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うつ病予防の主要ターゲットとしての入眠障害

 うつ病は、世界中で問題となる疾患の1つであり、再発率が高いため、うつ病発症を予防することが重要である。メタ解析において、不眠症が、うつ病の修正可能なリスク因子であることが示唆されていたが、これまでの研究では、不眠症がうつ病前の残存症状なのか、うつ病の併存症状なのかについては、十分に考慮されていなかった。オランダ神経科学研究所のTessa F. Blanken氏らは、睡眠障害がうつ病のリスク因子であるかを検討するため、6年間のプロスペクティブ研究を実施した。Sleep誌オンライン版2019年12月2日号の報告。 対象は、うつ病および不安症に関するオランダの研究より、これまでにうつ病を経験していない参加者768例。合計6年間にわたり、4回の反復調査を実施し、フォローアップを行った。ベースライン時の不眠症の重症度、短時間睡眠、個々の不眠症に関する問題が、フォローアップ期間中にうつ病発症を予測したかを評価するため、Cox比例ハザード分析を用いた。個々の不眠症に関する問題の中に、直接的な予測因子があるかを評価するため、ネットワークアウトカム分析の新しい手法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・6年間のフォローアップ期間中にうつ病を発症した参加者は、141例(18.4%)であった。・うつ病発症の予測は、睡眠時間ではなく、不眠症の重症度との関連が認められた(HR:1.11、95%CI:1.07~1.15)。この関連は、個々の不眠症に関する問題の中で、入眠障害により推進された(HR:1.10、95%CI:1.04~1.16)。・ネットワークアウトカム分析では、同様の結果が得られ、入眠障害に関する問題のみが、うつ病発症を直接的に予測した。 著者らは「入眠障害は、うつ病発症のリスク因子であることが示唆された。うつ病を予防し、世界的な負担を軽減するために、各不眠症状の中で、入眠障害をターゲットとした治療が有益な可能性がある」としている。■「うつ病軽減」関連記事うつ病患者、入浴がうつ症状を軽減

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長期介護施設入居者の不眠症やベンゾジアゼピン使用と転倒リスク

 高齢者の負傷の主な原因である転倒は、長期介護施設の入居者において、とくに問題となる。中国・復旦大学のYu Jiang氏らは、長期介護施設の入居者を対象に、睡眠の質や睡眠薬の使用が転倒に及ぼす影響について評価した。このような研究は、中国ではこれまでほとんど行われていなかった。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2019年11月21日号の報告。 対象は、上海の中心部にある25の長期介護施設より募集した605例。睡眠の質と睡眠薬の使用に関するベースライン調査、転倒および転倒での負傷に関する1年間のフォローアップ調査を実施した。単変量および多変量解析には、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・605例(女性の割合:70.41%、平均年齢:84.33±6.90歳)のうち、1年間の転倒の発生率は21.82%、転倒による負傷の発生率は15.21%であった。・不眠症は19.83%、睡眠薬の使用は14.21%に認められた。・潜在的な交絡因子で調整した後、不眠症は転倒リスクの増加と有意な関連が認められた(調整リスク比:1.787、95%信頼区間:1.106~2.877)。・ベンゾジアゼピン使用は、転倒による負傷リスクの増加と有意な関連が認められた(調整リスク比:3.128、95%信頼区間:1.541~6.350)。 著者らは「長期介護施設に入居する高齢者においては、不眠症とベンゾジアゼピン使用のいずれもが、転倒や負傷リスクの増加と関連していることが明らかとなった。転倒を予防するためには、睡眠の質を改善するための非薬理学的介入、より安全性の高い睡眠薬の使用、ベンゾジアゼピン使用者への管理強化が必要とされる」としている。

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長期抗精神病薬治療が体重に及ぼす影響~コホート研究

 抗精神病薬は、長期間にわたり使用されることが多いにもかかわらず、体重への影響に関するエビデンスの大半は、短期的な臨床試験による報告にとどまっている。とくに、抗精神病薬の投与量による体重への影響については、ほとんど調査されていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJuan Carlos Bazo-Alvarez氏らは、3種類の第2世代抗精神病薬を高用量または低用量で開始した患者における体重への短期的および長期的変化について検討を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2019年11月14日号の報告。 本研究は、2005~15年に英国プライマリケアにて精神疾患と診断された患者を対象としたレトロスペクティブコホート研究。3種類の第2世代抗精神病薬(オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)の初回使用より調査を行った。主要アウトカムは、性別および高用量または低用量で層別化した後の、抗精神病薬治療開始の4年前と4年後との体重変化とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、女性2万2,306例、男性1万6,559例であった。・オランザピン治療は、体重変化が最も高く、高用量でより多くの体重増加が認められた。・4年後の体重増加は、オランザピンの高用量(5mg超)女性で平均+6.1kg、低用量(5mg以下)で平均+4.4kgであった。・オランザピン治療の最初の6週間における体重増加は、高用量で平均+3.2kg、低用量で平均+1.9kgであった。・男性でも、その傾向は同様であった。・リスペリドンおよびクエチアピン治療患者では、短期的および長期的な体重増加は少なかった。 著者らは「オランザピン治療は、体重増加が最も多かった。高用量とより多くの体重増加との関連が認められた。臨床医は、メンタルヘルス上のベネフィット、体重増加、その他の有害事象とのバランスを取るため、最低有効量による治療を心掛ける必要がある」としている。

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地域密着型認知症治療の現状調査~相模原市認知症疾患医療センターでの調査

 日本では認知症対策として地域密着型統合ケアシステムを促進するため、2013年に認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)を策定し、2015年に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)として改訂を行った。これらのプログラム導入後、地域の認知症ケアにどのような影響を及ぼすかについては、十分な研究が行われていない。北里大学の姜 善貴氏らは、相模原市認知症疾患医療センターにおける認知症診断を含む医療相談経路の調査を通じて、地域密着型認知症治療の現状について調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。 対象は、認知症の鑑別診断または治療のために相模原市認知症疾患医療センターで診断を受けた患者1,480例(男性:585例、女性:895例)。薬物療法前の診察に至る経路と相談後の診断との関連について調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・紹介なしで受診した患者は、認知症と診断されるケースが有意に少なかった。・精神科以外のクリニックから紹介された患者では、認知症と診断されるケースが有意に多かった。・施設タイプと抗認知症薬の使用または非使用の比較において、有意な差が観察された。・抗認知症薬の処方率は、精神科病院および精神科以外のクリニックにおいて有意に高かった。・各施設で処方されている抗認知症薬のうち、約30%が保険適用外であった可能性が示唆された。 著者らは「地域密着型統合ケアシステムは、各地域内でのコラボレーションを促進することを目的としている。しかし、認知症患者に対する適切な薬物療法に関する情報は、非専門医や地域住民に十分浸透していない。医療スタッフが認知症に対する理解を深め、患者に対するより良い認知症サポートを提供できるようにするための人材ソリューションが必要とされる」としている。

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統合失調症の維持療法における抗精神病薬使用ガイドラインのレビュー

 慶應義塾大学の下村 雄太郎氏らは、統合失調症の維持期における抗精神病薬治療に関する臨床ガイドラインおよびアルゴリズムについて、臨床実践に導くために、これまでのシステマティックレビューに、最新の知見を含めて更新した。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年11月26日号の報告。 統合失調症の維持期における抗精神病薬治療に関する臨床ガイドラインおよびアルゴリズムを特定するため、MEDLINE、Embaseよりシステマティックに文献検索を行った。ガイドライン/アルゴリズムの全体的な品質をAGREE IIに従って評価し、治療推奨事項に関する情報を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・2012年のシステマティックレビュー以降に新たに報告された11件を含む20件のさまざまな地域におけるガイドライン/アルゴリズムを特定した。・すべてのガイドライン/アルゴリズムは、一定レベルの品質を満たしていた。・推奨、部分的推奨、非推奨に分類した。・抗精神病薬の中止戦略に関するガイドライン/アルゴリズムの6件中5件において、複数エピソードの統合失調症に対する抗精神病薬の中止戦略は非推奨であった。・一方で、統合失調症全般(13件中7件、2013年以降では8件中7件)および初回エピソード統合失調症(11件中10件、2013年以降では7件中7件)においては、抗精神病薬の中止戦略は、非推奨から部分的推奨へ移行する傾向が認められた。・抗精神病薬使用における断続的/標的戦略は、減少していた(9件中9件)。・抗精神病薬の中止戦略と同様に、すべての更新または新規のガイドライン/アルゴリズムでは、抗精神病薬の減量/低用量戦略を推奨していた(6件中6件)。 著者らは「統合失調症の維持期における抗精神病薬治療に関する最近の臨床ガイドラインおよびアルゴリズムでは、抗精神病薬の中止、減量、低用量戦略にシフトしていることが示唆された。しかし、臨床医は、これらの戦略のリスクとベネフィットを個々の患者に応じてよく考える必要がある」としている。

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日本人統合失調症患者における1年間の禁煙変化

 岡山県・たいようの丘ホスピタルの樋口 裕二氏らは、日本人の統合失調症患者の喫煙者における禁煙への意欲や行動に関するフォローアップ調査を実施した。BMC Psychiatry誌2019年11月21日号の報告。 参加者は、2016年4月1日時点で1年以上通院しており、過去6ヵ月以内に2回以上受診していた20~69歳の統合失調症外来患者。2016年にプールされた患者680例よりランダムに抽出した420例を対象にベースライン調査を行い、現在の喫煙状況や禁煙段階を含む喫煙行動に関して2017年までフォローアップ調査を実施した。禁煙段階の分布と変化、1年後の喫煙者および非喫煙者数、自然主義的な1年間の禁煙フォローアップによる禁煙率を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン調査の回答者350例中、現喫煙者は113例、元喫煙者は68例であった。・現喫煙者113例中、104例(92.0%)が1年間フォローアップされた。禁煙に関心があった患者は79例(70.0%)であったが、ベースライン時に禁煙治療を受けた患者は7例のみであった。・フォローアップされた104例中、1年後に禁煙を達成していた患者は6例(5.8%)のみであった。・ベースライン時に6ヵ月以内に禁煙する意向を示した患者25例中、1年間禁煙を継続する意向を維持した患者は6例(24.0%)、禁煙の意向を維持できなかった患者は16例(64.0%)であった。 著者らは「統合失調症患者の喫煙者の多くは、禁煙に関心を持っているが、治療を受け、実際に禁煙できる患者はほとんどいないことが明らかとなった。統合失調症患者の喫煙者には禁煙治療のオプションを含め、適時の介入が必要とされる」としている。

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うつ病から双極性障害、認知症へ診断転換する患者像

 大分大学の寺尾 岳氏らは、うつ病と診断された後、双極性障害、最終的に認知症と診断が転換される患者の特徴について、関連文献の定性的レビューを行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2019年11月19日号の報告。 うつ病から双極性障害、認知症と診断転換される患者の特徴について定性的レビューを行った主な結果は以下のとおり。双極性障害と認知症に対してリチウムが効果・うつ病患者は、かなりの割合で躁および/または軽躁エピソードを発現し、その結果、診断が双極性障害へと転換されていた。・さらに、双極性障害患者の多くは、認知症を発症していた。・これまでの研究では、うつ病の早期発症にグリコーゲン合成酵素キナーゼ3β(GSK-3β)の遺伝的変異が関連していることが示唆されていたが、双極性うつ病の可能性のあるサブセットとして、3つのSNP(rs334555、rs119258668、rs11927974)が特定された。・とくに、GSK-3βの他のプロモーターSNP(rs334558)は、うつ病、双極性障害、認知症と関連していることが報告されている。・加えて、GSK-3を阻害することが報告されているリチウムは、一般的に双極性障害に対する効果が認められており、最近では認知症に対する効果も報告されている。 著者らは「うつ病から双極性障害、そして最終的に認知症へと診断が縦断的に転換する患者には特徴があり、GSK-3がこれらの疾患や診断転換の原因である可能性が示唆された」としている。

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がんや心血管疾患による死亡リスクに対する不眠症の影響~メタ解析

 不眠症が死亡率と関連する可能性を示唆するエビデンスが蓄積されつつある。しかし、これらの調査結果に一貫性は認められていない。中国・蘭州大学のLong Ge氏らは、不眠症と死亡率との関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌2019年12月号の報告。 18歳以上の成人を対象に不眠症、不眠症状と死亡リスクとの関連を評価したプロスペクティブコホート研究を、MEDLINE、EMBASEよりシステマティックに検索した。ランダム効果メタ解析を用いてサマリーハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。また、エビデンスの質は、GRADEシステムを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・159万8,628例(男性の割合:55.3%、平均年齢:63.7歳)を含むコホート研究29件が抽出された。フォローアップ期間の中央値は、10.5年であった。・入眠困難、熟眠困難は、すべての原因による死亡リスクの増加と有意な関連が認められた。 ●入眠困難 HR:1.13、95%CI:1.03~1.23、p=0.009、信頼性:中程度 ●熟眠困難 HR:1.23、95%CI:1.07~1.42、p=0.003、信頼性:高度・また、心血管疾患による死亡リスクとの有意な関連も認められた。 ●入眠困難 HR:1.20、95%CI:1.01~1.43、p=0.04、信頼性:中程度 ●熟眠困難 HR:1.48、95%CI:1.06~2.06、p=0.02、信頼性:中程度・入眠困難とすべての原因による死亡リスクとの関連は、中高年に限定的であった(信頼性:中程度)。・不眠症、睡眠維持困難、早朝覚醒と、すべての原因による死亡リスクおよび心血管疾患による死亡リスクとの関連は認められなかった。・不眠症状とがん関連の死亡リスクとの関連は認められなかった。

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万引き家族(後編)【年金の財源を食いつぶす!?「障害年金ビジネス」とは?どうすればいいの?】Part 1

今回のキーワード等級のイメージ等級判定ガイドライン「障害年金認定医」監査機能虚偽診断書等作成罪認定調査前回では、精神障害年金の不正受給が起きる原因を、患者、社会保険労務士(以下、社労士)、精神科医の3つの立ち位置に分けて、ぞれぞれの「ブラックボックス」を明らかにしました。そして、「障害年金ビジネス」の問題点を整理しました。それでは、一体どうすれば良いでしょうか? 今度は、精神科医、年金制度、社会の3つの立ち位置に分けて、それぞれの対策を一緒に考えてみましょう。 精神科医はどうすれば良いの?まず、年金の等級判定に責任を持つ精神科医は、どうすれば良いでしょうか? その対策を大きく3つ挙げてみましょう。(1)年金の等級判定の根拠を増やす1つ目は、年金の等級判定の根拠を増やすことです。等級判定の根拠は、患者が訴える日常生活能力についての「出来ないこと」だけではありません。ここで、根拠を増やす具体的な方法を3つ挙げてみましょう。a. ポジティブな発言も1つ目は、毎回の診察の中で、患者のネガティブな訴えだけでなく、ポジティブな発言も聞き出しておくことです。これは、ストレートに質問すると、なかなか出てきません。あくまで雑談の体裁で引き出すのです。たとえば、最近出来るようになったこと、好きでやっていること、やっていて楽しいこと、大事にしていること、最近感じた小さな幸せ、将来の目標や夢などです。これらは、プラス思考を促す認知行動療法的なかかわりです。と同時に、年金診断書を作る際の「出来ること」の根拠にもなります。これらの情報をきっちりカルテに記載しておくことが重要です。すると、等級判定は、「出来ないこと」だけでなく、「出来ること」も含めたそのバランスを見極めることで、ブレなくなります。b. 発言の様子や行動も2つ目は、発言内容だけでなく、発言の様子や行動もカルテに記載することです。たとえば、話し方や表情、服装、化粧、ヘアスタイル、ヘア染めなどの変化、げっそりしているかふっくらしているかの変化、場合によってはタバコ臭、香水臭、体臭などの特徴です。また、毎回の通院で、1人で交通機関を利用して来院するか、医療費の支払いが出来ているか、診察が終わった後に何をする予定かなどをさりげなく確認するのも重要です。c. 長期的で総合的な評価を3つ目は、短期的でエピソード的な評価ではなく、長期的で総合的な評価をすることです。たとえば、社労士が作成する「病状報告書」にありがちなのが、「○○が出来なくなることがあります」という言い回しの羅列です。これには、期間や頻度が記載されていません。障害がない人でも、風邪をひくなどの体調不良や心理的なストレスでエピソード的に「○○が出来なくなる」ことはあります。それなのに、期間や頻度に触れていないために、あたかも長期的に「出来ないこと」があるように印象付けられ、惑わされるわけです。つまり、訴えに一貫性は確認出来ないです。また、既往の身体障害や好き嫌いや甘え(依存)などの性格(パーソナリティ特性)による「出来ないこと」は除外することです。あくまで、その精神障害によって、言い換えれば、その精神障害ならではの典型症状によって「出来ないこと」を評価します。一方、社労士は、とにかく「出来ないこと」なら何でもカウントして、病状が重い内容の「病状報告書」を作ります。つまり、典型性が不明です。さらに、患者が毎回不調を訴えるわりに薬の調整をまったく望まないのは、合理性がないです。入院レベルの訴えをするわりに入院に抵抗する場合、その理由が合理的かを確認する必要があります。このように、病状に一貫性、典型性、合理性があるかを見極め、日常生活能力を総合的に判定します。(2)年金の等級判定をあらかじめ出しておく2つ目は、年金の等級判定をあらかじめ出しておくことです。つまり、患者が1級、2級、3級、等級なしのどのレベルなのかあらかじめ見極めておくことです。そうすると、更新前の本人の急な訴えや社労士からの「病状報告書」などの「後出しじゃんけん」の情報で、揺さぶられてもブレなくなります。逆に言えば、社労士が介入していることが分かった時点で、転医が年金目当てだと分かった時点で、より慎重にそしてより厳正に診断書を書く必要があるでしょう。なぜなら、それだけ患者があおられている可能性があるからです。ここで、それぞれの等級のイメージを押さえましょう。a. 1級表1のように、1級は、日常生活で出来ないことがほとんど(=×)、つまり身辺自立が出来ない(=×)、ほぼ寝たきりのイメージです。活動範囲は室内かベッド上で、外出には付き添いが必要です。知的障害なら、最重度から重度の知的障害に該当します。つまり、日常生活能力は、乳幼児のレベルです。日常生活能力の程度については、「常時(ほぼ100%)の援助」が必要になります。これは、年金診断書の(5)を○で囲むことになります。また、日常生活能力の判定については、表2のように、「食事管理」「清潔管理」「金銭管理」「病状管理」「対人関係」「安全管理」「社会生活」として個別に7項目あります。「出来る」(1点)、「出来るが時に援助」(2点)、「援助があれば出来る」(3点)、「援助があっても出来ない」(4点)として、それぞれ○で囲みます。なお、これらは、「単身で生活をするとしたら」という前提で判定します。ここが、社労士の「攻め所」です。診断書に「独り暮らしを想定していない」と患者に吹き込み、「出来ないこと」を上乗せして、等級判定を上げようともくろむのです。だからこそ、精神科医は、最初から着地点を見据えることが重要と言えるでしょう。表3の障害等級の目安に従うと、その合計した平均点は、3.5点以上で、4点に近くなります。なお、この障害等級の目安については、厚生労働省から公表されている「精神の障害に係わる等級判定ガイドライン」を基にしています(資料1)。このように、1級は、障害レベルがとても重く、判定は明らかで分かりやすいです。b. 2級表1のように、2級は、日常生活で出来ないことが多い(=△)イメージです。活動範囲は基本的に自宅内です。知的障害なら、中等度知的障害に該当します。つまり、日常生活能力は、小学1年生~3年生のレベルです。日常生活能力の程度については、「多く(50%以上)の援助」が必要になります。これは、年金診断書の(4)を○で囲むことになります。また、日常生活能力の判定については、先ほどと同じように、表2の個別7項目のそれぞれのレベルを○で囲みます。表3の障害等級の目安に従うと、その合計した平均点は、2.0点以上で、3点前後になります。c. 3級表1のように、3級は、日常生活で出来ないことが少ない(=△~○)イメージです。活動範囲は習慣化された外出なら可能です。知的障害なら、軽度知的障害に該当します。つまり、日常生活能力は、小学4年生~6年生のレベルです。日常生活能力の程度については、「時に(50%未満)援助」が必要になります。これは、年金診断書の(3)を○で囲むことになります。また、日常生活能力の判定については、先ほどと同じように、表2の個別7項目のそれぞれのレベルを○で囲みます。表3の障害等級の目安に従うと、その合計した平均点は、1.5点以上で、2点前後になります。3級は、2級との線引きが難しいことがあります。ここが、社労士の狙い目です。社労士は、この3級レベルを2級に仕立てようと働きかけてきます。と言うのも、正社員が加入出来る厚生年金の場合は、3級がありますが、基礎年金だけの場合は、3級がなく、社労士にとってビジネスにならないからです。d. 等級なし表1のように、等級なしは、日常生活で出来ないことがほぼない、つまり普通に出来るイメージです。活動範囲は問題ないです。知的レベルは、境界域知能から正常知能に該当します。つまり、日常生活能力は、中学生~大人のレベルです。日常生活能力の程度については、「普通に出来る」になります。ただ、就労などの社会生活には援助が必要な場合があります。これは、年金診断書の(2)を○で囲むことになります。また、日常生活能力の判定については、先ほどと同じように、表2の個別7項目のそれぞれのレベルを○で囲みます。表3の障害等級の目安に従うと、その合計した平均点は、1.5未満点で、1点に近くなります。等級なしは、3級との線引きが難しいことがあります。しかし、2級とはさすがにレベルが違います。それでも、社労士は、この等級なしのレベルでも何とか2級に仕立てようと働きかけてきます。なぜなら、先ほどと同じように、等級なしのレベルを3級に仕立て上げたとしても、基礎年金だけの場合は、そもそも3級がなく、社労士にとってビジネスにならないからです。これが、前回ご紹介した「万引き家族」の治と信代に指南する社労士の描くシナリオです。(3)年金の等級判定について患者にオープンにする3つ目は、年金の等級判定について患者にオープンにすることです。精神科医がオープンにして説明していないからこそ、患者に不信感を抱かれ、社労士につけ込まれるのです。ここで、オープンにすべきポイントを3つ挙げてみましょう。a. 等級レベル1つ目は、等級レベルです。これは、患者から障害年金の話が出た時点で、何級レベルか、または等級なしのレベルかをあらかじめ伝えることです。そして、その等級レベルの具体的なイメージを説明し、患者に納得してもらうことです。たとえば、2級だと主張する患者に、「一人暮らしで助けてもらうことが日常生活の半分以上ですか?」「数ヵ月にわたってほぼ外出していないと言えますか?」「日常生活で出来ることは小学校低学年並だと思いますか?」と尋ね、まず考えてもらうことです。また、病状が良くなれば障害年金が得られにくくなるのは制度として当然のこと、その一方でそれはリハビリや就労に積極性を生み出すきっかけになり、長期的には患者のためになることも伝える必要があります(心理教育)。さらには、キーパーソンとなる家族に同席してもらい、理解を得るのも良いでしょう。b. 等級判定の根拠2つ目は、判定の根拠です。とくに患者がなかなか納得しない場合、その根拠として、カルテに記載された「出来ること」の発言内容やその時々の患者の様子を伝えることが出来ます。そして、カルテに書かれていることがすべてであり、もともと3級レベルの記載内容のカルテなのに、2級レベルの病状を年金診断書に書くのは虚偽記載になる可能性を説明することです。c. 3級3つ目は、判定の妥当性です。これは、判定には根拠があり、妥当だからこそ、社労士が作成した「病状報告書」「診断書原案・訂正案」に影響を受けないことを先に患者に説明することが出来ます。もっと言えば、診断書について社労士に取り合うことは最初からないと伝えることも出来ます。これは、持久戦の罠に引っかからないためです。さらに、そもそも等級判定が覆らないので、最初からインターネットなどでの障害年金の相談先(社労士)にかかわらないこと、またはすでに相談していたとしても着手のステップに進まないことを推奨することが出来ます。なぜなら、相談費用は0円ですが、着手されたら、等級は変わらなくても、「成功報酬」が発生するからです。この分が年金受給金額から引かれることで、患者が損することを説明することが出来ます。そして、このようなビジネスのあり方は、年金制度のあり方として不適切であると説明することも出来ます。もちろん、セカンドオピニオンを推奨することも出来ます。ビジネスに染まった社労士ではなく、ほかの精神科医が見ても妥当か判断してもらえれば、より客観性が生まれるでしょう。 次のページへ >>

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万引き家族(後編)【年金の財源を食いつぶす!?「障害年金ビジネス」とは?どうすればいいの?】Part 2

年金制度はどうすれば良いの?これまで、「障害年金ビジネス」への精神科医の取り組みをまとめました。しかし、これだけでは限界があります。なぜなら、言いなりになる精神科医がどうしてもいるからです。それでは、年金制度そのものは、どうすれば良いでしょうか? その対策を3つ挙げてみましょう。(1)診断書を手渡しから郵送にする社労士が、精神科医の書いた年金診断書を見る方法は、患者が医療機関から手渡しで受け取った厳封の診断書を、年金事務所に提出する前に、患者に開封させることであると前回説明しました。そして、これは、信書開封罪に当たると説明しました。それにしても、ずいぶん強引です。実は、これが唯一の方法だからです。そうしないと、彼らのビジネスが成り立たなくなってしまうからです。それでは、年金制度として、どうすれば良いでしょうか?1つ目は、診断書を医療機関から年金事務所へ直接郵送して提出する手続きに変更することです。これだけで、社労士は診断書を見ることが出来なくなります。そして、診断書が一度年金事務所に郵送されてしまえば、その時点で、転医して思い通りの診断書を別の精神科医に書いてもらうというこれまでの手口が使えなくなります。これで、社労士の診断書への介入は実質的になくなります。診断書の内容について裁量があるのは、社労士ではなく、精神科医です。そして、繰り返しになりますが、その診断書の作成の責任を負っているのは、社労士ではなく、精神科医です。社労士の本来の役目は、診断書への介入ではなく、患者が必要な書類を準備するサポートです。これまでの年金制度は、厳封された診断書が社労士の指示によって開封されたり破棄されることを想定していませんでした。よって、郵送への手続きの変更は当然であると言えるでしょう。そして、これからのITの時代、年金診断書を年金事務所のウェブサイト上で提出することが可能になることが期待されます。 (2)「障害年金認定医」を作る精神科医のための年金診断書の書き方については、厚労省が「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」を公表しています(資料2)。このマニュアルに忠実に従って診断書を書いている精神科医がいる一方、マニュアルに重きを置いていない精神科医が一部いるのも現実です。彼らは、診断書の書き方が自己流になり、恣意的に独自判断をするため、等級判定が不安定になってしまうのも現実です。この状況は、社労士の診断書への介入を正当化する根拠になってしまっています。それでは、年金制度として、どうすれば良いでしょうか?2つ目は、障害年金の診断書を書くための認定医制度、つまり「障害年金認定医」を作ることです。この制度の目的は、等級判定の安定化、診断書の書き方の標準化、患者への対応の統一化です。そのために必要な規定を主に3つ挙げてみましょう。1つ目は、この「障害年金認定医」でなければ、障害年金の診断書を書けないことです。2つ目は、この「障害年金認定医」になるためには、研修を受けることです。研修と言っても、eラーニングによる講義1時間と等級判定の小テストで十分でしょう。ちょうど、精神神経学会の「精神科薬物療法研修会」や「認知症診療医」と同じイメージです。ハードルが高すぎると、「障害年金認定医」になれない精神科医が現れ、混乱を招くからです。3つ目は、年金診断書への怠慢行為や不正行為に対して、注意、警告、罰則を設けることです。悪質な場合には、認定停止や認定取り消しを可能にします。ここが一番大事なポイントになります。なぜなら、精神科医に診断書の作成に責任があるとは言いながらも、現時点では怠慢行為や不正行為の罰則が明確ではないからです。これまでの年金制度は、患者や社労士に精神科医が言いなりになることを想定していませんでした。よって、「障害年金認定医」を作ることは必要であると言えるでしょう。(3)年金診断書への監査機能を強化する「障害年金認定医」の制度により、精神科医が診断書を適切に書く意識は、高まるでしょう。ただし、いくら罰則があっても、その監視の目がないと、見透かされてしまい、この「障害年金認定医」が形骸化してしまうおそれがあります。それでは、年金制度として、どうすれば良いでしょうか?3つ目は、年金診断書への監査機能を強化することです。ちょうど、保険診療の監査と同じです。もともと精神科医に障害年金の判定の権限が集中している危うさがあるのは確かです。すでに2級を連発している精神科クリニックには、年金事務所からカルテ開示請求が行われているという話もあります。具体的には、このようなカルテ開示請求を増やして、抜き打ちでランダムに定期的に行うことです。とくに、5年前までさかのぼった年金の請求(遡及請求)をする場合は、100万円単位のお金が動きますので、より厳しいチェックを行う必要があります。カルテとの整合性がない場合は、虚偽記載、つまり虚偽診断書等作成罪(刑法第160条)にあたります。これは、社労士ではなく、精神科医がかぶることになります。この取り締まりは、精神科医だけでなく、患者にもすることが必要だと考える人もいるでしょう。確かに、就労状況や給与の有無を所得税などから確認することは可能です。しかし、たとえば、調査員が日常生活能力を確認するために自宅に尋ねる認定調査は、実際には現実的ではないでしょう。その理由は、大きく3つあります。1つ目は、精神障害による日常生活能力の低下は分かりにくく、精神科医ではない調査員が一時的に見ただけでは、その程度を見極めるのは難しいからです。2つ目は、本当に「障害がある」場合、調査員の訪問が精神的な負担になり、病状が不安定になるおそれがあるからです。抜き打ちならなおさらです。3つ目は、「障害がある」ふりをしている場合、その時だけ出来ないふりをすることは出来るからです。抜き打ちなら、居留守を使われる可能性もあります。ちなみに、介護保険の認定調査の場合は、患者は認知症であり、逆に「出来るふり」(取り繕い反応)はしますが、「出来ないふり」はしないです。また、認定されることで得られるのは、お金ではなく、必要なサービスなので、家族も「出来ないふり」を推し進めることはありません。社会はどうすれば良いの?これまで、「障害年金ビジネス」に対しての年金制度の改善点をまとめました。しかし、これでも、最初から障害年金を得ることを目的に医療機関を受診する人に対しては限界があります。なぜなら、彼らは、精神障害について「勉強」して来院するからです。社労士の指南を受けていれば、なおさらです前回の「障害年金ビジネス」の説明で触れたひきこもりの症例のように、その「患者」の訴えは、無駄がなく、教科書的な「うつ病」の典型例になるからです。逆に病状がきれいすぎて、違和感を抱くくらいです。ちょうど、休職診断書を手に入れたい「患者」が、医療機関を渡り歩くうちに、訴えが洗練されていくのと同じです。そして、実際には内服しているか分からない抗うつ薬の処方を希望し続けるのです。さすがに、ここまで「患者」に徹底的にやられると、精神科医は年金診断書を書かないわけにはいかなくなります。これは、医療の限界です。いえ、もはや医療ではないです。このような状況に、社会はどうすれば良いでしょうか?それは、この「障害年金ビジネス」の社会的な認知を高めることでしょう。つまり、不正に年金を手に入れたい患者、それを指南する社労士、それに言いなりになる精神科医の存在をより多くの人が知ることです。そして、たとえば、「受給成功率を上げる」「完全成功報酬制」などの文句が踊るネット広告を見て、まずは違和感を抱くことでしょう。 「本当の社会」とは?「万引き家族」の登場人物の刑事が祥太に「あの人たち(治と信代)ねえ、私たちが家に着いた時、荷物まとめて逃げようとしてるところだったんだよ。あなたを置いて。本当の家族だったらそういうことしないでしょ」と言うシーンがありました。祥太は「本当の家族」ではなかったと気付かされ、はっとします。と同時に、私たちもはっとします。同じように考えれば、「本当の社労士」だったら、「障害年金ビジネス」に手を染めないでしょう。「本当の精神科医」だったら、「障害年金ビジネス」に巻き込まれないようにするでしょう。なぜなら、患者の病状がより良くなってほしいと願うからです。そして「本当の社会」だったら、「障害年金ビジネス」に厳しい目を向けるでしょう。なぜなら、社会がより良くなってほしいと願うからです。 << 前のページへ■関連記事こうして私は追いつめられた【新型うつ病】サイレント・プア【ひきこもり】ツレがうつになりまして。【うつ病】■参考スライド【精神障害の年金診断書の作成のポイント】2019年1)障害年金請求に必要な精神障害の知識と具体的対応:宇佐見和哉、日本法令、20142)精神疾患にかかる障害年金請求手続完全実務マニュアル:塚越良也、日本法令、20163)あなたの障害年金は診断書で決まる!:白石美佐子、中川洋子、中央法規、20194)資格を取ると貧乏になります:佐藤留美、新潮新書、20145)「精神の障害に係わる等級判定ガイドライン」: 国民年金・厚生年金保険6)「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」 : 厚生労働省、日本年金機構

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日本人2型糖尿病患者における経口血糖降下薬使用とうつ病リスク~コホート研究

 2型糖尿病(T2DM)は、うつ病のリスク因子だといわれている。脳内のインスリン抵抗性は、うつ病の潜在的な役目を果たすため、T2DM患者の将来のうつ病リスクは、T2DM治療に使用される経口血糖降下薬(OHA)の種類によって変わる可能性がある。日本大学の秋元 勇人氏らは、特定の種類のOHAがT2DMに併存するうつ病リスクと関連しているかについて、検討を行った。Pharmacology Research & Perspectives誌2019年11月21日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・日本人T2DM患者4万214例、うつ病群1,979例と非うつ病群3万8,235例に分類した。・うつ病発症のオッズ比(OR)は、以下においてDPP-4阻害薬のほうが有意に低かった。 ●年齢(10年間の調整OR[AOR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.99~1.07、p=0.1211) ●性別(女性のAOR:1.39、95%CI:1.26~1.53、p<0.0001) ●HbA1c(1.0%のAOR:1.18、95%CI:1.11~1.26、p<0.0001) ●T2DMの罹病期間(1年間のAOR:1.00、95%CI:0.99~1.01、p=0.4089) ●7つの症状歴(AOR:0.31、95%CI:0.24~0.42、p<0.0001)・他の種類のOHAでは、有意な関連は認められなかった。 著者らは「T2DM治療に対しDPP-4阻害薬を使用することは、うつ病リスクの低さと関連している」としている。

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統合失調症に対する長時間作用型持効性注射剤の無作為化試験のレビュー

 ドイツ・シャリテ医科大学のLuisa Peters氏らは、統合失調症に対する長時間作用型持効性注射剤抗精神病薬(LAI)について、2016年1月~2019年3月に公表されたランダム化比較試験(RCT)データのレビューを行った。Current Psychiatry Reports誌2019年11月19日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・RCT 31件(1次研究:7件、事後解析:24件)、4,738例が抽出された。内訳は、プラセボ対照研究は11件(1,875例)、経口抗精神病薬(OAP)との比較試験7件(658例)、LAI同士の比較試験13件(2,205例)であった。・LAIには、aripiprazole lauroxil nanocrystal dispersion、皮下注射可能なリスペリドン製剤、aripiprazole lauroxil、アリピプラゾール1ヵ月製剤、パリペリドン1ヵ月製剤、paliperidone 3ヵ月製剤、リスペリドンLAIが含まれていた。・再発および入院の予防に関して、LAIは、プラセボよりも有用であり、OAPより部分的に優れていた。また、LAI間で違いは認められなかった。・LAIは、すべての原因による中止、機能、QOL、忍容性に関して、OAPと同等であり、患者満足度およびサービスへの関与が高かった。 著者らは「最近のメタ解析では、さまざまな結果が得られていたが、LAIよりもOAPを優先すべきとの結果には至らなかった。RCTでは、LAIは、プラセボより優れ、OAPよりも部分的に優れていた。LAIとOAPの有効性比較については、さらなる研究が求められる」としている。

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大幅なスピード違反、高級車が多い診療科は?/BMJ

 医師の運転時のスピードや高級車の所有率は、診療科によって異なるのだろうか。米国・ハーバード大学メディカルスクールのAndre Zimerman氏らがスピード違反の切符を切られた医師を対象とした観察研究で、大幅なスピード超過で切符を切られる可能性が高い診療科や、高級車の所有率が高い診療科を調査した。BMJ誌2019年12月18日号(クリスマス特集号)に掲載。 本観察研究の対象は、2004~17年に米国フロリダ州でスピード違反のチケットを切られた医師5,372人と医師以外の1万9,639人。年齢および性別を調整後、制限速度より20mile/時(32.19km/時)を超える大幅なスピード違反、高級車の所有、警察官による違反切符の減免割合を診療科ごとに調査した。 主な結果は以下のとおり。・20mile/時を超える大幅なスピード違反で運転していたドライバーの割合は、違反切符を切られた医師および医師以外で同じだった(26.4% vs.26.8%)。・違反切符を切られた医師の中では、精神科医が大幅なスピード違反で罰金を科される可能性が最も高かった(基準とした麻酔科医に対する調整オッズ比は1.51、95%信頼区間[CI]:1.07〜2.14)。・違反切符を切られたドライバーの中で、循環器科医が最も高級車の所有が多く(違反切符を切られた循環器科医で高級車を所有する割合は40.9%、95%CI:35.9~45.9%)、救急科、家庭医療、小児科、一般外科、精神科の医師では少なかった(例として、家庭医で高級車を所有する割合は20.6%、95%CI:18.2〜23.0%)。・警察官が違反切符を切る際に速度の数字を減らして、罰金額が上がる値のすぐ下の速度を記録することは多くみられたが、その割合は診療科ごと、また医師と医師以外で差はなかった。 今回の観察研究では、スピード違反切符を切られた医師の中で、精神科医が大幅なスピード違反の割合が最も高く、循環器科医が高級車を運転している割合が最も高かった。

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てんかん重積状態が止まらないときの薬剤選択(解説:岡村毅氏)-1162

 精神科医をしていると、世界はいまも謎に満ちていると感じる。ほかの科ではどうであろうか? 教科書だけ見ていると、多くのことが既知になり、予測可能になったように思われる。でも臨床現場はいまだにわからないことだらけだ。医師になって17年が過ぎたが、闇の中で意思決定をし続けなければならない臨床医学に、私はいまだに戦慄することがある。 精神医学の例を挙げだすと深みにはまるので、神経学の例を挙げよう。たとえば、てんかん重積状態である。ベンゾジアゼピンが効かない場合どうすればよいのだろうか? 日本神経学会のガイドラインでは、ホスフェニトインあるいはフェノバルビタールあるいはミダゾラムあるいはレベチラセタムとある。要するに、どれが優れているかわからないのだ。 いま、てんかん重積状態の患者がいるとしよう。初めにベンゾジアゼピンを使うところまでは、自信を持って進める。それでも止まらない場合…そこから先は闇の中を歩まねばならない。 本研究は、米国で一般的に使われるホスフェニトイン、レベチラセタム、バルプロ酸の静脈投与を救命救急科において多施設ランダム化二重盲検試験で比較したものである。連邦規則21 CFR 50.24に基づき、本人の同意は取られることなく試験が行われた。てんかん重積が止まらない状態では生命の危険があり、何が最も効くかはわかっておらず、意識消失しているので同意は取れないため、同意を集めていては研究のしようがないからである。また、現状でも3つの薬剤のどれを使うかは、その施設や担当医の裁量に任されており、患者サイドの体験(何が最も効くかはわからないが何かを投与される)は変わらない。 さて結果は、3剤の優劣は見いだされなかった(いずれも45~47%の効果)。この結果はこれまでの観察研究などの結果とも整合する。 本研究こそは、臨床医が日々接している謎(あるいは闇)を照らすものだ。いま再び、てんかん重積状態の患者がいるとして、初めにベンゾジアゼピンを使うところまでは自信を持って進める。しかし止まらない。この論文が出るまでは、この時点でもはや見える世界の端に到達してしまっていた。しかしこの論文を知ったいま、どれを使ってもほぼ同じ効果が見込めることがわかったので、闇を前にしたときの戦慄は多少抑えられることだろう。人間を相手にしているのだから、私たち臨床医は永久に闇に囲まれてはいるのだけれど。

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長期認知症リスクを予測するためのLIBRAスコア

 現在のところ認知症の根治的治療は解明されておらず、認知症研究の焦点は予防戦略にシフトしつつある。オランダ・マーストリヒト大学のKay Deckers氏らは、修正可能なリスク(冠動脈疾患、糖尿病、高コレステロール血症、高血圧、うつ病、肥満、喫煙、運動不足、腎疾患)および保護因子(低~中程度のアルコール摂取、認知活動、健康的な食事)の12種をスコア化したLIfestyle for BRAin Health(LIBRA)スコアを用いて、アポリポ蛋白E(APOE)の対立遺伝子ε4を基にした遺伝リスクが高いまたは低い人における、中年期および後期の認知症および軽度認知障害(MCI)の予測精度について調査を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年11月17日号の報告。 フィンランドのCardiovascular Risk Factors, Aging and Dementia(CAIDE)集団ベース研究の参加者を対象に、中年期(1,024例)および後期(604例)2回のLIBRAスコア測定を30年後まで実施した。確立された基準に従い、認知症およびMCIの診断を行った。性別および教育を調整したモデルにおけるLIBRAスコアと認知症およびMCIリスクの関連を評価するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・中年期の高LIBRAスコアは、30年後までの認知症(ハザード比[HR]:1.27、95%信頼区間[CI]:1.13~1.43)およびMCI(未調整HR:1.12、95%CI:1.03~1.22)の高リスクと関連が認められた。・後期の高LIBRAスコアは、MCI(HR:1.11、95%CI:1.00~1.25)の高リスクと関連が認められたが、認知症(HR:1.02、95%CI:0.84~1.24)では認められなかった。・後期の高LIBRAスコアは、APOEε4ノンキャリアにおいて、認知症の高リスクと関連が認められた。 著者らは「認知症予防において、修正可能なリスクおよび保護因子の重要性が確認された」としている。

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電子処方ツール導入によるベンゾジアゼピン処方への影響

 電子処方ツール(e処方)は、処方プロセスの妥当性および医療の質に関して、いくつかのベネフィットが認められている。しかし、デジタル化の好ましくない影響である、対面式の直接的な会話を省く簡便かつ迅速な処方プロセスにより、ベンゾジアゼピン(BZD)などの乱用リスクが高い薬剤の処方を促進してしまう可能性がある。スイス・Regional Hospital of Bellinzona and ValliのRosaria Del Giorno氏らは、5つの指導病院ネットワークにおいて、入院患者に対する新規BZD処方に対するe処方の影響を調査するため、パネルデータ調査を行った。Diagnostics誌2019年11月15日号の報告。 2014年7月~2019年4月までの観察期間中に、入院患者4万3,320例の分析を行った。新規BZD処方に対するe処方の影響を推定するため、固定効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・e処方の導入により、新規BZD処方の有意な増加が認められた(絶対値:1.5%増、相対値:43%増[p<0.001])。・この関連性は、男性(絶対値:2.3%増、相対値:65%増[p<0.001])、女性(絶対値:1.8%増、相対値:58%増[p=0.01])、70歳以上(絶対値:1.6%増、相対値:59%増[p<0.001])でも同様であった。・時間依存独立変数で調整後も、e処方の導入により、同様に有意な影響が認められた。 著者らは「e処方導入は、院内での新規BZD処方の有意な増加と関連が認められた。過剰処方や乱用リスクがある薬剤は、リスクを最小限にするためにも、e処方を慎重に使用する必要がある。これらの相互作用を分析し、質の高いケアを推進していくためには、ほかの環境や国でのさらなる研究が求められる」としている。

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PPIで認知症リスクが1.3倍~メタ解析

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用と認知症リスクについて、中国・Anhui Medical UniversityのYun Zhang氏らが、調査を行った。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2019年11月21日号の報告。 英語と中国語のデータベースより、2018年12月までの文献を包括的に検索した。プールされたハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、変量効果モデルを用いて算出した。サブグループ解析と感度分析も実施した。不均一性の評価には、Cochran's Q検定およびI2検定を用いた。出版バイアス評価には、Begg検定およびEgger検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・6研究、16万6,146例が抽出された。・全体的な結果では、PPI使用による認知症リスクの有意な増加が認められた(HR:1.29、95%CI:1.12~1.49)。・サブグループ解析では、PPI使用と認知症リスクとの有意な関連が、欧州の患者(HR:1.46、95%CI:1.23~1.73)および65歳以上(HR:1.39、95%CI:1.17~1.65)で認められた。・フォローアップ期間5年以上では、プールされたHRは、1.28(95%CI:1.12~1.46)であり、PPI使用患者の認知症リスクが1.28倍に増加していることが示唆された。・地域的な影響については、欧州の患者の全体的なプールHR推定値は、1.46(95%CI:1.23~1.73)であった。・出版バイアスは認められなかった。 著者らは「本結果では、PPI使用が認知症リスクを上昇させることが認められた。これらの調査結果を確認するためにも、高品質なコホート研究が求められる」としている。

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青年期双極性障害患者の気分症状~ネットワーク解析

 精神病理学のネットワーク解析では、精神疾患エピソードを引き起こす可能性のある症状間の因果的相互作用を明らかにするため、個々の症状間の関連性が調査されている。米国・カリフォルニア大学のMarc J. Weintraub氏らは、双極性スペクトラム障害またはそのリスクを有する青年の気分症状に関して、ネットワーク解析を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2019年11月15日号の報告。 対象は、治療が必要な亜症候期のうつ症状または躁症状を呈する青年期双極性障害患者および、そのリスクを有する青年272例。半構造化面接にて評価した症状スコアに基づき、うつ症状と躁症状のネットワークを構築し、ネットワーク内の最も中心的な症状および症状コミュニティを特定した。ネットワークパラメータの信頼性の判定には、ブーストラップ法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・うつおよび躁の気分症状極内の症状は、相反する気分症状極よりも、相互の関連が認められた。・抑うつ症状コミュニティと3つの躁症状コミュニティを含む4つのコミュニティが特定された。・ネットワーク全体で、他の症状と最も強い相関関係のある症状は、疲労および抑うつ気分であり、次いで多動であった。・うつ症状と躁症状の架け橋となる症状は、気分不安定性および過敏性であった。 著者らは「疲労や多動などの活動エネルギー症状は、抑うつ気分や気分高揚と共に、青年期双極性スペクトラム症の最も顕著な気分症状である。気分不安定性および過敏性は、極性転換の潜在的な兆候である。これら中心的な症状と架け橋となる症状を標的とすることで、双極性障害のより効率的な評価と治療介入につながると考えられる」としている。

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統合失調症における抗精神病薬減量の成功要因~メタ解析

 慶應義塾大学のHideaki Tani氏らは、統合失調症における抗精神病薬減量の成功を予測する因子を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年11月26日号の報告。 統合失調症における抗精神病薬減量について調査したプロスペクティブ臨床試験およびランダム化比較試験(RCT)を対象に、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・対象研究は、37件であった。・第2世代抗精神病薬(SGA)に焦点を当てた研究は8件、長時間作用型持効性注射剤SGAについて調査した研究はなかった。・再発または症状変化を評価した研究24件中20件(83.3%)は、減量成功基準を満たしていた。・減量成功に関連する因子は、以下のとおりであった。 ●研究期間1年未満 ●40歳超 ●罹病期間10年超 ●減量後のクロルプロマジン(CP)換算量200mg/日超・臨床症状の悪化が認められた場合、用量をベースラインレベルまで増量することで、多くは再び安定化した(8例中7例[87.5%])。・18件のRCTをメタ解析したところ、再発率は、維持群よりも減量群で有意に高かったが(リスク比[RR]:1.96、95%信頼区間[CI]:1.23~3.12)、減量群では認知機能の有意な改善が認められた(標準化平均差[SMD]:0.69、95%CI:0.25~1.12)。・サブグループ解析では、減量後のCP換算量が200mg/日以下の場合のみ、再発リスクの増加が認められた(RR:2.79、95%CI:1.29~6.03)。 著者らは「抗精神病薬の減量を行う際に、罹病期間の短い若年患者では長期的な再発リスクを考慮し、最終的な抗精神病薬の用量をCP換算量で200mg/日超に保つ必要がある。統合失調症における抗精神病薬の減量を成功させるための最適な戦略を考えるうえで、さらなる研究が必要であり、とくにSGAを含む研究が必要とされる」としている。

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要支援高齢者に対するリハビリテーション専門職主導の短期集中型自立支援プログラムの効果

 医療経済研究機構の服部 真治氏らは、介護保険サービスを利用する必要がなくなり、その利用を終了(介護保険サービスから卒業)するための短期集中型自立支援プログラムの有効性を評価した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2019年10月17日号の報告。 短期集中型自立支援プログラムの構成は、一般的な通所型サービスCと同様であるが、今回のプログラムは、リハビリテーション専門職が中心となり、随時、管理栄養士、歯科衛生士も加わり、毎回20分間(状況に応じて10~30分間)の動機付け面談を実施することにより、利用者が自身の可能性に気付き、元の生活を取り戻すための日々の暮らし方を知り、意欲的に自分自身を管理できるようにすることを目的に開発されている。 大阪府寝屋川市にて、2群間並行ランダム化比較優越性試験を実施した。対象は、介護保険における要支援の認定を受けた65歳以上の高齢者のうち、参加同意が得られた介護保険サービス利用者。対象者は、短期集中型自立支援プログラムを追加で受ける介入群と通常の介護保険サービスのみを受ける対照群にランダムに割り付けられた。主要アウトカムは、介護保険サービスからの卒業とした。 主な結果は以下のとおり。・対象者375例は、介入群190例、対照群185例にランダムに割り付けられた。・介護保険サービスからの卒業の割合は、介入群11.1%、対照群3.8%であった(絶対差:7.3、95%CI:2.0~12.5)。・重篤な有害事象リスクは、両群間で差は認められなかった。 著者らは「本研究で開発した短期集中型自立支援プログラムの追加的な利用により、介護保険サービスからの卒業を促進できることが示唆された」としている。

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