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semagacestat、AD患者の認知機能を改善せず/NEJM

 γセクレターゼ阻害薬semagacestatは、アルツハイマー型認知症(AD)患者の認知機能を改善せず、皮膚がんなどのリスクを増大させる可能性があることが、米国・ベイラー医科大学のRachelle S Doody氏らの検討で示された。この結果を受けて試験は早期中止となった。論文はNEJM誌2013年7月25日号に掲載された。ADの原因物質とされるアミロイドβ(Aβ)蛋白は、アミロイド前駆体蛋白(APP)からβセクレターゼおよびγセクレターゼにより切断されて産生される。semagacestatはγセクレターゼを阻害する低分子化合物である。2種類の用量をプラセボ対照試験で評価 研究グループは、AD治療におけるsemagacestatの2種類の用量の有用性をプラセボと比較する二重盲検無作為化試験を実施した。 対象は、55歳以上、うつ症状のみられない軽度~中等度のAD患者とした。参加者はsemagacestat 100mg/日、140mg/日またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、ベースラインから76週までのADAS-cogおよびADCS-ADLの変化とした。ADAS-cogはAD患者の認知機能の評価スケール(0~70点)で、スコアが大きいほど認知機能障害が重度であることを示す。ADCS-ADLはAD患者の日常生活動作(ADL)の評価スケール(0~78点)で、スコアが大きいほどADLは良好である。高用量で有効性が低く、有害事象の頻度が高い傾向 1,534例が登録され、プラセボ群に501例、100mg群に506例、140mg群には527例が割り付けられた。全体の平均年齢は73.2歳、男性が47%で、約82%がコリンエステラーゼ阻害薬を、33%がメマンチン(商品名:メマリー)を、29%がその両方を使用していた。 データ安全性監視委員会の勧告に基づき試験は完了前に中止された。治療を完遂したのは463例(プラセボ群189例、100mg群153例、140mg群121例)であった。最も大きな治療中止の理由は試験の中止であったが、有害事象による治療中止がsemagacestat群で有意に多かった(p<0.001)。 76週後の認知機能は3群すべてで増悪した。すなわち、ADAS-cogスコアがプラセボ群で6.4、100mg群で7.5(p=0.15、プラセボ群との比較)、140mg群では7.8(p=0.07、同)上昇した。 ADLも全群で低下した。ADCS-ADLスコアがプラセボ群で9.0、100mg群で10.5(p=0.14、プラセボ群との比較)、140mg群では12.6(p<0.001、同)減少した。 52週の時点で、プラセボ群は体重が増加した(0.4kg)のに対し、semagacestat群はいずれも減少し(100mg群:-1.6kg、140mg群:-1.6kg)、有意な差が認められた(p<0.001)。また、皮膚がん(非メラノーマ性)や感染症の頻度がsemagacestat群で高かった。 semagacestatによる検査値異常として、リンパ球、T細胞、免疫グロブリン、アルブミン、総蛋白量、尿酸の低下が認められ、好酸球、単球、コレステロールが上昇した。また、尿pHの上昇もみられた。 著者は、「semagacestatは軽度~中等度AD患者にベネフィットをもたらさないことが示された。高用量のほうが有効性が低く、有害事象の頻度が高い傾向がみられた」とまとめ、「有害事象はAPP以外の蛋白への作用によると考えられるが、臨床的な増悪がγセクレターゼの阻害やAβの低下によるものかは不明」としている。

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Dr.岩田の感染症アップグレードBEYOND

第5回「尿路感染を舐めていないか?」第6回「解剖学(アナトミー)で考えるSSTI、骨・関節の感染症」第7回「スピードで勝負する髄膜炎」第8回「実は難しくない院内感染症」第9回「僕たちはそこで何ができるのか?被災地での感染症対策」 第5回「尿路感染を舐めていないか?」尿路感染は「難しくない」と思っている先生方はとても多いのですが、実はそこに落とし穴があります。尿路感染だと思って治療していたら実は○○だった…、という例には枚挙にいとまがありません。特にベテランの先生ほど、このピットフォールには陥りがちなのです。また、尿路感染=ニューキノロンという考え方も誤りです。実際、岩田先生のプラクティスで尿路感染にニューキノロンが使われることはほとんどありません。では、どうしたらいいのでしょうか?この回を見てしっかり学んでください。第6回「解剖学(アナトミー)で考えるSSTI、骨・関節の感染症」日常診療でもしばしば遭遇する、皮膚や軟部組織の感染症SSTI(Skin and Soft Tissue Infection)、骨、関節の感染症。実は、内科系のドクターはこれらが苦手な方が多いといいます。それは、感染した部位を外科的な視点で解剖学的に見ることが必要だから。単に、「腕」「足」の関節ではなく、その詳しい場所と、組織を特定しなければいけません。また、SSTIによく使われる第三世代セファロスポリンは明らかな誤用です。診断と治療の正しいアプローチを詳しく解説します。第7回「スピードで勝負する髄膜炎」頻度は高くないが、細菌性であれば命に関わる髄膜炎。全ての医師が少なくとも診断のプロセスを理解しておきたい疾患です。スクリーニング、腰椎穿刺、CT、抗菌薬の選択・投与、ステロイド使用の流れを覚えましょう。原因微生物も典型的なものだけでなく例外的な微生物に注意を払う必要があります。スピードを要求される対応のノウハウを身に付けましょう。第8回「実は難しくない院内感染症」入院中の患者さんが熱発した!担当医にとってこれほど気分の悪いことはありません。分からない原因、悩む抗菌薬の選択、耐性菌の不安。しかし岩田先生は、「外来の発熱患者さんに比べれば何百倍も簡単」と一刀両断。なぜなら、実は、感染症以外の鑑別を含めても、考えられる原因は数えるほどしかなく、それらを「ひとつずつ丁寧に精査していけば良い」だけのことだからです。院内感染症に使われる、カルバペネム、バンコマイシン、ピペラシリンといった広域抗菌薬についての誤用、誤解も明快に解説します。耐性菌に対する考え方もしっかり身に付けましょう。第9回「僕たちはそこで何ができるのか?被災地での感染症対策」2011年3月11日以来、岩田先生の医療に対する考え方は大きく変わったといいます。未曾有の大災害に対し、医師一人がいかに無力であるかを思い知り、しかし、それでもなお、何か出来ることがあるはずと、模索する日々。今回は、被災地での岩田先生自らの経験を踏まえて、避難所での感染症対策を解説します。非常時に感染症医として、医師として何が出来るか。それは、決して災害が起ってからだけの問題ではなく、常日頃のあなたの診療においても、考え、実践すべきことなのです。

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H.pylori、祖母の感染もリスク因子

 子どものヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)感染は、母だけでなく、祖母の感染も有意なリスク因子となることが、東邦大学医療センター大森病院 総合診療・急病センターの瓜田 純久氏らの研究により明らかになった。この研究結果により、3世代同居世帯のH.pylori感染拡大に関わる重要な感染経路が解明されたと考えられる。Journal of paediatrics and child health誌2013年5月号(オンライン版2013年4月5日号)の報告。 H.pyloriの有病率は年齢とともに増加している。主な感染時期は幼年期であるが、感染経路はいまだ明らかになっていない。本研究では、子どもと祖父母のH.pylori有病率の関連について評価した。 対象は、瓜田クリニックを受診し、血液を採取した子ども838人(平均12.4歳、男児449人、女児389人)。同居家族(父親448人、母親597人、祖父205人、祖母361人、兄弟姉妹589人)の血液を採取し、H.pylori感染の家族構成別クラスター分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・H.pylori陽性である子どもの母親、祖母、兄弟姉妹のH.pylori陽性率は、H.pylori陰性の子どものそれに比べて有意に高かった。・母親と祖母のH.pylori感染は、子どものH.pylori感染の際立ったリスク因子であった。・大家族であることは、H.pylori感染のリスク因子ではなかった。・父や祖父のH.pylori感染は、子どものH.pylori感染の独立した予測因子ではなかった。

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PCV7ワクチン導入効果は10年後も持続、高齢者への間接効果も/NEJM

 2000年に米国で導入された7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)の小児への接種の効果について、肺炎関連入院の減少効果が、10年後も持続していることが、米国・ヴァンダービルト大学のMarie R. Griffin氏らによる調査の結果、報告された。また直接接種をしていない成人についても減少が認められ、とくに85歳以上高齢者について大幅な減少が確認されたという。米国においてPCV7の導入は、接種対象の若年小児以外にも年長小児や成人における“ワクチン血清型”の侵襲性肺炎球菌疾患の発生率を大幅に低下させた。2004年時点の調査では、若年小児のあらゆる肺炎関連入院が顕著に減少したことが確認されていた。しかし一方で増加が報告されていた“非ワクチン血清型”の侵襲性肺炎球菌疾患についての懸念から、PCV7導入の長期的効果および高齢者への効果についての評価が待たれていた。NEJM誌2013年7月11日号掲載の報告より。PCV7ワクチン導入前1997~1999年と、導入後2007~2009年の年間肺炎入院率を比較 研究グループは、全米入院サンプルデータベースを用い、PCV7が小児ワクチンとして導入される前の1997~1999年と、導入後で十分に時間が経過した2007~2009年の、肺炎による入院の平均年間発生率を調べ、それを用いて肺炎による入院の年間減少率を推定し比較した。 肺炎が入院理由の第一診断名である場合と、第一診断名が敗血症、髄膜炎、膿胸で、それに次ぐ診断名が肺炎である場合の入院を、肺炎による入院と定義した。85歳以上で年間10万人当たり1,300件減少、年間7万3,000件の入院減少に結びつく その結果、2歳未満児の肺炎関連入院の年間発生率は、PCV7ワクチン導入前時期と比べて導入後10年時点では、10万人当たり551.1件(95%信頼区間:445.1~657.1)減少(1,274件から723件へ)、相対比で43.2%減少していた。導入前時期をベースに推算すると、年間約4万7,000件の入院減少に結びついていた。 また、85歳以上の肺炎関連入院の年間発生率も、10万人当たり1300.8件(同:984.0~1617.6)減少、相対比で22.8%減少し、年間7万3,000件の入院減少に結びついたと推計された。 さらに、18~39歳、65~74歳、75~84歳の3つの年齢グループではそれぞれ、10万人当たり8.4件、85.3件、359.8件減少した。 全体としては、PCV7導入後の肺炎関連入院の年間発生率は、年齢で補正後10万人当たり54.8件(同:41.0~68.5)減少し、年間16万8,000件の入院減少につながったと推計された。

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下肢の創傷処置後に発症したガス壊疽は医療ミスであると判断されたケース

外科最終判決判例タイムズ 495号167-176頁概要交通事故によって右脛骨・腓骨複雑骨折、約30cmの右下腿挫創を受傷した44歳女性。来院後直ぐに生理食塩水2,500mLを用いてデブリドマンを行い、ドレーン2本を留置して縫合後、下腿の鋼線牽引を行った。ところが、受傷後1週間目の抜糸時に強烈な悪臭を発し、ガス壊疽を発症していることが判明。右下腿切断を余儀なくされた。詳細な経過患者情報とくに既往症のない44歳女性経過1973年10月22日16:00自転車に乗って交差点を直進中、出会い頭に貨物自動車と衝突し、道路端の溝に落ちて受傷。16:20救急病院に到着。意識は清明で、血圧110/70mmHg、脈拍88/分。右脛骨・腓骨複雑骨折、右下腿部挫創と診断。とくに右下腿の挫創はひどく、長さ約30cm、筋肉、骨に達する不整形の傷口であり、内部は泥や土砂で著しく汚染されていた。ただちに創部に対し生理食塩水2,500mLを用いたデブリドマン(所要時間約30~40分)を行い、ドレーンを2本残して創傷を縫合した。下腿骨折に対しては鋼線牽引を行い、感染予防の抗菌薬、破傷風トキソイドを投与した。10月24日ドレーンからは排液がなかったので抜去。10月29日縫合部位の抜糸を行ったところ、傷口から特異かつ強烈な悪臭がみられガス壊疽と診断。生命の危険があると判断し、右大腿の切断手術を行った。当事者の主張患者側(原告)の主張ひどく汚染された骨折であったのだから、ガス壊疽発症を予防する注意義務があるのに、病院側は十分なデブリドマンを行わず、しかも創傷を開放性に処置しなかったためにガス壊疽を発症し、右大腿切断を余儀なくさせた。病院側(被告)の主張下肢挫創に対し30~40分もの時間を費やして十分なデブリドマンを行っているので医師に落ち度はない。本件のようなガス壊疽は相当の注意を払っても防ぎようがない。裁判所の判断事故直後からひどく汚染されていた右下腿挫創は、通常の医師がみればガス壊疽の危険性がきわめて高い状態であったことを容易に予見できた。そのため、まず創傷部位の徹底したデブリドマンを行うべきであり、デブリドマンの徹底さに自信がなければ創傷を開放性に処置すべき注意義務があるのに、担当医師はガス壊疽が発症する割合は低いものと軽信し、適切な初期診療を行わず右大腿切断へ至ったのは過失である。原告側4,660万円の請求に対し、2,937万円の判決考察外傷を扱う第一線の医師にとりまして、このケースはとても厳しい判決内容だと思います。汚染された創部に対し、通常の創傷処置を施してはいるものの、「ガス壊疽発症・下腿切断」という最悪の結果だけに注目して医療過誤と判定されたようなものだと思います。そもそも、医療技術の進歩や抗菌薬の発達にともなって、ベテランの整形外科医でさえもガス壊疽に遭遇するチャンスは少なくなったようですが、ひとたびガス壊疽を発症すると、医事紛争へと発展する危険があるということを考えておく必要があります。本件のように交通事故で運ばれた患者さんの右下腿に、長さが30cmにも及ぶざっくりと割れたような挫創があり、しかも土や砂がこびりついて汚染がひどければ、誰でも感染予防を第一に考えて徹底的なデブリドマンを行い、とりあえずは傷を縫合して抗菌薬、破傷風トキソイドなどを投与する、というのが普通の考え方だと思います。今回の担当医師は、生理食塩水2,500mLを用いてブラシによる創部洗浄を行い、土砂をできる限り取り除き、ドレーンを2本留置して創部を縫合しました。もちろん、感染症予防のために抗菌薬を投与し、破傷風トキソイドも注射し、毎日包帯交換を行って創部の確認をきちんとしていたはずです。そして、ドレーンからの排液はみられなかったため、受傷後2日目にはドレーンを抜去、創部に感染傾向はないことを確認しながら受傷7日目の抜糸へと至りました。その後、抜糸の時にはじめてガス壊疽発症に気付いたことになります。裁判官は、「デブリドマンの徹底さに自信がなければ創傷を開放性に処置すべき注意義務がある」と判断しましたが、はたして、ざっくりと口を開けた30cmにも及ぶ筋肉や骨にまで達した下腿の傷を、「ガス壊疽が心配だ」という理由で最初から縫合しないで開放創にするということができるでしょうか。もし最初から開放創とした場合には、創部の乾燥による2次的な神経損傷や筋肉の障害が引き起こされ、長期的にみた予後として下肢の筋力低下、尖足などが予想されるため、ほとんどの医師はまず縫合を試みると思います。すなわち、受傷直後のひどく汚染された創をみて、のちのち感染症のおそれはあるけれども、あえて開放創として下肢の筋力低下や尖足を招くよりも、いったんは縫合して様子をみる、という治療方法を選択するのが一般的だと思います。しかも、500mLの生理食塩水を5本も使って洗浄・デブリドマンを施していますので、処置としては十分といえるレベルではないでしょうか。「デブリドマンの徹底さに自信がなければ・・・」と裁判官はいいますが、自分の処置に完璧な自信を持つというのはとても難しく、結果が悪かったことに注目して医師にすべての責任を求めるという考え方にはどうしても納得がいきません。このように、本件は医師の立場では到底承服できない点が多々ありますが、一方で判決が確定した背景には、もう一つきわめて重要な要素がありました。それはこのコーナーでもたびたび取り上げている、「カルテの記載不備」です。担当医師のカルテには、受傷1週間後のガス壊疽発症に気付くまで、創部を観察した記載はほとんどありませんでした。本件は日本でも一流とされている総合病院で発生した事故でしたので、おそらく、毎日創部の消毒・包帯交換を行っていたと推測されます。ところが、抜糸するまで創部の感染傾向はみられなかったことをきちんとカルテに記載していなかったために、「ひどく汚染された創なのにきちんと経過観察をしていないではないか」という判断につながったと思われます。日頃の臨床では、何か陽性所見があれば必ずカルテに記載すると思いますが、異常がみられなければ(陰性所見は)あえてカルテには記載はしない、という先生方が多いと思います。本件でも担当医師は、「毎日傷をみて異常がないことを確認していた。カルテに何も書かないということは異常はないことと同じである」と主張しましたが、そのことを裏付ける書面は一切存在しないため、裁判では採用されませんでした。もし、抜糸に至るまでのカルテ記載のなかで、「創部に発赤・腫脹なし。感染傾向なし」という記載があれば、「毎日の診療の中でガス壊疽を含む創部感染に注意を払っていた」ということが証明され、「ガス壊疽発症は不可抗力である」という考え方にも説得力があることになり、「デブリドマンの徹底さに自信がなければ創傷を開放性に処置すべき注意義務がある」などという理不尽な判決には至らなかった可能性が高いと思います。あらためて、日々のカルテ記載はきわめて重要であることを痛感しますし、もし医事紛争へと発展した場合には、自分の身を守る唯一無二の証拠は「カルテ」であることを再認識させられる貴重なケースです。外科

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原発性骨髄線維症〔 primary myelofibrosis 〕

1 疾患概要■ 概念・定義原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis)は、造血幹細胞レベルで生じた遺伝子異常により骨髄で巨核球と顆粒球系細胞が増殖し、骨髄に広範な線維化を来す骨髄増殖性腫瘍である。本疾患は骨髄組織における異型性のある巨核球の過形成を伴う、広範かつ過剰な反応性の膠原線維の増生による造血巣の縮小と骨硬化、および脾腫を伴う著明な髄外造血を特徴とする。■ 疫学わが国における推定新規発症例は年間40~50例で、患者数は全国で約700人と推定される。本疾患は高齢者に多く、発症年齢中央値は65歳、男女比は1.96:1である。■ 病因原発性骨髄線維症の40~50%には、サイトカインのシグナル伝達に必須なチロシンキナーゼであるJAK2において、617番目のアミノ酸がバリンからフェニルアラニンへ置換(V617F)される遺伝子変異が生じ、JAK2の活性が恒常的に亢進する。その結果、巨核球が腫瘍性に増殖し、transforming growth factor-β(TGF-β)やosteoprotegerin(OPG)を過剰に産生・放出し、二次的な骨髄の線維化と骨硬化を生じるものと考えられる。JAK2以外には、c-MPL(トロンボポエチンのレセプター)に遺伝子変異を有する症例が5~8%存在し、ほかにはTET2、C-CBL、ASXL1、EZH2などの遺伝子変異が報告されている。■ 症状初発症状のうち最も多いのが動悸、息切れ、倦怠感などの貧血症状であり、40~60%に認められる。脾腫に伴う腹部膨満感、食欲不振、腹痛などの腹部症状を20~30%に認め、ときに臍下部まで達する巨脾を来すことがある。ほかには紫斑、歯肉出血などの出血傾向や、発熱、盗汗、体重減少が初発症状になりうる。一方、20~30%の症例は診断時に無症状であり、健康診断における血液検査値異常や脾腫などで発見される。■ 分類骨髄線維症は骨髄に広範な線維化を来す疾患の総称であり、骨髄増殖性腫瘍に分類される原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis)と、基礎疾患に続発する二次性骨髄線維症(secondary myelofibrosis)に分けられる。二次性骨髄線維症は、骨髄異形成症候群、真性多血症、原発性血小板血症などの血液疾患に続発することが多く、ほかには固形腫瘍、結核などの感染症、SLEや強皮症などの膠原病に続発することもある。本稿では原発性骨髄線維症を中心に述べる。■ 予後わが国での原発性骨髄線維症466例(1999~2009年)の後方視的な検討では、5年生存率38%、平均生存期間は3.4年である。しかし、原発性骨髄線維症の臨床経過は均一ではなく、症例間によるばらつきが大きい。わが国での主な死因は、感染症27%、出血6%、白血化15%である。2008年にInternational Working Group for Myelofibrosis Research and Treatmentから発表された予後不良因子と、後方視的に集積したわが国での70歳以下の症例を用いた特発性造血障害に関する調査研究班(谷本ほか)による解析を表1に示す1,2)。画像を拡大する2 診断 (検査・鑑別診断も含む)増殖した巨核球や単球から産生される種々のサイトカインが骨髄間質細胞に作用し、骨髄の線維化、血管新生および骨硬化、髄外造血による巨脾、無効造血、末梢血での涙滴状赤血球(tear drop erythrocyte)の出現、白赤芽球症(leukoerythroblastosis)などの特徴的な臨床症状を呈する。骨髄穿刺の際、骨髄液が吸引できないことが多く(dry tap)、このため骨髄生検が必須であり、HE染色にて膠原線維の増生を、あるいは鍍銀染色にて細網線維の増生を証明する。2008年のWHO診断基準を表2に示す。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)低リスク群は支持療法のみでも長期の生存が期待できるために、無症状であればwatchful waitingの方針が望ましい。中間群および高リスク群では、適切なドナーが存在する場合には、診断後早期の同種造血幹細胞移植を念頭に治療にあたる。■ 薬物療法症状を有する低リスク群、移植適応のない中間群および高リスク群では、貧血や脾腫の改善などの症状緩和を期待して薬物療法を選択する。蛋白同化ホルモンであるダナゾール(商品名: ボンゾール:600mg/日)や酢酸メテノロン(同: プリモボラン:0.25~0.5mg/kg/日)は、30~40%の症例で貧血改善に有効である。少量メルファラン(同:アルケラン、1日量2.5mg、週3回投与)、サリドマイド(同:サレド、50mg/日)+プレドニゾロン(0.5mg/kg/日)、レナリドミド(同:レブラミド、5~10mg/日、21日間投与、7日間休薬)+プレドニゾロン(15~30mg/日)は、貧血、血小板減少、脾腫の改善効果が報告されている(保険適用外)。■ 脾臓への放射線照射・脾臓摘出脾腫に伴う腹部症状の改善を目的に脾臓への放射線照射を行うと、93.9%に脾腫の縮小が認められ、その効果は平均6ヵ月(1~41ヵ月)持続した。主な副作用は血球減少であり、23例中10例(43.5%)に出現した。脾摘に関しては、脾腫による腹部症状の改善や貧血に対し効果が認められているが、周術期の死亡率が9%と高く、合併症も31%に生じていることから、適応は慎重に判断すべきである。■ 同種造血幹細胞移植原発性骨髄線維症は薬物療法による治癒は困難であり、同種造血幹細胞移植が唯一の治癒的治療法である。しかし、移植関連死亡率は27~43%と高く、それに伴い全生存率は30~40%前後にとどまっている。治療関連毒性がより少ない骨髄非破壊的幹細胞移植(ミニ移植)は、いまだ少数例の検討しかなされておらず長期予後も不明ではあるが、移植後1年の治療関連死亡は約20%、予測5年全生存率も67%であり、期待できる成績が得られている。現時点では、骨髄破壊的前治療と骨髄非破壊的前治療のどちらを選択すべきかの結論は出ておらず、今後の検討課題である。4 今後の展望今後、わが国での臨床試験を経て実地医療として期待される治療としては、pomalidomide、JAK2阻害薬などがある。新規のサリドマイド誘導体であるpomalidomideの第II相試験が行われており、pomalidomide(0.5mg/日)+プレドニゾロン投与により、22例中8例(36%)に貧血の改善がみられた。現在開発中のJAK2阻害薬であるINCB018424(Ruxolitinib)は、腫瘍クローンの著明な減少・消失は来さないものの、脾腫の改善、骨髄線維症に伴う自覚症状の改善がみられている。ただし、生命予後の改善効果の有無は、今後の検討課題である。わが国での臨床試験が待たれる薬剤として、ほかにはCEP-701(Lestautinib)、TG101209などがある。5 主たる診療科血液内科、あるいは血液・腫瘍内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)特発性造血障害調査に関する調査研究班(診療の参照ガイドがダウンロードできる)1)Cervantes F, et al. Blood. 2009; 113: 2895-2901.2)Okamura T, et al. Int J Hematol. 2001; 73: 194-198.

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MERSはSARSに比べ伝播力は弱く、パンデミックの可能性は低い/Lancet

新しいコロナウイルスである中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)と比べると、ヒトからヒトへの伝播力は弱く、パンデミックとなる可能性は低いことが報告された。フランス・パスツール研究所のRomulus Breban氏らが、世界保健機関(WHO)の報告書などを基に調べ明らかにしたもので、Lancet誌2013年7月5日号で発表した。MERS-CoV感染症は、臨床的にも疫学的にも、またウイルス学的にも、SARS-CoV感染症との類似点が多い。研究グループは、既報のSARS-CoVパンデミック報告を入手し、両者を比較し、MERS-CoV感染症の伝播力と流行の可能性を調べた。ベイジアン解析で基本再生産数を割り出す 研究グループは、2013年6月21日までに報告されたMERS-CoV感染症確定者のうち、55例について、WHOの報告書などを基に、ヒト-ヒト間の伝播力を調べた。 ベイジアン解析により、基本再生産数(R0)を求め、SARS-CoV感染症の場合と比較した。MERS-CoVクラスターサイズについて解釈を変えることで、悲観的・楽観的の2通りのシナリオ予測値を算出した。悲観的シナリオでもMERS-CoVのR0値は0.69 その結果、最も悲観的なシナリオの場合、MERS-CoVのR0予測値は0.69(95%信頼区間:0.50~0.92)だった。最も楽観的なシナリオでは、MERS-CoVのR0予測値は0.60(同:0.42~0.80)だった。 一方、SARS-CoVのR0値は0.80(同:0.54~1.13)で、それに比べ、MERS-CoVは悲観的シナリオの場合でも、パンデミックとなる可能性は低いことが示された。 解析の結果を受けて著者は、「今回の解析結果は、MERS-CoVはまだパンデミックとなる可能性は低いことを示すものでる。同時に、サーベイランスの強化、および感染源である動物宿主およびヒトへの感染ルートの探索を活発化することを推奨すべきことを確認するものとなった」と結論している。

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ICUでのMRSA感染症を防ぐために有効な方法とは?(コメンテーター:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(117)より-

MRSAは、医療関連感染(Healthcare Associated Infections)の中で最も重要な微生物といっても過言ではなく、とくにICUでは問題になることが非常に多い。米国ではスクリーニングとして、ICU入室時に鼻腔のMRSAを調べ、接触感染予防策を徹底するよう義務づけている州がある。鼻腔にMRSAを保菌しているキャリアーからの伝播を防ぐ方法として、(1)抗菌薬であるムピロシンの鼻腔内塗布や、(2)消毒薬のクロルヘキシジンをしみ込ませた布での患者清拭を行って、除菌decolonizationできるかどうか検討され、それぞれ有効性が示されてきたが、誰にいつの時点で行えばよいかは不明であった。 そこで米国43病院、74箇所のICUを対象として、以下の3群に割りつけた。●グループ1:入室時に鼻腔のMRSAスクリーニングを行い、陽性者や過去にMRSA感染症の既往があった者は接触感染予防策を行う。●グループ2:グループ1と同様のスクリーニングを行うが、保菌・感染が判明した患者はムピロシンと2%クロルヘキシジンによる除菌と接触感染予防策を行う。●グループ3:スクリーニングは行わないで、入室者全例に除菌と接触感染予防策を行う。 この3群において、MRSA検出率と血流感染発生率を比較した。 全く対策を行わなかった時期と比べると、MRSA検出率はグループ1で8%、グループ2で25%、グループ3で36%減少し、血流感染率はグループ1で1%、グループ2で22%、グループ3で44%減少し、全例除菌の効果が最も著しかった。なお、血流感染では、MRSAによるものとその他の微生物によるものの両方が減少し、減少幅はグループ3で最も大きかった。 ムピロシンにより鼻腔の保菌が少なくなったこと、クロルヘキシジン清拭により皮膚の細菌数が少なくなったこと、さらに入室時から対策を開始できたことがグループ3での効果に結びついたと考えられる。対象を絞った対策よりも、ユニバーサルな除菌が効果的であったというのは、培養でとらえきれない(培養感度以下である)MRSAの存在や、多くの人が接し、患者・スタッフ間で伝播が生じやすいICUの環境を考えると理にかなっているといえよう。 日本ではかつてクロルヘキシジンによるアレルギー例が報告され、それ以来その使用に対して慎重であり、用いられている濃度も低い。今回の検討では、クロルヘキシジンの使用後に7例で局所の掻痒や発疹が出現したが、いずれも中止により改善したという。 本邦で通常行われている、対象を絞った方法では限りがあることも示されたわけであるが、今回の検討では、その後にMRSAの検出率が増加しなかったかも気になるところである。これまで、ユニバーサルなムピロシン使用は1年以内の短期的な抑制効果にとどまっていた例が報告されている。感染予防に対する職員個人の意識が持続できなければ、除菌を行っても早期に破綻してしまう。その意識をどのように維持させていくかが、最も重要かつ工夫しなければならない課題である。

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APLに対し、ATRA+三酸化ヒ素がATRA+化学療法より優れる可能性/NEJM

 急性前骨髄球性白血病(APL)に対し、全トランス型レチノイン酸(ATRA)+三酸化ヒ素の併用治療は、標準治療とされているATRA+化学療法と比較して少なくとも非劣性であり、優れている可能性が示された。イタリア・トール・ヴェルガータ大学のF. Lo-Coco氏ら研究グループが、第3相多施設共同の無作為化試験を行い報告した。APLに対する標準治療のATRA+化学療法の治癒率は80%を超える。一方で、三酸化ヒ素のAPLに対する有効性も高く、また、ATRAの併用療法について検討した予備試験(ATRA有無別で検討)では、高い有効性と血液毒性の軽減が示されていた。NEJM誌2013年7月11日号掲載の報告より。ATRA+化学療法(標準療法)とATRA+三酸化ヒ素の有効性と血液毒性を比較 研究グループは本検討において、新規に診断された低~中リスク(白血球数10×109/L以下)のAPL患者について、ATRA+化学療法(標準療法)とATRA+三酸化ヒ素の併用療法の、有効性と血液毒性を比較検討することを目的とした。 検討では患者を、ATRA+三酸化ヒ素による寛解導入および地固め療法を行う群と、標準的なATRA+イダルビシン(商品名:イダマイシン)による寛解導入療法の後、ATRA+化学療法による地固め療法(3サイクル)、および低用量化学療法とATRAによる維持療法を行う群のいずれかに、無作為に割り付けた。 本試験は、2年時点の無イベント生存率を主要エンドポイントとした、非劣性試験(群間差が5%を超えない)としてデザインされた。APLは化学療法なしで治療可能なことが示唆される 被験者の事前規定登録は2007年10月~2010年9月に行われた。解析(intention to treat解析)は2012年11月に行われ、156例が組み込まれた。追跡期間の中央値は34.4ヵ月だった。 完全寛解を得られたのは、ATRA+三酸化ヒ素群77例全例(100%)と、ATRA+化学療法群79例中75例(95%)だった(p=0.12)。 2年無イベント生存率は、ATRA+三酸化ヒ素群97%、ATRA+化学療法群は86%だった。群間差は11ポイント(95%信頼区間[CI]:2~22ポイント)で、ATRA+三酸化ヒ素の非劣性が確認された(p<0.001)。さらに、無イベント生存率に関するlog-rank検定により同群の優越性も確認された(p=0.02)。 また、2年全生存率も、ATRA+三酸化ヒ素のほうが優れていた(99%対91%、p=0.02)。 そのほかに、ATRA+三酸化ヒ素はATRA+化学療法と比較して、血液毒性と感染症が少なかったが、肝毒性は多かった。 これらの結果を踏まえて著者は本論の最後で、「本試験は、APLが化学療法なしで治療可能なことを示している」と述べ、確実な結論を得るにはさらなる長期の試験が必要だが、本試験の結果は既報の予備試験のエビデンスを支持するものであり、APLの根治にATRAと三酸化ヒ素が相乗的に作用することを示しているとまとめている。

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SGLT2阻害薬追加、血糖管理不良な2型糖尿病に有用/Lancet

 ナトリウム/グルコース共輸送体(SGLT)2阻害薬カナグリフロジン(canagliflozin)は、メトホルミン単独では血糖管理が十分でない2型糖尿病患者に対する追加治療として良好な血糖改善効果を発揮し、忍容性も良好なことが、米国・ペニントン生物医学研究所のWilliam T Cefalu氏らが行ったCANTATA-SU試験で示された。メトホルミンへの上乗せが可能な既存薬の多くは体重増加や低血糖の懸念があるが、SGLT2の阻害という作用機序はこれらの問題を回避し、また尿糖排泄の促進作用により総カロリーの消費が進むため体重が減少する可能性もあるという。一方、本薬剤には軽度の浸透圧利尿がみられるため、頻尿や多尿の懸念があるという。Lancet誌オンライン版2013年7月12日号掲載の報告。標準治療に対する非劣性を無作為化試験で検証 CANTATA-SU試験は、メトホルミン単独では血糖値の管理が十分でない2型糖尿病患者において、カナグリフロジンの上乗せ効果の、グリメピリド(商品名:アマリールほか)に対する非劣性を検証する二重盲検無作為化第III相試験。対象は、年齢18~80歳、HbA1c 7.0~9.5%、10週以上のメトホルミン投与を受けている2型糖尿病患者であった。 これらの患者が、カナグリフロジン 100mgまたは300mg、あるいはグリメピリド(6から8mgへ漸増)を1日1回経口投与する群に無作為化に割り付けられた。主要評価項目はベースラインから治療52週までのHbA1cの変化で、非劣性マージンは0.3%とした。100mg群の非劣性、300mg群の優位性を確認 2009年8月28日~2011年12月21日までに19ヵ国157施設から1,450例が登録され、グリメピリド群に482例、カナグリフロジン 100mg群に483例、300mg群には485例が割り付けられた。 全体の平均年齢は56.2歳(9.2 SD)、男性52%、白人67%、アジア人20%、平均HbA1c 7.8%、平均空腹時血糖9.2mmol/L(≒165.6mg/dL)、平均体重86.6kg、平均BMI 31.0、平均罹病期間6.6年(中央値5.0年)であった。 治療52週時のHbA1cは3群ともにベースラインよりも低下し、最小二乗平均値の変化率はグリメピリド群が-0.81、カナグリフロジン 100mg群は-0.82%、300mg群は-0.93%であった。 カナグリフロジン 100mg群とグリメピリド群の最小二乗平均値の差は-0.01%(95%信頼区間[CI]:-0.11~0.09)であり、カナグリフロジン 100 mg群はグリメピリド群に対し非劣性であった。また、300mg群とグリメピリド群の最小二乗平均値の差は-0.12%(-0.22~-0.02)であり、300mg群のグリメピリド群に対する優位性が示された。 体重は、グリメピリド群がわずかに増加したのに対し、2つのカナグリフロジン群は有意に低下した[最小二乗平均値の変化率:0.7%、-3.7%、-4.0%、100mg群、300mg群とグリメピリド群の差:-4.4(-4.8~-3.9)、-4.7(-5.2~-4.3)]。良好な安全性プロフィール、浸透圧利尿関連イベントは多い傾向 重篤な有害事象は、カナグリフロジン 100 mg群が24例(5%)、300mg群が26例(5%)、グリメピリド群は39例(8%)に認められた。 カナグリフロジン群で多い有害事象として性器真菌感染症が挙げられ、女性では100mg群が26例(11%)、300mg群が34例(14%)で、グリメピリド群は5例(2%)であり、男性では100mg群が17例(7%)、300mg群が20例(8%)で、グリメピリド群は3例(1%)だった。 尿路感染症も100mg群が31例(6%)、300mg群が31例(6%)で、グリメピリド群の22例(5%)より多い傾向がみられた。浸透圧利尿関連イベントもカナグリフロジン群で多い傾向にあり、頻尿が100mg群、300mg群ともに12例(3%)ずつ、グリメピリド群は1例(<1%)にみられ、多尿はカナグリフロジン群が4例(<1%)ずつ、グリメピリド群は2例(<1%)に認められた。 著者は、「これらの結果は、メトホルミンで血糖管理が不十分な2型糖尿病患者において、カナグリフロジンは実行可能な治療選択肢であることを示すもの」と指摘している。■「SGLT2阻害薬」関連記事SGLT2阻害薬、CV/腎アウトカムへのベースライン特性の影響は/Lancet

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医療従事者の針刺し損傷年間5万件を防ぐ!

 7月16日(火)、大手町サンケイプラザにおいて「医療現場における血液・体液曝露の危機的現状と課題 -医療従事者や患者の感染予防に向けて-」と題して、職業感染制御研究会主催によるメディアセミナーが開催された。 セミナーでは、研究会より木村 哲氏 (東京医療保健大学 学長)と3名の演者が、わが国の医療現場における医療従事者の患者からの血液・体液曝露、ウイルス感染の現状について講演を行った。「針刺し予防の日(8月30日)」を制定 はじめに木村 哲氏が、同会の軌跡を説明し、「現在も医療従事者の血液・体液の曝露や針刺し損傷が年間5万件以上報告され、推計でも20万件近くあるとされる。最近では、在宅医療の普及で患者家族の損傷も報告されている。こうした状況の中で、今後も事故防止、感染リスクの低減に努めるべく、活動の一環として8月30日を『針刺し予防の日』に制定し、今後も事故予防の活動を広く推進していきたい」と今回のセミナーの意義を説明した。適切な器具、教育、システムで防ぐ事故と感染 吉川 徹氏(公益財団法人労働科学研究所 副所長)は、「針刺しによる医療従事者の職業感染と患者への院内感染防止の課題と対策」と題して、針刺し予防と対策の概要について講演を行った。 わが国では年間推計5万件以上の針刺し損傷が発生しており、血液媒介病原体への新規感染の約3分の1が医療関連感染であるという。事例として、ある医療機関の看護師が、採血時の針刺し損傷により患者血液からC型肝炎に感染した例が紹介され、「これは医療現場で生じる労働災害であり、医療機関の安全配慮義務も問題となる」と解説が行われた。 肝炎感染対策では、アメリカの取り組みを例に、予防として手袋・ゴーグル着用での曝露予防の徹底、機器使い捨てのシステム化、安全装置付きの機器の開発・使用、ワクチンの開発など数々の取り組みが行われた結果、医療従事者の感染率が低下したことが報告された。また、アメリカ、EUなどの先進国では、感染予防を法制化し、効果を上げていることが紹介された。 今後の課題としては、厚生労働省の院内感染防止の通達(リキャップ禁止、廃棄容器の適切配置、安全機材の活用)の実効性を上げるためにも、「臨床現場への安全機材の普及を推進し、機材の認知、導入、トレーニングを通じて、針刺し損傷やウイルス感染の撲滅を目指していきたい」と抱負を述べた。インスリン注射はリスクの高い処置 満田年宏氏(公立大学法人横浜市立大学附属病院 感染制御部 部長・准教授)は、「国内外の医療環境における針刺し切創の現状と課題」と題し、臨床現場での具体的な課題について講演を行った。 はじめにB/C型肝炎、HIVの患者動向と国内外での感染状況を説明、医療従事者から患者に感染させる場合もあり、医療従事者の接し方についても今後は配慮が必要と問題を提起した。 次に臨床現場では、安全機材の価格が高価なことや安全機材への認識不足などの理由により安全機能付きの鋭利機材(例.予防接種の針、通常の注射器と針、インスリン注入器の針)がまだ普及しない現状が説明された。また、糖尿病患者は、インスリンや透析など頻回に注射器にさらされることで、肝炎への感染リスクが高いことを指摘。これらを踏まえたうえで、全国集計のデータから看護師が患者にインスリン注射をした時の針刺し損傷報告が1年間に6,675件あったとレポートした。インスリンの注射処置は、リスクの高い処置であり、「医療従事者は、より高いレベルで安全配慮に気を配らなければ、肝炎などに感染するリスクが高くなる」と警鐘を鳴らした。(参考動画: 針刺し防止ビデオ) 最後に、わが国おいても早急にワン・アンド・オンリー(1本の針、注射器、1回の使用)の実現、安全機能付き機材使用時の保険点数化による普及促進を目指し、感染制御ができる体制になることを望みたい、と訴えた。入職(実習)前に接種しておきたいHBワクチン 李 宗子氏(神戸大学医学部附属病院 看護部・感染制御部 感染管理認定看護師)は、「針刺し防止のために求められるもの」と題し、医療現場での事故防止、感染防止の具体的な方策について説明した。 わが国の「エイズ拠点病院」の安全機材導入状況について説明し、安全意識が高いとされるこうした施設においても、安全機材の導入は100%ではなく、全国的にみればまだ安全機材への意識付け、導入が低いことを示唆した。 そして、独自の統計で2004年度と2010年度の100床あたりの針刺し損傷件数の平均値比較では、229件 → 69件と全体的に下がっており、医療機関での啓発活動などが功を奏していることが報告された。また、職種別針刺し発生頻度では(2010年度、n=62)、看護師が実数では一番多いものの職種の構成割合で分析した結果、研修医、医師、看護師、臨床検査技師の順で発生頻度が多いことが説明された。なかでも針刺しが多い原因機材は、使い捨て注射器(針)、縫合針、ペン型インスリン注射針などであることがレポートされた。 次に、針刺し損傷後に問題となる肝炎感染について、「入職時に肝炎ワクチンの接種を行うが、効果の発現までインターバルがあり、そのインターバルの間に不慣れゆえに事故が起こっていて、ワクチンの効果が期待できないでいる。入職前にワクチンを接種するなど、医療機関だけでなく社会全体の取り組みが必要」と問題を提起した。 最後に事故防止への取り組みとして、「入職(実習)前のワクチン接種と安全機材を含む医療機材の普及とトレーニングが必要であるが、実効性を持たせるためにも、1日も早く法令などで整備を行ってもらいたい」と述べ、講演を終えた。職業感染制御研究会について 1994 年に設立。医学・医療関係者の職業感染制御に関心を持つ個人と組織で構成され、針刺し損傷に代表される医療従事者の血液感染をより減少させることを目的に幅広く活動中。詳しくはこちら

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鳥インフルエンザA(H7N9)感染、それほど重大ではなかった?/Lancet

 2013年3月に第1例が特定されヒトへの感染が明らかとなった、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症について、中国疾病管理予防センター(CDC)のHongjie Yu氏らが5月28日時点で行った臨床的重症度の評価結果を発表した。入院となった感染患者は123例で、そのうち37例(30%)が死亡、17例はなお入院中であり、回復したのは69例(56%)であったことなどを報告している。Lancet誌オンライン版2013年6月21日号掲載の報告より。2013年5月28日時点の入院患者は123例 鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症の臨床的重症度の評価は、2013年5月28日時点で報告された、検査によって確定した症例の情報を、中国CDC統合データベースから入手して行われた。 医学上の理由で入院が必要となった患者について、死亡、人工呼吸器装着、ICU入室のリスクを調べた。また、インフルエンザ様疾患サーベイランスによって検出した感染確定症例の情報を用いて、症候性感染死亡リスクを推定した。 その結果2013年5月28日時点において、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症による入院患者は123例だった(60歳以上58%、男性71%)。症候性感染死亡リスクは10万症例当たり160~2,800例 123例のうち37例(30%)が死亡、69例(56%)が回復していた。回復までの期間中央値は18日(95%信頼区間[CI]:14~29)だった。また17例がいまだ入院中だった。それらを加味した全年齢入院患者の死亡リスクは36%(95%CI:26~45)と推定された。年齢別では、60歳未満患者では18%(同:6~29)、60歳以上患者は49%(同:36~63)だった。 人工呼吸器装着あるいは死亡のリスクは69%(95%CI:60~77)、ICU入室・人工呼吸器装着・死亡のリスクは83%(同:76~90)と高率であった。それぞれの60歳未満と60歳以上のリスクは、前者が53%、80%、後者が75%、89%だった。 症候性感染の死亡リスクは、10万症例当たり160例(95%CI:63~460)~2,800例(同:1,000~9,400)と推定された。 上記の結果を踏まえて著者は「鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染は、以前に報告したほど重大ではないようである。すでに軽症例が発生している可能性がある」と結論。そのうえで「ヒトへの感染リスクを最小とするために、引き続き警戒と継続的な介入コントールは必要である」とまとめている。

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4年ぶりの改訂『小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版』発売

 日本耳科学会、日本小児耳鼻咽喉科学会、日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会は、『小児急性中耳炎診療ガイドライン』を4年ぶりに改訂し、同2013年版を7月12日より発売する。 今回の改訂は、急性中耳炎に関連する起炎菌や難治化などの病態の変化、予防を含めた治療法の発展など、多岐にわたる要因を考慮している。 具体的には、起炎菌サーベイランスデータの更新、重症度判定基準・治療アルゴリズムの見直しを行い、さらに肺炎球菌迅速検査キット、肺炎球菌ワクチン、新たな推奨薬剤や漢方補剤による診療、遷延性・難治性中耳炎等に関して、最新のデータに基づいて記述が修正、加筆された。 ガイドラインは、全国の書店、Amazonなどで7月12日より発売。定価は2,415円(本体2,300円+税5%)。詳しくは、金原出版まで

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汚染メチルプレドニゾロン注射による脊椎真菌感染症、MRIで高精度に識別/JAMA

 汚染されたメチルプレドニゾロン注射を受けた人に対し、MRI検査を行うことで、脊椎または傍脊椎真菌感染症の有無を、高い精度で識別できることが明らかになった。米国・St Joseph Mercy HospitalのAnurag N. Malani氏らが行った試験の結果、報告したもので、MRI所見で異常が認められた36例中35例で、同真菌感染症である可能性が高いと診断されたという。米国では2012年に、汚染されたメチルプレドニゾロン注射(薬局で調製)が原因で、多州にわたる髄膜炎のアウトブレイクが発生している。JAMA誌2013年6月19日号掲載の報告より。汚染薬剤の注射を受け、副作用について未治療の172例にMRI検査 研究グループは、汚染されたメチルプレドニゾロン注射を受けていながら、その副作用について治療を受けていない患者、172例を試験の対象とした。被験者に対し、2012年11月~2013年4月にかけてMRI検査を行い、その所見による脊椎・傍脊椎真菌感染症の識別能について調べた21%にMRI所見異常、その大部分がCDC基準で脊椎・傍脊椎感染が高い可能性 その結果、被験者のうちMRI所見で異常が認められたのは36例(21%)で、硬膜外または傍脊椎に膿瘍や蜂巣織炎、くも膜炎、脊椎骨髄炎、椎間板炎、また中程度から重度の硬膜外・傍脊椎・硬膜内の増強が認められた。 そのうち35例が、米国疾病予防管理センター(CDC)の診断基準で、脊椎・傍脊椎真菌感染症の可能性が高い(17例)、または確定的(18例)であると診断された。 35例の患者全員に、抗真菌剤(ボリコナゾール、アムホテリシンBリポソーム製剤の併用・非併用)を投与した。そのうち24例は、外科的創面切除術を要したが、手術時点で17例(71%)が、臨床検査によって真菌感染症が確認された。なお、同17例中5例は、自覚症状がなかった。

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新種のMERSコロナウイルスの院内ヒト間感染を確認/NEJM

 重篤な肺炎を引き起こす新種の中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome; MERS)コロナウイルス(MERS-CoV)の、医療施設内でのヒト間感染の可能性を示唆する調査結果が、サウジアラビア保健省のAbdullah Assiri氏らKSA MERS-CoV調査団により、NEJM誌オンライン版2013年6月19日号で報告された。 2003~2004年のSARSパンデミック以降、呼吸器感染症の原因となる2種類の新規ヒトコロナウイルス(HKU-1、NL-63)が確認されているが、いずれも症状は軽度だった。一方、2012年9月、世界保健機構(WHO)に重篤な市中肺炎を引き起こす新種のヒトコロナウイルス(β型)が報告され、最近、MERS-CoVと命名された。現在、サウジアラビアのほか、カタール、ヨルダン、英国、ドイツ、フランス、チュニジア、イタリアでヒトへの感染が確認されているが、感染源などの詳細は不明とされる。院内アウトブレイクの実態を調査 調査団は、サウジアラビアの医療施設で発生したMERS-CoV感染症の院内アウトブレイクの実態を調査した。 医療記録を精査して臨床的、人口学的情報を収集し、感染者および感染者と接触した可能性のある者を同定して面接調査を行った。潜伏期間および発症間隔(感染者とこの感染者と接触した者の症状発現の時間差)について検討した。 2013年4月1日~5月23日までに、サウジアラビア東部で23例のMERS-CoV感染者が報告された。年齢中央値は56歳(24~94歳)、男性が17例(74%)、50歳以上が17例(74%)、65歳以上が6例(26%)であり、基礎疾患は末期腎疾患が12例(52%)、糖尿病が17例(74%)、心疾患が9例(39%)、喘息を含む肺疾患が10例(43%)に認められた。15例(65%)が死亡、21例(91%)はヒト間感染 症状としては、発熱が20例(87%)、咳嗽が20例(87%)、息切れが11例(48%)、消化管症状が8例(35%)にみられ、腹部または胸部X線画像上の異常所見が20例(87%)に認められた。 6月12日の時点で15例(65%)が死亡し、6例(26%)が回復、2例(9%)は入院中であった。潜伏期間中央値は5.2日、発症間隔は7.6日であった。 23例中21例(91%)が、透析室、集中治療室、病室などの入院施設内でのヒト間感染であった。感染者と接触のあった家族217人(成人120人、小児97人)のうち成人5人(3人は検査で確定)、および感染者と接触のあった200人以上の医療従事者のうち2人(2人とも検査で確定)が感染した。 著者は、「医療施設内におけるMERS-CoVのヒト間感染が示唆され、重大な感染拡大に結びついた可能性がある」と結論している。

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イブルチニブ、再発・難治性CLLで高い長期寛解率を達成/NEJM

 ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブ(ibrutinib、国内未承認)は、再発・難治性慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療において高い有用性を示す可能性があることが、米国・オハイオ州立大学のJohn C. Byrd氏らの検討で明らかとなった。BTKはB細胞受容体シグナル伝達系の主要コンポーネントで、腫瘍微小環境との相互作用を誘導し、CLL細胞の生存や増殖を促進するとされる。イブルチニブはBTKを阻害する経口薬で、正常T細胞には有害な影響を及ぼさないという特徴を持ち、CLL、SLLを含む第I相試験で有望な安全性と抗腫瘍効果が確認されている。NEJM誌オンライン版2013年6月19日号掲載の報告。2種類の用量を第Ib/II相試験で評価 研究グループは、再発・難治性のCLL、SLLに対するイブルチニブの安全性および有効性を評価する第Ib/II相試験を実施した。2010年5月~2011年8月までに、多くが高リスク病変を持つCLL、SLL患者85例が登録された。 CLLが82例、SLLは3例で、年齢中央値は66歳(37~82歳)、男性が76%であった。Stage III/IVが55例(65%)、前治療数中央値は4(1~12)であり、細胞遺伝学的異常として17p13.1欠失が33%、11q22.3欠失が36%に認められた。 このうち51例にはイブルチニブ 420mgが1日1回、経口投与され、34例には840mgが同様に投与された。全奏効率71%、無増悪生存率75%、全生存率83% フォローアップ期間中央値20.9ヵ月の時点で、54例(64%)が治療継続中で、31例(36%)は治療を中止していた。 有害事象のほとんどがGrade 1/2であり、一過性の下痢、疲労感、上気道感染症などがみられた。血液毒性は最小限にとどまったため、患者は治療を継続することが可能であった。 全奏効率(ORR)は420mg群が71%(完全奏効[CR]2例、部分奏効[PR]34例)、840mg群も71%(PR 24例)であった。さらに、持続性リンパ球増多症を伴うPRが、420mg群の10例(20%)、840mg群の5例(15%)で達成された。進行病変、前治療数、17p13.1欠失などの治療開始前に確認された臨床的、遺伝学的リスク因子は、奏効とは関連しなかった。 イブルチニブは用量にかかわらず良好な長期寛解をもたらし、フォローアップ期間26ヵ月時における全症例の推定無増悪生存率(PFS)は75%、全生存率(OS)は83%であった。 著者は、「イブルチニブは、高リスクの遺伝子病変を有する再発・難治性CLLおよびSLLの治療において高い長期寛解率を達成した」と結論し、「本薬剤は良好な治療指数(therapeutic index)を有することから他剤との併用療法が進められる可能性があるが、単剤でも多くのCLL患者に長期寛解をもたらすと考えられる」と指摘している。

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デュシェンヌ型筋ジストロフィー〔DMD: duchenne muscular dystrophy〕

1 疾患概要■ 概念・定義筋ジストロフィーは、骨格筋の変性・壊死を主病変とし、臨床的には進行性の筋力低下をみる遺伝性の筋疾患の総称である。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)はその中でも最も頻度が高く、しかも重症な病型である。■ 疫学欧米ならびにわが国におけるDMDの発症頻度は、新生男児3,500人当たり1人とされている。有病率は人口10万人当たり3人程度である。このうち約2/3は母親がX染色体の異常を有する保因者であることが原因で発症し、残りの1/3は突然変異によるものとされている。まれに染色体転座などによる女児または女性のDMD患者が存在する。ジストロフィン遺伝子のインフレーム欠失により発症するベッカー型筋ジストロフィー(BMD:becker muscular dystrophy)はDMDと比べ、比較的軽症であり、BMDの有病率はDMDの1/10である。■ 病因DMDはX連鎖性の遺伝形式をとり、Xp21にあるジストロフィン遺伝子の異常により発症する。ジストロフィン遺伝子の産物であるジストロフィンは、筋形質膜直下に存在し、N端ではF-アクチンと結合し、C端側では筋形質膜においてジストロフィン・糖タンパク質と結合し、ジストロフィン・糖タンパク質複合体を形成している(図1)。ジストロフィン・糖タンパク質複合体に含まれるα-ジストログリカンは、基底膜のラミニンと結合する。したがって、ジストロフィンは、細胞内で細胞骨格タンパク質と、一方ではジストロフィン・糖タンパク質複合体を介して筋線維を取り巻く基底膜と結合することにより、筋細胞(筋線維)を安定させ、筋収縮による形質膜のダメージを防いでいると考えられている。DMDではジストロフィンが完全に欠損するが、そのためにジストロフィン結合糖タンパク質もまた形質膜から欠損する。その結果、筋線維の形質膜が脆弱になり、筋収縮に際して膜が破綻して壊死に陥り、筋再生を繰り返しながらも、徐々に筋線維組織が脂肪組織へと置き換わっていく特徴を持っている。画像を拡大する■ 症状乳児期に軽度の発育・発達の遅れにより、処女歩行が1歳6ヵ月を過ぎる例も30~50%いる。しかしながら、通常、異常はない。2~5歳の間に転びやすい、走るのが遅い、階段が上れないなど、歩行に関する異常で発症が明らかになる。初期より腰帯部が強く侵されるため、蹲踞(そんきょ)の姿勢から立ち上がるとき、臀部を高く上げ、次に体を起こす。進行すると、膝に手を当て自分の体をよじ登るようにして立つので、登はん性起立(Gowers徴候)といわれる。筋力低下が進行してくると脊柱前弯が強くなり、体を左右に揺するようにして歩く(動揺性歩行:waddling gait)。筋組織が減少し、結合組織で置換するため、筋の伸展性が無くなり、関節の可動域が減り、関節の拘縮をみる。関節拘縮はまず、足関節に出現し、尖足歩行となる。10~12歳前後で歩行不能となるが、それ以降急速に膝、股関節が拘縮し、脊柱の変形(脊柱後側弯症:kyphoscoliosis)、上肢の関節拘縮もみるようになる。顔面筋は初期には侵されないが、末期には侵され、咬合不全をみる。10代半ばから左心不全症状が顕性化することがあり、急性胃拡張、イレウス、便通異常、排尿困難などを呈することもある。外見的な筋萎縮は初期にはあまり目立たないが、次第に躯幹近位筋が細くなる。本症では、しばしば下腿のふくらはぎなどが正常よりも大きくなる。これは一部筋線維が肥大することにもよるが、主に脂肪や結合組織が増えることによるもので、偽(仮)性肥大(pseudohypertrophy)と呼ばれる。知能の軽度ないし中等度低下をみることがまれでなく、平均IQは80前後といわれている。しかし、病理学的に中枢神経系に異常はない。最終的に呼吸障害や心障害を合併するが、近年の人工呼吸器の進歩により40歳位まで寿命を保つことが可能となっている。■ 分類X連鎖性の遺伝形式をとる筋ジストロフィーとしては、DMDやジストロフィン遺伝子のインフレーム欠失によって発症するBMDのほかにX染色体長腕のエメリン遺伝子異常によって発症するエメリ・ドレフュス型筋ジストロフィー(EDMD:emery-dreifuss muscular dystrophy)がある。■ 予後発症年齢は2~5歳、症状は常に進行し10~12歳前後で歩行不能となる。自然経過では20代前半までに死亡する。わが国では呼吸不全、感染症などに対する対策が進み、40歳以上の生存例も増えている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断本症が強く疑われる場合は、遺伝子検査を遺伝カウンセリングの下に行う。MLPA(Multiplex ligation-dependent probe amplification)法では、比較的大きな欠失/重複(DMD/BMD患者の約70%)が検出できる。微細な欠失/重複・挿入・一塩基置換による変異(ミスセンス・ナンセンス変異)の検出には、ダイレクトシークエンス法が必要となる。遺伝子検査で異常がみつからない場合も、筋生検で免疫組織学的にジストロフィン染色の異常が証明されれば診断できる。■ 検査1)一般生化学的検査血清クレアチンキナーゼ(creatine kinase: CK)が中程度~高度上昇(そのほか、ミオグロビン、アルドラーゼ、AST、ALT、LDHなども上昇)する。発症前に高CK血症で気付かれるケースがある。そのほか、血清クレアチンの上昇、尿中クレアチンの上昇、尿中クレアチニンの減少をみる。2)筋電図筋原性変化(低振幅・単持続・多相性活動電位、干渉波の形成)を確認する。3)骨格筋CTおよびMRI検査4歳以降に大臀筋の脂肪変性、引き続き大腿、下腿の障害がみられる。大腿直筋、薄筋、縫工筋、半腱様筋は比較的保たれる。4)筋生検筋線維の変性・壊死、大小不同像、円形化、中心核線維の増加、再生筋線維、間質結合組織増加、脂肪浸潤の有無を確認する(図2(A))。ジストロフィン抗体染色で筋形質膜の染色性の消失(DMD)(図2(B))、低下がみられる。また、骨格筋のイムノブロット法で、DMDでは427kDaのジストロフィンのバンドの消失、BMDでは正常より分子量の小さい(もしくは大きい)バンドが確認される。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)DMDに対するステロイド治療以外は、対症的な補助治療にとどまっているが、医療の進歩と専門医の努力、社会的なサポート体制の整備などにより、DMDの寿命は平均で約10年延長した。このことはQOLや社会への参加など、患者の人生全体を見据えた取り組みが必要なことを強く示唆している。1)根本治療開発の状況遺伝子治療、幹細胞移植治療、薬物治療など精力的に基礎・臨床研究が進められている。モルフォリノや2'O-メチルなどのアンチセンス化合物を用いたエクソン・スキップ薬の開発に期待が集まっている。2011年初頭から、エクソン51スキップ薬開発のための国際共同治験に日本も参加し、これ以外のエクソンをターゲットにした治療も開発研究が進んでいる。また、リードスルー薬、遺伝子治療や幹細胞移植治療も北米・欧州を中心に、臨床研究がすでに始まっており、早期の臨床応用が望まれる。2)ステロイド治療DMDにおいてステロイド治療は筋力、運動能力、呼吸機能の面で有効性を認める。一般に5~15歳の患者に対して、プレドニゾロンの投与を行う。事前に水痘ワクチンを含む予防接種は済ませておくように指導する。ADL(日常生活動作)や運動機能、心機能、呼吸機能の評価と共に、ステロイドの副作用(体重増加、満月様顔貌、白内障、低身長、尋常性ざ瘡、多毛、消化器症状、精神症状、糖尿病、感染症、凝固異常など)についても十分評価を行う。ステロイドの投与量は必要に応じて増減する。なお、DMDに対するプレドニゾロンの効能・効果については、2013年2月に公知申請に係る事前評価が終了し、薬事承認上は適応外であっても保険適用となっている。3)呼吸療法DMDの呼吸障害の病態は、一義的には呼吸筋の筋力低下や側弯などの骨格変形による拘束性障害である。肺活量は9~14歳でプラトーに達し、以降低下する。深呼吸ができないため肺・胸郭の可動性(コンプライアンス)の低下によって肺の拡張障害と、さらに排痰困難のため気道閉塞による窒息のリスクが生じる。進行に応じ、呼吸のコンプライアンスを保つことが重要である。(1)舌咽頭呼吸による最大強制呼吸量の維持訓練に加え(2)気道クリアランスの確保(徒手的咳介助、機械的咳介助、呼吸筋トレーニングなど)を行うことは、換気効率の維持や有効な咳による喀痰排出につながる(3)車いす生活者もしくは12歳以降に車いす生活になった患者は定期的に(年に2回)呼吸機能評価を行う(4)必要に応じ、夜間・日中・終日の非侵襲的陽圧換気療法の導入を検討する4)心合併症対策1970年代には死因の70%近くが呼吸不全や呼吸器感染症であったが、人工呼吸療法と呼吸リハビリテーションの進歩により、現在では60%近くが心不全へと変化した。心不全のコントロールがDMD患者の生命予後を左右する。特徴的な心臓の病理所見は線維化であり、左室後側壁外側から心筋全体に広がる。進行すると心室壁は菲薄化、内腔は拡大し、拡張型心筋症様の状態となる。定期的な評価が重要で、身体所見、胸部X線、心電図、心エコー(胸郭の変形を念頭におく)、血漿BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)測定、心筋シンチグラフィー、心臓MRIなどを行う。薬物治療としては、心筋リモデリング予防効果を期待してACE阻害薬、β遮断薬の投与が広く行われている。5)栄養幼少期から学童初期は、運動機能低下と骨格筋減少によるエネルギー消費の低下、偏食による栄養障害の助長、ステロイド治療などによる肥満が問題となることが多い。体重のコントロールがとくに重要であり、体重グラフをつけることが推奨される。呼吸不全が顕著化する時期に急激な体重減少を認める場合、努力呼吸によるエネルギー消費量の増加、摂食量の減少など複数の要因の関与が考えられる。咬合・咀嚼力の低下に対しては、栄養効率の良い食品(チーズなど)や濃厚流動食を利用し、嚥下障害が疑われる場合は、嚥下造影などを行い状態を評価して対応を検討する。経鼻経管栄養は、鼻マスク併用時にエアーリークや皮膚トラブルの原因になることがある。必要に応じて経皮内視鏡的胃瘻造設術などによる胃瘻の造設を検討する。6)リハビリテーション早期からのリハビリテーションが重要である。筋力の不均衡や姿勢異常による四肢・脊柱・胸郭変形によるADLの障害、座位保持困難や呼吸障害の増悪、関節可動域制限を予防する。適切な時期にできる限り歩行・立位保持、座位の安定、呼吸機能の維持、臥位姿勢の安定を目指す。7)外科治療病気の進行とともに脊柱の側弯と四肢の関節拘縮を呈する頻度が高くなる。これにより姿勢保持が困難になるのみならず、心肺機能の低下を助長する要因となる。脊柱側弯に対して外科治療の適用が検討される。側弯の発症早期に進行予防的な外科手術が推奨され、Cobb角が30°を超えると適応と考えられる。脊柱後方固定術が一般的で、術後早期から座位姿勢をとるように努める。関節拘縮に対する手術も、拘縮早期に行うと効果的である。8)認知機能DMD患者の平均IQは80~90前後である。学習障害、広汎性発達障害、注意欠陥多動障害(ADHD)など、軽度の発達障害の合併が一般頻度より高い。健常者と比較して言語性短期記憶の低下がみられる傾向があり、社会生活能力、コミュニケーション能力に乏しい傾向も指摘されている。精神・心理療法的アプローチも重要である。4 今後の展望DMDの根本的治療法の開発を目指し、遺伝子治療、幹細胞移植治療、薬物治療などの基礎・臨床研究が進められているが、ここではとくに2013年現在、治験が行われているエクソン・スキップとストップコドン・リードスルーについて取り上げる。1)エクソン・スキップエクソン欠失によるフレームシフトで発症するDMDに対し、欠失領域に隣接するエクソンのスプライシングを阻害(スキップ)してフレームシフトを解消し、短縮形ジストロフィンを発現させる手法である。スキップ標的となるエクソンに相補的な20~30塩基の核酸医薬品が用いられ、グラクソ・スミスクライン社とProsensa社が共同開発中のDrisapersen(PRO051/GSK2402968)は2'O-メチル製剤のエクソン51スキップ治療薬として、現在日本も含め世界23ヵ国で第3相試験が進行中である。副作用として蛋白尿を認めるが、48週間投与の結果、6分間歩行距離の延長が報告されている。(http://prosensa.eu/technology-and-products/exon-skipping)また、Sarepta therapeutics社が開発中のEteplirsen(AVI-4658)はモルフォリノ製剤のエクソン51スキップ治療薬で、現在米国で第2a相試験が進行中である。これまで投与された被験者数はDrisapersenより少ないものの臨床的に有意な副作用は認めず、74週投与の時点で6分間歩行距離の延長が報告されている。(http://investorrelations.sareptatherapeutics.com/phoenix.zhtml?c=64231&p=irol-newsArticle&id=1803701)2)ストップコドン・リードスルーナンセンス点変異により発症するDMDに対し、リボゾームが中途停止コドンだけを読み飛ばす(リードスルー)ように誘導し、完全長ジストロフィンを発現させる手法である(http://www.ptcbio.com/ataluren)。アミノグリコシド系化合物にはこのような作用があることが知られており、PTC therapeutics社のAtaluren(PTC124)は、世界11ヵ国で行われた第2b相試験の結果、統計的に有意ではないもののプラセボよりも歩行機能の低下を抑制する作用を示した。現在欧州での条件付き承認を目的とした第3相試験が計画されている。なお、日本ではアルベカシン硫酸塩のリードスルー作用を検証する医師主導治験が計画されている。5 主たる診療科小児科、神経内科、リハビリテーション科、循環器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本小児科学会(医療従事者向けの診療、研究情報)日本小児神経学会(医療従事者向けの診療、研究情報)日本神経学会(医療従事者向けの診療、研究情報)国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部(研究情報)国立精神・神経医療研究センター TMC Remudy 患者情報登録部門(一般利用者向けと医療従事者向けの神経・筋疾患患者登録制度)筋ジストロフィー臨床試験ネットワーク(一般利用者向けと医療従事者向けの筋ジストロフィー臨床試験に向けてのネットワーク)患者会情報日本筋ジストロフィー協会(筋ジストロフィー患者と家族の会)

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重症インフルエンザ患者に対するオセルタミビル2倍量投与の有用性(コメンテーター:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(108)より-

インフルエンザは急性熱性ウイルス性疾患であり、自然に軽快することが多いが、一部の患者では肺炎などを合併し、重症化することが知られている。重症インフルエンザ患者に対してエビデンスの存在する治療方法はないが、WHOのガイドラインでは、パンデミック2009インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染症の重症例や鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染症に対して、オセルタミビル(商品名:タミフル)の高用量投与や治療期間の延長を考慮すべきと述べられている。 本研究は、重症インフルエンザ患者に対するオセルタミビル2倍量投与の有用性を評価するために行った、二重盲検ランダム化比較試験である。迅速検査あるいはRT-PCR検査でインフルエンザと診断された1歳以上の重症入院患者326例を対象とし、オセルタミビルの通常量投与群と2倍量投与群の2群に分けて、治療5日目のRT-PCR陰性率や、死亡率などを比較検討した。重症の定義は、インフルエンザで入院した患者の中で、新たな肺浸潤影、頻呼吸、呼吸困難、低酸素血症のうち1つ以上を有する者とした。また鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染症例は、全例本研究に含めた。 エントリー時のインフルエンザウイルスの内訳は、A型が260例(79.8%)、B型が53例(16.2%)、迅速検査の偽陽性が13例(3.9%)だった。A型のうち、鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスは17例だった。なお、今回の研究には、2013年に中国で人ヘの感染例が確認された鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスは含まれていない。 治療5日目のRT-PCR陰性率は、2倍量投与群で72.3%(95%信頼区間:64.9~78.7%)、通常量投与群で68.2%(同:60.5~75.0%)であり、有意差を認めなかった(P=0.42)。死亡率は、2倍量投与群で7.3%(同:4.2~12.3%)、通常量投与群で5.6%(同:3.0~10.3%)であり、有意差を認めなかった(P=0.54)。死亡例の71%は、鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染症例であった。 本研究では、重症インフルエンザ患者に対するオセルタミビルの2倍量投与は通常量投与と比べて、ウイルス学的にも臨床的にも有効性に差を認めなった。インフルエンザを治療するうえで大切なのは「症状発現からいかに早く治療を開始できるか」であることがほかの研究で示唆されている。本研究では、症状発現から治療開始まで中央値で5日(鳥インフルエンザA(H5N1)感染症では7日)経過しており、両治療群ともに治療効果が乏しかった可能性がある。 一般的にインフルエンザの重症化因子として、高齢者、慢性肺疾患や心疾患などの基礎疾患を有する者、免疫抑制患者、妊婦などがあげられるが、本研究の対象にはこれらの患者があまり含まれていない。今回の研究対象の75.5%が小児例であることからも、本研究の結果を重症化因子を有する成人にそのまま当てはめることはできないと考える。

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尿道カテーテル抜去時の抗菌薬予防的投与、短期入院患者ではベネフィットがある/BMJ

 入院患者の尿道カテーテル抜去時の抗菌薬予防的投与について、カテーテルを受けていた期間が短期の患者については同投与をしたほうがベネフィットがあることを、米国・ワシントン大学のJonas Marschall氏らがメタ解析の結果、報告した。著者は、「患者がベネフィットを受けるかを見極めて投与を行えば、抗菌薬予防的投与の不利益(副作用、コスト、耐性菌の発生)は軽減できうる」と述べている。BMJ誌オンライン版2013年6月11日号掲載の報告より。2012年11月以前に発表された試験についてメタ解析 Marschall氏らは、尿道カテーテル抜去時の抗菌薬予防的投与が、尿路感染症のリスクを低下するのかを評価することを目的に、メタ解析を行った。 PubMed、Embase、Scopus、Cochrane Libraryを介して、2012年11月以前に発表された試験を検索しシステマティックレビューとメタ解析を行った。また、2006~2012年の米国感染症学会などの学会発表アブストラクトについてもレビューを行った。 適格としたのは、抗菌薬予防的投与により、短期(14日以内)尿道カテーテル抜去後の症候性尿路感染症を予防することについて評価を行っていた試験とした。対照群とのリスク比は0.45、NTTは17 システマティックレビューにより246件(PubMedを介した主要サーチ)と221件(PubMedほかを介したセカンドサーチ)の試験が検出され、そのうち適格基準を満たした7件(エンドポイントが尿道カテーテル抜去後の症候性尿路感染症であった)がメタ解析に組み込まれた。 7件のうち、6件は無作為化試験(5件は発表論文、1件はアブストラクト)、1件は非無作為化対照介入試験であった。7件のうち5件は、外科患者を対象としていた。また、試験間の抗菌薬の種類、投与期間、観察期間は不均一だった。 解析の結果、全体的には、抗菌薬予防的投与は患者のベネフィットと関連していた。介入群と対照群の尿路感染症リスクの絶対差(低下)は5.8%で、リスク比は0.45(95%信頼区間[CI]:0.28~0.72)。 尿路感染症1例の予防に必要な抗菌薬予防的投与(NTT)は17(95%CI:12~30)だった。

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柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会

東京大学高齢社会総合研究機構が開発した研修教材に基づき、松戸市医師会の主催で2012年12月1-2日に開催された、『在宅医療推進のための地域における多職種研修会』の模様をお届けします。柏市で従事する多職種の医療職の方が一同に会し、在宅医療総論、地域資源の活用、診療報酬・制度などの在宅医療導入時に気になる点から、認知症・がん緩和ケアにおける診療やIPW連携など、より地域に密着した、実践的な、ワークショップ主体のプログラムです。対象者は、開業医、病院医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、病院看護師、介護支援専門員、病院ソーシャルワーカー等です。2日目 番組一覧 【全9回】番組8 挨拶番組9 在宅医療の導入番組10 認知症の基本的理解とマネジメント番組11 事例検討:認知症患者のBPSDへの対応と意思決定支援(前半)番組12 事例検討:認知症患者のBPSDへの対応と意思決定支援(後半)番組13 在宅ケアにおいて何故IPW(専門職連携協働)が必要なのか?番組14 在宅医が知っておくべき報酬や制度番組15 グループ討論:在宅医療を推進する上での課題とその解決策番組16 目標設定:在宅医療の実践に向けて1日目 番組一覧 【全7回】番組1 開会挨拶/趣旨説明/来賓挨拶番組2 在宅医療が果たすべき役割番組3 在宅療養を支える医療・介護資源番組4 グループ作業:医療介護資源マップの作成番組5 がんの症状緩和に必要な知識番組6 事例検討:がんの症状緩和と多職種による在宅療養支援(前半)番組7 事例検討:がんの症状緩和と多職種による在宅療養支援(後半)講師

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