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低侵襲食道切除術、切除可能食道がんの術後合併症を低減

切除可能な食道がんの治療では、低侵襲食道切除術が開胸食道切除術に比べ術後の肺感染症の頻度が低く、短期的なベネフィットをもたらすことが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのSurya S A Y Biere氏らの検討で示された。切除可能な食道がんの唯一の根治的治療は食道切除術とされるが、開胸食道切除術では患者の半数以上に術後の呼吸器合併症の発現がみられる。胸腔鏡と腹腔鏡を用いた低侵襲食道切除術は、術後の肺感染症の合併が少ないため在院日数が短縮することが知られているが、これまで無作為化試験による評価は行われていなかったという。Lancet誌2012年5月19日号(オンライン版2012年5月1日号)掲載の報告。術後合併症の発現を評価する多施設共同非盲検無作為化試験研究グループは、開胸食道切除術と低侵襲食道切除術における術後合併症の発現状況を評価する多施設共同非盲検無作為化試験を行った。2009年6月1日~2011年3月31日までに、3ヵ国(オランダ、スペイン、イタリア)の5施設から18~75歳の切除可能な食道がんおよび胃食道接合部がん患者(cT1~3/N0~1/M0)が登録され、開胸食道切除術あるいは右胸腔鏡と上腹部腹腔鏡を用いて侵襲度を最小限にした食道切除術(MIO群)を行う群に無作為に割り付けられた。患者、施術担当医、アウトカムの評価者、データ解析の担当者には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、術後2週以内および全在院期間中の肺感染症の発現とした。術後2週間の肺感染症:29% vs. 9%開胸群に56例、MIO群には59例が割り付けられた。術後2週間における肺感染症の発生率は、開胸群の29%(16/56例)に対しMIO群は9%(5/59例)と有意に低かった(相対リスク[RR]:0.30、95%信頼区間[CI]:0.12~0.76、p=0.005)。全在院期間中の肺感染症発生率も、開胸群の34%(19/56例)に対しMIO群は12%(7/59例)であり、有意な差が認められた(RR:0.35、95%CI:0.16~0.78、p=0.005)。在院日数はMIO群で有意に短く(14日 vs. 11日、p=0.044)、短期的なQOL(SF 36、EORTC C30、OES 18で評価)もMIO群が良好であった。在院中の死亡は、開胸群が1例(吻合部漏出)、MIO群は2例(吻合部漏出後の誤嚥および縦隔炎)だった。著者は、「これらの知見により、切除可能な食道がんに対する低侵襲食道切除術の短期的なベネフィットのエビデンスがもたらされた」と結論付け、「低侵襲食道切除術における肺感染症の低下はいくつかの要因で説明できるが、無気肺の発現低下の影響が大きいと考えられる」と指摘している。

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コーヒー摂取と原因別死亡との関連

 米国立衛生研究所(NIH)のNeal D. Freedman氏らによる、50~71歳の男女約40万人を対象に、コーヒー摂取とその後の全死亡および死因別死亡との関連を調べた結果、逆相関の関連が認められたことが報告された。ただし、その結果がコーヒー摂取によるものなのかどうか、あるいはコーヒー摂取が関連しているのかどうかは今回のデータからは判然としなかったと補足しまとめている。コーヒーは広く消費されている飲料の1つであり、抗酸化作用や生理活性作用の源となる物質を豊富に含むことが知られているが、死亡リスクとの関連は明らかとなっていない。NEJM誌2012年5月17日号掲載報告より。50歳以上の40万人を13年間追跡 Freedman氏らは、NIH-AARP食事健康調査に参加した、基線50~71歳の男性22万9,119人および女性17万3,141人を対象に、コーヒー摂取とその後の全死亡および死因別死亡との関連を調べた。がん、心疾患、脳卒中に罹患した参加者は除外された。コーヒー摂取についての評価は基線で1回行われた。 1995~2008年のフォローアップ期間中、514万8,760人・年のうち死亡は、男性3万3,731人、女性1万8,784人だった。年齢補正モデルにおいて、コーヒー摂取者での死亡リスク増加が認められた。しかし、コーヒー摂取者では喫煙者も多く、喫煙状態と他の潜在的交絡因子で補正したところ、コーヒー摂取と死亡率の間には有意な逆相関が認められた。がんによる死亡では逆相関みられず コーヒーを飲む男性について、飲まない男性と比較した死亡補正ハザード比は以下のとおりであった。 1日当たり1杯未満摂取では0.99(95%信頼区間:0.95~1.04)、1杯0.94(同:0.90~0.99)、2~3杯0.90(同:0.86~0.93)、4~5杯0.88(同:0.84~0.93)、6杯以上0.90(同:0.85~0.96)(傾向のP<0.001)。 女性のハザード比はそれぞれ、1.01(同:0.96~1.07)、0.95(同:0.90~1.01)、0.87(同:0.83~0.92)、0.84(同:0.79~0.90)、0.85(同:0.78~0.93)だった(傾向のP<0.001)。 なお疾患別にみると、心疾患、呼吸器疾患、脳卒中、外傷、事故、糖尿病、感染症による死亡では逆相関がみられたが、がんによる死亡では同関連はみられなかった。これらの結果は、喫煙歴がない人、基線の健康状態が良好ないしは特に良好と報告した人のサブグループでも同様だった。

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カルバペネム系抗生物質注射製剤「フィニバックス」 化膿性髄膜炎の効能・効果などの承認取得

 塩野義製薬は25日、カルバペネム系抗生物質注射製剤「フィニバックス点滴静注用0.25g、同0.5g、フィニバックスキット点滴静注用0.25g(一般名:ドリペネム水和物)」について、化膿性髄膜炎の効能・効果及び小児に対する用法・用量の承認を取得したと発表した。フィニバックスは緑膿菌に対しても強い抗菌力 フィニバックスは、同社で創製されたカルバペネム系抗生物質注射製剤で、グラム陽性菌からグラム陰性菌、好気性菌から嫌気性菌に対し強力かつ幅広い抗菌スペクトルを有し、特に、重症・難治性感染症の原因菌として治療上問題となっている緑膿菌に対しても強い抗菌力を示すことから、中等症から重症の各科領域感染症に有用性の高い薬剤として使用されている。日本国内では、0.25gバイアルの「フィニバックス点滴静注用0.25g」及び利便性・無菌性・確実性に優れた「フィニバックスキット点滴静注用0.25g」(注射用抗生物質とその溶解液のキット製品)に加え、昨年4月の高用量(1日最大3g)の用法・用量の承認取得を踏まえ、2011年11月より0.5gバイアルの「フィニバックス点滴静注用0.5g」を販売されている。

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【第56回日本リウマチ学会】アバタセプト全例調査 中間解析結果

第56回日本リウマチ学会総会・学術集会(JCR2012 )が2012年4月26日から28日にかけて品川で開催された。その中で産業医科大学第1内科学講座の田中良哉氏によって、生物学的製剤のアバタセプト(商品名:オレンシア)の使用成績調査(全例調査)の中間解析結果が報告された。標的部位の異なる生物学的製剤現在、関節リウマチ(RA)治療に用いられる生物学的製剤はTNF阻害剤が4製品、IL-6阻害剤とT細胞阻害剤がそれぞれ1製品発売されている。T細胞阻害剤であるアバタセプトは抗原提示細胞とT細胞間の共刺激シグナルを遮断し、T細胞の活性化とサイトカイン産生を阻害する薬剤である。これまでのTNFαやIL-6をターゲットとした生物学的製剤とはコンセプトの異なる薬剤として注目されている。3000例を目標とする全例調査2010年9月から症例登録が開始され、目標症例数は3000例(24週の観察期間を終了する症例数)である。本中間解析では登録開始後の初期1000例を対象として解析された。 性別 男性18.1%、女性81.9%平均年齢 61.4歳生物学的製剤の使用歴 未使用27.2% 既使用72.8%メトトレキサートの併用状況 非併用35.7% 併用64.3%安全性について有害事象は236例(23.6%)、うち重篤な有害事象は33例(3.3%)にみられ、副作用は160例(16.0%)、うち重篤な副作用は24例(2.4%)であった。重篤な副作用のうち感染症は8例(0.3%)で、そのうち呼吸器は6例、皮膚は1例、消化器は1例であった。また、生物学的製剤を投与する際には結核等の再燃が危惧されるが、本中間解析において結核の報告はなかった。なお、重篤な副作用発現に対するリスク因子として、リンパ球数1000mm3未満と体重40kg未満が示唆された。バイオナイーブ群ではより高い改善効果DAS28(CRP)*1平均値は投与前は4.3であったが、24週時点で3.3まで低下した。SDAI*2、CDAI*3はそれぞれ投与前が23.9、22.1あったのに対し、投与後は14.6、13.5にまで改善した。また、生物学的製剤による前治療の有無別でDAS28(CRP)の経時的推移をみたところ、既投与例は24週時点で2.3未満の寛解状態に達している患者は18.3%であったのに対し、未投与(バイオナイーブ)群では35.3%となり、バイオナイーブの患者でより大きな改善がみられた。より高い治療効果への期待全例調査の中間解析により、アバタセプトは比較的副作用の頻度が少なく、安全性の高さが示唆された。また、田中氏は、「アバタセプトは生物学的製剤未投与の患者で有効性が高かったため、より高い治療効果を得るには、バイオナイーブ症例への導入が鍵となる」と述べた。また、アバタセプトは効果発現の時期に関して、使用状況の異なる臨床でのイメージのみで議論されることがあるが、バイオナイーブ症例では、効果発現や有効性がTNF阻害剤と同等であるという報告もあり、今後さらなるデータの蓄積が期待される。 *1 DAS28(CRP)28の関節のうちの圧痛・腫脹関節数、患者による健康状態の評価、CRP(C反応性蛋白)による評価*2 SDAI28の関節のうちの圧痛・腫脹関節数、患者による全般評価、医師による全般評価、CRPによる評価*3 CDAI28の関節のうちの圧痛・腫脹関節数、医師による全般評価(ケアネット 森 幸子)

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心臓デバイス感染性心内膜炎、早期デバイス摘出で死亡率は半減

心臓デバイス感染性心内膜炎(cardiac device infective endocarditis:CDIE)の患者では、弁病変を併発している割合が高く1年死亡率が約15%と高いこと、一方で早期にデバイス摘出を行うことで、同死亡リスクは半分以下に減少することが報告された。オーストラリア・Barwon HealthのEugene Athan氏らが、28ヵ国の医療機関を通じて行った前向きコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月25日号で発表した。CDIEの医療ケア関連の感染は45.8%研究グループは2000年6月~2006年8月にかけて、28ヵ国、61ヵ所の医療施設を通じて、2,760人の感染性心内膜炎の患者について前向きコホート試験を行った。被験者のうち、CDIEとの診断を受けた177人(6.4%)について追跡した。CDIEの人は、より高齢(年齢中央値:71.2歳)で、ブドウ球菌による感染が多く(黄色ブドウ球菌:62人、35.0%、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌:56人、31.6%)、医療ケア関連の感染が81人(45.8%)と高率だった。初回入院時のデバイス摘出で、1年死亡リスクは0.42倍にまた、弁病変の合併症が認められたのは66人(37.3%)で、そのうち43人(CDIEの24.3%)が三尖弁感染症だった。弁病変の合併症のある人は、そうでない人に比べ、1年死亡率は有意に高率だった。入院死亡率は14.7%(26人)で、1年死亡率は23.2%(41人)だった。1年死亡率は、初回入院時にデバイス摘出を行った群では141人中28人(19.9%)と、同摘出を行わなかった群の34人中13人(38.2%)に比べ、リスクが半分以下(ハザード比:0.42、95%信頼区間:0.22~0.82)に減少した。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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膵管ステント留置はERCP後膵炎を予防できるか?:国内における無作為化比較試験結果

 国内における無作為化比較試験から、膵管ステント留置により、安全かつ効果的に内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)後膵炎を予防できることを示唆する論文が、World Journal of Gastroenterology誌2012年4月14日号に掲載された。これは、東海大学の川口義明氏らの報告で、高リスク患者への膵管ステント留置術を勧めている。膵管ステント留置群のERCP後膵炎の頻度は非留置群に比べ有意に低かった 本試験では、ERCP後膵炎の高リスク群と考えられる症例を、膵管ステント留置群(n=60)または非留置群(n=60)に無作為に割り付け、膵炎の発症頻度と重症度を評価した。結果は以下のとおり。・ERCP後膵炎の頻度は、膵管ステント留置群が1.7%(1/60例)で、非留置群13.3%(8/60例)に比べ有意に低かった(p=0.032、Fisherの正確確率検定)。・膵炎の重症度はすべて軽度であった。・高アミラーゼ血症の発生率は、膵管ステント留置群30%(18/60例)、非留置群38.3%(23/60例)であった(p=0.05、χ2検定)。・膵管ステント留置成功率は100%であった。・3日目までの膵管ステントの自然脱落率は96.7%(58/60例)であり、自然脱落までの期間の中央値は2.1日(範囲:2~3日)であった。・膵管ステント留置群におけるステントmigration、出血、穿孔、感染症(胆管炎や胆嚢炎)、ほかの偶発症の発生率はすべて0%(0/60例)であった。

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深在性真菌症治療薬「カンサイダス」発売

 MSD株式会社は19日、深在性真菌症治療薬「カンサイダス 点滴静注用50mg/70mg」(一般名:カスポファンギン酢酸塩)を発売した。 カンサイダスはキャンディン系抗真菌薬で、ヒトの細胞では生成されない真菌細胞壁の主要構成成分である1,3-β-D-グルカンの生合成を阻害することで深在性真菌症の主要起炎菌であるカンジダ属およびアスペルギルス属に対し抗真菌活性を示し、「カンジダ属又はアスペルギルス属による真菌感染症[食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)] 」の適応を取得した。また、キャンディン系抗真菌薬では唯一となる『真菌感染症が疑われる発熱性好中球減少症』の適応も有している。 海外ではすでに世界84ヵ国で販売されており(2011年9月現在)、日本国内では2012年1月18日に製造販売承認を取得し、4月17日に薬価基準収載された。 詳細はプレスリリースへhttp://www.msd.co.jp/newsroom/msd-archive/2012/Pages/product_news_0419.aspx

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現金給付プログラム、就学中の若年女性のHIV、HSV-2感染を抑制

現金給付プログラムは、低所得層の就学若年女性においてHIVおよび単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)の感染を抑制するが、すでに退学している場合は効果がないことが、米国・ジョージ・ワシントン大学のSarah J Baird氏らがアフリカで行った調査で示された。世界のHIV感染者の3分の2がサハラ砂漠以南の地域に居住しており、その60%が女性だ。世界の新規感染者の45%が15~24歳の若年者であり、この年齢層の感染率は女性が男性の2倍以上だという。教育の不足や男性への経済的依存が、女性のHIV感染の重大なリスク因子であることが示唆されている。Lancet誌2012年4月7日号(オンライン版2012年2月15日号)掲載の報告。現金給付プログラムの有効性をクラスター無作為化試験で評価研究グループは、若年女性の性感染症のリスク低減における現金給付プログラムの有効性を評価するクラスター無作為化試験を実施した。マラウイ・ゾンバ地方の176の調査地区から13~22歳の未婚女性が登録された。調査地区を1対1の割合で、現金給付を行う群(介入群)あるいは介入を行わない群(対照群)に無作為に割り付けた。介入群の地区は、さらに給付の要件として就学を求める群と求めない群に分けられた。介入群の参加者は、くじ引きによる抽選で毎月1、2、3、4、5ドルのいずれかを受け取り、各世帯は毎月4、6、8、10ドルのいずれかを受給した。ベースラインと12ヵ月後に行動リスク評価を行い、18ヵ月後には血清検査を実施した。主要評価項目は、18ヵ月後のHIVおよびHSV-2の有病率とした。性行動の変容を直接目標としない構造的介入の有用性を示唆介入群には88地区が割り付けられ、2008年1月~2009年12月までに各年10回ずつの現金給付が行われた。対照群にも88地区が割り付けられた。ベースライン時に就学していた1,289人の解析では、18ヵ月後のHIVの加重有病率は介入群が1.2%と、対照群の3.0%に比べ有意に低下した(調整オッズ比[OR]:0.36、95%信頼区間[CI]:0.14~0.91)。HSV-2の加重有病率も、介入群は0.7%であり、対照群の3.0%に比し有意に改善された(調整OR:0.24、95%CI:0.09~0.65)。介入群のうち、給付に就学を求められた群と就学しなくても給付を受けた群の間に、HIV加重有病率(1% vs. 2%)およびHSV-2加重有病率(1% vs. <1%)の差はみられなかった。ベースライン時に就学していなかった群では、介入群と対照群でHIV加重有病率(10% vs. 8%)およびHSV-2加重有病率(8% vs. 8%)の差を認めなかった。著者は、「現金給付プログラムにより、低所得層の青年期女学生におけるHIV、HSV-2感染の改善が可能と考えられる」と結論しており、「性行動の変容を直接的なターゲットとはしない構造的介入は、HIV感染の予防戦略の重要なコンポーネントとなる可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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DPP-4阻害薬、メトホルミン単独で目標血糖値非達成例の二次治療として有効

 ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害薬は、メトホルミン単独療法で目標血糖値が達成されなかった2型糖尿病患者の二次治療としてHbA1cの低下効果を発揮することが、ギリシャ・アリストテレス大学のThomas Karagiannis氏らの検討で示された。経口血糖降下薬であるDPP-4阻害薬は、2型糖尿病患者のHbA1cを著明に低下させ、体重増加や低血糖のリスクも少ない。種々の血糖降下薬に関する間接的なメタ解析では、二次治療薬としてのDPP-4阻害薬は他の薬剤と同等のHbA1c低下効果を有することが示唆されているが、既存の2型糖尿病の治療ガイドラインはDPP-4阻害薬の使用に関するエビデンスが十分ではないという。BMJ誌2012年3月31日号(オンライン版2012年3月12日号)掲載の報告。DPP-4阻害薬の有効性と安全性をメタ解析で評価研究グループは、2型糖尿病の成人患者におけるDPP-4阻害薬の有効性と安全性の評価を目的に、無作為化試験の系統的なレビューとメタ解析を行った。論文の収集には、データベース(Medline、Embase、Cochrane Library)、会議記録、試験登録、製薬会社のウェブサイトを使用した。解析の対象は、単独療法としてのDPP-4阻害薬とメトホルミンあるいはメトホルミンとの併用におけるDPP-4阻害薬と他の血糖降下薬(スルホニル尿素薬、ピオグリタゾン、グルカゴン様ペプチド1[GLP-1]作動薬、基礎インスリン)を比較した無作為化対照比較試験であり、HbA1cのベースラインからの変動について評価した試験とした。主要評価項目はHbA1cの変動、副次的評価項目はHbA1c<7%達成率、体重の変化、有害事象による治療中止率、重篤な有害事象の発生率などとした。HbA1c低下効果はメトホルミンに劣るが、悪心、下痢、嘔吐が少ない1万3,881例が参加した19試験に関する27編の論文が解析の対象となった。DPP-4阻害薬群は7,136例、他の血糖降下薬群は6,745例だった。抄録のみの1試験を除き、主要評価項目に関するバイアスのリスク評価を行ったところ、3論文では低かったが、9論文は不明、14論文は高いという結果だった。メトホルミン単独療法との比較では、DPP-4阻害薬はHbA1c低下効果(加重平均差[WMD]:0.20、95%信頼区間[CI]:0.08~0.32)および体重減少効果(WMD:1.5、95%CI:0.9~2.11)が低かった。二次治療におけるDPP-4阻害薬のHbA1c低下効果はGLP-1作動薬に比べて劣り(WMD:0.49、95%CI:0.31~0.67)、ピオグリタゾンとは同等で(WMD:0.09、95%CI:-0.07~0.24)、HbA1c<7%の達成率はスルホニル尿素薬を上回らなかった(リスク比:1.06、95%CI:0.98~1.14)。体重の変動については、DPP-4阻害薬はスルホニル尿素薬(WMD:-1.92、95%CI:-2.34~-1.49)やピオグリタゾン(WMD:-2.96、95%CI:-4.13~-1.78)よりも良好だったが、GLP-1作動薬ほどではなかった(WMD:1.56、95%CI:0.94~2.18)。二次治療としてのDPP-4阻害薬とメトホルミン単独あるいはメトホルミンとの併用におけるDPP-4阻害薬、ピオグリタゾン、GLP-1作動薬に関する試験では、いずれの治療群も低血糖の発生数は最小限であった。メトホルミン+DPP-4阻害薬とメトホルミン+スルホニル尿素薬併用療法の比較試験のほとんどでは、低血糖のリスクはスルホニル尿素薬を含む群でより高かった。重篤な有害事象の発生率はピオグリタゾンよりもDPP-4阻害薬で低かった。悪心、下痢、嘔吐の発生率はDPP-4阻害薬よりもメトホルミンやGLP-1作動薬で高かった。鼻咽頭炎、上気道感染症、尿路感染症のリスクはDPP-4阻害薬と他の薬剤で差はなかった。著者は、「DPP-4阻害薬は、メトホルミン単独療法で目標血糖値が達成されなかった2型糖尿病患者の二次治療としてHbA1cの低下効果を有するが、コストや長期的な安全性についても考慮する必要がある」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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brodalumab、中等度~重度の乾癬に有効

尋常性乾癬に対する、brodalumab(開発コードAMG 827)の有効性と安全性を検討した第2相試験の結果が報告された。brodalumabは、抗IL-17受容体完全ヒト抗体で、第1相試験において、1回700mg投与の6週間時点での相当な改善が示され、本試験では用量プロファイルが模索された。乾癬は、米国では人口の2~3%、欧州では0.6~6.5%に存在するとされる慢性T細胞自己免疫疾患で、皮膚細胞が炎症症状を起こし角化するのが特徴で、最近の研究で、その発現にIL-17が関わっていることが明らかになっている。カナダ・Probity Medical ResearchのKim A. Papp氏らによる本報告は、NEJM誌2012年3月29日号で発表された。重症度の高い患者を4段階の用量別に無作為化Papp氏らによる、第2相無作為二重盲検プラセボ対照用量探索試験は、乾癬面積・重症度指数(PASI、0~72までのスコアで、高いほど重篤であることを示す)が12以上で、体表面積の10%以上が乾癬病変である患者198例を、brodalumab(用量70mg、140mg、210mg を1日目と1・2・4・6・8・10週目に、または280mgを月1回)、またはプラセボを投与する群に、無作為に割り付け行われた。主要エンドポイントは、12週時点のPASIスコアのベースラインからの改善率とした。副次エンドポイントは、12週時点のPASIスコア75%以上の改善、同90%以上の改善、医師による総合評価(sPGA)スコアとした。重症度、医師の総合評価とも、有意に改善12週時点のPASIスコア平均改善率は、brodalumab用量70mg群45.0%、140mg群85.9%、210mg群86.3%、280mg群76.0%で、プラセボ群は16.0%だった(プラセボとの全比較におけるP<0.001)。12週時点のPASIスコア75%以上の改善は、brodalumab用量140mg群(77%)、210mg群(82%)で報告され、プラセボ群は0%であった。また、同90%以上の改善は、140mg群で72%、210mg群で75%であったのに対し、プラセボ群は0%だった(全比較のP<0.001)。sPGAの結果、症状が消失または最小と評価された患者の割合は、プラセボ群3%であったのに対し、brodalumab用量70mg群で26%、140mg群85%、210mg群80%、280mg群69%だった(いずれもプラセボとの比較のP<0.01)。安全性については、brodalumab用量210mg群でグレード3の好中球減少症が2例報告された。すべて用量brodalumab群を合わせた中で、最も高頻度に報告された有害事象は鼻咽腔炎(8%)、上気道感染症(8%)、注射部位紅斑(6%)だった。研究グループは、「12週投与の第2相試験の結果、brodalumabは、尋常性乾癬を有意に改善したことが認められた」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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ニュージーランドでも、入院の最大原因は感染性疾患

先進国ニュージーランドでも、入院の最大の原因は感染性疾患であり、感染症罹患リスクには明確な人種的、社会的な隔差が存在することが、ニュージーランド・オタゴ大学のMichael G Baker氏らの調査で示された。重篤な感染性疾患の疾病負担は先進国では低下傾向にあるが、ニュージーランドでは総発生率を検討した全国調査はほとんどないという。Lancet誌2012年3月24日号(オンライン版2012年2月20日号)掲載の報告。疫学情報の新たなモニタリング法を開発研究グループは、重篤な感染性疾患の疫学情報をモニタリングする系統的な方法を開発し、その妥当性を検証した。1989~2008年のニュージーランドにおける感染性および非感染性疾患による全入院について全国的な疫学調査を行い、人種別、社会経済的状況別の発生率を検討した。国際疾病分類第9版(ICD-9)に基づく診療データの記録方式を第10版(ICD-10)に準拠したものに拡張し、これをニュージーランド保健省の入院データに適用した。得られた結果を解析して、保健診療の経時的な変化について評価し、急性疾患による入院の状況を調査した。他国でのサーベイランスにも適用可能入院の最大の原因は感染症であった。急性疾患による入院に占める割合は、1989~1993年の20.5%から2004~2008年には26.6%に増加していた。感染症の罹患リスクには明確な人種的、社会的な隔差が認められた。2004~2008年の年齢で標準化した感染症罹患リスクの率比は、ヨーロッパ系人種に比べ先住民マオリ族が2.15、太平洋系民族は2.35であった。貧困度の五分位別の解析では、社会経済的な貧困度が最も低い群に比べ、最も高い群の感染症罹患リスクの率比は2.81だった。これらの隔差は過去20年で実質的に増大しており、特に最も貧困度の高いマオリ族と太平洋系民族で感染リスクが高かった。著者は、「これらの知見は、感染性疾患の予防努力のいっそうの強化と、人種・民族的、社会的な隔差を縮小し、所得、住環境、保健サービスへのアクセスなど広範な社会的因子の隔差に関し公知を促す必要性をさらに高めるものである」と結論づけ、「我々が開発した方法は、他の国でも感染性疾患のサーベイランスに適用可能と考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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クロストリジウム・ディフィシル感染症治療薬「フィダキソマイシン」 アステラスが日本で独占的開発・販売へ

アステラス製薬は30日、米国のバイオ医薬品会社オプティマー社(英名:Optimer Pharmaceuticals, Inc.)と、同社のクロストリジウム・ディフィシル感染症治療薬である「Fidaxomicin(フィダキソマイシン)」について、日本における独占的開発・販売契約を2012年3月29日(米国時間)に締結したと発表した。「フィダキソマイシン」はオプティマー社が開発した新規の作用機序と選択的な抗菌スペクトルを有する経口の大環状抗菌剤で、同社の欧州子会社であるアステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.が、2011年2月に欧州、中東、アフリカ、独立国家共同体(CIS)の地域における本剤の独占販売権を、オプティマー社より取得している。欧州においては、「DIFICLIR」という製品名で販売の準備段階にあるという。また、日本国内においては同剤の開発は行われていないが、今後、同社が開発を進めていくとのこと。なお、欧米で実施されたクロストリジウム・ディフィシル感染症患者を対象とした第III相臨床試験において、同剤はバンコマイシンと同等の臨床治療効果が確認されているという。また、バンコマイシンに対して統計学的に有意に優れた総合治療効果と再発抑制効果があることも認められているとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-141.html

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深在性真菌症治療薬 カスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス)

深在性真菌症治療薬のカスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス点滴静注用50mg、同点滴静注用70mg)が2012年1月18日に製造承認を取得した。適応は「(1)真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症(FN)、(2)カンジダ症(食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症)、アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)」となっている。深在性真菌症の現状深在性真菌症は、主に、白血病をはじめとした血液疾患やがんに対する化学療法、造血幹細胞移植における好中球減少時など、免疫力が低下している患者において、深部組織や臓器にカンジダ属やアスペルギルス属などが日和見感染することで感染を引き起こす疾患である。一般に重症化しやすく、治療が難しい感染症である。我が国における深在性真菌症の患者数は年々、増加傾向にあり、その中でもアスペルギルス症の増加が著しいとの報告がある1)。カスポファンギンの承認これまで、アゾール系、ポリエン系、フロロピリミジン系、キャンディン系などの深在性真菌症治療薬が使用されてきた。この度、承認されたカスポファンギンは、国内で2剤目となるキャンディン系抗真菌薬で、2000年12月に世界初のキャンディン系として承認されて以来、これまでに世界84ヵ国(2011年9月現在)と、多くの臨床現場で使用されてきた。カスポファンギンは既に、IDSA(米国感染症学会)のガイドラインをはじめ、さまざまな海外のガイドラインで推奨されている。このため、深在性真菌症治療に携わる医療関係者からの認知度は高く、国内での承認が待ち望まれてきた薬剤である。特に、カスポファンギンがキャンディン系で初めて「真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症」の適応を取得した意義は大きい。発熱性好中球減少症におけるエンピリック治療発熱性好中球減少症とは好中球が1,000/μL未満で且つ、500/μL未満になる可能性がある状況下で、腋窩で37.5℃以上(口腔内温≧38℃)の発熱が生じ、薬剤熱、腫瘍熱、膠原病、アレルギーなど原因がはっきりわかっているものを除外できる疾患をいう。発熱性好中球減少症は血液培養で10%程度の陽性率と低く、臨床的に感染巣が明らかなものは10~20%程度に留まり、70~80%で原因不明の発熱がおこる2)。このようなことから発熱性好中球減少症では、起因菌が特定できないまま、細菌や真菌感染を疑い、エンピリック治療が行われることが多い。しかしながら、これまで、キャンディン系には、発熱性好中球減少症の適応はなかった。この度、カスポファンギンが適応を取得したことにより、深在性真菌症治療に新たな選択肢が加わることは、患者や医療関係者にとって福音となるであろう。まとめ医療技術の発展による、骨髄・臓器移植、がんに対する化学療法などといった高度医療の普及や高齢化社会の進行により、患者の免疫低下リスクが高まる要因は増えていくと考えられる。そして、免疫低下患者の増加に伴い、深在性真菌症も増加することが予想される。このような背景の中、カスポファンギンが新たな選択肢となり、深在性真菌症治療の幅が広がることは、医療関係者にとって新たな治療戦略となる。そして、それは患者やその家族の明日への希望につながるといえよう。

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急性単純性膀胱炎に対するセフポドキシムvs. シプロフロキサシン

急性単純性膀胱炎への抗菌薬投与について、セフェム系のセフポドキシム(商品名:バナンほか)はフルオロキノロン系のシプロフロキサシン(同:シプロキサンほか)に対し、非劣性を示さなかったことが報告された。米国・マイアミ大学のThomas M. Hooton氏らが、女性患者300人を対象に行った無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月8日号で発表した。フルオロキノロン系の抗菌薬は単純性膀胱炎に対し最も有効として一般的に使用されている一方で、その耐性大腸菌発生率の上昇が世界的に報告されており、最近公表された米国感染症学会のガイドラインでは、使用の制限が勧告されている。同疾患に対するセフポドキシムの使用については、これまで十分な検討データがなかった。3日間投与し、30日後の治癒率を比較研究グループは、2005~2009年にかけて、18~55歳の急性単純性膀胱炎と診断された女性300人を、無作為に二群に分け検討した。一方にはシプロフロキサシン(250mg、1日2回)を、もう一方にはセフポドキシム(100mg、1日2回)をそれぞれ3日間投与した。治療終了後、5~9日目と、28~30日目に、アウトカムを評価した。主要アウトカムは、30日後の診察時における臨床的治癒とした。副次アウトカムは、治療終了後5~9日目の診察時における、臨床的・微生物学的治癒と、両診察時における膣の大腸菌コロニー形成とされた。30日後臨床的治癒率、5~9日後微生物学的治癒率ともに非劣性示さずその結果、追跡不能を治癒とみなした場合では、30日後の臨床的治癒率は、シプロフロキサシン群が93%(150人中139人)に対し、セフポドキシム群は82%(150人中123人)で、治癒率格差は11%(95%信頼区間:3~18)と、事前に定義した非劣性マージン10%未満の基準を満たさなかった。また、追跡不能を治療に反応しなかったとみなした場合では、30日後臨床的治癒率は、それぞれ83%(150人中124人)と71%(150人中106人)で、治癒率格差は12%(同:3~21)で、非劣性マージン基準を満たさなかった。治療終了後5~9日目の微生物学的治癒率も、各群96%と81%、同率格差は15%で基準を満たさなかった。治療終了後の初回診察時に、膣大腸菌のコロニー形成が認められたのは、シプロフロキサシン群で16%に対し、セフポドキシム群では40%に上った。結果を受けてHooton氏は、「他の広域β-ラクタムへの重大な生態学的影響の懸念は残るが、セフポドキシムを急性単純性膀胱炎に対し、シプロフロキサシンに代わって第一選択薬として使用することは支持できない」と結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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後発医薬品10成分と「ジフルカン」の新剤形の承認取得

 ファイザー株式会社は15日、後発医薬品10成分21品目と深在性真菌症治療剤「ジフルカンドライシロップ350mg/1400mg」(一般名:フルコナゾール)の承認を取得したと発表した。 今回、後発医薬品として初めて承認されたゾルピデム酒石酸塩錠、パロキセチン錠、ロサルタンK錠を含む10成分21品目は、注射剤1成分と内服剤8成分、外用剤1成分で、順次発売される予定だ。 また、深在性真菌症治療剤「ジフルカンドライシロップ350mg/1400mg」は2月14日に承認を取得し、カプセル、静注液に加えてドライシロップ剤形が追加される。ジフルカンは、成人・小児におけるカンジダ属およびクリプトコッカス属による各種真菌症の治療、造血幹細胞移植患者の真菌感染症の予防に使用されている。フルコナゾールの内服薬としては、1989年にカプセル剤が承認されているが、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果を受け、懸濁剤の追加について2010年5月21日付で、厚生労働省より同社対して開発要請がなされた。今回の承認により、カプセル剤の服用が困難な乳幼児や嚥下障害のある成人のために、海外ではすでに上市されている懸濁剤を導入するという。 詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2012/2012_02_16.html

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寒冷蕁麻疹の発症に遺伝子欠損が関連

特色ある炎症性遺伝子の表現型を精査することで、免疫調節の仕組みや疾患メカニズムの同定および解明に結びつけることが可能とされる。米国NIHのMichael J. Ombrello氏らは、その手法を用いて、冷たいものに触れたり体温が下がると発症する寒冷蕁麻疹の優性遺伝が認められる3家族の遺伝子型を精査し、遺伝子に関わる原因や疾患メカニズムについて解明を試みた。NEJM誌2012年1月26日号(オンライン版2012年1月11日号)掲載報告より。優性遺伝が認められる3家族の遺伝子表現型を精査Ombrello氏らは、寒冷蕁麻疹、抗体欠損、感染症および自己免疫に対する感受性について優性遺伝を有する3家族を同定し検討を行った。免疫表現型について、フローサイトメトリー、血清免疫グロブリンと自己抗体の分析、リンパ球刺激アッセイ、酵素測定アッセイなどでタイピングを行い、また遺伝的なことについて、連鎖分析、標的サンガー塩基配列決定、次世代の全ゲノム塩基配列決定などで調査した。寒冷蕁麻疹は、すべての調査対象者で発症した。その他にアトピー、肉芽腫性発疹、自己免疫性甲状腺炎、抗核抗体の存在、気道感染と後天性免疫グロブリン血症が認められた。また血清IgMとIgA、ナチュラルキラー細胞とクラスをスイッチした記憶B細胞の減少が認められた。37度を下回ると細胞情報の伝達が亢進される仕組みが判明連鎖解析からは、1家族で染色体16q上に7Mbの領域候補が示された。それは同家族よりも少人数構成の1家族における、3.5Mbの疾患関連ハプロタイプに重なった。またこの領域には、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞で発現するシグナル伝達分子のホスホリパーゼCγ2(PLCγ2)をコードするPLCG2が含まれており、相補DNAの塩基配列決定で、2家族でエキソン19が欠失しているヘテロコピーが、残る1家族でエキソン20~22が欠損しているヘテロコピーの存在が認められた。ゲノム塩基配列決定では、疾患と同時に分離した、3つの異なるインフレーム欠失の存在が認められた。これらの欠失(自己抑制的な領域をコード化している領域に位置している)は、恒常的なホスホリパーゼ活性を有するタンパク物質を産生していた。そしてPLCG2発現細胞では、37度までは細胞情報伝達が抑制されたが、生理的温度を下回ると情報伝達は亢進した。以上の結果を踏まえ、Ombrello氏は「PLCG2のゲノム欠失がPLCγ(2)の獲得を押し上げ、複数の白血球サブセットで情報伝達の異常を起こし、免疫機能の過剰または不十分な表現型をもたらす」とまとめている。

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認知症高齢者、入院率は1.4倍に増大

高齢者において、認知症は入院を有意に増大するリスク因子であることが米国・ワシントン大学のElizabeth A. Phelan氏らによる調査の結果、報告された。認知症高齢者の入院率はそうでない高齢者の約1.4倍に上り、なかでも細菌性肺炎や尿路感染症のような外来治療可能な疾患での入院率が、約1.8倍多かったという。同氏らが3,000人超の高齢者について調べた結果で、JAMA誌2012年1月11日号で発表した。補正前入院率、非認知症は200件/1,000人・年、認知症は419件/1,000人・年研究グループは、65歳以上の3,019人の1994~2007年のデータについて、後ろ向き縦断コホート調査を行った。 主要評価項目は、認知症の有無による、全原因入院率や外来治療可能疾患(ambulatory care–sensitive conditions:ACSC)による入院率とした。結果、追跡期間中に認知症を発症したのは494人で、うち427人(86%)が1回以上入院した。認知症を発症しなかった2525人では、うち1478人(59%)が入院した。補正前入院率は、非認知症群が200件/1,000人・年だったのに対し、認知症群は419件/1,000人・年に上った。認知症群の全入院率比は1.41倍、ACSCによる入院率比は1.78倍年齢、性別やその他交絡因子を補正後、認知症群の非認知症群に対する入院率比は、1.41(95%信頼区間:1.23~1.61、p<0.001)だった。ACSCによる入院に関する同入院率比は、1.78(同:1.38~2.31、p<0.001)とさらに高かった。入院の原因器官系別に入院率をみたところ、大半で認知症群が非認知症群より有意に高率だった。また細菌性肺炎やうっ血性心不全、尿路感染症による入院は、ACSCでの入院の3分の2を占め、いずれの補正後入院率も、認知症群が非認知症群より有意に高率だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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スタチンは感染症リスクを低減しない

オランダ・ユトレヒト大学のHester L van den Hoek氏らは、「スタチンは感染症リスクを低減する」との仮説を検証するためのメタ解析を行い、これを支持するエビデンスは得られなかったことを、BMJ誌2011年12月17日号(オンライン版2011年11月29日号)で報告した。スタチンは心血管疾患の予防や治療に広く用いられているが、抗炎症作用や免疫調整作用も有することが知られている。スタチン服用者は感染リスクが低下していることが、いくつかの観察試験で報告されているが、これらの試験のデータはバイアスを完全には排除しきれないという。観察試験データを検証するためのメタ解析研究グループは、観察試験で報告されているスタチンの感染リスク低下作用を検証するために、プラセボ対照無作為化試験の系統的なレビューとメタ解析を行った。データベース(Medline、Embase、Cochrane Library)を用いて、2011年3月10日までに報告されたスタチンのプラセボ対照無作為化試験(100例以上を登録、フォローアップ期間1年以上)を検索し、感染および感染症関連死亡に関するデータを抽出した。感染症罹患および関連死の相対リスクに有意差なし11試験に参加した3万947例のデータが得られた。治療期間中に4,655例が感染症を発症し、その内訳はスタチン群が2,368例、プラセボ群は2,287例であった。メタ解析では、スタチンの感染症リスクの抑制効果は認めず(相対リスク:1.00、95%信頼区間:0.96~1.05)、感染症関連死亡の低下効果も確認されなかった(同:0.97、0.83~1.13)。著者は、「これらの知見は、スタチンが感染症リスクを低減するとの仮説を支持しない」と結論し、「大規模なプラセボ対照試験で良好な効果のエビデンスが得られなかったため、観察試験で報告されたスタチンの感染症抑制効果の可能性は低くなった」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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死産の原因、人種間差異が明らかに:米国SCRN調査

米国で、妊娠20週以降の死産の原因について調べたところ、産科的合併症が最も多く約29%、次いで胎盤異常が約24%に上ることなどが明らかにされた。米国立小児保健発育研究所(NICHD)が死産という重大な公衆衛生問題に取り組むため組織した「The Stillbirth Collaborative Research Network」(SCRN)が、死産を経験した女性約600人について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年12月14日号で発表した。米国では、死産が妊娠160件につき1件の割合で発生しており、その総数は1年間の乳児死亡数にほぼ匹敵し、死産率は先進諸国と比べると高率で、過去10年間ほぼ横ばいで推移しているという。産科的合併症が最も多く29%、次いで胎盤異常24%米国での死産の傾向として、有意な人種間差異が認められていたが未解明だった。そこでSCRNは、人種・民族性および地理的ベースが多様な集団での、死産の原因を明らかとするため、2006年3月~2008年9月の間に全米59の3次救急を担う地域中核病院で登録された妊娠20週以降に死産した女性663人について、病歴調査や胎児の検死、胎盤の病理学的検査などを行い、その原因について調査した。検死は、同意の得られた被験者500人(胎児数512児)について可能だった。結果、60.9%にあたる312児で推定死因が判明し、可能性まで含めると76.2%の390児の死因が判明した。死産の原因で最も多かったのは、産科的合併症で150児(29.3%)、次いで胎盤異常が121児(23.6%)、胎児の遺伝的・構造的異常が70児(13.7%)、感染症が66児(12.9%)、臍帯異常が53児(10.4%)、高血圧性疾患が47児(9.2%)、その他の母体の健康状態によるものが40児(7.8%)だった。黒人の母親で産科的合併症、感染症の割合が高率死産の原因を人種別にみたところ、白人やヒスパニック系と比べて黒人の母親で、産科的合併症(43.5%対23.7%、絶対格差:19.8ポイント、p<0.001)、感染症(25.2%対7.8%、絶対格差:17.4ポイント、p<0.001)が有意に高率だった。また黒人の母親では、分娩時死産、より早い時期での死産発生もより多く認められた。死産の原因解明に役立ちそうな情報ソースとしては、胎盤の病理学的検査(268児、52.3%)、胎児の検死(161児、31.4%)、核型情報(限定的結果で357児中32児、9%)が挙げられた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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結核に対するrifapentine+イソニアジド、イソニアジド単独と予防効果同等

潜在性結核感染症に対するrifapentine+イソニアジド(商品名:イスコチンほか)の3ヵ月投与は、イソニアジド単独の9ヵ月投与と予防効果は同程度で、治療完遂率はより高いことが、オープンラベル無作為化非劣性試験の結果、報告された。現在有効とされる標準療法はイソニアジド単独9ヵ月投与だが、毒性作用(特に肝臓における)や、治癒完遂率が低い(30~64%)ことが懸念されていた。試験は米国CDCが資金提供し、米国・ヴァンダービルト医科大学のTimothy R. Sterling氏らPREVENT TB試験チームにより行われた。NEJM誌2011年12月8日号(オンライン版2011年11月13日号)掲載報告より。4ヵ国で結核リスクの高い7,731例を登録し、オープンラベル無作為化非劣性試験試験は、米国、カナダ、ブラジル、スペインから登録され適格となった結核リスクの高い7,731例を、直接監視下にてrifapentine 900mg+イソニアジド900mgを週1回、3ヵ月間服用する、併用投与群(3,986例)と、自己管理でイソニアジド300mgを9ヵ月間服用する単独投与群(3,745例)に割り付け行われた。主要エンドポイントは、結核の確定診断とされた。非劣性マージンは0.75%。追跡期間は33ヵ月間だった。併用群の非劣性証明、治療完遂率はより高い修正intention-to-treat解析の結果、結核発症は、併用群7例(累積発症率0.19%)、単独群は15例(同0.43%)で、両群差は0.24ポイント(95%信頼区間上限値差0.01%)と、併用群は単独群に対し非劣性であることが認められた。治療完遂率は、併用群82.1%、単独群69.0%で、併用群のほうが高かった(P<0.001)。一方で、有害事象発生による投与中断の割合は、併用群4.9%、単独群3.7%で、併用群のほうが多かった(P=0.009)。試験担当医が認めた薬剤関連の肝毒性作用の発生率は、併用群0.4%、単独群2.7%だった(P<0.001)。Sterling氏は、「併用群は単独群と予防効果は同程度であり、治療完遂率はより高かった」とまとめたうえで「長期安全性のモニタリングが重要となるだろう」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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