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統合失調症に対して最も良好なシータバースト刺激プロトコールは

 反復経頭蓋外磁気刺激(rTMS)の1つであるシータバースト刺激(theta burst stimulation:TBS)は、頭蓋上のコイルから特異的なパターン刺激を発生することで、短時間で標的脳部位の神経活動を変調させる。TBSには、間欠的な刺激パターンであるintermittent TBS(iTBS)による促通効果と持続的な刺激パターンであるcontinuous TBS(cTBS)による抑制効果がある。現在までに、統合失調症に対するTBSプロトコールがいくつか検討されているが、その有効性に関しては、一貫した結果が得られていない。藤田医科大学の岸 太郎氏らは、成人統合失調症患者に対し、どのTBSプロトコールが最も良好で、許容可能かを明らかにするため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。JAMA Network Open誌2024年10月1日号の報告。 2024年5月22日までに公表された研究を、Cochrane Library、PubMed、Embaseデータベースより検索した。包括基準は、TBS治療に関する公開済み、未公開のランダム化臨床試験(RCT)および統合失調症スペクトラム、その他の精神疾患またはその両方の患者を含むRCTとした。Cochraneの標準基準に従ってデータ抽出および品質評価を行い、報告には、システマティックレビューおよびメタ解析の推奨報告項目ガイドラインを用いた。研究間のバイアスリスクは、Cochrane Risk of Bias Tool ver.2.0で評価し、ネットワークメタ解析の信頼性アプリケーションを用いて、メタ解析結果のエビデンスの確実性を評価した。文献検索、データ転送精度、算出については、2人以上の著者によるダブルチェックを行った。主要アウトカムは、陰性症状に関連するスコアとした。頻度論的ネットワークメタ解析では、ランダム効果モデルを用いた。連続変数または二値変数の標準平均差(SMD)またはオッズ比は、95%信頼区間(CI)を用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・9つのTBSプロトコールを含む30件のRCT(1,424例)が抽出された。・左背外側前頭前野に対するiTBSのみが、シャム対照群と比較し、陰性症状を含む各症状の改善を認めた。【陰性症状スコア】SMD:−0.89、95%CI:−1.24〜−0.55【全体的な症状スコア】SMD:−0.81、95%CI:−1.15〜−0.48【PANSS総合精神病理スコア】SMD:−0.57、95%CI:−0.89〜−0.25【抑うつ症状スコア】SMD:−0.70、95%CI:−1.04〜−0.37【不安症状スコア】SMD:−0.58、95%CI:−0.92〜−0.24【全般的認知機能スコア】SMD:−0.52、95%CI:−0.89〜−0.15・陽性症状スコア、すべての原因による中止率、有害事象による中止率、頭痛の発生率、めまいの発生率は、いずれのTBSプロトコールおよびシャム対照群の間で有意な差は認められなかった。 著者らは「左背外側前頭前野に対するiTBSのみが、統合失調症患者の陰性症状、抑うつ症状、不安症状、認知機能改善と関連しており、忍容性も良好であった。統合失調症治療におけるTBSの潜在的な効果を評価するためには、さらなる研究が求められる」と結論付けている。

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日本におけるアルツハイマー病への多剤併用と有害事象との関連〜JADER分析

 アルツハイマー病は、世界的な健康関連問題であり、有病率が増加している。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)やNMDA受容体拮抗薬などによる現在の薬物治療は、とくに多剤併用下において、有害事象リスクと関連している。香川大学の大谷 信弘氏らは、アルツハイマー病治療薬の組み合わせ、併用薬数と有害事象発生との関係を調査した。Medicina誌2024年10月6日号の報告。 日本の医薬品副作用データベース(JADER)より、2004年4月〜2020年6月のデータを分析した。対象は、AChEI(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)またはNMDA受容体拮抗薬メマンチンで治療された60歳以上のアルツハイマー病患者2,653例(女性の割合:60.2%)。有害事象とアルツハイマー病治療薬の併用および併用薬数との関連を評価するため、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・JADERに報告されたアルツハイマー病治療薬の使用状況は、ドネペジル単剤療法41.0%、リバスチグミン25.0%、ガランタミン17.3%、メマンチン7.8%、メマンチン+AChEI 8.9%であった。・併用薬数は、併用薬なし17.5%、1種類10.2%、2種類8.6%、3種類10.0%、4種類6.1%、5種類以上47.7%であった。・主な併存疾患の内訳は、高血圧35.2%、脂質異常症13.6%、糖尿病12.3%、脳血管疾患10.7%、睡眠障害7.4%、虚血性心疾患6.1%、うつ病4.7%、パーキンソン病4.3%、悪性腫瘍3.1%。・有害事象の頻度は、徐脈6.4%、肺炎4.6%、意識変容状態3.6%、発作3.5%、食欲減退3.5%、嘔吐3.5%、意識喪失3.4%、骨折3.4%、心不全3.2%、転倒3.0%。・メマンチン+AChEI併用療法は、徐脈リスク上昇と関連していた。・ドネペジル単独療法は、骨折、転倒リスク低下との関連が認められた。・多剤併用療法は、有害事象、とくに意識変容状態、食欲減退、嘔吐、転倒の発生率上昇と有意な相関が認められた。・5種類以上の薬剤を使用した場合としなかった場合の調整オッズ比は、意識変容状態で10.45、食欲減退で7.92、嘔吐で4.74、転倒で5.95であった。 著者らは「アルツハイマー病治療における有害事象発生率は、アルツハイマー病治療薬の既知の有害事象や併用パターンとは無関係に、併用薬数と関連している可能性が示唆された」と結論付けている。

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境界性パーソナリティ障害に非定型抗精神病薬は有効なのか〜メタ解析

 境界性パーソナリティ障害(BPD)患者は、心理社会的機能に問題を抱えていることが多く、その結果、患者自身の社会的関与能力の低下が認められる。英国・サセックス大学のKatie Griffiths氏らは、成人BPD患者の心理社会的機能の改善に対する非定型抗精神病薬の有効性を検討した。Psychiatry Research Communications誌2024年9月号の報告。 1994〜2024年に実施されたプラセボ対照ランダム化比較試験6件をメタ解析に含めた。対象は、オランザピン、クエチアピン、ziprasidone、アリピプラゾールのいずれかで治療されたBPD患者1,012例。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析では、BPD患者の心理社会的機能の治療において、非定型抗精神病薬の小さな改善を示す証拠が明らかとなった。・とくに、非定型抗精神病薬は、プラセボと比較し、機能の全般的評価(GAF)スコアの改善が認められた。・複数の研究より、GAFのp値を組み合わせたところ、統計学的に有意であることが示唆された。・非定型抗精神病薬は、対人関係、職業機能、家族生活の質の改善においても、プラセボより優れていた。・社会生活、余暇活動においても、ポジティブな改善傾向が認められた。・非定型抗精神病薬治療では、体重増加や過鎮静など、既知の副作用発現がみられた。 著者らは「BPD患者に対する非定型抗精神病薬治療は、心理社会的機能やその他の症状改善に有用であるが、その効果は、プラセボをわずかに上回る程度であり、臨床的意義については議論の余地が残る。そのため、より多くのランダム化比較試験が必要とされる」としている。

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第238回 若い社員の退職理由、「コロナ後遺症」は本当なのか?

国立感染症研究所が発表する最新の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の2024年第45週(11月4~11日)の定点当たり報告数は1.47人。第34週(8月19~25日)の8.8人から現在のところ11週連続で低下している。もっともここ最近、個人的には気になることがあった。一般に新型コロナは若年者では重症化しないと言われているが、今春頃から「うちの若い社員が後遺症でかなり苦しんでいる」という話を3人の知人から別々に聞いていたからだ。ちなみにこの3人同士はまったく面識がない。そして先週、また別の知人と会食していた際に「うちの会社ではすでに今年に入って新人が2人、新型コロナの後遺症がつらいということで相次いで退職した」と聞かされた。まあ、昨今は入社早々、退職代行業者を使って勤務先を辞めてしまうという事例も増えているので、私は当初、「辞める言い訳にでも使っているのではないか?」ぐらいに考えていたのだが、こうも立て続くとさすがに尋常ではないと感じ始めた。しかも、いずれのケースも若い社員が訴えるのは「集中力の極端な低下」や「ブレインフォグ」。会食した友人の話によると、辞めた新人のうちの1人は、感染後、勤務先で「PCのディスプレイに向かっても、表示されている文章が頭に入ってこない」と言っていたという。ということで、ちょっと論文検索をしてみたところ、以下の2件の論文が気になった。1つは中国・清華大学のグループによる研究1)。新型コロナ軽症者185人の感染前後での安静時脳波(EEG)を比較し、補足的に行った認知症状などに関するアンケート結果も含めてまとめた研究である。感染前後のEEGのデータがある点について、ふと不思議に思ってしまったが、論文によると元々の本研究の対象者は、さまざまな年齢層での長期的EEG追跡を目的とした研究の被験者で、たまたまこうしたデータが取れてしまったということらしい。研究では年齢別に成人(26歳以上)、若年成人(20~25歳)、思春期若年者(10~19歳)、小児(4~9歳)に分けて感染前後の影響を調査しているが、若年成人で、記憶、言語、感情処理の機能に関与する側頭葉領域で顕著な脳波の乱れや認知機能の低下が認められたという。もう1つの研究2)はコロンビア大学アービング医療センター放射線科グループによるもの。これも新型コロナパンデミック前から健常ボランティアを対象に行っていた神経画像研究に関連し、ワクチン登場前の新型コロナ感染者(5人)と非感染者(15人)の比較研究である。サンプルサイズは小さいが、新型コロナに関して高齢者に関する研究が多い中で、対象者の年齢中央値が37歳とかなり若い点が特徴的と言える。それによると、前頭葉領域で神経細胞の喪失や炎症を伴う損傷を示唆する組織学的変化が確認された。ちなみに神経認知データの結果では感染者群では悪化傾向はあったものの、非感染者群との有意差は認められなかったという。もっとも2つの研究がかなりの制約の中で行われたものであり、しかも結果に一貫性があるとは言い切れない以上、現時点では数々の示唆の1つに留まる。とはいえ、冒頭で紹介したような偶然にしては似たような状況が重なり過ぎると、どうしても気になってしまうのだ。一応、日本国内でも一部で後遺症に関する研究は行われているようだが、概観すると高齢者などに着目したものや概論的なものがほとんどのようだ。昨今は新型コロナに対する世間の危機感が薄れつつある。とりわけ重症化しにくい若年者では、どうしても高齢者よりは新型コロナをなめがちになる可能性は否めない。しかも、若年者の場合、ワクチンも任意接種で費用は1万5,000円前後となれば、余計のこと感染対策から遠ざかってしまう。このような状況を踏まえると、新型コロナの感染対策を前進させるためには、こうした若年者での正しい知識に基づく危機感の醸成の一環として、後遺症の実態も必要ではないかと思うのだが…。参考1)Sun Y, et al. BMC Med. 2024;22:257.2)Lipton M.L, et al. Heliyon. 2024;10:e34764.

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統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析

 長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬は、症状の重症度や入院リスクの軽減など、統合失調症患者のアウトカム改善に寄与する。しかし、経口抗精神病薬からLAI抗精神病薬に切り替えた場合のアウトカムは十分に明らかになっていない。サウジアラビア・Jazan UniversityのAmani Kappi氏らは、統合失調スペクトラム症患者における経口抗精神病薬からLAI抗精神病薬に切り替えた際の臨床アウトカム、QOL、医療利用アウトカムを明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of the American Psychiatric Nurses Association誌オンライン版2024年10月23日号の報告。 対象研究をPubMed、Scopus、PsycInfo、CINAHLのデータベースより検索した。メタ解析を行うため、Comprehensive Meta-Analysisのプログラムを用いた。 主な結果は以下のとおり。・包含基準を満たした研究は41件であった。・LAI抗精神病薬に切り替え後、症状重症度、再入院回数、救急外来受診、医療費全体について改善が認められた。・社会機能の有意な改善も確認された。・外来受診頻度には、差が認められなかった。・LAI抗精神病薬の開始前と開始後では、薬局での費用が増加していた。 著者らは、「抗精神病薬の投与経路を経口からLAIに変更すると、統合失調症患者の臨床アウトカム、QOL、医療利用アウトカムを改善することが裏付けられた。より良い臨床アウトカムおよび医療利用の最適化のために、医療従事者は統合失調症治療においてLAIの早期使用を検討すべきであろう」と結論している。

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抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連

 抗てんかん薬が早期に処方されていた患者は、そうでない患者に比べて認知症発症リスクが低下する可能性を示唆するデータが報告された。横浜市立大学大学院医学研究科脳神経外科学の池谷直樹氏らが国内のレセプトデータを用いて行った解析の結果であり、「Alzheimer's & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions」に9月10日、短報として掲載された。 アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患による認知症(変性性認知症)は、脳内でのアミロイドβやタウタンパク質の蓄積が主要な原因と考えられており、それらの変化は変性性認知症発症のかなり以前から生じていることが知られている。また、変性性認知症と関連しててんかん様の症状を来すことがあり、そのような病態に対しては抗てんかん薬が変性性認知症治療に対して現在使われている薬剤とは別の機序で、進行抑制に寄与する可能性が、基礎実験や小規模な症例報告で示されている。しかし、これまで大規模なデータを用いた研究で、その効果が示されたことがなかった。これを背景として池谷氏らはレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いたコホート研究を行った。 2014年8月と5年後の2019年8月の外来患者データから、年齢が55~84歳で、2019年時点でてんかんと診断されているが、2014年時点ではてんかんと診断されていない(=新たにてんかんを発症した)患者を抽出した上で、2014年時点で認知症と診断されている患者を除外。その患者群から、傾向スコアマッチングにより背景因子(年齢や性別、併存疾患)を調節し、抗てんかん薬の処方の有無が異なるデータセットを作成した。 評価項目は2019年時点での変性性認知症の診断とし、血管性認知症は評価対象から除外した。なお、データセットは2件作成され、主要解析(コホート1)には、新たにてんかんを発症し、2014年時点で抗てんかん薬が処方されていた患者を含め、抗てんかん薬早期処方の影響の評価を可能とした。二つ目のデータセット(コホート2)は感度分析に用いられ、2014年と2019年のいずれか、あるいは両時点でてんかんの診断がある患者を含めた。 コホート1は各群4,489人(両群ともに女性48.0%)であり、2019年時点で変性性認知症と診断された患者は、抗てんかん薬処方あり群が340人(7.6%)、処方なし群が577人(12.9%)であって、オッズ比(OR)0.533(95%信頼区間0.459~0.617)と、抗てんかん薬処方あり群において変性性認知症の診断が有意に少なかった。コホート2は各群2万3,953人(両群ともに女性48.3%)であり、2019年時点で変性性認知症と診断された患者は、抗てんかん薬処方あり群1,128人(4.7%)、処方なし群1,906人(8.0%)であって、OR0.556(同0.514~0.601)と、コホート1同様に抗てんかん薬処方あり群において変性性認知症の診断が有意に少なかった。 なお、探索的分析として、処方されていた抗てんかん薬のタイプ(広域スペクトルと狭域スペクトル)別に変性性認知症の診断率を比較した結果、明確な違いは認められなかった。 著者らは、NDBを用いた観察的横断研究であることを解釈上の留意点として述べた上で、「てんかん診断前の抗てんかん薬の使用はその後の変性性認知症の発症率の低さと関連していた。これは、てんかんの早期症状(脳波異常などを含む)を基に、認知症の発症を抑える目的で、抗てんかん薬を早期処方することを正当化する根拠となり得る」と結論付け、「前向き研究が必要とされる」と付け加えている。 なお、本研究結果は匿名レセプト情報等を基に、著者らが独自に解析・作成した結果であり、厚生労働省が作成・公表している統計等とは異なる。

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うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法、安定後は継続または中止?

 カナダ・トロント大学のRoger S. McIntyre氏らは、抗うつ薬治療とブレクスピプラゾール補助療法の併用により安定したうつ病患者における、ブレクスピプラゾール補助療法の継続または中止による再発までの期間を比較するため、第III相多施設共同二重盲検プラセボ対照並行群間ランダム化中止試験を実施した。Acta Neuropsychiatrica誌オンライン版2024年10月17日号の報告。 対象は、2〜3回の抗うつ薬治療で効果不十分であったうつ病成人患者1,149例。すべての患者に対し、ブレクスピプラゾール2〜3mg/日による補助療法を開始した(第A相、6〜8週間)。症状が安定した患者(第B相、12週間)489例は、ブレクスピプラゾール補助療法群(継続群)240例またはプラセボ補助療法群(中止群)249例に1:1でランダムに割り付けられた(第C相、26週間)。主要エンドポイントは第C相における再発までの期間、副次的エンドポイントはうつ病評価尺度スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・再発までの期間中央値は、1回以上の投与を行った患者の場合、両群ともにランダム化から63日であった。・再発基準を満たした割合は、継続群で22.5%(54例)、中止群で20.6%(51例)であった(ハザード比:1.14、95%信頼区間:0.78〜1.67、log-rank検定のp=0.51)。・うつ病評価尺度スコアは、第A〜B相で改善し、その効果は第C相でも維持された。・平均体重は、第A〜B相で2.2kgの増加が認められ、第C相では安定した。 著者らは「再発までの期間は、ブレクスピプラゾール補助療法を継続した場合と中止した場合において、同程度であった。いずれも、安定したうつ病患者の80%において、最終診断時に再発が認められなかった。ブレクスピプラゾール補助療法は、最大46週間にわたり忍容性が良好であり、中止後の副作用も最低限であった」と結論付けている。

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日本の小中高生の自殺リスク「学校に行きたくない」検索量と関連

 自殺は、日本における小児および青年期の主な死因となっている。自殺リスクの検出に、インターネットの検索量が役立つ可能性があるが、小児および青年期の自殺企図とインターネット検索量との関連を調査した研究は、これまでほとんどなかった。多摩大学の新井 崇弘氏らは、自殺者数と学校関連のインターネット検索量との関連を調査し、小児および青年期の自殺予防の主要な指標となりうる検索ワードの特定を試みた。Journal of Medical Internet Research誌2024年10月21日号の報告。 2016〜20年の警視庁より提供された日本の小中高生における自殺企図の週次データを用いて、検討を行った。インターネットの検索量は、Googleトレンドから収集した20の学校関連ワードの週次データを用いた。自殺による死亡者数と関連ワードの検索量との時間的な前後関係とタイムラグを推定するため、グレンジャー因果性検定および相互相関分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・「学校に行きたくない」「勉強」の検索ワードは、自殺発生率とのグレンジャー因果性が認められた。・相互相関分析では、「学校に行きたくない」では-2〜2(タイムラグ最高値:0、r=0.28)、「勉強」では-1〜2(タイムラグ最高値:-1、r=0.18)の範囲で有意な正の相関が認められ、自殺者数の増加に伴い検索量の増加が示唆された。・COVID-19パンデミック期間中(2020年1〜12月)では、「学校に行きたくない」の検索傾向は、「勉強」とは異なり、自殺頻度との高い関連性が認められた。 著者らは「『学校に行きたくない』のインターネット検索量のモニタリングは、小児および青年期の自殺リスクの早期発見につながり、Webベースのヘルプライン表示の最適化に役立つ可能性が示唆された」とまとめている。

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慢性期統合失調症患者の低握力が認知機能や精神症状と関連

 握力の低さや非対称性は、認知機能の低さと関連していることが報告されている。しかし、統合失調症入院患者における握力の低さと精神症状、握力の非対称性と認知機能および精神症状との関連は不明である。中国・Southwest Medical UniversityのJianlin Pu氏らは、慢性期統合失調症入院患者の認知機能および精神症状を評価する指標としての握力の妥当性を評価するため、本検討を実施した。PLOS ONE誌2024年9月26日号の報告。 2023年8月、慢性期統合失調症入院患者235例を募集した。利き手の握力を3回測定し、最高値を用いて低握力患者(男性:28kg未満、女性:18kg未満)を特定した。非利き手の握力と利き手の握力の比が0.9〜1.1の範囲外であった場合、非対称群と定義した。認知機能の評価にはモントリオール認知評価中国版(MoCA-C)、精神症状の評価には陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。握力と評価尺度スコアとの関連を評価するため、一般化線形モデル分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・共変量調整一般化線形モデルでは、握力の低さとMoCA-CスコアおよびPANSSスコアとの強い関連性が認められた。【MoCA-Cスコア】オッズ比(OR):0.819、95%信頼区間(CI):0.710〜0.945、p=0.006【PANSSスコア】OR:1.113、95%CI:1.036〜1.239、p=0.006・同様に、握力が低く、非対称である患者では、MoCA-CスコアおよびPANSSスコアとの強い関連性が認められた。【MoCA-Cスコア】OR:0.748、95%CI:0.653〜0.857、p<0.001【PANSSスコア】OR:1.118、95%CI:1.032〜1.211、p=0.006 著者らは「握力の非対称性の有無に関わらず、握力の低さは、 MoCA-Cスコアが低く、PANSSスコアが高くなる傾向があり、統合失調症入院患者の認知機能低下および精神症状の重症度と関連している可能性が示唆された。握力の低い患者をスクリーニングすることは、慢性期統合失調症入院患者の認知機能や精神症状を特定するための有益かつ直接的なアプローチとなりうる」と結論付けている。

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中年初期の質の低い睡眠は中年後期の脳の老化と関連

 入眠困難や睡眠維持困難などの睡眠の質の低下が認められる中年初期の人は、中年後期になると脳の老化が進んでいる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のClemence Cavailles氏は、「脳スキャンを用いて試験参加者の脳年齢を測定したわれわれの研究から、質の低い睡眠は、中年期の段階で、脳年齢の3年近くの加齢と関連していることが示唆された」と述べている。米国立老化研究所の資金提供を受けて実施されたこの研究の詳細は、「Neurology」に10月23日掲載された。 本研究では、589人の成人(平均年齢40.4±3.4歳、女性53%)を対象に、中年初期の睡眠と脳の老化の進行との関連が検討された。これらの参加者は、試験開始時とその5年後に睡眠パターンに関する質問票に回答しており、試験開始から15年後に脳スキャンを受けていた。Cavailles氏らは、質の低い睡眠を、「短い睡眠時間」「悪い睡眠の質」「入眠困難」「睡眠維持困難」「早朝覚醒」「日中の眠気」の6個の特徴に分類し、参加者をこれらの特徴が該当する数(0〜1個、2〜3個、4個以上)に応じて3群に分けた。 年齢、性別、高血圧、糖尿病などの潜在的な交絡因子を調整して解析した結果、質の低い睡眠の特徴が2〜3個該当した人と4個以上該当した人では0〜1個該当した人と比べて、脳年齢がそれぞれ1.6歳と2.6歳高いことが明らかになった。また、5年間の追跡期間を通じて、「悪い睡眠の質」「入眠困難」「睡眠維持困難」「早朝覚醒」が持続していた場合には、脳年齢の増加と関連していることも示された。 ただし、この研究では関連性が示されただけであり、質の低い睡眠が脳の老化の原因であることが証明されたわけではない。しかし、論文の上席著者であるUCSF精神医学分野のKristine Yaffe氏は、「われわれの研究結果は、脳の健康を維持するために、若いうちから睡眠問題に対処することの重要性を強調するものだ。例えば、一貫した睡眠スケジュールの維持、運動の実施、就寝前のカフェインやアルコール摂取の回避、リラクゼーションテクニックの使用などがそうした対処法の例だ」と述べている。 Yaffe氏はさらに、Neurology誌のニュースリリースの中で、「今後の研究では、質の低い睡眠を改善する新しい方法を見つけ、若い人の脳の健康に対する睡眠の長期的な影響を調査することに焦点を当てるべきだ」と述べている。

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高齢者の認知症予防に最も有用な野菜の種類は?

 オーストラリア・エディスコーワン大学のNegar Ghasemifard氏らは、オーストラリアの高齢女性における、特定の野菜を含む総野菜摂取量と長期の老年性認知症リスクとの関連を調査した。Food & Function誌2024年10月28日号の報告。 対象は、地域在住の70歳以上の高齢女性1,206人。ベースライン時(1998年)、検証済みの食物摂取頻度調査票を使用して、野菜の総摂取量、野菜の種類別摂取量(黄/オレンジ/赤い野菜[YOR]、アブラナ科、ネギ科、緑色の葉野菜[GLV]、豆類)を推定した。老年性認知症は、80歳以降に発症するすべての認知症と定義した。入院およびまたは死亡を含む老年性認知症イベントは、リンクした健康記録より収集した。関連性の評価には、多変量調整(APOE4遺伝子を含む)Cox比例ハザードモデルの制限付き3次スプラインを用いた。 主な結果は以下のとおり。・14.5年間のフォローアップ期間中(約1万5,134人年)の、老年性認知症イベントは207件(17.2%)、老年性認知症による入院は183件(15.25%)、死亡は83件(6.9%)であった。・野菜総摂取量が最低四分位(Q1)の女性と比較し、摂取症の多い女性(Q3、ただしQ4ではない)では、老年性認知症による死亡リスクが39%低下した。・Q1と比較し、YOR摂取量がQ4の女性は、老年性認知症イベント(47%)、入院(46%)、死亡(50%)のリスクが一貫して低かった。・同様に、ネギ科の摂取量が最も多い(Q4)女性は、Q1と比較し、老年性認知症イベント(36%)、死亡(49%)のリスクが低かった。・GLV摂取量が最も多い(Q4)女性では、老年性認知症による死亡が45%低下していた。 著者らは「認知症予防に対し、野菜総摂取量は重要であるが、老年性認知症リスクを考慮すると、ネギ科、GLV、とくにYORが最も有用である可能性が示唆された。これらの結果が、男性にも当てはまるかについては、男性を含むコホートでの検証が必要とされる」としている。

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パンデミック中は国内在留外国人の自殺率も高まった

 国内に暮らす外国人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中の自殺率に関するデータが報告された。外国人もパンデミックとともに自殺率が上昇したこと、男性においてはそのような変化が日本人よりも長く続いていたことなどが明らかにされている。筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野と国立国際医療研究センターグローバルヘルス政策研究センターの共同研究で、谷口雄大氏、田宮菜奈子氏、磯博康氏らによる論文が「International Journal for Equity in Health」に7月31日掲載された。 日本は世界的に見て自殺率が高いことが知られている。またCOVID-19パンデミック中に自殺率の上昇が認められた、数少ない国の一つでもある。一方、外国人の自殺率がパンデミックの影響を受けたのか否かは明らかにされていない。外国人は社会経済的な不平等にさらされやすく、医療アクセスの問題も抱えていることが多いため、パンデミック発生によって日本人よりも強い負荷が生じていた可能性がある。これらを背景として谷口氏らは、パンデミック中の国内在留外国人の自殺率がどのように変化したのかを、日本人と対比しながら詳細に検討した。 2016~2021年の厚生労働省「人口動態調査」の個票データから、自殺による死亡に関するデータを取得。年齢、性別、国籍の情報が欠落している人を除外したところ、この間の自殺者数は、日本人が12万1,610人(うち女性31.2%)、外国人は1,431人(同37.5%)だった。年齢については日本人男性が中央値52歳(四分位範囲38~68)、日本人女性は同55歳(39~72)、外国人男性は48歳(31~63)、外国人女性は50歳(35~63)だった。本研究では四半期ごとの自殺率を、人口に占める自殺者数の割合で表し、パンデミック前の対照期間(2016~2018年)の自殺率の変動との差分(difference-in-differences;DD)を算出することで、パンデミックの影響を推定した。 四半期ごとの自殺率を日本人と外国人で比較すると、男性と女性の双方において、常に日本人の自殺率の方が高値で推移していた。この差は、自殺率が高かった高年齢層の割合が、日本人で高かったことが一因と考えられる。年齢で層別化(40歳未満、40~59歳、60歳以上)して解析した結果、59歳以下の層において日本人と外国人との自殺率の差が顕著だった。 国籍別に見ると、パンデミック前より自殺率が高いことが報告されていた韓国・朝鮮籍の人では、ほかの国籍の外国人や日本人よりも高い自殺率で推移し、特に60歳以上の男性で顕著に高値だった。なお、韓国・朝鮮籍の自殺者数は、外国人自殺者の過半数(男性50.4%、女性51.1%)を占めていた。 ところで、パンデミック発生とともに国内の自殺率はいったん低下し、その後、反転して高値となったことが知られている。日本人におけるパンデミック初期の自殺率低下は、危機的状況における社会的な連帯感の高まり、労働時間の減少、政府による給付金などが背景にあるのではないかと推測されているが、外国人は、それらの恩恵を受けにくかった可能性がある。実際に本研究でも、2020年第2四半期のDDは、日本人の方が外国人よりも有意に低かった。 例えば、対照期間と比較した場合の同四半期の男性の自殺率は、日本人ではDD-0.90(95%信頼区間-1.12~-0.68)と統計学的に有意に低下したのに対して、外国人は0.97(同0.096~1.85)と有意に上昇しており、日本人と在留外国人の自殺率の推移の差を示すDDの差(difference-in-difference-in-differences;DDD)が1.87(1.20~2.54)と有意だった。女性においても、同四半期の日本人では自殺率が有意に低下した一方、外国人では有意な変化が認められず、DDDは1.23(0.51~1.94)と有意だった。 また、日本人男性における自殺率は2021年第3四半期以降、対照期間と有意でないレベルに低下した一方、外国人男性の自殺率は有意な上昇が続き、同年第4四半期のDDDは1.48(0.81~2.15)と有意であり、パンデミックの影響が日本人よりも長期間続いていた可能性が考えられた。なお、女性のDDDについては2021年以降、日本人と在留外国人の間で有意な差を認めなかった。 著者らは、「COVID-19パンデミック中、全体として在留外国人と日本人の双方で自殺率の上昇が見られた。初期には日本人では自殺率の低下が観察されたが外国人では見られず、また外国人男性の自殺率は2021年末まで高止まりしていた。われわれの研究結果は、パンデミックのような状況においては、社会経済的に脆弱な集団に対して適切なメンタルヘルスサポートが必要なことを示唆している」と総括。また、パンデミック中に外国人男性、特に、失業率が高かったと報告されている韓国・朝鮮籍の男性において自殺率が特に上昇していたことを指摘し、「適切な雇用機会の確保も重要」と述べている。

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自殺リスク、曜日や祝日との関連は?/BMJ

 ほとんどの国では自殺リスクは月曜日に最も高く、元日に増加するが、週末やクリスマスでは国や地域によって異なることを、韓国・釜山大学のWhanhee Lee氏らが、Multi-City Multi-Country(MCC)Collaborative Research Networkのデータベースを用いた解析の結果を、報告した。これまでの研究では、自殺リスクは曜日によって異なることが報告されているが、研究対象地域が限定され、方法論的枠組みが不均一であったため、結果の一般化には限界があった。BMJ誌2024年10月23日号掲載の報告。26ヵ国740地点、約170万件の自殺について解析 研究グループは、MCC Collaborative Research Networkのデータベースを用い、1971年1月1日~2019年12月31日における26ヵ国740地点の自殺のデータを収集した(国によってデータの期間は異なる)。 各国の各地点における1日当たりの自殺者数を合計して国別の1日当たりの自殺者数とし、曜日および3つの祝日(元日、クリスマス、その他の国民の祝日)と自殺との関連を解析した。 合計170万1,286件の自殺が解析に組み込まれた。月曜と元日は、ほとんどの国で自殺リスクが高い 研究期間中、10万人当たりの自殺率が高かったのは韓国(26.7)、南アフリカ(24.2)、日本(24.0)、エストニア(22.6)であった。 平日(月~金曜日)の自殺リスクは、すべての国で月曜日が最も高く、相対リスク(相対参照:水曜日)はコスタリカの1.02(95%信頼区間[CI]:0.95~1.10)からチリの1.17(1.09~1.25)の範囲にわたっていた。 週末(土~日曜日)の自殺リスクは国によって異なり、北米、アジア、欧州のほとんどの国では平日より低い(1週間のうちで最も低い)一方で、中南米、南アフリカ、フィンランドでは平日より高かった。 また自殺リスクは、ほとんどの国において元日で顕著に増加することが示された。相対リスクは日本の0.93(95%CI:0.75~1.14)からチリの1.93(1.31~2.85)の範囲にわたっていた。一方、クリスマス当日の自殺リスクは国によって異なっていた。相対リスクはスイスの0.54(0.39~0.76)から南アフリカの1.89(1.01~3.56)の範囲にわたり、中南米と南アフリカではわずかに増加するが、北米と欧州ではわずかに減少することが認められた。 その他の国の祝日当日の自殺リスクは、ほとんどの国で減少することが認められた。相対リスクは英国の0.80(95%CI:0.71~0.89)からチリの1.14(0.97~1.35)の範囲であったが、とくに中南米で祝日の1~2日後に、わずかだがリスクが増すことが認められた。

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日本の頭痛外来受診患者、頭痛の種類や特徴は?

 頭痛外来を受診した患者に関する単一施設研究の報告は行われているものの、日本で実施された多施設共同研究は、これまでほとんどなかった。静岡赤十字病院の今井 昇氏らは、日本において頭痛外来を受診した患者の臨床的特徴、頭痛の種類、重症度、精神疾患の併存について多施設分析を実施し、ギャップを埋めることを目指し、本研究を実施した。Clinical Neurology and Neurosurgery誌オンライン版2024年10月15日号の報告。 3ヵ所の頭痛外来を受診した頭痛患者2,378例を対象に、臨床的特徴をプロスペクティブに評価した。視覚的アナログスケール(VAS)などのベースライン時の人口統計学的特徴、7項目の一般化不安障害質問票(GAD-7)やこころとからだの質問票(PHQ-9)などの精神疾患の評価を行った。頭痛の種類は、片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)、その他の一次性頭痛疾患、二次性頭痛に分類した。頭痛の種類間でのパラメータを比較するため、必要に応じてKruskal-Wallis検定または共分散分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・最も多かった頭痛の種類は、片頭痛(78.8%)であり、次いで緊張型頭痛(12.2%)、二次性頭痛(5.5%)、その他の一次性頭痛疾患(2.1%)、TAC(1.6%)であった。・片頭痛患者は、初診時の年齢が他の頭痛患者よりも有意に若年であった。【片頭痛】年齢中央値:32.0歳【緊張型頭痛】年齢中央値:47.0歳【二次性頭痛】年齢中央値:39.0歳【その他の一次性頭痛疾患】年齢中央値:49.5歳【TAC】年齢中央値:47.0歳・TAC患者は、重症度と精神症状が最も重度であり、VAS(p<0.001)、GAD-7(p=0.019)、PHQ-9(p<0.001)のスコア中央値が、他の頭痛患者よりも有意に高かった。【TAC】VAS:90.0、GAD-7:7.0、PHQ-9:7.5【片頭痛】VAS:70.0、GAD-7:5.0、PHQ-9:5.0【緊張型頭痛】VAS:50.0、GAD-7:4.0、PHQ-9:4.0【その他の一次性頭痛疾患】VAS:65.0、GAD-7:4.0、PHQ-9:3.5【二次性頭痛】VAS:60.0、GAD-7:3.0、PHQ-9:3.5 著者らは「頭痛外来を受診した患者の多くは、片頭痛患者であった。TAC患者は、他の頭痛患者よりも頭痛の重症度および精神症状が有意に高いことが確認された」とまとめている。

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自宅で行う脳刺激療法がうつ病の症状を軽減

 自宅で行う脳刺激療法により、中等度から重度のうつ病を安全かつ効果的に治療できることが、米テキサス大学マクガバン医学部精神医学部長のJair Soares氏らが実施した臨床試験で示された。Soares氏らによると、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と呼ばれる非侵襲的な脳刺激療法は、治療反応率とうつ病寛解率においてシャム刺激よりも優れていたという。この研究結果は、「Nature Medicine」に10月21日掲載された。Soares氏は、「この研究結果は、気分障害に苦しむ患者に、近い将来、革新的な治療法が利用可能になるかもしれないという希望をもたらすものだ」と述べている。 Soares氏らは、ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)での評価で重症度が中等度以上と判定された18歳以上のうつ病患者174人(平均年齢38.3±10.92歳、女性120人)を対象に、自宅で10週間にわたって行うtDCSの有効性を、シャム刺激との比較で検討するランダム化比較試験を実施した。対象者は、脳に本物の電気刺激を受ける群(介入群)とシャム刺激を受ける群(対照群)にランダムに割り付けられた。試験で使用したtDCSは、うつ病患者で活動低下が頻繁に認められる背外側前頭前野をターゲットに、2つの電極を通して0.5〜2mAの弱い電流を流すもので、患者が自分で行うことができる。介入群に割り付けられた対象者は、自宅で1回30分の刺激を、最初の3週間は週5回、その後の7週間は週3回受けた。 その結果、10週間後のHDRSスコアは、介入群では9.41点低下したのに対し、対照群では7.14点の低下にとどまっており、介入群では対照群に比べてうつ病の症状が有意に軽減したことが明らかになった。また、HDRSでの評価に基づくと、介入群の臨床反応性は対照群よりも有意に高く、治療反応率は、介入群で58.3%、対照群で37.8%であった。うつ病寛解率は、同順で44.9%と21.8%であった。 論文の上席著者である、英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)情動神経科学・心理療法分野教授のCynthia Fu氏は、「うつ病の負担を強く感じているのは、今現在、症状と闘っている世界中の2億8000万人の人々だ。抗うつ薬とセラピーを組み合わせた治療は、多くの人において効果的ではあるが、薬は日常生活に支障を来す副作用を伴い得る」と話す。その上で同氏は、「われわれの研究は、tDCSが、治療を必要としているうつ病患者にとって治療の第一選択になる可能性があることを証明した」と付け加えている。なお、本研究は、tDCSで使う刺激装置の製造元であるFlow Neuroscience社から資金提供を受けて実施された。

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統合失調症に対する電気けいれん療法後の再発率〜メタ解析

 統合失調症患者における急性期電気けいれん療法(ECT)後の再発リスクに関するエビデンスは、うつ病患者の場合と比較し、再発率に関する明確なコンセンサスが得られていない。関西医科大学の青木 宣篤氏らは、統合失調症における急性期ECT後の再発に関する縦断的な情報を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2024年10月4日号の報告。 統合失調症および関連疾患に対する急性期ECT後の再発や再入院に関するランダム化比較試験(RCT)、観察研究をシステマティックレビューおよびメタ解析に含めた。主要アウトカムは、ECT後3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月時点における再発統合推定値とし、ランダム効果モデルを用いて算出した。サブグループ解析では、維持療法の種類別にECT後の再発率を評価した。 主な結果は以下のとおり。・6,413件中29研究(3,876例)が適確基準を満たした。・バイアスリスクは、すべてのRCT(4件)では一貫して低く、観察研究(25件)では低〜高の範囲であった。・急性期ECTで治療反応が認められた統合失調症患者の再発統合推定値は、次のとおりであった。【3ヵ月時点】24%(95%信頼区間[CI]:15〜35)【6ヵ月時点】37%(95%CI:27〜47)【12ヵ月時点】41%(95%CI:34〜49)【24ヵ月時点】55%(95%CI:40〜69)・急性期ECT後、継続/維持ECTに抗精神病薬を追加した場合、6ヵ月後の再発率は20%(95%CI:11〜32)であった。 著者らは「統合失調症に対する急性期ECTは、6ヵ月以内の再発が多く、とくに最初の3ヵ月以内に起こる可能性が高かった。再発率は、6ヵ月には横ばいとなったが、約半数は2年以内に再発すると予想される。統合失調症患者に対する急性期ECT後の治療戦略を最適化するためには、さらに質の高い研究が求められる」と結論付けている。

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変形性関節症/関節リウマチ患者の約4割が抑うつ、不安、線維筋痛症のいずれかを合併

 変形性関節症(OA)、関節リウマチ(RA)の患者はいずれも約10人に4人が不安、抑うつ、線維筋痛症のうち少なくとも1つを合併しているとする研究結果が「ACR Open Rheumatology」に7月16日掲載された。これらの併存疾患は自記式の多次元健康評価質問票(MDHAQ)で適切にスクリーニングできる可能性があることも示された。 OA患者とRA患者の合併症は類似しており、いずれも抑うつ、不安や線維筋痛症の合併率が高いことが知られている。しかし、実臨床ではこれらの併存疾患のスクリーニングは十分に行われていない。米ラッシュ大学医療センターのJuan Schmukler氏らは、2011年から2022年にかけて同センターを受診したOA患者361人(平均年齢66.6歳、女性80%)およびRA患者488人(同56.9歳、86%)を対象に、MDHAQの回答から不安、抑うつ、線維筋痛症の有病率などを検討するため、後ろ向きの横断研究を実施した。 なお、MDHAQには全般的な状態を評価するRAPID3、線維筋痛症の評価ツールであるFAST4、抑うつ状態の評価ツールであるMDS2、不安の評価ツールであるMAS2が含まれている。また、これら3つの併存疾患の有無とMDHAQに含まれる疼痛など別の指標の結果との関連も検討した。解析にはMantel-Haenszel法を用いた。 その結果、OA患者の40.4%(361人中146人)、RA患者の36.3%(488人中177人)が不安、抑うつ、線維筋痛症のうち少なくとも1つが陽性と判定された。OA患者の8.6%(361人中31人)、RA患者の7.0%(488人中34人)は3疾患全て陽性だった。また、不安、抑うつ、線維筋痛症のそれぞれが陽性だった場合に、身体機能、疼痛、全体の評価、RAPID3それぞれが悪化するオッズ比(OR)を算出したところ、不安が陽性だったRA患者における身体機能悪化のORが2.58と最も低く、線維筋痛症が陽性だったRA患者における疼痛悪化のORが35.75と最も高く、その他の場合はこれらの数字の中間となった。 著者らは「MDHAQを使用すれば、不安、抑うつ、線維筋痛症のスクリーニングを臨床現場で行えることが分かった。これによってOAやRA患者の状態や予後、治療への反応について、よりよい情報が得られるだろう」と述べている。著者の一人は製薬企業との利益供与を明らかにしており、別の著者はMDHAQおよびRAPID3の著作権と商標を有している。

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MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析

 軽度認知障害(MCI)は、認知症の前駆段階であり、通常の老化による認知機能低下よりも進行することが特徴である。高齢MCI患者における機能低下の抑制、認知機能向上に対する有望なアプローチとして、運動介入への期待が高まっている。しかし、最適な運動様式とその量(用量反応関係)に関する研究は、十分に行われていなかった。中国・大連理工大学のYingying Yu氏らは、用量反応関係を最適化し、十分な強度を確保し、ポジティブな神経学的適応を誘発することによりMCI患者にとって最適な運動様式を特定するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2024年9月12日号の報告。 対象は、MCI患者に対する運動介入の有効性を評価した研究。2024年4月15日までに公表された研究を、PubMed、Embase、Scopus、Web of Science、Cochrane Central Register of Controlled Trialsなどの電子データベースより、システマティックに検索した。主要アウトカムは、全体的な認知機能および実行機能とした。ペアワイズおよびネットワークメタ解析の両方で、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・包括基準、除外基準を適用し、42件(2,832例)の論文をネットワークメタ解析に含めた。・有酸素運動にさまざまな要素を組み合わせた身体活動であるマルチコンポーネント運動は、受動態的対照群と比較し、標準平均差(SMD)が1.09(95%信頼区間[CI]:0.68〜1.51)であり、全体的な認知機能低下を軽減するうえで、良好な有効性が示唆された。・同様に、マルチコンポーネント運動は、実行機能にも有意な影響を示した(SMD:2.50、95%CI:0.88〜4.12)。・30分のセッションを1週間当たり3〜4回実施し、介入期間を12〜24週間、強度を最大心拍数60〜85%で行った場合、全体的な認知機能改善に高い効果が得られることが示唆された。・30〜61分のセッションを25週間以上行った場合、実行機能に対し、優れた効果が認められた。 著者らは「MCI患者の全体的な認知機能および実行機能改善に対し、マルチコンポーネント運動が最も効果的な介入であることが確認された。とくに中程度〜強度の運動を、3回/週以上行うこと最も効果的であると考えられ、より短時間なセッションを頻繁に行うことで、認知アウトカムを最適化する可能性が示唆された」と結論付けている。

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本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会

 2024年10月、日本がんサポーティブケア学会と日本サイコオンコロジー学会は『がん患者における気持ちのつらさガイドライン』(金原出版)を発刊した。本ガイドラインは、がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズの第4弾となる。第65回日本肺癌学会学術集会において、本ガイドラインの作成委員長の藤澤 大介氏(慶應義塾大学医学部)が本ガイドライン作成の背景、本ガイドラインで設定された重要臨床課題と臨床疑問(CQ:クリニカルクエスチョン)を紹介した。気持ちのつらさはがん治療や生命予後に悪影響 がん患者における気持ちのつらさは、QOLの低下や痛みの増強を招くだけでなく、がん治療のアドヒアランスの低下を招き、入院期間の延長や生命予後の悪化にもつながる。しかし、その多くは予防や治療が可能であると藤澤氏は強調する。そこで、本ガイドラインでは臨床における気持ちのつらさへの対応方法をアルゴリズムとして示した。 まず、気持ちのつらさへの対応の大原則として「初めから精神心理の専門家が関わるのではなく、すべての医療従事者が温かく常識的な対応をすることが重要である」と藤澤氏は述べた。具体的には、(1)支持的なコミュニケーション、(2)気持ちのつらさの可能性への気付き、(3)ニーズの特定と対応、(4)気持ちのつらさに類似した医学的状況の除外、が必要である。これらの対応をしたうえで、気持ちのつらさが持続する場合や、症状の重い気持ちのつらさが存在する場合には、より精神・心理ケアに特化した介入を検討するという流れである。詳細はガイドラインを参照されたい(p.96~100)。閾値以上の気持ちのつらさの緩和に関する9つのCQを設定 本ガイドラインでは、気持ちのつらさを緩和するための介入について、6つの重要臨床課題と9つのCQを設定した。なお、介入の効果の指標としてはうつ、不安、両者を統合したdistressを用いた。また、気持ちのつらさは正常範囲のものではなく、臨床的介入が必要とされる一定の重症度以上(閾値以上)のものを対象としている。 藤澤氏は、本発表では9つのCQのうち「薬物療法(CQ1、2)」「協働的ケア(CQ4)」「早期からの緩和ケア(CQ5)」「ピアサポート(CQ7)」について紹介した。 9つのCQのなかで、唯一強い推奨となったのは、協働的ケアであった(CQ4、推奨の強さ1[強い]、エビデンスの確実性[強さ]:A[強い])。協働的ケアとは、プライマリ・ケア提供者と精神心理の専門家が協力体制を作って、系統的なケアを提供するというモデルである。海外では、プライマリ・ケア提供者はトレーニングを受けた看護師が担うことが多い。協働的ケアは、本ガイドラインでは強い推奨となったものの「本邦での現状を考えると、実施していない施設が多いのではないか」と藤澤氏は指摘した。そこで、解決策として「がん診療拠点病院には、認定専門看護師が在籍しており、がんカウンセリング料などが算定できる。また、緩和ケアチームが機能していることが多いと考えられるため、がん診療拠点病院にハブとして機能していただき、精神心理の専門家、精神科などと連携しながら系統的な介入の実施を検討していくのが良いのではないか」と述べた。 続いて、藤澤氏は薬物療法について説明した。薬物療法で用いられるのは抗不安薬(CQ1)、抗うつ薬(CQ2)であるが、これらは本ガイドラインでは弱い推奨となった。この根拠として、対象をがん患者に限定すると、薬物療法のエビデンスはあまり確立していないことが挙げられた。ただし、抗不安薬や抗うつ薬は、がん患者に限定しなければ、不安やうつに対して十分なエビデンスを有しているため、有害事象について慎重に考慮したうえで使用することを提案するという形であると、藤澤氏は説明した。 早期からの緩和ケア(CQ5)については、「気持ちのつらさの改善を目的とした場合、単独では推奨しない」という推奨となった。この根拠としては、閾値以上の気持ちのつらさを有する患者を対象とした研究がなかったこと、閾値を設定しない研究では良好な結果もあったものの有意差がない研究が多かったことが挙げられた。ただし、藤澤氏は「早期からの緩和ケアは、進行がんの患者における症状緩和やQOLの向上に有益であることがわかっており、すべてのがん患者に対して実施を考慮すべきという基本スタンスは変わっていない」と付け加えた。 ピアサポート(CQ7)についても、早期からの緩和ケアと同様に「気持ちのつらさの改善を目的とした場合、単独では推奨しない」という推奨となった。こちらも、その根拠としてはエビデンス不足が挙げられた。ただし、うつ・不安以外のアウトカムの改善(例:自己効力感の向上)を認める研究はあり、「実施を否定するものではなく、より専門的な精神心理的介入と併用しながら実施することは十分に考えられる」と藤澤氏は述べた。 本発表の結語として、藤澤氏は「気持ちのつらさに対する介入には、すべての医療者が行うべき対応と、より専門的な介入がある。すべての医療者が重要なプレイヤーであり、専門的な介入に関するエビデンスを踏まえながら協働的に実施する形を作っていきたい」と述べた。

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レカネマブかドナネマブか?【外来で役立つ!認知症Topics】第23回

アルツハイマー病治療における新たな選択肢わが国でアルツハイマー病(AD)の疾患修飾薬として認可されたレカネマブとドナネマブのどっちがいい? 今日、これがAD治療の最前線の話題かもしれない。両者は、ADの原因物質とされてきたアミロイドを標的とする抗アミロイドβモノクローナル抗体である(図1)。図1 抗アミロイドβモノクローナル抗体が作用する仕組み画像を拡大する開発中のAD治療薬:ターゲットの新潮流ところが今日では、ADの新薬開発における主流は、このアミロイド、あるいはもう一つの老舗物質のタウから、ほかのターゲットへと移ってきている。たとえば炎症や免疫、またシナプスの可塑性と神経保護などへの薬である。とはいえ、「アルツハイマー病治療薬開発のPipeline:2024」1)が指摘するように、この種の薬剤が米国食品医薬品局に承認されるまでに、うまくいっても、基礎研究を入れると13年、臨床研究で8年弱かかる。だから当面はアミロイドとタウを標的とする薬剤の効果的な使い方が臨床現場の最大課題になるだろう。歴史的にみると、本疾患の名付け親のアロイス・アルツハイマー博士は、看取ったアウグステという女性の若年性AD患者の死後、脳を剖検した。その結果、この疾患の主要な病理所見は、アミロイドを主成分とする老人斑とタウが主成分の神経原線維変化(NFT)だとした。以来、治療薬開発においてアミロイドとタウが主流にあった。なおAD脳では、老人斑が出現した後に神経原線維変化が現れる。だから理論的には、病初期にアミロイドを消滅させればNFTも生じないはずである。ところが従来の研究的治療では、アミロイドを消してもADは進行した。どうもアミロイドはこの病気の火付け役であって、ほかにも悪役達がいると考えられるようになった。だから炎症や免疫、シナプスの可塑性や神経保護等に注目する創薬へシフトしたと言うこともできる。レカネマブとドナネマブの比較ポイントさて本題のレカネマブかドナネマブかを論じるうえでのポイントは、まずは効果、そして最大の副作用ARIA(脳血管周囲の浮腫と出血)の発生率だろう。またいずれも医療機関で点滴投与するだけに、投与頻度は大きな問題である。さらに作用機序の異同に注目する人も多い。効果の指標は、図2のように症状の軽減率と病気進行を遅らせる期間に要約されるだろう。レカネマブでは軽減率27%、期間7.5ヵ月2)、またドナネマブでは28.9%、5.4ヵ月3)とされる。ほぼ互角といってよい。副作用ARIAは、レカネマブで脳の浮腫や滲出液貯留(ARIA-E)が12.6%、微小出血(ARIA-H)が17.3%認められた。ドナネマブではARIA-Eが24.0%、ARIA-Hは31.4%であった。これについてはレカネマブが優れているかもしれない。投与方法はいずれも点滴であり、前者は2週間に1度、後者は4週間に1度である。これについて多くの人はドナネマブを好むだろう。図2 効果の指標:症状の軽減率と病気進行を遅らせる期間画像を拡大するアミロイドβターゲットの違いレカネマブとドナネマブのターゲットの違いは図3のとおりだ。アミロイド、とくにアミロイドβは、初めは小さなかたまり(凝集体)だが、だんだんと大きな老人斑へと成長する。かたまりの大きさに応じて、モノマーとかオリゴマーなど「プロトフィブリル」と総称される初期の段階を経て、最終的に老人斑として沈着する。レカネマブはプロトフィブリルと、より大きなアミロイド斑とに結合するとされる。一方ドナネマブは、脳に沈着後にある程度の時間が経ち「ピログルタミル化」という修飾がなされたアミロイド斑に選択的に結合する。図3 レカネマブとドナネマブのターゲット画像を拡大するさて、アミロイドが神経細胞に対して持つ毒性は、老人斑にあるのではない。その比較的初期の段階に最も毒性が強いとされる。それならレカネマブのほうがより効果は強いのではないかと思える。ところが実際には、効果はまあ互角である。これに関しては、臨床の場では、まだ知られていない作用や効果の関与があるのかもしれない。今後のAD治療の展望終わりに、AD治療薬の開発もその普及も容易ではない。たとえば、ドネペジルに先んじて1993年にAD治療薬の嚆矢となったコリンエステラーゼ阻害薬tacrineは肝毒性のためすぐに発売後すぐに市場から消えた。また世界初の疾患修飾薬aducanumabは、2024年1月31日、製造も治験も中止になってしまった。これからのAD治療において、疾患修飾薬への一辺倒にはならないだろうと思う。実際、両方の薬剤の治験では、ドネペジルなど既存の対症療法薬も併用されたケースが多かった。既存薬は残存神経細胞にいわば「喝!」を入れ、疾患修飾薬は病気の進行に「歯止め」をかけるものだろう。だから基本方針は、対症療法と病気進行阻止の両者を併用することだろう。心配される併用による副作用だが、両薬剤の治験において、そのような副作用は聞いていない。今後は、臨床の場では、併用による相乗効果をもたらすような投与法のさじ加減が注目されるだろう。参考1)Cummings J, et al. Alzheimer's disease drug development pipeline: 2024. Alzheimer's disease drug development pipeline: 2024. Alzheimers Dement (N Y) . 2024;10:e12465.2)van Dyck CH, et al. Lecanemab in Early Alzheimer's Disease. N Engl J Med. 2023;388:9-21.3)Sims JR, et al. Donanemab in Early Symptomatic Alzheimer Disease: The TRAILBLAZER-ALZ 2 Randomized Clinical Trial. JAMA. 2023;330:512-527.

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