では“3回目のワクチン接種”と記載したが、これはワクチン接種を3回施行すればすべての問題が解決することを意味しているわけではなく、必要に応じて4回目、5回目の接種をさらに追加する可能性を含んだ言葉だと解釈していただきたい。事実、フランス保健省は、2021年6月から臓器移植患者で3回目ワクチン接種に反応しない患者に対して4回目のワクチン接種を開始している(Rubin R. JAMA Medical News & Perspectives. 2021 Oct 27.)。 ワクチンの3回目接種による液性免疫の底上げは、免疫不全患者において絶対的に必要な手段であるが、紙面の都合上本論評では割愛する。この問題に関しては論評者らの総説を参照していただきたい(山口, 田中. 日本医事新報. 2021;5088:38.)。

151.

COVID-19に対する薬物治療の考え方 第9版公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、10月11日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第9版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 今回の改訂では、前回8版以降の新しい知見やエビデンスの追加のほか、抗ウイルス薬、中和抗体薬に関しての追記、とくにソトロビマブが新しく追加された。中和抗体薬の項目をさらに厚く解説 新しく改訂、追加された項目は下記の通り。【抗ウイルス薬】 レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液100mgなど)についてRCTの記載が追加。軽症肺炎例を対象にしたレムデシビル5日投与群、レムデシビル10日投与群、標準治療群の3群に割り付け、11日目の評価にて5日投与群は標準治療群と比較し有意に臨床的改善を認めた患者が多かったものの、10日治療群ではプラセボ群に比し有意差が認められなかった。また、入手方法についても、2021年10月18日より一般流通することが追加された。 ファビピラビル(商品名:アビガン錠200mg)については、海外での臨床報告が追加された。 インドで行われたRCTで、主要評価項目であるPCR陰性化までの期間の中央値がファビピラビル投与群で5日、標準治療群では7日だった(P=0.129)。また、副次評価項目である臨床的軽快までの期間の中央値が前者で3日、後者で5日(P=0.030)だった。 また、国内での臨床報告として発熱から10日以内の中等症I患者156例を対象としたプラセボ対照単盲検RCT(企業治験)では、主要評価項目(解熱、酸素飽和度改善、胸部画像改善、PCR陰性化の複合アウトカム)の達成がファビピラビル群で11.9日、プラセボ群で14.7日であった(P=0.0136)ことが追加された。【中和抗体薬】 新しく特例承認されたソトロビマブ(商品名:ゼビュディ)が追加された。ソトロビマブはSARS(重症急性呼吸器症候群)に感染した患者から得られた抗体を基にしたモノクローナル抗体。少なくとも1つ以上の重症化リスク因子を持つ軽症COVID-19患者を対象とした第III相のランダム化比較試験では、中間解析においてソトロビマブ500mg単回投与群(291例)では、プラセボ投与群(292例)と比較して、主要評価項目である投与29日目までの入院または死亡が85%減少した(p=0.002)。また、重篤な有害事象は,ソトロビマブ投与群で2%、プラセボ投与群で6%と,ソトロビマブ投与群のほうが少なかった。・投与方法通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ソトロビマブ(遺伝子組換え)として 500mg を単回点滴静注する。・投与時の注意点カシリビマブ/イムデビマブ参照・入手方法本剤は、一般流通は行わず、厚生労働省が所有した上で、対象となる患者が発生した医療機関からの依頼に基づき、無償で譲渡される。■関連記事ゾコーバ緊急承認を反映、コロナ薬物治療の考え方第15版/日本感染症学会

152.

COVID-19患者の26%に半年後も何らかの症状/国立国際医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の遷延症状は、当初から知られており、地域によっては専門外来が設置されるなど、今後のCOVID-19診療のフォローアップとしても注目されている。 国立国際医療研究センター 国際感染症センターの宮里 悠佑氏らのグループは、COVID-19罹患後の遷延症状に関して、長期的な疫学的情報に加え、遷延症状が出現・遷延するリスクを同定するために、COVID-19罹患後の患者を対象としてアンケート調査を実施し、その結果を「新型コロナウイルス感染症罹患後の遷延症状の記述疫学とその出現・遷延リスク因子に関する報告」として発表した。 その結果、女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすく、味覚障害が遷延しやすいこと、若年者ややせ型であるほど味覚・嗅覚障害が出現しやすいことが判明した。457例のCOVID-19患者を調査、400日以上も何らかの症状ありも【研究の背景】 国内外の報告からCOVID-19に遷延症状があることが確認され、国内の複数の調査では、中等症以上の患者512例において、退院後3ヵ月の時点で肺機能低下(とくに肺拡散能)が遷延していた。また、軽症者を含む525例において、診断後6ヵ月の時点で約80%は罹患前の健康状態に戻ったと自覚していたが、一部の症状が遷延すると生活の質の低下、不安や抑うつ、睡眠障害の傾向が強まることがわかった。嗅覚・味覚障害を認めた119例において、退院後1ヵ月までの改善率は嗅覚障害60%、味覚障害84%だった。そして、罹患後半年以上追跡した疫学調査報告や遷延症状が出現するリスク調査は少なく、また、遷延のリスク因子に関する報告はこれまでになかったことから調査を実施したものである。【研究概要】研究名:新型コロナウイルス感染症の遷延症状出現と遷延リスク因子方法:2020年2月~2021年3月までに国立国際医療研究センター病院のCOVID-19回復者血漿事業スクリーニングに参加した患者を対象として、アンケート調査を実施。調査項目は、患者背景、COVID-19急性期の重症度や治療内容、遷延症状の各症状の有無とその遷延期間。症状の出現頻度や遷延期間から、各症状を(1)急性期症状、(2)急性期から遷延する症状、(3)回復後に出現する症状の3つに分類した。また、遷延症状である(2)と(3)に関して、症状の出現リスク、症状が出現した患者における遷延リスクを探索的に調査した。【調査の結果】 対象の526例のうち457例から回答を得た(回収率86.9%)。回答者の年齢の中央値は47歳、231例(50.5%)が女性で、何らかの基礎疾患を有したのは212例(46.4%)、欠損値9例を除いた448例のうち、重症度は軽症が378例(84.4%)、中等症が57例(12.7%)、重症が13例(2.9%)だった。また、発症日からアンケート調査日までの期間の中央値は248.5日。 COVID-19の各症状は、(1)急性期症状:発熱、頭痛、食欲低下、関節痛、咽頭痛、筋肉痛、下痢、喀痰、(2)急性期から遷延する症状:倦怠感、味覚障害、嗅覚障害、咳嗽、呼吸困難、(3)回復後に出現する症状:脱毛、集中力低下、記銘力障害、うつに分類された。 発症時もしくは診断時から6ヵ月経過時点で337例(73.7%)が無症状であり、120例(26.3%)に何らかの症状を認めた。また、発症時もしくは診断時から12ヵ月経過時点で417例(91.2%)が無症状であり、40例(8.8%)に何らかの症状を認めた。 倦怠感、味覚障害、嗅覚障害、脱毛に関して、その出現リスクと遷延リスクを解析したところ、男性と比較して女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすく、味覚障害が遷延しやすいことがわかった。また、若年者、やせ型であるほど味覚・嗅覚障害が出現しやすいことがわかった。抗ウイルス薬やステロイドなどの急性期治療の有無と遷延症状の出現に関して、明確な相関は見受けられなかった。【研究結果から判明したこと】 研究グループは研究結果から次のコメントを述べている。・女性の方が倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすいことがわかった。また、味覚・嗅覚障害は若年者で多く、生活の質を著しく低下させる可能性がある。・約4例に1例(26.3%)が半年間たっても何らかの遷延症状を呈しており、軽症者であっても遷延症状が長引く人がいることが明らかになった。・最も重要な遷延症状の予防はCOVID-19に罹患しないことであり、基本的な感染対策が重要と考えられる。・抗ウイルス薬やステロイドなどの急性期治療がCOVID-19遷延症状の出現予防に寄与しないことがわかった。 なお、この研究では、想起バイアス、アンケート調査、主観的側面、対象者の偏向が生じうること、サンプル数に限界があること、アンケート調査時に症状を有している患者は症状の持続時間を過小評価している可能性があることなど研究限界があると注意を与えている。

153.

COVID-19に有効な治療は?抗体薬4剤を含むメタ解析/BMJ

 非重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、カシリビマブ/イムデビマブはほぼ確実に入院を減少させ、bamlanivimab/etesevimab、bamlanivimab、ソトロビマブは入院を減少させる可能性があるが、回復期血漿、IVIg、他の抗体および細胞治療は、いかなる意味のあるベネフィットをも与えない可能性がある。カナダ・マックマスター大学のReed Ac Siemieniuk氏らが、COVID-19の試験に関するデータベースを基にリビング・システマティック・レビューとネットワークメタ解析を行い明らかにした。BMJ誌2021年9月23日号掲載の報告。2021年7月21日時点でRCTを対象にネットワークメタ解析 研究グループは、2021年7月21日時点のWHOのCOVID-19データベースと中国のデータベース6件を用い、COVID-19の疑いや可能性が高い患者または確定診断を受けた患者を対象に、抗ウイルス抗体治療、血液製剤、標準治療またはプラセボを比較した無作為化臨床試験を抽出した。 2人のレビュアーが独立して試験の適格性を判断し、重複データを削除後、ベイズ変量効果モデルを用いたネットワークメタ解析を行った。改訂版コクランバイアスリスクツールv.2.0を用いて各試験のバイアスリスクを評価し、GRADEシステムを用いてエビデンスの確実性(質)を評価した。なお、メタ解析は、無作為化された患者数が100例以上、または治療群当たりのイベント数が20以上の介入を対象とした。カシリビマブ/イムデビマブ、非重症COVID-19患者の入院リスクを低下 2021年7月21日時点で、抗ウイルス抗体治療または細胞治療を評価した無作為化試験47件が特定された。内訳は、回復期血漿21件、免疫グロブリン(IVIg)5件、臍帯間葉系幹細胞治療5件、bamlanivimab 4件、カシリビマブ/イムデビマブ4件、bamlanivimab-etesevimab 2件、control plasma 2件、末梢血非造血濃縮幹細胞治療2件、ソトロビマブ1件、抗SARS-CoV-2 IVIg 1件、血漿交換療法1件、XAV-19ポリクローナル抗体1件、CT-P59モノクローナル抗体1件、INM005ポリクローナル抗体1件。 抗ウイルス抗体治療に割り付けられた非重症患者は、プラセボ群と比較して入院リスクが低下した。オッズ比(OR)ならびにリスク差(RD)は、カシリビマブ/イムデビマブが0.29(95%信頼区間[CI]:0.17~0.47)および-4.2%(エビデンスの質:中)、bamlanivimabが0.24(0.06~0.86)および-4.1%(エビデンスの質:低)、bamlanivimab/etesevimabが0.31(0.11~0.81)および-3.8%(エビデンスの質:低)、ソトロビマブが0.17(0.04~0.57)および-4.8%(エビデンスの質:低)であった。 他のアウトカムに関しては重要な影響はなかった。また、モノクローナル抗体薬の間に顕著な差は確認されなかった。他の介入は、非重症のCOVID-19患者においてすべてのアウトカムについて意味のある影響が認められなかった。 抗ウイルス抗体薬を含め、重症または重篤なCOVID-19患者の転帰に重要な影響を及ぼす介入はなかったが、カシリビマブ/イムデビマブは血清陰性患者の死亡率を低下させる可能性が示唆された。

154.

COVID-19の積極的疫学調査の最終報告/感染研

 国立感染症研究所は、9月27日に同研究所のホームページにおいて、「新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(最終報告)」を公開した。 この報告は、感染症法(第15条第1項)に基づいた積極的疫学調査で集約された、各自治体・医療機関から寄せられた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の退院患者の情報に関する最終報告である。 なお、「本情報は統一的に収集されたものではなく、各医療機関の退院サマリーの様式によるため解釈には注意が必要」と解析の読み方に注意を喚起している。調査は一定の情報が得られたことにより5月25日をもって停止している。【集計データ概要】・COVID-19患者数:770例・入院開始日:2020年1月25日~2021年5月6日・入院期間の中央値:12.0日・性別:男性440例(57%)/女性330例(43%)・年齢:中央値51.0歳(四分位範囲30.0-68.5歳)・基礎疾患の有無:有した症例は270例(35%)【発症時の症状】 多い順に発熱404例(52%)、呼吸器症状224例(29%)、倦怠感108例(14%)、頭痛63例(8%)、消化器症状45例(6%)、鼻汁31例(4%)、味覚異常26例(3%)、嗅覚異常24例(3%)、関節痛24例(3%)、筋肉痛11例(1%)の順だった。 入院時の症状は、発熱288例(37%)、呼吸器症状199例(26%)、倦怠感83例(11%)、消化器症状58例(8%)、味覚異常45例(6%)、頭痛46例(6%)、嗅覚異常43例(6%)、鼻汁28例(4%)、関節痛19例(2%)、筋肉痛6例(<1%)、意識障害1例(<1%)の順だった。 そのほか入院中、29例(4%)において合併症の記載があり、その内訳(重複を含む)は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)14例(2%)、急性腎障害7例(<1%)、人工呼吸器関連肺炎4例(<1%)、播種性血管内凝固症候群(DIC)3例(<1%)、多臓器不全2例(<1%)、誤嚥性肺炎2例(<1%)、カテーテル関連血流感染2例(<1%)、細菌性肺炎1例(<1%)であり、このうち19例が死亡した。【画像所見】(※サイト本文では所見画像もリンクされている) 所見画像は、2名の放射線科医師によって、2020年9月時点で集められた396例の読影が行われた。 入院時(入院日の前後3日を含む期間)に胸部単純X線写真が撮像された168症例のうち、異常所見の認められた79症例(47%)について主な所見を示す。 網状粒状影、心拡大、浸潤影は60歳以上に多く認められた。異常所見は両側(81%)、末梢肺野(75%)、下肺野優位(92%)に分布した。一方、入院時にCT画像が撮像された269例のうち、異常所見の認められた182例(68%)について、異常所見が5肺葉に及んだものが67例(37%)、陰影のサイズは3cmから肺葉の50%未満を占める場合が94例(52%)と最も多かった。また、異常陰影は、両側肺野145例(80%)、末梢性178例(98%)に認められ、とくに右下葉152例(84%)、左下葉149例(82%)と下葉優位であるものの、上葉にも分布していた。陰影所見として、すりガラス陰影182例(100%)、気管支透亮像(air bronchogram)98例(54%)、気管支拡張90例(49%)、胸膜下線状影80例(44%)が多く認められた。また、入院時に胸部単純X線写真およびCT画像ともに撮像されていた161例において、CT画像で異常陰影を認めた症例で、胸部単純X線写真で異常陰影を認めた症例の割合は、両側陰影58/90(64%)、右肺野陰影69/98(70%)、左肺野陰影61/98(62%)であった。CT画像で異常陰影が末梢にあった症例のうち、胸部単純X線写真でも末梢に異常陰影を認めた症例は56/102(55%)であった。また、CT画像で異常所見が確認されなかった症例のうち、胸部単純X線写真で異常所見ありと診断された症例はごくわずかであった。死亡例11例に限ると、両側陰影10/11(91%)、右肺野陰影10/11(91%)、左肺野陰影11/11(100%)、末梢肺野陰影8/11(73%)であった。また、入院時に胸部単純X線写真を撮像し、その後死亡した15例のうち10例(67%)に心拡大が認められた。 これらの結果から、入院時の胸部単純X線写真で認められた両側・末梢優位の異常陰影はCT所見とおおむね同様であった。退院時死亡した重症例に限定すると、胸部単純X線写真で認められた異常陰影は、CT所見とより一致する傾向が認められ、さらに死亡例の多くが胸部単純X線写真で心拡大を呈していた。【治療など】 全770例のうち、対症療法ではなくCOVID-19への直接的な効果を期待して231例(30%)で抗ウイルス薬投与などの治療介入が行われていた。うち、新型コロナウイルス感染症診療の手引き(第5版)に記載され、日本国内で承認されている医薬品としてレムデシビルは24例、ステロイドは20例が投与されていた。酸素投与は107例(14%)に実施され、その投与方法は、マスク55例、カニューラ12例、リザーバーマスク13例、非侵襲的陽圧換気(NPPV)2例、人工呼吸器22例、体外式膜型人工肺(ECMO)3例であった。

155.

経口コロナ治療薬molnupiravir、第III相中間解析で入院・死亡リスクを半減/米・メルク

 米・メルクは10月1日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経口抗ウイルス薬molnupiravir(MK-4482/EIDD-2801)について、日本を含む世界173施設で実施中の第III相試験(MOVe-OUT)の中間解析結果を公表した。2021年8月5日までに登録された軽度~中等度のCOVID-19患者775例について解析したところ、molnupiravir群では投与後29日目までの入院・死亡がプラセボ群と比べ約50%減少したことがわかった。MOVe-OUT試験は最終的に1,550人規模の被験者で実施する予定だったが、中間解析のポジティブな結果を受け、新たな被験者の登録はすでに停止している。メルクは、近くFDAに対し緊急使用許可(EUA)を申請する方針。承認されれば、COVID-19に対する初の経口治療薬となる見通しだ。 molnupiravirは、経口投与が可能な強力なリボヌクレオシドアナログで、SARS-CoV-2を含むさまざまなRNAウイルスの複製を阻害する。SARS-CoV-2の予防投与、治療、感染防止などのいくつかの前臨床モデル、またSARS-CoV-1、MERSに対する活性が認められている。 MOVe-OUT試験では、5日間、12時間ごとに経口投与(計10回投与)したmolnupiravir群で、投与後29日目の入院が7.3%(28/385例)で、プラセボ群の14.1%(53/377例)と比べ、有意に減少した。プラセボ群では8例の死亡が報告されたが、molnupiravir群では報告されなかった。有害事象の発生率は、両群で同程度だった。 メルクでは、すでにmolnupiravirの量産体制に入っており、2021年末までに1,000万人分を製造予定で、22年にはさらに多くの製造量を見込んでいるという。米国政府との間では、今年の初頭に約170万人分を供給する調達契約をすでに締結しており、他国の規制当局との協議も進めている。

156.

第72回 コロナ内服薬molnupiravirがFDA申請へ/今季もインフルワクチンの積極的接種を

<先週の動き>1.コロナ内服薬molnupiravirがFDA申請へ、国内でも早期承認を目指す2.今季もインフルワクチンの積極的接種を推奨/日本感染症学会3.子宮頸がんワクチン接種再開に向け、議論再開/厚労省4.岸田内閣の厚労大臣とワクチン担当相が内定、今日発足へ5.マイナンバー保険証、10月20日から本格運用へ/厚労省1.コロナ内服薬molnupiravirがFDA申請へ、国内でも早期承認を目指す米・メルク社がリッジバック・バイオセラピューティクス社と共同で開発中の経口抗ウイルス薬「molnupiravir」について、近く食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可申請を行う見込みであることが明らかとなった。本剤は、今年の春からわが国を含めた国際共同治験が開始されており、中間解析では外来で軽症~中等症の新型コロナ患者に対して、プラセボと比較して入院・死亡リスクを約50%低減させたとの結果が報告された。日本国内でも早期承認を目指し開発が進められている。molnupiravirは新型コロナ治療薬として世界初の内服薬となるだろう。(参考)米メルク 経口新型コロナ治療薬候補molnupiravir 第3相臨床試験の中間解析で入院・死亡リスク低減 米FDAにEUA申請へ(ミクスonline)コロナ「飲み薬」、入院・死亡リスク半減 米メルクが緊急使用許可を申請へ(CNN)米メルクのコロナ飲み薬、年内に日本調達へ 軽症者向け特例承認(毎日新聞)新型コロナの飲み薬、臨床試験で高い効果 入院半減、米メルク株急伸(朝日新聞)2.今季もインフルワクチンの積極的接種を推奨/日本感染症学会日本感染症学会のインフルエンザ委員会は、9月28日に「2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方」を発表した。今年の秋以降も新規コロナ患者が増えることが予想されるため、インフルエンザについてはなるべくワクチン接種を行い、医療現場の負担軽減を求めている。また、COVID-19罹患者ならびに濃厚接触者へのインフルエンザワクチン接種は、観察期間が終了してからの接種を、さらに中等症以上のCOVID-19で入院している人は、急性期症状から完全に回復してからの接種を推奨している。なお、厚生労働省が9月に発表した「季節性インフルエンザワクチンの供給について」では、今冬は昨年よりも遅れたペース(10月末時点では出荷見込み量全体の65%程度の供給)にとどまる一方、11月~12月中旬頃まで継続的にワクチンが供給される見込みだという。(参考)2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方(感染症学会)3.子宮頸がんワクチン接種再開に向け、議論再開/厚労省厚労省は、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染症を予防するワクチン接種について、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会を1日に開催した。海外におけるHPVワクチンの有効性や安全性データについて検討し、接種後の症状との関係を裏付ける根拠は認めなかった。またわが国における若年女性のHPVワクチン接種後症状についても検討され、接種群における有害事象の発現率の有意な上昇を認めなかった。このため「積極的勧奨を妨げる要素はない」との意見で一致した。今後は、接種の再開時期や接種後に症状を訴えた人への支援体制の拡充について議論を行っていく。(参考)接種の積極的呼びかけ 中止から8年 再開めぐる議論始まる(NHK)HPVワクチン勧奨、厚労省部会再開一致 接種後症状、医療体制強化(毎日新聞)資料 HPVワクチンの安全性・有効性に関する最新のエビデンスについて(厚労省)4.岸田内閣の厚労大臣とワクチン担当相が内定、今日発足へ自民党の岸田 文雄新総裁は3日、新たに発足する岸田内閣の厚生労働大臣に後藤 茂之氏を、新型コロナワクチン担当大臣に堀内 詔子氏を起用する人事を固めた。後藤氏は初の入閣。また、堀内氏は、オリンピック・パラリンピック担当大臣も兼務する見通し。野田 聖子氏は少子化担当相に起用されるとともに、新たに創設される「こども庁」も担当することになった。また、岸田氏は自民党総裁選に勝利した後の記者会見において、看護師・介護士等の給与を「適正に引き上げる」と表明したことも話題になっている。仕事に見合う処遇改善を目的に、賃上げにも力を入れる意向。総裁選では、エッセンシャルワーカーの報酬引き上げに向け「公的価格評価検討委員会」の設置を掲げていた。なお、財源については「医療の市場は40兆円、介護の市場は10兆円。市場自体を大きくすることもしっかり考えながら、この市場の中での分配のあり方、適正に分配されているかどうかを考えることも重要だと思う」と述べた。(参考)自民 岸田総裁 厚生労働相に後藤茂之氏 起用の意向固める(NHK)岸田新内閣きょう発足へ 閣僚の顔ぶれ固まる(同)岸田氏「介護士給与、思い切って引き上げないと」(産経新聞)岸田新総裁、介護職の賃上げに取り組む意向を表明 「公的価格を率先して上げる」(JOINT)5.マイナンバー保険証、10月20日から本格運用へ/厚労省厚労省は、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるように準備を進めてきたが、全国での本格運用を10月20日から開始することを発表した。今年の3月より一部の医療機関で先行して運用開始したが、トラブルが発生し、本格運用は延期されていた。今月中には、「マイナポータル」で特定健診の結果や処方された薬の情報が閲覧が可能となり、来年以降はさらに自治体の検診や学校検診の結果、電子処方箋の情報などが閲覧可能となる見通し。一方、医療機関でのマイナンバーカードのリーダーの普及率が伸び悩むなど、厚労省・地方自治体はさらに病院団体や医師会に対して補助金の活用を働きかけている。なお、マイナンバーカードを保険証として利用するには、マイナポータルでマイナンバーカードの健康保険証利用の申し込みが必要となるため、普及の促進には利用者に対する周知徹底が課題となる。(参考)マイナンバーカードを健康保険証で利用 20日から本格運用へ(NHK)マイナ保険証10月20日本格運用 対応済み医療機関は6%(日経新聞)マイナンバーカードの保険証利用について(厚労省)資料 データヘルス改革に関する工程表について(同)

157.

IgG monoclonal抗体製剤はワクチンの代替薬になりえるか?(解説:山口佳寿博氏、田中希宇人氏)

 本論評では、遺伝子組み換えIgG monoclonal抗体治療の基礎をなす回復期血漿治療の変遷を考慮しながらmonoclonal抗体治療の臨床的意義について考察する。コロナ感染症に対する回復期血漿治療-無効かつ有害? 長年、インフルエンザ肺炎に対して古典的回復期血漿治療が施行されてきた。また、2002~03年のSARSに対しても回復期血漿治療が試みられたが満足いく結果が得られず、抗体依存感染増強(ADE:antibody-dependent enhancement of infection)を呈した症例が少なからず存在した。新型コロナに対しても回復期血漿治療が試行錯誤されたが、今年になって発表された2つの論文は新型コロナに対する回復期血漿治療が無効、あるいは、逆に、病態を悪化させる可能性があることを指摘した。RECOVERY Trialでは、ランダム化から28日目までの死亡率、機械呼吸導入率、腎透析導入率など重要な指標は血漿投与群と対照群の間で有意差を認めず、回復期血漿治療は無効であることが示された(RECOVERY Collaborative Group. Lancet 2021;397:2049-2059.)。Begin氏らの報告によると、ランダム化から30日以内の気管挿管と死亡の比率は血漿投与群と対照群の間で有意差はなく、さらに、重要な知見としてADEに相当する重篤な副反応の頻度が血漿投与群で高いことが示された(Begin P, et al. Nat Med. 2021 Sep 9. [Epub ahead of print])。 回復期血漿はコロナ以外の微生物などに由来する種々の抗原に対するIgG、IgA、IgMなどの抗体を含有する。たとえば、IgAはIgGと拮抗しHIVワクチン接種時にHIV感染を増悪させることが報告されている(Haynes BF, et al. Engl J Med. 2012;366:1275-1286.)。また、回復期血漿が含有するS蛋白に対するIgG抗体には中和作用を有さない“非機能的(不完全)IgG抗体”が含まれる。非機能的IgG抗体のFc(fragment crystallizable)部位と免疫細胞/食細胞に発現しているFc受容体(FcγR)との結合は不完全で、ウイルスは免疫細胞/食細胞内で完全に処理されず、その一部は感染性を有したまま細胞外に排出される(回復期血漿投与時のADE発生)。一方、S蛋白を構成する種々なる抗原決定基(epitope)に対するIgG monoclonal抗体はウイルスに対する中和作用が強く、非機能的IgG抗体は基本的に存在しない。それ故、IgG monoclonal抗体投与時にはADEが発生し難い。以上の考察を支持する知見として、S蛋白に対するIgG monoclonal抗体に関する複数の治験においてADE発症の報告がない事実を強調しておきたい。半減期が短いIgG monoclonal抗体-抗ウイルス薬 現在、米国では6種類のIgG monoclonal抗体が緊急使用の許可を得ている。その中の2種類ずつを併用する2つの抗体カクテル療法(カシリビマブ+イムデビマブ[REGEN-COV]とbamlanivimab+etesevimab[BEカクテル])の緊急使用をFDAは承認している。本邦においても2021年7月19日、REGEN-COVが特例承認された(商品名:ロナプリーブ点滴静注セット)。 カシリビマブとイムデビマブ(REGEN-COV)はウイルスが生体に侵入する際生体細胞のACE2と結合するRBD-motif(RBM)に存在する互いに重なりがない複数のepitopeと非競合的に結合し抗ウイルス作用を発現する(Baum A, et al. Science 2020;369:1014-1018.)。本論評で取り上げたコロナ感染患者と濃厚接触した家族を対象としたREGN-COV 2069治験において(O'Brien MP, et al. N Engl J Med. 2021;385:1184-1195.)、対照群の全感染リスクが14.2%であったのに対しREGEN-COV群では4.8%と有意に低かった。さらに、感染者の症状持続期間もREGEN-COV群で2週間短縮されるなど抗ウイルス薬として高い効果が示された。この治験で特記すべき事項はREGEN-COVを従来の点滴投与ではなく皮下注で投与しても何ら問題となる不都合が観察されなかったことである。以上の結果はIgG monoclonal抗体を簡便な皮下注で投与できる可能性を示した点で臨床的に価値がある。 Monoclonal抗体治療の最も魅力的側面はDelta株を中心とする変異株に対する抗ウイルス作用である。変異株における免疫回避作用を発現するS蛋白遺伝子変異の主たる部位は417位(Beta株、Gamma株)、452位(Delta株)、478位(Delta株)、484位(Beta株、Gamma株)である(山口. 日本医事新報 2021;5053:32-38,)。REGEN-COVにあって、カシリビマブは417位、478位、484位をepitopeとして認識するがイムデビマブはこれら部位を認識しない。両monoclonal抗体ともDelta株にあって最も重要な452位を認識せずREGEN-COVはDelta株に対して高い中和作用を示すことが示唆された(Corti D, et al. Cell. 2021;184:3086-3108.)。 REGEN-COVを構成する2つのmonoclonal抗体の血中半減期は約30日で抗ウイルス薬としては十分な期間有効性が持続する(O'Brien MP, et al. N Engl J Med. 2021;385:1184-1195.)。しかしながら、以下に提示するIgG monoclonal抗体をワクチン代替え療法として考えていく場合には30日という半減期は短過ぎる。 REGEN-COV使用に関する本邦の指針は米国FDAの指針に追従したもので、本薬剤の投与対象が“重症化リスク因子を有する酸素投与を要しない患者(軽症~中等症-I)”となっており、“重症例”は基本的に対象外とされた(厚生労働省. Aug. 13, 2021)。この記述は、回復期血漿治療で認められるADEがIgG monoclonal抗体投与時にも発生する可能性を配慮したものであるが、monoclonal抗体薬投与に起因するADEの発生が非常にまれであることが判明しつつある現在、REGEN-COVの投与対象を重症例にも広げていくべきであろう。さらに、ワクチン接種で中和抗体価が上昇しない免疫不全患者のコロナ感染時の治療にはIgG monoclonal抗体治療が最優先されるべきことも明記されるべきである(米国FDA. Press Release Aug. 12, 2021)。 BEカクテルにあってbamlanivimabはRBDの452位、484位を、etesevimabは452位近傍をepitopeとして認識するため(Corti D, et al. Cell 2021;184:3086-3108.)、BEカクテルはBeta株、Gamma株、Delta株に対する中和作用が弱く、変異株抑制を目的とした抗ウイルス薬としてはREGEN-COVよりも劣る。REGEN-COVと同様BEカクテルの半減期も短い。半減期が長いIgG monoclonal抗体-抗ウイルス薬、ワクチン代替え薬 2021年9月6日、グラクソ・スミスクラインは単剤で使用できるIgG monoclonal抗体ソトロビマブの特例承認を厚生労働省に申請し、9月27日に承認された(商品名:ゼビュディ点滴静注液500mg)。この製剤は他のmonoclonal抗体製剤と異なり、変異が発生しやすいRBMではなく変異が起こり難く多くのコロナウイルスでアミノ酸配列が普遍的に保存されている部位(S蛋白の332~361位)を抗体の標的として設計されている(Corti D, et al. Cell 2021;184:3086-3108.)。すなわち、ソトロビマブが認識するepitopeはDelta株を中心とする変異株を特徴付ける種々なる変異とは無関係な部位に位置する。それ故、ソトロビマブは現状の変異株のみならず今後形成されることが予想される新たな変異株に対しても高い中和作用を発揮するものと考えられる(Gupta A, et al. medRxiv. 2021 May 28.)。ソトロビマブのもう一つの特徴はIgGの分解を抑制し血中IgG抗体価の半減期を延長させるためにIgG抗体のFc領域に人工的変異が挿入されていることである(Cathcart AL, et al. bioRxiv. 2021 Aug 6.)。その結果、ソトロビマブは投与後少なくとも6~8ヵ月間は抗ウイルス作用を持続するものと考えられ、ワクチン接種が困難な人、あるいは、免疫不全でワクチンによる抗体産生が期待できない人に対するワクチン代替え療法になりえるものと期待できる。ただし、IgG monoclonal抗体治療の費用はワクチン2回接種の100倍に達する高額治療であることに留意する必要がある。 AstraZenecaの抗体カクテル(AZD7442:AZD1061+AZD8895)も注目に値する製剤である。AZD7442を構成する2つのIgG monoclonal抗体のFc領域には人工的変異が挿入されておりソトロビマブと同様にIgGの半減期が延長する(抗ウイルス作用:約1年持続)。それ故、AZD7442もソトロビマブと同様にワクチン代替え療法として期待できる。

158.

重症化リスクのある外来COVID-19に対し吸入ステロイドであるブデソニドが症状回復期間を3日短縮(解説:田中希宇人氏、山口佳寿博氏)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ではエビデンスの乏しかった2020年初頭からサイトカインストームによる影響がいわれていたことや、COVID-19の重症例のCT所見では気管支拡張を伴うびまん性すりガラス陰影、いわゆるDAD(diffuse alveolar damage)パターンを呈していたことから実臨床ではステロイドによる加療を行っていた。2020年7月に英国から報告された大規模多施設ランダム化オープンラベル試験である『RECOVERY試験』のpreliminary reportが報告されてからCOVID-19の治療として適切にステロイド治療が使用されることとなった。『RECOVERY試験』では、デキサメタゾン6mgを10日間投与した群が標準治療群と比較して試験登録後28日での死亡率を有意に減少(21.6% vs.24.6%)させた(Horby P, et al. N Engl J Med. 2021;384:693-704. )。とくに人工呼吸管理を要した症例でデキサメタゾン投与群の死亡率が29.0%と、対照群の死亡率40.7%と比較して高い効果を認めた。ただし試験登録時に酸素を必要としなかった群では予後改善効果が認められず、実際の現場では酸素投与が必要な「中等症II」以上のCOVID-19に対して、デキサメタゾン6mgあるいは同力価のステロイド加療を行っている。 また日本感染症学会に「COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3例」のケースシリーズが報告されたことから、吸入ステロイドであるシクレソニド(商品名:オルベスコ®)がCOVID-19の肺障害に有効である可能性が期待され、COVID-19に対する吸入ステロイドが話題となった。シクレソニドはin vitroで抗ウイルス薬であるロピナビルと同等以上のウイルス増殖防止効果を示していたことからその効果は期待されていたが、前述のケースシリーズを受けて厚生労働科学研究として本邦で行われたCOVID-19に対するシクレソニド吸入の有効性および安全性を検討した多施設共同第II相試験である『RACCO試験』でその効果は否定的という結果だった(国立国際医療研究センター 吸入ステロイド薬シクレソニドのCOVID-19を対象とした特定臨床研究結果速報について. 2020年12月23日)。本試験は90例の肺炎のない軽症COVID-19症例に対して、シクレソニド吸入群41例と対症療法群48例に割り付け肺炎の増悪率を評価した研究であるが、シクレソニド吸入群の肺炎増悪率が39%であり、対症療法群の19%と比較しリスク差0.20、リスク比2.08と有意差をもってシクレソニド吸入群の肺炎増悪率が高かったと結論付けられた。以降、無症状や軽症のCOVID-19に対するシクレソニド吸入は『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.3版』においても推奨されていない。 その他の吸入ステロイド薬としては、本論評でも取り上げるブデソニド吸入薬(商品名:パルミコート®)のCOVID-19に対する有効性が示唆されている。英国のオックスフォードシャーで行われた多施設共同オープンラベル第II相試験『STOIC試験』では、酸素が不要で入院を必要としない軽症COVID-19症例を対象にブデソニド吸入の効果が検証された(Ramakrishnan S, et al. Lancet Respir Med. 2021;9:763-772. )。本研究ではper-protocol集団およびITT集団におけるCOVID-19による救急受診や入院、自己申告での症状の回復までの日数、解熱薬が必要な日数などが評価された。結果、ブデソニド吸入群が通常治療群と比較して有意差をもってCOVID-19関連受診を低下(per-protocol集団:1% vs.14%、ITT集団:3% vs.15%)、症状の回復までの日数の短縮(7日vs.8日)、解熱剤が必要な日数の割合の減少(27% vs.50%)を認める結果であった。 本論評で取り上げた英国のオックスフォード大学Yu氏らの論文『PRINCIPLE試験』では、65歳以上あるいは併存症のある50歳以上のCOVID-19疑いの非入院症例4,700例を対象に行われた。結果は吸入ステロイドであるブデソニド吸入の14日間の投与で回復までの期間を通常治療群と比較して2.94日短縮した、とのことであった。本研究は英国のプライマリケア施設で実施され、ブデソニド吸入群への割り付けは2020年11月27日~2021日3月31日に行われた。 4,700例の被検者は通常治療群1,988例、通常治療+ブデソニド吸入群1,073例、通常治療+その他の治療群1,639例にランダムに割り付けられた。ブデソニド吸入は800μgを1日2回吸入し、最大14日間投与するという治療で、喘息でいう高用量の吸入ステロイド用量で行われた。症状回復までの期間推定値は被検者の自己申告が採用されたが、通常治療群14.7日に対してブデソニド吸入群11.8日と2.94日の短縮効果(ハザード比1.21)を認めている。同時に評価された入院や死亡については通常治療群8.8%、ブデソニド吸入群6.8%と2ポイントの低下を認めたが、優越性閾値を満たさない結果であった。 今までの吸入ステロイドの研究では主に明らかな肺炎のない症例や外来で管理できる症例に限った報告がほとんどであり、前述の『STOIC試験』においても酸素化の保たれている症例が対照となっている。本研究ではCOVID-19の重症化リスクである高齢者や併存症を有する症例が対照となっており、高リスク群に対する効果が示されたことは大変期待できる結果であった考えることができる。ただしCOPDに対する吸入ステロイドは新型コロナウイルスが気道上皮に感染する際に必要となるACE2受容体の発現を減少させ、COVID-19の感染予防に効果を示す(Finney L, et al. J Allergy Clin Immunol. 2021;147:510-519. )ことがいわれており、本研究でもブデソニド吸入群に現喫煙者や過去喫煙者が46%含まれていることや、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)症例が9%含まれていることは差し引いて考える必要がある。そして吸入薬であり「タービュヘイラー」というデバイスを用いてブデソニドを投与する必要がある特性上、呼吸促拍している症例や人工呼吸管理がなされている症例に対してはこの治療が困難であることは言うまでもない。 また心配事として、重症度の高いCOPD症例に対する吸入ステロイドは肺炎のリスクが高まるという報告がある(Vogelmeier C, et al. N Engl J Med. 2011;364:1093-1103.、Crim C, et al. Ann Am Thorac Soc. 2015;12:27-34. )ことである。この論評で取り上げたYu氏らの論文では重篤な有害事象としてブデソニド吸入群で肋骨骨折とアルコールによる膵炎によるものの2例が有害事象として報告されており治療薬とはまったく関係ないものとされ、肺炎リスクの上昇は取り上げられていない。ただもともと吸入ステロイド薬であるブデソニドは、気管支喘息や閉塞性換気障害の程度の強いCOPDや増悪を繰り返すCOPDに使用されうる薬剤であり、ステロイドの煩雑な使用は吸入剤とはいえ呼吸器内科医としては一抹の不安は拭うことができない。 心配事の2つ目として吸入薬の適切な使用やアドヒアランスの面が挙げられる。この『PRINCIPLE試験』で用いられているブデソニド吸入は800μgを1日2回吸入、最大14日間であるが、症状の乏しいCOVID-19症例に、しかも普段吸入薬を使用していない症例に対しての治療であるので実臨床で治療薬が適切に使用できるかは考えるところがある。COVID-19症例や発熱症例に対して対面で時間をかけて吸入指導を行うことは非現実的なので、紙面やデジタルデバイスでの吸入指導を理解できる症例に治療選択肢は限られることになるであろう。 最後に本研究が評価されて吸入ステロイドであるブデソニドがコロナの治療薬として承認されたとしても、その適正使用に関しては慎重に行うべきであると考える。日本感染症学会に前述のシクレソニド吸入のケースシリーズが報告された際も、一部メディアで大々的に紹介され、一時的に本邦でもCOVID-19の症例や発熱症例に幅広く処方された期間がある。その期間に薬局からシクレソニドがなくなり、以前から喘息の治療で使用していた患者に処方ができないケースが散見されたことは、多くの呼吸器内科医が実臨床で困惑されたはずである。COVID-19の治療選択肢として検討されることは重要であるが、本来吸入ステロイドを処方すべき気管支喘息や増悪を繰り返すCOPD症例に薬剤が行き渡らないことは絶対に避けなければいけない。

159.

第69回 コロナ中等症自宅療養、AZワクチン接種推進―政策転換に求められるエビデンスある説明

東京都の新型コロナウイルスの新規感染者が4,000人台を突破、自宅療養者も1万人超となる中、政府は中等症以上の患者の「原則入院」を見直し、重症以外は自宅療養を基本とする方針に突然転換した。これに対し、医療現場からは「重症化リスクを誰がどう管理するのか」「患者を見捨てる政策ではないか」といった批判の声が上がっている。中等症自宅療養で懸念される重症化新型コロナ感染者は、発症からの日数と経過を概括すると、1週間は軽症(約80%)、1週間~10日位は中等症(15%)、10日以降は重症(約5%)となる。中等症はIとIIに分かれるが、自宅療養だと、中等症I(息切れ、肺炎所見)の場合、入院していれば投与できる抗ウイルス薬「レムデシビル」が使用できなくなり、中等症II(呼吸不全)の場合、重症化を防ぐ抗炎症薬の使用が遅れると、救える命も救えなくなる可能性が出てくる。中等症感染者を見捨てないためには、入院の必要性がある人を早く見つけ、入院させる体制を構築するのが急務だ。今後、感染者が爆発的に増えて、自宅療養中に重症化する人が増加した場合、発見が遅れたり、入院先も見つからなかったりするケースも増えるだろう。実際このような状況は、第3波では東京で、第4波では大阪ですでに起きている。とくに今回の新型コロナ第5波では、若年者の中等症IIが増えている点が問題になっている。感染層として一番多い年代が中等症化しており、背景にあるのは、感染力の強いインド型変異ウイルス「デルタ株」の感染拡大である。インドでは、感染者が酸素を求めて病院に押し寄せるなど、医療用酸素の不足も深刻化しており、日本においても危機感を感じている医療人は少なくない。ある医療人は「新型コロナ第5波では、いつ重症化するかわからない中等症患者の予備軍が大勢いる。感染状況を正確に把握しないかぎり根本的に解決しない問題だ。政府はどのようなエビデンスに基づいて、方針転換したのだろうか」と疑問を呈する。AZ製ワクチンではプラス情報が不足十分な説明のない新型コロナ政策の転換は、アストラゼネカ(AZ)製ワクチン接種を原則40歳以上に進める方針にも言える。AZ製ワクチンは接種後、まれに血栓症が生じる懸念が報告され、国民の間にはマイナスイメージが強い。自治体からは「住民の接種に使わない」との声も上がっているという。接種のめどが立たない中、コロナ感染が急拡大してワクチンが不足した台湾に、日本政府はAZ製ワクチンを供給したが、一部の台湾国民からは「日本人が使わないワクチンを台湾人に使わせるのか」といった批判も出た。今後、国内においてもAZ製ワクチンの接種を進めるならば、マイナスイメージを払拭するプラスの情報が必要なはずだ。安全性のエビデンスや副反応対策を示すほか、2回目接種にAZ製ワクチンを打つと、抗体がより多くできるといった研究をスルーせず、真摯に検証してみることも必要だろう。新型コロナ政策を巡っては、休業要請や緊急事態宣言などをとってみても、論理的根拠を示せないまま国民に要請するばかり。エビデンスを示し、納得のいく説明と強いメッセージを発することで医療人や国民に行動を促すのは、なにもコロナに限ったことではない、きわめてシンプルな政治の基本だと思う。

160.

日本のウイルス肝炎診療に残された課題~今、全ての臨床医に求められること~

COVID-19の話題で持ち切りの昨今だが、その裏で静かに流行し続けている感染症がある。ウイルス肝炎だ。特に問題になるのは慢性化しやすいB型およびC型肝炎で、世界では3億人以上がB型、C型肝炎ウイルスに感染し、年間約140万人が死亡している。世界保健機関(WHO)は7月28日を「世界肝炎デー」と定め、ウイルス肝炎の撲滅を目的とした啓発活動を実施している。検査方法や治療薬が確立する中、ウイルス肝炎診療に残された課題は何か?今、臨床医に求められることは何か?日本肝臓学会理事長の竹原徹郎氏に聞いた。自覚症状に乏しく、潜在患者が多数―日本の肝がんおよびウイルス肝炎の発生状況を教えてください。日本では、年間約26,000人程度が肝がんで死亡しているという統計があります。その大半はウイルス肝炎によるもので、B型肝炎は約15%、C型肝炎は約50%を占めています。B型およびC型肝炎ウイルスに感染して慢性肝炎を発症しても、自覚症状はほとんど現れません。気付かぬうちに病状が進行し、肝がん発症に至るわけです。日本においてB型、C型肝炎ウイルスの感染に気付かずに生活している患者さんは数十万人程度存在すると考えられています。こうした患者さんを検査で拾い上げ、適切な医療に結び付けることが、肝がんから患者さんを救うことにつながります。検査後の受診・受療のステップに課題―臨床では、どのような場面で肝炎ウイルス検査が実施されるのでしょうか。臨床で肝炎ウイルス検査が実施される場面は様々ですが、(1)肝障害の原因を特定するために行う検査、(2)健康診断で行う検査、(3)手術時の感染予防のために行う術前検査などが挙げられます。(1)はそもそも肝障害の原因を特定するために行われているので問題ないのですが、(2)では、検査で異常が指摘されても放置される場合がありますし、(3)では、陽性が判明してもその後の医療に適切に活用されないことがあり、課題となっています。その要因は様々ですが、例えば他疾患の治療が優先され、検査結果が陽性であることが二の次になるケースや、長く診療している患者さんでは、変にその結果を伝えて不安にさせなくても良いのではないか、とされるケースもあるでしょう。また患者さんの中には、検査結果を見ない、結果が陽性であっても気にしない、陽性であることが気になっていても精密検査の受診を躊躇する、といった方も多いです。そのため医療者側にどのような事情があっても、陽性が判明した場合はその結果を患者さんに伝え、精密検査の受診を促すことが大事です。非専門の先生で、ご自身では精密検査の実施が難しいと思われる場合は、ぜひ近隣の肝臓専門医に紹介してください。そのうえで、最終的に治療が必要かどうかまで結論付け、治療が必要な場合には専門医のもとでの受療を促すことが重要です。目覚ましい進歩を遂げる抗ウイルス治療―ウイルス肝炎の治療はどのように変化していますか。近年、ウイルス肝炎の治療は劇的に変化しています。特にC型肝炎治療の進歩は目覚ましいものがあります。従来のC型肝炎治療はインターフェロン注射によるものが中心で、インターフェロン・リバビリン併用でウイルスを排除できる患者さんの割合は50%程度でした1)。また、インフルエンザ様症状やその他の副作用が多くの患者さんで出現し、治療対象の患者さんも限られていました1),2)。しかしここ数年、経口薬である直接作用型抗ウイルス剤(DAA)が複数登場し、その様相は変化しています。まず治療奏効率は格段に向上し、ほとんどの患者さんでウイルスが排除できるようになりました。そして従来ほど副作用が問題にならなくなり3)、患者さんにとって治療がしやすい環境になっています。治療対象が高齢の患者さんや肝疾患が進行した患者さんに広がったことも、大きな変化です。B型肝炎治療では、まだウイルスを完全に排除することはできないものの、抗ウイルス治療によってウイルスの増殖を抑え、肝疾患の進行のリスクを下げることができます。このように、現在は治療に進んだ後のステップにおける課題はクリアされてきています。そのため、日本のウイルス肝炎診療の課題は、やはり検査で陽性の患者さんを受診・受療に結び付けるまでのステップにあるといえるでしょう。術前検査などで陽性が判明した患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひ検査結果を患者さんに適切に伝え、受診・受療を促すと共に、近隣の肝臓専門医に紹介していただきたいと思います。日本肝臓学会のウイルス肝炎撲滅に向けた取り組み―日本肝臓学会では、ウイルス肝炎撲滅に向けてどのような取り組みを実施されていますか。日本肝臓学会では「肝がん撲滅運動」という活動を20年以上にわたって行ってきています。具体的には、肝炎や肝がん診療の最新情報を患者さんや一般市民の皆さまに知っていただくための公開講座を、毎年全国各地で開催しています。3年ほど前からは、肝炎医療コーディネーターを育成するための研修会も設けています。肝炎医療コーディネーターとは、看護師、保健師、行政職員など多くの職種で構成され、肝炎の理解浸透や受診・受療促進などの支援を担う人材です。また最近では、製薬企業のアッヴィ合同会社と共同で、「AbbVie Elimination Award」を設立しました。肝臓領域の臨床研究において優れた成果を上げた研究者を表彰する、研究助成事業です。「Elimination」は「排除」という意味で、一人でも多くの患者さんから肝炎ウイルスを排除したい、という意図が込められています。このように、日本肝臓学会ではウイルス肝炎撲滅に向けて、啓発活動や研究助成事業など、様々な活動に取り組んでいます。世界の先陣を切ってWHOが掲げる目標の達成を目指す―ウイルス肝炎の治療にあたる肝臓専門医の先生方に向けて、メッセージをお願いします。WHOはウイルス肝炎の撲滅に向けて「2030年までにウイルス肝炎の新規患者を90%減らし、ウイルス肝炎による死亡者を65%減らすこと」を目標に掲げています。COVID-19の流行によって、受診控えや入院の先送りなどの問題が発生し、この目標への到達は困難に感じられることもあるかもしれません。しかし、日本のウイルス肝炎診療には、国民の衛生観念がしっかりしている、肝臓専門医の数が潤沢である、行政的な施策が整備されている、など様々なアドバンテージがあります。世界の先陣を切ってWHOが掲げる目標を達成できるよう、今後も取り組んでいきましょう。肝炎ウイルス検査で陽性の患者さんは、肝臓専門医に紹介を―最後に、非専門の先生方に向けてメッセージをお願いします。従来のウイルス肝炎の治療は、副作用が問題になる、高齢の患者さんでは治療が難しい、といったイメージがあり、現在もそのように思われている先生がいらっしゃるかもしれません。患者さんも誤解している可能性があります。しかし、ウイルス肝炎の治療はここ数年で劇的に変化しています。肝炎ウイルス検査を実施して陽性が判明した場合は、患者さんにとって良い治療法があるかもしれない、と思っていただいて、ぜひ近隣の肝臓専門医に紹介してください。日本肝臓学会のHPに、肝臓専門医とその所属施設の一覧を都道府県別に掲載していますので、紹介先に迷われた際は、参考にしていただければと思います。1)竹原徹郎. 日本内科学会雑誌. 2017;106:1954-1960.2)日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会 編「 C型肝炎治療ガイドライン(第8版)」 2020年7月, P16.3)日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会 編「 C型肝炎治療ガイドライン(第8版)」 2020年7月, P57,63.

検索結果 合計:348件 表示位置:141 - 160