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コロナ罹患後症状、中年者に多い/厚労省アドバイザリーボード

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、6月1日に第86回の会議を開催し、その中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遷延症状に関する研究2題が報告された。中等症以上の患者を対象とした研究では、退院後12ヵ月後でも13.6%の対象者に何らかの罹患後症状が存在していた。 また、もう一方の長期合併症の実態把握と病態生理解明の研究では、12ヵ月後でも疲労感、呼吸困難、筋力低下、集中力低下などの症状が続いていた。退院後、12ヵ月後でも13.6%に何らかの罹患後症状 「COVID-19後遺障害に関する実態調査(中等症以上対象)」(研究代表:横山 彰仁氏[日本呼吸器学会/高知大学 教授])は、わが国の中等症以上のCOVID-19の、特に呼吸器関連における他覚・自覚症状の遷延(いわゆる後遺症)の実態とバイオマーカーなどの予測因子を検討するとともに心疾患の影響(潜在性/顕性心筋炎)についても検討したもの。【研究概要】対象:2020年9月~2021年9月にCOVID-19で入院した中等症以上の患者(20歳以上で同意が得られた者)調査施設:全国55施設(n=1,003例)方法:退院後3ヵ月後に受診し、医師の問診(罹患後症状)、アンケート(睡眠、不安・抑鬱、QOL)、肺機能検査、胸部CTを施行。罹患後症状が残る場合はさらに3ヵ月後に受診し、最長12ヵ月間フォロー。【研究の結果】・肺CT画像所見 3ヵ月の時点で画像所見は遷延することが多かったが、12ヵ月の時点で6.3%まで低下していた。胸部CT異常(主治医判定)がある群は無い群と比べて、呼吸困難や筋力低下の割合が多く、肺拡散能も低下していた。・肺機能 肺機能低下の遷延程度は重症度に依存、肺拡散能が障害されやすかった。・自覚症状 筋力低下、呼吸困難、倦怠感の順に多く、時間経過に伴って頻度は低下した。罹患後症状のうち、筋力低下と息苦しさは明確に重症度に依存していた。・心臓への影響(対象31例) 退院3ヵ月後に心臓MRIで評価したところ、42%で心障害を認め、26%で心筋炎の基準を満たした。また、左室心筋の短軸方向の収縮が有意に低下していた。・リスク因子についての検討 3ヵ月後の呼吸器系罹患後症状について、多変量解析で検討したところ、重症度と既存の呼吸器疾患が独立した因子であった。肺機能検査異常に関しては年齢、重症度、バイオマーカーであるセレクチンリガンドを有するKL-6(SLAK)が寄与していた。まとめ 退院後12ヵ月の時点で、何らかの罹患後症状は13.6%、肺機能検査異常は7.1%、胸部CT検査異常は6.3%で残存していた。中年者(41~64歳)には罹患後症状が多い傾向が明らかに 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究」(研究代表者:福永 興壱氏[慶應義塾大学呼吸器内科教授])では、わが国におけるCOVID-19の長期合併症の実態把握と病態生理の理解のために行われた。【研究概要】対象:2020年1月~2021年2月にCOVID-19 PCRもしくは抗原検査陽性で入院した18歳以上の患者調査施設:全国27施設(n=1,200)方法:関連する診療科の専門家の意見を統合した症状に対する問診項目を網羅的に作成し、研究対象から自覚症状について回答を得た。国際的に確立した各種質問票を用いた多面的かつ高精度の調査研究を実施。【研究の結果】・患者背景 男性679例、女性387例と男性が多く、年代は50代以上が多く、わが国のCOVID-19臨床を反映した背景となっていた。・重症度 軽症(無症状含む)が247例、中等症Iが412例、中等症IIが226例、重症が100例であり、軽症および中等症Iの患者を多く含んでいた。・遷延する症状の影響 1つ遷延症状が存在すると健康に関連したQOLは低下し、不安や抑うつ、COVID-19に対する恐怖、睡眠障害を自覚する傾向は強まった。・遷延症状の経時的経過 代表的な24症状(例:倦怠感、呼吸困難、筋力低下など)の多くは経時的に低下傾向を認めた。・遷延症状の12ヵ月後の経過 12ヵ月後に5%以上残存していた遷延症状は次の通り。疲労感・倦怠感(13%)、呼吸困難(9%)、筋力低下(8%)、集中力低下(8%)、睡眠障害(7%)、記憶障害(7%)、関節痛(6%)、筋肉痛(6%)、咳(5%)、痰(5%)、脱毛(5%)、頭痛(5%)、味覚障害(5%)、嗅覚障害(5%)。・年齢による特徴 中年者(41~64歳)は他の世代と比較して罹患後症状が多い傾向を認めた。個別の症状として、12ヵ月時点で咳、痰、関節痛、筋肉痛、筋力低下、眼科症状は高齢者に多く、感覚過敏、味覚障害、嗅覚障害、脱毛、頭痛は若年者に多く、罹患後症状の分布に世代間での差異を認めた。・性差による特徴 3ヵ月時点では女性で男性と比べて咳、倦怠感、脱毛、頭痛、集中力低下、睡眠障害、味覚障害、嗅覚障害などさまざまな症状が高頻度で認められた。一方、12ヵ月時点で咳、痰、関節痛、筋肉痛、皮疹、手足のしびれが男性で高頻度となり、全体の頻度としては性差が減少した。・重症度による特徴 入院中に酸素需要のあった重症度の高い患者は酸素需要のなかった患者と比べて3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月といずれの時点でも罹患後症状を有する頻度が高かった。全体での罹患後症状の有症状率は酸素需要有りが45.7% (6ヵ月)、36.1% (12ヵ月) 、酸素需要無しが37.7% (6ヵ月)、31.8%(12ヵ月)であった。重症度による頻度の差は10%未満であった。まとめ 1,000例を超える日本最大規模の罹患後症状に関する研究を実施、臨床の実情を反映したものとして有用性の高い基盤データを構築した。※本研究では、非感染者との比較は行っておらず、結果の解釈には注意が必要である。

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モデルナアームが発現しやすい人は?/自衛隊中央病院

 モデルナ社の新型コロナワクチン(mRNA-1273ワクチン、商品名:スパイクバックス筋注)接種により一時期話題となった「モデルナアーム」。このモデルナアームの原因が遅発性大型局所反応(DLLR:delayed large local reaction)*と言われるも詳細は不明であった。しかし、今回、自衛隊中央病院皮膚科の東野 俊英氏らはDLLRがIV型アレルギーを原因として生じるアレルギー性接触皮膚炎に類似している可能性があること、女性は男性より5.3倍も発症しやすいことなどを突き止めた。このようにモデルナアームの原因や発症しやすい対象者が特定できれば、今後、この副反応を回避する対応ができそうだ。本研究はJAMA Dermatology誌オンライン版2022年6月1日号に掲載されたほか、自衛隊中央病院のホームページでも報告している。*ワクチン接種後、7日程度経過した後に接種部位周囲が赤くなったり、腫れたり、硬くなったりする副反応。痛みやかゆみ、灼熱感などを伴うこともある。モデルナアームの原因と言われるDLLR発生率は男性より女性で優位に高い 本研究は、モデルナ社ワクチンmRNA-1273(以下、ワクチン)接種後の性別と年齢およびDLLRの感受性との関連を調べるため、5人の経験豊富な皮膚科医が、2021年5月24日~11月30日に2回目接種のために新型コロナワクチン接種会場へ出向いた1,273例(4〜6週間前に初回投与接種)を対象にインタビューを実施し、ワクチン初回投与後にDLLRの症状を経験したかどうかを評価した。 モデルナアームの原因と言われるDLLRの感受性と性別や年齢との関連を調べた主な結果は以下のとおり。・本横断研究の対象者5,893例のうち男性は3,318例(56.3%、年齢中央値55歳[IQR:38~68歳])、女性は2,575例(43.7%、年齢中央値50歳[IQR:34~67歳])だった。・インタビューによると、747例(12.7%)がワクチン初回投与後にDLLR症状を経験したが、症状は軽度であったため、ワクチン禁忌とはみなされなかった。・DLLRの発生率は、男性(5.1%[170例])よりも女性(22.4%[577例])で有意に高かった(OR:5.30、95%信頼区間[CI]:4.42~6.34)。・その発生率を年齢層別でみると、18〜29歳で9.0%(81例、参照値)、30〜39歳で14.3%(129例、OR:1.68、95%CI:1.25~2.26)、40〜49歳で15.8%(136例、 OR:1.89、95%CI:1.41~2.53)、50〜59歳で14.9%(104例、OR:1.76、95%CI:1.29~2.40)、60〜69歳で12.6%(182例、OR:1.45、95%CI:1.10~1.91)であり、30歳以上での発生率は30歳未満と比較して有意に高かった。一方で、70歳以上での発生率は10.5%(115例、OR:1.19、95%CI:0.88~1.56)と18~29歳の発生率と有意差が認められなかった。・年齢調整後の発症平均時間(±SD)は、男性のほうが女性よりも有意に早かった(6.97 ±1.26日vs. 7.32±1.44日、β=0.345日、95%CI:0.105~0.586、p=0.005)。・一方で、発症時間と性別調整後の年齢との間に関連はなかった(β=0.003日、95%CI:-0.003〜0.009日、p=0.30)。・年齢調整後の症状の平均期間(±SD)は、男性のほうが女性よりも有意に短かった(4.83±3.27日vs. 5.98±4.43日、β= 1.535日、95%CI:0.901〜2.169日、p

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2種のIL-17を直接阻害する乾癬治療薬「ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ/オートインジェクター」【下平博士のDIノート】第99回

2種のIL-17を直接阻害する乾癬治療薬「ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ/オートインジェクター」提供:ユーシービージャパン(2022年4月現在)今回は、ヒト化抗ヒトIL-17A/IL-17Fモノクローナル抗体製剤「ビメキズマブ(遺伝子組換え)(商品名:ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ/オートインジェクター、製造販売元:ユーシービージャパン)」を紹介します。本剤は、乾癬の症状の原因となる炎症性サイトカインIL-17AとIL-17Fを選択的かつ直接的に阻害することで、強力な炎症抑制効果が期待されています。<効能・効果>本剤は、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の適応で、2022年1月20日に承認され、同年4月20日から発売されています。なお、次のいずれかを満たす患者に投与されます。光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者。難治性の皮疹または膿疱を有する患者。<用法・用量>通常、成人にはビメキズマブ(遺伝子組換え)として、1回320mgを初回から16週までは4週間隔で皮下注射し、以降は8週間隔で皮下注射します。なお、患者の状態に応じて16週以降も4週間隔で皮下注射可能です。<安全性>臨床試験で報告された主な副作用は、口腔カンジダ症(13.2%)、鼻咽頭炎(5.1%)、毛包炎(1.7%)、上気道感染(1.5%)、中咽頭カンジダ症(1.2%)、咽頭炎・結膜炎(1.1%)などでした。また、重大な副作用として、重篤な感染症、好中球数減少(各0.5%)、炎症性腸疾患(0.1%未満)、重篤な過敏症反応(頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、乾癬の症状の原因となる炎症性物質の働きを抑えることで皮膚の炎症などの症状を改善します。2.薬の使用により感染症にかかりやすくなる場合があるので、発熱、寒気、体がだるいなどの症状が現れた場合には、医師にご連絡ください。3.この薬を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹・風疹混合/単独、水痘、おたふく風邪など)の接種はできないので、接種の必要がある場合には医師に相談してください。4.口腔内や舌の痛み、白い苔のようなものが付着する、味覚がおかしく感じるなどの症状が現れた場合には、医師にお申し出ください。5.感染症を防ぐため、日頃からうがいや手洗いを行い、規則正しい生活を心掛けてください。また、衣服は肌がこすれにくくゆったりとしたものを選びましょう。高温や長時間の入浴によりかゆみが増すことがあるので、温度はぬるめにして長い入浴はできるだけ避けましょう。<Shimo's eyes>乾癬の治療として、副腎皮質ステロイドあるいはビタミンD3誘導体の外用療法、光線療法、または内服のシクロスポリン、エトレチナートなどによる全身療法が行われています。近年では、多くの生物学的製剤が開発され、既存治療で効果不十分な場合や難治性の場合、痛みが激しくQOLが低下している場合などで広く使用されるようになりました。現在発売され乾癬に適応を持つ生物学的製剤は、本剤と同様にIL-17Aの作用を阻害するセクキヌマブ(商品名:コセンティクス)、イキセキズマブ(同:トルツ)およびブロダルマブ(ルミセフ)、IL-23阻害薬のグセルクマブ(トレムフィア)、リサンキズマブ(スキリージ)、ウステキヌマブ(ステラーラ)、チルドラキズマブ(イルミア)、TNF阻害薬のアダリムマブ(ヒュミラ)、インフリキシマブ(レミケード)およびセルトリズマブ ペゴル(シムジア)などがあります。本剤の特徴は、IL-17Aに加えてIL-17Fにも結合することです。乾癬の病態において、IL-17AとIL-17Fはそれぞれ独立して炎症を増幅すると考えられているため、両方を直接阻害することで、強力な炎症抑制効果が期待できます。また、16週以降の投与間隔は8週間隔、患者さんの状態に応じて16週以降も4週間隔を選択することができます。安全性に関しては、ほかの生物学的製剤と同様に、結核の既往歴や感染症に注意する必要があります。投与に際しての安全上の留意点については、日本皮膚科学会「乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2018年版)」「ビメキズマブ使用上の注意」等で参照できると思います。本剤には2種類の剤形(シリンジ、オートインジェクター)が存在しますが、2022年6月時点においては医療機関で投与が行われます。薬局では感染症や口腔カンジダ症の兆候がないか聞き取り、必要に応じて生活上のアドバイスを伝えるなど、治療中の患者さんをフォローしましょう。参考1)PMDA 添付文書 ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ/ビンゼレックス皮下注160mgオートインジェクター2)UCB Japan 医療関係者向けサイト

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英語で「軟膏」は?【1分★医療英語】第31回

第31回 英語で「軟膏」は?My skin rash really bothers me.(発疹に悩まされています)Apply this ointment to the affected area.(患部にこの軟膏を塗ってください)《例文1》How do I use the ophthalmic ointment?(眼軟膏はどのように使えばいいですか?)《例文2》This topical ointment is used for a skin infection.(この外用軟膏は皮膚感染症に使われます)《解説》“Topical agents”(外用薬)の中で、“cream” “lotion” “gel”は日本語でもカタカナでそのまま使われていますが、軟膏は“ointment”(オイントメント)と表現します。塗るという動詞は“apply”を使います。“ointment”には英語特有の破裂音である“t”が2回出てくるので、発音も練習してみてください。さらに、眼軟膏“ophthalmic ointment”となると、さらに発音難易度がアップします。「アフサルミック・オイントメント」と、破裂音の連発に加えて“th”や“l”が発音しにくく、しかもその“thal”の部分にアクセントが来ます。ただ、患者さんに対しては“eye ointment”と言えばよいのでご安心ください。「患部」は“affected area”、つまり「影響を受けた部位」と表現します。こちらもよく使う表現なので、覚えておくと役立ちます。講師紹介

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第115回 COVID-19入院患者の生存が関節リウマチ薬で改善

関節リウマチの治療でよく知られる免疫調節薬2つ・J&J社のTNF 阻害薬・インフリキシマブ(infliximab)やBristol Myers Squibb社のCTLA-4活性化薬・アバタセプト(abatacept)が米国国立衛生研究所(NIH)主催のプラセボ対照無作為化試験(ACTIV-1 IM試験)でどちらも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の死亡を減らしました1)。COVID-19患者の免疫系は炎症を誘発するタンパク質を悪くすると過剰に解き放ち、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、多臓器不全、その他の死に至りうる合併症を招くことがあります。ACTIV-1 IM試験はそういう過度の免疫を抑制しうる薬剤で中等~重度COVID-19入院成人の回復が改善するかどうかや死亡を減らせるかどうかを調べることを目的として実施されました。NIHの舵取りのもとでCOVID-19治療/ワクチンの開発促進を目指す産官学の提携(ACTIV) の一環として2020年10月に始まった2)ACTIV-1 IM試験の被験者はいつもの治療に加えて免疫調節薬幾つかの1つまたはプラセボを投与する群に割り振られました。ほとんどの被験者にはいつもの治療としてステロイド・デキサメタゾンやギリアド社の抗ウイルス薬・レムデシビル(remdesivir)が投与されました。デキサメタゾンはおよそ85%、レムデシビルは約90%の被験者に投与されています。退院を指標とする回復までの期間が主要転帰(プライマリーエンドポイント)で、両剤ともその改善傾向をもたらしたものの残念ながらプラセボとの差は有意ではありませんでした。しかしながらより深刻で究極の転帰・死亡率の低下を両剤のどちらももたらしました。インフリキシマブ投与群518人の死亡率は10%、プラセボ群519人の死亡率は約15%(14.5%)であり、同剤投与群の死亡率はプラセボ群より率にして約41%(40.5%)少なくて済んでいました。アバタセプトも同様で、その投与群509人の死亡率は11%、プラセボ群513人の死亡率は15%であり、同剤投与群の死亡率はプラセボ群に比べて率にして約37%(37.4%)少なくて済んでいました。もう1つの試験薬cenicriviroc(セニクリビロック)は残念ながら無効で、同剤投与群への被験者組み入れは去年9月に打ち切りとなっています。cenicrivirocはAbbVie社の開発段階のCCR2/CCR5阻害薬です。インフリキシマブやアバタセプトと同様にCOVID-19入院患者の死亡を減らすことが試験で示されているEli Lilly社の免疫調節薬・バリシチニブ(baricitinib)は重度以上のCOVID-19患者に使用すべき治療選択肢の一つとすることが世界保健機関(WHO)のガイドラインですでに強く推奨されています3)。レムデシビルやデキサメタゾンなどのいつもの治療に加えて投与することで死亡率のかなりの低下が見込めるインフリキシマブやアバタセプトもCOVID-19入院患者の治療選択肢に仲間入りしうるとACTIV-1 IM試験のリーダーWilliam Powderly氏は言っています1)。参考1)Immune modulator drugs improved survival for people hospitalized with COVID-19 / NIH2)NIH Begins Large Clinical Trial to Test Immune Modulators for Treatment of COVID-19 / NIH3)Agarwal A,et al.. BMJ. 2020 Sep 4;370:m3379

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コロナワクチン3回接種者は感染しても他人にうつしにくい!?

 新型コロナウイルスのブレークスルー感染が新型コロナの蔓延に大きく寄与する可能性があるかどうかについてのデータは限られている。そこで、韓国・ウルサン大学のJiwon Jung氏らは新型コロナワクチンの3回接種を終えた完全接種者(ブレークスルー感染群)と1~2回接種の部分的接種/未接種者(非ブレークスルー感染群)の新型コロナの他人へ感染を広げる(2次感染)割合やウイルス排出動態に関するコホート研究を実施した。その結果、 初期のゲノムウイルス量はワクチン接種者とワクチン未接種者の間で類似していたが、完全接種者のブレークスルー感染群では、部分的接種者/ワクチン未接種者よりも生存可能なウイルスの排出期間が短く、2次感染率が低いことが示された。JAMA Network Open誌2022年5月2日号掲載の報告。ブレークスルー感染群のほうが2次感染率は有意に少ない 本研究は 2次感染率に関する試験とウイルス排出動態試を実施するために、2020年3月1日~2021年11月6日の期間に入院または3次医療機関への受診で新型コロナと診断された医療従事者、入院患者、および介護者の疫学データを分析した。そのために新型コロナウイルスのゲノムRNAをPCRで測定し、2021年7月20日~8月20日に韓国・ソウル市にある施設で分離されたデルタ変異株に感染した新型コロナ軽症例の唾液サンプルのウイルス培養を毎日行った。  コロナワクチンの3回接種を終えたブレークスルー感染群と部分的接種/未接種者の新型コロナの他人へ感染を広げる割合やウイルス排出動態に関する研究を実施した主な結果は以下のとおり。・新型コロナ感染者173例(年齢中央値[IQR]:47歳 [32~59歳]、女性:100例[58%])が2次感染率の試験に含まれた。彼らに感染歴はなく、50例(29%)がブレークスルー感染だった。 ・院内での2次感染率は、ブレークスルー感染群のほうが非ブレークスルー感染群よりも有意に少なかった(43例中3例[7%]vs. 110例中29例[26%]、p=0.008)。・ウイルス排出動態試験では、デルタ変異体に感染した45例(年齢中央値:37歳[IQR:25~49歳]、女性14例[31%])が含まれ、そのうち6例(13%)は完全接種、 39例(87%)は部分的接種/未接種だった。・初期ゲノムウイルス量は2群間で同等だったものの、細胞培養での生存ウイルスは完全接種者(症状発症後4日間)のものと比較して、部分的接種者(同8日間)とワクチン未接種者(同10日間)のもので著しく長い期間検出された。 研究者らは「本研究データは、新型コロナワクチンでもブレークスルー感染の可能性があるにせよワクチン接種はウイルス蔓延を制御するのに非常に有用であるという重要な証拠を提供する」としている。

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第103回 「モデルナアーム」女性の発症率は男性の5.3倍/自衛隊中央病院

<先週の動き>1.「モデルナアーム」女性の発症率は男性の5.3倍/自衛隊中央病院2.コロナ後遺症、1年後も1~3割に何らかの症状/アドバイザリーボード3.宿日直許可未申請の病院は6割以上、1割は申請も許可下りず4.DPC病院、参加数・病床数ともに増加、感染症対策の要件新設5.進まぬ病床再編、積み立て基金2,779億円の執行率は約4割6.医療・福祉従事者増加、女性の労働力率も総じて上昇/2020年国勢調査7.コロナ感染拡大で特定健診、受診率が初めて減少/厚労省1.「モデルナアーム」女性の発症率は男性の5.3倍/自衛隊中央病院モデルナ製の新型コロナウイルスワクチン接種後に少し遅れて現れる腕の腫れや痛みについて、大規模調査により女性が男性よりも約5.3倍発症しやすいとわかった。また、30~60代では30歳未満の1~2倍発症しやすいという。自衛隊中央病院の東野 俊英皮膚科医長らの研究グループが2日発表した。論文はJAMAダーマトロジー誌オンライン版に掲載。同研究グループは2021年に開設された自衛隊東京大規模接種センターで、2回目の接種を受けた約5,900人を調査した。1回目の接種から6日目以降に、接種した部分に腫れや痛みなどがあったかを尋ねたところ、女性では約22%が、男性では約5%がモデルナアームを発症していた。接種を避ける必要があると思われる重い症状の報告はなかった。若い人のほうが発症しにくいという特徴はアレルギーの分類の一つ「IV型アレルギー」と似ており、発症メカニズムの解明や今後のワクチン開発につながる結果かもしれない。(参考)「モデルナアーム」の女性、男性の5倍 自衛隊調査(日経新聞)接種後に痛む「モデルナアーム」女性の発症率、男性の5.3倍と推計(毎日新聞)2.コロナ後遺症、1年後も1~3割に何らかの症状/アドバイザリーボード新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において、診断から1年後も倦怠感や呼吸困難、睡眠障害など何らかの症状が残ることがわかった。厚労省の2つの研究班による調査結果が1日、「アドバイザリーボード」の会合で報告された。なお、オミクロン型の変異ウイルス流行以前の調査で、最近の傾向とは異なる可能性がある。日本呼吸器学会などの研究グループは、2020年9月~21年9月に入院した中等症以上のCOVID-19患者約1,000人を調査。患者の14%が退院から1年後も何らかの症状を訴えており、睡眠障害が10%、筋力低下が9%、息苦しさが6%に残っていた。慶応大学のグループは、20年1月~21年2月に入院した軽症以上のCOVID-19患者1,000人余りを調べた結果、診断から1年後に患者の3割超が症状を訴えた。疲労感が13%、呼吸困難が9%、筋力低下や集中力低下が8%だった。後遺症は41~64歳で多かった。後遺症については東京都も、都立・公社病院が受け付けた直近の電話相談の分析結果を公表している。オミクロン株流行期の1~4月に陽性となった2,039例の症状では、咳が最多の38.6%、倦怠感が34.0%であり、デルタ株以前(昨年3~10月の電話相談)の3,857例における咳22.2%、倦怠感26.0%から大きく増加した。このほか、栃木県などもコロナ後遺症の実態調査に着手したことを明らかにしている。(参考)コロナ後遺症、1年後も患者の1割超に 厚労省研究班(日経新聞)オミクロン、せき・倦怠感増 新型コロナ、都が後遺症分析―専門医「長期化の傾向」(時事通信)栃木県がコロナ後遺症の実態調査 1000人抽出、693医療機関も(下野新聞)3.宿日直許可未申請の病院は6割以上、1割は申請も許可下りず厚労省は、3日に社会保障審議会医療部会をオンラインで開催した。2024年4月から医師の時間外労働時間の上限規制が導入されるため、厚労省が病院を対象に施行に向けた準備状況(院内の医師の労働時間の把握体制や特例水準の指定取得の意向等)についての調査結果について議論した。年960時間を超える医師がいる529病院のうち宿日直許可を得ているのは、168病院(32%)で、残りの病院の244病院(44%)は宿日直許可を申請予定であり、ほかには申請したが許可が得られなかったと回答した医療機関が40病院あった。現時点で厚労省が時間外・休日労働時間を把握できている病院が4割程度のため、今回の調査では病院の準備状況等、総合的な評価は困難であるとされたが、今後、全国の医療機関に対して業務改善に向けた取り組みが求められる。(参考)宿日直許可、6割の病院が未申請 約1割が申請後に取得できず(CB news)医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査 調査結果(厚労省)資料 労働基準法の宿日直許可のポイント(同)4.DPC病院、参加数・病床数ともに増加、感染症対策の要件新設1日、厚労省は中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、2022年度改定を踏まえたDPC/PDPSの現況を公開した。前回の改定以降、DPC病院として新たに14病院が参加、5病院が退出し、2022年4月1日時点では1,764病院となった。また、DPC準備病院は新たに30病院が参加し、同時点では259病院。DPC算定病床総数は約48万床と前年度より約2,000床増加した。またDPC病院の医療提供体制への取り組みを評価する機能評価係数IIの見直しが行われ、6つの係数(保険診療、効率性、複雑性、カバー率、救急医療、地域医療)を基本的評価軸としている。今回の改定では新型コロナウイルス感染症対策に係る要件を新設するなど一部の見直しが行われ、各医療機関の診療実績に対して報酬に反映される方向となっている。(参考)DPC対象1,764病院に、「14増5減」4月時点(CB news)2022年度機能評価係数II内訳、自院と他院との比較が重要だが、「コロナ特例」の影響にも留意を—中医協(2)(Gem Med)資料 令和4年度改定を踏まえたDPC/PDPSの現況(厚労省)5.進まぬ病床再編、積み立て基金2,779億円の執行率は約4割政府が2日、「行政事業レビュー」に提出した資料で、病床再編基金の執行が4割にすぎないことが明らかになった。厚労省が地域医療構想の実現に向け、自主的な病床削減や病院統合による病床廃止を支援する目的で2014~20年度に積み立てた累計2,779億円の病床再編基金のうち、執行されたのは1,221億円(43.9%)だった。都道府県でもばらつきがあり、最も執行率が高い熊本県は83.4%、最低の愛知県は12.0%だった。厚労省は「地域関係者との協議に時間がかかり、新型コロナウイルス対応で協議が困難な事例もあった」としている。(参考)病床再編基金、執行率4割 行政事業レビューで公表(日経新聞)新たな病床機能の再編支援について(厚労省)行政事業レビュー(政府の行政改革)6.医療・福祉従事者増加、女性の労働力率も総じて上昇/2020年国勢調査総務省は、2020年に実施された国勢調査の結果、労働力率は男性が72.4%、女性が54.2%と、2015年に比べて共に上昇しており、女性の労働力率はすべての年齢階級で上昇していることを明らかにした。また「医療、福祉」に従事する者の割合は+1.0ポイントと最も上昇しており、産業別の割合では「製造業」(15.9%)、「卸売業、小売業」(15.8%)、「医療、福祉」(13.5%)の順だった。今後も医療・介護ニーズの増加に伴い、医療機関や福祉介護施設での就業者増加が見込まれる。また、出産や育児のため、30代を中心に働く女性が減る「M字カーブ現象」の解消が進んでいる。35~39歳で働く女性の比率は78.2%と、5年前に比べて5.2ポイント上昇していた。(参考)「医療、福祉」従事者の割合が上昇 総務省が国勢調査の就業状態集計結果概要を公表(CB news)30代女性「M字カーブ」解消進む 2020年労働力率上昇(日経新聞)資料 令和2年国勢調査 就業状態等基本集計 結果の要約(総務省)7.特定健診の受診率、制度開始以来初めての減少/厚労省厚労省は、2020年度の特定健康診査・特定保健指導の実施状況を公表した。その結果、特定健康診査の対象者約5,420万人のうち実施率は53.4%(受診者約2,890万人)と、2019年度と比較して2.2ポイント低下したことが明らかとなった。また、2020年度の特定保健指導の対象者は約522万人だったが、終了した者は22.7%(約119万人)と、2019年度と比較して0.5ポイント低下した。一方、メタボリックシンドロームの該当者および予備群は推計947万人で、前年度から28万人増えた。新型コロナウイルスの感染拡大などにより受診を控えた影響や、コロナ下の自粛生活で運動不足になった可能性がみられる。(参考)メタボ健診、初めて受診率が下がる コロナ禍影響で20年度は53%(朝日新聞)メタボ健診の受診率初低下、受診者100万人減…巣ごもりで「予備軍」は増加(読売新聞)資料 特定健診・特定保健指導の実施状況について(2020年度)(厚労省)

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コロナ罹患後症状を大規模調査、成人の2割以上が発症/CDC

 米国疾病対策センター(CDC)が実施したコロナ罹患後症状(post-COVID、いわゆる後遺症)についての約200万人の大規模調査によると、急性肺塞栓症や呼吸器症状の発症リスクが2倍となり、18~64歳の5人に1人、65歳以上の4人に1人が、コロナ罹患後症状と考えられる症状を1つ以上発症しているという。研究結果は、CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年5月27日号に掲載されている。 本調査は、米国50州の18歳以上のCerner Real-World Dataに登録された電子健康記録(EHR)データを用いて、2020年3月~2021年11月の期間、過去にCOVID-19の診断を受けた、または検査で陽性となった群(症例群:35万3,164例)におけるコロナ罹患後によく見られる26の対象症状の発生率と、コロナ既往歴がない群(対照群:164万776例)における対象症状の発生率について、後ろ向きコホート研究で比較評価した。解析では、18~64歳(症例群:25万4,345例、対照群:105万1,588例)と65歳以上(症例群:9万8,819例、対照群:58万9,188例)に層別化した。 主な結果は以下のとおり。・全年齢層の症例群38.2%、対照群16.0%が、少なくとも1つの対象症状を経験した(18~64歳:症例群35.4%、対照群14.6%。65歳以上:症例群45.4%、対照群18.5%)。・症例群と対照群のリスク差は、18~64歳では20.8%ポイント、65歳以上では26.9%ポイントであった。・全年齢層で最も多い罹患状況は、呼吸器症状と筋骨格系疼痛だった。リスク比が最も高い対象症状は、急性肺塞栓症(18~64歳:2.1、65歳以上:2.2)、呼吸器症状(両年齢層:2.1)であった。・65歳以上では、26の対象症状すべてにおいて対照群より症例群が、リスク比が高かった。一方、18~64歳では、22の対象症状で対照群より症例群が、リスク比が高かった。・心不整脈のリスク比は、65歳以上(1.5)よりも、18~64歳(1.7)が有意に高かった。・筋骨格系疼痛のリスク比は、65歳以上(1.4)よりも、18~64歳(1.6)が有意に高かった。・65歳以上では、味覚・嗅覚障害などの神経学的症状や、気分障害、不安、物質関連障害などの精神症状のリスク比が、18~64歳と比べて有意に高かった。 本研究により、コロナ既感染者の成人では、18~64歳の5人に1人、65歳以上の4人に1人が、コロナの既往に起因すると考えられる症状を経験していることが示された。若年者に比べ高齢者のほうがリスクが高く、感染から1年後まで持続することが報告されている神経学的症状などは、脳卒中や神経認知障害のリスクがすでに高い高齢者に対して、追加支援などが必要になる可能性があるため、とくに懸念されるとしている。研究グループは、コロナ罹患後症状のリスク上昇に関連する病態生理学的メカニズムを理解するため、今後もさらなる調査が必要だとしている。

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RSウイルスによる死亡率、生後6ヵ月未満で高い/Lancet

 2019年に、5歳未満(生後0~60ヵ月)の小児における呼吸器合胞体(RS)ウイルス(RSV)への罹患とこれによる死亡の負担は、とくに生後6ヵ月未満の乳幼児および低~中所得国の小児において世界的に大きく、生後0~60ヵ月の小児では50件の死亡のうち1件が、28日~6ヵ月の乳幼児では28件の死亡のうち1件がRSVに起因しており、RSV関連の急性下気道感染症による院内死亡1件につき、市中では約3件のRSV関連死が発生していると推定されることが、英国・エディンバラ大学のYou Li氏らが実施したRESCEU研究で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年5月28日号に掲載された。最新データを加え、系統的な解析で罹患率と死亡率を更新 研究グループは、生後0~60ヵ月の小児におけるRSV関連の急性下気道感染症の罹患率と死亡率を、2019年の時点での世界、地域、国のレベルで更新することを目的に、最新のデータを加えて系統的に解析を行った(欧州連合革新的医薬品イニシアチブの欧州RSウイルスコンソーシアム[RESCEU]による助成を受けた)。 医学データベース(MEDLINE、Embase、Global Health、CINAHL、Web of Science、LILACS、OpenGrey、CNKI、Wanfang、ChongqingVIP)を用いて、2017年1月1日~2020年12月31日に発表された論文をあらためて検索して新たなデータを収集し、これまでの世界的なRSV疾病負担のデータセットを拡張した。また、このデータセットには、Respiratory Virus Global Epidemiology Network(RSV GEN)の共同研究者による未発表データも含まれた。 対象は、次の3つのデータを報告している研究とした。(1)1次感染としてRSVによる市中の急性下気道感染症または入院を要する急性下気道感染症に罹患した生後0~60ヵ月の小児のデータ、(2)院内の症例死亡率(CFR)を除き少なくとも連続12ヵ月間のデータ、またはRSVの季節性が明確に定義されている地域(温暖な地域など)のデータ、(3)急性下気道感染症の発生率、入院率、急性下気道感染症による入院者におけるRSV陽性割合、または院内CFRのデータ。 リスク因子に基づくモデルを用いて、国レベルでのRSV関連の急性下気道感染症の罹患率が推定された。また、RSVによる総死亡数を推定するために、RSVによる市中死亡率の最新データを組み込んだ新たなモデルが開発された。新データ164件を加えた解析、院内死亡の97%以上が低~中所得国 以前のレビューに含まれた317件の研究に、新たに適格基準を満たした113件と未発表51件の研究の164件を加えた合計481件のデータが解析に含まれた。 RSV関連の急性下気道感染症の罹患率が最も高い年齢は、低所得国~低中所得国が生後0~3ヵ月であったのに対し、高中所得国~高所得国は生後3~6ヵ月であった。 2019年の生後0~60ヵ月の小児における世界的な推定値として、RSV関連の急性下気道感染症のエピソードが3,300万件(不確実性範囲[UR]:2,540万~4,460万)、RSV関連の急性下気道感染症による入院が360万件(290万~460万)、RSV関連の急性下気道感染症による院内死亡が2万6,300件(1万5,100~4万9,100)、RSVに起因する全死亡は10万1,400件(8万4,500~12万5,200)との結果が得られた。 生後0~6ヵ月の乳幼児では、RSV関連の急性下気道感染症エピソードが660万件(UR:460万~970万)、RSV関連の急性下気道感染症による入院が140万件(100万~200万)、RSV関連の急性下気道感染症による院内死亡が1万3,300件(6,800~2万8,100)、RSVに起因する全死亡は4万5,700件(3万8,400~5万5,900)と推定された。 生後0~60ヵ月の小児の死亡の2.0%(UR:1.6~2.4)(50件に1件)、生後28日~6ヵ月の乳幼児の死亡の3.6%(3.0~4.4)(28件に1件)が、RSVに起因していた。また、いずれの年齢層の小児における、RSV関連の急性下気道感染症エピソードの95%以上、およびRSVに起因する院内死亡の97%以上が、低~中所得国で発生していた。 著者は、「RSVによる院内死亡と全死亡の推定値に基づくと、生後0~60ヵ月の小児のRSV関連の院内死亡率は26%にすぎず、したがって、RSV関連の急性下気道感染症による院内死亡1件につき、市中では3件の死亡が発生していると推定される」とし、「多くのRSV予防薬の開発が予定されている現状において、これらの年齢層を絞った推定値は、製品の導入、優先順位の決定、評価に重要な基本的情報をもたらす。生後6ヵ月未満の乳幼児にRSV予防薬を投与すると、RSV負担の頂値が、より高い年齢に移行する可能性があるが、この意味を理解するにはさらなるエビデンスが必要とされる」と指摘している。

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062)脱マスクから思い起こされたデジャブ【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第62回 脱マスクから思い起こされたデジャブゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆マスク着用基準の緩和が話題となっている今日この頃、テレビの報道番組などでもマスクに関する巷のさまざまな意見を耳にするようになりました。私個人としては、コロナ以外も含めた感染症対策という観点から、院内では今後もマスク着用で過ごすつもりです。私生活はというと、外出の際もなるべく着けるようにしていますが、ランニングなどは外して行うようになりました。蒸れによる息苦しさ、接触部位の痒みから解放され、快適なランニング生活を送っています。それはさておき、脱マスクの話題に戻ります!先日、お昼のワイドショーで、「脱マスクに賛成か反対か」という特集が放送されていました。反対派の意見として、「マスクをしているとかわいく見える(から外したくない)」「マスクを外して出会うと(素顔を覚えられておらず)誰かわからない」などがありました。専門家の見解によれば、『マスクをしていると、隠された部分を脳が補うことで、素顔よりも美しく見える効果が生まれる』のだとか。それを聞いて思い出したのが病院にありがちな、とある現象。――オペ室スタッフは美男美女が多い!?「オペ室のナースはかわいい子が多い!」というのが私の時代の研修医共通の認識でしたが、これもまさかマスク効果が一役買っていた可能性…??実際、女子力が高くて可愛い女子が多かったというのが当時の記憶ですが、「マスクを外したことで、『誰だっけ??』となる」という街の意見には、激しく同意しました! オペ室忘年会で起こりがちなやつ…!(ほとんど行ったことないけど…! 笑)脱マスクの話題で思いがけず、オペ室に出入りしていた頃の記憶がよみがえったのでした。マスクとのお付き合い、世間的には今後どうなっていくのでしょうね。肌トラブルによる皮膚科の受診も増えたので、少しでもマスクでお悩みの方々の肌コンディションが整うとよいな~と願っています。それでは、また~!

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第111回 患者に聞かれたら、何をもって新型コロナ収束と答える?

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の全国での新規陽性者報告は、ゴールデン・ウイーク直後にごく一時的に増加局面に入ったものの、今週前半には2万人台前半まで減少してきた。この数字は今年1月7日に新型インフルエンザ等特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置(まん防)」が導入された直後の水準である。背景には2月中旬~3月中旬にかけて新型コロナワクチンの3回目接種が加速し、現在では全人口の約6割が3回接種を完了済みであること、まん防の発出から5月末までに延べ約677万人が感染したという幸と不幸の両面から「集団免疫」を確立した結果と見るのが妥当だろう。そして、最近では日本政府による外国人の入国制限緩和措置や諸外国での同様の措置により、国内外をまたぐ人流も増加しつつある。6月から観光ビザ発給を再開した東京都港区の韓国大使館領事部前には初日の開館前に1,000人を超える申請者が行列を作ったという。そんな最中、周囲からは「これで新型コロナのパンデミックは収束するのか?」とよく聞かれるようになった。正直、これは非常に答えにくい。医療従事者の皆さんは同じ質問にどう答えるのだろうか? 私自身は「今年いっぱいはまだ警戒する必要があるのではないか」と答えるようにしている。理由は極めて単純である。まず、現在の感染状況の鎮静化に一定の効果があっただろうとされるのが新型コロナワクチンの3回目接種である。すでに各種研究で報告されているように、オミクロン株に対するワクチン3回接種直後の発症予防の有効率は60~70%台。そしてこの効果は一部研究では約5ヵ月でほとんどなくなると言われている。さらに高齢者や基礎疾患保有者を対象に始まった4回目の追加接種の有効率は、発症予防で55%、重症化予防で62%との報告があり、当然ながらこの有効率も経時的に減衰していく。これらの報告から推察するに、3回目接種の実施件数のピークが今年3月であったから、その効果がほぼなくなるのは8月くらいだろう。また、4回目接種については、高齢者などの3回目接種のピークが2~3月、4回目接種の適応がそこから5ヵ月以上となるため、4回目接種件数のピークは7~8月ぐらいになるだろう。4回目接種後の抗体価の変化が、2回目や3回目と同様に半年程度で低下すると仮定した場合、そのタイミングは年末年始あたりとなる。このように考えると、今後の判断の山は今秋から年末にかけてだろう。この時点で医療ひっ迫や社会経済状況に大きな影響を与える感染動向にならなければひとまずは収束へ向けた大きな壁を一つ越えたと言える。もっとも最終的な感染の収束、すなわち社会に過度な負荷がなく新型コロナウイルスと共存できる状況と考えると、もう少し先になるだろう。それを決定付けるのは重症化リスクの有無にかかわらず使える汎用治療薬とより効果持続期間の長いワクチンの登場である。あとはこの間に厄介な新規変異株が登場しないことを願うのみである。

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コロナ感染率、ワクチン2回接種vs.感染後1回接種/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染歴がある人では、ワクチン接種の有無や感染前後での接種にかかわらず、再感染予防効果は最後の免疫獲得イベントからの経過時間が長くなるほど低下したが、この予防効果は、未感染でワクチンを2回接種し同じ時間が経過した場合での予防効果より高く、感染後のワクチン1回接種は再感染予防効果を増強することが、イスラエル・テクニオン-イスラエル工科大学のYair Goldberg氏らの研究で示された。SARS-CoV-2感染は、再感染に対する自然免疫を獲得することが知られる。最近の研究では、BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)による免疫効果の減衰が示されたが、自然免疫ならびに感染後のワクチン接種で得られるハイブリッド免疫の減衰に関しては不明であった。NEJM誌オンライン版2022年5月25日号掲載の報告。570万人以上を対象に、最後の免疫獲得イベントからの経過時間に分けて感染率を比較 研究グループは、イスラエル保健省の全国データベースを用い、B.1.617.2(デルタ)変異株が優勢であった2021年8月1日~9月30日のデータを抽出し、2021年7月1日以前にSARS-CoV-2感染陽性となった16歳以上の人、または研究期間終了の7日前までにBNT162b2ワクチンを2回以上接種した人を対象として、研究期間中の感染について調査した。SARS-CoV-2感染から回復後にBNT162b2ワクチンを2回以上接種した人や、BNT162b2ワクチンを2回以上接種した後にSARS-CoV-2感染から回復した人は解析から除外した。 解析対象を免疫獲得イベント(感染またはワクチン接種)歴によって、(1)ワクチン未接種回復群、(2)2回接種群(未感染で、研究期間終了7日前までに2回目接種を完了)、(3)3回接種群(未感染で、研究期間終了12日前までに3回目接種を完了)、(4)回復後1回接種群(COVID-19から回復後、研究期間終了7日前までに1回目接種)、(5)1回接種後回復群(1回目接種後、研究期間の90日以上前に感染が確認された人)の5つのコホートに分け、さらに各コホートを最後の免疫獲得イベントからの経過時間によってサブコホートに分け、交絡因子を調整したポアソン回帰を用い最後の免疫獲得イベントからの時間の関数として感染率を比較した。 解析対象は、5つのコホート全体で572万4,810人であった。免疫獲得イベントから6~8ヵ月未満での感染率は、回復後1回接種群が最も低い SARS-CoV-2感染者数/10万人日(補正後率)は、3回接種群を除くすべてのコホートで経時的に増加した(3回接種群はサブコホートが1群のみ)。 すなわち、(1)ワクチン未接種回復群では、感染からの期間4~6ヵ月未満の10.5から、1年以上では30.2に増加し、(4)回復後1回接種群では、接種後0~2ヵ月未満の3.7(すべてのサブコホートで最も低値)から、接種後6~8ヵ月未満では11.6に増加した。 一方、(2)2回接種群では、この補正後率は接種後0~2ヵ月未満の21.1から、接種後6~8ヵ月未満では88.9まで増加した。

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第111回 「超過死亡数」異常増加の謎と、「緊急事態宣言」規定する憲法改正提言

今年2~3月の対前年比の超過死亡数が異常に増加している。原因はわからない。一方、日本医師会(日医)の横倉 義武名誉会長が共同代表を務める会議体は4月、「緊急事態宣言」を憲法に規定するよう提言した。医療にも関わる2つのトピックについて考えてみたい。コロナ関連死・自殺者除いても1ヵ月約1万人の超過死亡数厚生労働省の人口動態統計によると、2021年の年間死亡数は前年より約6万人多かった。しかし、今年は昨年よりもさらに早いピッチで死者数が増加している。同統計速報によると、今年2月は昨年2月と比べて1万9,490人多い。3月も、昨年3月より1万5,992人多かった。3月といえば、2011年の東日本大震災では12都道府県で計1万8,423人の死者・行方不明者が出たが、今年2月はその大惨事を上回る死者数が出ていた。高齢化で年間2万人ほど亡くなる人が増えているが、2月と3月のたった2ヵ月間で、昨年を3万人以上超える超過死亡数が出ているのは異常事態と言えないだろうか。コロナ禍の影響で自殺者やコロナ関連死が増えているせいだろうか。警察庁の自殺統計によると、今年3月の自殺者は1,952人。厚生労働省によると、コロナ陽性者の死亡者数は4,464人。2つの数字を3月の超過死亡数から引いても、なお9,576人という数字が出てくる。この異常事態の原因は何なのか、医療従事者の方々にも究明していただきたい。「緊急事態宣言」から「緊急事態条項」へ飛躍するリスク国民に評判の悪かった「緊急事態宣言」を憲法に規定しようという動きが、日医の有力者から出ている。岸田 文雄首相は憲法記念日の5月3日、憲法改正派が都内で開いた集会に寄せたビデオメッセージで、9条への自衛隊明記や緊急事態条項新設を盛り込んだ党改憲案に関し、「いずれもきわめて現代的な課題だ。早期の実現が求められる」と述べ、緊急事態条項については「きわめて重要な課題だ。真剣に議論を深めなければならない」と訴えた。これに先立つ4月26日、日医の横倉 義武名誉会長が共同代表を務める会議体「ニューレジリエンスフォーラム」が国会内で会合を開き、感染症の蔓延や大規模災害の際の「緊急事態宣言」を憲法に規定するよう、提言書を各党政調会長らに渡した。これに対し、自民党の高市 早苗政調会長は「憲法に緊急事態条項を設けてさまざまな事態に対応できる形をつくりたい」と述べた。憲法に「緊急事態宣言」を規定しなくても、災害の時は災害対策基本法、警察法、自衛隊法、テロ発生時には国民保護法、事態対処法、内乱・戦争発生時には自衛隊法、国民保護法、感染症が蔓延した時には新型インフルエンザ対策特別処置法、感染症法、検疫法で対処できる。また、「緊急事態条項」に関しては、国会の事前同意が必要ない、基本的人権が制限されるなど、国民が公権力に従わざるを得ない状況になる。日医の重要人物が関わる会議体として、憲法に「緊急事態宣言」の規定を政府に促すにあたり、その点も踏まえた慎重な議論が行われたのだろうか。

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4回目のコロナワクチン、感染予防の持続期間は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の4回接種は、3回接種と比較して新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染予防とCOVID-19重症化予防の両方の有効性が認められたが、感染予防効果は比較的早期に減弱することが示唆された。イスラエル・Maccabi Healthcare ServicesのSivan Gazit氏らが、後ろ向き診断陰性デザインによる症例対照研究の結果を報告した。BMJ誌2022年5月24日号掲載の報告。約9万7,500例の10週間のデータを解析、4回目接種者vs.マッチング3回接種者 研究グループは、イスラエルの健康保険組織Maccabi Healthcare Services(MHS、250万人が加入)のデータベースを用い、同国でオミクロン株が優勢であった2022年1月10日(初めて4回目接種が行われた日の7日後)から2022年3月13日までのデータを解析した。 解析対象は、SARS-CoV-2感染歴がなく2022年1月3日から4回目接種を受ける資格を有していた(すなわち、3回目接種から4ヵ月以上経過)60歳以上のMHS会員で、追跡期間中に少なくとも1回のPCR検査を受けた9万7,499例であった。COVID-19の既往歴を完全に把握できない可能性のある2020年3月以降にMHSに加入した人は除外された。 主要評価項目は、SARS-CoV-2感染(BNT162b2ワクチン4回目接種後7日以上経過した時点でのPCR検査陽性)、および重症COVID-19(COVID-19関連の入院または死亡)とした。 追跡期間中のPCR検査において、最初の陽性判定(または重症度分析ではCOVID-19に関連した最初の入院または死亡)で症例、陰性判定のみを対照とし、性別、年齢(70歳未満、70歳以上)、居住地、社会経済状態、最初に検査を受けた週、3回目接種月、生活環境(医療介護施設、介護付き住宅、個人宅)の7因子に基づき、1症例に対して最大5例の対照をマッチングさせた。条件付きロジスティック回帰モデルを用い、4回目未接種(3回接種)に対する4回接種の相対的なワクチンの有効率を、接種後の各週で(1-オッズ比)×100(%)として算出した。感染予防効果は3週目が65%でピーク、重症化予防効果は72%以上を維持 解析対象の9万7,499例のうち、追跡期間中に4回目接種を受けたのは2万7,876例、3回接種が6万9,623例であった。 4回目接種後最初の3週間は、3回接種と比較してSARS-CoV-2感染およびCOVID-19重症化の両方に対して有効性が認められたが、感染予防効果は時間とともに低下した。すなわち、SARS-CoV-2感染に対する4回接種の相対的な有効率は、接種後3週目(14~20日)に65.1%(95%信頼区間[CI]:63.0~67.1)でピークに達した後、以降は急速に低下し、接種後10週目(63~69日)には22.0%(95%CI:4.9~36.1)となった。 一方、重症COVID-19に対する4回接種の相対的な有効率は、追跡期間を通じて高率に維持された(接種後7~27日で77.5%、28~48日で72.8%、49~69日で86.5%)。ただし、重症化は比較的まれな事象で、追跡期間中のCOVID-19関連入院・死亡の発生は全体でもわずか572例(0.25%)であった。COVID-19による死亡は106例で、このうち77例は3回接種のみ、23例は3回接種後の最初の3週間に4回目接種を受けていた。

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オミクロン含む2価ワクチン、秋までに国内提供予定/モデルナ

 2022年5月27日、モデルナ・ジャパンはメディアセミナー「mRNAワクチンの革新と使命~最新エビデンスとパイプラインから~」を開催した。 セミナーでは、モデルナ チーフメディカル・オフィサー(CMO、最高医療責任者)ポール・バートン氏が、開発中の2価ワクチンや今後のmRNAワクチンの展望について説明した。(写真)モデルナ・ジャパン提供さらなる変異に備えて~COVID-19用2価ワクチンの役割~ SARS-CoV-2が急速に変化し新しい変異株が出現するなか、ワクチンの感染予防効果が経時的に減弱することを踏まえると、定期的なワクチン追加接種による効果の回復が望まれる。バートン氏は、モデルナの既存ワクチン・スパイクバックスの4回目接種による予防効果を示したうえで、より広い免疫を確保できる可能性があるワクチンとして、開発中の2価ワクチンを紹介した。 2価ワクチン候補の1つである、武漢株とβ株に対する有効成分を組み合わせた「mRNA-1273.211」は、第II/III相試験において追加接種用スパイクバックスと同等の安全性と免疫原性が確認された。さらに追加接種1ヵ月のデータにおいては、オミクロン株とデルタ株を含むすべての検討した変異株に対する優位性が示された。 また、第III相および第II/III相試験中の「mRNA-1273.214」は武漢株とオミクロン株に関する有効成分を組み合わせたワクチンであり、オミクロン株に対応でき従来よりも高いレベルで長い効果が期待できるとして、最有力に位置づけられている追加接種用2価ワクチン候補である。「mRNA-1273.214」については数週間以内にデータを公表のうえ、緊急承認制度などを活用し、今年秋までの国内提供を目指すという。潜在性ウイルスに対するmRNAワクチンの可能性 続いて、COVID-19ワクチン以外の開発中のワクチンとして、サイトメガロウイルス(CMV)やプロピオン酸血症(PA)といった潜在性ウイルスに対するワクチンの開発状況が説明された。中でもCMVは従来のワクチン開発技術では対応が難しいウイルスであったが、モデルナが開発するCMVワクチン候補mRNA-1647は6つのmRNAを組み合わせることで、第II相試験で免疫原性に関して良好な結果が得られ、現在第III相試験に進んでいる。mRNA技術のリーダーとして、情報提供や「日本発信型」の活動を このような独自のmRNAプラットフォームをもつ同社だが、まだ十分に普及していないmRNA技術のリーダーとして、適切なコミュニケーションも求められている。登壇者であるモデルナ・ジャパン 代表取締役社長の鈴木 蘭美氏は、mRNAのもつ機能や力をわかりやすく理解してもらえるような対談の機会や動画を用いた情報発信を検討していると述べた。また鈴木社長は今後の展望として、モデルナのmRNAプラットフォームを活用したパートナーシップにより、日本のさまざまな研究の成果を世界に広げる「日本発信型」の活動を行っていきたいと語った。同社はパンデミック時のスピーディーなワクチン提供を可能とすべく、日本での製造拠点設立の協議も進めているという。

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オミクロン株優勢下、小児~青少年でも追加接種が必要か/JAMA

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株が優勢な時期に、年齢5~15歳の小児・青少年では、BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の2回接種後の推定有効率は高くなく(約60%)、その後2ヵ月後までに急速な低下が認められたが、12~15歳では3回目の追加接種により上昇に転じたことが、米国・疾病予防管理センター(CDC)のKatherine E. Fleming-Dutra氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年5月13日号で報告された。米国の検査陰性デザインの症例対照研究 研究グループは、オミクロン変異株優勢期の小児および青少年における症候性SARS-CoV-2感染症とBNT162b2ワクチン接種との関連を評価し、当ワクチンの有効率を推定する目的で、検査陰性者を対照とする症例対照研究を行った(米国・CDCの助成を受けた)。 解析には、Increasing Community Access to Testing(ICATT)プラットホームのデータが用いられた。ICATTは米国保健福祉省(HHS)のプログラムで、ドライブスルー形式のSARS-CoV-2検査を全国的に展開する4つの商業的な薬局チェーンが参加しており、今回は、このうち1つのチェーンのデータについて解析が行われた。 対象は、2021年12月26日~2022年2月21日の期間に、SARS-CoV-2の核酸増幅検査(NAAT)を受けた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)様疾患を呈する小児(5~11歳)および青少年(12~15歳)であった。6,897ヵ所の検査所(ノースダコタ州を除く49州とワシントンDC、プエルトリコ)で行われた12万1,952件(5~11歳:7万4,208件、12~15歳:4万7,744件)の検査が解析に含まれた。 5~11歳では、SARS-CoV-2検査の2週間以上前にBNT162b2ワクチンの2回目接種を受けた集団と未接種の集団、12~15歳(追加接種が推奨された)では、検査の2週間以上前に2回または3回の接種を受けた集団と未接種の集団の比較が行われた。 主要アウトカムは症候性SARS-CoV-2感染症(COVID-19様疾患を呈し、NAATでSARS-CoV-2陽性の場合と定義)とされた。ワクチン接種と症候性SARS-CoV-2感染症の関連の補正後オッズ比(OR)を用いて、推定ワクチン有効率([1-OR]×100%)が算出された。5~11歳で追加接種が必要となる可能性も 年齢5~11歳の7万4,208件のSARS-CoV-2検査のうち、3万999件が陽性(症例)で、4万3,209件は陰性(対照)であった。また、12~15歳の4万7,744件の検査では、2万2,273件が陽性(症例)、2万5,471件は陰性(対照)だった。全体では、症例が5万3,272人(43.7%)、対照は6万8,680人(56.3%)であった。 全体で、検査を受けた集団の年齢中央値は10歳(IQR:7~13)、6万1,189人(50.2%)が女児で、7万5,758人(70.1%)は白人、2万9,034人(25.7%)はヒスパニック系/中南米系であった。5~11歳の7万4,208件の検査のうち、5万8,430件(78.7%)はワクチン未接種者のもので、1万5,778件(21.3%)は2回接種者であった。12~15歳の4万7,744件では、それぞれ2万4,767件(51.9%)および2万2,072件(46.2%)で、残りの905件(1.9%)は3回目の追加接種を受けていた。 2回目接種後2~4週の時点において、5~11歳では、補正後ORが0.40(95%信頼区間[CI]:0.35~0.45)で、推定有効率は60.1%(95%CI:54.7~64.8)であり、12~15歳では、補正ORが0.40(95%CI:0.29~0.56)、推定有効率は59.5%(95%CI:44.3~70.6)と、有効率は高い値ではなかった。 また、2回目接種後2ヵ月の時点では、5~11歳の補正後ORは0.71(95%CI:0.67~0.76)、推定有効率は28.9%(95%CI:24.5~33.1)で、12~15歳はそれぞれ0.83(95% CI:0.76~0.92)および16.6%(95%CI:8.1~24.3)であり、いずれの年齢層でも有効率は急速に低下していた。 2回目接種後1ヵ月までは、5~11歳と12~15歳で推定有効率に有意差はなかったが、2ヵ月後には5~11歳が12~15歳よりも推定有効率が高かった(0ヵ月後p=0.99、1ヵ月後p=0.40、2ヵ月後p=0.01、0~2ヵ月後p=0.06)。 12~15歳のうち追加接種を受けた集団では、3回目接種後2~6.5週の補正後ORは0.29(95%CI:0.24~0.35)、推定有効率は71.1%(95%CI:65.5~75.7)であり、推定有効率の上昇が認められた。 著者は、「これらの知見は、オミクロン変異株が優勢な時期に成人で観察されたパターンと類似する」とし、「成人におけるmRNAワクチン2回接種後や追加接種後の有効率の漸減パターンを考慮すると、12~15歳では追加接種による感染防御の期間の監視が重要であり、5~11歳でも、オミクロン変異株に対する感染防御効果を最適化するために、追加接種が必要となる可能性がある」と指摘している。

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第114回 英国のサル痘患者7人の経過や抗ウイルス薬の効果の兆候

サル痘は動物を出どころとするヒト感染症で、天然痘ウイルスと同じ類のオルソポックスウイルスの一種によって生じます。1970年に中央アフリカで初めて見つかり、世界で最も貧しく、見放された地域でこれまで流行していました1)。しかしここにきていまや高所得国を含む少なくとも20ヵ国でいつにないサル痘感染の増加が認められています2)。サル痘の症状は発熱・発疹・リンパ節の腫れを特徴とし、悪くすると間質性肺炎・脳炎・視力を損ないうる角膜炎・細菌二次感染などを合併する恐れがあります。サル痘による死亡率は症例の見立ての偏りの影響が大きく、報告によってかなり異なります。より強毒らしい一派のウイルスが広まるコンゴ盆地でのサル痘死亡率はおよそ1~10%と報告されています3,4)。一方、ナイジェリアで最近流行した西アフリカのウイルス一派の死亡率はおおむね低くておよそ3%未満です4,5)。これまでのサル痘での死亡例のほとんどは幼い子やHIV感染者です。サル痘のヒトからヒトへの感染はよく知られていますが、どう広がっていくかはよく分かっていません。これまでの報告一揃いによると感染者と接触した家族への伝播率はおよそ8%です。サル痘ウイルス血症や皮膚からのウイルス排出の流行に寄与する臨床的な意義はいまだ不確かです。英国では2018年以降に4人が旅行絡みのサル痘に感染し、それら4人から3人への感染の伝播が認められています1)。感染が伝播した3人のうち1人は医療従事者で、院内でサル痘ウイルスに感染しました。他の2人は感染者の子供と母親です。二次感染も含むのべ7人のそれら英国感染者のうち最初の3人には抗ウイルス薬・brincidofovir(ブリンシドフォビル)、別の1人(母親)にはSIGA Technologies社の抗ウイルス薬tecovirimat(テコビリマット;製品名 TPOXX)が経口投与されました。brincidofovirはどうやら肝毒性があり、投与された3人全員が肝酵素上昇によりその投与を中止しています。一方、合併症予防と入院期間の短縮を目指してtecovirimatが2週間投与された1人は有害事象を被ることなく他の6人に比べて早く退院できました。またウイルス排出期間も短くて済んでいました。7人のうち1人は退院から6週後に軽い再発を経験しています。上気道からのウイルス排出は皮膚病変解消後も長く続きうるらしく、3人の患者の上気道のサル痘ウイルスDNA検出は少なくとも3週間認められています。5人はウイルス検出(PCR検査陽性)が長く続いたため隔離を3週間超(最長39日間)続けました。他のヒトへの感染の伝播しやすさのデータは不十分で今後調べる必要があります。また、サル痘への抗ウイルス薬投与の試験が急務です2)。サル痘がまん延する中央アフリカ共和国ではすでにtecovirimatの試験が進行中です6)。その試験ではサル痘入院患者に同剤を広く提供し、将来の同剤使用や臨床開発に役立つ効果や安全性の情報を揃えることを目指しています。SIGA社は同試験でのtecovirimat一通り投与最大500回分を無償で提供することを去年7月に約束しています7)。その取り組みが功を奏し、やがては同剤が最も必要とされる人に使われて重宝されるようになることを中央アフリカ共和国の試験代表者Emmanuel Nakoune氏等は望んでいます8)。参考1)Adler H,et al. Lancet Infect Dis. 2022 May 24:S1473-3099.00228-6. [Epub ahead of print]2)Disease experts call on WHO, governments for more action on monkeypox / Reuters3)Jezek Z,et al. Bull World Health Organ. 1988; 66: 459-464.4)Beer EM, Rao VB. PLoS Negl Trop Dis. 2019; 13.e0007791. 5)Yinka-Ogunleye A,et al. Lancet Infect Dis. 2019; 19: 872-879. 6)Expanded access protocol for the use of tecovirimat for the treatment of monkeypox infection. ISRCTN433079477)SIGA Announces Collaboration with Oxford University to Support Expanded Access Protocol for Use of TPOXX? (Tecovirimat) To Treat Monkeypox in Central African Republic / GlobeNewswire8)Nakoune E, Olliaro P. BMJ. 2022 May 25;377:o1321.

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ワクチンはlong COVIDに有効か/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)におけるlong COVID(罹患後症状、いわゆる後遺症)の発現は、COVID-19ワクチンの登場以降に減少し、2回目の接種後は少なくとも約2ヵ月にわたり持続的な改善が得られることが、英国・国家統計局のDaniel Ayoubkhani氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2022年5月18日号に掲載された。英国の地域住民ベースの観察研究 研究グループは、COVID-19ワクチン接種前に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した成人において、ワクチン接種とlong COVIDの症状の関連を評価する目的で、地域住民ベースの観察研究を実施した(特定の研究助成は受けていない)。 対象は、英国・国家統計局が行ったCOVID-19 Infection Survey(CIS)の参加者のうち、2021年2月3日の時点で年齢が18~69歳であり、SARS-CoV-2感染陽性と判定されたのち、アデノウイルスベクターワクチンまたはmRNAワクチンの接種を少なくとも1回受けた集団であった。 主要アウトカムは、2021年2月3日~9月5日の期間に、感染から12週以上が経過した時点におけるlong COVIDの症状の発現とされた。アウトカムの軌道解析では、各ワクチン接種前の受診時を0と設定して追跡が行われた。long COVID症状発現率は23.7% 2万8,356例(mRNAワクチン1万2,859例、アデノウイルスベクターワクチン1万5,497例)が登録された。平均(±SD)年齢は45.9(±13.6)歳で、1万5,760例(55.6%)が女性であり、2万5,141例(88.7%)が白人だった。 追跡期間中央値は、1回目接種(全参加者)から141日で、2回目接種(参加者の83.8%)からは67日であった。追跡期間中に、6,729例(23.7%)から、重症度を問わず少なくとも1回のlong COVIDの症状が報告された。 ワクチンの1回目接種により、long COVIDの症状発現のオッズが当初12.8%(95%信頼区間[CI]:-18.6~-6.6、p<0.001)減少し、その後、2回目接種までの週当たりの軌道には増減(0.3%/週、95%CI:-0.6~1.2、p=0.51)が認められた。 2回目接種では、long COVIDのオッズが当初8.8%(95%CI:-14.1~-3.1、p=0.003)減少し、その後は週当たり0.8%(95%CI:-1.2~-0.4、p<0.001)減少した。 一方、アデノウイルスベクターワクチン接種者とmRNAワクチン接種者で、接種後のlong COVIDの軌道に差はなかった。また、社会人口学的特性(年齢、性別、人種、5段階の地理的剥奪)、健康関連因子(自己報告による健康状態、急性期COVID-19による入院の有無)、SARS-CoV-2感染からワクチン接種までの期間の違いで、ワクチン接種とlong COVID症状発現に関連はみられなかった。 1回目接種後に発現率が数値上で最も低下したlong COVID症状は嗅覚障害(-12.5%、95%CI:-21.5~-2.5、p=0.02)で、次いで味覚障害(-9.2%、-19.8~2.7、p=0.13)、睡眠障害(-8.8%、-19.4~3.3、p=0.15)の順であった。2回目接種後は、疲労(-9.7%、-16.5~-2.4、p=0.01)、頭痛(-9.0%、-18.1~1.0、p=0.08)、睡眠障害(-9.0%、-18.2~1.2、p=0.08)の順で低下の幅が大きかった。 著者は、「この観察研究のエビデンスから因果関係を導き出すことはできないが、ワクチン接種はlong COVIDによる住民の健康負担の軽減に寄与する可能性がある。今後、より長期の追跡調査が必要である」としている。

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武田(ノババックス)ワクチンの副反応

武田(ノババックス)コロナワクチンの主な副反応初回接種(1、2回目)追加接種(3回目)(%)1001001001回目81.42回目80808063.362.760606050.032.743.354.651.046.945.940404029.321.3 20.729.317.3 10.0 10.7 8.728.617.3 15.313.3 11.3 2020202.72.74.711.310.313.317.33.3000<背景>国内第I/Ⅱ相試験(TAK-019-1501試験)の結果を基に作成。ワクチン接種群150例(新型コロナウイルス感染症ワクチン未接種の20歳以上の日本人健康成人)から報告された局所反応別割合の結果をグラフ化。<背景>海外第I/Ⅱ相試験(2019nCoV-101試験 第2相パート)の結果を基に作成。ワクチン接種群97例(本剤を3週間隔で2回接種した18~84歳の健康成人)から報告された局所反応別割合の結果をグラフ化。・本剤は組換えタンパクワクチンで、不活化ワクチンの一種です。・ワクチン未接種の方、1回目や2回目にほかのワクチンを接種した方でも接種可能です。また、mRNAワクチンにアレルギーがあった方でも受けられる場合があります。・上記グラフは発現頻度が10%以上の副反応を示し、「発熱」については追加接種(3回目)後に報告されました。いずれの副反応も大部分は接種後1~2日以内に発現し、持続期間の中央値は1.0~2.5日でした。出典:ヌバキソビッド筋注添付文書、厚生労働省_武田社の新型コロナワクチン(ノババックス)についてCopyright © 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第102回 サル痘にも有効な「天然痘ワクチン」、国内備蓄の活用を検討

<先週の動き>1.サル痘にも有効な「天然痘ワクチン」、国内備蓄の活用を検討2.来年度から「マイナ保険証」義務化、健康保険証は原則廃止/厚労省3.後期高齢者の所得確認にもマイナ活用、プラットフォーム創設4.サイバー攻撃対策強化、職員向けセキュリティ研修が義務に/厚労省5.検査キット販売や看護師・薬剤師のタスクシェアなど、規制緩和を検討へ6.大麻取締法の改正について議論開始、医療ニーズへ対応/厚労省1.サル痘にも有効な「天然痘ワクチン」、国内備蓄の活用を検討欧米を中心に感染報告が相次いでいる感染症「サル痘」について、有効とされる天然痘ワクチンに注目が集まっており、すでに各国が確保に動き出している。後藤 茂之厚生労働相は27日の閣議後の記者会見で、わが国では以前からテロ対策を目的に天然痘ワクチンの生産・備蓄が行われており、政府がワクチンの活用方法について検討を進めていると述べた。世界保健機関(WHO)や国立感染症研究所などによると、サル痘は主にアフリカで流行する感染症で、発疹や発熱などの症状が出る。天然痘ワクチンには、サル痘の発症予防効果が約85%あるとされ、英国では感染が疑われる人への接種が進められている。現時点で国内での感染例はなく、後藤氏は「人から人への感染はまれとされている。国内外の発生動向を監視しつつ、必要な対応を講じる」と話した。(参考)サル痘とは?(ケアネット 患者説明用スライド)天然痘ワクチン「国内で備蓄」 サル痘にも有効―後藤厚労相(時事通信)サル痘に有効とされる天然痘ワクチン 日本も備蓄、活用方法を検討(毎日新聞)2.来年度から「マイナ保険証」義務化、健康保険証は原則廃止/厚労省厚生労働省は25日の社会保障審議会にて、健康保険証を原則廃止とし、2023年度からすべての医療機関・調剤薬局でマイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」の導入を義務付けることを決定した。政府によれば、オンライン資格確認に必要な顔認証付きカードリーダーの申し込みは約6割(約13万)の施設が済ませているが、運用を開始している施設は19%であり、マイナンバーカードによる資格確認の迅速な導入が求められている。2022年度上半期には導入の加速化が図られるよう集中的な取り組みを行い、未対応の施設は遅くとも9月頃までに顔認証付きカードリーダーの申し込みが必要とし、働きかけを行っていく。(参考)保険証「原則廃止」へ マイナンバーカードに一本化 政府検討(朝日新聞)マイナ保険証、病院に義務化 患者負担軽減も視野 厚労省検討(日経新聞)資料 オンライン資格確認等システムについて(厚労省)3.後期高齢者の所得確認にもマイナ活用、プラットフォーム創設政府が本年6月に取りまとめる経済財政運営方針「骨太の方針」に、75歳以上の後期高齢者の保険料の見直しについて、株式や配当などの金融所得も含めて勘案するため、マイナンバーカードを活用することが盛り込まれる。これによって、後期高齢者の医療費を支える現役世代の負担を軽減できる可能性がある。今後、金融資産がある高齢者の負担は増える見込みだ。このほか、「全国医療情報プラットフォーム」の創設を行い、電子カルテの診療情報やワクチン接種歴などを医療機関や自治体が共有し、患者が最適な治療を受けられるような情報基盤を作ることが決定した。災害時など、かかりつけ外の医療機関でも患者情報を確認し必要な治療の継続が可能になるほか、救急搬送された意識障害患者等の手術や薬剤情報等を確認することで、より適切で迅速な検査、診断、治療等の実施が可能となる。なお医療機関・薬局への情報共有は、個別に同意を得る仕組みを構築した後に運用を開始するとされ、2023年5月が目途。(参考)75歳以上保険料決定に「マイナンバー」活用も ”骨太の方針”原案判明(FNNプライムオンライン)医療情報、デジタル化で共有 プラットフォーム創設 骨太方針に明記(産経新聞)全国の医療機関で診療情報(レセプト・電子カルテ)を共有する仕組み、社保審・医療保険部会でも細部了承(Gem Med)4.サイバー攻撃対策強化、職員向けセキュリティ研修が義務に/厚労省近年、病院への大規模なサイバー攻撃がわが国でも増加していることを踏まえ、厚労省は27日に医療機関でのサイバーセキュリティ対策の方針を明らかにした。平時の医療機関での情報共有基盤として、医療版のISAC(Information Sharing and Analysis Center)を立ち上げてサイバーセキュリティのリスクマネジメントを強化支援する仕組みを確立するほか、脆弱性が指摘されている機器のアップデートや、医療従事者へのセキュリティ対策研修の充実を図る。診療録管理体制加算を算定する400床以上の医療機関には、年1回程度以上の職員向け情報セキュリティ研修の実施が求められる。(参考)医療機関へのサイバー攻撃対策、「ISAC」設立へ 200床未満の施設に「お助け隊」活用促進(CB news)病院に相次ぐサイバー攻撃 遅れる医療の防衛、日経調査 大規模3病院に侵入 3分の2でパスワード漏れも(日経新聞)医療分野のサイバーセキュリティ対策について(厚労省)5.検査キット販売や看護師・薬剤師のタスクシェアなど、規制緩和を検討へ岸田内閣の諮問機関である規制改革推進会議は、27日、政府に答申を提出した。5つの重点分野のうち、医療・介護・感染症対策として、オンライン診療の拡充により、自宅で受診・健康管理から薬剤・医薬品受け取りまでを可能とする方策や、薬剤師による調剤業務の一部外部委託を可能とする検討のほか、薬局での抗原定性検査キット販売の完全解禁などを求めている。また今後、介護需要増加に伴い人手不足が見込まれる介護施設での人員配置基準の緩和や、薬剤師による看護業務のタスクシェアのほか、機械学習を行うプログラム医療機器(SaMD)のアップデート時の審査の省略・簡略化についても検討を求めている。(参考)オンライン診療拡充、抗原キット薬局販売…規制改革推進会議が答申取りまとめ(読売新聞)国承認コロナ検査キット ネットでなぜ買えない? 政府見直し議論へ(朝日新聞)医療改革、スピード不可欠 規制改革会議が答申 看護、薬剤師が分担/介護人員を変更(日経新聞)6.大麻取締法の改正について議論開始、医療ニーズへ対応/厚労省厚労省は、大麻の規制について検討する委員会を25日新たに立ち上げた。2021年6月に出された「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の取りまとめを踏まえ、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法改正に向けて、議論を開始する。米国やG7諸国で承認されている大麻から製造された難治性のてんかん治療薬の事例等を参考に、医療ニーズへの対応や適切な利用を推進するとともに、大麻事犯の検挙人員が7年連続で増加していることを鑑みて大麻使用罪を創設するなど、不適切な大麻利用・乱用に対しても対応していく。(参考)大麻の「使用罪」導入の方向で議論 厚労省の新たな小委員会がスタート(BuzzFeed)第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会 資料

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