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中高年の果物や野菜の摂取とうつ病発症リスク

 新たな観察研究の報告により、うつ病発症予防に果物や野菜の摂取が重要な役割を果たすことが示唆されている。しかし、高齢者や低中所得国(LMIC)に関する研究は不足している。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のAnnabel P. Matison氏らは、果物や野菜の摂取とうつ病リスクとの関連を明らかにするため、LMICを含むさまざまなコホート研究を分析し、その結果のメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2024年8月15日号の報告。 対象は、LMICでの4件のコホートを含む10件のコホートより抽出した非うつ病成人地域住民7,801例(平均年齢:68.6±8.0歳、女性の割合:55.8%)。果物と野菜の摂取量は、包括的な食品摂取頻度質問票、食品質問票短縮版、食事歴などにより自己申告で収集した。抑うつ症状の評価およびうつ病の定義には、検証済みの尺度およびカットオフ値を用いた。ベースライン時における果物や野菜の摂取量とフローアップ期間中(3〜9年)のうつ病発症との関連性を評価するため、Cox回帰を用いた。分析は、コホートごとに実施し、結果をメタ解析した。 主な結果は以下のとおり。・4万258人年のフォローアップ期間中、うつ病を発症した対象者は1,630例(21%)であった。・果物の摂取量が多いほど、うつ病発症リスクが低下した(ハザード比[HR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0.77〜0.99、I2=4%)。・野菜の摂取量とうつ病発症との関連は認められなかった(HR:0.93、95%CI:0.84〜1.04、I2=0%)。このことは、各コホートで測定法が異なり、本研究のサンプルサイズがこれまでの研究と比較し小さかったため、野菜摂取との関連性が検出されなかった可能性がある。 著者らは、「うつ病予防に対し、果物摂取の有用性は裏付けられたが、野菜については有意な関連性が認められなかった。低中所得国の高齢者を対象とした大規模コホートにおいて、標準化された測定法を用い、さまざまな果物や野菜について調査する必要がある」としている。

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感情認識・表現療法はCBTよりも慢性疼痛の軽減に効果的

 高齢者の慢性疼痛に対する治療法として、新しいタイプの心理療法が現行の標準的な治療法である認知行動療法(CBT)よりも効果的な可能性のあることが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部精神医学・生物行動科学のBrandon Yarns氏らが実施したランダム化比較試験(RCT)で示された。米国の退役軍人を対象とした同試験では、CBTを受けた人と比べて感情認識・表現療法(EAET)と呼ばれる治療を受けた人では慢性疼痛が有意に軽減し、軽減効果がより長期にわたって持続したという。詳細は、「JAMA Network Open」に6月13日掲載された。 Yarns氏らによると、CBTは、患者が痛みの引き金となるものを認識し、効果的な方法でそれに対処できるようにするためのエクササイズによって痛みに耐える能力を高める手助けをすることに重点を置いた治療法だ。 一方、2010年代に開発されたEAETは、感情に焦点を当てた治療法という点でCBTとは異なる。EAETは、ストレスに関連した感情が脳による疼痛の知覚に強く影響しているとの考えに基づいた治療法だ。EAETを受ける患者は、ストレスフルな経験に意識を向けるよう促される。ストレスフルな経験には、運転中に他の車が前に割り込んできたといった日常的な出来事も、性的暴行や心的外傷などのより深刻な出来事も含まれる。その目的は、そのような感情を心と体の双方に体験させた上で立ち向かい、それらに対する自分の反応を表出し、最終的には解放することだとYarns氏は説明する。 Yarns氏は、「傷ついたりストレスを感じたりすると、自然に感情的な反応が引き起こされるのものだ。その感情は、怒り、罪悪感、悲しみなどさまざまだ。これらの感情は痛みを伴うため、人はしばしばその感情から目を背けるが、EAETは患者が正直さとセルフコンパッション(自分への慈しみ)を持ちながら難しい感情に向き合うことを助ける」と言う。また、「セラピーで患者は、それまで抱えてきた怒りや痛み、罪悪感を解放することができ、最後にはセルフコンパッションが残る」と説明している。 今回の臨床試験には、慢性疼痛を抱える60~95歳の退役軍人126人(平均年齢71.9歳、男性92%)が登録された。このうちの3分の2以上(69%)は精神疾患の診断歴を有し、また3分の1程度(37%)には心的外傷後ストレス障害(PTSD)があった。 試験では、66人がCBTを受け、残る60人はEAETを受けた。その結果、CBTまたはEAETの治療終了時と6カ月後の時点で、CBT群と比べてEAET群では疼痛軽減の度合いがより大きいことが示された。治療終了時に臨床的に有意と考えられる30%以上の疼痛軽減を報告した対象者の割合は、EAET群で63%であったのに対し、CBT群ではわずか17%であった。また、治療から6カ月時点で疼痛の軽減が持続していた人の割合は、CBT群の14%に対してEAET群では41%とより高かった。さらにEAET群では、不安や抑うつ、PTSD、生活満足度の面でもより大きな改善効果を報告していたとYarns氏らは付け加えている。 Yarns氏は、「慢性疼痛を抱える人のほとんどは、心理療法を受けることなど考えもしない。彼らが考えるのは、薬や注射、時には手術や理学療法のような身体的な治療法のことばかりだ」と話す。その上で同氏は、「心理療法は慢性疼痛に対するエビデンスに基づいた治療法の1つだが、今回の臨床試験から、心理療法のタイプも重要であることが分かった」とUCLAのニュースリリースの中で説明している。 なお、今回の研究では、治療セッションは全て対面で行われた。Yarns氏は今後の研究課題として、バーチャルセッションでも同様の結果が得られるかどうかを検討することを挙げている。また、EAETとCBTを受けた患者の脳の変化を明らかにするため、脳画像研究も行う予定であるという。

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第201回 医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省

<先週の動き>1.医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省2.コロナ後遺症、半年後も8.5%に深刻な影響/厚労省3.かかりつけ医機能、新たな報告制度で地域医療連携を強化へ/厚労省4.特定機能病院の要件、医師派遣機能も考慮して見直しへ/厚労省5.協会けんぽ、2023年度の黒字は4,662億円、高齢化で財政不安も/協会けんぽ6.旧優生保護法の違憲判決で国に賠償命令/最高裁1.医師多数県で医学部定員を削減、医師多数区域の開業要件も検討へ/厚労省厚生労働省は7月3日、第5回「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」を開き、2025年度の医学部定員について、医師が多い地域から医師が少ない地域に「臨時定員地域枠」を移行する方針を示した。医師多数県では2024年度の191枠が154枠に減少し、16都府県で計30枠減少する見込み。この調整により、医師少数県での地域医療の充実が期待されている。さらに、厚労省は「医師多数区域での開業要件」の検討も示唆し、医師偏在対策を総合的に進める方針で、無床診療所の開業制限や医師多数区域での保険医定員制などが議論の対象となるとみられている。地域枠の活用については、日本私立医科大学協会の小笠原 邦昭氏が、異なる診療科間での地域枠の交換を提案したほか、広域連携型プログラムの導入も評価されたが、調整のための時間が必要だという意見も出された。総合診療専門医の育成については、リカレント教育の重要性が指摘され、経済的インセンティブの必要性も強調された。さらに、サブスペシャリティ専門医の取得を容易にするための制度設計が求められている。新専門医制度について、日本専門医機構はシーリング制度の効果を検証中であり、制度改革の必要性を認識している。とくに、地域や診療科による偏在の是正に向けた取り組みが進められている。今後、厚労省は、各論点に関する議論を深め、年末までに「医師偏在対策の総合的なパッケージ」を策定する予定。これにより、地域間の医師の偏在が是正され、地域医療が向上することを期待しているが、偏在の是正が進むよう引き続き検討を重ねていくとみられる。参考1)第5回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会(厚労省)2)医学部臨時定員、医師多数県で25年度は30枠減へ 厚労省検討会(CB news)3)医学部地域枠を削減へ 厚労省、医師過剰の16都府県で(日経新聞)2.コロナ後遺症、半年後も8.5%に深刻な影響/厚労省厚生労働省の研究班は、7月1日に新型コロナウイルス(COVID-19)感染後の後遺症患者のうち、8.5%が感染から約半年後も日常生活に深刻な影響を受けていることを発表した。この調査は、2022年7~8月にオミクロン株流行期に感染した20~60代の8,392人を対象に行われた。アンケート結果では、感染者の11.8%にあたる992人が後遺症として長引く症状を報告。その中でも84人が「日常生活に重大な支障を感じている」と回答した。主な症状としては、味覚障害、筋力低下、嗅覚障害、脱毛、集中力低下、そして「ブレインフォグ」と呼ばれる頭に霧がかかったような感覚などが含まれる。とくに女性や基礎疾患のある人、感染時の症状が重かった人で後遺症の割合が高かった一方、ワクチン接種を受けた人ではその割合が低かった。この結果は、COVID-19の後遺症が長期間にわたり日常生活に大きな影響を及ぼす可能性を示しており、全国での他の医療機関でも同様の後遺症報告があり、医療体制や患者支援の改善が急務とされる。また、研究班が、一般住民を対象に感染者と非感染者を比較し、後遺症の頻度や関連要因を調査した結果、感染者の罹患後症状の頻度が非感染者に比べて約2倍高いことが確認された。今後、後遺症のリスク要因や長期的な影響についての詳細な研究が求められるために、厚労省では引き続き、COVID-19の後遺症に対する対応策を進める予定。参考1)コロナ後遺症8.5%「半年後も」日常生活に深刻な影響 厚労省研究班(日経新聞)2)コロナ後遺症患者、半年後も日常生活に深刻な影響8.5% 厚労省(毎日新聞)3)オミクロン株(BA.5系統)流行期のCOVID-19感染後の罹患後症状の頻度とリスク要因の検討(NCGM)3.かかりつけ医機能、新たな報告制度で地域医療連携を強化へ/厚労省2024年7月5日、厚生労働省が病院や診療所による「かかりつけ医機能」の発揮を促進するために「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」を開催し、これまでの議論をまとめた整理案を提示した。かかりつけ医機能については、2025年4月に施行される新たな報告制度を中心に据え、地域ごとに病院や診療所の役割を協議し、地域の医療機能の底上げを図ることを目的としている。整理案によれば、病院や診療所は「日常的な診療を総合的・継続的に行う機能」(1号機能)と、時間外診療や在宅医療、介護連携などの「2号機能」について、毎年1~3月に都道府県へ報告する。都道府県はこれらの報告を公表し、地域の「協議の場」で共有する。この「協議の場」には、都道府県や医療関係者だけでなく、市町村、介護関係者、住民・患者も参加し、地域の医療課題について協議するものとしている。厚労省は、1号機能として「専門を中心に総合的・継続的に実施」や「幅広い領域のプライマリケアを実施」などのモデルをガイドラインで示す予定。また、地域の医療連携を強化するため、複数医師による診療所の配置や、複数診療所によるグループ診療の推進も提案している。厚労省は、来年4月の報告制度発足に向け、自治体向けにガイドライン(GL)を作成する方針で、今月中に取りまとめを目指すとしている。参考1)第7回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会[資料](厚労省)2)かかりつけ医機能報告制度の詳細が概ね固まる、17診療領域・40疾患等への対応状況報告を全医療機関に求める-かかりつけ医機能分科会(Gem Med)3)かかりつけ医機能、対応可能な一次診療について「診療領域」で報告へ(日経ヘルスケア)4)「かかりつけ医機能」データ活用して役割協議 厚労省が「議論の整理案」示す(CB news)4.特定機能病院の要件、医師派遣機能も考慮して見直しへ/厚労省厚生労働省は、7月3日に特定機能病院の承認要件の見直しを議論する検討会を5年ぶりに開催した。特定機能病院とは、高度な医療の提供、高度医療技術の開発、および研修を行う能力を備えた病院とされ、現在、全国には特定機能病院が88施設あるが、うち79施設は大学病院。今回の検討会は、社会保障審議会の医療分科会が3月に提出した意見書を受け、特定機能病院の要件を現代の医療ニーズに合致させるための見直しを目指す。この日の会合では、以下の論点が示された。(1)高度な医療の提供の方向性、(2)医療技術の開発・評価の方向性、(3)医療に関する研修の在り方、(4)医師派遣機能の承認要件への組み込みなど。とくに大学病院からの医師派遣機能を承認要件に加えるべきだとの意見が出されたほか、論文発表の質の確保、特定機能病院の機能や役割を明確化する必要性も議論された。特定機能病院の承認要件は、病床数や診療科数、紹介率、逆紹介率、論文発表数など多岐にわたっており、これらの要件を満たすことで、高度な医療提供能力が証明される仕組みとなっている。一方、現行の承認要件は時代に合わない部分もあり、特定機能病院と一般病院との違いが曖昧になってきているという指摘もされている。検討会では、特定機能病院の機能をさらに細かく分類し、承認要件を見直す方向で議論が進められる見込み。たとえば、「特定領域型」の特定機能病院の承認要件を明確化し、地域医療への貢献や医師派遣機能も承認要件に加えることが検討されているほか、承認要件には医療の質や研究の質も考慮されるべきだとの意見も出されている。今後、厚労省は各論点に関する議論を深め、年内に取りまとめを行う予定で、これをもとに特定機能病院の承認要件が見直される。参考1)第20回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会(厚労省)2)特定機能病院の要件見直し、年内をめどに取りまとめ 厚労省検討会 医師派遣機能の要件化求める声も(CB news)3)特定機能病院に求められる機能を改めて整理、類型の精緻化・承認要件見直しなどの必要性を検討-特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(Gem Med)5.協会けんぽ、2023年度の黒字は4,662億円、高齢化で財政不安も/協会けんぽ中小企業の従業員やその家族が加入する全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)は、2023(令和5)年度の決算見込み(医療分)について公表した。それによると、2023年度の決算では、4,662億円の黒字を見込んでいる。黒字は14年連続で、賃上げによる保険料収入の増加が主な要因とみられる。協会けんぽの収入は前年度比2.7%増の11兆6,104億円で、賃金の伸びに伴い保険料収入が増えたことが背景にあり、とくに月額賃金が平均30.4万円と過去最高を記録したことが収入増に寄与した。一方、支出は11兆1,442億円で、前年度比2.5%増となった。支出の増加要因として、新型コロナウイルス禍後の社会活動再開に伴うインフルエンザなどの呼吸器系疾患の患者増加や75歳以上の後期高齢者医療制度への拠出金の増加が挙げられている。また、医療給付費は6兆4,542億円に達し、前年度に続いて過去最高を更新した。しかし、全国健康保険協会は、今回の決算の発表と同時に、今後の財政状況について楽観視できないとしている。その理由として、今後、加入者の高齢化や医療の高度化に伴い、団塊の世代が後期高齢者になる時期に支援金の急増が見込まれているためであり、財政の健全化と持続可能な運営が求められていく。参考1)2023(令和5)年度協会けんぽの決算見込みについて(協会けんぽ)2)「協会けんぽ」賃上げによる保険料増などで4,600億円余の黒字(NHK)3)協会けんぽ黒字、23年度4,662億円 賃上げで保険料増(日経新聞)6.旧優生保護法の違憲判決で国に賠償命令/最高裁旧優生保護法に基づく強制不妊手術を受けた被害者が国に損害賠償を求めた裁判で、最高裁判所大法廷は7月3日に「旧優生保護法が憲法違反である」と判断し、国に賠償を命じる判決を下した。旧優生保護法は、1948~1996年まで施行され、障害者を対象に強制的な不妊手術を認めていた。これにより約2万5,000人が手術を受けたとされる。最高裁は、旧優生保護法が「不良な子孫の淘汰」を目的にしており、障害者を差別的に扱い、生殖能力を奪うことは憲法13条および14条に違反するとした。また、不妊手術が当時の社会状況を考慮しても正当化できないとし、本人の同意があった場合も含めて手術の強制性を指摘した。さらに、国会議員の立法行為自体が違法であるとも断じた。国は20年以上前の不法行為について賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に訴えを退けるよう主張したが、最高裁はこの主張を認めず、被害者の権利行使が困難であったことや旧法廃止後も補償を行わなかった国の姿勢を問題視し、除斥期間の適用を否定した。今回の判決で、国には被害者1人当たり1,100~1,650万円(その配偶者には220万円)の賠償責任が確定した。この判決は、全国の被害者救済に道を開くものであり、旧優生保護法の被害者の全面救済が期待される。政府は判決を重く受け止め、早期の対応を行う必要に迫られている。参考1)旧優生保護法は「違憲」 国に賠償命じる 最高裁、除斥期間適用せず(朝日新聞)2)旧優生保護法は憲法違反 国に賠償命じる判決 最高裁(NHK)3)旧優生保護法「違憲」、強制不妊で国に賠償命令…最高裁が「除斥期間」不適用で統一判断(読売新聞)

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未治療統合失調症患者におけるメタボリックシンドローム有病率と関連因子

 メタボリックシンドローム(MetS)は、心血管疾患特有のいくつかのリスク因子を含む疾患であり、統合失調症患者では頻繁に発症する。中国・Wuhan Mental Health CenterのSuoya Hu氏らは、抗精神病薬未使用の統合失調症患者におけるMetSの発症と重症度に影響を及ぼす因子を明らかにするため、本研究を実施した。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2024年5月22日号の報告。 対象は、2017年2月〜2022年6月に中国中部最大の精神科専門施設に入院した抗精神病薬未使用の18〜49歳の統合失調症患者668例。対象患者の社会人口統計学的および一般臨床データを収集した。精神病理スコアおよび重症度の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および臨床全般印象度の改善度(CGI-I)をそれぞれ用いた。MetSスコアは、重症度を判断するため算出した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬未使用の統合失調症入院患者のMetS有病率は10.93%であった。・二項ロジスティック回帰分析では、MetSのリスク因子として、発症年齢、女性、総コレステロール、赤血球数、白血球数が特定された。・MetSの保護因子には、遊離サイロキシン(FT4)、CGI-Iスコアが特定された。・多重線形回帰分析では、統合失調症の発症年齢の高さがMetSスコア上昇のリスク因子であることが示唆された。 著者らは、「本研究より、未治療統合失調症患者のMetS有病率およびMetSの発症や重症度に影響を及ぼす因子が特定された。これらの知見は、統合失調症の臨床診療におけるMetS関連の予防および治療戦略に活かされるであろう」としている。

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8年間レーザーポインタを自分の眼球に当て続けた男の子【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第260回

8年間レーザーポインタを自分の眼球に当て続けた男の子12歳の男の子が、少なくとも1年間続く両眼性の視力低下を訴えて来院しました。しかし、どうやらただの調節障害というわけではないようです。どういうことでしょう。Coombs RA, et al. Sneeze and burn: Macular scars secondary to sun- and laserbeam-staring to induce photic sneeze reflex.Am J Ophthalmol Case Rep. 2024 Jun;34:102018.彼には太陽や光を見たときにくしゃみが誘発される反射がありました。俗にいう、「光くしゃみ反射」です。花粉症のようにずっとくしゃみが起こるわけではなく、まぶしさを感じたときに1回か2回くしゃみが出るだけで終わります。彼にとってはそれが心地よかったのでしょうか、小さいころからその反射を誘発しようとしていたみたいです。赤いレーザーポインタが出てくる猫のおもちゃをこよなく愛し、それを眼球に当てるとくしゃみが出るので、日課にしていたようです。来院時、視力は右目20/30、左目20/40でした。細隙灯生体顕微鏡検査と眼圧は両目とも正常でしたが、眼底検査では萎縮性瘢痕がみられました。光干渉断層計(OCT)では、視野欠損部位に一致して網膜外層の構造異常(ellipsoid zoneの欠損、interdigitation zoneの消失)が確認されています。彼には、抗精神病薬を使用する注意欠陥多動性障害(ADHD)の既往がありましたが、内服している薬剤に光線障害の感受性を上昇させるものはなかったそうです。なので、純粋に8年間当て続けたがゆえの視力障害だったといえます。ちなみに今回の症例でみられた光くしゃみ反射ですが、ある調査では日本人の約4人に1人がこの反射を持っていることがわかっています1)。少し甘い基準で調査したこともあって、ほぼ確実に光くしゃみ反射を起こすのはこの半分くらい、約8人に1人と考えられています。顕性遺伝で親から子へ受け継がれていくこともわかっていて、くしゃみ反射を持つ家系では他の家族も光くしゃみ反射を持っていることが多いです。決して、眼球にレーザーポインタを当ててくしゃみを誘発させるといった真似はしないように。1)児玉正志、他. 東北地方における光刺激によって誘発されるくしゃみ反射に関するアンケート調査.医学と生物学. 1992;125(6):2159.

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統合失調症の診断、治療、モニタリングおける酸化バイオマーカーの重要性

 統合失調症は、非常に複雑な疾患であり、その病因は多面的である。これまでに、統合失調症の病態生理学と酸化ストレスとの関連を示唆する報告がされている。ポーランド・Pomeranian Medical UniversityのElzbieta Cecerska-Heryc氏らは、統合失調症と酸化ストレスとの関連を明らかにするため、本研究を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2024年6月7日号の報告。 対象は、慢性期統合失調症患者および発症しやすい状態(初回エピソード精神疾患、超高リスク)の患者150例。統合失調症を発症しやすい状態の患者は、4つのサブグループ(欠損型統合失調症、非欠損型統合失調症、初回エピソード精神疾患、超高リスク)に分類した。対照群は、健康ボランティア34例とした。酸化ストレスマーカーと脳由来神経栄養因子(BDNF)の測定には、分光光度法、ELISA法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・すべての患者は、対照群と比較し、抗酸化酵素の活性および還元型グルタチオン総抗酸化能の濃度が低かった(p<0.001)。・BDNF濃度は、超ハイリスク患者を除くすべての患者において、対照群よりも低かった(p=0.01)。・BDNF、グルタチオン還元酵素、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ活性と罹病期間との間に相関が認められた(p<0.02)。・酸化ストレスマーカーに対する喫煙のわずかな影響が確認された(rho<0.06、p<0.03)。 著者らは、「酸化ストレスは、統合失調症の臨床パターンが発現する前に、統合失調症の病態生理学に重要な役割を果たす可能性が示唆された。統合失調症患者は、重篤な酸化還元不均衡が出現し、精神疾患発症につながる状態であるため、自然な抗酸化システムで完全に補完することは困難である」とし、「酸化ストレスバイオマーカーは、統合失調症の診断をサポートし、進行予測に役立つ可能性がある」としている。

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小児期の睡眠障害、若年期の精神病リスクにつながる可能性

 短時間睡眠は、短期・中期・長期的に子どもの発達に有害な影響を及ぼす可能性があることがこれまでも報告されているが、新たな報告によると、小児期に持続的に睡眠時間が短いと、若年期の精神病発症リスクが上がる可能性があるという。英国・バーミンガム大のIsabel Morales-Munoz氏らによる本研究結果は、JAMA Psychiatry誌オンライン版2024年5月8日号に掲載された。 研究者らは小児期における持続的な夜間睡眠時間の短さと、24歳時点での精神病体験(PE)および/または精神病性障害(PD)との関連、および炎症マーカー(C反応性蛋白[CRP]およびインターロイキン6[IL-6])が関連するかを検討するコホート研究を実施した。 英国の出生コホート研究であるAvon Longitudinal Study of Parents and Childrenのデータを用い、6ヵ月、18ヵ月、30ヵ月、3.5歳、4~5歳、5~6歳、6~7歳の時点の夜間睡眠データを収集した。24歳時にPEとPDをPsychosis-like Symptoms Interview(PLIKSi)で評価した。RP値とIL-6値は9歳・15歳時に血液採取で測定した。夜間睡眠時間の軌跡を検出するために潜在クラス成長分析(LCGA)を適用し、24歳時点の精神病転帰との縦断的関連についてロジスティック回帰を、CRP値とIL-6値が潜在的な媒体因子であることを検証するためにパス解析を行った。データ解析は2023年1月30日~8月1日に実施した。 主な結果は以下のとおり。・小児1万2,394例(女児6,254例[50.5%])、ロジスティック回帰とパス分析では若年成人3,962例(女性2,429例[61.3%])のデータが得られた。・LCGAにより、小児期を通じて夜間の睡眠時間が4クラスに分けられた。持続的睡眠時間が最も短い群(301例[2.4%])は、24歳時のPD(オッズ比[OR]:2.50、95%信頼区間[CI]:1.51~4.15、p<0.001)およびPE(OR:3.64、95%CI:2.23~5.95、p<0.001)のリスクが有意に高かった。・9歳時のIL-6値の上昇は、持続的な睡眠時間の短さとPD(バイアス補正推定値=0.003、95%CI:0.002~0.005、p=0.007)およびPE(バイアス補正推定値=0.002、95%CI:0~0.003、p=0.03)との関連を部分的に媒介していた。9歳時または15歳時のCRP値にこうした関連は見られなかった。 研究者等は「乳児期から小児期までの睡眠時間が持続的に短い群は、24歳時の精神病の有病率が有意に高かった。さらに、9歳時のIL-6値の上昇がこれらの関連を部分的に媒介しており、IL-6値で測定される炎症が潜在的な機序経路の1つである可能性がある。この結果は小児期における短時間睡眠への対処の必要性を強調しており、睡眠と炎症反応の両方に対する、将来的な介入に関する予備的な証拠ともなる」とした。

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抗うつ薬中断後症状の発生率〜メタ解析

 抗うつ薬中断後症状は、実臨床においてさらに重要度が増しているが、その発生率は定量化されていない。抗うつ薬中断後症状の推定発生率を明らかにすることは、治療中断時に患者および臨床医、抗うつ薬治療研究者に対する有用な情報提供につながる。ドイツ・ケルン大学のJonathan Henssler氏らは、抗うつ薬とプラセボを中断した患者における抗うつ薬中断後症状の発生率を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Lancet Psychiatry誌2024年7月号の報告。 2022年10月13日までに公表された、抗うつ薬中断後症状の発生率を評価したランダム化比較試験(RCT)、その他の比較試験、観察研究を、Medline、EMBASE、CENTRALよりシステマティックに検索した。対象研究は、精神疾患、行動障害、神経発達障害の患者を対象に、既存の抗うつ薬(抗精神病薬、リチウム、チロキシンを除く)またはプラセボの中断または漸減を調査した研究とした。新生児の研究および器質性疾患による疼痛候群などの身体症状に対して、抗うつ薬を使用した研究は除外した。研究の選択、サマリデータの抽出、バイアスリスク評価後のデータを用いて、ランダム効果メタ解析を行った。主要アウトカムは、抗うつ薬またはプラセボの中断後の症状の発生率とした。また、重度の中断後症状の発生率も分析した。方法論的変数のテストには、感度分析、メタ回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングされた論文6,095件から79件(RCT:44件、観察研究:35件)、2万1,002例(女性:72%、男性:28%、平均年齢:45歳、年齢範囲:19.6〜64.5)をメタ解析に含めた。・民族に関するデータは、一貫して報告されなかった。・1万6,532 例の患者が抗うつ薬を中止し、4,470 例の患者がプラセボを中止した。・1つ以上の抗うつ薬中断症状の発生率は、抗うつ薬中断群(研究グループ:62件)で0.31(95%信頼区間[CI]:0.27〜0.35)、プラセボ群(研究グループ:22件)で0.17(95%CI:0.14〜0.21)であった。・対象のRCTにおける抗うつ薬中断群とプラセボ群における中断後症状の発生率の差は、0.08(95%CI:0.04〜0.12)であった。・重度の抗うつ薬中断後症状の発生率は、抗うつ薬中断群で0.028(95%CI:0.014〜0.057)、プラセボ群で0.006(95%CI:0.002〜0.013)であった。・抗うつ薬中断後症状の発生率の高い薬剤は、desvenlafaxine、ベンラファキシン、イミプラミン、エスシタロプラムであり、重症度と関連していた薬剤は、イミプラミン、パロキセチン、desvenlafaxine、ベンラファキシンであった。・結果の異質性は、顕著であった。 著者らは、「プラセボ群における非特異的効果を考慮すると、抗うつ薬中断後症状の発生率は約15%であり、中断した患者の6〜7人に1人が影響を受けることが明らかとなった。サブグループおよび異質性の分析では、診断、投薬、試験関連特性では説明不能な因子を示唆しており、患者、臨床医、またはその両方の主観的因子が影響している可能性がある。結果を解釈するには、残存または再発の精神病理を考慮する必要があるが、本結果は、過度の不安を引き起こすことなく、抗うつ薬中断後症状の可能性に関する知見を患者、臨床医が得ることにつながるであろう」としている。

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メンタルヘルスに長期的影響を及ぼす小児期逆境体験

 3万人弱の日本人を対象とした横断調査から、小児期に受けた虐待、いじめ、経済的困難といった逆境体験は、成人期のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしていることが明らかとなった。東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野の西大輔氏、佐々木那津氏らによる研究の成果であり、「Scientific Reports」に5月26日掲載された。 従来、小児期逆境体験(adverse childhood experience;ACE)として虐待や家庭の機能不全が検討されてきたが、最近では学校でのいじめ、慢性疾患、自然災害なども含まれるようになっている。ACEは成人後のメンタルヘルスの問題につながる可能性が指摘されているものの、広義のACEの長期的影響を検討した研究は少ない。また、ACEに関する研究は米国のものが多いことから、日本人を対象とした研究が求められている。 そこで著者らは、「日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題による社会・健康格差評価研究(JACSIS研究)」より、2022年9月のオンライン調査データを用いて、ACEと成人期のメンタルヘルスとの関連を検討した。対象者は18~79歳とし、経験したACEの種類と数について、15項目の質問票「ACE-J」により評価した。また、「K6」という尺度により心理的苦痛を評価し、合計得点が13点以上だった人を「心理的苦痛が強い」と判定した。 解析対象は計2万8,617人(平均年齢48±17.1歳、男性48.9%)であり、15のACEのうち1つ以上のACEを経験していた人の割合は75%に上った。経験割合が多かったACEは、心理的ネグレクト(38.5%)、貧困(26.3%)、学校でのいじめ(20.8%)だった。経験したACEの数は平均1.75±1.94であり、14.7%の人が4つ以上のACEを経験していた。女性は男性と比べ、ACEの数が有意に多く(1.85対1.65)、性的虐待の経験割合が有意に高かった(6.9%対1.8%)。年齢層別には、貧困の経験割合は50~64歳で29%、65歳以上で40%、学校でのいじめは若年層で21~27%、65歳以上で10%だった。 また、心理的苦痛が強いと判定された人は全体の10.4%だった。ACEの経験数が増加するほど心理的苦痛が強い人の割合が高まり、18~34歳かつACEの数が4つ以上で、その割合が最も高かった(40.7%)。ACEの数が同じ場合、若年層は高齢層と比較して心理的苦痛が強い人の割合が有意に高かった。 次に、ロジスティック回帰分析を用い、背景の差(年齢、性別、婚姻状況、世帯収入など)を統計学的に調整して検討したところ、全てのACEは、心理的苦痛が強いことと有意に関連していることが明らかとなった。具体的なオッズ比(95%信頼区間)は、学校でのいじめが3.04(2.80~3.31)、慢性疾患による入院が2.67(2.29~3.10)、自然災害が2.66(2.25~3.13)だった。また、ACEの数が4つ以上の人では、1つもない人と比較したオッズ比が8.18(7.14~9.38)に上った。 今回の研究の結果から著者らは、「ACEはメンタルヘルスに長期的な影響を及ぼしていた」と総括し、ACEを減らすためのさらなる研究と対策の必要性を指摘している。

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高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024

高齢者に関わるすべての医療介護福祉専門職へ!超高齢社会を迎えたわが国では、CGAによる包括的・全人的な評価と、それに基づいた個別化された医療・ケアの提供が求められている。多職種協働により取り組む必要があり、CGAはその共通言語となる。本ガイドラインは、医師だけではなく高齢者に関わる医療介護福祉関係の多職種向けに作成した。診療やケアに幅広く活用いただきたい。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024定価1,980円(税込)判型B5判頁数102頁発行2024年6月編集長寿医療研究開発費「高齢者総合機能評価(CGA)ガイドラインの作成研究」研究班日本老年医学会国立長寿医療研究センターご購入はこちらご購入はこちら

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片頭痛女性における頭痛重症度と炭水化物品質指数との関係〜横断的研究

片頭痛女性における炭水化物品質指数(CQI)と頭痛の重症度、障害、持続期間との関連を調査するため、イラン・テヘラン医科大学のHaniyeh Jebraeili氏らは、横断的研究を行った。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2024年5月28日号の報告。 18〜45歳の女性266例を対象に、147項目の食品摂取頻度質問票(FFQ)を用いて、調査を行った。CQIの定義には、食物繊維摂取量、食事のグリセミックインデックス(DGI)、全粒穀物/全穀物比、固形炭水化物/全炭水化物比の4つの基準を用いた。対象患者から、身体測定、ビジュアルアナログスケール(VAS)、片頭痛評価尺度(MIDAS)、頭痛の持続期間を収集し、評価した。 主な結果は以下のとおり。・CQIの高アドヒアランス群は、低アドヒアランス群と比較し、中程度の頭痛(オッズ比[OR]:0.45、95%信頼区間[CI]:0.21〜0.94、p=0.03)、重度の疼痛(OR:0.39、95%CI:0.18〜0.82、p=0.01)のORが低かった。・潜在的な交絡因子で調整したのち、CQIのアドヒアランスが最も高い群は、最も低い群と比較し、重度の疼痛が78%低下(OR:0.22、95%CI:0.09〜0.55、p=0.01)、中程度の疼痛が63%低下した(OR:0.37、95%CI:0.16〜0.84、p=0.01)。・CQIの高アドヒアランス群は、頭痛の持続時間のORが低かった(OR:0.54、95%CI:0.31〜0.96、p=0.03)。・交絡因子で調整したのちでも(OR:0.59、95%CI:0.35〜1.002、p=0.05)、有意な関連性が維持された(p<0.05)。・交絡因子を調整したにも関わらず、CQIとMIDASスコアとの有意な関連は認められなかった(p>0.05)。 著者らは、「CQIのアドヒアランスが高いほど、片頭痛患者の重症度および頭痛の持続時間の軽減が認められた。これらの結果を確認するためにも、さらなる研究が求められる」としている。

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生活習慣の改善でアルツハイマー病の進行が抑制か

 食事や運動などの健康的な生活習慣を組み合わせて取り入れることが、軽度認知障害(MCI)や初期の認知症の患者の認知機能維持に役立つことが、米国の非営利団体である予防医学研究所(Preventive Medicine Research Institute)所長のDean Ornish氏らが実施したランダム化比較試験(RCT)で示された。このRCTでは、健康的な食事、定期的な運動、ストレスマネジメントなどを組み合わせた生活習慣改善プログラムを受けた患者の約71%で認知症の症状が安定、または薬剤を使わずに改善していた。それに対し、こうした生活習慣の改善を行わなかった対照群では約68%の患者で症状の悪化が認められたという。この試験の詳細は、「Alzheimer’s Research and Therapy」に6月7日掲載された。Ornish氏らは、「生活習慣の改善が認知症やアルツハイマー病の進行に影響を与えることを示した研究は、これが初めてだ」と説明している。 Ornish氏らはこのRCTで、MCIまたは初期のアルツハイマー型認知症と診断された51人を登録し、生活習慣を改善するプログラムを受ける群と対照群のいずれかにランダムに割り付けた。生活習慣改善プログラムは、以下の4つの要素で構成されていた。1)有害な脂質や精製された穀類、アルコール、甘味料の摂取を抑え、ホールフード(加工や精製をしないか極力抑えた野菜や果物、穀類、魚など)と植物性食品を中心としたプラントベース食を基本とする食事の摂取、2)低強度の筋力トレーニングを週に3回以上と有酸素運動を1日に30分以上実施、3)瞑想やストレッチ、呼吸法、誘導イメージ療法などによるストレスマネジメントを1日1時間実施、4)患者とそのパートナーのためのサポートグループの1時間の活動を週3回実施。 その結果、20週間後の時点で、Clinical Global Impression of Change(CGIC)での認知機能の評価において、生活習慣改善プログラム群では17人(約71%)が改善か状態を維持していると評価されたのに対し、対照群では17人(68%)が最小限〜中等度の悪化と評価されたことが明らかになった。また、認知機能とアミロイドタンパク質などのアルツハイマー病の血中マーカーの双方において、生活習慣改善プログラム群と対照群の間に有意差が認められた。例えば、生活習慣改善プログラム群ではアミロイド値の改善が認められたが、対照群では同値は悪化していた。さらに、生活習慣改善プログラムの遵守度が高いほどアミロイド値の低下の幅も大きくなることが示された。このほか、生活習慣改善プログラム群ではアルツハイマー病リスクを高める微生物が有意に減少し、アルツハイマー病に対して保護的に働く可能性が指摘されている微生物が増加していることも確認されたという。 Ornish氏は、「今回のRCTの結果は極めて心強いものであり、慎重に受け止めてはいるが楽観視している。この結果は、多くの人々に新たな希望と選択肢をもたらすことになるかもしれない」と話す。 このRCTの参加者の一人は、以前は1冊の本を読み終えるのに何週間もかかっていたが、RCT終了後は3~4日で読み終えることができ、しかも読んだ内容のほとんどを覚えていたという。また、自身の資金や退職後の生活を管理する能力を取り戻した元経営者の参加者もいた。さらに、ある女性参加者は、それまで5年間にわたってできていなかった家業の財務レポートを、現在では正確に作成できるようになったと話している。 今回のRCTに参加した米マサチューセッツ総合病院McCance Center for Brain HealthのRudolph Tanzi氏は、「アルツハイマー病の新たな治療法は切実に求められている。バイオファーマ企業はアルツハイマー病の治療薬を開発するために数十億ドルもの資金を投じてきたが、過去20年間に承認に至ったアルツハイマー病治療薬はわずか2剤だけだ。このうちの1剤は、最近、市場から回収され、もう1剤は効果が限定的で価格は極めて高く、脳浮腫や脳出血などの重篤な副作用を引き起こすこともある」と指摘。「それに対して、今回の試験で実施した集中的な生活習慣の改善は、わずかな費用で認知機能と日常生活機能の改善をもたらすなど、良い効果しかないことが示された」と述べている。

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ライフステージごとの運動で健康寿命の延伸を目指す/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、運動・健康スポーツ医学委員会(委員長:津下 一代氏[女子栄養大学 特任教授])の「令和4・5年度の運動・健康スポーツ医学委員会答申」ならびに医師会としてスポーツ庁長官の室伏 広治氏へ要望書を提出したことを常任理事の長島 公之氏(長島整形外科院長)が説明した。住民の健康寿命延伸は地域の多職種の連携で実現する 今回の答申は、「『健康スポーツ医学実践ガイド』(2022年6月発行)と『運動・スポーツ関連資源マップ作成』を通じて促進する地域の多職種連携について」と題され、全国の医師会を中心に医師と他の医療職種と地域が協同して、運動やスポーツを通じ、住民の健康寿命の延伸を目指す取り組みを記している。 とくに答申では、「学校医や産業医、かかりつけ医が運動について効果的に助言することが望ましい」とされ、「とくに慢性疾患を有する者に対しては、診察時に運動実施状況を確認し、助言、励まし、賞賛することが重要」としている。 『健康スポーツ医学実践ガイドの活用』では、健康スポーツ医と運動指導者の多職種連携推進講演会や健康スポーツ医学実践講習会などにおける普及を念頭に活用が期待されている。また、「運動・スポーツ関連資源マップ作成」では、令和4年度にマップ実用化に向けた事業として、規模の異なる4都市(岩手県北上市、千葉県館山市、東京都狛江市、大分県)をモデル地域としてマップ作成の試行事業を実施した結果、課題として地域のキーパーソンによるところが大きいこと、助成終了後にも機能する仕組みがないと行政は着手しにくいことなどが説明された。今後、課題解決のため、運動施設の情報を自動更新にすること、大手スポーツクラブなどは本部などの中央から積極的に情報提供すること、患者(住民)個人を中心に支援者をひも付けし情報提供できるようにすることなど対策が提言されている。 ライフステージ・対象別にみた運動については、下記のように課題と対策を述べている。(1)子供たちなどの学校保健 運動器検診により子供たちは、「運動過多」と「運動不足」で運動習慣が二極化している。運動器検診の実施では健康スポーツ医の参画や学校長のリーダーシップのもと、運動器の健康に興味を持ってもらうことが必要。(2)勤労世代などの産業医が押さえておきたい健康スポーツ医学 労働者では、身体活動量が低下することで起こる心身の不調が労働生産性の低下をもたらす。さらに業務範囲の拡大やメンタルヘルス不調により、労働経済にも悪影響を与える。疾病予防と生産性向上のため、労働環境の見直し、日常生活に密着した身体活動の向上が必要で、具体的には、休憩時間のストレッチ指導を組み入れることなど産業医からの提案も必要。(3)高齢者など介護予防・リハビリテーションにおける地域連携 身体不活動や運動不足は、非感染性疾患による死亡に影響する因子として、わが国では喫煙・高血圧に次いで3番目の危険因子とされている。国民に身体活動・運動の重要性が認知され、実践されることが健康寿命の延伸に必要である。そのため1次予防(健康増進、疾患予防)、2次予防(早期治療、重症化予防)、3次予防(再発防止)に、介護予防(フレイル対策、介護悪化抑制)を加えた横断的な健康作りの体制が必要。 最後に「健康スポーツ医学実践ガイドのさらなる活用に向けた提言」として研修会・講習会の開催、実践ガイドの各項目に対応した動画の作成、新しいコンテンツの導入が記述され、「運動・スポーツ関連資源マップの作成について」の提言として、スポーツ医などの地域の医師会活動、スポーツ庁や厚生労働省への提言などが今後の取り組みとして記されている。

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臨床現場で認知症やMCI患者のアドヒアランスは把握可能か

 多くの患者でみられるアドヒアランスの不良は、健康状態の悪化、QOLの低下、医療費の増大の原因となる。スペイン・Instituto CUDECA de Estudios e Investigacion en Cuidados Paliativosの氏Pilar Barnestein-Fonsecaらは、軽度認知障害(MCI)および認知症患者におけるアドヒアランス不良の割合を推定するため、錠剤カウントの参照法(RM)を考慮し、実臨床で有用かつ簡便な2つの自己報告法(SRM)の診断的妥当性を評価した。Frontiers in Pharmacology誌2024年5月22日号の報告。 本コホートは、多施設ランダム化比較試験に組み込まれた。8施設より387例が、非確率的連続サンプリング法を用いて選択された。包括基準は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア20〜28点、55歳以上、薬物治療中、治療薬剤の自己管理とした。対象患者のフォローアップ調査は、ベースラインから6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月にわたり実施した。治療アドヒアランスに関連する変数は、フォローアップ期間の各ポイントで測定した。変数には、年齢、性別、治療、併存疾患、MMSE testを含めた。アドヒアランスには、錠剤数、SRMとしてのMorisky-Green test(MGT)、Batalla test(BT)を含めた。統計分析には、記述式分析および95%信頼区間(CI)を含めた。診断の妥当性には、SRMとRMのオープン比較統計的関連性、層別比較(アドヒアランス不良を評価するための最良の方法としてRM、κ値、感度、特異度、尤度比)を含めた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数387例の平均年齢は73.29歳(95%CI:72.54〜74.04)、女性の割合は59.5%であった。・併存疾患は、HTAが54.4%、骨関節病変が35.9%、DMが24.5%であった。・MMSE平均スコアは、25.57(95%CI:25.34〜25.8)であった。・RMによる治療アドヒアランスは、ベースラインの22.5%から6ヵ月26.3%、12ヵ月14.8%、18ヵ月17.9%へ変動がみられた。・SRMによる治療アドヒアランスは、ベースラインの43.5%から6ヵ月32.4%、12ヵ月21.9%、18ヵ月20.3%であった。・κ値は各ポイントで、すべての比較において統計学的に有意であった(スコア:0.16〜0.35)。・診断の妥当性に関する感度、特異度は、次のとおりであった。【MGT】感度:0.4〜0.58、特異度:0.68〜0.87【BT】感度:0.4〜0.7、特異度:0.66〜0.9【MGT+BT併用】感度:0.22〜0.4、特異度:0.85〜0.96 著者らは、「SRMは、アドヒアランス不良患者を正しく分類可能なツールであり、実臨床でも非常に使いやすく、結果もすぐに得られるため、MCIおよび軽度の認知症患者の服薬アドヒアランスの判定に使用可能である」としている。

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ニルマトレルビル/リトナビル、long COVIDに対する効果が認められず

 抗ウイルス薬のパクスロビド(日本での商品名パキロビッド、一般名ニルマトレルビル/リトナビル)を長期間投与しても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)急性期以降の罹患後症状(post-acute sequelae of SARS-CoV-2;PASC、以下、long COVID)は改善しないことが、新たな研究で明らかになった。米スタンフォード大学医学大学院感染症・地理医学分野教授のUpinder Singh氏らが、パクスロビドを製造するファイザー社の資金提供を受けて実施したこの研究の詳細は、「JAMA Internal Medicine」に6月7日掲載された。 Long COVIDは、COVID-19から回復後も他の疾患による症状としては説明のつかないさまざまな症状が3カ月以上続く状態を指し、罹患者の10〜20%が発症すると推定されている。Singh氏は、「いくつかの研究では、ウイルス粒子や分子の破片がlong COVIDの原因である可能性が示唆されている」と説明。その上で、「もしそうなら、long COVIDの症状は、ニルマトレルビル/リトナビルによる治療により緩和されるのではないかとわれわれは考えた」と話す。 Singh氏らは、中等度から重度のlong COVID患者155人(年齢中央値43歳、女性59%)を対象に二重盲検ランダム化比較試験を実施し、15日間のニルマトレルビル/リトナビルによる治療が、long COVIDの重症度軽減に有効であるのかを検討した。対象者は2対1の割合で、15日間にわたり1日に2回、ニルマトレルビル(300mg)/リトナビル(100mg)を投与される群(102人)と、プラセボ/リトナビル(100mg)を投与される群(53人)にランダムに割り付けられ、ランダム化から15週目まで追跡された。対象患者がCOVID-19に罹患してからランダム化されるまでの期間は平均で17.5カ月だった。主要評価項目は、ランダム化から10週目にリッカート尺度で評価した、long COVIDの6つの症状(倦怠感、ブレインフォグ、息切れ、体の痛み、消化器症状、心血管系の症状)の総合的な重症度とした。 その結果、ランダム化から10週目の時点で、ニルマトレルビル/リトナビル群とプラセボ群の間にlong COVIDの症状の総合的な重症度に有意な差は認められないことが明らかになった。一方で、有害事象の発生率は両群で同等であり、そのほとんどは軽度のものであったことから、ニルマトレルビル/リトナビルを長期間投与しても安全であることが示された。 こうした結果についてSingh氏は、「残念な結果ではあるが、ニルマトレルビル/リトナビルがlong COVIDの治療に役立つ可能性を完全に否定するものではない」とし、「例えば、long COVIDを発症して間もない患者に対する同薬の有効性を検証してみるのも一つかもしれない」と話している。同氏はさらに、「症状が現れてから16〜17カ月が経過した患者ではなく、7〜8カ月程度の患者を対象にニルマトレルビル/リトナビルの効果を検討すべきだったのだろうか。それとも、治療期間をもっと長くするべきだったのか。そもそも、対象患者は適切だったのだろうか。抗ウイルス薬による治療に反応するのは一部の症状だけの可能性もある」とさまざま疑問を挙げている。 研究グループは、今回の試験結果を引き続き分析し、特定の患者で他の患者よりも効果が高かったのかどうかを確認する予定である。

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問題飲酒につながる仕事の特性

 日本では近年、問題飲酒(依存・乱用などの有害な飲酒やアルコールに関連した問題)が増加している。1,500人以上の地方公務員を5年間追跡した結果、男性では職位が低い人やシフト勤務の人、女性では仕事のパフォーマンスの自己評価が低い人ほど、問題飲酒につながりやすいことが明らかとなった。また、男女とも、週に3回以上や1回に2合以上の飲酒が、問題飲酒と関連していた。富山大学学術研究部医学系の茂野敬氏らによる研究であり、「Industrial Health」に5月15日掲載された。 問題飲酒は、がんや脳血管疾患などによる死亡リスクの上昇につながる。労働損失による経済的な影響も大きいことから、労働者の問題飲酒を予防することは重要である。問題飲酒の要因に関する調査結果は報告されているものの、横断的な研究が多く、男女別にリスク要因を追跡する研究が必要とされていた。 そこで著者らは、日本公務員研究の参加者のうち、2014年(ベースライン)の調査時に問題飲酒のあった人を除き、2019年まで5年間追跡できた1,535人を対象とする縦断的研究を行った。飲酒はCAGEというスクリーニングテストで評価し、「飲酒量を減らさなければいけないと感じたことはあるか」などの4項目のうち2項目以上に該当する場合を問題飲酒とした。また、仕事の特性、ワークライフバランス、社会活動などについても調査した。 対象者のうち男性は968人(平均年齢43.2±8.3歳)、女性は567人(同38.2±10.0歳)であり、追跡期間中の問題飲酒の累積発生率は、男性が9.6%、女性が5.8%だった。 問題飲酒と関連する要因について、ロジスティック回帰分析を用い、影響を及ぼし得る因子を統計学的に調整して解析した。その結果、週3回以上の飲酒習慣が、男性(週2回以下と比べてオッズ比2.66、95%信頼区間1.68~4.23)、女性(同3.81、1.54~9.40)ともに問題飲酒と関連していた。また、1回当たり2合以上の飲酒も、男性(1合以下と比べて同1.73、1.10~2.72)、女性(同3.36、1.50~7.51)ともに問題飲酒との関連が認められた。 仕事の特性に関しては、男性では、職位の高さ(中間管理職・管理職)と問題飲酒の間に負の関連が見られた(一般職と比べて同0.56、0.33~0.95)一方で、シフト勤務は問題飲酒との正の関連が示された(定時勤務と比べて同2.96、1.46~6.00)。女性では、主観的な仕事のパフォーマンスの悪さが問題飲酒と関連していることが明らかとなった(パフォーマンス良好と比べて同5.30、1.57~17.86)。 今回の研究結果から著者らは、「問題飲酒と関連する要因は男性と女性で異なっていることが示唆された」と述べ、問題飲酒の予防に男女差を考慮することの重要性を指摘している。また、問題飲酒が発生するまでには5年よりも長くかかる可能性があること、コロナ禍で飲酒習慣が変化したといわれていることにも言及し、「データ分析を継続していく」としている。

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統合失調症に対する2種類の長時間作用型注射剤抗精神病薬の併用療法

 統合失調症患者のうち、複数の治療に対し抵抗性を示す患者の割合は、最大で34%といわれている。継続的かつ適切な治療が行われない場合、再発、再入院、抗精神病薬による薬物治療の効果低減、副作用リスクの上昇を来す可能性が高まる。統合失調症患者のコンプラインアンスを向上させ、臨床アウトカムやQOLの改善に対し、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の有用性が示唆されており、治療抵抗性統合失調症患者に対しては、2種類のLAI抗精神病薬を同時に投与することが推奨されている。イタリア・University of Campania Luigi VanvitelliのSalvatore Cipolla氏らは、統合失調症またはその他の精神病スペクトラム障害患者に対する2種類のLAI抗精神病薬併用に関する利用可能なエビデンスのレビューを行った。Brain Sciences誌2024年4月26日号の報告。 PRISMAステートメントに従い、2024年2月9日までに公表された2種類のLAI抗精神病薬のさまざまな組み合わせに関する研究を、PubMed、Scopus、APA PsycInfoより検索した。統合失調症および関連疾患の患者に対する2種類のLAI抗精神病薬の組み合わせとその臨床アウトカムを報告した研究を対象に含めた。 主な結果は以下のとおり。・最終分析には、ケースレポート9件、ケースシリーズ4件、観察的レトロスペクティブ研究2件を含めた。・LAI抗精神病薬の併用療法では、良好な治療反応が報告され、新規または予期せぬ副作用は報告されなかった。・さまざまな薬剤の組み合わせが使用されていた、アリピプラゾール水和物とパリペリドンパルミチン酸月1回(32回)の併用が最も多かった。 著者らは「2種類のLAI抗精神病薬による治療レジメンは、すでに多くの臨床現場で用いられており、統合失調症スペクトラム障害の治療に有用であり、効果的かつ比較的に安全な治療戦略であると認識されている」としている。

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家族性アルツハイマー病、APOE3Chヘテロ接合体も発症遅延に関与/NEJM

 常染色体優性遺伝性アルツハイマー病に関連するPSEN1E280A変異保因家系において、アポリポ蛋白E3クライストチャーチ変異体(APOE3Ch)を1コピー有するヘテロ接合体保有者では認知機能障害の発症が遅いことを、米国・ハーバード大学医学大学院のYakeel T. Quiroz氏らがレトロスペクティブコホート研究で明らかにした。アポリポ蛋白EをコードするAPOEとプレセニリン1をコードするPSEN1の変異はアルツハイマー病のリスクを変化させる。著者らは先行研究にて、PSEN1E280A変異による常染色体優性遺伝性アルツハイマー病患者において、APOE3Chを2コピー有するホモ接合体患者における認知機能障害の発症遅延を報告していた。NEJM誌2024年6月19日号掲載の報告。PSEN1E280A変異保因者一族1,077人を約30年追跡調査 研究グループは、コロンビアのアンティオキア地方に住むPSEN1E280A変異保因者一族の18歳以上の1,077人について、1995~2022年まで調査した。参加者は、定期的に臨床的および神経心理学的評価(Consortium to Establish a Registry for Alzheimer's Disease[CERAD]、Trail Making Test[TMT]、Rey-Osterrieth Complex Figure[ROCF]など)、ならびに認知機能評価(Functional Assessment Staging[FAST]、ミニメンタルステート検査[MMSE])を受けた。 1,077人のうち、APOE3Ch変異のヘテロ接合体を有する27人を同定し、この27人と傾向スコアを用いてマッチングしたAPOE3Ch変異非保有者と、APOE3Ch変異ヘテロ接合体保有者の認知機能障害および認知症の発症年齢を比較した。また、一部の症例では脳画像検査および剖検についても検討した。APOE3Ch変異ヘテロ接合体保有者で認知機能障害の発症が5年遅延 PSEN1E280A変異保因者において、軽度認知機能障害の発症年齢中央値はAPOE3Ch変異体ヘテロ接合体保有者では52歳(95%信頼区間:51~58)に対し、APOE3Ch変異非保有者では47歳(47~49)、認知症の発症年齢中央値はそれぞれ54歳(49~57)、50歳(48~51)であった。 脳画像検査を受けたAPOE3Ch変異ヘテロ接合体保有者2人では、18F-FDG PETにおいて、アルツハイマー病に関連する脳領域の代謝活性が比較的保たれていることが示された。また、2人のうち1人で行われた18F-flortaucipir-PETでは、この一族での典型的な年齢で認知障害を発症したPSEN1E280A変異保因者と比較し、タウの蓄積が限定的であった。 APOE3Ch変異ヘテロ接合体保有者4人で剖検が行われ、APOE3Ch変異非保有者と比較して前頭葉で脳アミロイド血管症の病理学的特徴が少ないことが示された。

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初発統合失調症患者に対する長時間作用型注射剤と経口剤抗精神病薬の有用性〜メタ解析

 長時間作用型注射剤抗精神病薬(LAI)は、慢性期統合失調症患者の再発および入院の予防に対し、経口抗精神病薬(OAP)よりも優れていることが示唆されているが、初発や最近発症した統合失調症、つまり早期段階の統合失調症患者におけるエビデンスは、明確ではない。イタリア・ヴェローナ大学のGiovanni Vita氏らは、早期段階の統合失調症患者の維持療法におけるLAIとOAP治療による中長期の相対的な有効性および安全性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2024年6月2日号の報告。 早期段階の統合失調症の維持療法におけるLAIとOAP治療を比較した直接比較ランダム化比較試験(RCT)を、主要な電子データベースより検索し、ペアワイズランダム効果メタアナリシスを実施した。研究のエンドポイントで測定された再発/入院および忍容性(すべての原因による治療中止)を共通の主要アウトカムとし、リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。サブグループ解析では、LAIとOAP治療間の有効性および忍容性の差を緩和する因子の特定を試みた。 主な結果は以下のとおり。・直接比較RCT 11件(2,374例、年齢中央値:25.2歳、男性の割合:68.4%、罹病期間中央値:45.8週間)が特定された。・13〜104週間(中央値:78週間)にわたり、LAIとOAP治療との間で、再発/入院予防(RR=0.79、95%CI:0.58〜1.06、p=0.13)、忍容性(RR=0.92、95%CI:0.80〜1.05、p=0.20)に有意な差は認められなかった。・対象試験の方法論および患者集団に関しては、非常に異質であった。・安定した患者(RR=0.65、95%CI:0.45〜0.92)、実用的な試験デザイン(RR=0.67、95%CI:0.54〜0.82)、厳格なITTアプローチ(RR=0.64、95%CI:0.52〜0.80)の研究において、LAIは再発/入院の予防に対しOAPよりも優れた結果が認められた。・LAIは、統合失調症患者のみを対象(RR=0.87、95%CI:0.79〜0.95)、罹病期間が長い(RR=0.88、95%CI:0.80〜0.97)、不安定な患者(RR=0.89、95%CI:0.81〜0.99)、LAIの補充療法としてのOAP使用可能(RR=0.90、95%CI:0.81〜0.99)とした研究において、忍容性の向上が認められた。 著者らは、「全体としてLAIとOAP治療は、初発統合失調症患者の再発/入院の予防や忍容性の関して有意な差が認められなかったが、サブグループ解析では、いくつかの場合において、LAIはOAPよりも優れていることが示されており、OAPがLAIよりも優れている点は見当たらなかった。初発統合失調症患者におけるLAIとOAPの違いをさらに明らかとするためにも、より質の高い実用的な研究が求められる」としている。

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不定愁訴を改善する介入法をRCTで検証/Lancet

 持続性身体症状(persistent physical symptoms:PPS)を有する成人に対して、自己管理の支援に重点を置き、症状に関する説明を強化した臨床的介入(symptom-clinic intervention)は、複数のPPSの改善をもたらすことが、英国・シェフィールド大学のChristopher Burton氏らが実施したプラグマティックな多施設共同無作為化並行群間比較試験「Multiple Symptoms Study 3:MSS3試験」で示された。先行研究で、複数のPPSを抱える人々は生活の質が低下し、医療を受ける機会も不足していることが示されているが、地域の総合診療医(GP)によるコミュニケーションの強化に重点を置いた介入が、PPSを改善するかは検討されていなかった。Lancet誌2024年6月15日号掲載の報告。GPによるコミュニケーションを強化した臨床的介入と通常ケア単独を比較 研究グループは2018年12月6日~2023年6月30日の期間に、イングランドの4つの地域にある英国国民保健サービスの一般診療所108施設において、複数のPPSを有する(患者健康質問票[Patient Health Questionnaire-15:PHQ-15]スコアが10~20)18~69歳の成人を登録し、介入群または通常ケア群に1対1の割合で無作為に割り付けた。介入の性質上、被験者を盲検化することはできなかった。 介入群では、通常ケアに加えて、詳細な病歴や患者の経験に関する十分な聴取、症状についての合理的な説明を行い、患者が症状を管理できるよう最大4回の医療相談を実施した。 主要アウトカムは、無作為化後52週時点でのPHQ-15スコアとし、ITT解析で評価した。52週時点のPHQ-15スコア、介入群12.2 vs.通常ケア群14.1、介入群で有意に改善 計354例が無作為化され、178例(50%)が介入群、176例(50%)が通常ケア群に割り付けられた。 52週時のPHQ-15スコア(平均±SD)は、介入群12.2±4.5、通常ケア群14.1±3.7であった。補正後スコアの群間差は-1.82(95%信頼区間[CI]:-2.67~-0.97)であり、介入群の統計学的に有意な改善が示された(p<0.0001)。 有害事象は、介入群36件、通常ケア群39件が報告された。非重篤な有害事象の発現率(群間差:-0.03[95%CI:-0.11~0.05])ならびに重篤な有害事象の発現率(群間差:0.02[95%CI:-0.02~0.07])に、統計学的な有意差は認められなかった。介入に関連する重篤な有害事象も認められなかった。

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