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C型肝炎治療は新たなステージに

 2017年11月28日、アッヴィ合同会社はメディアセミナー「C型肝炎治療におけるアンメットメディカルニーズと治療のさらなる進歩」を開催した。まず、熊田博光氏(虎の門病院分院長)が「新たなステージに入ったC型肝炎治療」と題した講演を行った。 C型肝炎のジェノタイプの中で、わが国でもっとも多い1型では、1992年にインターフェロン単独療法が保険適用されて以来、2014年には日本初の経口薬のみの治療としてアスナプレビル・ダクラタスビル併用療法が承認され、その後も12週で治療可能な直接作用型抗ウィルス薬(DAA)が複数発売されており、高い治療効果が望めるようになった。しかし従来の薬剤では肝機能障害や循環器系の副作用のリスク、腎機能低下例への投与禁忌、遺伝子変異による効果減弱、併用禁忌薬が多いなど幾つかの問題があった。 また、1型に次いで多い2型でも2015年にソホスブビル・リバビリン併用療法が承認されたことで高い治療効果が得られるようになったが、リバビリン併用による貧血出現や、腎機能低下例には禁忌であるといった課題があった。 以上の課題に加えて、日本で保険適用され一般的に使用されているセロタイプとジェノタイプの不一致が報告されており、その診断に基づき、誤った治療が行われていることもあるため、すべてのジェノタイプに効果があるパンジェノタイプの薬剤が求められていた。 このような中、11月27日にマヴィレット配合錠(一般名:グレカプレビル/ピブレンタスビル、以下マヴィレット)が発売された。マヴィレットは、最短8週間の投与で治療効果を発揮するバンジェノタイプ、リバビリンフリーの治療薬である。 まずは2型におけるリバビリンフリーの達成、そして既存のDAAで効果が得られなかった症例などへの使用が見込まれるが、最短8週間という治療期間の短縮やパンジェノタイプといったマヴィレットの特性は、すべての患者にとって有用であると考えられる。 セミナーの後半で日本肝臓病患者団体協議会 代表理事 米澤敦子氏が、患者の立場から語ったように、治療奏効率が高まってきたからこそ、既存治療で効果が見られなかった患者が、患者仲間と自分を比較して孤立感を深めているという事例もあるという。そのような患者の選択肢を増やすという観点からも、今後のマヴィレットの果たす役割に期待したい。

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クロストリジウム感染症の再発予防の糞便移植、経口カプセルでも/JAMA

 再発性クロストリジウム・ディフィシル感染症(RCDI)に対する糞便微生物移植(FMT)の経口カプセルによる実施は、大腸内視鏡で行うFMTに対して再発予防効果は非劣性であることが示された。また、経口カプセルFMTは大腸内視鏡FMTに比べて、患者の不快感も少なかった。カナダ・アルバータ大学のDina Kao氏らが、116例の患者を対象に行った非盲検無作為化非劣性試験で明らかにしたもので、JAMA誌2017年11月28日号で発表した。これまでFMTについて、送達ルートの違いにより臨床的効果が異なるのかは不明であった。各FMT実施12週間後のRCDI予防効果を比較 研究グループは、2014年10月~2016年9月にかけて、カナダ・アルバータ州の3つの大学病院で、RCDI患者116例を対象に試験を開始し、経口カプセルFMTの大腸内視鏡FMTに対する非劣性を検証した。非劣性マージンは15%とした。 主要アウトカムは、FMT実施12週間後のRCDI非発生患者の割合だった。副次アウトカムは、(1)重度および軽度有害事象の発生率、(2)健康関連QOL(生活の質)36項目調査票(SF-36)スコア(0[QOLが最悪]~100[QOLが最良])、(3)患者評価に基づく不快感(10段階評価で1[まったく不快ではない]~10[きわめて不快])と満足感(1[最良]~10[最悪])だった。RCDI予防率は両群ともに約96% 被験者116例(カプセル群57例、大腸内視鏡群59例)は、平均年齢58[SD 19]歳、女性が68%を占めた。試験を完了したのは105例(91%)だった。 per-protocol解析の結果、1回のFMT実施で12週後にRCDIを予防できたのは、カプセル群51/53例、大腸内視鏡群50/52例で、両群ともに達成率は96.2%で、カプセル群の大腸内視鏡群に対する非劣性が示された(群間差:0%、片側95%信頼区間[CI]:-6.1~無限大、p<0.001)。 軽度有害事象の発生率は、大腸内視鏡群12.5%に対しカプセル群は5.4%だった。また、不快感に関する患者評価で「まったく不快ではない」と回答した人の割合は、大腸内視鏡群44%に対しカプセル群は66%と有意に高率だった(群間差:22%、95%CI:3~40、p=0.01)。 著者は、「経口カプセルFMTは、RCDI治療の効果的なアプローチ法と思われる」とまとめている。■「糞便移植」関連記事糞便移植は潰瘍性大腸炎の新たな治療となるか/Lancet

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日常診療で肺炎を予測する4つの所見

 日常のプライマリケアにおいて、下気道症状を有する患者の肺炎診断に、体温>37.8℃、crackle、SpO2<95%、脈拍>100/分の4つの所見が予測因子となることが、英国サウサンプトン大学のMichael Moore氏らの前向きコホート研究により示唆された。The European Respiratory Journal誌2017年11月22日号に掲載。 本研究は日常診療における肺炎の診断に役立てるために実施された。2009~13年に英国の診療所5,222施設から、下気道感染(LRTI)による成人急性咳嗽患者2万8,883例が登録された。症状・徴候・治療について、診察時およびその後のイベント時に記録し、カルテ審査によって30日間追跡した。著者らは、最初の1週間での肺炎診断における、患者特性・主症状・臨床所見の予測的有用性を確立した。 主な結果は以下のとおり。・2万8,883例中720例(2.5%)が診察の1週間以内にレントゲン撮影を実施され、そのうち115例(16.0%、2万8,883例の0.40%)でdefiniteもしくはprobableの肺炎診断を受けた。・レントゲン検査で確認された肺炎において、体温>37.8℃(リスク比[RR]:2.6、95%CI:1.5~4.8)、聴診におけるcrackle(RR:1.8、95%CI:1.1~3.0)、SpO2<95%(RR:1.7、95%CI:1.0~3.1)、脈拍>100/分(RR:1.9、95%CI:1.1~3.2)の4つが有意で独立した予測因子であった。・ほとんどの肺炎患者(99/115、86.1%)がこの4つの臨床徴候の1つ以上を示し、その陽性的中率は20.2%(95%CI:17.3~23.1)であった。 著者らは、日常臨床では、LRTIの短期合併症として肺炎は非常にまれである(1/270)ことを紹介し、また、このセッティングにおける肺炎診断にパルスオキシメトリーが役立つ可能性を指摘している。

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循環器内科 米国臨床留学記 第25回

第25回 研究留学から臨床留学への移行臨床留学に関して、こちらで研究留学をしている先生から相談を受けましたので、まとめてみたいと思います。多くの日本人の先生方は2~3年の期限付きで、研究留学で渡米されていますが、留学中にご本人もしくは家族の希望で、引き続き臨床医として米国に残りたいという考えに至る方もいらっしゃるようです。今回は、そんな先生方の参考になれば幸いです。1.難易度は診療科次第外国医学部卒業者(FMG)にとって、極めて狭き門となっている診療科がいくつかあります。整形外科、眼科、耳鼻科、脳神経外科などです。これらの科は、米国人でも医学部で優秀な成績を修め、USMLE(米国医師免許試験)も満点に近い人しか進むことができません。一方、内科や家庭医学などは比較的FMGにも扉が開かれています。胸部外科(呼吸器外科、心臓血管外科の双方を含む)は、4~5年前までは米国人に人気がありませんでした1)。ところが、過去4~5年でポジションが減ったにもかかわらず、応募者が増え、希望者が候補者の数を上回っています。胸部外科、とくに心臓血管外科は責任が重く、リスクも高い仕事ですが、待遇も良いため(Cejka Search2)によると64万ドル、日本円換算で7,000万円)、今後も高い人気が続きそうです。こういった要素は、日本人の心臓外科のフェローの採用に影響が出ることも考えられます。2.臨床医までの道のり米国で研修を始めるには、USMLEのSTEP1、STEP2 CK(clinical knowledge)、STEP2 CS(clinical skill)という3つの試験をパスし、FMGのための教育委員会が発行するECFMG certificateを取得する必要があります。留学ガイドなどでECFMG certificateが「医師免許」と表記されていることがありますが、ECFMG certificateは医師免許ではありません。あくまでもACGME(米国卒後医学教育認定評議会)がFMGのために設けた「研修に参加してもよい」という許可証であり、2~3年の臨床研修を終了しない限り、いかなる州でも医師免許は発行されません。近年、米国での研修は競争が激しくなっていますから、いずれの診療科で研修を開始するにしても高得点を取ることが必要になってきます。インドやパキスタンからの受験者は軒並み高得点ですから、点数が良いだけでポジションが得られるわけではなく、点数が悪いとその時点でポジションの取得がかなり厳しくなります。さらに卒後5年以上経過している場合、それだけで足切りになることが多く、日本で経験を積んだからといって米国でポジションを掴むのは容易ではありません。2015年のデータによると、ECFMG certificateを取得した日本人が63人いたようです3)。このうち、内科でポジションを得た人は14~15人と思われます。外科から始める人や、心臓血管外科などでフェローから始める人もいるので、20~30人の日本人医師が何らかの形でECFMG certificateを行使して、臨床を始めていると思われます。逆にいえば、残りの半数近くの方はECFMG certficateの取得のみに留まり、マッチングでポジションを得るに至っていないということになります(ECFMG certificateを取得後、マッチングに応募しなかった方もいると思われます)。実際、私の回りでも、研究留学中に頑張ってECFMG certificateを取得したものの、マッチングできずに帰国した人がいらっしゃいます。3.ビザの移行の難しさ多くの研究者がJ1 researchビザで留学しています。仮にマッチングでポジションを得ることができれば、J1 clinicalやH1Bビザへの変更は可能です。ただし、J1 clinical ビザは2 years ruleが適応されますので、トレーニング終了後、Waiver(米国人が好まないへき地での診療)を選択するか、日本に帰国しなければ、グリーンカードやH1B ビザなどへの変更ができません。4.フェローからの臨床トレーニングという道も診療科によっては、フェローからの臨床トレーニングが可能です。米国人に人気のない科(感染症、腎臓内科、胸部外科[心臓血管外科など])で、レジデンシーを経ずにフェローからトレーニングを始めるということが可能です(ダイレクトフェローシップ)。NRMPの2017年の実績4)によると、腎臓内科に占める米国人かつ米国医学部卒業者の割合はわずか13%で、ポジションが埋まったのは全体の60%です。プログラムディレクターが、フェローのポジションが埋まらなくて当直などの仕事が大変になるよりは、外国人で埋めようと考えるのは無理もありません。こうした科では、基礎や臨床研究中にフェロープログラムのボスに気に入られれば、道が開けます。ちなみに、私も循環器のサブスペシャリティである不整脈部門(Cardiac Electrophysiology)から始めましたが、運よくポジションが空いたのに加え、ボスに気に入られたというのが理由です。フェローから始めた場合の問題点は、専門医が取れないことです。基礎となる内科のレジデンシーを終えてない限り、いくら腎臓内科や循環器などのサブスペシャリティのトレーニングを終了しても専門医試験には応募できません。つまり、フェローを卒業しても就職ができない可能性があるということです。5.医局との関係日本の医局から留学する場合、現実的には医局の了解がなければ2~3年を超える滞在は難しいことが多いようです。そのためか、米国で臨床留学している人は日本の医局に所属していない人がほとんどです。6.家族との留学生活米国での留学生活は研究も大切ですが、日本での医師としての生活に比べると時間があるため、家族でいろいろな行事や旅行などに参加される方も多いです。そうしたことを含めた貴重な時間をUSMLEなどの勉強に費やすのは、並大抵なことではありません。USMLE対策のために本来の目的である研究がおろそかになることもあり得ます。臨床留学を考えている方は、できれば留学前にECFMG certificateを取得しておくことをお勧めします。1)2017 Main Residency Match2)Physician Salaries reported by the American Medical Group Association3)ECFMG4)Specialties MatchingService

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経口インスリンによる1型糖尿病の予防は可能か/JAMA

 経口インスリン製剤は、1型糖尿病患者の近親者における1型糖尿病の発症を予防しないことが、米国・フロリダ大学のJeffrey P Krischer氏らType 1 Diabetes TrialNet Oral Insulin Study Groupの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年11月21日号に掲載された。Diabetes Prevention Trial-Type 1(DPT-1)試験では、経口インスリン製剤はプラセボに比べ糖尿病の発症を抑制しなかったが、インスリン自己抗体に関する事後解析ではベネフィットが得られるサブグループの存在が示唆されている。DPT-1試験の後継となる本試験では、経口インスリン製剤の糖尿病発症の遅延効果のさらなる探索が進められてきた。自己抗体陽性近親者を対象にプラセボと比較 本試験は、1型糖尿病患者の自己抗体陽性近親者において、経口インスリン製剤による1型糖尿病発症の遅延効果を評価する国際的なプラセボ対照無作為化試験である(Type 1 Diabetes TrialNet Oral Insulin Study Groupなどの助成による)。 対象は、1型糖尿病患者の3~45歳の第1度近親者(きょうだい、父母、子供)または3~20歳の第2・3度近親者(めい、おい、おば、おじ、いとこ)で、糖尿病を有しておらず、インスリン自己抗体が陽性の集団であった。被験者は、遺伝子組み換えヒトインスリン結晶(7.5mg)を1日1回経口投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、第1群における糖尿病発症までの期間とした。第1群(389例)は、インスリン自己抗体(IAA)陽性で、膵島細胞自己抗体(ICA)陽性またはグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)とインスリノーマ関連抗原-2(IA-2)の双方が陽性であり、静脈内ブドウ糖負荷試験で初回インスリン分泌が閾値を超える集団とした。 第2群は、第2-1群(55例、IAA陽性、ICA陽性またはGADとIA-2の双方が陽性で、初回インスリン分泌が閾値未満)、第2-2群(114例、IAA陽性、ICA陽性またはGADかIA-2のいずれかが陽性、初回インスリン分泌が閾値以上)、第2-3試験群(3例、IAA陽性、ICA陽性またはGADかIA-2のいずれかが陽性、初回インスリン分泌が閾値未満)の3群に分けられた。第1群の年間糖尿病発症率:8.8% vs.10.2% 2007年3月2日~2015年12月21日の期間に、9ヵ国87施設で患者登録が行われた。560例(登録時年齢中央値:8.2歳、IQR:5.7~12.1歳、男児:170例[60%]、非ヒスパニック系白人:90.7%、きょうだいが1型糖尿病:57.6%)が無作為割り付けの対象となった。このうち550例が試験を完遂し、第1群の389例(登録時年齢中央値:8.4歳、男児:245例[63%])の完遂例は382例(96%)だった。 フォローアップ期間中央値2.7年(IQR:1.5~4.6)時の第1群における糖尿病診断率は、経口インスリン投与群が28.5%(58/203例)、プラセボ群は33%(62/186例)であった。年間糖尿病発症率はそれぞれ8.8%、10.2%と、両群間に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0~1.2、p=0.21)。 第2-1群(55例)の糖尿病診断率は経口インスリン投与群が48.1%、プラセボ群は70.3%であり、年間糖尿病発症率はそれぞれ18.1%、34.1%(HR:0.45、95%CI:0~0.82、p=0.006)と有意な差がみられ、発症までの期間中央値は55.3ヵ月、24.3ヵ月であり、経口インスリン投与群で31.0ヵ月の発症遅延が認められた。 第2-2群と第2-3群を合わせた集団(116例)のHRは1.03(95%CI:0~2.11、p=0.53)、登録全患者(560例)のHRは0.83(95%CI:0~1.07、p=0.11)であり、いずれも有意な差はなかった。 最も頻度の高い有害事象は感染症で、254例(経口インスリン投与群:134例、プラセボ群:120例)に認められた。試験関連有害事象は両群間に差はなかった。 著者は、「これらの知見は、糖尿病の予防における経口インスリンの使用を支持しない」としている。

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抗菌薬は上気道感染症後の細菌合併症を減らせるのか

 抗菌薬使用と上気道感染症(URTI)後細菌合併症との関連を検討した前向きコホート研究で、URTI後の細菌合併症はまれであり、また抗菌薬は細菌合併症予防における保護効果がない可能性が示唆された。スウェーデン・ストックホルム県ランスティング公衆衛生局のThomas Cars氏らが報告した。BMJ open誌2017年11月15日号に掲載。 本研究では、ストックホルム県のプライマリケア、専門医の外来クリニック、入院加療施設における、2006年1月~2016年1月の診察・診断・調剤抗菌薬に関する行政医療データを基に検討した。主要アウトカムは、生態学的時間傾向分析における、URTI・細菌感染/合併症・呼吸器系抗菌薬使用の頻度の10年間の傾向分析、前向きコホート研究における、抗菌薬投与あり患者と投与なし患者のURTI後の細菌合併症発症率とした。 主な結果は以下のとおり。・2006年から2015年までに呼吸器系抗菌薬の使用は22%減少したが、乳様突起炎(p=0.0933)、扁桃周囲膿瘍(p=0.0544)、A群溶血性レンサ球菌感染症(p=0.3991)、眼窩内膿瘍(p=0.9637)、硬膜内および硬膜下膿瘍(p=0.4790)、汎副鼻腔炎(p=0.3971)での増加傾向はみられなかった。また、髄膜炎および急性篩骨蜂巣炎は減少し(それぞれp=0.0038、p=0.0003)、咽後膿瘍および咽頭周囲膿瘍は増加した(p=0.0214)。・URTI後の細菌合併症は、扁桃炎後の扁桃周囲膿瘍(10,000発症当たり、抗菌薬投与あり患者41.1、投与なし患者32.4)を除き、投与あり患者・投与なし患者ともまれであった(10,000発症当たり、投与あり患者1.5未満、投与なし患者1.3未満)。 著者らは、「定期的に収集された行政医療データの分析により、患者・処方医師・政策立案者に対して、URTI・抗菌薬使用・細菌合併症の数に関する貴重な情報を提供できる」としている。

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最短8週間治療が可能なC型肝炎治療薬が登場

 アッヴィ合同会社は、すべての主要なジェノタイプ(GT1~6型)のC型肝炎ウイルス(HCV)に感染した成人患者に対して1日1回投与、リバビリンフリーの治療薬であるマヴィレット配合錠(一般名:グレカプレビル/ピブレンタスビル、以下マヴィレット)を11月27日に発売した。マヴィレットは肝硬変を有さない、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)未治療のジェノタイプ1型(GT1)および2型(GT2)のC型慢性肝炎(HCV)感染患者にとって、最初で唯一の最短8週間治療となる。薬価は1錠24,210.40円。 日本は先進国の中でC型肝炎ウイルスの感染率が最も高い国の1つで、感染患者のうちGT1型およびGT2型が97%を占める。また日本は、C型慢性肝炎とその合併症が主な原因となり発症する肝臓がんの罹患率が先進国の中で最も高い。 虎の門病院分院長の熊田 博光氏は、「今回のマヴィレットの発売により、DAA治療は第3世代へと移行し日本のC型肝炎治療は最終章を迎えると考えている。これまでのDAA療法は、ジェノタイプ、ウイルス耐性の有無、過去のDAA治療歴、または透析など、患者さんの状態によりDAA療法を使い分けていたが、マヴィレットの登場により1つの治療レジメンでそのほとんどがカバーされることになる」と述べている。 マヴィレットは今年2月に製造販売承認申請後、3月に優先審査品目に指定され、9月27日に承認された。 マヴィレットは、「肝硬変を有さない、DAA未治療のGT1型およびGT2型のHCVに感染した日本人患者」を対象とした第III相試験(CERTAIN試験)において、8週間の治療で99%(226例/229例)のウイルス学的著効率(SVR12)を達成した。また、他剤DAAで治癒しなかった患者において93.9%(31例/33例)のSVR12の達成となり、患者背景によらず、いずれも高い著効率を示した。副作用(臨床検査異常を含む)は、国内第III相試験において332例中80例(24.1%)に認められ、主な副作用は、そう痒症16例(4.8%)、頭痛14例(4.2%)、倦怠感10例(3.0%)および血中ビリルビン増加8例(2.4%)であった。 <効能・効果>C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善<用法・用量>○セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎の場合 通常、成人には1回3錠(グレカプレビルとして300mg及びピブレンタスビルとして120mg)を1日1回、食後に経口投与する。 投与期間は8週間とする。なお、C型慢性肝炎に対する前治療歴に応じて投与期間は12週間とすることができる。○セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のC型代償性肝硬変の場合○セログループ1(ジェノタイプ1)又はセログループ2(ジェノタイプ2)のいずれにも該当しないC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変の場合 通常、成人には1回3錠(グレカプレビルとして300mg及びピブレンタスビルとして120mg)を1日1回、食後に経口投与する。投与期間は12週間とする。

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多発性骨髄腫に新たな治療の選択肢

 11月8日、ヤンセンファーマ株式会社は、多発性骨髄腫治療薬のヒト抗CD38モノクロナール抗体ダラツムマブ(商品名:ダラザレックス点滴静注)が9月27日に製造販売の承認を取得したことを期し、多発性骨髄腫に関するメディアセミナーを都内で開催した。 ダラザレックスは、再発または難治性の多発性骨髄腫(以下「MM」と略す)の治療薬で、現在の適応条件では併用療法で使用される予定である。※本剤は11月22日に薬価収載(100mg5mL1瓶 5万1,312円、400mg20mL1瓶 18万4,552円)され、発売された。寛解と再発を繰り返す多発性骨髄腫 はじめに伊藤 博夫氏(同社オンコロジー事業本部 事業本部長)が、「ダラツムマブは、米国食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬指定をもらった治療薬で、早いスピードで承認・発売された。日本でも使用できるようになったことで、今後も、迅速に患者さんに治療薬を届け、安全に使用できるよう副作用情報なども提供していきたい」と挨拶した。 続いて鈴木 憲史氏(日本赤十字社医療センター 血液内科・骨髄腫アミロイドーシスセンター長)を講師に迎え「多発性骨髄腫」をテーマに疾患の概要とダラツムマブの効果について説明が行われた。 MMは、骨髄の形質細胞ががん化し、正常な免疫グロブリンを作らず、異常な免疫グロブリンを過剰産生するために、貧血、腎障害、骨病変、高カルシウム血症などのさまざまな症状を引き起こす。2012年の推定罹患患者数は人口10万人あたり男性5.7人、女性5.1人(男女計5.4人)で、現在も年間7千人前後の患者が推定され、年々増加傾向にあるという。 主な症状としては、造血抑制を原因とする貧血、白血球・血小板減少、骨破壊を原因とする高カルシウム血症、病的・圧迫骨折、脊髄圧迫症状、M蛋白を原因とする免疫グロブリンの低下、腎障害などがみられる。外来診療の場で、「腰痛を訴え、こうした症状も同時に訴える患者がいたら本症を疑うべき」と同氏は言う。 MMの治療では、自家造血幹細胞移植のほか、初期治療として、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾンの3剤併用、レナリドミド、デキサメタゾンの2剤併用療法が行われている。治療薬もプロテアソーム阻害薬、免疫調整薬と増え、治療薬の増加に比例して患者の生存期間も延長している。しかし、MMでは、いったん寛解するものの、腫瘍細胞を完全になくすことは困難であり、再発することも多く、予後もよいとは言えないのが現在の状況であるという。多発性骨髄腫の治療に新戦力 MMの治療戦略として、いかに微小残存病変(MRD)を陰性にさせ、“Therapy off”にするかがポイントとなる。そのため、体内で多発する遺伝子転座の発生をいかに抑制するかが治療のカギとなる。 MMでは、CD38が免疫細胞の形質細胞に高発現し、有用な治療標的とされている。開発されたダラツムマブは、ヒトCD38に結合し、補体依存性細胞傷害活性、抗体依存性細胞傷害活性などの作用で腫瘍の増殖を抑制すると考えられ、CD8陽性細胞傷害性T細胞・CD4陽性ヘルパーT細胞、免疫抑制細胞に影響を及ぼすとされている。 「腫瘍をしっかりと減らし、免疫をつけることができるのがダラツムマブの特徴」と同氏は言う。また、免疫機構が働くことで、「予後の改善にも期待が持てる」と語る。 ダラツムマブでは、2つの臨床試験が行われ、POLLUX試験では、再発または難治性のMM患者(n=569)をDRd(ダラツムマブ、レナリドミド、デキサメタゾン)群とRd(レナリドミド、デキサメタゾン)に分け、無増悪生存期間を評価した。その結果、DRd群はRd群に比べ細胞増殖および死亡のリスクを59%低下させたほか、24ヵ月時点でMRD陰性もDRd群はRd群に比べ大幅に高かったことが示された。また、CASTOR試験では、再発または難治性のMM患者(n=498)をDVd(ダラツムマブ、ボルテゾミブ、デキサメタゾン)群とVd(ボルテゾミブ、デキサメタゾン)に分け、無増悪生存期間を評価した。その結果、DVd群はVd群に比べ細胞増殖リスクを69%低下させたほか、約19ヵ月時点でMRD陰性も先の試験同様にDVd群はVd群に比べ大幅に高かったことが示された。 副作用については、好中球減少症、貧血、血小板減少症、下痢、上気道感染症などが報告されたが重篤なものはなかったという。ただ、ダラツムマブ(ダラザレックス)が点滴薬のために「鼻水、せき、寒気などのアレルギー様の症状が現れる“インフュージョン・リアクション”と呼ばれる症状が現れることもあり、症状によっては注意が必要」と同氏は指摘する。 今後の治療の展望では、ダラツムマブの出現で臨床症状の改善、通院の利便性、服薬への安全性が改善され、患者ニーズをさらに満たしていくと説明するとともに同氏は、「生存期間の延長を現在の段階とすれば、次の段階では早期の新薬適応で治療を、次の段階でMMの寛解を、そして予防まで進めることを期待したい」と抱負を語り、セミナーを終えた。

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新型インフルエンザ対策の最前線

 2017年11月5日、厚生労働省は都内において、「新型インフルエンザ対策に関する研修」を開催した。当日は、新型インフルエンザの疫学、治療ガイドライン、感染対策、行政の動向について4名の演者による講演が行われた。急がれるH7N9ワクチン はじめに「鳥インフルエンザの疫学について」をテーマに小田切 孝人氏(国立感染研インフルエンザウイルス研究センター WHOインフルエンザ協力センター センター長)が、鳥インフルエンザの動向、最新の知見を解説した。 インフルエンザAタイプは人獣共通感染症であり、野生のツルやカモなどの水禽類が宿主となっている。このタイプは、ヒト、トリ、ブタ間でも感染し、現在トリではH5N1、H5N6、H7N9、H9N2が、ブタではH1N2v、H3N2vがヒトに感染することがわかっている。とくに患者数が多かったH5N1は、その数が減少する傾向にあるものの、高病原性ゆえに致命率は53%と高いという。 問題は、突然変異によるパンデミックポテンシャルをウイルスが持っていることであり、トリがこうしたウイルスを獲得していないかどうか、常に監視する必要があると警告する。 ワクチンについては、世界保健機関(WHO)がインフルエンザウイルスのリスト化とワクチン株の保存を行い、日本、米国、英国の施設で新型インフルエンザワクチン製造株を作製・提供を実施しており、中国でも開発中であるという。 その中国では、2013年より鳥インフルエンザ H7N9が流行。2017年8月31日時点で、1,531例の感染例(うち死亡604例)と高い致命率(39.5%)が報告された。また、旅行など人の移動が感染拡大を助長したこと、高齢者の感染例が多いことも報告された(H5N1は青年に多かった)。 H7N9は、飛沫感染する例も動物実験で報告され、ワクチンの開発が急がれているが、予防接種の免疫獲得が低いことや免疫細胞に認識されないなどの問題があり、現在も研究が続けられている。 最後に、日本で中国のようなアウトブレイクが起きるかどうかについて、「わが国の検疫対応をみると発生しないだろう」と現状からの予測を語り、レクチャーを終えた。新型インフルエンザには抗ウイルス薬の使用をためらわない 次に川名 明彦氏(防衛医科大学校 感染症・呼吸器内科 教授)が、「成人の新型インフルエンザ治療ガイドライン改訂の方向性について」をテーマに解説を行った。 2014年3月に現在の治療ガイドラインが発行され、現在は改訂(第2版)の最終段階であり、12月中には最新のガイドラインが発行されるとの見通しを述べた。 ガイドラインで示される治療の範囲は、入院診療の治療がメインとなり、とくに意識障害、肺炎の有無別による治療にページが割かれるという。また、予想される新型インフルエンザの臨床像は、過去のインフルエンザの事例、鳥インフルエンザの重症例、季節性インフルエンザの重症例などから検討され、インフルエンザ肺炎の中でも原発性、混合性、二次性の大きく3つに分けた治療が記されるという。 現在、日本で使用できる抗ウイルス薬には、オセルタミビル(商品名:タミフル)、ザナミビル(同:リレンザ)、ラニナミビル(同:イナビル)、ペラミビル(同:ラピアクタ)の4種がある。治療では、米国疾病管理予防センター(CDC)の原則に沿い、早期投与が勧められているほか、入院患者、2歳以下の小児、65歳以上の高齢者、循環器や代謝異常などの既往症、免疫抑制状態、妊婦(出産後2週間以内も含む)、病的肥満(BMI 40以上)、長期療養施設に入所など、ハイリスク患者には可能な限り早期に投与するとしている。 症状が、軽症、中等症、肺炎合併がない場合の新型インフルエンザの治療では、季節性インフルエンザと同じ治療としつつ、肺炎を合併した場合は、できるだけ早く抗ウイルス薬の投与を示している。とくに重症例ではペラミビルの選択、増量や投与期間の延長、ファビピラビル(同:アビガン)との併用も考慮するとしている(ただしファビピラビルは妊婦または妊娠している可能性のある婦人へは投与しない)。 新型インフルエンザ肺炎への細菌感染の合併例については、頻度の高いものとして肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などのウイルス細菌混合性肺炎と、緑膿菌、アシネトバクターなどの二次性細菌性肺炎を挙げ、入院を要する症例ではただちに抗菌薬療法を開始する。そして抗菌薬の選択はガイドラインを参考に行い、病原体確定後に、より適切な抗菌薬へde-escalationすることとしている。その他の薬物療法として副腎皮質ステロイド薬は、ウイルス性肺炎では喘息合併に限り重症化を抑制するほか、細菌性肺炎では敗血症性ショック時の相対的副腎不全に低容量で有効とされている。また、マクロライド系薬は、細菌性肺炎の重症化例で予後を改善するとの報告がある。 肺炎時の呼吸管理では、人工呼吸を躊躇しないで使用するほか、悪化または改善がみられない場合は、特殊な人工呼吸法(ECMO)の導入やより専門的な施設への転送をするとしている。 インフルエンザ肺炎の重症度評価では、PSI、A-DROP、CURB-65などの市中肺炎の重症度評価法よりも、重症度が過小評価されることに注意が必要と指摘する。 最後に、川名氏は「“新型インフルエンザ”の病態は未知であるが、病原性の高いインフルエンザの出現を想定し、準備する必要がある。ガイドラインも、出現時にはウイルスの特徴に応じてただちに再検討する必要がある」とまとめ、レクチャーを終えた。感染対策は手指衛生と予防接種が大事 次に加藤 康幸氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター国際感染症対策室 医長)が、「感染対策について」をテーマに解説を行った。 インフルエンザの院内感染の特性は、新型も季節性も、新生児、骨髄移植患者、長期療養型病棟で致死率の高い流行を起こすことがあり、医療従事者においては患者からの感染と患者の感染源になるという2つのリスクがあると説明する。そして、新型インフルエンザ流行時には、感染被害の軽減と封じ込めの同時進行が必要であり、過去の拡大例を検証すると、医療従事者から患者への飛沫感染対策は重要であるという。 そして、医療機関における具体的な感染対策としては、「感染源対策」「患者・職員の健康管理」「感染経路の遮断」の3つが必要とされ、CDCの推奨でも予防接種、患者との接触を減らす、標準予防策の順守、飛沫予防策の順守、訪問者の制限なども掲げられ、実践されることが期待される。 とくに飛沫感染対策・咳エチケットとして、医療機関の入口での注意の掲示、1m以上の距離を隔てた待合用の座席、待合室の手近な場所への手指衛生設備の設置などが必要となる。同様に、医療スタッフへの指導では、個人防護具(手袋、ガウン、シールド付きサージカルマスクなど)の装着・脱着の研修は有効であるという。 最後に加藤氏は「院内感染対策では、手指衛生と(患者、医療従事者の)予防接種の2つが有効とされている。新型インフルエンザの対策も、季節性インフルエンザの延長にあると考え、流行に備えてもらいたい」と語り、解説を終えた。新型インフルエンザではWeb情報も活用を! 最後に、厚生労働省の海老名 英治氏(健康局結核感染症課 新型インフルエンザ対策推進室 室長)が「行政動向について」をテーマに、新型インフルエンザ対策の法令、ワクチンの備えに関して説明を行った。 新型インフルエンザへの対策は、水際での侵入阻止と早期封じ込めによる感染拡大の抑制と流行規模の平坦化、それと同時にワクチンの開発、生産、接種によって流行のピークを下げること、医療への負荷を減らすことであるという。 2012年5月に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が公布され(施行は2013年6月)、流行時の各種対策の法的根拠が明確化された。具体的には、体制整備として国・地方公共団体の行動計画や訓練、国民への啓発のほか、流行発生時の対策本部の設置、特定接種の指定などが決められ、「新型インフルエンザ等緊急事態」発生の際の措置では、外出自粛要請、興行場等の制限などの要請・指示、住民への予防接種の実施、医療提供体制の確保、緊急物資の運送の要請・指示などの規定が挙げられる。 また、国のインフルエンザ対策として、時間軸で海外発生期、国内発生早期、国内感染期、小康期の4つに区切り、各段階で(1)実施体制、(2)サーベイランス・情報収集、(3)情報提供・共有が行われると説明を行った。 現行の被害想定はいずれも最大数で、罹患者を人口の25%、医療機関受診者を約2,500万人、入院者を約200万人、死亡者を約64万人、欠勤者を従業員の約40%とし、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄は人口の45%を目標としている(2017年7月時点の有識者会議で、全人口の25%が罹患するとして再検討されている)。また、「これら抗ウイルス薬の備蓄方針、季節性インフルエンザとの同時流行時の規模や重症患者への倍量・倍期間治療、予防投与についても、省内の厚生科学審議会で継続的に審議されている」と説明する。 最後に海老名氏は、「審議会などの新しい情報も厚生労働省のウェブサイトなどを通じて日々発信しているので、新型インフルエンザの対策ではこれらも参考に準備をしていただきたい」と述べ、説明を終えた。■参考厚生労働省 インフルエンザ(総合ページ)内閣官房 新型インフルエンザ等対策厚生労働省 セミナー当日の配布資料

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単純性尿路感染症へのNSAID、抗菌薬と比較/BMJ

 単純性下部尿路感染症(UTI)の女性患者において、ジクロフェナクの使用は抗菌薬の使用を減らすが、ノルフロキサシンと比較して症状軽減に関して劣性であり、腎盂腎炎のリスクを増大させる可能性が、スイス・ベルン大学のAndreas Kronenberg氏らによる無作為化二重盲検非劣性試験の結果で示された。著者は、「選択的な抗菌薬使用の開発と検証を、今後の試験で行うことが必要だ」と述べている。BMJ誌2017年11月7日号掲載の報告。スイス17施設253例の女性患者を対象にジクロフェナク vs.ノルフロキサシン 研究グループは、単純性下部UTIの女性患者の治療として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は抗菌薬に対し非劣性なのか、またNSAIDの処方が外来治療における抗菌薬の処方を減らす好機となっているか調べる検討を行った。 スイスの一般診療所17ヵ所で登録した、症候性の単純性下部UTIの女性患者253例を、NSAIDのジクロフェナク投与群(133例)と抗菌薬のノルフロキサシン投与群(120例)に、無作為に割り付けて追跡評価した。 主要アウトカムは、3日目時点(無作為化後72時間、試験薬を最後に服用してから12時間後)で評価した症状の軽減。事前規定の主要副次アウトカムは、30日時点までのあらゆる抗菌薬(試験薬のノルフロキサシンやホスホマイシンなど)の使用であった。intention to treat解析で評価した。ジクロフェナク群の非劣性認められず、同群のみで腎盂腎炎発生 3日目に症状軽減が認められたのは、ジクロフェナク群72/133例(54%)、ノルフロキサシン群96/120例(80%)であった(リスク差:27%、95%信頼区間[CI]:15~38、非劣性のp=0.98、優越性のp<0.001)。症状回復までの期間中央値は、ジクロフェナク群4日、ノルフロキサシン群2日であった。 ジクロフェナク群の82例(62%)、ノルフロキサシン群の118例(98%)が、30日時点までに抗菌薬を使用した(リスク差:37%、95%CI:28~46、優越性のp<0.001)。また、ノルフロキサシン群では認められなかったが、ジクロフェナク群では6例(5%)が腎盂腎炎の臨床診断を受けた(p=0.03)。

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白内障の高齢女性、手術施行で死亡リスク低下

 白内障の高齢女性において、白内障手術は全死因死亡および原因別死亡のリスク低下と関連があることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のVictoria L. Tseng氏らによるWomen's Health Initiative(WHI)の参加者を対象とした検討で明らかにされた。ただし著者は、「この関連が白内障手術によって説明されるかどうかは不明確である」としたうえで、「白内障手術、全身疾患および疾患関連死の相互作用についてのさらなる研究が、患者ケアの改善に役立つだろう」とまとめている。白内障手術はこれまでの研究で、健康状態および機能的な自立の改善を通し、全死因死亡リスクの減少に関与することが示唆されている。しかし、白内障手術と原因別死亡率との関連は十分に解明されていなかった。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年10月26日号掲載の報告。 研究グループは、白内障の高齢女性における白内障手術と原因別死亡率との関連を調べる目的で、メディケア請求データベースと結び付けられたWHIの臨床試験および観察研究(1993年1月1日~2015年12月31日)から得た、65歳以上の白内障女性患者7万4,044例のデータを、2014年7月1日~2017年9月1日に解析した。 白内障手術の有無はメディケア請求コードにより判定した。評価項目は、全死因死亡および、血管疾患、がん、神経疾患、肺疾患、感染症および不測の原因による死亡とした。log-rank検定、ならびに患者背景、全身と眼の合併症、喫煙、飲酒、BMIおよび身体活動で調整したCox比例ハザードモデルを用い、白内障手術あり群となし群で死亡率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象7万4,044例中、白内障手術を受けたのは4万1,735例であった。・7万4,044例の背景は、平均(±SD)年齢70.5±4.6歳で、白人が最も多く(6万4,430例、87.0%)、次いで黒人(5,293例、7.1%)、ヒスパニック(1,723例、2.3%)の順であった。・死亡率は、両群で100人年当たり2.56であった。・共変量補正後のCox比例ハザードモデルにおいて、白内障手術は全死因死亡リスクの低下と関連していた(補正後ハザード比[AHR]:0.40、95%信頼区間[CI]:0.39~0.42)。・同様に、原因別死亡リスクの低下とも関連していた。血管疾患死(AHR:0.42、95%CI:0.39~0.46)、がん死(0.31、0.29~0.34)、不慮の死(0.44、0.33~0.58)、神経疾患死(0.43、0.36~0.53)、肺疾患死(0.63、0.52~0.78)、感染症による死亡(0.44、0.36~0.54)。

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ペストに気を付けろッ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。今回はペストについてご紹介したいと思います。えっ? 前回は「次はバベシア症だ」と言ってたじゃないかですって? いやいや、今はバベシア症についてお話している場合じゃないんです! そもそもバベシア症の話なんて、誰が聞きたいんですかッ!?(じゃあそもそも予定すんなよって話ですが)人類とペストの歴史今、ペストがチャバイことになっています。アフリカ大陸の右下にあるマダガスカルでペストが、アウトブレイクしているのですッ! 我々は早急にペストに備えなければなりませんッ! こんなに原稿が遅れている場合ではないッ!さて、皆さんはペストについて、どれくらいご存知でしょうか。まず、ペストは別名「黒死病」ってご存知ですか? ヤバくないですか、「黒」・「死」・「病」ですよ。何か「邪王炎殺黒龍波」みたいな厨二病っぽい響きがありますね。というか、ペストは実際に超ヤバイ感染症なのですッ!人類とペストの歴史は古く、ヨーロッパでは西暦542~543年にかけて東ローマ帝国で流行したそうです。さらにさかのぼれば、2,800~5,000年前のアジアとヨーロッパのヒトの歯の化石から、ペストのDNAが検出されたという報告もあります1)。人間とペストとの戦いは少なくとも5,000年以上は続いているのですッ! 最大の流行は14世紀で、アジアから始まった流行はヨーロッパまで波及し、何とこのとき世界の人口の3割がペストで亡くなったと言われています。世界人口の3割…ペスト、恐るべしです。フランスのルーブル美術館にある『ジャファのペスト患者を訪れるナポレオン、1799年3月11日』は、その名の通り1799年にペスト患者を見舞うナポレオンの様子を描いた絵ですが、中央の患者は腺ペストの患者で、腋窩リンパ節が腫れているのが分かります。ナポレオンは、じかに触ろうとしていますね。腺ペストは、ノミに刺されることによって感染します。また、腺ペストの患者の体液に曝露すると、ヒト-ヒト感染が成立しますし、肺ペストの感染者やげっ歯類から飛沫感染によっても感染します。実際にこの時代、17世紀の医師はペスト患者を診察するときは図1のような衣装を着ていたそうです。いわゆる当時の個人用防護具(personal protective equipment:PPE)ですね。画像を拡大するそんなわけで、有史以来人類はペストと戦ってきたわけですが、日本も例外ではありません。1896年以降、ペスト患者が日本でも報告されています。『明治の避病院-駒込病院医局日誌抄』(磯貝元 編)という本には、当時の駒込病院の医師であった横田 利三郎氏が、「ペスト患者のリンパ節を切開し、血液が顔にかかったことで自身もペストに罹患し、亡くなった」と書かれています。このように日本でもペストはかつて被害をもたらした感染症なのです。と、ペストと人類の歴史を語ってきましたが、何だかこんな風に説明するとペストは過去の感染症のように思われるかもしれませんが、そうではありませんッ!ペストは今も局所的に流行しているのですッ!現在進行形のペストの流行図2は、世界保健機関が発表したペストの流行地域(2016年3月時点)を示した世界地図です。今でもペストに感染するリスクがある地域の存在が、お分かりいただけるかと思います。何とあのアメリカ合衆国でも、いまだにペスト患者が報告されているのです。とくにニューメキシコ州北部、アリゾナ州北部、コロラド州南部で症例が多く報告されています。アジアやアフリカでも流行していますね。画像を拡大するそして、この世界地図でも赤く塗られているように、マダガスカルでもペストは流行地域に指定されているのですが、今年はとくに大規模なアウトブレイクが起こっています(図3)。すでに1,800例以上のヒト感染例が報告されており、さらにチャバイことに、症例の大半が「肺ペスト」なのですッ!(図4)2)画像を拡大する画像を拡大する通常ペストは、ノミの刺咬によって起こる「腺ペスト」の病型が一般的であり、肺ペストの病型はまれだと言われています。しかし、今回のマダガスカルのアウトブレイクでは、肺ペストの症例が7割以上を占めているのです。この意味するところは、患者からのエアロゾル吸入による「ヒト-ヒト感染」が持続的に起こっているということなのですッ! マダガスカルでの死者は、すでに120例を超えているようです(致死率7%)。日本に住む我々も決して他人事ではない状況になってきています。というわけで、今回はペストの歴史と疫学について学びましたが、次回はペストに備えるために、ペストの感染経路、臨床像、そして治療について学びたいと思いますッ!1)Rasmussen S, et al. Cell.2015;163:571-582.2)Madagascar Plague Outbreak:External Situation Report #7: 31 October 2017.

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腸チフスにおける蛋白結合型ワクチンの有効性-細菌摂取による感染モデルでの検討(解説:板倉泰朋氏)-761

 腸チフスは南アジアやサハラ以南アフリカなど、上下水道の設備が不十分な途上国を中心に流行を認めている疾患である。世界では小児を中心に年間2,000万人以上が罹患し、死亡者は20万人に及んでいる。日本においてここ数年は年間40~60例ほどの届け出がなされ、輸入例が多くを占めている。 現在、米国などで承認されている腸チフスワクチンとしては、経口弱毒生ワクチンであるTy21aとVi抗原に対する莢膜多糖体ワクチンの2つがある。ただし、いずれのワクチンも疾患感受性の高い2歳未満の小児への利用ができないことが問題だった。その理由は、生ワクチンはカプセル状で5歳未満の小児は内服が難しいためであり、莢膜多糖体ワクチンは2歳以下の小児での免疫原性が十分でなく、推奨できないためである。 2歳未満の小児への免疫原性を高めた蛋白結合型ワクチンとして、2001年にVi-rEPA(Vi-recombinant Pseudomonas aeruginosa exotoxin)の報告がなされ、2~5歳の小児に89%の有効性を示した。その後、蛋白結合型ワクチンの大規模試験がWHOの承認を得るべく計画されたものの、報告がない状況であった。 本研究は、英国在住の健常成人において、腸チフスに対する蛋白結合型ワクチンの安全性と有効性を調査した第IIb相のランダム化比較試験である。T細胞依存性の蛋白結合型ワクチン(Vi-tetanus toxoid:Vi-TT)群、莢膜多糖体ワクチン(Vi-polysaccharide:Vi-PS)群、コントロール群の3群に分け、ワクチン接種後、腸チフス菌の経口摂取を行い、ワクチンの予防効果を発症群と非発症群で比較した。 結果として、腸チフスの発症を菌血症または12時間以上の遷延する発熱と定義した場合、コントロール群での発症率は77%であった。Vi-TT群、Vi-PS群の発症率はともに35%であり、効果はVi-TT群54.6%(95%CI:26.8~71.8)、Vi-PS群52.0%(95%CI:23.2~70.0)とほぼ同等であった。SeroconversionはVi-TT群で100%、Vi-PS群で88.6%であり、抗体価もVi-TT群で高く、臨床的にもVi-TT群でより軽症となる傾向がみられた。重大な有害事象とワクチン接種との関連はなく、Vi-TTは今までのワクチンと同程度で安全に使用できると考えられた。 薬剤耐性への取り組みは世界的な課題となっているが、市販で抗菌薬を入手できる国々での過剰使用が、耐性菌発生の重要な要因となっている。実際、腸チフスでも、フルオロキノロン系抗菌薬への耐性が進んでいる。ワクチンによる予防で抗菌薬使用量を削減することは、薬剤耐性への取り組みの一環としても期待が大きい。 国内では、腸チフスワクチンの接種は流行地への渡航に際し推奨されているが、認可されたワクチン製剤はないため、輸入ワクチンを用いている。国内での使用機会は限られているが、世界的な普及に伴い流行地での罹患率の減少、ひいては薬剤耐性菌減少につながる。回りまわってその恩恵は国境を越えて全世界で享受されるだろう。さらなる蛋白結合型ワクチンに関する大規模試験での報告と今後の実地での利用拡大に期待したい。■参考「IASR(病原微生物検出情報)」 国立感染症研究所ホームページ

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SGLT2阻害薬と1型糖尿病治療(解説:住谷哲氏)-760

 1型糖尿病の病因はインスリン分泌不全であり、治療は生理的インスリン補充(physiological insulin replacement)である。これを達成するためにこれまでインスリンアナログの開発、頻回インスリン投与法(multiple daily injection:MDI)、インスリンポンプ、SAP(sensor-augmented pump)が臨床応用されてきた。さらにclosed-loop systemによる自動インスリン投与の臨床応用も目前に近づいてきている。しかし依然として1型糖尿病治療におけるunmet needsとして、低血糖、体重増加、血糖変動(glycemic instability)の問題を避けることはできない。さらに1型糖尿病治療においては厳格な血糖管理による細小血管障害の予防に注目しがちであるが、2型糖尿病と同様に動脈硬化性心血管病(ASCVD)の予防が予後を改善するために重要であることを忘れてはならない1)。 SGLT2阻害薬の血糖降下作用はインスリン非依存性であり、従って1型糖尿病患者においても有効であることが期待される。さらにEMPA-REG OUTCOME、CANVASの結果から、SGLT2阻害薬の投与はハイリスク2型糖尿病患者において総死亡を含めた予後を改善することが明らかになりつつある。本試験はこれらを前提として、SGLT1/2阻害薬であるsotagliflozinの1型糖尿病患者における有効性と安全性を検討したものである。 対象は年齢43歳、罹病期間20年、BMI 28kg/m2、HbA1c 8.2%の1型糖尿病患者であり、4割がインスリンポンプ使用中であった。主要評価項目は重症低血糖および糖尿病ケトアシドーシス(DKA)を伴わずにHbA1c<7.0%を達成した患者の割合とされた。24週後、主要評価項目の達成率はsotagliflozin群28.6%、プラセボ群15.2%であり、sotagliflozin群で有意に高かった(p<0.001)。一方、DKAはsotagliflozin群で21例(3.0%)、プラセボ群で4例(0.6%)であった(有意差は記載されていない)。 SGLT2阻害薬であるダパグリフロジンを用いた試験(DEPICT-1試験)がほぼ同時に報告された2)。有効性についてはsotagliflozinを用いた本試験と同様であり。CGMのデータからダパグリフロジンがglycemic instabilityを改善することも明らかにされた。しかし安全性については、ダパグリフロジン投与によりDKAの増加は認められなかった。ダパグリフロジン投与によりDKAが増加しなかったのは、SGLT2阻害薬とSGLT1/2阻害薬との違いによるものか、試験デザインによるものか、対象患者の相違によるものかは明らかではない。さらに両試験ともに24週の短期間の観察であり、長期的な有効性および安全性については不明である。 日常臨床において、インスリンを増量しても体重が増加する一方で血糖コントロールが改善しない1型糖尿病患者は少なくない。この点で、血糖コントロールの改善と体重減少が同時に期待できるSGLT2阻害薬は魅力的である。しかし一方でDKAや性器感染症のリスクの増加は避けては通れない。今後の長期的な有効性および安全性のデータの集積を期待したい。■「SGLT2阻害薬」関連記事SGLT2阻害薬、CV/腎アウトカムへのベースライン特性の影響は/Lancet

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呼吸器感染症の抗菌薬投与、プロカルシトニンガイドで生存率は?

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年2月、急性呼吸器感染症患者への抗菌薬投与を判断するための血中マーカーとしてプロカルシトニンを承認した。今回、スイス・アーラウ州立病院/バーゼル大学のPhilipp Schuetz氏らの研究グループによるメタアナリシスの結果、急性呼吸器感染症の抗菌薬治療のマーカーとしてのプロカルシトニンの使用が、抗菌薬の曝露や副作用を減少させ、生存率を改善することが示された。著者らは、「急性呼吸器感染症におけるプロカルシトニン・プロトコールの普及は、抗菌薬マネジメントを改善し、臨床転帰および多剤耐性菌増加の脅威に対してプラスの効果をもたらす可能性がある」としている。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2017年10月13日号に掲載。 著者らは、コクランのプロトコールに基づき、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、Embaseで系統的に文献検索を行い、呼吸器感染症患者による試験からプールされた個々の患者データを、プロカルシトニン濃度に基づいた抗菌薬投与群(プロカルシトニンガイド群)と対照群に無作為に割り付けた。主要評価項目は30日死亡率およびセッティングごとの治療失敗、副次評価項目は抗菌薬の使用、入院日数、抗菌薬の副作用。 主な結果は以下のとおり。・文献検索から特定した990報から919報を除外後、71報の適格性を評価した。適格基準を満たした12ヵ国の26試験から6,708例のデータを収集した。・30日死亡率は、プロカルシトニンガイド群では対照群よりも有意に低かった(プロカルシトニンガイド群3,336例中286例[9%]、対照群3,372例中336例[10%]、調整オッズ比[OR]0.83 [95%CI:0.70~0.99]、p=0.037)。・死亡率におけるベネフィットは、感染のセッティングおよびタイプによって差はなかった(相互作用のp>0.05)が、プライマリケアおよび急性気管支炎患者では死亡率は非常に低かった。・プロカルシトニンガイドにより、抗菌薬への曝露も2.4日減少し(5.7 vs.8.1日[95%CI:-2.71~-2.15]、p<0.0001)、抗菌薬による副作用も減少した(16% vs.22%、調整OR:0.68[95%CI:0.57~0.82]、p<0.0001)。

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先天性ジカウイルス症候群、石灰化は診断指標にならず/BMJ

 新生児の先天性ジカウイルス症候群の診断では、「脳石灰化の検出を主要な基準とみなすべきではなく、石灰化の非検出を診断の除外基準として用いるべきではない」とする所見を、ブラジル・Barao de Lucena病院のNatacha Calheiros de Lima Petribu氏らが示した。先天性ジカウイルス症候群の小児について、出生直後と1年時点に受けた脳CT所見を比較した症例シリーズ研究の結果で、BMJ誌2017年10月13日号で発表した。37例の出生直後と1年時点の脳CT所見を比較 先天性ジカウイルス症候群でみられる水頭症の病態生理は、十分に解明されておらず、同症候群児の多くは水頭症のリスクのため、フォローアップ脳CTを受ける。勧告では、生後10~12ヵ月で少なくとも1回の脳スキャンを受けることとされているが、一方でそのような小児の脳画像所見の変化を報告したフォローアップ研究はなく、研究グループは、脳石灰化にフォーカスして初回脳CTとフォローアップ脳CTの所見を比較(石灰化パターンの違いを評価)した。 対象はBarao de Lucena病院で、2015年の小頭症アウトブレーク中に先天性ジカウイルス症候群の可能性例(probable)/確定例(confirmed)と診断され、出生直後と1年時点で脳CTを受けていた37例であった。 37例のうち、22例(59%)が男児。先天性ジカウイルス症候群の確定例は29例、8例は可能性例であった。フォローアップ脳CTでは、15例(41%、95%信頼区間[CI]:26~57%)が水頭症と診断されている。 初回脳CTが行われた対象児の年齢範囲は、生後1~138日(中央値11.5日)であり、フォローアップ脳CTは105~509日(中央値415日)で行われた。 37例中28例は、初回およびフォローアップ脳CTを同一の病院で受けていた。画像取得パラメータはすべての対象児で同一であり、9例は初回およびフォローアップ脳CTを同一の機器で受けていた。34例で石灰化が減退 初回脳CTでは、全37例で脳の石灰化が認められた。大部分が皮質-白質の境界面でみられた。 しかしフォローアップ脳CTでは、34例(92%、95%CI:79~97%)において石灰化の数、サイズ、密度、またはそれら複合の減少が認められた。1例では石灰化が視認できなくなっていた。一方、変化が認められなかったのは2例であった。石灰化の増加例はなかった。 フォローアップ時に視認ができなくなっていたのは、主に頭頂葉と後頭葉の皮質-白質境界面の石灰化であった。 これら画像所見は、臨床的改善とあらゆる面で関連していなかった。

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経口JAK阻害薬、乾癬性関節炎の症状を改善/NEJM

 経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬トファシチニブは、コントロール不良の乾癬性関節炎患者の症状をプラセボに比べ有意に改善するが、有害事象の頻度は高いことが、米国・ワシントン大学のPhilip Mease氏らが行ったOPAL Broaden試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年10月19日号に掲載された。トファシチニブは、共通γ鎖含有サイトカイン、インターフェロン-γ、インターロイキン(IL)-12などの乾癬性関節炎の発症に関与する多くのサイトカインのシグナル伝達に影響を及ぼす。JAKの阻害により、関節や関節外部位の炎症細胞の活性化や増殖、および乾癬性関節炎患者の関節破壊や乾癬性の皮膚の変化に関連する細胞の活性化や増殖に関与する、複数のシグナル伝達経路の調節が可能とされる。実薬対照、プラセボと比較する無作為化試験 OPAL Broaden試験は、従来の合成疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の効果が不十分であるコントロール不良の乾癬性関節炎患者の治療における、トファシチニブの有用性を評価する二重盲検実薬対照プラセボ対照無作為化第III相試験である(Pfizer社の助成による)。 患者登録は、2014年1月~2015年12月に欧米を中心とする126施設で行われ、422例が登録された(373例が試験を完遂)。被験者は、2対2対2対1対1の割合で、トファシチニブ5mg(1日2回)を経口投与する群(107例)、トファシチニブ10mg(1日2回)を経口投与する群(104例)、アダリムマブ40mg(2週ごと)を皮下投与する群(106例)、プラセボを投与し3ヵ月時に盲検下でトファシチニブ5mgに切り替える群(52例)、プラセボを投与し3ヵ月時に盲検下でトファシチニブ10mgに切り替える群(53例)にランダムに割り付けられ、12ヵ月間の追跡が行われた。3ヵ月時の評価では、2つのプラセボ投与群(合計105例)を統合して解析を行った。 主要エンドポイントは、3ヵ月時に米国リウマチ学会(ACR)基準による20%以上の改善(ACR20)が得られた患者の割合、および3ヵ月時の健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI)のスコア(0~3点、点数が高いほど障害が重度)のベースラインからの変化であった。 ACR20は、68関節中の圧痛関節と66関節中の腫脹関節の数、および5つのドメイン(患者による関節炎の活動性の総合評価、担当医による関節炎の活動性の総合評価、患者による関節炎痛の総合評価[3項目とも視覚アナログ尺度の0~100mmで評価]、HAQ-DIによる障害度、急性期反応物質の値[高感度C反応性蛋白])のうち3つ以上のベースラインから20%以上の改善と定義した。HAQ-DIスコアは、ベースラインからの0.35点の低下を、乾癬性関節の臨床的に重要な改善の最小値とした。2つの用量とも、2つの主要エンドポイントを達成 ベースラインの4群の平均年齢は46.9±12.4~49.4±12.6歳、女性が47~60%含まれた。乾癬性関節炎の平均罹病期間は5.3±5.3~7.3±8.2年、HAQ-DIスコアは1.1±0.6~1.2±0.6点であった。付着部炎(Leeds Enthesitis Indexスコア)、腫脹関節数、メトトレキサート使用率(いずれもアダリムマブ群で低い)、グルココルチコイド使用率(トファシチニブ10mg群で低い)を除き、治療群間の背景因子はバランスが取れていた。 3ヵ月時のACR20達成率は、トファシチニブ5mg群が50%、トファシチニブ10mg群が61%と、プラセボ群の33%と比較して有意に改善し(5mgとプラセボの比較:p=0.01、10mgとプラセボの比較:p<0.001)、アダリムマブ群は52%であった。3ヵ月時にプラセボをトファシチニブに切り替えたため、12ヵ月時の評価では有意差を認めなかった。 HAQ-DIスコアの平均変化は、トファシチニブ5mg群が-0.35点、トファシチニブ10mg群が-0.40点と、プラセボ群の-0.18点に比べ有意に改善し(5mgとプラセボの比較:p=0.006、10mgとプラセボの比較:p<0.001)、アダリムマブ群は-0.38点であった。12ヵ月時の評価では有意な差はなかった。 3ヵ月時までの有害事象の発現率は、トファシチニブ5mg群が39%、トファシチニブ10mg群が45%、アダリムマブ群が46%、プラセボ群は35%で、12ヵ月時までの発現率は、5mg群が66%、10mg群が71%、アダリムマブ群が72%、プラセボからトファシチニブ5mgに切り替えた群は69%、プラセボからトファシチニブ10mgに切り替えた群は64%であり、プラセボ群のほうが低い傾向がみられた。試験期間中に、トファシチニブ投与例でがんが4件、重篤な感染症が3件、帯状疱疹が4件認められた。 著者は、「長期的な有効性や安全性を評価するために、さらなる検討を要する」としている。

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