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血管撮影終了後の止血不十分で大腿神経麻痺を来したケース

循環器最終判決判例時報 1737号110-118頁概要心筋梗塞の疑いで心臓カテーテル検査を受けた61歳女性。カテーテル抜去後合計して約1時間の圧迫止血を行ったが、右大腿鼠径部に広範囲の内出血を来たし、翌日には右足の麻痺が明らかとなった。リハビリテーションによっても麻痺の回復は思わしくなく、2ヵ月後に大腿部神経剥離術を行ったところ、鼠径靱帯遠位部に約1cmにわたる神経の変性壊死が認められた。詳細な経過患者情報近所のかかりつけ医から心筋梗塞の疑いがあると指摘された61歳女性経過1989年8月28日A総合病院循環器内科を受診、心電図で異常所見がみられたため、精査目的で入院となった。なお検査前には、出血傾向、腎機能不全、感染症、発熱などはみられなかった。8月30日14:05心臓カテーテル検査開始(ヘパリン使用)。右大腿静脈:7フレンチ穿刺針に引き続き、シースを挿入。右大腿動脈:5フレンチ穿刺針に引き続き、シースを挿入。右心、左心の順に検査を進め、左右冠動脈造影、薬物負荷試験を行った。この間、右大腿動脈には2本目のシース(8フレンチ穿刺針使用)が挿入された。なお検査の結果肥大型心筋症と診断された。14:48体動が激しいためジアゼパム静注。15:00一連の検査終了が終了し、シースを抜去して用手圧迫による止血開始。10~15分間圧迫し、止血完了を確認後消毒、枕子をのせて圧迫帯を巻いた。ところがその直後に穿刺部周辺の大量出血を来たし、ソフトボール大の血腫を形成した。15:20一時的に血圧低下(77/58mmHg)がみられたため、昇圧剤を投与しながら30~40分用手圧迫を続けた。16:00ようやく止血完了。穿刺部に枕子を当て、圧迫帯を巻いて穿刺部を固定。16:20病室へ戻る。約8~9時間ベッド上の安静を指示された。8月31日右足が麻痺していることに気付く。9月11日別病院の整形外科を受診、右大腿神経の部分壊死と診断された。リハビリテーションが行われたものの満足のいく改善は得られなかった。10月30日別病院の整形外科で右大腿部神経剥離術施行。術中所見では、鼠径靱帯遠位5cmの部位で、大腿神経が約1cmにわたり、暗赤色軟性瘢痕組織に締扼されていて、壊死しているのが確認された。術後の回復は順調であり、筋力は正常近くまで回復し、知覚鈍麻も消失した。しかし、大腿神経損傷後に生じた右膝周囲のカウザルギー(頑固な疼痛)、右下肢のしびれが残存し、歩行時には杖が必要となった。1995年3月7日身体障害者第4級の認定。当事者の主張患者側(原告)の主張1.穿刺部の止血不十分のため大量出血を来し、さらに大腿神経を1時間にわたり強く圧迫したことが原因で神経が損傷、麻痺が生じた2.大出血による右大腿部の麻痺を確認しておきながら、専門医と相談したり転医措置をとらなかった病院側(被告)の主張1.穿刺部からの出血により広範囲の内出血が起きたことは認めるが、これは原告の体動によりいったん止血に成功したあとの再出血である。歩行障害はもともと患っていた腰椎疾患が原因である2.大腿神経麻痺が疑われた場合、とくに手術的措置をとらなくても自然に麻痺が回復することもあるので、経過観察したことに過失はない裁判所の判断1.心臓カテーテル検査終了後の止血措置を誤って大量出血させ大きな血腫ができ、右大腿神経麻痺が発症した2.担当医師は、「いったん止血に成功した後に激しく体動したため再出血した」と主張するが、入院カルテには「圧迫するも止血不完全、再圧迫」と記載されているのみ心臓カテーテル検査記録、報告書、看護記録にも体動に関する記載なし同僚医師・看護師の証言も曖昧で採用できない紹介もとの医師へは(検査終了後の圧迫の際に血腫を形成して大腿神経麻痺を来したことに対して)「どうもすみませんでした」と記載して謝罪しているなどの理由により、患者が動いたために再出血を来したとは到底考えることができない原告側1,778万円の請求に対し、1,144万円の判決考察セルジンガー法の血管撮影においては、大腿動脈に比較的太いシースを挿入するのが普通ですので、検査終了後の圧迫止血を慎重に行わないと本件のように大変な紛争へと発展することがあります。多くの先生方にも経験があると思いますが、ヘパリン使用下に検査を施行することもあって、細心の注意にもかかわらず穿刺部皮下に血液が漏れだし、あとで広範囲にわたる皮下出血となってしまうことがあります。その多くは数日で消退すると思いますが、場合によっては大腿神経に多大な圧迫が及んで下肢の麻痺にまで発展することがある、という重要な教訓を示唆しているケースです。ただし本件の裁判経過をみると、さまざまな問題点を指摘することができます。まず第一に、自分の関与した医療行為の結果、予期せぬ事態が発生し、患者さんに何らかの症状が残遺した場合には、その経過を詳細にカルテに記載しなければならない、という当たり前ではありますがけっして忘れてはならない重要な点です。今回の検査担当医は、「検査中からあまりにも体動が激しいので、心臓カテーテル検査では通常使用しないジアゼパムを静注したが、それでも体動は止まらずに本来施行するべき生検も断念した」、「検査終了後きちんと圧迫止血したけれども、止血完了直後に患者さんが動いたためにひどい出血を来した」と裁判で証言しました。それ以外に検査にかかわったスタッフは曖昧な証言に終始しているため、真相がどうであったのかはよくわかりません。しかし肝心のカルテには、「圧迫するも止血不完全、再圧迫」というたった一行の記載があるだけですので、「そんな重大な事実がありながら記録をまったく残していないのはきわめて不自然である。ということはそのような事実はなかったのだろう」と裁判官は判断しました。このように、医事紛争に巻き込まれた時に自らの正当性を証明する唯一ともいってよい手段は「きちんとカルテに記載を残す」ことにつきると思います。もし本件で、「カテーテル抜去後、約15分間慎重に圧迫止血を行ったが、止血確認直後患者が制止にもかかわらず起きてしまい、穿刺部にソフトボール大の血腫が生じた。その後圧迫止血を1時間追加してようやく止血を完了した」と記載していれば、おそらくここまで一方的な判断にはならなかったかもしれません。なお、本件の医学鑑定を行った専門医は、「カテーテル検査後の止血中には多少の体動はあり得ることであり、それを念頭において止血すべきであって、そのために出血を来すようであれば止血措置としては十分とはいえない」と判断しています。つまり、止血不十分で紛争に至ると、「止血中に動いた患者が悪い」という主張は難しいということになります。さらに本件では、循環器チームの医師、看護師数名が関与していたのに、誰一人として検査担当医をかばうような記録、証言を残しませんでした。おそらく、チーム内のコミュニケーションが相当悪かったことに起因しているのではないかと思いますが、それ以前の問題として、「この患者の主治医は誰であったのか」と首をかしげたくなるような状況でした。具体的に関与した医師は、A医師心臓カテーテル担当医師、検査当日にはじめて患者と会う。B医師主治医。ただし証言では「名目上の主治医」と主張し、検査前のカルテには直接診察していないものの一応主治医ということで記載したので、事前の説明はしていないし、検査中はモニター室に待機、検査終了後に患者を診察した。C、D医師おそらくオーベン医師E、F医師血腫形成後に交代で止血を担当した医師という6名です。このうち、裁判で「けしからん」とやり玉に挙げられたのがA医師ですが、この医師は検査前には一切患者と接することはなく、検査当日にはじめて患者と会い、心臓カテーテル検査を行いましたので、少々気の毒な気さえします。そして、名目とはいっても主治医はB医師であり、この患者を紹介してきたかかりつけ医へは、「大腿神経麻痺を来してどうもすみませんでした」という返事をD医師との連名で記載しています。つまり、はたからみるとB医師が主治医として責任を持つべきかと思うのですが、「主治医でありながら検査中に生じた大きな血腫の形成という異常な事態について原因の究明など十分な事実関係の確認をしなかった」と裁判官は判断し、さらに「被告病院の医療管理上の責任体制や診療録、看護記録の記載のあり方は疑問」という問題点も指摘しています。すなわち、いったいこの病院では誰がこの患者の主治医であったのか、と、きわめて不自然な印象を受けるばかりか、A医師が孤立してしまうような言動をくり返しています。そのためもあってか、大腿血腫に対しては対応が遅れがちとなり、整形外科を受診したのが検査後12日目であったのも、訴訟にまで発展した一因になっていると思います。また、唯一のカルテ記載である「圧迫するも止血不完全、再圧迫」というのは、もしかしたら名目上の主治医B医師が記載したのかもしれず、A医師は検査を担当しただけであったのでカルテ記載をする機会すら逸してしまったのかもしれません。このように本件では6名もの医師が関与していながら、主治医不在のまま紛争に発展したということがいえるのではないでしょうか。いくら複数の専門医チームで患者を担当するといっても、一歩間違えると無責任体制に陥る危険がありますので、侵襲を伴う医療行為をする際にはきちんと主治医を明確にして責任もった対応をする必要があると思います。循環器

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C型慢性肝炎に対する治療法の開発は最終段階へ!―IFN freeの経口薬併用療法の報告―(コメンテーター:中村 郁夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(175)より-

C型慢性肝炎のうち、1型高ウイルス量の患者に対する現時点での標準治療はPEG-InterferonとRibavirin・Protease阻害薬(Telaprevir またはSimeprevir)の併用療法(24週)である。この治療法により、Sustained Virological Response(SVR:治療終了後6ヵ月の時点での血中HCV陰性化)を得られる頻度は、初回治療例、前治療無効例で約80~90%とされている。 さらなる治療効果の向上、患者の負担軽減のために、さまざまな取り組みが進められている。その1つが、IFN freeの経口薬のみの併用療法の開発である。有用な薬剤として、(1) NS3 Protease阻害薬、(2) NS5B Polymerase 阻害薬(核酸型・非核酸型)、(3) NS5A阻害薬などが挙げられる。 一方、経口薬の併用療法の問題点の1つとして、薬剤に対する耐性変異の出現がある。核酸型のNS5B Polymerase 阻害薬に属するSofosbuvir(GS-7977, PSI-7977)は、どのgenotypeのHCVに対しても耐性ウイルスの出現率が低いことが報告されている。 本論文は米国におけるC型慢性肝炎に対するDaclatasvir(NS5A阻害薬)、 Sofosbuvir併用療法のopen-label studyに関する報告である。対象は、genotype1型167例(ナイーブ例(未治療例)126例、前治療無効例 41例)、genotype2型26例(ナイーブ例)、genotype 3型18例(ナイーブ例)とし、Daclatasvir(60mg)、Sofosbuvir(400mg)の1日1回の経口(Ribavirinの有無は無作為に割り付け)を12週、ないし、24週の10投与群に割り付けた(うち、2群でSofosbuvirのlead-inあり)。 治療終了後12週時点のSVR(SVR12)は、genotype 1型では未治療例・前治療無効例とも98%と高率であった。また、IFN・Ribavirin併用療法による治療効果が低いとされるIL28BのSNPが非CCの例においても98%と、CC例(93%)と同等の効果が認められた。 本邦においても同様の治験が進められており、その結果が注目される。いよいよ、C型慢性肝炎の治療法の開発は最後のステップに入ったと考えらえる。

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HIV患者へのエファビレンツ、低用量でも/Lancet

 抗レトロウイルス未治療のHIV-1感染患者に対する、テノホビル+エムトリシタビン(商品名:ツルバダ)に加えたエファビレンツ(同:ストックリン)投与において、1日400mg(低用量)投与が600mg投与に対し非劣性であることが示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のRebekah L. Puls氏らENCORE1試験グループが、13ヵ国38ヵ所の医療機関を通じて行った二重盲無作為化比較試験の結果、報告した。エファビレンツに関連した有害事象の発生は標準用量のほうが頻度が高く、著者は「低用量エファビレンツがルーチン治療の一部として推奨されるべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年2月10日号掲載の報告より。48週のHIV-RNA量200コピー/mL未満の割合を比較 研究グループは、抗レトロウイルス療法歴のないHIV-1感染患者630例を無作為に2群に分け、テノホビルとエムトリシタビンに加え、エファビレンツ1日400mg(321例)または標準用量の600mg(309例)をそれぞれ投与し、その安全性および有効性を比較した。 主要エンドポイントは、治療開始48週時点でのHIV-RNA量が200コピー/mL未満の人の割合だった。 被験者のうち、32%が女性で、人種別ではアフリカ系が37%、アジア系が33%、白人が30%だった。ベースライン時のCD4細胞数は平均273細胞/μL(標準偏差:99)、血漿HIV-RNA量の中央値4.75 log10コピー/mL(四分位範囲:0.88)だった。エファビレンツ関連の有害事象発生率、600mgで約10ポイント高率 治療開始48週時点でHIV-RNA量が200コピー/mL未満の人の割合は、400mg群が94.1%に対し、600mg群は92.2%と、両群で有意差はなかった(群間差:1.85%、95%信頼区間[CI]:-2.1~5.79%)。テノホビル+エムトリシタビンに加えたエファビレンツ1日400mg投与の、同600mg投与に対する非劣性が示された。 48週時点でのCD4細胞数は、400mg群で600mg群に比べ有意に高かった(平均群間差:25細胞/μL、95%CI:6~44、p=0.01)。 なお、試験薬に関連した有害事象の発生率は、400mg群が89.1%、600mg群が88.4%と両群で同等だった(p=0.77)。一方、エファビレンツに関連する有害事象の発生率は、400mg群で37%だったのに対し、600mg群では47%と、標準用量群が約10ポイント有意に高率だった(群間差:-10.5%、95%CI:-18.2~-2.8%、p=0.01)。また、それにより治療が中止となった人は、400m群6例(2%)、600mg群18例(6%)と両群とも少数だったが有意差が示された(同:-3.96%、-6.96~-0.95、p=0.01)。

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中国の入院例から鳥インフルエンザAウイルスH10N8の新型検出/Lancet

 鳥インフルエンザA(H10N8)ウイルスについて、感染症例1例から既報のH10N8ウイルスとは異なる新規の再集合体H10N8ウイルスが分離されたことを、中国・南昌市疾病管理予防センター(CDC)のHaiYing Chen氏らが報告した。症例は73歳女性で、発症後9日目で死亡。新たなウイルスが、患者の死亡と関連している可能性についても言及している。なお、この新規ウイルスは、ノイラミニダーゼ阻害薬に反応を示したという。Lancet誌オンライン版2014年2月5日号掲載の報告より。新たな再集合体H10N8ウイルスを検出 新型の鳥インフルエンザウイルス(H5N1、H9N2、H7N9など)のヒトへの感染は、世界的パンデミックの可能性に対する懸念を喚起したが、Chen氏らは今回、また新たな再集合体鳥インフルエンザA(H10N8)ウイルスの初となるヒトへの感染例が見つかったことを報告した。 調査は、2013年11月30日時点で南昌市において入院していた患者から入手した、臨床的、疫学的およびウイルス学的データを分析して行われた。気管吸引検体を用いて、インフルエンザウイルスまたは他の病原体を見つけるため、RT-PCR、ウイルス培養とシーケンス解析を行い、最尤推定法にて系統樹を作成し検討した。発症から9日目に死亡、ウイルスにより死亡の可能性 新規の再集合体H10N8ウイルスが分離されたのは、73歳女性、発熱(38.6℃)で2013年11月30日に入院した症例であった。肺CTスキャンで、右肺下葉の硬化がみられ、4日目には左肺下葉にも硬化が認められるようになった。胸部X線で、患者には6日目に両側性の胸水が認められ、8日目にスリガラス状陰影と硬化の急速な進行が認められた。 白血球数は5日目より、リンパ球が正常値範囲以下に低下、好中球は同範囲以上に上昇。C反応性蛋白(CRP)、クレアチニン値は高値で、AST、BUNは7日目以降やや上昇し肝臓、腎臓が機能不全に陥ることを示した。アルカリホスファターゼ、総蛋白、グロビン、アルブミンの血中濃度は、4日目には正常だったが、7、8日目では低下を示した。トランスサイレチンは、すべての検査時点で低下を示し、総IgG、C3は、8日目に低下が記録されている。 細菌感染症予防のための組み合わせ抗菌薬治療、機械的人工換気、糖質コルチコイド、アルブミン静注、抗ウイルス治療にもかかわらず、患者の状態は、次第に深刻になり、重篤な肺炎、敗血症性ショックおよび多臓器不全を呈し、9日目に死亡した。 新規のウイルスは、発症7日後の患者の気管吸引検体から分離されたものであった。 シーケンス解析により、ウイルス遺伝子はすべて鳥由来で、6つの内部遺伝子はH9N2ウイルス由来だった。なおこのウイルスは、ノイラミニダーゼ阻害薬に反応を示した。 痰、血液培養およびより詳細な塩基配列決定解析の結果、細菌や真菌の同時感染は示されなかった。 また疫学的調査により、患者が発症4日前に家禽市場を訪れていることが確認されている。 著者は「2014年1月26日現在、南昌市ではもう1例のH10N8感染例が報告されている。1997年に香港で最初の死亡例が報告された鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染では、その後6ヵ月間で17例の死亡を報告した。この新規のウイルスのパンデミックの可能性が過小評価されてはならない」とまとめている。

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H7N9型インフル、ヒト-ヒト感染の可能性依然残る/NEJM

 2013年に中国で発生した新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染例のほとんどでは疫学的な関連性が認められず、ヒト-ヒト間伝播の可能性は除外できないことが、中国・公衆衛生救急センターのQun Li氏らの調査で判明し、NEJM誌2014年2月6日号で報告された。2013年2~3月に、中国東部地域でH7N9ウイルスのヒトへの感染が初めて確認された。これまでに急速に進行する肺炎、呼吸不全、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、死亡の転帰などの特性が報告されているが、研究者はその後も詳細な実地調査などを進めている。2013年12月1日までの感染者の疫学的特性を実地調査データで検討 研究グループは、今回、2013年12月1日までに確認されたH7N9ウイルス感染例の疫学的特性を検討する目的で、実地調査で得られたデータの解析を行った。 H7N9ウイルスの感染は、リアルタイムPCR(RT-PCR)、ウイルス分離または血清学的検査で確定し、個々の確定例について実地調査を行った。人口統計学的特性、曝露歴、疾患の臨床経過に関する情報を収集した。 患者との濃厚接触者は7日間、経過を観察し、症状がみられた場合は咽頭スワブを採取してリアルタイムRT-PCRでH7N9ウイルスの検査を行った。82%が動物と接触、99%入院、90%下気道疾患、34%院内死亡、濃厚接触者すべて陰性 H7N9ウイルス感染が確定した139例が解析の対象となった。年齢中央値は61歳(2~91歳)、58例(42%)が65歳以上、4例(3%)は5歳未満であり、98例(71%)が男性、101例(73%)は都市部の住民であった。感染例は中国東部の12地域にみられ、9例(6%)が家禽業従事者であった。 データが得られた108例中79例(73%)に基礎疾患(高血圧32例、糖尿病14例、心疾患12例、慢性気管支炎7例など)が認められた。動物との接触は、データが得られた131例のうち107例(82%)に認められ、ニワトリが88例(82%)、アヒルが24例(22%)、ハトが13例(12%)、野鳥が7例(7%)などであった。これらの知見からは、疫学的な関連性はとくに認められなかった。 137例(99%)が入院し、125例(90%)に肺炎または呼吸不全がみられた。データが得られた103例中65例(63%)が集中治療室(ICU)に収容された。47例(34%)が院内で死亡し(罹患期間中央値21日)、88例(63%)は退院したが、重症の2例は入院を継続した。 4つの家族内集積例では、H7N9ウイルスのヒト-ヒト間伝播の可能性を否定できなかった。家族内の2次感染例を除く濃厚接触者2,675人が7日間の観察期間を終了した。このうち28例(1%)に呼吸器症状の発現がみられたが、全員がH7N9ウイルス陰性だった。 著者は、「H7N9ウイルス感染確定例のほとんどが重篤な下気道疾患を発現し、疫学的な関連性は認められず、家禽への直近の曝露歴を有していたが、4家族ではH7N9ウイルスの限定的で非持続的なヒト-ヒト間伝播の可能性が除外できなかった」としている。なお、最近、香港や台湾でも感染例が見つかっており、同誌のエディターは「2014年1月21日現在、確定例は200例を超え、2013年12月1日以降に発見された症例は65例以上にのぼり、アウトブレイクは進行中である」と補足している。

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水痘予防にはMMRV 2回接種を支持/Lancet

 チェコ共和国・フラデツ・クラーロヴェー大学病院のRoman Prymula氏らは、水痘の発症予防について、麻疹・ムンプス・風疹・水痘ワクチン(MMRV)2回接種と、単価水痘ワクチン1回接種の有効性を比較する無作為化対照試験を欧州10ヵ国の協力を得て行った。その結果、あらゆる型の水痘予防を確実なものとするためにもMMRVの2回接種を支持する結果が得られたことを報告した。今日、水痘発症率は、水痘ワクチンを“ルーチン”で行っている国では激減している。予防は単価ワクチンもしくはMMRVの接種にて可能であり、今回、研究グループは、どちらが有用かを比較検証した。Lancet誌オンライン版2014年1月29日号掲載の報告より。欧州10ヵ国でMMRV 2回、MMR+V、MMR 2回の有効性を比較 試験は、多施設共同無作為化かつ観察者盲検にて、水痘の風土病がみられるヨーロッパの10ヵ国(チェコ共和国、ギリシャ、イタリア、リトアニア、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、ロシア、スロバキア、スウェーデン)にて行われた。 生後12~22ヵ月の健常児を無作為に3対3対1の割合で、42日間で(1)MMRV 2回接種(MMRV群)、(2)1回目にMMR接種、2回目に単価水痘ワクチン接種(MMR+V群)、(3)MMR 2回接種(MMR群:対照群)に割り付けて検討した。 被験児と保護者はすべてのアウトカムについて個別に評価を受け、またデータの評価や解析に関係するスポンサースタッフは治療割付について知らされなかった。 主要有効性エンドポイントは、2回接種後の42日目から第1フェーズの試験終了時点までに確認された水痘の発症(水痘帯状疱疹ウイルスDNAの検出または疫学的関連性で判定)であった。症例は重症度により分類し、有効性の解析はパープロトコル解析によって行われた。安全性の解析には1回以上接種を受けたすべての被験児を含めた。 2005年9月1日~2006年5月10日に、5,803例(平均年齢14.2ヵ月、SD 2.5)が、ワクチン接種を受けた。2回接種MMRVの有効性94.9%、中等度~重症例には99.5% 有効性解析コホートには5,285例が組み込まれた。平均追跡期間はMMRV群36ヵ月(SD 8.8)、MMR+V群36ヵ月(8.5)、MMR群は35ヵ月(8.9)であった。 水痘発症例は、MMRV群37例、MMR+V群243例、MMR群201例が確認された。2回発症例は、3例(全例MMR+V群)でみられた。 中等度~重症の水痘発症例は、MMRV群で2例であったが、MMR+V群では37例が報告された(1例は初回軽症例の2回発症例)。MMR群は117例であった。 すべての水痘に対する2回接種MMRVの有効性は、94.9%(97.5%信頼区間[CI]:92.4~96.6%)であり、中等度~重症の水痘に対しては99.5%(同:97.5~99.9%)であった。 一方、すべての水痘に対する1回接種単価水痘ワクチンの有効性は、65.4%(同:57.2~72.1%)で、事後解析にて評価した中等度~重症の水痘に対する有効性は90.7%(同:85.9~93.9%)であった。 全接種群で最も頻度が高かった有害イベントは、注射部位の発赤であった(被験者のうち最高25%で報告)。 また、1回接種後15日以内に38℃以上の発熱を報告したのは、MMRV群57.4%(95%CI:53.9~60.9%)、MMR+V群44.5%(同:41.0~48.1%)、MMR群39.8%(同:33.8~46.1%)だった。 ワクチン接種に関連していると思われる重大有害イベントは、8件報告された(MMRV群3例、MMR+V群4例、MMR群1例)。全例、試験期間内に治癒した。 以上から著者は、「試験の結果は、あらゆる水痘疾患からの保護を確実なものとするために、短期間の2回接種水痘ワクチンによる予防接種を支持するものである」と結論している。

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造血幹細胞移植後に真菌症を起こしやすくなる遺伝的欠損とは/NEJM

 ペントラキシン3(PTX3)の遺伝的欠損は好中球の抗真菌能に影響を及ぼし、造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者における侵襲性アスペルギルス症(Aspergillus fumigatus)のリスクに関与している可能性があることが、イタリア・ペルージャ大学のCristina Cunha氏らの検討で示された。液性パターン認識受容体は、長いタイプのPTX3として知られ、抗真菌免疫において代替不可能な役割を果たすとされる。一方、侵襲性アスペルギルス症の発現におけるPTX3の一塩基多型(SNP)の関与はこれまでに明らかにされていない。NEJM誌2014年1月30日号掲載の報告。PTX3 SNPをスクリーニングし、その機能的転帰を検討 研究グループは、HSCTを受けた患者268例(A. fumigatus群51例、非A. fumigatus群217例)とそのドナーのコホートにおいて、侵襲性アスペルギルス症のリスクに影響を及ぼすPTX3のSNPのスクリーニングを行った(discovery study)。 また、侵襲性アスペルギルス症患者107例およびこれらの患者とマッチさせた対照223例に関して、多施設共同研究を実施した(confirmation study)。in vitroとレシピエントの肺検体でPTX3 SNPの機能的転帰について検討した。ホモ接合型ハプロタイプおよび発現欠損ドナーからの移植で感染リスク上昇 PTX3がホモ接合型ハプロタイプ(h2/h2)のドナーから移植を受けたレシピエントは感染リスクが上昇することが、discovery study(累積発生率:37 vs. 15%、補正ハザード比[HR]:3.08、p=0.003)およびconfirmation study(補正オッズ比[OR]:2.78、p=0.03)の双方で確認された。PTX3の発現が欠損しているドナーからの移植の場合も同様の結果であった。 機能的には、メッセンジャーRNAの不安定性によると推察されるh2/h2好中球のPTX3欠損により、貪食能と真菌のクリアランスが障害されることが示された。 著者は、「PTX3の遺伝的欠損は好中球の抗真菌能に影響を及ぼし、この欠損はHSCTを受けた患者において侵襲性アスペルギルス症を起こしやすくしている可能性がある」とまとめ、「これらの知見は、A. fumigatusに対する宿主防御におけるPTX3の代替不可能な役割を支持するもの」と指摘している。

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インフルエンザ検出2倍以上に(厚生労働省)

 厚生労働省は1月31日、2014年第4週(2014年1月20日~1月26日)インフルエンザの発生状況を公表した。AH3亜型(A香港型)が最も多く検出されている。なお、昨シーズンは報告が少なかったAH1pdm09が次いで多く、とくに直近の5 週間(2013 年第52 週~2014 年第4 週)ではAH1pdm09 の検出割合が最も多いという。 発表内容は以下の通り。 2013/2014 年シーズンのインフルエンザの定点当たり報告数は2013 年第43 週以降増加が続いている。2014 年第4 週の定点当たり報告数は24.81(患者報告数122,618)となり、前週の報告数(定点当たり報告数11.78)よりも大きく増加した。都道府県別では沖縄県(54.12)、大分県(39.62)、宮崎県(37.86)、佐賀県(34.79)、埼玉県(33.69)、長崎県(32.47)、福岡県(32.19)、神奈川県(31.52)、滋賀県(31.32)、千葉県(30.08)の順となっており、第4 週も全47都道府県で増加がみられた。 全国の保健所地域で警報レベルを超えているのは146 箇所(33 都府県)、注意報レベルを超えている保健所地域は317箇所(46 都道府県)と共に増加した。定点医療機関からの報告をもとに、定点以外を含む全国の医療機関をこの1 週間に受診した患者数を推計すると約132万人(95%信頼区間:121~144 万人)となり、5~9 歳が約29 万人、0~4 歳が約18 万人、10~14 歳、30 代がそれぞれ約17 万人、40 代が約14 万人、20 代が約12 万人、50 代が約8 万人、15~19 歳が約7 万人、60 代が約6 万人、70歳以上が約4 万人の順となっている。また、2013 年第36 週以降これまでの累積の推計受診者数は約275 万人となった。 基幹定点からのインフルエンザ患者の入院報告数は807 例であり、第3 週(519 例)より増加した。全47 都道府県から報告があり、年齢別では0 歳(75 例)、1~9 歳(232 例)、10 代(45 例)、20 代(17 例)、30 代(25 例)、40 代(22例)、50 代(37 例)、60 代(76 例)、70 代(118 例)、80 歳以上(160 例)であった。 2013 年第36 週以降これまでの国内のインフルエンザウイルスの検出状況をみると、AH3 亜型(A 香港型)の割合が最も多く、次いでAH1pdm09、B 型の順で検出されている一方で、直近の5 週間(2013 年第52 週~2014 年第4 週)ではAH1pdm09 の検出割合が最も多く、次いでB 型、AH3 亜型(A 香港型)の順となっている。

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第22回 添付文書を味方につけた裁判例。医師vs.審査委員会

■今回のテーマのポイント1.腎疾患で一番訴訟が多い疾患は腎不全であり、争点としては、感染症および透析導入の遅れが多い2.添付文書に従った薬剤の使用は、保険診療上適正な診療といえる3.添付文書の内容に解釈の余地がある場合には、ガイドラインなどを参照し判断する事件の概要原告は、慢性腎不全患者に対する人工透析を専門に行っている医療法人社団AクリニックおよびAクリニックの開設者であるX医師です。X医師は、人工透析施行中の腎性貧血患者に対し、ヘモグロビン濃度12.0g/dLを超えた場合には、休薬または減薬をするという方針で、エリスロポエチン製剤を投与していました。エリスロポエチン製剤の添付文書には、【使用上の注意】として、「a 本剤の投与は貧血症に伴う日常生活活動の支障が認められる腎性貧血患者に限定すること。なお、投与対象はヘモグロビン濃度で10g/dl(ヘマトクリット値で30パーセント)未満を目安とする。b 本剤投与中はヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値を定期的(投与初期には週1回、維持投与期には2週に1回程度)に観察し、必要以上の造血(ヘモグロビン濃度で12g/dl以上、あるいはヘマトクリット値で36パーセント以上を目安とする)にならないように十分注意すること。必要以上の造血を認めた場合は、休薬するなど適切な処置をとること」と記載されていました。X医師は、被告である神奈川県国民健康保険診療報酬審査委員会(以下「審査委員会」と略します)に対し、診療報酬の支払請求をしたところ、審査委員会は、ヘモグロビン濃度10.0g/dLを超えた投与について、「過剰と認められるもの」または「その他不適当または不必要と認められるもの」を減額事由として減額査定をしました。これに対し、原告は、再審査部会に再審査を申し立てたところ、一部の投与単位数および投与回数については増額査定がなされたものの、約237万円分につき、査定が維持されました。そこで、XおよびAクリニックは、神奈川県国民健康保険診療報酬審査委員会に対し、慰謝料を含め287万円の支払いを求める訴訟を提起しました。事件の判決原告の勝訴国民健康保険法40条1項は、保険医療機関等が国民健康保険の療養の給付を担当する場合の準則については厚生労働省令である療養担当規則の例によるものと定めていることから、委任の本旨に従った適正な療養の給付がなされたか否かについては、第1次的には保険医療機関等の行った医療行為が療養担当規則に適合しているか否かが判断基準となる。しかし、療養担当規則は、投薬については、その20条で、「投薬は、必要があると認められる場合に行う」とか、「同一の投薬は、みだりに反覆せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をしなければならない」等のごく概括的な基準を定めるのみであるから、エリスロポエチン製剤のような個々の薬剤の投与が適正な療養の給付にあたるか否かの判断の具体的な基準とはなり得ない。他方、医薬品は、薬事法に定める製造承認を受けて薬価基準に収載されることによって保険診療上の医薬品としての取扱いを受けるものであるが、このような医薬品については、当該医薬品の適用を受ける患者の安全を確保し適正使用を図るために、薬事法52条により、その医薬品の添付文書に「用法、用量その他使用及び取扱い上の必要な注意」を記載すべきものとされており、この添付文書の記載が個別具体的な薬剤毎の投与の際の基準となるものであるから、保険医療機関等がこの添付文書の記載に従った投与をしたのであれば適正な療養の給付を行ったものといえる。もっとも、さまざまに異なる症状や身体条件の患者を扱う医療行為の性質上、このような添付文書の記載も、薬剤の用法、用量等を一義的・固定的な基準で定めるのではなく、使用する医師に一定の裁量的判断の余地を残した記載となっている場合も多く、また、ときには添付文書の記載自体が必ずしも明確でないために異なった解釈が生じうることもあるが、このような場合には、実際の臨床の場における標準的な取扱いや医学的知見も参酌しながら、当該薬剤の投与が添付文書の記載する用法、用量等の基準に従った適正な療養の給付といえるか否かを判断することとならざるを得ない。本件においては、原告らがエリスロポエチン製剤を添付文書の記載する用法、用量その他の基準に従って透析施行中の腎性貧血患者に投与したのであれば、適正な療養の給付を行ったものと認められ、原告らは、被告に対し、診療報酬の支払を請求することができるものというべきである。・・・・・(中略)・・・・・添付文書は、「使用上の注意」として、「本剤投与中はヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値を定期的に観察し、必要以上の造血(ヘモグロビン濃度で12g/dl以上、あるいはヘマトクリット値で36パーセント以上を目安とする)にならないように十分注意すること。必要以上の造血を認めた場合は、休薬するなど適切な処置をとること」と記載しており、投薬開始後の患者についてはヘモグロビン濃度が10g/dlを超えた検査値となることを当然の前提とする記載内容となっている上、必要以上の造血とはヘモグロビン濃度で12g/dl以上(ヘマトクリット値で36パーセント以上)が目安となることを明示している。・・・・・(中略)・・・・・また、全国の透析治療に携わる医師らで構成される日本透析医会の作成した保険診療マニュアル(平成10年改訂版)(甲第55)でも、「腎性貧血の治療は透析患者の全身倦怠等の症状を著しく改善するだけでなく死亡のリスクを低下させるためにも大切であり、ヘマトクリット値30ないし35パーセント程度を目標にエリスロポエチン製剤等を用いて治療する」旨が記載されており、保険診療においても改善目標値がヘマトクリット値で35パーセント程度まで及びうることが前提とされている。・・・・・(中略)・・・・・以上のとおりであるから、添付文書はエリスロポエチン製剤の投与による腎性貧血の治療の結果ヘモグロビン濃度が12g/dl(ヘマトクリット値で36パーセント)程度に至ることを想定しており、被告主張のように、ヘモグロビン濃度が10g/dl(ヘマトクリット値で30パーセント)を超えたからといって、直ちに原則として投与対象から除外されたり、維持投与量に限定されたりするものとはいえない。保険医療機関等としては、必要以上の造血であるヘモグロビン濃度12g/dl(ヘマトクリット値で36パーセント)以上にならないように注意しつつ、上記のような患者の症状や生活状況等を考慮して添付文書所定の投与量の範囲内で投与し、定期的に行った検査の値がヘモグロビン濃度12g/dl(ヘマトクリット値で36パーセント)以上となった場合には休薬その他の適切な処置をとっていれば、エリスロポエチン製剤を添付文書の記載する用法、用量その他の基準に従って投与したものということができ、適正な療養の給付を行ったものと認められる。(*判決文中、下線は筆者による加筆)(横浜地判平成15年2月26日判時1828号81頁)ポイント解説■腎疾患の訴訟の現状今回は、腎疾患です。腎疾患で最も訴訟となっているのは腎不全です(表1)。腎不全に関する訴訟で最も多く争点となっているのは、感染症治療に関してであり、2番目に多い争点が透析導入の遅れとなっています(表2)。■診療報酬の審査と添付文書今回紹介した判例は、腎不全に関する訴訟ではありますが、医療過誤訴訟ではなく、診療報酬の審査に関する事案となっています。医療機関が、保険診療を行った場合、診療報酬の一部(現役世代は3割)を患者本人より受け取り、残余については、保険者である健康保険組合などに対し、診療報酬明細書(レセプト)を提出し、診療報酬の支払いを請求することとなります。保険医療機関より提出されたレセプトは、健康保険組合から審査および支払に関する事務を委託された国民健康保険団体連合会において、支払を行うか否か審査されます。支払いの可否は、保険医療機関および保険医療養担当規則(以下「療担規則」と略します)に基づいて判断されるのですが、本判決にも示されているように、療担規則は、「投薬は、必要があると認められる場合に行う」とか、「同一の投薬は、みだりに反覆せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をしなければならない」など、抽象的な文言で書かれていますので、個別具体的な判断基準とはなり難いといえます。本判決の1つ目のポイントは、添付文書に従った薬剤の使用は、療担規則上、適正といえるとしたことです。第12回で解説したように、添付文書に違反した場合には、過失が推定される(最判平成8年1月23日民集50号1巻1頁)こととなりますが、その反面、添付文書に従った薬剤の使用をしている限りにおいては、療担規則上適正と判断されるのですから、当然、医療行為としても適法であるということになります。本判決の2つ目のポイントは、添付文書の解釈に幅がある(グレーゾーン)場合には、実臨床の場での標準的な取扱いや医学的知見を参酌して、添付文書の解釈を行うと示したことです。そして、実臨床の場での標準的な取扱いを判断するにあたっては、学会が作成したガイドラインが大きな役割を担うこととなります。上記2つのポイントをまとめると(表3)のようになります。添付文書も、ガイドラインもそれぞれ一長一短の面があることは事実ですが、少なくとも標準的な治療については、しっかりとしたガイドラインを作成していくことは、医師自身の適法行為の予見可能性を高めるすなわち、実際に診療している際に、自身がこれから行おうとする医療行為が適法か否かを予想できるようになることに加え、本判決で示されたように、診療報酬請求においても有用といえますので積極的に推進されるべきと考えます。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)横浜地判平成15年2月26日 判時1828号81頁本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。最判平成8年1月23日 民集50号1巻1頁

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慢性C型肝炎のIFNフリー療法―リバビリンレジメン/NEJM

 未治療またはペグインターフェロン(商品名:ペガシス)+リバビリン(RBV、商品名:コペガスほか)による前治療が無効であった遺伝子型1型感染患者に対し、経口投与のみの直接作用型抗ウイルス薬(2種または3種)+RBVレジメンが、いずれの患者にも有効であることが示された。米国・バージニア・メイソン・メディカル・センターのKris V. Kowdley氏らが、第2b相非盲検無作為化試験にて9レジメン(14サブ治療群)を設けて検討した結果、治療終了後24週時点のSVR(持続性ウイルス学的著効)は、83~100%であったことを報告した。NEJM誌2014年1月16日号掲載の報告より。571例を14の直接作用型抗ウイルス薬+RBVレジメンに割り付けて検討 試験は2011年10月~2012年4月に9ヵ国97施設で1,013例がスクリーニングを受け、肝硬変を伴わない未治療または前治療無効のHCV遺伝子型1型感染患者571例を無作為に14群に割り付けて行われた。 検討された経口抗ウイルス薬は、プロテアーゼ阻害薬ABT-450+リトナビル(同:ノービア)(ABT-450/r:ABT-450投与量100、150、200mg設定)、非ヌクレオシド系ポリメラーゼ阻害薬ABT-333、およびNS5A阻害薬ABT-267。前者の2種は、予備試験でインターフェロンを用いないRBV併用レジメンとして有効性が示されており、ABT-267は、とくに治療困難な患者において有効性が改善する可能性が示唆されていた。 571例を2種または3種複合の8週、12週、24週投与の14の治療群(9群1治療群を除きRBV併用)を設定し検討した。 主要エンドポイントは、治療終了後24週時点のSVRであった。SVRは83~100% 主要有効性解析では、未治療患者への3種複合[ABT-450/r(150mg)+ABT-333+ABT-267]+RBVの8週治療群と、同12週治療群を比較した。結果、治療終了後24週時点のSVRは、8週治療群88%、12週治療群95%であった(両群差:-7ポイント:95%信頼区間[CI]:-19~5、p=0.24)。 すべての治療群のSVRは、83%[未治療、ABT-450/r(150mg)+ABT-333+RBV]から100%にわたった。 最も頻度が高かった有害事象は、疲労、頭痛、悪心、不眠であった。有害事象により試験を中止したのは8例(1%)だった。

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慢性C型肝炎のIFNフリー療法/NEJM

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型、2型または3型の患者について、ダクラタスビル(承認申請中)+ソホスブビル(国内未承認)の1日1回経口併用療法が、高率のSVR(持続性ウイルス学的著効)を達成したことが報告された。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のMark S. Sulkowski氏らが行った、211例の患者(前治療無効例を含む)を対象としたオープンラベル試験の結果で、治療終了後12週時点のSVRは各遺伝子型患者群で89~98%であったという。NEJM誌2014年1月16日号掲載の報告より。1日1回経口ダクラタスビル(60mg)+ソホスブビル(400mg)投与について検討 試験は、慢性HCV遺伝子型1型で未治療(126例)または前治療[テラプレビル(商品名:テラビック)もしくはボセプレビル(国内未承認)]無効(41例)、および未治療の遺伝子型2型(26例)または3型(18例)の計211例の患者を非盲検下に無作為に10投与群に割り付けて行われた。 検討されたのはダクラタスビル(1日1回経口60mg、DCV)+ソホスブビル(1日1回経口400mg、SOF)の12週投与または24週投与であった。12週投与の検討は、未治療の遺伝子型1型患者82例を対象に、リバビリン(商品名:コペガスほか、RBV)の有無別に無作為化して行われた(2投与群)。残りの患者は、24週DCV+SOF(未治療・前治療無効患者対象、3投与群)、24週DCV+SOF+RBV(同、3投与群)、1週SOF投与後に23週DCV+SOF(未治療患者のみ、2投与群)に無作為に割り付けられ評価を受けた。 主要エンドポイントは、治療終了後12週時点でのSVR(HCV RNA値<25 IU/mLと定義)だった。治療終了後12週時点でいずれも高いSVR 試験薬治療後12週時点のSVRは、遺伝子型1型のうち未治療例98%、同前治療無効例98%、また遺伝子型2型の患者では92%、同3では89%であった。 なかでも、サブタイプ1a(98%)、1b(100%)、IL28B遺伝子型CC(93%)、同非CC(98%)で高いSVRが認められた。 RBV投与の有無別では、投与を受けた人(計90例)のSVRは94%、受けなかった人(計121例)は同98%だった。 有害イベントで最も頻度が高かったのは、疲労、頭痛、悪心だった。

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軽~中等度アルツハイマー病にもビタミンEが有効/JAMA

 軽度~中等度のアルツハイマー病(AD)に対するビタミンE(α-トコフェロール)の投与は、身体機能の低下を遅延する効果があることが示された。米国・ミネアポリスVAヘルスケアシステムのMaurice W. Dysken氏らが、AD患者600例超を対象に行った、二重盲検プラセボ対照並行群間無作為化臨床試験「TEAM-AD VA共同無作為化試験」の結果、報告したもので、JAMA誌2014年1月1日号で発表した。なお、ビタミンE+メマンチン投与およびメマンチン単独投与ではプラセボ群と比べて有意差はみられなかったという。これまでの研究で、中等度~重度ADに対するビタミンEの効果は示されていたが、軽度~中等度ADについては、その効果に関するエビデンスは限定的だった。被験者を4群に分け、平均2.27年追跡 研究グループは、2007年8月~2012年9月にかけて、軽度~中等度ADの患者613例を対象に試験を行った。被験者を、(1)α-トコフェロールを2,000 IU/日、(2)メマンチンを20mg/日、(3)(1)と(2)を併用、(4)プラセボをそれぞれ投与する4群に無作為化した。 主要アウトカムは、Alzheimer's Disease Cooperative Study/Activities of Daily Living (ADCS-ADL) 評価尺度(0~78点)のベースライン時からの変化だった。副次アウトカムには、認知力、神経精神医学的評価、機能評価、介護者評価などを含んだ。 追跡期間の平均値は2.27年(標準偏差:1.22)で、追跡を完了したのは、ビタミンE群140例、メマンチン群142例、ビタミンE+メマンチン群139例、プラセボ群140例だった。ビタミンE群、プラセボ群より年間19%の臨床的な進行遅延 追跡期間中のADCS-ADLスコアは、プラセボ群と比べてビタミンE群では、3.15低下(95%信頼区間[CI]:0.92~5.39、補正後p=0.03)したが、メマンチン群では、1.98低下(同:-0.24~4.20、p=0.40)にとどまった。 ビタミンE群のADCS-ADLスコアのベースライン時からの最小二乗平均差は-13.81であり、プラセボ群の-16.96に比べ有意に小さかった。この違いは、ビタミンE群ではプラセボ群に比べ、年間19%の臨床的進行の遅延、追跡期間では平均6.2ヵ月の遅延に相当した。 メマンチン群とビタミンE+メマンチン群では、ADCS-ADLスコアの減少幅に有意差はなかった。 介護者が費やした時間も、ビタミンE群が最も増加しなかった。 一方、全死亡率と安全性の解析では、感染症または寄生虫感染の重症有害事象発生についてのみ、メマンチン群(23例・31イベント)、ビタミンE+メマンチン群(31例・44イベント)が、プラセボ群(11例・13イベント)に比べ有意に高率であることが示された。 著者は、「軽度~中等度ADへのビタミンE投与は、機能低下を緩やかにし、介護者の負担を軽減するという点でベネフィットが認められることが示された」と結論している。

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小児呼吸器感染症、各症状の持続期間は?/BMJ

 小児呼吸器感染症の症状持続期間について、保護者に提示されているガイダンス内容と比べて、耳痛(7~8日)、感冒(15日)は長期であったことが、米国・ワシントン大学のMatthew Thompson氏らによるシステマティックレビューの結果、判明した。咽頭痛、急性咳嗽、細気管支炎、クループはガイダンス内容と一致していた。著者は、「今回の結果は、保護者および臨床医が呼吸器感染症を適切に見分けるのに有用である」として、新たなエビデンスに基づき現行ガイドラインを更新する必要があると提言している。BMJ誌オンライン版2013年12月24日号掲載の報告より。システマティックレビューで各症状の持続期間を評価 研究グループは、プライマリ・ケアおよび緊急治療部門を受診する、ありふれた小児呼吸器感染症の予想される症状持続期間を確定することを目的に、システマティックレビューを行った。検討したのは、耳痛、咽頭痛、咳(急性咳嗽、細気管支炎、クループなど)、感冒の症状についてであった。 PubMed、DARE、CINAHLを用いて2012年7月までの文献を検索した。プライマリ・ケアか緊急治療部門を受診した急性呼吸器感染症小児を対象とした無作為化対照試験もしくは観察試験で、高所得国で実施され、比較群に対照治療かプラセボあるいはOTC薬治療を設定していたものとした。試験の質の評価は、無作為化対照試験はCochraneバイアスリスクを用いて、観察試験はcritical appraisal skills programmeを用いて行った。 主要評価項目は、症状期間についての各試験データと、可能であればプールした1日平均頻度と95%信頼区間とし、また、各症状が小児の50%および90%で消失した時点までの日数を持続期間とした。耳痛、感冒についてガイダンスと大きな開き 検索した文献は2万2,182本で、そのうち適格基準を満たしたのは、無作為化対照試験23本、観察試験25本であった。解析に組み込んだ試験集団は、試験登録前の年齢、症状期間がさまざまであった。 各症状について解析した結果、小児の90%で症状が消失するまでの期間は、耳痛7~8日、咽頭痛2~7日、クループ2日、細気管支炎21日、急性咳嗽25日、感冒15日、非特異的呼吸器感染症状16日であった。 これらのうち、耳痛と感冒は、英国(NICE)および米国(CDC)で保護者に提示されているガイダンス内容と比べてかなり長期であった。たとえば、耳痛(90%で消失)は、NICEでは平均4日、CDCでは平均2~3日とされており、感冒(90%で消失)については、NICEは10~11日、CDCは14日未満とアドバイスしているという。一方で、一部にはガイダンス内容が過大であるものもあった(例:咽頭痛/扁桃炎をNICEは7日、CDCは14日)。 著者は、「症状持続期間の正確な推定が、適切な保護者の行動や抗菌薬使用に結びつけるうえで有用である」と述べ、新たなエビデンスに基づくガイドラインの更新の必要性を提言している。

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モース顕微鏡手術の安全性を確認 重大有害イベント発生はごくわずか、死亡例なし

 モース顕微鏡手術(MMS)の安全性について、米国内23施設・2万821例を検討した結果、有害イベント発生率は0.72%であり、重大有害イベント発生率は0.02%で非常に低く、死亡例はなく、「同手術は安全である」ことを米国・ノースウェスタン大学のMurad Alam氏らが報告した。これまでMMSにおいて注意すべきとされている合併症の大半は、散発的なものであり、単施設から報告されたもの、もしくは報告が1例のみであった。研究グループは多施設共同前向きコホート試験を行い、MMS関連の有害イベント発生率の定量化と安全性に関する検出に格差がないかを評価した。JAMA Dermatology誌2013年12月号の掲載報告。 本試験は、米国内でMMSを実施する外来センター(民間21、公的2)で行われ、被験者は、各センターで35週の間にMMSの施術を順次受けた連続患者2万821例であった。 主要評価項目は、手術時および術後の重大でない(minor)または重大な(serious)有害イベントとした。 主な結果は以下のとおり。・2万821例のうち、有害イベントは149例(0.72%)であった。重大例は4例(0.02%)、死亡例の報告はなかった。・有害イベントのうち頻度が高かったのは、感染症(61.1%)、裂開および部分的/完全壊死(20.1%)、出血/血腫(15.4%)であった。・出血、創傷癒合といった合併症発生の大半は、抗凝固治療を受けていた患者で起きていたが、MMS中の安全性は問題なく管理されていた。・MMS中の消毒薬、抗菌薬、無菌手袋の使用は、有害イベントリスクの減少とわずかだが関連していることが認められた。・以上のように、MMSは安全な手術であり、有害イベントの発生率は非常に低く、重大有害イベント発生率はきわめて低く、死亡例は検出されていなかった。頻度が高い合併症は感染症で、次いで創傷癒合と出血であった。出血と創傷癒合の問題は、先行する抗凝固療法と関連している頻度が高いが、MMS中は問題なく管理されていた。・一方で著者は「無菌手袋、消毒薬、抗菌薬を用いたことによりみられたリスク減少の効果は小さく、それが臨床的に重要かどうか、また大規模な実践がリスク減少をもたらす費用対効果があるかについても確信が持てない」と述べている。

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小児の慢性片頭痛に認知行動療法が有効/JAMA

 小児の慢性片頭痛の治療として、認知行動療法(CBT)が有効であることが、米国・シンシナティ小児病院医療センターのScott W Powers氏らの検討で示された。小児の慢性片頭痛に関しては、現在、米国FDAによって承認された治療法がないため、実臨床ではエビデンスに基づかない種々の治療が行われているという。心理学的介入の中でも、対処技能の訓練に焦点を当てバイオフィードバック法に基づくリラクセーション訓練を導入したCBTは、これらの患者における慢性、再発性の疼痛の管理に有効であることを示唆するエビデンスが報告されていた。JAMA誌2013年12月25号掲載の報告。CBTの頭痛軽減効果を無作為化試験で評価 研究グループは、年齢10~17歳の慢性片頭痛患者に対するCBT+アミトリプチリン(商品名:トリプタノールほか)と頭痛教育+アミトリプチリンの有用性を比較する無作為化試験を行った。 診断は、専門医が「International Classification of Headache Disorders, 2nd Edition(ICHD-II)」の判定基準を用いて行い、月(28日)に15日以上の頭痛が認められた場合に慢性片頭痛とされた。このうち、Pediatric Migraine Disability Assessment Score(PedMIDAS)が20点以上の患者を試験に組み入れた。PedMIDASは、小児の頭痛に起因する機能障害を0~240点(0~10点:ほとんどなし、11~30点:軽度、31~50点:中等度、51点以上:重度)で評価するもの。 CBT群、頭痛教育群ともに専門セラピストによる10回の研修が行われ、アミトリプチリン1mg/kg/日が20週投与された。フォローアップは3、6、9、12ヵ月後に実施された。 主要評価項目は20週後の頭痛の発現日数、副次評価項目はPedMIDASとした。また、臨床的有意性の評価として、12ヵ月後の頭痛発現日数がベースラインに比べ50%以上低下した患者の割合およびPedMIDASが20点未満の患者の割合について検討した。1年後に86%で頭痛の発現が50%以上低下 2006年10月~2012年9月までに135例が登録され、CBT群に64例、頭痛教育群には71例が割り付けられた。全体の平均年齢は14.4歳、女児が79%で、ベースライン時の平均頭痛発現頻度は21.3(SD 5.2)日/28日、PedMIDASは68.3(SD 31.9)点であった。129例(59例、70例)が20週のフォローアップを終了し、12ヵ月のフォローアップを完遂したのは124例(57例、67例)だった。 20週時の頭痛発現日数は、CBT群で11.5日減少したのに対し、頭痛教育群の低下日数は6.8日であり、有意な差が認められた(群間差:4.7日、95%信頼区間[CI]:1.7~7.7、p=0.002)。PedMIDASは、CBT群で52.7点低下したが、頭痛教育群では38.6点の減少にとどまり、有意差が確認された(群間差:14.1点、95%CI:3.3~24.9、p=0.01)。また、頭痛発現日数が50%以上低下した患者の割合は、CBT群が66%と、頭痛教育群の36%に比べ有意に良好であった(オッズ比[OR]:3.5、95%CI:1.7~7.2、p<0.001)。 12ヵ月時の頭痛発現日数50%以上低下例の割合は、CBT群が86%、頭痛教育群は69%であった(p<0.001)。また、12ヵ月時に、PedMIDASが20点未満の患者の割合は、それぞれ88%、76%だった(p<0.001)。 有害事象は、CBT群で90件、頭痛教育群では109件報告された。CBT群に比べ頭痛教育群では中枢神経系、呼吸器系の有害事象が多かった。中枢神経系有害事象には、片頭痛発作重積や片頭痛の増悪のほか、疲労や眠気、めまいなどアミトリプチリンによる既知のものが含まれ、呼吸器系有害事象としてはインフルエンザ感染、肺炎、季節性アレルギー、上気道感染症などがみられた。

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COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か

 1年間マクロライド系抗菌薬の長期療法を行うことでCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の増悪リスクは減少するが、聴力の低下やマクロライド系耐性菌が増えるリスクもあることが米国・テンプル大学病院のFrederick L. Ramos氏らによって報告された。Current Opinion in Pulmonary Medicine誌オンライン版2013年12月28日の掲載報告。 COPDの増悪は有害事象と関連しているため、その予防は重要である。最近の研究からマクロライドの長期療法はCOPDの増悪リスクを減少させることがわかっている。そこで、COPDの増悪抑制に対するマクロライド系抗菌薬の長期療法の効果を検討した研究のうち、より質の高いエビデンスを選定し、再評価を行った。この再評価では、マクロライド系抗菌薬の長期療法と健康関連QOL、喀痰細菌、耐性状況、炎症性マーカー、肺機能、費用便益分析の観点からも検討を加えた。 通常の治療に加え、エリスロマイシンまたはアジスロマイシンが1年間投与されていた患者を対象とした2つの質の高い無作為化プラセボ対照試験では、COPDが増悪するまでの期間は長く、頻度も低いことがわかった。その一方で、これらの患者では聴力の低下が多く認められ、マクロライド系耐性菌も多いことがわかった。

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「二次災害としての感染症」「東アジアで急増するエイズ」に関する講演会のご案内

 2014年1月12日(日)、順天堂大学大学院医学研究科 研究基盤センターの坪内 暁子氏らが、科学教育の一環として「二次災害としての感染症」「日本ほか、東アジアで急増するエイズ」について講演する。本講演は、高校生などの若年層を対象にしているが、教員、その他の方々の聴講も歓迎している。【講演会の概要】■場所:法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎 薩埵ホール(6、7階)■日時:2014年1月12日(日)10:00~12:20(開場9:30) ポスター(PDF)●二次災害としての感染症 -知る!「体験」・「体感」する!「考え」る!- 坪内 暁子氏(順天堂大学大学院医学研究科 研究基盤センター 助教) 内藤 俊夫氏(順天堂大学大学院医学研究科 総合診療科学 先任准教授)14:00~17:20(開場 13:30) ポスター(PDF)●日本ほか、東アジアで急増するエイズ-HIV/AIDSの世界の流行状況と問題点- 坪内 暁子氏●HIV Prevention Strategies among Blood Donors in the Kingdom of Swaziland Hosea Sukati氏(スワジランド王国 衛生部国家輸血センター センター長)●Human Immunodeficiency Virus -Related Opportunistic Parasitic Infections in Taiwan- Chia-Kwung Fan氏(台湾 台北医学大学医学系 教授)●日本におけるHIV/AIDSの現状-誰もが知っておくべきこと- 内藤 俊夫氏■問い合わせ先 坪内 暁子 e-mail:akiko@juntendo.ac.jp TEL:03-3813-3111 内線3294

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