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医療ミス多いのは?24h以上の長時間勤務 vs.16h以内の2交代制/NEJM

 米国小児科研修医のICUローテーション中のスケジュールについて、24時間以上の長時間勤務のほうが、16時間以内の日中・夜間勤務を繰り返すスケジュールに比べ、研修医による重大な医療ミス発生率が低かったことが示されたという。ただし、実施した施設によるばらつきは大きかった。米国・ボストン小児病院のChristopher P. Landrigan氏らが行った、2パターンの勤務シフトを比較した多施設共同クラスター無作為化クロスオーバー試験の結果で、著者は「仮説に反する試験結果となった」と述べながら、要因として「各研修医が治療するICUの患者数は、長時間勤務でないスケジュール群のほうが多かった」ことに触れている。NEJM誌2020年6月25日号掲載の報告。米国内6ヵ所の小児ICUで試験 研究グループは2013年7月~2017年3月にかけて、米国内6施設の小児ICUを対象に試験を行った。小児科研修医のICUローテーション中のスケジュールについて、(1)24時間以上の勤務シフトを含む、長時間勤務スケジュール(対照群)、(2)16時間以内の日中・夜間勤務サイクルを繰り返すスケジュール(介入群)の2パターンを比較した。 主要アウトカムは、研修医による重大な医療ミスとし、直接的な観察と診療録レビューなどの、強化サーベイランスにより評価を行った。研修医の1人当たりの平均ICU患者数、介入群で約2人増 比較した2種の勤務スケジュール期間の、ICU患者の特性は類似していた。一方で、研修医1人当たりの平均ICU患者数で表した研修医の仕事量は、対照群が6.7人(SD 2.2)に対し、介入群が8.8人(2.8)と多かった。 研修医による重大な医療ミス発生率は、対照群79.0件/1,000患者日に対し、介入群が97.1件/1,000患者日と高率だった(相対リスク[RR]:1.53、95%信頼区間[CI]:1.37~1.72、p<0.001)。 ICUユニット全体の重大な医療ミスについても、対照群131.5件/1,000患者日に対し、介入群が181.3件/1,000患者日と高率だった(RR:1.56、95%CI:1.43~1.71)。 なお、研修医による重大な医療ミス発生率については施設間のばらつきが大きく、医療ミス発生率が介入群で対照群より低かったのは1施設、同等だったのは2施設、高かったのは3施設だった。 研修医1人当たりの患者数を交絡因子として補正後、介入群と医療ミス発生率増大には関連が認められなかった。

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ラコサミドに点滴静注100mgが登場/ユーシービージャパン

 ユーシービージャパン株式会社は、6月11日に抗てんかん剤ラコサミド(商品名:ビムパット点滴静注100mg)を新発売した。 てんかんは、全世界で約6,500万人、わが国には約100万人の患者数が推定され、毎年57,000人が新たにてんかんを発症している。患者の大部分が長期的な薬物療法を必要とするが、既存の抗てんかん薬を使用しても、30%を超える患者がてんかん発作を十分にコントロールできていないとの報告もあり、てんかん治療ではアンメット・ニーズが高い。 今回発売されたラコサミドは、電位依存性ナトリウムチャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進することにより、神経細胞の過剰な興奮を低下させる薬剤1)。2016年7月に成人の「てんかん患者の部分発作に対する併用療法」で製造販売承認を取得後、成人の「てんかん患者の部分発作に対する単剤療法」(2017年8月)、4歳以上の小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法及び単剤療法に係る新用量(2019年1月)、ドライシロップと点滴静注(2019年1月)とそれぞれ追加承認されている。 ビムパット点滴静注100mgは、一時的に経口投与ができない患者への部分発作(二次性全般化発作を含む)の治療に対し承認されている先行の「同点滴静注200mg」の充填量を半量とした製剤。1回の投与で使い切ることができ、同社では「錠剤とドライシロップ10%、点滴静注200mgに加え、点滴静注100mgを追加することで、患者や医療関係者に一層貢献できる」と期待を寄せている。ビムパットの概要商品名:ビムパット点滴静注100mg一般名:ラコサミド効能または効果:一時的に経口投与ができない患者における、下記の治療に対するラコサミド経口製剤の代替療法てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)用法・ラコサミドの経口投与から本剤に切り替える場合:通常、ラコサミド経口投与と同じ1日用量および投与回数にて、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。・ラコサミドの経口投与に先立ち本剤を投与する場合:成人:通常、ラコサミドとして1日100mgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて増量し、維持用量を1日200mgとするが、いずれも1日2回に分け、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。小児:通常、4歳以上の小児にはラコサミドとして1日2mg/kgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kgずつ増量し、維持用量を体重30kg未満の小児には1日6mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児には1日4mg/kgとする。いずれも1日2回に分け、1回量を30分から60分かけて点滴静脈内投与する。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ用法・用量を用いる。いずれの場合においても、症状により適宜増減できるが、1日最高投与量および増量方法は以下のとおりとする。成人:1日最高投与量は400mgを超えないこととし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として100mg以下ずつ行う。小児:4歳以上の小児のうち体重30kg未満の小児では1日12mg/kg、体重30kg以上50kg未満の小児では1日8mg/㎏を超えないこととし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として2mg/kg以下ずつ行う。ただし、体重50kg以上の小児では、成人と同じ1日最高投与量および増量方法とする。製造販売承認日:2020年1月27日薬価基準収載日:2020年5月27日薬価:ビムパット点滴静注100mg 1瓶2,459円発売日:2020年6月11日製造販売元:ユーシービージャパン株式会社販売元:第一三共株式会社

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COVID-19流行期の小児炎症性多臓器症候群、その臨床的特徴は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生率が高い地域では、通常とは異なる発熱や炎症の症候群を呈する子供の症例が報告されている。そこで、英国・Imperial College Healthcare NHS TrustのElizabeth Whittaker氏らは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)による感染症流行期の小児炎症性多臓器症候群(PIMS-TS)の判定基準を満たした入院患児の調査を行い、発熱や炎症から心筋障害、ショック、冠動脈瘤の発現まで、さまざまな徴候や症状とともに、重症度にも違いがみられることを明らかにした。JAMA誌オンライン版2020年6月8日号掲載の報告。58例の臨床的特徴を抽出し、他の炎症性疾患と比較 研究グループは、PIMS-TSの判定基準を満たした入院患児の臨床所見や検査値の特徴を調査し、これらの特徴を他の小児炎症性疾患と比較する目的で、症例集積研究を行った(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成による)。 2020年3月23日~5月16日の期間に、イングランドの8つの病院に入院したPIMS-TS患児58例を対象とした。最終フォローアップ日は2020年5月22日。 診療記録を精査することで、臨床所見や検査値の特徴を抽出し、2002~19年に欧米の病院に入院した川崎病(1,132例)、川崎病ショック症候群(45例)、毒素性ショック症候群(37例)の臨床的特徴と比較した。感染率78%、年齢が高く、炎症マーカーが高値 58例の年齢中央値は9歳(IQR:5.7~14)で、女児が33例(57%)であった。SARS-CoV-2のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査では15例(26%)が陽性で、SARS-CoV-2のIgG検査では46例中40例(87%)が陽性であった。全体として、58例中45例(78%)で現在または過去のSARS-CoV-2感染のエビデンスが得られた。 全患児に、発熱と非特異的症状(嘔吐26/58例[45%]、腹痛31/58例[53%]、下痢30/58例[52%])が認められた。発疹は58例中30例(52%)に、結膜充血は58例中26例(45%)にみられた。 検査値の評価では、著明な炎症が認められた。たとえば、C反応性蛋白(CRP)中央値(58例全例で測定)は229mg/L(IQR:156~338)で、フェリチン(58例中53例で評価)中央値は610μg/L(359~1,280)であった。 58例の患児のうち、29例がショック(心筋機能障害の生化学的エビデンスを伴う)を来し、強心薬および蘇生輸液を要した(29例中23例[79%]が機械的換気を受けた)。13例は米国心臓協会(AHA)の川崎病の定義を満たし、23例はショックや川崎病の特徴を伴わない発熱および炎症所見を有していた。8例(14%)には、冠動脈拡張と冠動脈瘤が発現した。 PIMS-TSを川崎病および川崎病ショック症候群と比較したところ、臨床所見や検査値の特徴に違いが認められた。たとえば、PIMS-TSは、これら2つの炎症性疾患に比べ年齢中央値が高く(PIMS-TS:9歳[IQR:5.7~14]vs.川崎病:2.7歳[1.4~4.7]vs.川崎病ショック症候群:3.8歳[0.2~18])、CRP中央値(229mg/L[IQR:156~338]vs.67mg/L[40~150]vs.193mg/L[83~237])などの炎症マーカーが高値を示した。 著者は、「これらの知見は、重篤なPIMS-TSで入院した患児の臨床的特徴を示しており、この明らかに新しい症候群の実態を理解するのに役立つだろう」としている。

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MRワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第1回

ワクチンで予防できる疾患(疾患について・疫学)ワクチンで予防できる疾患、VPD(Vaccine Preventable Disease)は、数えられるほどしかない。しかし、世界ではいまだに多くの子供や大人(時に胎児も)が、ワクチンで予防できるはずの感染症に罹患し、後遺症を患ったり、命を落としたりしている。わが国では2012~2013年の風疹大流行(感染者約17,000人)に引き続き1)、2018~2019年にも流行した(感染者5,000人以上)。その影響もあり、日本は下記期間において世界3位の風疹流行国となっている2)(図1、表1)。風疹ワクチンのもっとも重要な目的は先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrom:CRS)の予防である。それには、風疹が流行しないよう、風疹含有ワクチン接種により集団免疫を高めることが何より重要である。図1 2019年3月~2020年2月(1年間)の風疹発生数と発生率(100万人当たり)画像を拡大する表1 風疹患者数(上位10ヵ国)Global Measles and Rubella Monthly Update (Accessed on April 24, 2020)より引用画像を拡大する一方、麻疹は、世界で約14万人の命を奪う(2018年推計)ウイルス感染症である。麻疹の死亡率は先進国でさえも約1,000人に1人といわれており、重症度の高い感染症である。感染力も強いため、風疹と同様、予防接種により高い集団免疫を獲得する必要がある。しかし、日本国内での麻疹の散発的流行はいまだ絶えない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る緊急事態宣言が解除された今なお、予防接種は不要不急だと考え接種を控えるケースが見受けられる。しかし「ワクチンと新型コロナウイルスと検疫」でも述べられているように、予防接種(特に小児)は適切な時期に受けることが重要であり、接種を延期する必要はない。過度な制限や自粛により、予防できるはずの感染症に罹患してしまうことは避けなければならない3)。麻疹・風疹の概要VPDの第1弾として、「麻疹・風疹」を取り上げる。麻疹・風疹ワクチンともに、経済性、安全性、有効性に優れており費用対効果も高い。日本国内における麻疹・風疹の感染流行の首座は、小児よりも青年・成人である。そのため、あらゆる年代、あらゆる受診機会に触れるプライマリケア医からの啓発が、非常に重要かつ効果的である。麻疹について1)麻疹の概要感染経路:空気感染、飛沫感染、接触感染潜伏期:10~12日周囲に感染させうる期間:症状出現1日前~解熱後3日間感染力(R0:基本再生産数):12-18感染症法:5類感染症(全数報告、直ちに届出が必要)学校保健安全法:第2種(出席停止期間:解熱後3日経過するまで)注)R0(基本再生産数):集団にいるすべての人間が感染症に罹る可能性をもった(感受性を有した)状態で、一人の感染者が何人に感染させうるか、感染力の強さを表す。つまり、数が多い方が感染力は強いということになる。2)麻疹の臨床症状麻疹の特徴は、感染力の強さと重症度の2つである。空気感染する感染症は、麻疹以外では結核と水痘がある。感染力を表すR0(アールノート)は、インフルエンザが1-2、COVID-19が1.3-2.5(5月時点)なので、麻疹はこれらの約10倍に相当する極めて強い感染力をもつ。典型的な麻疹の臨床経過は、10~12日程度の潜伏期ののち、3つの病期を経る。感染力がもっとも強いカタル期(2~4日間)には、高熱、上気道症状、目の充血、コプリック斑などが出現する。その後、一旦解熱し、再度高熱(二峰性発熱)と全身性の紅斑(発疹期)が拡がる(3~5日間)。発疹が出て3~4日後に徐々に解熱し回復する(回復期)。麻疹に対する免疫をもたない人が感染すると、約3割に合併症が生じ、肺炎や脳炎、中耳炎、心筋炎などを来す。肺炎や脳炎は2大死亡原因と言われ、乳児では麻疹による死亡例の6割が肺炎に起因する。まれではあるが罹患してから数年後に発症する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という重篤な合併症を来すこともある。病歴や臨床症状から疑い、血清学的検査(IgM抗体、IgG抗体など)やPCR検査(咽頭、尿など)などにより確定診断をする(詳細は「医療機関での麻疹対応ガイドライン 第7版」4)を参照)。特異的な治療法はないため、対症療法が中心である。3)麻疹の疫学麻疹の感染者は、全数報告が開始された2008年が約1万1,000例だったが、2009年以降は、毎年数十~数百例の報告数である。2016年は165例、2017年は186例、2018年282例と続き、2019年は744例と多かった。かつては5歳未満の小児が主な感染者であったが、2011年頃からは20~30代の患者が半数以上占めている5)。2019年は感染者の56%が20~30代であり、主な感染者は接種歴のない乳児を除いて、30代をピークとした成人であることがわかる(図2、3)。図2 年齢群別接種歴別麻疹累積報告数 2019年第1~52週(n=744)画像を拡大する図3 年齢別麻疹累積報告数割合 2019年第1~52週(n=744)国立感染症研究所 感染症発生動向調査 2020年1月8日現在より引用画像を拡大する4)麻疹の抗体保有率抗体保有率は麻疹の感受性調査として、ほぼ毎年国立感染症研究所より報告されている。抗体価はあくまで免疫能の一部を表しているに過ぎないため、抗体価が基準を満たせば良い、という単純な話ではない(総論第4回 「抗体検査」参照)。しかし、年代と抗体保有率との相関性をみることで、ある程度の傾向が把握できるため紹介する。麻疹の抗体保有率(PA法16倍以上:図4赤線)は1歳以上の全年代で95%以上を維持しているが、修飾麻疹を含めた発症予防可能レベルは128倍以上が望ましい6)(図4:緑線)。10代と60代以上で128倍の抗体価を下回る人が多く、注意が必要である。また、すべての年代で128倍未満のものがいることから、輸入麻疹による感染拡大の危機は常につきまとうことになる。図4 麻疹の抗体価保有状況 2019年感染症流行予測調査より(2020年2月暫定値)国立感染症研究所 2019年感染症流行予測調査(2020年2月暫定値)より引用画像を拡大するわが国は2015年3月27日にWHOによる麻疹排除認定を受けた。麻疹排除認定の定義とは「質の高いサーベイランスが存在するある特定の地域、国等において、12ヵ月間以上継続した麻疹ウイルスの伝播がない状態」とされている。これは土着の麻疹ウイルスが国内流行しなくなった状態を意味するだけであり、土着でない、海外から持ち込まれた“輸入麻疹”は、麻疹排除認定後も、2020年現在まで国内で散発的にみられている(図5)。近年の代表的な事例として、2018年には海外からの旅行者を発端とした沖縄での集団感染(101例)や、2019年にはワクチン接種率の低い三重県の宗教団体関係者を中心とした集団感染(49例)などがある。その感染力の高さから4次や5次感染を来した事例も複数報告されている7)。その他、医療関係者、教育関係者、空港職員などが感染した事例も多く、不特定多数の人に接触しうる職種は特に、あらかじめワクチン接種により免疫を獲得しておくことが重要である。図5 麻疹累積報告数の推移 2013~2020年第15週 (2020年4月15日現在)国立感染症研究所 感染症発生動向調査より引用画像を拡大する麻疹はアジア・アフリカ諸国を始め、世界各国で流行が続いており、2019年は40万人以上が罹患したと報告されている。一方で、わが国への出入国者数は年々増加し、年間5,000万人を超えている。つまり、日本全体が麻疹に対する強固な集団免疫を獲得しないと、世界各国とのアクセスが容易な現代においては、“ふと”やってくる輸入麻疹を防げないのである。風疹について1)風疹の概要感染経路:飛沫感染、接触感染潜伏期:14~21日周囲に感染させうる期間:発疹出現前後1週間感染力(R0:基本再生産数):5-7感染症法:5類感染症(全数報告、直ちに届出が必要)学校保健安全法:第2種(出席停止期間:発疹が消失するまで)2)風疹の臨床症状風疹は、比較的予後の良い急性ウイルス感染症である。しかし、妊婦が風疹に罹患すると、その胎児に感染し、先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrome:CRS)が発生する可能性がある(後述)。風疹の主な感染様式は、風邪やインフルエンザと同様に飛沫感染であり、感染力は比較的強い(R0は5-7)。風疹の臨床経過について。2~3週間の潜伏期の後、軽い発熱と淡い全身性発疹が同時に出現する。その他、耳下や頸部リンパ節腫脹も特徴的で、関節痛を伴うこともある。発疹は3~5日程度で消失するため、風疹は“三日はしか”とも言われる。風疹ウイルスに感染した成人の約15%は不顕性感染(感染していても症状がでない)であり、たとえ症状がでても軽度なことも多い。そのため、自分が感染していることに気付かず、他人に感染させてしまう可能性がある。診断方法:臨床症状から疑い、血清検査(IgMやIgGなど)にて確定診断を行う。治療:CRSも含め、風疹に特異的な治療法はなく対症療法が中心となる。そのため、ワクチンがもっとも有効な予防方法となる。予後は基本的には良好だが、時に血小板減少性紫斑病や脳炎を合併することがある。3)先天性風疹症候群(Congenital Rubella Syndrome:CRS)冒頭で述べたように、日本では2012~13年および2018~19年に風疹が流行した。2012~13年には17,000人以上の風疹感染者と45人のCRSが、2018~19年には5,000人以上の風疹感染者と5人のCRSが届出された。妊婦の風疹感染により流産や胎児死亡が起こりうることから、より多くの妊婦と胎児が風疹感染の犠牲となった可能性がある。CRSとは、風疹に対する免疫が不十分な妊婦が、妊娠中に風疹に罹患し、経胎盤感染により胎児が罹患する症候群である。3大症状は難聴、先天性心疾患、白内障であり、その他、肝脾腫、糖尿病、精神運動発達遅滞などを来す。妊婦(風疹に対する免疫が不十分な場合)の風疹感染によるCRS発生率は妊娠週数によって異なり、妊娠初期の感染は80%以上と非常に高率である(妊娠4~6週で100%、7~12週で約80%、13~16週で45~50%、17~20週で6%、20週以降で0%8))。2012~13年に発生したCRS45人の追跡調査で、11人が死亡していたことがわかり、致死率は24%と報告された。そのほとんどが重度の先天性疾患が死因となった1)。一方、CRS児の母親の年代は14~42歳と幅広く、風疹含有ワクチン接種歴が2回確認された母親はいなかった(接種歴1回が11例、なしが19例、不明が15例)。妊娠可能年齢の女性に対する風疹ワクチンの2回接種がいかに重要であるかがわかる。また、4例の母親には妊娠中に感染症状がなかった(31例は症状あり、10例は不明)ことから、不顕性感染によるCRSであったことが推測される。CRSもワクチンで予防できるVPDである。また、風疹流行は、妊婦にとって脅威である。妊娠可能年齢の女性やそのご家族には、積極的に風疹ワクチン2回の接種歴を確認し、不足回数分の接種を推奨いただきたい。4)風疹の疫学と抗体保有率近年の風疹流行の首座は成人(感染者の9割以上)であり、中でも20~50代の男性が約7~8割を占める9)。これらの年代は働き盛り、かつ子育て世代でもあることから、職場や家族内感染が主な感染源と推定された10)。一方、女性の感染者では妊娠可能年齢の20~30代が女性感染者全体の6割を占め、CRS予防の観点からも、憂慮すべきデータである。抗体保有率も上記の年代で低いことがわかる(図6)。風疹抗体価についてはHI法8倍以上(図6:赤線)で陽性とされるが、感染予防には16倍以上(図6:黄線)、さらにはCRS予防には32倍以上(図6:青線)が望ましい。男性については30~50代において抗体価が低いことがよくわかる。近年の風疹流行の首座の年代である。この年代で抗体価が低いのは、後述する過去の予防接種制度の煽りを受けたことが原因であり、昨年度から全国で開始された「風疹第5期定期接種」の対象年齢(1962~1979年生まれ)が含まれる。一方、女性では、HI法8、16倍以上の抗体保有率は高いものの、CRS予防に望ましい32倍以上(図6:青線)の抗体保有率は妊娠可能年齢(10~40代)では7~8割にとどまる。やはり小児期に2回の定期接種が義務付けられていなかった年代が含まれており、男性のように成人に対する定期接種制度はないため、日常診療における接種歴の確認が重要となる。図6 男女別の風疹抗体保有率 2018年画像を拡大する国立感染症研究所 年齢別/年齢群別の風疹抗体保有状況、2018年より引用画像を拡大する妊娠可能年齢の女性やその家族には、あらかじめ風疹ワクチンでの予防措置を講じておくことが非常に重要である。ワクチンの概要(効果・副反応、生または不活化、定期または任意、接種方法) 1)麻疹・風疹ワクチン(表2)画像を拡大する効果(免疫獲得率)麻疹ワクチン:1回接種により免疫獲得率93~95%以上、2回接種で97~99%3)風疹ワクチン:1回接種による免疫獲得率は95%、2回接種では約99%11)副反応:一部(10~30%)に軽度の麻疹様発疹や風疹様症状(発熱、発疹、リンパ節腫脹、関節痛など)を伴うことがあるが、いずれも軽度で数日中に消失する一過性のものである。その他、ワクチン接種による一般的な副作用以外に、MRワクチンに特異的な副反応報告はない。禁忌:発熱や急性疾患に罹患中の人、妊婦、明らかな免疫抑制状態にある人、このワクチンによる重度のアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を呈した既往がある人注意事項:生ワクチン接種後は、2ヵ月間は妊娠を避ける。ただし、この期間に妊娠しても、母体や胎児に問題が生じた報告はない。また、輸血製剤またはガンマグロブリン製剤投与後は6ヵ月の間隔をあけてから接種する。麻疹風疹(MR)ワクチンは、2006年から小児に対して2回の定期接種(1期、2期)が定められた。1期(1歳)の接種率は目標の95%以上を維持しているが、2期(5~6歳)についてはいまだ93~94%で推移している12)。あらゆる機会を利用してキャッチアップを行うことにより、すべての人が生涯で計2回のワクチン接種が受けられるような啓発や取り組みが喫緊の課題である。2)麻疹の緊急ワクチン接種麻疹患者との接触者で、麻疹に対する免疫がない人は、接触後72時間以内に麻疹含有ワクチンを接種することで、発症を予防できる可能性がある(緊急ワクチン接種)4)。1歳未満の乳児でも、生後6ヵ月以降であれば曝露後接種は可能である(自費)。しかし、この場合は母親からの移行抗体によりワクチンウイルスが中和されてしまう可能性もあるため、必ず1歳以降で2回の定期接種を受ける必要がある。3)接種のスケジュール(小児/成人)麻疹・風疹ワクチンは、いずれも1歳以上で生涯計2回接種することで、麻疹・風疹ウイルスに対する免疫能を高率に獲得できる。血清検査で診断された罹患歴がなければ、不足回数分の接種を推奨する。ウイルス抗体価の測定は必須ではない。理由は前述の「抗体検査」で述べられたとおりであり、改定された日本環境感染学会のワクチンガイドラインでも同様の考えに基づくアルゴリズムが提示されている13)。抗体価は参考値として測定することはあっても、あくまで接種歴の方が重要度としては高い。よって、抗体価を測定せずに、接種歴の情報を元に接種回数を決めてよい。接種歴がわからない(もしくは、接種した記憶はあるが、記録がない)場合は、接種しすぎることによる害はないため「接種歴なし」として、1ヵ月以上の間隔をあけて、2回の接種を推奨する。4)小児期に2回の麻疹・風疹ワクチン接種が定期接種となった年代麻疹・風疹(それぞれ単独)ワクチン:2000年4月2日生まれ以降の人(表3)は、小児期に麻疹・風疹含有ワクチンが定期接種化されている年代である。ただし、1990年4月2日生まれ~2000年4月1日生まれまでの人(特例措置の年代)の接種率は80%台と低かった。どの年代においても接種歴の確認が重要である。特例措置:麻疹または風疹ワクチンの2回目を、中学1年生(第3期)と高校3年生相当(第4期)に対象者を拡大して5年間の期間限定で接種が行われた。表3 出生年月日および性別別の早見表:麻疹(上段)、風疹(下段)画像を拡大する5)成人に対する風疹第5期定期接種14)1962年4月2日生まれ以降~1979年4月1日生まれの年代(41~58歳)は、小児期の予防接種制度の影響で、小児期に風疹含有ワクチンを2回接種する機会がなかった。そのため、先述したように風疹抗体保有率が低く、風疹流行の首座となってしまった。この世代に対して、2019年度から全国で該当者(風疹含有ワクチンの接種歴がなく罹患歴もないなど)には無料で風疹の抗体価測定を行い、抗体価が不足している場合(HI法8倍以下)は、無料でMRワクチンを接種できる“風疹第5期定期接種”が開始された。しかし、2020年4月時点でクーポン券を使用した抗体検査実施率は16.2%、予防接種実施割合は3.4%と低迷している15)。プライマリケア医による能動的な情報提供、啓発が望まれる。日常診療で役立つ接種のポイント(例:ワクチンの説明方法や接種時の工夫)繰り返しになるが、麻疹・風疹ともに、罹患歴がなければ1歳以上で生涯2回の接種が必要である。接種歴がないまたは不明の場合は、接種しすぎることによる害はないため、任意接種であれば、1ヵ月あけて2回の接種を推奨する。麻疹または風疹のいずれか一方のみの接種を希望する人がいた場合、2回の接種歴が記録で確認できなければ、MRワクチンでの接種を推奨する。下記、MRワクチン接種を負担なく啓発できる工夫について何点かご紹介する。1)外来における工夫(1)小児の受診時受診理由に関わらず、母子手帳の提出をルーチン化する。電話予約時に一言添える、受付時や看護師の予診時などに提出をお願いする。これを習慣化すると、受診者全体に徐々にその文化が根付いていく。医師が診療前後に母子手帳の接種記録を確認し、不足しているものがあれば推奨する。ワクチンスケジュールの知識がある看護師などが担当してもよい。(2)カルテ記録プロブレムリストに「ヘルスメンテナンス」または「予防接種歴」を追加する。医師自身がリマインドできるシステムを作る。外来で扱う主要なプロブレムが落ち着いたときに、患者さんに一言接種歴の確認をするだけでも良い。余裕ができたときに、不足しているワクチンについて紹介、接種の推奨をする。(3)ポスターを掲示するワクチン接種についてのポスターを待合室に掲示する。リーフレットとして配布してもよい15)。2)積極的にワクチン接種を推奨したい対象者(1)妊娠可能年齢の女性とその家族あらゆる感染症は、妊婦の流産早産に関連しうる。CRSを含めたVPDとそのワクチンについて情報提供する。特に、妊娠中は接種が禁忌となる生ワクチン(風疹・麻疹・水痘・ムンプス)について、妊娠前にあらかじめ免疫をつけておくことが重要であることを情報提供する。妊娠希望の女性に対して、MRワクチン接種の助成がある自治体も多い。自治体によっては、そのパートナーにも助成を出しているところもある。あらかじめ自身の自治体の助成制度の確認を行い、該当者がいれば渡せるように当該ページを印刷しておくとよい。(2)風疹第5期定期接種の対象者(41~58歳:2020年4月中旬時点)接種率の低さから、自宅に風疹対策のクーポン券(無料で受けられる風疹抗体検査の受診券)が届いていても、それに気付いていない、またはその重要性を知らず放置している例も多いことが考えられる。定期接種の対象である年代については、受付などで、対象者であることを示す札や目印を作成し、受診時に医療スタッフから制度利用の推奨・案内をできるようにしておくとよい。自宅に定期接種のクーポン券が届いていないかどうか事前に確認し、検査を推奨する。届いていなければ地域の保健所に問い合わせるよう促せば対応してくれる。(3)海外渡航予定のある人海外では麻疹流行国が多数ある。渡航先に関わらず、海外渡航時はルーチンワクチンをキャッチアップする良い機会である。あれば母子手帳をもとに、なければ麻疹を含めたVPDについてしっかり話し合う。長期出張の場合は会社からの補助がでないか、家族同伴の場合は家族の予防接種状況も含めて、安心かつ安全な海外渡航となるよう、サポートする。(4)不特定多数の人と接触する職業(空港など)・医療職・教育関係者などこれらの職業の人は、感染リスクが高く、感染した場合の公衆衛生学的なインパクトも大きい。これらの職業に携わる人には、積極的にワクチン接種歴の確認をし、不足回数分の接種を推奨する。今後の課題・展望世界では、世界保健機関(WHO)などにより、麻疹および風疹排除を加速させる活動が進められている(Global Vaccine Action Plan 2011-2020)。わが国では、2015年に認定された麻疹排除認定を取り消されることがないよう、小児定期接種の高い接種率(1、2期ともに95%以上)を目指すと同時に、海外から麻疹ウイルスを持ち込まれても、国内流行につながらない高い集団免疫を目標にしなければいけない。風疹については、2014年3月に厚生労働省が「風疹に関する特定感染症予防指針」を策定した。この指針は、早期にCRSの発生をなくし、2020年度までに風疹排除(適切なサーベイランス制度のもと、土着株による感染が1年以上確認されないこと)を達成することを目標としている(なお、2020年1~4月の風疹感染者数は73人とCRSが1人、4~5月は3人、CRSは0人15,17))。プライマリケア医には、既存の制度(自治体の助成制度や風疹第5期定期接種など)の積極的利用の促進、また、日常診療内で幅広い年代に対する能動的な啓発および接種歴の確認・推奨を行うことが望まれる。参考となるサイト(公的助成情報、主要研究グループ、参考となるサイト)こどもとおとなのワクチンサイト予防接種啓発ツール 厚生労働省1)2012~2014年に出生した先天性風疹症候群45例のフォローアップ調査結果報告(IASR;Vol.39:p33-34.)2)Global Measeles and Rubella Monthly Update(pptx). Measeles and Rubella Surveillansce Data WHO (Accessed on March,2020)3)新型コロナウイルス感染症に対するQ&A 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会(2020年4月20日更新)4)医療機関での麻疹対応ガイドライン第7版 国立感染症研究所 感染症疫学センター (2018年4月17日)5)国立感染症研究所 病原微生物検出情報 麻疹[2019年2月現在](IASR Vol.40.p.49-51.)6)国立感染症研究所 病原微生物検出情報 麻疹の抗体保有状況2018年(IASR.Vol.40.p.62-63.)7)多屋馨子. モダンメディア. 2019;65:29-37.8)Ghidini A,et al. West J Med. 1993;159:366-373.9)風疹および先天性風疹症候群の発生に関するリスクアセスメント第3版(国立感染症研究所 2018年1月24日)10)風疹流行に関する緊急情報:2019年12月25日現在(国立感染症研究所 感染症疫学センター)11)風疹Q&A[2018年1月30日改定](国立感染症研究所)12)麻疹風疹予防接種の実施状況(厚生労働省)13)医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版(日本環境感染学会)14)風疹の追加的対策 専用ページ(厚生労働省)15)風疹に関する疫学情報 2020年4月8日現在(国立感染症研究所 感染症疫学センター )16)予防接種啓発ツール(厚生労働省)17)風疹に関する疫学情報 2020年6月3日現在(国立感染症研究所 感染症疫学センター)講師紹介

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ACE2遺伝子発現の年齢依存的な増加はCOVID-19重症化と関連?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、小児では比較的重症化しにくいとされている。その要因の1つとして、小児の鼻上皮におけるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)発現が成人より少ないことがあるかもしれない。米国・Icahn School of Medicine at Mount SinaiのSupinda Bunyavanich氏らの調査で、鼻上皮におけるACE2遺伝子発現が年齢とともに増加することが示された。JAMA誌オンライン版2020年5月20日号リサーチレターでの報告。ACE2遺伝子発現は10歳未満で最も低く、年齢とともに増加 本研究は、2015~18年にMount Sinai Health System(ニューヨーク市)を受診した4~60歳の患者の鼻上皮を後ろ向きに調査した。サンプルは、喘息におけるバイオマーカー研究のため、喘息の有無にかかわらず収集されたもの。線形回帰モデルは、統計処理ソフトウェアR version 3.6.0(R Foundation)を使用して、ACE2遺伝子発現を100万当たりのlog2カウントで従属変数として、年齢層を独立変数として作成した。年齢層は、10歳未満(45例)、10〜17歳(185例)、18〜24歳(46例)、25歳以上(29例)の4群に分類した。 4~60歳のCOVID-19患者のACE2遺伝子発現を調査した主な結果は以下のとおり。・305例のコホートが収集され、そのうち48.9%が男性、49.8%が喘息だった。・鼻上皮に年齢依存的なACE2遺伝子発現が見られた。ACE2遺伝子発現は、10歳未満で最も低く2.40(95%信頼区間:2.07~2.72)で、年齢とともに増加し、10〜17歳では2.77(同:2.64~2.90)、18〜24歳では3.02(同:2.78~3.26)、25歳以上では3.09(同:2.83~3.35)だった。・従属変数としてのACE2遺伝子発現および独立変数としての年齢層を使用した線形回帰は、年少児と比較して、ACE2遺伝子発現が年長児(p=0.01)、若年成人(p<0.001)、および成人(p=0.001)で有意に高かったことを示した。・性別と喘息について調整された線形回帰モデルでも、ACE2遺伝子発現と年齢層間に有意な関連(両側検定、有意な閾値:p≦0.05)が示され、この関連が性別と喘息に依存しないことを示した。 著者らは「この研究結果は、SARS-CoV-2と人体の最初の接触点である鼻上皮におけるACE2発現が年齢依存的であることを示している。成人に比べて子供のACE2発現が低いことが、COVID-19が子供に少ない理由を説明するのに役立つかもしれない。なお、本研究の限界として60歳以上の検体が含まれていないということがある」と述べている。

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日本における無理心中の特徴【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第164回

日本における無理心中の特徴pixabayより使用時折テレビで流れる無理心中のニュース。本当に追い詰められての選択肢だと思うのですが、幼い子供が親に殺されるニュースを見ると、いたたまれなくなります。そんな無理心中の症例をまとめた報告がありました。世の中にはスゴイ報告があるもんだ。ブルブル……。Satoh F, et al.Trend of homicide-suicide in Kanagawa Prefecture (Japan): Comparison with western countries. Med Sci Law. 2016 Oct;56(4):258-263. これは、神奈川県における76件の無理心中例、169例の死亡者を調べた珍しい研究です。無理心中の加害者と被害者の関係、犠牲者の数、年齢、性別、原因、亡くなった場所、動機などを調べました。まず、加害者と被害者の関係は、24件(31%)が夫婦、22件(29%)が親と18歳以上の子供、19件(25%)が親と17歳以下の子供、7件(9%)が家族、2件(3%)がカップル、2件(3%)がその他の関係でした。加害者は、39件が男性、40件が女性で、平均年齢は51.6歳でした。被害者は男性39人、女性51人で、平均年齢は35.4歳でした。驚くべきことに、この研究では加害者の約半数が女性でした。欧米では、こういった無理心中例や殺人における加害者のほとんどが男性ですので、日本独特の現象なのかもしれません。また、日本では親子間での無理心中が際立って多く、母親が幼い子供を殺した後に自分も自殺するパターンが多かったそうです。育児疲れでノイローゼになった母親が……というのが典型的でしょうか。もちろん、家庭内暴力が隠れているケースや、精神疾患が影響するケースもあるので1)、そういうサインを見逃さないよう注意が必要です。1)Flynn S, et al. Homicide-suicide and the role of mental disorder: a national consecutive case series. Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol. 2016 Jun;51(6):877-84.

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第10回 救える未来があるならば高額薬でもいいじゃない-ゾルゲンスマは少子化対策の切り札だ

新型コロナウイルス感染症パンデミックに伴い、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言が行われたインパクトは絶大で、その間起きていた現象やニュースはやや吹き飛ばされた感がある。その一つが5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)で薬価収載が了承された脊髄性筋萎縮症治療薬・ゾルゲンスマ(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク)の件である。1患者当たりの薬価は1億6,707万7,222円と薬価収載品としては初の億超えを記録。従来の最高薬価はCAR-T細胞療法・キムリアの投与1回当たり3,349万3,407円であり、その5倍超の薬剤が登場したことになる。もっともこの件は、既に2019年5月に米・FDAの承認が先行し、そこで日本円にして2億3,300万円の薬価がついていたために、「ああ、やっぱり」という程度の反応だった医療関係者も少なくないだろう。この薬価収載了承時の新聞各紙の見出しを並べると、次のようになる。ゾルゲンスマ、1回1.7億円 難病治療薬、保険対象に 厚労省(朝日新聞)超高額薬「ゾルゲンスマ」保険適用を了承 国内最高の1億6707万円(毎日新聞)難病治療薬「ゾルゲンスマ」薬価1億6700万円で保険適用(読売新聞)乳幼児難病薬1.6億円 最高額、保険適用へ 脊髄性筋萎縮症(産経新聞)医療保険ゆさぶる高額薬 1億6707万円、20日保険適用(日本経済新聞)メディアの側にいる身として、こういう見出しにならざるを得ないことは重々承知している。そして記事の中身については、医療保険財政への影響に関する言及の仕方で3つに分けられる。影響を懸念:産経新聞、日本経済新聞影響はなし:読売新聞言及はせず:朝日新聞、毎日新聞もっともこれらの記事中にもあるように、ゾルゲンスマの投与対象となる患者は年25人程度で、年間売上高は42億円の見込みであるため、前述の分類で厳格に採点するならば、後二者が○になる。脊髄性筋萎縮症、そしてゾルゲンスマとは?そもそも脊髄性筋萎縮症(SMA:spinal muscular atrophy)は、ざっくり言えば、運動神経細胞生存(SMN:survival motor neuron)遺伝子の欠失あるいは変異により筋力低下、筋萎縮、深部腱反射の減弱・消失を起こす遺伝性疾患だ。小児期に発症するI型(重症型、別名:ウェルドニッヒ・ホフマン病)、II型(中間型、別名:デュボビッツ病)、III型(軽症型、別名:クーゲルベルグ・ウェランダー病)、成人期に発症するIV型に分類される。発症時期が早期であればあるほど重症で、生後6ヵ月ごろまでに発症するⅠ型の場合、ミルクを飲むことすら困難で、支えなしに座ることすらできない。人工呼吸器を用いなければ、ほとんどの患者が1歳半までに死亡するという厳しい予後である。ゾルゲンスマは、アデノ随伴ウイルス(AAV:Adeno Associated Virus)にSMAの原因となるSMN遺伝子を組み込んだもの。これを1回注射することで正常な遺伝子を長期的に補い、症状を改善する。I型SMA患者15例を対象に行われた海外の第Ⅰ相試験・CL-101試験では、投与後24ヵ月のフォローアップ完了時点で全員が人工呼吸器なしで生存。支えなしで座るなど、運動機能も大幅に改善されたことがわかっている。まだまだ長期評価は必要だが、ある種の治癒に近い状態が得られる可能性も指摘されている。高額新薬への財政懸念と命を天秤に掛ける?こうした薬剤が世に出るようになった背景には、製薬業界の変化と技術革新がある。従来、製薬企業各社は生活習慣病領域など、メガマーケットを軸に創薬を行ってきたが、これらの領域では近年、創薬ターゲットが枯渇しつつある。その結果、1ヵ国での患者数は少ないものの、世界的に見れば一定の患者数があり、なおかつ高薬価になる難病・希少疾患に対する創薬が活発化してきた。これを「カネ亡者」と評する向きもあることは承知しているが、結果として患者への恩恵が増えていることからすれば、私個人はどうでもいいことと思っている。むしろそれ以上に、こうした高薬価の希少疾病治療薬が登場する度にむしずが走るのが「知ったかぶりの保険財政懸念派」である。世界最速の少子高齢化が進行する日本では、将来的に医療保険財政の逼迫は確実である。しかし、その陰で飲み忘れや自己中断による残薬の額が年間推定約500億円にものぼるとの試算を代表に、数々の無駄が指摘されている。国民皆保険を維持しながら持続的な社会保障制度を維持していくとするならば、少子高齢化のうち、「高齢化」については、医療とは無縁ではいられない高齢者での医療費適正化・低減化に取り組むのは当然と言えば当然で、そのために国や現場の医療従事者が必死に取り組んでいるのは百も承知している。しかし、少子高齢化のうち「少子化」については、どうにも決定打に欠ける政策ばかりだと常に感じている。今年5月29日に閣議決定された第4次の「少子化社会対策大綱」を見ても溜息が出る。要は働き方改革・IT化による「産めよ増やせよ」でしかない。だが妊娠・出産、さらにその後の育児は男女のパートナーシップの中での価値観に左右されるもので、単に労働時間や子育て関連給付の変更で何とかなるものではないことは明らかである。少子化対策の発想転換を一方、視点を変えて厚生労働省が発表する人口動態統計2018年版を見てみよう。年齢・死因別でみると、今回のSMAに代表されるような「先天奇形、変形及び染色体異常」により亡くなる未成年は758人いる。同じく、がんで380人、心疾患で139人の未成年が命を落とす。周産期にかかわる障害などで500人弱の0歳児の命が失われている。これらは統計上、各年齢で死因トップ10に挙げられているものを集計しただけで、そのほかにも医療の進化・充実次第で失われなくて済む若年者がいる。たぶんその数は10代までで数千人はいるだろうし、これを20代まで拡大するなら万単位になるだろう。「そんな数はたかだか知れている」という御仁もいるかもしれない。しかし、考えてみて欲しい。厚生労働省が2019年12月に発表した人口動態統計の年間推計によると、同年の日本人の国内出生数は86万4,000人である。今後この数は確実に減少していく。ならば、新規出生数の1%程度の若年者数千人の命を医療で救うことができるならばそれも十分意味のあることではないだろうか?そしてもし前述のような若年者が医療のおかげで一定レベルの日常生活を取り戻せるならば、彼らが将来働くことで経済を潤すかもしれないし、直接的にお金には換算できなくとも新たな価値を生む可能性だってある。またその介護などに時間を割かれていた家族も働くことができるようになるかもしれない。さらにはこうした若年者が家庭を持って子供を持つかもしれない。その意味で「少子高齢化」対策として、若年者を死なせない医療・創薬という視点があってもいいのではないかと常に思っている。どうにも大人の世界は引き算ばかりの夢のない世界になりがちだ。実は私は過去のテレビCMで今でも時々思い出すものがある。いつの時期だったか忘れたがNTTドコモのCMだ。CMでは手塚治虫原作のSF漫画「鉄腕アトム」の白黒テレビアニメ時代の映像が登場し、その手には携帯のようなものが握られている。鉄腕アトムのテーマソングをバックに流れたキャッチフレーズは次のようなものだった。「僕たちが夢見た未来がやってきた」これまで、難病で失われていった若年者にも生きていた時に夢見た未来があったはず。それを大人の銭感情だけで汚して良いものかと、ゾルゲンスマの薬価収載に際して思うのだ。今回のSMAについては患者家族による「脊髄性筋萎縮症家族の会」がある。このホームページの背景にはSMA患者の子供たちの写真がモザイクのように配され、その多くが人工呼吸器を装着している。ゾルゲンスマは適応が2歳未満となっているため、世界各地で承認を待ちわびながらも間に合わず、やむなく気管切開して人工呼吸器を装着したSMA患者も少なくないと聞く。私はこのホームページの背景が人工呼吸器なしで笑う子供たちで埋め尽くされ、したり顔で経済性を語っていた大人が黙りこくる未来がやってくることを今期待している。

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第10回 将来的な健康をも脅かすコロナ禍の受診自粛

医師や歯科医師で構成する全国保険医団体連合会(保団連)が6月4日に公表した「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する緊急アンケート」(第1次集計)によると、医療機関の逼迫した状況だけでなく、子どもの将来的な健康に関する懸念も明らかになった。集計数は6,881件(医科5,157件、歯科1,724件)。昨年4月比で、9割近くの医療機関で外来患者数、保険診療収入共に減少した。保険診療収入が30%以上減少している医療機関は、医科では27.3%、歯科では23.1%という結果が出た。医療機関は、ほかの業界に比べて原価率が高く、固定費が保険料収入の5割を超えているところが多い。医科の場合、利益率が3割いかない医療機関が多い中での保険診療収入の減少である。それでも医科の診療報酬では、さまざまな名目で指導管理料が設けられているが、歯科の場合、診療報酬の多くが処置に関する点数である上、医科の指導管理料に相当する診療報酬の点数が低く抑えられているため、外来患者数減少下における利益率は15%程度と予測されている。診療科別では、耳鼻咽喉科と小児科が大きな影響を受け、外来患者数は9割以上減少した。また、歯科ではネットで拡散された誤情報などによる風評被害も影響しているようだ。コロナ禍による経営環境の悪化が今後も続けば、小児科や耳鼻咽喉科、歯科の医療機関の中には、半年後に倒産するケースが相次ぐかもしれない。一方、受診控えによる患者の心身への影響も懸念される。保団連の理事は「3ヵ月健診、6ヵ月健診などがあるのは、重要な病気を見逃したり、将来に渡って治すチャンスが奪われてしまう病気があったりするのを未然に防ぐため。“不要不急”と思ってその時期を逃すと、大変なことになる可能性がある」と警鐘を鳴らす。実際、乳幼児健診や学校健診で、先天的な心疾患や側弯症などが見つかることもある。しかし、一斉休校による学校健診の中止や受診控えにより、これらの疾患が発見されないまま経過しているケースもあることだろう。高齢者については、外出自粛による下肢の衰えや、高血圧、うつ症状の進行が懸念される。新型コロナによる間接的な影響は、今後さまざまな疾患となって発現してくることだろう。こういった疾患をフォローする態勢も今後は必要だ。子どもに関しては、一斉休校よる外出規制で、自宅での甘味摂取量の増加や生活習慣の乱れなどから、虫歯が増えている状況も見過ごせない。また、妊婦においても歯科検診の受診控えの影響で、女性ホルモンの増加に伴う歯周病菌の増加などが見逃され、低体重児や早産のリスクが高くなることが懸念される。このような状況下、口腔ケアの重要性が増しているのは言うまでもない。災い転じて、歯科は「新型コロナ対策の最前線」になれるだろうか。

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第10回 95万円の診療報酬架空請求で逮捕!うがった見方をしてみれば

実母に在宅診療をしたとして架空請求こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。さて、緊急事態宣言が解除されましたが、その後のロードマップ「ステップ1」「東京アラート」「ニューノーマル」…、次から次へと出てくる新造語や基準があるようでよくわからないレギュレーションに、東京都民をはじめ首都圏に住む多くの人たちが戸惑っています。「もう戸惑うのは御免」とばかりに完全に自粛を解除してしまう人もいるようで、いわゆる”夜の街”(この言葉もなんか変ですね)では、「接待を伴う」わけではない普通の居酒屋にも、それなりに客足が戻っているようです。新型コロナウイルスが撃退されたわけでもないのに、この緩みっぷり…。人間とは面白い生き物です。さて、今回気になったのは、東京都羽村市の在宅クリニックで起きた診療報酬の架空請求事件です。この事件は新聞、テレビはじめ多くのメディアが報じました。毎日新聞やNHKなどの報道によれば、事件のあらましは次のようなものでした。5月27日、診療報酬を架空請求したとして、警視庁捜査2課は、東京都羽村市で在宅専門クリニックを開業する医療法人甲神会・理事長の医師(49)と、同法人の事務長(53)を逮捕しました。逮捕容疑は詐欺と私電磁的記録不正作出・同供用容疑です。逮捕容疑は、1月上旬~2月下旬ころにこの医師と同居する70代の実母に在宅診療をしたとする虚偽の電子カルテを作成、事務職員に虚偽の電子レセプトを作らせ、東京都後期高齢者医療広域連合に診療報酬計約95万円を架空請求し振り込ませた、というものです。母親は別の医療機関に通院していましたが、息子のクリニックからの在宅診療は受けていませんでした。報道では、この医師は「弁解の余地もありません」と容疑を認めているとのことでした。当局が医療関係者に発したアラート?この事件の報道、よくよく読むと不思議なことがいくつかあります。3点ほど挙げてみます。1)実母のレセプトにも関わらず、なぜバレたのか。2)億単位の不正請求が発覚しても逮捕されないケースもあるのに、わずか95万円でなぜ逮捕されたのか。3)このコロナ禍でどこの医療機関も大変な時期なのに、わざわざ逮捕する必要があったか。1)と2)ですが、多くの診療報酬不正請求事件は、地方厚生局などへの通報(患者や内部の従業員などからのいわゆる”たれこみ”)で発覚し、指導、監査へと進むことが大半です。今回の場合、母親が“たれこむ”わけがないので、この母親のレセプトを広域連合がチェックする段階で、「通院と在宅が混じっている、おかしいぞ」ということになった、と予想できます。ただ、95万円は「母親に在宅診療したと見せかけた架空請求」という1事例に過ぎず、不正請求の事例(余罪)はほかにもあるのかもしれません。95万円というのはさすがに少額過ぎるからです。3)が一番の謎です。東京の外れの1在宅クリニックの95万円の詐欺事件を、わざわざ全国に知らしめる必要があるのか、ということです。うがった見方かもしれませんが、この逮捕は「医療機関の皆さん、コロナで患者数が減って大変でしょうが、くれぐれも不正請求をしないように!100万以下でも逮捕しますよ!」という当局のアラートであった、とは考えられないでしょうか。最近、知人からこんな話を聞きました。「友人が子供を連れて行っていたかかりつけの小児科でコロナ疑いが出て、患者数が激減した。少し経ってから子供を連れていったところ、今までやらなかった余計ではないかと思われる検査をされたそうだ」。もちろんこのケースは不正請求ではありませんが、コロナ禍による患者・収入減の反動で過剰診療が増えているとすれば、不正請求に走る医療機関も、ひょっとしたら増えているのかもしれません。診療報酬の不正請求は詐欺罪にあたり、最長で懲役10年です。加えて、保険医取り消し、保険医療機関取り消し、医師免許停止・取り消し、医業停止といったさまざまな行政処分の対象にもなります。実は今年の3月から、不正請求をした医師や医療機関の取り扱いも厳しくなっています。詳細は各地方厚生局のホームページを見ていただきたいのですが、例えば関東信越厚生局のサイトには3月19日付けで、「行政処分が行われる前に、保険医療機関等や保険医等が自ら保険医療機関等の指定の辞退や保険医等の登録の抹消を申し出て、自ら保険医療機関等や保険医等から外れることによって、行政処分から免れるケースがあり、このようなケースについては公表を行っておりませんでしたが、保険診療を受けた患者(被保険者)の皆様の権利を守ることが目的であることに鑑み、すでに指定を辞退した保険医療機関等や登録抹消した保険医等についても、取消に相当する場合には、地方社会保険医療協議会の審議を経て、名称、氏名、不正理由、不正請求金額などを公表することといたしました」と告知されています。どう逃げようが、名前や医療機関名、不正請求の詳細は公にされてしまうわけです。わざわざこの時期に表沙汰となったこの事件、当局が医療関係者に発した“東京アラート”かもしれないということを、皆さんも頭の片隅に置いておいてください。

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新型コロナで8割の診療所が患者&収入減!診療科別の違いも浮き彫りに-会員医師アンケート

 新型コロナウイルス感染症の流行拡大は、診療所・病院の経営に大きな影響を与えている。今回、ケアネットでは診療所で働く会員医師に対し、2020年4月の外来患者数・経営状態についてアンケート調査を行った。アンケートは2020年5月21(木)~25日(月)に実施し、1,000名から回答を得た。 調査は、全国のケアネット会員のうち診療所(病床数0床)で勤務する30代以上の医師を対象にインターネット上で実施。回答者の年代は50代が36.7%と最も多く、60代が32.2%、40代が17.0%、70代以上が8.1%、30代が6%だった。診療科は内科が47.5%と半数近くを占め、続いて小児科が6.9%。整形外科・皮膚科が各4.7%、循環器内科・精神科が各4.6%、などとなっている。新型コロナの影響による患者減は内科と比べて小児科が大きく皮膚科が小さい 「4月平日の外来患者数」を前年同月比で尋ねた設問では、「5~25%減った」という回答が41.2%と最多となり、「25~50%減った」が28.4%、「50%以上減った」が9.7%だった。「減った」という回答を合計すると8割に達し、新型コロナウイルス感染流行が診療所に与えた影響の大きさを確認できる。一方、新型コロナの影響による患者の減少幅には診療科ごとの違いもあり、内科と比較した場合、小児科・耳鼻咽喉科では減少幅が大きい一方で、整形外科・皮膚科・精神科は減少幅が小さい傾向が見られた。 「現時点での経営上の一番の問題」について自由回答で尋ねた設問では、「フェイスシールドなど注文していますが、1ヵ月以上たっても届かない(東京都・内科)」といった依然として続く新型コロナの影響による資材不足や「患者の受診控えによる症状の悪化が心配(京都府・消化器内科)」「隔離場所が確保できない(東京都・糖尿病・代謝・内分泌内科)」といった診療面の不安を訴える声が上がった。自由回答でも最多だったのは「外来患者数が元に戻らない(神奈川県・整形外科)」「外来患者数減少、処方日数の長期化を戻せない(広島県・内科)」といった新型コロナの影響による患者減に関する回答だ。中には「資金ショートの恐れあり、閉院検討(東京都・内科)」という深刻な内容もあった。 アンケートでは、保険診療収入の増減状況や給付金・助成金制度の利用状況についても聞いている。 アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。新型コロナ影響で8割の診療所が患者&収入減!対策どうする?-会員医師アンケート

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新型コロナ影響で8割の診療所が患者&収入減!対策どうする?

新型コロナウイルス感染症の流行拡大は、診療所・病院の経営に大きな影響を与えています。ケアネットでは、病床を有していない診療所で働く会員医師に対して、2020年4月の外来患者数・経営状態についてアンケート調査を行いました。アンケートは2020年5月21~25日に実施し、回答数は1,000名でした。Q1 先生が勤務・経営する診療所の外来患者数は、昨年同月比で増減がありましたか?(2020年4月・平日1日当たりの平均患者数を想定してお答えください)画像を拡大する回答者1,000人4月平日の外来患者数について聞いた設問では、前年同月比で「5~25%減った」という回答が41.2%と最多となり、「25~50%減った」が28.4%、「50%以上減った」が9.7%でした。「減った」という回答を合計すると8割に達し、新型コロナウイルス感染流行が診療所に与えた影響の大きさを確認できます。一方で、診療科ごとによる違いも浮き彫りになりました。

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第10回 病院の経営状況悪化に危機感、日病協から要望書提出

<先週の動き>1.病院の経営状況悪化に危機感、日病協から要望書提出2.全国知事会議で病院再編の検討先送りが歓迎される3.予防医療推進についての報告書、自民党有志から政府へ提出4.合計特殊出生率1.36と4年連続で低下、自然減も50万人超1.病院の経営状況悪化に危機感、日病協から要望書提出コロナの影響による受診・入院患者の急減に多くの医療機関が直面するなか、医師会や病院団体からは入院基本料・初再診料の増額などの緊急措置を求める声が出されている。全国の国立大学附属病院、国立病院、自治体病院、医療法人協会など計15団体により構成される日本病院団体協議会(以下、日病協)は、6月3日に厚生労働省の演谷 浩樹保険局長に対して、「新型コロナウイルス感染症への対応に係る診療報酬に関する要望書」を提出した。この中には「入院基本料、初再診料及び外来診療料の大幅な増額」や「新型コロナウイルス感染症患者の入院、院内感染発生や院内感染防止策として行った休床・休棟の措置等で大幅に収入が減少した病院において、前年度の医療収入を基準とした診療報酬の概算請求」など予算措置を求めるほか、「医療法・診療報酬上の医療従事者等の配置基準の緩和措置の継続」などが盛り込まれている。一方、社会保険診療報酬支払基金が6月1日に発表した2020年3月診療分の統計月報によると、確定件数は前年同月に比べると12%減、確定金額は総計で2.0%減、医療保険分で2.6%減となっている。多くの医療機関が、今年の診療報酬改定の前である3月から、すでに新型コロナ感染症のダメージを受けていることが明らかになり、予算措置などが急がれる。(参考)新型コロナウイルス感染症への対応に係る診療報酬に関する要望書(日病協)新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査(追加報告)(同)支払基金・3月診療分 確定件数は前年同月比12%減 花粉症で26%減(ミクスオンライン)社会保険診療報酬支払基金 統計月報(令和元年度)2.全国知事会で病院再編の検討先送りが歓迎される6月5日、医療機関に求められていた、公立・公的病院の再編など「具体的対応方針の見直し」議論について、期限を延長する方針が示された。同日オンライン開催された全国知事会において、「公立・公的病院等が新型コロナウイルス対策で中核的役割を果たしていることが正当に評価された」とし、「今後、地域の実情に即し、地域医療の最後の砦としての役割を十分踏まえた検討を望みたい」とするコメントを発表した。昨年の閣議決定で発表された「骨太方針2019」では、公立・公的病院の再編統合を伴わない場合は2019年度中、再編統合を伴う場合は遅くとも20年秋ごろまでに具体的対応方針の見直しを求めるとの期限を設けていた。(参考)公立・公的病院再編検討の先送りについて(全国知事会社会保障常任委員会)経済財政運営と改革の基本方針 2019~「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦~3.予防医療推進についての報告書、自民党有志から政府へ提出人生100年時代にすべての国民が長く健康に活躍できる「百年健幸」の国づくりを目指して、予防・健康づくりを推進するため、昨年11月に自由民主党の有志議員によって立ち上げられた「明るい社会保障改革推進議員連盟(会長:上野 賢一郎氏)」が、6月1日に報告書を公表した。この報告書では、すべての国民が自然に健康になることができる環境を整え、健康格差の解消を図るために、病気予防や健康づくりを社会全体で促進できるように求めている。科学的な効果検証と、データに基づく政策の継続的な改善を行うために、保健医療科学院の機能強化や保険者の予防・健康インセンティブの強化、遠隔健康医療相談やオンライン診療・服薬指導の推進などが含まれている。議連はこの報告書を菅官房長官、加藤厚労大臣、西村社会保障改革担当大臣に提出し、今年7月に閣議決定予定の「骨太の方針2020」に、予防医療の推進が盛り込まれるよう働きかけを行っていく方針。(参考)「予防」を社会保障の柱に 自民議連が報告書(産経新聞)報告書(明るい社会保障改革推進議員連盟)4.合計特殊出生率1.36と4年連続で低下、自然減も50万人超先週、「『希望出生率1.8』の明記、子育て支援が一段と打ち出される」との報道を紹介した直後となるが、6月5日に厚労省は2019年の人口動態統計の概数を発表した。出生数は86万5,234人と前年から5万人以上減少し、統計のある1899年以降で最少となった。また1人の女性が生涯に産む子供の推計人数を示す合計特殊出生率については、4年連続して低下していることが明らかとなった。さらに、死亡数から出生数を差し引いた人口の自然減も51万5,864人と初めて50万人を超えた。団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降は人口の自然減がさらに増加することもあり、政府の対策が急がれる。(参考)昨年の出生率1.36、4年連続で低下…自然減は初の50万人超え(読売新聞)令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚労省)

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13価肺炎球菌ワクチン、接種対象者を拡大/ファイザー

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)は2020年5月29日、プレベナー13(R)水性懸濁注(一般名:沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)の新たな適応として、肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者に対する「肺炎球菌(血清型:1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F および23F)による感染症の予防」の製造販売承認事項一部変更承認を取得した。今回の適応追加により、小児並びに高齢者に限らず、肺炎球菌(血清型:同)による疾患に罹患するリスクが高い方にも接種が可能となる。 肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者は、以下のような状態の者を指す。●慢性的な心疾患、肺疾患、肝疾患又は腎疾患●糖尿病●基礎疾患若しくは治療により免疫不全状態である又はその状態が疑われる者●先天的又は後天的無脾症(無脾症候群、脾臓摘出術を受けた者)●鎌状赤血球症又はその他の異常ヘモグロビン症●人工内耳の装用、慢性髄液漏等の解剖学的要因により生体防御機能が低下した者●上記以外で医師が本剤の接種を必要と認めた者 本剤は、生後2ヵ月齢から6歳未満の小児、65歳以上の高齢者に対する肺炎球菌(血清型:同上)による侵襲性感染症を予防するワクチンとして、定期接種の対象である。なお、2019年1月現在、本剤は米国や欧州をはじめとする80ヵ国以上で生後6週から18歳未満の青年並びに全年齢の成人に対する接種が既に承認されているが、日本では6~65歳未満に対する接種への適応がなかった。2017年5月に厚生労働省へ要望書「沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンの接種対象者拡大に関する要望」が提出され、2018年に国内第III相試験の実施を経て、今回の承認に至った。

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新型コロナ患者の退院基準、2回の陰性確認が不要に/厚労省

 5月29日、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、感染症法)における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」において、退院に関する基準の改正通知が発出された。原則、発症日から14日、症状軽快後72時間経過で退院基準を満たす 改正後の通知で、感染症法第22条の「症状が消失したこと」とは、原則として次の(1)に該当する場合とされる。ただし、次(2)に該当する場合も差し支えない。(1)発症日から14日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合(2)発症日から10日経過以前に症状軽快した場合に、症状軽快後24時間経過した後に核酸増幅法(PCR)検査を行い、陰性が確認され、その検査の検体を採取した24時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認された場合 また、無症状病原体保有者については、発症日から14日間経過した場合に、退院の基準を満たすものとされる。 「発症日」とは、患者が症状を呈し始めた日とし、無症状病原体保有者または発症日が明らかでない場合については、陽性確定に係る検体採取日とする。「症状軽快」とは、解熱剤を使用せずに解熱し、かつ、呼吸器症状が改善傾向にあること。 上記(2)のPCR検査で陽性が確認された場合でも、(1)に該当した場合は(1)と同様の扱いになる。それ以外の例では、24時間後にPCR検査を行い、陰性が確認され、その検査の検体を採取した24時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認されるまで、PCR検査を繰り返すものとする。 なお、患者が再度症状を呈した場合や無症状病原体保有者が新たに症状を呈した場合は、症状軽快後に上記に該当するまで退院の基準を満たさないものとされる。退院基準改正で、症状軽快者による病床数の圧迫は解消となるか これまで、新型コロナウイルス感染症の入院患者は、PCR検査で2回陰性にならないと退院できないため、陰性が出るまで何回も検査を繰り返し、その結果ベッドが空かず、新規入院を受け入れられないような状況が問題視されることもあった。今回の改正は、そういった状況の解消を見込んだものと考えられる。 なお、通知以前に新型コロナウイルス感染症または無症状病原体保有者として入院している患者で、本通知による改正前の退院の取り扱いに基づき検体採取などを行っている場合については、従前のとおり取り扱って差し支えないものとされる。

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第9回 5月分診療報酬などの一部概算前払い、6月5日が申請期限

<先週の動き>1.5月分診療報酬などの一部概算前払い、6月5日が申請期限2.日本医師会・横倉会長が5選を目指して同会長選挙出馬へ3.コロナウイルス感染で、地域医療構想は見直しとなる見込み4.厚労省が臨時サイト開設、コロナ対策で不足する医療人材確保を支援5.「希望出生率1.8」の明記、子育て支援が一段と打ち出される1.5月分診療報酬などの一部概算前払い、6月5日が申請期限5月27日、第2次補正予算案の閣議決定を受け、医療機関の資金繰り対策として、5月診療分診療報酬などの一部概算前払いの措置が取られることとなった。6月下旬の診療報酬など支払い時に、4月診療分に加えて、5月診療分が概算前払いされる。その分は、7月下旬における本来の5月診療分診療報酬などの支払時に減額調整される。今回の措置は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、受診抑制のために資金繰りが厳しくなっている医療機関などを支援するために臨時で行われる。前払いを希望する医療機関は、【6月5日(金)】までに、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険連合会の両方に、オンライン、または郵送での申請(6月5日必着)を行うことが必要となる。(参考)令和2年5月診療分診療報酬等の一部概算前払について(厚労省)2.日本医師会・横倉会長が5選を目指して同会長選挙出馬へ日本医師会の横倉 義武会長は、6月27日に予定されている同会長選挙に5選を目指して立候補する意向を固めた。2012年から4期8年を務めており、この春には勇退するという報道もあったが、「新型コロナウイルス対策で引き続き政府と連携していく考え」などとあらためて報じられた。現執行部の中川 俊男副会長が会長選の出馬準備を進めており、事実上の一騎討ち選挙となる見込み。(参考)日本医師会の横倉会長、5選目指す 安倍首相らとパイプ(朝日新聞)3.コロナウイルス感染で、地域医療構想は見直しとなる見込み5月26日、日本医師会の横倉会長は、緊急事態宣言の全面解除を受け、厚生労働省が進めている「地域医療構想」について、「二次医療圏ごとに感染症病床を一定数確保することが必要」とする意見を緊急記者会見で述べた。これまで人口減少時代を見据えた病床削減が進めてきた地域医療構想は、経営・経済効率などが中心であり、感染症対策などが計画に入っていなかったことを見直す形になると考えられる。翌日27日には、地域医療構想のスケジュールは、7月に予定されている「骨太の方針2020」において提示される見込みであることが、定例記者会見で明らかにされた。医療計画の一部である地域医療構想に新興感染症への備えが不足しており、これらを見直すことを厚労省医政局地域医療計画課に提案しているという。(参考)緊急事態宣言の解除を受けて(日本医師会)第二次補正予算の取りまとめを受けて」(同)4.厚労省が臨時サイト開設、コロナ対策で不足する医療人材確保を支援厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療現場での人手不足に対応して、人材募集する医療機関や保健所と、医師・看護師らの求職者をマッチングさせる求人サイトを6月上旬にも新設する。収束するまでの臨時的な対応として、利用する医療機関に手数料などは発生しない。厚労省が開設するのは、「医療のお仕事Key-Net」。各医療機関・保健所などにおける募集情報は、新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)を通じて調査され、医療機関や保健所設置自治体などから随時収集する。募集の対象となる職種は、医師、保健師、助産師、看護師、准看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、薬剤師、救急救命士および事務職。(参考)厚生労働省に開設するWebサイト「医療のお仕事Key-Net」等を通じて行う医療人材等の緊急的な確保を促進するための取組(緊急医療人材等確保促進プラン)の実施に向けた準備について(厚労省 事務連絡 令和2年5月27日)5.「希望出生率1.8」の明記、子育て支援が一段と打ち出される新たな「少子化社会対策大綱」が5月29日に閣議決定された。わが国では2003年に少子化社会対策基本法を施行しており、少子化社会対策大綱は2004年に初めて策定され、5年ごとに見直してきた。2018年の出生数は91万8,400人、昨年(2019年)は86万4,000人(推定)と、前年に比べ5万人以上の減少によって、今後の総合的かつ長期的な少子化に対処するための具体的な施策の指針として取りまとめが急がれていた。少子化の進行は、日本の社会経済に影響を与えるため、若い世代が家庭を持ち、子供を育てることに希望が持てるよう、経済的な環境整備に重点を置く。今回、子供が欲しい人の希望が叶った場合に見込める出生率「希望出生率1.8」という数値目標が初めて明記され、これの達成のために、出産や子育て支援策が打ち出される見込み。(参考)少子化社会対策大綱(内閣府)第4次少子化社会対策大綱の策定に向けた提言(令和元年12月23日)

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