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インサイド・ヘッド(続編・その2)【意識はどうやって生まれるの?】Part 3

(3)解釈装置-「解説者」によって自分の考えと行動は自分が決めていると思い込ませる5人の小人たちは、司令部にあるホルダーに入ったコア記憶(思い出ボールのうち特に重要なもの)をスクリーンに映し出し、たびたびライリーに思い出させています。このコア記憶をエネルギー源とするのが、司令部の窓から見える5つの「性格の島」です。それぞれ「家族の島」、「正直の島」、「ホッケーの島」、「友情の島」、「おふざけの島」と名付けられ、そのシンボルが並んでいます。これらは、パーソナリティ特性(性格のビッグファイブ)の情緒安定性(神経症傾向)、誠実性、開放性、協調性、外向性の5つの要素をそれぞれモデルにしています。この5つの「性格の島」の存在によって、あたかも実況中継の解説者が解説しているように、ライリーがライリーらしくなっているのです。3つ目は、解釈装置です。意識が見ている(認識している)のは、事実そのものではなく、事実について脳(解説者)がつくった解釈であるということです。脳は、社会生活を送る中、全ての体験をそのままでは覚えきれません。そのため、ざっくりとしたイメージや言葉に置き換えています(概念化)。この解釈装置によって、自分とはこういう人間だ(アイデンティティ)、自分の考えと行動は一貫している(自己意識)、つまり自分の考えと行動は自分が決めている(自由意志はある)と思い込まされています。これは、相手(自分以外の人)についても同じです。これは、実際に、心理実験で明らかになっています。この実験では、被験者に2枚の顔写真を見せて、好みのほうを指さすよう指示します。そして、指さしたほうを被験者に渡し、その理由を質問します。ただし、数回に1回、仕掛けによって気づかれないように選ばなかったほうの顔写真にすり替えます。すると、ほとんどの場合、その選ばなかった顔写真であるにもかかわらず、選んだ顔写真の時とまったく同じように、「選んだ」理由をよどみなく答えるのです。この心理効果は、「選択盲」と呼ばれています。また、先ほどにもご説明した分離脳の研究でも、この解釈装置が判明しています。この研究実験では、分離脳の患者の右視野(左半球支配)に「鶏の足」、左視野(右半球支配)に「雪景色」の絵をそれぞれ見せて、関連する絵を選ぶよう指示します。すると、その患者の右手(左半球支配)は「鶏」、左手(右半球支配)は「ショベル」の絵をそれぞれ指さしました。続いて、それらを選んだ理由を質問されると、その患者は「鶏の足だから鶏にした」と答えました。左半球に言語中枢があるため、まず「鶏」について答えるのは当然でしょう。しかし、その後が興味深いのです。患者の左手がショベルを指さしていることを指摘すると、なんと、「鶏小屋の掃除にはショベルを使うから」と即答したのです。左半球は、「鶏の足」しか見えておらず、脳梁が切断されているため、雪景色のことは知らないです。そのため、本当は、「(左手がショベルの絵を選んだのは)分かりません」と答えるはずです。または、もし左半球が雪景色のことを知っているなら、「雪かきにショベルを使うから」と答えるはずです。このように、左半球(言語中枢)は、持てる知識を総動員して状況と一見矛盾しない後付けの答え(因果関係)をこしらえ、無意識に理由をこじつけるのです。つまり、自分が決めていると思わせる解釈装置は、主に左半球(言語中枢)で生まれるということです。この点で、先ほどご説明した半側空間無視の患者の病態失認や身体失認は、麻痺している(支配できない)から存在しないと解釈する解釈装置が働いているからであると考えることもできます。同じように考えれば、視覚中枢(後頭葉)の損傷で失明していても本人がその失明を否定する病態失認(アントン症候群)や、記憶障害から場当たり的につじつまを合わせた話を作る作話(コルサコフ症候群)もそれほど不思議な現象ではないことが分かります。また、認知症などによって、今がいつなのか分からなくなって過去と現在を混同すれば、「夫は死んでるけど明日には会える」「駅前にもう1つ同じ我が家がある」と言い張ります(重複記憶錯誤)。これらは、周りの状況と誤った時間感覚のつじつまを合わせようとする解釈装置が働いていると考えれば、それほど不思議な症状ではないことが分かります。そして、この解釈装置が過剰に作動すれば、ありえない関係付け(思い込み)をするという妄想(主に統合失調症)が出てくるでしょう。逆に、この解釈装置が作動しなければ、不要なものを含めて体験を丸ごと覚えてしまう写真記憶(主に自閉症)が出てくるでしょう。さらに、この解釈装置をビジネスに利用することもできます。それが、ブランド物のように付加価値(解釈)を生み出すブランディングです。また、心理療法に応用することもできます。それが、「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しい。だから笑うと楽しくなる(楽しいことを考えると楽しくなる)」という認知行動療法です。なお、統合失調症の詳細については、関連記事3をご覧ください。それでは、そもそもなぜこの意識は「ある」のでしょうか? そこから、私たちに自由意志があると思ってしまう原因を探ってみましょう。 << 前のページへ

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治療抵抗性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体fremanezumab~FOCUS試験

 FOCUS試験では、世界各国の片頭痛患者、とくに治療困難な患者に対する予防薬の有効性や安全性を検討している。米国・Boston PainCareのEgilius L. H. Spierings氏らは、FOCUS試験のサブグループ解析として、既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療に奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体fremanezumabによる治療の有効性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年4月16日号の報告。 対象は、欧州および北米の104施設で実施されたランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間第IIIb相臨床試験であるFOCUS試験に登録された片頭痛患者838例。対象患者は、fremanezumab四半期ごと投与群、fremanezumab月1回投与群、プラセボ群にランダムに割り付けられ、12週間の二重盲検治療を実施した。有効性の主要エンドポイントは、12週間の治療における平均月間片頭痛日数のベースラインからの平均変化とし、国ごとに評価した。 主な結果は以下のとおり。・データを提供した14ヵ国のうち、登録患者数が多かったチェコ(188例[22%])、米国(120例[14%])、フィンランド(85例[10%])において、12週間の平均月間片頭痛日数のベースラインからの変化は、プラセボ群と比較し、fremanezumab群で有意な減少が認められた。3ヵ国の対プラセボ最小二乗平均差および95%信頼区間(CI)は以下のとおりであった。【チェコ】 ●fremanezumab四半期ごと投与:-1.9(95%CI:-3.25~-0.47)、p=0.009 ●fremanezumab月1回投与:-3.0(95%CI:-4.39~-1.59)、p<0.001【米国】 ●fremanezumab四半期ごと投与:-3.7(95%CI:-5.77~-1.58)、p<0.001 ●fremanezumab月1回投与:-4.2(95%CI:-6.23~-2.13)、p<0.001【フィンランド】 ●fremanezumab四半期ごと投与:-3.0(95%CI:-5.32~-0.63)、p=0.014 ●fremanezumab月1回投与:-3.9(95%CI:-6.27~-1.44)、p=0.002・残る9ヵ国の結果も同様であり、対プラセボ最小二乗平均差は、fremanezumab四半期ごと投与で-5.6~-2.4、fremanezumab月1回投与で-5.3~-1.5の範囲であった。・重篤な有害事象および治療中止につながる有害事象の発生率は低く、国家間や治療群間で同様であった。 著者らは「fremanezumab月1回および四半期ごとの投与は、2~4つのクラスの片頭痛予防薬を用いた治療に奏効しなかった片頭痛患者において、平均月間片頭痛日数の有意な減少が期待できる治療方法であり、その効果は、国家間での差は認められなかった」としている。

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産後うつ病の有病率と環境要因~IGEDEPPコホート研究

 IGEDEPP(Interaction of Gene and Environment of Depression during PostPartum)研究とは、2011~16年に出産した白人女性3,310人を対象とし、産後1年目までフォローアップを行ったプロスペクティブコホート研究である。フランス・パリ大学のSarah Tebeka氏らは、IGEDEPP研究における早期および遅発性の産後うつ病の有病率および累積発症率の推定を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年4月16日号の報告。 ベースラインにおける社会人口統計データ、個人および家族の精神疾患歴、小児期および妊娠期のストレスの多いライフイベントを評価した。早期および遅発性の産後うつ病は、DSM-5基準を用いて、それぞれ産後8週間、1年間で評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・産後うつ病の有病率は、それぞれ以下のとおりであった。 ●早期産後うつ病:8.3%(95%CI:7.3~9.3) ●遅発性産後うつ病:12.9%(95%CI:11.5~14.2)・産後うつ病の累積発症率は、それぞれ以下のとおりであった。 ●早期産後うつ病(8週間):8.5%(95%CI:7.4~9.6) ●遅発性産後うつ病(1年間):18.1%(95%CI:17.1~19.2)・コホートの約半数にあたる1,571人(47.5%)は、1つ以上の精神疾患または嗜癖性障害を有していた。主な病歴は、うつ病性障害であった(35%)。・約300人(9.0%)において、小児期のトラウマが報告された。・妊娠女性の47.7%は、ストレスの多いイベントを経験しており、その割合は、産後8週間で30.2%、産後8週~1年で43.9%であった。・5人に1人の女性は、産後8週間以内に1つ以上のストレスの多いイベントを経験していた。 著者らは「うつ病エピソードは、産後1年間で5人に1人の女性に影響を及ぼしていた。多くの女性は、周産期にストレスの多いイベントを経験していた。今後のIGEDEPP研究において、産後の精神疾患に対する小児期および妊娠関連のストレスの多いイベントの影響を検討する予定である」としている。

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第2世代抗精神病薬による統合失調症治療におけるMetSに関連する因子

 重度の精神疾患を有する人は、一般の人と比較し、合併症の罹患や死亡率が増加する。体重増加を含む抗精神病薬の有害事象は、メタボリックシンドローム(MetS)の発症に影響を及ぼす可能性があり、これはすべての原因による死亡リスクや心血管疾患による死亡リスクの増加と関連している。オランダ・ユトレヒト大学のMarius H. Sneller氏らは、第2世代抗精神病薬(SGA)による治療を行った統合失調症スペクトラム障害患者におけるMetS関連の臨床的、生化学的、遺伝学的因子について、包括的なレビューを実施した。Frontiers in Psychiatry誌2021年3月29日号の報告。 SGA治療を行った統合失調症スペクトラム障害患者におけるMetSとの関連を調査したすべてのコホート研究、横断的研究、臨床試験を特定するため、PubMedおよびEmbaseより検索を行った。MetS関連の臨床的、生化学的、遺伝的因子を抽出した。MetSに関連する因子の定義は、2つ以上の研究で報告されている因子とした。 主な結果は以下のとおり。・58件(1万2,123例)の研究をレビューした。・MetSのリスク増加と関連している因子として、62因子が特定された。・58件中31件の研究で、2件以上の研究で報告されたMetSと関連する因子について調査されていた。・MetSと有意な関連が認められた因子は、以下のとおりであった。 ●臨床的因子:性別、高齢、気分安定薬の併用、ベースライン時および現在のBMIの高さ、SGAの早期使用、高用量、治療期間の長さ、精神疾患、喫煙 ●生化学的因子:低アディポネクチン血症、C反応性蛋白(CRP)レベルの上昇、白血球(WBC)数高値 ●遺伝学的因子:HTR2C遺伝子のrs1414334 C対立遺伝子 著者らは「SGAで治療している患者におけるMetS発症リスクを予測するためには、これらの因子を段階的に適用する必要がある。臨床診療において、MetS発症リスクを判断するためには、今後の研究が求められる」としている。

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双極性障害治療における非定型抗精神病薬使用~RCTのシステマティックレビュー

 双極性障害の治療では、非定型抗精神病薬の使用が増加している。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のKamyar Keramatian氏らは、最近発表された双極性障害に対する非定型抗精神病薬の有効性および安全性に関するランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューを実施した。Current Psychiatry Reports誌2021年5月8日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・急性期双極I型および双極II型うつ病に対するクエチアピン治療の有効性は、いくつかの研究で支持されていた。・クエチアピン補助療法は、治療抵抗性双極性うつ病に対し、プラセボよりも優れた有効性が認められた。・双極I型うつ病に対しcariprazine1.5mgによる治療が有効であった。・月1回のアリピプラゾール持続性注射剤400mgによる治療は、代謝への影響を最小限にとどめたうえで、躁症状の予防に有効であった。・若年の双極性障害患者では、急性うつ病に対してルラシドンの有用性、忍容性が認められ、急性躁病および混合性エピソードに対してアセナピンの有効性が認められた。 著者らは「最近発表されたRCTでは、双極性障害のさまざまなステージにおける非定型抗精神病薬の有効性が支持されていた。今後の研究において、研究が不十分な小児期、老年期、双極II型障害などに焦点を当てるとともに、認知機能やQOLに注目した研究が求められる」としている。

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片頭痛でも診療を受けない人は43%も/日本イーライリリー

 日本イーライリリー株式会社は、わが国の片頭痛診療の現状に関する大規模横断的疫学調査を行った。本調査は、日本に居住しかつ片頭痛の診断基準(ICHD-3)に該当するもしくは1年以内に頭痛発作を経験しかつ医師による片頭痛の診断を受けたことがある成人を対象に、わが国おける片頭痛の診断状況、治療パターン、および治療の妨げに関して、記述的に評価することを目的に行われ、その結果を第62回 日本神経学会学術大会で発表した。片頭痛のある17,071人を調査 片頭痛は、1次性頭痛の中でも臨床的に重要な疾患で、典型的には拍動性の中等度から重度の頭痛発作が繰り返し生じ、4~72時間にわたり発作が持続する。頭痛に加えて悪心、嘔吐、光過敏や音過敏などを伴うことが多く、日常動作で頭痛が増悪するため生活に大きな支障を来す。わが国における片頭痛の有病率は8.4%[男女比(女/男):約3.6]であり、男女とも20~50歳代の勤労世代に多くみられることから、患者の日常生活だけでなく社会生活にも影響を及ぼす疾患とされている。 本調査には、片頭痛の症状がある17,071人(平均年齢41歳、男:女=33.5%:66.5%、ICHD-3診断基準を満たした人の割合:82.2%)が登録された。 調査でわかった過去3ヵ月における月あたりの平均頭痛日数は次の通り。【平均頭痛日数/月:人数(比率)】・0~3日:11,498人(67.4%)・4~7日:2,714人(15.9%)・8~14日:1,608人( 9.4%)・15日以上:1,251人( 7.3%) また、片頭痛のために受診を受け、治療を行った医師の主な診療科割合は次の通り。【診療科の割合】・かかりつけ医・内科医:59.9%・脳神経外科医:26.7%・頭痛専門医:13.7%・脳神経内科医:12.3%予防治療薬を使用している人は1割未満 今回の調査でわかったわが国における片頭痛診療の現状として、・これまで1度でもOTC(一般用医薬品)を使用したことがある:80.4%・現在OTCを使用している:75.2%・これまで片頭痛のために医療機関を受診したことがある:57.4%・医師による片頭痛の診断を受けたことがある:56.6%・過去1年に片頭痛のために医療機関を受診した:39.7%・現在NSAIDsが処方されている:36.7%・これまでトリプタンを使用したことがある:20.1%・現在トリプタンを使用している:14.8%・これまでに予防治療薬を使用したことがある:10.2%・現在予防治療薬を使用している:9.2% との回答を得た。調査により片頭痛症状をもつ人の42.6%は医療機関を1度も受診していないことが判明した。また、片頭痛の急性期治療薬について、全体の87.1%の人は現在OTCを含む急性期治療薬を用いて治療していたが、トリプタンで治療している人は全体の14.8%だった。予防治療薬について、予防治療薬の処方の対象となる人は全体の29.0%だったが、現在予防治療薬で治療している人はわずか9.2%だった。片頭痛のある人に適切な医療の実現を この調査のアドバイザーである平田 幸一氏(日本頭痛学会 代表理事、獨協医科大学 副学長)は、「この調査はわが国における片頭痛医療の満たされていない患者ニーズを浮き彫りにしている。新しい片頭痛の治療薬開発が進んでいる日本において、片頭痛の診断、治療パターン、および医療ニーズを理解することが大変重要で、片頭痛のある人に適切な医療を求めるように啓発し、医師が適切な治療選択肢を患者に提案していくことが急務」とコメントを寄せている。 同社では今後も調査結果を検証し、学会や論文などで発表を行っていくとしている。

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統合失調症に対する抗精神病薬治療の有効性と安全性~日本でのRCTを用いたメタ解析

 さまざまな人種や民族のデータをプールした解析では、生物学的および環境的な不一致性が問題となる場合がある。そこで、藤田医科大学の岸 太郎氏らは、日本で実施された統合失調症に対する抗精神病薬治療のランダム化比較試験(RCT)のみを使用して、統合失調症に対する抗精神病薬の有効性および安全性の検討を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年4月30日号の報告。 Embase、PubMed、CENTRALより、文献検索を行った。主要アウトカムは、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの改善およびすべての原因による中止とした。副次的アウトカムは、PANSSサブスケールスコアの改善、有害事象または効果不十分による中止、16種の有害事象発生率とした。平均差またはリスク比と95%信頼区間を算出した。 主な結果は以下のとおり。・34件のRCTが特定された(患者数6,798例、平均研究期間:9.0±4.24週、男性の割合:53.7%、平均年齢:43.3歳)。・検討された抗精神病薬は、アリピプラゾール、アセナピン、ブロナンセリン、ブロナンセリン経皮吸収製剤、ブレクスピプラゾール、クロカプラミン(PANSSデータなし)、クロザピン(PANSSデータなし)、ハロペリドール、ルラシドン、モサプラミン、オランザピン、パリペリドン、ペロスピロン、クエチアピン、リスペリドンであった。・日本人統合失調症患者に対する抗精神病薬の有効性および安全性プロファイルは、薬剤間で異なっていた。・ハロペリドールおよびクエチアピン以外の薬剤による積極的な治療は、プラセボと比較し、PANSS合計スコアの改善が認められた。・アセナピン、オランザピン、パリペリドン、リスペリドンは、すべての原因による中止において、プラセボよりも優れていた。・アセナピン、ブロナンセリン、ブロナンセリン経皮吸収製剤、ハロペリドール、ルラシドン、モサプラミン、オランザピン、パリペリドン、リスペリドンは、PANSS陽性症状スコアの改善において、プラセボよりも優れていた。・アリピプラゾール、アセナピン、ブロナンセリン、ブロナンセリン経皮吸収製剤、ブレクスピプラゾール、ルラシドン、オランザピン、パリペリドン、ペロスピロン、リスペリドンは、PANSS陰性症状スコアの改善において、プラセボよりも優れていた。・ほとんどのアウトカムに対するエビデンスの信頼性は、低いまたは非常に低いであった。 著者らは「本結果は、さまざまな人種や民族を含むこれまでのメタ解析の結果と同様であった」としている。

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日本におけるアルツハイマー病と歯数との関連

 日本人高齢者における残存または欠損している歯数とアルツハイマー病との関連について、日本歯科総合研究機構の恒石 美登里氏らは、レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて、横断的な分析を行った。PLOS ONE誌2021年4月30日号の報告。 歯周病(400万9,345例)またはう蝕(虫歯)による抜歯(66万2,182例)の治療を行った60歳以上の患者を対象に、歯科医療レセプトデータを用いて、残存または欠損している歯数に関するデータを収集した。これらの歯数に関するデータとアルツハイマー病の診断を含む医療データを組み合わせて分析を行った。残存する歯数および第3大臼歯(親知らず)を除く欠損している歯数は、歯科医療レセプトの歯科用式を用いて算出し、それぞれ3群に分類した。アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、年齢、性別で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・歯周病と診断された患者において、アルツハイマー病の治療を受けていた患者の割合は、歯の残存数別に以下のとおりであった。 ●残存歯数20~28本:1.95% ●残存歯数10~19本:3.87% ●残存歯数1~9本:6.86%・う蝕による抜歯を行った患者において、アルツハイマー病の治療を受けていた患者の割合は、歯の欠損数別に以下のとおりであった。 ●欠損歯数1~13本:2.67% ●欠損歯数14~27本:5.51% ●欠損歯数28本:8.70%・歯周病と診断された患者におけるアルツハイマー病のORは、残存歯数20~28本の患者と比較し、以下のとおりであり、残存歯数が少ないとアルツハイマー病のORが有意に高かった(p<0.001)。 ●残存歯数10~19本:OR=1.11(95%CI:1.10~1.13) ●残存歯数1~9本:OR=1.34(95%CI:1.32~1.37)・う蝕による抜歯を行った患者におけるアルツハイマー病のORは、欠損歯数1~13本の患者と比較し、以下のとおりであり、欠損歯数が多いとアルツハイマー病のORが有意に高かった(p<0.001)。 ●欠損歯数14~27本:OR=1.40(95%CI:1.36~1.44) ●欠損歯数28本:OR=1.81(95%CI:1.74~1.89) 著者らは「歯科医院を受診した高齢者において、残存歯数が少なく、欠損歯数が多い患者では、アルツハイマー病リスクが高いことが示唆された」としている。

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メランコリアに特徴的な5つの主観的症状

 近年、うつ病と診断される患者には、さまざまな病態の抑うつ症状患者が含まれていることから、メランコリアが再評価されている。しかし、メランコリアのDSM-5基準(DSM-MEL)を用いて、メランコリーうつ病と非メランコリーうつ病を明確に鑑別することは困難であり、DSM-MELでは不十分であるともいわれている。メランコリアの特徴で唯一、定量的に評価できる精神運動障害は、重要な指標であると考えられる。虎の門病院分院の玉田 有氏らは、精神運動障害と関連する症状を分析し、メランコリアの主観的症状を客観的に特定する試みを行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年4月19日号の報告。 うつ病患者106例を対象に精神科医による検査を実施した。精神運動障害の評価には、Parker氏らが開発したCORE measureを用いた。CORE合計スコアを従属変数、DSM-MEL項目および特徴的なメランコリック病歴を独立変数とし、重回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・精神運動障害と関連のある主観的症状として、次の5項目が特定された。 (1)感情がわからなくなった (2)抑うつ性妄想 (3)当惑感 (4)決断困難 (5)他人への攻撃性がない・これら5項目は、DSM-MELよりもCORE合計スコアとより強い相関が認められた。・本研究の主な限界として、DSM以外のメランコリックな徴候や症状を選択する際、症状を包括的に評価および選択するのではなく、臨床的に重要な項目を選択した点が挙げられる。 著者らは「今回特定された精神運動障害に関連する5つの自覚症状は、メランコリアの診断基準として、臨床的に有用であると考えられる」としている。

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治療抵抗性統合失調症患者におけるオキシトシン系機能障害

 治療抵抗性統合失調症(TRS)は、重度の陽性症状のみならず他の症状とも関連する非常に複雑な病態生理を有している。また、統合失調症では、自閉スペクトラム症と重複する心理的および生物学的プロファイルが注目されている。千葉大学の仲田 祐介氏らは、治療抵抗性統合失調症患者におけるオキシトシン系機能障害について、検討を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年3月30日号の報告。 TRS患者30例、寛解期統合失調症(RemSZ)患者28例、ASD患者28例を対象に、一般的な認知機能および社会的認知機能障害とオキシトシン系機能障害との関連について、比較検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・3群間でオキシトシン濃度に差は認められなかった。・TRS群の血中オキシトシン濃度は、処理速度および心の理論のスコアと正の相関が認められたが、RemSZ群およびASD群では、いずれのスコアにおいても有意な関連は認められなかった。・オキシトシン受容体遺伝子の一塩基多型であるRs53576は、統合失調症患者の社会的認知機能に影響を及ぼしていた。 著者らは「全体的な調査結果は予備的なものである」としながらも「TRS患者の重篤な認知機能障害にオキシトシンシステムの機能障害が関連していると考えられる」とし「この結果は、TRS患者がASD患者と共通の生物学的特性に基づいて初期の神経発達異常を有している可能性を示唆している」としている。

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妊婦のストレス症状、COVID-19パンデミック前後の比較

 コロナウイルス感染症(COVID-19)関連のストレスを受けている妊婦は、そうでない妊婦と比較してストレスレベルが有意に高いことが、オランダ・Amsterdam Reproduction & Development Research InstituteのSanne J. M. Zilver氏らによって明らかにされた。COVID-19ストレスの軽減を目的とする介入は、パンデミック下における妊婦の全体的なストレスレベルを減らす可能性がある。Journal of Psychosomatic Obstetrics & Gynecology誌オンライン版2021年4月26日号の報告。 COVID-19のパンデミックは、多くの人々のメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、ストレス、不安、うつ病の症状を抱える人々が増加している。不安やうつ病は、妊婦に良からぬ影響をもたらし、新生児の転帰を悪化させる可能性がある。 本研究は、妊婦のストレスや不安、うつ病について、COVID-19流行前に妊娠した女性とCOVID-19流行下で妊娠した女性を比較したコホート研究。対象は、2020年5月21日~6月22日にソーシャルメディアプラットフォームを通じて募集された、オランダ語を習得している18歳以上の妊婦。精神症状の評価はHADS※1とPSS-10※2を用いた。記述統計により人口統計学的特徴を評価し、グループ間の人口統計学的変数の潜在的な相違は、Mann-WhitneyのU検定およびカイ二乗検定によって比較した。ロジスティック回帰分析または独立した一元配置共分散分析により、両グループの連続的なHADS合計スコアとサブスコア(HADS-AおよびHADS-D)を解析した。 主な結果は以下のとおり。・質問票の回答が得られたのは、COVID-19流行下の妊婦1,102人、COVID-19流行前の妊婦364人だった。・臨床的に高レベルな不安(HADS-A≧8)とうつ病(HADS-D≧8)について、COVID-19流行下の妊婦(それぞれ19.5%と13.2%)とCOVID-19流行前の妊婦(それぞれ23.1%と19.5%)で差は認められなかった。・COVID-19関連のストレスを受けている妊婦は、COVID-19に関連しないストレスを感じている妊婦と比較して、PSS-10の全体的なストレスレベルが有意に高かった(平均15.62[標準偏差6.44]vs.平均10.28[標準偏差5.48]、p<0.001)。※1:HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale):14の精神症状に関する項目から、身体的疾患を有する患者の抑うつと不安の測定に用いる尺度※2:PSS-10(Perceived Stress Scale-10):10項目の設問から、包括的なストレスレベルを評価する尺度

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日本人高齢者における認知症リスクと音楽活動

 認知症リスクの低減のために、余暇の認知活動が推奨されている。大阪大学のAhmed Arafa氏らは、日本人高齢者における認知症リスクとさまざまな音楽活動との関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2021年4月6日号の報告。 日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトに参加した65歳以上の高齢者5万2,601人を対象に、縦断的データを分析した。楽器演奏、カラオケ、合唱、民謡などの音楽活動についてアンケートを用いて評価した。認知症の診断には、介護保険制度で標準的に使用される認知症尺度を用いた。Cox回帰を用いて、音楽活動に関連した認知症のハザード比および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間の中央値は、5.8年であった。・男性における音楽活動未実施者と比較した認知症のハザード比は以下のとおりであった。 ●1つの音楽活動を実施:0.94(95%CI:0.82~1.07) ●複数の音楽活動を実施:0.59(95%CI:0.32~1.10)・女性における音楽活動未実施者と比較した認知症のハザード比は以下のとおりであった。 ●1つの音楽活動を実施:0.79(95%CI:0.69~0.90) ●複数の音楽活動を実施:0.89(95%CI:0.63~1.26)・楽器の演奏およびカラオケを行っていた高齢者は、音楽活動未実施者と比較し、男性では認知症リスクがわずかに減少し、女性では認知症リスクの有意な減少が認められた。 【男性】 ●楽器の演奏:0.70(95%CI:0.45~1.02) ●カラオケ:0.90(95%CI:0.79~1.04) 【女性】 ●楽器の演奏:0.75(95%CI:0.58~0.98) ●カラオケ:0.77(95%CI:0.68~0.89) 著者らは「音楽活動、とくに楽器の演奏やカラオケは、日本人高齢女性の認知症リスク低下との関連が認められた」としている。

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インサイド・ヘッド(続編・その1)【やったのは脳のせいで自分のせいじゃない!?】Part 1

今回のキーワード自由意志リベット決定論分離脳「潜在意識」「ホムンクルス問題」2021年3月号で、子どもから大人まで楽しめるディズニーアニメ「インサイド・ヘッド【なんで悲しみは「ある」の?どうすれば?(感情心理学)】」を紹介しました。この作品では、ライリーという女の子の頭の中で、感情の小人たちがコミカルに活躍する様子が描かれていました。そして、彼らの働きぶりから、感情心理学を学びました。ただ、皆さんの中で、この作品を見終わった人は、いつもの純粋なディズニーアニメにない、ある不気味さに気づきませんでしたか? それは、主人公であるはずのライリー自身がどう考えて、どう行動しようとするかという彼女自身の心の中(意識)がいっさい描かれていないことです。もっと言えば、ライリーが完全に小人たちの操縦通りに動く「ロボット」になっており、自分で決める能力(自由意志)がないように描かれていることです。今回は、この作品への続編記事として、制作者が確信犯的に仕込んだこの「私たちに自由意志はないの?あるの?」という裏メッセージを脳科学的に読み解きます。そして、意識を生み出す脳の正体を解き明かします。さらに、意識の起源を進化心理学的に迫ります。そこから、私たちはなぜ自由意志があると思ってしまうのかという問いへの答えを探っていきましょう。 意識の正体とは?意識とは、脳が作り出している脳の一部と理屈では理解できるような気がします。と同時に、1つの魂という存在として体に宿っているようにも感じています。そもそも意識とは何でしょうか? まず、ライリーとライリーの頭の中(脳)の関係から、意識の正体を解き明かしてみましょう。小人たちがいつもいる司令部の建物は、よくよく見ると、脳のど真ん中にある間脳を逆さまにした形をモデルにしています。間脳とは、感覚入力の中継(視床)、自律神経やホルモンの調整(視床下部)、ホルモンの指令(下垂体)をする3つの部位が合わさった、まさに中枢です。また、小人たちの目の前にある感情操縦デスクは、脳の神経細胞のシグナル伝達をする接合部位(シナプス後部)の形をモデルにしています。彼らは、この感情操縦デスクのボタンやレバーを動かすことで、ライリーは考え、行動するように描かれています。つまり、この作品の裏メッセージを脳科学的に読み解くと、意思決定は、意識が行っているのではなく、実は先に脳が行っているということです。つまり、意識の正体とは、脳が決めたことをただ見ているだけであるということです。簡単に言うと、意識は、主役ではなく、観客であるということです。これは、実際に、リベットによる実験で明らかになっています。この実験では、開頭手術中の患者の脳(随意運動野)に電極を取り付けます。そして、手を動かそうと意図した瞬間、手を動かす脳の指令信号(運動準備電位)が出る瞬間、実際に手が動く瞬間のそれぞれ3つのタイミングの時間差を計りました。もともとの予想は、「意図する→指令信号が出る→実際に動く」という順番でした。ところが、実験の結果は、「指令信号が出る→(0.3秒経過)→意図する→(0.2秒経過)→実際に動く」という衝撃の結果だったのでした。これは、その後のfMRIによる追試研究でも繰り返し確かめられています。意識とは、これまで「司令部」として能動的に決断を下しているように思われていましたが、実は私たちがそう思い込んでいるだけであり、実際は、脳が決めたことを0.3秒後に受け身的に見ているだけであったということです。つまり、私たちの考えや行動はあらかじめ脳によって決められていることになります。これは、決定論(神経生物学的決定論)と呼ばれ、実際に現在の多くの脳科学者たちから支持されています。ただし、そうなると、ある問題が起きます。たとえば、ライリーが家出をするために、ママの財布からクレジットカードを盗むシーンがあります。これは、ライリーの頭の中で、イカリという小人の暴走によるものでした。つまり、問題とは、盗んだのは小人(脳)のせいであり、ライリー自身(意識)のせいじゃない、ライリーに盗みの責任はないという理屈が成り立つことです。言い換えれば、自分(意識)に、自分の考えや行動を決める能力(自由意志)がないということは、犯罪行為の責任を問えなくなるかもしれないことを意味します。果たして、私たちに自由意志はないと言えるのでしょうか? この答えを探るために、脳の意思決定のプロセスをもっと掘り下げてみましょう。次のページへ >>

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インサイド・ヘッド(続編・その1)【やったのは脳のせいで自分のせいじゃない!?】Part 2

どうやって意思決定をするの?それでは、どうやって脳は意思決定をするのでしょうか? 次に、小人たちの働く様子から、脳の意思決定のメカニズムを解き明かしてみましょう。ライリーの頭の中では、小人たちが、感情操縦デスクの前で、イス取りゲームのように、せめぎ合うようにボタンを押しています。ちなみに、ライリーのママとパパの頭の中は、会議室のように小人たちはみんな座って意見を言い合ってボタンを押しています。脳科学的に言えば、これがシグナル伝達です。これは、気質(遺伝素因)、これまでの経験(生育環境)、その時の体調などに照らし合わせた瞬時の感情のアルゴリズムに従って、まさにせめぎ合うように働いています。こうして、意思決定が行われます。さらに、実際は、5人の感情の小人たちの下に、さらに小さな小人たちがたくさんいます。たとえば、顔を認識する小人、親密さ(血縁)を認識する小人、協力を促す小人、裏切りを見抜く小人など特定の働きをするさまざまなサブシステムです(心的モジュール)。ちなみに、かつてフロイトが説いた規範意識(超自我)も、この小人の1人と捉えることができます。彼らは、ライリーの体験(外界からの知覚刺激)に別々に次々と反応しています(並列分散処理)。この膨大な反応(ニューラルネットワーク)を、感情の小人たちが取りまとめ、意識に上げてくるのです(ソマティック・マーカー)。つまり、意思決定は、意識によるトップダウンではなく、脳活動(ニューラルネットワーク)によるボトムアップであるということです。簡単に言うと、意思決定は、ワンマンによる独裁政治ではなく、多数決による民主主義であるということです。これは、脳梁の切断(分離脳)の研究で判明しています。脳梁とは、左右の大脳半球をつなぐ部位です。難治性てんかんへの脳梁離断術後で左右の大脳半球が完全に切り離されると、それぞれの大脳半球が独立して知覚し、ばらばらに動いてしまう症例があることが分かっています(エイリアンハンド症候群)。たとえば、「他人」(エイリアン)の手のように勝手に物を取ろうとしている片方の手を、もう片方の「自分」の手が押さえ込んで、もみ合いになってしまうことです。つまり、脳梁の部位でのネットワークが途切れてしまったために、連携のアルゴリズムがうまく働かなくなってしまったのです。意思決定のアルゴリズムは、SNSのアドワーズ広告にも例えられます。この広告システムは、ユーザーのニーズ(検索ワードの傾向)に合わせた広告を自動的に表示します。これと同じように、脳のシステムは外界刺激に最適化された反応をするのです。「潜在意識」で説明できないの?先ほど紹介した決定論を支持するリベットの実験を「潜在意識」(無意識)という考え方で反論できないでしょうか? これは、意識が「手を動かそうと意図した瞬間」の0.3秒前の「手を動かす脳の指令信号が出る瞬間」に、まず「潜在意識」が潜在的に「手を動かそうと意図」し始めているからであるという理屈です。しかし、この「潜在意識」の正体は、まさに先ほどご説明した「指令信号が出る瞬間」から0.3秒間の脳活動のせめぎ合い(アルゴリズム)に過ぎません。つまり、「潜在意識」は結局、単一の意識であるという根拠がありません。よくよく考えると、もし「潜在意識」が存在して、これを含む意識がワンマンで決めているとしたら、その役割の脳の部位があるはずです。つまりは「意識を司る脳」の部位です。以前から、それは前頭葉であると考えられてきました。しかし、ここで問題が起きます。たとえば、それを脳の中にいる1人だけの小人としましょう(ホムンクルス)。すると、その小人がどうやって決めるかはまた分かりません。そこで、その小人の「脳」の中に1人のさらに小さな小人がいるはずと考えます。すると、さらにその小さな小人にも・・・と延々と繰り返してしまい、結局、答えが出ないことになってしまいます(ホムンクルス問題)。意思決定のメカニズムから、やはり私たちに自由意志はないのでしょうか? この答えを探るために、次回に意識はどうやって生まれるのかを解き明かしてみましょう。 << 前のページへ

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双極性障害におけるBMIと皮質下脳容積との関連

 双極性障害患者は、肥満の割合が高く、このことが神経構造の変化と関連しているといわれている。しかし、双極性障害患者の脳構造に対する肥満の影響は、十分に研究されていない。カナダ・ダルハウジー大学のSean R. McWhinney氏らは、双極性障害におけるBMIと皮質下脳容積との関連について、検討を行った。Molecular Psychiatry誌オンライン版2021年4月16日号の報告。 ENIGMA-BDワーキンググループ内の独立した研究サイト17件より、双極性障害患者1,134例、対照群1,601例の皮質下脳容積(MRI測定)およびBMIのデータを収集した。混合効果モデルを用いて、皮質下脳容積に対する双極性障害とBMIの影響を併せてモデル化し、ノンパラメトリックブートストラップを用いて、肥満の違いによる影響をテストした。すべてのモデルは、年齢、性別、脳半球容積、頭蓋内容積、データ収集サイトにより制御した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者は、対照群と比較し、以下の特徴を有していた。●BMIが有意に高い●側脳室容積が大きい●扁桃体、海馬、淡蒼球、尾状核、視床容積が小さい・BMIは、脳室および扁桃体容積と正の相関が認められ、淡蒼球容積と負の相関が認められた。・双極性障害とBMIの影響を併せてモデル化した場合、双極性障害とBMIの両方が側脳室と扁桃体容積に関連していた。・BMIを調整した場合、双極性障害と対照群の脳室容積の差が減少した。・とくに、双極性障害と脳室容積との関連の18.41%はBMIによる影響を受けていた(Z=2.73、p=0.006)。 著者らは「BMIは、双極性障害と同様に、側脳室、扁桃体、淡蒼球を含む局所脳容積と関連していた。双極性障害において最も複製された調査結果の1つとして、BMIの高さが脳室の大きさと部分的に関連する可能性が示唆された。このことは、双極性障害患者に合併する肥満が、神経構造の変化を助長することを意味している。今後のプロスペクティブな脳画像研究により、肥満が神経構造の変化に対し修正可能なリスク因子であるかを調査する必要がある」としている。

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ワクチン接種にまつわるさまざまな疑問【コロナ時代の認知症診療】第3回

副作用と副反応、改めて知るそのちがい医療関係者として私は4月の中旬に、2回目のコロナワクチン予防接種を終えた。注射の痛みはこれまでの注射経験の中で最も痛くないものであった。けれども2回とも翌日、注射の刺入点付近を中心に腫れぼったさを自覚した。また2回目は発熱こそなかったものの、翌日はけだるさが続き頭の回転も冴えなかった。「若い人なら3分の2の人に37.5度以上の発熱があるが、高齢になるほどさほどでもない」と言われる典型例だったのだろう。ところでこのような症状は普通なら副作用と言われるはずなのに、どうしてワクチン接種では副反応と呼ばれるのかを注射の後で知った。ワクチンによる健康被害の多くは、免疫反応そのものによって起きるから、こう呼ばれるのだそうだ。インフルワクチンも未経験の高齢者が意外に多い世界の先進国におけるワクチン接種率が日本はとても低いという声がある。一般国民はもとより5月1日時点の新聞記事によると医療関係者における2回目の接種終了率はまだ2割ほどに過ぎないとの報告もある。こうした中で、私の外来でも接種に関する質問がかなり出てきた。ポイントは、まず接種せねばならないものかという質問。次にどんな人はやってはいけないかという質問である。さらにイギリス型など新型コロナウイルスの変異株にもこのワクチンは効くのかという質問もある。とくに最初の問いは多いので、「インフルエンザ予防注射は打っていますか?」と尋ねると、したことはないと答える人が結構多い。そこで高齢者におけるインフルエンザ予防接種の摂取率を調べてみた。その結果、4~7割とする厚労省による報告1)を知り、その少なさに驚いた。ワクチンによる「集団免疫」への希望の声がある。もちろん多くの人は自分がかかりたくないから接種するのである。一方で人口の3分の2が免疫を獲得すれば、パンデミックを食い止め地域社会や国全体を守れるという「集団免疫」の考えがある。その信憑性を疑う声もあるが、これを実現するにはインフルエンザの予防接種でいうところの、これまでの最高くらいの接種率が必要である。けれどもこれは容易ではないだろう。私の知る範囲では、恐らく接種しないだろうと思われる人が少なくない。科学的判断というよりもむしろ本人の信念による気がする。次に接種の絶対禁忌は、各医師会がガイドラインを市民向けに示している:(1)1回目の新型コロナワクチン接種でアナフィラキシーなど重度のアレルギー反応がでた方(2)本ワクチンの成分であるポリエチレングリコール(PEG)にアレルギーのある方である。なおよくありそうな、接種当日37.5℃以上の発熱がある方については、「今は接種できないが、タイミングをずらせば接種可能」とされている。投げかけられるさまざまな疑問にどう答える?次に変異株に対する効果も含めてどれくらい有効だろうか? まず「そもそも変異とは何か?」。これは今の時代、いまさら聞けない質問かもしれない。「ウイルスの遺伝子コピーの写し間違えで、元とは違ったタンパク質からなる生物ができること」と答えても難しいだろう。そこでウイルスのもとになる遺伝子における「伝達ゲーム」のようなものだと言っている。つまりどんどん間違いが広がっていって最初の話とは全く別の話が出来上がるようなものという説明である。さてどこまで効くかだが、これまでの生ワクチンなどと違って、今度のRNAワクチンには、効果が期待されるようだ。インフルエンザのように毎年変異し、全く生物学的に異なるものであれば確かに効果は期待しにくいだろう。そうではなくコロナの場合、新型コロナウイルスの中での変異なので、期待できるのではないかと考えられている。筆者自身は変異株が今では大多数のイギリスにおける疫学的結果が最も大切かと思う。ヨーロッパでワクチン接種率が最も高いイギリスでは、4月30日の段階で、1度でもワクチンを接種した人の割合は約50%だ。1日あたりの感染者は、1月には約6万8,000人だったものが、3ヵ月後には2,000人程度まで急激に減少した2)。まさに集団免疫による効果が出つつあるのだろう。なお、予防接種の持続効果については、少なくとも半年間はあると言われる。つまり半年間くらいは、抗体が血液中に存在するとされるが、それ以上にもつか否かについてまだエビデンスはないようだ。このような多くの質問が臨床の場ではしばしば投げかけられる。筆者自身はNew England Journal of MedicineのFrequently Asked Questionsにあるコロナワクチンに関する特集3)が信頼できると感じている。参考文献・参考情報1)厚生労働省「2020/21シーズンのインフルエンザワクチンの供給について」2)ワクチン接種50%のイギリス 感染が激減3)NEJM — Covid-19 Vaccine Frequently Asked Questions (FAQ)

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食事パターンは高齢者の認知機能に関連している

 高齢者において、地中海式食事法※1とマインド食※2が記憶と言語機能に、「アルコール飲料」がワーキングメモリに関連していることが、ドイツ・German Center for Neurodegenerative Disorders(DZNE)のL M P Wesselman氏らの研究により明らかとなった。結果を踏まえて著者は、「認知機能低下率に対する栄養の推定的効果、およびアルツハイマー病(AD)リスクが高いグループへの食事介入の可能性について結論を出すには、縦断的データが必要だ」としている。European Journal of Nutrition誌2021年3月号の報告。 これまで、認知機能と食事に関する研究の多くは一般的な人口をベースにして行われ、1次予防の可能性を導き出してきた。しかし、ADリスクが高い個人を用いた研究は、とくに有益だと考えられる。本研究では、臨床サンプルを用いて認知症でない高齢者の食事パターンと認知機能の間の横断的関連性を検証した。 ドイツのDELCODE試験より、389例の参加者データ(女性52%、平均年齢69±6歳、平均ミニメンタルステートスコア29±1)を抽出した。主観的な認知機能低下、軽度認知障害(MCI)、およびAD患者の兄弟を有する参加者を含めることにより、サンプルにはADリスクが高い高齢者が集まった。地中海式食事法およびマインド食は、148の食事摂取頻度調査票、および39の食品グループの主成分分析(PCA)によるデータ駆動型パターンによって導き出した。食事パターンと5つの認知領域スコア(記憶、言語機能、実行機能、ワーキングメモリ、視空間機能)との関連性は、人口統計(モデル1)、それに加えてエネルギー摂取量、BMI、その他のライフスタイル変数およびAPOe4ステータス(モデル2)で補正した線形回帰分析を用いて分析した。PCAによって関連する食事成分を導くため、最終モデル3には他のすべての食事成分が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・高齢者人口をベースにした研究と一致して、地中海式食事法およびマインド食の順守は、より高い記憶力と関連していた。・「アルコール飲料」のPCA構成要素は、より高い記憶力、言語機能、実行機能、ワーキングメモリと正の相関性を示した。・MCI患者(60例)を除くと、地中海式食事法およびマインド食は言語機能にも関連していた。同様に、アルコール飲料の成分と言語機能についても、弱いものの有意な関連が認められた。※1:地中海式食事法:魚・野菜・フルーツをメインにオリーブオイル・ナッツ類・赤ワインを取り入れた食事※2:マインド食:地中海式食事法と高血圧圧を予防するダイエット食「DASH食」を組み合わせたもので、脂肪分やコレステロールの摂取を減らし、ミネラルを多く摂る食事

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うつ病と職場や家族のストレスに対する職場のソーシャルキャピタルの影響

 日本では、労働者のメンタルヘルスが問題となっている。公務員の労働環境は、過度なストレスを伴うことが多くなり、うつ病予防の必要性が増している。職場や家庭でのストレスに加えて、ソーシャルキャピタルがうつ病と関連していることが報告されている。敦賀市立看護大学の中堀 伸枝氏らは、うつ病と職場でのストレスまたは家庭でのストレスの軽減に対する職場のソーシャルキャピタルの影響について調査を行った。BMC Public Health誌2021年4月14日号の報告。 対象は、富山県の日本人公務員3,015人(男性:1,867人、女性:1,148人)。うつ病、職場のソーシャルキャピタル、仕事の状況、職場でのストレス、ワークライフバランス、身体の健康状態に関するデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・職場のソーシャルキャピタルが低い男女は、うつ病のオッズ比が高かった。 ●職場のソーシャルキャピタルが低い男性(調整オッズ比:2.93、95%CI:2.16~3.98) ●職場のソーシャルキャピタルが低い女性(調整オッズ比:2.46、95%CI:1.74~3.49)・職場のソーシャルキャピタルで調整した後、男性では、うつ病と役職の低さ、職場でのサポートの低さ、職場と家庭における中程度の問題との関連性が減少し、統計学的に有意な差は消失した。・女性では、職場での中程度の管理によりうつ病と未婚状態との関連性は減少し、統計学的に有意な差は消失した。・職場のソーシャルキャピタルの程度により層別化した場合のうつ病のオッズ比は、層別化前のオッズ比と比較し、職場のソーシャルキャピタルが低い男女は、長時間労働によるうつ病、職場と家庭での問題によるうつ病のオッズ比の増加が認められた。 著者らは「職場のソーシャルキャピタルは、男女共にうつ病に関連する職場と家庭のストレスの影響を軽減させる可能性が示唆された」としている。

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片頭痛発作を抑制する初の抗体製剤「エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター/シリンジ」【下平博士のDIノート】第74回

片頭痛発作を抑制する初の抗体製剤「エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター/シリンジ」今回は、ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤「ガルカネズマブ(遺伝子組み換え)注射液(商品名:エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター/シリンジ、製造販売元:日本イーライリリー)」を紹介します。本剤は、従来の片頭痛治療で効果が不十分、または副作用などにより使用できない患者の片頭痛発作を抑制し、QOLが改善することが期待されています。<効能・効果>本剤は、片頭痛発作の発症抑制の適応で、2021年1月22日に承認され、4月26日に発売されました。投与対象となる患者は、厚生労働省の最適使用推進ガイドラインに記載されている下記の患者選択基準(1)~(4)すべてを満たす必要があります。(1)国際頭痛分類(ICHD第3版)を参考に十分な診療を実施し、前兆のあるまたは前兆のない片頭痛の発作が月に複数回以上発現している、または慢性片頭痛であることが確認されている。(2)投与開始前3ヵ月以上にわたり、1ヵ月当たりのMHD(頭痛日数:migraine headache days)が平均4日以上である。(3)睡眠・食生活の指導、適正体重の維持、ストレスマネジメントなどの非薬物療法および片頭痛発作の急性期治療などをすでに実施していて、それらの治療を適切に行っても日常生活に支障を来している。(4)わが国で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬のいずれかが、下記1~3のうちの1つ以上の理由によって使用または継続できない。1.効果が十分に得られない。2.忍容性が低い。3.禁忌または副作用などの観点から安全性への強い懸念がある。<用法・用量>通常、成人にはガルカネズマブ(遺伝子組み換え)として初回に240mgを皮下投与し、以降は1ヵ月間隔で120mgを皮下投与します。本剤投与中は症状の経過を十分に観察し、本剤投与開始後3ヵ月を目安に治療上の有益性を評価して、症状の改善が認められない場合は本剤の投与中止を考慮します。その後も定期的に投与継続の要否について検討し、頭痛発作発現の消失・軽減などにより日常生活に支障を来さなくなった場合には、本剤の投与中止を考慮する必要があります。なお、日本人を対象とした臨床試験において、18ヵ月を超える本剤の使用経験はありません。<安全性>反復性および慢性片頭痛患者を対象とした日本人および外国人の臨床試験を併合したところ、評価対象2,582例中780例(30.2%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、注射部位疼痛260例(10.1%)をはじめとする注射部位反応(紅斑、そう痒感、内出血、腫脹、硬結など)、悪心30例(1.2%)、疲労27例(1.1%)でした。重大な副作用として、重篤な過敏症反応であるアナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹など(いずれも頻度不明)が現れることがあります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、片頭痛を引き起こす神経ペプチドを抑え、片頭痛発作が起きないようにする薬です。初回は2本、2回目以降は1ヵ月に1回1本を皮下投与します。2.頭痛発作時は医師の指示に従って、頭痛発作治療薬や痛み止めを使用してください。3.注射部位に現れる痛み、発赤、かゆみ、内出血、腫れなどは、通常数日以内に消失します。症状が長引いたり、悪化したりする場合は早めにご相談ください。4.注射後、発熱、蕁麻疹、口唇周囲の腫れ、息苦しさなどが起きたら、すぐに医療機関にご連絡ください。<Shimo's eyes>片頭痛発作を抑制する初の抗体製剤が登場しました。本剤は、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)に特異的に結合するヒト化抗CGRPモノクローナル抗体です。CGRPは三叉神経節や硬膜上の三叉神経末梢に存在する神経ペプチドで、過剰に発現すると血管拡張や神経原性炎症を引き起こして、片頭痛発作を発症させると考えられています。本剤は1回使い切りの注射製剤であり、オートインジェクターは、デュラグルチド(商品名:トルリシティ皮下注0.75mgアテオス)と同様のデバイスです。2020年7月現在、片頭痛の予防の適応で40ヵ国以上において承認されており、反復性群発頭痛の適応についても米国、アラブ首長国連邦などで承認されています。片頭痛の薬物療法として、急性期の治療には、トリプタン製剤、アセトアミノフェン、NSAIDsなどが推奨されています。急性期治療のみでは片頭痛発作を抑制できず、頻回の発作により生活に支障が出る場合には、予防治療が選択されます。片頭痛の予防薬として適応を有するものには、プロプラノロール(同:インデラル)、ロメリジン塩酸塩(同:ミグシス)、バルプロ酸ナトリウム(同:デパケン)などがあります。これらの予防薬は連日の服用が必要ですが、本剤は月1回の皮下注射で効果が期待できるため、患者の利便性・QOLの向上が期待できます。なお、本剤は、片頭痛の治療に関する十分な知識および経験を有する医師のもとで使用することとされ、投与対象となる患者・施設ともに『最適使用推進ガイドライン』に定められる厳格な要件を満たす場合に限られています。本剤は2022年5月より在宅自己注射が可能となりました。病院で本剤による治療を受けていると聴取した場合は薬歴に記載し、効果や副作用を確認したうえで、ほかの片頭痛治療薬が正しく使えているかも確認しましょう。※2022年5月、添付文書改訂により一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター/エムガルティ皮下注120mgシリンジ

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第60回 昔なじみの抗うつ薬が抗がん免疫を助ける/持参のCOVID-19抗原検査で楽々帰国

昔なじみの抗うつ薬と抗PD-1薬の併用でいっそうの抗腫瘍効果抗うつ薬として昔なじみのモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)が免疫細胞によるがん駆除を助ける働きを担い、PD-1阻害薬と併用すればそれら単独投与以上の腫瘍抑制効果を発揮することがマウス実験で示されました1,2)。ペムブロリズマブやニボルマブ等のPD-1阻害薬は腫瘍細胞が免疫攻撃から逃れるために利用するT細胞表面分子を阻止します。PD-1阻害薬はうまくいけば何年も腫瘍を食い止めますが誰にでも効くというわけではなく、その効果を補う薬の標的探しが続けられています。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のがん免疫学者Lili Yang氏のチームもその一つで、抗腫瘍免疫との関わりがこれまで知られていなかったモノアミン酸化酵素(MAO)の一つ・MAO-A遺伝子が腫瘍のT細胞で意外にも発現していることを突き止め、どうやらPD-1阻害薬の併用薬の標的として有望なことを見出しました。MAO-Aはドパミンやセロトニンなどの気分向上神経伝達物質を分解します。MAO-A活性が低い男性と攻撃的な振る舞いの関連が示されていることからMAO-A遺伝子は戦士の遺伝子として知られます3)。Yang氏等の新たな研究によるとMAO-AはT細胞の戦士化にもどうやら寄与しているらしく、マウスのMAO-A遺伝子を封じたところT細胞の抗腫瘍免疫が強力となり、腫瘍増殖が抑制されました。MAO-A阻害薬フェネルジン(phenelzine)も同様の効果があり、マウスの腫瘍を増殖し難くしました。また、MAO阻害薬とPD-1阻害薬の併用はいっそうの抗腫瘍効果をもたらしました。T細胞はセロトニンを作って抗腫瘍免疫を底上げし、MAO-Aはそのセロトニンを分解することで腫瘍のT細胞回避を助けてしまうようです。その回避路を断つMOA阻害薬とPD-1阻害薬の併用が試験で検討されることをYang氏は望んでいます。安上がりでどこでも手に入るMAO阻害薬はあわよくばがん患者の抑うつもついでに取り去ってくれるかもしれません。そのような併用試験をするなら前立腺がんは候補の一つになりそうです。というのもMAO-A は前立腺がんで過剰発現し、がん細胞や腫瘍開始細胞(がん幹細胞)の増殖を促して前立腺がんの発生を促すことが示唆されているからです4)。ただしMAO-A は必ずがんに味方するというわけではなさそうで、肝細胞がん、胆管がん、褐色細胞腫、神経芽腫、腎細胞がん、肺腺がんなどでは逆にがんと敵対する腫瘍抑制因子として働くと示唆されています5)。MAO阻害薬の試験ではMAO-Aに備わるせっかくの腫瘍抑制効果を意図せず妨げることがないように注意する必要があるでしょう。ユナイテッド航空がアボット社のCOVID-19抗原検査で楽々帰国できるようにするユナイテッド航空がAbbott(アボット)社と手を組み、海外旅行者の米国帰還の際に必要な新型コロナウイルス感染(COVID-19)陰性証明をよりすんなり取得できる仕組みを提供します6)。ユナイテッド航空の乗客はアボット社の抗原検査BinaxNOW Home Testを携えて出国し、海外滞在中にわざわざ検査センターに赴かずともそれを使って検査することで米国に帰還可能かどうかを判断できるようになります。遠隔医療が使える環境で旅行者がBinaxNOW Home Testのような抗原検査を自ら実施し、海外から米国への飛行機に搭乗するのに必要な陰性証明にその検査結果を使うことを同国は最近許可しています。BinaxNOW Home Testは手帳ほどの大きさで軽量であり、バッグに場所を取らず収めることができます。どっちつかずの検査結果となってしまった場合に備えて1つきりではなく幾つか持っていった方が良いようです。参考1)Wang X, et al. Sci Immunol. 2021 May 14; 6:eabh2383.[Epub ahead of print]2)An old antidepressant helps the immune system fight tumors in mice / Science3)Mentis AA, et al.Transl Psychiatry. 2021 Feb 18;11:130.4)Liao CP, et al. Oncogene.2018 Sep;37:5175-5190.5)Huang Y, et al. Front Oncol. 2021 Mar 8;11:645821.6)United and Abbott Partner to Make Return to U.S. Worry Free for International Travelers with Home-Testing Kits / PRNewswire

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