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AI活用、24時間顧客問い合わせ対応のシステム導入/塩野義製薬

 塩野義製薬株式会社は、人工知能(AI)を活用した自動会話プログラムで製品に関する問合わせに回答するAIチャットボット「DI chat (Drug Information Chatbot)」を導入し、2019年12月2日より運用を開始したと発表した。 今回導入したDI chatは、木村情報技術株式会社が、IBM Watson日本語版を活用したAIチャットボットに、塩野義製薬が作成したQ&Aを学習させることで、一問一答形式での回答を実現したAI顧客問い合わせ対応システムである。医療関係者からの問い合わせをAIが理解し、最も質問の意図に近い回答を自動的に提示する。 塩野義製薬の医薬情報センターには昨年度、約8万1,000件の問い合わせがあり、そのうちゾフルーザに関する問い合わせが約21,000件を占めていたため、抗インフルエンザ薬ゾフルーザを対象とし、弊社ホームページの医療関係者向けページにて開始するという。DI chatの導入により、24時間365日、夜間や休日の問い合わせ対応も可能となり、医療関係者の情報収集チャネルの拡大および、利便性の向上が期待される。

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ゾフルーザ耐性ウイルスの特性を解明、小児で高頻度に出現

 東京大学医科学研究所の河岡 義浩氏ら研究チームが、2018/2019シーズンに採取したA型インフルエンザ検体の遺伝子を解析したところ、バロキサビル(商品名:ゾフルーザ)を服用した12歳未満のA型インフルエンザ患者において、ゾフルーザ耐性ウイルスが高頻度で出現することが明らかになった。また、患者から分離した耐性ウイルスを動物に感染させ、感受性ウイルスと比較したところ、耐性ウイルスの増殖性および病原性は、感受性ウイルスと同等であることもわかった。Nature Microbiology誌オンライン版2019年11月25日号に掲載。 ゾフルーザは、2018年3月に日本における販売を開始。単回経口投与で済む利便性が支持されている。一方で、国立感染症研究所が先のシーズンに実施した薬剤耐性株サーベイランスでは、ゾフルーザに対して耐性を示す変異ウイルスが高い割合で検出されている1)。また、先行研究では、人工的に作られた、耐性変異を持つ組み換えインフルエンザウイルスによって増殖能が解析され、野生型の感受性ウイルスよりも増殖能が大きく劣ることが示されたものの、患者から分離された耐性ウイルスについては基本性状が明らかになっていなかった。 河岡氏らによる本研究では、2018/2019シーズンに国内の医療機関を受診したインフルエンザ患者から採取した臨床検体でウイルス遺伝子を解析。その結果、薬剤未投与のA/H1N1pdm09型の患者(74例)からはゾフルーザ耐性ウイルスは検出されなかったが、A/H3N2型の患者141例(16歳以上:40例、15歳以下:101例)のうち、15歳以下の2例で耐性ウイルスが検出された。また、ゾフルーザ服用者でも同様の解析を進めたところ、A/H1N1pdm09型の患者22例(16歳以上:7例、15歳以下:15例)のうち、5例(うち4例が15歳以下)で耐性ウイルスが検出され、A/H3N2型の患者16例(16歳以上:4例、15歳以下:12例)では、4例(すべて15歳以下)で耐性ウイルスが検出された。 本研究では、患者から分離した2型各々の耐性ウイルスを、ハムスター、マウス、フェレットに感染させ、増殖性および病原性について、ゾフルーザ感受性ウイルスと比較した。その結果、いずれの型においても感受性ウイルスと同程度の体重減少および肺などの呼吸器における増殖が認められた。 河岡氏らは、「インフルエンザウイルス感染の経験がない(あるいは少ない)小児患者ではウイルス排除に必要な免疫が十分に誘導されず、耐性ウイルスが発生しやすい可能性がある。小児患者でのゾフルーザの使用については、耐性ウイルス出現のリスクを考慮した慎重な判断が望まれる」とコメントしている。

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EGFR変異NSCLC、ゲフィチニブ+化学療法併用(NEJ-009)/JCO

 EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療について、標準療法のEGFR-TKI単独療法 vs.EGFR-TKI+化学療法を比較した、日本発の検討結果が発表された。がん・感染症センター東京都立駒込病院の細見幸生氏らによる、未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者を対象とした第III相臨床試験「NEJ009試験」の結果で、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法はゲフィチニブ単独療法群と比較して、毒性プロファイルは許容でき、無増悪生存期間(PFS)および全生存(OS)期間が延長することが示されたという。ただし、著者は、「OSの有益性についてはさらなる検証が必要である」とまとめている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年11月4日掲載の報告。NEJ009試験でゲフィチニブ+化学療法併用のPFSが優位に優れていた 研究グループはNEJ009試験で、未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者345例を、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法群(GCP群)またはゲフィチニブ単独療法群(G群)に無作為に割り付け、疾患増悪(PD)または許容できない副作用の発現等まで継続した。 NEJ009試験の主要評価項目は、無増悪生存(PFS)期間、PFS2およびOS期間で、階層的逐次検定法を用いて優越性を検証した。なお、PFS2は、事前計画ではG群におけるランダム化から2次治療のPDまたは死亡までの期間と定義(GCP群はPFS=PFS2と定義)されていたが、今回の解析では、最初のPDから2次治療開始までの期間を差し引いた修正PFS2が用いられた。副次評価項目は奏効率(ORR)、安全性およびQOLであった。 NEJ009試験の主な結果は以下のとおり。・GCP群はG群に対し、ORRおよびPFSが有意に優れていた。 ORR:84% vs.67%、p<0.001 PFS:20.9ヵ月 vs.11.9ヵ月、ハザード比(HR):0.490、p<0.001・PFS2は、事前計画の定義では両群で同程度であったが(GCP群20.9ヵ月、G群20.7ヵ月、HR0.99、p=0.90)、修正PFS2はGCP群が長いことが示された(20.9ヵ月 vs.18.0ヵ月、p=0.092)・OS中央値は、GCP群でG群より有意に延長した(50.9ヵ月 vs.38.8ヵ月、HR:0.722、p=0.021)。・Grade3以上の治療関連有害事象(血液学的毒性など)の発現頻度は、GCP群がG群より高かったが(65.3% vs.31.0%)、QOLに差はなかった。・GCP群で治療に関連した死亡が1例認められた。

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C型肝炎ウイルスの薬剤耐性変異、世界規模で検証

 直接作用型抗ウイルス治療薬(DAA)の登場により、C型肝炎の治療は大幅に改善された。しかしその治療奏効率は、C型肝炎ウイルス(HCV)の薬剤耐性変異により低下する可能性がある。現在、DAAにはNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、NS5A阻害薬、NS5Bポリメラーゼ阻害薬があり、それぞれグレカプレビル、ピブレンタスビル、ソホスブビルなどが臨床で使用されている。今回、それらに対する耐性変異について、世界的状況を中国・復旦大学のZhenqiu Liu氏らがメタ解析により検討した。その結果、114個の耐性変異を同定し、頻度や種類は日本、米国、ドイツ、タイ、英国で多いことを示した。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2019年11月1日号掲載の報告。 DAAの耐性変異に関連した文献を検索し、32ヵ国の計50件を選択した。最終的に49,744例のHCV感染患者をメタ解析に組み込み、変異部位と頻度を検討した。変異の世界的な分布は、Los Alamos HCV 配列データベースに登録された12,612例のサンプルより検討した。薬剤の50%効果濃度(EC50)が野生型の2倍以上となる変異を、耐性変異と定義した。DAA投与後に出現した変異は解析から除外した。 メタ解析より、56個のアミノ酸変異と114個の点変異を同定した。HCVの遺伝子型別に見ると、変異の頻度はジェノタイプ6型で最も高かった。変異の種類別に見ると、とくにジェノタイプ1a型のQ80KやY93Tで頻度が高かった。ジェノタイプ1a型のQ80K多型は、DAA治療によるウイルス学的著効(SVR)率を大幅に低下させたことが報告されている。 次に地域ごとの耐性変異の頻度は、NS3/4Aではブラジル(25.0%、95%CI:11.2~36.3%)、ベトナム、ロシアで高かった。NS5Aではポルトガル(33.3%、95%CI:16.9~55.3%)、ロシア(25.0%、95%CI:6.3~62.2%)で高かった。NS5Bでは台湾(34.3%、95%CI:14.9~60.9%)、オーストラリア(28.2%、95%CI:17.3~42.6%)で高かった。また耐性変異ウイルスの種類は日本で最も多く、タイ、米国、ドイツ、英国と続いた。 研究グループは、とくに耐性変異の頻度が高い地域のHCV感染患者では、DAA治療を開始する前に変異の検査を実施するべきだと述べている。

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強直性脊椎炎に、選択的JAK1阻害薬upadacitinibが有効/Lancet

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)への反応が不十分またはNSAIDが禁忌の強直性脊椎炎患者の治療において、upadacitinibはプラセボに比べ、疾患活動性、腰背部痛、身体機能、炎症の統合指標(ASAS40)を改善し、忍容性も良好であることが、オランダ・ライデン大学医療センターのDesiree van der Heijde氏らが行ったSELECT-AXIS 1試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年11月12日号に掲載された。体軸性脊椎関節炎は、炎症性の腰背部痛、脊椎可動性の制限、付着部炎、末梢関節/関節外症状を特徴とする慢性進行性のリウマチ性疾患であり、X線所見で仙腸関節炎の十分な証拠がある場合に、強直性脊椎炎と呼ばれる。JAKシグナル伝達経路は、強直性脊椎炎の治療標的となる可能性が示唆されている。upadacitinibは選択的JAK1阻害薬であり、乾癬性関節炎や潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー性皮膚炎などの免疫性炎症性疾患の治療薬としても開発が進められている。14週時ASAS40達成を評価するプラセボ対照無作為化試験 本研究は、日本を含む20ヵ国62施設が参加した多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照第II/III相試験であり、2017年11月30日~2018年10月15日の期間に患者の割り付けが行われた(AbbVieの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ニューヨーク改訂基準を満たす強直性脊椎炎で、生物学的疾患修飾抗リウマチ薬(bDMARD)による治療歴がなく、2剤以上のNSAIDの効果が不十分か、不耐または禁忌の患者であった。 被験者は、upadacitinib(15mg、1日1回)またはプラセボを経口投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、14週の治療が行われた。 主要エンドポイントは、14週時における国際脊椎関節炎評価学会(ASAS)アウトカム評価の40%改善基準(ASAS40)の達成とした。解析は、最大の解析対象集団(FAS、無作為割り付けの対象となり、試験薬の投与を1回以上受けた患者)で行われた。14週時ASAS40達成率:52% vs.26% 187例が登録され、upadacitinib群に93例、プラセボ群には94例が割り付けられ、178例(95%、各群89例ずつ)が治療を完遂した。 ベースラインの全体の平均年齢は45.4(SD 12.5)歳、男性が71%で、症状発現からの平均期間は14.4(10.8)年、診断からの平均期間は6.9(8.9)年であった。76%がHLA-B27陽性、81%がNSAIDの投与を受けていた。 14週時のASAS40達成率は、upadacitinib群が52%(48/93例)と、プラセボ群の26%(24/94例)と比較して有意に優れ(p=0.0003)、治療群間差は26%(95%信頼区間[CI]:13~40)であった。 upadacitinib群はプラセボ群に比べ、14週時に、以下の項目についても改善が認められた。ASAS20(p=0.0010)、ASAS部分寛解(p<0.0001)、強直性脊椎炎疾患活動性指標の50%以上(BASDAI50)の改善(p=0.0016)、カナダ脊椎関節炎研究コンソーシアム(SPARCC)のMRI脊椎スコア(p<0.0001)とMRI仙腸関節スコア(p<0.0001)、疾患活動性スコア(ASDAS、p<0.0001)、身体機能指標(BASFI、p=0.0013)、マーストリヒト強直性脊椎炎付着部炎スコア(MASES、p=0.0488)、強直性脊椎炎測定指数(BASMI、p=0.0296)、強直性脊椎炎QOL(ASQoL、p=0.0156)、ASAS健康指標(p=0.0073)。 有害事象は、upadacitinib群が62%(58/93例)、プラセボ群は55%(52/94例)で報告された。upadacitinib群で最も頻度の高い有害事象は、クレアチン・ホスホキナーゼ上昇(9%[8例])であり、次いで下痢、鼻咽頭炎、頭痛がそれぞれ5%(5例)に認められた。重篤な感染症、帯状疱疹、悪性腫瘍、静脈血栓塞栓イベントおよび死亡はみられず、重篤な有害事象は1例ずつ(upadacitinib群:変形性脊椎関節症、プラセボ群:心血管疾患)で発現した。 著者は、「これらのデータは、体軸性脊椎関節炎の治療におけるupadacitinibのさらなる検討を支持するもの」としている。現在、非盲検下での90週の継続試験が進行中だという。

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早く治療すれば怖くないHIV感染症

 ギリアド・サイエンシズ会社は、12月1日の「世界エイズデー」を前に都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、2020年の東京オリンピックを控え、性感染症のアウトブレイクへの備えについて講演が行われた。 なお、12月1日より日本で販売されている抗HIV薬テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(商品名:ビリアード)、エムトリシタビン(同:エムトリバ)など6品目の製造販売承認は鳥居薬品株式会社から同社が承継する。寿命は健康な人に近付きつつあるが… セミナーでは、「HIV感染症・エイズ -予防・治療の新時代-」をテーマに、松下 修三氏(熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター 臨床レトロウイルス学分野 教授)を講師に迎え、最新のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に関する知見のほか、オリンピックへの備えについて過去の取り組み例とともに説明された。 エイズは、HIVが免疫の中心的な働きを担うCD4+細胞に感染し、CD4+細胞を破壊することで身体の免疫機能が減少する感染症である。感染経路は、性的接触、血液感染、母子感染の3経路が知られている。 わが国のHIV感染者、エイズ患者数は2018年で累計3万人を超え、2017年では1,389人が報告されている。 初発の感染症状は、発熱、リンパ節腫脹、咽頭炎、皮疹、筋肉・関節痛、頭痛、下痢などインフルエンザに似ており、この後6ヵ月~10年の無症候期を経て、エイズを発症する。エイズ発症期には、ニューモシスチス肺炎、口腔/食道カンジタ症、サイトメガロウイルス網膜炎がみられ、2~3年でエイズ脳症へ進展する。 治療では、抗ウイルス療法(ART)として、クラスの異なる抗ウイルス薬を組み合わせる多剤併用療法が行われる。標準的には、核酸系逆転写阻害剤2種類にプラスして、インテグラーゼ阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤か、非核酸系逆転写阻害剤を用いる。ARTの導入によりHIV感染者の平均寿命は、一般人の寿命に近付きつつあり、20歳でHIV感染の診断を受けても60歳近くまで生存できる寿命予測がスイスから報告されている1)。 エイズは現在では、早期発見・早期治療の開始により、怖い病気ではなくなったといえる。しかし一方で、一度罹患したHIVの排除ができないことから生涯の服用が必要となるほか、服用にともなう内分泌疾患や易骨折などの合併症が知られ、これらへの対応が急務となる。コンドームで予防、課題は検査のハードル エイズの予防には、どのような手段があるだろうか。広く性感染症も含めエイズでも、現在コンドームの使用が推奨されているが、同性間の性交渉では使用率が50%前後にとどまり、「この使用率の引き上げが今後の課題だ」と同氏は指摘する。また、早期治療で93%の感染減少が報告されたHPTN 052の最終報告を示し、たとえパートナーがHIV感染者であっても早期からARTを開始し、ウイルスが抑制されていれば他者への感染が起こらないという2)。 そのほか、最近では曝露前予防内服(PrEP)としてHIV未感染のハイリスク者が、あらかじめ感染リスクを軽減するためにエムトリシタビン・テノホビル(同:ツルバダ)などの抗HIV薬を予防的に内服することが米国、フランス、カナダ、オーストラリアなどで実施されている(なお日本では予防薬として承認された薬剤はない)。 今後、予防のためにも早期発見が重要となるが、「無料かつ匿名で検査できる保健所の検査の認知度が低く、これらの啓発や検査へのハードルをいかに下げていくか解決が必要」と同氏は語る。持ち込み感染症対策で何をすべきか 東京オリンピックが開催される2020年は、広範囲で健康問題が引き起こされる可能性(とくに感染症のリスク)があり、医療者はイベント主催者などと協力し、健康に対する緊急事態に備える必要がある。 日本感染症学会では、「症状からアプローチするインバウンド感染症への対応~東京2020大会にむけて~ 感染症クイック・リファレンス」(www.kansensho.or.jp/ref/)のウェブサイトを設置し、持ち込み感染症への情報提供を行っている。 過去のオリンピックの事例につき、ロンドンでは、選手へのコンドームの配布や一般への啓発資材の配布が、リオデジャネイロでは、オンラインカウンセリングの実施や外国人感染者むけのARTの提供などが行われた。わが国でもこれらを参考に、「診療できる施設や専門医との連携システムの整備、新しい検査体制の確立、HIV診療の期間短縮、早期診断治療のためのPrEPなど、オリンピックを契機に整備・構築されることが期待される」と展望を語り、講演を終えた。

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最大量スタチンへの上乗せ、ベンペド酸が有効か/JAMA

 最大耐用量のスタチン治療を受ける心血管疾患リスクの高い患者において、ベンペド酸(bempedoic acid)の上乗せ投与はプラセボと比較して、12週間にわたりLDLコレステロール(LDL-C)値を有意に低下したことが示された。米国・ワシントン大学セントルイス校のAnne C. Goldberg氏らによる第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「CLEAR Wisdom試験」の結果で、著者は「さらなる検討を行い、永続性、臨床的効果、長期の安全性について評価する必要がある」とまとめている。JAMA誌2019年11月12日号掲載の報告。耐用量スタチン治療もLDL-C値70mg/dL以上の患者を対象に無作為化 試験は2016年11月~2018年9月に、北米、欧州の91医療施設で行われた(最終データのフォローアップは2018年9月22日)。対象患者は、アテローム硬化性心血管疾患および/またはヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を有し、最大耐用量のスタチン治療を受けているがLDL-C値70mg/dL以上の計779例であった。 被験者を無作為に2対1の割合で割り付け、一方にはベンペド酸180mgを(522例)、もう一方にはプラセボを(257例)、それぞれ1日1回52週間投与した。 主要エンドポイントは、12週時点で評価したベースラインからのLDL-C値のパーセント変化であった。副次評価項目は、脂質、リポ蛋白、バイオマーカーなどの変化値であった。12週時点のLDL-C値変化率、ベンペド酸群-15.1% vs.プラセボ群2.4% 無作為化を受けた779例(平均年齢64.3歳、女性283例[36.3%])のうち、740例(95.0%)が試験を完遂した。ベースラインの平均LDL-C値は120.4(SD 37.9)mg/dLであった。 12週時点でベンペド酸群のLDL-C値はプラセボ群よりも、有意に低かった(-15.1% vs.2.4%、群間差:-17.4%[95%信頼区間[CI]:-21.0~-13.9]、p<0.001)。12週時点のプラセボ群と比較したベンペド酸群の有意な低下は、非HDLコレステロール値(-10.8% vs.2.3%、-13.0%[-16.3~-9.8]、p<0.001)、総コレステロール値(-9.9% vs.1.3%、-11.2%[-13.6~-8.8]、p<0.001)、アポリポ蛋白B値(-9.3% vs.3.7%、-13.0%[-16.1~-9.9]、p<0.001)、高感度CRP値(中央値で-18.7% vs.-9.4%、群間差:-8.7%[漸近信頼限界値:-17.2~-0.4]、p=0.04)でも認められた。 頻度の高い有害事象は、鼻咽頭炎(ベンペド酸群5.2% vs.プラセボ群5.1%)、尿路感染症(5.0% vs.1.9%)、高尿酸血症(4.2% vs.1.9%)などであった。

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州による敗血症治療のプロトコール導入は、成人敗血症の院内死亡の減少に寄与したか(解説:吉田敦氏)-1141

 12歳の男児が敗血症で死亡したことを受け、ニューヨーク州は2013年に「Rory’s Regulations」を定めた。この規則はすべての急性期病院に対し、敗血症の早期診断と治療開始に関するプロトコールを導入し(たとえば抗菌薬ならば3時間以内に開始)、診療にあたること、ならびにその順守に関して職員の教育を行うとともに、順守割合と臨床的転帰について報告を求めたものである。 本研究はプロトコール導入が実際に成人の院内死亡の減少に寄与したかを、本規則が定められていない対照4州と比較して明らかにしようとした。プライマリーアウトカムは30日院内死亡率で、ニューヨーク州では規則導入の前後で26.3%から22.0%であったのに対し、対照4州では該当期間の変化は22.0%が19.1%となっており、ニューヨーク州では患者・病院特性と規則導入前からの傾向を調整しても、対照州に比べその減少幅は有意に大きかった。ただしセカンダリーアウトカムでは対照州に比較し、ICU入室率の減少幅は差がなく、入院期間の短縮幅とC. difficile発症率の減少幅はやや大きく、CVカテーテル使用率の減少幅は少なかった。 本研究は509ヵ所の病院を含む、合計101万の敗血症入院を解析した非常に大規模な試験である。ニューヨーク州の敗血症死亡率はもともと対照州より高かったが、対照州と比較して、病院の特徴が異なり(100床以下の医療機関や、規模の小さなICUが多い一方、教育病院の割合が高いなど)、ICU入室率やCVカテーテル使用率も低かった。つまり対照州のほうが、もともと規模の大きな病院でICUに入室させやすく、CVカテーテル使用率も高かったといえるであろう。また本研究では患者・病院特性の調整が行われたとはいえ、ニューヨーク州ではほかに患者背景、重症度、合併症、受診までの時間や経緯、医療保険などに、複雑かつ多様な要因があることも否めない。したがってニューヨーク州独自の事情が強く影響している下での、敗血症死亡率の低下、ICU滞在期間短縮を目指した努力が行われた結果をみていると考えたほうがよいと思われる。 複雑かつ多様な要因が影響している中、規則による介入が現場の診療の向上に寄与したかどうか、本論文のようにポジティブに関連付けることには、議論があるかもしれない。ニューヨーク州でのプロトコールの順守状況については情報がなく、さらにアウトカム指標としては5個のみで介入の効果をみているに過ぎない。現場での向上のプロセスの詳細は含まれていないが、介入によって実際のプロセスが具体的にどう変わり、どのように定着したか、読み手としてはそこが知りたいところではないだろうか。現在プロトコール導入を行う州が増えているとのことであるが、各州で行われているプロセス改善を目的とした現場での状況について、詳細な報告がまとめられることに期待したい。

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急増する電子タバコ関連肺損傷の臨床像が明らかに/Lancet

 電子タバコまたはベイピング関連肺損傷(lung injury associated with e-cigarettes or vaping:EVALI)は、重度の肺損傷や、全身および消化器症状と関連する新たな疾患であり、重症度は多岐にわたること、多くが抗菌薬やステロイドで治療されているが、臨床的に改善しても異常が残存する患者が多いことが、多施設共同前向き観察コホート研究で示された。米国・Intermountain HealthcareのDenitza P. Blagev氏らが報告した。米国では2019年3月からEVALIの発生が急増し現在も報告が相次いでいるが、本疾患の原因、診断、治療および経過は明らかになっていなかった。著者は、「EVALIの臨床診断は、感染症や他の肺疾患とオーバーラップしているままで、原因、適切な治療および長期的アウトカムを理解するには本疾患を疑う高度な指標が必要である」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年11月8日号掲載の報告。米国ユタ州の総合医療システムで、前向き観察研究を実施 研究グループは2019年6月27日~10月4日の期間で、米国ユタ州の総合医療システムIntermountain Healthcareにおいて確認されたEVALI患者全例のデータを収集した。 中央管理組織としてソルトレークシティーに拠点を置くTeleCritical Careに肺疾患専門医および救命救急医からなる委員会を設け、症例の検証と分析を行った。また、カルテの再評価とユタ州保健局が実施した患者面接から、患者の症状、治療および退院後2週間のデータを抽出し、短期追跡結果をまとめた。電子タバコ関連肺損傷では、呼吸器症状のみならず消化器症状も顕著 Intermountain Healthcareの13施設において確認されたEVALI患者は60例であった。 60例中、33例(55%)が集中治療室(ICU)に入室し、53例(88%)が全身症状、59例(98%)が呼吸器症状、54例(90%)が消化器症状を呈していた。 57例(95%)にステロイドが投与され、54例(90%)はオーバーラップした症状と診断の不確実性のために抗菌薬が投与されていた。 6例(10%)は、2週間以内にICUまたは病院に再入院となった。そのうち3例(50%)は電子タバコまたはベイピングを再開していた。 退院後2週間の追跡調査を行った26例において、全例で臨床症状が改善しX線検査でも急性所見の改善は認められたが、症例の多くが、X線検査(15例中10例、67%)および肺機能検査(9例中6例、67%)で異常の残存が確認された。 死亡は2例であった。2例ともEVALIが死因ではなかったが寄与因子と考えられた。 なお、TeleCritical Careの委員会は今回の調査結果を基に、EVALIの診断と治療のガイドライン案を作成し公表もしている。

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サイトメガロウイルス(CMV)の再活性化に対するmaribavirの効果(解説:吉田敦氏)-1140

原著論文はこちらMaribavir for Preemptive Treatment of Cytomegalovirus Reactivation これまで臨床応用された抗サイトメガロウイルス(CMV)薬(治療薬)の効果は、概して高くはなく、一方で副作用が多いという短所があった。ガンシクロビルは骨髄抑制、ホスカルネットは腎障害・電解質異常、cidofovir(本邦未承認)は腎障害がしばしば出現し、使用に当たっては躊躇することもある。四半世紀前と比べても、それほど進歩したという印象はない。今回、新規の抗CMV薬として開発されたmaribavir(マリバビル)の効果について、第II相オープンラベル試験の結果が発表された。 造血幹細胞移植、固形臓器移植を受けた後の成人で、血中(全血・血漿中)のCMV DNA量が1,000~10,000コピー/mLとなり、CMVの再活性化が生じているものの、明らかなCMV感染症が認められない患者、つまりCMV感染症発症の前段階の患者に、本薬が投与された。対照はバルガンシクロビルで、CMV DNA量が減少し、検出感度(200コピー/mL)未満を達成した患者割合、到達までの期間、CMV感染症発症率が比較された。結果として、CMV DNA量が減少した患者割合、到達までの期間は2群でほぼ同等であったが、maribavir耐性関連変異を認めた者が少数おり、さらにmaribavir群において消化器症状(とくに味覚障害)を中心とした副作用が多かったこと、一方で、バルガンシクロビル群で有意に白血球減少が多かったことが明らかとなった。 今回のデザインは、CMVの再活性化に対し早期に薬剤を開始するpreemptive therapy(先制治療)の評価である。maribavirはウイルスカプシドの集合を阻害するため、DNAポリメラーゼを阻害する従来の抗CMV薬とは作用機序を異にする。従来薬を大きく上回るほどの抗ウイルス効果は示せなかったが、今回の第II相試験で、供試した中では低用量(400mgを1日2回)でも効果が変わらなかったことは明らかにできた。 確かに著者が考察しているとおり、オープンラベル試験であり、maribavir群に割り付けられていることを知っているために生じる、副作用の報告バイアスは存在するかもしれない。しかし消化器系の副作用はほかの臨床試験でも認められており、再現性があることはおそらくほぼ動かないであろう。一方でバルガンシクロビルによる白血球減少には、ほかの感染症への易感染性を助長するといった、負の影響も大きい。 あらためて、理想的な抗CMV薬の開発はかなり難しい課題といえよう。選択肢が増えることは歓迎されるが、maribavirの特徴が効果的に発揮されるような患者集団あるいは状況での使用について、さらに追究が必要かもしれない。maribavirの臨床応用に関する検討そのものも、最初の報告がなされてからすでに15年以上が経過している。ハードルの高い課題ではあるが、maribavirの適切な使用、およびmaribavirの後継となりうる改良薬の候補の探求についても、研究が進むことを期待したい。

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インフルエンザ予防の新知見、養命酒の含有成分が有効か

 クロモジエキスを配合した、あめの摂取によるインフルエンザ予防効果が示唆された―。養命酒製造株式会社(以下、養命酒)と愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターの共同研究グループは、2017/2018シーズンに実施した「クロモジエキス配合あめ」のインフルエンザ予防効果に関する二重盲検試験を実施。風邪症状(発熱、喉・鼻症状)の有無や有症日数についても同時に解析を行った結果、クロモジエキス配合あめ摂取群がプラセボあめ摂取群と比較して、インフルエンザ感染患者の抑制ならびに風邪症状の有症期間を有意に短縮した。対象者は同大学で勤務し、インフルエンザワクチン接種済みの看護師の男女134名で、1日3回、12週間にわたりクロモジエキス67mgを配合したあめ摂取群とプラセボあめ群に割り付けられていた。この報告はGlycative Stress Research誌オンライン版2019年9月30日号1)に掲載された。 また、今年9月20日には、養命酒と信州大学農学部の共同研究グループがクロモジエキスのインフルエンザウイルス増殖抑制効果の長時間持続に関する可能性を示唆し、「クロモジ熱水抽出物の持続的なインフルエンザウイルス増殖抑制効果」に関する論文を、薬理と治療(JPT)誌2019年8月号で発表した。2) このような論文報告を受け、2019年11月11日、養命酒がメディアセミナー「国産ハーブ『クロモジ』の機能性研究におけるインフルエンザ予防の新たな可能性」を開催。伊賀瀬 道也氏(愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長)が「クロモジエキスのインフルエンザ・風邪予防に関するヒト試験について」、河原 岳志氏(信州大学学術研究院農学系 准教授)が「クロモジエキスの持続的な抗ウイルス活性~3回チャージで19時間キープ~」について講演し、報告研究の詳細を語った。クロモジとは… クロモジ(黒文字、漢方名:烏樟[うしょう])は、日本の産地に自生するクスノキ科の落葉低木である。クロモジから得られる精油はリラックス作用が期待されるリナロールを主成分とし、非常に良い香りがあることから、古くから楊枝や香木などに使用されてきた。また、耐久性もあるため、桂離宮の垣根や天皇の即位式後の大嘗祭でも使用された。 これまではクロモジをそのままで利用することが多かったが、近年では加工抽出される精油やアロマウォーターの活用が広がっている。今回の研究では、クロモジを煮出して濃縮、乾燥させて作られるエキス剤が用いられた。このように用途の広がるクロモジだが、近年ではさまざまな機能性研究がなされており、今回は抗ウイルス作用に着目した研究が行われた。食後のクロモジ摂取でインフルエンザの予防、症状緩和 現時点でクロモジの作用機序は解明されていないが、ノロウイルスやロタウイルスの代替ウイルス(ネコカリシウイルス)、日本脳炎ウイルスなどの細胞増殖抑制について報告されている。これを踏まえて、伊賀瀬氏は「in vitroの実験ではインフルエンザウイルスの増殖抑制が達成されており、今回の臨床試験でも同様の結果が得られた。風邪症状の有症期間の短縮については、風邪に感染した後でもクロモジエキス配合あめを摂取することで予後が良好になったのではないか」と推測している。 クロモジは全国各地でお茶として販売されているが、本研究ではあめを利用している。その理由として、同氏は「インフルエンザウイルスは主に上気道で感染して増殖する。抗インフルエンザ効果が長期間発揮するには成分が長く滞留することが必要であり、あめならば咽頭から喉頭部分に滞留するため予防が可能と考えた」と述べた。加えて、「ただし、一般的な予防法(流行前のワクチン摂取、外出後の手洗いなど)を行いながらの摂取が前提」と、注意事項も伝えた。クロモジエキス、1日3回摂取でインフルエンザウイルスの抑制効果アップ 河原氏らは前述の伊賀瀬氏の研究報告を受け、培養細胞を利用したクロモジエキスによるインフルエンザウイルスの増殖抑制タイミングと、その効果の持続性について検証した。その結果、クロモジエキスを細胞培養液から取り除いた24時間後にウイルス感染させても、ウイルス増殖指標の抑制が確認できた。また、本研究では細胞にクロモジエキスを8分間処理して5時間後にウイルス感染させても効果が持続し、さらに、繰り返しクロモジエキス処理を行うことで抑制効果が高まることを実証した2)。これらの結果を踏まえ、同氏は「クロモジエキスはウイルス感染に対して予防的な働きをする」と述べ、今後の作用メカニズムなどの詳細解明について意気込んだ。

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外来診療中のサージカルマスク着用とN95マスク着用の呼吸器感染症予防効果の比較(解説:吉田敦氏)-1139

 インフルエンザウイルスをはじめとする呼吸器ウイルス感染の予防に、外来診療で日常的に着用されるサージカルマスクが、N95マスクとどの程度予防効果が異なるのか、今回ランダム化比較試験が行われた。小児を含む米国7医療機関において、外来診療に当たる医療従事者を小集団(クラスター)に分割、小集団ごとにサージカルマスク、N95マスクのいずれかにランダムに割り付けし、H1N1 pandemicを含む4シーズン以上を観察期間とした。医療従事者には毎日呼吸器症状を含む体調の変化について日記をつけさせ、発症した際には遺伝子検査を行い、さらに無症状であっても遺伝子検査と血清抗体検査を行うことで、不顕性感染の有無まで把握を試みたものである。 結果的に、プライマリーアウトカムであるインフルエンザ(検査確定)罹患率(両群で7~8%)、セカンダリーアウトカムである急性呼吸器症状発症率や呼吸器ウイルス*感染症罹患率に差はなかった。のみならず、マスク着用のアドヒアランスについて「常に」「時に」「まったく着用しない」「思い出せない」と回答した医療従事者は、それぞれ65%、24%、10%、0.4%程度と有意な違いはなかった。*コクサッキー/エコー、コロナ、メタニューモ、ライノ、パラインフルエンザ、RSの各ウイルスを含む。 N95マスクは、飛沫核を形成するウイルスの感染予防に適する一方、密着させる必要性がある。このため呼吸しにくくなり、アドヒアランスの低下が懸念される。一方でサージカルマスクは、より粒子の大きい飛沫による感染や、手から鼻・口への接触による感染を予防すること、ならびに有症者から健常者への伝播予防に重点が置かれる。本検討ではサージカルマスクに比してN95マスクでアドヒアランスが明らかに下がったという結果は得られなかったが、その反面、両者でアドヒアランスは低めで、さらにアドヒアランスに関する回答の内訳(カテゴリーごとの割合)はかなり似通っていた。なおアドヒアランスとインフルエンザ罹患率との関連や、アドヒアランスと不顕性感染の関係、さらには不顕性感染と各ウイルスとの相関については明らかにされなかった。 これまでにもインフルエンザシーズンでのサージカルマスクないしN95マスクの着用が、医療従事者のインフルエンザ罹患に差があるか検討した報告は存在する。Loebらの報告1)は救急外来、内科、小児科病棟勤務者が対象であったが、インフルエンザ罹患率は両群で22%程度と高かったものの、差はなかった。ほかの報告の中にはN95マスクの優位を示すものがあったが、研究自体のエンドポイントの設定に議論があった。実際には、呼吸器ウイルスの流行状況や、患者からのウイルスの排出量、医療従事者との接触の程度、マスク着用率と確実さ、ほかに併用した感染予防策といった要因にも予防効果は影響されているとみてよく、さらに飛沫感染・接触感染が実際にどの程度生じているかにも左右されている。このため複雑な事象をマスクの違いのみで分別して解析することの限界をみているのかもしれない。このことは逆に、実際のさまざまな状況を私たちが想像して、有効な対策を適切に組み合わせて使い、解釈し、柔軟に調整していくことの重要性を示唆していると思われる。報告された内容と現実との間を十分斟酌し、解釈することが、より求められる論文といえよう。

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COPDの3成分配合吸入エアゾール薬「ビレーズトリエアロスフィア56吸入」【下平博士のDIノート】第37回

COPDの3成分配合吸入エアゾール薬「ビレーズトリエアロスフィア56吸入」今回は、COPD治療薬「ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物製剤(商品名:ビレーズトリエアロスフィア56吸入)」を紹介します。本剤は、吸入薬を複数使用してもコントロールが不十分なCOPD患者に対し、治療効果とアドヒアランス双方の改善が期待されています。<効能・効果>本剤は、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド薬、長時間作用性吸入抗コリン薬および長時間作用性吸入β2刺激薬の併用が必要な場合)の適応で、2019年6月18日に承認され、2019年9月4日より発売されています。<用法・用量>通常、成人には、1回2吸入(ブデソニドとして320μg、グリコピロニウムとして14.4μg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6μg)を1日2回吸入投与します。<副作用>第III相試験(KRONOS試験、PT010007試験、PT010008試験)の併合成績において、本剤が投与された639例のうち、臨床検査値異常を含む副作用が126例(19.7%)において認められました。主な副作用は、発声障害(3.1%)、筋痙縮、口腔カンジダ症(各1.4%)、上気道感染(1.3%)などでした。なお、重大な副作用として、心房細動(0.2%)、重篤な血清カリウム値の低下(頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.本剤は、気管支を広げるとともに炎症を抑えることで、呼吸を楽にして身体の活動性を改善するCOPDの治療薬です。2.1日2回、1回2吸入を、毎日なるべく同じ時間帯に、よく振ってから吸入してください。3.声枯れや感染症を予防するため、吸入後は必ず数回うがいをしてください。4.吸入器の小窓には、20きざみでおおよその残り回数が示されています。小窓の中央に「0」が表示され、それ以上進まなくなったら使用を中止して、新しいものに交換してください。開封するときは、キャップを外し、よく振って1度空噴霧する、という一連の操作を4回繰り返してください。5.口の渇き、目のピントが合いにくい、尿が出にくい、動悸、手足の震えなどの症状が現れた場合は、すぐに受診してください。6.COPDの治療では禁煙が大切なので、薬物治療とともに禁煙を徹底しましょう。7.週1回、本体から薬剤の入った缶と吸入口のキャップを外してプラスチック部分(アクチュエーター)をぬるま湯で洗浄し、洗った後はよく乾かしてください。<Shimo's eyes>本剤は、吸入ステロイド薬(ICS)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)の3成分が配合されたCOPD治療薬です。3成分配合のCOPD治療薬として、フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩ドライパウダーインヘラー(商品名:テリルジー100エリプタ)に続く2剤目となります。COPDの15~20%は喘息が合併していると見込まれているため、LAMAやLABAなどの気管支拡張薬だけでは症状のコントロールが難しい患者さんが少なくありません。本剤は、ICS/LABAやLAMA/LABAで治療していても症状が残存している患者さん、時折抗菌薬や経口ステロイド薬が必要となる患者さんなどで切り替えて使用することが想定されます。本剤はLAMA+LABA+ICSのトリプルセラピーを1剤で行うことができますが、3成分それぞれの薬剤に関する副作用には注意する必要があります。患者さんへ確認するポイントとしては、LAMAによる口渇、視調節障害、排尿困難、LABAによる不整脈、頭痛、手足の震え、ICSによる口腔カンジダ症などが挙げられます。本剤は、デバイスに世界で初めて「エアロスフィア」というpMDI(加圧噴霧式定量吸入器)が採用され、薬剤送達技術を駆使して調製された多孔性粒子が3種の薬剤を肺の末梢まで届けることが期待されています。pMDIなので、吸気力が低下している場合でも少ない負荷で吸入できますが、ボンベを押す力が弱い患者さんには吸入補助器具(プッシュサポーター)、ボンベを押すタイミングと吸入の同調が難しい患者さんにはスペーサー(エアロチャンバープラスなど)の使用を勧めましょう。COPD患者さんは、喫煙や加齢に伴う併存疾患の治療を並行していることが多く、アドヒアランスを向上させて治療を継続させることが重要です。COPD治療に、本剤のような3成分配合吸入薬を選択することで、患者さんの負担を増やさずに症状の改善およびアドヒアランスの向上を目指すことができるでしょう。

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全国でインフルエンザ流行期入り、昨年より1ヵ月早く

 厚生労働省は15日、全国的なインフルエンザの流行シーズンに入ったと発表した。前年比で4週間早いシーズン入りで、現在の統計法で調査を始めた1999年以降では2番目に早い。 国立感染症研究所が15日付でまとめた、2019年第45週(11月4~10日)の感染症発生動向調査において、インフルエンザの定点当たり報告数が1.03(定点数:全国約5,000 ヵ所、報告数:5,084)となり、流行開始の目安となる1.00を上回った。 都道府県別では、報告数が多い順に、沖縄県(4.45)、鹿児島県(2.66)、青森県(2.48)、長崎県(2.31)、福岡県(2.03)、北海道(2.00)、熊本県(1.80)、広島県(1.73)、新潟県(1.61)、佐賀県(1.33)、岩手県(1.32)、宮崎県(1.31)、福島県(1.16)、茨城県(1.13)、東京都・神奈川県・静岡県(1.11)、石川県(1.00)。 ウイルスの検出状況をみると、直近5週間(2019年第41~45週)では、AH1pdm09(98%)、AH3亜型(1%)、 B型(1%)の順で、09年に流行した新型インフルエンザと同型が大半を占めている。

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医師300人に聞いた!今季のインフルエンザ診療

 ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。 アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフルエンザ薬の選択について答えていただいた。 主な結果は以下のとおり。・6割超の医師が、インフルエンザの早期流行を実感している・約8割の医師が、迅速診断キットと抗インフルエンザ薬をほぼ全例に使用・最も処方頻度が高い抗インフルエンザ薬はオセルタミビル、次いでザナミビル アンケート結果の詳細や自由記述で挙げられた意見などは、以下のページに掲載。今シーズンのインフルエンザ診療の動向は?https://www.carenet.com/enquete/drsvoice/cg002529_index.html

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マンガ喫茶で結核集団感染!【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第151回

マンガ喫茶で結核集団感染!ぱくたそより使用私は普段から結核を診療していますが、たまに集団感染・集団発病があります。とくに、睡眠や生活を同じ空間で過ごしている場合や、換気の悪い空間で長時間接触した場合は、感染・発病リスクが上昇します。多剤耐性結核の韓国人女性が飛行機に乗っていて、その後座席が近い乗客に空気感染した事例もあります1)。感染というのは、結核菌の感染を受けた状態のことで、発病は体内で結核菌が増殖して他人に感染させる状態になることを指します。感染から発病まで、半年~70年と幅があります。「集団感染」とは周囲への感染リスクが高い発病患者さんが大量発生したという事態ではありませんのでご注意を。さて、今日紹介する論文は、マンガ喫茶で起こった集団感染・発病の報告です。Endo M, et al.A tuberculosis outbreak at an insecure, temporary housing facility, manga cafe, Tokyo, Japan, 2016-2017.Epidemiol Infect. 2019 Jan;147:e222.2016年11月のことでした。新宿駅近くのマンガ喫茶で1年ほど寝泊まりしていた30代女性が、塗抹陽性の肺結核であることが判明したのです。ゲゲップ!マンガ喫茶は、なんというか、モワっとしていてあまり換気がよいとは思えません。また、体調が悪い人もゴホゴホ咳をしながら同じ空間で生活しているので、1人結核の発病者が出れば、感染リスクはかなり高いと言えるでしょう。実際、過去の臨床研究で、狭い閉鎖空間のほうが感染リスクは高いことが示されています2)。さて、マンガ喫茶のスタッフ31人に接触者健診が行われました。すると、31人のうち、肺結核を発病したのは6人(19.3%)でした。発病はしていないけど感染があった(インターフェロンγ遊離試験が陽性:潜在性結核感染)のは、7人(22.6%)でした。なんと、マンガ喫茶店員の半数近くが結核に感染してしまったということになります※。マンガ喫茶の利用者はどうだったでしょうか。1年ものあいだ、2,000人を超える利用者がいましたが、当然ながら1人1人調べていくわけにはいきません。それでも長期滞在利用者を11人ピックアップし、3人から同意が得られたそうです。ラッキーなことに、その3人は誰も結核に感染していませんでした。しかし、上述した30代の女性よりも前に長期滞在していた50代の男性が、実はすでに肺結核にかかっていることがわかりました。おや?つまり、この50代の男性を発端にして、30代の女性に感染し、その後スタッフに集団感染したというストーリーになっていたのです(図)。画像を拡大する漫画喫茶で寝泊まりするのはもちろん自由ですが、罹患率が高い地域(日本では大阪や東京)では、こういうリスクがあることも知っておく必要があります。※発病者の1人は、縦列反復配列多型(VNTR)検査の結果、別の結核菌だったようです。1)Kenyon TA, et al. Transmission of multidrug-resistant Mycobacterium tuberculosis during a long airplane flight. N Engl J Med 334:933-8, 1996.2)Bailey WC, et al. Predictive model to identify positive tuberculosis skin test results during contact investigations. JAMA 287:996-1002, 2002.

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市中肺炎に新規経口抗菌薬lefamulinが有効/JAMA

 市中細菌性肺炎(CABP)患者において、lefamulinの5日間経口投与はモキシフロキサシン7日間経口投与に対して、初回投与後96時間での早期臨床効果が非劣性であることが示された。米国・Nabriva TherapeuticsのElizabeth Alexander氏らが、CABPに対するlefamulinの有効性および安全性を評価した無作為化二重盲検ダブルダミー並行群間第III相試験「LEAP 2試験」の結果を報告した。標準治療による抗菌薬耐性の拡大と安全性の懸念から、CABP治療の新しい抗菌薬が必要とされている中、lefamulinは、先に行われた第III相試験「LEAP 1試験」において、初回静脈内投与後経口投与への切り替えでモキシフロキサシンに対する非劣性が示されていた。JAMA誌オンライン版2019年9月27日号掲載の報告。lefamulin 5日間投与vs.モキシフロキサシン7日間投与、早期臨床効果を比較 LEAP 2試験は、2016年8月30日~2018年1月2日に19ヵ国99施設にて実施された。対象は、Pneumonia Outcomes Research Team(PORT)リスク分類がクラスII、IIIまたはIVで、X線所見により肺炎が確認され発症後7日以内、CABP症状(呼吸困難、新規咳嗽または咳嗽増加、膿性痰、胸痛)のうち3つ以上がみられ、2つ以上のバイタルサイン異常を有する18歳以上の成人患者738例であった。 対象患者を、lefamulin群(12時間ごとに600mgを5日間、370例)、またはモキシフロキサシン群(24時間ごとに400mgを7日間、368例)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、治験薬初回投与後96時間(±24時間)時点の早期臨床効果で、4つのCABP症状のうち2つ以上で改善を認め、CABP症状の悪化がなく、治験薬以外の抗菌薬治療を受けずに生存している場合に有効とした。 副次評価項目は、投与終了時評価(最終投与後5~10日間)における治験担当医師判定による臨床効果である。非劣性マージンは、早期臨床効果および治験担当医師判定による臨床効果に関して10%とした。 解析対象は、主要評価項目が無作為化されたすべての患者(intention-to-treat[ITT]集団)、副次評価項目が修正ITT集団および臨床評価可能集団であった。有効率はどちらも約91%、非劣性を確認 無作為化された738例(平均年齢:57.5歳、女性:351例[47.6%]、PORTリスク分類クラスIII/IV:360例[48.8%])のうち、707例(95.8%)が試験を完遂した。 早期臨床効果の有効率はlefamulin群90.8%、モキシフロキサシン群90.8%であった(群間差:0.1%、片側97.5%信頼区間[CI]:-4.4~∞)。治験担当医師判定による臨床効果は、修正ITT集団での有効率がlefamulin群87.5%、モキシフロキサシン群89.1%(-1.6%、-6.3%~∞)、臨床評価可能集団ではそれぞれ89.7%および93.6%であった(-3.9%、-8.2%~∞)。 治療下で発現した有害事象は、胃腸障害が最も多く報告された。発現率は、下痢がlefamulin群12.2%(45/368例)、モキシフロキサシン群1.1%(4/368例)、悪心がそれぞれ5.2%(19/368例)、1.9%(7/368例)であった。

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今シーズンのインフルエンザ診療の動向は?

結果概要ここ数年、過去最大規模の流行を繰り返すインフルエンザだが、今年は早くも流行が始まっている。現場での診療方針はどのような傾向にあるのだろうか。ケアネットでは先月、会員医師を対象に「今シーズンのインフルエンザ診療について」のアンケートを行い、325人から回答を得た。アンケートでは、早期流行の実感、迅速診断キットの使用頻度、抗インフルエンザウイルス薬の処方頻度、外来での抗インフル薬の選択について答えていただいた。主な結果は、以下のとおり。6割超の医師が、インフルエンザの早期流行を実感している約8割の医師が、迅速診断キットと抗インフル薬をほぼ全例に使用最も処方頻度が高い抗インフル薬はオセルタミビル、次いでザナミビル集計結果の詳細と、寄せられたご意見を以下にまとめた。62%の医師が、早期流行を実感している厚生労働省により、例年より早期の流行開始が報告されたが、実臨床ではどう感じているのだろうか。アンケート回答の結果を見ると、62%の医師がインフルエンザの早期流行を「実感している」と答えた。早期流行は、臨床現場の感覚ともおおむね一致していることが示された。迅速診断キットはほぼ全例に使用されるが、「不要」という意見も「外来でのインフルエンザ診断に、どのくらい迅速診断キットを使用しますか」という設問に対しては、「インフルエンザが疑われる患者のほぼ全員に使用する」と答えた医師が78%に上った。次いで、「ほかの重篤疾患との鑑別など、必要性が高い場合のみ使用する」(13%)、「患者から希望があった場合のみ使用する」(7%)、という結果だった。迅速診断キットについて、日本医師会は「検査は必ずしも全例に実施する必要はない」との見解1)を示しているが、現場に広く受け入れられるには時間がかかりそうだ。インフルエンザのほぼ全例に抗インフル薬が処方次に、「抗インフル薬の外来処方についてお聞かせください」という問いに対し、77%の医師が「発症後48時間以内と想定される患者のほとんどに、抗インフル薬を処方する」と答えた。「高リスク患者には抗インフル薬を処方するが、低リスク患者にはなるべく処方しない」は17%、「抗インフル薬は基本的に処方しない」は5%だった。オセルタミビルの次に多いのはザナミビル薬剤選択に関しては、オセルタミビル(商品名:タミフル)が最も多く61%、次いでザナミビル(同:リレンザ)22%、ラニナミビル(同:イナビル)7%、バロキサビル(同:ゾフルーザ)6%、ペラミビル(同:ラピアクタ)1%という回答結果となった。「処方しない」と答えた医師は3%に留まった。2018年に10代への使用制限が解除され、経口投与かつ剤形選択ができるオセルタミビルを第1候補とする医師が多いと考えられる。高リスク患者にはペラミビル、インフル疑い・48時間経過例には麻黄湯かさらに、「前問で選択した薬剤以外の抗インフル薬を処方するのは、どのような場合ですか?」という記述形式の設問に対しては、「年齢(小児・高齢者など)」、「経口/吸入の可否」、「予防投与の場合」、「妊娠の有無」、「患者アドヒアランス」、「アレルギーや副作用などの既往歴」、「患者負担(経済面)」など、患者の希望や状況によって、処方を調整しているという声が多数寄せられた。また、入院症例や重症例などの高リスク群には、ペラミビルを処方するという意見が多かった。このほか、アンケートの選択肢にはなかったが、麻黄湯を積極的に使うという意見も見られた。全身状態が安定している人や理解がしっかりしている人には説明後、麻黄湯を処方することがある。(小児科・40代・岡山県)症状が強い症例には麻黄湯を併用している。周囲の発生状況を確認している。(内科・50代・高知県)偽陰性を疑う場合は麻黄湯を使う。(内科・50代・京都府)48時間以上経過した場合は麻黄湯を選択する。(循環器内科・60代・埼玉県)耐性ウイルスや、全例における薬物治療に対する懸念の声も最後に、日頃のインフルエンザ診療で取り組んでいる工夫や、困っている点について尋ねたところ、さまざまな意見が寄せられたので、その中から一部を抜粋して紹介する。診療での工夫に関しては、30~40代の医師による意見が目立った。不要な抗インフル薬の処方は減らすよう、心掛けている。(呼吸器内科・30代・大分県)小児症例では危険度が高いと判断し、小児科に受診を勧めている。(内科・40代・大阪府)今年は院内発生があり、感染拡大予防に努めている。(消化器内科・30代・広島県)一方、困っている点に関しては、耐性ウイルスを気にする声が多かった。12歳以下の小児ではザナミビル吸入やオセルタミビルを投与する方針である。(循環器内科・60代・福岡県)耐性ウイルスが疑われ、いったん解熱した患者が再発熱した場合の対応に困る。(消化器内科・50代・愛知県)耐性を気にするが、どちらかというと皆さんが苦しいのを少しでも和らげたいと思うので、効果が出るものを処方したい。(内科・50代・長野県)さらに、抗インフル薬を使用した薬物治療については、疑問の声も挙がった。本当に全症例に抗インフル薬が必要か疑問に思っている。対症療法の方が免疫獲得できていいような気もする。(その他・50代・静岡県)軽症インフルエンザの扱いには疑問を感じることもある。(放射線科・40代・京都府)インフルエンザ診療における情報は、治療薬の選択肢が増えたり、使用上の注意が改訂されたりと、シーズンを問わず更新されている。今年の流行ピークが訪れる前に、最新の情報を確認して、万全の体制で臨みたいところだ。アンケート概要タイトル今シーズンのインフルエンザ診療についてお聞かせください実施日2019年10月28~11月3日調査方法インターネット対象ケアネット会員医師(有効回答数:325人)【分類詳細】内科系:内科、神経内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、呼吸器内科、糖尿病・代謝・内分泌内科、腎臓内科、感染症内科、心療内科、総合診療科外科系:外科、整形外科、消化器外科、形成外科、脳神経外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科その他:小児科、精神科、放射線科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、眼科、皮膚科、産婦人科、泌尿器科、麻酔科、救急科、腫瘍科、臨床研修医アンケート調査にご協力いただき、ありがとうございました。参考1)インフルエンザ診療で不要なこと:医師会の見解今季インフルエンザ治療のポイントとは?東京都でインフルエンザ流行開始、昨年比で3ヵ月早くゾフルーザに低感受性の変異株に関する調査結果ゾフルーザに「使用上の注意」の改訂指示

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新規デング熱ワクチンの有効性、小児で確認/NEJM

 開発中の4価デング熱ワクチン(TAK-003)は、デング熱が風土病化している国での症候性デング熱に対して有効であることが確認された。シンガポールにある武田薬品工業ワクチン部門Takeda VaccinesのShibadas Biswal氏らが、デング熱が風土病となっているアジア、中南米で実施中の3つの無作為化試験のpart1データを公表し、NEJM誌オンライン版2019年11月6日号で発表した。蚊を媒介としたウイルス性疾患のデング熱は、世界保健機関(WHO)が2019年における世界の健康に対する10の脅威の1つに挙げている。4価デング熱ワクチンを3ヵ月間隔で2回投与 試験では4~16歳の健康な小児と青少年を年齢および地域で層別化し、無作為に2対1の2群に分けて、一方の群には4価デング熱ワクチンを3ヵ月間隔で2回投与し、もう一方にはプラセボを投与した。 被験者が熱性疾患を発症した際には、血清型特異的RT-PCR法による検査を行い、デング熱をウイルス学的に確認。主要エンドポイントは、あらゆるデングウイルス血清型に起因するウイルス学的に確認されたデング熱の予防についての、全体のワクチン有効性だった。 本論では、主要エンドポイントの解析で120例がウイルス学的デング熱と確認され、また被験者が2回目の接種後12ヵ月間のフォローアップを受けていた時点で終了となったpart1データを分析し発表している。デング熱による入院に対するワクチン有効性は95.4% part1データは、ワクチンまたはプラセボを1回以上接種された2万71例(安全性解析対象)のうち、2回接種を受けた1万9,021例(94.8%)を包含しper-protocol解析を行った。 安全性解析対象における全体のワクチン有効性は80.9%(95%信頼区間[CI]:75.2~85.3)で、デング熱を発症したのはプラセボ群6,687例中199例(2.5件/100人年)に対し、ワクチン群は1万3,380例中78例(0.5件/100人年)だった。 per-protocol解析におけるワクチン有効性は80.2%(同:73.3~85.3)で、ウイルス学的に確認されたデング熱はプラセボ群149例、ワクチン群61例だった。デング熱による入院に対するワクチンの有効性は95.4%(同:88.4~98.2)で、入院発生はプラセボ群53例に対しワクチン群5例だった。 per-protocol集団のうち、ベースライン時に血清学的陰性だった27.7%の被験者を対象に行った事前規定の探索的解析では、ワクチンの有効性は74.9%(95%CI:57.0~85.4)で、ウイルス学的に確認されたデング熱はプラセボ群39例に対し、ワクチン群は20例だった。 有効性は、血清型により異なる傾向がみられた。重篤な有害事象の発生率は、プラセボ群3.8%、ワクチン群3.1%と同程度だった。

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患者が抗菌薬を飲み切らない3つの理由【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第35回

2016年に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が発表されてから、抗菌薬の処方や服薬についてさまざまな取り組みが行われてきました。医師と話をしたり、処方箋を受け取ったりするなかで、確かに抗菌薬の処方数が減ったという実感があります。医師や薬剤師の間では「抗菌薬は大部分の風邪に効かない」「処方された抗菌薬はすべて飲み切らなくてはいけない」は常識ですが、一般の方の意識はどうなのでしょうか。内閣府が行った世論調査でその実態が明らかになりました。内閣府は10月11日、薬が効かない薬剤耐性の感染症に関する世論調査を発表した。抗生物質を処方された際に医師や薬剤師の指示通り飲まないことがあると回答した人は13%だった。「途中で治ったらそれ以上必要と思わない」が理由として最多(52.3%)だった。指示を常に意識して服用している人は82%だった。薬剤耐性について知っているかを尋ねたところ「知っている」と答えた人は49.9%だった。「知らない」との回答は48.7%で拮抗した。(2019年10月11日付 日本経済新聞)この内閣府の調査は、2019年8月~9月に18歳以上の3,000人を個別面接して行われました。有効回答は1,667人でした。薬が効かない薬剤耐性の感染症に対する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とすることが目的です。この調査の結果、抗菌薬が処方された場合に医師や薬剤師の指示を常に守って服用している人は82%でした。「意外と多いな」と思ったのは私だけではないでしょう。一方で、指示どおりに抗菌薬を飲まないことがある人は13%でした。この13%の人たちはどのような認識なのでしょうか。医師や薬剤師の指示どおりに飲めないことがあるのはなぜか、という問いでは以下のような結果となりました。途中で治ったらそれ以上必要と思わないから  52.3%薬を飲むのは最低限にしたいから  35.6%指示どおり飲むのを忘れてしまうから  34.7%この結果から、「薬は嫌い、最低限にしたい」「回復したら薬を中止したくなる」という心理が読み取れますので、服薬指導ではこの点を理解したうえで働きかけをするとよいと思います。たとえば、一辺倒に「最後まで飲んで」と正論を伝えるのではなく、「治ったらお薬を中止したくなるし、お薬は最低限にしたいと思われる方も多いんですよね」などと、よくある不安について話をして共感を得てから、必要なことに絞ってお伝えしてはいかがでしょうか。薬剤耐性の意味まで知っている人は少数派「薬剤耐性」という言葉については、知っている人は49.9%、知らない人は48.7%と真っ二つに分かれる結果でした。ただし、知っている人の中には「言葉だけ知っている人」も30%ほど含まれているので、言葉を知っていてかつ内容まできちんと理解している人はかなり少数派です。「薬剤耐性」という言葉は、私がITや金融など他業界の専門用語を難しいと思うように、一般の人には難しいのだと思います。「菌に抗菌薬が効かなくなる」「抗菌薬が効かない菌が体の中で増える」「それが日本だけでなく世界で起こっている」など、身近なことに感じてもらえるよう、少しでもわかりやすい言葉でお伝えできるとよいでしょう。2018年度の報酬改定では、抗菌薬処方を減らして適正使用を推進するために「抗菌薬適正使用支援加算」と「小児抗菌薬適正使用支援加算」が新設されました。2020年度の報酬改定でも新たな取り組みが評価されるかもしれません。一般の方の薬剤耐性の認識レベルも踏まえて、もうひと踏ん張りして対応を考えることが必要だと思います。

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