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第14回 治療編(1)薬物療法【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第14回 治療編(1)薬物療法今回は、治療編として薬物療法に焦点を当てて解説していきたいと思います。「痛み」の原因の分類で、炎症性疼痛があります。何らかの原因で炎症症状が発現し、それによって発痛物質が作り出されると、それが神経の痛み受容器を刺激する結果として、患者さんは痛みを訴えて受診されます。末梢性炎症性疼痛に対する治療薬として使用されるのが、NSAIDs、ステロイド性抗炎症薬です。アセトアミノフェンはNSAIDsとは異なる作用機序ではありますが、比較的よく用いられております。痛み治療第1段階の薬物療法3種まず、痛み治療の第1段階で頻繁に用いられているNSAIDsから説明しましょう。NSAIDs(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)1)作用機序アラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)系の働きを抑制することで、プロスタグランジン(prostaglandin:PG)E2の生産を減少させ、抗炎症作用、血管収縮作用などにより鎮痛作用を示します。末梢性に効果を発揮するため、炎症や腫脹が見られる時に、とくに効果があります。2)投与上の注意COXには、全身の細胞に常在する構成型酵素のCOX-1と、炎症によって生じるサイトカインの刺激によって炎症性細胞に発現する誘導型酵素のCOX-2が存在します。COX-1由来のPGが胃粘膜の血流維持や粘液産生増加、腎血流維持に働いており、通常のNSAIDsを使用する場合には、COX-1阻害作用によって胃潰瘍や消化管出血、腎血流障害などを生じる可能性があります。一方、選択的COX-2阻害薬は、COX-2由来の血小板凝集阻止作用を有するプロスタサイクリン産生を減少させ、トロンボキサン(thromboxane:TX)A2の産生を維持するため、血圧上昇や動脈硬化、血栓形成を促進させる可能性があります。そのため、活動性の動脈硬化病変がある不安定狭心症、心筋梗塞、脳血管虚血症状を有する患者さんに投与する場合は、できるだけCOX-2阻害薬を避けることが望ましいです。以下、主なNSAIDsと投与量を示します(図)。画像を拡大するステロイド性抗炎症薬1)作用機序ステロイドはリポコルチンの生合成を促進して、ホスホリパーゼA2の作用を阻害するによって、最終的にCOX-2やサイトカインの生成を抑制し、鎮痛効果を発揮します。2)投与上の注意局所炎症、神経圧迫や神経損傷による急性疼痛に対しては有用ではありますが、慢性疼痛に対する効果の持続は限定されます。経口投与では、プレドニゾロン20~30mg/日で開始し、1週間程度で治療効果が得られなければ、漸次減量していきます。硬膜外腔投与にはデキサメタゾン2~8mg、関節内投与には同0.8~2mgを投与します。アセトアミノフェン1)作用機序NSAIDsとは異なり、中枢系プロスタノイドの抑制、内因性下行性疼痛抑制系の活性化、内因性オピオイドの増加などによる鎮痛機序が推測されています。本薬には末梢性消炎作用は存在しないために、炎症性疼痛に対してはNSAIDsの短期間投与が推奨されています。2)投与上の注意最近、安全性の高さから1日最大投与量が4,000mgと規定されました。しかしながら、最大量のアセトアミノフェンを長期投与する場合には、肝機能への影響が懸念されるため、経時的な肝機能のモニタリングに留意する必要があります。通常開始量は325~500mg を4時間ごと、500~1000mgを6時間ごとに最大量4,000mgとして投与します。高血圧や心筋梗塞、虚血性心疾患、脳卒中、などの心血管疾患系のリスクを有する患者さんで筋骨格系の痛み治療が必要になった場合には、アセトアミノフェンやアスピリンが薦められています。これらが無効な場合にはNSAIDsを考慮します。その際は、プロトンポンプインヒビターなど胃粘膜保護薬を消化管出血の予防に使用します。以上、痛み治療の第1段階における薬物を取り上げ、その作用機序、投与における注意点などを述べました。読者の皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。1)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S152-1532)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S1543)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S167

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貧血と認知症と鉄分サプリメントの関連~コホート研究

 従来の認知症のリスク因子に加えて、貧血がその初期のバイオマーカーであるか確認する必要がある。台湾・台北医学大学のChien-Tai Hong氏らは、台湾全民健康保険研究データベースを用いて、新規に貧血と診断された患者における認知症リスクの調査を目的とした人口ベースコホート研究を実施した。Current Alzheimer Research誌オンライン版2020年3月16日号の報告。鉄分サプリメントを使用している貧血患者は認知症リスクが低い傾向 対象は、脳卒中による入院歴および認知症以外の中枢神経疾患・精神疾患・外傷性脳損傷・大手術・失血疾患の既往歴がない貧血患者2万6,343例。人口統計および合併症に基づいて貧血患者と1:4でマッチさせた非貧血患者を対照群とした。貧血患者の認知症リスクの評価には、対照群と比較するため、競合リスク分析を用いた。 新規に貧血と診断された患者における認知症リスクを調査した主な結果は以下のとおり。・貧血患者における認知症リスクの調整部分分布ハザード比(SHR)は、1.14(95%信頼区間[CI]:1.08~1.21、p<0.001)であった。・鉄分サプリメントを使用している貧血患者では、未使用の患者と比較し、認知症リスクが低い傾向にあった(調整SHR:0.84、95%CI:0.75~0.94、p=0.002)。・サブグループ解析では、女性、70歳以上および、高血圧・糖尿病・脂質異常症でない患者において、認知症と貧血との相関が認められた。 著者らは「新規の貧血診断は、認知症のリスク因子であることが示唆された。鉄欠乏性貧血患者に対する鉄分サプリメント使用は、認知症リスクを低下させる可能性がある」としている。

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疲れを巡る最新研究(後編)…身体の疲れ?精神疾患?PCR検査で判別する時代に

講師紹介前編へストレスが疲労感を減らす!?近藤講演などで驚かれるのが、「ストレスが疲労感を減らしている」とお話ししたときです。確かにストレスには「疲労を増す」イメージがあるので、意外な感じがすると思います。ここでは、ストレスと呼ばれているものを、その原因である「ストレッサー」とその結果生じる身体の反応「ストレス応答」という2つに分けて考えてみましょう。脳がストレスの原因となるストレッサーを感知すると、脳の視床下部が反応し、副腎からコルチゾールとアドレナリンが出ます。これがストレス応答です。コルチゾールには抗炎症作用があって疲労感の原因である炎症性サイトカインの産生を抑えます。一方のアドレナリンには興奮作用があり、この2つの物質が作用する結果として、疲労感が減ります。つまり、疲労感は身体に「休め」というブレーキをかける役割を担い、ストレス応答は「行け」とアクセルを踏む役割を担うことで、両者がバランスを取っているのです(図4)。皆さんもあまりにも仕事が忙しいと、逆にしばらく疲れを感じなかった、という経験をされたことがあるのではないでしょうか。これは、仕事のプレッシャーがストレッサーとなってストレス応答を誘導し、疲労感を抑制してしまっている状態だと考えられます。画像を拡大するやりがちな「かえってマイナス」の疲労回復法近藤しかし、視床下部や副腎は消耗しやすい組織です。使い続けるうちにコルチゾールが減少して疲労抑制効果がなくなり、強い疲労感が前面に出てきます。ここで気を付けたいのは身体の疲労がマックスなのに疲労感をあまり感じない状態でいるため、「ストレスを解消しなきゃ」と考えて、さらに身体に負担をかける行動をとってしまうことです。具体的には、強度のスポーツ、長い入浴など、身体に負担をかける行為が挙げられます。このようなストレス解消法は、身体の疲労がある場合は避けたほうがよいのです。お薦めは、散歩や軽めの運動、音楽を聴く、きれいな景色を見るなど、「身体に負担をかけないストレス解消法」です。一方、「病的疲労」といって、身体がまったく疲れていないのに、脳が疲労感を持つケースもあります。これはうつ病などの中枢神経疾患が原因で起こる場合が多く、労働や運動で生じる身体の疲労とは異なる治療が必要となります。「身体の疲労」と「病的疲労」の見分け方近藤では、どうやって身体の疲労と病的疲労を見分ければよいのでしょう?また、ヘルペスの話に戻りましょう。前回、リン酸化した疲労因子が増えてタンパク質を合成できなくなり、臓器の働きが低下したり機能障害が起きたりすることが身体の疲れの原因、と説明しました。疲労因子が増加すればHHV-6やHHV-7の再活性化が起こり、唾液中に大量のウイルスが放出されます。つまり、「唾液中のHHV-6やHHV-7が増加していれば、身体が疲れている証拠」だといえるわけです。実際、労働時間の異なるヒトの唾液を採取し、ヒトヘルペスウイルス(HHV-6、HHV-7)を測定して比較したところ、「週40時間以上労働している人」(身体が疲労している人)は40時間未満労働している人(健康な人)に比べて、大幅に唾液中のウイルス量が多いことがわかりました。一方で、うつ病や筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群など、「身体の疲労」以外の要因から疲労感を訴えるケースでは、ウイルス量は健康な人と比べて同じかむしろ減る傾向がありました。つまり、「強い疲れ」という主訴の患者のHHV-6やHHV-7の量を検査することで、内科的治療がよいのか精神科的疾患や神経内科的疾患を考慮すべきなのかが、すぐに判断できるというわけです(図5)。画像を拡大するこの検査は、新型コロナウイルスで有名になったPCR検査です。HHV-6/HHV-7のPCR検査は保険適用外であり、まだ限られた医療機関でしか扱っていませんが、医療者の皆さんの関心の高まりと今後の広がりを期待しています。地味だけど確実な「疲労回復法」はこれ近藤「いろいろ言ってるけれど、結局どうやったら疲れはとれるの?」というのが皆さんの最も知りたいことかと思います。疲労の原因となる疲労因子はリン酸化したelF2αでした。このリン酸化をリセットして正常な状態に戻す「eIF2α脱リン酸化酵素」というものがあります。疲労因子に対して「疲労回復因子」と呼んでいます。疲労回復因子は、軽い運動によって誘導されます。また、疲労回復因子の誘導を助ける食品は、納豆・チーズ・玄米・大麦・玉ネギ・カレーに使うターメリックなどが挙げられます。また、ビタミンB1が不足すると疲労回復因子が誘導されにくくなります。これらの共通点は「抗酸化作用が強くない」こと。いわゆる「疲労回復」のイメージがあるニンニク・ウナギ・赤身肉などはこの抗酸化作用が強いので、前回にお話ししたように疲労感をとるだけの「見せかけの疲労回復」になる可能性があるのです。「疲労回復因子(eIF2α脱リン酸化酵素)」の誘導を助ける食品をしっかり摂取して、軽い運動をし、ストレスを軽減するためのリラックス法を行うというのが、地味ながらも正しい疲労回復法だと考えられます。医療者の皆さんも疲労とその機序を知り、患者さんや皆さん自身の診療やケアに、ぜひ役立ててください。書籍紹介『疲労ちゃんとストレスさん』にしかわたく(漫画・原作)・近藤一博(監修・原作)河出書房新社近藤氏の長年の研究成果と疲労に関する複雑な仕組みを、漫画家のにしかわ氏がストーリー&漫画化。疲労がどのように起きるのか、どのように回復するのか、擬人化されたキャラクターたちでわかりやすく解説した一冊。

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慢性期統合失調症に対するボルチオキセチン補助療法

 新規抗うつ薬ボルチオキセチンは、統合失調症の補助療法に期待される治療薬となる可能性がある。イラン・Tehran University of Medical SciencesのEhsan Mozen-Zadeh氏らは、統合失調症の陰性症状に対するボルチオキセチンの効果について評価を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2020年3月2日号の報告。 慢性期統合失調症入院患者78例を対象とした、8週間のランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を実施した。対象患者は、2ヵ月間のリスペリドン(4~6mg/日)治療で安定した後、ボルチオキセチン(10mg 1日2回)群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。主要アウトカムは陰性症状の改善とし、副次アウトカムは総合精神病理およびすべての症状とした。試験期間中の患者の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、錐体外路症状評価尺度(ESRS)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)を用いた。すべての患者のベースライン時のPANSS陰性症状サブスケールスコアは、16以上であった。試験を完了した患者は、68例であった。 主な結果は以下のとおり。・ボルチオキセチン群は、プラセボ群と比較し、ベースラインから8週目のエンドポイントまで陰性症状スコアおよびPANSS合計スコアが有意に良好であった。 ●陰性症状スコア 平均差:-1.82、95%信頼区間(CI):-2.73~-0.92 ●PANSS合計スコア 平均差:-2.09、95%CI:-3.16~-1.01・PANSSの陽性症状スコアおよび総合精神病理スコアは、両群間に有意な差は認められなかった。・有害事象の発生率は、両群間で同等であった。 著者らは「本研究は、抗精神病薬治療中の統合失調症患者における、ボルチオキセチン補助療法の陰性症状に対する効果を明らかにした初めての報告である」としている。

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こころとからだの質問票(PHQ-9)によるうつ病評価の信頼度

 うつ症状のアンケートは、診断を分類するためのものではない。しかし、うつ病の有病率を推定するために、こころとからだの質問票(PHQ-9)のスコア10以上の患者をうつ病患者と定義することがある。カナダ・マギル大学のBrooke Levis氏らは、PHQ-9スコア10以上と構造化面接(Structured Clinical Interview for DSM:SCID)によるうつ病の有病率を比較し、PHQ-9のカットオフ値が有病率を正確に推定できるかについて評価を行った。Journal of Clinical Epidemiology誌オンライン版2020年2月24日号の報告。PHQ-9スコア10以上によるうつ病有病率は過大評価している可能性 PHQ-9スコアとSCIDのうつ状態を比較するためのデータセットを用いて、メタ解析を実施した。 PHQ-9のカットオフ値が有病率を正確に推定できるかについて評価した主な結果は以下のとおり。・主要な44研究より、9,242例(SCIDうつ病症例:1,389例)が抽出された。・プールされた有病率は以下のとおりであった。 ●PHQ-9スコア10以上:24.6%(95%CI:20.8~28.9) ●SCIDうつ病:12.1%(95%CI:9.6~15.2)・有病率の差は、11.9%(95%CI:9.3~14.6)であった。・研究レベルのPHQ-9スコア10以上の平均有病率は、SCID基準の2.5倍であった。・SCIDうつ病有病率と最も近い有病率が示されたのは、PHQ-9スコア14以上およびPHQ-9診断アルゴリズムであったが、研究レベルでの有病率は、SCID基準の有病率とは異なっており、それぞれの平均絶対差は以下のとおりであった。 ●PHQ-9スコア14以上:4.8%(95%CI:-13.6~14.5) ●PHQ-9診断アルゴリズム:5.6%(95%CI:-16.4~15.0) 著者らは「個々の研究において、統計的に修正する不均一性が多過ぎる」としながらも「PHQ-9スコア10以上によるうつ病有病率は、過大評価している可能性がある」としている。

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主要な学術集会の開催予定

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、今春開催の多くの学術集会が延期または開催方式の変更を余儀なくされている。COVID-19終息の道筋が見えない状況の中、夏以降に開催が予定されている学術集会も軌道修正が余儀なくされ、会合方式の変更からWEB開催に移行した学術集会もある。CareNet.com編集部では、主要な臨床系医療学会の学術集会をピックアップ。現在の各学術集会の開催概要をまとめた。今後、参加予定の学会などがあれば参考にしてもらいたい(内容は7月3日現在)。主要な学術集会の開催予定第117回 日本内科学会会期 8月7日(金)~9日(日)会場 東京国際フォーラム ホールA第60回 日本呼吸器学会学術講演会会期 9月20日(日)~22日(火)会場 神戸コンベンションセンター第84回 日本循環器学会学術集会会期 7月27日(月)~8月2日(日)(オンライン開催)第50回 日本心臓血管外科学会学術総会会期 8月17日(月)~19日(水)(オンライン開催)第106回 日本消化器病学会総会会期 8月11日(火)~13日(木)(オンライン開催)第63回 日本腎臓学会学術総会会期 8月19日(水)~21日(金)会場 パシフィコ横浜アネックスホール・ノースおよびオンライン開催の併用第63回 日本糖尿病学会年次学術集会会期 10月5日(月)~16日(金)(オンライン開催)第54回 糖尿病学の進歩会期 9月2日(水)~3日(木)(オンライン開催)第93回 日本内分泌学会学術総会会期 7月20日(月)~8月31日(月)(オンライン開催)第82回 日本血液学会学術集会会期 10月9日(金)~11日(日)(オンライン開催)第42回 日本血栓止血学会学術総会会期 6月18日(木)~20日(土)(オンライン開催)第94回 日本感染症学会学術講演会会期 8月19日(水)~21日(金)会場 グランドニッコー東京(台場)ほかオンライン開催と併用第18回 日本臨床腫瘍学会学術集会会期 2021年2月18日(木)~20日(土)会場 国立京都国際会館ほか※2020年は開催予定なし第58回 日本癌治療学会学術集会会期 10月22日(木)~24日(土)会場 国立京都国際会館・グランドプリンスホテル京都第69回 日本アレルギー学会学術大会会期 9月17日(木)~20日(日)会場 国立京都国際会館第64回 日本リウマチ学会総会・学術集会会期 8月17日(月)~9月15日(火)(オンライン開催)第61回 日本神経学会学術大会会期 8月31日(月)~9月2日(水)岡山コンベンションセンターほかオンライン開催と併用第116回 日本精神神経学会学術総会会期 9月28日(月)~30日(水)会場 仙台国際センターほかオンライン開催と併用第25回 日本心療内科学会総会・学術大会2020年は開催せず、2021年に下記にて開催会期 2021年10月23日(土)・10月24日(日)会場 東北大学大学院医学系研究科星陵オーディトリウム緩和・支持・心のケア合同学術大会2020会期 8月9日(日)・10日(月)(WEB開催のみ)日本脳神経外科学会 第79回学術総会会期会場開催 10月15日(木)~17日(土)Web開催 10月15日(木)~11月末予定会場 岡山コンベンションセンターほかとオンライン開催の併用第120回 日本外科学会定期学術集会会期 8月13日(木)~15日(土)(オンライン開催)第28回 日本乳癌学会学術総会会期 10月13日(火)~15日(木)会場 Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)第93回 日本整形外科学会学術総会会期 6月11日(木)~8月31日(月)(オンライン開催)第108回 日本泌尿器科学会総会会期 12月22日(火)~25日(金)会場 神戸ポートピアホテルほか第123回 日本小児科学会学術集会会期 8月21日(金)~23日(日)会場 神戸コンベンションセンターほかオンライン開催と併用第121回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会会期 10月6日(火)・7日(水)会場 岡山コンベンションセンターほか第67回 日本麻酔科学会年次学術集会会期 7月1日(水)~8月末日(WEB開催、詳細は検討中)第48回 日本救急医学会総会・学術集会会期 11月18日(水)~20日(金)会場 長良川国際会議場ほか第57回 日本リハビリテーション医学会学術集会会期 8月19日(水)~22日(土)会場 国立京都国際会館第11回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会会期 7月23日(木・祝)〜 8月31日(月)オンデマンド配信 7月23日(木・祝)〜8月31日(月)ライブ配信 8月29日(土)・30日(日)第20回 日本抗加齢医学会総会会期 9月25日(金)〜9月27日(日)会場 浜松町コンベンションホールおよびオンライン開催

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妊娠・出産に対するベンゾジアゼピンの影響~メタ解析

 妊婦に対するベンゾジアゼピン(BZD)の使用は頻繁に行われているにもかかわらず、母体や胎児への影響はよくわかっていない。カナダ・トロント大学のSophie Grigoriadis氏らは、出産前のBZD曝露が出産アウトカムに及ぼす影響について定量化を行った。Canadian Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年3月9日号の報告。 2018年6月までの研究を、Medline、PsycINFO、CINAHL、Embase、Cochrane Libraryより検索した。研究の選択基準は、出産アウトカムについてBZD曝露群と非曝露群を比較した英語のコホート研究とした。2万3,909研究をスクリーニングし、56研究を評価、14研究をメタ解析に含めた。2人の独立したレビュアーがエビデンスの質を評価し、データを抽出した。ランダム効果メタ解析を用いて、推定値をプールした。サブ解析では、曝露のタイミングを含むいくつかの潜在的なモデレーターを調査した。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析により、十分なデータを有する9つのアウトカムが認められた。・出産前のBZD曝露は、以下の6つのアウトカムのリスク増加と有意な関連が認められた。 ●自然流産:プールされたオッズ比(OR)=1.86(95%信頼区間[CI]:1.43~2.42) ●早産:OR=1.96(95%CI:1.25~3.08) ●低出生体重:OR=2.24(95%CI:1.41~3.88) ●低アプガー指数:OR=2.19(95%CI:1.94~2.47) ●新生児集中治療室(NICU)への入院:OR=2.61(95%CI:1.64~4.14) ●中絶:OR=2.04(95%CI:1.23~3.40)・一貫したモデレーターは認められず、ほとんどのアウトカムは、研究間で有意な不均一性が認められた。・出生時体重(平均差[MD]:-151.35g、95%CI:-329.73~27.03)、在胎月齢(MD:-0.49週、95%CI:-1.18~0.19)、在胎不当過小(small for gestational age[SGA]、MD:1.42、95%CI:1.00~2.01)では、有意な関連性は認められなかったが、出版バイアスで調整後、在胎月齢とSGAでは有意な差が認められた。 著者らは「出産前のBZD曝露は、周産期におけるいくつかの有害なアウトカムのリスク増加と有意な関連が認められた。交絡を排除することはできないものの、NICU入院は臨床的に関連があり、抗うつ薬の文献での結果と一致している」としている。

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ラツーダ:2つの精神疾患に適応を有する新たな非定型抗精神病薬

2020年3月25日、ラツーダ錠(一般名:ルラシドン塩酸塩)が「統合失調症」および「双極性障害におけるうつ症状の改善」を効能・効果として承認された。3月時点で、ラツーダ錠は統合失調症に関わる効能・効果では欧米を含む47の国または地域、そして双極I型障害うつに関わる効能・効果では米国を含む7つの国または地域で承認されている。「統合失調症」や「双極性障害におけるうつ症状」に対する有用な治療選択肢は日本では、近年、精神疾患のために医療機関を受診する患者が大幅に増加しており、その数は400万人を超えた。このうち、約80万人の患者が統合失調症と推計されている。統合失調症の主な症状は、陽性症状、陰性症状および認知障害であるが、これら症状の組み合わせは患者によって異なるため、病態は多岐にわたる。一方、双極性障害は数十万人の患者が存在すると考えられている。双極性障害は躁状態とうつ状態とを繰り返すが、うつ状態を呈する期間が長い傾向にある。さらに、精神疾患の中でも自殺企図率が高いため、日常生活に重大な影響を及ぼしやすい。このような背景を持つ両疾患では、非定型抗精神病薬による薬物治療が主流であった。しかし、体重増加や耐糖能異常など特徴的な副作用が懸念されることから、既存の非定型抗精神病薬の有する有効性に加え、その特徴的な副作用を軽減した新たな薬剤が求められている。有効性と非定型抗精神病薬に特徴的な副作用の軽減との両立を期待ルラシドンはドパミンD2、セロトニン5-HT2Aおよびセロトニン5-HT7受容体のアンタゴニスト、そしてセロトニン5-HT1A受容体のパーシャルアゴニストとして作用することで、陽性症状、陰性症状および認知障害を改善すると考えられている。その一方で、ヒスタミンH1やムスカリンM1受容体に対する親和性は低いため、体重増加などの非定型抗精神病薬の懸念点を軽減することが期待される。プラセボ対照試験で両疾患の症状改善を確認ルラシドンの承認は、統合失調症患者を対象とした国際共同第III相試験(PASTEL、JEWEL)および継続長期試験(JEWEL継続)、双極I型障害うつ患者を対象としたELEVATE試験の試験結果に基づいている。JEWEL試験では、DSM-IV-TR基準により統合失調症と診断された患者を、ルラシドン40mg/日群とプラセボ群に無作為に割り付け、有効性と安全性を検討した。主要評価項目である「投与6週間後におけるPANSS合計スコアのベースラインからの変化量」は、プラセボ群-12.7に対してルラシドン40mg/日群-19.3(p<0.001)であり、有意な改善を示した。また、ELEVATE試験では、DSM-IV-TR基準により双極I型障害うつと診断された患者を、ルラシドン80~120mg/日群および20~60mg/日群、プラセボ群の3群に無作為に割り付け、有効性と安全性を検討した。主要評価項目である「投与6週間後におけるMADRS合計スコアのベースラインからの変化量」は、プラセボ群-10.6に対してルラシドン80~120mg/日群-12.6(調整済p値:0.057)、ルラシドン20~60mg/日群-13.6(調整済p値:0.007)であり、20~60mg/日群において有意な改善を示した。JEWEL試験、ELEVATE試験の両試験において、ルラシドンの忍容性に関して大きな問題は認められなかった。新たな治療選択肢への期待ルラシドンは、上記以外にいくつもの試験が実施されており、統合失調症(維持期)患者に対する長期投与による再発リスクの低下や、既存の抗精神病薬で効果不十分な統合失調症患者におけるPANSS合計スコアの低下および体重増加の抑制などが示唆されている。従来の非定型抗精神病薬の懸念点を軽減したルラシドンの登場は、長期間の治療が必要となる両疾患の患者にとって、有用な治療選択肢になるのではないだろうか。今後、長期の使用経験が積まれ、その有用性が検証されることが期待される。

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第2世代抗精神病薬LAIの実行機能に対する影響

 第2世代抗精神病薬(SGA)の経口剤から長時間作用型注射剤(LAI)への変更は、認知機能を改善する可能性がある。イタリア・Magna Graecia University of CatanzaroのFabio Magliocco氏らは、SGA-LAIで治療された統合失調症患者における認知機能への影響について評価を行った。さらに、独立したリアルワールドにおける2つの異なるSGA-LAI(月1回のパリペリドンパルミチン酸[PP1M]、月1回のアリピプラゾール[AOM])治療について直接比較を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2020年3月5日号の報告。 対象は、12ヵ月以上連続して募集した統合失調症患者32例。AOM治療患者17例、PP1M治療患者10例が、精神病理学的、神経心理学的、機能的評価を完了した。群間の比較には、必要に応じてカイ二乗検定とt検定を行った。12ヵ月間の認知機能の変動を調査するため、GLM反復測定を用い、薬剤間での差をテストした。 主な結果は以下のとおり。・調査結果に対する時間の影響が認められたが、薬剤間での差は認められなかった。・SGA経口剤を使用した以前の研究と比較して、SGA-LAIの使用により、12ヵ月後の神経認知機能の有意な改善が認められた。・SGA-LAIのレジメン間での差は認められなかった。 著者らは「SGA経口剤治療ですでにベネフィットを得ている患者でも、SGA-LAIへ切り替えることで、社会的および認知的改善が期待できる」としている。

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セレブの自殺が報道されると(解説:岡村毅氏)-1210

 ハイデガーは「人は時間的存在である」と言ったが、人だけが過去を振り返り、未来を恐れ、そして自分の死を意識しうる存在なのかもしれない。したがって自殺という現象は、とても人間的な現象といえよう。自殺は社会学や精神医学において重要なテーマであり続ける。 さて、著名人の自殺のニュースは、その後の自殺数を増やし、また自殺の方法が報じられた時には同じ方法による自殺を増やす、という報告である。これまでも「ウェルテル効果」(ゲーテの著作『若きウェルテルの悩み』に影響されて自殺が増えたという故事による)、著名人の自殺により自殺が増える現象が知られていた。一方で、自殺一般の報道は自殺を増やすことはないようである。本論文は、この現象に関するメタアナリシスであり、現時点での決定版ともいえよう。 なぜこのようなことが起きるのだろうか。まず著名人が、直接の知り合いではなくとも、その人にとって近しい存在であった場合には大きな影響を受けるだろう。次に、繰り返し報じられると、自殺という手段が、普通の選択肢と認識されるようになってしまう。最後に、方法を報じられることは、リスクの高い人にとっては最後の一押しになってしまう。 著名人の自殺の詳細が繰り返し報じられることで自殺が増えることが明らかになってからはガイドラインが整備されている。世界保健機関(WHO)の「メディア関係者に向けた自殺対策推進のための手引き」は厚生労働省のホームページでも読むことができるが、以下のようなものだ。やるべきこと・どこに支援を求めるかについて正しい情報を提供すること・自殺と自殺対策についての正しい情報を、自殺についての迷信を拡散しないようにしながら、人々への啓発を行うこと・日常生活のストレス要因または自殺念慮への対処法や支援を受ける方法について報道をすること・有名人の自殺を報道する際には、特に注意すること・自殺により遺された家族や友人にインタビューをする時は、慎重を期すること・メディア関係者自身が、自殺による影響を受ける可能性があることを認識することやってはいけないこと・自殺の報道記事を目立つように配置しないこと。また報道を過度に繰り返さないこと・自殺をセンセーショナルに表現する言葉、よくある普通のこととみなす言葉を使わないこと、自殺を前向きな問題解決策の一つであるかのように紹介しないこと・自殺に用いた手段について明確に表現しないこと・自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと・センセーショナルな見出しを使わないこと・写真、ビデオ映像、デジタルメディアへのリンクなどは用いないこと 自殺には、社会の不条理が関わっていることが多く、残された者の悲哀や憤怒は大きく、簡単な研究テーマではないが、こうした研究の系譜が上記の「ガイドライン」につながったことを考えれば、絶対に必要である。冷静な研究を続けなければならない。 さて、今後はどうなるのだろうか? まず、現代では人々は情報をどこから得ているのだろうか? かつては新聞の時代、そしてテレビの時代があった。いずれも大衆向けに同じ情報を共時的に提供するメディアだが、今や影響力は低下していることは明らかだろう。ケアネットだから言うわけではないが、現代はウェブ上が主たる情報源となっている。一方で人々は知りたい情報にのみ接する傾向が強まる(フィルターバブル現象)。また、SNSなどは著名人を一層身近にしているが、いわば直接触れたり感じたりできる生活世界に、(主にビジネスのために)著名人が入り込んできているともいえる。今後はSNSを射程に入れた新たな方法論の研究も現れることだろう。 最後に、筆者は自殺と表記しましたが、自死にすべきという意見もあることは承知しています。筆者も外来などではその場に即した言い方をしています。一方で言い換えることで見えなくなるものも確かにあります。2020年春の時点では行政が主に使用しており、ここでは国民の多くが通常使う自殺という用語を粛々と用いることにします。

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スタチンと降圧薬の併用と認知症リスク

 脂質異常症や高血圧症は、アルツハイマー病やこれに関連する認知症(ADRD:Alzheimer's disease and related dementia)の修正可能なリスク因子である。65歳以上の約25%は、降圧薬とスタチンを併用している。スタチンや降圧薬が、ADRDリスクの低下と関連するとのエビデンスが増加する一方で、異なる薬剤クラスの併用とADRDリスクに関するエビデンスは存在しない。米国・ワシントン大学のDouglas Barthold氏らは、異なる薬剤クラスの組み合わせによるスタチンと降圧薬の併用とADRDリスクとの関連について、検討を行った。PLOS ONE誌2020年3月4日号の報告。 本研究は、米国のメディケア受給者でスタチンと降圧薬を併用する69万4,672例を分析したレトロスペクティブコホート研究(2007~14年)。スタチンと降圧薬の異なる薬剤クラスの併用に関連するADRD診断を定量化するため、年齢、社会経済的地位、併存疾患で調整したロジスティック回帰を用いた。スタチンの分類は、アトルバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチンとし、降圧薬の分類は、2つのRAS系降圧薬(ACE阻害薬、ARB)、非RAS系降圧薬とした。 主な結果は以下のとおり。・プラバスタチンまたはロスバスタチンとRAS系降圧薬との併用は、非RAS系降圧薬とスタチンとの併用と比較し、ADRDリスクの低下と関連が認められた。 ●プラバスタチン+ACE阻害薬:オッズ比(OR)=0.942(信頼区間[CI]:0.899~0.986、p=0.011) ●ロスバスタチン+ACE阻害薬:OR=0.841(CI:0.794~0.892、p<0.001) ●プラバスタチン+ARB:OR=0.794(CI:0.748~0.843、p<0.001) ●ロスバスタチン+ARB:OR=0.818(CI:0.765~0.874、p<0.001)・ARBとアトルバスタチンおよびシンバスタチンとの併用は、プラバスタチンまたはロスバスタチンとの併用と比較し、わずかなリスク減少と関連していたが、ACE阻害薬では関連が認められなかった。・ヒスパニック系の患者では、スタチンとRAS系降圧薬との併用は、非RAS系降圧薬の併用と比較し、リスク低下が認められなかった。・黒人患者では、ロスバスタチンとACE阻害薬との併用は、他のスタチンと非RAS系降圧薬との併用と比較し、ADRDオッズが33%低かった(OR=0.672、CI:0.548~0.825、p<0.001)。 著者らは「米国の高齢者では、脂質異常症の治療にプラバスタチンやロスバスタチンを使用することはシンバスタチンやアトルバスタチンより一般的に少ないが、RAS系降圧薬、とくにARBと併用することで、ADRDリスクの低下に寄与することが示唆された。ADRDリスクに影響を及ぼす血管の健康のための薬物療法が、米国のADRD患者数を減少させる可能性がある」としている。

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疲れを巡る最新研究(前編)…エナジードリンク頼みの疲労回復法がとても怖い理由

講師紹介長年の研究で判明した、ウイルスと疲労の「深い関係」近藤なぜ、ウイルスを専門とする私が疲労の研究をしているのか、最初はいつも不思議がられます。私の所属はウイルス学講座で、長年ヒトヘルペスウイルス(HHV)を研究してきました。研究を進めるうちに、疲労・ストレスとヘルペスウイルスの間に深い関係があることがわかってきたのです。性器ヘルペスが知られているので、ヘルペスというとちょっと下ネタ的なイメージもありますが(笑)、私の専門は赤ちゃんの突発性発疹を起こすHHV-6とHHV-7です。3大生体アラームなのに研究が進んでいない「疲労」近藤そもそも、疲労の研究は世界的にマイナーです。日本では「疲労はうつや過労死といった疾患の要因になる」ということが一般的に受け入れられていますが、海外ではそうした認識自体がなく、慢性疲労症候群など「疾患の症状」としての認識しかありません。「疲労」は、「痛み」や「発熱」と並ぶ3大生体アラームです(図1)。それなのに、その原因・伝達物質も回復因子もまったくと言っていいほど解明されてこなかったのです。痛みや発熱は、その原因物質を見つけた人がノーベル賞を取っているほどなのに…。画像を拡大する「疲労感」と「身体の疲れ」は異なるもの近藤そもそも、まず知っておいていただきたいのが「疲労感」と「身体の疲れ」は別のもの、ということです。図1の右上にある炎症性サイトカインが、疲労研究のカギとなる存在です。炎症性サイトカインは、風邪などのウイルスが体内に侵入したときなどに、免疫細胞が出すことが知られている物質です。この炎症性サイトカインが脳に作用して「疲れた」と感じる、いわゆる「疲労感」を生み出します。風邪などの病気のときに疲れを感じるのはこのためです。一方で、健康な人も仕事や運動によって疲れを感じますが、この場合、免疫細胞は攻撃対象がいないはずですよね? では、なぜ疲れを感じるのでしょう?ここで、私の専門「ヘルペス」の登場です。ヘルペスウイルスは、感染しても多くの場合は症状が出ず、感染者はウイルスを潜ませたまま普通に生活しています(潜伏感染)。しかし、感染者が何らかの異常事態に見舞われると潜んでいたウイルスはそれを察知し、爆発的に数を増やして別の宿主に移ろうとします(再活性化)。私の専門のHHV-6やHHV-7は疲労を「異常事態」と見なして再活性化することを見いだしたのです。また、私たちは、HHV-6が危険を察知する信号となるのが「elF2α」という因子であることも発見しました。身体に疲労の負荷がかかると、このelF2αがリン酸と結合して「リン酸化elF2α」となり、その割合が一定を超えるとHHV-6がそれを察知して再活性化するのです。通常、elF2αはタンパク質を合成する役割があるのですが、リン酸化することでこの仕事ができなくなり、結果として臓器の働きが低下したり、機能障害が起きたりします。これが身体の疲労の原因です(図2)。画像を拡大する最初に出てきた疲労感の要因となる炎症性サイトカインも、このリン酸化elF2αの増加が引き金になって作られるので、疲労のカギとなる物質としてリン酸化elF2αのことを「疲労因子」と呼んでいます(図3)。画像を拡大する「エナジードリンク飲み過ぎ」が怖い理由近藤疲労感と身体の疲労が別物だと知っておくことの大切さは、身近なところにあります。多くの方は、疲労回復のために「エナジードリンク」を飲んだことがあるのではないでしょうか? 多くのエナジードリンクには「抗酸化作用」のある物質が入っています。私たちはこの抗酸化作用を持つ物質の代表格である「N-アセチルシステイン(NAC)」をマウスに注入し、疲労との関係を調べる研究を行いました。その結果、NACは肝臓における炎症性サイトカインの産生を低下させ、疲れを身体に伝えるアラームとなる疲労感を減少させることがわかりました。これが「疲れがとれた」と感じる理由です。しかし、ほかの臓器では疲労因子が増え続け、タンパク質合成が抑制されて臓器組織の機能低下が起こり続けることもわかりました。結果として、疲労感がないために無理をし続けて身体を壊す、ひどい場合は突然死につながる、などといったことが起こる可能性があるのです。近藤突然死とまでいかなくとも、「エナジードリンクを飲み続けて、いきなりやめたらぐったりした」という経験をされた方はいないでしょうか? これも「疲労感をまひさせる」抗酸化物質の影響です。まひする効果が切れたために、それまで蓄積していた疲労を一気に感じるのです。エナジードリンクは「緊急時に疲れをまひさせるもの」と認識し、摂り過ぎないようにすることが重要です。同様の働きをするものにカフェイン、抗酸化剤入りサプリ、ニンニクなどがあり、これらも摂り過ぎに注意が必要です。さらに、日本では薬機法に触れるために販売されていませんが、海外のエナジードリンクには大量の「タウリン」を含むものがあります。タウリンも抗酸化作用を持つ物質であり、上記のようなメカニズムで疲労感をまひさせてしまう可能性があります。実際、海外のエナジードリンクでは、過剰摂取した若者が死亡に至る事故も報告されています。一般に、このような事故は「カフェインの過剰摂取が原因」と解説されることが多いのですが、カフェインに加えて抗酸化物質が作用することで、疲労感がまひし、身体の異常に気付かず手遅れになった、という側面が大きいと考えています。後編へ書籍紹介『疲労ちゃんとストレスさん』にしかわたく(漫画・原作)・近藤一博(監修・原作)河出書房新社近藤氏の長年の研究成果と疲労に関する複雑な仕組みを、漫画家のにしかわ氏がストーリー&漫画化。疲労がどのように起きるのか、どのように回復するのか、擬人化されたキャラクターたちでわかりやすく解説した一冊。

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月1回アリピプラゾールへの切り替えの有効性と忍容性

 韓国・カトリック大学校のChi-Un Pae氏らは、統合失調症における月1回アリピプラゾール(AOM)のリアルワールドデータを収集し、評価を行った。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2020年2月29日号の報告。 統合失調症治療のために抗精神病薬の多剤併用(APpoly)またはアリピプラゾール以外の他の長時間作用型注射剤(LAI)で治療された患者において、AOMの初回使用後最大12ヵ月間の観察研究を行った。人口統計、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、臨床全般印象度(CGI-S)、有害事象などの利用可能な臨床情報を電子医療記録(EMR)より収集した。 主な結果は以下のとおり。・APpolyまたはLAIからAOMへ切り替えた患者は18例であった。・AOM使用前の平均AP数は、以前の治療不良時で2.2、使用直前で2.4であった。最も使用されていたAPは、アリピプラゾール、ブロナンセリン、クエチアピン、リスペリドンであった。・AOM使用により平均AP数は、12ヵ月間で0.7まで有意な減少が認められた(p<0.0001)。・12ヵ月間で、PANSS合計スコア(71.7→62.1、p=0.000)、CGI-Sスコア(3.4→3.1、p=0.008)の有意な減少が認められた。・観察期間中のベースラインからの変化では抗不安薬を含む向精神薬の有意かつ実質的な減少が認められた。・軽度な手の振戦およびアカシジアが3例で認められた。 著者らは「APpolyまたはLAI治療の統合失調症患者に対するAOMの使用は、効果的かつ忍容性が良好な治療オプションであることが確認された。今後、適切に設計された臨床試験が望まれる」としている。

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高齢者における抗認知症薬処方の決定因子

 フランスでは、コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンなどの抗認知症薬は、効果に議論の余地が残り2011年のガイドラインで推奨されていないにもかかわらず、依然として汎用されている。フランス・パリ・サクレー大学のMathilde Francois氏らは、抗認知症薬処方の決定因子について、評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2020年2月17日号の報告。 本研究は、2013年に横断的研究として実施した。対象は、フランスの国民健康保険データベースより特定した65歳以上の認知症患者。年齢、併存疾患、ヘルスケアの利用との相関を予測するため、潜在クラス分析により、まずは患者の健康状態を特定した。次に、調整済みロジスティック回帰モデルを実施した。説明変数は、患者の健康状態、性別、非薬理学的治療介入(理学療法、言語聴覚療法)、向精神薬処方、ヘルスケアへのアクセスとした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者3,873例のうち、抗認知症薬が処方されていた患者は38%であった。・健康状態の異なる3つの潜在リスクが特定された。・健康状態が不良な患者では、抗認知症薬の処方が有意に少なかった(p<0.001)。・言語聴覚療法または抗うつ薬処方を受けた患者では、抗認知症薬の処方が有意に多かったが(p<0.001)、理学療法を受けた患者では、抗認知症薬の処方が有意に少なかった(p=0.006)。 著者らは「健康状態が不良な患者には、抗認知症薬が処方される可能性が低かった。この結果は、治療の副作用に対して脆弱なこのような患者にとって好ましいと考えられる。同時に、抗認知症薬の処方では、健康状態が良好である患者、患者やその家族と協力して処方制限を試みる患者をターゲットとすることが推奨される」としている。

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長時間作用型注射剤と経口の抗精神病薬との比較

 治療継続やアドヒアランスは、精神疾患の有効なアウトカムと関連する。精神疾患患者の治療継続やアドヒアランスを改善するための最良の選択肢の1つとして、経口抗精神病薬よりも長時間作用型注射剤(LAI)が挙げられる。イタリア・ASL Pescara General HospitalのAlessia Romagnoli氏らは、抗精神病薬のアドヒアランス、治療継続、切り替えを評価し、実臨床におけるLAIと経口剤との比較を行った。Current Clinical Pharmacology誌オンライン版2020年3月9日号の報告。 2011年1月~2019年2月に、イタリア・ASL Pescara General Hospitalで抗精神病薬治療を受けたすべての患者を対象に、薬理学的非介入レトロスペクティブ観察研究を実施した。アドヒアランスは、受け取った1日量と使用した1日量の比で測定した。抗精神病薬治療の継続性は、治療開始と終了の日々の差として算出した。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール治療患者840例、パリペリドン治療患者130例、リスペリドン治療患者925例を調査した。・アドヒアランスは、以下のとおりであり、LAIは経口剤と比較し、有意に優れていた。 ●アリピプラゾールLAI:0.89 ●パリペリドンLAIとリスペリドンLAI:0.82 ●アリピプラゾール経口剤:0.78 ●パリペリドン経口剤:0.70 ●リスペリドン経口剤:0.58・治療3年間にわたる継続曲線では、統計学的に有意な差は認められなかった(p=0.3314)。・製剤に基づく継続曲線でも、統計学的に有意な差は認められなかった。・切り替えが行われた患者の割合は、アリピプラゾール治療患者7%、リスペリドン治療患者12%、パリペリドン治療患者28%であった。 著者らは「本研究のいずれの薬剤においても、経口剤よりもLAIのほうがアドヒアランスが良好であったが、治療継続については、統計学的に有意な差が認められなかった」としている。

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てんかん重積、レベチラセタムvs.ホスフェニトインvs.バルプロ酸/Lancet

 てんかん重積状態の小児・成人・高齢者は、レベチラセタム、ホスフェニトイン、バルプロ酸に対して類似した反応を示し、約半数の患者で治療が成功したことが示された。米国・国立小児病院のJames M. Chamberlain氏らが、米国の58施設の救急部門で実施した多施設共同無作為化二重盲検responsive-adaptive試験「ESETT試験」で対象を小児まで拡大した後の、3つの年齢群のアウトカムについての解析結果を報告した。ベンゾジアゼピン抵抗性あるいは確定したてんかん重積状態は、小児と成人で病態生理は同じものと考えられていたが、根本的な病因や薬力学の違いが治療に対して異なった影響を及ぼす可能性があった。結果を踏まえて著者は、「3剤のいずれもベンゾジアゼピン抵抗性てんかん重積状態に対する、第1、第2選択薬の候補と考えられる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年3月20日号掲載の報告。ベンゾジアゼピン抵抗性てんかん重積状態の患者で、年齢群別に検討 研究グループは、2歳以上で、5分以上の全身痙攣発作に対し十分量のベンゾジアゼピンで治療を受けたことがあり、救急部門にてベンゾジアゼピン系薬の最終投与後5分以上30分未満の持続性または再発性の痙攣が続く患者を対象に試験を行った。 ベイズ法を用いるとともに年齢を層別化(<18歳、18~65歳、>65歳)して、response-adaptive法によりレベチラセタム群、ホスフェニトイン群およびバルプロ酸群に無作為に割り付けた。すべての患者、治験責任医師、治験スタッフおよび薬剤師が、治療の割り付けに関して盲検化された。 有効性の主要評価項目は、薬剤投与後1時間時点での追加の抗てんかん薬を必要としない意識の改善を伴う臨床的に明らかな発作消失とし、安全性の主要評価項目は、致死的な低血圧または不整脈とした。有効性および安全性は、intention-to-treat解析で評価した。年齢群を問わず3剤への反応は同等、約半数の患者が治療成功 2015年11月3日~2018年12月29日に478例が登録され、小児225例(<18歳)、成人186例(18~65歳)、高齢者51例(>65歳)の計462例が割り付けられた。レベチラセタム群が175例(38%)、ホスフェニトイン群が142例(31%)、バルプロ酸群が145例(31%)で、ベースラインの特性は各年齢群・治療群間でバランスが取れていた。 有効性の主要評価項目を達成した患者の割合は、レベチラセタム群で小児52%(95%信頼区間[CI]:41~62)、成人44%(95%CI:33~55)、高齢者37%(95%CI:19~59)であり、ホスフェニトイン群で小児49%(95%CI:38~61)、成人46%(95%CI:34~59)、高齢者35%(95%CI:17~59)、バルプロ酸群で小児52%(95%CI:41~63)、成人46%(95%CI:34~58)、高齢者47%(95%CI:25~70)であった。 有効性または安全性の主要評価項目は、各年齢群とも治療群間で差はなかった。また、安全性の副次評価項目は、小児の気管内挿管を除いていずれの年齢群も治療群間による差は認められなかった。

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認知症診療医の8割強が「ケアマネとの連携は集患に有用」と認識

 高齢化の進展に比例し、認知症患者の増加は必至。潜在化したまま医療に繋がっていない患者予備軍をどう見つけ出し、早期発見・治療に結び付けるのか―。そのカギを握るのは、医療介護連携であろう。国が提唱する「地域包括ケアシステム」においても、両者連携の下、認知症治療のみならず、予防や生活支援に取り組む構想が示されている。では、実際のところ医師とケアマネジャーの連携は進んでいるのだろうか。 今回、認知症診療に当たっているCareNet.com会員医師とケアマネジャーを対象に行ったアンケート調査の結果、連携できていると考える医師は4割、ケアマネジャーは3割にとどまり、多くの医療現場で協同関係に至っていない実態が浮き彫りとなった。ただし、連携が進んでいる医師の8割が「集患に役立つ」と回答しており、ケアマネジャーとの連携がメリットとなっている側面は注目すべきだろう。 本調査は、「認知症における意識調査」として、株式会社マクロミルケアネット(東京都港区、徳田 茂二代表取締役社長)および株式会社インターネットインフィニティー(東京都品川区、別宮 圭一代表取締役社長)が2社共同で実施。アンケートは、2020年2月27日~3月2日の期間にインターネットで行われ、認知症専門医/非専門医のCareNet.com会員医師220人と、インターネットインフィニティー社が運営するケアマネジメント・オンラインの会員ケアマネジャー508人から回答を得た。 認知症の医療現場において、「医療と介護が連携できている」と回答した割合は、医師が40.9%、ケアマネジャーで30.6%となり、両者共に半数に届かなかった。認知症予防における「早期発見の重要度」については、医師は81.3%、ケアマネジャーの94.3%が重要であると回答しており、両者の認識は共通している。ただ、日常的に要介護者と接しているケアマネジャーの方がより重要性を認識していることが、この高い数字からうかがえる。 「ケアマネジャーとの連携が集患にどの程度役立つか」について、実際にケアマネジャーと連携できていると回答した医師と、連携できていないと回答した医師とで結果を比較したところ、集患に役立つと考える割合は、ケアマネジャーと連携できている医師で86.6%、連携できてない医師では63.1%となり、1.4倍のポイントの開きが見られた。 認知症患者の転倒予防に大切なこととして、医師の回答で最も多かったのが「転倒の原因となりうる薬剤の見直し」(59.5%)で、以下「環境の調整」(58.2%)、「動きづらさの改善」(49.5%)、「望ましい行動への誘導」(39.1%)などとなった。 今後、抗認知症薬を積極的に使いたいと考えているかについては、医師で78.2%、ケアマネジャーでは62.5%が使用に前向きであると回答した。【本調査に関する問い合わせ先】株式会社マクロミル コミュニケーションデザイン本部 (担当:度会)TEL: 03-6716-0707MAIL: press@macromill.comURL: https://www.macromill.com株式会社インターネットインフィニティー Webソリューション部 (担当:酒井)TEL: 03-6697-5505 FAX: 03-6779-5055

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術後せん妄予防に対するメラトニンの効果~メタ解析

 術後せん妄の予防に、メラトニンやその類似体が有効なのかは、よくわかっていない。中国・南方医科大学のYunyang Han氏らは、メラトニンやその類似体の術後せん妄に対する効果を評価するため、システマティックレビューとメタ解析を実施した。Journal of Pineal Research誌オンライン版2020年3月7日号の報告。 PubMed、Cochrane Library、Web of Science、Embase、CINAHLデータベースより検索を行った。主要アウトカムは、術後せん妄発生率とした。 主な結果は以下のとおり。・ランダム化比較試験6件、コホート研究2件、ケースコントロール研究1件をメタ解析に含めた。・メラトニンおよびその類似体のラメルテオンは、成人のすべての手術集団において、術後せん妄の発生率を低下させることが示唆された(オッズ比[OR]:0.45、95%信頼区間[CI]:0.24~0.84、p=0.01)。・高用量(5mg)メラトニン投与は、術後せん妄発生率の低下に効果的であった(OR:0.32、95%CI:0.20~0.52、p<0.00001)。・手術前に消失半減期5回未満のメラトニン投与により、術後せん妄発生率が有意に減少した(OR:0.31、95%CI:0.19~0.49、p<0.00001)。 著者らは「現在の文献では、メラトニンやその類似体のラメルテオンは、術後せん妄の予防に有効であることが支持された。しかし、本結果は、研究の有意な異質性により制限を受ける可能性がある。心臓および非心臓手術におけるせん妄発生に対するメラトニンおよびその類似体の予防効果を明らかにするためには、さらなる研究が必要である」としている。

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慢性期統合失調症における抗精神病薬の減量・中止と再発リスク~メタ解析

 慢性期統合失調症患者に対する高用量の抗精神病薬使用は、より重篤な副作用につながり、リカバリーを妨げる可能性がある。しかし、抗精神病薬の減量は精神症状の再発リスクを伴うため、減量による再発のリスク因子を特定することは臨床に役立つと考えられる。オランダ・Mental Health Services RivierduinenのJan P. A. M. Bogers氏らは、慢性期統合失調症における抗精神病薬の減量または中止と再発リスクに関するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年3月2日号の報告。 MEDLINE、EMBASE、PsycINFOより、1950年1月~2019年6月までの文献をシステマティックに検索し、慢性期統合失調症コホートにおける抗精神病薬の減量または中止後の再発率(イベント率:ER)について報告した研究をレビューした。1人年あたりのER、95%信頼区間(CI)を算出し、潜在的なリスク因子、患者特性、減量・中止の特徴、研究特性の特定を試みた。 主な結果は以下のとおり。・165の文献から46コホート(1,677例)における、抗精神病薬の減量または中止について記載された40件を研究に含めた。・精神症状再発のプールされたERは、1人年あたり0.55(95%CI:0.46~0.65)であった。・有意に高いERは以下において認められた。 ●入院患者 ●短い罹病期間の患者 ●抗精神病薬を中止、またはハロペリドール換算5mg未満に減量された患者 ●フォローアップが短期間または1990年以前に発表の研究 ●臨床的判断に基づいた(評価尺度を使用していない)再発の研究 著者らは「慢性期統合失調症に対し抗精神病薬の減量を行う場合には、精神症状の再発に対する強いリスク因子を考慮する必要がある」としている。

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著名人の自殺死報道は、自殺者数に関係するか /BMJ

 著名人の自殺死の報道は、一般人の総自殺者数の増加と関連し、自殺の方法が報道されると、同じ方法による自殺が3割増加することが、オーストリア・ウィーン医科大学のThomas Niederkrotenthaler氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2020年3月18日号に掲載された。各国の自殺予防戦略には、責任ある自殺報道のガイドラインが含まれるが、一部のジャーナリストや編集者はこれに納得していないとされる。この種のメディア報道は日常的に行われているにもかかわらず、一般人の自殺報道が自殺の発生に及ぼす影響に関する定量的な要約データはないという。自殺死報道とその後の自殺の関連のメタ解析 研究グループは、自殺(とくに著名人の自殺死)の報道と、その後の一般人の自殺との関連を評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 2019年9月現在、医学データベース(PubMed/Medline、PsychInfo、Scopus、Web of Science、Embase、Google Scholar)に登録された論文を検索した。 次の条件を満たす論文を解析に含めた。(1)メディアによる自殺報道の前および後において、それぞれ1つ以上の時点で比較を行っている、(2)フォローアップ期間は2ヵ月以下、(3)アウトカムは自殺死、(4)メディア報道が事実に即した自殺に関するもの。分割時系列デザイン、単一群事前事後比較および複数群事前事後比較デザインの試験のデータをレビューした。 主要解析は、著名人の自殺死報道が一般人の自殺に及ぼす影響とした。副次解析Aは、著名人が自殺に用いた方法に関する報道が、同じ方法による自殺に与える影響であり、副次解析Bは、一般人の自殺報道が自殺に与える影響であった。自殺リスク13%増、同じ方法での自殺死30%増 31件の研究(日本が対象の4件を含む)が同定された。これらの研究の対象期間は1947~2016年であり、1974~2019年に発表されていた。バイアスのリスクが中等度と判定された20件の研究が主な解析に含まれた。 著名人の自殺死報道の前に比べ、報道後に一般人の自殺リスクは13%増加した(率比[RR]:1.13、95%信頼区間[CI]:1.08~1.18、p<0.001、14件の研究、フォローアップ期間中央値:28日[範囲:7~60])。 著名人の自殺法が報道された場合、同じ方法による死亡が30%増加した(RR:1.30、95%CI:1.18~1.44、p<0.001、11件の研究、フォローアップ期間中央値:28日[範囲:14~60])。 一般人の自殺報道では、記事の数が1つ増えるごとの自殺のRRは1.002(95%CI:0.997~1.008、p=0.25、5件の研究、フォローアップ期間中央値:1日[範囲:1~8])であり、統計学的に有意ではなかった。その一方で、一部の報道は、自殺との関連を除外できなかった。 異質性は大きく、主要解析(I2=83.5%、p<0.001)と副次解析A(I2=72.1%、p<0.001)では有意差が認められ、副次解析B(I2=0.02%、p=0.40)では有意ではなかった。また、強化ファンネルプロットでは、出版バイアスの可能性が示唆された。 著者は、「われわれの知る限り、これは自殺死報道がその後の自殺に及ぼす影響を最も包括的に評価した研究であり、著名人の自殺死報道後の一定の期間における自殺の増加を示すエビデンスが得られた」とまとめ、「メディア報道の有害な影響への対処法として、一般的に可能な最良の介入は、責任ある報道のためのガイドラインであり、とくに著名人の自殺死報道において、より広く実践され、推進される必要がある」と指摘している。

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