サイト内検索|page:69

検索結果 合計:5821件 表示位置:1361 - 1380

1361.

猫を飼うと統合失調症などの精神疾患になるのは本当か

 猫の飼育は、統合失調症関連障害および精神病症状様体験(PLE)のリスク修飾因子であるといわれている。この可能性についてオーストラリア・クイーンズランド大学脳研究所のJohn J McGrath氏らの研究グループは、猫の飼育と統合失調症関連の転帰との関係を報告した文献の系統的レビューおよびメタ解析を行った。その結果、猫の飼育(猫への曝露)は広義の統合失調症関連障害のリスク増加との関連を支持するものであった。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2023年12月2日号の報告。猫の飼育と統合失調症関連障害の発症オッズの上昇との関係 方法として、Medline、Embase、CINAHL、Web of Science、および灰色文献のうち1980年1月1日~2023年5月30日の出版物について、地域や言語に関係なく検索。追加論文の検索では後方引用検索法を用いた。研究対象は、猫の飼育と統合失調症関連の転帰に関するオリジナルデータを報告している研究。広義の定義(猫の所有、猫の咬傷、猫との接触)に基づく推定値を、共変量調整の有無にかかわらずメタ解析し、ランダム効果モデルを用いて比較可能な推定値をプールし、バイアスリスク、異質性、研究の質を評価した。 猫の飼育と統合失調症関連障害のリスクとの関連を評価した主な結果は以下のとおり。・1,915件の研究を同定し、そのうち106件をフルテキスト・レビューに選択。最終的に17件の研究を組み入れた。・広義の猫の飼育と統合失調症関連障害の発症オッズの上昇との間に関連が認められた。・調整前のプールされたオッズ比(OR)は2.35(95%信頼区間[CI]:1.38~4.01)であり、調整後のプールされた推定値は2.24(95%CI:1.61~3.12)だった。・PLEアウトカムの推定値は、測定範囲が広いため集計できなかった。 これらの結果からMcGrath氏は「猫への曝露と広義の統合失調症関連障害のリスク増加との関連を支持するものだったが、転帰としてのPLEに関する知見はさまざまだった」と結論付けている。

1362.

認知症の評価に視覚活用、アイトラッキングシステムとは

 早期認知症発見のためのアイトラッキング技術を用いた「汎用タブレット型アイトラッキング式認知機能評価アプリ」の神経心理検査用プログラム『ミレボ』が2023年10月に日本で初めて医療機器製造販売承認を取得した。発売は24年春を予定している。この医療機器は日本抗加齢協会が主催する第1回ヘルスケアベンチャー大賞最終審査会(2019年開催)で大賞を取った武田 朱公氏(大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学)の技術開発を基盤として同第5回大賞(10月27日開催)を受賞した高村 健太郎氏(株式会社アイ・ブレインサイエンス)らが産業化に成功したもの。 本稿では第5回ヘルスケアベンチャー大賞最終審査会での高村氏のプレゼンテーション、第3回日本抗加齢医学会WEBメディアセミナーでの武田氏の講演内容を踏まえ、このプログラムの開発経緯や今後の展望について紐解いていく。アイトラッキング式認知機能評価アプリとは 認知症疑い患者に対し従来行われているMMSEや改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R)といった認知機能検査では、患者の心理的負担(緊張、焦り、落胆、怒りなど自尊心を傷付け心理的ストレスを招きやすい)、医療者負担(時間的制約、専門スタッフの在籍)、検査者間変動(採点のバラツキ)が課題になっているが、近年、AIを活用した新たな認知症診断技術として、脳波、視線、表情、音声、体動などのデータをAIによって定量化することで鑑別診断や予後予測ができるまで研究が進んでいる。また、現代では認知症の危険因子のなかに回避可能なものが多く存在することが医学的にも解明したこと、アルツハイマー病の根本的治療法が臨床応用されつつあることから、早期認知症患者の早期発見・治療導入のためのスクリーニング方法に注目が集まっている。 そこで、高村・武田両氏らは現場での課題を解決するべく新たなスクリーニング法の開発に着目し、認知症領域に一筋の光をもたらした。それがアイトラッキング式認知機能評価アプリである。両氏によると、認知症検査には▽安価▽特殊な機器が不要▽短時間(3分以内)▽言語依存性が低いなどの条件が求められるが、本アプリは「目の動きを利用した『眺めるだけの認知機能検査』技術。使用方法は簡便で、患者は“画面に表示される質問に沿ってタブレット画面を3分間見るだけ”。データを自動的にスコア化し、定量的かつ検査者の知識や経験に依存せず客観的に評価することが可能であり、まさに『短時間・簡易・低コスト』を実現した製品」と高村氏は話した。 さらに、認知症は非専門医による診断も難しい点が臨床課題であったが、臨床的に認知症と診断された被験者およびそれ以外の被験者(認知機能健常者および軽度認知障害[MCI]が疑われる被験者含む)を対象に実施した臨床試験において、主要評価項目である本アプリによる検査スコアとMMSEの総合点において高い相関が認められた。加えて、副次評価項目である検査者に対する使用評価調査において検査者の負担軽減が確認されたことから、認知症を診断できる施設数の増加にも寄与できる可能性がある。このほか、本アプリは多言語対応も可能であることから、将来展望として認知症患者が増加傾向のアジア圏をはじめ、欧米にも日本発の技術を輸出・展開し世界進出を図る予定だという。“技術の産業化”を果たし、ヘルスケア産業・医療界に参入 なお、薬機法に規制されない一般向けアプリとして認知機能評価法『MIRUDAKE』による事業化も進めており、公的機関(高齢者の免許更新時の検査など)、検診サービス(住民健診など)、介護サービス事業(デイサービスでの重点見守りなど)への提供をスタートさせている。 第1回大賞受賞時の宿題であった“技術の産業化”を見事に果たした両氏。アイトラッキング技術をさらに応用して認知症のみならず、本アプリからの情報をAI解析することで高い精度でMCIの発見を行う、ADHDや大うつ病の検査補助、認知症の予防/治療を行うDTxの実用化などさらなるSaMD創出に意欲を示している。認知症領域の現状 国内65歳以上の5人に2人は認知症またはMCIと推算されている。世界規模では開発途上国(とくにアジア圏)での患者数が増加傾向で、2050年には認知症患者数は1億3,150万例になることが予想されている。今秋には国内でもレカネマブの承認が報道されたことで、物忘れ外来の受診患者が増えている病院もあるそうだが、外来での診察時間は1人あたり10~15分程度と限られ、認知機能検査に時間を割くことが厳しく、診断や治療へコストをかけることができないのが現状である。ヘルスケアベンチャー大賞とは アンチエイジング領域においてさまざまなシーズをもとに新しい可能性を拓き社会課題の解決につなげていく試みとして、坪田 一男氏(日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員長)らが2019年に立ち上げたもの。第5回の受賞者は以下のとおり。〇大賞株式会社アイ・ブレインサイエンス「認知症の早期診断を実現する医療機器の実用化」〇学会賞(企業)株式会社AutoPhagyGO 「健康寿命延伸を目指したオートファジー活性評価事業」〇ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞(企業)エピクロノス株式会社「日本人に最適化されたエピゲノム年齢測定によるアンチエイジングの見える化」株式会社TrichoSeeds「男性型脱毛症治療のための毛髪の再生医療」株式会社プリメディカ「日本人腸内細菌叢データベースを活用した腸内環境評価システムの開発」〇アイデア賞(個人)市川 寛氏(同志社大学大学院)「超音波照射による酸化ストレス耐性誘導を介した老化関連疾患予防法の開発」楠 博氏(大阪歯科大学)「オーラルフレイルの新規診断法と治療薬の探索-医科からのアプローチ」

1363.

フレイルを考える【Dr. 中島の 新・徒然草】(508)

五百八の段 フレイルを考える急に風が冷たくなりました。外は人が歩いていないし、道路の脇の木は坊主だし。すっかり年末年始の風景になってしまいました。さて、先日に当院であったのが「おおさか健康セミナー」という市民講座です。テーマはフレイルで、その最初に私がしゃべることになっていました。担当の師長さんに言われて仰天したのですが、実は半年前に依頼されていたのです。でも、そんな昔のことは忘れていますよね、普通は。「フレイルのことなんて何も知らないのに、よくも安請け合いしたもんだ」と半年前の自分に呆れてしまいます。が、引き受けた以上、市民の皆さんに有難いお話をするしかありません。というわけでまずは勉強です。その結果、自分なりの結論に達しました。フレイルというのは、いわゆる「生老病死」という四苦のうちの「老」ではないかということです。これまで、われわれ医師はもっぱら「病」を相手にしてきました。でも、いつのまにか「病」だけでなく「老」も相手にすることになったのではないでしょうか。「病」と「老」は似ているので、なかなか区別が付きません。でも、例を挙げるとわかりやすい気がします。つまり、病脳梗塞、心筋梗塞、透析、喘息、がん、リウマチ、肺炎など老腰が痛い、目が見えにくい、おしっこが近い、眠れない、耳が遠い、ふらつく、物忘れするといったところでしょうか。「老」で挙げた症状はすべて「年のせいだよ!」で片付けられそうですね。でも、われわれ医師も、これらの症状に真面目に取り組む時代になったといえましょう。おおさか健康セミナーでは、管理栄養士さんや理学療法士さんの講演もありました。フレイル予防のための栄養や運動は彼らに任せるとなると、私の話は物忘れ対策が中心になります。私自身も物忘れが気になる年齢なので、自分自身の工夫を伝授しました。カメラ機能や録音機能を利用して、忘れそうなことはスマホに記憶させておく。なるべく物を捨てて、シンプル・ライフを心掛ける。年を取っても新しいことを勉強する。などですね。講演後の質疑応答では「認知症を予防する生活習慣はどうすればいいですか」という直球が来ました。中島「まずは喫煙をやめ、飲酒をほどほどにしましょう」聴衆「そんなことは当たり前やないか!」さすが、大阪の高齢者は元気ですね。中島「わかっておられるのであれば、あとは実行あるのみですよ」さらに付け加えました。認知症というは、多かれ少なかれ、血管性の要素があるのではないかと私は思っているからです。中島「血圧や血糖、コレステロールに注意して、動脈硬化を予防しましょう」当たり前のことの羅列なのですが、皆さん感心して聴いておられます。中島「歩くというのは血圧にも血糖にも効果があります」そして私が最も言いたいこと。中島「薬の副作用で物忘れが出ることがありますからね。ご自分の服用している薬の効果と副作用を必ずチェックしておきましょう」これができている人が少ないですね。後発品全盛の昨今、コロコロ変わる薬品名を覚えるのすら至難の業なのかもしれません。ということで、盛況だったおおさか健康セミナー。管理栄養士さんや理学療法士さんの話を聴くことによって、自らも勉強になった1日でした。最後に1句フレイルに 歩いて打ち勝つ 冬日向

1364.

携帯電話依存症と先延ばし癖の関係~メタ解析

 携帯電話依存症は、学生の先延ばし癖に影響を及ぼす重要な因子として、広く研究されている。しかし、携帯電話依存症と先延ばし癖との相関関係とその影響力は、依然として明らかになっていない。中国・上海大学のXiang Zhou氏らは、学生の携帯電話依存症と先延ばし癖との関係、参加者の個人的特性(教育レベル、性別)、測定ツール、社会的状況要因(出版年、文化)の緩和効果を調査するため、メタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2024年2月号の報告。 PubMed、Web of Science、Embase、PsycINFO、China National Knowledge Infrastructure(CNKI)、Wanfang、Weipuよりシステマティックに検索し、適格基準を満たす研究を収集した。メタ解析には、CMA3.0ソフトウェアを用い、緩和効果のテストには、分散メタ解析(ANOVA)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・75件の研究、4万8,031例をメタ解析に含めた。・変量効果モデルの総合エフェクトサイズでは、学生における携帯電話依存症と先延ばし癖との有意な正の相関が認められた(r=0.376、95%信頼区間:0.345~0.406)。・教育レベル、性別、文化、携帯電話依存症の測定ツールは、携帯電話依存症と先延ばし癖との関係を有意に緩和した。・この関係は、出版年や先延ばし癖の測定ツールでは緩和されなかった。 著者らは「携帯電話依存症は、学生の先延ばし癖と正の相関がある」とし、「学生では携帯電話依存症の発生率が高く、先延ばし癖の潜在的なリスク因子であることを考慮すると、学生の先延ばし癖を予防するために、携帯電話依存症の特定および介入に注意を払う必要がある」としている。

1365.

尋常性ざ瘡へのisotretinoin、自殺・精神疾患リスクと関連せず

 isotretinoinは、海外では重症の尋常性ざ瘡(にきび)に対して用いられており、本邦では未承認であるが自由診療での処方やインターネット販売で入手が可能である。isotretinoinは、尋常性ざ瘡に対する有効性が示されている一方、自殺やうつ病などさまざまな精神疾患との関連が報告されている。しかし、isotretinoinと精神疾患の関連について、文献によって相反する結果が報告されており、議論の的となっている。そこで、シンガポール国立大学のNicole Kye Wen Tan氏らは、両者の関連を明らかにすることを目的として、システマティック・レビューおよびメタ解析を実施した。その結果、住民レベルではisotretinoin使用と自殺などとの関連はみられず、治療2~4年時点の自殺企図のリスクを低下させる可能性が示された。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年11月29日号掲載の報告。 2023年1月24日までにPubMed、Embase、Web of Science、Scopusに登録された文献を検索し、isotretinoin使用者における自殺および精神疾患の絶対リスク、相対リスク、リスク因子を報告している無作為化試験および観察研究に関する文献を抽出した。関連データを逆分散加重メタ解析法により統合し、バイアスリスクはNewcastle-Ottawa Scaleを用いて評価した。メタ回帰分析を行い、不均一性はI2統計量で評価した。 主要アウトカムは、isotretinoin使用者における自殺および精神疾患の絶対リスク(%)、相対リスク(リスク比[RR])、リスク因子であった。 主な結果は以下のとおり。・システマティック・レビューにより、合計25研究(162万5,891例)が特定され、そのうち24研究がメタ解析に含まれた。・全25件が観察研究で、内訳は前向きコホート研究10件、後ろ向きコホート研究13件、ケースクロスオーバー研究1件、ケースコントロール研究1件であった。各研究の対象患者の平均年齢の範囲は16~38歳、男性の割合は0~100%であった。・1年絶対リスクは、自殺既遂0.07%(95%信頼区間[CI]:0.02~0.31、I2=91%、対象:7研究8コホートの78万6,498例)、自殺企図0.14%(同:0.04~0.49、I2=99%、7研究88万5,925例)、自殺念慮0.47%(同:0.07~3.12、I2=100%、5研究52万773例)、自傷行為0.35%(同:0.29~0.42、I2=0%、2研究3万2,805例)であったのに対し、うつ病は3.83%(同:2.45~5.93、I2=77%、11研究8万485例)であった。・isotretinoin使用者は、非使用者と比べて自殺企図のリスクが、治療2年時点(RR:0.92、95%CI:0.84~1.00、I2=0%)、3年時点(同:0.86、0.77~0.95、I2=0%)、4年時点(同:0.85、0.72~1.00、I2=23%)のいずれにおいても低い傾向がみられた(いずれも対象は2研究44万9,570例)。・isotretinoin使用と全精神疾患との関連はみられなかった(RR:1.08、95%CI:0.99~1.19、I2=0%、対象:4研究5万9,247例)。・試験レベルのメタ回帰分析において、高齢であるほどうつ病の1年絶対リスクが低い傾向にあった。一方、男性は自殺既遂の1年絶対リスクが高い傾向にあった。 著者は、「今回の所見は心強いものだが、引き続き臨床医は統合的な精神皮膚科ケア(holistic psychodermatologic care)を実践し、isotretinoin治療中に精神的ストレスの徴候がみられないか観察する必要がある」とまとめている。

1366.

第192回 レームダック政権で年末にバタバタと決まる重要施策、診療報酬改定率、紙の保険証廃止、レカネマブ薬価

2024年度診療報酬改定率、本体0.88%プラスにこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。年の瀬も迫り、大谷 翔平選手のドジャース入団会見と前後するような形で、医療の世界でもいろいろなことがバタバタ、エイヤ!と決まっています。それにしても、大谷選手関連ニュースのコメンテーターとしてテレビ朝日系列の番組などに、楽天・前監督でシニアディレクターの石井 一久氏が出演し、呑気な発言を繰り返していたのには首を傾げてしまいました。今年の自軍での大不祥事(安楽 智大投手の時代錯誤のパワハラ)について、石井氏は公の場で何の発言もしていません。安楽問題からは逃げて、大谷関連のコメントをテレビで喜々として行っている石井氏に対し、SNS上では呆れ声だけでなく、バッシングも巻き起こっているそうです。ジャニーズ問題とも共通しますが、石井氏を使うテレビ局もテレビ局ですね。さて、12月15日、政府は2024年度診療報酬の改定率の方針を決め、最終調整に入りました。岸田 文雄首相、鈴木 俊一財務相、武見 敬三厚労相が協議し、合意したとのことです。医師の技術料や医療従事者の人件費となる「本体」は0.88%の引き上げ、「薬価」は約1%程度の引き下げ、全体の改定率は0.1%程度のマイナス改定になるとのことです。ちなみに診療報酬1%分は約4,800億円に当たり、約9割が保険料と公費などで賄われています。「財務省vs.日本医師会をはじめとする医療関係団体・厚生労働省」の争いが決着2024年度の診療報酬改定率を巡っては、本連載の「第187回」、「第188回」、「第190回」でも取り上げて来たように、財務省と日本医師会などの医療関係団体との間で激しい攻防が繰り広げられてきました。本体0.88%引き上げという数字は、一体どう解釈すればいいのでしょう。今回の「診療報酬改定シリーズ」は、端的に言って「財務省vs.日本医師会をはじめとする医療関係団体・厚生労働省」の争いでした。財務省は医療従事者の賃上げに理解を示しつつも国民の保険料負担を軽減するため本体マイナスが必要だと主張、賃上げの原資として“儲かっている“診療所の利益剰余金を充てるよう求めました。対する日本医師会をはじめとする医療関係団体は賃上げと物価対応のため本体の大幅な引き上げを要求、厚労省もこれに歩調を合わせ、「本体」の1%超の引き上げを求めていました。全体をマイナス1%で財務省の顔を立て、本体プラスで日医の顔も立てる本体の0.88%プラスは、前回2022年度改定の0.43%、前々回2020年度改定の0.55%を大幅に上回る水準です。岸田首相としては、政権が重要施策として掲げる賃上げ実現に配慮しつつ、全体をマイナス1%程度に抑えることで、財務省の顔もなんとか立てた形となりました。まだ正式確定していない段階ですが、日本医師会は12月15日コメントを公表、「医療・介護分野の賃金上昇は他産業に大きく遅れをとってきましたが、令和6年春闘の先鞭となる賃上げの実現、さらには物価高騰への対応の財源を一定程度確保いただいたとのことです。政府・与党はじめ多くの関係者の皆様に実態をご理解いただけたものと実感しており、必ずしも満足するものではありませんが、率直に評価をさせていただきたいと思います」と一定の評価をしています。松本 吉郎会長が会長として臨んだ初めての診療報酬改定だけに、かろうじて1%近い「本体プラス」を“勝ち取った”という意味で、日医としてはこのようなコメントになったのでしょう。「医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者」の賃上げがどこまで実現できるかなお、本体プラス分0.88%のうち、薬剤師や看護師、看護助手などの賃上げ分で0.61%、入院患者の食費の引き上げに0.06%を充てるとしており、賃上げ率は定期昇給分を含めて4%程度になる見通しだそうです。先頃中央社会保険医療審議会で決まった2024年度診療報酬改定の基本方針は、「人材確保・働き方改革等の推進」を重点課題に位置付け、「その際、特に医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者の賃金の平均は全産業平均を下回っており、また、このうち看護補助者については介護職員の平均よりも下回っていることに留意した対応が必要」としました。これからは、中医協での具体的な配分の議論に移ります。せっかく本体プラスとなったのですから、今回の改定が、「医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者」の賃上げが本当に実現できる内容になればと思います。現行の健康保険証の発行を来年秋に終了しマイナ保険証を基本とする仕組みに移行することも正式決定バタバタ決まったと言えば、マイナンバーカードを保険証として使う「マイナ保険証」への移行についても、先週、国の方針が決定しました。12月12日、岸田首相は「予定通り、現行の健康保険証の発行を来年秋に終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する」と表明したのです。この日開かれた第5回マイナンバー情報総点検本部では、総点検対象件数8,208万件のうち99.9%のデータについて本人確認を終了し、残る障害者手帳情報の一部のデータについても12月中に終了できる見通しとなり、総点検完了の目処が立ったと報告されました。総点検では、紐付けの誤りはすでに公表されているものを含め8,351件、割合にして0.01%だったそうです。これらについてはすでに閲覧を停止した上で、各自治体等において紐付け誤りの修正作業を進めていくとのことです。岸田首相は「マイナンバーカードは、デジタル社会における公的基盤。医療分野においても、マイナ保険証は、患者本人の薬剤や診療のデータに基づくより良い医療、なりすまし防止など、患者・医療現場にとって多くのメリットがあり、さらに、電子処方箋や電子カルテの普及・活用にとっても核となる、我が国の医療DXを進める上での基盤だ。まずは一度、国民にマイナ保険証を使っていただき、より質の高い医療などメリットを感じていただけるよう、医療機関や保険者とも連携して、利用促進の取組を積極的に行っていく」とマイナ保険証の活用促進を訴えました。一方、河野 太郎デジタル相はマイナンバー情報総点検本部開催後の記者会見で、「(国民の)不安を払拭するための措置を執るということで、措置(総点検)を執ったので廃止する。イデオロギー的に反対する方は、いつまでたっても不安だ不安だと言うだろう。それでは物事が進まない。きちんとした措置を執ったということで進める」と述べました。「弱腰の岸田首相を河野大臣が説得」との報道も12月12日付の朝日新聞の記事によれば、この紙の保険証廃止の表明については、ギリギリまで調整が続いたそうです。同紙は、「世論の反発を懸念した官邸側が、先送りの方針をデジタル庁に伝えた。報告を受けた河野氏は11日午前、『総理と直接話して説得する』と反発。デジタル庁幹部が官邸を訪れて首相周辺と協議し、具体的な日付を示さずに廃止を明言することで決着した」と書いています。岸田首相は紙の保険証廃止についても弱腰だったとは、情けなくなります。パーティー券収入のキックバック問題等もあり、防衛増税も先送りとなっています。この期に及んで、岸田内閣のもう一つの目玉とも言える医療DXの要、マイナ保険証も先送りとしてしまっては、一体何のために総理大臣をやっているのか、それこそわからなくなってしまいます。マイナンバーカードを保険証として使うマイナ保険証については、本連載でも「第132回 健康保険証のマイナンバーカードへの一体化が正式決定、『懸念』発言続く日医は『医療情報プラットフォーム』が怖い?」、「第153回 閣議決定、法案提出でマイナ保険証への一本化と日本版CDC創設がいよいよ始動」などで度々書いてきましたが、重複診療の是正など効率的な医療提供の実現のためにも、「イデオロギー的に反対する方」への説明や説得を続けながら、国民や医療機関に役に立つマイナ保険証の普及・定着を粛々と進めてもらいたいと思います。レカネマブの薬価決定も、臨床での効果には未だ疑問符「決まった」と言えば、レカネマブの薬価も決まりました。厚労省は12月13日、中央社会保険医療協議会で、アルツハイマー病の新たな治療薬レカネマブ(商品名:レケンビ)を公的医療保険の適用対象とすることを決めました。同日、エーザイはレカネマブを12月20日から発売すると発表しました。体重50kgの患者が1年間で26回使用した場合、年間の費用は1人当たり約298万円となる見通しだそうです。先行して承認された米国では、体重75kgを標準として1人当たり年2万6,500ドル(日本円で約380万円)でしたから、まあ同水準ということになります。ただ、日本の場合は高額療養費制度があるので、患者の自己負担そのものは相当低く抑えられます(70歳以上で年収156万〜370万円場合、年間14万4,000円)。レカネマブについては、本連載でも何度も取り上げてきました(「第169回 深刻なドラッグ・ラグ問題が起こるかも?アルツハイマー病治療薬・レカネマブ、米国正式承認のインパクト」など)ので、改めて特段言及することはありません。ただ、米国の神経生物学者のカール・へラップ氏がその著書『アルツハイマー病研究、失敗の構造』(みすず書房、8月刊)で、「レカネマブの効果が対プラセボで27%の悪化抑制」という数字に対して、「統計学的には有意な進行抑制であっても、生物学的にはほとんど実質のない差であることを示すデータといえる」と指摘すると共に、レカネマブ開発の根拠となっている「アミロイドカスケード仮説」について、詳細な検証の結果、「あまりにも不十分であるために、実質的に無価値であることを自ら証明した」と断言していることは付記しておきたいと思います。

1367.

新規統合失調症患者に使用される抗精神病薬の有効性と忍容性~メタ解析

 英国・ウルバーハンプトン大学のZina Sherzad Qadir氏らは、PRISMA-P声明に従って、統合失調症治療に使用される経口抗精神病薬の有効性および忍容性を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Pharmacy(Basel、Switzerland)誌2023年11月10日号の報告。 主要アウトカムは、症状の改善、副作用に対する忍容性、治療中止理由により測定された臨床反応とした。 主な結果は以下のとおり。・21件の研究を分析に含めた。・個々の患者における治療反応は、アリピプラゾールvs.ziprasidoneおよびクエチアピン(CDSS:p=0.04、BPRS:p=0.02、YMRS:p=0.001)、ziprasidone vs.クエチアピン(CGI:p=0.02、CDSS:p=0.02)で認められた。・アリピプラゾールは、リスペリドン、ziprasidone、クエチアピンよりも忍容性が高かった(p<0.05)。・クエチアピンは、アリピプラゾール、ziprasidone、リスペリドンよりも忍容性が高かった(p<0.05)。・ziprasidoneは、クエチアピン、ハロペリドール、オランザピンよりも忍容性が高かった(p<0.05)。・リスペリドンは、オランザピンよりも忍容性が高かった(p=0.03)。・ハロペリドールは、オランザピン、クエチアピンよりも忍容性が高かった(p<0.05)。・オランザピンは、クエチアピンよりも治療中止リスクが低かった(p<0.05)。・クエチアピンは、ziprasidone、アリピプラゾール、ハロペリドールよりも治療中止リスクが低かった(p<0.05)。・ziprasidoneは、クエチアピン、アリピプラゾール、ハロペリドールよりも治療中止リスクが低かった(p<0.05)。・アリピプラゾールは、クエチアピン、ziprasidone、オランザピンよりも治療中止リスクが低かった(p<0.05)。・オランザピンは、ziprasidone、ハロペリドールよりも治療中止リスクが低かった(p<0.05)。 著者らは「個々の患者の臨床反応、副作用に対する忍容性、生命を脅かす可能性のある副作用は、経口抗精神病薬の選択および継続において最も信頼できる根拠であると結論付けられる」としている。

1368.

神経細胞死の病因を取り除くアルツハイマー病治療薬「レケンビ点滴静注」【最新!DI情報】第6回

神経細胞死の病因を取り除くアルツハイマー病治療薬「レケンビ点滴静注」今回は、ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体「レカネマブ(遺伝子組換え)製剤(商品名:レケンビ点滴静注200mg/500mg、製造販売元:エーザイ)」を紹介します。本剤は、アルツハイマー病の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを実証した世界初かつ唯一の薬剤で、医療者のみならず患者・介護者からも注目されています。<効能・効果>アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度の認知症の進行抑制の適応で、2023年9月25日に製造販売承認を取得しました。本剤は承認を受けた診断方法(例:アミロイドPET、脳脊髄液[CSF]検査または同等の診断法)によりアミロイドβ病理を示唆する所見が確認され、アルツハイマー病と診断された患者のみに使用することができます。<用法・用量>通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として、10mg/kgを2週間に1回、約1時間かけて点滴静注します。<安全性>本剤の使用により、副作用としてアミロイド関連画像異常(ARIA[アリア]が現れることがあります。ARIAの多くは無症状ですが、頻度は低いものの重篤な神経症状(脳症、局所神経症状、痙攣、てんかん重積状態など)が起こることがあります。ARIAには、MRIで脳実質の脳浮腫または滲出液貯留として観察されるARIA-E、微小出血または脳表ヘモジデリン沈着が認められるARIA-Hがあります。アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度認知症患者を対象とした国際共同第III相試験(301試験)において、本剤群で発現した主な副作用は、注入に伴う反応(26.1%)、ARIA-H(16.5%)、ARIA-E(12.6%)、頭痛(1.8%)、過敏症(1.7%)などでした。<患者さんへの指導例>1.この薬は、アルツハイマー型認知症になる前の段階や軽度の認知症の進行を遅らせる薬です。症状の進行を完全に止める、または治癒させるものではありません。2.2週間に1回、約1時間かけて点滴で投与します。3.この薬を使用しているときは、薬の効果や副作用を確認するために、定期的にMRI検査が行われます。4.顔や手足の筋肉がぴくつく、一時的にボーっとする、手足の筋肉が硬直しガクガクと震えるなどの症状が現れた場合は、すぐに医師または薬剤師に相談してください。5.妊婦または妊娠している可能性のある人、授乳中の人は、必ず医師または薬剤師に相談してください。<ここがポイント!>アルツハイマー病患者の脳では、アミロイドβ(Aβ)が老人斑と呼ばれる水に溶けない線維状の凝集体を形成しています。以前から老人斑が神経細胞の死を引き起こし、認知症を発症すると考えられていました(アミロイド仮説)。しかし、最近、不溶性Aβ凝集体(Aβフィブリル)が神経毒性を引き起こすのではなく、その前段階である可溶性Aβ凝集体(Aβプロトフィブリル)が神経細胞死の原因であることが明らかになりました(オリゴマー仮説)。レカネマブは、ヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、Aβプロトフィブリルに選択的に結合して脳内から除去することで、アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度認知症の進行を抑制します。従来の治療で用いられているアセチルコリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬は認知症の臨床症状を緩和することが狙いでしたが、本剤は神経細胞死の病因を取り除くことで臨床症状の進行抑制が期待できます。アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度認知症を対象とした国際共同第III相試験において、18ヵ月(隔週)の静脈内投与で臨床認知症尺度(CDR-SB)のスコア悪化を、プラセボ群に対して本剤投与群では27.1%抑制しました。また、CDR-SBのベースラインからの変化量は、本剤群とプラセボ群で-0.45の群間差がありました。また、ADAS-Cog14、ADCOMS、日常生活動作評価指標ADCS MCI-ADLを指標とした臨床症状の悪化抑制も認められ、本剤群における悪化抑制率はそれぞれ25.8%、23.5%、36.6%でした。なお、Science誌に2022年7月22日に掲載された記事で、Aβオリゴマーの一種である「Aβ*56」の神経細胞毒性に関する論文の捏造疑惑が報じられ、アミロイド仮説およびオリゴマー仮説への懐疑的な意見が出ていました。しかし、エーザイはAβプロトフィブリルとAβ*56は異なるため、このAβ*56論文の問題と本剤とは「一切関係がない」とするコメントを発表しています。参考エーザイ:米国科学誌Scienceに掲載されたAβ関連論文について 

1369.

アルツハイマー病リスクに対する身体活動の影響~メタ解析

 すべての原因による死亡率や認知症を減少させるために、身体活動(PA)は有用である。しかし、アルツハイマー病リスクに対するPAの影響については、議論の余地が残っている。中国医科大学付属第一医院のXiaoqian Zhang氏らは、アルツハイマー病発症とPAとの根本的な影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌2023年12月号の報告。 2023年6月までに公表された研究をPubmed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceより検索した。ランダム効果モデルを用いて、エフェクトサイズ(ハザード比[HR]、95%信頼区間[CI])を算出した。 主な結果は以下のとおり。・29件のプロスペクティブコホート研究(206万8,519例)をメタ解析に含めた。・統合された推定値では、アルツハイマー病リスクの低下に対するPAの良好な効果を示唆していた(HR:0.72、95%CI:0.65~0.80)。・この関連性は、最大交絡因子で調整した後でも、良好であった(HR:0.85、95%CI:0.79~0.91)。・PA強度によるサブグループ解析では、PAとアルツハイマー病との間に逆用量反応関係が認められた。エフェクトサイズは、中程度PA(HR:0.85、95%CI:0.80~0.93)および高度PA(HR:0.56、95%CI:0.45~0.68)で有意だったが、軽度PA(HR:0.94、95%CI:0.77~1.15)では有意な差は認められなかった。・すべての参加者または中年コホートとは無関係に、アルツハイマー病に対するPAの保護作用は、長期フォローアップ(15年以上)よりも短期フォローアップ(15年未満)でより有効であった。・フォローアップ調査に加え、補足的なメタ解析、メタ回帰分析、感度分析においても、推定値の確実性が維持された。 著者らは「PA介入は、アルツハイマー病の発症リスクを減少させるが、フォローアップ期間が15年未満の中程度から高度なPAの場合において、その有効性が示されていることから、アルツハイマー病予防のための修正可能なライフスタイル因子として、条件付きでPAを普及させることが推奨される」としている。

1370.

第175回 研修医がGLP-1受容体作動薬を不正処方/東大病院

<先週の動き>1.研修医がGLP-1受容体作動薬を不正処方/東大病院2.5シーズンぶりのインフルエンザ警報、早期対策を/厚労省3.オンライン診療、メリットあるも要件の厳格化へ/厚労省4.処方箋なしで医薬品を販売する「零売薬局」、規制強化へ/厚労省5.レカネマブが保険適用、1年間で298万円/厚労省6.来年度診療報酬改定、医療従事者の賃上げに本体は0.88%引き上げ/政府1.研修医がGLP-1受容体作動薬を不正処方/東大病院東京大学医学部付属病院の臨床研修医2人が、病気ではないにも関わらず、互いに処方箋を発行し、GLP-1受容体作動薬を入手していたことが明らかになった。この報道に対して、病院側は「自己使用目的であって転売目的ではなく、常習性もなかった」と判断し、病院長から厳正な指導を行ったことを明らかにした。GLP-1受容体作動薬は、インターネット上で「やせ薬」として紹介されており、自由診療目的で処方を行う医療機関が急増している。一方、日本糖尿病学会は、11月28日に「2型糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する見解」を発表しており、本来は糖尿病治療薬であるのに、美容、痩身、ダイエット目的での自由診療による処方が一部のクリニックで行われており、需要増加による供給不足が生じている。糖尿病治療薬の適切使用は重要であり、医療専門家による不適切な薬剤使用は、専門医の信頼を損なう行為であり、日本糖尿病学会はこれを厳しく警告している。参考1)GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解(日糖会)2)研修医、病気装い糖尿病薬入手=供給不足の「やせ薬」-東大病院(時事通信)3)東大病院の研修医2人、病気装って糖尿病薬を入手 「やせ薬」と話題(朝日新聞)2.5シーズンぶりのインフルエンザ警報、早期対策を/厚労省厚生労働省は、2023年12月15日に全国約5,000の定点医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数が1医療機関当たり33.72人となり、警報レベル(30人超)に達したことを発表した。警報は2019年1月以来、5シーズンぶりの事態で、とくに北海道では60.97人と最多。全国で33道県が警報レベルを超え、1週間で6,382ヵ所の保育所や学校が休校や学級閉鎖に追い込まれた。慶應義塾大学の菅谷 憲夫客員教授は、「新型コロナウイルス感染症の流行中にインフルエンザの流行が抑えられたことで、とくに子どもを中心に免疫が落ちている」と指摘。基本的な感染対策の継続と、症状があれば早期受診を呼びかけている。また、菅谷教授は、2つのタイプのA型インフルエンザウイルスが同時に流行していることや、約3年間に大規模な流行がなかったことを、早期警報の要因として挙げている。高齢者や妊婦、基礎疾患を持つ人は、とくに注意が必要であり、発熱などの異常を感じたら早期受診が推奨されている。冬休みに小児のピークが過ぎる可能性があるが、年末年始の休暇シーズンで全国的な感染拡大の恐れもあるため、手洗い、うがい、マスク着用などの基本的な感染対策の徹底が求められている。参考1)インフルエンザ、全国で「警報レベル」…コロナ禍の感染対策で識者「免疫落ちている」(読売新聞)2)インフルエンザ、今季初の警報レベル 1医療機関33.72人 厚労省(毎日新聞)3.オンライン診療、メリットあるも要件の厳格化へ/厚労省厚生労働省は、12月15日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、オンラインで患者を診療した際に医療機関が算定する初・再診料の要件を2024年度の診療報酬改定で厳格化する案を了承した。新たな要件には、「初診では向精神薬を処方しないこと」を医療機関のホームページに掲示することが含まれている。さらに、遠方の患者を多く診療する医療機関に対しては、対面診療の連携先を報告させることも検討されている。厚労省は、新型コロナウイルス禍を経て、オンライン診療は重要であるとして、保険診療だけでなく自由診療も対象にガイドラインを策定し、規制緩和を行なってきたが、初診時に向精神薬の処方を行ったり、メールやチャットだけで診察や薬の処方を行うなど、ガイドラインで認めていない方法で診療を行っている医療機関が問題視されてきた。今後、厚労省では、オンライン診療を行っている医療機関がガイドラインを遵守しているか実態調査を行うため、スケジュールや調査方法などを検討するほか、患者がオンライン診療を適切に行っている医療機関を選択できるよう、情報発信の強化に乗り出すことにした。一方、慶應義塾大学などの研究グループは、うつ病や不安症などの精神科診療において、オンライン診療が対面診療と同等の治療効果があることを発表した。この研究結果は、オンライン診療の普及に向けた政策的議論に貢献するもので、さらに、オンライン診療は、通院に要する時間の短縮や費用の削減といった副次的効果もあり、今後もデジタルトランスフォームを通して医療現場に浸透していくとみられる。参考1)オンラインの初・再診料要件、厳格化案を了承「向精神薬初診で処方せず」の掲示必須に(CB news)2)オンライン診療 不適切な医療機関の実態調査へ 厚労省(NHK)3)オンライン診療、対面と遜色なし 普及に弾み(日経新聞)4.処方箋なしで医薬品を販売する「零売薬局」、規制強化へ/厚労省厚生労働省は、処方箋なしで医療用医薬品を販売する「零売薬局」に対する規制を強化する方針を固めた。不適切な販売方法や広告が増加していることに対応するために打ち出されたもの。2022年時点で60店舗以上の零売薬局が存在し、例外的に処方箋なしで医療用医薬品を販売できるが、これまで大規模災害時など「正当な理由」がある場合に限られていた。しかし、一部の薬局が通知を逸脱し、やむを得ない状況ではないにも関わらず日常的に医療用医薬品を販売する薬局が増加していることや、不適切な広告などが確認されており、重大な疾患や副作用が見過ごされるリスクが高まっていた。厚労省は、処方箋に基づく販売を原則とし、やむを得ない場合に限って認めることを法令で明記する方針。また、医療用医薬品の販売を強調する広告も禁止する方向で調整している。厚労省は12月18日に開かれる医薬品の販売制度に関する検討会で取りまとめを行い、医薬品医療機器制度部会に報告した後、厚生労働省から正式に通知が発出される見込み。参考1)医薬品の販売制度に関する検討会(厚労省)2)「零売薬局」の販売規制へ 処方箋なしで医療用医薬品-認める条件明確化・厚労省(時事通信)3)特例のはずが…処方箋なし薬「零売」横行 副作用や疾患見逃す恐れ(毎日新聞)5.レカネマブが保険適用、1年間で298万円/厚労省厚生労働省は、アルツハイマー病の新薬「レカネマブ(商品名:レケンビ)」を公的医療保険の適用対象とし、体重50kgの患者の1回当たりの価格を約11万4千円、年間約298万円と設定した。この薬は、アルツハイマー病の原因物質「アミロイドβ(Aβ)」を取り除くことを目的とした初の治療薬で、軽度認知障害や軽度の認知症の人が対象。投与は2週に1度の点滴で行われる。レカネマブの投与は、副作用のリスクを考慮し、限られた医療機関でのみ行われる予定で、副作用には脳内の微小出血やむくみが含まれ、安全性を重視するため、認知症専門医が複数いる施設でMRIやPETを備えていることなどの条件に合致する限られた医療機関で処方される。臨床治験では、レカネマブを1年半投与したグループは、偽薬を投与したグループより病気の悪化を27%抑える結果が得られた。レカネマブの市場規模は、ピーク時に年間986億円に上ると予測されており、医療保険財政への影響が懸念されている。また、薬価の決定に際しては、社会的価値の反映が議論されたが、最終的には製造費や薬の新規性を考慮した通常の算定方法で算出された。専門家や関係者からは、新薬の保険適用により治療が前進することへの期待とともに、検査費用や治療に関する不安の意見も上がっている。また、効果が見込める患者の適切な選別や、新しい治療薬に対応できる認知症医療システムの構築が今後の課題とされている。参考1)新医薬品の薬価収載について(厚労省)2)認知症薬エーザイ「レカネマブ」 年298万円 中医協、保険適用を承認(日経新聞)3)見えぬ全体像、処方可能な医療機関は限定的 アルツハイマー病新薬(毎日新聞)4)アルツハイマー病新薬 年間約298万円で保険適用対象に 中医協(NHK)6.来年度診療報酬改定、医療従事者の賃上げに本体は0.88%引き上げ/政府政府は来年度の診療報酬改定において、医療従事者の人件費に相当する「本体」部分を0.88%引き上げる方針を固めた。今回の診療報酬の改定をめぐっては、各医療団体から物価高騰や医療従事者の賃上げに対応する意見が上がっていた。一方、薬の公定価格である「薬価」は約1%引き下げとなり、全体としてはマイナス改定となる見通し。岸田 文雄首相は、財務省と厚生労働省の間での議論を経て、賃上げ方針を医療従事者にも波及させるために、最終的に引き上げを決定した。診療報酬改定は原則2年に1度行われ、今回の改定は前回2022年度の0.43%引き上げを上回る水準となる。今回の改定により、医療従事者の処遇改善が期待される一方で、国民の保険料負担の増加が懸念される。また、診療所の利益剰余金の増加や医療費の抑制が課題となっており、国民負担の抑制が今後の大きな課題になっている。参考1)「本体」0.88%引き上げ=賃上げ対応、全体ではマイナス-24年度診療報酬改定(時事通信)2)診療報酬「本体」0.88%上げ、政府方針…「薬価」は1%引き下げで調整し全体ではマイナス改定(読売新聞)3)診療報酬改定 人件費など「本体」0.88%引き上げで調整 政府(NHK)

1371.

レカネマブついに発売、押さえておきたい4つのポイント【外来で役立つ!認知症Topics】第12回

レカネマブついに発売:4つのポイントアルツハイマー病の新薬レカネマブについて、12月20日に薬価収載されることが、12月13日の厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)で了承された。薬価収載と同日から発売となる。薬剤価格は、患者の体重にもよるが、基本は年間約298万円と決まった。また、最適使用推進ガイドライン1)についても了承された。使用に当たって4つのポイントをここに紹介する。1.治療ができる医療機関実際に治療対象となる患者さんの多くを治療しているクリニックや小さな病院の認知症専門医の多くが、レカネマブで治療できそうにないことは大きな注目点である。なぜなら、まずMRI機器が自施設にあり、ARIA(Amyloid-related imaging abnormalities)の読影ができることが求められるからである。以前に述べたように、ARIAは本剤の投与開始から数ヵ月間、多くは6ヵ月以内に発生する。その間、定期的にMRI画像を撮像することによってARIAの発生を的確に見いださなければならない。なお血管周囲の浮腫であるARIA-Eについては、薬剤の投与をやめると数ヵ月以内にほぼ消失することがわかっている。けれども原則として出血であるARIA-Hについては治らない。それだけに認知症の関連学会では、ARIA読影の講習会なども積極的に実施している。こうしたものを修了していることが治療者の条件に求められる。しかし実際には、ARIAの出現・消失の読影はそう簡単なものではない。事実、脳神経関連の放射線科医といえども読影の責任を負うことについては、慎重な態度を示す人が少なくない。ところで、レカネマブの治療の対象になるには、MMSEが22点以上であること、アミロイドPET陽性であることが求められる。このPET撮像に関しては、1つの医療機関だけではなく協力体制のもとでの実施も可能とされる。なおPETのみならず脳脊髄液の測定によって、アミロイドβの減少を証明することも可能である。2.医療保険、高額療養費制度が適用本剤の発売に当たって、患者数をもとに推計される10年間の市場規模予測がなされた。年度別では、9年度目の2031年が最大となり、投与患者数が3万2,000人で986億円と予測されている。薬剤価格は患者の体重にもよるが、体重50kgの場合、年間約298万円となる。幸いにして、従来の医療保険制度の適用が可能であることも決まり、患者負担は1~3割となる。加えて、医療費が高額になった場合の自己負担に上限を設ける高額療養費制度も利用できる。それだけにこの決定は患者にとって大きな福音である。3.アミロイドPETにも保険が利くこれまでアミロイドPETには保険が利かなかった。市価では30~50万円とされ、普通の患者さんにはなかなか手の届かない検査法であった。今回のレカネマブ発売に備えて、アミロイドPETの保険収載に関する検討もなされた。その結果、13万円台で保険が利く検査法になったと聞く。しかも一般的にはこうした保険関連の変更は、年度初めの4月より執行されるのだが、今回はレカネマブの発売と同時に保険収載になる。4.原則18ヵ月の投与世界規模の本剤の治験では18ヵ月間にわたって月に2回の点滴投与が行われた。これからの承認後の投与においても、月2回、18ヵ月間の原則が順守されるようだ。実際にこの治験に参加した経験として、筆者はactiveドラッグ(本物)が当たった人は、ほぼ皆アミロイドベータが減少したり、消えたりしていることを経験している。けれどもそのことと、臨床的な効果とが相関したという印象は乏しい。いずれにしてもさまざまな面で貴重な薬剤であるだけに、その臨床効果の厳密な測定は不可欠である。6ヵ月以降はクリニックでも治療可に最後に課題について言及したい。多くの課題があるのだが、最大の懸念は、おそらくこうした治療を実施する医療機関は、当面は限られた数になるだろうということである。全国的にみると、100万人もの治療希望者がいる可能性がある。けれども治療をしてくださる医療機関の数を考えた時、実際に治療ができるのは、どれぐらいの人数になるのだろうか、きわめて心細い。しかも18ヵ月間の治療期間にわたって、月2回の点滴を行わなければならない。いかに大病院といえども、すぐにキャパオーバーのパンク状態に陥ってしまうことが目に見えている。ここに対する対策は、今すぐに考えておきたい。本剤が持つ危険性や効果を考えた時、確かに安直な治療はしてはならない。最大の懸念は、やはりARIA、とくにARIA-Hであろう。これについては既述したように、投与開始から6ヵ月以内に、そのほとんどが発生する。だからARIAの発生がほぼ終わると思われる6ヵ月以降は、クリニックや小規模の病院の専門医でも医療機関との連携体制があれば、本治療を行ってもよいということになった。参考1)厚生労働省:中央社会保険医療協議会 総会(第572回)議事次第(令和5年12月13日)

1372.

統合失調症患者の服薬順守の予測因子~大規模コホート

 統合失調症は、重度の精神疾患の中で最も顕著な服薬アドヒアランスの課題を有する疾患であるが、患者の服薬アドヒアランスの予測や改善に関する利用可能なプロスペクティブ研究のデータは限られている。フランス・ボルドー大学のDavid Misdrahi氏らは、大規模コホートにおける1年間の服薬アドヒアランスの予測因子を特定するため、クラスタリング分析を用いた検討を行った。Translational Psychiatry誌2023年11月7日号の報告。 統合失調症を専門とする10施設より募集した外来患者を対象に、臨床医と患者による服薬アドヒアランス測定を含む1日の標準化バッテリーで評価を行った。2段階クラスタリング分析および多変量ロジスティック回帰を用いて、服薬アドヒアランス評価スケール(MARS)とベースラインの予測因子に基づいた服薬アドヒアランスのプロファイルを特定した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は485例。・1年間のフォローアップ調査で、服薬アドヒアランスの有意な改善が認められた。・1年後のアドヒアランス低下と関連していた因子は、抑うつ症状スコアの高さ、洞察力の低さ、自殺企図歴、若年、アルコール使用障害であった。・開始時にアドヒアランスが不良であった患者203例のうち、86例(42%)は1年間のフォローアップ調査でアドヒアランスが良好に変化したが、117例(58%)はアドヒアランスが不良のままであった。 著者らは、「洞察力が低く、自殺企図歴、アルコール使用障害、抑うつ症状を有する若年の統合失調症患者に対し、識字能力や教育的療法プログラムを通じた介入を優先すべきである。統合失調症患者のアドヒアランスは年ごとに大きく変化するため、改善のための介入が受け入れられる可能性がある」としたうえで、「最初はアドヒアランスが良好であった患者でも、1年後には5人に1人が不良となることに注意する必要がある」としている。

1373.

慢性期双極性障害患者における糖尿病の有病率、ホモシステインとの相関関係

 双極性障害患者において、糖尿病の合併は、罹患率や死亡率の増加に影響を及ぼす可能性がある。中国・遼寧師範大学のLi Mu氏らは、慢性期双極性障害患者の糖尿病の有病率およびホモシステインとの相関関係を調査した。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2023年11月20日号の報告。 双極性障害入院患者195例を対象に、横断的調査を実施した。双極性障害患者における糖尿病の有病率およびその臨床人口統計とホモシステインとの関連を調査した。対象患者の人口統計学的特徴、身体計測変数、臨床変数、血漿ホモシステインレベルは、アンケート、臨床測定、臨床検査により収集し、評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・中国人双極性障害患者の糖尿病(1型、2型、特殊型含む)有病率は、14.9%であった。・分散分析またはカイ二乗検定では、糖尿病合併の双極性障害患者は、非合併例と比較し、年齢が高い、既婚者が多い、罹病期間が長い、オランザピン処方が少ない、高血圧の頻度が高いことが示唆された。・糖尿病合併と非合併例の双極性障害患者の間に、BMIとホモシステインレベルとの有意な関連は認められなかった。・ロジスティック回帰分析では、年齢、オランザピン処方、高血圧、BMI、ホモシステインレベルを調整した後、双極性障害患者の糖尿病合併と独立して関連していた因子は、婚姻状況と罹病期間であった。 著者らは「これらの発見は、双極性障害患者における糖尿病有病率の増加は、いくつかの代謝リスク因子との相関ではなく、臨床人口学的相関に注目する必要があることを示唆している」としている。

1374.

レカネマブ薬価決定、アルツハイマー病治療薬として12月20日に発売/エーザイ

 エーザイとバイオジェンは12月13日付のプレスリリースにて、アルツハイマー病の新たな治療薬であるヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体のレカネマブ(商品名:レケンビ点滴静注200mg、同500mg)について、薬価基準収載予定日である12月20日より、日本で発売することを発表した。米国に次いで2ヵ国目となる。薬価は200mgが4万5,777円/バイアル、500mgが11万4,443円/バイアル。用法・用量は、10mg/kgを2週間に1回、約1時間かけて点滴静注で、患者が体重50kgの場合、年間約298万円になる。保険適用となり、さらに、治療費が高額になった場合は高額療養費制度も利用できる。 本薬は、2023年9月25日に「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果で製造販売承認を取得し、12月13日の中央社会保険医療協議会総会において、薬価基準収載および最適使用推進ガイドラインが了承された1)。エーザイが本剤の製造販売元として販売を行い、エーザイとバイオジェン・ジャパンが共同販促を行う。 本薬の承認は、エーザイが実施した大規模グローバル臨床第III相試験であるClarity AD試験のデータに基づく。主要評価項目の全般臨床症状の評価指標であるCDR-SBにおいて、18ヵ月時点の臨床症状の悪化をプラセボと比較して27%抑制した。副次評価項目として、患者が自立して生活する能力を介護者が評価する指標のADCS MCI-ADLにおいて、プラセボと比較して37%の統計学的に有意なベネフィットが認められた。なお、投与群で最も多かった有害事象(10%以上)は、Infusion reaction、ARIA-H(ARIAによる脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着)、ARIA-E(浮腫/浸出)、頭痛および転倒であった。本結果は、NEJM誌2023年1月5日号に掲載2)。 本薬の承認条件に従い、一定数の症例データが集積されるまでの間は、投与されたすべての患者を対象に特定使用成績調査(全例調査)が実施される。また両社は、医療関係者に対するアミロイド関連画像異常(ARIA)の管理とモニタリングの推進に向けた研修資材の提供をはじめ、添付文書や最適使用推進ガイドラインに則した適正使用を推進する。 本薬の概要は以下のとおり。製品名:レケンビ点滴静注200mg、レケンビ点滴静注500mg一般名:レカネマブ(遺伝子組換え)効能又は効果:アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制用法及び用量:通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として10mg/kgを、2週間に1回、約1時間かけて点滴静注する。薬価(12月20日収載予定):200mg 4万5,777円/バイアル、500mg 11万4,443円/バイアル

1376.

レビー小体型認知症とアルツハイマー病の鑑別におけるCISの診断精度

 レビー小体型認知症(DLB)の国際診断基準に取り入れられているcingulate island sign(CIS)は、アルツハイマー型認知症(AD)との鑑別診断に用いられる。最近の研究では、DLBにおけるCIS比は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアに応じて変化することが示唆されている。東京慈恵会医科大学の浅原 有揮氏らは、DLBとADを鑑別において、CIS比の診断精度(感度および特異度)がMMSEスコアに応じてどのように変化するかを評価するため、本研究を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌2023年12月15日号の報告。 対象は、18F-FDG PETを実施しMMSEを完了したDLB患者22例、アミロイド陽性AD患者26例。MMSEスコアに応じて、3群に分類した(A群:MMSE24超、B群:MMSEスコア20以上24以下、C群:MMSEスコア20未満)。各群において、DLB患者とAD患者のCIS比を比較し、ROC曲線分析を実施して感度および特異度を算出した。 主な結果は以下のとおり。・B群では、DLB患者のCIS比はAD患者よりも有意に高かったが(p=0.0005)、A群(p=0.5117)およびC群(p=0.8671)では、この関係は認められなかった。・ROC曲線分析では、DLBとADを鑑別するためのCIS比の感度および特異度は、各群において以下のとおりであった。 【A群】感度:66.7%、特異度:77.8% 【B群】感度:91.7%、特異度:100.0% 【C群】感度:75.0%、特異度:66.7% 著者らは「DLBとADの鑑別におけるCIS比の診断精度は、MMSEスコアに応じて変化が認められ、MMSEスコアが20以上24以下の場合で、感度および特異度が高くなることが示唆された」ことを報告した。

1377.

医師が医師に薦める、今年買ってよかったモノ【CareNet.com会員アンケート結果発表】

歴史的な物価上昇が続いた2023年。こんなときだからこそ、良い商品にお金を使っていきたいものではないでしょうか。CareNet.comの会員医師1,000人に、「今年買ってよかったモノ」をお聞きしました。先生方のおススメコメントとともにご紹介します。1.掃除機、洗濯機、トースターなど家電のおススメは?【家電部門】2.パソコンやスマホ、イヤホンなど周辺機器のおススメは?【PC&ガジェット部門】3.電気自動車?ハイブリット車?それとも…?【自動車部門】4.寝具、キッチン用品など、さまざまなおススメ商品【その他】5.番外編:サブスクや宅配サービスのおススメ1.掃除機、洗濯機、トースターなど家電のおススメは?【家電部門】[掃除機]ルンバ「j9+はゴミの収集も自動(消化器外科、30代)」「勝手に掃除してくれてゴミも収集してくれて、時短になる(内科、60代)」「すごく性能が良く、いつもベッドの下まできれいになっている(消化器外科、30代)」ダイソン「あまり汚れてないと思ったところでもかなり埃が吸えている(内科、30代)」「モップがけもできて大変良い(消化器内科、60代)」「吸引力が違う(精神科、30代)」シャーク「ハンディクリーナー:ごみ捨てが簡単で細かいところまで掃除が行いやすい(整形外科、40代)」「スティック型掃除機:コードレスで置場所もとらない(その他、50代)」その他メーカー「シャープ コードレス掃除機(最上位機種):ダイソンを使っていたが、シャープは音も静かで軽くて、吸引力も変わらなかった(心臓血管外科、50代)」「パナソニック ルーロ:スマホから操作できる(消化器内科、30代)」「エコバックス DEEBOT T20 OMNI:毎日帰るときれいな床が保たれていて最高(神経内科、30代)」[ドラム式洗濯乾燥機/乾燥機]「パナソニック:仕上がりがフワフワと口コミで見て購入したが本当だった。乾燥機つき洗濯機は乾燥がしっかりできるかが問題だが、満足できるレベル(内科、40代)」「東芝:圧倒的に生活が楽になった(臨床研修医、20代)」「アクア:コスパが良い(内科、40代)」「リンナイ 乾太くん:ガス式乾燥機は時短!(整形外科、40代)」[空気清浄機]「Airdog mini portable:車内の換気がすばらしかった(その他、50代)」「シャープ 加湿空気清浄機プラズマクラスター:今年ぜんそくにかかったが空気清浄機で改善した気がする(脳神経外科、30代)」[調理家電]トースター「アラジン:表面がカリッとしてめちゃくちゃ美味しく温まる(耳鼻咽喉科、40代)/立ち上がりが早い(呼吸器内科、60代)」「バルミューダ:パンがおいしく焼ける(血液内科、30代)」オーブンレンジ「バルミューダ:日々楽しい(心臓血管外科、50代)」「パナソニックビストロ:賢すぎる(臨床研修医、20代)」その他「Toffy ホットサンドメーカー:簡単においしいホットサンドが作れる(内科、60代)」「ソーダストリーム:家で気軽に炭酸が飲める(内科、20代)」「デロンギ コーヒーメーカー:おいしい(放射線科、30代)/エスプレッソメーカー:自宅で手軽にカフェラテが飲め、買ってよかった(小児科、30代)」「シャープ ヘルシオホットクック:発酵食品から煮物、煮込み料理まで料理の幅が広がる(皮膚科、40代)」「パナソニック ホームベーカリーSDMDX4:自宅でおいしいパンが焼ける(産婦人科、30代)」[その他]「ソニー 有機ELテレビ(BRAVIA):画像がきれい(泌尿器科、50代)」「パナソニック15V型ハイビジョンポータブル液晶テレビ(プライベート・ビエラ):家じゅう持ち歩けて便利(呼吸器内科、50代)」「ブラウン 電動歯ブラシOral-B:強力に汚れを落としてくれる(内科、40代)」「フィリップス 電動歯ブラシ:時短になる(小児科、30代)」「パナソニック ヘアドライヤーナノケアEH-NA0J:コンパクトなのに速乾・大風量で、熱くなり過ぎず、潤いを保った毛質をkeepできるすぐれもの(脳神経外科、50代)」2.パソコンやスマホ、イヤホンなど周辺機器のおススメは?【PC&ガジェット部門】[パソコン]「MacBook Air:見た目がおしゃれで使い心地が良い(内科、50代)」「MacBook Pro:早い(消化器外科、40代)/おしゃれで高機能(精神科、40代)」「Mac mini:小型で性能が良く、価格も適切(血液内科、70代以上)」「マイクロソフト Surface Go 3:軽くて持ち運びしやすい。スライド作りにもweb講演聞くのにもネット見るのにも、wifi環境があれば使えてとても便利(リハビリテーション科、50代)」「パナソニック Let's note:壊れにくく優秀(小児科、60代)」「NEC LavieA23:Web会議に使用しやすいデスクトップを購入。オールインワン型で非常にコンパクトであり、かなりハイスペック(腎臓内科、40代)」「dynabook:毎日使用するものは高くても最新のものを買うと満足度がとても高い(外科、30代)」[スマートフォン]「iPhone15:写真がきれい(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)/快適(消化器内科、50代)」「iPhone15pro:カメラ、操作性が格段に向上(脳神経外科、60代)/散々な評判に反して、熱くならないし、電池持ちもよいし、ProMotionテクノロジーも想像以上に良い(放射線科、40代)/写真が誰でも超きれいにとれる(内科、60代)」「iPhone15ProMAX:カメラの5倍ズームで写真を撮る楽しみが倍増する(麻酔科、30代)」「iPhone SE3:コスパがよい(消化器内科、40代)」「Xperia:7年ぶりに機種変更したが、スピードも使い勝手も断然良い(精神科、50代」[タブレット]「iPad mini 6:携帯性と性能が良い(消化器内科、60代)」「iPad Pro:使い勝手がよく、作業がはかどる。モチベーションも上がる(小児科、30代)」「Amazon Fire:セールで買ったから安かったし、使い勝手も良い(整形外科、40代)」「Androidのタブレット:ほとんどの作業はこれですんでしまうので、最近Windowsはいらないかなと思うようになった(外科、50代)」[イヤホン・ヘッドホン]「AirPods Pro(第2世代):低音の出がすごい(眼科、70代以上)」「OpenComm骨伝導イヤホン:骨伝導なので耳が痛くならず、周囲の環境にも注意を払える(放射線科、30代)」「オーディオテクニカ 骨伝導イヤホンATHCC500BT:待合室のような静かな環境で聴くのに最適(その他、50代)」「Anker Bluetooth5.0ワイヤレスヘッドホンSoundcoreLifeQ20+:性能が良かった(神経内科、50代)」[その他]「Apple Watch:体を動かすこと、睡眠を取ることを意識するようになった(眼科、50代)/スマホからの離脱ができる(腎臓内科、20代)/生活が便利になった(内科、20代)」「Google Chromecast:テレビでのプレゼンに便利(精神科、40代)」「Amazon Alexa:声だけでライトの点灯消灯、テレビ・エアコン・扇風機のオンオフ、カーテンの開け閉めまでらくちんになった。リモコンがほとんど不要になりサイドテーブルが広く使えるようになった(放射線科、60代)」「GERCEO モバイルバッテリー(GERCEOHP8):複数の充電方法に対応しており、日常でも災害発生時でも役立つ(麻酔科、40代)」「エレコム パッド型iPhone充電器:iPhoneにわざわざケーブルを刺す必要がなく非常に重宝(整形外科、30代)」「EXARM ZETA モニターライト:買ってから目が疲れにくくなった(小児科、40代)」「ロジクールマウス:一度使うとやめられない(放射線科、40代)」「おもいでばこ:写真や動画の保管、整理に非常に便利。ふるさと納税の商品にある(膠原病・リウマチ科、30代)」「RayCue DisplayPortHDMI変換アダプタ:PCからモニタへ接続するDsubケーブルがごつくて邪魔でネジ止めが面倒。PCのモニタ出力からHDMIに変換して通常のHDMIケーブルで自在に接続できる(整形外科、70代以上)」3.電気自動車?ハイブリット車?それとも…?【自動車部門】[トヨタ]「シエンタ:多人数で乗ることができて燃費が良い(消化器外科、60代)」「ヤリス クロス:比較的安価で安全装備が充実(糖尿病・代謝・内分泌内科、60代)」「ノア:子連れには最適なファミリーカー(麻酔科、30代)」「プリウスの新車:安全装備が充実(消化器外科、60代)」[日産]「アリア:加速や走行性、静寂性が素晴らしい(内科、60代)」「サクラ:通勤の足に最高です(神経内科、50代)」「セレナ:運転が楽(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)」[他メーカー]「スバル レガシィアウトバック:いい車です(整形外科、50代)/とてもいい車です(内科、50代)」「スバル XV:オートクルーズ機能がとても良い。運転の負担が軽減された(臨床研修医、40代)」「マツダ CX8:6~7人乗りのSUV。国産車SUVの中で唯一まともに座れる3列目。インテリアの質感は国産SUVの中でも有数の出来。希少なディーゼルエンジンがある(循環器内科、40代)」「ホンダ フィット:エコカーでしっかりしていて満足(産婦人科、50代)」「メルセデス・ベンツ 新型Cセダン:ISGで電動化された(内科、60代)」「BMW X3:燃費良く静粛(小児科、60代)」「TESLA ModelX:多少値は張るものの優れた性能と唯一性がある(形成外科、30代)」「フォルクスワーゲン Golf GTI:加速の良さ、日常の走行の安定(脳神経外科、50代)」「ポルシェ 911:楽しい(糖尿病・代謝・内分泌内科、50代)」「ロータス エミーラ:ロータス最後の純ガソリンスポーツカー(脳神経外科、50代)」4.寝具、キッチン用品など、さまざまなおススメ商品【その他】[寝具など]「エマ・スリープ マットレス:睡眠の質が格段に上がった(糖尿病・代謝・内分泌内科、20代)」「コアラマットレス:寝心地がよい(内科、40代)」「トゥルースリーパー プレミアベッドマットレス:A社ポイントで入手したが、畳でも布団より快適(内科、60代)」「DryCool 高密凸凹ウレタンマットレス:反発性強いマットで、睡眠の質が上がった(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)」「西川 マットレス:大谷翔平も選んだ寝心地の良さ(循環器内科、40代)」「西川 オーダー枕:肩こりが解消され、毎晩眠ることが楽しみになった(精神科、30代)」「シルクの枕カバー:当直中も枕カバーを付け替えるだけで良い睡眠になる(内科、20代)」「リライブシャツ:途中で目が覚めることなく眠れる(皮膚科、30代)」[その他]「レンジメート:干物もギョーザもステーキも嘘みたいにうまくできる。片付けも楽。忙しい先生方にはうってつけと思う(整形外科、50代)」「ルピシア 茶こしマグモンポット:日々忙しい中でもおいしい紅茶を手軽に味わえる時間が今の癒し。食洗機も使える(精神科、20代)」「タイガー 真空断熱炭酸ボトル(MKB-T048):炭酸、食洗器対応ながらシンプルな構造で、炭酸以外の普段使いにも良い(整形外科、50代)」「松徳硝子 うすはりタンブラー:飲み物が美味しく飲める(皮膚科、20代)」「SHINfilter ステンレスコーヒーフィルター:コーヒーの味の変化に驚かされる(小児科、40代)」「ロールシュライファー 包丁研ぎ:自炊する必要に迫られた時の相棒(ナイフ)の手入れに最適!(総合診療科、60代)」「パナソニック LEDネックライト:薄暗いところでの書類の記載等、細かい作業の際手元だけを照らしてくれるため、周囲に影響が少なく非常に便利(総合診療科、50代)」「SUWADA クラシックつめ切り:ニッパー式だが、切れ味が全然違う(精神科、50代)」「リファ ファインバブル:よく落ちる(内科、50代)」5.番外編:サブスクや宅配サービスのおススメ「Kindle Unlimited:好きな漫画がかなり読める、当直の暇つぶしになる(耳鼻咽喉科、40代)」「nosh 冷凍宅配おかず:冷凍食品だが、バランスがいい(臨床研修医、20代)/手軽においしいご飯が食べられる(臨床研修医、20代)」「ワタミの宅食 あっとごはん:子育てを機にはじめたが、とても便利で楽!(眼科、30代)」アンケート概要アンケート名『2023年を総まとめ!今年の漢字と他の医師にも薦めたい今年の購入品をお聞かせください』実施日   2023年11月8日~15日調査方法  インターネット対象    CareNet.com医師会員有効回答数 1,029件

1378.

統合失調症患者の入院期間・回数に対する抗精神病薬治療順守の影響

 統合失調症治療における長期的アウトアカムの最適化には、効果的な薬理学的介入が必要とされる。また、服薬アドヒアランスは、統合失調症患者のウェルビーイングにどのような影響を及ぼすかを示す重要な指標の1つである。この服薬アドヒアランスが統合失調症患者の臨床アウトカムに影響することは知られているが、入院期間や再入院の頻度といった因子とどのように関連しているかを調査した研究は十分ではない。インドネシア・パジャジャラン大学のMelisa Intan Barliana氏らは、統合失調症患者の入院期間と入院回数に対する服薬アドヒアランスの影響を調査するため、横断的レトロスペクティブ研究を実施した。その結果、治療アドヒアランスと治療計画は統合失調症患者の性別と有意に関連し、男性患者と女性患者の間に統計学的な有意差があることが示された。Patient Preference and Adherence誌2023年11月1日号の報告。 対象は、インドネシア・West Java Psychiatric Hospitalの統合失調症患者157例。人口統計、併存疾患、罹病期間、抗精神病薬のアドヒアランス、入院期間、入院回数などのデータを患者の医療記録より収集した。すべてのデータの分析には、カイ二乗検定を用いた(有意水準:p<0.05)。 主な結果は以下のとおり。・対象となったすべての統合失調症入院患者のうち、アドヒアランス不良であった患者の割合は88%であった。・治療中断/中止を伴うアドヒアランス不良の患者では、30日以上の入院期間の割合が最も高かった(40.7%)。一方、アドヒアランスが良好で定期的な治療を行っていた患者では、入院回数が5回未満の患者の割合が最も高かった(94.4%)。・統計学的結果では、治療アドヒアランス(p=0.043)および治療計画(p=0.014)と性別との間に有意な関連が認められた。・統合失調症の男性患者と女性患者の違いには、統計学的に有意な差が認められた(p=0.000)。・他の変数が臨床的関連性を示す可能性があるものの、それらの統計学的有意性は認められなかった。

1379.

コロナ禍の認知機能低下、運動量減少やアルコール摂取で増大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中の規制(活動制限や物理的距離制限など)が50歳以上の中~高齢者の認知機能に及ぼした影響を調査した結果、パンデミック前と比べてパンデミック中は認知機能が顕著に悪化し、運動量の減少およびアルコール摂取量の増加と関連していたことが、英国・エクセター大学のAnne Corbett氏らによる横断研究で明らかになった。The Lancet Healthy Longevity誌2023年11月号の報告。 これまでの大規模コホート研究では、パンデミック以前に比べて抑うつや不安、ストレス、睡眠障害、アルコール摂取量が増加していることが報告されている。これらは認知症と密接に関係するリスクであることから、研究グループはパンデミックが認知機能の健康に及ぼした影響やその要因、コロナ規制解除後も持続するかどうかを明らかにするため、英国の縦断研究「PROTECT試験」のデータを用いて、中~高齢者の認知機能を調査した。 PROTECT試験の参加者は認知症ではない50歳以上の人で、認知機能評価(実行機能と作業記憶)や健康関連アンケートを毎年受けるとともに、身体活動量やアルコール摂取量などの生活習慣を聴取された。パンデミック前(2019年3月1日~2020年2月29日)、パンデミック1年目(2020年3月1日~2021年2月28日:コロナ規制期間)、パンデミック2年目(2021年3月1日~2022年2月28日:コロナ規制解除期間)における同じ個人のデータを収集し、線形混合効果モデルを使用して3つの期間の認知機能を比較した。サブグループ解析では、COVID-19既感染者や軽度認知症患者を対象として関連を調べるとともに、探索的解析では認知機能の変化に関連する因子を同定した。 主な結果は以下のとおり。・解析には、3,142例(女性:1,696例[54.0%]、平均年齢:67.5歳[SD 9.6、範囲 50~96])が含まれた。パンデミック1年目に752例(23.9%)がCOVID-19を発症し、147例(4.7%)が軽度認知症の基準を満たした。・パンデミック前と比べて、パンデミック1年目は全コホートで実行機能と作業記憶が有意に低下した(実行機能の効果量:0.15[95%信頼区間[CI]:0.12~0.17]、作業記憶の効果量:0.51[95%CI:0.49~0.53]、いずれもp<0.0001)。・パンデミック2年目においても、全コホートで作業記憶が有意に低下していた。・COVID-19既感染者および軽度認知症患者のサブグループでも同様の結果であった。・COVID-19の流行前(2017~19年)と比較して、パンデミック1年目および2年目の認知機能は加速度的に低下していた。・全コホートにおいて、認知機能の低下は運動量減少およびアルコール摂取量増加と関連していた。COVID-19既感染者では抑うつ、軽度認知症患者では孤独とも関連していた。

1380.

過敏性腸症候群に対する1次治療が無効な患者に2次治療として抗うつ薬の低用量アミトリプチリンが有効(解説:上村直実氏)

 過敏性腸症候群(IBS)は便秘や下痢などの便通異常に加えて腹痛を伴う機能性の腸疾患である。IBSの診断について、一般的には国内外のガイドラインで示されるRome IV基準に従って『3ヵ月以上の腹痛と6ヵ月以上前からの便通異常を有する患者』とされるが、わが国における実際の診療現場においては、病悩期間にかかわらず『大腸がんなどの器質性疾患を除く便通異常と腹痛を伴う病態』をIBSとして取り扱うことが多い。 治療に関しては、1次治療として食事指導や生活習慣の改善および消化管運動改善薬や下剤・止痢剤など便通改善薬を用いた薬物治療を行い、症状に改善傾向を認めない場合には2次治療として抗不安薬や抗うつ薬などの抗精神薬が推奨されているが、IBSに対する抗うつ薬の有用性を示すエビデンスは乏しいのが現状であった。 今回、英国で三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンがIBSの2次治療として有効であるかどうかを評価するために、プライマリケアを中心として施行されたRCTの結果が2023年10月16日のLancet誌オンライン版に報告された。1次治療で効果のなかったIBS患者463症例を対象として低用量アミトリプチリンとプラセボを投与した結果、アミトリプチリン群において6ヵ月後のIBS重症度スコアが20%以上有意に改善した。この結果から、第一選択療法が無効なIBS患者に低用量のアミトリプチリンを提供すべきで、英国のガイドラインを更新する必要があると結論している。 日本の医療現場でIBS患者を最初に診療するのは診療所の実地医家や消化器内科医であり、心理状態を把握したうえで処方される抗うつ薬は副作用の問題などから使用されるケースは多くないと思われる。しかし、今回のRCTによるエビデンスから、消化管運動改善薬や便通異常改善薬に反応しない難治性IBSに対する2次治療として低用量の三環系抗うつ薬が使用されることが期待される。

検索結果 合計:5821件 表示位置:1361 - 1380