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5501.

アダリムバブは若年性関節リウマチに対し有効

本論は、関節リウマチの新しい治療薬として国内では2008年2月に承認された、生物学的製剤の一種である抗TNFαモノクローナル抗体アダリムバブ(商品名:ヒュミラ)の有効性と安全性に関する、国際共同研究グループからの報告。若年性関節リウマチ患児を対象としたもので、Daniel J. Lovell(シンシナティ小児病院医療センター)らは「アダリムバブ療法は有効である」と報告した。NEJM誌2008年8月21日号より。MTX併用有無で有効性を比較非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与を受けたことのある活動性若年性関節リウマチの患児(4~17歳)を、抗リウマチ薬メトトレキサート(MTX)使用の有無で層別化し、16週間にわたり隔週で、アダリムバブを体表面積1平方m当たり24mg(最大40mg)皮下投与した。その後16週の時点で、米国リウマチ学会の小児基準「ACR Pedi 30」を有する患児に対して、さらに最大32週間にわたり隔週で、二重盲検下にて無作為に、アダリムバブ投与群とプラセボ投与群に割り付け投与を行った。16週時点でACR Pedi 30を有する患児は、MTX未使用群74%(86例中64例)、MTX併用群では94%(85例中80例)だった。併用群では疾患再燃は有意に低く症状改善の割合も大きい主要転帰の疾患再燃は、MTX未使用患児では、+アダリムバブ投与群43%、+プラセボ投与群71%だった(P=0.03)。MTX併用患児では、+アダリムバブ群37%、+プラセボ群65%であった(P=0.02)。48週の時点で、ACR Pedi 30、同50、同70、同90を有する患児の割合は、MTX併用患児の場合、プラセボ群よりアダリムバブ群のほうが有意に大きかった。しかし、MTX未使用患児の場合は、アダリムバブ群とプラセボ群の間に有意差はなかった。有効率は治療から104週間後も維持された。アダリムバブ投与に関連すると考えられる重篤な有害事象は14例で、このうち7例は重症感染症だった。以上から、「アダリムバブによる治療は、若年性関節リウマチの小児に対する有効な選択肢と考えられる」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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スコットランドの超過死亡率は薬物常用による

 スコットランドの死亡率がイングランドとウェールズよりも高いことは早くから知られていた。特に、1981年の超過死亡率は12%だったが、2001年には15%になるなど、死亡率の格差は開いている。その原因の一つとしてこれまで、就職率や車の所有率、階級構成などの低さが指摘されてきた。しかし、このところスコットランドとイングランド、ウェールズとの貧富の差はかつての半分以下に縮まっている。この反比例の関係は「スコットランド効果」と呼ばれており、説得力のある説明はなされていなかった。この「スコットランド効果」の原因を調べるため、グラスゴー大学のMichael Bloor氏らのグループは、薬物使用状況と有病率に着目し、「DORIS」と命名されたコホート研究の二次解析を行った。BMJ誌2008年7月22日号より。スコットランドの死亡率への薬物常用者の寄与率は有意に高い Bloor氏らが薬物使用状況と有病率に着目したのは1991年と2001年の国勢調査によれば、原因不明の死亡率の超過分は0~44歳の男性に顕著だったこと。DORIS(Drug Outcomes Research in Scotland)の二次解析は、スコットランド全域にある33の薬物療法施設で2001~2年に集められた1,033例の問題薬物常用者を対象とし、33ヵ月後の2004~5年にかけて面接調査が行われた。 その結果、このコホートでは38例が死亡していた。この薬物常用者38例の死亡のうち、薬物関連死に分類されたのは22例にとどまり、残りは自殺を含む過量服用、薬物乱用に由来する感染症などだった。 問題薬物使用集団のサイズの推定値から、イギリス全体の薬物常用者の死亡率は、スコットランドが17.3%(95%信頼区間:12.3%~22.8%)、イングランドは11.1%(7.8%~14.8%)と推算された。突出した超過死亡率の3分の1は薬物常用者によるもの 15~54歳の年齢調整死亡率(人口10万対)は、薬物常用者の死亡推算数を除外すると、スコットランドで196から162に、イングランドは138から122に低下することが明らかとなった。また、スコットランドの超過死亡率の32.0%(95%CI 22.3%~43.0%)は薬物使用によると分析された。つまり、タバコやアルコールの摂取、運動不足などと比べれば問題薬物使用自体の有病率リスクは低いものの、死亡率のアップ効果は高いということであり、スコットランドの薬物常用者の調整死亡率は集団全体の12倍にもなるという。スコットランドの問題薬物使用を要因とする高い有病率は、イングランドを上回る超過死亡率の3分の1を占めていた。 これらから研究グループは、スコットランドの問題薬物使用による有病率を低下させる、あるいは薬物常用者の死亡を減少させるために有効な公衆衛生活動が行われれば、スコットランドの総死亡率に劇的なインパクトを与えるだろうと述べている。

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ウガンダの最近のHIV感染症の危険因子

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)罹患に関連する因子の研究は、しばしば新規感染を反映しない有病率データに基づいている可能性がある。そこで、ウガンダで活動する米国Global AIDS ProgramのJonathan Mermin氏らが、新規HIV感染をめぐるリスク因子の調査を行った。JAMA誌2008年8月6日号掲載より。ウガンダ人男女2万人余りに質問と血液検査2004年8月から2005年1月にかけて、ウガンダ全土で家庭調査を実施。データ分析は2007年11月まで行われた。調査対象は15~59歳の女性1万1,454例、男性9,905例で、このうち女性1万826例(95%)、男性8,830例(89%)が質問表に回答。血液標本は女性1万227例(94%)、男性8298例(94%)から採取された。HIV検体の血清陽性は、最近の抗体陽転(中央値:155日)を確認するために、BED IgG法(BED IgG capture-based enzyme immunosorbent assay)で検査した。HIV感染リスクが高い未亡人、離婚者、割礼経験者その結果、HIV陽性は1,023例で、そのうち172例(17%)が新規感染だった。多変量解析による新規HIV感染を伴うリスク因子とし、女性、未亡人・離婚者、ウガンダ中北部、前年の性交渉の人数、単純ヘルペスウイルス2型感染有り、前年に性病感染有り、男子割礼有りが含まれた。オッズ比は以下の通り。女性:2.4(対男性)、未亡人:6.1(対未婚者)、離婚者:3.0(対未婚者)、中北部ウガンダ:2.6(対中部ウガンダ・カンパラ)、前年の性交渉2人以上:2.9(対ゼロ)、単純ヘルペスウイルス2型感染症有り:3.9(対無し)、前年に性病感染有り:1.7(対無し)、男子割礼有り:2.5(対無し)。既婚者の新規HIV感染は、結婚相手以外とコンドームなしで性交渉することに関係していた[オッズ比3.2(対結婚相手とのみ性交渉した場合)]。結婚相手以外とコンドームを使って性交渉していた場合は、結婚相手とのみ性交渉した場合のリスクと同等(オッズ比1.0)。Mermin氏は「これらリスク因子が、感染予防のイニシアティブとなる」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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HIV感染症治療薬「アイセントレス」、長期服用による有効性/安全性データを発表 -2008年国際AIDS学会-

万有製薬株式会社は、メキシコで開催された第17回国際AIDS学会において、HIV感染症治療薬「アイセントレス(ラルテグラビル)」の長期間服用(96週間)に対する有効性および安全性のデータが報告されたと発表した。それによると、アイセントレスを他の2種類の抗HIV薬と併用し96週間投与した結果、これまで治療を行っていなかった(未治療の)患者の83%においてHIVウイルス量が検出限界以下(50 copies/mL)となり、同じ抗HIV薬を併用しエファビレンツ(Sustiva/STOCRIN)を投与した患者の84%にHIVウイルス量が検出限界以下となった場合と同程度だったという。アイセントレスを服用している患者は、総コレステロール、低比重リポタンパクコレステロール(LDL)、トリグリセライドに悪影響を与えず、CD4リンパ球数が平均221 cells/mm3上昇したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/merck_0812.html

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外国生まれの米国居住者における結核感染状況

アメリカでは結核対策の強化によって感染者が減少している。しかし、外国生まれの米国居住者の患者数は、2006年における全米の患者数の57%を占めていた。現行の対策では、入国者における高い結核感染率と潜在的な結核感染症への対処が不十分だとして、米国疾病管理予防センター(CDC)のKevin P. Cain氏らが、入国者集団の感染状況およびスクリーニング法を評価。JAMA誌2008年7月23日号に結果が掲載された。2001~2006年の入国者の感染状況を調査2001~2006年の間に結核と診断された、米国入国者の記述疫学的な分析によって、入国者集団における結核感染率と薬剤耐性菌リスクを評価し、入国者が出身国で受けるスクリーニング法に培養法を加えた場合の影響を検証した。主要評価項目は、入国後の時間、出身国、入国時の年齢によって階層化した結核感染率と、抗結核薬耐性パターン、入国後3ヵ月以内に結核と診断されたケースの特徴とした。アフリカ南部と東南アジア出身者が高リスク期間中入国者のうち4万6,970例が結核と診断された。このうち1万2,928例(28%)は入国後2年以内だった。入国後の時間が経過するほど結核感染率は低下するものの、入国後20年以上の集団でさえ、米国生まれの人より感染率は高いことが判明した。サハラ以南のアフリカと東南アジア出身者は入国者全体の22%だが、結核患者数の比率ではこれら出身者で53%を占めていた。最近のベトナムからの入国者の20%が、ペルーからの入国者の18%が、結核治療薬イソニアジド(商品名:イスコチン、ネオイスコチン、ヒドラ錠)に対する耐性が高かった。平均すると1年に250人は、米国入国後3ヵ月以内に、塗抹検査陰性、培養検査陽性で結核と診断され、このうち46%がフィリピンとベトナムからの入国者だった。Cain氏は、「サハラ以南のアフリカと東南アジア諸国からの入国者に、潜在的結核感染者が多く、治療することになる比率が特に高い」と報告している。(朝田哲明:医療ライター)

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末梢静脈カテーテルの交換はルーチンに行う必要はない

末梢静脈カテーテルの交換はルーチンに行うべきか、それとも臨床適応となった場合にだけ行えばよいか。CDC(疾病予防管理センター)では感染対策の観点から72~96時間ごとに変えるべきとしているが、そのエビデンスは乏しく、また近年、ルーチンに変えるほうが静脈炎の発症率が高いといった報告もある。そうしたなか王立ブリスベーン&ウーマンズ病院(オーストラリア)臨床看護センターのJoan Webster氏らは、静脈炎発症率とコストの面で検討を行い、「臨床適応の場合だけ行えばいいようだ」と報告した。BMJ誌オンライン版2008年7月8日号より。オーストラリアの3次機能病院から755例を集め無作為化試験試験はオーストラリアの3次機能病院(Tertiary hospital)を対象に行われた。対象者はmedical and surgical患者755例。379例が臨床適応の場合にのみカテーテルの交換が行われる群に(介入群)、376例がルーチンに交換する群(対照群)に無作為に割り付けられ検討された。主要転帰は、静脈炎や感染症発症によるカテーテル不全の複合的な度合い。ルーチン交換群と臨床適応群にカテーテル不全の有意差なし静脈炎や感染症発症によってカテーテルが取り外されたのは、対照群は123例(33%)、介入群は143例(38%)で有意な違いはなかった(相対リスク1.15、95%信頼区間:0.95~1.40)。留置1,000日間につき生じたカテーテル不全の割合に基づき比較しても、有意な違いは見出せなかった(0.98、0.78~1.24)。手技に関するコストは、対照群のほうが高く、平均41.02オーストラリアドル。介入群は平均36.40オーストラリアドルだった。静脈炎の発症率は、介入群4%、対照群3%で両群とも低かった。Webster氏は「臨床適応のときだけ交換を行ってもカテーテル不全の発生に影響はなかった。ただし今回の知見を検証するため、またより臨床的意義あるアウトカムを静脈炎単独で検証するなど、より大規模な試験を行う必要がある」と結論している。

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HIV-1の母乳感染減少に抗レトロウイルス薬の長期予防的投与が効果的

授乳によるヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)の母子感染を減らす効果的な対策が、貧困国で緊急に求められている。米国・ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のNewton I. Kumwenda氏らは、乳児に対する抗レトロウイルス薬の予防的投与の効果を検証した結果、ネビラピン(商品名:ビラミューン)またはネビラピン+ジドブジン(商品名:コンビビル、レトロビルカプセル)の長期投与によって、乳児のHIV-1感染症を有意に減らすことができると報告した。NEJM誌2008年7月10日号(オンライン版2008年6月4日号)より。マラウイ共和国のHIV 感染女性の乳児で比較試験世界最貧国の一つであるアフリカのマラウイ共和国で、同国最大の都市Blantyreに居住し、子供を母乳で育てるHIV-1感染女性を無作為第III相試験に登録。乳児は出生した時点で下記3つの投薬計画の1つに無作為に割り付けた。  (1)ネビラピン単回投与と1週のジドブジン投与(対照群)(2)(1)に加えて、ネビラピン連日予防的投与を14週間に延長(長期ネビラピン群)(3)(2)に加えてジドブジンの連日予防的投与も14週間に延長(長期二重予防群)対象児は出生時、DNAポリメラーゼ連鎖反応法でHIV-1陰性だった者。その後のHIV-1感染症のリスクをKaplan-Meier分析によって評価した。対象児は3,016例。主要エンドポイントは9ヵ月時点におけるHIV-1推定感染率。長期予防投与でHIV-1推定感染率はほぼ半減対照群は、生後18ヵ月~6週間のHIV-1感染率が一貫して高かった。9ヵ月時点推定感染率は、対照群10.6%、長期ネビラピン群5.2%(P

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ボディピアスの実態:イギリス全国調査

イギリスでは特に若い成人女性で耳たぶ以外の身体部位へのピアス装着の頻度が高く、問題が多発し健康サービスの支援を要する事例も多いことが、健康保護局感染症センターのAngie Bone氏らが実施した横断的世帯調査で明らかとなった。近年、イギリスでは美容的なボディピアシングが急増しているが、その実態は不明だという。医学、歯学論文では合併症の報告が相次いでおり、国会でも議論されているが、問題の大きさを把握するための検討はほとんどなかった。BMJ誌2008年6月21日号(オンライン版2008年6月12日)の報告。 2005年の全国的な世帯調査で1万503人を抽出本研究は、2005年にイギリスで実施された全国的な横断的世帯調査である。16歳以上の1万503人が、地理的地域の無作為なサンプリングおよび所定の割り当てへの個人のサンプリングという2段階の行程を経て抽出された。16歳以上の国内人口プロフィールを反映するように、結果の重み付けが行われた。主要評価項目は、ボディピアシングの全件数および年齢層別、性別、解剖学的部位別の推定値とし、16~24歳の年齢層では合併症に関連したピアシングや医療支援の求めの割合について推算した。ボディピアシング率10%、16~24歳の約1/3に合併症、100人に1人が入院耳たぶ以外のボディピアシング率は10%(1,049/1万302人、95%信頼区間:9.4~10.6%)であった。男性よりも女性に多く、若い年齢層で多かった。16~24歳の女性の約半数(46.2%)がピアシングをしたことがあると答えた(305/659人、95%信頼区間:42.0~50.5%)。ピアシングの部位は多い順に、臍、鼻、耳たぶ以外の耳部、舌、乳首、眉などであった。16~24歳のピアシングをしている754人のうち、233人(31.0%)が合併症を報告した(95%信頼区間:26.8~35.5%)。そのうち医療支援を必要としたのは115人(15.%、95%信頼区間:11.8~19.5%)であり、入院を要したのは7人(0.9%、95%信頼区間:0.3~3.2%)であった。Bone氏は、「特に若い成人女性でボディピアシングの頻度が高く、問題が多発し健康サービスの支援を要する事例も多い」と結論し、「入院を要する重篤な合併症は多くはないようだが、合併症が起こる可能性は長期にわたるため健康サービスに深刻な負担を課している。合併症を増やすリスク因子を同定してピアス施術者、その客、医療者に注意を喚起し、ボディピアシングの安全性を改善する情報を提供するための研究が必要である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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HIV感染症治療薬「ストックリン錠600mg」新発売

万有製薬株式会社は、HIV感染症治療薬「ストックリン錠600mg」(エファビレンツ)を、6月20日の薬価基準収載を受けて新発売した。ストックリンは米国本社が開発した非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害剤(NNRTI)で、1998年9月に米国で承認され、日本では1999年9月に「ストックリンカプセル200」を発売している。「ストックリン錠600mg」は、これまで「ストックリンカプセル200」が1日1回3カプセルの服薬であったのに対し、1日1回1錠の服薬となる。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/product_news_0620.html

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乳幼児の予期せぬ突然死、感染症が原因の可能性は低いが…

生後1年以内の乳幼児の予期せぬ突然死(SUDI)は感染症との関連性が低いことが、London大学ユニバーシティ・カレッジGreat Ormond Street小児病院のM A Weber氏らの系統的な症例レビューで明らかとなった。乳幼児突然死[揺りかご死(cot death)]は英国における最も頻度の高い乳幼児の死亡原因であるという。生後1年以内に発生した乳幼児突然死がSUDIと定義されるが、その多くは専門医による剖検でも死因や発症機序は不明なままである。Lancet誌2008年5月31日号掲載の報告。 剖検で得た細菌分離株を用いてSUDIの病因を検証研究グループは、SUDIの原因が感染症であるかを検証するために、1996~2005年に単一の専門施設で実施された突然に予期し得ずに死亡した乳幼児546例(生後7~365日)の剖検結果に関して、レトロスペクティブな系統的症例レビューを行った。SUDI例は、「死因不明」「組織学的に細菌感染のエビデンスがある死因」「非感染性の死因」の3つのカテゴリーに分類した。剖検で得た細菌分離株は、「非病原性」「病原菌群1(特定可能な感染病巣と通常は関連のある微生物)」「病原菌群2(明確な感染病巣はないが敗血症の原因となることが知られる微生物)」に分類した。死因不明のSUDIでは黄色ブドウ球菌、大腸菌が病因の可能性もSUDI 546例のうち、ウイルスあるいはニューモシスティス感染、虚脱および蘇生後の2次的細菌感染の39例が除外された。残り507の剖検例のうち470例(93%)で細菌サンプルが採取された。2,079の細菌サンプルが採取され、そのうち571サンプル(27%)が無菌であった。2,871の分離株が培養陽性で、484株(32%)が単一増殖、1,024株(68%)混合増殖を示した。病因菌群2の細菌検出率は、死因が細菌感染(78/322、24%)や死因不明(440/2,306、19%)の乳幼児のほうが、非感染性の死因(27/243、11%)の乳幼児に比べ有意に高かった(それぞれ、p<0.0001、p=0.001)。死因不明の乳幼児で黄色ブドウ球菌(262/1,628、16%)あるいは大腸菌(93/1,628、6%)が分離された割合は、非感染性の死因の乳幼児における黄色ブドウ球菌(19/211、9%)、大腸菌(3/211、1%)の分離率よりも、それぞれ有意に高かった(それぞれ、p=0.005、p=0.003)。Weber氏は、「SUDI例の死後細菌培養の多くで微生物がみつかったが、ほとんどが死因とは関連がないと推察される」と結論し、「感染病巣のない細菌のなかでも、とくに黄色ブドウ球菌と大腸菌の検出率が高かったが、死因不明のSUDI例ではこれらの細菌が病因の可能性もある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

5511.

小児細菌性髄膜炎へのコルチコステロイド補助療法は死亡率を低下させない

成人の場合は、コルチコステロイドの補助療法が細菌性髄膜炎による死亡率を有意に低下させることは知られている。小児患者にも同様の期待がされているが、臨床試験ではこれと相反する結果が導かれている。米国ペンシルバニア大学医学部感染症部門のJillian Mongelluzzo氏らは、小児細菌性髄膜炎に対するコルチコステロイド補助療法と臨床転帰との相関について、データベースを用いた多施設共同観察研究を行った。JAMA誌2008年5月7日号より。細菌性髄膜炎患者2780例を対象にコホート分析研究グループは、Pediatric Health Information Systemのデータベースから、18の州とワシントンD.C.にある27の三次子供病院を、2001年1月1日から2006年12月31日にかけて退院した細菌性髄膜炎を主病とする患者2,780例について、後ろ向きコホート研究を行った。患者が補助コルチコステロイドを受けられるかどうかを判定するため傾向スコアが用いられた。このスコアは疾患重症度と人口統計学上の標識を用いて導かれた。主要評価項目は、死亡までの期間と退院までの期間。いずれも年齢カテゴリーで層別化し、傾向調整後にコックス比例ハザードモデルを用いて解析された。死亡、退院への寄与は確認できなかった対象の年齢中央値は9ヵ月(四分位範囲、0~6歳)で、57%が男児。髄膜炎の原因菌で最も頻繁に確認されたのは肺炎連鎖球菌だった。コルチコステロイド補助療法は248例(8.9%)に実施された。全死亡率は4.2%(95%信頼区間:3.5%~5.0%)で、累積発生率はそれぞれ、入院7日後が2.2%、28日後が3.1%だった。コルチコステロイド補助療法による死亡率低下は、年齢を問わず確認できなかった。1歳以下ハザード比:1.09(95%信頼区間:0.53~2.24)、1~5歳:1.28(0.59~2.78)、5歳以上:0.92(0.38~2.25)。退院までの期間においても、同療法の有無による顕著な差は認められなかった。サブグループ解析でも、脊髄液培養の結果、原因菌が肺炎球菌か髄膜炎菌、あるいはその他の原因菌であるかにかかわらず変化は認められなかった。これら観察研究の結果から研究グループは、小児細菌性髄膜炎に対するコルチコステロイド補助療法は、死亡までの期間、退院までの期間のいずれにも関連性は確認できないと結論づけた。

5512.

入院時のPCR法によるMRSA迅速検査は感染率を低減しない

入院時にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の全数スクリーニングとしてpolymerase chain reaction(PCR)法による迅速検査を実施しても一般病棟のMRSA感染率は低減しないことが、英国Guy's and St Thomas' NHS Foundation Trust感染症科のDakshika Jeyaratnam氏らの検討で明らかとなった。MRSA感染症は罹患率および死亡率が高く、入院期間を延長し、医療コストの増加をもたらす。英国では、MRSAを含む感染症関連保健医療の低減が政府の優先課題とされる。BMJ誌2008年4月26日号(オンライン版2008年4月16日号)掲載の報告。迅速PCR法と従来の培養検査のMRSA感染率を比較研究グループは、MRSAスクリーニングへの迅速検査の導入が一般病棟のMRSA感染率を低減させるか否かを評価するために、クラスター無作為化クロスオーバー試験を実施した。試験期間は2006年1月~2007年3月。3ヵ月のベースライン期間、5ヵ月の介入期間ののち、1ヵ月のウォッシュアウト期間を置いてクロスオーバーを行い、さらに5ヵ月間の介入を行った。対象はロンドン市の2つの地区(Guy's、St Thomas')の教育病院に入院した症例であり、入院時にMRSA陰性で、退院時にスクリーニング検査を受けた患者とした。MRSAの入院時スクリーニング検査としての迅速PCR法を従来の培養検査と比較した。主要評価項目はMRSA感染率(入院時MRSA陰性例が退院時に陽性となった割合)とした。退院時のMRSA感染率は両群間で有意差なし病棟に入院した9,608例のうち8,374例が症例選択基準を満たし、データをすべて取得できたのは6,888例(82.3%)であった。そのうち3,335例が培養検査群(対照群)に、3,553例が迅速検査群に割り付けられた。全体の入院時MRSA感染率は6.7%であった。入院から検査結果の報告までの所要時間(中央値)は、対照群の46時間に対し迅速検査では22時間と有意に短縮した(p<0.001)。不適切な予防的隔離の日数も、対照群の399日に対し迅速検査では277日と有意に減少した(p<0.001)。退院時のMRSA感染率は対照群が3.2%(108例)、迅速検査群は2.8%(99例)であった(非補正オッズ比:0.88、p=0.61)。事前に規定された交絡因子を考慮した場合の補正オッズ比は0.91(p=0.63)と両群間に有意な差は見られなかった。MRSA感染、創傷感染、菌血症の発現率も両群間に差を認めなかった。Jeyaratnam氏は、「迅速検査は検査結果の報告を速やかにし、病床稼働率にもインパクトを与えたが、MRSA感染率を低減させるというエビデンスは得られなかった」と結論し、「従来の培養検査との比較において、迅速検査に伴う医療コストの上昇は正当化されない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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毛巣瘻の術後創には一次閉鎖術か開放ドレナージか

若年成人男性の罹患率が高い毛巣瘻の治療方針をめぐって、外科手術後の創傷治癒に要する期間と再発率について議論が分かれている。そこで術後創傷を縫合する一次閉鎖術と、開放ドレナージ術との両治療法効果を判定するため、無作為化試験のシステマティックレビューとメタ解析が、アバディーン王立病院外科(英国)Iain J D McCallum氏らのグループによって行われた。BMJオンライン版2008年4月7日号、本誌2008年4月19日号より。14歳以上の毛巣瘻患者をシステマティックレビューで無作為抽出レビュー・解析対象の無作為化試験は、コクラン比較試験レジスタ、コクラン創傷群レジスタ、Medline(1950~2007)、Embase、CINAHL文献データベースから抽出され、14歳以上の毛巣瘻患者で、外科的療法を受けた者が無作為抽出された。主要評価項目は、開放ドレナージ療法と一次創閉鎖療法のそれぞれについて、治癒に要した日数、手術部位感染症発症率および再発率。二次評価項目は、社会復帰に要した日数、合併症およびその罹病率、コスト、入院期間、創傷癒合率。また、閉鎖療法が選択された症例では、正中閉鎖と側方閉鎖のどちらが最適かを比較検討した。一次閉鎖術は治癒は早いが高い再発率が代償となる本研究には18の治験(n=1,573)が選択された。開放ドレナージと一次閉鎖術の比較が行われたのは、このうち12治験。治癒に要した期間は一次閉鎖術のほうが短かった。手術部位の感染症発生率に差はなかったが、再発率は開放ドレナージのほうが低かった(0.66、95%信頼区間:0.42~0.26)。なお14例で、再発予防のため開放ドレナージが行われた。外科的縫合手技(正中閉鎖と側方閉鎖)の比較は6治験対象で行った。その結果、正中閉鎖は側方閉鎖より治癒に要する期間が長いこと(平均差5.4日、95%信頼区間:2.3~8.5)に加えて、感染率も高く(相対危険度4.70、95%信頼区間:1.93~11.45)、再発リスクも高かった(ピート・オッズ比:4.95、95%信頼区間:2.18~11.24)。9例は手術部位感染症予防のために側切開の手技が行われ、さらに11例が再発予防の治療が必要とされた。これらからMcCallum氏は、「開放ドレナージより一次閉鎖術のほうが短期間に治癒する。しかし再発リスクの増加は避けられない」とし、また「正中閉鎖よりも側方閉鎖のほうが優位なのは明らかだ。毛巣瘻治療で外科的オプションが適当と思われる場合は、側方閉鎖を標準治療とすべき」とまとめている。

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ブルセラ症にはアミノグリコシド系抗生物質を含む併用レジメンの長期投与が有効

ヒトのブルセラ症の治療では、アミノグリコシド系抗生物質を含む3剤あるいは2剤併用レジメンの有効性が高いことが、イスラエルRabin医療センターBeilinson病院のKeren Skalsky氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。ブルセラ症は世界で最も多い人獣共通感染症で、新規発症は毎年50万例以上に及ぶ。抗生物質の併用レジメンの無作為化対照比較試験が数多く行われているが、包括的なエビデンスは確立されていない。BMJ誌2008年3月29日号(オンライン版2008年3月5日号)掲載の報告。抗生物質レジメンの無作為化試験を系統的にレビュー研究グループは、ブルセラ症の治療レジメンの有効性の評価を目的に、個々の抗生物質レジメンと治療期間を検討した無作為化対照比較試験の系統的レビューおよびメタ解析を行った。2名の研究者が個々に、データベース(PubMed、CENTRAL、Lilacs)、カンファレンス記録集、文献目録を、言語、研究年、出版形態を問わずに検索した。選択および除外規準に基づいてデータを抽出し、試験方法の質を評価した。主要アウトカムは初期治療の失敗(failure)および再発とした。相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出し、データは固定効果モデル(fixed effect model)を用いてプールした。30試験の77の治療法と治療期間を解析30試験の77の治療法が解析の対象となった。全体の治療失敗率はドキシサイクリン+リファンピシンが、ドキシサイクリン+ストレプトマイシンよりも有意に高く、そのおもな原因は再発率が高いためであった相対リスク(RR:2.80、95%CI:1.81~4.36、13試験)。ドキシサイクリン+ストレプトマイシンは、ドキシサイクリン+リファンピシン+アミノグリコシド系薬剤(3剤併用)よりも治療失敗率が有意に高かった(RR:2.50、95%CI:1.26~5.00、2試験)。ゲンタマイシンがストレプトマイシンに劣ることはなく(治療失敗のRR:1.45、95%CI:0.52~4.00、2試験)、キノロン系薬剤+リファンピシンはドキシサイクリン+リファンピシン、ドキシサイクリン+ストレプトマイシンよりも有意に効果が低かった(治療失敗のRR:1.83、1.11~3.02、5試験)。治療期間に大きな差がない場合は、単剤療法は併用療法よりも治療失敗のリスクが有意に高かった(RR:2.56、95%CI:1.55~4.23、5試験)。治療期間は、6週以上のほうが短期間の場合よりも有効性は高かった。Skalsky氏は、「ブルセラ症の治療では、現在の推奨レジメン間に有効性に関する有意な差が認められた。アミノグリコシド系抗生物質を含む3剤あるいは2剤併用レジメンがより有効と考えられる」と結論し、今回の解析に基づく第1選択レジメンとして、ドキシサイクリン(6週投与)+リファンピシン(6週投与)+ゲンタマイシン(2週投与)、あるいはドキシサイクリン(6週投与)+ゲンタマイシン(2週投与)を推奨し、代替レジメンとしてドキシサイクリン(6週投与)+ストレプトマイシン(2週投与)を挙げている。(菅野守:医学ライター)

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関節リウマチに対する新たな生物学的製剤トシリズマブの有用性を確認

関節リウマチ治療における新たな生物学的製剤として、日本で開発されたヒト化抗インターロイキン(IL)-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブ(商品名:アクテムラ)の有用性を示唆する第III相試験(OPTION study)の結果が、オーストリアVienna医科大学リウマチ科のJosef S Smolen氏によりLancet誌2008年3月22日号で報告された。IL-6は免疫および炎症反応に広範な作用を及ぼすが、この系を介して関節リウマチの発症にも関与すると考えられている。トシリズマブは、すでに日本およびヨーロッパの第II相試験で関節リウマチに対する有効性が示されていた。メトトレキサートとの併用で、2種類の用量とプラセボを比較トシリズマブはIL-6受容体を阻害することでIL-6を遮断する。Smolen氏らは、関節リウマチに対するトシリズマブの有用性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照パラレルグループ第III相試験を実施した。2005年2月~2006年11月の間に17か国の73施設から中等度~重度の関節リウマチ623例が登録された。これらの症例が、メトトレキサート(10~25mg/週)との併用においてトシリズマブ 8mg/kg(205例)、同4mg/kg(214例)、プラセボ(204例)を4週ごとに静注投与する群に無作為に割り付けられた。治療期間は24週で、16週の時点で腫脹関節数(SJC)および圧痛関節数(TJC)の双方の改善が20%に満たない場合は、トシリズマブ 8mg/kgを用いたレスキュー治療が行われた。主要評価項目は、24週の時点で米国リウマチ学会(ACR)の判定規準による関節リウマチの徴候および症状が20%以上改善した症例の割合(ACR 20%改善率)とした。ACR 20%改善率:8mg/kg群59%、4mg/kg群48%、プラセボ群26%622例がintention-to-treat解析の対象となった。ACR 20%改善率は、8mg/kg群が59%(120/205例)、4mg/kg群が48%(102/214例)、プラセボ群が26%(54/204例)であり、プラセボ群に対する8mg/kg群のオッズ比は4.0(p<0.0001)、4mg/kg群のオッズ比は2.6(p<0.0001)と有意な改善効果が認められた。ほぼ寛解とされるACR 70%改善率は、プラセボ群の2%に対し、8mg/kg群が22%、4mg/kg群が12%であった[プラセボ群に対するオッズ比はそれぞれ14.2(p<0.0001)、7.0(p<0.0001)]。少なくとも1つ以上の有害事象を発現した症例の割合は、プラセボ群の63%(129/204例)に対し、8mg/kg群が69%(143/205例)、4mg/kg群が71%(151/214例)と治療群で多い傾向が見られた。最も高頻度に見られた重篤な有害事象は、重症感染症あるいはインフェステーション(外寄生)であり、8mg/kg群で6例、4mg/kg群で3例、プラセボ群で2例が報告された。Smolen氏は、「トシリズマブは中等度~重度の活動性関節リウマチに対し有効な治療アプローチと考えられる」と結論し、「治療開始後2~4週には明らかな改善効果が認められ、効果は治療期間を通じて維持され、治療終了後も持続した。2種類の用量の比較は本試験の目的ではないが、8mg/kgのほうが強固な治療効果を示した」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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副鼻腔炎に抗生物質の使用を正当化する臨床徴候、症状はない

副鼻腔炎はウイルス感染と細菌感染の鑑別が困難なため、プライマリ・ケア医は急性副鼻腔炎に対し抗生物質を過剰に処方しがちだという。スイスBasel大学病院臨床疫学研究所のJim Young氏らは、副鼻腔炎には、抗生物質が有効な症例を同定しうる一般的な徴候や症状はないことを確認、Lancet誌2008年3月15日号で報告した。米国では、受診理由の第3位が上部気道感染症で、その約1/3を急性副鼻腔炎が占め、さらにその80%が抗生物質を処方されている。ヨーロッパでもプライマリ・ケアにおける抗生物質処方の72~92%が急性副鼻腔炎とされる。無作為化試験に登録された症例の個々のデータを再解析研究グループは、抗生物質が有効な副鼻腔炎の一般的な徴候、症状を評価するために、個々の症例のデータに基づいて無作為化試験のメタ解析を実施した。Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、Embaseを検索し、当該試験を記述した報告のリストを参照することで、副鼻腔炎様の病状を呈する成人患者を対象に抗生物質あるいはプラセボによる治療に無作為に割り付けた試験を同定した。9つの試験に登録された2,547例の個々のデータを確認し、再解析を行った。抗生物質の全体的な治療効果を評価し、1例の治癒を得るのに要する抗生物質治療の回数(NNT)を算出することで一般的な徴候、症状の予測値の検討を行った。ベネフィットはほとんどない、可能なのはwatchful waiting、症状の緩和のみ新たに1例の治癒を得るためには、副鼻腔炎様病状を呈する15例を抗生物質で治療する必要があった。咽頭に膿性分泌物を認める症例では、この徴候のない症例よりも治癒に長い時間を要した。新たに1例の治癒を得るには、咽頭の膿性分泌物を認める8例を抗生物質で治療する必要があった。より高齢の症例、より長期間にわたり症状を訴える症例、より重篤な症状を呈する症例は治癒に長い時間を要したが、これらの症例が他の症例に比べ抗生物質が有効な傾向は認めなかった。Young氏は、これらの知見に基づき「抗生物質治療が明確に正当化される副鼻腔炎患者を同定しうるような一般的な臨床徴候および症状は認めなかった」と結論している。また、同氏は「プライマリ・ケアでは、急性副鼻腔炎様病状の患者に対する抗生物質治療のベネフィットはほとんどない。患者が7~10日以上の長期間にわたって症状を訴える場合でも抗生物質治療は正当化されない。正当化されるのは重篤な合併症を示唆する徴候が見られる場合のみである。小児や免疫抑制状態の患者はこの限りではないが、急性副鼻腔炎様病状の成人患者に保障できるのは、ほとんどの場合watchful waitingあるいは症状の緩和のみである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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MRSA院内感染率は全入院患者のスクリーニングでも低下しない

メチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)による院内感染を減らすため、医療政策担当者らが、入院する患者全員にユニバーサル・スクリーニング実施を要求していることに対して、スイスのジュネーブ病院・医科大学のStephan Harbarth氏らが、外科患者のMRSA院内感染初期の検出戦略効果を評価する大規模な研究を行い、「ユニバーサル・スクリーニングを行ってもMRSA手術部位感染率やMRSA院内獲得率は有意に変化しない」とスクリーニングに疑問を提示している。JAMA誌2008年3月12日号より。12の外科病棟で患者21754人を対象に実施研究では、2004年7月から2006年5月の間、スイスの教育病院のうち異なる専門領域を含む12の外科病棟で、外科患者計21,754例を対象として、入院時に迅速スクリーニングと標準的な感染症管理対策を行う介入群と、標準的な感染症管理対策だけを行う制御群に分け、両者を交叉法で比較した。各病棟は初めの9ヵ月間、介入群と制御群に割り付けられ、その後9ヵ月間は、割り付ける群を切り替えた。介入期間に介入病棟へ24時間以上入院する患者は、入院前または入院時に迅速な多重ポリメラーゼ連鎖反応検査でスクリーニングされた。介入期間の患者数は10,844例、制御期間は10,910例だった。全病棟で、MRSAキャリアとの接触隔離、専用道具(ガウンや手袋、必要ならマスクも)使用、MRSAキャリアの周術期抗生剤予防処置、コンピュータ化されたMRSA警戒システム、ムピロシン軟膏の鼻腔塗布とクロルヘキシジン身体洗浄による局所無菌化処置から成る5日間の標準感染症管理処置がとられた。主要評価項目は、MRSA院内感染の発生率、MRSA手術部位感染およびMRSA感染の院内獲得率とした。手術部位感染率も院内獲得率も有意な変化なし介入期間中の患者10,844例中10,193例(94%)をスクリーニングした結果、事前に未知のMRSAキャリア337例を含むMRSA陽性患者515例(5.1%)を特定。スクリーニングからMRSAキャリア試験結果通知までに要した時間の中央値は22.5時間(四分位数間領域は12.2~28.2時間)だった。このうち院内でMRSA感染症を発症したのは、介入期間中は93例(患者1,000人日につき1.11)だったが、制御期間中は76例(患者1,000人日につき0.91、調整された罹患率比率1.20、 95%信頼区間:0.85~1.69、P=0.29)だった。手術部位感染率と院内獲得率は有意に変化しなかった。介入区域で感染した患者93例中53例(57%)は、入院時にはMRSAと無縁だったが入院中に発症していた。これらからHarbarth氏らは「入院時に患者全員をスクリーニングする戦略は、標準的な感染症管理対策より有利とは言えない」とし、疑問を呈している。(朝田哲明:医療ライター)

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【トピック】子供への効果的な性教育とは?

文部科学省が過激な性教育が問題化したことを受けて教員向けの性教育指針を大幅に刷新することがわかったばかりだが、ロイターによると、子供への性教育は、親子間で形式的な内容を話し合って終わりにするのではなく、性交渉の多くの側面を繰り返し話し合うべきとの調査結果を発表した、という。南カリフォルニアの11から15歳の子供312人を対象に性交渉について親との話し合いの頻度や内容をランド研究所が調べたもので、子供との話し合いが多い親は子供との距離も近い傾向にあり、話し合いの内容が思春期や性病などの一般的なものから、自慰行為や性交渉時の感覚などの個人的な内容に移行する際も比較的スムーズに進む、とのこと。最近発表された北海道学校保健審議会の調査(中高生4,330人を対象)によると、高校生3年生では男女とも4割を超える生徒が経験があり、、2001年の前回調査時から、さらに性体験の低年齢化が進んでいることがわかった。その中で性に関する情報の入手先として「雑誌、テレビなど」が減る一方、「インターネットなど」が増えている。また中高生の出会い系の利用も増えており、それらが若者の性感染症の拡大の原因にもなっていると指摘される。子供への性の情報に関して、家庭も見直しが必要なのかもしれない。記事はこちらhttp://news.ameba.jp/world/2008/03/11641.htmlどこまでが過激な性教育かディベート開催中(医師限定)http://blog.carenet.com/

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新型インフルエンザ対策、感染症法改正案を閣議決定

5日、政府は新型インフルエンザ対策を強化するための感染症法と検疫法の改正案を閣議決定した。改正案では、鳥インフルエンザ(H5N1)を2類感染症に指定することに加え、新型インフルエンザも同法の感染症類型に追加し、入院措置などをとれるよう規定する。また、都道府県知事は、感染の疑いのある患者を含め、健康状態の報告や外出自粛等、感染防止のための協力を求めることができるようにする方針。

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インフルエンザ患者数が今季最多の4万4567人

国立感染症研究所によると、今年第3週(1月14~20日)のインフルエンザ患者数が、今季最多の4万4567人(1機関当たり平均9.35人)になった。都道府県別では、1機関当たりの報告数は三重が22.6人で最多。愛知20.5人、香川18.6人、高知17.4人、など。インフルエンザ流行レベルマップhttp://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/inf-keiho/index.html

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