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ステップ4の気管支喘息患者にできればステロイドを内服させたくない(解説:倉原 優 氏)-258

外来で診ている最重症の気管支喘息患者では、ステロイドの経口投与やIgEをターゲットにしたオマリズマブ(商品名:ゾレア)を使うことがある。それでもコントロールができない患者は多く、さらなる武器に期待している呼吸器内科医は少なくないだろう。その1つが、モノクローナル抗体を用いた抗体医薬品である。メポリズマブは、インターロイキン-5をターゲットとしている。 本試験の登録患者は、少なくとも半年間、ステロイドの全身投与をプレドニゾロン換算で1日当たり5~35mg内服している。すなわち、ステップ4の中でも“やむなく”経口ステロイドを使わざるを得なかった患者が対象となっている。 ご存じの通り、経口ステロイドを長期に続けていると、数々の副作用を起こすだけでなく、日和見感染症によって呼吸器疾患が急性増悪することがしばしばある。そのため、喘息治療においては、できる限り経口ステロイドを減らしたいというのが呼吸器内科医の総意であろう。 今回の結果、メポリズマブによる経口ステロイドの減量効果が認められた。半数以上の患者が50%以上の減量に成功しているが、ただしプラセボにおいても3割の患者が50%以上の減量に成功している。統計学的に有意な差とはいえ、ベースラインとして、本当に経口ステロイドが必要なステップ4の患者だったのかどうか疑問は残る。 ちなみに、ゾレアにもステロイド減量効果があると言われているが、現時点ではまだ結論は出ていない1)。

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産婦人科医ユミの頼られる「女性のミカタ」

第1回 いつもの外来+αで月経痛をケアしよう! 第2回 性感染症へのアプローチ 第3回 何が怖い?妊婦の急変 第4回 妊娠と薬、授乳と薬 第5回 長引く月経を止める    ―女性ホルモンマスターへの道(1)― 第6回 低用量ピルの使い方    ―女性ホルモンマスターへの道(2)― 第7回 更年期障害をケアしよう! 第8回 どう言ったらいい!?言いにくいあのコト、    このコト 女性医療の場面で陥りがちなコミュニケーションの失敗例を、美人産婦人科医ユミこと、池田裕美枝先生がさまざまな患者に扮(ふん)して熱演。その七変化ぶりから一転、クールな白衣姿でのレクチャーは細かなポイントまでしっかり押さえつつも、わかりやすく明快!「プライマリケア医にも気軽に実践できるよう、女性医療のエッセンスを届けたい」というユミ先生が、月経困難症や性感染症、更年期障害など、女性特有の悩みや疾患に対し、内診をしなくても実践できる診断・治療法を解説します。気を遣う問診時の言葉の選び方や患者コミュニケーション法など、診療にすぐに取り入れられるノウハウも満載。さあ、あなたもユミ先生に女性の正しい診かたを学んで、「女性のミカタ」になろう!第1回 いつもの外来+αで月経痛をケアしよう! 月経困難症(いわゆる月経痛)を訴える女性患者が訪れたとき、婦人科専門医へコンサルトする前にできることがあります。この回では、内診を行わなくても可能な月経困難症への対処法をご紹介します。冒頭のスキットでは、ユミ先生扮する理屈っぽいキャリアウーマンが喉の痛みで受診。喉の痛み止めるために処方されたロキソニンを、月経痛にも転用して使いたいと訴えます。ところが、頭の固い(?)男性医師は、異なる用途で鎮痛薬を出すことに躊躇してしまい、険悪なムードに…これを受けたレクチャーで、NSAIDsや低用量ピルの選び方と使い方を詳しく解説します。適正な薬物療法は、悩ましい月経痛を軽減するだけでなく、子宮内膜症などを防ぐメリットも!「女性のミカタ」になれる情報満載です。第2回 性感染症へのアプローチ 性感染症は性行動が活発な人特有のものではありません。子宮が未熟な10代女性の場合、それだけで性感染症に罹患するリスクが高いのです。この回では、プライマリ・ケアの現場で積極的に実践してほしい性感染症のスクリーニング検査について解説します。冒頭のスキットでは、ユミ先生扮するギャル風女子高生が腹痛で受診。実は付き合い始めたばかりの彼氏がいて、性交時につらい痛みがあることも打ち明けます。男性医師は、性感染症が原因の腹痛かもしれないので、パートナーも含めた治療が必要であると説明。女子高生はすっかり取り乱してしまい…レクチャー編では、感染例が最も多いクラミジアの治療法のほか、代表的な性感染症のスクリーニング検査法、感染予防の観点も踏まえた「5C」の指導法について解説します。第3回 何が怖い?妊婦の急変 妊婦が急な腹痛を訴えて産婦人科以外に受診したとき、どう対応したら良いでしょうか?重要なポイントになるのが、妊娠にまつわる腹痛なのか、そうではないのかの見極めです。今回は、ただちに産婦人科へコンサルトすべき緊急疾患と、その鑑別方法について解説します。冒頭のスキットでは、ユミ先生扮する妊婦が腹痛を訴えて受診。しかしよく聞いてみると、どうやら食べ過ぎが原因の模様。男性医師は、あきれつつ下痢止め薬を処方しますが、「妊婦が薬を飲むとお腹の赤ちゃんに影響するのでは」と食い下がり、医師も対応に困惑…レクチャー編では、特に注意すべき妊娠後期の緊急疾患8つを挙げ、それぞれ特有の症状と鑑別方法を詳しく解説します。第4回 妊娠と薬、授乳と薬 妊娠中の女性が、かぜや腰痛など、妊娠関連疾患以外の理由で訪れた時、的確な診察ができれば、頼れるかかりつけ医になれます!今回は、妊娠期と授乳期に分けて、検査や薬の処方の仕方を解説します。冒頭のスキットでは、妊婦が長引く咳を主訴に来院。念のために胸のレントゲン検査を勧める医師に対し、胎児への放射線の影響を心配して診察が進まず…レクチャー編では、妊娠週数による対応方法の違い、そして薬を処方する際に気をつけなければいけないポイントを解説。授乳期には、母親が心配する「薬の成分の母乳移行」が実際にどの程度のものなのか、何を注意すべきなのかを詳しく説明します。第5回 長引く月経を止める ―女性ホルモンマスターへの道(1)― 体が発達途中の10代女性。無理なダイエットをしたりすることで、婦人科系に思わぬ変調をきたすことがあります。今回は、不正性器出血を女性ホルモンを使ってどう対処するのかを解説します。冒頭のスキットでは、ダイエットでまともな食事をとっていない女子高生が、終わらない月経に不安を訴えて来院。食生活の改善と薬で月経を止めることを提案しますが…続くレクチャー編では、まず不正性器出血の原因を探ります。若い女性の場合、がんや筋腫などの婦人科病変よりも、ホルモンバランスが崩れることで生じた「機能性子宮出血」であることがほとんど。そこで、出血を止め、子宮を正常に戻してあげるための女性ホルモンが有用。プライマリ・ケアの現場でも大いに役立つことでしょう。第6回 低用量ピルの使い方 ―女性ホルモンマスターへの道(2)― 低用量ピルは、避妊、月経痛の軽減効果だけでなく、子宮のメカニズムを利用した月経周期コントロールにも有用です。今回は、月経コントロールを希望する患者にどのような処方や指導を行えばよいかを解説します。冒頭のスキットでは、前回の月経不順の女子高生が再来院。今回は大事なイベントに月経が重ならないようにしたいという相談で訪れて…レクチャーでは、低用量ピルの選び方、処方する際に必要な、月経周期に合わせた飲み方の指導方法や、まれではあるものの起こると重篤になりがちな副作用リスクについて詳しく解説します。第7回 更年期障害をケアしよう! 女性は生涯にわたって、ホルモンの変化の波にさらされます。更年期障害も、その影響で起こります。更年期にまつわるつらい症状を訴える患者に、適切な治療ができるようになりましょう。今回は、更年期障害の中でも血管運動性症状の治療に有効なホルモン補充療法について解説します。冒頭のスキットでは、一見元気そうなオバちゃんが来院。問診していくと、急に暑がったり、顔がほてったりすることがわかり、医師は更年期障害を疑いますが、治療をうまく勧められず・・・レクチャーでは、更年期障害の判断方法、エストロゲン補充療法が有効な症状と禁忌、治療の効果や副作用リスクについて詳しく解説します。第8回 どう言ったらいい!?言いにくいあのコト、このコト女性診療の場面で、言葉の選び方や言い回しをちょっと工夫すると、コミュニケーションがスムーズになることもあります。今回は、池田先生自身が産婦人科外来で「これは使える!」と思った言葉と言い回しのうち、選りすぐりの10パターンを紹介します。いずれもすぐに診療に生かせて有用ですが、やみくもにパターン化するのではなく、患者の年齢やキャラクターを加味し、ケースバイケースで言葉の使い分けが必要です。それぞれの言葉や言い回しについて、池田先生の経験に基づいた解説にも注目してご覧ください。

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事例23 レボフロキサシン(商品名:クラビット)投与日数の査定【斬らレセプト】

解説前月受傷の足底挫創に対して状態確認に通院された患者が熱発を訴えていた。足底の傷はきれいに治癒していたので、口腔内を目視したところ、扁桃腺に膿が付着していた。これが熱発の原因であると考えて急性扁桃炎と診断、クラビット®錠(レボフロキサシン)を14日分処方した。しかし、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)を理由に7日分へと査定になった。同薬剤の添付文書を見てみると、「本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめる」と限度日数の明記はない。そのため14日分までは良いと考え、投与していた。しかし、「最小限の期間」とは、「感受性検査などを行ったうえで効果が予見できる期間」とされている。その期間は、他の多くの抗菌薬では添付文書にて7日間を限度とされていることから、保険診療における抗菌薬使用限度は、7日間が1つの目安とされていることが推測できる。事例もこの目安で7日分に査定となったものであろう。外来であって、急性感染症に対する抗菌薬の1処方に対して感受性検査などもないことから、7日以内に査定となっていてもおかしくはなかった事例であった。

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肺がんPET、肺感染症流行地では不適/JAMA

 18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)PET検査による肺がんの診断は、肺感染症の流行を繰り返したり蔓延している地域(流行地)での使用は支持できないことが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのStephen A. Deppen氏らによるメタ解析の結果、明らかにされた。FDG-PETによる肺結節に対する診断精度は非常にばらついており、FDG-PET+CTによる悪性腫瘍の特定は、肺感染症流行地では同非流行地と比べて低いことが判明したという。FDG-PETは肺がん疑い症例への非侵襲的な診断手法として使用が推奨されているが、著者は、「今回のデータは、肺感染症流行地での使用は、診断精度が同程度にならない限り支持できないことを示すものであった」とまとめている。JAMA誌2014年9月24日号掲載の報告。肺がんFDG-PET検査成績の感度と特異度についてメタ解析 研究グループは、2000年10月1日~2014年4月28日にMEDLINE、EMBASE、Web of Scienceにて、FDG-PETによる肺がん診断の感度と特異度について十分な報告を行っている論文を検索。良性および悪性病変を有する患者が10例以上参加していた試験のみを選択した。 リサーチライブラリアンが適格論文を収集し、2名のレビュワーが個別にレビューを行った。階層サマリーROC曲線を作成し、ランダム効果ロジスティック回帰モデルを用いて、検査成績への肺感染症流行地の影響を評価。主要評価項目は、FDG-PET検査成績の感度と特異度とした。特異度、肺感染症流行地61%、非流行地77% 検索により論文1,923件が得られ、そのうち257件の適格性が評価された。結果、解析には70試験が組み込まれた。それらの報告では、計8,511例の結節が評価されており、うち5,105例(60%)が悪性であった。 解析の結果、感度(I2=87%)および特異度(I2=82%)はいずれも試験間のバラツキが大きかった。 そのうえで、プール解析による感度(補正前)は89%(95%信頼区間[CI]:86~91%)、同特異度は75%(同:71~79%)であった。 また特異度(補正後平均値)について、肺感染症流行地と非流行地を比べると、前者のほうが16ポイント低かった(61%vs. 77%)。特異度は、厳正に実施された試験、また適切な対照を置いた比較試験ほど低かった。 なお、感度は流行地の状況で変化がみられるということはなく、関連因子で補正後も変化しなかった。

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エボラウイルス病、11月には2万例超えるか/NEJM

 西アフリカのエボラウイルス病(EVD)患者は、感染対策の抜本的な改善がなされなければ、今後、毎週数百~数千例の割合で増加し続け、11月初旬には2万例を超えると予測されることが、WHO Ebola Response Teamの調査で明らかとなった。2014年3月23日、WHOはギニアにおけるEVDのアウトブレイクを公式に認定した。また、8月8日には、この流行に対し「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(public health emergency of international concern)」を宣告している。NEJM誌オンライン版2014年9月23日号掲載の報告。4ヵ国4,010例のデータを詳細に解析 2013年12月30日~2014年9月14日までに、エボラウイルス感染の疑い例および確定例は4,507例に上り、このうち西アフリカ5ヵ国(ギニア、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ)からEVDによる死亡例が2,296例報告されている。 WHOの研究チームは、9月14日までにギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネの4ヵ国から収集されたエボラウイルス感染疑い例3,343例および確定例667例のデータを詳細に解析した。発熱、疲労感、嘔吐が高頻度、特異的な出血はまれ 患者のほとんどが15~44歳で、男性は49.9%であった。感染の臨床アウトカムが判明している患者の死亡率は70.8%(95%信頼区間[CI]:69~73%)に上った。 発症から感染が確定されるまでにみられた主な症状は、発熱87.1%、疲労感76.4%、食欲減退64.5%、嘔吐67.6%、下痢65.6%、頭痛53.4%、腹痛44.3%で、特異的な出血症状はまれであったが、「説明不能な出血」が18.0%で報告されている。 これらの徴候や症状のほか、潜伏期間(11.4日)、発症間隔(感染源の発症から2次感染者の発症までの期間は15.3日)などの感染過程は、以前のEVDのアウトブレイクの報告と類似していた。 初回指数増殖期のデータに基づくと、推定基本再生産数(basic reproduction number:R0)は、ギニアが1.71、リベリアが1.83、シエラレオネは2.02であった。また、推定現再生産数(current reproduction numbers:R)はそれぞれ1.81、1.51、1.38であり、倍加時間は15.7日、23.6日、30.2日と推算された。 この流行に対する感染対策に変化がないと仮定すると、2014年11月2日までに感染疑い例と確定例の累積報告数はギニアで5,740例、リベリアで9,890例、シエラレオネでは5,000例に及び、全体で2万例を超えることが予測される。 研究チームは、「感染対策の抜本的な改善がなされなければ、今後数ヵ月にわたり、EVD患者および死亡例は毎週数百~数千例の割合で増加し続けると予測される」と結論づけている。

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HPVスクリーニングに尿検査が有用/BMJ

 尿検査による子宮頸部ヒトパピローマウイルス(HPV)検出の精度は良好と思われ、初尿サンプルを用いるのがランダム尿や中間尿を用いるよりも正確であることが判明した。英国・ロンドン大学のNeha Pathak氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。細胞診検査による子宮頸部HPV検出は精度の高いスクリーニング法とされるが、侵襲的な検査のため現行スクリーニングプログラムの大きな障壁となっている。今回の結果を踏まえて著者は、「サブグループで子宮頸部細胞診検査が困難であるときは、受け入れ可能な選択肢として尿中HPV検出を検討すべきであろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年9月16日号掲載の報告より。尿中HPV DNA検出と子宮頸部HPV DNA検出の比較試験をメタ解析 研究グループは、2013年12月時点で電子データベースなどを用いて、女性を対象とした尿中HPV DNA検出と子宮頸部HPV DNA検出の精度を比較した試験論文を検索した。特定した論文から、患者特性、試験背景、バイアスリスク、検査精度に関するデータを抽出し、2×2分割表解析と、二変量混合効果モデルのメタ解析を行った。HPV16、18の検出感度は73%、特異度98%、初尿サンプルが有用 検索により発表論文16件を特定し、14試験、1,443例のデータをメタ解析に組み込んだ。 大半の試験で、初尿サンプルを用いたPCR法が採用されていた。 尿検査によるあらゆるHPV検出のプール感度は87%(95%信頼区間[CI]:78~92%)、同特異度は94%(同:82~98%)であった。また高リスクHPV検出のプール感度は77%(同:68~84%)、同特異度は88%(同:58~97%)であった。また、HPV16、18検出のプール感度は73%(同:56~86%)、同特異度は98%(同:91~100%)であった。 メタ回帰分析により、尿サンプルは初尿サンプルを用いたほうが、ランダムまたは中間尿サンプルを用いた場合よりも、感度が増大することが明らかになった(相対的感度:1.2、95%CI:1.06~1.37、p=0.004)。特異度は、尿サンプルによる有意な違いは認められなかった(p=0.46)。 なお、本検討について著者は、尿中HPV検査の方法論が厳格には統一されていないこと、各試験間の精度についての検証が行われていなかったため、限定的なものであることとしている。その上で、HPV検出の代替法としてさらなる検討と尿検査の標準化を行うことが必要であると提言している。

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英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ

 英国では、1990年代後半にプライマリケアでの抗菌薬の処方が減少しプラトーに達した後、2000年以降再び増加し、耐性菌増加の懸念が出てきている。 英・カーディフ大学のCraig J Currie氏らは、1991~2012年における英国のプライマリケアでの主な4つの感染症における抗菌薬の治療失敗率について検討した。その結果、各感染症に対して初期治療で用いられる抗菌薬の上位10剤のうち、1剤以上が治療失敗と関連していた。また、この期間中に全体的な治療失敗率が12%増加し、その増加のほとんどは、プライマリケアでの抗菌薬処方が再び増加してきた2000年以降であることが報告された。BMJ誌2014年9月23日号に掲載。 著者らは、UK Clinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを用いて、上気道感染症、下気道感染症、皮膚・軟部組織感染症、急性中耳炎に対する抗菌薬単剤での初期治療の失敗率を縦断的に分析した。主な評価項目は、標準化した基準で定義された調整治療失敗率(1991年を100とした指数)とした。 主な結果は以下のとおり。・CPRDの抗菌薬処方箋約5,800万枚から、4つの適応症に対する単剤治療の1,096万7,607エピソードを分析した。それぞれのエピソードは、上気道感染症が423万6,574(38.6%)、下気道感染症が314万8,947(28.7%)、皮膚・軟部組織感染症が256万8,230(23.4%)、急性中耳炎が101万3,856(9.2%)であった。・1991年における全体的な治療失敗率は13.9%であり、上気道感染症12.0%、下気道感染症16.9%、皮膚・軟部組織感染症12.8%、急性中耳炎13.9%であった。・2012年における全体的な治療失敗率は15.4%で、1991年と比較し12%増加していた(1991年を100とした調整値:112、95%CI:112~113)。最も高かったのは下気道感染症であった(同調整値:135、95%CI:134~136)。・最もよく処方される抗菌薬(アモキシシリン、フェノキシメチルペニシリン、フルクロキサシリン)の治療失敗率は20%以下であった。一方、上気道感染症治療におけるトリメトプリム(1991~1995年:29.2% → 2008~2012年:70.1%)、下気道感染症治療におけるシプロフロキサシン(同22.3% → 30.8%)とセファレキシン(同22.0% → 30.8%)は顕著な増加が認められた。・広域スペクトルのペニシリン、マクロライド、フルクロキサシリンの治療失敗率は、ほぼ変化がなかった。

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長引くせん妄、その関連因子は

 これまで、せん妄回復例については研究されてきたが、持続するせん妄に関連する因子については十分な研究は行われていなかった。スイス・チューリッヒ大学病院のSoenke Boettger氏らは、せん妄持続例とせん妄回復例の社会人口学的特性および治療法を比較し、せん妄の持続に関連する因子について検討を行った。その結果、「高齢」「認知症の既往」「脳がん」「がん終末期」「感染症」などの存在がせん妄の持続に関連していることを報告した。Palliative and Supportive Care誌オンライン版2014年9月5日号の掲載報告。 研究グループは、Memorial Delirium Assessment Scale(MDAS)を用いてせん妄の回復に関連する因子を、またKarnofsky Performance Status(KPS)を用いて機能改善に関連する因子を明らかにする検討を行った。被験者は、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)の精神科から登録、ベースライン時(T1)、2~3日目(T2)、4~7日目(T3)に、MDASおよびKPSの評価を実施。せん妄持続例とせん妄回復例の社会人口学的特性および医学的変数を比較した。 主な結果は以下のとおり。・111例中26例に持続的なせん妄がみられた。患者背景として「高齢」「男性」「認知症併存」の割合が高かった。・せん妄患者のうち、がんと診断された者では、「脳がん」および「終末期」が、せん妄の持続または反応遅延に関連していた。・「消化器がん」については、せん妄回復との関連がみられた。・せん妄の治療において、感染症を有する場合は反応が遅く、通常1週間かかった。・せん妄持続例はベースラインから1週間の重症度がより高かった。・ベースライン時のMDASスコアは、せん妄持続例は20.1、T2およびT3におけるせん妄回復例は17~18.8、治療1週後(T3)のスコアはそれぞれ15.2、4.7~7.4であった。・ 治療1週後、せん妄持続例は意識、認知、臓器、知覚、精神運動行動、睡眠-覚醒サイクルのドメインにおいてより重度の障害がみられ、さらに機能障害も重篤であった。・高齢、認知症の既往、脳がん、がん終末期、感染症は結果に有意差をもたらした。・せん妄の重症度は、せん妄の持続または反応遅延に関連しており、せん妄の経過の延長と難治性を示すとともに、治療1週後の重度の機能障害と関連していた。関連医療ニュース せん妄管理における各抗精神病薬の違いは がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… 定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬  担当者へのご意見箱はこちら

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日本初“外用”爪白癬治療剤の特徴と有用性

 2014年9月2日(火)、爪白癬治療剤エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン爪外用液10%)が発売された。本剤は、日本初の外用爪白癬治療剤で、科研製薬が創製した新規トリアゾール系化合物エフィナコナゾールを有効成分とする。 本剤の発売によって治療選択肢が増えた爪白癬治療。その現状および課題、新薬への期待について紹介する。爪白癬とは 爪白癬とは、皮膚糸状菌(白癬菌)が爪および爪の下の皮膚(爪床)に入って生じた感染症で、日本の有病者は1,100万人ともいわれている。 爪白癬はかゆみなどの症状はなく、主に爪の混濁、肥厚、変形などの外見上の変化を来す。病態が進行すると、肥厚した爪が靴で押さえられて痛くなったり、歩きづらくなったりすることもある。 また、身体の他部位や家族などへ感染が広がることもあるので、速やかに治療する必要がある。これまでの爪白癬治療と課題 これまで、日本国内で爪白癬に適応のある治療薬は、経口抗真菌薬のみであった。経口抗真菌薬のメリットとして、血流に乗って爪床で抗真菌作用を示すこと、他部位の白癬菌感染にも効果が期待できるといったことが挙げられる。 しかし、肝障害などの副作用や他剤との薬物相互作用が生じることがあるため、高齢者や合併症によって複数の薬剤を服用している患者さんでは、注意が必要となる。 経口抗真菌薬を服用できない場合は、適応外とはなるが、爪を削ったうえで外用抗真菌薬が塗布されることもあった。これまでの外用抗真菌薬は、爪床まで浸透しにくく、爪白癬には効果が期待できないためである。爪床まで浸透する外用抗真菌剤特徴 エフィナコナゾールは、エルゴステロールの生合成を阻害することで、抗真菌活性を発揮する。ケラチン親和性が低いため、爪の表面に塗るだけで爪床まで浸透し、爪白癬に効果が期待できる薬剤である。 なお、処方の際は、直接鏡検または培養などにより確定診断を行い、他疾患と鑑別する必要がある。有効性 日本人を含む国際共同第III相試験および海外第III相試験で、感染面積が20~50%(中等度)の爪白癬患者を対象とし、基剤群との二重盲検比較を行った。 エフィナコナゾールまたは基剤を48週間投与し、投与開始後52週目の完全治癒率、真菌学的治癒率、臨床的有効率などを評価した。その結果、エフィナコナゾール群は基剤群に比べて、有意な差が認められた。 なお、52週目の真菌学的治癒率(KOH直接鏡検と真菌培養検査がともに陰性の割合)は55.2%であった。安全性 上記の2試験における臨床検査値異常を含む副作用発現は、安全性評価対象例1,227例中78例(6.4%)であった。頻度の高いものは皮膚炎、水疱、紅斑、そう痒などで、主に適用部位にみられた。 血中移行性は低いため、経口抗真菌薬で問題となる全身性の副作用や薬物相互作用を回避できるという点でも期待が高い。使用方法 1日1回、罹患爪全体に塗布する。爪がひどく濡れている状態での塗布は避け、清潔な状態での塗布が望ましい。 爪の表面全体および皮膚との境界部まで塗布するが、皮膚に付着すると刺激を感じることがあるため、周囲の皮膚に付着した薬剤は拭き取る。完全に治癒するまで継続使用が大切 本剤は、爪の白癬菌に作用するもので、すでに変化した爪の外観を改善するものではない。爪が生え変わるまでは白癬菌が爪の中に残っていることもあるため、健康な爪に生え変わるまで継続して治療を続ける必要がある。 完全に治癒する前に自己判断で中断すると、再発・悪化、他部位や他者へ感染するおそれがある。また、すでに家族が罹患している場合は、白癬菌の移し合いにならないように全員で治癒を目指したい。早期治療、継続治療のために 最後に、クレナフィン爪外用液について、科研製薬株式会社の製品担当者に話を聞いた。「これまで、日本では外用の爪白癬治療剤はなく、経口抗真菌薬ではカバーしきれない症例も多くみられた。本剤の登場により、より安全・簡便に有効性が期待できるため、新たな選択肢として先生方や患者さんのお役に立てるのではないかと考えている」としたうえで、「爪白癬の症状は外見の変化が主で、痛みやかゆみが少ないので、病気と認識していない患者さんも少なくない。早期治療、継続治療の必要性を説明するため、情報を提供していきたい」と語った。 新たな治療選択肢であるクレナフィン爪外用液によって、患者さんのQOLおよび全身性副作用や薬物相互作用への懸念が少ない爪白癬治療の実現につながるものと考えられる。また、外用剤という利便性から良好なアドヒアランスが見込まれ、治療の継続につながることが期待される。

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結核へのモキシフロキサシンレジメン、非劣性示されず/NEJM

 薬剤感受性結核に対し、モキシフロキサシン(商品名:アベロックス)ベースレジメンの短期4ヵ月投与について検討した試験の結果、対照レジメンと比較し治療効果の非劣性は示されなかったことが報告された。英国セント・アンドルーズ大学医学部のStephen H. Gillespie氏らが行った、第III相無作為化試験の結果、明らかにされた。これまでに行われた初期フェーズおよび前臨床試験の結果、モキシフロキサシンベースのレジメンは4ヵ月治療について検討可能であることが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2014年9月7日号掲載の報告より。モキシフロキサシンベースのレジメン2種を従来レジメンと比較 Gillespie氏らは、先行試験で検討可能な対象として示唆されていた、合併症のない薬剤感受性塗抹陽性肺結核で未治療の18歳以上患者1,931例を対象に、第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。モキシフロキサシンベースのレジメン2種について対照レジメンに対する非劣性を評価した。 第1グループ(対照群)には、イソニアジド、リファンピン、ピラジナミド、エタンブトールを8週間投与し、その後イソニアジドとリファンピンを18週間投与した。第2グループ(イソニアジド群)には、対照群レジメンのエタンブトールの代わりにモキシフロキサシンとしたレジメンを17週間投与し、その後9週間はプラセボを投与した。第3グループ(エタンブトール群)には、対照群レジメンのイソニアジドをモキシフロキサシンに代えて17週間投与し、その後9週間はプラセボを投与した。 主要エンドポイントは、無作為化後18ヵ月以内の治療不成功または再発とした。モキシフロキサシンレジメン、従来レジメンより良好なアウトカムは低率 per-protocol解析の結果、良好な治療結果が得られたのは、イソニアジド群では85%、エタンブトール群では80%と、対照群の92%より低率だった。対照群との差は、イソニアジド群が6.1ポイント(97.5%信頼区間:1.7~10.5ポイント)、エタンブトール群が11.4ポイント(同:6.7~16.1ポイント)だった。 結果は、修正intention-to-treat解析、全感度解析でも一貫してみられた。 一方、培養陰性までの所要日数は、対照群に比べイソニアジド群とエタンブトール群で有意に短縮していた。 またグレード3または4の有害事象の発生率は、イソニアジド群19%、エタンブトール群17%、対照群19%であり、有意差はみられなかった。

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小児BCG接種、結核菌への感染を2割予防-(解説:吉田 敦 氏)-249

これまで小児へのBCG接種が、重症結核なかでも髄膜炎に対して60~80%の予防効果を有することが判明していたが、肺結核に対する効果は不定で、さらに既感染患者での発症予防にも効果がないと考えられていた。 今回英国・イングランド公衆衛生局(PHE)のA. Roy氏らは、インターフェロン-γ遊離試験(IGRA)を用いた検討のメタアナリシスを行い、これらの課題について新たな結論を導いた。BMJ誌2014年8月5日号掲載の報告より。IGRAで結核菌感染の有無をスクリーニング 研究グループは、Medlineなどの文献データベースをもとに、1950~2013年11月に発表された、肺結核患者からの曝露を受けた16歳未満の小児に関する検討を抽出し、BCG接種と結核菌感染予防の効果について、システマティックレビューとメタアナリシスを試みた。なおIGRAはBCG接種の影響を受けないため、BCG接種とIGRAによって判断した結核菌感染の有無を解析した試験に絞った。接種群は、感染後の発症も58%予防 結果として3,855例を含む14試験が該当した。BCG接種群の結核菌感染に関する推定リスク比は、非接種群に対し0.81(95%信頼区間[CI]:0.71~0.92)であった。つまり小児へのBCG接種は、非接種の場合に比べ、肺結核患者からの曝露による感染を19%低下させることが判明した。こうした予防効果は、IGRAの2法(エリスポット法、クォンティフェロン法)において同程度であった。 また、1,745例の6試験を対象に、結核菌感染が確認された被験者が活動性結核を発症するかどうかについて、接種の効果を調べた。感染の予防効果は27%(リスク比は0.73)、活動性結核発症の予防効果は71%(リスク比0.29)であり、BCG接種が感染から発症に至るのを予防する効果は、58%(リスク比:0.42、95%CI:0.23~0.77)であった。より好ましい成績が得られたのか? IGRAはツベルクリン反応よりも結核の感染状態をよく反映するため、より精確な検討や比較が可能になった。このため今回のように、BCG接種による発症予防効果のみならず、感染予防効果の検討も容易になっている。一方、今回の検討は、地域、母集団、基礎疾患、流行状況に違いのある先行研究を、著者に元々のデータの提出を依頼しながら解析したものであり、含まれるデータの質には十分な配慮がされているといってよい。 これまで不確実な結論に終わっていた、BCGによる曝露後予防と発症予防に関し、より精確で定量的な解釈を与えた点で、本検討の価値は大きいと考える。

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糖尿病高齢者に多い皮膚病変とは

 65歳以上高齢者における糖尿病と関連した皮膚疾患の有病率を調べた結果、慢性の皮膚潰瘍、脚部の褐色斑、かゆみが多いことが示された。台湾・高雄退役軍人総合病院のH-W. Tseng氏らが、退役軍人施設に入所する313例について調査し報告した。著者は、「糖尿病にみられる皮膚の特徴を観察することで、糖尿病患者の状態をより完全に評価することが可能である。糖尿病に関連した皮膚の情報は、適切な治療と看護を提供するための基本である」とまとめている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2014年9月1日号の掲載報告。 研究グループは、高齢の男性における皮膚疾患と糖尿病および糖尿病に関連した皮膚疾患の統計的な関連性を調べた。 台湾の退役軍人施設で断面調査を行い、入所者の皮膚の症状、主な全身性疾患を記録。年齢、BMI、顕著であった全身性疾患で補正後、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を行い、オッズ比(OR)とp値を求めて統計的関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、65歳以上男性313例で、そのうち70例(22.4%)が糖尿病を有していた。・糖尿病被験者に最もよくみられた皮膚の症状は、真菌感染症(77%)、脚部の褐色斑(38.3%)であった。・補正後ORの評価により、糖尿病との有意な関連が認められたのは、慢性の皮膚潰瘍(AOR:4.90、95%CI:1.82~13.19、p=0.002)、脚部の褐色斑(同:6.82、3.60~12.89、p<0.001)、かゆみ(同:12.86、4.40~37.59、p<0.001)であった。・糖尿病被験者では、細菌感染症、疥癬、スキンタッグのリスクがわずかだが高かった。

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びまん性汎細気管支炎〔DPB : diffuse panbronchiolitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)は病理組織学的には両側びまん性に分布する呼吸細気管支領域の慢性炎症像を特徴とし、臨床的には慢性副鼻腔炎を伴う慢性気道感染症の形を取る疾患である。そもそもDPBの疾患概念は1960年代に、わが国で確立されたものであるが、欧米においてDPBがほとんど存在しないため、長く認知されてこなかった。しかしながら、1983年、本間氏らによりChest誌上に紹介されて以来1)、徐々に理解が深まり、現在では広く認知され欧米の主要な教科書でも必ず触れられる疾患となっている。■ 疫学以前はそれほどまれな疾患ではなく、1970年代には人口10万人対11という有病率の報告もあったが、近年では典型例は激減し、めったに見ることがなくなった2)。男女差はなく、発症年齢は10~70代まで広く分布するが、発症のピークは中年である。多くの例で、幼小児期にまず慢性副鼻腔炎にて発症し、長い年月を経て下気道症状の咳、膿性痰が加わって症状が完成する。近年DPBが激減した背景には、戦後の日本人の生活水準が急速に向上し、栄養状態が大きく改善したことと、後述するマクロライド療法が耳鼻科領域の医師にも普及し、慢性副鼻腔炎の段階で治癒してしまうことの2つが大きな原因と考えられる。■ 病因明確な発症のメカニズムはまったく不明であるが、本症が病態として副鼻腔気管支症候群(sino-bronchial syndrome: SBS)の形を取ることから、背景には何らかの呼吸器系での防御機構の低下・欠損が推定される。さらにDPBでは親子・兄弟例が多く報告され、また家族内に部分症ともいえる慢性副鼻腔炎のみを有する例が多発することから、何らかの強い遺伝的素因に基づいて発症する疾患と考えられる。この観点からHLAの検討が行われ、日本人DPB患者では、一般人にはあまり保有されていないHLA-B54が高頻度に保有されていることが見出された3)。B54は特殊なHLAで、欧米人やアフリカ人にはまったく保有されず、東アジアの日本を含む一部の民族でのみ保有される抗原であり、このことがDPBという疾患が、欧米やアフリカにほとんど存在しないことと関連があると考えられる。■ 症状最も重要な症状は、慢性的な膿性の喀痰である。この症状のない例ではDPBの診断はまったく考えられない。痰に伴って咳があるのと、併存する慢性副鼻腔炎由来の症状である鼻閉、膿性鼻汁、嗅覚の低下が主症状である。疾患が進行していくと、気管支拡張や肺の破壊が進行し、息切れが増強し、呼吸不全状態となっていく。■ 予後1980年代以前のDPBはきわめて予後不良の疾患であり、1981年の調査では初診時からの5年生存率は42%、喀痰中の細菌が緑膿菌に交代してからの5年生存率はわずかに8%であった。しかしながら、1980年代半ばに工藤 翔二氏によるエリスロマイシン少量長期投与法が治療に導入されると予後は著明に改善し、早期に診断されてマクロライドが導入されれば、むしろ予後のよい疾患となった4)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)病歴と特徴ある画像所見から、典型例では診断は難しくない。画像所見としては、胸部X線所見で中下肺野に強い、両側びまん性の辺縁不鮮な小粒状影の多発を認め、これにさまざまな程度の中葉・舌区から始まる気管支拡張像と過膨張所見が加わる。CT(HR-CT)は診断上、きわめて有用であり、(1) びまん性小葉中心性の粒状影、(2) 分岐線状陰影、(3) 気道壁の肥厚と拡張像がみられる。DPBの診断基準(表1)を示す。表1 びまん性汎細気管支炎の診断の手引き1. 概念びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis: DPE)とは、両肺びまん性に存在する呼吸細気管支領域の慢性炎症を特徴とし、呼吸機能障害を来す疾患である。病理組織学的には、呼吸細気管支炎を中心とした細気管支炎および細気管支周囲炎であり、リンパ球、形質細胞など円形細胞浸潤と泡沫細胞集簇がみられる。しばしばリンパ濾胞形成を伴い、肉芽組織や瘢痕巣により呼吸細気管支炎の閉塞を来し、進行すると気管支拡張を生じる。男女差はほとんどなく、発病年齢は40~50代をピークとし、若年者から高年齢まで各年代層にわたる。慢性の咳・痰、労作時息切れを主症状とし、高率に慢性副鼻腔炎を合併または既往に持ち、HLA抗原との相関などから遺伝性素因の関与が示唆されている#1。従来、慢性気道感染の進行による呼吸不全のため不良の転帰を取ることが多かったが、近年エリスロマイシン療法などによって予後改善がみられている。2. 主要臨床所見(1) 必須項目1)臨床症状:持続性の咳・痰、および労作時息切れ2)慢性副鼻腔炎の合併ないし既往#23)胸部X線またはCT所見: 胸部X線:両肺野びまん性散布性粒状影#3 胸部CT:両肺野びまん性小葉中心性粒状病変#4(2) 参考項目1)胸部聴診所見:断続性ラ音#52)呼吸機能および血液ガス所見:1秒率低下(70%低下)および低酸素血症(80Torr以下)#63)血液所見:寒冷凝集素価高値#73. 臨床診断(1) 診断の判定確実上記主要所見のうち必須項目1)~3)に加え、参考項目の2項目以上を満たすものほぼ確実必須項目1)~3)を満たすもの可能性あり必須項目のうち1)2)を満たすもの(2) 鑑別診断鑑別診断上注意を要する疾患は、慢性気管支炎、気管支拡張症、線毛不動症候群、閉塞性細気管支炎、嚢胞性線維症などである。病理組織学的検査は本症の確定診断上有用である。[付記]#1日本人症例ではHLA-B54、韓国人症例ではHLA-A11の保有率が高く、現時点では東アジア地域に集積する人種依存症の高い疾患である。#2X線写真で確認のこと。#3しばしば過膨張所見を伴う。進行すると両下肺に気管支拡張所見がみられ、時に巣状肺炎を伴う。#4しばしば細気管支の拡張や壁肥厚がみられる。#5多くは水泡音(coarse crackles)、時に連続性ラ音(wheezes、rhonchi)ないしスクウォーク(squawk)を伴う。#6進行すると肺活量減少、残気量(率)増加を伴う、肺拡散能力の低下はみられない。#7ヒト赤血球凝集法で64倍以上。(厚生省特定疾患びまん性肺疾患調査研究班班会議、平成10年12月12日)SBSの形を取り、画像上、前述のような所見がみられれば、臨床的に診断がなされる。寒冷凝集素価の持続高値、閉塞性換気障害、HLA-B54(+)といった所見が診断をさらに補強する。通常、病理組織検査を必要としないが、非典型例、関節リウマチ合併例、HTLV-1陽性例、他のSBSとの鑑別が難しい例などでは、胸腔鏡下肺生検による検体が必要となる場合もある。近年、DPBが激減していることから経験が不足し、COPD、気管支喘息などと診断されてしまっている例もみられ、注意を要する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)表2 びまん性汎細気管支炎(DPB)に対するマクロライド療法の治療指針(2000年1月29日)マクロライド少量療法はDPBに対する基本療法であり、早期の症例ほどより高い臨床効果が得られることから、診断後は速やかにマクロライド少量治療法を開始すべきである。 なおマクロライド薬のうち、第1選択薬はエリスロマイシン(EM)である。(投与量及び用法)EM 1日投与量は400または600mgを分2または分3で経口投与する。(効果判定と治療期問)1.臨床効果は2~3ヵ月以内に認められることが多いが、最低6ヵ月は投与して、その臨床効果を判定する。2.長期投与により自覚症状、臨床検査所見(画像、肺機能など)が改善、安定し、重症度分類で4または5級(付記1)程度になれば、通算2年間の投与で終了する。3.終了後症状の再燃がみられれぱ、再投与が必要である。4.広汎な気管支拡張や呼吸不全を伴う進行症例で有効な場合は、通算2年間に限ることなく継続投与する。(付記)1.4級:咳・痰軽度。痰量10mL以下、息切れの程度はH-J II~III。安静時PaO2は70~79 Torrで、呼吸器症状のため社会での日常生活活動に支障がある。5級:呼吸器症状なし。安静時にPaO2は80 Torr以上。日常生活に支障なし。2.マクロライド薬のうち、現在までに本症に対する有効性が確認されているのは14員環マクロライド薬であり、16員環マクロライド薬は無効である。EMによる副作用や薬剤相互作用がある場合、あるいはEM無効症例では、14員環ニューマクロライド薬の投与を試みる。投与例 1)クラリスロマイシン(CAM)200または400mg 分1または分2経口投与2)ロキシスロマイシン(RXM)150または300mg 分1または分2経口投与炎症が強い例では、殺菌的な抗菌薬の静注やニューキノロン経口薬を短期間投与し、感染・炎症を抑えてから基本的治療に入る。基本的治療はエリスロマイシン、クラリスロマイシンを中心とした14員環マクロライドの少量長期投与である。これらの薬剤の抗炎症効果による改善が、通常投与後2週間くらいから顕著にみられる。エリスロマイシンでは400~600mg/日を6ヵ月~数年間以上用いる。著効が得られた場合はさらに減量して続行してもよい。ただし、気管支拡張が広範囲に進展し、呼吸不全状態にあるような例では、マクロライドの効果も限定的である。有効例では、投与後2週間くらいからまず喀痰量が減少し、この時点ですでに患者も自覚的な改善を認める。さらに数ヵ月~6ヵ月で呼吸機能、胸部X線像の改善がみられていく。同時に慢性副鼻腔炎症状も改善するが、嗅覚に関しては、やや改善に乏しい印象がある。マクロライドは一般的には、長期間投与しても何ら副作用を認めないことが多いが、まれに肝障害や時に胃腸障害を認める。元来マクロライドは、緑膿菌にはまったく抗菌力がないと考えられるが、近年の研究から14員環マクロライドが緑膿菌のquorum sensingという機能を抑制し、毒素産生やバイオフィルム形成を阻害することが解明されてきている。4 今後の展望典型例はほとんどみられなくなったが、日本人にはDPBの素因が今なお確実に受け継がれているはずであり、軽症例や関節リウマチなどの疾患に合併した例などが必ず出現する。 SBSをみた場合には、必ずDPBを第1に疑っていく必要がある。5 主たる診療科呼吸器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本呼吸器学会 呼吸器の病気のコーナー(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Homma H, et al. Chest. 1983; 83: 63-69.2)Kono C, et al. Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2012; 29: 19-25.3)Sugiyama Y, et al. Am Rev Respir Dis. 1990; 141: 1459-1462.4)Kudoh S, et al. Am J Respir Crit Care Med. 1998; 157: 1829-1832.

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デンマークの医療安全学会報告 その1【Dr. 中島の 新・徒然草】(034)

三十四の段 デンマークの医療安全学会報告 その1デンマークで行われた RHCN(Resilient Health Care Network)という医療安全の学会に出席してきたので、その時の様子を3回に分けて報告いたします。まず、デンマークという国です。私は今回が初めての訪問になり、曖昧なイメージしかありませんでした。人口 約560万人面積 約4.3万平方キロメートルつまり九州程度の面積に兵庫県程度の人口が住んでいるということになります。ヨーロッパ大陸から北の方角に突き出してスカンジナビア半島に向きあっており、いわゆる北欧の一部です。首都のコペンハーゲンで北緯55度、ということはおおよそ樺太の北端に相当します。ただし、グリーンランドもデンマーク領です。こちらは人口わずか5万人ですが、面積は216万平方キロメートルあるので日本の5倍ほどの大きさです。デンマークについて面白いのはEU(欧州連合)に所属していながら、通貨はユーロではなく、独自のデンマーククローネ(DKK)を発行していることです。デンマーククローネはユーロ(EUR)に対するレートが人為的に固定されているので、物の値段は DKK と EUR の両方で表示されており、どちらでも使えます。それなら独自通貨を発行する意味があるのでしょうか。おそらくギリシャのような経済危機に見舞われたときに、通貨発行権を持っていれば政府や中央銀行が舵取りをしやすいのだと思います。国土はフラットで山らしい山がなく、あちこちで風力発電の羽根が回っています。人々は北欧らしく長身、金髪で、日本人が張り合おうという気にならないくらいの美男美女揃い。しかも仕事ぶりが真面目で、どこもかしこも掃除が行き届いているのには感心しました。多くのヨーロッパ人がそうであるように、デンマークの人も複数の言語を操ります。少なくとも英語は皆さんペラペラでした。地続きであるドイツ語もペラペラなのではないかと思います。以前はドイツとの間に国境の検問所があり、パスポートのチェックもあったそうですが、今はありません。車を運転していて気づいたら周囲の看板がドイツ語になっていたということもよくあるそうです。「EUの中だったらどこで仕事しようが家を買おうが自由なんだ。いい時代になったものだ」と、あるデンマーク人男性が言っていました。首都のコペンハーゲンですらのんびりしており英語も通じるので、旅行するにはいい所だと思います。ちゃんと世界三大「がっかり名所」の人魚姫像もあり、多くの観光客が写真を撮っていました。この像のモデルはデンマーク王立劇場のプリマドンナのエレン・プライスですが、彼女が裸体を拒否したので首から下は製作した彫刻家エリクセンの奥さん、エリーネが代わりにモデルをつとめたそうです。デンマークの話はこのくらいにして、学会の話をしましょう。なにしろ時差ボケに苦しみながら4日間の英語責めだったので、死にそうな思いをしました。ミゼルファートという風光明媚な村の古城での三食付きの学会ですが、単なるカンヅメ合宿だったのです。resilient というのは、状況に応じて柔軟に対応する能力のことです。会長のホルナゲル先生は漢字の「弾」をあてているので、「柔軟」というよりも「弾力的」という表現がいいのかもしれません。すでに多くの産業において、安全を実現する目的で resilient という考え方が入ってきているそうです。これまでの医療安全と違っているのは、「失敗から学ぶ」のではなく、「成功からも学ぶ」。言い換えれば、成功も失敗も含めたすべての過程から学ぶ人体も医療も線型システム(linear system)ではなく、複雑系(complex system)である。したがって、因果関係で説明できないことはたくさんある。というか、その方が多い医療安全の実現は、単に医療事故のない状態をつくることではないという共通認識を前提にしていることです。「複雑系」というのは知っているような知らないような言葉です。定義するのは難しいので例を挙げたいと思います。複雑系として知られている世界としては、金融、戦争やテロなどの紛争、交通渋滞、台風の発生や地震など、多くのものがあります。生物の構成はそもそも複雑系ですが、とくに典型的なものとしては癌の成長、菌糸類の成長、免疫系の機能、感染症の流行などが挙げられます。株の暴落や地震の発生、疾病の発生などは、複雑系の中で突如起こってくる創発(emergence)と呼ばれる現象ですが、これを予測したり制御したりするのは極めて困難です。ほとんど不可能といってもいいでしょう。地震の発生や金融バブルの崩壊がいつどのような形で起こるのかを予測できれば多くの悲劇が防げるはずですが、地球物理学者や経済学者などの専門家をもってしても確実に予測することはできていません。逆に、予測できない創発が突如起こるのが典型的な複雑系なのです。それはさておき、resilient という合言葉のもとに世界中から集まった約50人が、朝から晩までそれぞれの主義主張を発表しては議論するさまは壮観でした。なんせ医療界にとっては全く新しい概念であり、各自が好きなように解釈しては自らの成果、というかアイデアを披露するわけですから、座って聴いている方はまことに苦しいものがあります。まずは複雑系を描写する FRAM(The Functional Resonance Analysis Method)という概念図。これは六角形をパズルのように組み合わせて、たとえば「輸血を行う」といった事象を記述するものです。「正しい血液をとってくる」「電子カルテで確認する」「輸血前に照合する」「輸血ラインにつなぐ」など、1つ1つの行為に input(入力)と output(出力)があるのは当然ですが、これに影響を及ぼすものとして time(時間的制約)、preconditions(準備)、control(制御)、resources(資源)などがあるとしています。頭文字をとって順に I O T P C R で6つになり、この6つで六角形を構成するのです。現実世界を複雑系として理解するためには相互に複雑に絡み合った多数の六角形を用いる必要があり、「輸血」という一見単純な医療行為であっても、FRAM を用いて記述するには10個以上の六角形を要します。その一方、正確に記述すれば複雑怪奇な図となってしまう「輸血」を、われわれがさほど難しく考えることもなくやってしまえるのは、現場の1人1人の「弾力的な」働きによるのです。つまり、医療従事者は非常に resilient なので、無意識のうちに複雑な行程をこなしているのです。もちろん各医療機関には輸血マニュアルというものがあり、それを守って輸血をしているには違いないのですが、実際の現場が万事想定どおりになっているとは限りません。機械の不調とか、バーコードの読み取りがうまくいかないとか、同じ処置室に別の急患が搬入されたとか、時々刻々と変わっていく状況の中で時間に追われながら輸血せざるを得ないのが現実です。ほとんどの場合、現場の人たちがうまく微調整を行い、結果として正しく輸血が行われているのです。ところが残念なことに、ごく稀に異型輸血のような事故が起こってしまいます。一見、単純に見える間違いが、実は機械やバーコードや他の患者など、思いもよらないいろいろな要素が複雑に絡まり合って起こっていることが FRAM からは読み取れます。世の中にはこの FRAM を駆使し、原子力発電から宇宙飛行、国際紛争に至るまでどのように記述するかを研究している人達がいるのは驚きです。そのうちの1人は学会の事務局を兼任していたデンマーク人女性ですが、もともとは化学プラントの安全を専門としており、数年前から医療安全にかかわっているとのこと。アメリカ人やオーストラリア人の医師たちに対し、一歩も引かずに英語で議論するところなど、只者ではありませんでした。

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デング熱での解熱剤に注意~厚労省がガイドライン配布

 9月16日、厚生労働省より全国の地方公共団体の衛生主管部局宛てに「デング熱診療ガイドライン(第1版)」が配布された。本ガイドラインは、全国で131名(9月17日現在)の患者が確認されている中で、一般医療機関への問い合わせも多いことから、9月3日に公開された診療マニュアルの内容を刷新し、あらためて作成されたものである。■妊婦、乳幼児、高齢者は重症化のリスク因子 ガイドラインは、デング熱の概要、症状・所見、診断、治療、予防、参考文献、図表の順で記載されている。 すでに多くのメディアで報道されているように、デング熱の臨床経過について通常は1週間前後の経過で回復すること、典型症状は急激な発熱、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などであることなどの説明が記されている。 注意すべきは、一部の患者が経過中に重症型デングを呈することである。とくにリスク因子としては、妊婦、乳幼児、高齢者、糖尿病、腎不全などがあり、これらの患者では、経過観察でショック、呼吸不全、出血症状、臓器障害がないかどうかの注意が必要となる(なお1999年以降、日本国内で発症した同疾患での死亡者は記録されていない)。■解熱剤はアセトアミノフェンを推奨 デング熱では上記の症状のほか、血液検査で血小板減少、白血球減少が認められる。確定診断では、ウイルス分離やPCR法によるウイルス遺伝子の検出などが用いられるのは、既知のとおりである。症状を認めた時点で、必要に応じ、適切な治療が可能な医療機関への紹介が必要となる。 また、治療では、有効なウイルス薬はなく、輸液などによる対症療法が行われる。その際に投与する解熱剤について、アスピリンは出血傾向やアシドーシスを助長するため使用するべきでなく、同じくイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)も胃炎、出血を助長するために使用すべきではないとされている。投与する解熱剤としては、アセトアミノフェンなどが推奨されている。■医療者は診療時にも注意 デング熱には現時点で有効なワクチンがないため、有効な予防対策は蚊に刺されないことである。外出の際は、露出の少ない服装で虫よけスプレーなどによる対策を講じることになる。 1つ注意が必要なことは、患者診療時の医療者への感染である。疑わしい患者の診療時に針刺し事故などの血液曝露で感染する危険があるため、十分に注意するよう促している。 また、患者が出血を伴う場合には、医療従事者は不透過性のガウンおよび手袋を着用し、体液や血液による眼の汚染のリスクがある場合にはアイゴーグルなどで眼を保護する、としている。詳しくは厚生労働省 報道発表資料デング熱、患者さんに聞かれたら・・・

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結核性心膜炎でのステロイドや免疫療法を検証/NEJM

 結核性心膜炎患者に対し、補助的プレドニゾロン治療またはM. indicus pranii免疫療法のいずれも、有意な効果は認められなかったことが示された。南アフリカ共和国のケープタウン大学のBongani M Mayosi氏らが報告した。結核性心膜炎は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症を有している患者の頻度が高く、抗結核治療にもかかわらず有病率や死亡率が高いことが報告されている。また、補助的グルココルチコイド療法の効果については、死亡率の減少などが報告されていたが、HIV感染症患者についてはがんリスクを増大するといった報告が寄せられ、その使用について国際ガイドラインでは相反する勧告が示されている。研究グループは、補助的プレドニゾロンについてHIV感染症患者を含む結核性心膜炎に対し効果があるのではないかと仮定し検討を行った。NEJM誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告より。1,400例対象に、プレドニゾロンvs. M. indicus pranii免疫療法vs. プラセボ 検討は無作為化2×2要因試験にて、結核性心膜炎と診断または疑われた患者1,400例を対象に行われた。6週間のプレドニゾロンまたはプラセボを投与する群と、3ヵ月間で5回注射投与するM. indicus pranii免疫療法またはプラセボを投与する群に、無作為に割り付けた。 被験者のうち3分の2がHIV感染症を有していた。 主要有効性アウトカムは、死亡・心タンポナーデ・収縮性心膜炎の複合とした。主要複合アウトカムに有意差なし、がんリスク増大 結果、主要アウトカムの発生について、プレドニゾロン投与群(23.8%)とプラセボ投与群(24.5%)との間に有意な差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.77~1.18、p=0.66)。また、M. indicus pranii免疫療法群(25.0%)とプラセボ投与群(24.3%)との間にも有意差はみられなかった(同:1.03、0.82~1.29、p=0.81)。 一方で、プレドニゾロン治療はプラセボと比較して、収縮性心膜炎の発生(4.4%対7.8%、HR:0.56、95%CI:0.36~0.87、p=0.009)、入院(20.7%vs. 25.2%、HR:0.79、95%CI:0.63~0.99、p=0.04)を有意に減少したことが示された。 しかし、プレドニゾロン治療およびM. indicus pranii免疫療法とも、それぞれプラセボと比較して、がん発生の有意な増大と関連しており(1.8%vs. 0.6%、HR:3.27、95%CI:1.07~10.03、p=0.03/1.8%vs. 0.5%、同:3.69、1.03~13.24、p=0.03)、主としてHIV関連のがん増大によるものであった。

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HPV16/18型ワクチン、感染歴ある成人にも有効/Lancet

 25歳以上の女性においても、ヒトパピローマウイルス(HPV)16/18型AS04アジュバントワクチンは、31/45型を含むHPV感染および子宮頸部病変に対し効果を発揮することが、オーストラリア・テレソン小児健康リサーチ研究所のS Rachel Skinner氏らが行ったVIVIANE試験で示された。HPV予防ワクチンの主な対象は思春期の少女であるが、すでにHPV 6/11/16/18型ワクチンは成人女性(24~45歳)にも有効との知見がある。発がん性のあるHPVは16/18/45/31/33型が約85%を占めるが、感染歴のある成人女性は新たなパートナーから以前とは異なる型のHPVに感染する可能性が高いという。Lancet誌オンライン版2014年9月2日号掲載の報告。感染/病変歴ありを含む集団の中間解析 VIVIANE試験は、成人女性に対するHPV 16/18型ワクチンの有効性、安全性、免疫原性の評価を行う進行中の多施設共同二重盲検無作為化対照比較第III相試験。今回、中間解析が行われた。 25歳以上の健常女性が、地域、年齢層、HPV DNA検査、細胞診などを考慮して、HPV 16/18型ワクチンを接種する群または対照群に無作為に割り付けられた。26~35歳と36~45歳が約45%ずつ、46歳以上が約10%となるように登録を行った。各年齢層に、15%を上限にHPV感染または病変の罹患歴のある女性を含めた。 主要評価項目は、6ヵ月時のHPV 16/18型感染または前がん病変(Grade 1以上の子宮頸部上皮内異形成:CIN 1+)に対するワクチンの効果とした。有効性の主要解析はaccording-to-protocol(ATP)集団(全3回のワクチン接種、ベースラインの細胞診でHPV陰性または軽度病変、HPV病変歴なし)で行い、副次解析にはワクチン効果の対象外の発がん性HPV型に対する効果を含めた。平均フォローアップ期間は全ワクチン集団が44.3ヵ月、ATP集団は40.3ヵ月であった。良好な交差防御的効果、Grade 3の注射部位疼痛14% 本試験には12ヵ国が参加した。2006年2月16日に患者登録を開始し、今回の解析の最終受診日は2010年12月10日であった。全ワクチン集団は5,752例(ワクチン群:2,881例、対照群:2,871例)で、そのうちATP集団は4,505例(2,264例、2,241例)であり、HPV感染/病変歴ありが705例(345例、360例)含まれた。 ATP集団全体における6ヵ月後のHPV 16/18型の持続感染またはCIN+の抑制率は81.1%(97.7%信頼区間[CI]:52.1~94.0%)であった。26~35歳では83.5%(同:45.0~96.8%)、36~45歳では77.2%(同:2.8~96.9%)であったが、45歳以上では感染例がなく評価不能であった。 ATP集団の6ヵ月後のHPV 16/18型による意義不明な異型扁平上皮細胞(ASC-US+)の抑制率も93.7%(97.7%CI:71.5~99.5%)と良好であった。また、交差防御的な効果として、HPV 31型(抑制率:79.1%、97.7%CI:27.6~95.9%)およびHPV 45型(同:76.9%、18.5~95.6%)に対する抑制作用が確認された。 全ワクチン集団における6ヵ月後のHPV 16/18型の持続感染またはCIN+の抑制率は43.9%(97.7%CI:23.9~59.0%)、HPV感染/病変歴ありの集団では49.9%(同:-0.3~76.2%)であった。 接種後7日間以内に、注射部位の特定有害事象がワクチン群の85%(2,443/2,881例)にみられ、対照群の67%(1,910/2,871例)に比べ頻度が高かった。このうちGrade 3(正常な身体活動が不能)の疼痛はそれぞれ14%(394例)、3%(88例)に発現した。 重篤な有害事象は、ワクチン群の10%(285/2,881例)、対照群の9%(267/2,871例)に認められ、このうちそれぞれ5例(<1%)、8例(<1%)がワクチン関連と考えられた。17例(ワクチン群:14例、対照群:3例)が死亡したが、ワクチン関連死はなかった。 著者は、「この中間解析の知見は、HPV感染歴のある女性を含む25歳以上の女性にも、本ワクチンはベネフィットをもたらす可能性があるとの見解を支持するもの」と指摘している。

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